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1951-01-31 第10回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年一月三十一日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 林  百郎君       青木 孝義君    麻生太賀吉君       天野 公義君    井手 光治君       尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君       角田 幸吉君    甲木  保君       川端 佳夫君    北澤 直吉君       久野 忠治君    坂田 道太君       塩田賀四郎君    島村 一郎君       庄司 一郎君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    永井 英修君       中村  清君    中村 幸八君       松浦 東介君    松本 一郎君       南  好雄君    今井  耕君       北村徳太郎君    中曽根康弘君       平川 篤雄君    川島 金次君       戸叶 里子君    西村 榮一君       水谷長三郎君    砂間 一良君       横田甚太郎君    小平  忠君       黒田 寿男君    小林  進君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         労 働 大 臣 保利  茂君         建 設 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         海上保安庁次長 柳澤 米吉君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君 一月三十一日委員鈴本茂三郎君辞任につき、その 補欠として川島金次君が議長の指名で委員に選任 された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算  昭和二十六年度特別会計予算  昭和二十六年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  ただちに質疑に入ります。尾崎末吉君。
  3. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大蔵大臣に対しまして質問をいたします。  昭和二十六年度予算の大綱につきましては、去る二十六日の本会議及び昨三十日の本委員会におきまして、大蔵大臣の御説明伺つたのでありますが、御説明の中にあつたように、二十六年度予算は、第一に総合予算の均衡を確保いたしてあること、第二に二十五年度に引続き、財政規模を縮小し、財政国民経済との調和をはかつてあること、第三に大幅な減税を行い、国民負担を軽減し、国民生活の安定と資本の蓄積に資するよう考慮をいたしてあること、第四に民生の安定、文教及び科学振興等のため、積極的な施策を講じてあること、第五に政府資金産業及び金融に対する積極的活用をはかつてあること等、率直にこれを認めるのでありますが、なおかつて片山内閣芦田内閣当時において企て及ばなかつた社会保障施設を、飛躍的に充実せしめたことや、米価などの生産者価格を思い切り引上げて、農業経営の安定をはかり、あわせて食糧増産対策を立てたことや、また災害復旧計画にも努力をし、治山治水その他公共的の建設事業充実もはかつたことや、特に日本の力強い自立をはかるべき貿易振興に深い意を用いた点も、十分にうかがわれるのであります。特に私ども與党野党にかかわらず、一致して長らく切望いたし、主張いたして参りましたわが国経済開発と、国土の有効利用とのために、鉄道を積極的に開発せよという主張をいたしたことに対しましても、これを取入れていただきまして、二十億ほどのその建設計画を立てられたこと等、こういう点を考えまするならば、相当政府努力あとを見ることができるのでありますが、ただ疑問とする点及び特に一層御努力を願いたい点につきまして、しばらく質問を申し上げて、みたいと思うのであります。  第一に伺つておきたいと思いますることは、昭和二十六年度予算は、昨年十月ないし十一月ごろの物価基本として、それに諸種の変動のことを考慮に入れた上でつくられたのだということであります。それにいたしましても、現在のように激動する国際情勢下においては、もとより予算相当機動性が必要であると思われるのでありますが、一体昨年の十一月ごろの物価基本としてつくりました予算をもつていたしまして、別に本国会中において予算補正をしなくても、これで通せるというお考えであるのかどうか。その御自信をまず伺つておきたいのであります。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 今回の予算は、昨年秋の物価状況を見まして作成いたしたのであります。その後におきまして、生産財につきましてある程度の上昇を見つつあるのでありますが、ただいまのところ予算を編成がえしなければならぬほどの物価騰貴でもございません。またある程度のものは効率をよくいたしまして、支障なくやつて行けると私は考えております。
  5. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大蔵大臣の御自信伺つて一応安心をいたしました。  次に伺つておきたいと思いますることは、経済統制論議についてのことであります。朝鮮動乱を契機といたしまして、原料資材の需要が非常に大きくなつて来たのでありますが、最近米国非常事態宣言や、対中共の輸出禁止等の方針によつてわが国にも再統制を行わなければならないという声が、相当に起つて来たようであります。その再統制をしなければならないということの根拠は、第一に世界的な軍備拡張及び強化に伴うところ国際的インフレ傾向、第二に主要物資輸入が困難であること、第三に、いわゆる特需景気による一般商品購買力の増大ということにあるようでありますが、これに対しまして、すでに試験済み官僚統制のごときはもつてのほかだ、かりにこういう統制をやるといたしましても、マル公設定をなすことや、切符の割当をなす程度のことと、民間で組合等が自主的に統制をやるという程度ならば、いたし方がないではないか、こういつた論議が闘わされておるようでありますが、この再統制の問題に対しまして、どういう御構想でおいでになるのか。何らかの御計画があるのか。できるだけ率直に詳しくお伺いしてみたいと思うのであります。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 世界の軍拡の傾向その他いろいろな点から、日本でも再統制が起るのではないか、あるいはやらなければならぬ、好むと好まざるにかかわらず、そういう事態が発生するという議論がやかましくなつて参つたのであります。私は率直に申し上げますが、今の日本で、たといやるとしても、何をいつやるかという問題につきまして、あまり議論を聞かない。ただ大ざつぱに、やらなければいかぬだろうということで、何をいつやるかということについては、まだ聞いていないのであります。私はそういう議論よりも、再統制をしなくても済むように輸入を促進し、物をふやすことが大事だと思います。持てる国と非常に物の少い国、これはおのずから考え方も違わなければなりませんし、またわれわれは自由国家群の一員としてと申しますか、自由経済の国々とできるだけ通商をして行けば、何も早く最も悪い統制をやる必要はないので、努力次第によつて統制ぜずに済んで行くのではないか。またそういうような方向で進んで行きたい。もしかりに万が一にも統制をしなければならぬという場合におきましては、今お話通り、われわれ経験済み官僚統制と申しますか、下手な統制よりも、もつと新しい考え方統制をやるべきだと思いますが、私個人としては、今統制をやるということにつきましては、検討も加えておりません。ただ一に統制をしなくても済むように進んで行こう、こういうのであります。
  7. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは、貿易増進のことについてであります。政府日本輸出銀行を設けましたほか、緊要物資輸入基金設定在外事務所拡充等貿易増進のための緊急の措置をとられたのでありますが、経済自立三箇年計画というのが、最近政府から発表せられたのであります。ところがその前に経済自立五箇年計画というものがあつたのでありますが、その五箇年計画を御破算にいたしまして、三箇年計画を立てられたのは、どういうわけでそういういきさつになつたのかということと、その三箇年計画は必ず実行に移して、これを完成せらるるという御決意であるのかどうか。その点を伺つてみたいと思うのであります。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 産業の五箇年計画とか、あるいは日本経済自立三箇年計画というものが、安本考えられておつたようであります。またそういう意味の企画に基いての安本長官の御演説もございました。この点につきましては、十分閣議でも実は練つておりませんし、私自身といたしましても、私は三箇年たつてこうなるということよりも、三年を二年に縮めたい、あるいは一箇年であの程度になるようにいたしたいという希望を持つておるのであります。何と申しましても、こういう変転きわまりない世界情勢に対処いたしまして、三箇年先がどうなる、こうなると言うことは、なかなかむずかしいことであります。しかし何も計画なしに進むということも、これはまたよくないかもわかりませんから、一応のそういう計画は立てられておるかもわかりませんが、私自身といたしましては、あの安本の三箇年よりもより早く、よりよい生活水準に持つて行きたいと努力いたしておるのであります。あの通りに行きますか行きませんか、私はあの通り三箇年たつて行くよりも、これを二箇年に縮める、あるいは一箇年に縮めるという気持でやつて行きたいと思うのであります。繰返して申し上げますが、安本でああいう計画自立経済審議会でお立てになつたようでありますが、これは閣議決定をしたというところまで行つていないと私は考えます。
  9. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 この問題は、伺いますと主として安本長官が携わつておられるようでありますから、後ほど安本長官に対しまして詳細にお伺いいたすことにいたしまして、次にお伺いいたしたいと思いますのは、農業共済保險基金設定についての問題であります。農業共済保險は、その趣旨、目的はまことにけつこうなものでありますが、その会計には今まで支拂い準備基金がなかつたので、共済保險支拂いに大きな支障を来して、非常に窮境にあつたようでございます。ところが二十六年度予算において、新たに二十五億円の基金が計上せられたことは、農村によい影響を與えることを確信をいたすのでありますが、ただこの金額がわずかに二十五億円程度で足ると思つておらられるのであるかどうか。新たに何らかの方法をおとりになるというのであるかどうか。もう少しつつ込んで申しますならば、組合は二十五年度保險支拂いにたいへんな支障を来して、非常に困つておるようでありまして、昨年来再々大蔵大臣ところにも、この方面の陳情が参つたことは御承知の通りであります。これに関するところのできるだけおさしつかえのない程度の御所見を、私お伺いをしてみたいと思うのであります。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りに、農業共済保險基金を二十五億円設定いたしたのであります。     〔委員長退席西村(久)委員長代   理着席〕  今までよりもよほどこれでよくなつたと思いますが、何分にも農業災害の点は今から予測することはできませんので、もし非常災害の起りました場合におきまして、この二十五億円で足りなかつたときには、それは考えて行かなければならぬと思うのであります。なおまた政府の再保險基金以外に、県の連合会その他で非常にお困りのような様子でございますので、ただいまこれが対策につきましては、予算の施行につきしまてできるだけの考慮を拂いたいというので、検討をいたしておるのであります。
  11. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次は先ほど冒頭に申し上げました社会保險費の問題でありますが、この社会保險費は二十五年度に比較をいたしますと、生活保護費におきまして約四十九億円、社会保險費約十六億円、結核対策費が約二十六億円、失業対策費が二十九億円のそれぞれ増額となつておるのを、数字の上で見ることができるのであります。政府努力を多とするのでありますが、従来社会保障の問題は、さきもちよつと触れましたように、社会党や共産党の方々一手販売でもあるかのように議論をせられて、一面においては国民をまどわすような議論をしておられたのを、私ども聞いておつたのであります。(発言する者あり)ところが実際の上におきましては、数字の上で申しますならば、かつて片山内閣芦田内閣のときにおける社会保障経費というものの数字考えてみますと、まことにこつけいなほど少かつたのであります。しかるに自由党内閣ができまするや、思い切りこの経費が増額せられましたことは、社会党や、それらの批評をなさる方々も御記憶であろうと思う。数字議論ではごまかせないのであります。でありますから、いわゆる議論の方では愼みがちであるが、実際の仕事の上において、こういうやり方をやつて行く自由党に対しましては、相当国民の認識がかわつて来たことであろうと思う。     〔発言する者多し〕
  12. 西村久之

    西村(久)委員長代理 靜粛に願います。
  13. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ところがかように実際の数字の上において、仕事をやつているのではありますが、しかしながらこの総計の百二十億円という金額をもつていたしましても、二十五年度の実績の上から推して考えますならば、もとよりいまだ不十分であると思うのでありますが、政府はこれらの方面に対する将来の対策として、他になおお考えになつているのであるかどうか。この点を伺つておきたいのであります。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りに、今回の予算の特色は、社会保障制度、社会政策的の施策相当加味したことは、今までの予算で画期的のものだと考えております。先般の社会保障制度審議会のあの通りといたしますと、八百数十億円いるのでありますが、今回の予算は五百億円余りでありまして、だんだんそれに近寄つて行くのであります。なお今回の結核対策その他につきましても、半年分程度になつておりますので、これを昭和二十七年までの一年分にいたしますと、相当金額の増になると思うのであります。私は予算のわくを削減しながら、とにかくこういう社会保障制度あるいは文教科学につきましては、数字が示しておるがごとく相当出しておるのであります。今後におきましても、できるだけこういう方面には力を注いで行きたいと考えております。     〔西村(久)委員長代理退席委員     長着席
  15. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは、この問題はあとから詳細に伺いたいと思うのでありますが、前もつて伺つておきますことは、預金部資金見返り資金運用による影響にかんがみまして、運用方法について善処せられなければならぬ。こういう点について前もつて伺つておきたいのであります。それは従来財政資金環流の不円滑が大きな原因となりまして、二十五年度金融梗塞にいたしましても、これが一つの大きな原因であつたと思うのでありますが、今回新たに運用部資金特別会計が新設せられまして、これで一応預金部資金が活用せられることとなつたのは、多年このことを叫んで参りました私どもといたしましては、まことに適当な処置であると喜んでいる次第であります。そうして二十六生度においては金融債四百億円を消化する予定になつているようでありますし、そのほかに二十五年の末から二十六年の三月の年度末にかけて二百億円、合計六百億円が金融債を通じて一般経済界環流され、主として社債引受資金にまわされることになつているようであります。一方見返り資金は二十五年度債務償還費五百億円を二十六年度へ繰越し、さらに二十六年度分は、経済再建安定費のうち約五百億円を次年度へ繰越すことになつているようであります。これは米国日援助が遠からず打切られるのに備えるための、適当な処置であろうと思うのであります。ただここに考えておかなければならぬことは、これらの運用にあたりまして、この運用やり方、いわゆる事務的処置やり方が不十分でありました場合に、せつかくやり方も十分の効果を発揮することができないことが、従来の例にかんがみまして十分あるのでありますから、それらに対して従来と違つた何らかの適当な方法をおとりになる御計画があるのかどうか。これを伺つておきたいのであります。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 預金部資金運用につきましては、先ほどお話通りに、今年度内に二百億円でございます。今年度におきましても十二月に二十億円使用いたしました。一、二、三で百八十億円出すのでありますが、大体もう使い方もきめまして順調に行くと思います。なお来年度の四百億円につきましても、大体金融債新期発行引受、あるいは既発引受等によりまして、さしたる支障はなく円滑に行くと考えております。また見返り資金もかなり使用になれましたし、今までのようなことはなく順調に進むと考えております。
  17. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次は減税の問題についてであります。まずこの問題について第一に伺つてあきたいと思いますことは、来年二十六年度七百四十三億円という大幅の税制上の減税計画されたのでありますが、この問題に対しまして、いわゆる野党の諸君は、かように減税をしでも、一方に歳入の上で自然増收を見積るのであるから、これは水増し予算ではないか、実際上はほんとうには国民のふところの上では減税にならないのではないかという、いわゆる下手な水増し論議というようなものが行われておりますが、これらの下手な水増し論議をよく納得せしめ、大多数の国民にもまた納得の行くことのできるような、できるだけ御懇切な御説明をこの際願つておきたいのであります。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 今年度租税收入が四千四百五十億円程度昭和二十六年度が四千四百四十五億円、租税收入が五億円しか減つていないから国民負担は減らない、こういう誤つた考え方が流布されているということでありますが、これは早い話が、同じように今年も十万円の所得、来年も十万円の所得ということになつて来たならば、私の言うように七百四十億円程度減税になるのであります。所得がふえて税金がふえるということは当然であつて所得がふえた場合に、今の税法つたならばこれだけ税金を納めなければならぬ、それが今度税法を改正したからこれだけの税金になる、こういうのでありますから、私は税法上も実際上の減税も、理論上同じであると言うのであります。各国でもこういうふうなやり方で行つているのであります。日本におきましても、今まで税法上の減税とか、実際上の減税というものはないのであります。現行税法ではじいた場合の税收入と、改正税法ではじいた場合の税收入減税ということになつているのであります。これも何と申しまするか、考え方が違うのでございますから、なかなか説明してもわかりにくいと思います。実際財政法上どう行つているかということをお読み願うよりほかには、しかたがないと思います。(発言する者あり)
  19. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体よくわかりましたが、かようなふうにも了解をいたしてよかろうと思うのでございますが、大蔵大臣の御所見はいかがでありましようか。いわゆるかつて——今盛んにやじつておられるような、社会党内閣当時にやりましたようないわゆる統制経済であつて物資生産等の足らない場合にいわゆる水増し見積りをやるのは、それはいわゆる表面に発表するところと反対の結果が来るが、今のようないろいろの産業施設に対する投資をいたして、生産が増強をする時代のその自然増收というものは当然であつて、いわゆるこの水増しなどと言われるその考え方は数年前の古い考え方だ、こういうふうに了解してよろしゆうございましようか。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 大体その通りでございまして、私が大蔵大臣になつてからの租税收入の見込みをごらんになつたらわかります。今度の吉田内閣ができる前には、自然増收租税で二百五十億も三百億もあつたり、予算と実際とが合わなかつた。私が大臣になつてから昨年の租税收入は五千五百億円で、実際やつたものと三十億くらいしか違いはない。今度の二十五年度租税收入も大体予算通りにやつて行くのであります。私はいろいろなことを見てやつておるので、私が大蔵大臣になつてからの租税收入予算とをお比べになつたら、片山内閣芦田内閣予算租税收入といかに違つているかということがわかるのであります。(「そのときの次官だつたじやないか」と呼ぶ者あり)なお申し上げますが、酒の税金の問題につきましても、千百五十円の酒が九百五十円に下つた。しかし酒の税金收入はやはり前年よりもふえている。一級酒の千百五十円が九百五十円になつたら減税でございましよう。千百五十円の酒が九百五十円になつたら減税である。しこうして酒の收入は千三十億円から千七十億円になつている。これを増税だと言われるのですか。私は千百五十円が九百五十円になり、あるいはしようちうの四百五十円が三百三十円になれば減税である。これだけのことであります。
  21. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次は産業金融態勢の確立に関する問題であります。二十五年度補正予算におきまして、日本輸出銀行の新設を見、中小企業信用保險制度の創設を見、また国民金融公庫への増資の結果を見まして、産業金融態勢が整備いたしたのでありますが、二十六年度予算におきましては、これらの充実をはかりましたほか、新たに一、農林漁業金融特別会計、二、資金運用部特別会計、三、緊要物資輸入基金特別会計、四、農業共済保險基金設定等産業資金供給の本格的な態勢が整えられたのであります。これによりまして、今まで財政のしわが金融方面のみに寄せられておつたのが是正されまして、財政金融との調和がとれたかのごとく見えるのでありまするが、なおこのやり方の適当、不適当によりまして、その効果影響相当つて来ると思うのであります。この運用やり方について、従来と異つたる新しい何らかの方法をお考えになつておられるのかどうか。この点をお聞かせ願いたいのであります。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 大体今までもうまく行つていると思いますが、見返り資金から出しまする中小企樣金融、これは従来一箇月に一億円であつたのを三倍の三億円にいたしました関係上、これがなかなか出にくかつたのであります。従いまして、この見返り資金中小企業に向います分は、今までは普通の銀行だけによつてつたのでありますが、今後は無盡あるいは信用組合の方でも、これを取扱い得るようにいたしたいと今話を進めております。また中小企業金融補填基金でございますが、これはまだスタートしただけで十分動いておりませんが、これもできるだけ早く運用いたしたいと考えております。今年度大体三十六億円の予定でございますが、今二十億円余り契約は進んだようでございまして、私は新しい制度がだんだんなれて行くにつれて、道おのずから通ずると申しますか、円滑に行くことと信じておりますし、また支障がある場合におきましてはよく相談して、できるだけ早い機会に改めて行きたいと考えております。
  23. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでこの問題についての二、三具体的な希望を申し上げ、御構想を承つておきたいのでありますが、第一に農林漁業金融特別会計におきまして、さつき申しましたように、適当なやり方であるとは申しますものの、この金額が僅々六十億程度を繰入れて、これをもつて造林だの、林道だの、あるいは漁港の整備などということをやろうというのであります。しかしこれでは国民が期待をいたすほどの仕事はできないと思うのでありますが、何らかこれだけでなくて、進んで国民の期待になお一層こたえるような予算的措置についてのお考えがないのかどうか。近い将来の問題についての御計画伺つておきたいのであります。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 これは公共事業費の方で漁港とか林道その他の土地改良等をやることにいたしております。またコマーシヤル・ベースに乘らないものにつきましてはこれを使つて行こう。また普通の金融でも行けるようなものにつきましては、農林中央金庫の金融債引受等によつてやろう、こういうふうなことで行きたいと考えておるのであります。今後の問題といたしましては、こういう資金はできるだけたくさん出したいということを考えておるのでありますが、何分にも減税もしなければなりませんし、他の歳出もいりますので、二十六年度はこの程度でこれをうまく使つて行くということで、がまんしていただきたいと考えております。昭和二十七年度におきましては、やはり財政の事情を見ながら、この構想を進めて行きたいと考えておるのであります。
  25. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは資金運用部特別会計の点でありますが、本会計産業資金供給の有力な資金源となりますことは、まことに画期的の措置であると思うのであります。従来本委員会におきましても、私はしばしばこの預金部資金を何らかの形において還流することが必要であるということを、主張いたして参つたのでありますが、従来預金部資金は、国債、地方債の引受以外には認められていなかつたものを、政府当局の努力によりまして、新たに一般金融機関の金融債引受けることができるようになつたのは、これは野党の諸君といえどもたいへん喜んでいただけるかと思います。ところがこのいわゆる運用のいたし方でありますが、従来のように事務的な手続その他が非常に煩瑣をきわめるようなことでありますと、その手続等に長い時間を要するようなことがありまして、せつかくのよい方法も、これはいわゆる九仭の功を一簣に欠くというような結果になるものでありますが、その手続、いわゆる事務的なやり方等について、何らかきわめて簡明に、迅速に行くような方法をお考えになつておるのであるかどうか。これを伺つておきたいのであります。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 資金運用部の使い方は、大体ただいまのところ金融債の発行に全部向ける考えでおります。私が今考えております日本開発銀行ができました場合におきましては、こちらの方へも流す考えでありますが、それまでは金融債引受をいたす。しかもその引受方法といたしましては、新規発行を大体六〇%、既発の分を四〇%引受ける。こういう構想でおるのであります。引受の手続はごく簡單でございまして、発行を見ながらやつて行くのであります。ただ金融債引受けました銀行におきまして、個々のものに貸す場合においてどうするかということは、これは銀行自体のやることでありまして、私はあまり干渉はいたしたくないと考えております。ただあまりに大企業にばかり行くというふうな点になりますと、全般的に困る点もありますので、中小企業の方にどの程度行くか。たとえば既発金融債、いわゆる普通の銀行の持つている金融債引受けます場合において、その銀行中小企業にどのくらい出しておるか、見返り資金をどうやつておるか、保險をどうやつておるか、保險のついた貸出しをどういうふうにやつているか、こういうふうなことをしさいに調査いたしまして、銀行を指導して行きたいと考えております。
  27. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次は緊急物資輸入基金特別会計についてお伺いいたします。世界軍備拡張傾向に伴いまして、特需品その他の外需が急激に増大して参りまして、輸出は非常に伸張いたしたのでありますが、一方原料、資材等の輸入は、この外需の数量に伴わないで、従つて次第に内需を圧迫しておるような傾向が見られるのであります。そこで輸入がうまく行かないというおもな原因の一つは、民間の輸入資金の不足から来る点が相当に大きいのではないかと思うのであります。従つてこの民間の資金の不足を満たすために、特に積極的な方法を講ぜられることが必要であると思いますが、これらの点に対しましてはどういう御計画を持つておられるかへ伺つておきたいのであります。
  28. 池田勇人

    池田国務大臣 特需物資輸入につきましては、二十五億円を一般会計から出して特別会計を設け、この運用によつてつて行きたいと考えております。ただ二十五億円では少い、もつとふやしたいと考えて、借入金制度を設けたらどうか。しかしこの借入金が日本銀行等からの借入金等によりますと、インフレの要因をそこに置くことになりますので、政府日本銀行に当座預金をしておる限度において、借入金制度を設けるのがいいじやないかこういうふうな考えをもつて、ただいま構想を練つておるのでありますが、まだ結論に至つておりません。一般の物資輸入につきましては、御承知のように輸入ユーザンスの制度を設けてやつております。これは期限は三箇月ないし四箇月になつておりまして、地域的にこれは違つておるのであります。やはり運送その他で時間を要しますところは四箇月、あるいは短期間で品物が来る場合は三箇月、こうなつておりますが、私は今後におきましては品物によつて区別して行く。ユーザンスの期間に差等を設けたい。たとえば台湾から輸入するバナナ等につきましては、三箇月も四箇月も必要ないのでありますから、これは期間を短かくする。また非常に遠い南亜とかあるいは南米等から来るものにつきましては、四箇月では足らぬ場合もありますので、これを伸ばす、こういうことによつてできるだけ輸入金融をはかりたい。しかしてまた物資によりましては、相当大量に輸入しなければならぬ。たとえば羊毛などにおきましては十六、七万俵輸入しておつたのでありますが、大体計画では三十万俵であります。こういうことになりますと、これは備蓄ではございませんが、十三、四万俵の輸入資金というものは、これは特別な考慮を拂わなければならない。このようなユーザンスで、四箇月を五箇月にしてもなお足りないというような場合におきましては、スタンプ手形制度を活用して、少くとも外貨予算を渡して、その有効な金融によつて輸入に困ることがないようにして行きたいと思つております。なお輸入につきまして一つの障害になつておりましたいわゆるポンド地域からの輸入につきましては、一月二十三日からポンド・ユーザンスも始めました。そうしてできるだけポンド地域から、ポンド資金が足りないことによつて輸入の障害を除くようにいたしておるのでございます。従いまして今年に入りましてからは、輸出が私は相当伸びて来ることを期待いたしております。
  29. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでこの点につきましてもう一点伺つておきたいと思いますことは、今の御説明によつて相当に安心をいたしたのでありますが、一体主としてこれが実行に当られるのは大蔵省でおやりになるのか、通産省でおやりになるのか、あるいは外為委員会でおやりになるのか、どちらで主としておやりになるのか、あるいはまたその他に総合調整をやつて行く機関を設けられるのであるか、その点について伺つておきたいのであります。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 外貨予算の割振りにつきましては閣僚審議会を設けまして、安本予算、大蔵、運輸、農林と外国為替の委員等とが入つてつております。予算を割当てまして実際に輸入をなす場合におきましては、おおむね通産省が関係することが多いのでございます。大蔵省といたしましては、金融の面につきまして協力をいたしておるような状況であるのであります。今までの実績から申しますと、なかなか事務当局の方で運びにくい点があるやに聞き及んでおりますので、最近各関係省から出、即・主義で行こうというふうな考え方で、今委員会のようなものを計画しておられると聞いております。これは通産省の方で考えておられるので、私としてはけつこうなことだというので賛成いたしておきましたが、そういうのはできるだけ即決主義で、上の方でさつさときめて行こうというふうになつております。
  31. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 なお経済等の計画につきましては安本長官質問することにいたしまして、ここに方面をかえまして文教振興についてでありますが、文教振興につきましては吉田総理大臣も非常に力を入れておられるようでありまするし、大蔵大臣もまた非常にこの方面のことに御努力になつておるようでありますが、だだここに御質問申し上げますのは、文教振興につきまして、校舎の十分な整備等の問題につきましてもその他の問題につきましても、今回二十六年度予算に計上せられたような予算をもつて、いわゆる御主張になるような文教振興ができ得ると思つておられるのかどうか。あるいはまた他に何らかのお考えがあるのかどうか。それらの点をできるだけ納得の行くように御説明を願いたいのであります。
  32. 池田勇人

    池田国務大臣 文教並びに科学振興につきましては、財政演説にも申し上げておるように、社会保障制度と相並んで、今までにない多額を計上いたしておるのであります。学校の研究費にいたしましてもまた義務教育関係におきましても、教員の再教育のための費用を国庫並びに地方団体で負担する。あるいはこの四月から入られる小学校の一年生には教科書を無償で渡す。これは来年度からは一年、二年というようにだんだんふやして行きたいというに考えております。今までにない経費の増額をしたのでありますが、これをもつて十分とは考えておりません。先ほど社会保障制度で申し上げましたように、だんだんこの考え方を推し進めて行つて日本としては文教の刷新、社会保障制度の拡充が、われわれは国内の仕事としては最も必要なことと考えておるのであります。今後とも努力をいたしたいと思つております。
  33. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは地方財政平衡交付金の問題でありますが、これは前国会におきましても相当議論されたところでありましするし、国民の要望もまた非常に大きなものがあるのでありまするが、特に何らかの道を見出しまして、二十六年度予算計画をせられました以外に、他の財政上の切盛り等によつてこの平衡交附金を増額するという方法はないものかどうか。そういうことについての努力をなされる御計画があるのかどうか。これを伺つておきたいのであります。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 財政平衡交附金につきましては、できるだけ増額するように努力をいたしたのであります。前年度の当初予算より五十億円ふえましたが、地方の財政状況を見ますとまだ十分ではもちろんございませんが、この程度でがまん願うよりほかには、いたし方がないのじやないかと考えております。今後において平衡交附金をどうするかという問題でございますが、ただいまのところころこれをふやすという考えはございません。地方の財政需要、財政收入等に、予定よりもよほどの差があれば、これは補正予算その他をもつてやらなければなりませんが、ただいまのところは私はその必要はないし、また出す財源も予定いたしておらないのであります。
  35. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでつつ込んでこの問題についてもう一つ伺つておきたいのでありますが、国税の方におきましては、二十五年度も、さつき種々の問題で申し上げましたように、いわゆる産業施設あるいは生産の増強等によりまして、相当自然増收が見られることがはつきりなつてつておるのであります。従いまして地方税の方におきましても、現在のところではいわゆる地方税法の実施が昨年遅れまして、税金を取立てる期間が短かくなつたがために、地方民が非常に苦しんでおる。こういう点は十分私どもは見受けることができるのであります。そこで伺うのは、国税においても相当自然増收が見込まれておるのであるが、同様に地方税におきましても自然増收等というものが、相当に上つて来るのだというお見込であるのかどうか。もしまた相当自然増收があるものといたしますれば、国税の自然増收があつた程度の割合に増收があるというお見込みであるのかどうか。專門的なお立場からの御所見伺つておきたいのであります。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 地方税の方は前年の実績課税に相なつて行く関係上、国税と同じように国民所得の増加をすぐその場合に見るわけに行かないことに相なつております。ただやはり二十四年度よりも二十五年度の方がふえておりますので、その意味におきまする租税收入増ということは考えられると思います。その点以外に私は、地方税法を改正いたしまして、この前の国会でも申し上げましたように、法人の事業税というものは地方団体が決定しなければ納めなくもいい、こういう関係がありますので、非常に納税がずれておとる。このずれておる納税が数十億円あるんじやないか、こう考えております。従いまして私は、今後におきましては国税と同じように、決算が確定したならば、地方団体の決定を待たずに進んで法人が納める、こういうふうな制度にしたならば、收入がその年に入つて来る。こういう関係税法改正をしなくても、非常に増收ができるのじやないか、こういう考えを持つておるのであります。  また住民税につきましても、今年度はおおむね所得税額に対して一八%程度つておりましたが、来年度におきましては、所得割によつてやる制度も設けられまするし、また個人と法人との負担関係を見ましても、法人の住民税が非常に安かつた、安過ぎる、こういうことを改めて行くならば、相当の増收が見込まれるのじやないか。大体ただいまのところ、本年度の地方税の收入千九百五億円に対しまして、来年度は二千八十億円、百七十億円余りの増を見ております。私はこの程度のものは十分増收があると考えておるのであります。
  37. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは、国民がひとしく聞きたいと思つている問題でありまするが、警察予備隊の現在の状況と、新しくこれを強化する御計画があるのかどうか。また増強の計画等があるといたしますれば、これらに対する将来の経費等についてどういう御所見を持ちになつておるのか。できるだけこれを詳細に御説明願いたいのであります。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 警察予備隊の経費につきましては、昭和二十五度におきまして、御承知の通り二百億円を予定いたしております。これは去年の八、九月から始まつたのでございまして、一年分ではございません。だだ初年度でございますので被服費とか、あるいは初度調弁費その他が非常にたくさんいりますので、経営費といたしましては、二百億円のうち六、七十億円ではないかと考えております。  来年度におきましては、この二百億円を百六十億円と予定いたしておるのであります。今後は初度調弁費とかあるいは被服費等があまりいりませんので、俸給その他の経費は一年分になつてふえて参りますが、百六十億円でまかない得ると考えております。  なお警察予備隊の増強ということにつきましては、大蔵大臣としてまだ何も聞いておりません。
  39. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 警察予備隊が新設をされます当時に、この予備隊員になつた者は、二年間で満期になるのだ、期限が切れるのだ、その期限が切れる際に、相当額のいわゆる退職手当がもらえるのだ、こういうことが当時発表せられまして、国民もまた現在もさように思つておるようでありまするが、この問題は一体どういうふうになつておりますか。これを伺つてみたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 二年間勤務された方につきましては、六万円の退職金をお出しする、こういうことにいたしておるのであります。しこうしてこの算定については、予備隊員の毎月の給料をきめますときに、これを考慮に入れてやつております。従つて予備隊員の方の收入は、一般の警察官吏よりもある程度高めでという考えで、計算いたしましてやつておるのであります。
  41. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。次に伺つておきますのは、起債の問題でありまするが、災害復旧費等の問題は、二十五年度は国庫が全額負担をいたしておつたのでありまするが、二十六年度からはその三分の一を地方で負担をする、こういうことになつておるようであります。この問題は、前の本委員会においても御質問をいたしたのでありまするが、この災害は、いわゆる復旧をするような財源を持つところのゆたかな町村だけに災害が参るのであれば、これは地方費三分の一の負担、こういうようなことも成り立つのでありまするが、災害はどんな貧弱な町村にも来るのでありますから従いまして三分の一の復旧費の地方負担ということになれば、その財源を持たない町村はいつまでたつても復旧ができない。従つて次に来るところの災害は、一層大きなものとなるという憂いがあるのであります。これらの問題について前の国会で質問をいたしておいたのでありまするが、何らかこうした町村に対する——できますればすべての町村に対する全額国庫負担、それができないといたしますれば、これらの貧弱な町村に対する災害復旧のやり方、またこれらに対する起債等のことについて何らか具体的のお考え、御計画を持つておられるかどうか。これを伺つておきたいのであります。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 災害の復旧につきましては、さきの国会で申し上げておりまするように、全額負担という原則はやめまして、ある程度地方で負担していただく、こういうことに改めることにいたしております。しこうしてそれならどういう負担の仕方をするかという問題につきましては、私はお話通りに、災害の大きさと申しますか、また逆に言えば、その地方公共団体の負担力の問題と申しますか、こういう問題を頭に入れて考えたいと思うのであります。災害があまりなく、しかも財政收入の多いところ相当負担をしてもらいますし、また災害が非常に多くて、財政收入の非常に貧弱なところにつきましては、政府が三分の二でなしに、もつと四分の三とか、こういうふうな負担割合を、災害の大きさと財政收入の状況によつて考えて行くように、案を今作成中であるのであります。
  43. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そういたしますと、その案を具体的に作成中であるというのでありますから、それはほどなく実施に移される、こういうことになるのでありますか。それを伺いたい。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 大体今国会中には御審議願うように、もちろんいたしたいと考えております。
  45. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで起債の問題に移るのでありまするが、起債にいたしましても、非常にきゆうくつでありますために、地方の町村では困つておるところが非常に多いようでありまするが、やはり昨年度と同様、起債は相当きびしくおやりになるつもりであるのか。国民の要望の実情に沿つて緩和せられる御方針であるのかどうか。こういうことを伺つておきたいのであります。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 地方の起債につきましても、お話のように非常にきゆうくつだということが言われておるのでありまするが、これもまたあまり甘くするのも考えものでございます。その辺はやはり事業の状況を見まして考えなければならぬと思います。今年度におきましても、当初三百億円を結局三百七十億円までにしたのであります。しこうして私はこれ以外におきましても、今まで地方が金融機関から借りておつた分につきましては、預金部を利用いたしまして、三百七十億円以上になるようにいたしておるのであります。来年度は四百億円でございまするが、これにつきましても、もし要すれば、地方の銀行からお借りになる場合におきましては、犬馬の労をとる考えでおるのであります。しかし前に申しましたように、いくらでも起債ができるということも考えものでありまして、事情を見て必要なものにつきましては、一応預金部の地方債の引受ということは、四百億円と関係方面から言われておりますが、実際面におきましては、私は地方の銀行その他を使つて、彈力性のあるものにいたしたいと考えております。
  47. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでやはり起債の問題についてもう一つ伺つておきたいと思いますのは、昨年起債を希望したところで、消防の施設、特にその中で消防ポンプの購入、こういうものにつきましては例外なしに許されなかつたのであります。消防と申しますと、火災による被害の年間の総額を考えてみますと、どんな大きな産業の利益よりも、火災によつて失うところのものが非常に大きいように思うのであります。従いまして消防の施設なりあるいは消防ポンプ等の購入なり、こういう方面のものに相当力をお盡し願わなければ、国家全体から考えてみて、大きなマイナスになつて行くと思います。これはちよつと考えれば簡單なもののようでありますが、最も大きな問題だと考えておるのであります。本年もやはり昨年のように、消防のポンプ等の購入に対する起債はお許しにならない、こういうのでありますか。ただいま御答弁になりましたように、こういう切実な問題は適当にはからつてやろうという御方針であるのか。昨年も一ぺんこれを伺つたのでありますが、あらためてこれをお伺いいたしておきます。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 消防施設にお話通りまことに必要なものでありますことは、同感でございます。こまかいことは存じませんが、ポンプの購入等も相当見ておるということは、今聞きました。今後におきましても必要でございますので、できるだけは見て行く考えでおるのであります。
  49. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 安本長官、総理大臣等に対する質問は保留しまして、大蔵大臣に対する質問は一応これで終りたいと思います。
  50. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 午後は一時から再開いたすことといたしまして、この際暫時休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十六分開議
  51. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。尾崎末吉君。
  52. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 経済安定本部長官に質問を申し上げます。近く講和條約を迎えようとするにあたりまして、これに関連すべき大きな問題として、全面講和か、多数講和か、または單独講和かの問題、世上に論議せられておる再軍備なるものの問題、軍事基地なるものの可否に関する問題、安全保障の問題、国連に関する問題等は、明日吉田総理大臣質問をいたすことにしておりまするが、これと相並んで最も重大な問題であるところ経済の自主自立に関しての問題を、まず御質問申し上げてみたいと思うのであります。日本経済の自主自立の問題に関しました質問をいたすのでありますが、ただ午前中にこの問題で少しく大蔵大臣にも伺つたのでありますが、主として安本長官の主管されるところであるというのでありますから、特に詳細にこの問題を伺つてみたいと思うのであります。  まず伺いたいのは、前に立てられてあつた経済自立五箇年計画というものを御破算にいたしまして、新たに三箇年計画を立てられたのは、いかなる理由に基くものであるかということと、この三箇年計画はいわゆる計画だけのものなのであるか。必ず実行するというのであるか。講和の前提要件として、また講和後の絶対要件として、日本経済自立のために絶対に実行すべきものであるというのでありますならば、その計画の内容と実行の順序とを御説明願いたいと思うのであります。
  53. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お答えをいたします。前に経済五箇年計画を立てておつたが、それを御破算にして新たに自立三箇年計画を立てたのは、どういう理由かというお尋ねであります。この前に立てられておつた案によりますると、当時の情勢といたしまして、あのフアクターには不確定要素がまだ非常にたくさんありますので、あの内容についてもさらに検討を要することでありましたので、一応これをとらなかつたのでありますが、その後だんだんと日本経済の安定が実現されて、これから積極的に復興への道に入ろうとする段階に入りまして、やや、いろいろな情勢が確定的に見られる分も相当ふえましたし、一面日本の終戰後における経済を助けておつたアメリカの援助資金というものが、来年度で一応打切られる段階となつて参りましたし、一方今お話のように講和條約が近く結ばれるということになりました等の事情からいたしまして、何としても、講和條約による政治的の独立がありましたとしても、その裏づけをなすべき経済自立が達成されなければならぬということ、しかもアメリカの援助は来年内にはなくなる。そうするとその援助によつて辛うじてつないでおつた今日までの経済の行き方を、まつたく援助によらずしてやるためにも、どうしてもここに確固たる基本方針を確立して、経済自立をはかつて行かなければならぬという要請もありましたので、ここに来年を目ざして、言いかえれば昭和二十八年を目ざして、経済自立計画を推進するということにいたしたのであります。  次にそのことは計画だけで実行するつもりかというお話であります。これはもとより実行を強力に推進して参る考えでありまして、絵に描いたもちに終らせたくないと思います。当然今日の状態として、日本経済復興についてあれもこれもという希望は、産業部門的には考えられますけれども、そこに総合的な、片ちんばにならざる形においての基本方針の確立を必要とするのでありまして、これは実行を目標に考えております。但し国際情勢が変転きわまりない時代でありますから、いろいろ情勢に変化を受けることはありましよう。そのときは自動的にその変化に対応するよう計画を修正しつつ、あくまでも自立への彼岸へ到達するように進めて参るつもりであります。
  54. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 力強い御説明伺つたのでありまするが、それならば、その絶対に実行せられるという三箇年計画の実行にあたりましては、その所管の各省が、それぞれの立場からこの三箇年計画を推進するということになるのでありますか。または大臣の主管せられるところ経済安定本部等で、これを調整して実行して行こうとせられるのであるか。その点を伺つておきたいのであります。
  55. 周東英雄

    ○周東国務大臣 この自立計画の立案にあたりましては、民間の学者その他財界の達識者等を集めて、愼重に計画を進めておつたのでありますが、同時に各関係省からもそれぞれ出席を求めて、案が練つてあるのであります。その際におきまして、ただいま申し上げましたように、各省別々に考えれば、もう少し自分の方をふやしたいというのも中にはありますけれども、そういたしますと、金融上あるいは電力等の関係からいたしまして、ちんばになりますので、そこを総合調整いたしてあるつもりであります。従つて一応この計画をもととして推進いたします場合において、各省との関係におけるバランスはとれていると思いますけれども、実行にあたりましては、具体的の場合に、ある場合においては安定本部において調整する必要もありましようが、大体において政府一体として内容を検討しつつ立案されておりますから、大体は推進できるものと考えております。     〔委員長退席、橘委員長代理着席
  56. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に、この計画は学界その他の権威の方々をもお集めになつて、お立てになつたということでありまして、そのことは了承をいたしましたが、物価その他の点をもとより考慮せられて、御計画なつたということでありますが、いつごろの物価等を基礎として御計画になつたのであるかということと、それから現在できております三箇年計画は、一応国際政局の変動がこれ以上ないものとしての計画であるのか。先ほどの御説明では、国際政局に特段の変動があつた場合には、臨機の処置をとるとおつしやるのでありますが、その臨機の処置というのは大体どういう御構想であるのか。この点について伺つておきたいのであります。
  57. 周東英雄

    ○周東国務大臣 この計画の初年度としての二十六年度につきましては、予算その他とは調整をとつております。従いまして、この計画を立てた当時の物価は大体昨年の十月ごろの物価をとらえておりまして、ある程度物価の上昇率を織り込んで考えております。そうしてこの計画の前提といたしましては、第三次世界大戰は起らぬということを前提といたしておりまするが、しかし国際情勢はやはり軍備拡張の方向へ向うことが、もう少し熾烈になるであろう。しかも一応物価関係において、レートの変更は考えないということを前提として立てております。しかし今お話のように、情勢がかわりますれば、その間に、たとえば輸入物資計画等についてあるいは変化が起るかもしれない。それに相応して生産の規模に対する増減とか、またそれを補うべき方法考えて行かなければならぬということを申し上げた次第であります。
  58. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に、米国の対日見返り援助資金は、大体来年度打切られるはずであるということでありましたが、来年度以後継続して援助してもらえる見込みはないのかどうか。その見通しを、大体御計画の当時につきましては、今の御説明でわかつたのでありますが、現在の見通しとして来年度以後まで援助してもらえる見込みがあるかどうか。この点を念のためにもう一ぺん伺つておきたいのであります。
  59. 周東英雄

    ○周東国務大臣 この点につきましては、将来の問題は今から申し上げることはちよつと不可能でありますが、一応私ども昭和二十八年度において打切られる従来の建前をとりつつ、その援助がなくともみずからの力によつて輸出入貿易を均衡せしめて行く。それを均衡せしめて行くために国内の工業生産力はどこまで上げるか、産業生産指数はどこまで上げるか、農業の食糧増産計画はどこまで上げるか、それに要する船舶はどうするか、国民生活水準はどこに置くかというような計画を立てておりますので、それが予定通り進行しますならば、何も特段の援助がなくてもよいのでありまして、われわれの政治的独立の裏づけということで、他人のやつかいにならずに、自力によつて経済がまかない得るようにするという考え方でスタートいたしておりますから、その後の情勢によつて計画に狂いが生じますならば、また援助を受けなければならぬという事態が起るかもしれぬが、ただいまのところはそういうことは予定いたしておらぬのであります。
  60. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点よくわかりました。大体二十八年度から打切られる。そういたしますと、二十六年度と二十七年度の二箇年はなお援助が続く、こういうことになりますが、私の御質問申し上げたいと思います趣意は、従来国民の一部やあるいは政党の一部等の人々によりまして、日本経済の自主性と自立とに関して相当強く論議をせられたことは、安本長官も御承知の通りであります。ところ日本は終戰以来今日まで多くの食糧や物資を外国に仰いでおり、産案資金をガリオア及びエロアとして米国に援助を受けて来たのであります。日本がかように重要原料や資材を外国に仰ぎ、産業復旧資金を外国に求めねばならぬ実情であつた以上、わが国経済の自主、自立ということを強く要求することは不可能であるべきはずであつたのであります。單に無條件降伏をいたしたからというのでなく、関係国が援助をいたす資金による経済でありますから、これらの関係国のさしずを受けるということは当然なことであつた、こういうふうになるのでありますが、言わんとするところは、なお二箇年あとにこの援助資金が続くのであるとするならば、今日わが国民及び政党の一部の人々が考えておりますように、近く講和が達成せられればただちに経済の自主、自立ができるかのような議論及び錯覚に対して、一大反省を促しておかなければならぬという点であります。特に近く講和が結ばれるという気構えの中におきまして、そういうふうな状況であるのだから、たとえば、何はさておいても国民生活の水準を、一挙にして戰争前の状態に復帰せねばならぬというような、軽々しい議論をいたすものもあるようであります。もとより国民生活の水準を早くすることは、われわれもこいねがうところでありますが、この経済の自主性がない限り、一方だけのことを主張し議論をいたしましても、とうていそれを行うことは困難だということなのでありますから、これらの一番大事な点を取落しておる考え方に対しましては、講和を間近に控えた今日におきまして、十分の反省と覚悟とを求めておかなければいけないと思うのであります。また従来しばしば政府が言われたように、米国の対日援助資金米国国民税金負担においてなされておるというのでありますから、米国といたしましては、この援助資金が少しでも早く軽く、そうして早くなくなることを希望するのは当然であると思うのであります。ところが、さき申しますように、引続き向う二箇年間この援助資金がわが日本に與えられるのでありまするならば、また御計画自立三箇年計画の中にこれを織り込んであるといたしまするならば、この自立計画はいたしましても、あるいは自主性にいたしましても、これらの資金を出してくれた関係国から相当のさしずを受けることは当然なのであります。かく考えて参りますならば、現在といえども、近くでき上るところの講和條約の後におきましても、この産業復興のための資金——できるならば二箇年のものを一箇年にでも終らしてしまいたいというこの資金計画をどうするか、こういうことが最も大事な問題である。講和條約に臨むにあたりまして、この問題は最も大事な問題だと思うのでありますが、幸いにして長官の御説明によりますれば、三年目からはこれを受けなくともやつて行ける計画だ、こういうのでありますが、その三年目から、具体的に申しますならば、どういうふうなやり方でこれを達成し得られるというのでありますか。おさしつかえなければ、できるだけ詳細に御説明を伺いたいと思うのであります。
  61. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お話の点もつとでありまして、われわれ政府といたしましては、お話のような考え方をする人もありますので、絶えず機会をとらえて主張いたしておりますことは、講和條約に調印すること自体では真の独立にはならぬのだ。従つて講和條約の調印をいうことは、政治的の独立を回復するために絶対に必要であることはもちろんでありますが、真の独立は経済的の独立が成り立つて、初めて全しと言い得るということを絶えず主張している点であります。従いまして、今のような状態におきましては、なお二十八年度におきましても、実は最小限度と申してもいいような計画でありますが、国民生活の水準は昭和七—十一年の約八九%、九〇%に回復する。しこうして他人のやつかいにならぬために、收支のバランスを合せることといたしましては、大体の見込みは輸出十五億五千万ドル、輸入十七億ドル、そのほか貿易外の收支が二億近くで、大体国際收支のバランスをとる。こういうことにいたしますためには、日本の鉱工業生産指数は戰前の一三一、産業生産指数は一四一という程度までに引上げることが必要である。それに必要なる食糧の自給度は、大体二十八年度においては九百万石の増收をはかり、二十九年度において初めて千二百万石の増收の計画である。     〔橘委員長代理退席委員長着席〕  しかしてこれを達成するに必要なる電源開発については、新規の電源は水力、火力合せて九十七万キロワツト・アワーというような計画を進め、それで従来からあるものを合せまして、総需用おいての合計が三百五十万キロワツト時というような形に計画を進めているのであります。それに対して船舶は、昨年の十二月を現在としての四十三万トンの外航船を、二十八年度に至つて約百九十二、三万トンまでの船の保有に引上げたい。こういうことをいたすことによりまして、大体貿易のバランスを上げつつ、国民生活水準を戰前の約九〇%にまで持つて行ける、こう考えております。しかし今最後にお話なつた点から考えましても、どうしてもこれたを一年でも早く達成して、ごやつかいにならぬようにするためには、よくそこらのことを国民が自覚されて、たよるべきものはやはり日本民族お互いであるということであるならば、自分らのうちに資本の蓄積をするということが必要になつて参ります。その蓄積された資本によつて、これらに対する今後における所要の資金計画が円滑になるということであります。こらに対しましては、個人の家計また企業そのものに対する資本蓄積がなし得るよう、このたびの国会におきまして、それぞれ税制並びに金融上の措置を講ずるつもりであります。いずれにいたしましても、国民みずからの自覚による資本蓄積によつて資金計画が円滑になり得るようにする。そのことと、輸入関係がうまく進捗いたしますならば、予想外に早く自立の達成ができるかもしれないと思うのであります。
  62. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで先ほどもお述べになりましたように、自立計画は国際收支の均衡をはかるだけではなくて、その国際收支の適合をはかりながら、日本経済の円滑な運行、すなわち再生産を確保することを目的としているのであるという御趣旨の通り、了承いたすのでありますが、従いましてこの行き方を達成いたしますためには、現在のような国際政局の変動がはなはだしいときにおきましては、原料というものの入手には相当の困難を見つつあるであろうことは、想像するにかたくないのであります。つきましては、これらの必要なるところの原料、材料というものを入手するために、どういう計画、どういう手段を立てておいでになるか。この点もできるだけ詳細にお伺いいたしたいのであります。
  63. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御質問の点につきましては、これは自立計画の達成の上からはもちろんのことでありますが、現在の危局を乘り切るためにも、ぜひ輸入の促進をはかることが必要なのでありまして、それにつきましては、昨年下半期以来輸入に関する諸般の手続を思い切つて簡素化して、また外貨資金を高度に運用する。すなわち従来上半期までは四半期ごとの輸出からの受取り勘定をもととして、その範囲にのみ輸入が許されておつた行き方を改めて、相当長期にわたつての受取り勘定を頭に置きつつ、外貨資金の許可をするというふうなかつこうで、七月以降ことしの三月まで、すでに十五億程度輸入許可資金の決定を見ておるわけであります。  さらに輸入に関しては、従来割当制が主でありまして、どこの国から何を何がしという程度に一々許可しておりましたのを、ほとんど百二十品目にわたる品目を自動許可制にして、どこの国からでも、どれだけでも早く輸入を確保することを許すというようなかつこうにいたしました。また従来ポンド地域における関係はかなりきゆうくつでありました。これはいつかの機会にも申し上げましたが、ポンド地域からの輸出入に関しては、従来五千万ポンドの範囲でありましたが、今度はおのおの八千五百万ポンドというところまで許されて来たのであります。こういう資金関係、あるいは輸入手続に関する関係を改善いたしますとともに、輸入資金について円資金の供給を円滑にするということと関連いたしまして、いわゆるユーザンス手形の制度を立てた。これは結局日本に送り状が届いてから以後百二十日間の手形を出して、ドルの決済は日本銀行から外貨を出して納めて、円での支拂を百二十日以後においてなし得るというような制度をとつたのであります。今後におきましては、このユーザンスの期限をさらに延長するということも考えております。こういう資金面並びに輸入手続の問題を解決する一方におきまして、今日といたしましては、かなり世界的に買付競争が多いのであります。稀少な物資については、おそらくいろいろ割当ということが世界中に起ると思いますが、それらに関してわれわれとしては必要な物資、ことに食糧、原綿、塩、鉄鉱石、粘結炭というような重要物資については、特段の注意を拂つて関係方面と折衝を続けております。あるものについては相当買付は済んでおります。残るところは今後は船舶の問題であります。われわれはそういう意味におきまして、船舶の増強の施策を立てております。施政演説にも申しておりましたが、結局自国船を早く持つということで、新造船についての思い切つた資金の融通、買入れまたは用船等についてもそれぞれ手を打つておるわけであります。こういうことの処置をつけつつ、輸入の原材料の確保に努めて行きたいと思つております。
  64. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで今お述べになつたよう貿易の増進対策と申しますか、輸入対策と申しますか、そういうことのだんだん推進され強化されて参りますに従いまして、希望質問を申し上げておきたいのが二点あるのであります。それは外為委員会は、單に外貨管理を行わせるだけにとどめるお考えはないかどうかということが一つ、もう一つは、為替のオペレーシヨンは專門の民間業者にまかせられる意思はないかどうか。この二点を伺つておきたいのであります。
  65. 周東英雄

    ○周東国務大臣 今日のような事態におきましては、外国為替の関係においての所管はいろいろ分割されておる状況であります。これは今日までの状況としては、その方が都合がよかつたためであります。今後の処置といたしましては、外為特別会計というものをどういうふうに活用されるかということについては、目下愼重に研究中であります。
  66. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点は了承いたしました。  次に伺いますのは、食糧増産及び農業、林業、漁業経営の安定策に関することでありますが、食糧増産の経費が、二十六年度には二十六億円計上せられて、前年度に比較をいたしますると、約十億円の増加であるようであります。そのほか公共事業費中の漁業関係予算も、相当増額をせられておるのと、さらに農林漁業金融特別会計の設置にかかる資金の確保等によりまして、いわゆを興農施策が推進せられるとともに、米価の生産価格も四千四百万円であつたものを、一躍五千二百二十九円というものに引上げられましたことや、あるいは長期低利の融資、農業共済保險基金設定等によつて、興農興漁経済は、相当充実するとは思うのでありますが、政府の目ざすところの食糧の一割増産というものは、この予算程度をもつて達し得られるという御確信があるのであるかどうか。この点を伺つておきたいのであります。
  67. 周東英雄

    ○周東国務大臣 詳細はまた適当な機会に申し上げますが、食糧増産というものに関しましては、二十六年度もとよりでありますが、先ほどの日本自立経済達成のためには、三箇年計画が一貫した計画になつておることを御承知願いたいと思います。その一環として二十六年度には、ただいまお話になりました二十六億は、増産という特別な項であつたと思いますが、そのほかに公共土木事業による農業関係経費は、昨年はたしか八十五億くらいだつたと思いますが、二十六年度は百十九億、約三十五億ほど増額いたしております。さらに今後の考え方といたしては、政府財政予算の上だけでなくて、公共土木事業でやり得ない小さな土地改良というようなものに対しては、農林漁業金融資金を出して、これをもつてやらせたいという考え方で、初年度たしか六十億程度のものを融資する考えで進めておるのであります。その他にも今度から農業災害保險関係の共済基金として、二十五億を計上いたしたのであります。こういう方面から積極的に土地改良に重きを置いての増産、災害に対する補償ということによつて生産力を増強し、または減殺しないような方法をとるということが大きな建前であり、続いては優良肥料の配給なり、あるいは害虫駆除予防というような施設に相当金を出して、減耗するものを防ぐことによつての食糧の消極的増産の方策をあわせ考えて、今の目標を立てておることを御了承願いたいと思います。
  68. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御答弁の中で農業共済保險基金の問題につきまして、午前中大蔵大臣にも質問を申し上げたのでありますが、念のためあらためて安本長官にも質問を申し上げておきたいと思うのであります。  それは農業共済保險制度は、まことに趣旨、目的においてはりつぱなものでありながら、従来基金会計がなかつたがゆえに、組合等においては非常に困つておる実情を、私どもはよく承知をいたしておるのであります。昨年来大蔵大臣や農林大臣安本長官などのところにも、再々それらの方面かり強い陳情があつたのでありますが、大体私どもの承知いたしておる範囲内でも、全国のおもな組合では、二十五年度支拂いさえもおおよそ数十億に達するようなたくさんのものを、一時組合が便宜的に他から借りかえて支拂つておるという状況であつて、何らかそれらの問題を打開する方法政府が講じてくれなければ、どうにもこうにも行かないという窮境に陷つておるようであります。でありますから二十五億を予算の上に立てられたことは、まことに農業者といたしましてもありがたいことではあるが、もう少し何とか大きな手をお打ちになる必要があるのではないか。午前中の大蔵大臣の御答弁によりましては、その問題は実情に即して何らか金融方法なり、その他の方法を講じてみたい、こういうことであつたのでありますが、特に安本長官は、この関係においては深い責任があることと思いますので、これらの問題を、單に二十五億をもつてというのでなくして、現在行き詰まつておる状態を打開する方法等について、何らかの御計画があるかどうか。これを伺つておきたいと思うのであります。
  69. 周東英雄

    ○周東国務大臣 農業共済保險制度に関する根本の問題については、今のままで置くことは不適当だという考えについては同感であります。池田君とも同じ意見でありまして、よく今後における情勢を考え、調査の上適当な処置すが、ことしの二十五億の基金制度ができたことは、従来の災害のあつた場合における支拂いの遅れたことを、急速に補つて行くことができることになつて、私は非常によい案ができたと思つております。根本においては大蔵大出の御意見と同じであります。
  70. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 どうぞこの問題はよく大蔵大臣とも御協議の上に、すみやかに具体的な対策をお立てくださるように希望いたします。  次に伺いますのは、二十六年度予算中に、建設的の資金が約三割ほど増加になつておるようであります。これは実質的には前年度の二十五年度と大差はないのではないかと思うのであります。すなわち公共事業費は二十六年度予算が一千百五億円でございまして、二十五年度に比較いたしますと七十四億円、すなわち七〇%の増加になつておるにすぎないのであります。もつとも二十五年度災害復旧費は全額国庫負担であつたものが、二十六年度は地方負担が三分の一になつておるのでありますから、それを加えますと事業量は若干上まわつておると思うのであります。その他国鉄、電気通信等の建設勘定を加算いたしますれば、建設的な支出の総額は約二千九百億円となるようでありまして、二十五年度に比較いたしますと三割方の増加となつておるのであります。しかしながら三割の増加程度では、物価の騰貴等を考慮に入れますれば、実質的には二十五年度と多くかわらないと思うのでありますが、この程度をもつて遺憾のないやり方ができるというお考えであるのか。あるいはまた他にも何らかの手を打ちたいという御計画でもあるのか。これを承つておきたいと思います。
  71. 周東英雄

    ○周東国務大臣 公共事業に関する増加額が少ので、物価の値上りから考えるとあまり大した仕事ができぬじやないかという御質問、これはもつともであります。私どももあらかじめ物価の上昇の関係は織込み済みで計画をいたしておりますが、土木事業といたしましては、二十六年度においては、ただいまのところ財政上の関係で、あのような額にとどまつたのでありますが、先ほど申しましたように二十六、二十七、二十八の三箇年の計画を一貫して、今後ともこれが増額については考えて行きたいと思います。
  72. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで関連いたしましてこの点も午前中大蔵大臣に一応質問いたしたのでありますが、安本長官にも責任をもつてお答えを願いたいと思うのであります。これは先の第九臨時国会におきましても質問申し上げ、ここに臨席の建設大臣からも御答弁があつたのでありますが、なお念のために伺つておきたいと思うのであります。それは二十五年度中災害復旧費は全額国庫負担であつたものを、二十六年度からは三分の一程度地元負担ということになつたのは、どういう根拠によつてこういうことになされたのかということと、前にも申しましたように、災害と申しますものは、地元で災害の復旧をする経費負担のできるだけの災害でありますれば、むろん問題はないのであります。それらの財源のない貧弱な町村といえども災害はやつて来る。そうしますと、三分の一程度の地元負担のできるところはすみやかに復旧ができるが、これらの財源のない貧弱な町村におきましては、いつまでも復旧ができない。そこへまた重ねて災害が出て来るということになりますれば、国土の頽廃の上からも、地元民の困窮の上からも、たいへんな問題だと思うのでありますから、こういうものに対する何らかの具体的な対策をお立てになることを、前の国会におきましても希望いたしておいたのでありますが、その後何らかの御計画ができておりますかどうか。こういう点について伺つておきたいと思います。
  73. 河野一之

    ○河野政府委員 災害復旧費の全額負担を一部地方が負担するように直したのは、予管編成方針にもあるのでありますが、従来の例にかんがみますと、全額国庫負担でやることにつきましてはいろいろと弊害もございます。また事業の総額をふやすというような意味合いもありまして、一部負担をするというふうに明年度予算からいたした次第であります。この負担割合の問題でございますが、二十四年度までは尾崎さん御承知の通り三分の二でありました。今後どういうふうにするかにつきましては、目下関係当局が集まつて協議中でございますが、尾崎さんの御趣旨にもありました通り、貧弱な地方団体においては、財源の関係から満足に旧ができないというような事情もございますので、すべて地方団体の財政状況に合せて、この負担割合を調整いたしたい。すなわち貧弱な団体というものは高率の補助ができるようにいたしたいと考えております。まだ成案としてまとまつておるわけではありませんが、当該団体の標準税收入を見まして、これと災害との倍率を見まして、場合によつては三分の二補助を、あるいは四分の三あるいは全額というふうに上げて参りたい、こういうふうな方向で目下討議研究いたしておる段階でございます。いずれ当国会に関係法案を提出したいと考えておる次第であります。
  74. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体午前中の政府の御答弁と同じようでありますし、今具体的に本国会にそれらの法案を提出をするという御答弁でありますので、それに期待を持ちまして、満足の意を表しておきます。  最後にもう一点だけ承つておきたいと思うのであります。この問題も前々国会以来本委員会におきまして意見を申し上げ、御質問申し上げたのでありますが、国土総合開発の一環として考えところの九州、特に南九州地方や四国地方に多いところのしらす対策、ぼら対策、こういう問題につきましては、かけ声だけでなくて、なるべく急いでおやりを願いませんと、現在農林省で若干の調査や若干の補助をやつておられる程度のものでは、とうていおつつかないので、ありまして、年々これらの開係地方の人々は、このために非常に困つておるようでございますから、いわゆる一省の所管としてでなくて、何らか総合対策を立てて、さき申しました国土総合開発の一環としての考え方から、大きな対策をお立てを願いたい、こういうことを申して参つたのでありますが、これらの問題につきましても、何らかの御計画が立つておりますかどうか。これを承つておきたいと思います。
  75. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お話の点はまつたく同感でありまして、今度の予算におきましては、経済安定本部の予算の一部をさいて、根本的なしらす対策に関する調査を実行するつもりであります。
  76. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 安本長官に対する質問は大体これで終ります。  次に、建設大臣に対しまして二、三点ごく簡單にお伺いを申し上げてみたいと思うのであります。それは従来から私は繰返しこういう主張を申し上げて参つたのでありまするが、わが日本のような災害が瀕発をする国土におきまして、災害の復旧ということで、復旧々々ということに追われておつたのでは、いつになつても完全な復旧ができないだけでなく、だんだん国土は荒廃をいたして参るのだ、こういうことを前々から述べて参つてつたのでありますが、この前の国会で建設大臣に伺いますと、災害復旧費の査定済みのものでさえも、二十四年度まで、いわゆる過年度分が五百億もの巨額に達するものがたまつておる、こういうことを前の国会で伺つたのでありますが、これらもいわゆる災害復旧どいう構想からやつて行くから、ますますこういうものが大きくなつて行くのでありますから、復旧から防止の対策に早く移つて行かなければいけない。それには一箇年か二箇年の間、何らかの方法で思い切り巨額な費用を予算の上にとつて、これをもつて復旧から防止の対策に移つて行くことが必要だ、こういうことをしばしば繰返して申して参つたのであります。また賢明なる建設大臣はこれに同感の意をしばしば表せられておつたのでありますが、この防止対策並びに過年度分の査定済みのもので五百億もたまつており、復旧未済の分がありますが、これらに対しまして何らかの御計画、御構想ができておるか。これを承つてみたいのであります。
  77. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 尾崎さんにお答え申し上げます。お説のごとく、私は災害の復旧よりも予防に力を入れるべきものであるということを、特に力説いたしておるものであります。そこで本年度予算に、しからば建設大臣構想は具体化されておるかどうかという御質問にお答え申し上げます。本年度は御承知のごとく、災害関係は、ただいま河野主計局長から御説明申し上げましたように、地方にも幾分負担をいたしてもらいまして、総事業量においては若干ふえる、こういうことにしてもらつております。復旧関係はそうでございますが、今度は予防関係はどうなるかと言いますと、たとえば河川改修費におきましては、本年度は百十七億でありましたが、明会計年度は、百五十八億にいたしております。それから砂防費は、本年度は十八億でございまするが、明年は三十三億でございまして、八〇%以上の増加である。一方も三十数パーセントの増額でございまして、河川改修全体から見ますと四三%ばかり、百三十五億の百九十一億、この数字の比率から見ますと、非常な増額をしてもらつておる次第でございます。  この増額をした五十数億の金をしからばどういう方面に使うか。私といたしましては、もとより治山治水、治山の方面につきましても、廣川農林大臣に特に力を入れてもらいまして、そうして山を治めることからやらなければいかぬと思つておりますが、濫伐過伐をわれわれがすぐに是正するというわけには行かないのでありまして、結局防災関係相当力を入れる。防災ということは結局河水統制であり、洪水調節である。この洪水調節、河水統制関係へ、ふえた予算相当部分を投入いたしたいと考えております。そうすれば、たとえば山林がりつぱでありましても、ある程度以上の洪水は防ぎ切れないという場合も、なきにしもあらずでありまして、洪水調節なり、河水統制の施設でがきますと、相当長時間にわたつて洪水を調節し得る、こういうことに相なる次第でございます。結局堰堤をたくさんつくり、ダムをたくさんつくることでありますが、今回ふえた予算相当この方面にまわしたい。しからば一体堰堤はどれくらいあるのか、こういう御質問に相なると思いますが、約四十億円でダムを建設いたします。見返資金の方からは今年は見込みがないのでございますが、見返り資金をもつて開始したダムの建設は継続いたしますし、新しく洪水調節のためのダムも本年度からは相当着手いたしたい、こう考えている次第でございます。
  78. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 建設大臣の積極的な御計画を喜ぶものでありますが、ただいま御説明の中に河水統制お話があつたのであります。いわゆる災害防止のために河水統制を行う。ダムをつくり、提防を構築して、河水統制を行うということはまことにけつこうでありますが、電力の問題とからみまして、ダムをつくることによつて、そのダムの水を利用して発電をする、こういう計画が最近特にあちこちに出て参つているようでありますが、本年度の新しい予算をお使いになるにあたりまして、一石二鳥と申しまするか、一方においては河水統制をやると同時に、一方においては発電をやる、こういうような方面に特にひとつお考えを願つて、有効にこれを御使用願いたい。これがいわゆる大事なことであると思うのでありまするが、ただ聞くところによりますと、よく災害防止のために河水統制をやつたところが、そこにダムをこうしらえたがために、災害防止の方の計画は第二義になつてしまつて、電力の方のことがおもになつてしまうという、こういうような例もあるようでありますから、そういうようようなこともお考えの上に、今申しましたなるべく電力の少いようだ地方で、災害の多いようなところから優先的におやりになるように、特に希望をしておく次第であります。  大体建設大臣に対する私の質問はこれをもつて終ることにいたします。  運輸大臣に対しまして、御質問を申し上げます。  まず国有鉄道の最近の復旧状況並びに採算の状況につきまして、大略のことをお伺いしてみたいと思うのであります。
  79. 足羽則之

    ○足羽政府委員 国鉄の最近の復旧の状況並びに採算の状況についての御質問でございますが、御承知のように、鉄道が戰災で非常な荒廃をいたしまして、また戰争の間非常にこの保守の面が低下して荒廃をいたしたのでございますが、まず現在におきましては、一応輸送に一番関係のありますいろいろな施設あるいは車両については、一応その整備復旧を完了いたしております。ただしかし戰災によつてこうむりました建物の関係とか、その他いろいろの輸送に直接関係のない施設におきましては、まだ十分には復旧が参つておりません。輸送に直接関係のある施設といたしまして、線路の関係あるいは鉄道の通信設備の関係、あるいは車両の関係ば大体百パーセント復活をいたしたのであります。しかしその後輸送量も漸次増加して参つておりまして、今後なおそれらの面につきましても、これを質的に整備向上する必要があるというふうに考えておる次第であります。  なお今施設の関係について申し上げたのでございますが、この輸送力の点はどうかという点でございますが、昭和十一年の戰争前と比較いたしまして、これを輸送する力、列車の列車キロ、つまり列車の走る長さ、設定キロで大体申し上げますと、昭和十一年に比較をいたしまして、旅客につきましては、それの約七五%前後を回復をいたしております。それから貨物につきましては、昭和十一年ごろ動いておりました列車よりは、さらに現在のところは二割五分前後列車キロが多くなつておる。大体その程度に復活をいたしております。  それから現在の採算はどうか、こういうお話でございますが、今年度初は予算予定いたしましたよりは、少しずつ輸送量が減少しておつたのでございます。しかし朝鮮事変の影響を受けたせいもございましようか、最近に至りましてはやや輸送量も増加して参りまして、旅客におきましては、大体当初の予想とあまりかわらないのでありますが、貨物につきましては、年初の予想よりは相当輸送量もあるいは上まわるのではないか、こういうふうに想像いたしておるのであります。従つて運輸收入におきましても、多少上まわるのではないか、こう考えております。ただしかし輸送量の増加に伴います経費の増、あるいは最近の物価の値上りというような点をにらみ合せまして、大体この收入の増加、そういつたものが極力資材を重点的に使用いたしながら、大体見合うのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  80. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 運輸大臣がおさしつかえでお見えにならないようでありますから、運輸大臣のかわりとして、今の足羽局長にもう一点伺つておきたいのであります。それは鉄道建設の問題であります。戰時中以来中止されておりました鉄道の新しい建設を早く着手しなければならない。いわゆる国土の有効利用の上から考えましても、経済開発の上から考えましても、交通文運の発展の上から考えてみましても、鉄道の新しい建設を早くやつてもらいたいということを、長い間私どもはこの国会において要求をいたして参つたのであります。幸いこの問題につましては、野党の諸君までが同調いたしまして、二回にわたつたる決議案を上程いたし、なおさきの第九国会におきましては、運輸委員会において鉄道建設審議会というものをつくれという決議をいたして参つたのでありますが、それらに対するどういう御用意ができたかということを、まず伺つてみたいのであります。
  81. 足羽則之

    ○足羽政府委員 新線建設の問題につきましては、ただいまお話のありましたように、非常に御要望も強い次第でございます。長い間新線の建設を中止しておりまして、ことに終戰後はずつとほとんどいたしていなかつたのでございますが、そのために地方の経済開発あるいは交通系路を正す、こういう点からもこの新線の建設を御希望になる声が非常に強いのであります。また戰争がありましたために、一旦着手しておりました路線で、これを中止しに路線も二十数線ございまして、これは今相当の費用を投じて、相当程度進捗いたしており、いろいろそうした線もあり、あるいはそうした御要望もありまして、そうした線を新しく建設をして行くことを真劍に考慮する、こういう時期が参つているというふうに考えられるのであります。これを今年度予算に具体化いたしますために、いろいろ検討いたしたのでありますが、まず当初は道路をつくると同じような考え方で、国策上必要な建設線に対して、公共事業費から財源を充当してはどうかとうい点について、関係官庁間でいろいろ討議をいたしまして、大体その方向で話を進めて参つておりますが、来年度の公共事業費についてそうした使い方が認められなくなつて、その点についてはどうもそういうふうにすることができないことになつたわけであります。そこで、なおしかし新線の建設についての予算を計上したいということで、いろいろ折衝して参つたのでありますが、現在のところでは、一般の工事勘定の財源の中から、津軽線とそれから赤穂線と窪川線でございますが、この三線に対する建設費は約三億二千万円余になるのでございます。これは認められまして、なおそれ以外の新線建設に対する予算関係方面の了解を得られませんで、現在お手元で御審議をいただいている予算書には、その新線の分についての点は計上してないのでございます。しかしその点について私たちなお事務的には折衝を重ねて、何とか新線の建設について予算を充当していただきたいという点についても、努力検討しておる次第であります。
  82. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 なおこの問題について伺いたいのであります。努力中であるとおつしやる窪川線と津軽線と赤穗線以外の、場所はどことさしませんが、なおその他について、少くとも本年度中に三本ないし四本は建設に着手してもらいたい、こういう要望をいたしておるのでありまするが、それについてのお見通しはどうであるか。その点を伺いたいのであります。
  83. 足羽則之

    ○足羽政府委員 新線の建設について現在までいろいろ折衝いたしておりますところでは、はつきり申し上げますとなかなか困難をきわめております。一方に、現在の情勢では輸送量が事変の影響で非常にふえるのではないかという見通しもありまして、一般の工事財源を主として車両費の方に充当すべきであるという意見が相当強うございまして、それらの点もあわせて考慮して——その必要は十分認めるのではございますが、そうした点も考慮して、なお新線の方に若干の財源を充当すべきであるという建前でいろいろ検討をいたし、また折衡を重ねておるのでございますが、なかなか困難をきわめておる次第でございます。
  84. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 この問題につきましては、この委員会においてお話ができない点もあろうかと思いますので、この辺でとどめます。  次は海運の現在の状況、並びに現在最も大きな問題となつておりますところの船舶の建造の状況につきまして、大略伺いたいと思うのであります。
  85. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 尾崎君に申し上げますが、やはり大臣がおりませんので、海運局長でよろしゆうございますか。
  86. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 やむを得ません。
  87. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 海運の状況でございまするが、昨年十二月トルーマン大統領の非常事態宣言で、世界的に船腹不足の状況が非常に顯著になりまして、日本関係におきましても、東洋方面に就航いたしておりました外国船が相当量引揚げられた。従つて輸入せらるべき物資のうちで相当のものが、船腹不足のために行き悩んでおるという状況でございます。これの具体的な事象を運賃について見ますると、たとえば北米から日本への小麦の運賃が、十一月ごろには八ドル程度であつたのであります。それが現在十六ドル、また用船料にいたしましても、リバテイー型で一重量トン二ドルあるいは二ドル半程度であつたのが、現在では五ドル程度に上つているというふうな、非常に船腹不足の状況であるわけであります。来年度輸入状況からいたしまして、遠洋から帰つて来ますものを半分だけ日本船でとらなければならぬ。かように想定いたしました場合に、年度当初の第一・四半期におきましては約九十万重量トン、第二・四半期には七十万重量トン、第三・四半期には六十万重量トン、第四・四半期には四十万重量トンという、相当大きな不足が見込めるわけであります。かような状況に対しまして、政府といたしましては、この船腹増強に対しあらゆる方策を講じておるのであります。そこで新造の状況でございまするが、二十四年度におきまして二十八万総トン、重量トンで約四十五万重量トンの船腹を建造いたしまして、これが目下続々進行中でございます。さらに同様二十四年度に約二十八隻の一万トン級戰標船を改造いたしまして、これも同様現在進行中でございます。二十五年度の初めにおきましては、外国階級を持つております船は約二十万重量トンしかなかつたのでございます。これがこの年度末には約百十万重量トン程度になつております。なお二十五年度におきまして、当初二十万トンしかつくれない予定でありましたが、いろいろさしくりまして二十四万総トン、重量トンにいたしますると約三十六万重量トン余りの船を起工することにいたしたのであります。これは本年の十月から十二月、あるいは来年の一月ごろにはでき上る予定であります。なお緊急の措置といたしまして外国船を買うこと、並びに用船することにつきましても、あらゆる方策を考えておるのであります。これが融資につきましても、大蔵省等の協力を得まして、でき得る限りの道を講ずるように目下方法を講じております。
  88. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 なおついでに海上保安庁の現在の警備の状況、並びに海上保安庁に必要なる船舶その他の建設計画、そういうことの大略を伺つておきたいのであります。
  89. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 尾崎君、長官はただいま洋行中でこちらにおいでになりませんので、次長でございます。
  90. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁といたしましては、昨年の七月の八日にマ書簡をいただきまして、これによりまして現在の海上保安庁の最も欠陷とする船復の整備計画というものを立てまして、これによりまして現在海保安庁といたしましては、船舶の状況は巡視船が約六十隻、そのほかに港内艇とか、あるいは小さな船舶あるいは燈台用のもの、その他合せまして三百二十九隻でございます。これに対しまして、今年度計画いたしております船舶は、二十五年度正規の予算といたしまして、巡視船その他二十九隻をつくることになつております。このほかマ書簡によりましての増強を申し上げますと、これにプラスいたしまして、巡視船その他約八十隻が、二十五年度及び二十六年度予定になつております。これによりまして一応海上保安庁の業務はやや整備の運びに相なりますが、なお相当の不備があるものと考えます。なおそのほかに二十六年度の正規の予算といたしまして、巡視船その他九隻を建造の予定にしております。これに伴いまして人員の整備状況を申し上げますと、人員は現在におきまして約九千、こまかく申し上げますと九千七十五名ということになつております。これを二十五年度におきまして二千二百四十六名の増強をいたしまして、さらに二十六年におきまして二千四百五十名の増強をいたします。以上船舶の建造と相まちまして海上の安全を期したい、かように考えておる次第であります。
  91. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それでは吉田総理大臣に対する質問だけを留保いたしまして、その他のものは一般質問の際に讓ることにいたし、本日はこれで終ります。
  92. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 明日は午前十時より開会いたしまして、総理大臣に対する質問を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十三分散会