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1951-02-09 第10回国会 衆議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月九日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 橘  直治君 理事 西村 久之君    理事 橋本 龍伍君 理事 川崎 秀二君    理事 林  百郎君       青木 孝義君    天野 公義君       井手 光治君    角田 幸吉君       甲木  保君    北澤 直吉君       久野 忠治君    坂田 道太君       塩田賀四郎君    玉置  實君       苫米地英俊君    永井 英修君       中村  清君    中村 幸八君       松浦 東介君    松本 一郎君       井出一太郎君    今井  耕君       北村徳太郎君    中曽根康弘君       平川 篤雄君    川島 金次君       戸叶 里子君    西村 榮一君       水谷長三郎君    川上 貫一君       横田甚太郎君    小平  忠君       小林  進君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣  横尾  龍君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         地方財政委員会         委員      青木 得三君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         文部事務官         (大臣官房会計         課長事務代理) 相良 惟一君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豐治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算  昭和二十六年度特別会計予算  昭和二十六年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  質疑を続行いたします。小平忠君。
  3. 小平忠

    小平(忠)委員 私は先般の総括質問に残つておりました農林大臣に対しまして、当面する食糧問題その他農政上の重要問題について、重要な点を農林大臣にお伺いいたしたいと思います。  最初に食糧問題でありますが、最近国際情勢の推移に伴いまして、いろいろ外電の報ずるところによりますると、大体従来まで生産過剰を予定されておりましたアメリカを中心として、現にアメリカ小麦の輸出を禁止するというような事態に立ち至つております際に、わが国の絶対量の食糧不足という観点から、輸入食糧に対しまする今後の食糧行政というものは、まさしく重大なる段階に到達しておると思うのであります。そこで大臣にお伺いいたしたい点は、今次の第十通常国会再開後、本会議なりあるいは委員会におきまして、輸入食糧に関する政府の御答弁を承つておりますと、アメリカ食糧年度すなわち七月から六月という計算の基礎と、日本会計年度、すなわち四月から翌年三月までという関係において、いろいろ輸入食糧実績なり、あるいは今後の見通しにつきまして、どうも誤解の点が多いのであります。それでこの機会に、本年度すなわち二十五年度の今日までに輸入されました実績、さらに二十五年の残、一月から三月までの輸入見通し、及び二十六年度の、政府が今回この予算編成に関しまして、三百二十万トンの輸入を計画された、この見通しについての的確なる数字について、まずお伺いいたしたいのであります。これにつきまして、農林大臣より私は答弁を求めますが、こういつた数字については、もちろん大臣にかわり、政府委員から答弁されることを私は了承いたしますので、しかるべくよろしくお願いしたいと思うわけであります。
  4. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食糧事情について、非常に不安があるようでありますが、私たちは不安を持つていないのであります。それはなぜかというと、日本を十二分に理解している連合国があるのでありまして、この力によつて、私たち国民に不安を與えないようにしたいということが一つ。それからそれと並行して、内地生産食糧自給度を高めて行くということによつてそれを補つて行く。この二つの道があるのでありまして、それに相当量の持越し量があるのでありますから、国民に対して不安を感ぜしめないようにしたいというのが私の念願であります。こまかい数字の点は、政府委員から事詳細に御説明申し上げます。
  5. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 輸入数量お尋ねでありましたが、御質問の点が、日本会計年度アメリカ会計年度と、二つの点からのお話であります。その点でお答え申し上げます。  二十五会計年度、つまり去年の四月から、ことしの三月までの輸入実績並び輸入見込みを申し上げますと、結論は二百六十九万二千トンというふうに、私どもはただいまのところ押えております。これは昨年の四月から十二月までは実績をとり、この一三月は見込みということであります。  内訳に入りますれば、到着実績は、昨年の四月から昨年の十二月まで到着いたしましたものが米で五十一万トン、これはガリオアで四万五千トン、コンマーシヤルで四十六万五千トンであります。それから小麦が百五万一千トン、内訳ガリオアが六十二万六千トン、コンマーシヤルで四十二万五千トン、大麦が十四万九千トン、ガリオアが九万六千トン、コンマーシヤルが五万三千トン、これを合計いたしますと百七十一万トンになります。ガリオアが七十六万七千トン、コンマーシヤルが九十四万三千トンであります。これは実績でありますが、一—三の到着見込みが、これは九十八万二千トンというふうに見ております。内訳は米が二十九万八千トン、これは全部コンマーシヤルであります。小麦が四十八万一千トン、ガリオアが二十七万四千トン、コンマーシヤルが二十万七千トン、大麦が二十万三千トンでありまして、ガリオアが九万五千トン、コンマーシヤルが十万八千トン、合計いたしまして到着見込みが九十八万二千トン、以上の実績見込みと合計いたしますと、二百六十九万二千トンという数字になります。ガリオアが百十三万六千トンであります。コンマーシヤルが百五十五万六千トンということになる見込みであります。比率から申しますと、ガリオア分が約四二%、コンマーシヤル分が五八%という計数になります。次にアメリカの五十一会計年度——昨年の七月から本年の六月までの、ただいままでの輸入見込み並び実績総計を申し上げますと、当初二百八十五万一千トンを予定いたしたのでありますが、内訳はただいま申しましたように、昨年七月から昨年十二月までは実績をとり、一月から六月までは見込みをとつてこの計数をはじいておるのであります。つまり昨年の十二月までの到着分は八十九万五千トン、品目別に申しますと、米が十八万八千トン、ガリオアで四万三千で、コンマーシヤルで十四万五千、それから小麦が五十七万八千トン、ガリオアで三十四万八千トンで、コンマーシヤルで二十三万トン、大麦が十二万九千トン、ガリオア分が九万五千トンで、コンマーシヤル分が三万四千トン、合せて八十九万五千トン。ガリオアが四十八万六千トンであり、コンマーシヤルが四十万九千トンというのが、これが到着分であります。  一——六の見込みに相なりますが、見込みは総計いたしまして、ただいま確実であると推定いたされます分が百九十五万六千トンであります。米は四十九万八千トン、これは全部コンマーシヤルであります。小麦が百八万トン、これはガリオア分が五十一万四千トンであつてコンマーシヤル分が五十六万六千トン、大麦が三十七万八千トンで、ガリオアが十八万五千トンであつてコンマーシヤルが十九万三千トン、合計しまして百九十五万六千トン。ガリオアが六十九万九千トン、コンマーシヤルが百二十五万七千トン、これが見込みの数であります。それを実績見込みを総計いたしますと、先ほど申しましたような二百八十五万一千トンという数字になりまして、ガリオアが百十八万五千トンであり、コンマーシヤルが百六十六万六千トンという数字になります。  ただいままで申し上げました数字は、私どもといたしまして非常にかたく見ました数字でございます。食糧の現況からいたしまして、できるだけ輸入食糧を増強しなければならぬという観点から、これ以上にできるだけ入れるということについて、ただいまいろいろ方策もいたし、折衝もいたしておりますので、これを最低とお考え願つてけつこうでありまして、これ以上相当入るものがあるであろうということを期待いたしております。
  6. 小平忠

    小平(忠)委員 大臣のきわめて自信ある御答弁に基いて、さらに安孫子食糧庁長官より二十五年度輸入実績並びに今後の輸入見通しについて詳細な数字の御発表をいただいたわけであります。そこで私があえてこの件についてお伺いいたしました理由は、先ほど申し上げましたように、外電の報ずるところによりますれば、今後の輸入見通しについて非常なる不安を投げかけておるということは、これは国民大衆の非常な関心事であります。そういうような観点から以上のような数字を私はお伺いしたのであります。  そこで問題になります点は、この予算書説明されてありまする二十五並びに二十六年度輸入食糧についての実際の問題でありますが、現に二十六年度輸入食糧に対する買入れ価格の問題についても、小麦におきましては、米国から——これは米船輸送関係で三十万トン予定されておりますが、このCIFによるトン当り輸入価格が九十七ドル、あるいはオーストラリアから四十万トン計画しております分は八十六ドル、あるいはカナダから四十万トン予定している分については八十四ドル、あるいは米についてビルマより十五万トンの分は百三十ドル、さらにシヤムの四十万トンについては百三十二ドルというような輸入価格についての一応の想定をされております。しかし現在の国際情勢ドル価格うなぎ上りに上つているというような現状から見て、はたしてこのような価格で、ただいま食糧庁長官説明されたような計画が達し得るかどうかという点についてまず価格の面から大いなる疑問を持つわけであります。  第二は、船腹の問題であります。朝鮮動乱を契機とし、あるいは欧州における緊迫せる情勢に相呼応して、この船腹についても私はまつたく予断を許さないような段階にあると思います。以上のような国際情勢の動きなり、さらに本年度年度当初計画された二十万トン輸入朝鮮米については、現に全数量輸入というものがストツプされておりますが、こういつたようなことを相関連して考えまするときに、ただいま大臣答弁されたような点についていささか私は疑問を持つわけであります。私は以上の具体的な事例を申し上げて、あえてお伺いをするわけでありますが、この点について具体的な根拠を示されて、輸入食糧に対する見通しについての確たる御方針をもう一応承りたいのであります。
  7. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 国際情勢の緊迫につれて、買付その他についていろいろ困難な点があるじやないか、また政府はそれに対応して船舶その他については万全の用意があるかということでございますが、われわれといたしましては、国内ででき得る限りのことをやつて行くつもりでありますが、足りないところは連合軍からの援助を仰いで万全を期して行くつもりであります。また具体的の船舶その他については、事務の方から説明いたさせます。
  8. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 価格あるいは船腹の面から輸入がなかなか困難じやないかというようなお尋ねでありますが、そうした事実は確かにあるわけでありますが、概括的に申しますと、やはり相当値段を出しますれば、物も船も獲得できるという段階にありますので、その点は絶対量の不足というような点からの心配はあまりいたしておりません。価格の面は確かに上つておりまして、予算編成当時から見ますると、あの單価は買うことがなかなか困難な状況になつております。一例を申し上げますれば、たとえば米でありますが、タイはやはり百四、五十ドル見当になつております。それからエジプト等の米も百五十ドル台になつております。それから小麦について申しますれば、北米では去年の暮あたりは大体八十ドル見当でありましたが、一割方上りまして、大体八十八ドルくらいになつております。フレートも昨年の十一月ころでありますと、大体八ドルから九ドルくらいでありましたが、昨今は十六ドル見当に上つております。大麦でありますが、これも北米物でありますと、やはり現在は九十ドル見当になつております。昨年の十一月当時はシフでもつて七十二ドル見当カナダ、濠州、アルゼンチンいずれも大体そうした傾向にあることは事実でございます。しかし絶対量が不足しているとかいう問題でありませんので、値段の点で少し勉強いたしますれば、物の獲得はできる。しかしながら貴重な外貨予算でもありますし、できるだけ安いものを同じ金額でもつて大量に入れるというようなことについての考慮も十分拂いまして、買付に努力をいたしておる実情でございます。
  9. 小平忠

    小平(忠)委員 私はただいまの御答弁では実は満足し得ない点があるのでありますが、食糧事情についての見通しについては、これは單に見通しでありまして、私は政府といえども、的確なる自信ある問題について、なかなかこうだという点は——国際情勢の緊迫せるこういう事態から見ましても、私は事情についてよくわかるのであります。そこでただいま大臣が、そういう事態に対処し得る事前の策を講じて、万全を期すると言われるその言を私は十分に信頼して、今後の食糧需給の完璧な運営に最善を盡されたいと思うのであります。そこでこれからお伺いいたしたい点は、本委員会でも、あるいは衆参両院委員会等質疑においてすでに明らかにされた点は、私はあえて重複して申し上げません。そういうような点でいろいろ食い違い等や疑問を抱く点について、私は質問を続けて行きたいと思うわけであります。  以上のような輸入実績なりあるいは今後の輸入見通し、さらに国内生産の今年度生産目標等を考慮して、問題になつております点は、今年度主食の供出問題あるいはその他麦類雑穀いも類等の取扱いの問題に関連をするわけでありますが、御承知のように麦類につきましては本年度予算書作成に関しまして、二十六年から供出制度廃止して、農家のいわゆる売渡し申込みによつて、これを自由に買上げをするということになつておりますが、この点に関して去る二月六日の参議院予算委員会において、安孫子食糧庁長官から、この麦類に関しましても供出制度をやはり続行して行かなければならぬような事態に立ち入るかもしれぬ、こういう答弁が実はあつたのでありますが、農林大臣は本委員会においては、既定方針通り二十六年からは麦の供出制度廃止するという答弁をなすつておるわけであります。そこで大臣事務的最高責任者である安孫子長官との食い違いがあるのでありますが、この点についてこの機会に明らかにしていただければ幸いと思うわけであります。
  10. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それは何か言葉の行き違いでございましようが、省議といたしましても、閣議決定においてもその点ははつきりいたしておりまして、既定方針通り統制ははずしまして自由に政府で買い上げる、こういうことに決定いたしております。
  11. 小平忠

    小平(忠)委員 その点はそういうことで私は了承いたします。  次に問題になつておりまする雑穀統制撤廃の問題であります。特に雑穀の問題については、北海道占むるウエート、割合が、雑穀統制撤廃に重要な関連を持つという観点から、絶対量を持つておる北海道供出完遂統制をはずしたいということは、たびたび政府が言明をされた点でありまして、現に北海道農民もあるいは農業協同組合も、そのつもりで実はいろいろ準備をいたしておりますが、いまだに雑穀統制撤廃になりません、そこで大臣もあるいは政府当局も、三月中には統制をはずしたい、こういうことをおつしやるのでありますが、三月ごろにはずしては実際に撤廃の意味がないのであります。これはただちに廃止をして、これについては再統制をするような事態に立ち至りましても、実際農民の立場から考えますときに、従来の官僚統制の悪弊というものを十分にこの祭是正する、再統制する場合においても、民間自主的統制方向に切りかえて行くというような形から、すみやかにこの統制をはずしていただきたいというのが、まつたく農民の声であります。この点に関しまして、大臣は一体いつごろこれをおはずしになる予定なのか、この機会見通しについてわかりましたならば、回答をいただければ幸いだと思います。
  12. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは私の方といたしましては、既定方針通りはずす考えでおるのでありますが、あなたのおつしやる通り、あまり遅れまするといろいろまた問題が起きまするので、なるべく早く、最短の時期においてはずす考え折衝いたしております。ごく最近にはずせると私信じております。
  13. 小平忠

    小平(忠)委員 そこで大体の問題については御説明いただきましたので、次に以上のような本年の食糧需給見通しから見まして、終戰以来生産者消費者も、食糧事情の緩和といいますか、漸次明るい方向に進みつつあることについては、これは何といつて食糧問題の解決こそ日本の復興、再建の基盤になるというような観点から、あるいは民生の安定から大いなる期待を持つておる。そういう観点で昨年来から農林大臣のいろいろ主張されておる、さらに一勺の増配等の問題もあるのでありますが、本年の生産見通しなり輸入見通し等を考慮しまして、大臣はこの主食の一勺増配の問題をどういうふうにお考えになつておるか。本年やるとすればいつごろおやりになる予定か、その点についてもしここで御説明願えればお伺いをしておきたいと思います。
  14. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 米についての増配は、計算をいたしてみるとなかなかうまく行かぬようであります。これより一歩飛躍いたしまして、麦を自由にいたしますと、その麦のよりよい流通性を利用いたしまして、一勺増配以上の効果を国民諸君に與えると私は考えております。
  15. 小平忠

    小平(忠)委員 そこでたまたまそういう問題がいろいろ論議れておるさ中に、御承知のように食糧配給公団がいよいよ廃止になりまして、これにかわる主食の、民間による運賃等プール機構の設置に関しまして、政府はかねてからいわゆる事業者団体法適用除外を総司令部に懇請しておられたのでありますが、七日、総司令部マーカツト経済科学局長から廣川農林大臣あてに、民営機構は相ならぬ、こういう示唆を受けられておるやに聞いておるのでありますが、はたしてこれは事実であるか。さらに事実とすれば、この指令に基いて農林大臣、あるいは農林省は、今後のいわゆる配給行政に対するところの基本的な対策があろうかと思うのでありますが、これは非常に大問題であります。この点に関しまして、この際政府の確たる御方針説明を願えれば幸いと思います。
  16. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食糧配給機構についてのお尋ねでありますが、われわれは配給機構を一切民間にまかせまして、民間の手によつて民間のあらゆる知識をしぼつて、スムースに配給できるようにという考えでおつたのでありますが、独禁法並び事業者団体法に抵触いたしまするので、政府といたしましては最初考えていた考えをかえまして、民間プールをし、あるいはまた米の差等々のプール民間にまかすことをやめまして、政府食管特別会計の中でやるというように方針決定いたしたわけであります。それと卸売業と小売とをスムースに結びつけて行くというような方向目下案を立てておりますが、最終案は大体十一日かそこいらに決定いたすのでありますが、決して御心配のないようにいたしたいと思つております。
  17. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいま大臣の御答弁では、十一日ごろ最終案決定をされる、こういうお話でありますが、私はもちろん支障のないように最善りつぱな案を検討されておると思うのであります。ところが私はこの機会農林大臣にお願いをしておきたいことは、国会日本最高立法府であり、国会の自主権というものが、いよいよ講和を目前に控えて、これは国民の強く主張している点であります。現に国会における審議の過程なり、国会においていろいろ今日まで、関係当局のこともありまして、なかなか具体的な問題について説明を願えなかつたということについてはわかりますが、私は今日の段階においては、そう国会においては遠慮をされないで、いろいろお話を願うことがいいのじやないか、こう思うわけであります。というのは、われわれが知らないうちにいわゆる新聞社等において報道機関が先に知つて、そうして先にそれが報道されるというようなことが通例なのであります。それをまた常識的に考えておるのであります。十一日にこの最終案を大体決定を見るというようなお話でありますが、これはわれわれが知らないうちにすでにもう外部から漏れて発表されるというようなことを、非常に私は遺憾とするのでありますが、この際現に民間機構の案を、いわゆるGHQからの指示に基いて、基本的にかえなければならぬというような問題、これは重要な問題だと思うのでありますが、この際大体この点は動かぬ、向うさんとの折衝の結果かまわぬという点について、もう少し内容を御報告いただければ幸いだと思うわけであります。
  18. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 この段階において、国会自主性並び日本の国権を信じてやれというようなお話でありますが、われわれはそのような態度でやつておるのであります。しかしまた法律が嚴としてありまする以上、どうしてもこれは、それをそれでやらなければなりませんので、独禁法あるいはまた事業者団体法に触れない方途を考えて、ただいま申し上げたようなことで発足をいたしたいと思つておるのであります。ただ運賃プールあるいは差等プールをいたします上において、人がどのくらい入り用か、また金がどのくらいいるかという方向の具体的なことを今やつておりますので、そこで大体十二日ごろまでにできるということでありまして、方向はもう間違いないのであります。その具体的なことをただ文書に表わすだけでありますが、それも十二日ごろまでに全部脱稿いたしまして、これを全国の国民に発表いたしたいと思つております。十五日から十定通り卸売の登録を開始する考えでおるのであります。
  19. 小平忠

    小平(忠)委員 その点においては、私はさらにあえて追究申し上げません。  次に農林漁業低利長期の融資に関します問題でありりますが、この点も前委員がいろいろ質問いたしおりますし、私は先般総括質問の際に周東安本長官からも説明を聞いておりまして、重複する点は避けますが、ただ一点食い違いがあると思われる点をお伺いしてみたいと思うわけであります。それは過日農林大臣参議院農林委員会におきまして、今回二十六年度において見返り資金から四十億、政府一般会計から二十億、合せまして六十億を、特別会計をもつて現在緊迫している農林漁業金融打開のために融資しようという問題について、大臣は、実際これは六十億では足らないのだ、だからこれはひとつ上半期ぐらいに使つてしまつてくれ、そうして足らない分は、さらに私はあと六十億ぐらいは追加予算で出す考えでいるから、これはひとつ速急に——実際農村の現状からいうと、六十億では足りないから、上半期ぐらいに使つてしまつて、あとは補正予算、追加予算で出すから、そのつもりでやつてくれということを、私は現に参議院の農林委員会の傍聴をいたしておりまして、大臣の今の説明を私は聞いたわけであります。ところが本件に関しましては、大蔵大臣も、あるいは政府関係者におかれては、とてもこの六十億を出したこと自体が、無理があつたのだ、それを農林大臣の政治性に押されてこれを出さなければならぬことになつてしまつた、さらにこれを増額するというようなことは不可能である、こういうようなことをおつしやつておるわけであります。私はりくつを申し上げませんが、実際に今日緊迫せるところの農村の実情から申しますると、実際問題として六十億では、まつたく焼石に水というようなことわざがありますが、それに類する現状であります。すべからく、少くとも農林大臣の昨年農林漁業金融公庫設置の際に、最低百五十億を予定された。あの最低の百五十億ぐらい本年は農村の金融打開のために、まず低利長期の資金を出すという心構えを立てて、これを強引に押し切る、それを何とかものにするという観点において御努力を願いたい。その点から先般参議院の農林委員会における農林大臣の御答弁に対しては、私は満腔の謝意を表し、その実現を期待しておるわけであります。この点についてひとつこの際農林大臣から本件に関する、單に農林大臣のはつたりや放言ではなくて、実際のほんとうの信念をもつて、この農村金融の逼迫せる現状を打開するという点について、農林大臣の意見を承りたいのであります。
  20. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私実は最初百五十億を予定いたしてあつたのでありますが、私の政治力の足りないために六十億になつたのでありまして、私といたしましてはなるべく早くこれをつくつて使つてもらいたいということは、私の念願であります。そうして早く増産をしてもらいたいというのが私の希望であります。それからまたあの中に預金部資金等が入れるような方途も考えておるのであります。なおまたわれわれといたしましてはほんとうにあれが早く使用ができて、これが増産に役立つならば、他の閣僚といえども補正予算をやる等の場合には多分了解をとてもつと継ぎ足してもらえると私は信じておるのであります。
  21. 小平忠

    小平(忠)委員 本件はそれ以上私は追究申し上げません。どうか大臣のただいまの方針にのつとりまして、強力に農村金融の緊迫せる現状の打開策に最善の努力をしていただきたい、こう思うわけであります。  そこで関連いたしまして、この本資金融資の対象の中に、日本の蛋白資源の確保の点から畜産の奨励というものが非常にクローズ・アツプされておりますが、この資金融資の対象として、畜産施設に対する融資の面が的確に示されておらないのであります。この点に対しまして、農林大臣はいかようにお考えになつておりますか。この点に関連してお伺いをいたしたいと思います。
  22. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 表向きあるいは表題には出てないかもしれませんが、その他というようなところで私は考えたいと思つております。それからなおまた家畜導入その他の資金につきましては中金を通して放出される中短期の資金をもつて私はこれをあがないたいと考えておる次第であります。
  23. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの御答弁で、その他でお考えになつているということについては、私も了とするわけであります。あの要綱の中には、現に共同利用施設という條項がありますので、畜産の施設というものが共同利用施設というものに関連するものがありますので、そういうものも言つてあるのかということで、お伺いしたのでありますが、それで私は納得するのでありますが、次の農林中金を通じて中短期の資金を融資したいという大臣のただいまの言明でありますが、しからばこの農林中金を通じて、中、短期の資金を融資するその財源でありますが、これをいかなる方面に求めておられるのか、本予算書にはその財源がないのでありますが、お伺いをいたしたいのであります。
  24. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは今年も出したと思いますが、六十億が預金部資金から出ておりますが、あれを来年度も相当適用してやりたいと考えております。
  25. 小平忠

    小平(忠)委員 預金部資金からということでありますから、私は了承いたします。しかし預金部資金は御承知のように、一九四七年でありますか、GHQから強い制限の條項がありまして、この條項を突破しないと、なかなか預金部資金というものはまかされないのでありますが、ただいまの農林大臣の言を信用して、この畜産施設に対しましても、預金部資金より農林中金を通じて融資をするという明るい情報に、私は大いなる期待を持つわけであります。  次に話を転換いたしまして、最近日本農村近代化の基盤である農業協同組合の拡充強化について、戦後のいわゆる日本の経済安定政策が、これは現に吉田内閣だけでなく、歴代内閣の農村に対する政策が、御承知のように天くだり供出的な、あるいは低米価政策、あるいは農民に対する過重なる課税、こういつたようなことが、遂に今日農業協同組合のまつたくの行詰まりという段階なつたということを、私はあえて強く主張しなければならない。つまり農業協同組合の再建整備については、農林大臣も昨年から非常に力を入れられて、何とかするというようなことから、現に全国農業協同組合の二百二十三億という資金の固定、これを打開するために、二十六年から向う五箇年間に三十三億三千七百万円の利子補給をいたすべく、目下農林省でこの農業協同組合再建整備促進法案というようなものを準備中であると聞くのでありますが、この件については、たびたび委員会等において農林大臣説明されておりますけれども、私はあえてこの問題をこの席上でお伺いするということは、現に本問題に関しまして、真剣に全国の農業協同組合が取上げて、昨日は全国指導連の総会でこの問題を真剣に論議し、本日は明治製菓ビルの四階の講堂で、全国の信連、購連、販連、指導連の四連の会長が大会を招集し、この農協再建整備について、本国会に必ず上程し、ただちにこの具体策を講じてもらいたいというわけで、本日ただいま協議中であります。私は單にこの問題を政治的なはつたりや何かで解決される問題でなく、今日の農業協同組合再建の手段としては、何といつてもこの問題を本国会において通過し、これを予算づけて、ただちに実施してもらわなければならぬと確信をするのであります。それで本件に関しては大蔵大臣は、まだ農林省から何の相談も受けていない、同時にまだ現在は調査中であつて、この調査の数字がまとまらぬから、まとまり次第何とか考えたい、こういうような御答弁を私は聞いて、非常に遺憾とするのであります。本日四連の会長会議を招集して、真剣にこの問題を討議しておりますが、もちろん農業協同組合自体においても、十分に自力をもつてできるだけの整備強化をするけれども、現在の農業協同組合現状は、自力をもつてしては、とうてい再建でき得ないという段階に至つて、最低限の利子補給をお願いしておるという現状であります。本件に対しまして大臣の本国会に提出の見通し、あるいはこの利子補給に対しまする三十三億三千七百万円の財源、予算的裏づけ、これは本予算書に出ておりませんので、これにつきまして大臣の御所見をひとつ承りたいと思うわけであります。
  26. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私うそを申し上げません。必ずやると言つておるのでありますから、本国会に提案する準備を進めております。ただ池田君がまだ交渉がないと言うが、これは池田君自体にまだ話が通つていないと思いますが、下の下僚の方ではいろいろな問題について折衝いたしております。それから法案の内容等につきましても、自力で更生でき得るようなあらゆる面を取上げて、それも法文に盛り、そうしてその中に利子補給のことも一部入れるというようにして、広範囲にあらゆる角度から復活するような方向をたどうして、現在整備中であります。今月中に私はこれを提出したいと考えておるのであります。四月から選挙が始まりますので、あるいはそんな時期になつて、法案が流れるようなことがあつてはたいへんでありますから、今月中にぜひこれを出して、三月中にきめてもらうように私は念願しておるのであります。
  27. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの話で、相当自信のあるお話でありますから、私は大体信頼をするのでありますが、とかくどうも情勢の変化によつてやむを得ないと言つて逃げられることが多いのでありまして、この問題だけはそんなわけには参らぬ。農協の再建については、単なる利子補給だけではいかぬ。むしろ現在農協は実際経営難、資金難に追い詰められて、解散し、あるいは事業停止をしておるという組合が続出いたしております。これを救うの道は、どうしても單なる利子補給だけではなく、非常に現に困つておる、もうちよつと政府の助成政策によつて再起できるというところがたくさんありますから、これをやるためには、農協に対して長期低利の資金融資の問題が相当強く叫ばれておるわけであります。こういう点について、私は全部の組合にせよとは申しませんが、十分な実態を調査して、ただちにこれだけ融資したならば再起できるという点については、ぜひそう願いたいと思いますが、その点についていかようにお考えになつておるか。
  28. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それは農村の資金が困つておることは、まつたく私らも感じておるのであります。それで今度の長期低利資金を流すようなわけにもなつたのであります。一例を申し上げると、土地改良の費用でありますが、これなんかも非常に困つておるのであります。それでつなぎ資金を出そうと思いまして、われわれは相談いたしましたところが、三十五億ぐらいの目標でやつておりますと、現在申込が六十億を越しておるようなことであるのでありまして、しかもまた農村の中核体である協同組合を現在のようにしておくわけには参りませんので、これは熱意をもつてあらゆる角度から農協の再建整備をはかるために、努力いたしたいと思つております。
  29. 小平忠

    小平(忠)委員 それに関連して、私は日本農村の民主化、日本農業の近代化ということの最も中心をなすものは、農地改革の完全なる実施と、農業協同組合の完全なる整備強化にあると確信をするのであります。その際農業協同組合の拡充強化という点について、もう一つ重要なる問題がある。それは何かというと、やはり戦時中、戦後を通じて、農業会から農業協同組合に切りかえる段階において、何といつても農協の経営自体、いわゆる経理事務の内容にいたしましても、農協自体の内容を完全に整備することが必要である。その際に、問題は人であります。人ということは、農協の職員であります。この職員が現在の立場においては、何ら職員に対する将来の——いわゆる官吏でありますならば恩給制度というものがありますが、農協の職員に対してはそういうものがないのであります。全国四十万になんなんとするこの農協の職員、これがそういう施設もないし、年が行つて農協を首になつたら、もうあとのいわゆる生活問題に非常に脅かされるという観点から、優秀な職員がどんどん農協から離れて行く現状であります。これについては、かつて産業組合時代に、産業組合共済保険制度というものを設けまして、相当な施設を考えたことがありましたが、現在の農協にはそういうことが何らないのであります。私はやはり農協の再建整備を完全に実施して行く中心の問題は、農協のいわゆる第一線で、農民のくわをとるにかわつて筆をとるという観点から、農協職員の養成、これに対する完全なる将来の安定保障策を講ずることが必要である、こう考えますが、政府においては、そういうようなお考えをお持ちになつていないかどうかという点を承りたい。
  30. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大事な農協の第一線をあずかつておる職員についての、だんだんのお話でありまするが、われわれも誠意をもつてこれを検討いたすことにいたしたいと思います。
  31. 小平忠

    小平(忠)委員 それに関連しまして、実際そういうことをさらに具体的に調査し、推進する場合に、現在農林省の農業協同組合部の、いわゆる役所だけの仕事ではなかなかできないのであります。それで現に農林省なり、あるいは地方庁の協同組合の指導監督機関においては、政府の予算等のこともありまして、なかなか思う存分できないが、これにかわつて民間の自主的指導機関として、都道府県に指導連、教育連がありますし、中央には全国指導連があるのであります。ところがその指導連の実態は、零細なる賦課金の結集によつて運営されるために、なかなか思うように指導陣営というものは強化されない。そういう観点から、終戦以来強く叫ばれて参つたことは、直接農業協同組合に対する助成というような道は、協同組合の実態からいつて政府の温存機関的な形というものは、必ず政府の出先機関、あるいはかつての農業会のようなものになり、協同組合の自主化、自主性という観点から、そういうことはいけないことはよくわかるのですけれども、しかし現在の日本農業協同組合というものは、まだ一本立ちにはなれない。ある程度政府が補助政策をとらねばならぬということを私は考えるのであります。そこで農林省は、直接農業協同組合に助成をするという方策はむずかしいでしようから、そういう方法をとらないで、農林省の農業協同組合部あるいは都道府県の協同組合課がこれらの手助けをするというような意味から、あるいは自主的な指導陣営を強化するというような意味から、実は本年の予算を見ますと、七百万円という予算を組んである。先般大蔵大臣は、これは七百万円も組んだのだ、こうおつしやつて大みえを切られておりましたが、実際は七百万円では、ほんとうにどうにもならない。そこでひとつ農林大臣にお願いいたしたい点、あるいはお伺いいたしたい点は、農協の再建整備を敢然と実行する場合に、いわゆる政府が合法的な方法によつて助長策をとり得る道が幾らでもあると思います。それは、全国指導連あるいは都道府県の指導連を通じて、民間の指導陣営を強化する、これが農協再建整備の基本なりと考えるのでありますが、こういう点について大臣の所見を承りたいと思います。
  32. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 その点いろいろな角度から今研究いたしておりまするが、まだ最終段階に至らぬのであります。特に指導連等におきましては、非常に資金が足りなくて、実際活動ができていないことは、これは実情であります。それで間接的にでも収入が得られるようにということで、いろいろな点を上げておりますが、まだわれわれの満足するようなところまで行つておりませんが、十分研究いたします。
  33. 小平忠

    小平(忠)委員 次に、今度の国会に提出される例の農業委員会の問題でありますが、この点につきましては、御承知のように昨日も社会党の川島委員から質問されまして、大臣は適切なる御答弁をなされたのでありますが、しかし問題は、従来の農地委員会あるいは食糧調整委員会、改良普及委員会、この三者を合体して農業委員会にするということでありますが、現にこの問題については、むだな経費を節約して、なるべく簡素化して、そして農業生産力を高める方向に努力されることは、もちろんわれわれも、これに対しては完全な協力をするということにおいては、決してやぶさかではないのでありますが、ここで問題の点は、基本的に実際無理なことをしても不可能ではないか。まず問題の一つは定員であります。これは全国一律に一・二人でありますが、現に北海道のごときは、農地委員会の平均が三・七人、それから食糧調整委員会が四人、普及委員会が二人、合計して九・七人という現在の平均定員であります。それをいかに三つを一つにしたからといつて、実際一・二人でやれるかどうかという問題がある。これを北海道のような大きな市町村においては、弾力性を與えて二人にするということだと思うのでありますが、たとい二人にしましても、九・七人のところを二人ではとうていやつて行けない。こういう問題について、一体大臣はこれをやり得る自信があるかどうかという問題が第一点。それからその負担は、今回地方自治体の負担になつておりますが、最近の自治体の現状から見て、負担能力は非常に苦しいのであります。これはどうしてもある程度政府が助成をする考え方を立てていただきたいと思う。それからもう一つは、実際において、三者を合体して農業委員会一本にされるのでありますが、これについては、国際情勢の推移から見ましても、食糧統制の問題などもいろいろ言われております。そういつたようなことと相にらみ合せますときに、なかなか容易ならぬ問題であろうと思います。こういう点について相当問題化され、今度の国会においても農政問題の重要な問題として取上げられておりますので、この点についての大臣の所見も承りたいのであります。
  34. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 三つの団体を一つにして、農業委員会をつくるという今度の案でありますが、その中において問題になるのは職員の問題であります。これをわれわれといたしましてはもう少しふやしたかつたのですが、何としても国の予算とにらみ合せてやつたものですから、とにかくこの程度でやつてみようということで話を進めておるのであります。事業量あるいはその他についていろいろまだ問題があるかとは思いますが、とにかく三つのものをまとめて、そしてばらばらになつていたものを一つにして、いろいろな点を節約してこの委員会で発足したい、こういう考えでやつておるのであります。
  35. 小平忠

    小平(忠)委員 最後に一点、幸い農政局長もお見えになつておりますから、私は例の肥料問題についてお伺いいたしたい。御承知のように燐鉱石なりあるいはその他化学肥料の輸入見通し等や、あるいは肥料公団廃止に伴いまする諸種の問題等も起きておりますし、御承知のように補給金も今年で廃止になるということで、特に例の過燐酸石灰のごときは、北海道においては現に運賃の関係上、従来の七割アツプのものが北海道は八割アツプということで、一割の開きがあるというようなことが重要な問題となつておる。この点についてひとつこの際農政局長からでもけつこうでありますから、その経過と今後の見通しについて、つまり肥料行政についてお伺いいたしたいのであります。
  36. 藤田巖

    ○藤田政府委員 お答えを申し上げます。肥料につきましては、御承知通り昨年七月末をもちまして公団がなくなりました関係上、あとは価格及び配給については全然自由と相なつたのであります。われわれといたしましては、公団が幸い手持ちの肥料を相当数量つておりますので、この手持ち肥料を適当に放出することによつて、地域的あるいは時期的なバランスをとりたいということでやつておるわけであります。御承知のように最近は非常に肥料が思惑買い等、あるいは一般の景気にあふられまして、予想以上に高くなつており、ことに北海道は運賃が内地より高くなるので、それだけまた加算されるという実情に相なつております。私どもといたしましては、今後かような点については、現在の法規の許す範囲内におきまして、できる限り手持ち肥料の放出について善処いたしまして、少くとも北海道の分につきましては、今後内地と同じ程度の価格でこれが納まりますように、いろいろと今考究をいたしておるわけであります。御了承を願います。
  37. 小平忠

    小平(忠)委員 私は、農政局長にお伺いすればもう少し具体的な問題についてお話を願えると思つたのですが、ただいまの答弁では農林大臣答弁とかわらぬ。そういうことならば私は知つておるのです。肥料は補給金の廃止に伴つて昨年一月から七月までの間に七割も値上りになつておる。農家経済の実態から見まして、供出価格は安いし、そこへ持つて来て税金は非常に高くとられる。そうして完全なる農業生産の基本になるところの化学肥料は値段が高くて手がつけられない、こういう現状はゆゆしき問題であります。この補給金の廃止ということは、自由党もまた野党も相一致して主張して来たことでありますからけつこうでありますが、私は肥料のごときものについては、どうしても資源を外国に求めなければならぬという観点から、補給金というものを継続して行くことは、これはやむを得ないと思う。そういうようなことから考えて、実際に例をとつて言いますと、かつて、にしんかすのごときは、米一俵にしんかす一俵と言われたものです。それが今はどうでございましようか。もうにしんかすが米一俵どころか二俵半にも匹敵するような価格です。これではとうてい買えない。こういうことから見まして、この肥料問題は、農林省から通産省、安本にも関連をした大きな問題として取上げられておるわけです。ですから、今年これからいよいよ春肥を使うという重要な段階にぶつかつておりますときに、私は農林大臣考え方は十分わかつておりますので、担当局長であらせられる農政局長より、もう少し具体的に数字をあげられて納得の行く説明をしていただきたいと思います。
  38. 藤田巖

    ○藤田政府委員 お答え申し上げます。御承知のように、北海道は過燐酸石灰の工場がございません関係で、過燐酸石灰が最近最も不足しており、先ほど申し上げましたように、内地よりも値上り率がひどいということに相なつております。従いまして、私どもといたしましては、とりあえずの措置といたしましては、公団の手持肥料の放出の際に、特に北海道向けの分の一定数量につきまして、少くとも内地価格と同じようにする操作をとりたいということで、現在大蔵省と相談をいたしておるわけであります。この数量につきましては、これはまだ話がきまつておりませんが、われわれといたしましては多量に持つて行きたいと考えております。今後の問題といたしましては、燐鉱石の補給金がこの春肥分以降なくなりますので、御承知通り燐鉱石に補給金がつきませんと、過燐酸石灰の価格はおそらく二倍以上に上るであろうと考えております。われわれといたしましては、特に外国に原料を依存し、しかも船腹等の関係で非常に値上りのひどいものについては、やはり補給金なりその他の措置によつて、安い肥料が農家に渡るようにやつて行きたいと考えております。
  39. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの肥料問題についても具体的にざらに條項をあげて追究申し上げたいのでありますが、同僚委員質問に迷惑をいたしてもいけませんし、これは後日農林委員会等においてもあるいはお伺いをする機会があると思いますので、この程度にしておきます。
  40. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 農林委員会のほかに、分科会を開くことになればさらに分科会においてもその機会がありますから。
  41. 小平忠

    小平(忠)委員 農政問題についてはたくさんあるのであります。私は当面する重要な問題だけを取上げてお伺いしたのでありまして、さらに私はメモにお伺いしたい点をたくさん控えておりますけれども、同僚委員のあとの質問に迷惑をかけてはいけませんからこれでやめておきますが、最後に農林大臣に一点だけお伺いいたします。  二十六年度食糧増産関係の予算をしさいに検討するのに、昨年農林大臣は、第九国会は興農国会と称され、さらに、当時提出された予算は十五箇月予算であつて、この補正予算には計上していないが、二十六年度には大幅に計上するのだとおつしやられた。しかしこの予算案を見ますと、満足すべきものは土地改良においてわずか、開拓においてわずか、食糧増産の費用においてわずかを計上したのみにすぎないのであります。これでは政府が現在、日本の経済自立三箇年計画を立てて、食糧について千二百万石の増産をしようとお考えになつていることはとうてい不可能であろうと思うわけであります。そこで、日本の国家財政の見地からいたしまして、急速に緊迫せる現在の農村危機を打開することは、なかなか容易ならぬ問題であろうと考えますが、農林大臣は昨年来の言明からいたしまして、この予算を原案で踏襲されて二十六年度は終ろうと考えておられるのか。あるいはいろいろな事情があつて本年はこの程度となつたが、さらに機会を見て追加なり補正をしたいというお考えがあるのか。そういう点について、私はむちやなことはお伺いいたしません。農林大臣の現在の危機を打開するについての基本的なお考えについてお伺いをいたしまして、私の質問を終りたいと思います。     〔「誠意をもつて答えろよ」と呼ぶ者あり〕
  42. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 誠意をもつて編成した予算でありまして、昨年度の補正予算を含めたものよりも相当多いことは事実であります。しかしいずれにいたしましても、食糧自給度を高めなければならぬときでありますから、機会がありましたならば、われわれはもつと予算をふやしたいということだけは事実であります。
  43. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 川島金次君。
  44. 川島金次

    ○川島委員 私は、この際文部大臣が見えておりますので、大臣に二、三お尋ねを申し上げたいと思うのであります。  まず第一点は六・三制の問題に関する事柄であります。この問題は、実施以来、これに伴つて校舎の建築その他の施設に伴う地方財政の関係等からいたしまして、おそらく大臣も御承知でありましようが、六・三制のために市町村長が窮地に追い込まれて辞任せざるを得ないという事態がかつては至るところに起つたということも御承知通りであります。それほどこの六・三制の問題は地方的には重大な波紋を投げかけた問題であるのであります。爾来政府といたしましても、この六「三制に伴う校舎の新築あるいは設備の整備等について、それぞれの手配を続けて参つたという事柄については、われわれも了承するにやぶさかではないのでありまするが、いまだに今日この六・三制の問題について、地方によりましてはその財政等の事情からいたしまして、必要なる校舎の建築をするのも不可能な状態のままで、教授を続けておるという町村が少くないと思うのでございます。そこで一体こういう事情にありまするところの町村がどのくらい現在残つておるか、そしてこれらに対する政府の態度としては、いかなる態度をもつてこの問題の解決に協力をするという考えを持たれておるか、その点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  45. 天野貞祐

    天野国務大臣 今お話のように、六・三建築というものがまだ十分完成しないということは、非常に私も遺憾に思つております。人によれば、校舎などはどうでもよいというようなことを言う人もありますが、決してそうではないのであつて、現在のような校舎設備ではとうてい十分な教育ができないので、どうかこれをもつと完成したいと思つております。現に東京都のようなところでさえも、今もつて二部教授を解消することができないようなことは、実に遺憾千万なことだと思いますが、しかしただちにこれを解決してしまうということはできませんので、今年度はさしあたり四十三億をこの建築に計上してあります。そういうようにして、私は一時にするということはできませんから、逐年これをだんだんやつて行きたい。そうして現在でも〇・七坪に到達することができないのですが、〇・七坪に到達するには少くも六十三億がなければできないのであります。それが四十三億だけしか計上できないのです。しかしだんだんこれをやつてつて、少くも小学校が〇・九坪、中学校は一・二坪まではどうしても進めて行きたい。今ただちにすべてを解決することができないのは非常に残念でございますが、だんだんにそうして行きたいということで、この点は大蔵大臣にも、閣僚諸君にも了解を得ておることでございます。
  46. 川島金次

    ○川島委員 そこでいまだに二部教授を続けなければならないような状態になつておりまするところの町村というものが一体どのくらいあるのか、この点についてもし大臣が御承知でなければ、担当の事務の方からでもさしつかえありませんから、御報告を願いたいと思います。
  47. 天野貞祐

    天野国務大臣 今生徒の数で申しますと、二百四十万の生徒が二部教授とかそういうことをしなければならない状態にございます。
  48. 川島金次

    ○川島委員 しからばその問題が解決されますときは、どの年をもつて目標とされておるのか、来年度中にその解決を目標とするのか、それとも経済自立計画と呼応した二十八年度までにこの問題も解決するというような考え方でも持つておられるのか、その点はいかがなんですか。
  49. 天野貞祐

    天野国務大臣 全国のそういう問題をすべて解決してしまうということはなかなかむずかしいことだと思います。たとえば東京都などを例にとりますと、東京都において子供の数が非常にふえて行くばかりでなく、地方からもたくさん入つて来るというようなことで、全国のそういう二部教授を一掃してしまうということが、すぐ来年度にできるかどうかということは、私もはつきりしたことを申し上げかねます。しかしできるだけそういうことを早くしたいという努力をしようという考えでございます。
  50. 川島金次

    ○川島委員 そうすると問題は予算の問題だと私は思う。文部大臣が財政上の問題についてもつと強力な熱意を発揮するというようなことになりますれば、この問題はきわめて容易に解決がつくものであると私は考えておるのでありますが、そういう事柄について大臣はどういうふうに考えられておりますか。
  51. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は現在でも、自分としてはできるだけの熱意を傾けておるつもりでございます。でありますから、来年度からすべてそういう方針でもつてつて、できるだけ早く解決したいという考えを持つております。
  52. 川島金次

    ○川島委員 どうも大臣の言葉としてはわれわれ受取りにくいのです。というのは、できるだけ早くという、そういう抽象的な問題ではないと思う。二部教授というものは、小学校の生徒、中学校の生徒にどのくらいな弊害を與えておるかということは、われわれしろうとが言うまでもない事柄であつて大臣がその事柄については痛切によく感じておることではないかと思う。そういう問題の解決にあたつて、しかも文教の政府の最高の責任者である大臣は、この問題はこの目途において解決したいこういう確固たる方針を持つてこそ、初めて文教の府に立つ最高責任者の建前であると私は信じております。そういう意味でお尋ねをいたしているのですが、もう一ぺんひとつ大臣の確信を伺いたい。
  53. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は二部教授の解消ということは、人口の増加やいろいろなことで全国的にこれを解消してしまうということはなかなかむずかしいということを一方で痛感しております。二部教授の弊害を痛感することはもちろんでございます。だからして、いつまでにやるというようなことをただ言つて、それができないということでは困ります。私はいつまでにやるとかはつきりしたことを言うことはやさしいけれども、言つたばかりでできないと困るから、控え目な答弁をいたしておるわけでございます。
  54. 川島金次

    ○川島委員 何も私は押問答するつもりじやないのです。その控え目な謙虚な気持を表明されることも私は了承するのです。しかしながらこの問題の根本的な解決をはかるためには、やはり文教の最高の責任者としての計画性というものは持たなければならぬ。そうして財政とのにらみ合せももちろん必要だが、文教の府の最高の責任者としての計画を持つべきだ、その計画が今の言葉では、ないようにわれわれには聞えるのです。そういうことであつてはならないというのが私ども考え方なのですが、その点をもう一ぺん伺いたい。
  55. 天野貞祐

    天野国務大臣 御説はよくわかりますから、私もよく反省してみる考えでございます。
  56. 川島金次

    ○川島委員 これ以上押問答してもしかたがありませんからやめますが、もつと文教の責任者としての建前で、確固たる強い立場をもつてこういう問題に立ち向つて行くという力を私どもは示してもらいたい、こういうふうに思います。  そこで次にお伺いしたいのは、教育委員会の問題であります。この教育委員会はもちろん日本の教育の民主化ということを中心として発足をいたして委員会が持たれ、都道府県、市町村に至るまで、委員会が昨今それぞれ活動運営を行つておるわけでありますが、この教育委員会の最終設置期限は、私の記憶によれば、もう二十七年度中にいかなる市町村でも教育委員会を持たなければならないという規定があつたのではないかと思うのであります。その関係からいたしまして、場所によつてはいまだに教育委員会というものを持たない市町村がありますが、その市町村は全国にどのくらいあつて、その教育委員会を持たないという市町村は、いかなる事情で持つておらないか、そういうことについておわかりの点がありましたならば、この機会に示していただきたい。
  57. 天野貞祐

    天野国務大臣 この教育委員会は、現在都道府県と五大都市と、それから市町村が五十九だけ持つておるだけでございます。あとの一万近いところは持つておりません。なぜ持たないかというと、その主たる理由は財政上の理由でございます。
  58. 川島金次

    ○川島委員 今のお話によれば、実に一万に近い地方がこの教育委員会を持つておらないということになりますと、二十七年度中にこの教育委員会を各地が持たなければならない、しかも今日その委員会を持てないという重大な理由は財政問題だ、しかも二十七年にはつくらなければならない、そういう形に追い込められたときに、一体それでも政府は財政上の事情いかんにかかわらず、教育委員会を持たなければならぬという強制をする方法があるのかどうか、その点をお伺いします。
  59. 天野貞祐

    天野国務大臣 この教育委員会を設置しない理由は、私はもつぱら財政上の理由だと申しましたけれども、同時にまた教育委員会というものが、現在非常に不備でありまして、教育委員会をつくれば必ずこれだけのことができるというだけの確信が、一般にないということも大きい理由だと思つております。法規上は二十七年度までということになつておりますが、しかしそれをすぐ強制しようという考えは、私は持つておりません。なおよく研究して行きたいと思つております。
  60. 川島金次

    ○川島委員 そういうことになれば、いつそのことどうですか、教育委員会というものを設置するしないは市町村の任意にまかせるという暫定的な措置、便宜的な措置をとるという考えは文部当局にありませんか。
  61. 天野貞祐

    天野国務大臣 お答えいたします。ただいま申したような理由で今できてないところがあるのですが、それをしいて強制しきよという考えはないのです。私の考えでは必ずしも一つの市町村といわないで、もつと広い範囲でつくるということも一つの案だと思います。そういうことを研究したいと思います。
  62. 川島金次

    ○川島委員 そこでお伺いいたすのですが、一体教育委員会が発足いたしまして、今日までの実績にかんがみまして、この委員会というものを根本的にひとつ政府当局考え直してみるという段階に入つておるのかどうか、その点を根本的にひとつ承らせていただきたい。
  63. 天野貞祐

    天野国務大臣 それは私はそういう段階に入つて来ておると思うのです。この教育委員会が財政権を持たない、また選挙の方法というものにも非常に考えるべきものがある。そこで審議会をつくつております。そして研究する考えであります。
  64. 川島金次

    ○川島委員 審議会の研究はこれまた研究として必要でありましよう。しかしながら文教の府の最高責任者として、この教育委員会日本国内におけるところの実績にかんがみて、どういう方向に、れを改訂すべきかという腹案くらいはお持ちではないかと私は思うのです。そこでその腹案でもお持ちでありましたならば、文部大臣としての私見でもよろしい、それをお聞かせ願いたい。
  65. 天野貞祐

    天野国務大臣 それはただいま申しましたように、教育委員会が財政権を持たなければいけないと思つております。それからまた選挙の方法というものにも、私はこれをもつと改める必要がありはしないかという私見を抱いております。
  66. 川島金次

    ○川島委員 しからばお伺いしまするが、財政権を持たないことが、教育委員会に対して一般の熱意を欠除しておる原因であるということは、私も認めておるのです。それからもう一つ、選挙の方法に欠陷があるというのは、どういう事柄について大臣考えられておりますか。
  67. 相良惟一

    ○相良政府委員 政府委員からお答えいたします。現在では御承知通り教育委員会法によりまして公選制をとつておりますが、公選制がはたして妥当であるか。もちろんこれをただちに公安委員会の制度のように、任命制にすることが非常にけつこうだという結論まで行つておりませんけれども、多少現在の公選制について考慮する必要がありはしないかと考えております。
  68. 川島金次

    ○川島委員 今日まで行われて参りました教育委員会委員の公選制、その公選によつて選ばれた教育委員、そこに何らかの重大な、もしくは著しい弊害あるいは欠陷があるという建前から、今のような文部当局の見解が出て来るのだと思うのです。そこで具体的に、しからばそういう欠陷というものはどこにあるのか。その点についての所見を率直に明らかにしてもらいたいと思います。
  69. 相良惟一

    ○相良政府委員 過去二回の教育委員の選挙にあたりまして、非常に棄権率が多かつたということは、これは私どもの大きな責任だと思いますけれども、教育委員会制度というものについて、まだ一般の認識が十分でない。すなわちアメリカでは非常に完全な運営をしております教育委員会が、日本ではまだかような制度が発達する社会的基盤がないために、まだこの制度がほんとうにわかつていない。そこへただちに公選制にという制度をとりましたために棄権者が多かつた。この点につきまして教育委員会の制度というものの一般の認識をもつと深める必要があるとともに、公選制が多少時期尚早ではないかという点について考えておる次第でございます。
  70. 川島金次

    ○川島委員 そこでもう一歩掘り下げてお尋ねしますが、この教育委員会の存在について、一部には無用論さえ台頭しているのです、というのは教育委員会の活動がきわめて不活発である、もしくは活動しておるとすればきわめてボス化されて、いろいろの弊害が起つておるために、教育委員会の無用論あるいは有害論等の説さえ極端に行われておるということは、当局も御承知だと思いますが、そういう事柄に対しては一体文部当局はどういう考え方を持たれておるか。教育委員会をあくまでも存続しなければならぬか、それとも事情によつては教育委員会というものは廃止すべきものだと考えられておるかどうか、その点についての見解を表明されたい。これは大臣から表明してもらいたい。
  71. 天野貞祐

    天野国務大臣 教育委員会がボス化されておると言われますが、私はしかし教育委員会が全部そういうようなふうになつておるとは考えておりません。また教育民主化という意味から言えば、やはり教育委員会というものが私は必要だと思う。そこで財政権とか選挙とかその他の点を改めて、どこまでもこれを持続した方がよいという考えであります。
  72. 川島金次

    ○川島委員 それでは次にお伺いしますが、時間がありませんから端折ります。政府は今回教育公務員特例法の一部を改正する法律案を出されることになつております。これによりますと、当然暫定的に認められて参りました地方教職員の地方議員の兼職という問題が削除されるということになるのであります。第二点は教職員の結核の療養期間等の問題についても触れられて来るように聞いております。それから第三点には、大学の管理機関の審査の方法について、これを改正するというようなことについても、政府考えられておるとわれわれ聞いておるのであります。そこでお伺いするのでありますが、現在地方の教職員が地方の議員を兼職いたしておりますものは、このままで参りますと来る十三日と記憶いたしますが——誤りでありますれば訂正いたしますが——来る十三日をもつて教職員の地方議員の兼職は自然的に効力を失うという立場にあります。そうすると地方議員の任期というものはおおむね本年の選挙の四月まで、その任期の至らざる前に地方の兼職議員がその席をしりぞかなければならないという形になるわけです。私は少くとも今日兼職しておりまするところの教職員の地方議員の在任期間中は、これは政府が積極的な態度をもつて、承認をするという形に出てみることの方が、しかるべき措置ではないかと考えるのでありますが、その点について政府は何か積極的な方策を講ずるという御意思があるかどうか、これをまず第一に承りたい。
  73. 天野貞祐

    天野国務大臣 それは任期中はとどまるように、このたび出します教育公務員特例法によつてそういう措置をとりたいと思つております。
  74. 川島金次

    ○川島委員 そこで次にお伺いしますが、新たに地方公務員法及びこの特例法によつて、来るべき新しい年度からは教職員の地方議員の兼職は禁止される方の教職員の兼職を禁止するという理由にはいろいろ一応の理由があるようでありますが、しかし今日まで全国の教職員にして地方議員を兼職しておつたがために、教職の上に重大なしかも著しい何らか弊害と認めるものがあつたかどうか、この点について当局の見解を明らかにしてもらいたいと思う。
  75. 天野貞祐

    天野国務大臣 私も多年教師をして参りましたけれども、教師が同時に議員を兼ねるというようなことは、私は不可能なことだと思つております。そうすれば明らかにここにこれという弊害を指摘することができなくても、教育そのものが、それは微弱になるということは明らかです。教師という職分は、われわれがそれに全力を傾注してもなお足りぬというような、実に重大な職務だと私は考えております。
  76. 川島金次

    ○川島委員 それは全体的にはさようであります。しかし私の尋ねておるのは、今日まで終戦後教職員にして地方議員を兼ねておりまするがために、教育上の弊害あるいはその他の上において著しい何らかの欠陷があつたかということについて承つておるのであります。原則の問題ではございません。現実の問題についてあなたの見解を承るわけです。
  77. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は今一般的に言えば、とうていそういうことはできない。だから目に見えなくても、実際は非常に大きな損害が教育に起つておると言つたのですが、しかしそうでなくしてもつと明らかな事例を示せというお話かと思いますが、そういうものはありますから、もし必要でありましたならば、また調べてもよろしゆうございますが、そういうものはあつたと思います。
  78. 川島金次

    ○川島委員 その事例をすぐここで明らかにしてもらいたいと思います。
  79. 相良惟一

    ○相良政府委員 ごく最近におきましても、東京都の世田谷区その他におきまして、区会議員を兼ねておりますためにほとんど学校に出席しない、学校に登校いたしまして授業を担当しない、そういう理由のために処分された教員も数名おりましたし、全国的に見ましてもさような例は相当ございます。
  80. 川島金次

    ○川島委員 今の世田谷の例というものはこれは特例ですよ。全国の今の兼職議員が全部世田谷のようなものであつたとすれば問題です。これは兼職議員に対する挑戦であります。私はそう思います。今のような事柄というものは特例であつて、そういう今の兼職をさせておくがために弊害は若干はあるでしよう。が、しかし一面に脆いてはその方がよろしいと考えられる面もあるのであります。そういうことで私は聞くのですが、今あなたがあげた世田谷の例などは特例なのだ。地方の議員を兼職しておるからといつて、一日も学校に出ないというのは特例です。みな出ている。議会のときは出られないが、これは議員であるから当然なことである。しかしその立場において、地方の議会において教育者が教育の見地に立つてその意見を発表するという機会を持たせるということも、私はある意味においては必要だと思う。一体地方の公務員や国鉄の議員、あるいは官庁の労働者、こういう人たちに基本的な人権であるいろいろなものを憲法で定めておきながらみんなつまんでしまう。あれを除き、これを奪い、これを剥奪するという形にして、しかも政府は労働組合の健全化というものを考えている。一切の基本的なものをとりつつ、一方においては労働組合の運動の健全化というものをこいねがい、そうして日本の文教の再建というものをこいねがつている。そこに大きな矛盾を政府当局としては感じないのかどうかということを私はお尋ねしたいのですが、その点についてはいかがですか。
  81. 天野貞祐

    天野国務大臣 今おつしやいますことは私は理解できないのであります。その兼職をしたら日本中の先生が、あるいは大多数の先生が学校へ出ないというようなことがなければ、させておいてもいいというようなことは、たいへん失礼だけれども、教育というものを理解されないお言葉じやないかと思う。教育というものはそんなに片手間にできるものではない。それでありますから教育者は二十四時間だといつて待遇をよくしよう、こういうふうに考えているのです。私はそういう点では、たいへん失礼だけれども教育というものをもつと理解していただきたいと考えております。
  82. 川島金次

    ○川島委員 天野文部大臣に言われるまでもなく、われわれも教育を考えておればこそこういう質問が出る。あなたの見解とわれわれの見解と違うのでしよう。しかしながら私は、やはり教育に対する熱意を持つていることは大臣とかわりはないのですよ。それで日本の教育、ことに地方教育界の現実の問題に即して、私はそういう問題をお尋ねいたしておるのです。それで著しい弊害があつたというのは、実際は世田谷の問題くらいでほかにありはしない。そうして教育の任にあるものが地方の教育の行政について、あるいは地方の政治について、その組合の意見を代表し、そして自己の主張を貫き、あるいは地方の民主化のために挺身をさせるという機会は、若干くらいは持たせてもいいのではないか。はなはだしい弊害が全国的にあるというならば私は何をか言わんやです。しかし今日その特例はあるでしようが、大体においてそう著しい、しかも顯著な弊害や欠陷はなく今日まで済んで来たという事柄が、私は実際問題だと思つておればこそ、そういう問題についてお尋ねをいたしておるのですが、大臣の見解とわれわれ考えているところの見地とはたいへんな違いがある。だからこの問題については、あえてこれ以上押問答しようとはいたしません。  そこで第二にお伺いしますが、教職員の結核患者の療養期間、こういう重大な問題に対して、ややもすれば政府はいささか冷淡ではないかというような感じがする事柄を、われわれは専門家ではないのでありますが、耳にいたすのであります。この問題について文部大臣はどういう所信を持たれておられるか。またどういう措置をこういう問題についてとられようとしておられるか。それについての御見解を承りたい。
  83. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は先ほど少し言葉が足りませんでしたから訂正させていただきます。教育のことを考えていただきたいと言つたのは、私の言葉が足らないので、教育の本質を考えていただきたいというのでありますが、教育のことを考えて、御熱心になさつているということは、私ももちろん承認することでありますが、教育の本質というものは、私は今おつしやつたようなものではないと考えておるという意味でございます。  それから、ただいま申されましたことは確かに私も教職にある人たちが結核であるということは、ただ本人のことだけでなくて生徒もあるのですから、これは非常な重大問題だと思つております。けれども、やはり一般公務員との差をあまり大きくするというわけにも行かないので、そういう点も顧慮しております。しかしこれはできるだけよくするように努力して行きたいと考えています。
  84. 川島金次

    ○川島委員 そこで、具体的に承るのですが、この結核患者に対する教職員の休職期間というものは今度の改正法によつて、どの程度の年限にするお考えであるか承つておきたいと思います。
  85. 相良惟一

    ○相良政府委員 政府委員からお答えいたします。現在の教育公務員法特例の第十四條で、新制高校以下の学校の先生に限り、結核による休職期間は二年と定められておりまして、この二年間は全給與を支給するということになつております。これを三年に延長するということも、目下私どもといたしまして研究中でございます。
  86. 川島金次

    ○川島委員 現在の教職員で結核にかかつておりまするところの患者数は、一体どのくらいになつております。
  87. 相良惟一

    ○相良政府委員 大体これは府県によりましてまちまちでございますけれども、その府県の全教員数の一%ないし二%という数字を示しております。
  88. 川島金次

    ○川島委員 今当局では二年くらいと考えておる、場合によれば三年も考えておる、いずれだかわからないような御返事でありますが、従来の実績、経験等にかんがみまして、かりに二年の療養期間で事足りると考えられるかどうか。これは従来の実績に照して、その所見を承つておきたいと思います。
  89. 相良惟一

    ○相良政府委員 現行法では先ほど申し上げました通り、二年という休職期間になつております。二年という期間につきましては、大体結核の早期発見及び早期治療をいたしますならば、二年で大体十分ではないか。しかしながら、もちろんこれは長い方がよろしいのでございまして、財政その他諸般の事情を勘案いたしまして、さらに一年延期するということも目下研究中でございます。
  90. 川島金次

    ○川島委員 私どもの見解では、二年では過少である、少くとも三年程度の期間を置かなければならない、こういうふうにわれわれは信じておりますので、せつかくそういう腹案がございますならば、せいぜいこの三年の問題についての解決に全力を盡して、そして教壇にあるがために結核患者になるという実に同情に値する教職員に対するところの十分なる保護を加えるという態度を、政府みずからが積極的に示すことが必要であるということを、私はこの機会に申し上げておくものであります。  その次にお伺いいたしたいのは育英の問題であります。これは大臣にお伺いいたしたいと思います。最近政府も育英事業の事柄について、漸次ではあるけれども、経費などを加えて来ておりますことを私は一応了承するのであります。しかしながら今日の日本国民経済事情からいたしまして、きわめて優秀なる子弟にして、しかもかつ家庭の経済事情からいたしまして、その向学の志を途中にしてはばまれておるという人材的に見てもきわめて遺憾な事態というものが、かなり全国にあると私は聞いております。ことに最近私どもが耳にいたしておりますのは、大学でなしに、高等学校を志しておりますところの子弟にして、この育英事業の恩典にあずかることのできない者がほとんどといつてもよいくらいな状態にあるのであります。私はこの育英事業あるいは育英資金というものを、こういう方面にも——それはもちろん財政上の問題もあります。それはよくわかりますが、こういう方面にもある程度徹底した対策を考えてやるべきではないかというふうに考えておる一人でございますが、その点について文部当局はどういうふうにお考えになつておられまするか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  91. 天野貞祐

    天野国務大臣 育英事業につきましては、ただいま述べられましたことに私は全然同感でございます。育英事業のために、十五億であつたのを来年度の予算で九億さらに増しております。それで決して多いとは言いませんけれども、しかしまず私の力では本年はそれだけしかできないのであります。ただいまおつしやつたような高等学校の生徒につきましては、私も実際そういうことを考えまして、実は五%くらいはしたいのですけれども、二%くらいにしかならないということは非常に残念に思つております。この点はできるだけ努力をいたす考えでございます。
  92. 川島金次

    ○川島委員 これは事務当局にお尋ねいたしますが、この育英事業の予算で、一体二十六年度にはどの程度の人員が、その恩典に浴し、その向学の志を遂げられるようなことになるのですか、数字的におつしやつていただきたい。
  93. 相良惟一

    ○相良政府委員 はなはだ申訳ございませんが、ただいまちよつと数字を持つて参りませんでしたので、また別の機会に申し上げたいと存じます。
  94. 川島金次

    ○川島委員 もう一点最後にお尋ねします。それは道義の問題でございます。私どももとより社会主義政党におりまする立場上、かなり唯物論的な見解に立つておるものでありますが、戦後の青少年の道義はもちろんでありますが、国民的に道義が頽廃しておるということはいなめない事実であります。しかもその事柄がいろんな方面に波及して、国内に各種の混乱を起しておるということは、これまた言うまでもない事柄であります。この道義の頽廃は、一体どこから来たのか。言うまもなく戦後の空白な事態、経済的な貧困等々の事情がその大きな要素になつておるということもわれわれは承知いたしておるのでありますが、文部大臣は最近口を開くと愛国心の高揚——国を愛する精神をひとつ国民全体に下から沸き立たせなければならない、これが重大な課題だ、この説には私も反対ではございません。しかし一体道義の頽廃を挽回し、日本国の道義の高揚をはかるためには、單なるかけ声だけでは私は十分な目的を達成することは不可能だと思うのです。一番根本の問題は、私は社会党だからというわけで申し上げるのではないのですからお聞き願いたいのですが、何と申しましても国民生活の安定、ことに勤労大衆の生計の安定という事柄が道義高揚の最も重要な基礎とならなければならぬと私は確信をいたしておるものであります。それと同時に、また国民に対する物的な安定とあわせて、教育の問題、これが相並行してこそ初めて日本のこの頽廃した国民道義の高揚という大きな課題が解決の緒に入るんじやないかという考え方を私どもは持つておるのでありますが、文部大臣といたしましては、この遺憾ながらとうとうたる日本国民的な道義頽廃に対して、これが挽回策について、いかなる抱負といかなる経論とを持たれておるか、これをひとつ率直にお伺いしておきたいと思うのです。
  95. 天野貞祐

    天野国務大臣 戦後は何でもすべて悪いというように言う人が多いのですが、私は戦後は必ずしもすべて悪くはないと思う。たとえば、今までは働かないでただぶらぶらしている人間を人が尊重したりしていたのですが、現在はそういうことはないので、勤労ということが人間にとつて最も重要だということを自覚して来たとか、あるいは女性の解放とか、その他戦後非常によいことも多いわけでありますが、ただ一面、今おつしやつたような道徳的頽廃とでもいうべきものが戦争の必然的な結果として出て来たということは私も強く遺憾とすることであります。それにつきましては、ただいま申されたように国民の生活を安定することが重要だ、人間の教育については、国民の生活の安定が重要だということは、かつて私も貧乏論というものを書いて痛論いたしたことがございます。しかし今おつしやる通り、それだけでは足りない、だからそれと同時に学校においても道徳教育を盛んにしよう、しかし道徳教育を盛んにするというと、人は何かただ良心とか心構えだとかそういうことの開発だけを言われますが、私は知性の開発ということが非常に道徳教育の重要な面を持つているというふうに考えています。さらに社会的には、図書館とか、公民館とか、映画とか、スポーツとか、あらゆるものを契機として私は社会に道義の浸透ということを考えたいと思つております。しかしこれはもとよりひとり文教の仕事ではなくして、社会の指導者のすべてがこの運動に参加されなければ、社会道義の高揚ということはむずかしい。しかし文教の衝におる私としてはそういう方法をもつてやろうと考えておるわけでございます。
  96. 川島金次

    ○川島委員 そこでもう一つ伺つておきたいのですが、何かこの問からそういう道義高揚の問題を中心として、学校の教育の中に修身科みたいなものを織り込むという話もあるし、織り込まないんだという話もある。今の文部大臣の話は、各般にわたりましてどこが重点だかという感じもいたしたわけでありますが、率直に言つて社会的な道義高揚運動ももちろんこれは必要なんです。社会的な図書館ももちろんある方がよろしい。しかし文教の府の責任者として、この日本国民の真の道義高揚をはかる率直な何か具体的な力強い対策というものがあつていいと私は思う。またそういう時期に迫つて来ておると私は感ずるのでありますから、もう一ぺんくどいようでありまするけれども、文部大臣として教育の面におけるところの道義高揚の具体的な力強い対策というものを考えられておれば、その問題について率直に具体的にお話を願いたい。
  97. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はすべて率直に答えておるつもりでございます。いつでもすべての答えは率直にやつておるつもりであります。ただいまおつしやいましたが、私は修身科を元のものを復活しようというのじやなくして、道徳教育というようなものは、ただ修身の先生だけでやるものじやなくして、少くも小学校においては、すべての先生がそういうことを念頭に置いてやるべきものである。義務教育の場合はもちろんそうであり、また高等学校などになれば、私の申すような知的開発ということを盛んにして、そうして道徳性というものを生徒に浸透させて行こう、しかしこれに最も重要なものは教育者であつて、だから教育者の育成はどうしたらばよい教育者をつくることができるかということにも私は苦労をいたしておるわけでございます。またこういう点も自分は考えておつて、何か一般的な道徳基準というようなものを示すこともよいのではなかろうかということも一つの問題といたしております。日本アメリカなどと違いまして宗教が一般に行われていないから、何かここにそういう基準を示すこともよいのではないだろうか、これは自分は問題として今考えておることでございます。
  98. 川島金次

    ○川島委員 最後に道義の高揚の問題とあわせてもう一つ伺いたいのですが、最近国内で講和問題をめぐつて再軍備の問題が論議され、あるいは自衛権の形においての自衛力の問題がいろいろと論議されておる。こういう問題と、文部大臣があずかつておりまするところの学生生徒との間のつながりというものは、全然切離して考えられない問題であろうと思うのであります。ことに最近の新聞紙上に報ずるところによりますと、日本の講和後における再軍備という問題は別として、国内における自衛力の強化ということはまぬがれない、また必要であるとの外電や、あるいは国内の論者が漸次数多くなつて来ております。こういう問題ととつ組んだ場合に、一体青少年に対する教育の仕方として、この自衛権と教育との関係をどういうふうに扱つて行くべきかという課題が、重大な問題になつて来るのではないかと思うのですが、そういう事柄について大臣考えられたことがありますかどうか、考えられておつたとすれば、どういうふうな考え方を持たれておるか、それについて最後に私はお伺いを申し上げたいと思う。
  99. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はどういう形をとるにせよ、一番国にとつて必要なことは、やはりこの国が自分たちの国である、この国の活動というのはすなわち自分たちの活動なんである、そういう意味における愛国心、これはこの前この委員会で述べましたから繰返しませんが、そういう意味の自主独立の精神というようなものを生徒の心にしみ込ませるということが、一番大切なことだと考えております。
  100. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 先ほどの川島君の御質問中、育英資金に関する点について答弁があります。相良政府委員
  101. 相良惟一

    ○相良政府委員 先ほど御質問がございました育英会から貸費を受ける者の数について、お答え申し上げます。昭和二十五年度は、日本育英会から九万五千七百人の学生生徒が貸費を受けておりましたが、昭和二十六年度は、十四万八千九百人で、約五万人の増加を見るわけでございます。この十四万八千九百人という数字と申しますと、新制高校におきましては、全生徒の三%、それから大学におきましては、全学生の二〇%が貸費を受けるということに相なります。
  102. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 この際林百郎君から関連質問を求められております。これを許します。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 第一は、最近地方並びに教員の諸君から、教育財政の危機ということが切実に叫ばれておるのであります。大体平衡交付金の交付の問題についてもそうであります、シヤウプの第二次勧告から言いましても、昭和二十六年度の平衡交付金は千三百億必要ではないかということが勧告されておる。地方財政委員会からは千三百五十八億という勧告が出されておる。それにもかかわらず、政府は千百億しか実は出しておらない。このために地財では再勧告までしておるのであります。こうした平衡交付金の非常な縮減ということが、地方財政を危機に陷れ、地方財政の危機がさらに教育財政を危機に陷れる。日本の教育は今や財政の面から非常な危機に陷つておると思うのであります。一方さらに先ほど川島委員質問にもありました通りに、最近の情勢から見ますと、ダレスと吉田総理の会談によつて、単独講和の後においては、日米の軍事同盟まで結ばなければならない。その軍事同盟を結ぶということになれば、厖大な財政的な負担が日本の国家財政に課せられて来るということになる。このことはますます日本の教育の財政的な危機を深めて行くと思うのであります。そういう意味で、私はこの際この日本の教育の財政的な危機をどう切り抜けるか。またわれわれとしては、日本の教育の財政的な危機を切り抜けるためには、日本の国にこれ以上軍事的な負担をかけることによつて、われわれの生活や教育に脅威を與えるような、いわゆる再軍備を前提としての他国との同盟というようなものはやめるべきである。いわゆる単独講和というようなものは避けなければならぬ。全面講和によつて、再軍備の大きな負担をわれわれが避けることによつて、この教育財政の危機を切り抜けることができるというように考えますが、この点について文部大臣の見解をまずお聞きしたいと思います。
  104. 天野貞祐

    天野国務大臣 まだそういうことはきまつたことでも何でもないと思いますから、私は林さんの御意見をよく承つておきます。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 私は対策をあなたに言つただけで、現在すでに地方財政の危機ということは明らかである。一例を申しますと、地財では平衡交付金を千二百九億出せというのを、政府は千百億しか出しておりません。また地財では地方債を六百十七億必要だというのに、政府はわずか四百億しか認めておらないわけであります。このことで地方財政が非常な危機に陷つている、政方財政の危機がさらに教育費にしわ寄せされておるということが明らかであります。今あなたの監督のもとに教育に営々として日夜努めておるところの教員から出て来る声は、教育財政の危機ということであります。これをどう守るかということが、日本の教育関係者あげての声であります。私のこれに対する解決策は別としても、文部大臣としての、この教育財政の危機に対する対策をお聞きしたい。
  106. 天野貞祐

    天野国務大臣 教育費が非常に不十分だということは私も十分知つておることであります。その上に、この教育費というものが、今平衡交付金の中へ入つてしまつておりますから、それがどう使われるかということも地方にまかされてしまつておるようなわけで、そういう点は非常に不十分だと思つて、どうかして標準義務教育費を確保しようと、そのことを今関係方面とも折衝中であります。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 いくら折衝しても、日本の政治のあり方自体がかわらなければ解決できない。  それからもう一つ、先ほど川島君からの質問もあつたのでありますが、教育の内容であります。最近日本の教育の内容を見ますと、文部大臣も遠慮しいしい静かなる愛国心という言葉——これは文部大臣が使われたかどうか知りませんが、新聞で伝えるところによると、静かなる愛国心、その愛国心の涵養の方法としては、日の丸を立てて君が代を歌わせるというようなことが言われております。こういう文部大臣の教育方針の内容の中に、われわれはかつて日本の日の丸や君が代が果した役割を再び今の時代に果させようとする、要するに日本の国に再び軍国主義的な教育を復活させようとするような危惧を非常に深くさせる。現に本年度文部省管轄の予算の中に、科学教育施設費として、明治天皇生誕百年及びペルリ提督来朝百年を機に、明治文化史及び日米文化交流史を編修をするために一億円の予算が組まれております。われわれはかつての軍国主義的な傾向を破砕し、基本的な人権を尊重するというポツダム宣言の精神こそが、日本教育の内容であつてしかるべきである。ところがあなたの教育内容であるところの日の丸、君が代、静かなる愛国心、明治天皇の生誕百年史のために一億円使うということは、明らかにポツダム宣言で命ぜられているところの軍国主義的な傾向の破砕、その徹底的な拂拭というところの占領下においてなさなければならない教育とは逆に、日本の国を三たび戦争に狩り立てるというような、こうした教育内容を言葉巧みなる静かなる愛国心という言葉によつて再現しようとすることを私は感知している。文部大臣はこれに対してどう考えているか。われわれは天野文部大臣の教育方針は明らかにポツダム宣言に違反していると考えている。
  108. 天野貞祐

    天野国務大臣 林さんの御質問はすべて私の言うところと違つておると思います。まず初めに一億円と申されましたが、私は科学教育施設費に一億円もほしいのですけれども、一千万円であります。それは数字が違つております。その問題はそうといたしまして、そのほかにもいろいろ間違つておるように思います。静かなる愛国心と申したのは、愛国心といいますと、戦争に行つて戦うことなどばかりを愛国心といいますから、そうでなくして、自国をほんとうの自分の国として自覚して、自分たちの活動がすなわち国家の活動なんだ、そういうほんとうの意味の愛国心を振興しようとしたわけであります。決してただ日の丸とかそういう国歌を歌うというようなことによるということではございません。そういう点でも林さんのおつしやつたことは、私の考えとは合つておりません。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 その点を確かめておいてください。数字が間違つておる。
  110. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 ただいまの林君の御質問並び天野文部大臣答弁の間に数字に関して食い違いがあるようでありますから、委員長におきまして、政府側に注意いたしますが、印刷等には十分御注意を願いたいと思います。なおこの数字についてはすでに正誤表が出ておるそうであります。  次に松本一郎君に関連質問を許します。一問に限つて許可いたします。
  111. 松本一郎

    ○松本(一)委員 先ほど川島委員の文部大臣に対する御質問の中に、いわゆる愛国心、国民道義の高揚、ひいては宗教心ということについて、先ほど文部大臣は、わが国においては宗教は行われておらない。他国ではそうではないけれどもというお言葉があつたように見受けられるのであります。事非常に重大なことでありますので、わが国に宗教が行われてないというのは、あるいは文部大臣は最近の宗教のあり方について精神的、内面的な面から見られたお考えと私は拝承いたしますが、そのお言葉の真意を伺いたいと思います。
  112. 天野貞祐

    天野国務大臣 私の言葉が不十分だつたかもしれませんが、私は一部分的に言つているのではなく、日本全般について言つているのです。全般的にいつて、やはり宗教的情操というようなものを根拠にした道徳というものが一般には行われておらない点がある。だからして欧米等の道徳教育と日本の道徳教育とはそこに違つたものが日本においてなされなければならない、こういうことを申し上げたのであります。
  113. 松本一郎

    ○松本(一)委員 宗教心について、これはもう文部大臣もよく御承知のごとくわが国は代々仏教国であります。インドに仏教が興つて、中国から朝鮮を経てわが国に渡り、わが国において仏教は花を咲かせ、かつまた実を結んだ。しかし戦時中から終戦以来、近時わが国の仏教というものは、ただそれは人がなくなつたときの弔い仏教になつたという点は、非常に私どもは遺憾に存じておるのであります。わが国は再軍備だとか、自衛権とか、あるいは国防とか、いろいろな問題について論議せられておりますが、御承知のごとく、今から七百年の君、蒙古大帝国を建設した成吉思汗、その孫の忽必烈に至つて、元の大軍が日本に押し寄せたとき、あれを撃滅して蒙古帝国の野望を崩壊せたのは、われわれ大和民族である。そのときはいわゆる鎌倉幕村、北條時宗にあらずして、むしろあのときは宗教職であつたということは、御承知だと思います。わが国の宗教家が一人残らず奮起し、立ち上つてこの国土を守つたという当時の歴史を私どもひもといたときに、今日の日本の状態をながめて、仏教国である日本として、新しき仏教というものが、いかにこれから国民を指導し、安心して日々の生活かつ勤労をさせるかということに着目されなければならぬときが来た。おそらく親鸞や日蓮は今日の仏教をつくらなかつたのだろう、こう考えられます。もともと私は宗教家ではないのでありますが、最近の世相を見て、いかに宗教家の使命が重いかということについて、所管官庁である文部当局が、予算面にも、あるいはその他行政面にも特別の御注意をお拂い願いたい、かように思いますので、いま一度御信念をお伺いしておきたいと思います。
  114. 天野貞祐

    天野国務大臣 宗教の重要性ということにつきましては、私も平生から考えておるものでございます。教育基本法の制定のときにも、宗教的情操を養うという項目は、日本の官公立の学校では宗教を教えることができないから、省いてはどうかという論があつたときにも、私はあれは入れておいた方がよいということを考えたくらい、宗教については自分はその重大な意味を理解しているつもりでございます。ただしかし、ただいまおつしやつたように仏教がただお弔い用のものになつてしまつているのは遺憾だとおつしやいましたが、そういう面もないではありませんから、宗教家の皆さんにも大いに奮起していただくと同時に、私どもも宗教法人法案というものを今度つくりまして、そうして宗教家の活動を一層やりやすいように規定いたして行きたいと考えております。
  115. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 この際暫時休憩いたし、午後二時より質疑を続行いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  116. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  休憩前に引続きまして、質疑を続行いたします。井出一太郎君。
  117. 井出一太郎

    ○井出委員 私は一昨日の質問におきまして、通産大臣と公共事業委員会の松田さんを、たいへんお待たせいたしましたが、きようはこれから簡單に片づけたいと思います。  きわめて簡単な問題から入りますが、通産大臣は、競輪の廃止をどのようにお考えになつておられますか。
  118. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 お答えいたします。競輪は世評いろいろでありまして、またときによつて害毒を流すということも聞くのでございます。しかし私といたしましては、競輪そのものが法律できめられておりますので、この法律の改廃がなくてはどうにもいたしかねると思いますが、大体においてなるたけスポーツ化して行きたい、そういうふうに指導して行きたいというふうに考えます。幸いに、昨年の九月に事件が起りまして以来、二箇月の停止期間を置いて、設備の改善等をやりました以後は、漸次改まつて行きつつあるように感ずるのであります。それが改まつて行きますならば、地方財政にも寄與しているのでございますので、まず廃止ということまでは考えておりません。しかしながらこれはすべて国会の御意思に従つて処置したいという考えでございます。
  119. 井出一太郎

    ○井出委員 ただいまの御答弁の中に、競輪の持つておる弊害について言及をいたされました。これは世上いろいろと伝えられまする通り、これがために産を失つた者もたくさんあります。あるいはこのために家庭争議を引起した例も枚挙にいとまない。その他世道人心上考えてみまして、スポーツと今仰せられたが、これはさようなものじやない、むしろ賭博の色彩がきわめて強い。この弊害をあなたはお認めになられるでしようが、同時に競輪には別個な使命がある、地方財政の上に大きな寄與をなしておる、この欠陥と長所、彼此勘案せられまして、あなたはやはり競輪というものは、存置すべきものなりと、かような断定を下されまするか、これを伺いたい。
  120. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの段階では競輪を存置しておくつもりであります。
  121. 井出一太郎

    ○井出委員 かつてどもは吉田総理大臣がこの競輪の害悪について、いたく憂慮をされた。そうしてあなたを呼ばれて、その問題について協議をされたということを承つておるのでありますが、その際総理からはどのような見解が漏らされたか、またあなたは総理が競輪に弊害ありと言われるのに対して、かようかくかくなる利点があるというような、多分主管大臣として総理に献言をされたものではないかと、このように思うのでありまするが、この間のいきさつをひとつお伺いをいたします。
  122. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私はほかの用事で総理のところにお目にかかりに行つたのであります。そのときに競輪の話が出まして、競輪は至つて評判が悪い、害毒もあるように思われる、どう考えるかというお話でございました。私といたしましては、これは議員提出の法律で、国会でほとんど満場一致でおきめになつた法律であるので、これをここで私が云々するというのは避けたいと思います。それで国会できまりましたならば、それに従いまして善処いたしますと、こういうことをお答えいたしたのであります。
  123. 井出一太郎

    ○井出委員 あなたはこの競輪の基礎法規が議員提出法案ででき上つたがゆえに、問題を国会に転嫁して、競輪の本質が持つておりまする害悪を、ことさらに眼をおおうておるように私には受取れてなりません。国会側から何らの発言が、かりになくても、あなたは主管大臣としてかようなる非社会的存在を思い切つてなくしてしまう、こういう断固たる決意はお持ちにならぬものであるか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  124. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 先刻から申し上げますように、弊害もあり、また一面に地方行政にも寄與しておるという点を考えますときに、これを私自分のすきとか好まないということによつてやめるということは、私は考えていないのでございます。少くともこれを廃止するにつきましては、法律でありますから、国会の協賛を経なければなりませんし、また国会としても、一ぺんここに通過されたことでありますから——まだ競輪は実施いたしましてから、一年有余にしかならぬかと聞いております。その間に悪い点は是正して行きたい。もちろん賭博行為であるというお話はごもつともな話だと思います。しかしこれに類似したものもほかにもありますので、單にこれが直れば——弊害がだんだん少くなれば存置しておいてもさしつかえないではないか、こういうような感じを持つておるのであります。断固としてこれを廃止するという意思は現在は持つておりません。
  125. 井出一太郎

    ○井出委員 どうもあなたはこういつた社会悪を除去しようという点に勇気をお持ちにならぬ。遺憾であります。これはあるいは国会において問題になるかと思いまするが、しからばちようど岡野さんもいらつしやるが、競輪が従来地方財政にどれだけの寄與をして来たか、年度別にもし数字等がおわかりならばお示しを願いたいと思います。
  126. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま詳細な数字を持つておりませんからよく調べまして後刻お届けいたしますが、ただ問題といたしましては、地方財政が非常にきゆうくつなときでありますから、競輪は賭博行為であつて、非常に悪いというのは社会的には見られますが、この収入は純財政から行きますと、非常に地方の財政を助けているという事実だけは明らかであります。
  127. 井出一太郎

    ○井出委員 このほど来——きようもそうでありましたが、天野文部大臣との問答の中において、国民の頽廃しておる人心、こういうものを何とか立て直さなければ、この再建なくして、国の立て直りはない。こういうところに多くの委員諸君が、きわめて愛国的な熱情を傾けて言及をされたのでありますが、単なる地方財政のわずかばかりの収入、今不幸にして数字をお示しに相ならぬので、その点には触れませんけれども、そのくらいのことは、たとえば平衡交付金の増額とか何とかいうようなことで、こういう害悪を伴うものは敢然として振り切るという熱意が、私は閣僚諸公に望ましい、こう考えておるものであります。  これはこの程度にいたしまして、私は電力の問題を公益事業委員会の方とも関連しながら、あわせて通産大臣にも若干の点をお伺いいたしたいのでございます。公益事業委員会というものができまして、電力の関係はほとんどことごとくがそちらへ移管されたと了解いたすのでありますが、しかし監督権というものは、やはり通産大臣におありになるのではないか、この辺の職務分掌と申しましようか、その区分をまず最初に伺いたいと思います。
  128. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 電力の監督は、これは公益事業委員会でおやりになるのでございますが、ただ通産省には保安に関するものが一部残つております。保安と申しますと、たとえば安全保障というように考えてもよろしいと思います。あるいは施設のまずいために漏電をする、そういうようなことに対する監督指導の任は通産省に残つております。
  129. 井出一太郎

    ○井出委員 それでは公益事業委員会の方に問題を移します。この委員会が発足をされまして、今日までどのような経過をたどつて来たか、つまりこれは一つの行政機構の一環でございましようが、いかなる方向に整備され、具体的にはどの程度に仕事が発足をしておるか、こういう点をまず伺いたいと思います。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕
  130. 松田太郎

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。公益事業委員会は昨年の十二月十五日に発足いたしまして、それに伴いまして事務局を東京に置きまして、さらに北海道・東北・関東・関西・中部・中国・九州・四国この八箇所に支局を置いてございます。中央と申しますか本局におきましては、九つの課を置きまして、それに事務総長、技術長、経理長、法律顧問という、いわゆる四役を配置してございます。そういたしまして、公益事業委員会の仕事の運用につきましては、公共事業令にもうたつてございますように、いろいろの規則をつくりまして、この規則によつて行動しなければならぬ点が相当あるのでございます。たとえば公益事業委員会として、今後最も力を注がなければならぬ点として、各会社の経理の内容を明らかにして、健全なる企業体を形づくつて参ります上におきまして、いわゆる会計規定をつくりまして、それによつて各社の経理をどういうぐあいに明瞭にさして行くかという、その基準をそこで定めまして、その基準にのつとつて各社の方におきましては、経理面の作業を明らかにしておいてもらうというような意味で、会計規定をつくります問題でありますとか、あるいは料金を認可いたします権限がございますが、その料金を認可いたしますにつきまして、たとえば料金の算定の基準というものだけは、公益事業委員会規則でその基準を定めまして、そうしてこれを各社に示して、各社としては、これによつて料金の申請をしてもらうというような意味での規則、その他公益事業委員会の運用について聴聞会を開きますについての規則とか、あるいはいろいろの規則をつくらなければならぬのでありますが、何分にも昨年の暮れに発足いたしまして間もないものでございますから、一応公共事業令の方に載つております事項について、従来の同じ問題と特にかわつていないものにつきましては、一応従来の規則をとりあえずそのまま踏襲いたしまして、その間に錯誤のないようにということにいたしまして、その点を委員会の規則第一号というもので、この公共事業令の趣旨に反しない限り、従来の例によるという規則を出してございます。先ほど申しましたような点につきましてはただいま各方面の権威にも御相談いたしまして、着々と規則の制定の準備を今進めておるというようなことであります。そういう平常の仕事につきましては、そういうような体制で遺憾のないように措置いたしております。なお御承知のように電力再編成の仕事が現在の一つの大きな問題でありますので、これにつきまして、ただいま着々その方の進行を進めておるような状態であります。
  131. 井出一太郎

    ○井出委員 電力再編成の仕事を着々とお始めになつておるという御答弁伺いました。私どもは去る第九国会におきまして、この第九国会の真の使命は、補正予算というものが別にございましたが、同時にこの電力再編成を立法事項としてその第九国会で処理するという重大なる目標をもつて召集せられた、かように了解して集まつたのでありますが、とたんにポツダム政令を用いることによりましてまつたく抜き打ち的にこの電気事業再編成令と公共事業令というものが政令によつて定められました。これはわれわれ国会に席を置く者といたしまして、まことに遺憾千万でありますけれども、事すでにここに至りました以上はその問題をあげつらおうとは思いません。そこで今目標とされております再編成は、一体いつその目的が完了するか、この見通しを伺つておきたいのであります。
  132. 松田太郎

    ○松田政府委員 大体五月一日にはその目的を完了するという目途のもとに、ただいま進んでおります。
  133. 井出一太郎

    ○井出委員 この大事業を五月一日までに発足し得るように諸般の手続を完了するということは、これから数えましてもさほど長い時間とは申されません。従つてこれにはよほど馬力をおかけ願わないと、なかなか困難ではないかと思いますが、あなたがさしあたり当面せられまして、たとえば日発側と配電側との利害の調整とか、ないしそれに関連したような非常な困難さがそこに予想されはせぬか、こういう点はいかにお考えになりますか。
  134. 松田太郎

    ○松田政府委員 大体この問題につきましては、簡単に申し上げますと、一月八日に経済力集中排除法の権限が従来持株会社整理委員会にあつたわけでございますが、その持株会社整理委員会の権限が、一月八日に公益事業委員会の方に全面的に委任されまして、同日公益事業委員会としましても、電力再編成に関しまする政令を出しまして、それによつて二月八日、すなわち昨日までに、自発並びに九つの配電会社から、再編成計画書を公益事業委員会の方に提出するように命令を出しまして、それによりまして、昨日各社から再編成の計画書が提出に相なりました。その点につきましても、まだ会社間においてはつきりきまつていない問題も一、二あるかと思いますけれども、大体そういう点につきましては追つて話をきめて、こちらの方に出していただくように願つております。あとは公益事業委員会としまして、今月の二十三日までに、その案に対する審査をいたしまして、二十三日にはいわゆる指令案というものをつくりまして、そうしてそれによつて、あとは聴聞会の制度等がございますので、その期日等も考えまして、三月三十日には今度は決定指令というものを出しまして、さらに内閣総理大臣に対する異議の申立等の期間も入れまして、五月一日には進めて行きたい、こういう段取りでございます。一番困難を予想されておりました各社間のいろいろな点についての協議の結果、再編成計画書が出て参りましたので、あとは公益事業委員会としましても馬力をかけて、二十三日には、今申しました指令案というものをつくりたい、かように考えております。
  135. 井出一太郎

    ○井出委員 その場合、株式の評価等に対しまして、日発と配電側とをどのような比率に大体予想をされておるか。あるいは同じ配電会社といいましても、地域によりまして非常な差異があろう、かようにも思われまするが、そういうふうなお見通しはすでにおわかりでございますか。
  136. 松田太郎

    ○松田政府委員 大体昨日出して参つたところを見ますと、株式の比率につきましては、日発、配電間は一対一ということで提出されておるようであります。
  137. 井出一太郎

    ○井出委員 配電会社間は全然一緒ですね。
  138. 松田太郎

    ○松田政府委員 そうです。
  139. 井出一太郎

    ○井出委員 この再編成をいたしますについて非常に問題に相なりましたことは、電源の属地主義と潮流主義であつたろう、かように思うのであります。かつて第七国会当時に提案せられましたのは、これは属地主義の立場をとつておつたと思います。しかるにこれが電力の大きな消費地、ことに関西方面などで物議をかもしましたがために、潮流主義に切りかえざるを得なかつた。当時それがために、自由党の中で、関西自由党が生れるというような大きな騒ぎさえも醸成せられまして、それゆえにこそ吉田自由党内閣は、自党の党利党略のためにポツダム政令に依存をしたと非難をされたゆえんは、まさにここにあつたろうと思うのでございます。しからば一体この属地主義と潮流主義の問題は、あなた方がこれから敢行されようとしておる電気事業の再編成にあたりまして、問題はまつたく解消をしているかどうか、今後とも何かしら発電地方と消費地方との間に、いろいろなトラブルが予想せられやせぬか、あるいは火力と水力との関係においても、同様なことが予想せられるのでありますが、こういう点の確信はいかがでありましようか。
  140. 松田太郎

    ○松田政府委員 お話のごとく、電力再編成令によりまして、いわゆる供給区域を定めます場合は、属地主義とそれから潮流主義と申しますか、お話二つの主義を並行して採用しておると考えてよろしいと思うのであります。それにつきましては、今お話のありましたいろいろの理由があると存じますが、今の御懸念の点につきましては、属地主義といい、潮流主義と申しましても、結局発電関係の設備、あるいは送電関係の設備、あるいは配電関係の設備、そういつたような、いわゆる施設ないし設備というものを、どこの会社に帰属さすかという点でありまして、従つてそこの発電所から出ますところの電力を、どういうぐあいに配分するかという問題につきましては、おのずから問題が別になつて来ると思うのであります。そういう意味で、たとえば御指摘のように、九州においては火力発電が中心でございまして、そういうようなことで非常に九州の電力の料金も高くなるのではないか、あるいは特に石炭等の関係から、電力の融通が不足するのじやないかというような点も、いろいろ御心配がある思うのでありますが、そういう点につきましては、先ほど申しましたような趣旨で、電力の各社間の融通を認めるようにいたしております。これにつきましても、前提といたしましては、どこまでも各社の間で、いわゆる全国的に見た電力配分というものを、その需要に応じて調整をして行くというような趣旨からいたしまして、お互いに契約を締結していただきまして、それに対してこちらが認可をする。それからまた、いろいろな事情で、その話合いがつかない、しかしながらそれが公共の福祉をはかり、また同時に国民全体の利益のためから、この際今申しましたような線に沿つて、契約を締結してもらう必要があるというようなときには、公益事業委員会としまして、こういうような契約を締結してもらいたいということを命ずることもできるようになつておりますし、またそれに従わないような場合には、今度は公益事業委員会の方で、自主的にそういつた契約の内容のものをつくりまして、それを各社に命じて、その通りに実行してもらうというような道も開けておりますので、その運用等も十分考慮いたしまして、御心配の点はできるだけないようにして参りたい、かように考えております。
  141. 井出一太郎

    ○井出委員 この再編成令の中にございますいわゆる別表でありますが、こういうものが、電力を九分割いたしまして、実際やつてみたところが、いろいろな不便、不自由が起つて来た、そういう場合に、ここに別表の中で区分をせられました発送電設備というものは、絶対不可侵でもはや動かしがたいのか、それともそこには動かし得る可能性というものが見出し得るか、こういう点と、あわせて、今後おそらく電源開発という問題は、日本の重大なる課題でございましよう。この新たに開発せられました発電所というものは、あるいは水系別ということでありまするならば、すでに帰属はきまつているのかもしれぬのであるが、場合によつては、調整上水系によらずに帰属が定まるというようなことがあるかどうか、その点はいかがでしようか。
  142. 松田太郎

    ○松田政府委員 第一の点でございますところの、この再編成令にうたつておりまする帰属について、今後改正と申しますか、あるいは修正をする余地はないかという点につきましては、たしか電力再編成令の別表の三の初めにしるしてあつたかと思いますが、新会社ができましても、四箇月以内と記憶いたしますが、その間は各社の間におきまして話合いのもとに、この設備は甲の会社から乙の会社の方に移すことが適当であるという協議がととのいまして、そうして公益事業委員会の方にお話いたします場合には、公益事業委員会といたしましても、国民の皆様方の声も伺い、いわゆる適当の手続等を経まして、そういう変更をすることができる、こういう道が現在の電力再編成令の上にもうたつてありますので、今申し上げましたような趣旨から、その必要がある場合には、そういう変更も可能である、かように考えております。
  143. 井出一太郎

    ○井出委員 今おつしやるように、協議がととのう場合は、これは問題ありますまいけれども、なかなか地域的にセクト主義が行われまして、その協議というものは容易にととのわないのではないか、こう私ども考えるのです。たとえば中部地区と関西地区というようなものを考えてみましても、豊水期には中部から百二十五万キロくらいを関西へ送るが、渇水期にはそれが四十万キロ程度に減るというようなことを聞くのであります。こういうような場合に、ときには余つておる水力を一方では受取るが、逆にそれを返すときには、料金の高い火力を買わしめるというような問題などが起りはせぬか。今言われるように、会社間の協議がそう簡単には相ととのわないのではないかと私は思うが、こういう場合には、一体公益事業委員会は強権をもつて、これに臨み得るのであるかどうか、こういう点はいかがですか。
  144. 松田太郎

    ○松田政府委員 先ほど申し落しましてまことに申訳ありませんでしたが、協議がととのわない場合におきまして、しかも公共の福祉というような点から、公益事業委員会が必要と認めました場合には、こちらでその協議をさすとか、あるいはこちらで命令をして、それを変更さすとかいうことができるようになつております。
  145. 井出一太郎

    ○井出委員 これと関連してでございますが、あなたはこの再編成は属地主義と潮流主義を適宜あんばいされたと申されたが、私どもはどちらかといえば潮流主義だと理解する。その場合に、電源を保有しておるところの府県と消費地とは利害が対立をいたします。たとえば水を治めるにいたしましても、これはやはりその上流地帶の山林などから根本的に調整をいたしまして、水源の涵養をしなければならぬ。そうすると、発電県はよけいな負担をその電源のために費して、しかもうま味のあるところの消費の分は、他府県にこれをとられてしまうというようなことができて参る。電力というようなものは、総合的にこの問題を考えますというと、やはりその起つて来るところの電気の問題だけでなく、事は治山治水にも及ぶのでありますから、そういう点の不公平というようなことも何かお考えになつておられるか。そこで発電県あたりは、そういう意味で河川の使用料というようなものをとることによつて、幾らかでも財政負担を埋め合せようとする。そういう府県は当然治山治水のために多額の費用をさいておりますから、その程度のものをとつても、九牛の一毛でありましようけれども、そういうことでトラブルを巻き起すというようなことになると、また困つた問題でございますが、あなたはこういう点をどのように裁定なさいますか、この点をお伺いいたします。
  146. 松田太郎

    ○松田政府委員 新しく電源を開発して参ります場合につきましては、おそらく水利権をどこで獲得するかというような問題が、並行して起つて参ると思うのであります。ただ水利権の所属と申しますか、水利権の設定の問題につきましては、御承知のように河川法に基きまして、それぞれの知事がその許可の権限を持つておられます。これにつきましても、公共事業令の方で、その点の調整を考えておりまして、知事に対して出願のありました場合には、公益事業委員会の方に意見を聞いてもらうようになつております。また公益事業委員会といたしましては、その際、治水治山その他の関係の所管をしておられます。ところの建設大臣の方に協議をいたしまして、そうしてその結果、公益事業委員会といたしましても、意見を知事の方に申し上げることになつております。なおまた公益事業委員会といたしましても、そういつたような問題について、必要があります場合には、関係の方面にいろいろ意見を申し上げまして、知事等のいろいろなお考えにつきましても、あらかじめ十分御了解を願つておかなくちやならぬというような方法も認められておるわけでありますが、いずれにいたしましても、そういつた治水治山、特に各府県の総合開発的な計画のもとに、電力問題等が出て参りますような場合には、そういつた点についてそれぞれ関係方面とも十分御相談をいたしまして、電気事業の許可等につきましては、公益事業委員会といたしまして、正しいと思うものに認可をいたして参る、こういうようなことで進めて参る、かように考えております。     〔西村(久)委員長代理退席、委員     長着席〕
  147. 井出一太郎

    ○井出委員 今後具体的にいろいろ複雑な問題が発生すると思いますし、なかなか容易ならぬ事態もあろうかと思いますが、私どもは、この再編成を九分割にしたというところに、非常な無理が根本的に胚胎している、つまり日本の地勢を無視しておるというように考えるのでございます。と申しますのは、日本は大体日本アルプスを境にいたしまして、これから北ないし東関東、東北方面に豊富なる水源が横たわつてつて、西日本はこの点はなはだ恵まれておらない。火力を合せ調節するというようなことも考えられましようけれども、しかし日本の石炭事情考えますと、やはり水力を基調としなければなりますまい。それで九分割でなくして、私どもは民主党の立場において五分割ということを提唱したのでございます。これはいわば北陸のような豊富な電源地帯を西日本にくつつけて、地形的に日本アルプスで日本の本土を折半する。このわけ方によりますと、属地主義も潮流主義も解消をするのでございまして、この本州を二つにわかち、これに北海道、四国、九州を合せた五分割という案が理想的だ、かように信じてはおるのでありますが、このことはこれ以上申し上げますまい。ただ御参考までにひとつお聞きおきを願いたいと思います。  そこでもう二、三点残した問題は、かつて日発の当時電源防衛運動というようなものを、私どもは耳にいたしました。つまり電源はこれは一国の動脈であつて、これをもし暴力的なものが破壊をするというようなことであるならば、実にゆゆしい問題である。ことにいわゆる電産労組というふうな立場の人々は、かなりラジカルな分子が多いということから、このような電源防衛運動が起つたと聞いております。今こういうような心配は全然ないのか、同時に電産の現状は、電気事業がかように公益事業ということに相なりますれば、一つの公務員的な性格さえも電気産業の従業員は帯びて来るという傾向が出て参る、こういうふうな実情はどうなつておるか。またこういつた電気事業従業員の措置について、何か公益事業委員会としては特別な考え方を有しておられるか、こういう点をお伺いしたい。
  148. 松田太郎

    ○松田政府委員 電気事業関係の労働問題でございますが、これにつきましては私が申し上げるまでもなく、主管の労働省におかれまして、あらゆる点について十分な御配慮もなさり、また御処置もいただいておることでございますので、また機会がありましたら労働省の方からお聞きをいたしてもいいと思いますが、少くとも公益事業委員会といたしましても、この電力のきわめて重要な性格からいたしまして、電気関係に働いていただいております従業員の方々が、ほんとうにこの新会社の発足とともに、一層奮発をして、この電力の増強というものに協力していただかなければならぬことは当然と思つております。また私ども公益事業委員会に就任いたしましてから、ときどき組合の方々にもお会いしておりますが、非常にそういう点につきましては愼重に、まじめに協力をして、私どもにもいろいろお話をしてもらつたりしております。また同時に今お話のような問題について、現地でいろいろそういう危險性を帯びた問題があるということは全然私も聞いておりませんし、少くともただいまのところそういう御懸念はないと私は申し上げてよろしいと存じます。
  149. 井出一太郎

    ○井出委員 かつてどもは、たとえば猪苗代地区であるとか、利根川の上流地帯であるとか、こういう地帯において、相当危險がさしせまつておつたということを、耳にしたことがございます。今日幸いにしてそのような懸念はない、かようにあなたはおつしやいますので、一応は安心をいたしますが、どうかこういう点にもひとつ十分の御配慮をいただきたい。  それからもう一点電気関係でお伺いをしておきたい問題は、これはすでに本院の通産委員会においても、問題が提起せられております例の日発の含み資産の問題場であります。当時小坂自発社長は三十六億の含み資産が、あるいは利益と言いましようか、こういうものが出ておる。従来ならばこれを單に会社があたためるということであろうが、ここで新しい電気事業の再編成に際会して、すつきりしたものにしなければならぬという点から、これをその一部は渇水期に供えるために留保し、また株主の配当というようなものも考慮する。将来の電源開発にもこれを充てたいというような意向も漏らしておりまするが、これにつきまして一月三十日の通産委員会で、松本委員長が、これは大して悪意はなかつたもののようである。ただしかし、どうも監督官庁の怠慢ということは、指摘できるというように漏らされておりますが、当時の監督官庁はこれはやはり通産省でございました。従つてひとつこれに対する大臣の御見解を伺つておきたいと思います。
  150. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの含み資産の問題でございますが、二十四年度の決算の済みました四月一日に発足しておりまするものの中には、含み資産と見てもさしつかえない、また見られるものもあり得る。しかしながら御存じの通り電気事業というものは、豊水期と渇水期は非常な差があるものでありまして、豊水期のときに多少の余裕を渇水期のために持つておくということも、またこれは事業をやる上からいいましては往々にしてなすのでございます。しかしこれを貸借対照表その他から見ても発見し得なかつたということは、監督しておりまする通産省としては、遺憾な点があつたとこう考えておりますけれども、その含み資産と見られるものが悪意になされた、悪意と申しますと言い表わし方がまずうございますけれども、ただそれをほかに使おうというためにされたというようには考えていない。記帳の上において、あるいは税金の問題等のことに関してまずい点があつた。これは確かにそうあつたかと思われる節がある。これに対して監督庁としてそれを発見し得なかつたことに対しては、はなはだ遺憾であることを再度申し上げた次第であります。
  151. 井出一太郎

    ○井出委員 あなたは今遺憾の意を表されましたが、これはそれだけでとまるかどうかはしばらく別として、やはりこれは私新聞で見たのでありますが、あなたの御見解として日発総裁の記者団会見で、かような発表をされたようでありますが、これはまことに軽卒なことであるというようなあなたの談話としての批判を私は見たのでありますが、これは今でもさように思つていらつしやいますか。
  152. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 新聞に何と書いてあるかもしれませんが、私は自発総裁の言に対して、何ら批判をいたしたことはないのであります。
  153. 井出一太郎

    ○井出委員 少くとも三十数億の含み資産というものが、二十四、二十五というわずかの年度の間に累積をして出て来たということは、明らかに電気料金をそれだけ消費者から高く巻き上げておつた、こういうことに相なるかと思うのでありますが、これの処分といいましようか、あるいは国税庁との関係において、一部は税金で吸い上げられる分もできましよう。しかし全部が全部さようなわけではありますまいが、これは一体どのようなぐあいに処分をされるのか。見返り資金の導入なども、こういうふうなことがあつたのでは憂慮されるというようなことも、聞いておるのでございますが、今私のお聞きしておりまする問題は、公益事業委員会が発足してからのことでありますから、これは横尾さんの御関係になるか、それとも松田さんの方になるかしれませんが、ひとつ御答弁を願います。
  154. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 現在におきましてそういう問題が出ましてから、調査をしたいと思いましたけれども、すべてが公益事業委員会に帳簿も行つておりますし、その関係もありますので、私の方で調べる期間がない、向うにお願いをいたし、たしか三十六億という数字は、私は少くとも三十一日の仮決算の上ではなかつたかのようにも考えますけれども、これは公益事業委員の方からお聞き取りを願います。
  155. 松田太郎

    ○松田政府委員 ただいまの問題につきましての詳細は、先般通商産業委員会におきまして、松本委員長から御報告をしてございますので、それによつて承知願いたいと思います。なお今の含みというものを、今後どういうぐあいにするかという点についての御質問かと思いますが、この点につきましては、もちろん三月末の決算期に入りませんと、どの程度の額になりますか、わからないのでございますが、大体今の実情から申しますと、御承知のように、最近きわめて渇水がひどうございまして、ただいま火力の方も、水力の方も、フルに総動員をいたしておるのでございますが、火力の関係につきましては、ただいま一日に約一億円ぐらい、言いかえれば三万トンくらいの炭をたいているような形になつておるのであります。そういうような関係からいたしまして、相当その方の額がふえますので、三月末の決算に至りましては、どういうような数字になりますかわかりませんけれども、そういう方に相当渇水対策としてこの費用が使われているということができると思います。なおこういう問題につきましては、将来公益事業委員会といたしましても、先ほどちよつと簡単に御説明申し上げましたような、各社の経理面について、公益事業としてどういう経理を新たにして行くことが必要であるかということについての詳細な会計規定というものも、アメリカあたりには電気事業会計統一規定という非常に詳細なものがございますが、そういうようなのも参考にして、またその方の専門家のいろいろな御意見も承りまして、大体三月半ばごろには、そういつた規則を公布したい、こういうような目途で進めておるのでありますが、そういつた新しい制度によりまして、今後それに基いて経理面がはつきりとするようにいたして、かりに含みが出ましても、それがどういうところにあるかということがはつきりして、皆様方に御疑惑の的にならぬように努めて参りたいということで、将来の問題といたしましては、その制度をはつきりさせたいということで、努力いたしておる次第であります。
  156. 井出一太郎

    ○井出委員 松田さん、もう一点……。このような問題は自発だけにとどまつておるが、配電会社方面にその心配はなかろうか。あなたが公益事業委員会のお立場で、そういう点にメスを入れたかどうかは存じませんが、あるいはそんなにおいがせないものかどうか、こういう点を伺うと同時に、かつてこの電力関係の問題をめぐつて、あるいは政治的な献金その他考査委員会の対象になつたこともございましたが、あなた方が今のお立場で、これからあるいはその経理等も剔抉せられるということもございましようが、そういうふうな点で、何かあなたがお気づきになつていることがあつたら伺いたい。
  157. 松田太郎

    ○松田政府委員 日本発送電の方に、いわゆるそういう含みがございましたからといつて、ただちに配電会社の方にもそういうものがあるとは、私は信じないのであります。御懸念の点は、むしろ今回新会社が発足いたします場合に、あるいはそういつたものを隠して横に流すというようなことがあつてはならぬという点が、一番大事な点だと思いますが、そういう点については今度再編成計画書を出してもらいます場合にも、向うの新しい会社に移すもの、残すものというものを、全部洗いざらい出してもらうようにいたしまして、その移行につきまして、他に漏れることがないように、これだけにつきましては十分注意を佛つて行きたいと思つております。なお配電会社につきましても、三月末に下期の決算がございますので、そういう際にもわれわれといたしましては十分な注意を拂いまして、今申しました新会社に移行するについて遺憾なきを期しまして、今後の新しい会計規定に基いて、新会社発足後の経理面についての愼重な方途を講じて参りたい、かように考えております。
  158. 井出一太郎

    ○井出委員 それでは電力問題はこの程度に切上げたいと思います。実は私自体も時間の制約があるものでありますから、あと三十分くらいで打切りたいと思います。従いまして横尾さんに御通告を申し上げてありました、たとえば輸入の諸問題ないしは中小企業対策の問題、その他はただいまは割愛をいたしまして、あるいはいずれお伺いをする折もあると思いまするが、今度の質問の計画からははずします。そうしてあと岡野国務大臣がお待ちでございまするが、この前やはり岡野さんをお待たせした関係がありまするので、あとの時間をきわめて簡単にあなたとの問答に用いたいと考えます。  せんだつて私は大蔵省から示された資料によると、地方税と国税の合算した負担が、二十五年度よりも二十六年度の方が、一人当り二百十五円高くなると言つたところが、あなたは地方自治庁関係の資料によると、さようなことはない、こう御答弁になつておられます。その際私は、資料をひとつお示し願つて、いずれ後日この点は明らかにしたいというふうに申し上げておきましたが、きようはさだめし資料の御用意があろうと思いますので、ひとつこの点を明らかにせられたいのでございます。
  159. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は先般の井出さんの御質問を取違えておりまして、二十四年度と二十五年度の分のことと思つておりましたのです。まずその点から申し上げますが、二十四年度と二十五年度に関しましては、やはり国税、地方税加えまして、若干減税になつております。それからただいま御説の通りに、二十五年度と二十六年度に対するところの国税、地方税の総合算額が、二十五年度より多くなつておるというおぼしめしでございますが、これは税の総額から申しますと、国税、地方税を合せまして、二十五年度が六千三百五十四億になつておりますのが、二十六年度は六千六百二十三億になつておりまして、約二百六十九億ふえているわけでございます。そこでその地方税の方で行きますれば、今年度、すなわち二十五年度に千九百八億でございましたのが、二千八十七億になつております。そういうことでございまして、幾分本年度よりは来年度の予算の方が多くなつております。しかしこれはいわゆる十万円とか二十万円程度の所得者についてよく調査いたしましたところが、やはり現行制度よりは幾分みな減税になつておるようであります。これをたとえて申しますれば、所得十万円の勤労者は、現行税法で行きますと、国税、地方税を合せまして九千六百八十円になります。しかし二十六年度には三千六百六十円減ることになります。また平年度に比べますと四千百六十円減る。それからまた商業者につきまして、同じく約十万円の収入の人でございますが、これを現行の、すなわち二十五年度の税法で行きますと、二万七千七百四十円となりますが、これが二十六年度の負担の軽減は、国税、地方税を合せまして四千百七十円減額されております。工業者もやはり同一規模の収入者で三千六百円の減税になつております。それから農業者におきましては、非常に多く軽減されておりまして、五千百五十円減るという勘定になつております。これは最近調べましたものでございまして、地方財政委員会の方で調べております。
  160. 井出一太郎

    ○井出委員 所得は何万から何万ですか。
  161. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 十万円の所得でございます。それで勤労者は現行が九千六百八十円の税金を納めることになつております。それが明年度は三千六百六十円減ることになります。
  162. 井出一太郎

    ○井出委員 わかりました。今大臣は、この問の御説明は誤まりであつた、かように申されましたので、これ以上追究申し上げません。あなたは今きわめてこまかな数字をお示しになつて、今年度よりは明年度がかようかくかくなる業態別あるいは階層においては、むしろ減税だ、こういう御説明でありますが、全体を通じて見ますと、国税の面におきましては、昭和二十五年度は大体四千四百五十億、二十六年度が四千四百四十五億でありまするから、これはまさしく五億円の実質上の減税である。けれども地方税におきましては、今あなたがお示しに相なりましたように、二十五年度が千九百八億、二十六年度は二千八十七億、この方では約百七十八億ばかりの増税に相なつておる。これは全体を通覧いたしますと、まぎれもない、国税はきわめて——この程度のけちな減税は減税とは言いたくありませんが、五億というものが今年度よりもマイナスになる。従つてこの二つ数字の物語るところは、要するに池田財政というものは、国の財政のバランスを合せるため、いわゆる超均衡予算をつくるがために、地方財政へそのしわを大きく寄せておる財政政策だ、こう言わざるを得ないのでございます。地方財政平衡交付金にいたしましたところが、昨年よりもたつた十五億しかふえておらない。従いまして、今や年々増加をいたしまする地方財政をまかないますためには——これはあなたのお立場はまことに苦しかろうとはお察しをいたします。あなたも、よもや地方税を増税しようとは思つておられないとは思うが、要するに池田財政の余波の及ぶところ、地方財政が犠牲にせられまして、このような二百億に近い数字が、地方税においては増徴になる、こういう結論が出たと私は論ずるものでございますが、この点に対する御所見を承りたい。
  163. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。池田財政のことは別といたしまして、御承知通りに、地方財政は本年度千九百八億とつておるのでございますが、来年度は二千八十七億となつておる。こういうこととなつて、御指摘の通り、百七十八億ほど増収になるわけでございます。しかしながらこれは今地方税改正法案も準備しつつある次第でございますが、大体において国民所得の増加と同時に、一般の経済界が好転して来た、こういう結果によつて、主として増収になるという見込みでおる次第でございます。増税ではございません。ただ一点改正法といたしまして増税になるような形に見えます点は、今まで市町村民税に対して配当所得の分が欠けておつたのでございます。これは抜かつておつたような次第でございますが、やはり配当所得に対しても市町村民税というものは所得割には加えるべきものだと、こう考えております。ところがその配当所得が漏れておりましたものですから、これを市町村民税に取上げよう、こう考えております。その改正案は、ほかの市町村民税も源泉所得を——給料所得者というようなものに対しては、源泉所得のとり方をやつてみたいと思つておりますから、そこでこの配当所得を、また配当を出させまして一々割当てたりなんかしますと、徴収上非常に不便でございますし、また不公平も出て来ると思いまして、これを源泉的にとる。すなわち法人税から、その法人税の約一割程度によつて配当所得に対する市町村民税を徴収する。これが一つの増税といえば増税になりますけれども、今まで欠けておつたものをとるということでございますから、これは理論的には御了承をいただけることと存じます。
  164. 井出一太郎

    ○井出委員 あなたも池田財政に右へならえをされまして、これは増税にあらず、自然増収だと、まあ池田さんの病気がうつつたような感じがいたします。これは現内閣はそういう方式でもつて統一された御方針をもつていらつしやる、こう私は了解して、これ以上は追究いたしませんが、時間の関係で、あとこまかな問題を二、三伺つて打切りたいと思います。  その一つは、たしか昨年の暮のことでございまするか、地方財政委員会から勧告書が出ておると思います。それによりますると、一つは、鉄道でありまするとかあるいは専売公社のような、こういつた一種の公共性をもつておる企業と言えましよう、こういうものに対して地方税をとるべし、こういう勧告があなたの手元へおそらく提出されておつたことと思います。また同時に、それにはリーエン制度にも言及をして、これもまた採用をしてしかるべし、こういうことだつたと思いますが、これについての大臣の御所見を、ひとつこの際伺つておきます。
  165. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます、国鉄、専売公社なんかに課税すべきかすべからざるかということは、地方財政委員会の設置法に、今度の国会にその意見を出せという法的の義務づけられた点がございますので、地方財政委員会として、今御指摘の通りな勧告は出ております。それにはやはり国鉄、専売公社なんかには地方税を課したらいいだろう、こういうような純理論が出ております。むろん考え方といたしましては、私もその純理論には賛成するのでございますが、しかしただいまの中央財政の立場から申しまして、同時に国鉄とか専売公社というようなものの特殊な性格から見まして、はたしてこれに地方税を課していいものか悪いものかということには、もう少し研究を要する点があると思いまして、その点におきまして、現内閣といたしましては、今回はその国鉄、専売公社には地方税を課するということを考えないで、現行のままでもう少し検討をした結果、また中央財政並びに各国鉄、専売公社の独立採算の実際の現場の推移を見まして、それから事を決定したい、こういうことにして今国会にはそれに対する勧告に従うという意思を持つておらぬことを御了承願いたいと思います。
  166. 井出一太郎

    ○井出委員 もう一つリーエン制度について……。
  167. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 リーエン制度でございますが、あれは租税の財源を確保する点については最も有力なるものでございまして、地方税としては受入れたいのでございます。けれども経済観念から行きますると、あれをつけますと非常に経済界に打撃を與えるというような線が大きく出て参りましたものですから、これこそ国鉄、専売公社以上に、もう少し検討しなければならぬと思います。ただいまのところでは地方財政委員会がそれに対して勧告するとか、またこれを採用するという意思が決定しておりません。でありますからリーエン制度は地方財政委員会で今研究中でございまして、政府といたしましては、それに対して地方財政委員会の御意見もきまつた上で、さらに考えたい、こういう考えになつております。
  168. 井出一太郎

    ○井出委員 地方財政委員会は以前にも、たとえば平衡交付金問題で特に勧告をいたしました。どうもこの政府は人事院の勧告も無視する、あるいはこういつた場合の勧告も無視する、こういうものに対して、いつも誠意をもつて受取らないというはなはだ悪い癖があるという感がいたしますが、これはともかくとして、もう一点平衡交付金を実際に実施してみまして、地方によつて非常な不均衡が出ておることは、これは大臣もよく御承知でありましよう。ことにいわゆる標準財政需要というものを、はじき出すために、いろいろなフアクターが用いられておるようであります。けれどもたとえば山村地帯の面積ばかりだだつ広い、そこの道路のキロ数を採用するということになると、人口の稀薄なそういう村が、かえつて市街地よりよけいに交付金が割当てられる、こういう例をあげて行けばこれは枚挙にいとまがありますまい。こういう御報告はあなたのお手元にはたくさん集まつておると思いますが、この標準財政需要というようなものの指標の取り方といいましようか、そういう点につきまして、今までの実際にかんがみて何らかの御考慮を相なる用意ありやいなや、これを伺いたい。
  169. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金のわけ方につきましては、あの制度ができまして約半年くらいにしかなりませんので、地方財政委員会の方で初め非常に丹念に測定單位とか補正係数とかいうものを研究されて、詳しい規則をもつて定められたのでございますが、それが非常に広汎な地方の事情をみな一々考慮に入れなければならないものでございますから、私は万全であるとは存じておりません、と同時に万全でございませんから、地方財政委員会の方におきましても、それに対していろいろ考慮せられまして、たとえて申しますれば昨年十月に仮決定になりました平衡交付金の場合、一例を申し上げますれば寒冷地とか積雪度の強いところに対しましては、普通にあれは地方財政平衡交付金法十三條だと思いますが、特に項目をあげて寒冷度及び積雪度の強いところにはよけいにやるようにできておつたのでございますけれども、昨年十月の仮決定でもまだなお不足だろうということになりまして、本年本決定をいたしますときに、たとえて申しますれば平衡交付金が土木費とか警察費というものに対して、特に重要と考えておつたのでありますが、それにもう一つ、寒冷地、積雪地に対しては厚生、労働費のうち衛生費に特別の係数をかけてみるとか、徴税費に対して特別の補正係数をかけてみるとか、たくさん流すように、いろいろ考慮したのでございます。でございますけれども、まだ特別交付金も十分決定しておりませんし、そのうちにまた地方財政委員会の方で、いろいろ考慮していただけると思います。同時に今年度の状況を見まして、その地方財政委員会の測定の規則とか何とかいうものも、さらに再検討して十分実情にあつて、ほんとうに平衡な均衡を得た配分のできるようにしたいと、せつかく努力されつつある次第でございます。これにつきましては、地方財政委員会の代表者が見えておりますから、御答弁願いましようか。
  170. 井出一太郎

    ○井出委員 それじや簡單にひとつ……。
  171. 青木得三

    青木政府委員 お答えをいたします。ただいま岡野国務大臣から答弁があつたようであります。また御質問にありましたように、この平衡交付金の分配の基準……ただいまお言葉のありましたフアクターは、わずか一年足らずの経験でございまして、今までにきめましたものをそのまま適用して数字を出しますと、ただいま御質問になりましたような結果が出ておりますので、このフアクターを適当に改めなければならぬということを、私ども痛感いたしておりまして、最も適正なるフアクターを発見し得るように鋭意努力いたしております次第でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  172. 井出一太郎

    ○井出委員 青木さんのような税の大家が地方財政委員会にいらつしやるのでありますから、どうかひとつそういう点を鋭意御検討の上、適切なる措置を講ぜられたいと存じます。今お話にありましたように、まだこの制度が発足して日も浅い、ほんとうに恒久的な制度に達しますには、これは時間も要することと思います。このことは地方税制そのものについてもいえるのであつて、発足以来まだ七、八箇月の日子しか経ておらないのでございますから、いろいろな実際上の弊害等も出て参ると存じます。それで今回地方税法の改正を意図しておられるようでありますが、この間私は資料を要求したにもかかわらず、その地方税法改正の大綱というものが、まだわれわれの手元に来ておりません。どうも少し怠慢ではないかと思いますが、これを待つてひとつ質問を申し上げたいという意味で、その点は留保をいたしまして、最後に地方税の滞納の状況がどうであるか、これは国税の滞納は約一千億、きわめて問題は重大でございますが、地方税のとり方がどこかに無理があるというようなことにでもなれば、これは滞納の面に当然出て来ると思いますが、この資料は岡野さん、いかがでありますか。
  173. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答えを申し上げます。先般ちよつと地方財政委員会の方から聞きましたのですが、十一月ごろまでの計数しか出ておりません。そういう詳しいことは事務当局が来ておられますから申し上げさせます。  それから先ほどの競輪の数字がわかりましたから、追加してお答え申し上げます。二十四年度の売上高は百三十五億になつております。それが地方公共団体に純益として入りましたのが十二億、それから二十五年度は八月までしか計数が集まつておりませんが、これが百七十三億の売上高であります。非常にたくさん売れておるようでございます。それで公共団体に対しては十四億の利益の配当をしておる、こういうことになつておりますから、つけ加えて申し上げておきます。
  174. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 ただいまお尋ねがございました、昭和二十五年度の地方税の徴税の実績につきましては、ただいま資料を調整中でございます。近く文書にして資料として提出いたしたいと思います。
  175. 井出一太郎

    ○井出委員 委員長、どうも資料の提出がはなはだなまぬるいのですが、ぜひ御督促を願います。
  176. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 承知いたしました。
  177. 井出一太郎

    ○井出委員 それでは私は一応これで終ります。
  178. 川島金次

    ○川島委員 岡野さんがいらつしやるので、ついでといつては失礼ですが、簡単に三点だけお伺いしておきます。もう時間がありませんから、答えの方も要領を得た簡単な、しかもはつきりした御答弁を願いたい。  第一は、今井出君からお話がありました、地方税の改正の意図に対する資料をわれわれは要求しておつたのですが、まだ出て来ませんが、伝えられるところによりますと、市町村民税の問題の点については、今度改正します国税法の改正と相呼応いたしまして、年令六十五歳以上の者で十万円を越えない所得者に対して特別の措置を講ずる、こういうことを大臣の方は考えられておるかどうかということであります。  それから次には固定資産税のことですが、この固定資産税のことについても、庶民住宅などには使用者課税を廃止する、そしてその上に若干の免税点を設ける、こういうふうに伝えられておりますが、その点はどういう形になつておりますか。さしつかえのない限り、この機会に明らかにしていただきたいと思う。
  179. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。簡明に申し上げますれば、六十五歳以上についてはお説の通り考えております。  それから第二点の固定資産税につきましては、庶民住宅のこと、すなわち庶民住宅に対する使用者課税は、撤廃したいと考えております。ただ問題は、これは関係方面の問題がございまして、まだその了解がとれておりませんので、はつきり申し上げられませんが、政府といたしましては、これは社会政策的見地から、ぜひこれを貫徹したい、こう考えております。  それからもう一つ、償却資産の免税点につきましては一万円を三万円に上げる、そういうふうに考えております。
  180. 川島金次

    ○川島委員 そこでついでにお伺いしておくのですが、この固定資産税を査定いたしまする場合に、昨年の徴収の当時の評価額でやるのか、それとも別な観点に立つて評価がえをするというような含みを考えておるのかどうか。というのは、物価事情等も違つて参りましたので、その点はどういうふうになりますか。
  181. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方税ですでに十分御承知のことと思いますが、二十五年度だけは九百倍、しかし二十六年度以降は時価でやる、こういうことになつております。
  182. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、その時価というのは昨年の時価でやるのか、二十六年度における、いわゆる物価上昇の今日の現状の時価でやるのか、どの辺になりますか。
  183. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。一月一日の時価でございます。
  184. 川島金次

    ○川島委員 そこでこれは事務的に伺いますが、固定資産税の対象となるべき国民の資産は、一体どのくらいの総額になりますか。政府の予想額を示してもらいたい。
  185. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 国民資産といいましても、固定資産税の課税の対象になります資産を把握しておるわけでありますけれども、そのうち償却資産につきましては、資産再評価法に基きまして、再評価を行いましたところの限度額の数字が一応出て参つておりますので、それを御参考に申し上げておきたいと思います。再評価額の限度額を基礎にして考えますと、大体一兆億足らずであります。土地や家屋につきましては、一応現在の賃貸価格を基礎にいたしまして推計いたしておりますけれども、平均いたしまして賃貸価格の何倍になるかということは、今後の固定資産の評価をどう行つて行くかという問題と関連いたしまして、なお研究中でございます。
  186. 川島金次

    ○川島委員 今のお話によると、固定資産税の評価の基礎は一月一日だという。しかし一月一日だとすれば、政府においても大体の見通しは、ついていなければならないはずでありますが、その点はどうなんですか。
  187. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 一月一日の土地や家屋の売買価格の実情なり、あるいはまた収益状態なりというものにつきましては、今後なお相当の期間を要さなければ正確な数字は把握できないのじやないか。局地的な状況というものはわかつておりますけれども、全体的にどうなるかということは、なお十分に研究をいたして参りたいというふうに考えております。
  188. 川島金次

    ○川島委員 その正確なことはいいのですが、大ざつぱにでもつかんでおる数字がありましたら、それを示してもらいたい。それから先ほど出ました地方税の滞納額、これもあなたの方で大ざつぱにわかつておる程度、記憶している程度でよろしいですから、この機会に示してもらいたい。
  189. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 土地や家屋の時価の状況は、たとえば山林などは非常に高い売買価格を示しております。しかしながら土地や家屋につきましては、先ごろ行いましたような評価の状態よりも、若干減少するのではなかろうかというふうな見方をいたしております。  それから滞納の問題でありますが、二十五年度の地方税の状況は、なお全部納期が来ておりませんし、ことにまた地方税の出納閉鎖は五月末日をもつて行われます関係上、従来も三月、四月、五月におきまして、年総額の四〇%内外のものは徴収されておるという状態でありますので、現在の状況をもつて一時的に推計することは困難だと思います。しかしながら府県の状態をもつて申し上げますと、十一月末でたしか三五%から四〇%くらいのものが徴収されておつたように記憶します。
  190. 川島金次

    ○川島委員 今の固定資産税の問題にもどるのですが、調査をしなければわからぬとおつしやる、それももちろんわかりますので、それでは昨年の九百倍当時の基準をもつていたしました当時におけるところの、いわゆる固定資産税の対象の資産というものは、どのくらいの総額に上つておつたか。それはわかつておるでしようから、それをひとつ……。
  191. 青木得三

    青木政府委員 お答えをいたします。ただいま御質問にありましたように、これは昨年の数字でございますので、今日の状況とは多少適合しないところがあるかと思いますが、その含みをもつてお聞き取りを願いたいのであります。一応固定資産税の対象となつております土地家屋、償却資産おのおのわけて申し上げます。土地は一兆三千三百三十六億九百万円、家屋は一兆四千五百八十八億七千万円、償却資産六千七百二十億四千七百万円、この中から先ほどの御質問にかかわりますが、使用者課税に当る分をわずかばかりでありますが、百七億六千九百万円、これはすべて価格であります、税額ではございません。それを控除いたしました残りのものが三兆四千七百五十二億九千五百万円という計算が出ております。これは最初お断りいたしましたように、そう自信のある数字ではございませんからさよう御承知を願いたい。
  192. 川島金次

    ○川島委員 念を押すのですが、そうすると、昨年の資産額はわかりましたが、今度は本年度の徴収査定をいたしまする場合に、この数字より非常に上になるのか、それともこれより下にわわつて来るのか、その見込みはどういうことになりますか。
  193. 青木得三

    青木政府委員 先ほどお答えいたしましたように、一月一日現在でもつて調査がえをいたしますので、まだそのことは、仕事が進行いたしておりませんから、正確なる予想を申し上げかねますけれども、大なる変化はないものと考えておるのであります。
  194. 川島金次

    ○川島委員 そうすると大なる変化がないといたしまして、それによつて徴収いたしまする地方の固定資産税の、今日各地方が予定いたしておりまするところの、税収があり得るという形になつて、この面においては大体狂いがなく予定されるということになりますか。
  195. 青木得三

    青木政府委員 収入見込額の方を申し上げます。これは調停見込額の九〇%の徴収率で見ておるのであります。土地につきましては百九十二億四百万円、家屋につきましては二百十億八百万円、償却資産につきましては九十六億七千八百万円、その中から先ほど申し上げました使用者課税分を一億五千五百万円控除いたしまして、残りますものが五百億四千五百万円、こういうような大体の数字でございます。
  196. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 先般御一任を願いました昭和二十六年度予算に関します公聴会の件に関して、その後理事会に諮りまして、期日は来る二月十四日、十五日の両日と決定いたしました。なお、公述人につきましては次の通りでございますからここに御報告を申し上げます。  学識経験者から一橋大学教授都留重人君、税制関係といたしまして京都大学教授汐見三郎君、金融界から日本興業銀行頭取川北禎一君、産業界から日座協常務理事堀越禎三君、貿易界から第一物産株式会社長新開八洲太郎君、中小企業関係から東京商工会議所中小企業委員長五藤齊三君、社会保障関係から湯淺蓄電池株式会社長湯淺佑一君、科学技術振興の関係に関して日本学術会議会長龜山直人君、私学関係に関して日本私学団体総連合会常務理事高木三郎君、農業関係から日本農民組合中央執行委員大森眞一郎君、労働組合関係から国鉄労働組合中央執行委員長齋藤鐵郎君、地方団体から神奈川県知事内山岩太郎君、以上の十三名であります。  本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時半開会、質疑を続行いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時六分散会