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1951-03-27 第10回国会 衆議院 郵政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十七日(火曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 白井 佐吉君 理事 風聞 啓吉君    理事 吉田  安君 理事 受田 新吉君       石原  登君    高木 松吉君       玉置  實君    坪川 信三君       降旗 徳弥君    山本 久雄君       土井 直作君    林  百郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田村 文吉君  出席政府委員         郵政政務次官  山本 猛夫君         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (郵務局長)  浦島喜久衞君         郵政事務官         (貯金局長)  白根 玉喜君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      金丸 徳重君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     松井 一郎君         專  門  員 稻田  穰君         專  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 三月十三日  委員椎熊三郎君及び長谷川四郎辞任につき、  その補欠として吉田安君及び園田直君が議長の  指名委員に選任された。 同月十四日  委員園田直辞任につき、その補欠として椎熊  三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員受田新吉辞任につき、その補欠とし、坂  本泰良君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員椎熊三郎君及び坂本泰良辞任につき、そ  の補欠として園田直君及び受田新吉君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十日  委員飯塚定輔辞任につき、その補欠として平  澤長吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員高木松吉辞任につき、その補欠として犬  養健君が議長指名委員に選任された。 同日  委員犬養健辞任につき、その補欠として、高  木松吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員山本久雄君及び園田直辞任につき、その  補欠として稻田直道君及び小川半次君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員稻田直道辞任につき、その補欠として山  本久雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員柄澤登志子辞任につき、その補欠として  林百郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  吉田安君及び受田新吉君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月十二日  留守家族等援護切手発行に関する請願(庄司  一郎紹介)(第一一八八号)  鳥海郵便局集配事務並びに電話交換事務開始  の請願山本猛夫紹介)(第一二五九号) 同月十六日  簡易生命保険及び郵便年金積立金融資再開促  進に関する請願三木武夫紹介)(第一三二  四号)  同(玉置實紹介)(第一三四四号)  農産種苗カタログ郵送料引下げに関する請願  (高木吉之助君外一名紹介)(第二二九四号) 同月二十二日  能代市豊祥台地区郵便局設置請願石田博  英君紹介)(第一五一八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  簡易保険郵便年金積立金運用に関する陳情書  (第三七〇号)  同(第四  三二号) 同月二十二日  簡易保険郵便年金積立金運用に関する陳情書  (第四四  〇号)  同(第  四四一号)  同  (第四四二号)  同(第四四三  号)  仙台地方貯金局事業縮小反対に関する陳情書  (第四五九  号)  日曜祭日の郵便物配達に関する陳情書  (第四六六  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  参考人招致に関する件  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第五九号)  郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  五号)     ―――――――――――――
  2. 池田正之輔

    池田委員長 これより委員会を開会いたします。  議事に入る前に、理事補欠選任を行います。去る三月十二日理事吉田安君及び同月十五日理事受田新吉君がそれぞれ理事辞任せられましたので、理事二名が欠員となつております。ただいまよりその理事補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田正之輔

    池田委員長 御異議なしと認めます。  それでは吉田安君及び受田新吉君をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————  これより前会に引続き、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関する法律の一部を改正する法律案及び郵便法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑に入ります。
  4. 林百郎

    ○林(百)委員 この郵便法の今問題になつている二十三條ですが、「毎号千部以上を」という部分と「広告掲載部分印刷部分の三分の一以下のもので」という條件を新たに加えたのは、どうい理由があるのですか、これをまずお聞きしたいと思います。
  5. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 御参考までに、なぜ郵便法第二十三條の第三種郵便物認可條件につきまして、改正をいたしたかということの理由を述べさせていただきたいと思います。定期刊行物を特に第三種郵便物として、一般印刷物よりも低料に郵送せしめることができることに制度が設けられました趣旨は、要するにかような定期刊行物は、政治経済文化、その他公共的な事項報道し、また論議を事をとしてあまねく一般に頒布せられますので、そのために国民の文化的、あるいはまた知的向上をはかる最も有益なものでありますので、特に低料扱いをせられておる次第であります。従いましてはたして定期刊行物がこの條件に合つておりますかどうかということにつきましては、個々の場合におきまして、この法律精神によりまして、郵政大臣において適合したものを認可いたしまして、三種郵便物として取扱つてつておるわけでございますが、この認可します場合の審査基準といたしまして、とにかく何でも認可するわけには参らぬのでありますので、およそ相当多数発行せられまして、しかも掲載される事項印刷部分の中におきまして、やはりこの法律趣旨にかんがみまして、一般記事その他報道目的とするというところがなければなりませんので、現在におきまして大体発行部数が千部以上のもの、それから記事内容が三分の二程度、いわゆる広告面が三分の一以下のものにつきまして、審査をいたしまして認可をいたして参つておる次第でございます。従いまして現在郵政大臣にまかされておりまする権限の範囲内において、一応の基準としてかような方法をとつておりますので、かようなことは認可條件に関する重大な関係がございますので、むしろとれを法律に明示していただきまして、そうしてこの法律基準従つてて、郵政大臣認可をして行つた方が妥当適正を期せられるという考えのもとに、この改正案を出した次第でございます。
  6. 林百郎

    ○林(百)委員 今第一種から第五種までの料金は、年でどのくらいありますか。要するに郵便料金収入の大宗になるのは第三種なんですか、第一種なんですか、その辺をちよつと参考までにお聞きしたい。
  7. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 第一種は御承知のように書状、つまり手紙でございます。この書状年間収入といたしましてはおよそ五十四億、第二種ははがきでございますが、これが年間をいたしまして約二十七億程度、それから第三種郵便物収入は、年間にいたしまして約六億、第四種は印刷物でございますが、これが年間にいたしまして約二十億、第五種と申しますのは、農産物種子でございます。これが年間にいたしまして四百五十万円程度収入になつております。その他小包とか、書留その他の特殊取扱い料金がございますが、通常郵便物、いわゆる一種から五種までの料金収入は大体そういうことになつております。
  8. 林百郎

    ○林(百)委員 今三種認定を受けておる郵便物は、何種ありますか。
  9. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 昭和二十五年末現在で認可いたしておりますのが、日刊のものが全国で四百八十六件、その他のもの、いわゆる旬刊とか月刊のようなものですが、これを総計いたしますと五千三百九十五件でございます。
  10. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、すでに第三種郵便物認可を受けておるものは、そのまま継続されて認可されて行くのですか。この改正によつてここで全部御破算にして再審査するわけですか。
  11. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 現在すでに認可を受けておりますものは、別に認可の際に期限をきめておるわけでございませんので、要するに三種郵便物認可條件に該当しておりますれば、ずつと永久にそのまま三種郵便物として認められて行くわけでございます。
  12. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、今後認可申請をしたものだけにこの條文適用になつて、すでに第三種郵便物認可を受けておるものについては、この改正法適用は全然ないと解釈していいのですか。
  13. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 すでに認可を受けましたものでも、今度の改正法によりまして、その條件に該当しない、すなわち定期的に発行せられないという事態が起りまするとか、あるいは広告面が非常に多数のスペースを占める、こういうふうな事態になりますると、認可條件に該当しませんので、取消されることになるわけでございます。
  14. 林百郎

    ○林(百)委員 その取消すという根拠は、どこにありましようか。これは法律にはないようですが……。それともう一つ、そういうようになりますと、やはり出版物国家統制で行われておるわけじやないので、やはり今、日刊新聞にしても、旬刊あるいは月刊の各印刷物にしても、個人的な利益を中心としての経営に、日本の国の現状としてはまかせてありますから、やはりなるべく広告をとつて、自分の経営を健全にしようとはかるのが、普通の印刷物を取扱つている業者考え方だと思いますが、そうするとやはりそういう印刷業者経営内容に、こうした第三種郵便物認可取消し可能性が出て来るということになると、その営業一つ重圧を加えるような結果になりはしないかと思われますが、その点はどうです。
  15. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 別にこれによりまして、定期刊行物経営に立ち入つて重圧を加えるとか、そういうことをことさらに目的としているわけではございません。ただこの法律三つ條件が掲げてございますので、この三つ條件が備わらないということになりますれば、結局三種郵便物としての認可を受ける資格がないということになるだけにすぎないのでございまして、ことさらにかような制限を設けまして、経営内容そのものにタツチして重圧を加えるという考えはございません。
  16. 林百郎

    ○林(百)委員 印刷物発刊業者にとつては、それが第三種で発送できるか、第四種になるかということになりますと、送料が倍になりますから、相当大きな問題だと思うのです。出版の自由というのは、憲法でも保障されているところでありますから、その社の特色によつて、ある場合には広告をとつて、その広告でまかなつて行くというような業態の出版物もあると思うのでありますが、やはりその憲法で保障されている出版の自由が、郵便法によつてある程度圧力を受けて来るようになるのじやないかというように思うのですが、郵便というのは公共的なサービスの事業でありますから、今のような刊行物営業が、民間の資本主義的な経営にまかされている場合には、それが広告部分が多い少いによつて、第三種扱い、第四種扱いにするというような圧力を加えない方がいいと思うのですが、その点を重ねてお聞きしますがどうですか。
  17. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 かりに出版せられます印刷物が、広告を主とした印刷物でございますと、この三種郵便物制度趣旨からいたしまして、これに該当しないものと考えられる次第でございます。従つて出版物内容が、主として記事その他論議を主たる目的とせられておるのか、あるいはまた広告を載せることを主として出版目的とせられるか、そこにおいておのずから第三種郵便物として認められるかどうかのわかれ目になるものと考える次第でございます。そこで同じ記事報道におきましても、広告が掲載されることは当然でございますが、その広告部面記事全体、要するに印刷物スペースの多くを占めるということになりますと、これは結局広告のための印刷物ではないかというふうに解釈せられる次第でございますので、やはり第三種資格を得ます印刷物としては、広告は従であつて記事その他論議が主でなければいかぬものと、この法律精神から言つて考えられる次第でございます。従つてその限度をどこにおくかということが問題でございますので、私どもといたしましては、過去においても大体三分の二以上の記事がありましたら、これは三種趣旨に合致するものであるというような方針のもとに、認可をして参つておるのでございまして、ことさらにここに法律に掲げましたために、従来の方針を変更するという考えは毛頭ございません。
  18. 林百郎

    ○林(百)委員 これは非常に問題があると思うのです。たとえば広告掲載分印刷分の三分の一というのはどういうようにはかるのか、また記事広告との区別というような問題もあると思うのです。そういうものの認定に、ここに三分の一というような尺度を設けると、かえつて混乱すると思うのですが、広告掲載部分印刷部分の三分の一というような区別をどういうようにするのか、また広告掲載部分印刷部分区別というのはどういうことをいうのか、記事の形で広告する場合だつてありますね。それをのがれようと思えば広告という形でなくて、巧みに記事の形にして、たとえば政治経済文化というような記事の形で広告する場合だつてあり得ますから、かえつてこんなものを設けることによつて脱法行為やいろいろなものをつくつてしまつて、収拾できないようにする危険があるのではないか。それと、広告部分印刷部分の多い少いを三分の一というのは、おかしいと思うのです。もし広告部分が多いというのなら、せめて二分の一ならわかりますけれども、どうして三分の一という基準が出て来たのか、その辺もお聞きしたいと思います。
  19. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 何が広告であるかということにつきましては、これはおのずから社会一般広告概念によつて決定せられる問題であると思うのであります。従つてその一般概念によりまして、広告と思われるようなものが多数を占めておりますれば、この印刷物はあくまで広告のための印刷物というように解釈せざるを得ないわけでございます。なお印刷物部面の三分の一というスペースの意味でございますが、新聞でございますとわくがはめられておりまして、わくの中に記事があるのでありますが、わくの外にも印刷せられております。従つてどもの解釈といたしましては、やはりわく外でも印刷されておりますれば、印刷部面というのは全体を見たスペースの三分の一、こういうふうに解釈して行きたいと考えております。それからなおなぜ二分の一にしなかつたのかというようなお尋ねでございますが、二分の一になりますと、結局広告が主か記事が主かという限界がぼやけて来るわけであります。少くとも三種制度趣旨からいたしましたならば、記事が大半占めなければ、この制度趣旨に合致しないと思いますので、そこで広告掲載面を三分の一以下ということにいたした次第でございます。
  20. 林百郎

    ○林(百)委員 第三種郵便物認可取消したような場合は、やはり発行人にもどすわけですか、たとえば第三種郵便物と思つてつておるのが、郵政大臣認定で、これはもう第三種郵便物でなくなつたから、それは郵便局にとめておけという指示を出してとめておつて、実際は配達をしないで、その発行事業を非常に阻害するとか、こちらが発行しようとした目的を第三種か第四種かに認定することによつて発行送付を停止させるというようなことも起きて来る場合があるのですが、そういう場合は、第二種を取消し、第四種にするという場合、具体的にどうするのです。そのときだけ送つてつて、その次から警告を発するのですか。
  21. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 三種郵便物認可が取消されましたならば、その日から三種郵便物として郵送はできないわけでございます。しかしながら三種郵便物として認可を受けました場合には、必ずその印刷物の表面に、第三種郵便物認可いつのいつと日付をつけました表示をすることになつております。従つて郵便局の実際の現場の仕事におきましては、その認可の文字がありましたならば、そのまま取扱いをいたして行くわけでございますが、実際問題といたしまして、認可が取消されたあとに依然として出ますならば、これは適当に処置をせられるものと考える次第でございます。
  22. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから第三種認可として、ちやんと印刷をしで第三種だと思つてつたのが、その日は郵政大臣によつて、これは第三種でなくなつたということになると、現場の諸君は、一体第三種を消してしまつて、それをまた発送人に送り返すのか、あるいは郵便料不足として不足料金をとつて送り届けるのか、その辺はどうなんです。
  23. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 取消しされましたならば、その印刷物は第三種郵便物という表示をしてはいけないことになるわけであります。従つて発行人において自発的にその表示をしないように措置をとられるわけでありますが、事実問題といたしまして、取消された日の境目におきまして、かような多数のものが郵便物に出ました場合には、適宜措置をとるようにいたしておる次第でございます。
  24. 林百郎

    ○林(百)委員 少し問題がこまかいからその辺にしますが、今言つた日刊その他の印刷物で、この條文によつて、第三種郵便物認可を取消されそうだというものは、どれくらいあるのですか。調査されてみたのですか。今のはみんな合格すると考えるのですか。
  25. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 大体この範囲でございますと、現在認可を受けておりますものは、取消されることはないと私は考えます。
  26. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると全然ないと考えていいのですか。影響ないのですね。
  27. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ただ今後の発行において、日刊あるいは月刊において、定期発行せられない、たとえば経営状態が悪い、あるいは記事が集まらないという場合に、たまたま定期に号を追つて発行せられないということになりましたならば、常に郵務局において見本を送つてもらいまして審査をいたしておりますので、その状態によりまして、適宜取消し等処置をとるわけであります。しかしそういう事態がありませんならば、この法律改正になりましたからといつて、ただちに取消されるようなことはないものと考えます。
  28. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもよくわからないので、今現行のもので取消されるものがないならば、こういう基準を設けるのがよくわからないし、現行のもののうちではこれに該当するものがない、しかしその後の発行によつて、あるいは該当するかもしれないということですね、そういうように解釈していいですね。
  29. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 そうです。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その後第三種認可を取消す場合、広告掲載部分印刷部分の三分の一以下のものですから三分の一以上にわたつた場合は、一度でも認可を取消すのか、あるいは幾日くらい続くのか、その点の認定はどうなのですか。
  31. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 この広告掲載部分の占めまする部分が、要するに日刊でありますと、そのときの広告によつて毎日違うと思うのであります。また雑誌等においても違うと思うのでございますが、大体とにかく日刊においては毎日、月刊においては毎月連続して発行せられますので、その状態が常に、しかもその広告掲載部面が三分の一以上を目的として編集せられるようなものでありますと、これにひつかかるわけでございますが、個々の場合に、たまたまその日が三分の一を越えましても、長い目で見まして、とにかく編集の方針なり発行方針等が、広告を主たるものとするものでないということでございますと、別にこの問題にひつかかることはないと思います。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもその点があいまいで、常にそうだとひつかける、たまだといいということですが、その常とたま区分というのは一体どうなのか。今この法律を通そうとするから、すでに認可してしまつたものについては該当しておらないというけれども、実は内々にあれとあれとあれは、第三種から第四種にしようという腹は郵政省できまつていて、法律が通つたとたんに、お前のところは三分の一以上だからというようなことだと、われわれだまかされたことになるのですが、それならそれで正直に言つてもらわなければいけないと思う。どうも三分の一と三分の一以上の認定、それからたまたまと常という区分、そういうことが非常にあいまいで、こんなものをつくつて郵政省の方で出版物に対する統帥権を握ろう、あるいは料金を余分にとろう、どこに真意があるか知りませんが、また両方に真意があるかもしれませんが、何といつてもやはりこれは出版物に対する一つ圧力になるので、これはむしろ現行法の方がいいと私は考えますが、それが一つと、それからたとえば朝日だとか読売だとか、大きな新聞一つ例をとつてみますと、朝日などで、今これは第三種だが、第四種になると、どのくらい郵送料が違つで来るのですか、月でもいいし年でもいいが、その点ちよつと知つておきたいのです。
  33. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 各新聞ごと郵送状態は、私どもにはわかりかねる次第でありますが……。
  34. 石原登

    石原(登)委員 関連です。今の第三種郵便物料金、それは前納になつておりますか。それとも後納になつておりますか。
  35. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 第二種郵便物認可を受けたものは、とにかく個人でも三種郵便物として三円で出せるわけです。ところが三種郵便物発行人または売りさばき人が出します場合には、郵送料は一通について八十銭になつております。従つて発行人とか売りさばき人とかがまとめてたくさん出されます場合には、一々一つ一つ郵便物切手を張らずに、料金後納制度を利用いたしまして、あとで納めるという方法もあるわけであります。
  36. 石原登

    石原(登)委員 そうすると、今の林君の質問ははつきりして来ると思うのです。まつたくごもつともな質問ですが、ただここで考えなければならないのは、実は郵便料金は非常に安いのです。その点で損をしているのです。それでこのように料金値上げ考えてみたところが、それができなかつた。これは特に共産党関係も、料金値上げに対しては、若干上げて、はがきは上げるというような希望もあつたようだつたのですけれども、なかなかこれができぬ、今のやり方を見ると、確かに第三種郵便物には問題があると私どもは思う。ほんとうに国家的に文化的に指導する面のものに対しては、公益事業だというので、これはむしろ郵政省の会計の範囲において、相当犠牲を払つておると私ども考えておるのです。ところが今政府委員の説明を聞いておると、それに該当しないで、ただ単に自己の営業のために、広告を主としてやつておるというような、言いかえればインチキ新聞インチキ雑誌というようなものまでも、私どもは不当に保護する必要はないというふうに考えるので、今のこの政府改正案は、いいじやないかと私は思うのです。ただ問題はこの認定をどうするか、きようたまたまそれを越えても、これは営業的のものでないという認定と、あるいはこれはどうもちよちよくこういうことをやるというような認定は、私は非常にむずかしいと思うから、そこのところの判断は、やはりその日その日の事実に基いてそれを判定して、もしその日スペース以上に越えておつたような場合は、あとからあるいは第四種なら第四種とみなして、不足料金を追徴する、こういうような形に行かないと、この新聞ではこれを認めて、この新聞ではこれを認めなかつたということになると、非常に法のあり方というものが何かあいまいで、非常にいけないと思うのですが、この点はいかがですか。一つ法律適用がそのときどきの感情、あるいはその他の何かによつて、簡単にこう使いわけていいものであるか、私はどうしてもその日その日の事実に基いて、三種の限界を越えた場合は、四種とみなして必ず追徴する、もしその追徴に応じなかつたならば、三種認可を取消す、こういうようなふうにでもいたさない限りは、一つ法律の運用があつちこつち使いわけをされるということになると、法の尊厳の上にも相当問題があろうかと思います。
  37. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 第三種郵便物條件に、その日その日において合わないようになつた場合に、ただちに四種としての料金をとるかという問題でございますが、これはやはり三種郵便物制度の建前から、認可がありましたならば、認可が取消されなければ、四種の料金は徴収するわけに行かないわけでありますので、やはり常に郵政省において発行状態審査をいたしまして、そうしてその発行状態三種郵便物のこの條件に合わないような状態になりましたならば、認可取消し措置をまずやる、そういう措置をとつて行きたいと考えるのであります。  もう一つは、林委員の御質問にも関連するのでございますが、現行法におきましても、はたしてこの三つ條件に合うかどうかということの認定は、郵政大臣にまかされておるわけです。しかし郵政大臣がこの條件に合うかどうかを、個々の場合を具体的に審査します場合に、実際は各郵政局でやるわけでありますが、各郵政局でその認定範囲がまちまちになつてはいかぬわけです。従いまして現在におきましてはここに書いてありますように、発行の部数毎号千部以上、それから広告面が三分の一以下のものでなければいかぬ、この基準審査をいたしておるわけであります。従いまして先ほど御心配のように、常に毎日々々移動があるのにたいへんじやないかというような御心配のようでありますが、現行のこの方針によつて大体うまくやつておりまして、何らそこに問題を起しておりませんので、これを加えましたからといいまして、既往のすでに認可を受けました第三種郵便物が、この條件に合うように将来とも継続して発行して行かれますならば、何ら支障はないと私ども考えておる次第でございます。
  38. 林百郎

    ○林(百)委員 現行でうまく行つているというなら、やはり毎号千部以上とか、広告印刷部分の、これによつて政治経済文化その他公共的な事項報道し、又は論議することを目的とするかどうかを区別するということは、やはり実際は第三種認可を狭めることになると思うのです。現行よりはやはりここにおいては狭めることになりますし、またこういう規定によつて、第三種郵便物認定をするかしないかということをきめることは、私はよくないと思うのです。その新聞政治経済文化その他の公共的な事項報道するかどうかということは、その印刷物広告掲載部分が三分の一であるかどうかという、そういう機械的な認定ではないと思う。むしろやはり現行のように、弾力性を持たしておいた方がいいと私は考えるわけです。それから今石原委員から、インチキ印刷物まで保護する必要はないといわれますけれども、要するにインチキであるかどうかということは、また別の行政機関があつて、その印刷物が治安上発行を許さるべきものか、あるいは発刊が停止されるべき印刷物か、それはそれぞれの行政官庁が認定しているのであつて郵政省としてはその取扱いが封書として慎重さを要するか、あるいは第三種としての慎重さを要するか。要するにその郵便物を輸送するについての手数がどの程度にかかるかということが、やはり料金認定する大きな基準だと思うのです。内容広告であるとか、あるいは社会問題を掲載しておるかどうかということによつて郵便料金は左右されるべきものではない、こう考えます。  もう一つは、郵便料金は安過ぎる、われわれは安いほどいいのであつて、公共事業でありますから、むしろ郵政事業の独立採算制であるとか何とかいつて、一切の負担を郵政省に負わせるということは、根本的に反対しております。また資金運用部の問題についても、郵政省は六分七厘もかかるものが五分五厘にした、こういうことにも根本的に反対しますけれども、しかしこういうことを設けること、これについては私賛成できないので、どうもこういう機械的な基準で、第三種か第四種かの認定基準にすることについては、少し機械的に過ぎるように私は思う。ことに扱いの点からいつても、広告部分印刷部分が三分の一であろうと三分の二でなかろうと、やはり封筒に入つて、開封しているものと定期刊行物とは違います。ましてや第一種の封書とは全然違いますから、取扱いの点については、その印刷内容広告が三分の一であろうとなかろうと、郵便局取扱いとしては手数上の差異がないはずですから、こういう基準で第三種、第四種の認定基準とすることは、私は賛成でないと思う。その点を最後にお聞きしたい。  もう一つ改正の点ですが、「前項の認可の申請があつたときは、郵政大臣は、認可申請の日から左の期間内に認可をし、又は認可しない旨を通知しなければならない。一、日刊のもの、一箇月、二、その他のもの、二箇月」とありますが、もしこの通知がなかつた場合はどうなるかということです。通知しなければならないと言いつぱなしで……。通知がなかつた場合は認可したものとみなすとか何とかしないと、何のためにこんなものが設けられたのかよくわからないのですが、最近の認可事項では一定の期限を設けて、その期限内に行政官庁が認可しないものには認可しないものとみなして立法するのが普通ですが、これは郵政大臣は通知しなければならないというだけで、通知しなかつた場合のことが何も書いてないということはおかしいと思うのですが、どういうわけですか。道義的な義務を郵政大臣に負わせるということだけですか。
  39. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 お尋ねの第一点でございますが、郵便料金はとにかく手数がかかるか、かからぬかによつてきめるべきであつて、その内容のいかんを問うべきではないという御意見のようでありましたが、しかし手数から行きましたならば、むしろ書状はがきよりも印刷物の第三種の方が手数がかかるのであります。しかるになぜ印刷物がそういう第一種よりも低料にしてあるかといいますと、要するに業務用等の印刷物は、商業通信として経済活動を円滑ならしめるというところに一つ趣旨がありまして、低料にしてあるわけであります。その印刷物の中で、さらにまた国民の文化的あるいは地域的生活に非常に関係のあります定期刊行物につきましては、第三種郵便物として掲上をしてあるわけであります。これは郵便料金のきめ方の一つの大きな方針となつておる次第でございまして、さよう御了承を願いたいと思うのであります。  もう一つ改正の「前項の認可の申請があつたときは、郵政大臣は、認可申請の日から左の期間内に認可をし、又は認可しない旨を通知しなければならない。」通知しなかつたならばどうなるかというような御意向のようでございますが、現行法におきましては、中請がありましたならば、郵政局においては常にその発行状態審査しておるわけです。それには別に何ら期限がないわけです。従つてだんだんと発行状態認可條件に適合するまでに申請をしておるわけです。従つて中には数箇月もそのまま申請が行われておるというような状態でございまして、従つて認可があるまでは、発行人から発行された場合においては、第四種として六円の料金を納めなければならぬのですが、それではあまりに発行者に負担をかけるということになりますので、これはむしろ郵政大臣に、法律において義務をつけていただくという趣旨でございます。とにかく日刊について一箇月以内、その他については二箇月以内に、郵政大臣は必ず認可して、これを通知しなければならないという義務をとれに規定しておるわけでございまして、要するに認可の庶務を迅速にやろう、やるべしという法律の義務を、郵政大臣に課する趣旨でございます。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 第二の点ですが、郵政大臣に義務を負わしても、その義務に違反した場合の国民に対する補償とか何とかいう規定がしてなかつたら、単なる道義的な意味しかないと思う。だから郵政大臣がもしこの義務に違反した場合にはどうなるのか、国民はどういうふうにされるのかということの規定がなかつたならば、意味をなさない、これが一つ。  それから先ほど私が第一点として聞いた第三種郵便物取扱いが、他の第一種あるいは第四種よりは、むしろ現場においては扱いやすいのではないかということ、これはむしろあなた方の方がよく御存じではないかと思う。郵便物を丁重に扱うかどうかということの質的な意味は、それが非常に個人的な秘密だとか、私信とか、人に発表されては困る、それがなくては困る、とにかく自分の意思表示を相手方に間違いなく、しかもだれにも漏れることなく到達させたい、この差出人の意思を尊重し、その意思に沿うように扱いが丁重であるかどうかによつて、やはり郵便物を扱う手数が厚いか薄いかがきまつて来ると思う。ところが印刷物というものは何千部も出すので、そのうちの一部や二部がどうなつても、一部破損になつても、そう大したことではないし、それが他人にわかつても大した問題ではないので、そういう意味のものを第三種郵便物として、特に郵便料金を安く扱つておると思うのです。そうしますと内容広告部分が多いから料金を上げようということはやつぱりわからないので、広告部分が少くても、印刷物でだれに見られても大して心配もないし、また一部や二部破損しても、発送人に大した被害をかけないというような、第三種郵便物としての取扱いの点から言つたら、広告部分がそうあろうとなかろうと、郵便局が持つている負担にはそう関係なければ、第三種として扱つてつてもいいので、紙面の内容まで郵便局が立ち入つて、この内容広告面が多過ぎるから第四種にするか、第三種にするかということは、少し行き過ぎではないかと思うのです。そういう印刷物の社会的な公共性については、別に行政官庁が監督しておりますから、やはり郵便局としては、その郵便物扱い方によつて郵便料金をきめて行くというのが、妥当ではないかと私は思います。これは見解の相違と言われればやむを得ぬのですが、やはりこういうことを通じて出版の自由、表現の自由に対する郵便料金の面からの一つ圧力になるということは、私は否定できないと思うのです。この点どうお考えになりますか。
  41. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 御説の通り第一種いわゆる信書は、丁重に扱わなければなりませんので、その面から行きましたら、他の郵便物よりは手数がかかるものと思います。私が申し上げましたのは、印刷物等は相当かさばるものであります。従つて扱う手数その他運送上のいろいろな経費から考えましたならば、やはりかさばるものは相当経費がかかる。こういう意味から申し上げた次第であります。もちろんお説の通りに、第一種は丁重に扱いますから手数もかかる。従つてそれだけ料金を高くしてあることは当然であります。しかしながら御説のように行きますると、多少これは議論になりまするが、結局三種も四種も郵便制度としていらぬのじやないかというふうに考えられるのであります。結局四種も低料に扱つておる。さらに印刷物の中から新聞のような定期刊行物は、さらに低料にしようというわけでございますので、従つて普通の印刷物よりさらに低料にするには、おのずからそこに本質的に低料にするだけの理由がなければならぬことはもちろんであります。その理由は、先ほどからるる申し上げましたように、ただ単に営業上の広告ということでなくして、国民一般がだれでもこれを見、そしてその知識の啓発になるようなものを特に低料にするということで、三種郵便が設けてありますので、特に三種郵便制度というのが必要ではないかと考えられるわけであります。  もう一つは最初のお尋ねでございますが、郵政大臣が通知しなかつたらどうなるかということでございますが、これはとにかく旧刊については一箇月、その他については二箇月以内に通知しなければならぬという義務を定められておりますが、これまでに通知が行かなかつたからといいましても、郵政大臣としては必ずこの法律によりまして、一箇月あるいは二箇月以内に認可をしなければなりませんので、するように努力をいたす次第でございます。もし認可しなかつた場合には、これは内部の行政上の問題としまして、その担任者の責任の問題になるものと考えられるのであります。
  42. 池田正之輔

    池田委員長 一応今の問題について私からお尋ねします。現行法を改めなければならぬという根拠が私にはよくわからないのですけれども、これに対する御説明は省いてもけつこうですが、これを改正した場合に、かりに東京で考えますと、何十かの日刊紙がある、夕刊もある。これを一々調査する。そうすると現在のその方を担当しておる係員では、おそらく手が足りなくなるのではないかと思いますが、それでいいのですか、人員の増減はありませんか。
  43. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 大体今まで認可されましたのは、今度の改正範囲内に入るものと思いますので、あらためて調査しますような意思はございません。将来第三種郵便物認可の申請がありました場合には、これはその申請に対しまして、十分審査をいたさなければならぬのでありますが、もうすでに今発行されております定期刊行物は、ほとんど認可を受けておりますので、将来についてはそうたくさんあるものとは考えない次第でございます。しかもまた常に見本を申請者から発行ごとに必ず送付していただくということになつておりますので、見本を見ながら審査をいたしますので、別にそのために人をふやすというようなこともないものと考えております。
  44. 池田正之輔

    池田委員長 今ここに新聞協会から表が提出されておりますが、現に三分の一以下の新聞というのは一つもない。それを三分の一と法律できめたが、既得権であるからこれをこのまま認めるか。さつき林君との応答において、一応これもその場合にわくにはめてやるべきもので、また法律ができたら当然新たに審査すべきものだと解釈しているが、あなたの御解釈によると、既得権はそのままでいいというようにおつしやるのですか。
  45. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 今委員長のおつしやいました統計は、新聞協会のですね。私の方で一応東京の重要新聞広告面積の割合を調べてありますが、それによりますと、私どもの解釈としましては、全紙面に対する割合として考えておるわけでありまして、要するに三分の一と申しますと、正確には三割三分三厘三毛の率になるわけであります。そうしますと、朝日新聞におきまして三割三分五厘、わずか二厘が超過している。毎日におきましては三割五分六厘でございますので、二分一厘でございますが、この三分の一というものを、かように数学的に一々ものさしではかつて行くつもりは全然私の方はございませんで、大体法律精神によりまして、この程度のものでありますと、大体発行目的というものが、広告が主たるものでないという趣旨に解釈せられますので、特にこの点には触れる必要はないのじやないかと考えた次第でございます。
  46. 池田正之輔

    池田委員長 そうすると新聞の全紙面から割出すのですか、どうなんですか。法律には印刷と書いてありますが……。
  47. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 わく外にも印刷してありますから、わく外印刷も加えますと、全紙面と解釈してよいのじやないかと思います。
  48. 池田正之輔

    池田委員長 全紙面と解釈しているのですか。
  49. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 印刷部面でございます。全紙面と申しますと、わく内のみに限るのか限らないのかという点で、全紙面と申し上げた次第でございます。従つてわく外印刷してありますれば、わく外印刷を加えまして、その三分の一をはかるということになるのであります。
  50. 池田正之輔

    池田委員長 そうなつて来ると、えらいこまかい話になつて来ますが、私はそんなこまかいことは質問したくなかつたけれども、そうしますと、新聞わく外に題字がありますね。その関係新聞というのは全部の紙面をさすのですか。
  51. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 わく外印刷部面を入れまして、面積をはかるわけでございます。
  52. 池田正之輔

    池田委員長 全紙面ですか。そうすると、新聞協会で解釈しているのと違つて来ます。そういうこまかいことはやめますが、要するに新聞広告というものは、一体文化生活の上にどういうふうに必要であるか必要でないか、それの解釈は私は重要じやないかと思うのです。現にアメリカの新聞などは、たしか七〇%か八〇%以上になつているはずです。日本の新聞でも、今ここに例示されているのは三十何パーセントから四〇%になつておりますが、戦争前の紙のスペースの多い場合には、現に大新聞で大阪二紙なんかは、たしか五〇%から六〇%になつたことがあつたのじやないか、そういう場合に、不幸にして新聞の紙幅というものは非常に狭いから、こういう割合になつておりますけれども、将来これが大きくなれば、当然それがふえるものと想定しなければならぬ。その場合に紙面というものはふやせないということがまず一つ、それから今言つた新聞広告というものは、文化生活の上にどういう役割を持つか、私どもは何もアメリカの制度なり文物が全部いいとは思つておりませんけれども、しかしながらアメリカの新聞というものは、地方新聞まで、広告の面のウエートが非常に重くて、またそれによつて社の経営をやつておる。これがアメリカのジヤーナリストの現状です。しかも民衆は新聞広告によつて、いろいろの商品や何かの選択をするのであります。これは民衆生活、大衆生活に最もマッチしたもので、必要欠くべからざるものになつておるのです。日本の新聞というものもそういう方向にまで行かなければならぬはずのものなのです。従つてそれに対して育成しなければならぬという建前に立つ以上は、こういうものを制限することはどうか、私はこういうふうに考えておるのですが、それに対しての御見解いかがですか。
  53. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 広告の重要性につきましては、お説の通りでございまして、別に否定をするわけではございません。しかしこの三種郵便物制度ができましたのは、広告の宣伝をさせるための三種郵便物でなくして、あくまで一般国民のだれでも読める、要するに文化程度を高めるための記事その他論議を主たる目的とするものが、三種郵便物であるという建前になつておりますので、この定期刊行物の中に占められまする広告部面というものは、主客が転倒しないように、おのずからの制限はあるべきであると私は考えております。アメリカでも御説のように第三種郵便物に該当します——アメリカでは第二種と申しておりますが、なるほど広告が非常に多うマございますが、七五%の広告がありますものについては、料金を少し高くしておるのであります。従いましてこれは将来の問題としましは、新聞等におきまする広告の割合が——広告が主になつてはいけませんが、この三分の一程度以上でも、要するに新聞の使命というものが阻害されないということになりましたならば、おのずからまたこれはその割合において将来考慮すべきものでございますが、少くとも現状におきましては、先ほど申し上げましたような数において支障ないというふうな考えで、この三分の一をとつた次第であります。
  54. 池田正之輔

    池田委員長 日本の、ことに役所あたりの物の考え方が、広告というものは何か単なる売らんかなの——売るのが目的には違いないのだけれども、最近の新聞及び雑誌の広告というものは非常に進歩して、文化生活の上に啓発される面が非常にあると思うのです。そういう面に対する日本の印刷物が、アメリカあたりに比較して、あるいは低調であつたということは私は認めます。しかしそれが最近は目に立つて進歩し、発達して、われわれの生活に非常に重要な部面を持つようになつて来つつある。しかもさらにその傾向がだんだん増大して行くと思うのです。そうした場合に単なる広告であるというような、今までの広告というものが、何か安つぽいといつたような従来のわれわれの考え方、特にそういう面の発達しない日本人の考え方というものは、改めなければならぬ時期じやないか、そういう基本的な考え方の上に立つての御議論のように私は聞えるのですが、その点もひとつお伺いいたしたい。
  55. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 別に広告そのものの重要性を否定して、かような規定をしたわけではないのであります。あくまで現行の第三種郵便物制度の建前から行きますと、ある程度そこに制限が必要じやないかという解釈のもとにやつているわけであります。御了承願いたいと思います。
  56. 石原登

    石原(登)委員 日本新聞協会からの資料をいただいたのですが、この資料によると、今の改正案に相当問題があると思いますから、これはさらに引続いて十分協議することにして、この問題はこの程度でまた後日に審議いたしたい、かように考えます。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 希望として申し上げます。参考人という形ででもけつこうですが、これは新聞協会の責任者に来ていただいて、発送人側の意見も参考にわれわれは聞いてみたいと思うのです。もちろんわれわれ郵政事業に対して一番好意と重大な関心を持つているので、郵政省をいじめる意味じやないのですけれども、やはり人民のための郵政省にするためには、無理のないような法律にしなければならぬ、そういう意味で発送人側の意見を聞きたいので、もし参考人として新聞協会の人を呼べたら呼んでいただきたい、そういうふうにはからつていただきたいと思います。
  58. 池田正之輔

    池田委員長 はからいましよう。引続き私からあまり質問したくないのですけれども、皆さんの注意を喚起する意味で、今度の法律の第十七條の「容積及び重量の制限」この点で、第二号「小包郵便物」の最後の方で、つまり容積、重量を大きくするということなんですが、これは「郵政大臣は、取扱上支障がないと認めるときは、必要な取扱條件を定め、容積において前項の長さ、幅及び厚さの各々二倍を、重量において二十キログラムを超えない小包郵便物を取り扱うことができる。」こういうふうになつておりますが、この法律ができたらこれをただちに実行するのか、あるいは地域的に特殊な地域だけをやろうとしているのか、どういう考えでこういうふうな案を出されたか、これを一応御説明願います。
  59. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 十七條の最後の項でございますか。これは現行のままでありまして、別に改正をいたさないのであります。ただ小包の現在の四キログラムを六キログラムにふやすということだけが改正でございます。容積は長さもかえたのでありますが、委員長の御質問は、最後の項の……。
  60. 池田正之輔

    池田委員長 どういう意味でこれを改正するか、さらにただちにこれを実施するつもりか……。
  61. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 小包の容積を改正しましたのは、現在の規定でございますと、長さ、幅、厚さ、おのおのが五十センチメートルなければならぬ。あるいは長さは一メートルあつて、幅、厚さがおのおの二十センチメートルなければならぬ、こういう規定でございますが、この容積の制限からいたしますと、小包で出されます型によりまして、この制限にひつかかりまして出せないものがある。たとえばテニスのラケツト等は、長さにおいてこの制限を越えるということになりますので、ラケツト程度は小包で扱つていいのじやないかということで、長さを緩和しまして百十センチメートルにしましたとともに、幅と厚さはおのおの五十センチメートルでなければならぬというと、きちつと真四角のものでなければならぬことになる。物によりましては幅がございませんので、それを合計して二メートルにいたしますと、相当融通性ができて来まして、便利になるのじやないか。こういう点から容積を緩和しまして、公衆が小包を出します場合の便宜をはかつた次第であります。それから重量を四キロから六キログラムにふやしました。これは戦前において六キログラムまで取扱つてつたのでありますが、戦争中から要員の関係上、この制限を四キロにとどめたのでございますが、今日におきましては大体業務も復興しつつございますので、六キロまで拡張しましてもさして支障がないし、むしろ六キロまでに広げることによりまして、従来小包として出せなかつたものが出せるようになる。たとえて申しますと、冬の外套は、従来は四キロまでで出せなかつたものが今度は小包でも出せる、非常に便利になる、こういうわけで国民の小包の御便宜をはかりまして、範囲を広めた次第でございます。
  62. 池田正之輔

    池田委員長 委員の各位に申し上げます。実は私の手元に全逓の組合から、これを大きくされると配達に支障を来す、困るということを言つて来ておりますが、これはあらためて次の委員会でさらに検討することにいたします。
  63. 吉田安

    吉田(安)委員 これはごく簡単なことですが、二十二條に小包葉書を新設されたことについてお尋ねをしておきます。この小包葉書は官製であつて、私製を認めないことになつておりますが、私製を認めない理由を簡単にお尋ねいたします。
  64. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 御承知のように現在の郵便の種別の体系と、それに応じました料金体系というものは、通信文と物件の送達、この二本建なのでございます。従つて小包と一緒に通信を送るということは、つまり小包の中に信書を同封することは、その建前から現在禁止されているわけですが、実際問題としまして、国民の方々が小包を送られる場合に、この小包に関連した通信を相手方にしたいという必要が非常にあるわけです。その場合に、現行の建前では別にはがきや手紙を出さなければならない。そうすると、小包と別々に行きますために、その相手に十分に意思が徹底しない、こういう不便の場合もありますので、小包に関連した通信が一緒に届けられるような方法はないものかということを考えまして、この小包葉書というものを新しく制定していただくわけでございます。そこでこの制度によりまして、この小包葉書は小包の外側に一緒に添付していただくわけですから、従つて小包と小包葉書とが一緒に行くわけです。しかもこの小包葉書の方にはあて名が書かれますので、一種の荷札の役をなすわけであります。ところが現在におきましても小包に荷札をつけますので、荷札に通信が書けるというように間違いまして、これが濫用されるということは非常に困るわけでございますから、従つてあくまでも荷札と違つた特別のはがきという建前から、官製だけに限つたわけです。しかしもちろん官製と同じような紙質と様式をきめて、私製を許したらいいじやないかという御意見もあると思いますが、とにかく初めての試みとして、信書を一緒に扱つてやる制度をつくりました関係上、あやまつて従来の荷札に通信を書かれると困りますので、官製はがきのように初めから料金印刷してございますれば、別に切手を張られるという心配もない。小包葉書に通信を書いて小包に一緒に添付していただけばけつこうでございますので、とにかくこの制度が十分に国民に周知され、また利用されるようになりましたならば、あらためて私製のものも認めたいと思います。とにかく初めてやることでございますので、一応官製だけでやつてみたいというわけでございます。
  65. 吉田安

    吉田(安)委員 趣旨はよくわかりますが、三円の切手を張つて中に信書を入れても、やはり衝突になるわけですか。
  66. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 現在は小包の中に入れますといけないのです。
  67. 吉田安

    吉田(安)委員 外には……。
  68. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 外にもいけない。中に入れましようとも外に張りましようとも、小包と一緒に信書をつけることはいけないのです。
  69. 吉田安

    吉田(安)委員 これを出すとどのくらいの収入見込みですか。
  70. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 大体小包葉書を私どもの方ではとりあえず百万だけ刷りたいと思いますが、百万売れますと三円でありますから三百万円になります。しかしこれは便利だというので利用がふえて来ますれば、印刷も増して行きたいと思つております。
  71. 吉田安

    吉田(安)委員 簡単に考えますと、民業圧迫の声が起るようにも考えられますから、その点は実際実施されるについては、十分ひとつその趣旨が徹底するように、御努力をお願いしたいと思います。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 今の吉田さんの質問に関連してお尋ねしたいのですが、私製の小包葉書をつくつてはならないというのは、一応というお言葉があつたので、これは原則としてお認めになつておられるのですが、暫定措置として最初であるから官製に限つたのでございますか。
  73. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 お説の通りでございます。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 試みにやつてみるという意味なら、このことを実行される場合に、これによつて民間業者が受ける打撃がある程度あるとするならば、この一応の試みは原則でやつて行かれてもさしつかえないと思いますし、特に官製はがきのほかに私製はがきを認めておるというはつきりした法的根拠がある場合に、小包葉書だけは私製を認めないということは、この点双方の均衡を欠いていると思うがいかがですか。
  75. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 現在の郵便はがきとは別なのでございます。官製のものとは別に、小包葉書として別なものをつくるわけです。従つて小包葉書を発売し、これを利用していただきましても、荷札をつけていただかないということではないのであります。従つて小包葉書を張つて、荷札をつけられても、とにかくあて名が間違わないように荷物が届けばいいのでありまして、荷札を廃止するというのではないのであります。従来荷札を一枚張つてつたのが、今度小包葉書を張つた場合には、結果的には表書きの用をなすのでありますから、荷札がいらないことになると思いますが、これはごくわずかだと思います。決して荷札を張つてはいけないという趣旨ではないのでありまして、通信文が書けるのはとにかく小包葉書だけに限るということにしたわけであります。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 私のお尋ねしているのは、荷札をつける問題でなくして、官製の小包葉書だけを認めて、他の私製の小包葉書を認めないのは、どういうことかとお尋ねしておるのであります。今申し上げたのは、官製の二円のはがきのほかに、私製のはがきをつくつて二円の切手を貼付してもいいように法的根拠ができでおる。そういうことが普通のはがきには法的に認められているのだから、私製の小包葉書も認めて、三円の切手をそれに貼付すればいいのではないか。さつき原則的とおつしやつたが、原則として認められるならば、これは一応暫定の措置とはいいながら、当然民間業者が今まで郵便に対して、大体荷札業者が百五十社くらいあるようですが、それが三割見当郵便の方へ振り当てておつたそうですが、この措置がとられると、一般国民はこの便利なものを利用するのに傾くだろうと思う。そうするとデパートとか、そのほかから発送する場合に、従来官製はがきのほかに私製を認めたと同じように、私製をつくつて、デパート等から、同じ規格で三円の切手を張つて発送するとか、そうした道も開いておかないと、まつたく官営独占事業になつて、小包葉書によつて受ける民間業者の打撃は非常に大きい。一応の措置をやつておくという程度のものであるならば、それによつて受ける民間業者の打撃を考えたときに、官製小包葉書のほかに、私製小包葉書を設けておいても一向さしつかえないのではないか。すでに長い間こうした郵便事務が進められておるのであるから、従来でさえ官製はがきと私製はがきを認められておつて、何ら不都合が起つていない。今までの私製はがきでも切手がはげることがあつただろう。しかし受けつけた郵便局でスタンプを押して確認して発送するのであるから、切手がはげるような心配もない。それならば私製の小包はがきをつくらせることは何らさしつかえないし、もちろん三円の切手はちやんと張らすのですから、郵政省収入においては何ら異ならない。むしろ別にはがきを刷つてくれるのですから、郵政省としては収入が増大するわけで、郵政省のプラスになり、民間業者も圧迫しない。こういう立場から言えば、私製の小包葉書を認めることは、むしろ妥当ではないでしようか。
  77. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 要するに今回とにかく最初でございますので、官製のみに限つたということは、結局その利用がスムースに行くようにということを考えたわけであります。これはごらんのように荷札のかつこうをしておりますから、小包葉書に通信文を書けるということになれば、私製売りすれば、一般の荷札にも通信文を書けるという誤解を受けて、鉄道の荷札に通信文を書いて切手を張つて出されるということになりますと、非常に混乱を来しますので、今回はとにかくこれになれるまでは官製にして行きたい。民業圧迫のお話がございましたが、現在のはがきの私製を圧迫するのではなく、新しくできるのですから、現在の郵便はがきの私製はそのままできるわけです。今度はこういう種類が一つふえるというわけです。結局民業圧迫の問題は、このために荷札が売れなくなるのではないか、こういう問題になると思うのでありまして、私製のはがきが圧迫を受けるのではなくて、荷札が売れないようになる、この面の民業圧迫ではないかと考えるのであります。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 そうなんです。荷札会社が私製の荷札をつくつて、それを一円でそうした特別の発送する人たちに売るわけですから、やはり私製のこういう荷札をつくる会社に影響するわけです。要するに荷札会社がこういうものと同じ規格で発送する人に渡して、一円でも八十銭でも買つてもらうわけですから、やはり圧迫を受ける。もう一つ、普通の荷札に通信文を書くおそれがあるとおつしやるけれども、この規格に応じて私製の小包はがきをつくらすのであつて、それを受けつける方でこれを確認して出すのでありますから、決して不都合なことはない。中を一々開いてみて、これは張つてあるか、ないかということでなしに、ちやんと三円切手を張つて出させるのですから、決してまぎらわしいことは起らないと思う。
  79. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ごもつともなことでございますが、要するに私どもはこういうことを心配しておるわけです。一つは、先ほど申し上げましたように、一般小包葉書の私製を許しますと、一般の荷札に通信文を書かれる。それに切手を張つたらよろしいということになりますが、普通のはがきは、そのはがきだけを扱つて行くわけでありますが、これは小包と一緒に行きまして——小包の取扱いは一種、二種の扱いと多少仕事振りが違うわけです。従つて小包とくつついておりますので、切手等が途中ではがれるおそれがある。むしろ初めから印刷しておけばそういう心配はない。こういうことを私ども考えておるのであります。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 途中ではがれるというが、それを受けつけた局が責任を持てばよい。途中ではげた場合は今までだつてつたわけですから、発送するときの責任になるわけであります。すでに郵便官署で受けつけた場合には、切手が張つてあるのを認めて受けつけるわけですから、その点はどうですか。
  81. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 なるほど受付の場合はそうなんですが、配達する場合は、配達局では、切手がありませんと、はたしてこれは料金を納められたかどうかということを審査しなければならぬ。その点が非常に問題になるわけであります。要するに小包を扱う途中において、何かの拍子で小包の間にくつついてしまつて切手がはげるということが起らないとも限らないのであります。御趣旨はよくわかつておりますので、当分の間これでやつてみまして、うまく行きましたならば、将来十分御趣旨の点を考えて行きたいという気持でございます。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 途中ではげるというが、当然切手が張つてあればスタンプを押さなければいけないから、途中で切手がはげても、スタンプのあとがついているわけですから、その理由は成り立たぬと思うのですが、いかがですか。
  83. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 なるほどスタンプがついていますからいいようなものですが、やはりこれを配達する場合に、切手がありませんと、はたして料金を納められたかどうかということが疑わしいわけです。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 切手がはげても、スタンプのかどが残つてつて、明らかに切手がはつであつたことがわかつておる。それを問うておるのです。
  85. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 それはなるほど郵便局で押したもので、間違いないことは間違いないわけでありますが、配達局の方におきましては、切手がなければ、はたしてこれは料金を納めているかどうかわからないわけです。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 一般の封書だつてはげたものがたびたび来ます。
  87. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 それは便宜やつておると思いますが、建前のことを私は申し上げておるのです。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 これは議論にならないと思います。切手を張つたあとが明らかに残つているにかかわらず、これは切手がないから配達するのはどうも不安だというが、引受けた郵便局のスタンプが押してあれば当然引受けたのであつて、これはあまりに常識を欠きます。普通の封書だつて切手がはげて来る場合がしばしばあります。そのときに、スタンプのかどが切手のとれたところに明らかに残つておる場合は、料金を納めた封書であるということは、配達をする人、全逓の諸君だつて、おそらくわかるのですから、今の浦島さんの説は成り立たぬと思います。
  89. 浦島喜久衞

    浦島政府委員 ごもつともでございますが、受田さんも、要するに切手が完全にはがれないで配達まで行くことをお望みだと思います。たまたまはげることはあり得るのでありますけれども、要するに郵便局としては、引受けの際の切手配達の際まで完全について行くということは、当然望まれることであります。ただ小包葉書の場合は、小包と一緒に行きますから、はげやすいということを私は申し上げたのであります。切手を張つていただいた以上は、配達されるまでついて行くのが建前でありまして、そういうことはお望みだと思うのです。
  90. 池田正之輔

    池田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  91. 池田正之輔

    池田委員長 速記を始めてください。林君。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 定額貯金の利子を上げますと、一年にどれくらいの負担になりますか。
  93. 白根玉喜

    ○白根政府委員 年間約三億、これは仮定があるのですが、現在普通貯金が六〇%、定額が三〇%になつております。普通貯金は、法律にありますように、十六日以後に利子をつけない。定額だけ利子を上げることになるので、普通貯金の部分が定額にある程度移行するだろう、こういうような仮定を立てまして、かりに普通貯金六〇%のうち五%定額の方に移るだろう、こういう観点で行きますと、三億九千万円程度になると思います。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 郵便貯金特別会計が今度できるのは御存じだと思う。この郵便貯金特別会計ができまして、これに対して資金運用部としては五分五厘しかくれないのだから、郵便貯金特別会計がまた四億近く負担が重くなると、これは一般会計からやはり繰入れることになるのですか。
  95. 白根玉喜

    ○白根政府委員 定額貯金も、民間の長期物に対しまして、いま少し上げたいという気持もございましたが、それらの点も勘案して、改正意見を出したのであります。しからば財源を別に一般会計なりからさらにプラスしてもらうのかという御質問だと思います。その点は十六日以後は利子をつけないという改正案をお願いしておるのでございますが、その面で約四億円程度が浮くことになります。その趣旨は貯金といたしましては、長期物についてはなるべく利子を高くいたしたい、普通貯金といたしましても、財源がないために、利子の引上げをしたいときでも、事業経営上できない場合がある。従いまして短期のものにつきましては、十六日以後程度のものにつきましては利子をつけない。これは昭和二年以後戦争中まであつたわけであります。それを復活いたしまして、それで浮いた財源によりまして、長期物に対して利子を引上げたい、かような考え方で改正案を出したのであります。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 これは国民の側からいうと、せつかく定額貯金で利子が上つていいと思つたら、普通貯金の方が十六日以後に貯金したものには利子をつけない、今まで払つていた四億の利子を払わなくなるのですか。
  97. 白根玉喜

    ○白根政府委員 実は郵便貯金につきましては、建前といたしましては、なるべく原資の許す限り利子の引上げをやりたいけれども事業経営の面からいたしまして、できない場合がある。従つて事務の取扱いの面も考えまして、十六日以後については利子をつけない。その財源を浮かして、それで長期のものに対しまして利子をつけたい、かような考え方であります。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 それはよくわかります。そうすると、十六日を越えないものに利子をつけないというのは、普通貯金の方ですか。
  99. 白根玉喜

    ○白根政府委員 そうです。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 郵便貯金を利用する大衆の側からいうと、預金額からいつても普通郵便貯金を利用するものの方が多いのです。定額貯金は余裕のある人がやつておる。昭和二年にはそうであつたとあなたは言われるけれども、やはり一般の大衆的な貯金の預金者の四億円の犠牲で、定額貯金の方の預金者の利益をはかるということになるのですが、それでいいですか。
  101. 白根玉喜

    ○白根政府委員 定額のものが必ずしも高額所得者ということにはなつていないのであります。のみならず普通貯金につきましても、零細貯蓄をする層に対しまして貯蓄心を涵養する意味からいたしまして、普通貯金のグループの中で長期になるものについては——長期、短期は普通貯金にはないのでありますけれども、お話のように大衆貯金の分野について利子をなるべくたくさんつけたい、つけたいけれども長期、短期の区別がない、ないといたしますと、短期物と申しますか、十六日以後のごときものにつきましては、りくつからいいますと、今月の三十一日に払い込んで、翌月に払い出すというようなときにも、利子をつけるというのはおかしいという議論もございます。一面これは関係方面といたしましても、普通貯金については、民間に比較いたしまして高過ぎる、これをある程度調整をとれという強い意向があつたのでございますが、大衆的な貯金でもございますし、その点はるる説明いたしまして、かんべんしてもらつたのでございますが、十六日以後の利子をつけるということは、月の終りに預入して、翌月の初日に引出すときでも利子がつくのは、不合理じやないかという御意見もあるし、また先ほど申しましたように、普通貯金の分でも、実質上非常に短期なものについては利子をつけないで、そのかわり普通貯金全体の利子についてはこれを引上げたい、これは昭和二年以来ずつと戦前まではしておつたわけです。これが正しい姿でもないかという見方も立つのでございます。あれこれ考えまして、そういうふうにいたしたのであります。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 それは白根さん、だれでも貯金は長くしておきたいのはあたりまえですよ。しかし今のようにこういう低賃金のもとでは、なかなか長く貯金しておくというのは無理だし、一月の給料が二度ずつにわけられて払われるという官庁もありますから、やはり半月でも郵便局へ持つてつて貯金するという大衆は、心がけのいい人たちで、私はほんとうにこれは保護しなければならぬ大衆だと思います。一年くらいの定期貯金のできる人は、やはり余裕のある人だと思います。ですから財源を求めるなら、やはり資金運用部から、特別会計として六分九厘のコストがかかるというなら、これをとるという方向へ行くべきであつて、十六日からの貯金は貯金の部類には入れる資格がないから、この利息はつける必要はないという考え方は間違いだと思います。大衆が貯金をするためには、そういう零細な貯金を保護してやつて、大蔵省で時局産業でうんともうかつておる資金運用部から、貯金コストのかかるコストだけはとるのが当然の権利です。これをとるという方に関心を向けて行くべきだと思いますが、どうですか。
  103. 白根玉喜

    ○白根政府委員 大体のお考え方の方向については、おつしやる点も了承いたすのであります。貯金事業といたしましても、一つの企業経営であります。企業経営の観点から見ますと、回転率が非常にかかるのと、回転率のかからないものについては、ある程度差等をつけてやるのが、企業経営のやり方であろうかと思うのであります。従いまして普通貯金の方が、見方によればあるいは定額貯金に比較いたしまして、零細大衆の預金分野であるという点も、ある程度むろん認めます。認めますが、そういう面から考えて、普通貯金についてはできるだけ利子を引下げないように努力して参つておるのであります。関係方面では下げろというお話がございましたけれども、それに対しましてわれわれは零細貯蓄の面を強調いたしまして、できるだけ利子の引下げをかんべんしてもらつて、ただ十六日以後のものに利息をつけないというものは、先ほど申し上げましたように必ずしもあなたのおつしやるように、十六日以後の短期のものだけ、すぐ十五日ぐらいで払い出すものだけがみな零細階級で、十五日を越えて行くものは零細階級でないという考え方も立たぬと思います。普通貯金は大体九箇月程度一般でございまして、そういう面から申しますと、われわれとしては普通貯金をするような階層は、やはり零細階級の方々であると存ずると同時に、一面事業経営の点も考慮いたしまして、過去にやつておりました十六日以後のものには利息をつけないというのを復活いたした次第でございます。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 その復活せられるというのはこの法案の中にあるのですか、これから出すのですか。
  105. 白根玉喜

    ○白根政府委員 十六日以後には利息をつけないというのは、この條文の中にあります。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それで私としてはやはり白根さんと考えが根本的に違うと思います。やはり逓信事業郵便事業というものは公共的性格を持つておるので、これをアメリカ的考えから企業というような考え方でもつてつて、やはり長く金を預けてくれる人はよいお得意さんで、十五日や十六日で預けるものはやむを得ぬというような根本的な考え方には、私は反対であります。やはり郵政事業というのは、少し犠性があつても公共的性格を持つべきものであります。その不足したものは一般会計から入れるなり、預金部資金からとるなりして、公共的性格を維持し、零細な人たちの保護のために郵政事業というものはなさるべきだということを考えておりますから、これはあなたと根本的に考えが違つております。ただやはり将来の見通しとしては、この資金運用部の問題についてわれわれも協力して、これからぜめてかかるだけのコストは払つてもらう、あるいはこの運用を郵政省の方へまかしてもらう、もつと大きな根本的な立場から、郵政事業の独立採算制なり、立ち直りということを考えて行くべきものであつて、郵政事業の独立採算制の名のもとに、零細な大衆を郵政事業から切り離し、あるいは郵政の従業員に労働強化と犠牲を転嫁させて行く独立採算制ということについては、郵政事業に関心を持つているわれわれとしては賛成できない。この点についてもう一度資金運用部の点についてかかるだけのコストをもらうということ、あるいは将来郵便貯金なら郵便貯金、あるいは簡易保険なら簡易保険の運用を、実際下積みになつて働いている郵政省なら郵政省へ持つて来て、ここで適当にコストのとれるような運営をはかるという方向、これを一体郵政省の首脳部としては考えているのかいないのか、またこの方面へ大きな努力を向けるべきだと思うが、この点はどうなんですか。
  107. 白根玉喜

    ○白根政府委員 郵政事業につきまして独立採算制を堅持するという立て方よりも、郵政事業に必要な程度のものをどしどし出して、不足の分は一般会計からもらつてつたらいいじやないか、こういう御趣旨のように伺いまして、ことに林さんは郵政事業に対して非常に御熱心で御協力していただくので、御鞭撻の意味であると非常に感謝しております。私どもといたしましてもそういう趣旨によりまして、郵便貯金事業特別会計へ、五分五厘でもらつた足らない分につきましては、十五億の予算をもらつております。しかしさればといつて、独立採算制的な気構えによつて経済的な事業経営をやらないでいいということはないと思うのです。従いましてわれわれといたしましては、できるだけ自分の面におきまして、独立採算に近い方向に行くと同時に、またおつしやる面も考えて、そこの調整をはからなければならないと存じまして、そういう意味で、一面御趣旨のように一般会計から繰入金をもらうと同時に、他面事業の面におきまして、無理のない程度の独立採算を目標にした事業の施策、経営をやるのが、われわれの責務ではないかと存じておる次第であります。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 大野次官にちよつとお尋ねしたいのですが、独立採算制というならば、郵便貯金特別会計を郵政省で扱う場合、これにかかるコストを資金運用部からもらうのがあたりまえではないですか。それを当然赤字になるような金しかもらわぬでおいて、お前のところは独立採算制ということになれば、まずまず郵政省がその赤字のしつぽを負うことになるでしよう。もし独立採算制と郵政省が言うなら、かかる費用を資金運用部からもらわないのですか。
  109. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 ただいまのお説の通りでありまして、五分五厘ではとうてい貯金特別会計は採算が立ちませんので、それで補給金としまして十五億円、別途に繰入れをしてもらうような来年度の予算に相なつておるわけでございます。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 独立採算制だから、郵便貯金もたとえば零細な——私は零細と思うのですけれども、十六日以内の預金者の利子は切り捨てるというようなことなどはしないで、そういうふうに独立採算制、独立採算制と言うならば、当然とれる資金運用部の方から、そういう実際かつている費用くらいはとつて、そうしてなお赤字になるなら、その負担を大衆なりあるいは従業員の首切りだとか、低賃金だとか——、これはわれわれは絶対反対ですが、そういう面につけて来るならまだ筋は通つていますけれども、当然もらうべきものをもらわぬでおいて、独立採算制の犠牲を、郵政事業を守つてくれている大衆だとか、あるいは郵政事業の縁の下の力持ちになつている貯金の従業員あるいは簡易保険の従業員だとか、そういう従業員の労働強化や低賃金にその負担をかけているということは、全然筋が通らないと思うのですが、その点についてはどういうように考えていられるのですか。結局この独立採算制というものを、大衆だとかあるいは郵政事業に従事している人たちの犠牲でやつている。もつと当然とれるべきところ、強い方に対しても努力しているのか、してもとれないのか知りませんが、いかにも政治力のないやり方をしているということに対して、われわれはどうも慨嘆にたえないのですが、その点はどうなんでしようか。
  111. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 ただいまの点につきましても、御意見の通り私ども考えております。そういうわけで、郵政特別会計におきましても、ここのところ連年一般会計から赤字の繰入れをしてもらつておりますけれども、必ずしもこれが——実は言葉は適当ではございませんが、事業のために名誉なこととは考えていないわけであります。それから先ほどちよつと仰せになりました利子の問題でございますが、これは実はそういう独立採算とか何とかいうことには関係はないのでありまして、ただ計算の便宜上、最も正確に行きますれば、月の途中におきまして預入されましたものは、日割りでもつて利子の計算をすべきはずのものでございますけれども、何しろ御承知のように多数の預金者の利子計算をやりますので、やはり半月に区切りまして、月の前半に預けられた人は、途中でありましてうその月の利子をつけるかわりに、月の後半に預けられた方にはその月分に限つては利子をつけない、つまりそういうやり方で事務の便宜の上から、しかも一面公平の観念に沿うようにということでそうなつておるのでございます。このこと自体が、そういうことで利子の負担額を免れて、それだけでも独立採算の上に寄與しようというような考えは、毛頭ないわけであります。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 郵政事業は赤字だ赤字だといいますが、赤字というのは人の仕事をやつてつている場合に、やつてつている人から当然かかる費用をとつて、それで赤字が出たら赤字でしようが、人の仕事をやつてつて費用がかかるのを、その費用をもらわないでおいて、郵政事業は赤字だということはおかしいと思うのですが、やはり郵便貯金のコストが六分七厘かかるから、資金運用部から六分七厘もらつて、なお不足つたら赤字でしようが、六分七厘かかるのを、五分五厘しか人に仕事をやらせているところがくれないということになれば、赤字が出るのはあたりまえだ、一般会計から繰入れしてもらうのは申訳ないと言つて、ただ頭を下げているのは能のない話ですが、そんなに郵政関係の人は申訳ない申訳ないと言つて、頭を下げてなければいけないのですか。
  113. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 先ほども申し上げました通り、申訳ないとは考えておらないのであります。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 この郵便貯金法の一部改正法律案の貯金総額の制限の問題ですが、一人の預金者につき最高三万円ですが、現にこれを越えて貯金をしている。法律條文に三万円を越えてはならないと規定してあるのを破つている例はありませんか。
  115. 白根玉喜

    ○白根政府委員 全然ないとは申しかねるのでございます。その事情といたしましては、たとえば家族が五人ある、五人ならば五冊の通帳ができるわけであります。うちに貯金通帳が五冊もあるので、めんどうくさいから一冊にしてやろうという気構えもあるような面もあります。それから郵便局の方といたしましても、多少緩和したような傾向がある程度あるのじやないか、かように考えまして、ある程度はおつしやるような事態がある、しかし法律がある以上は、それをあまりに広げてやられては困るというので、実は昨年からその点をある程度締めて参つておるのであります。何がしかはあると思います。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 総額を三万円として区切るよりは、むしろこれを五万円くらいに引上げる御意忠はありませんか。
  117. 白根玉喜

    ○白根政府委員 ごもつともな御意見でございまして、私どもといたしましても総額制限が三万円であるというのは、あまりに非常識ではなかろうか、預金者の側といたしましても、三万円では郵便局の利用度が少いから、いま少しく幅を広げてもらいたいという希望もあるだろう、また資金を吸収する面からいたしましても、三万円ではあまりにも低過ぎるのではないか、かように存じまして、実は八万円ないし十万円程度に引上げるように、関係方面に申し述べて参つたのでありますが、御承知のように郵便貯金と類似の制度、たとえば貯蓄組合の貯金がやはり三万円で無税になつております。これらは同じ零細階層を対象としたという建前の二つの制度でございます。この両方を込めまして、八万円ないし十万円左で引上げてもらうように努力を傾けて参つたのでございますが、主として税その他の関係で、法律提出のときまでは、関係方面がどうしても了承していただけない段階にございますので、ひとまずその点は御提案をいたさなかつたのでございますが、今後ともできるだけ努力いたしまして、了解を得次第、またお願いすることにいたしたいと存ずる次第であります。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 五万円でも十万円でも、現に民間の大衆層には、それを利用しようという機運が出ていると思います。民間の銀行とかその他の金融業者を圧迫するという懸念も、さほど心配なさる必要もないと思います。問題はあの戦時の一番低いときでさえも、最高千円まで認められておつた。そうすると今の物価水準から言うならば、百数十倍に達しておるのだから、十万円は問題じやない、簡易保険だつて同じだと言えるのです。これは官営事業であるがゆえに遠慮しているという傾向が、郵政省に幾分でもひそんでいるのではないかという懸念を私は持つていることと、今お言葉の中に三万円以上を越えた預金者をある程度認めていると言われたが、法律では三万円を越えてはならないとはつきりしてあるから、郵政省が大目に見ている向きが例外としてでもあつて、何でも一年に一回利子記入をやつて、利子が計算されると三万円を越えるという場合、法規違反になる。そういう法規違反をやつてまでも大目に見るということは、これは政府機関の信用に関する問題だ。実は四万円あつても五万円あつても、郵便局で貯金を大目に見ておるのだということになると、政府を信頼しないという非常に悪い印象を起すと思うのです。三万円と切つてあれば、三万円以上の分は通帳を二冊にしてください。他の方の名儀にしてくださいと当然言うべきであつて、三万円を越すけれども大目に印刷を押しますというようなやり方は、これは政府機関として重大な問題だと私は思うのです。今お言葉の中に、三万円を越えたものは多少あると思うが、これは大目に見ていると言われたが、これは法律違反を政府自身が犯すということになるが、その御見解を伺いたい。
  119. 白根玉喜

    ○白根政府委員 ごもつともな御意見でございまして、おつしやいましたような趣旨に基きまして、昨年以来郵政局関係の担当官を呼びまして、法律違反のないように厳重に申渡しをいたし、いやしくも法律がある以上は、法律に違反しないように指示はして参つておるのであります。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 その点において、この五万円とか十万円とかいう問題が起つて来ると思うのです。名儀をいろいろ書きかえて他の名儀にすればいいということになつて、結局三万円というのは一つ基準を示しただけで、実際は非常に融通のつくことになつていると思うのです。これは最高額を法律で規定したところに、郵政省としてもちよつと無理があると思うのです。  もう一つ法律違反、その問題については地方の郵便官署に、何か通牒をお出しになつておられるかどうか、三万円を越えたものに対して、受入れは収支総計額を計算した上でやつて行かぬと、幾らあつたかわからなくなる。それで一万円くらい越えた額は受入れをやる傾向は多分にあると思うのです。三万円を一万円くらい越えても、郵便局で大目に見てゴム印を押すようです。こういう点、一応最高額を越えはしないかの調べをして受入れるようにということを、通達をしておられるかどうか。
  121. 白根玉喜

    ○白根政府委員 最高制限を越えないように通牒をするにつきましては、郵便局では実はわかりかねるのであります。実は名寄せをしなければわからないかつこうになる。名寄せとなりますと、御承知のように相当な労力がかかるのであります。経費も相当かかるのであります。従いまして、おつしやるような意味まで徹底的に行くことは、実際問題として相当困難でありますので、郵便局で受けるときに、一人で二冊以上の通帳を持たないように、現に通帳を持つておりますれば、それに入れてもらうように勧奨する、昨年通牒を出すと同時に、郵政局の貯蓄部長を呼びまして、そういう趣旨のことを厳重示達して参つております。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 今の御答弁は第十六條に関係して来ると思うのでありますが、二冊以上の通帳を持つておる者も相当あると思います。そういうものは実際に貯金局において原簿を調べる際に、事実同じ番地で同じ氏名の者が出た場合に、これに対して何らかの措置をしておられるかどうか。記号番号がそれぞれ違い、住所を基準にして原簿をつくつてないので、非常に調査に困難であろうと思うが、こういう問題も法律違反でありますから、法律違反をまた犯すという傾向があつては困るので、言質をいただいておきたいと思います。
  123. 白根玉喜

    ○白根政府委員 地方貯金局で総額制限を越えておるかどうかという点は、先ほど申し上げましたように名寄せをやらなければならないのであります。その点は相当困難であると思いますが、同一人で通帳が二冊あるというような場合については、郵政局を通じて現業の郵便局に注意するように通牒を出しております。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 三万円以上を越えた額、つまり法律に根拠を持たない最高制限額以上の額に対して、利子を付しておりますか、付しておりませんか。
  125. 白根玉喜

    ○白根政府委員 それはつけないように示達をいたしております。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 その取扱い件数がどのくらいあるか。貯金局長のお手元に、三万円以上の額になつたものがどのくらいあるか、その数字があつたらお示し願いたい。
  127. 白根玉喜

    ○白根政府委員 残念でございますが、その数字は持つておりません。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 振替貯金の利子の制限、つまり利子をつける最高額の制限を撤廃しました。そうした行き方から見て、三万円を越えたものに対して、三万円以上幾ら越えているか、その分だけは利子を削るという取扱いを、おそらく現業の人たちも非常に煩瑣であるから、やつていないのじやないかという心配を私は持つておるのです。ところがここで問題が起るのは、今林さんが尋ねられた第十三号の問題で、利子は預け入れの月からこれをつけることになつておるのです。これは今までの問題にちよつと関係するのですが、十六日以後に預け入れた郵便貯金の預け入れ金には、その月の利子はつけないということに今度なつておりますが、今まではつけておるわけです。そうすると月の末に、三十日に預け入れて、翌日一日に三万円を出したという場合には、そのただ一日の間において一箇月分の利息がつくわけであります。そういう脱法的行為をする者——これは脱法ではない、合法ですけれども、そういう者の取締りについて、考えておられませんでしたか。
  129. 白根玉喜

    ○白根政府委員 この改正案が出る前といたしましては、法律の建前からいたしまして、十六日以後に、たとえば月の三十一日に入れて、翌月の一日に出しても、法律的には利子がつくことになつております。これはむしろ法律上監視はできないことになつております。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 ところがそれを悪用しておる者もおると見ておるのです。つまり三万円のものを十口くらい通帳を持つておると、三十万円なら二分五厘の利息にいたしましても、一年間に九千円になるのですから、一箇月に千円近くになる。つまり一日で千円近くの利子がつくのです。これは法に触れていないことはあたりまえですが、そういうことを郵便局において、きのう預けたのに、きよう出すのはどうしてですかという注意をするくらいのことがあつたかどうか。これは大目に見ておつたのか、それを故意にやつてつたようなことを発見されたことはないか、お尋ねします。
  131. 白根玉喜

    ○白根政府委員 法律の建前といたしましては、十六日以後は利子をつけないという規定がない限りにおきましては、たとえば月の末日に入れて、翌月の初日に引出しても、法律が許容しておる建前から、注意というか、実はそこまでやつておらないのでございますが、おつしやるような意味の事例が相当あるわけであります。それで実はそういうことも考えまして、今回十六日以後に利子をつけない、こういうことに改正案をお願いしたのであります。これが御採択になつた上は、それはむろんその通りにやるようにいたしたいと思います。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 最後に、郵政省としては大衆のサービス機関という意味からも、なるべく大衆に親切を盡すということは必要であると思います。同時にやはり法規は厳重に守つていただきたい。こうしてせつかく郵便法改正案をここで認めたという場合でも、実は最高制限額を越えてまで貯金を認めておるとか、あるいは通帳を二冊、三冊と持つて、一人で総額十万円以上になつているような者も何人かおるとか、こういうような事実がひそむということは、これはこの郵便法を国会を通過せしめた立場からも、非常に冒涜であると思います。この点郵政省としては、この法律を厳重に守り、もしこの法律を守らないような社会事象が起つておるならば、最高制限額を引上げて、大衆の要望にこたえるような努力をする、こういうような点で、ひとつ十分御考慮を煩わしたいと思います。
  133. 白根玉喜

    ○白根政府委員 おつしやる通りに、私どもとしてもやらなければならないと存ずるのであります。おつしやるように、そういう事象の起らない素因をつくる意味からいたしましても、最高制限額をある程度上げるということは必要であろうと思います。今後とも関係方面その他に折衝いたしまして、その点も並行して考慮するようにいたしたいと存ずる次第でございます。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 大野さんにお聞きしたいのですが、先ほどの資金運用部の問題ですが、この五分五厘というきめ方、これは大蔵省の方できめて来るのですか。どこがきめるのですか。
  135. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 これは資金運用部資金法案というのが、現在国会に提案されておりますが、その資金運用部資金法案の中にきめてある利率でございます。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 ですからそういう場合、郵政省あるいは郵便貯金特別会計としては、かかつたコストだけぐらいの利率にしてもらえなかつたのですか。
  137. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 内輪話で恐れ入りますけれども、われわれといたしましては、あの利率がきめられるまでの間には、極力そういう主張をいたしたのでございますけれども、結果におきましては、あらゆる他の資金と同様の取扱いにする。そのかわり不足の分は一般会計から補給するということで、ただいまの案のようになつているわけでございます。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 もしそういうようにかかつたコストに赤字が出たら、一般会計から繰入れると申しますが、たとえば郵便貯金特別会計としては、二千五百億になれば五分五厘のコストでやつて行けるという目標額が示されるわけですね。この目標額に達すれば、五分五厘で赤字が消える。よその特別会計並になるからということで、この目標額が示されるが、末端に行くと、郵便局長から郵便局扱い人まで、そのために非常に労働強化をしている。これは時間外の仕事としておぶさつて来るわけです。それから簡易保険もそうだと思います。たしか本年度の簡易保険の増資は、百七億ふやすという目標が出ております。この簡易保険のごときも、勧誘員としては、一定の時間郵便局で勤めて、ほかに二六時中もこの目標額に頭を悩まさなければならないということになるわけなんで、かかる費用をとらないでおいて、その負担が末端の従業員の非常な労働過重になるということについて、郵政省の方はどういうようにお考えになつておりますか。
  139. 大野勝三

    ○大野(勝)政府委員 いろいろな條件考えずに、しやにむに非常に早く、無理な方法でもつて独立採算を達成しようといたしますれば、まさにお説の通りの結果になりますが、そのようなことは、郵政省といたしましてもとるべき策ではないと考えております。たとえば貯金につきまして、なるほど貯蓄の増強という国の大方針がきまりますれば、それに相応して可能な限り努力はいたしますけれども、必ずしもただいまお話になりましたような、二千五百億ならば二千五百億というものを、無理やりに達成するために、現業の職員の諸君に不可能をしいるというようなことは、する考えを持つておらないのでございます。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし現実の情勢としては、たとえば特定局——特定局という制度はなくなつたかどうかしりませんが、特定局の局長あたりが、定額貯金の割当が来まして、実はみんな悲鳴をあげておるのですが、この割当制というものはないですか。
  141. 白根玉喜

    ○白根政府委員 割当制というのは、募集技術上申し上げておりますけれども、期待額というような意味でやるように現場に指示しております。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 割当でも期待でも似たようなものですが、私はもちろん貯金するのはいいと思いますが、そういうように貯金を勧める場合には、今言つた、たとい一日でも郵便局へ貯金したものには利子をつけるとか、そういうような保護の道を講じておいて、それからやるならいいが、そういうのはつつぱなしておいて、自分の利益になるものだけふやそうといつたつて無理だと思います。やはりそういう点も十分勘案して、将来この郵便貯金特別会計の運用、それから郵政事業の独立採算制ということについて考えてもらいたいと思います。ここで私これ以上このことを申しませんが、実際末端の郵便局長から、郵政事務に携つている諸君が、この簡易保険や郵便貯金の割当で、非常に苦労しておる。グラフをつくつたり、成績表が出て来ますから、一定の成績が上らないと、やはりその人の将来の俸給とか、その人の地位、身分にまで影響して来るということで、重大な関心を持つておるわけです。この点も十分郵政省としては関心を持つていただきたいと思います。  それから五分五厘の利子でありますが、私はどうしてもこれは不合理だと思うのです。資金運用部としてはこれで金融債を引受けて、八分七厘くらいの利子を銀行からとつている。銀行はまたこれを運用して一割二分くらいの利子をとつている。それから地方債にしても七分五、六厘です。ところが縁の下の力持ちで苦労している郵便特別会計の方へは、五分五厘の利子しかよこさない。このさやを資金運用部はかせいでいる。資金運用部のさやかせぎのために、郵政事業なり郵便特別会計で、縁の下の力持ちの末端の郵便局長や従業員が苦労しなければならない。この点がどうしても私はわからない。この点について将来郵政省の当事者として十分な関心を持つて——私は郵政省の人たちは割合に人がよくておとなしい。ただ首切りや一般従業員を強圧することだけは反対ですが、割合いおとなしくて、遠慮しがちで、従つて政治性がないと思うのですが、将来腰をすえて郵政事業あるいは郵便貯金特別会計のために、ひとつこうした大もとの不合理を直すように努力してもらいたいという希望を申し上げて、私の質問を打切ります。
  143. 池田正之輔

    池田委員長 それでは郵便法の一部を改正する法律案以外の三案に対する御質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、これにて三法律案に対する質疑は終局いたしました。  この際お諮りいたします。先ほど林委員より、郵便法の一部を改正する法律案の第三種郵便物取扱いに関して、日本新聞協会より一名の参考人を御推薦願い、本委員会において参考意見を聴取いたしたいとの御希望がありましたので、御希望通り参考人の出席を求め、参考意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 池田正之輔

    池田委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。なおその手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会