○北澤
委員 きようはあまり時間もありませんので、一点だけにつきまして
大蔵大臣に
質問いたしまして、明日また
質問を続行したいと思うのであります。
日本に対する
講和條約が、現在全
国民の関心を集めている最も大きな問題でございますが、この
講和の問題は、
日本の政治、安全保障、
経済その他各
方面にわたりまして、非常に重大な
関係を持
つておりますことは申し上げるまでもないのでございます。ところがこの
講和條約の、
日本の政治あるいは安全保障等に関する部面については、非常に重大な関心が払われておるにもかかわらず、
経済の部面につきましては、ともするとあまりこれを重大視しないというふうな傾向があるのでありまして、この点私は非常に遺憾に思うのであります。と申しますのは、
日本が
講和條約を結びまして、政治的にも
経済的にも自立をするというわけでありまして、結局
日本の
経済の自立ということが、非常に大きな課題であるにもかかわらず、この
経済の問題、
経済面におきまする
講和條約の影響と申しますか、そういう点が比較的軽く見られておるように私は感ずるのでありまして、その点は非常に残念に思うのであります。
そこで申し上げたいのは、結局
日本の
経済上における完全なる主権の回復という点でございます。戰時中に、
アメリカのルーズベルトと、それからイギリスのチヤーチルが、大西洋上におきまして締結いたしました英米協同
宣言、それはその後連合国の共同
宣言によ
つて確認されておりまするが、これによりますと、「戰勝国たると戦敗国たるを問わず、一切の国がその
経済的繁栄に必要なる世界の通商及び原料の均等
條件における利用を享有することを促進することに努むること」まあこういうことにな
つておりまして、戰勝国戰敗国のいかんを問わず、世界の国々は世界の
経済的繁栄に必要な通商、あるいは原料の獲得に参加できるということにな
つておりますのみならず、
ポツダム宣言におきましても、「
日本国はその
経済を支持しかつ公正なる実物賠償の取立てを可能ならしむるがごとき産業を
維持することを許さるべし、但し
日本国をして
戰争のため再軍備をなすことを得しむるがごとき産業はこの限りにあらず、右
目的のため原料の入手を許可さるべし、
日本国は将来世界貿易
関係への参加を許さるべし」こう書いてあります。また最近
ダレス特使が
日本に参りまして、
日本の
講和條約につきましては、
日本の完全なる主権の回復ということを、たびたびその声明等にも述べておるのであります。そういうわけでありますので、私は
日本の
経済自立、
講和條約後の
日本の
経済自立達成におきまして、この
日本の
経済上における完全なる主権の回復ということが、最も大事だと思うのであります。ところがときどき新聞等に現われておるところを見ますると、
日本が
米国の
経済援助を受けておる間は、ある
程度日本の
経済下の主権の行使に制限があるかもしれぬというふうなことが新聞に伝えられておるのでありますが、どこまでも今回の
講和條約におきてましは、
日本の政治、
経済その他各
方面における完全なる主権の回復、特に
経済面におきまする完全な主権の回復ということを私は希望する次第であります。そういう点におきまして、一体
政府はいかにお
考えでございますかこの点を伺
つてきようの
質問を終ります。