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津田参考人 今回の
郵便法の一部を
改正する
法律案は、われわれ、
新聞業につきまして重大な問題でございますので、一昨日緊急に
新聞協会の
理事会を開きまして、その結果私が
意見を
皆様に具申することになりました。その第一点は、第二十三条の第三項第三号に、新しく「
広告掲載部分が
印刷部分の三分の一以下のもので、」を加え、これに対して第
三種の
認可を与えるという
規定でございます。ところがこれは、御
趣旨はおそらく
広告を三分の一以上載せるような
新聞はあまりいい
新聞じやないという御
趣旨だろうと思うのでありますが、こえはわれわれから見ますとたいへんな間違いで、現在の
実情を申し上げますと、お
手元に配付いたしました
統計表でおわかりの
通り、最近の一月、二月の
数字を御
参考になりましても、朝日
新聞、
毎日新聞、読売
新聞、日本経済
新聞、
東京新聞という
東京の一部のものを見ましても、全部が三割以上、すなわち三分の一以上にな
つておる。一月は
広告が多いからそうじやないかとおつしやいましようが、二月の
広告が少いときでもやはりそういうような
数字にな
つております。
毎日新聞の三八%を一番上といたしまして、全部三割以上にな
つておる。そういたしますと、こういうような
新聞がやはり
三種の
取扱いを受け得ない、ろくでもない
新聞ということになるわけであります。これは現在
用紙が非常に不足しておりますから、こういうふうに圧縮された
広告面にな
つておりますが、今後
用紙が潤沢になりまして、
新聞の
ページ数がふえますれば、ますます
広告の占める。パーセンテージがふえて来る。こういうことは過去の事実をも
つてしてもわかると思うのであります。
それからなぜ
広告をこういうふうにふやすかと申しますと、
広告の
収入は、
日本新聞協会の調査によりますと、
各社では大体
収入の三七%くらいにな
つております。これを一部当りの
数字にいたしますと二十八円ということにな
つておる。二十八円あればこそ、現在七十五円という安い
新聞定価でできるわけであります。これがもしも二十八円が二十七円になりますれば、もつと高い
新聞をつくらなければならぬ。こういうことになりますので、
広告はわれわれにと
つて非常に重要である。ところがもしも三分の一以上載せるのが
新聞としてあまりいい
新聞でないという御判定になりますと、これは事実と非常に違うことになるのであります。それからまた現に公告を
新聞紙に掲載しろというような
法律がまだ大分ございます。
ちよつと拾いましただけでも、商法の百六十六条とか、
破産法手続規定とか、非
訟事件手続法、そういうものがございます。もしも三分の一以上になるからこういうものはお断りすると申しますと、これはとんでもないことになりますし、
皆様方に御関係の
公職選挙法第百四十九条でも、
公職の
候補者は一回だけ
新聞に
無料広告ができる、その場合に三分の一以上になるから、
新聞の
広告はお断りするということになりましたらどういうことになりますか。そういうような例はいくらでもございますが、それはさておきまして、もしもこういうような
新聞が
三種の
認可を取消されたといたしますと、結局現在の
三種は八十銭でや
つておりますのが、一挙にして六円でやらなければならぬ。これが非常に少数の
新聞ならばよろしゆうございますが、お
手元のこの小さな紙に書いてありますように、現在
日本全国では約百五十万部という
新聞が
郵送にな
つております。これの全体の郵税は、計算いたしますと二十八億円という
負担になるのでございます。
読者の場合から申しましても、
郵送料が二十四円のが、一挙にして百八十円になる。そうすると
郵送を受けておる
読者は、一箇月に二百六十円という
新聞代を払わないと読めない。それもごくわずかな
読者ならよいが、今申し上げましたように、百五十万という
読者が読めない。ことに東北、北海道、九州というような地区のように、山村の多い所では、そういう
読者が多いのでありますから、自然そういう
読者が事実を知る権利をはばまれるということになりますので、これはわれわれとしても非常に重要に
考えておる次第でございます。また
新聞の
広告を三分の一に
法律で限定するということは、やはり
新聞政策の方針を
法律で制限するようなことにもなりますので、この
意味におきましても、われわれはこれに
反対をしたい。
次に第二の点でありますが、第二十三条第三項第一号に「毎号千部以上を」と
修正を加えようとする点であります。御
当局の御
説明によりますと、千部以上に限定した
理由は、千部以下では、
現行法の「政治、経済、
文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを
目的とし、あまねく発売されるものであること。」と
規定されている、そのあまねくという
趣旨に合致しない。こういうふうに
理由づけられておりますが、これは私どもとして首肯しがたいことであります。もう
一つは、現在総
司令部で
新聞政策として、
地方のコミユニテイー・ペーパーという小さな
新聞を盛んに奨励しております。そういうものが第
三種の
新聞の
取扱いを受けないということにもなりますので、これもわれわれは
文化的政策の見地から全面的に御
撤回になるように望むのであります。それから御
当局の御
説明によりますと、今まででも
内規でや
つていたので、今度
法文にしてもさしつかえないのではないかとおつしやいますが、一旦
法文になりますと、そうは参りません。
内規の場合には
郵政当局にわれわれがいろいろ御
説明申し上げればおわかりになるかもしらぬが、一旦
法律になりますれば、この解釈は
郵政御
当局がなさるのではなくて、
法務当局がされ、また裁判所がするのであります。その場合、一旦こういうふうに
法文にな
つてしまいました場合は、われわれはけんかをしても武器を持
つていない。きめられたからには、それに従わなければならぬ。こういうような
事情にありますので、
内規と今度の
法文になるということとは非常に違う。だから何でもない、今まで
通りだという御
説明は、私には首肯できない。大体以上の点で、今度の
法律案は御
撤回になられるように、われわれ
新聞協会の
理事会では決議いたしました。それを
皆様にただいま御伝達いたしまして、御賢察を仰ぐ次第であります。