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1951-03-29 第10回国会 衆議院 郵政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 白井 佐吉君 理事 吉田  安君    理事 受田 新吉君       佐藤 親弘君    島田 末信君       高木 松吉君    高橋 權六君       坪川 信三君   橋本登美三郎君       降旗 徳弥君    山本 久雄君       田島 ひで君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田村 文吉君  出席政府委員         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (郵政局長)  浦島喜久衞君         郵政事務官         (貯金局長)  白根 玉喜君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      金丸 徳重君  委員外出席者         参  考  人         (日本新聞協会         事務局長)   津田 正夫君         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 三月二十九日  委員江崎真澄君、中野武雄君、長尾達生君、平  澤長吉君及び林百郎君辞任につき、その補欠と  して高橋權六君佐藤親弘君、島田末信君、橋  本登美三郎君及び田島ひで君が議長の指名で委  員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  陸中中野郵便局集配事務開始請願山本猛  夫君紹介)(第一五八〇号)  西根村に郵便局設置請願圖司安正紹介)  (第一五八一号)  醍醐村に郵便局設置請願圖司安正紹介)  (第一五八二号)  簡易生命保険及び郵便年金積立金融資再開促  進に関する請願山手滿男紹介)(第一六一  八号)  同(岡西明貞紹介)(第一六五一号)  同(柄澤登志子紹介)(第一六六六号)  百人町に特定郵便局設置請願石原登君紹  介)(第二八三八号)  豊浜町字中須地内に郵便局設置請願早稻田  柳右エ門紹介)(第一六六五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第五九号)  郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  五号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 それではこれより会議を開きます。  前会に引続き郵便法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を継続いたします。  なお本日は日本新聞協会事務局長津田正夫君が参考人として御出席になつておりますので、あらかじめお知らせいたします。それではこれより津田参考人より、本案二十三条第三項の改正規定に関する意見を聴取いたしたいと存じます。津田参考人
  3. 津田正夫

    津田参考人 今回の郵便法の一部を改正する法律案は、われわれ、新聞業につきまして重大な問題でございますので、一昨日緊急に新聞協会理事会を開きまして、その結果私が意見皆様に具申することになりました。その第一点は、第二十三条の第三項第三号に、新しく「広告掲載部分印刷部分の三分の一以下のもので、」を加え、これに対して第三種認可を与えるという規定でございます。ところがこれは、御趣旨はおそらく広告を三分の一以上載せるような新聞はあまりいい新聞じやないという御趣旨だろうと思うのでありますが、こえはわれわれから見ますとたいへんな間違いで、現在の実情を申し上げますと、お手元に配付いたしました統計表でおわかりの通り、最近の一月、二月の数字を御参考になりましても、朝日新聞毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞東京新聞という東京の一部のものを見ましても、全部が三割以上、すなわち三分の一以上になつておる。一月は広告が多いからそうじやないかとおつしやいましようが、二月の広告が少いときでもやはりそういうような数字になつております。毎日新聞の三八%を一番上といたしまして、全部三割以上になつておる。そういたしますと、こういうような新聞がやはり三種取扱いを受け得ない、ろくでもない新聞ということになるわけであります。これは現在用紙が非常に不足しておりますから、こういうふうに圧縮された広告面になつておりますが、今後用紙が潤沢になりまして、新聞ページ数がふえますれば、ますます広告の占める。パーセンテージがふえて来る。こういうことは過去の事実をもつてしてもわかると思うのであります。  それからなぜ広告をこういうふうにふやすかと申しますと、広告収入は、日本新聞協会の調査によりますと、各社では大体収入の三七%くらいになつております。これを一部当りの数字にいたしますと二十八円ということになつておる。二十八円あればこそ、現在七十五円という安い新聞定価でできるわけであります。これがもしも二十八円が二十七円になりますれば、もつと高い新聞をつくらなければならぬ。こういうことになりますので、広告はわれわれにとつて非常に重要である。ところがもしも三分の一以上載せるのが新聞としてあまりいい新聞でないという御判定になりますと、これは事実と非常に違うことになるのであります。それからまた現に公告を新聞紙に掲載しろというような法律がまだ大分ございます。ちよつと拾いましただけでも、商法の百六十六条とか、破産法手続規定とか、非訟事件手続法、そういうものがございます。もしも三分の一以上になるからこういうものはお断りすると申しますと、これはとんでもないことになりますし、皆様方に御関係の公職選挙法第百四十九条でも、公職候補者は一回だけ新聞無料広告ができる、その場合に三分の一以上になるから、新聞広告はお断りするということになりましたらどういうことになりますか。そういうような例はいくらでもございますが、それはさておきまして、もしもこういうような新聞三種認可を取消されたといたしますと、結局現在の三種は八十銭でやつておりますのが、一挙にして六円でやらなければならぬ。これが非常に少数の新聞ならばよろしゆうございますが、お手元のこの小さな紙に書いてありますように、現在日本全国では約百五十万部という新聞郵送になつております。これの全体の郵税は、計算いたしますと二十八億円という負担になるのでございます。読者の場合から申しましても、郵送料が二十四円のが、一挙にして百八十円になる。そうすると郵送を受けておる読者は、一箇月に二百六十円という新聞代を払わないと読めない。それもごくわずかな読者ならよいが、今申し上げましたように、百五十万という読者が読めない。ことに東北、北海道、九州というような地区のように、山村の多い所では、そういう読者が多いのでありますから、自然そういう読者が事実を知る権利をはばまれるということになりますので、これはわれわれとしても非常に重要に考えておる次第でございます。また新聞広告を三分の一に法律で限定するということは、やはり新聞政策の方針を法律で制限するようなことにもなりますので、この意味におきましても、われわれはこれに反対をしたい。  次に第二の点でありますが、第二十三条第三項第一号に「毎号千部以上を」と修正を加えようとする点であります。御当局の御説明によりますと、千部以上に限定した理由は、千部以下では、現行法の「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」と規定されている、そのあまねくという趣旨に合致しない。こういうふうに理由づけられておりますが、これは私どもとして首肯しがたいことであります。もう一つは、現在総司令部新聞政策として、地方のコミユニテイー・ペーパーという小さな新聞を盛んに奨励しております。そういうものが第三種新聞取扱いを受けないということにもなりますので、これもわれわれは文化的政策の見地から全面的に御撤回になるように望むのであります。それから御当局の御説明によりますと、今まででも内規でやつていたので、今度法文にしてもさしつかえないのではないかとおつしやいますが、一旦法文になりますと、そうは参りません。内規の場合には郵政当局にわれわれがいろいろ御説明申し上げればおわかりになるかもしらぬが、一旦法律になりますれば、この解釈は郵政当局がなさるのではなくて、法務当局がされ、また裁判所がするのであります。その場合、一旦こういうふうに法文になつてしまいました場合は、われわれはけんかをしても武器を持つていない。きめられたからには、それに従わなければならぬ。こういうような事情にありますので、内規と今度の法文になるということとは非常に違う。だから何でもない、今まで通りだという御説明は、私には首肯できない。大体以上の点で、今度の法律案は御撤回になられるように、われわれ新聞協会理事会では決議いたしました。それを皆様にただいま御伝達いたしまして、御賢察を仰ぐ次第であります。
  4. 池田正之輔

    池田委員長 この際津田参考人に御質疑があれば、これを許します。
  5. 受田新吉

    受田委員 ただいま御説明になりました、この改正案に対する御意見でありますが、それに関連しで新聞広告の面を記事の面と比較しての比率新聞によつて違つています。非常に広告を多くとる新聞と、日経のごとく非常に広告の少い新聞がありますが、そういう問題について、新聞協会広告面はどのくらいにしようというような内々の申合せでもしておられますか、お尋ねします。
  6. 津田正夫

    津田参考人 協会では別にそういう申合せというものはいたしません。またそういう申合せをいたしますことは、いろいろな法律に抵触いたしますので、申合せはいたしません。大体現在の実情が三割以上になつておるということで、新聞協会としてはそれについて何も関係しておりません。
  7. 受田新吉

    受田委員 第三種郵便物認可内規が、三分の一の広告面ということになつていたことは御承知になつておられるようでありますが、これに対して、ある新聞は、収入の増大をはかるために広告に重点を置く傾向があるという場合には、もちろん読者の方で批判批判を加えて、この新聞は少し商業的な性格が強いからあの新聞に行こうとか、漸次判断を下すようになると思うのですが、そうした新聞社相互の間の自粛自戒というような点について、何か協会の方でお考えになつておることはないでしようか。
  8. 津田正夫

    津田参考人 お答えいたします。そういうふうに非常に広告が多くなりまして、重要記事が抜けるというような場合には、われわれの中に、各社編集局長で構成しております編集委員会というものがありまして、これはきわめて自主的なものでありますが、そこでいろいろ討議いたしますので、そこの意見交換によつて広告面が非常に多くなることによつて重要記事の逸脱するということは自然に避けることができると思います。新聞協会編集委員会というものは、何も権力を持つておるわけではありませんので、ある社に対して、広告が多過ぎる、記事が抜け過ぎるということで文句をつけるということはできませんが、現在はそういうふうなやり方で目的を達しておるように考えます。
  9. 受田新吉

    受田委員 ただいまもしこれが第三種郵便物から第四種に切りかえられた場合に、八十銭から六円に一躍飛び上るわけですが、そうすると、百五十万部を郵送しておる日刊新聞国民に与える負担額が二十八億増加するということでありますが、新聞社によれば、第三種で八十銭で済めば郵送にするが、少しでもこれが値上りするならば、特別に新聞配達の人を雇つてでも、特に販売店その他の人員によるところの特別な方法によつて郵送料負担に対する対策が立てられるとも思うのです。今は八十銭だから郵送で済むが、これが六円になれば、二十八億ということは、事実上としてはそうした配達方法——業として郵便配達をすることはできないように、法律規定されておりますが、しかし実際問題としてそういう方法がとられるとはお思いになりませんか。
  10. 津田正夫

    津田参考人 そういうことのために、おそらく読者にとりましては新聞定価が高くなると思います。新聞社は、もしもこれを負担して経営が楽になりませんと、結局購読料を上げなければならぬということで、これは読者に非常に迷惑がかかる。また今販売店のお話がありましたが、販売店にこれを負担させるということになりますと、現在の新聞定価構成要素である販売手数料がどうしても上らなければならない。そうすれば購読料をどうしても上げなければならないということで、同様に読者負担がかかることになる。そういうことで、これはぜひ避けたいというわけで御説明申し上げておるわけであります。
  11. 受田新吉

    受田委員 私は今参考意見を述べていただいたことに非常に感謝するものでありますが、農山漁村という文化に恵まれない地域人たちは、さなきだに文化面の吸収に非常に不利な立場にあるのですから、そういうところにラジオが聞えで行くとか、新聞配達されるということによつて、わずかに文化人としての血筋をわけてもらつておると思うのです。そういう点で、新聞社が努力をして、農山漁村に対する文化的な啓蒙をしていただくことには、非常な敬意を捧げますと同時に、今ここでひとつ考えてみたいことは、新聞定価が、どこに行つても、都会でもまた地方でも同じになつているが、雑誌の方は、地方定価中央定価が違つておるのです。こういう点について、そういう負担が増大する分についての負担額の一部を、地方民負担してもらうというような案を考えられたことはないでしようか。
  12. 津田正夫

    津田参考人 ただいまのところはそういうことを考えておりませんで、むしろもう少し安くしたいというふうに思つております。それから先ほどちよつと申し落しましたが、現在の購読料マル公でございます。もしもこういうふうにいろいろ出費が余分に多くなりますと、新聞社としてはそういうところに配れない——経営上、自衛上配れなくなるということを恐れておりますので、それを避けたいために、つまり現在のように、農山村に配りたいという気持から、今度の改正案に対して反対の意思を表しているわけであります。
  13. 受田新吉

    受田委員 私は重要案件について一応政府にただしておきたい点があります。それは小包郵便物についてでありますが、重量制限を六キロまで拡張したことに対して、その場合、それによつて従業員労働力負担増加という問題が考えられると思うのであります。そして重量の多いものを加えることによつて、今まで通り方法配達事務が円滑に行くかどうか。  もう一つ小包郵送速達考えておられるのですが、配達局より四キロ以内のものに対して、通常郵便物速達と同じようなことにして小包速達をやつたりされると、これは重い荷物でありますので、郵便物と違つて非常に労力過重負担になると思います。こういう問題について、政府としては十分その対策を用意しておられるかどうかをただしておきたいのであります。
  14. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 第一点の小包重量を六キロまで拡張するために、従業員労力が増加するのではないか、それに対する対策いかんという御質問でありますが、この点につきましては、戦前においては六キロまで取扱いをいたしておつたのでありますが、戦時中の事情によつて四キロまで重量制限をせばめたのでございます。しかし今日の状態におきましては、六キロまで広げましても業務運営上においてはさほど支障がない。むしろ国民小包利用されるのについて、より一層便益になる次第でありますので、今回この六キロまでの、すなわち従来よりも二キロだけ重量を重くしたものを取扱うということにした次第でございます。しかも重量別による小包利用者の多いのは、今日においては二キロまでが一番多いのであります。従つて四キロから六キロまでの分がどの程度あるか、これは一応の見込みでございますが、戦前状況からいたしますと、総小包数のわずか三%にすぎない程度でございますので、特にこのために現状においては人員を増加するまでの必要もないかと思うのであります。しかしながら、将来やはり重いものがたくさん出るようになると、現在の人員仕事ができないということになりますれば、考えなければなりませんが、とにかく過去の経験からいたしまして、わずか総数の三%程度でございますので、現在の人員で十分やつて行けるという考えを持つている次第であります。  第二点の、小包速達郵便を開始したならば、そのために配達上の労力増し、人をふやす必要があるのではないかという御議論でございますが、この点についても、やはり戦前小包速達を取扱つていたその当時の状況から見て、戦前の総小包物数も平均すると〇・〇一七という程度でございまして、数にいたしまして五十三万九千通程度でございますので、これまた現在の人員配置におきまして、この程度でございますと特に人をふやすといろ必要もないのじやないかと思うのであります。しかしながら、やはり物数というものは、国民側利用によりまして増減があるわけであります。どんどん速達小包利用されまして、物数がふえて参りますと、やはりこれに対しまして人員配置等について善処しなければならぬと考えておる次第でございます。
  15. 受田新吉

    受田委員 なお小包料金について地帯制の項でございますが、第二地帯料金は二キログラムまで四十五円、それから二キログラムを越えるごとに二キログラムまで十五円とあります。さらに第三地帯料金については、最初が五十五円、それの超過に対する料金が十五円でありますが、この十五円の分だけをそのままにすえ置いてある理由ちよつとお尋ねいたしたいのであります。超過分に対する最初の十五円の料金増し、この増しが一律に三十五円の場合、四十五円の場合、五十五円の場合と、全部超過分に十五円かけられるその理由についてであります。
  16. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 従来におきましては、小包料金均一制でありましたが、今回近いところを安くして、従つて遠いところは高くする、いわゆる料金を合理的にしたいという意味で、かように地帯制料金制とつた次第でございます。しかしながらこの地帯によります、また重量別によります料金は、できるだけやはり郵便仕事におきましては簡便でなければならぬ、お互いに局側も、また利用される公衆側におきましても、最も簡便でわかりやすいということが郵便料金をきめる上において最も必要な次第でありますので、従つて重量別段階における料金も、やはりそれぞれ同じ方法で十五円増しといたした次第であります。そうして距離による増し方は十円といたしたのであります。この距離による増し方は千円で、重量によります増し方が十五円というように差異がありますことは、これは一番近いところ、第一地帯で、いわゆる今度の改正によりまして市内小包と相なりまずいわゆる同一市町村内、あるいは同一郵便区域内の料金につきましては、現在二十五円、それから四十円、いわゆる十五円の増しになつておるわけであります。しかもこの一番最短距離間の料金につきましては特に料金をいじりませずに、この範囲を従来は六大都市だけの市内でありましたのが、全国市町村全部につきまして適用範囲を拡張いたしまして、料金の逓減をはかつた次第であります。一番最低の料金最初の出発が十五円刻みになつておりますので、やはり重量による区別も十五円刻みになつております。従つて地帯における重量別料金も同じような十五円刻みとした方が公衆側郵便当局側も簡便ではないかということが一つであります。それから距離別による十円の上り方につきましても、第一地帯の中で、いわゆる同一市内以外のところにつきましては、二キログラムまでは三十五円、これは現在の料金とかわらないわけであります。これは料金をいじらないで、そのまますえ置いた次第であります。従いまして、いわゆる同一市内が二十五円でありまして、そのほかの第一地帯が三十五円、つまり十円の開きであります。従つて第二地帯、第三地帯、第四地帯も十円刻みにしたい、こういうふうに料金簡易化ということが一つ考え方になつております。
  17. 受田新吉

    受田委員 遠隔の地になるほどこうした文化的な面における負担過重になるということは、先ほどの新聞送達においても同じことが言えるのですが、山間僻地郵便局舎のあるところ、あるいは遠いところにあるところは、むしろそうした意味において恩恵を多く与える必要があると思うのであります。もちろん運搬その他における負担比率は、ずつと遠隔に行くほど過重になることは当然でありますが、郵便政策立場から、山間僻地におる者も、都市におる者も同じ料金小包配達がされ、または新聞紙等も同じ料金で読めるというようなことが、社会政策立場からいつても妥当ではないかと考えますが、この問題について特に地域給の問題なども、ずつと山間僻地にある者はむしろ僻陬の地として特別の手当がいるというような議論もある今日でありますから、この点郵政当局としては、何か実際かかる経費の問題について、そうした交通不便なところにおける、遠隔地域の者に対する公平な負担という問題をお考えなつたことはございませんか。
  18. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 御承知のように、郵便事業公共事業でありますので、公益性を持つことは当然であります。しかしながら、いわゆる通常郵便物親書等とは違いまして、多少小包物件送達という性格を持つておる次第であります。従つて送達に要する経費等も、距離によりまして違うことは当然であります。できますならば、最も科学的、合理的な原価計算をいたしまして、そうして最も妥当な料金を決定すべきでありますが、これは郵便料金全体についての問題でありまして、目下郵政省としては検討いたしておりますが、とにかく今回の改正は、現在の均一制料金のその全国平均の建前からいたしまして、多少でもいわゆる物件送達郵便料金を合理的、基本的な料金のもとに、その第一歩に着手したいという意味から、今回地帯制とつた次第であります。従いまして、これを科学的な原価計算から、行きますと、当然遠いところはそれだけ経費がかかりますので、いわゆる受益者負担といいますか、それだけ利用価値があり、またそれだけ経費がかかるところは、それだけ多く負担していただくということがほんとうの公平の観念ではないかと思います。
  19. 受田新吉

    受田委員 もう一つ料金受取人払い制度をここで新しく設けられておりますが、これは実際問題として、これを利用する入は一般国民大衆にはきわめてまれであると思いますが、このようなまれな利用者の場合を特にここで規定する必要があつたのでしようか。
  20. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 主として通信販売あるいはその他の商業通信にこれが利用されると思います。しかしながら、やはりかような商業通信でなくでも、何らか会合を催される場合に、その回答を得たい、こういう場合に、やはりこの制度利用されます。必要があればだれでも利用できますから、ある特定の人だけの便宜をはかつたということけはないと思います。
  21. 受田新吉

    受田委員 これはちようどきのら小包はがきについて質問したのと逆な方向に行つておると思いますが、私製小包はがきをつくることを認めなかつたことと、それから特定料金受取人払い制度を認めるのは逆に考えられると思いますが、それはそれといたしまして、一応私の質疑はこれで打切りたいと思います。
  22. 池田正之輔

    池田委員長 他に御質疑はありませんか。——別質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  なおこの際御報告いたします。ただいま、本案に対する自由党、国民民主党及び日本社会党共同修正案白井委員より委員長手元提出されました。これは印刷物として各委員に配付いたしました通りであります。以上御報告いたします。  引続きただいま提出になりました修正案議題とし、その趣旨説明を求めます。白井君。
  23. 白井佐吉

    白井委員 各党の共同提案の形によりまして修正案が上程されて参つたわけでありますが、この第三種郵便物認可条件は、現行の規定で運用する上において大して支障がないと思うばかりでなく、さらに第二十三条第三項第一号中の「毎号千部以上を」及び同項第三号中の「広告掲載部分印刷部分の三分の一以下のもので、」、この二条件を加えることには相当研究の余地が多いと思います。よつてこの際これを明文化することは不適当と思いますから、右の意見を申し上げます。
  24. 池田正之輔

    池田委員長 これにて修正案に対する趣旨説明を終りました。引続き討論に入ります。  なおこの際、前回の委員会質疑を終了しております郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案の三案を追加し、ただいま議題となつております郵便法の一部を改正する法律案、及び本案に対する修正案とともに一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。田島ひで君。
  25. 田島ひで

    田島(ひ)委員 本四法案を一括いたしまして、共産党を代表して反対いたします。  特に郵便法の一部を改正する法律案は、その趣旨によりますと、郵便事業の円滑な運営とサービスの改善をはかるためといつておりますが、実際には、郵政事業の根幹であります日曜配達を現に廃止して、大衆サービスの剥奪をしているというようなわけで、その趣旨とは矛盾することが行われております。第二に、第三十一条の帯域制は、一番利用価値の多い第三地帯では、実際には七割の料金の値上げになつておりまして、現行法による料金は、わずかにその利用価値のない第一地帯だけになつております。こうした莫大な料金の値上げは——郵便料の値上げが実際には諸物価の値上げになりますことは、この前郵便料を値上げいたしましたときに、わが党としてはすでにそのことを申し述べておいたのでありますが、この値上げによつてやはり諸物価の値上げを伴うことを予想しなければならないと思います。特に本法案を実施されますと、一般の利用者の不便ばかりでなく、定員法以来従業員が非常に少くなつて、労働強化になつておりまする現従業員が、一層複雑な事務上の労働強化を強制されますことは明らかであります。これにマツチするような従業員の増加をはかつた上でのこういう法案でありますならば、もちろんわが党といたしましても特に反対する理由はございませんけれども、とうてい従業員の増加は望まれませんし、従業員の上に極度な労働強化、事務上の複雑化をもたらす結果になりますので、わが党は特にこういう理由に基いて本法案にも反対いたします。  以上四法案を一括して反対理由といたします。
  26. 池田正之輔

    池田委員長 受田新吉君。
  27. 受田新吉

    受田委員 私は総括的に討論をいたしたいと思います。  郵便貯金法の一部を改正する法律案及び他の二法律案については異議を持つておりません。  ただ問題は、郵便法の一部を改正する法律案で、特に先ほど来私が最後にお尋ねしたこの重量制限を拡大することによつて、あるいは小包速達制度をつくることによつて、もちろん文化生活がだんだん高くなつて来るのですが、これを利用する国民が非常に増大することはもう当然のことです。先ほど申された全小包数の中でごく一部しか今回新しく規定されるものに該当するものがないということは——漸次それが拡大されることは予想されることだし、また今申されたように、戦前でも小包は三%の重量制限があり、また速達でも一・七%の制限があつた。それを今再開すれば、その比率がずつと上まわることは当然です。ところが現在の人員を増加しないままでこれを負担することになると、過重負担になることはいまさらここで議論する余地がないのでありますが、こういう問題について、日曜の配達を中止するとか、いろいろ従業員に非常な不安と動揺を与える心配があると思います。この法案の実施とともに当然起るところの従業員の待遇の問題をあわせ考慮して、健全な郵政の遂行をはかれるよう、政府に一段の努力を要望して、この郵便法の一部改正法律案について社会党を代表して賛成するものであります。  以上、四法案に対して賛成の意思を表明し、なお修正の部分については当然賛成の意思を表明いたします。
  28. 池田正之輔

    池田委員長 これにて討論通告者全部の討論は終りました。よつて各案に対する討論はこれにて終局いたしました。  引続き採決を行います。採決の順序は、先ず郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して採決し、次に郵便法の一部を改正する法律案共同修正案を採決し、最後に原案について採決をいたします。  それではまず郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。右三案の原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  29. 池田正之輔

    池田委員長 起立多数、よつて右三案は原案の通り可決いたしました。  次に郵便法の一部を改正する法律案白井委員提出による共同修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  30. 池田正之輔

    池田委員長 起立多数、よつて修正案は可決いたしました。  次にただいま修正と決しました部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成立起立〕
  31. 池田正之輔

    池田委員長 起立多数、よつて郵便法の一部を改正する法律案修正議決いたしました。  なおこの際本日議決いたしました法律案委員会報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 池田正之輔

    池田委員長 御異議なしと認めます。よつてさよよう決しました。本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十八分散会      ————◇—————     〔参照〕 郵便振替貯金法の、一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)に関する報告書     〔都合により別冊附録に掲載〕