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1951-03-12 第10回国会 衆議院 郵政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十二日(月曜日)     午後二時六分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 白井 佐吉君    石原  登君       小西 寅松君    高木 松吉君       坪川 信三君    荒木萬壽夫君       椎熊 三郎君    長谷川四郎君       土井 直作君    柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田村 文吉君  出席政府委員         郵政事務官         (郵務局長)  浦島喜久衞君         郵政事務官         (貯金局長)  白根 玉喜君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      金丸 徳重君  委員外出席者         專  門  員 稻田  穰君         專  門  員 山戸 利生君     ————————————— 三月一日  委員尾関義一君及び山本久雄辞任につき、そ  の補欠として鈴木明良君及び森下孝君が議長の  指名委員に選任された。 同月二日  委員鈴木明良君及び森下孝辞任につき、その  補欠として尾関義一君及び山本久雄君が議長の  指名委員に選任された。 同月五日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として江  崎真澄君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員山本久雄辞任につき、その補欠として門  脇勝太郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員門脇勝太郎辞任につき、その補欠として  山本久雄君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員園田直君及び吉田安辞任につき、その補  欠として長谷川四郎君及び椎熊三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月一日  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第五九号)  郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  五号) 同月六日  宇甘西郵便局集配事務開始請願(逢澤寛君  紹介)(第九四〇号)  大部郵便局集配事務開始請願玉置實君紹  介)(第九六号)  郵便法の一部改正に関する請願丸山直友君紹  介)(第九六六号)  海外同胞救出記念切手発行に関する請願(庄  司一郎紹介)(第一〇四一号) 同月七日  国立岩手療養所構内に無集配特定郵便局設置の  請願淺利三朗紹介)(第一〇九七号)  此花郵便局復活請願前田種男紹介)(第  一〇九八号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件連合審  査会開会要求に関する件郵便振替貯金法の一部  を改正する法律案内閣提出第五八号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第五九号)  郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  五号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 会議を開きます。  議事に入る前に、議案が付託になりましたので御報告いたします。去る二月一日内閣提出による郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関する法律の一部を改正する法律案及び郵便法の一部を改正する法律案が、それぞれ本委員会付託と相なりました。以上御報告いたします。  まず連合審査の件についてお諮りいたします。ただいま大蔵委員会付託なつております資金運用部資金法案及び資金運用部特別会計法案並びに郵便貯金特別会計法案は、本委員会の所管に関する部分が多分にありますので、本法律案審査のために、大蔵委員会連合審査会を開くことに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田正之輔

    池田委員長 御異議なしと認めます。それでは連合審査会を開くことに決定いたしました。なおその日時については大蔵委員長と協議いたしまして、公報をもつてお知らせいたします。
  4. 柄澤登志子

    柄澤委員 議事進行について……。国政調査に関する件が、運営委員会の都合で否決されたということが、当委員会にも正式に御報告になつたと思うのでございます。資金運用部資金やその他本日御提案になりました郵政関係法案は、郵政行政の実施の上に非常に重大な影響を及ぼすものと考えられます。現場自体から見まして、長野、山梨あるいは仙台というような地方で、従組が闘争宣言をいたしておりますような実情、また超過勤務をやらなければ、現在の定員では、とうてい年度内に仕事が片づかないというような実情が現にあるのでありまして、どうしても当委員会としては国政調査の必要があると、かように考慮されますので、委員長のおとりはからいで各委員にお諮り願いまして、ぜひそれを決議していただきたい、かように提案いたすものでございます。当時の運営委員会の、国政調査がやれないという理由は、非常事態だからということであります。これはあるいは経費その他に関連するもののように思つてつたのでございますが、もしそうであるといたしますれば、東京都内郵政関係行政調査ということは、別に経費は何ら要しないのでございまして、私どもが時間を惜しまず足を運びさえすれば、これは調査できるのでございますから、ぜひその点をひとつ御考慮くださいまして、現場実情に即応して能率を上げて、国民サービスをやつて、しかも従業員の重荷にならない郵政行政の迅速な運営をいたしますのに、ぜひ国政調査提案を取上げていただきたい、かように思うものであります。ぜひはからつていただきたいと思います。
  5. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいまの柄澤君の動議は、もつともな節も多いようでございますけれども、私は議院運営委員をやつておりますので、御参考までに申し上げますと、この委員会がどうきめられようともそれは自由ですけれども運営委員会としては、原則として、国会開会中は、国政調査に名をかりて出張することは厳禁する、そういう申合せなつております。従つて国会自然休会であるとか、あるいは閉会後であるとかいうときは、それは委員会決定により、議長が許されれば、できないこともございませんが、開会中は大体できないことになつている。先般法務委員会からの、大阪方面における緊急を要する重大問題に関する出張のことについてですら、運営委員会はこれを許しませんでした。そういう実例等もありますので、御主張としてはもつともなようですが、そういう点も御勘案の上、御決定を願いたいと思います。
  6. 柄澤登志子

    柄澤委員 きようは土井先生椎熊先生と、運営委員の大先生方がおそろいになりましたので、たいへんいい機会だと思いますが、国会開会中は国政調査ができないという理由は、やはり私ども国政を担当して国会で活動いたします上に支障を来すということが、一番の根拠なつておると思うのでございますが、今私が要求いたしておりますのは、今ことに年度がわりを控えまして、新しい予算その他定員などがきまり、また特に郵政にとつて重大な預金部資金とか、郵便貯金特別会計法の問題を控えまして、私ども国政の審議の上から、そのためにこそ必要だと思うのでお願いするのでございますが、その点について運営委員会根拠なつております点を、一応はつきりお知らせ願いたいと思います。
  7. 椎熊三郎

    椎熊委員 国会開会中は、国会議員国会内部においてその職責を盡すべしというのが原則であります。従つて国政調査をしてはならぬというのではない。国政調査国会内でできる、資料政府に命じて十分これを要求すべし、政府は誠意をもつて一切の資料を提供すべし、政府委員懇切丁寧をきわめて説明すべし、そういうことであつて国会開会中は国会外に出張してやるということは、各般の状況から見で、過去五箇年間にわたる終戰以来国会状況から見て、不適当であるという結論からそうきめておるのであります。
  8. 柄澤登志子

    柄澤委員 たいへんごもつともな理由だと思うのでございます。しかしそれでありまするならば、全従業員が今反対し、また府県会決議に違反し、町村長会議決議に違反し、さらに衆参両院決議に反するところの法案が、きめられようとしているときでございますので、ここから出ますことが国政支障を来さないものである限りという条件においてでも、許してほしいと思います。それからもう一つは、もしそれができないというのでありまするならば、参考人を当委員会にお呼びください。実は私ども資料を要求いたしましても、迅速に資料が整わないのでございます。今私どもが一月の資料、二月の資料というふうに、最近の資料を要求いたしましても、政府機関としてはそれがとうてい整わないというのが現状でございまして、そういう緊急な資料が整わないでは、古い材料では、私ども差迫つた事態の問題を審議いたしますのに、支障があるのでございますから、そういうふうな参考人を呼ぶというようなことを、ぜひおとりはからい願えるかどうか、委員長にお伺いしたいと思うのでございます。
  9. 池田正之輔

    池田委員長 その問題はたいへん重要な点もあるようでございますが、あとで懇談をいたしまして考慮したいと思います。
  10. 柄澤登志子

    柄澤委員 それは理事会で懇談なさるおつもりでございますか。当委員会でおきめ願えないでございましようか。
  11. 池田正之輔

    池田委員長 委員会で皆さんと懇談いたします。     —————————————
  12. 池田正之輔

    池田委員長 それでは郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関する法律の一部を改正する法律案及び郵便法の一部を改正する法律案一括議題とし、政府提案理由の説明を求めます。田村郵政大臣
  13. 田村文吉

    田村国務大臣 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券整理に関する法律の一部を改正する法律案、以上四つの法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  まず郵便法の一部を改正する法律案について申し上げます。現行郵便法は、新憲法制定に伴いまして、その内容を新憲法の精神に即応せしめる必要に基きまして、昭和二十二年急速に制定せられたものであります。その際郵便取扱い制度内容改正は、短時日で成案できるものにとどめ、その他は新郵便法制定後できるだけすみやかに改正することとせられていたのであります。従いまして郵政省におきましては、その後郵便取扱い制度をできるだけ国民の希望するところに合致するようなものにして、郵便サービスの改善をはかろうと種々考究して参つたのでありますが、今般その案がまとまりましたので、ここに郵便法の一部を改正する法律案提案することといたした次第であります。以下改正の要点について若干御説明申し上げます。  まず新たに制度を設けようとするものについて申し上げます。  第一は、小包はがき制度であります。小包郵便物には、現行法規のもとでは、信書合裝または添付が認められていないので、小包を送つたことを知らせる手紙と小包とが同時に届けられないのを常とし、利用上著しく不便な場合がありますので、小包に添付して荷札を兼ねて同時に送達される小包はがき制度を設定し、その料金を三円とすることとしました。  第二は、料金受取人払い制度であります。これは商社等郵便局の承認を得て、一定の条件に従い封筒または私製はがきを調製し、これをあらかじめ多数の者に配付し、配付を受けた者は、註文等をする場合、切手を張ることなくそのままこれを商社等あてに差出し、その料金は同郵便物を配達の際、一般郵便料金料金徴収のための手数料一円を附加して、受取人たる商社等から徴収する制度でありまして、商業活動利便と、郵便利用負担軽減をはからんとするものであります。  第三は、小包について、戰前実施していました速達の制度を復活することにしたことであります。  次に現行取扱い制度内容改正しようとするものについて申し上げます。  第一は、小包郵便物容積及び重量最高制限を改めることとしたことであります。現行容積及び重量最高制限は、若干低過ぎ、利用上不便であると認められますので、小包郵便物容積の長さ、幅及び厚さを各別に一定したものとせず、その合計したものに改めて、若干これを引上げ、またその重量最高制限現行の四キロから戰前の六キロに引上げることとしました。  第二は、小包郵便物料金体系改正することとしたことであります。小包郵便物料金体系をできるだけ合理的なものといたしますために、小包取扱い経費が、その送達距離の大小により多大の差異があること、小包と同種の鉄道小荷物の運賃が距離制をとつていること等の事情を考慮しまして、現行全国均一制地帯制に改め、その地帯の区切り方は、引受け事務簡捷化のため、できるだけその段階を少くし、三地帶制としたのであります。そして地帶別料金額は、近距離は低料にし、遠距離を幾分高額とし、全体としては平均的に現行料金による収入と大差ないように定めることとしました、  第三は、書留保險扱いの両制度を統合して、書留制度に一本化することとしたことであります。現在賠償を伴う記録扱い制度には、書留保險扱いとがあり、郵便物送達中亡失した場合に、六百円以上の損害賠償を得ようとするものは、保險扱いとして差出さなければならないこととなつておりますが、利用の実際は、書留として出せば、送達途中亡失した場合、その実損額賠償してもらえるものと考えているのが一般実情であります。従つてこの損害賠償をめぐつて、紛議を生じている状態にもありますので、この両制度を統合しまして書留制度に一本化し、その料金は、差出しの際申告した損害償額に応じてこれを納付させ、送達中に亡失または毀損した場合には、申告した要償額の限度においてその実損額賠償することとしますとともに、その賠償最高額現行保險扱いの場合の十倍に引上げ、現金は五万円、物品は五十万円とすることにして公衆の利便と、損害の救済を実状に即するように改めたいという点であります。  第四は、第三種郵便物認可についての改正であります。すなわち第三種郵便物認可条件をできるだけ具体的に定め、また認可審査期間及び認可の効力の発生時期を明定しますとともに、認可審査期間を法定します関係から、今後の認可申請をできるだけ認可条件を具備しているものたらしめて、審査事務円滑化をはかるため、現在認可料として認可の際納めることになつている金額認可申請の際納付させることとし、認可をしない場合には、その半額を還付すること等を定めまして、第三種郵便物認可事務処理明確化迅速化を期することといたしました。  第五は、料金後納担保減免等改正であります。料金後納郵便制度現行担保額は、三箇月分相当額なつているため、相当高額に上るものがありまして、本制度利用を困難にしているきらいがありますので、担保額を二箇月分相当額に引下げ、また国債等有価証券担保として認めることとしましたほか、官公署、特別の法律で設立された公団、公社日本銀行等は、その性質料金徴収不能の事態を生じないものでありますので、これらのものに対しては担保提供の免除を明定することとして、本制度利用の増大と利用者負担軽減をはかることといたしました。  第六は、郵便私書箱短期使用の制を設けることとしたことであります。郵便私書箱使用は、現在一年以上利用するものの使用を建前としておりますため、たとえば外国の旅行者等は不便を感じておりますので、三箇月間及び六箇月間の短期かつ定期利用の道を開くこととしました。  その他、現行制度改正するものとしましては、代金引きかえ金額最高制限を、現行の五万円から五十万円に引上げたこと、電信による名あて変更、とりもどし料金を適正にしたこと等があります。  最後に、郵便事業の円滑な運営を確保するための改正について申し上げます。  第一は、信書送達の独占に関する規定を明確にしたことであります。これに関する現行規定は、「何人も、信書送達を営業としてはならない」となつていますが、信書送達を業としている者が、委託者の雇い人の形式をとつている場合、この規定に抵触するかどうかについて疑義を生じ、いわゆる私設郵便局の取締り上も困りますので、この点を明確にいたしたのであります。また他人信書送達を業とする者は、委託者から慫慂されて開始する場合も少くないと認められますので、このような信書送達を禁止せられている者には、信書送達を委託してはならないこととしました。  第二は、罰則中、罰金金額改正でありまして、罰金現行金額は、現下の経済事情のもとでは低きに過ぎますので、他の一般刑罰法令の例にならつて、これをすべて現行の十倍に引上げようとするものであります。  第三は、郵便を不正に利用する罪を新たに規定したことであります。郵便は、公共福祉増進目的とする文化的、平和的な事業であり、また国民日常生活に欠くことのできないものでありますため、犯罪目的利用することを許すことは、事業の性格に反するばかりでなく、国民郵便に対する安心感を失い、国民の文化的、平和的な生活に障害を与えることとなるおそれがありますので、犯罪の手段として最も多く郵便使用するおそれのある詐欺、脅迫等目的で、真実に反する住所、居所、所在地、氏名、名称または通信文を記載した郵便物を差出し、または他人にこれを差出させた者は、五万円以下の罰金または科料に処することにしました。  次は、郵便貯金法の一部を改正する法律案であります。この法律案は、郵便貯金預金者利便増進し、その利用を容易にして、貯蓄の吸収に資し、一面において現在利用度の少い、または利用のまつたくない制度を廃止して、事業簡素化をはかり、あわせて社会情勢及び経済事情変化に伴う規定整備を行おうとするものでありますが、その内容は次の通りであります。  第一の改正は、定額郵便貯金利率引上げることでありますが、これはその利率が現在最低年二分九厘(預け入れ期間一年以下のもの)、最高年三分五厘(預け入れ期間五年を越えるもの)と定められておりまして、銀行の定期預金利率預け入れ期間三箇月のもの年三分八厘、六箇月のもの年四分六厘、一年のもの年五分に比べて著しく低いので、その利率最低年三分、最高年四分に引上げ長期預金者利便をはかり、現下緊急の課題でありまする長期安定資金吸収に資せんとするものであります。もつともこの利率引上げは、支拂い利子の増加を来し、事業の経営に多少の影響を与えますので、その均衡を保つために、一方通常郵便貯金利子計算方法を改め、各月の十六日以後の預け入れ金にはその月の利子をつけないこととし、月末に預け入れして翌月の初めに引出されるがごとき短期預け入れ金には利子をつけないことに改めるとともに、通常郵便貯金及び積立郵便貯金の十円未満の端数預け入れ金にも、利子をつけないことに改めたいと存ずるのであります。  第二の改正は、預金者請求によつて取扱い郵便局を特定する制度を新設し、一面、郵便貯金本人票発行を実施することでありますが、これは現在郵便貯金利用が、多少の制度はありますが、原則としてどこの郵便局でもできるという利点が、通帳盗難等の場合においては、かえつて貯金の詐取を招く結果となつている実情にかんがみまして、郵便貯金制度を、常に住所または勤務先もより郵便局利用している者の利便のために、その請求により、一の通常郵便貯金について、その預け入れ、払いもどし等の取扱いをする郵便局を、あらかじめ預金者が特定し得ることとし、その場合には、その他の郵便局ではその貯金について一切の取扱いをしないこととする制度を設けて、これらの預金者貯金を安全にする一面、船員、旅行者等全国各地郵便局郵便貯金利用を必要とする預金者に対しましては、その請求により郵便貯金本人票を実費で交付し、その本人票の呈示によつて全国どこの郵便局でも何らの制限なく郵便貯金利用できるようにいたしまして、これらの預金者利便及び貯金の安全をはかろうとするものであります。  第三の改正は、すえ置き郵便貯金、特別すえ置き郵便貯金及び預金者請求による証券保管制度を廃止することでありますが、これらの制度は、現在利用度が少いか、またはまつたく利用がなくなつているものでありまして、将来もその利用を期待することができないので、この際すべて廃止して、事業簡素化をはかりたいと存ずるのであります。もつとも現在なお存する少数の利用者に対しましては、法律施行後もその権利を保全するよう、附則において考慮してあります。  その他の改正といたしましては、郵便貯金元利金支払いを国が保証する旨の積極的規定を設けまして、その安全性を明確にすること、郵便貯金貯金総額制限規定の適用を受けない法人または団体として、新たに日本専売公社日本国有鉄道、大日本育英会日本放送協会、その他民法第三十四条の法人など、国に準ずべき団体及び公益団体を加えること、通常郵便貯金の一部払いもどしの場合の金額端数制限円位以上に引上げること、団体取扱い郵便貯金取扱い対象団体を拡張すること等がありますが、これらの改正は、預金者利便をはかり、または経済事情変化に伴う規定整備を行おうとするものであります。  次に、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案提案理由を説明申し上げます。この法律案は、郵便貯金法の一部改正と同じく、郵便振替貯金加入者利便増進し、その利用を容易にする一面、利用度の少い制度を廃止して、事業簡素化をはかるとともに、あわせて社会情勢及び経済事情変化に伴う規定整備を行い、郵便振替貯金事業の発展に寄与しようとするものでありまして、その内容は次の通りであります。  その一は、郵便貯金の場合と同様の趣旨で、郵便振替貯金元利金支払いについて、国が保証する旨の積極的規定を設けようとするものであります。  その二は、現在加入者代理行為をする代理署名人権限は、振替及び払出しの請求のみに限られておるのでありますが、住所変更の届出その他加入の実体に触れない範囲において、その権限を広げることによりまして、利用上の利便をはかろうとするものであります。  その三は、現在郵便振替貯金貯金現在高が十万円を越えるときは、その超過する額に対しては利子をつけないことになつておるのでありますが、この規定は、大正四年に設けられた制限であり、今日の経済事情のもとにおいてはふさわしくないものと認められますので、この制限を撤廃いたしまして、加入者の利益を保護しようとするものであります。  その四は、公金に関する郵便振替貯金としまして、地方公共団体加入者とし、その加入者が徴収する地方税等公共納付については、一般の払込み料金よりも低廉な料金で特別の取扱いをする制度が、現に盛んに利用されておるのでありますが、この制度公益事業、すなわち電気及びガス事業料金納付についても利用することができる道を開き、郵便振替貯金制度利用増進をはかろうとするものであります。  その五といたしましては、現在債券に関する郵便振替貯金としまして、国債、社債の募集、売出しにかかる払込金等の受入れ、またその買上げ代金元利金等支払いを取扱う規定がありますが、取扱い対象であるこれらの債券買上げや償還による整理が進捗し、本年度をもつて一応終了する状況にあります一面、この事務はその性質上非常に複雑なのでありまして、その料金収入では事務費をまかなえない現状で、しかもその料金引上げは困難な事情にありますのにかんがみまして、この制度を廃止し、事務簡素化をはかろうとするものであります。  最後に、税便貯金法に基いて保管する証券整理に関する法律案提案理由を説明申し上げます。この法律案は、証券整理貯金取扱いを積極的に実施して、その整理の促進をはかりまするとともに、従来特別に定められておりました証券整理貯金に関する権利消滅の規定を改めまして、預金者の権利を保護しようとするものでありますが、その内容は次の通りであります。  証券整理貯金と申しますのは、郵便貯金に附帶して保管された証券を、郵便貯金事業簡素化をはかるため、郵政省が預金着にかわつて売却し、その代金を郵便貯金に組み入れたものでありまして、従来この貯金につきましては、預金者請求によつて初めて通帳に対する記入または払いもどしの取扱いをして来たものであります。ところが証券整理貯金整理状況を見ますると、整理を始めた昭和二十四年九月から昨年十二月まで一年四箇月の間に、金額にいたしまして約五七%を整理したにすぎないのでありまして、このまま放置しておきますと、整理に相当長期間を要し、本法律目的を達することが困難であるばかりでなく、預金者の権利が消滅するおそれもありますので、預金者請求の有無にかかわらず、地方貯金局で証券整理貯金の付随する郵便貯金の通帳を受け入れたときは、積極的にその金額を通帳に記入するとともに、その貯金の払いもどしについても、その金額が通帳に記入されているといなとにかかわらず、またその全部払いもどしであるか一部払いもどしであるかを問わず、制限なく、すなわち従来は通帳に金額が記入されていない証券整理貯金の払いもどしは、その全部払いもどしに限られていましたが、これを無制限に取扱うことに改めることにいたしたいというのであります。  次にこの法律現行規定では、保管証券整理を完全にするため、預金者から証券整理貯金の払いもどしまたは通帳に対する記入の請求が十年間ないときは、この貯金に関する預金者の権利が消滅する旨の特別の規定が設けられておりますので、前述の通り現状のまま推移いたしますと、未整理貯金のかなりの部分が、この規定によつて消滅するおそれがあります。そこで預金者の権利を保護するため、通帳に対する金額の記入及び払いもどしの取扱いを積極的に実施する反面、従来昭和三十四年八月末日までに通帳に対する金額の記入または全部払いもどしの請求がないときは、消滅することになつておりました預金者の権利に関する特別の規定を削つて、その貯金が組み入れられた郵便貯金の権利と一体となつて存続し、消滅するように改め、さらにこの改正によつてかえつて不利益をこうむる預金者のために特例を設けまして、証券整理貯金を受け入れた郵便貯金に関する権利がすでに消滅し、または右の期日までに消滅した場合においても、なお証券整理貯金に関する権利は右の期日までは存続することとし、その権利の保全に万全を期したいと存ずるのであります。  以上が、ただいま議題となりました四法律案内容でありますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いする次第であります。
  14. 池田正之輔

    池田委員長 これにて提案理由の説明は終りました。引続いて質疑に入るべきでありますが、これは次回より行うことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 池田正之輔

    池田委員長 それではさように決しました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時三十八分散会