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川島委員 最近の税務行政の立直りについては、先ほど申し上げましたように認めます。非常によくな
つて参りましたが、しかしなかなか満足でないということは今申し上げた例でもわかるのです。
もう
一つ、今度は
国民の側というよりは納税者の側の問題であります。これはか
つて私が一昨年、私の
見解に基いて立案をしたものですから聞くのです。今でもこういう事例のあとは断
つておらないのです。と申しますのは、税務署の事務的な怠慢あるいは過失といいますか、あるいはおざりといいますか、あるいは事務的な不整備、あるいは横の連絡の不備、こうい
つたことから納税者側は正当なる納税を一ぺん済ましておる。にもかかわらず、その納税完了者に対して再び督促状をよこす。そうしてわざわざその出頭状を持参して税務署へ善良なる完納した納税義務者が出かける。出かけるけれ
ども、税務署は出頭を求めておきながら、いろいろの都合があるでしようが、二時間も三時間もその出頭した納税者に会わない。それで遠いところの者はそのために一日棒に振るという事例がまだたくさんあります。これは私に例をあげろと言われれば持
つて参ります。しかもそういうような目にあう納税者は自転車で来る、あるいはわざわざ汽車に乗
つて朝早く来る。そうしてそういう階層は比較的に農村方面か中小業者に圧倒的に多い。中小業者や農家のみずからの労力なくしては
生計のできない人たち、しかも正直に納税を済ましておるにかかわらず、出頭の案内状が来る。善良な素朴な人であるから、税務署から来たというので一日を棒に振
つて出かける。そうして夕方にな
つて初めて当該税務官吏に会
つて、照し合せて、ああそうでしたか、帰
つてよろしい、これなんです。こんなばかげた話があるか、一体裁判所の証人に呼ばれても日当はくれるのですよ。費用弁償もしてくれる。しかも最も善良なる国の租税の問題に対して大きな協力をしておるそういう階級の人です。税務署の不始末からそういう
国民に迷惑をかけておる。あとでその迷惑をかけた人に対して、税務署の手落ちであ
つたということがわか
つてもそれなりなんです。その手落ちのために
国民は貴重なる一日、二日を棒に振
つても、それで何のことはない。時間を空費しただけが
国民の損失、こういう形になる。こういうことは一体大げさに言えば、憲法の基本的人権の蹂躪の問題にさえなると私には思える。しかもそういう
事柄に対しても税務当局は何らの措置を講じていないのです。だからそういうことがあとからから絶えず行われておる。
国民に迷惑をかけておいて、国家には責任はないんだ、そうして損失をこうむるのは納税を済ました善良な納税者である。こんな片手落ちは不合理な話はない。こういう
事柄についても何らかの賠償制度をとるとか、もつと税務官吏を厳重に教育して、そういうことのないような形にすることがきわめて必要だと思うのですが、そういうことがあとを断たないといたしますれば、
大蔵大臣はこういう問題についてどのように
考えておりますか、これを伺いたい。