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1951-02-27 第10回国会 衆議院 郵政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十七日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 吉田  安君 理事 受田 新吉君       石原  登君    尾関 義一君       高木 松吉君    玉置  實君       坪川 信三君    降旗 徳弥君       園田  直君    土井 直作君       柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田村 文吉君  出席政府委員         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (貯金局長)  白根 玉喜君  委員外出席者         專  門  員 稻田  穰君         專  門  員 山戸 利生君     ————————————— 二月二十四日  委員高橋等辞任につき、その補欠として尾関  義一君が議長指名委員に選任された。 二十七日  委員江田斗米吉辞任につき、その補欠として  玉置實君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十四日  七合郵便局集配事務開始請願高塩三郎君  紹介)(第八〇九号)  日曜及び祭日に郵便配達廃止に関する請願(柄  澤登志子君外一名紹介)(第八一〇号)  長野地方貯金局貯金原簿移管に関する請願(柄  澤登志子君外一名紹介)(第八一一号)  青山町に簡易郵便局設置請願山本猛夫君紹  介)(第八一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関す  る件     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する件を議題とし、まず一応その後の経過田村郵政大臣より聽取いたしたいと思います。田村郵政大臣
  3. 田村文吉

    田村国務大臣 先般の当委員会におきまして、本問題につきまして、大蔵省郵政省の間に事務的の問題として、解決を見出し得ない問題で残つている点が二点ございますことを申し上げたのでありまするが、すでに郵政省で、過去において踏襲いたしておりまするもの、それによつてつておる証券であるとか、貸付金とか、そういうような金額約三十一億円、これに対するものは引続きそのまま郵政省において取扱いをして行くということに、大蔵省側の譲歩を得たのでありますが、例の簡易保険法六十九條削除に関する問題は、郵政省側で折れまして、大蔵省主張通りに、六十九條の削除をいたすことに同意いたした次第であります。この点につきましては、実は閣議におきましても、いろいろ議論があつたのでありまして、私どもの過去における経験から、でき得る限り主張をいたしたのでありまするが、何分諸般の情勢から考えまして、その点につきましては郵政省として譲歩して、この法案を提出することが適当と認めましたので、さようなことに同意をいたしましたので、不日この法案国会に提出されることに相なると考えるのであります。なおつけ加えまして、これはいろいろ折衝の結果でありまするが、在来ございました審議会、これは規模が小さい審議会であつたのでありますし、しかもすこぶる形式的に行われておつたような感じもあつたものでありますから、今度この点につきましては総理大臣会長とし、大蔵郵政の両省の大臣が副会長として、各省関係委員の方をお願いし、なお常時幹事会を設けるような制度によりまして、郵便貯金運用も、簡易保険運用も、またすべての運用に関するものについては、最高諮問機関として、十分の発言ができるような審議会にすることにいたしまして、法案をつくりました次第であります。さような点で皆様からも、この六十九條の簡易保険運用に関する規定が全面的になくなりますことについては、非常な御後援、御盡力をいただいて参つたのでありますけれども、各般の情勢からやむを得ず郵政省としては、その点についてお譲りをして、今度の法案の草案ができ上りました次第であります。私としてははなはだ遺憾に存じたのでありますけれども、やむを得ざる情勢考えまして、さようにとりはからうことに相なりました。但し私はこの問題は前にも申し上げたように思いますが、ドツジ・メモランダムによりまして、しかもドツジ氏に会見いたしましたときの考え方が、現在なお金融財政状態において、非常時の状態にあるから、やむを得ざるものとして出されたドツジ・メモランダムでありますので、私はあくまでもその趣旨に解することを表明いたしておきたいと存ずるのであります。すなわちこれはやむを得ざる今日の情勢下における一時的の措置であつて、やがてはまた国会における決議、及び閣議においても先般決議いたしておりましたような趣旨によつて経済財政状態が幾らかでも安定いたしました時代において復活されるべきもの、こういうような考えを持つておりますることを、つけ加えたいと存ずるのであります。  以上簡單でありますが、経過の大要を申し上げた次第であります。
  4. 池田正之輔

    池田委員長 これより質疑に入ります。受田新吉君。
  5. 受田新吉

    受田委員 ただいま郵政大臣から、今回の簡易保険積立金及び郵便年金積立金運用について、大蔵省移管に関し、すでに了承を与えられたる趣の意思表示をされたのでありますが、これは二十三日のこの委員会で、特にわれわれ郵政委員がこぞつて国民代表としての立場から、三十万の全逓信従業員立場から、あるいは地方公共団体を初めあらゆる団体要請を、忠実に国会に反映せしめる立場から叫ばれた声を無視されて、大臣一個の重責を遂に放擲した結果になつたと思われるのであります。これは郵政大臣としてあらゆる角度から、この問題は当然保険事業本質の上からも、その企業の独立採算制立場からも、大蔵省にこれを移管して資金運用部資金としての立場でなくして、特に零細なる国民資金を吸収したこの簡易保険積立金を、簡易保険加入者の便益に供するという線を当然主張されなければならぬにかかわらず、それを無視されて、これに賛意を表せられたという、このことについては、まずもつてわれわれ郵政委員としては、全面的に大臣責任を追究したいと思うのであります。何となれば、この問題はすでに去る第五国会で両院の決議として、国家最高機関としてのわれわれの意思表示がなされておる。もう一つは、昨年七月にすでに閣議で一応これを郵政省へとりもどすことに了解を得ておられる。しかもドツジ氏の覚書そのものが、われわれといたしましては、政府特に大蔵大臣考えられるような強力な積極的解釈でなくして、これを一応読む人をして、これには国家資金統一という線についても、一々例をあげているわけではなくして、特に簡易保険積立金の問題のごとき、これを拒否していることでなくて、覚書がなされておると思うのであります。そういうことを考えますと、大臣努力が足りなくて、輿論十分閣議に反映することができなくして、大蔵大臣の強力なる主張に、ドツジ氏の覚書の積極的な解釈を支持された、すなわち大蔵大臣の独善的な解釈に、郵政大臣として陷落せられたような形が見られるのでありますが、この点について郵政大臣の現在の心境を伺いたいと思うのであります。
  6. 田村文吉

    田村国務大臣 今の受田委員の御質問でございますが、私はドツジの書面ははつきりと簡易保険郵便年金積立金は今度のものに統合さるべし、こういうふうに解釈いたしております。なおまたこの点について疑念もございましたから、十分御本人にも会つてその意思も確かめたのでありますが、その点については、私はメモランダムに従うほかなし、こういう点に帰着いたしましたので、その点の御解釈は、あるいは受田委員のような解釈をなさるのももつともかとも存じますけれども、私としてははつきりとその点については明瞭に、資金運用部に統合さるべしというふうに解釈をいたして参つたわけであります。ただ将来六十九條を削るということは、あるいは法文の体裁からいえば、削ることが当然かもしれませんけれども、これは過去における因縁、歴史を残す意味において残したいということで、最後までこの点についての折衝を重ねて参つたのでありますけれども、遂に私ども考え皆様のお考え通りに行かなかつたことは、はなはだ遺憾でありますが、いろいろの財政金融上の当面の情勢等から考えまして、これはやむを得ず讓歩せざるを得ない、こう考えまして讓歩いたしたのであります。しかしもちろん法案閣議によつて一応決定して提案されますが、今後の問題はかかつて国会にあるのでありますから、その点について私自体が、これに対して大きな責任を感じるかと仰せになりますと、私は自分の信じるところ、またやむを得ざる情勢等において、お互いに交讓妥協することもしかるべし、こう考えてやりました次第であります。
  7. 受田新吉

    受田委員 郵政大臣としてはやむを得ざる情勢に立ち至つたことを確認して、これに賛意を表明せられたと申されるのでありますが、すでに国会決議となつてより、昨年は閣議においてもこの問題を取上げて、当然郵政省へとりもどすべきであるということを意思表示されておる郵政大臣が、あのドツジ氏の覚書を非常に積極的に解釈され、国家資金統一の面にすでにこれが加えられておるという解釈をされた。覚書の前半と後半を見たときに、われわれは後半にあげられたる問題については、国家資金統一というものについて拒否していないことを、ここで十分確認できると思うのであります。それをさらに積極的に解釈されて、これに賛同せられたということは、国権最高機関である国会決議を無視したということと、もう一つは、ちよつとした大蔵省側の強力な申出に対して、周囲情勢やむを得ないと見てとつたから、これに賛意を表するというようなことになりますと、郵政一省をひつかかえて、郵政行政最高の地位におられる大臣として、これはまことにたよりない御存在であると申さなければならないのであります。何となれば、郵政大臣郵政省所管のあらゆる従業員、あらゆる機関最高責任者である。しかもそれが国会体立場から、従業員のみならず、地方公共団体も、あらゆる団体機関も、これに非常な関心を寄せて、この積立金運用については、少くともこれを利用するお互い立場に返してもらいたい、地方に還元してもらいたいという要請を、過去五年間にわたつて切々と訴えて来て陳請請願の山なすあのありさまも、御承知になつておるにかかわらず、周囲情勢でやむを得ずこれに賛意を表せられたということは、大臣として、一省の最高責任者としての頼もしさというものを、全然欠いていると断言せざるを得ないのであります。これは郵政委員会の單なる問題でなくして、国権最高機関として決定したあの決議が無視されて、しかもドツジ氏の覚書大臣自身がさよう強力に、積極的に解釈しておられる。もう一つは、大蔵大臣との折衝において、郵政大臣がとかくひけ目の立場をとられて、これに追随される傾向があつたということは、新聞の報道及び大臣の過去における御発言の中に、ほのかに見とることができるのです。大臣はこの点について、郵政一省をひつさげて、いわんや国民のあらゆる層がこの問題に関心を寄せておるこの件を、どうしても自己の責任において果して見せるという点において、大蔵大臣との折衝に事を欠くおそれはなかつたか、この問題と、大蔵大臣の強力なる主張に盲従されたと見られる空気に対して、何らか御意見を持つておられるか。この点をいま一度意思表示をしていただきたいと思います。
  8. 田村文吉

    田村国務大臣 今の盲従というようなことは、全然考えておりませんし、私は自分の処置に対しては、十分の自信を持つて行動をいたしておるつもりでおります。ただ今のお話の根本問題として、この簡易保険年金積立金は、国会決議もあるのだから、これはいかにドツジメモはあろうが、押し通すというわけには参らないことは、御承知通りでありますので、根本問題としてはやむを得ない。こういうふうに私は十二月いつでしたかの委員会でも、申し上げておる次第であります。さような心境でありますので、あるいは区々の問題にわたりましての折衝において、強いとか弱いとかいう観測のあることは自由でありますけれども、私自体といたしましては、自分信念を曲げたりするような考えは毛頭ないのであります。しかし問題のこまかい点になりますと、お互い折衝いたします場合に、妥協するような点もあつてしかるべきこととは考えますけれども、大綱においては今度のドツジ・メモランダムは、そういうような意味で出されておることを、しつかりと私は確認いたしましたから、やむを得ざるものとして進んだわけなのであります。
  9. 受田新吉

    受田委員 私は詳細な問題については、すでにこの前の委員会で、石原委員並びに吉田委員たちより御質問があつたので、これを大臣に繰返しお尋ねしようとは思いません。ただ郵政省最高責任者でいらつしやる大臣は、簡易保険性格を十分御承知でなければならないはずであるし、また現にこの簡易保険積立金大蔵省に持つて行かれて、加入者の多くの人たちに、この利便が供与されないという結果が起り、しかもその一定の利率で、あてがい扶持の安い利率でこれが郵政省へ返されるという現状を見たときに、簡易保険運用そのものが非常に重大な危機に瀕するということは、十分大臣としては御承知だろうと思うのです。この問題をこのまま、大蔵省資金運用部資金として運転させるということに切りかえられた場合に、第一線のこの簡易保険加入者の運命、及びこの事業経営者の主体であるところの簡易保険局及び末端のこれらの従業員人たちが、非常な窮境に陷るということは御承知であつたかどうか、この点について確固たる確信を持つてやられたと申されたのでありまするが、今後もしこれが、政府原案通り国会で認められた場合において、今申し上げた各層の、各立場の窮乏に対し、非常な行き詰まりに対し、これが打開されるという見通しを持つておられるかどうかをお伺いしたいのであります。
  10. 田村文吉

    田村国務大臣 簡易保険としては、みずからの集めた保険料を、またみずからの手によつて運営いたしますことが、事業自体のたまに非常に有利であるということは、むろん異議のないことなのであります。しかしそれだから今度かような——過去もそうであつたのでありますが、法文の形から言えば、そのまま大蔵省運営するということであるために、保険事業自体が非常に苦境に陷つて事業の成立が困難ではないかというふうには考えておりません。
  11. 受田新吉

    受田委員 この簡易保険積立金の問題については、すでに過去三十年の歴史が物語つておる通り、最初の期間中、逓信省所管時代に非常な好評を博した。それから終戰直前から大蔵省にこれが切りかえられて、その後終戰後も引続きこの特例がそのまま残されておる現状において、第一線加入運動というものに非常に支障を来しておるということは、大臣も御承知だろうと思うのです。そしてもう一つは、保険事業性格からいつて民間保険としての運営と、この国家簡易保険運営とが、本質的に違うべきはずはないのでありまして、この点について保険料の決定にしても、この積立金運用にしても、すべてが一貫した計画の上に立つているのであつて、その計画のうちの一部分の運用面だけを、大蔵省が持つて行くということになりますと、保険事業本質を脱線することは、大臣としても御承知だろうと思うのです。     〔委員長退席飯塚委員長代理着席〕  この本質的な保険事業を脱線させて、今後民間保険と対応して、簡易保険事業がとうとうと引続き推進されるという確信があるように今お伺いしたのでありますが、これは大臣の非常な錯覚であつて、この問題はおそらく今後全面的に第一線に大きな打撃を与えて、郵政省の創設以来の危局が招来されると私は心配をしておるのであります。大臣はあえてこの心配なしと断言されるかいなかを、いま一度お確め申し上げたいと思います。
  12. 田村文吉

    田村国務大臣 みずからの手で運用いたしますことの方が、保険事業としてはよろしいということについては、私はさつきも申し上げた通り異論はないのであります。ある方がむろんベターである。しかしないから保険事業がこれで倒れるというふうには、私は考えておりません。また十伸びるものが八つで止まるということは考えられるかもしれませんが、今後ますます伸びて行くべきものだと私は考えております。
  13. 受田新吉

    受田委員 大臣のお考えでは、この心配は杞憂にすぎないという御答弁でありますが、もう一つ国家資金の投資という立場から、もしあらゆる資金を全部大蔵省に吸収してやるという政策をとるとするならば、これは資金統制という立場から見たならば、当然民間銀行その他あらゆるものへもその統制が加えられて、その上でこの問題が解決さるべきであるにかかわらず、ただこの官営事業簡易保険積立金問題だけこつちにとつて、ほかの方の統制をやらないということになりますと、官営事業そのものに対する不信及び経営上の非常な行き詰まりというようなへんぱな傾向が起りはしないか、この問題については、大臣としては大蔵省と十分折衝されて、国家資金はすべて大蔵省において統一するのがいいのだという御確信が今あつたようでありますが、民間資金との問題について——これは当然民間保険事業に関連を生ずるわけですが、そういう民間事業官営事業との調和の上に、御心配はないと断言できますか。
  14. 田村文吉

    田村国務大臣 私はその根本論になりますと、自分としても相当意見を持つておりますが、今度のことは、ドツジ・メモランダムが出たから、しかたがないからそれに従うべきだ。その理由資金を一箇所にまとめておくことが、今日の日本財政経済の上においては当然考えらるべきことである。過去における戰争中だけでなく、戰争後における混乱状態でもそうであつたけれども、もうよろしいとは言えないのだ、今日の財政金融状態からいつて、これを一手に運営した方がよろしいのだ、こういう大きな財政金融の面から出て来ました問題でありますから、それと私ども保険事業自体との調整をどうとるかということが問題になるわけでありまして、今の民間資金統制がどのくらいまでできれば、官の資金統制はどのくらいまでやるというような問題については、いろいろ私にも意見はございますけれども、これは問題の出発点がそこから出ておりますことを、御了承願いたいと思います。
  15. 受田新吉

    受田委員 大臣にいま一つお尋ねしたいことは、大臣はこの問題について、常に郵政省責任者たちとの間に連絡をしておられると思うのですが、郵政省のあなたの部下の高官たちとの間における連絡において、事を欠く点はなかつたか、お尋ねしたいと思います。
  16. 田村文吉

    田村国務大臣 全然ないつもりであります。十分に連絡をしております。
  17. 受田新吉

    受田委員 この前のこの席における大野次官以下の郵政省首脳部は、こぞつてこの問題に反対意思表示をされたのであります。しかも大蔵省においてこれが立案されておることに対して、これに強力な反撃を加えておられるし、またこの席において大蔵省銀行局長との間においても、すでにこの案が出されることについて、次官会議の席上その他において、初めてこれが提案されたというような事実を大野さんも言われておるのでありますが、このような重大な案件については、少くとも省内意見が一致し、しかる後に大臣がこれを十分に尊重して行動さるべきであると私は念願するのですが、この問題について大蔵省との連絡調整に事を欠いており、しかも次官会議その他において突如として提出され、そして省内あげての大反対であるにかかわらず、大蔵省が強引にこれを押し切ろうとした態度が見えるのでありますが、こういう点について大臣はその情勢をお察しにならなかつたかどうか、お伺いいたします。
  18. 田村文吉

    田村国務大臣 申すまでもないことでありますけれども保険事業自体からいつて、みずからの手によつて運営することが正しい、こう考えられた。郵政的当局事務当局におきましても大臣でも同じ考えであつたのでありますが、これは先刻からも申し上げましたように、いわゆる占領政策下におけるメモランダム従つてやむを得ないということで、承服いたした次第なのでありまして、(「違うよ、大臣はこの間言つておることとは違う。」と呼ぶ者あり)さようなことでございますので、別に今の事務当局と私の意見には、杆格も何もないのでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  19. 受田新吉

    受田委員 この問題は繰返し申し上げることなるのでありますが、大臣はこの前まで、何とかしてこの問題については努力をしたいという御意思を持つておられた。二十三日のあの会議まで、まだその意思を表明しておられたのであつて、そうしてその翌日の閣議においてこれを了承されたということは、私たちとしては国権最高機関決議を無視し、そして郵政省のあらゆる階層を通じての猛烈なる要望を押えつけて大臣国務大臣立場からこれに賛意を表明されたという結論を私は下すものであります。この点について、大臣郵政省内部に対しても責任があるし、また第一線公共団体並びに多年要望を掲げて来たところの国民一般に対しても、非常な責任があると思うのでありますが、この点について今の御答弁は非常に楽観的な——省内においても摩擦はない、ぼくと次官以下との話は常によく調整できているのだという御答弁でありましたが、この前、二十三日以前の大臣のここでいろいろとお話のあつたことと、今日の御説明とは、非常な食い違いがあるのでありますが、情勢の変化やむなしという立場でさようにしたのだということになるのでございましようか。一貫した信念は持つてつたので、依然として自分も良心的にはずるところがないとおつしやるのでございましようか。この二点について、いずれをおとりになるか、お伺いしたいと思います
  20. 田村文吉

    田村国務大臣 今のあとの良心的にはずるところはないかというお話については、私は絶対に良心的にはずるところはないと申し上げます。それからなおこの間の話と何か違つたというお話でありますが、私はこの間の話の通りなのでありまして、今の受田さんの問題は、根本問題として、簡易保険大蔵省資金運用部にまとむべきではない、これはあくまでも国会決議通りに行くべきだ、こういう大きな根本問題についての御意見でありますが、この間申しました点は、今これこれの問題で悩んでおります。それは六十九條の削除の問題と、三十一億のすでに発行しました債券の引継ぎ問題、なおそれにつけ加えまして審議会の設置問題というようなことを御報告申し上げまして、この点がまだ解決に至りませんが、数日のうちにはこの問題を解決いたしたい。私は郵政省当局主張されている通り、できるだけ六十九條を残したいという考えで進んだのでありますが、先刻申し上げましたようにその点はお讓りを申し上げ、三十一億の方はこちらの主張通りにしてもらいたい、こういうことなのであります。受田さんの根本問題としての議論は、私は前にも申し上げました通りドツジメモが出たのだから、この点には従わざるを得ない、こういうような解釈を持つておる次第であります。
  21. 受田新吉

    受田委員 私は大臣もたいへんお気の毒な立場に立つておられることには御同情するのでありますが、しかしこの問題が非常に重大な段階に来ていることは、国民輿論を無視し、国会の動きを無視してまで、占領政策が行われるということは私はないと思います。ことにマ元帥においても、最近しばしば書簡をいただいておりますが、この書簡の中にも、日本経済戰後より回復しておる、そして見るべきものがあるということを言つておられるのであります。しかもメモランダム最後條項の方には、この国家資金統一について一々理由をあげていないのであります。こういうところを大臣自身積極的解釈で持つて行かれたということは、大蔵省に同調されたことであつて郵政省次官以下があれだけ強力に、第一線従業員とともにこの重大問題のために生死を賭してもやろうというくらいの決意を持つておることに対して、国務大臣である立場から、先ほど申し上げた情勢やむなしということで賛意を表したということは、これは大臣としての責任が果されないことであつて、一省の最高責任者として、省内のあらゆる強力な空気を無視した行動をなさつたわけであつて国会決議を無視され、省内の動きを無親し、第一線のあらゆる空気を度外現して、ここに大臣一個の考えでこれに賛意を表されたということになるのであつて大臣責任問題だと私は思うのです。こういうことになるならば、一省の大臣として、自分の将来の運命に関する問題をひつさげて立たれる大臣が、メモランダム解釈について積極的解釈をし、もう一つは、その解釈と同時に大蔵省となれ合いをなさつたという問題、これはこの前の委員会で、大蔵省首脳部郵政省首脳部との間にいろいろの意見の交換があつたときに、如実にそれが示されておる、こういうところを大臣として一省の運命を賭してやることはできなかつたか、また自分努力が足らなかつたということを御反省にならないか、先ほどの御答弁では、ちつともそれを反省しておられないようなところが見えるのでありますが、あらゆる空気を無視してやつたことに対して、自分はちつともはずるところはないということになれば、私はもはや大臣は、郵政大臣としての資格を欠くものだと断言せざるを得ない。この点について一省の最高責任者として、大臣責任をおとりになるかどうか、お聞きしたいのであります。
  22. 田村文吉

    田村国務大臣 私はさように考えません
  23. 土井直作

    ○土井委員 関連して……。諸般の事情に対しましては、ただいまの郵政大臣と同僚議員の受田君との一問一答で大体わかつたのでありますが、私は特にこの際二、三の問題についてお伺いしたいと思います。大蔵大臣との間における折衝、または閣議におきまして、将来これは再び郵政省にもどつて来るものだというお考えであるように承つておりますが、それは何か具体的にもどつて来るというところの保証なり裏づけがあつての話でありますか、それとも希望的意見であるか、この点をお伺いしたいと思います。
  24. 田村文吉

    田村国務大臣 閣議の内容問題を申し上げることはどう考えますか、私はこれは一時的の問題として考えておるということを表明して、この件には賛意を表したのであります。
  25. 土井直作

    ○土井委員 これは暫定的な処置であつて、将来は郵政省にまたもどつて来るものであるということは、これは大臣の希望的観測にすぎないのであつて、事実何らの具体的な裏づけがないということだけは、明確に判断ができると思うのであります。そこでなお私の聞きたいと思います点は、メモランダムがいつ出たのか、この期日をはつきり申してもらいたいと思います。
  26. 田村文吉

    田村国務大臣 昨年の十一月二十一日でございます。
  27. 土井直作

    ○土井委員 メモランダムが昨年出ておりまして、それから後郵政大臣として、あるいは郵政省の各官僚の諸君が、この問題に対して依然として第五国会で決定した線に沿い、あるいはまたその後の閣議の決定の線に沿うて努力しておつて、しかも二十三日まで大臣自身は、これが郵政省の管轄になるべきものであるという考えのもとに努力されておつた。しかるに二十四日の閣議において豹変された。客観的情勢から判断いたしますならば、すでに二十三日までは努力しておつた従つてただいま大臣の言われるメモランダム解釈ならば、昨年からすでに解釈は決定しておらなければならないはずだ。郵政大臣として御就任になつたときに、メモランダム解釈は明確でなければならないはずである。ことさように明確であるべきものに対して、今までいかなる判断によつて、これは郵政省の管轄に所属すべものなりということを主張して来られたのか、この点について私は非常に解釈に苦しむのでありますが、大臣はどういう考え方で今まで郵政省一省をあげて、この問題に闘つて来られたのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  28. 田村文吉

    田村国務大臣 十一月二十一日にメモランダムが参りまして、これはたいへんなことになつた、せつかくわれわれが今日まで努力して参りましたけれども、これを復活ができないというふうに解釈いたしましたので、その真意那辺にありやということで、ドツジ氏にもお目にかかつて、われわれが過去において運用の再開を叫んでいる、その理由はどういうわけであるかということについて、詳細意見を闘わしたのでありますが、それに対してのドツジ氏の意見は、先刻申し上げましたように、今日の財政金融状態は依然として非常時の状態にあるので、引続いて、昭和二十一年でありましたか、マーカツト書簡で出ております方法は、やむを得ないことである。従つて資金は今度統合して、これを大蔵省預金部の方でやる、こういうことが、いろいろお語いたしました結果、明瞭になりましたので、私どもはやむを得ざる根本方針であるということで了承して、そのままでこれに対する善後策等を研究して参つたのであります。
  29. 土井直作

    ○土井委員 すでにメモランダムが出てから相当の期日があつて、その間に大臣がただいま答弁されましたような解釈を下しておりますならば、まず第一に省内統一をはかるべきである。ところが今日なお省内においては、大臣の意向と相反する内容を強硬に持つておられる事実がある。また当委員会におきましても、郵政省大臣以外の諸君が持つておるような意見に、われわれも協力して来ておるのである。従つてこういう一つの矛盾を招来せしむることのないように、すでに解釈上の疑義がないならば、あらかじめ省内統一をはかるべきである。それを行い得ないで今日に来たということは、大臣の職責上瑕瑾になることではないかと考えるのであります。この点についてどうお考えになるか、念のためお聞かせ願いたいと思います。
  30. 田村文吉

    田村国務大臣 このドツジメモが出ましてから、やむを得ないからしかたがないということで下しました解釈は、ひとり大臣だけでありません。次官も、すべての省内の幹部も、やむを得ざるものと了承しておるのであります。しかしそうなつても、再開の早くできるような手づるをできるだけ残したい、こういう点で苦心して、いろいろ皆さんのお知恵を拝借しておつたことは事実であります。
  31. 土井直作

    ○土井委員 ただいま大臣の御答弁で、省内の諸君も大体大臣と同じような意向だ、こういうのでありますが、この際念のため省内責任のある官僚から、大臣と同一の考え方を従来持つてつたかどうか、こういう点を聞かしていただきたいと思います。
  32. 大野勝三

    大野政府委員 お尋ねでございますから、私から一言お答えをいたしたいと思います。  ドツジさんの書簡が出まして、運用再開が当分望めなくなつたという解釈につきましては、まつた大臣がただいま御説明になつた通りに私ども考えております。というわけは、昨年久しきにわたりまして、当国会におかれまして、運用はよろしくすみやかに郵政省の手にもどすようにすべきだという御決定が、再度にわたつてなされておりますし、それに基いて政府運用再開についての方針を閣議において決定いたしました。それに基いて関係当局に、昭和二十一年の一月に出されました経済科学局長の書簡の撤回を、懇請して参つたのであります。そういうわけで、この運用再開につきまして、爾来いろいろと関係当局とも折衝に切衝を重ねまして、ようやく昨年の暮れごろになりまして、運用再開の望みがかなり濃くなつて参りました。つまりまだ最終的に、ただいま申しましたマーカツト局長の書簡を撤回されるところまでは至つておりませんでしたけれども、大体それは撤回される、言いかえますと運用再開なり、国会の御意思なり、政府の方針なりに同調されるのではないかという希望が、非常に濃くなつて参りました。それに応じましてわれわれの方としましては、事務的な準備をそれぞれ整えて参つてつたのでありますが、たまたま再びドツジ氏が来朝せられまして、予算その他についてのいろいろのお仕事をなさつておいでになつたのでありますが、昨年の暮れごろに至りまして、どうも司令部の運用再開の最終的の承認が、相当むずかしくなりそうだという形勢が、新たに起つて参りました。そこでそれはどういうわけであるかというので、ただいま大臣お話にもございましたように、大臣が直接ドツジさんに会われて、運用の再開は国民輿論であり、国会意思である。政府もぜひその通りに懇請したいというという趣旨を、言葉だけでなく、書きものにして差出されまして、十分お話をなさつたのでありますが、そのときにドツジ氏が明瞭に、法律的に言えば日本まだ戰争は終つていないじやありませんか、非常時はまだ続いておりますよとはつきりと言われて、この政府意思を拒否されたのであります。はつきりとノーと言われたのであります。してみれば——ドツジ氏の書簡をどう解釈するかはそれは自由であります。しかし書簡を出した人自身がそう言つておるのでありますから、このくらいはつきりした解釈はないのであります。しからばわれわれは涙をのんで、それに従わざるを得ないというのが、われわれの立場でありますから、解釈の点について何らの不一致もございません。
  33. 土井直作

    ○土井委員 提出された法律案が、もし国会によつて否決されるような場合ができますならば、大臣立場は非常に苦しい立場に置かれるのではないかと思いますが、その場合には、何らか具体的に処決する御意思があるかどうか、この点お伺いしておきたいと思います。
  34. 田村文吉

    田村国務大臣 これは国会が自由に表決をいたしますので、私はそれが否決されるとか可決されるということで、どうこうは考えておりません。
  35. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大臣にお伺いしたいのでございますが、先週の金曜日に当委員会できまりました問題が、このような事態になつておりますことにつきましては、非常に遺憾に思つております。土曜日の閣議で、この郵政委員会の意向がまつたく無視されてそうなりました結果は、ただいま大臣の御説明を承つておりますと、これは将来のことはともかく、一時的のものであるという御見解に立つておられるということでございます。こまかいところから伺つて行きたいと思いますが、この見解は大蔵省とも違つておるのではないか、またドツジ書簡とも異なつておるのではないか、かように考えられるのでございますが、その例は、舟山銀行局長はつきりと将来のことは言えない、一時的であるということも言えないということを言われております。ドツジ書簡にもこの点については、はつきり将来ともに資金運用部にこれを統合して行くのだということを言われておるのでございますが、そういたしますと、大臣の土曜日の閣議における行動の基準になつております一時的だという御見解、その一時的だということだけにたよつて土曜日には御賛成なさつたという、きようも御説明でありますけれども、その根拠がまつたくないのではないか。どこに根拠をお置きになつて、一時的だという御判断をなさつたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  36. 田村文吉

    田村国務大臣 今のお尋ねのございましたドツジ書簡というものが、一時的という言葉を使つていないのだ、また大蔵省側としても一時的という表現はしていない。しかるにお前はそういうふうに考えている。ただ私はそういうふうに信じまして、行動をいたしておりますが、もちろんこの問題は先般国会決議から起つて参りました再開の問題なのでございますから、かりにこの法律が可決をいただいてきまりましても、そのあとにおいて、またどういうふうに国会意思によつて、こういうことが変更されることも自由なのでありますから、郵政省としては、ドツジさんの解釈ドツジさんの言明を信じまして、今の財政状態がこういうふうな状況下にあるのだから、やむを得ない一時的の処置である、こう私は解釈しておるのであります。
  37. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ドツジさんの言葉を信用してということをおつしやつたのでございますけれども、先ほどの次官の御答弁にも、ドツジ氏が非常事態と言われたから、ノーと言われたから、それに従う以外にないのだというような御判断でございます。ドツジ氏のメモランダムを、私ども浅い経験ではございますが、検討いたしますと、私どもに納得の行かない点が非常にたくさんある。そういう点を大臣は、ドツジ氏が言われることはすべて信ずるのだというような態度で、うのみになすつたのかどうか。非常にその点は疑問だと思うのです。一時的だということに対する何らの保証もないのに、自分信念だけで、観念だけで行動なさる。これはまるで前の戰争のときの神がかりと同じことで、またそういう観念的な信念だけで、経済的な科学的な裏づけもなければ、そういうものも何もなしに、こういう重大な問題がきめられて行くということであれば、これはまつたく危険なことだと思うのでございます。私はその点について、もつと具体的に例をあげて御質問申し上げてみたいと思います。  先ほど言及されましたマーカツト書簡にさかのぼるわけでございますが、この前舟山銀行局長は、たしかドツジ・メモランダムだけによつているのではない。日本占領政策にのつとつておるということを言われました。郵政大臣も先般の御説明の際に、占領政策にわれわれは忠実に従つて——日本国民の民意が十分に取入れられないようなものが出た場合もある、占領後五箇年の間には、確かにそういうものもあるけれども、われわれは占領政策に浩つた方針でもつて、やはり民意に沿うように努力するのが、われわれの任務だということを言われたのを私は記憶しております。その点について、これは私の聞き違いであるかどうか、それから占領政策というものの判断が、どうしてそういうふうにかわつて行くのか、その情勢の変化の根拠はどこにあるのか、その二つの点について伺いたいと思います。
  38. 田村文吉

    田村国務大臣 ちよつと御質問趣旨がよくわからなかつたのでありますが、恐縮ですが……。
  39. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 こういうことでございます。マーカツト書簡のことを詳しく申し上げなかつたのでございますが、要するに今度の方針の根拠になつているのは、占領政策だということをおつしやつた。この占領政策というものが、占領治下国民意思にそぐわない法律がつくられつつあるということは全然ないとは言えないということを、この前の前の郵政委員会で、大臣は御説明になつております。ですからなるべくこの民意に沿うように、自分としてはこの占領政策の根本に沿うようにして、努力して行きたい。自分としてはできるだけそういう努力をするということを、私はこの自分のノートに、たいへんりつぱな御決意だと思いましたので、書きとめてあるのでございます。その点で、この前には、戰争が終つてただちにこれは郵政省に返してもらうべきものだ、戰争後の暫定的な措置として、郵政省の管理運用していたものを、大蔵省が持つてつたのだから、資金統一的に、国家的な国策的な、あの太平洋戰争に動員するための資金として政府が使うために、郵政省から取上げて行つたのだから、今度はこれを当然簡易保険そのものの持つ社会保障的な性格を生かすためには、郵政省に返すべきものだ。これは私のかつて解釈であれば御訂正願いたいと思うのでございますが、郵政省に返すのが、戰争が終つた後としては当然であるという御見解をもつてお進めになつておられる。これは私は占領政策に沿うものだと思います。全逓信従業員組合の資料によりますと、マーカツト指令、いわゆる昭和二十一年一月のESSの指令も、やはりその点を考慮されて「逓信省は契約者貸付のみに限定されたのであるが、大蔵省預金部においても国策会社とか、統制会社とか、営団その他あらゆる法人に対し投融資をなさざること」ということをきめ、さらに「特殊銀行に対する貸付及び特殊銀行の債券の購入は司令部の認可なき限り行い得なくなつた」のは、これは占領政策を実施するため、戰時中の国策会社というようなものを根本的に破壊して、日本の平和の再建、戰争をやらない民主的な日本をつくり上げるために、国民の零細な預貯金というもの、日本資金運用というものもなされなければならないという判断から、ESS指令というもの、マーカツト指令というものが出たのではなかろうかと判断しておる。ところがそれが今日になりましてかわつて情勢の変化と申しますか、なぜその一時的にでもこれを大蔵省に預けて、国家的な見地から資金運用しなければならないという状態にものがなつておるのか。この戰争をやらない平和な日本というもの、その観点に立つた政策が、なぜ今日かえられなければならないのか。ドツジ氏はそこまではつきりと非常事態ということを言つておられるのであるかどうか。田村郵政大臣もその点をお考えになつて、それに協力なさるという建前から、一時的にこれを承認なすつたのであるか。その情勢の変化が私には納得できないので、御説明願いたいと申し上げたのでございます。
  40. 田村文吉

    田村国務大臣 終戰後におきまして、財政政策はいろいろとられて参りましたが、特にドツジさんが二十二年でございますか、お見えになりまして、今のインフレ状態下にある状況を直したいということで、新しい構想のもとに財政経済政策を立てられた。それが今日来ておるのでありますから、私は根本において、初め占領政策考えられておつたことも、ドツジ氏がやられることも、別にかわりはないと思いますが、多少こまかい点についての行き方の相違というようなことがあつても、これは占領政策上当然のことで、別に私どもの方でそういうことについての意見を述べたり、異議を申し立てる筋合いではないと考えます。
  41. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私の質問をどういうふうに……。故意にそういう御答弁をなさるのかどうかわかりませんが……。
  42. 田村文吉

    田村国務大臣 いや、そんなことはありません。意味がよくわからないのです。どういうことですか。
  43. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ですからもつと具体的に申しますと、一時的という判断が私には納得できないということ、それから情勢の変化で、大臣はやはり一時的にはやむを得ないという御判断をなすつたと思うのでございますが、その情勢の変化の根拠を明らかにしていただきたい。そのことについていろいろ私の考えを申し上げたのでございます。
  44. 田村文吉

    田村国務大臣 御承知のように、ドツジ氏から言われたように、今日はいまだに財政金融の点におきましては、まさに非常時でございますので、その点は私も十分納得して、さもあるべし、こう考えておるのであります。しかしこれがいつまでも続くかということは、これはだれしも言えないことでありますが、一日も早く平常の状態に立直るように、またさような場合には国民の声によつて簡易保険の再開もまた郵政省によつてやられる、こういう時代が来ることを希望して、またそうあるであろうということを考えまして、私は一時的にはやむを得ないことである、こう申し上げた次第であります。
  45. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どうもはつきりした御答弁が得らせませんので、もつとはつきり申し上げますと、予算委員会で、資金運用部資金の特別会計の検討が行われた際の大蔵省の見解を承つておりますと、大臣の御判断が非常に甘いと申しますか、無責任と申しますか、非常に憂慮にたえない状態になつておると私ども判断するのでございます。この保険というものは、加入者が契約をいたします際には、自分たちの契約に対しては政府を信頼してやつておると思うのでございますが、この点については、この前の委員会で契約法的にも違法になるのではなかろうかという懸念を持つておるという御質問が、与党の方からあつたと思うのでございます。この零細な預貯金が新しい予算の中で、資金運用部特別会計というもので、もうすでに私どもの審議をいたしません先にきまつておるのを拝見いたしますと、ESS指令とは異なつた方向に大分使途がなつておるというふうに、私ども考えられるのでございますが、そういう点について、大臣は、郵政省へ返せ、地方へ還元しろという、これだけの不満を持つておる預金者に対して、責任を持つてそこまで深く検討なすつてこの予算を——予算だけではなしに、今度の法律を検討なすつたかどうか。こういう点について一応承つておきたいと思います。
  46. 田村文吉

    田村国務大臣 十分検討いたしました。
  47. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 一部ではございますけれども、やはり資金運用部特別会計の中には、今問題になつておりますところの簡易保険や年金が入つておるわけでございます。この中に組まれてあるだけではなく、大蔵省としては新しい方針として金融債の問題を今度の郵政省から取上げて、資金運用部に統合する際の大きな根拠にしておられる。ドツジ氏もそうだと思うのでございますが、その点は郵政大臣どうお考えになりますか。
  48. 田村文吉

    田村国務大臣 その通りであります。
  49. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この金融債がどういうふうに使われるかということを、大臣大蔵省から御説明を得ていらつしやいますか。
  50. 田村文吉

    田村国務大臣 在来公共団体あるいは国——県とか市町村とかいうものに出ておつた以外に、金融債にも放資のできる道を開いた、こういうふうに承知をしておりますが、どういうふうな手続等ということは、審議会においてその方針が十分検討されて運営さるべきだ、こう考えております。
  51. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 今地方自治体の財政が逼迫いたしまして、地方財政委員会政府との予算の食い違いだけでも、百九億くらいあるというふうに承つております。大臣はこの前地方債にも組まれておるというふうに言つておいでになつたのでございますが、この地方債はたしかに四百億組まれておりますけれども、これではとうていやつて行けないというのが、地方の要求だろうと思うのでございます。そうしてさらに日教組などの賃金問題なども考慮いたしまして、私どもが下部の要求を取上げて検討いたしますと、一千億以上の要求があるというように承つているのでありますが、金融債等の余裕は、預金部資金運用の上ではないのではないか、あるいは翌年度への繰越というものは、不当なのではないかというように私ども考えております。こういう点などは郵政大臣にお聞きしてもむだなこととは思いますが、御検討になつての上のことでございましようか。そういうことは審議会をつくつて、かりにその審議会郵政省が参加なされば、それで御解決になるというふうに御解釈になつていらしやるのかどうか。あなたの考えておる郵政省意見というものが、どの機関でどういうふうに具体的に実施できるというふうにお考えになつておられるのか。私どもではその点が実にあやふやに考えられるのでございます。
  52. 田村文吉

    田村国務大臣 まだ法案国会を通過していないのでございますが、国会において審議されました上で、その審議会において適当に討議され、進まれることと思います。また今地方債のわくが四百億はで足らぬじやないか、あるいはまたそれが繰延べになるのじやないかというようなことでございますが、これは大きな国策といたしまして、国の財政方針でお互いに討議されて、国会に予算が提出されておるわけでありますから、さよう御了承いただきたいと思います。
  53. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 予算委員会では、この金融債が国策、時局的な産業に振り向けられるという答弁が出ておるのでございますが、これはただいまの私どもの資料から判断いたしますと、国民が全部熱望しております。ことに郵政省の青年、婦人なども大会を開いて熱望しておりますところの、日本の平和の問題、再軍備反対の問題と、非常に密接な関係を持つておる。下部ではそういう決議をし、日本の内閣すらも、口では平和を唱えておられるのでありますけれども、具体的に組まれております予参の中で、われわれの税金やわれわれの預貯金が、そういうような時局の産業、戰争協力の産業、国連協力の産業、戰争準備の産業に出されるというようなこと、どうもそういうおそれのあることが、この予算委員会などで口にされておるというようなことも、私どもは聞いておるのでございますが、そういう点は、郵政大臣はやはり郵政省地方公共団体へ出すというふうに、あくまでもなすつた方がよろしいというふうに私ども考えるのでございますが、その辺は大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  54. 田村文吉

    田村国務大臣 共産党では、とかく再軍備のために予算を組んでいるのではないかというようなお言葉がちよいちよい出るのでありますが、私ども承知しております限り、さようなことは絶対に考えられての予算ではございません。
  55. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは私どもが言うのではなくて、関係官庁の担当官の口からそういうことが答弁として出ているのでございまして、共産党の独断的な判断というふうにお考えになりましたら、誤つておると思うのでございます。情勢の判断、情勢の変化、それから一時的だというお考え以外に、今度賛成なすつた根拠がない。あと何ら御説明が納得できない。今まで反対されていて、われわれの郵政省に返してくれということを努力して、全力をあげて運動されていたのが、やむなくドツジ氏の言葉に賛成するという根拠は、日本が非常事態だということ、それからこれが一時的のものだという御判断以外にはないのであります。その内容はどうなのか。一体どういう非常事態なのか。
  56. 田村文吉

    田村国務大臣 繰返して申し上げますが、ドツジメモというものは、占領政策において出て来たメモでありますから、私どもはそれに従う、こういう信念だけなのであります。別にそのほかにつけ加える問題ではない。それによつて、私どもはやむを得ざるものとして了承しているのであります。しかし私どもドツジ氏の言葉も伺い、また情勢判断して、将来財政金融が平常な状態になつたらば、また国の輿論としてこれは郵政省運営する時代も来るだろう、こういうことを考えておるのでございます。
  57. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 満洲などの預貯金などが、やはりあの太平洋戰争によりまして、相高高く国民に迷惑をかけていることは、これはもう自明の事態でございます。これに関連してお聞きしたいのでございますけれども、この戰争の戰禍によりまして、国民の預貯金が失われてしまう危険を防ぎますために、郵政省当局としてもずいぶん考慮を払われ、相当な資金をお出しになつて、いろいろ御苦労なすつていることは私どもつております。それはあの原簿の移替であります。あの原簿を移替なすつた根拠はそこにあつたのではないか、かように考えておりますが、どうであつたのでございましようか。
  58. 田村文吉

    田村国務大臣 貯金原簿を疎開したことでありますか。
  59. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうです。
  60. 田村文吉

    田村国務大臣 これは企業としまして、災害がありまする場合に、なるべく安全に守ろうという意味で疎開したのであります。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 簡易保険と直接の関係はございませんが、関連しておりますので伺いたいのでございます。ただいまドツジ氏の言、あるいは日本政府の方針として、非常事態であるということが強調され、国民要望であり、国会決議であることを無視しても、郵政大臣は一時的な措置として強行しなければならないということを、国会の承認を得られようとしております事態は、吉田首相の言葉で申しますと、与党の諸君のおつしやつておる言葉で言いますと、いわゆる日本が侵略される危険にある、戰争の危険をはらんでおるということを聞くのであります。もしさような事態であるといたしますれば、ただいま郵政省の方針として、せつかく移替しました原簿を、東京にまた引きもどそうとしていらつしやる。長野へ移替し、仙台へ移替いたしましたあの貯金の原簿を、引きもどそうとしておいでになります。これはそういう危険がなくなつた日本が平和になり、戰争に巻き込まれない状態になつたという判断のもとでなければ、預金者の利益をはかるという美名のもとに行われております原簿の移替というものは、相当従業員の犠牲もあるというふうに聞いておりますのでできるはずはない、かように考えられるのでございますが、原簿移替の情勢判断と、郵政大臣ドツジ氏の情勢判断並びに一時的にも全部の国民輿論を無視しても、今これを承認して、この法案を出さなければならぬというこの御判断は、どうも食い違つているように考えられるのでございますけれども、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  62. 田村文吉

    田村国務大臣 大分話がこまかくなりましたが、今の郵便貯金の原簿を動かすとか動かさないとかいうことは、企業的に考えまして、できるだけ安全で、しかもそれが能率的に行われるということでありまして、今のお話の大きな問題と、関連は少しもないと考えております。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではなぜ戰争中、それだけ相当の従業員をふやしておやりになつたかといえば、やはり安全であることをお考えになつたと思うのでございますが、いかがでございましよう。
  64. 田村文吉

    田村国務大臣 安全であり、能率的であるということが企業の原則でありますから、さような意味において事々が行われて行くわけであります。
  65. 石原登

    石原(登)委員 ちよつと議事進行について……。今の大臣と柄澤委員との問答を聞いていると、これは先ほど私言つたのですが、まつた質問者の質問の前提としての考え方、それから大臣答弁が少しもはつきりしていないと思うのです。柄澤委員質問を聞いていますと、ドツジ氏の言うところの非常事態ということは、非常に妙なふうに解釈しておられる。いわゆる非常事態というものを戰争に結びつけて考えられている。ところが少くとも私どもが了承したところのドツジ氏の非常事態という言葉は、経済的な非常事態ということであつて、いわゆる日本金融財政政策、これは決して再軍備とか戰争準備とかいう意味での非常事態ではないのでありますから、その点を大臣が明確にされるならば、柄澤委員質問というものがはつきりと明らかになる、かように考えるわけです。
  66. 田村文吉

    田村国務大臣 私は疎漏でありましたが、今のドツジさんの言われた非常事態ということは、戰争後非常に日本がインフレになつて来て、どうなるかわからぬというような経済上の混乱があつた。これをドツジさんの案によつて、財政的にもこれを処理して行くという時代であるが、今日いまだにそういうことが続いている。まかり間違つたら、また大きなインフレでも起る状態にあるのではないか、こいう意味で私は非常事態といつて申し上げたのです。それで私の答弁は常に、財政、金融の安定を持つた上でということを申し上げたのでありますが、あなたはドツジさんの非常事態という言葉で、その意味は経済的な非常の事態になつておるということを仰せになつたのでありますので、その点もし誤解がありましたらいけませんから、はつきり申し上げておきます。
  67. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 経済と政治は別々なものではないのでございまして、一つのものだ、私どもはかように考えておりまして、これは別にマルクス主義者、共産主義者だけの考えではないというふうに了承しております。ただいま了算委員会やその他の委員会で問題になつておりますことは、結局朝鮮事変以来の物価の高騰が問題になつておるのでありまして、暫定予算だ、すぐ補正予算を組まなければならないだろう、予算を組んだときの予算が、おそらくただいまの物価にいたしますと七割くらいも上つてしまつた、運輸省当局でも運輸大臣がこれを正直に認めておられる。予算の分科会で、運輸大臣が実に正直に、因つたものでありますということを言われて、協力を求めておられます。こいう態度がやはり大臣としては当然であろうと私は思うのであります。事実を事実と認めないで、それをことさらに観念的に、自分信念だけで押しつけて来るという態度は、国全体という立場主張なさつても、それはとうてい納得できないのであります。このよなことが戰争と関係がないというふうに石原委員は特に入れ知惠——入れ知惠と申しますとたいへん誤解がありますが、助け舟を出されたようでございますけれども、このことはやはりこの委員会を、ここだけうまく過せばいいじやないかというような、ごまかしの態度だと私は考えます。現にここの委員会で何と言おうと、予算委員会だとかあるいは分科会で、すでにその問題が真剣に全党をあげて論議の中心になつておるのでありまして、そういうことがつまり今の朝鮮事変に関連して、日本の経済が大混乱を生ずる状態になつておるというこの事実を無視して、やはり預金部資金の問題は解決することができないじやないか、かように考えておるのでありますけれども大臣は一体それはわからない、そういうのじやないのだということを、あくまでもおつしやるのでございましようか。
  68. 田村文吉

    田村国務大臣 私の非常事態という意味は、財政金融上における過去の終戰後における混乱、これがいまだに続いておる。戰争中においても経済的には混乱しておつた。また終戰後においても続いているのじやないか、こういう意味に私は解釈しております。
  69. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どれもこれもぬらりくらりというようなことで、どうも信ずるところだからやむを得ないというような御答弁でございますが、これは何も大臣をやつけるとか、あるいは郵政委員だから郵政省のことだけを何とかすればいいということじやない、私はかように考えているのであります。もし郵政大臣が、今もう全体的の立場だからしようがないのだ。郵政省はここで折れなければならないのだというのであれば、それは今までは全体的の立場から簡易保険郵便年金のことはやつておらなかつたのか、こういうことになるわけでございます。今までだつてやはり全体の立場からやつておられたと思うのです。ですから今度特にそういうことを言われるのは、やはり私は情勢の変化、ただいま言うような全予算委員会その他をあげて問題にしておりますところの、こういう朝鮮事変以来の日本の急激な情勢の変化というふうに判断いたしたいのでございますけれども、その点について大臣もう一ぺん御返答願いたいと思います。
  70. 田村文吉

    田村国務大臣 御判断なさるのは御自由なのでありますけれども、繰返して同じことを申し上げますが、再開すべしという国会趣旨に基いて、当局としても用意をし、大蔵省との間にも話を進めて来た。ところがドツジメモによりまして、これは大蔵省預金部において統一しろ、こういうメモが出ましたので、これはやむを得ない。やむを得ないが、われわれも国民要望である再開という問題に対して、何とかして早く再開する時代の来らんことをこいねがい、またこれに対してはいろいろの手がかりもこしらえておきたいということで、郵政事務当局において非常に苦心をされまして、ここまで参つたのであります。参つたのでありますが、最後に六十九條の削除問題が、大蔵省側の讓るところとならないで、これは私の方でお讓りした、こういうことでありますが、その場合に、ひとり保険の問題だけでない、郵便貯金にいたしましても、すべての国家の余剰資金の集積である資金部の運用資金に対しては、在来よりも郵政省としてもつと大きな発言のできるような点で、私の方は主張を通しておいたわけであります。しかしなおそういう点について、技術的にお前は下手だつたじやないかということは、私はむろん自分が上手と思つておりませんが、しかし決して信念を曲げてどうこうするということはない、こういうつもりでおりますことを申し上げます。
  71. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大臣がいかにお考えになりましても、吉田さんがいかにお考えになりましても、そういう政策を実施いたしますのは、末端の従業員並びにそれを実際に具体的に指導いたし、またその職についておりますところの各局長であり、課長であり、職制の人たちだと思うのであります。これらの人々がまつたくこのことに対して、組合をあげて反対しておる。また私どもはこれに対して、やはり預金者に対しても、いろいろの誓願を受けておりますので、どうしてもこのことを大臣が御自分考えだけで押し切ろうというふうにお考えになりましたときに、大臣はやめていただきたいというような意見が出ました場合は、大臣は潔くその責任をとるお考えかどうか。
  72. 田村文吉

    田村国務大臣 私はさように考えません。
  73. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうすると労働組合員や各局長や課長が、それはできない、預金者もできない、そういう預貯金であれば募集に応じられないというような事態が来ても、やはりドツジ氏の言はいれて、あなたは忠実に大蔵省と死命をともにするというお考えでございますか。
  74. 田村文吉

    田村国務大臣 大蔵省と死命をともにするかどうかは知りませんが、さようなことはあろうとは考えません。また今まで五年間、またその前の戰争中にもあつたのでありますが、実は大蔵省がみな運用しておりました。おりましたが、これはやがてまた再開される時期も近いと考えて、今まで来られたのであります。今度こういうふうになりますと、どうもせつかく努力して来たけれども、また相当再開が遅れる、こういうふうに考えられることについてはまことに遺憾に考えますけれども、できるだけよく了解していただきまして、その間において保険成績を上げて行くというふうに努力してもらいたい、こういうふうに考えております。
  75. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 さつきの原簿移替のことに話をもどしまして、重大な時局ということを大臣は御認識になつての上のお覚悟だと思うのでございますが、そういう重大な時局に際して、戰争中に強行いたしましたあの原簿移替を、今東京に集めようとなさつていらつしやることをおとりやめになつて、元の通りに長野に置き、仙台に置きというふうに、方針をかえずにおやりになるというお考えはございますかどうですか。
  76. 田村文吉

    田村国務大臣 局長から御答弁いたさせます。
  77. 白根玉喜

    ○白根政府委員 原簿移替の点につきましては、預金者の保護、サービスの点その他を考えてやるのでありまして、決して先ほど申し上げましたような時局その他の問題からやるのでなくて、先ほど大臣からお話のありましたように、事業を合理化し、サービスを向上させるためにやるのでございます。
  78. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これはちよつと大臣にお伺いしておきたいのでございますが、年度末にかけまして実は蔵前の貯金局、中央郵便局、それから三田の保険局等を見せていただきました。そのときに感じましたのは、超過勤務をやらなければ年内の仕事が片づかないという、郵政省の現場の実情でございます。関連してお尋ねしたいのでございますけれども、この超過勤務の原資というものが、蔵前の貯金局では全部で九十七万円、国庫金だけでは十七万円、為替では一課大体二十万円ずつ、四課で八十万円、全部で九十七万円の原資がなければ、年度内にとても仕事が片づかない。十五万枚の仕事が余つておるという話でございまして、その原資をもらいたいという要求でございました。保険局に行つてみますと、保険局でも三月の末まで一斉に、局長初め全従業員が一時間の残業、土曜日三時半までの残業というものをやると、百四十万円の超過勤務の原資だということでございました。中央郵便局でもそういうような声がないことはなかつた。そういうような状況は、新しい予算を組みます上に、非常に大きな唆示を持つているのではなかろうか、かように考えます。関連している質問でございますので、簡單に申しますけれども、新しい予算を検討いたしますと、超過勤務というものが相当またふえておるのであかます。一人平均いたしまして、昨年度は四千百八円でございましたのが、今年は一年で五千三百十七円になつております。実際の職場の状態を見ますと、十三級の職員は、一人で一箇月六千円の超過勤務をとつております。これは電通省の例でありますが、そういう例がありまして、実際に仕事をしておりまして、能率を上げさせられている、たとえば蔵前の郵便局の場合には、三万五千枚のノルマを四万枚に上げさせられております……。
  79. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 柄澤君にちよつと申し上げますが、きようの問題は、それと少し離れている問題ですから、関連した問題は、特に簡單にお願いしたいと思います。
  80. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 承知しました。しかし労働者の問題ですから、あまり制限しないでください。
  81. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 それはよくわかりますけれども、本日の委員会趣旨から少し離れております。
  82. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 わかりました。そういうふうに非常にノルマを上げて、そして非常に今労働強化されて、実際に仕事をする者は安い給与で、監督している者がその十何倍もするような超過勤務を、職階制でもらつているのでございますけれども、こういうようなものは、実際新しい予算の場合には、定員に繰入れるとか、あるいは本給に繰入れるとか、あるいは定員をふやすというようなことで、解決すべきだというふうに考えますが、大臣はこれをどういうふうにお考えになりますか。
  83. 田村文吉

    田村国務大臣 超過勤務を本給に繰入れるということの議論もないではないようでありますが、やはり超過勤務はある方がよろしいと考えております。
  84. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 蔵前の次長さんのお話ですと、これはやはり生活給の問題だということを言われております。これは非常にまじめな方で、まじめに従業員のことを思い、郵政事業のことを思つて、いいかげんな御答弁でない御答弁つたと私は了承いたしておりますけれども、そういう点について、なぜ今年度の予算は去年よりも超過勤務が多いか、なぜこういうふうに多く予算を組んでいるかということについての、大臣の御見解をいただきたいと思います。
  85. 田村文吉

    田村国務大臣 もとの給与が上りますと、やはり超過勤務もふえます。
  86. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 定員のことにつきましては、この前の御答弁では、たしか七百六十大名は電通省の方へ仕事が移管するというようなお話でございましたけれども、その点は七百八十一名減員しておりますので、ちよつとお話が食い違つておるように思いますけれども、その点はどうでございますか、はつきりしていただきたいと思います。
  87. 田村文吉

    田村国務大臣 七百六十六名であります。
  88. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 予算定員では七百八十一名減つておりますけれども、これはどういうわけでございますか。
  89. 大野勝三

    大野政府委員 ちようど前年度の予算を比べますとその差がありますけれども、その差は、ほかの仕事で、本年度の初めごろでしたかに減員になつた者が十五名があります。そのためでございまして、それは定員法で途中で落ちておりますから、定員法で今度落される者は七百六十六名ということになるわけでございます。
  90. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 七百八十一と七百六十六と、これは別個のものでございますね。予算定員で出ております七百八十一のほかに、七百六十六が電通関係だということになるのでございますか。
  91. 大野勝三

    大野政府委員 ちよつと御趣旨がよくわかりませんでしたが、要するに来年度落ちます者は、七百六十六という予算書に出ておる数字でございます。
  92. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 落ちますという内容は、具体的にどういうことですか。
  93. 大野勝三

    大野政府委員 主として委託業務となつております地方の電通業務、これが直轄ということになつて電通省の方に移りますので、仕事に伴つて人がそちらに移つて行く。従つて電通省ではふえますが、郵政省では減る、こういう関係のものでございます。
  94. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 了承いたしました。これで私は質問を留保して打切ります。
  95. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 石原君。
  96. 石原登

    石原(登)委員 私は運用権の問題の質疑を行います前に、一つ大臣にお尋ねしたいのですが、先ほどから共産党の柄澤委員からいろいろ御質問があつて、何か戰争があつて、その戰争の中に日本が巻き込まれて、そしてまた日本に爆撃が行われはしないかというような意味の御質問が行われた。私は実はこういうような議論はあまり聞いておりませんので、ゆめさようなことは考えておらないわけであります。実はきようは非常に若い学校の生徒諸君も来ておりますので、そういう問題についていろいろ心配をするのではないかとも考えます。ひとつこの問題については、大臣は今の柄澤委員の見解と、それから政府の見解、こういうものに対してはつきりとしていただきたい。私は自由党でありますけれども、朝鮮問題を契機として日本に戰争が起つて、また再び元のような、あんなたいへんな時勢が来るということは、つゆ考えていないわけでありますが、大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。その点をはつきりと御答弁が願いたい、かように思います。
  97. 田村文吉

    田村国務大臣 その点は、総理大臣からも申しておられます通り、戰争が近いうちにあろうということも考えられません。いわんや私どもといたしまして、近いうちに戰争でもあるかのごとき考え方を持つて、すべての政策をやつておらないということは、はつきりと申し上げたいのであります。今郵便貯金の書類を、東京へ持つて来るというようなことは矛盾じやないか、こうおつしやられましたけれども、私は根本的にさような考え方は持つておりません。戰争が近いうちに起ろうということは全然考えておりませんので、單に企業の経済的、採算的立場から処理いたしておりますことを、この際つけ加えておきます。
  98. 石原登

    石原(登)委員 ただいま大臣の御答弁がありました通り、私どももさように確信いたします。なおただいま大臣が言われた通り、戰争時は確かに危険だつたから、そういうような貯金の原簿も、安全を保つ意味で、長野の山の中まで持つて行かれた。しかもこのためには貯金をする人も相当迷惑をして、たとえば現金が今幾ら貯金してあるかというようなことを照合するのにも、東京ではその日のうちに照合できたものを、それを完全に守るために、戰争中は山の中に持つてつて、三日も四日も手数をかけた。しかしながら今ではそういうような戰争のおそれもないから、東京へ持つて来ても一向さしつかえない。こういうような見解で、原簿も東京に持つて来られた。しかもそのために費用も省けるし、日数もかからない。こういうふうに考えられて持つて来られたと私は思いますが、その点はいかがでしようか。
  99. 田村文吉

    田村国務大臣 ただいま石原委員のお尋ねの通りでありまして、まつたく企業の合理化という点から、正当なところで完全に処理するというだけの考え方であります。
  100. 石原登

    石原(登)委員 次に私はこの問題について質問いたしたいと思います。二月二十五日の新聞に、資金運用部法案が本ぎまりになつた。その内容は、かねて郵政省主張した、あるいはまた郵政委員会が、しかも決議のような形によつて政府に要求した、こういうような線をはずれて、いわゆる六十九條の運用権も、そのまま郵政省がのみ込んで本ぎまりになつたというようなことが書いてあつたのでありますが、このことは事実でございますか。またその閣議の決定は確かに行われたか、それをまず聞きたい。
  101. 田村文吉

    田村国務大臣 先刻私の初めの御報告において申し述べました通りであります。
  102. 石原登

    石原(登)委員 そこでその内容として、運用審議会会長総理大臣がなられて、副会長大蔵大臣郵政大臣だという、この内容もその通りでありますか。
  103. 田村文吉

    田村国務大臣 その通りであります。
  104. 石原登

    石原(登)委員 さようにいたしますと、先般参考文書としてお示しを願いましたところの資金運用部資金法、この内容とは相当違つたものになつて来ると思いまするが、この内容の違つた中で、おもな点だけをちよつと御説明を願いたいと思います。もちろんこの審議会の組織の中は、いろいろ違つて来ると思いますが、私実は遅れて参りましたために、その内容をよく知らないのですが、おもな点だけでけつこうでございます。
  105. 田村文吉

    田村国務大臣 今お話になりました六十九條の削除、これはそういうことになりましたし、それから三十一億の既存の投資額は、そのまま郵政省に残すことになりまして、その点がかわりました。それから審議会は、原案は大蔵大臣会長とした諮問機関であつたのであります。しかしそれが内閣総理大臣会長とし、両省の大臣を副会長とし、各委員の諮問によつて重要事項の審議をする。なおまた随時意見を述べるというような点に相なつたのであります。
  106. 石原登

    石原(登)委員 さよういたしますと、審議会会長が内閣総理大臣でありますと、当然内閣の中にその審議会の事務局ができるものだと了解するのでありますが、その点はいかがでしようか。
  107. 田村文吉

    田村国務大臣 当然内閣の中にできるのであります。
  108. 石原登

    石原(登)委員 審議会のいわゆる事務局が内閣の中にできて参りますと、この事情の運用のいろいろな面から考えまして、その事務的の衝に当る、いわゆる事務員とでもいいますか、その職員は、当然郵政省から多数出すべきだと私は考えますが、その点についてはいかがでありましようか。
  109. 田村文吉

    田村国務大臣 それはそういうふうにいたしたいと考えております。
  110. 石原登

    石原(登)委員 私は以上の問題を大体聞いておきまして、時間がありませんから、私の質問は次会に保留いたしたいと思います。
  111. 受田新吉

    受田委員 先ほどからずつと質問をなさつたことに対して、大臣答弁をされたこと、この非常に重要な問題をこの際お尋ねをしておいて、それから私動議を出したいのです。  田村さんがお答えになつたお言葉の中で、この措置は一時的なものであるとしばらく言われた。その問題について、それがメモランダムの條文のどこに当ると解釈されたか、それをちよつとお伺いいたしたいと思います。
  112. 田村文吉

    田村国務大臣 それは私は、別にメモランダムから解釈を出したのではありませんで、国民の輿望が再約を熱望しておられる。しかしこの問題は、大体こういう経済上の非常時の場合だからいれるのだ、こういう話であるから、私はそこからひつぱつて来て、これは一時的で、早晩また再開されるだろう、こういうふうな期待を持つているのです。
  113. 受田新吉

    受田委員 そうすると、今の大臣主張されていることは、この覚書條項のプリントの二ページにあるところの、「特に極東において明瞭な非常に混乱した世界情勢のすべての不安定要素の影響を受ける経済の中で」ということに当るのですか。
  114. 田村文吉

    田村国務大臣 私は特にその條項を引いて申し上げたわけではありませんので、私はいろいろの文書、いろいろの情勢考えて、これは一時的のものである、こういうふうに考えて、この案を提出することに賛成しているわけであります。
  115. 受田新吉

    受田委員 そのいろいろな情勢ということも、覚書にちやんと書いてあるのだから、大臣はこの覚書をよく読まれて、大臣がそう解釈された原因は、確かにその点に当ると思います。そこで私は、占領政策輿論に反してまで行われるとは信じていないのだから、大臣が向うと折衝されるときに、民間企業としての保険と、官営企業としての保険との相違とか、一定の利率をもつて郵政省へ返すというような問題についても、十分委曲を盡して折衝されたかどうかということを、大臣は良心的にはじないかどうかを、私は十分確めておきたいと思つたのでありますが、はじないとおつしやるので、了承しませんが、一応これを聞きおいておきます。  最後郵政大臣に御要望したいことは、大臣に就任された当初、ここで質問したときにも大臣は、積立金運用の問題と郵便料金の問題を、大臣在任中の二大問題として努力したいと仰せられ、一番大事な生命を賭してやるとおつしやつたものが、一つだめになつてしまつた。そして郵便料金の問題は、公益事業としての立場から、民衆の利益をはかる立場から、値上げをしない線で行くのが正しいと私ども出張したのですが、それに対して、いつか新潟県で値上げをする放送をなさつた。こういうようなことから、大臣の一番大事な二つの線が、とかくぐらついているおそれがあるのであります。願くは国務大臣として、郵政関係の職員のみならず、全国民の代表として動いていただきたいということを、強く要望したいのです。この点について——大臣は非常に人格者でいらつしやることは信じていますが、強く主張して、大蔵大臣などけ飛ばすくらいの決意がほしかつた、これは私は返す返すも残念に思う。しかしこれは今はやむなく閣議で了承された、この段階においてはしかたがないから、われわれとしてはこの要望のはけ口、政府攻撃のほこ先を、大蔵委員会と合同審査会をもつて、そうしてそこへ大蔵大臣郵政大臣の二人に来てもらつて、猛烈にこの真意をただして行くということと、国会の権威を現わすということに向けたいと思うので、願わくはこの問題が合同審査会で愼重に審議されて、国権最高機関たるの立場を明らかにされるよう、委員長においてとりはからわれたいと思うのであります。  これで一応私の質問を終りますが、そのあとで、できればこの問題は理事会をすぐ開いて、そして次の合同審査へ持つて行くときの協議をしておいて、政府が問題を出される前に、一応こちらとしての対策を練る必要があると思いますので、さようとりはからわれたい。
  116. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 ただいま委員長が退席しておりますので、至急に委員長とも打合せをして、そのようにとりはからいたいと思います。  先ほど柄澤委員から次会に質問を留保するというお言葉がございましたから、次の委員会もありますので、本日はこの程度にとどめて、次会は公報をもつてお知らせすることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二分散会