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西村(榮)
委員 私はその点につきまして、わかつたようなことをくどくどしく申し上げたのでありまして、大体その真意が御了解が行くことと思
つて、
総理大臣は御
努力くださるものと
解釈いたしまして、最後に私は
日本が一体
世界政策の上においてどうしなければならないかということについて、簡單に、与えられた時間だけで結論を結びまして、質問を終りたいと思うのであります。と申しますることは、
日本の将来の国策を決定する上において、何と申しましても重大な影響を持つものは
アメリカの
極東政策であります。しかるに終戰以来五箇年間の
アメリカの
極東政策を
考えてみますると、多くの矛盾と欠陷を包蔵しておるということは、これは否定し得ません。私は
アメリカが西欧諸国の十六世紀ないし十七世紀以来伝統的にと
つて来た掠奪的植民地
政策というふうなことを用いずして、平和の友好関係を結んで、西欧諸国に比して
アメリカがアジアの民主化、近代化あるいは生活水準の引上げについて
努力されたことにつきましては、実に感謝にたえないのであります。しかしながらここに問題になるのは、不幸にして
アメリカ人はアジア人の心理を十分に理解していなかつたところに、これは善意から来るとしても、結果は非常に惡い結果を生んでおるということを、現実の
日本の
状態、アジアの
状態において否定し得べくもありません。その問題の
一つ、二つの例を拾
つてみますると、第一に民主化の問題でありますが、民主化を機械的に押しつけた結果が、アジアの風俗、習慣、伝統を無視したことによ
つて、その
アメリカがねらつた民主化というものは逆な結果を来して、
一つの混乱が生じております。第二は、アジアの勤労者層と
アメリカが結合するよりも、むしろ反動的な
政治要素と結合したことにおいて、今日の
共産党の台頭の余地を与えたということは、これは否定し得ません。第三に、
領土的野心は比較的
アメリカにはなかつた、しかしながらその経済
政策を見まするならば、これは自国の資本の利益を中心としておつたがゆえに、世に資本による侵略との誤解を与えたということは、これは私は否定し得ないと思うのであります。第四点において重要なことは、
アメリカの
極東政策の中においては西欧第一主義の
政策をと
つて、アジアを第二義的に取扱
つて来たのであります。しかしながらヨーロッパ文明をささえておる豊庫は、牧場はアジアでありまして、
ソ連は
アメリカのこの
世界政策の逆を行
つて、アジアを押えることによ
つて、ヨーロッパの牧場を、根を絶とう、根のない草にしようとして、
アメリカと逆にアジアの侵略に対して着々として準備を整えて来たことが、今日明らかな現実の
政治であります。私はこの四つの
アメリカの
極東政策の欠点の上に立
つて、
アメリカに
希望することは、第一にはアジアの民族主義を尊重する態勢をと
つてもらいたいということ。第二点には、西欧第一主義からアジアを軽視するというこの態勢を改めて、東西両洋を尊重するという態勢をと
つてもらいたい。第三点においては、アジアの伝統的文明と道徳的、感情や、固有の社会組織を十分に考慮して、機械的民主主義を導入するというふうなことは避けて、民主主義とアジアの民族主義との結合における効果ある
政策をと
つてもらいたい。これを私は
アメリカの
極東政策の上において求めたいのでありまして、このことは、私は
総理大臣に申し上げるということよりも、
総理大臣を通じて、あなたは最もよき
アメリカの友人であられるそうでありますから、あなたを通じてこの卒直なるわれわれの意見を
アメリカにお伝えを願いたい。
同時に最後にお聞きしておきたいと思いますることは、当然
講和会議が成立いたしまするならば、終戰條約によ
つて決定せられたる
占領軍費はその瞬間に私は帳消しにせられることと思うのでありますが、その
占領軍費は
講和條約とともにわれわれは義務を免除せられるものであるかどうか、最後にこの点をお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。