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1951-02-20 第10回国会 衆議院 郵政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 白井 佐吉君 理事 吉田  安君       石原  登君    江田斗米吉君       尾関 義一君    坪川 信三君       降旗 徳弥君    山本 久雄君       土井 直作君    柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田村 文吉君  出席政府委員         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (郵務局長)  浦島喜久衞君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      金丸 徳重君  委員外出席者         專  門  員 稲田  穰君         專  門  員 山戸 利生君     ————————————— 二月一日  委員岡村利右衞門辞任につき、その補欠とし  て尾関義一君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員玉置實辞任につき、その補欠として江田  斗米吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 一月十六日  簡易生命保險及び郵便年金積立金融資再開促  進に関する請願外六件(今村忠助紹介)(第  六七号)  南瀬高駅前郵便局設置請願龍野喜一郎君  紹介)(第一一四号)  三都郵便局集配事務開始請願玉置實君紹  介)(第一二八号) 同月二十五日  駒形郵便局復活請願西村直己紹介)(第  一八九号)  宮沢郵便局集配事務開始請願池田正之輔  君紹介)(第二四八号) 二月八日  真滝郵便局舎新築請願淺利三朗君外一名紹  介)(第四五五号)  秦野町に特定郵便局設置請願(小金義照君紹  介)(第四五六号)  旭町郵便局復活請願白井佐吉紹介)(第  四五七号)  山中局を無集配特定郵便局昇格請願(千賀  康治君紹介)(第四五八号)  道下簡易郵便局を無集配郵便局昇格請願(  鍛冶良作紹介)(第四九八号) 同月十三日  簡易生命保險及び郵便年金積立金融資再開促  進に関する請願平野三郎紹介)(第五四〇  号)  那珂湊町に特定郵便局設置請願塚原俊郎君  紹介)(第五四一号)  海外同胞救出記念切手発行に関する請願(受  田新吉紹介)(第六四八号)  野崎村大字沢簡易郵便局設置請願(高塩三  郎君紹介)(第六四九号) 同月十九日  狩宿部落簡易郵便局設置請願青野武一君  紹介)(第七八七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵政行政に関する件     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 これより会議を開きます。  議事に入る前に御報告いたします。昨年十二月十一日の委員会におきまして年賀郵便特別取扱い実施等に伴う郵便事業の最繁忙時たる年末年始における郵便事業運行状況実施調査のための委員派遣承認申請の件は、同月十五日の議院運営委員会におきまして、留保ということに相なりました。御了承願います。以上御報告いたします。  それでは郵政行政に関する件を議題といたします。まず田村郵政大臣より、行政一般、特に二十六年度郵政省関係予算に関し、説明を聽取いたします。
  3. 石原登

    石原(登)委員 郵政大臣の御説明を聞く前に、私二、三委員長お尋ねしたいのでありまするが、実は本国会が始まつてから相当期間経過いたしまして、しかも重大な法案でありまするところの予算案も、もうすでに衆議院においては審議が結了されようとしているまぎわに至るまで、郵政委員会は今日まで一度も開会いたしておりません。この間私どもは、郵政事業の問題をめぐつて相当重要な問題が起つておりまするから、專門員を通じてたびたび委員会の開催を要求いたしております。これに対しては專門員の諸君もかなり努力したというようなことを私聞いておるのでありますが、しかし今日までどうして委員会が開かれなかつたか、この点をまず委員長に私お尋ねいたしたいのであります。まじめに笑わないで答弁してもらいたい。
  4. 池田正之輔

    池田委員長 少しおそくなりましてまことに申訳ありません。
  5. 石原登

    石原(登)委員 そういうことでなしに、まじめに答弁してもらいたい。何かにやく笑つておる。そういうことではいけません。非常に重大な問題があるので、私はこういう問題があるから、ああいう問題があるからといつて、たびたび申し上げておる。もうすでに国会も終りになろうとしているのに、今ごろになつて委員会を開く。しかも予算はすでに通ろうというのに、郵政省の二十六年度の予算が今ごろ出て来ておる。私はこれでは委員会としてまことに面目次第もないものである、かように考えておるわけであります。何かその間に特別の事情でもあるのか、あるいは委員長がそういうような必要を認めなかつたのか、そういうような認識がなかつたのか、この点を明らかにしてもらいたいと思う。
  6. 池田正之輔

    池田委員長 認識が足りなかつたのでしような。
  7. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいまそちらの与党委員の方から御発言があつたと思いますけれども、一般会計から三十五億繰入れるということが、これは大蔵委員会で問題になりまして、すでにもう通過しておるというような状態に対して郵政委員会は一度も開かれない。これは当然連合審査と申しますか、そういうような形で十分に慎重審議をやるべきものであると思うのでありますけれども一体郵政委員会というものは飾りものなのかどうか。そんなに大蔵省の言う通りに何でもしなければならないのかどうか。郵政大臣飾りものなのかどうかというようなことも、やはりこの際、与党の方が御発言になりましたのを、ここで答弁をそらしてというのでなしに、ほんとうにはつきり言つていただきたいと思うのでございます。きようも実はもうたびたび秘書をやりまして、土十六年度の予算を何とか早く手に入れたいと思つておりますのに、出ておらない。郵政事業特別会計歳入歳出予算参考書というような、相当厖大なものができるはずでありまして、郵政委員会としてはそれをやはり責任をもつて検討するのが、議会政治建前ではないかと思います。今後また郵便貯金特別会計法というようなものも出るということも聞いておりますし、ぜひこの機会に気持を新たにして出発するという建前で、ひとつただいまの与党委員質問には、委員長がお答え願いたい、私もかように考えます。
  8. 池田正之輔

    池田委員長 柄澤君にお答えします。実はこのごろの議会はお天気みたいなもので、お天気だと思うと雨が降つたり、いろいろかわる。ということは、私は今度の予算委員会が、実はうかつにもそんなに進んでいるとは思わなかつた。これが大体実はポイントだつた。というのは、近年の議会の様子を見ていると、予算委員会が、私もこの前まで予算委員会理事をやつておりましたが、大体今までは遅れているので、だからまだいいなというところに、実は私の認識が足りなかつた。そこに一つの重大な何があつたわけです。そこで先週御承知のように開く予定でありましたところが、ちようど雪が降りまして不可能に終つた、こういう実情ですから、ひとつ御了承願います。
  9. 柄澤登志子

    柄澤委員 それではまあそういう事態に、ちよつと自然の成行きでそうなつたのとは違うと思うのてございますけれども、委員長会議もお開きになつていらつしやるはずでございますから、御存じがないとは言えないと思います。委員長会議で、予算委員会の経過というものはおわかりになつていらつしやるはずだと思うのです。特にそういう総合的な建前から、与党として議会対策をやられていらつしやると思うのでございますけれども、今後ぜひその中に郵政関係の問題について、少くとも連合審査というところまで持つて行くように、当委員会としての決議をやつていただきたい、こういうふうにほかの委員の方にも提案したいと思います。
  10. 池田正之輔

    池田委員長 何の決議ですか。
  11. 柄澤登志子

    柄澤委員 郵政事業に関しまする重要な法案などが、郵政委員会も開かれず、ほかの委員会でもつてどんどん決定されて、多数決で通つているわけでございまして、それには委員長もやはり賛成なさつていらつしやると思う。ないと思うのです。ですからそういう問題が審議されますときには、やはり郵政委員会を開く、あるいは連合審査をやるというふうなことを——郵政委員会を無視しておるという今の方針に対しまして、もし委員長がそれをお認めになりましたならば、ぜひ各委員ともお諮り願いまして、決議をやつていただきたい、かように考えます。
  12. 池田正之輔

    池田委員長 今後柄沢さんの言われるように運営して行きたいと思います。
  13. 石原登

    石原(登)委員 私は委員長にどういうわけではありませんけれども、今委員長認識が足りなかつたと簡單に言われた。しかし私は專門員に対しては数回要求しておる。これがあなたに通じないはずはないし、そういう問題は、今日郵政事業を通じて国民に相当大きな影響があるということを、いくら何でもあなたが御承知にならないはずはないと思う。ましてやあなたは議会においては相当の先輩で、議会運用がどういうふうに進んでおるか、しかも今年の国会が選挙を控えて、いつごろ予算が上るかということは、あなたは百も二百も承知のはずだと思う。どうかこういう点は、もう少し委員会も活動できるように、そうして今私は郵政事業危機に立つておると思うのですが、その危機に立つておる郵政事業に対して、われわれは何とかして助けて行かなければならない大きな責任があると私は考えておる。この点も特にお考えを願いたいと思います。  それから私はこのついでに郵政大臣お尋ねをいたしますが、私が認識する範囲においては、今私は郵政省危機だと思つておる。こういう時期において国会を無視したような——今の委員長のお話によつて、私はこう思うのです。少くともこういう時期において、大臣委員長に対して、国会に対して積極的な協力ほんとうに求められなかつたのかどうか。この点を一応私はお尋ねいたしておきたいと思います。
  14. 田村文吉

    田村国務大臣 ただいまお尋ねのようなことにつきまして、特に私の方から委員長に、委員会を開いていただくというようなことの要請は、特にいたしませんでございました。しかし現在の実情については大体御了承かとも思いますし、また私でなくても政府委員の中から、なるべく各委員の方々にはおわかりになるように、連絡をとる方針でいつでもおりますつもりでありました。あるいはお考えになるようなことで、一、二もつと早く申し上げるべきであつたというようなこともあつたかもしれませんけれども、大体はそういう方針連絡をよく申し上げて行きたいと、こう考えております。
  15. 石原登

    石原(登)委員 私はかねがね、これは單なる風説だろうと思うのですけれども、国会内においても、どうも郵政省はこの国会に対する協力の求め方が、非常に熱意が足らない、こういうことを感じておる委員が多いと私は思います。これは非常に不幸なことであつて、少くとも今日の政治を運行して行く上において、郵政省としては一番国会郵政委員会協力を求むべきであつて、またその協力を通じて、私はこの郵政省事業ほんとう国民要請に沿うように持つて行くべきものだと、かように考えております。しかし今非常に重要な問題が山積しておるのにかかわらず、郵政大臣が積極的にそういうような協力を求められなかつたということについて、私は衷心から遺憾に存じます。どうかこういう点は今後大いにお改めを願いたい。このことだけは特に私は御要望申し上げたいと存じます。  それからさらに最近の問題ではいろいろあるのでございまするが、この二十日くらい前ですか、毎日の新聞に、郵政事業のあり方について、ほとんど嘲笑的な記事を私は連日見た。いわゆる日曜配達の問題について、全国民の非常に不満やる方ないような気持がはつきりと現われておりまして、どの新聞を見ましても、ゴシツプ欄扱つて、私はここにその記事を持つて来ておりませんけれども、相当非難があつた。こういうような大事な問題をきめるにしても、まるで政府当局だけでかつてにそういうことをやられる。もちろんそういうものは法律縛つてはおりませんけれども、これは少くとも国会とも相談されて、そういうものに対するところの運営については、十分考えてもらわなくてはならぬと考えております。いずれ大臣説明があるそうでありまするから、その説明をお聞きした上で、あとで質問しますけれども、私は大臣説明があります前に、以上のことを申し上げまして、一応私の質問をここで保留いたしておきます。
  16. 池田正之輔

    池田委員長 それでは田村郵政大臣の御説明を求めます。
  17. 田村文吉

    田村国務大臣 それでは私から所管事項につきまして、概略の御説明を申し上げまして、委員各位の御参考に供したいと存じます。  先般、第九臨時国会の本委員会におきまして、業務の概況につき一通り説明申し上げたので、本日は本国会に提出いたしておりまする明年度予算案と、その後起りました二、三の問題につきまして、御説明申し上げたいと存じます。まず最初に、昭和二十六年度の郵政省所管予算について、概略の御説明を申し上げます。     〔委員長退席飯塚委員長代理着席〕  まず最初に、郵政事業特別会計予算でありますが、この予算総額は、歳入歳出ともに五百七十億六千四百二十四万五千円を計上しておるのでありまして、このうちには事業外收支として、收入印紙及び失業保險印紙の売りさばき関係收支が、歳入歳出ともに八十四億三千六百万円が含まれておりますので、事業本来の業務に属する額は、歳入歳出ともに四百八十六億二千八百二十四万玉千円と相なるのであります。まず歳入予算について申し上げますと、郵政事業收入はこれを大別して、自己收入と他会計からの繰入れ收入との二つにわかれているのでございます。自己收入は御承知通り郵便事業における切手はがき等收入及び貯金事業のうち、郵便為替振替貯金手数料等郵政事業本来の業務から生ずる收入でありまして、二十六年度におけるこれらの收入は雑收入九億円余を合せて、百八十六億九千六百七十万四千円を予定いたしているのであります。次に他会計からの繰入れ收入でございますが、これは郵便貯金業務国税金收納事務保險年金業務特定郵便局における電気通信業務等運営に必要な経費財源として、それぞれの会計から繰入れられるものが二百五十五億五千六百六十四万三千円、主として郵便事業において生じまする歳入不足の補填のため一般会計からの繰入金が三十五億八千三百八十三万五千円、これを合せまして二百九十一億四千四十七万八千円を計上いたしているのでありますが、このほかに二十六年度におきましては、郵便局舎等建設に必要な財源に充てるため、他の会計から設備負担金として繰入れられる経費が二億九千百六万三千円、公債発行による公債金が五億円、以上合計四百八十六億二千八百二十四万五千円を、業務收入とし七予定いたしている次第でございます。  これに対しまして歳出予算といたしましては、郵便事業維持運営に直接必要な経費として百六十二億九千二十四万五千円、為替貯金事業運営に直接必要な経費が七十九億一千三十五万円、保險年金事業運営に直接必要な経費が八十億六千三百八十万三千円、特定局における電気通信業務運営に直接必要な経費が四十一億二千五百八十五万四千円、以上の業務運営するための間接的な経費、すなわち総係費が九十九億三千二百十三万円、郵便局舎合宿所等施設に必要な経費として局舎の建築、土地買收等の直接的な経費、すなわち工事費が十三億一千三百九十二万六千円、これに伴う間接的な経費が一億一千二百七十万五千円、予備費一千万円を計上しており、さらにこのほか、恩給負担金及び借入金の利子等を他の会計に繰入れる経費として八億六千八百二十三万二千円、合計四百八十六億二千八百二十四万五千円を計上いたしているのでございますが、この経費をさらに人件費物件費に大別してみますと、人件費が、三百十二億五千五百三十九万九千円、物件費が百六十二億三千二百二十一万五千円、その他十一億四千六十三万一千円と相なつておりまして、この比率を見ますると、人件費が六四・二%、物件費が三三・五%、その他二・三%となつているのでございます。  なお建設工事費の内訳を説明申し上げますと、普通郵便局が五三局、その他庁舎の新増築及びこれに必要な土地買收費が十一億一千八百五十万六千円、従事員の宿舎の建設その他諸施設に要する経費が一億九千五百四十二万円となつているのでありますが、特に普通郵便局舎建設につきましては、郵便物安全性を確保するためと、建物の終局の経済性とを考えまして、その八割程度鉄筋コンクリート造り建設いたす計画でございます。  郵便事業赤字の問題につきましては(前回の本委員会においても申し上げたかと思いますが、赤字原因ベース・アツプ等による人件費の増高等いろいろ考えられますが、いまだに郵便物の数戰前程度に回復せず、また料金の点にも問題があると考えられるのでありますが、政府といたしましては種々研究いたしました結果、政治的な考慮から、さしむき料金の調整は避けまして、歳入不足一般会計から繰入れるということに相なつたのであります。従いまして増收の道は、一に終戰後急激に減少いたしました郵便物数増加をはかる以外にないのであります。すなわち昭和十七年度に比べて、昭和二十四年度の通常郵便物の数は、十七年度の五七%、また小包郵便物の数はその三一%となつておりまして、本年度上半期では、それぞれ通常郵便物の数が二八%、小包郵便物の数は一五%程度であります。かかる実情にかんがみまして、当省といたしましては、郵便物利用の勧奨に種々努力いたしているのでありまして、今国会におきましても、郵便法の  一部改正を御審議願い、事業経営上の要求利用者側の要望を織り込みまして、現行制度に所要の改正を加え、事業整備充実し、サービスの向上をはかりたいと目下取運び中であります。  なお先ほど申し上げました各業務運営して行くための人員は、二十六年度におきましては事務量増加もありますが、郵便事業財政の現状にかんがみ、極力自粛いたしまして、前年度定員法定員二十六万六百四十人に対しまして二十六年度は二十五万九千八百七十四人、前年度より七百六十六人の減少要求をいたしている次第でございます。  次に郵便貯金特別会計予算について申し上げますが、この会計歳入予算は、資金運用部に預け入れる郵便貯金資金利子收入百一億二千七百五十万六千円、これに対しまして歳出予算は、郵便貯金預入者に対する利子支払いに必要な経費が四十一億一千四百七十五万七千円、郵便貯金の実際の業務は、すべて郵政事業特別会計を通じて行つているので、この取扱いに必要な経費財源に充てるため、同会計に繰入れる経費が七十五億三千八百二十七万六千円、合計百十六億五千三百三万三千円となつているのでありまして、歳入不足額十五億二千五百四十二万七千円は、一般会計から補給を受けることとなつている次第でございます。なおこの会計は二十六年度から新たに発足する予定のもので、郵便貯金事業に関する部面を、従来の大蔵省預金部特別会計から切り離しまして、事業收支を明確にして、事業経理合理化をはかるため、別の特別会計を設けることに目下取運び中のもので、いずれ本国会におきまして関係法律案の御審議を願う運びとなつているのでありますが、この特別会計運営について概略を申し上げてみますと、郵便貯金として受入れた資金を、今回預金部を改組して、新たにできまする資金運用部に預託し、この預託金に対する利子收入で、郵便貯金利子支払いと、業務取扱い経費をまかなつて行く仕組となつております。かように貯金事業独立採算で行く建前でありますが、初年度の二十六年度におきましては、資金運用部から受入れる利子收入だけでは、必要な経費をまかなうことが困難でありますので、その不足分は、先ほど申し上げましたごとく、一般会計から繰入れを受けるということになつております。郵便貯金も、経済安定化が進むに伴いまして、大体増加の趨勢をたどり、二十五年一月末の現在高は、一千五百十六億円余に達しております。それでも戰前に比べまして、その間の経済状態の変化を考慮いたしますると、まだまだ比較的少いのでありまして、郵便貯金の現在高は、昭和十年当時のわずか四十六倍程度にすぎないのであります。この点赤字を生ずる大きい原因考えられるのでありますが、二十五年度の三百五十億円に対しまして、二十六年度は四百億円の増加目標としている次第でございます。郵便貯金資金コストは、二十五年度は大体六分八厘六毛程度でありまして来年度は平均残高も一千八百四十億円程度となり、資金コスト支払い利子が二分二厘九毛、事業取扱い経費が四分九毛、合せまして六分三厘三毛と、五厘程度改善される見込みでありますが、これでもなお資金の利回り五分五厘に対し、八厘三毛の逆ざやでありまするので、この分だけ收入不足となる勘定でございます。われわれといたしましては、かような收支のアンバランスを克服して、一日も早く独立採算を確立すべく努力いたしますとともに、二十六年度は横書式貯金通帳発行、戰時中疎開した貯金原簿の復元、あるいは庁舎改善による貯金原簿等重要証拠書類保全対策等事業整備充実サービス改善に努める所存であります。  次は、簡易生命保險及び郵便年金特別会計予算でございますが、この会計歳入といたしましては、保險勘定におきましては、保險料收入が三百九十六億六汗四百余万円、積立金及び余裕金預金利子收入等が二十二億円余、合計四百十八億六千五百万円余となつております。これに対しまして歳出予算は、保險金支払いに必要な経費が十七億六千七百万円、保險の失効、解約等に伴つて必要といたします澤付金等が八十三億九千百万円、簡易生命保險業務運営のために必要な経費財源に充てるために郵政事業特別会計に繰入れを必要とする経費百八億一千八百万円、予備費五億円、総額二百十四億七千五百余万円を計上いたしているのでございます。さらに年金勘定歳入といたしましては、年金の掛金及び積立金利子等五億百余万円、これに対しまして歳出予算は、年金支払い等に必要な経費が三億五千九百万円余、郵政事業特別会計に繰入れを必要とする経費が二千五百万円、予備費が八百万円、合計三億九千二百余万円を予定いたしている次第でございますが、この会計におきましては、歳出経費に比較いたしまして、二百四億九千八百余万円の歳入超過となつているのでありますが、これは会計法に定めるところに従いまして、積立金として処理いたすことに相なつておるのでございます。  簡易保險事業におきましても、経理のバランスを回復するため、諸経費の節約はもとより、積極的に良質新契約募集と、既契約維持強化による事業收入増加に努めておるのでありまして昨年度、これは暦年制でありますが、十五億円の募集目標を立て、この目標達成にあらゆる努力を尽しました結果、一〇〇%にはわずかながら及ばなかつたのでありますが、目標額に対し九三・七%に当る十四億五百万円を獲得いたしました。この結果二十五年度の決算におきましては、目下の見込みでは、数年来初めて若干の黒字となり、ようやく收支均衡の端緒をつかみ得る見通しであります。この一月からスタートいたしました二十六年度の募集計画においては、最近の募集状況を考慮して、新規募集目標を、第一回保險料額で表現しますと、十億円ということにいたしましたが、なお先ほど申し上げました通り歳入予定額は約四百十八億円で、歳出予定額約二百十四億円を差引いて、約二百四億円の歳入超過となり、事業費率も二七%となつて、二十二年度の三分の一近くまで低下する見込みでありまして国民生活の安定、復興に伴いまして、事業の再建、復興に向つて着々堅実な歩みをいたしている次第でございます。  次は郵政省所管の一般会計予算について申し上げます。この会計予算総額は百二十三億四百余万円となつておりましてこの内訳は、郵政省基幹職員に必要といたします経費が百三十六万六千円、郵政事業特別会計歳入不足補填のため同会計へ繰入れを必要とする経費三十五億八千三百八十三万五千円、郵便貯金特別会計への繰入金が十五億二千五百四十二万七千円、年金及び恩給の支給に必要とする経費七十一億七千三百九十六万八千円、簡易生命保險事業の戰争危險による死亡に基く損失補填のため、同会計へ繰入れを必要とする経費二千万円と相なつているのでございます。  以上で郵政省所管の各会計昭和二十六年度予算、及びこれに関連して業務内容についても若干説明申し上げたのでありまするが、もしさらに詳細の説明が必要でございましたら、政府委員をして説明いたさせます。  次に今国会郵政省で提出を予定しております法律案は四件ございます。郵便法の一部改正と、貯金関係の三法律の一部改正でありますが、このほかに簡易郵便局法の一部改正が議員側から提案される模様でありますから、これを合せまして全部で五件となる予定であります。改正案の内容は、いずれも事業整備充実をはかり、サービスを向上して、利用者の利便をより一層増進しようとするものであります。その具体的内容につきましては、郵便法の一部改正は一応関係筋の御承認を得たのでありますが、その他の改正案につきましては目下折衝中でありまして、なるべくすみやかに提案いたしまして、御審議を願いたいとせつかく努力いたしております。詳細の説明はその際申し上げたいと存じます。  次に日曜日の郵便配達業務廃止の問題につきまして申し上げます。先ほど申し上げた通り郵便事業は来年度におきましても相当の赤字が予想され、その不足分一般会計から繰入れることと相なつておりますが、かかる事業経理の現状にかんがみまして、合理的、経済的経営をはかるため、比較的影響の少いと思われる日曜日の配達を一部やめたらどうかと考えまして、研究に着手したのであります。欧米各国では、すでに久しい以前から実行していることではありますが、わが国では何分にも日曜配達は、七十数年の長い間続けて参つたものでありますから、これを発止するには、利用者及び業務運営上に與える影響や効果を、十分に検討する必要があると思われますので、まず全国から二百数十局を選びまして、テストケースとして一月十四日の第二日曜日から実施を試みているのであります。いずれその結果を見ました上で、全面的に実施するかどうかを慎重に検討して決定したいと考えております。  次にお年玉付年賀はがきにつきましては、本年度は四億枚発行し、昨年十一月十五日から発売いたしましたが、各方面の御協力従事員の努力によりまして、一月九日に完売となりました。ただ配達遅延その他取扱いにつきまして、いろいろ批判を聞いておりますので、かかる点につきましては、十分利用者の声を尊重し、でき得る限りその線に沿つて改善を加えまして、より親しまれ、愛される年賀はがきをつくり上げたいと思つております。  次に外国郵便為替について、その後の状況を申し上げます。外国郵便為替は、前会も申し上げた通り、アメリカとは一昨年十二月から、またカナダとは一年遅れて昨年十二月から再開せられ、本年一月末までに約百三十五万ドルの本邦向け送金を取扱い、外貨の獲得及び国民の福利増進に多大の貢献をいたしておりますが、目下のところは本邦向け送金だけの、いわゆる片為替でありますが、さきに加入を認められた万国郵便連合の為替約定及び振替約定が、昨年十月二日に公布せられ、為替業務については先月二十三日総司令部民間通信局から覚書が参り、わが国振出しの業務についても開始準備をするよう勧告がありましたので、目下連合加盟国との交渉及び国内法令の制定のため準備を進めておりますので、広く為替の相互振出しが実現するのも遠くないと存じます。  最後に郵便法第五条違反事件の摘発について申し上げます。御承知通り郵便法第五条は、事業の独占に関する規定でありまして、国営の郵便事業は、均一料金で平等のサービスを提供することを、経営の基本方針としておりますので、近距離の便利な区間だけ民営でやられることは、この経営の基礎を脅かすことになりますので、この規定が設けられておるのであります。今回の私設郵便局は、この規定に違反し、事業の再建復興に支障ありと認めましたので、思い切つて全国的取締りを実施したのであります。申すまでもなくわれわれといたしましては、絶えず郵便事業整備充実に心がけ、サービスの向上に努めて参り冒して、昨今では経済状態安定化と相まつて、終戰後の一時的混乱状態を脱却し、ようやく戰前に近い状態まで立ち直つて来たのでありますが、いまなおこの種違反行為が跡を絶たず、かなりの組織を持つた私設郵便局が生れ、それがともかくも成り立つているという事実は、われわれの郵便事業におきまして、まだまだサービス向上のため改善、くふうの余地が残されていることを示されるものであると考えますので、業務運営上さらに一段と改善を加えまして、私設郵便局の存立の余地を残さないところまで充実して行く覚悟であります。  以上で私の説明を終りますが、なお詳細な点については、御質問によりお答え申し上げることにいたします。
  18. 坪川信三

    ○坪川委員 私は今大臣の一般郵政事業の御報告を拝聽いたしまして、非常に失望いたしたのであります。それは先ほど石原君も御指摘になりまして、郵政省危機ということをさされましたが、それが何であるかということであります。それは最近新聞に出ておりますところの、積立金運用権の問題であろうと思います。私は事務当局の方々の御苦労のほども推察いたしておるのでありまするが、昨日も私はやはり郵政事業危機だと思いまして、大蔵省に行きましていろいろと調べて参つたのでありますが、非常にその運用権の帰属の問題について、進展いたしておるのであります。その問題に対して何ら大臣が触れておられないということであります。私は日ごろ大臣に対しましては、非常に親愛、敬愛の情を深くしており、また識見、手腕に対しましても尊敬いたしておるのでありますが、この問題は郵政省にとつてはまことに重大な問題であろうかと思うのであります。新聞に出ております関係から、地方からどんどんと電報が参つておるような状況でありますが、これに対する今までの経過並びに見通しにつきまして、大臣の確信をお伺いいたしたいと思います。
  19. 田村文吉

    田村国務大臣 私が特に説明を加えなかつたわけではございませんが、多分この問題について御質問もあるだろう、その際に別にあらためて申し上げた方がよろしかろう、こう考えておりましたので、説明はいたしませんでしたが、大体この中にも申し上げましたように、保險及び年金積立金再開の問題は、すでに衆議院、参議院におきましても再開の決議があり、また閣議におきましても、私が就任いたしましてからも、この問題について特に閣議の決定を見ましてこれは郵政省保險局において再開運用すべきものと、こういうふうに決定いたしておりました。その後これの事務的の取扱い上につきましては、大蔵当局の方ともいろいろ折衝をして、一つの成案を得まして、やがてこれが実施に移される段階に達したと考えておりましたときに、突如今度ドツジ氏から大蔵大臣に対する書簡が参りました。大体郵便貯金も、また簡易保險も、すべて資金運用部というものをつくつて、そこに統一をして、これを最も安全な方法において国民の利益のために使う、かような書面が参つておるのでありまして、これに対しましては、前国会でも御説明いたしたかと思いまするが、私も特にドツジ氏に面会いたしまして、国民は戰争が済んだあかつきにおいては、当然返されるべきものとして、すでに国会決議にもなり、また閣議で決定したほど、国民としては深い熱望を持つておる問題である。であるから今のようなドツジ氏のメモランダムでこれを軽く変更されるということについて、非常に不満があるということ、つまりそれは戰時中の規定であつて、戰後においては当然郵政省に返すことが常道であるということも、るる申し上げて御了解を得ようとしたのでありましたが、今日の状態は、諸君はどう考えるかしらぬが、依然として非常時の状態である、かような状態下において資金は統一されて運用されるということがどうしても必要なことであるので、このような書面を出したということでございました。とにかくさようなことでございまするので、これは臨時的にはやむを得ない措置と私も考えまして、ドツジ・メモランダムに従つて進む。従いまして大蔵省内に資金運用部のできることもやむを得ない、こう考えて進んで参つてつたのでありまするが、私どもの根本観念は、あくまでもこれは一時的の措置であり、恒久的には必ず郵政省に返さるべきものだ、かような考え方を持つておるのでありまして、その根本趣旨にはしいて異議はないのであります。過去においてすでに運用をやつてしまつている金、あるいは保險法六十九条におきまして、保險積立金運用についてはこれこれという運用規定もあるのでありますが、そういうものも全部とつてしまつたらどうかというような大蔵省側の御意見もあります。決してりくつのないことではありますまいが、しかしさような過去にすでに運用している金自体を引継ぐとか、あるいは今の根本規定自体をなくしてしまうとかいうようなことは、あまりにも事務的である。保險金運用方法を、根本的にそういうふうに考えられるということは、いかにも遺憾に存じまするので、この点については大蔵省側の了解を得べく、事務当局において今折衝中であります。私も大体さような考えを持つておりまするので、その意味において事務当局を督励してやつておる次第であります。  なおもう一つ問題がありまするのは、在来單に保險の金だけではなく、貯金の金に関しましても、郵政省の現業の諸君が非常に苦労をして金を集めて来ている。しかしこれは審議会というものに一応かけてやつておるわけでありまするけれども、その審議会がややもすれば形式的になりまして、ほとんどそういうものについて発言権が強くないと言つてもいいくらいな状態下にありますることは、ひとり貯金の問題だけでなく、保險金の再開の問題にいたしましても、われわれとしては重大な関心を持ちまするので、この審議会を実際に有効適切なものにいたすべく、これも事務当局間において大蔵省側と検討中であります。今日はさような状態にあることを御報告申し上げておきます。
  20. 坪川信三

    ○坪川委員 大臣のお言葉を拝聽いたしまして一応大臣の御苦衷もわかるのでありますが、一時的な問題であるから、暫時忍ばなければならぬというお気持が、多分大臣のお心の中にまだあるのじやないかと思うのであります。私どもはこの問題につきましては、一時的であるから、これを取返さなければならぬという観点から、この問題を前から叫んでおるのであります。聞くところによりますると、大蔵省におきましては、預金部資金の特別措置改正法案を出す手配までやつておるような状態でありまして、その問題に関連いたしましてすでに閣議にも提出するような状態に相成つておると思いますが、その間の状態はどうでありますか。
  21. 田村文吉

    田村国務大臣 今の郵政大臣は、その問題について根本的にそれをくつがえす意思がなくて 一時的ならやむを得ない、こういう考えだというお話でありまするが、私もその通りであります。しかしこれは現在の状態下におきまして、ドツジ・メモランダムが出て、それを根本的にくつがえすような考え方を、今日持つて進むことはできない状態じやないか、こう私は考えております。ただこれはあくまでもやむを得ざる一時的の措置であつて永久的にはさようなものではないのだ、こういうことをしつかりと握つておきたい、こういう点が私の苦心いたしております点でありまして、もし先生のようなお考えで、あくまでこれはとつておくべきだ、決して渡すべきでない。過去においてもとしてあつたものは取返すべきだ。こういうことであると、私の現在進んでおります道とは異つておるのでありまして私はそこまで考えておりませんことを率直に申し上げます。
  22. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 大臣説明に対して質疑の通告がありますから、これを許します。石原君。
  23. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの大臣の答弁は、私はちと解しかねるのであります。実は私は、大臣郵政大臣に就任されたときに、非常に期待をいたしました。それはなぜかと申しますと、郵政省は全国に一万数千の組織を持つている。この一万数千の組織を活用するならば、これはたいへんりつぱな国家的なものができると思つた。ところが今までの大臣はみな経済家でなくて、政治屋ばかりもあつたために、物を効果的に使うという面に非常に事が欠けておつだ。そこに、長年経済界にお働きになり、しかもその道の達人であられるところの田村さんが郵政大臣に就任せられたので、私はこれは非常にいいことだと思つて大いに期待をいたしておりました。さらにまた郵政省事業の内容については、私どもしろうとがざつと検討いたしましても、これをもつと合理的な企業として改善すべき余地もたくさん残つている、かように考えます。こういう面から考え合せまして私どもは郵政大臣の就任を心から歓迎し、心から期待いたしておつたのであります。  そこで話は別になりますが、ただいまの坪川君から問題として投げられました郵便貯金保險年金資金運用部に対するところの扱いの問題であります。私がまず第一番に聞きたいのは、大体銀行屋の例にとつてみましても、預金だけを吸收する銀行で、貸出しを一切行わない銀行があるとするならば、この銀行は成立つかどうか、またそういうような銀行をほんとうに預金をする経済人あるいは利用者があるかどうか、こういう問題であります。私はこういう愚にもつかない質問を申し上げる意思は毛頭なかつたのでありますけれども、大臣のただいまのお話では、これはそうせざるを得ない、こういうような考えだというお答えがありましたから、そうすると何か大きな要求があれば、たとい事業自体が危殆に瀕しても、それをあえて行うということが、大臣のこれまでの数十年来の事業経営上の信念であつたろうと思います。私はこういうことではとうていできないと思います。いかように株主から要求があつても、いかように政府筋から要求があつても、そういうことによつてその会社の経営が立たないという確信があるならば、当然そういうものは引受けらるべきものではないと考えておるのであります。私はこういう点について強力な命令があるならば、強力な要望があるならば、信念もそういうふうに持つて行くのだという考え方は、間違つておるのではないかと思います。もちろんきれいごとに物事を済ませることはけつこうでありますけれども、そのために、この事業は国家事業でありますゆえに、その国家事業が成立しないということになると、これはたいへんな問題だと思う。私は今こそ郵政大臣は、郵政省を通じて国民に奉仕する。この大事な事業について真から検討してもらわなければならない、真から反省してもらわなければならない時期であると考えるのですが、こういうような私どもの見解に対しまして、大臣はいかようにお考えでございますか、まずこの点からお尋ね申し上げたいと思います。
  24. 田村文吉

    田村国務大臣 ただいま集めた資金は、その集めた人が運用することが当然ではないか、民間における銀行等の経営においては当然のことである、こういうお言葉でございますが、私は民間においては当然であると思います。しかし国が一つの大きな仕事をやる上からいたしまして、金を集めるなら集めても、しかしその運用については、今日のような事態——品物に対する統制はだんだん解かれているにもかかわらず、金に対する統制はますますはげしくなる事態においては、さようなことが行われて行くということも、やむを得ないことではないかと考えております。ただいまのお話の中にありました貯金のことにつきましては、すでに昔から集めるのは集めるのでありますが、その運用預金部でやつております。今問題になつておりますのは、保險金の問題だと思いますが、これは過去においては郵政省みずからこれを運用しておりましたのが、大蔵省預金部に入つておる、こういう事柄なんでありまして、これはわれわれから言えば、当然元の状態に返すべきではないか、すでにその時期でないかということで、閣議も決定いたしておつたのですが、これに対してドツジ氏の見解が違つておりましたために、しかもメモランダムによつてこうさるべきだということで、これについて私は特にドツジ氏から聞いたわけではありませんが、政府筋の了解するところによりますと、最高命令に近いものとしての言渡しがその当時あつた、さような意味からいたしましてその趣旨には従わなければならない、こういうわけでありまして、根本的な理論から申しますと、今石原さんの言われるようなことが考えられ、少くとも保險金に対しては、当然さようなことが事業を発達させる上からいつて願わしいことであり、そうあるべきだと私も考えております。また貯金の問題にいたしましても、やはり銀行がやると同様なことをやつてしかるべきものではないか、こういう根本的な考え方には、何らかわりはないわけであります。
  25. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの答弁でよくわかりましたが、さつきの坪川君に対する答弁からすると、私はさように考えていない。今の大蔵省でつくつておるような方針だという答弁であつたように聞いたので、それではまことに遺憾千万だと存じたのですが、しからば大臣は当然こういうものについては、郵政省運営すべきものであるという考え方については、いささかも考えがかわつていないわけですね。
  26. 田村文吉

    田村国務大臣 その通りであります。
  27. 石原登

    石原(登)委員 それを聞いて安心いたしました。しからばそういうような確信があり、またそれでなければ郵政事業の完全なる運営ができない、こういうことでありますれば、そのためには私どもはあらゆる努力を尽すべきであると考えております。そこで先ほども坪川君から質問がありました通り、この措置はある一時的な措置だ、こういうふうに解していられるようでありますが、私どもはそうなまやさしい問題ではないと思つております。私は郵政事業にはそう大して詳しくはないのでありまするけれども、この郵政事業保險あるいは貯金、それから年金、これらの資金運用の問題については、最近特にやかましくなりましたけれども、これはもう数十年来の、おそらく郵政省つて以来の大きな要望ではないかと思つおります。またわれわれの構想からいたしましても、これはやはり郵政省運営することによつてほんとう資金が元に還元されましていわゆる地方に還元されまして地方の経済効果をよけいに上げることができる、こういうような確信に実は立つているわけであります。ですから私どもが議論を申し上げているのは、ただ單に郵政従業員の満足感を十分ならしめるというような立場だけではなしに、今日地方の非常に逼迫しておりますところの金融の窮境を打開するためには、どうしてもここから糸をほぐして行かなければいかぬ、こういうふうな観点に立つからであります。簡單に申し上げましても、都会では銀行に金を預ける。ところが地方では預けようと思いましても、郵便局以外には預ける場所がない。最近農業協同組合あたりで預金の吸收をなしておりますが、これは預けたが最後どうなるかわからぬ、非常に安全でない。そこで地方の人たちは、好むと好まざるとにかかわらず、郵便局に預金するよりほかないわけです。ところがそういうふうに郵便局に預金された金は、政府の国家目的の資金として、最も安い利子で、国家万民のために利用される。ところが都会では、金を持つた人は銀行できわめて高い利子で金を預けられる。さらにまた今日は銀行屋と結託して、法定以上の高い金利でこれを運用しておる、こういうような相違がある。金持の金は国家的に利用されないで、むしろ貧乏人の金が国家的に利用される。私はこういうような不合理は、少くとも郵政省の場合では、これは修正されて行かなくちやならない、こういうようなことをかねがね考えておりました。ですから今郵政省に預けている金というのは、これは決して政府の金であるからというので、安心して預けているわけではなくて、これは預けるよりほかに方法がないから、実は郵便局に預けているのだ、かように私は見ているわけであります。そういうことがあつたとするならば、この金を直接預つている責任者であるところの郵政大臣は、この金を最も効果的に活用し、最も高率に運用してやるのが、私は一番大事な責任だ、かように考えております。国家のためだからというので、ある一部の——もつと端的に言うならば、貧乏人の金だけが、そういうような国民のみんなのために犠牲に供せられる。こういうようなものの考え方は、当然修正されて行くべきだと考えるわけでございますが、この点に対して大臣はいかようにお考えになつておりますか。
  28. 田村文吉

    田村国務大臣 ドツジ氏はメモランダムの中で、どういうことを言つているかといいますと、第一に考えなければならぬのは、その預金が一番確実であるということが、預金者としては第一に考えることである。ややもすると第三者がその金を利用しようと考えるが、それに乘じられないようにしなければならないということを言つておるのであります。仰せの通り、いわゆる庶民階級の金は、地方の遠隔の地にあつて、銀行を利用する方法もないというようなところでは、郵便局の方にお入れになつてお預けを願つていることには間違いないのでありまするので、郵政省といたしましては、まず第一に預金者の身の上を考えて、第一に安全、第二にはいかにしてこれを有利なものにするか、こういうことになるかと私ども考えております。有利なるということは、言いかえれば預金利子が上り、保險の料率が下つて来るということが、保險者としては願い、預金者としては願われることであろうと考えております。さようなわけでございます。るので、今度の資金運用部資金運用にあたりましては、いわゆる預金者の代表として代理として、相当に強い関心を持つべきであり、場合によつてはこれが監視、監督、監査をするような性格も持つべきである、こういうふうに考えまするので、今度の資金運用部資金運用法律に対しましては、ひとり郵政大臣だけではありません。厚生大臣も健康保險組合の金を預かつておる。かような意味で、それに触れて行政上の監督を十分になし得る地位に置きたい、かようなふうに考えまして、立法についてもその観念を十分に入れるように努力いたしておるのであります。一方の預金部資金を主として一運用する局に当る人にいたしますと、あまりめんどうのないことの方が願わしいであろうと思います。さようなことから多少、大蔵省あるいは郵政省の間において、意見の合わないような点も起り得るかと考えておるのでありまするが、この点につきましてはぜひひとつ私ども預金者にかわり、保險者にかわつて、全国民のためにこれを監督する、こういう立場だけは十分にはつきりいたしたいというので、努力しておる次第でございますので、さよう御承知を願います。
  29. 石原登

    石原(登)委員 二、三お尋ねしてみますと、こういうような事業自体に対するところの認識は、私も大臣も全然かわつていないのでありまして、むしろ経済的な観念におきましては、われわれよりも大臣の方がこの問題を痛感しておられるように答弁にうかがわれるのですが、そうであるとするならば、私は少くとも郵政省のこういう大事な最高の責任者として、この問題解決については一段の熱意と努力が払われなければならない、かように考えております。大臣が各方面に、あるいはダレスさんあたりにもお会いになつたということを聞いております。それであれば、この問題に対するところの要請が相当強力なものであるということは、実は私どもも知つておる。しからばそれを何とか打開して、あるいは打開できない場合には次善の策を講じて、少くともこの事業の最高責任者として、その責任を全うし得るだけの処置と、それを全うするだけの方法を考えなくてはならぬと私は考えておる。この運用部をこしらえ、そこで一元運用をしろ、こういうふうな強い要望があつたことは、これはもうわれわれだけでなしに、天下万民知つておるのでありますが、その命令みたいなものに、しからば郵政省はどのように善処すべきであるか。このことについて私は相当真剣に考えなければならぬと思う。先ほどの御説明の中では、今度の資金運用の審議会の中で、自主的な発言力を持とうというような御説明のようでありましたが、これはもうまるでお話だけであつて、従来の経過から考えてみましても、これはとうていその実を発揮することができぬ。また新しくつくられようという法案の中で、この審議会の構成の内容を見ましても、これはまつたく希望であつて、とうていそれを実質的に反映せしめることはできないであろう。はなはだ失礼ながら私はさように考えておる。しかも今回の大蔵省の容易にしようというこの資金運用部法案です。この法案の立案について、これに最も実質的に大きな力と影響を持つところの郵政省が、まるでタツチしていない、全然知らない、そうしていつの間にかこういうものがつくられて、突如として次官会議に出される。こういうことは、まつたく郵政省としては怠慢しごくであると私は断ぜざるを得ない。少くともこの問題は大事な問題であり、国会でも決議までして、国民から何千、何万という要望が来ておることを自覚し、その責任を痛感するならば、運用部の法案の作成については、むしろこちらで試案を持ち出して、こういうことで行こうではないか、こういうふうな動きがなければならぬと、私はかように考えるわけであります。しかもそういうような要望が、皆さん方が使つておられる三十数万にわたるところの第一線の郵政従業員は、真から期待しておる、心から願つておる。それだけでなしに、国民もこの運用のいかんが、国民経済に相当影響があるということを痛感しておるがゆえに、国会に対して、あるいは政府に対しても、これはもうたいへんな努力を払つてそれを要望しておる。しかしながら今郵政省のやり方を見ておると、この国民的な要望、この多くの従業員の、それこそ血を吐くような熱望に対して少しも報いてないと申し上げても過言でないと私は思います。たとえて申しますならば、今講和会議も始まろうとしておる。講和条約が調印されるならば、おそらく日本の一切の主権は回復されるわけであります。その間の期間もきわめて短い期間だと想像される。そして最近では日本の意思をくむために、また日本人とよりよい融和的なアメリカになるために、わざわざダレスさんが日本に来られた。そして日本のあらゆる階層の人たちと、非常な努力をされて、日本人の意見を十分聞こうとされておる。ところがこの問題でも、小さいような問題ではありますが、少くとも国会においてすでに衆参両院で二回も決議された問題であります。そういう問題が一係官の意思によつてくつがえされる。あるいはダレズさんはこういう問題の内容は全然知らぬかもわからぬ。私はそういうことを知らして、向う側の反省を求めることも、一つの方法じやなかつたろうかと思う。さらにまた、いくらどのようなこういう命令的なものがあつたにしても、全国民の声を卒直に表明したならば、こういうような乱暴なものが、いくら大蔵官僚が乱暴であるといつたつて、こういうようなむちやな法案なんかできるはずはないと私は思う。これは何としても郵政省の皆さん方が、あまりにも手放しにしておられた。あまりにもこの問題に対して怠慢であつたと、私はこう言わざるを得ない。問題の本質は動かせないにしても、そこに何としても皆さんの責任があるならば、国民気持がわかり、従業員の気持がわかるならば、もつと大蔵省に対して強力な働きかけがあつてしかるべきものだと、かように私は考えるわけであります。私ははなはだ恐縮ですが、この問題に対して大臣はどんなふうに努力したか。この努力に対して具体的な答弁が願いたいと、かように考えるわけであります。
  30. 田村文吉

    田村国務大臣 お前の努力が、郵政省の努力が、足りないじやないかというおしかりでありまして、恐縮に存じますが、最善の努力と方法をやつておるのであります。あるいはダレス氏が見えたときにも、さような問題まで持出しておくべきじやないか、こういうような御趣旨のようにもとれたのでありまするが、これは現在の占領治下におきまして、日本の国民感情にそぐわないような法律が現在でも残つており、またそういう法律がつくられつつあるというようなことも全然ないとは私ども申されませんが、さようなことがかりにありましたならば、平和ができ上つたときにすぐ改めるというよりは、今のうちにできるだけお話をつけまして、占領政策の根本に間違いのない限りにおいては、これに従つて、しかも日本国民に適したふうに改めるように努力して参ることについては、私どももいささか考えて努力いたします。なおダレスさんがおいでになつたのにどうであつたかということは、これは私どもとして、さような問題をダレス氏まで訴えるべき筋合いでもないと考えましたので、あえてそういう手を尽しませんでした。なおいろいろ御注意をいただきますような部分につきましては、その御注意によつて啓蒙されまして新しい方面に努力するということについては、少しもやぶさかでありません。のみならず、進んでそういうことについての努力はいたしたいと考えておるのでありますが、あるいは過去において皆様からごらんになつてこういう方面にもつと骨折るべきではないかというようなお考え方もあつたかと存じますが、大体の方針につきましては、先刻申し上げましたように、少くも保險金の再開につきましては、これまでの民意のあつた問題でありますので、これは今はやむを得ない、かようなメモランダムでやむを得ないとしましても、できるだけ早く平常の状態にもどしていただきたい、こういうようなことに努力いたして参りたいと思つておるのでありますが、ただ若干大した効果のないことで、あまりに関係方面にかえつて誤解されたりして、御了解を困難にするというようなことは、むろん私どもとしては避けて参りたいと考えておりますが、お説の点につきましては、できるだけ巧妙な、賢い方法で進んで行きたいと、こう考えております。
  31. 石原登

    石原(登)委員 大臣の苦衷はよくわかりますので、非常にお気の毒だ、かように考えておるわけであります。そこで先ほどの大臣のお話の中に、万一こういうような法律ができても、これはきわめて暫定的なものである、まあこういうようなお話もあつたようでありますが、そういうようなものについて何か、大臣はこれは暫定的なものであるということに対する確固とした、いわゆるこの考えの根本になるような材料でもありますのかどうか。私もいわゆる向うからのメモランダムに基いて、こういうような資金運用部ができなければならぬ、これはもう占領下だからやむを得ないことだと思う。ただこのために、しかもこれは間違つたものである、間違つたものではあるが、向うの命令であるからやむを得ない。そこでこれを最小限度に何とかして、やはり国民的な要望に沿うように努力するのが、実は私どもの務めかと思います。そこで今問題になつているのは、六十九条の問題なのでありますが、この六十九条の問題に関するところの大臣のお考え方、これはわれわれの要望通り運べる自信がおありであるかどうか。もしそれができないとするならば、これは暫定的な措置であるということについての、何か根本的な根拠、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  32. 田村文吉

    田村国務大臣 この問題があくまでもノーマルな状態でないのだということについては、ひとり郵政省だけでなく、大蔵省関係省の方でも私はそう了解されておる、こう思います。しかしかりそめにもそういう誤解を生ずるような法文について、他の省の方で、力を入れられるということは、世間を誤解させる、またわれわれも誤解させる、こういう点がありますので、十分その誤解を解いてもらいたいと思いまして、私どもとすれば、六十九条そのままでもいいじやないかということで主張して行きたい、こう考えております。しかし大局の考え方から言うと、その点についての根本の観念の遠いが、政府部内の各省間においてあり得るとは思いません。ただ先刻のお言葉の中で、ドツジさんの指令が間違つておるということは言えないかと思います。というのは、今の日本の経済実情から行くと、資金をある程度統制して行かないと、またインフレーシヨンが起るぞという——今の資金運用方法なんか、そういう考え方から出ておる。そこでそういう状況から、今日は品物の統制はだんだん撤廃しつつありますが、資金に対する統制は解けるどころではない。だんだん統制されて行く。これは資金の面で何とかしてインフレを押えようという考えが、常に動いておると思います。そういう関係で、もうインフレという心配も全然なくなつてしまつたような時代になれば、もうこんな問題も——資金部とか、あるいは大蔵省とか、あるいはまた日本金融政策というものが、そうやかましくタツチすべき問題でない。そのときは平常にもどるべきだ、こう私どもは考えておりますので、その考え方は大蔵当局といえども、根本的にはそういうことについて、全然根こそぎもつと永久的に、やりたいというふうには考えません。考えませんが、誤解されるようなことを残して置いたりされるということになると、ちよつと私どもの方でもおもしろくないというのが、事務当局としても考えられることでありましてその辺の了解をお互いによくつけるようにしたい、こういうことで進んでおる次第であります。
  33. 石原登

    石原(登)委員 大臣は物事を非常にきれいにお考えになるので、私ども惡人ははなはだ赤面するのでありますが、大蔵省がやれば、資金運用部でやればインフレにはならない。郵政省がやればインフレになる。まつたくこれは、私たちがかねて言つている主張と、まるつきり違う議論です。私たちは郵政省運用するからといつて野放図に高金利ででたらめに何しようという趣旨では全然ない。これは大蔵省政府全体のいわゆる資金計画に基いて、その監督と指揮のもとで、実際の資金運用の事務的なものを扱いたい。そうすれば郵政省の従業員の志気にも影響するし、またその事業を通じて郵政省がさらに健全な発達ができるのだ、そういう趣旨でありまして、決して郵政省がやるからというてでたらめをやろうというわけではない。もしこういう問題について、大臣がそういう御認識であるならば、これはかえていただかなければならない。郵政省自体が、独自の見解に立つて、かつてな金融をしよう、こういうような議論では断じてないわけであります。それから今大蔵省にしてもそうでありますが、私は決して大蔵省をどうやこうやと言うわけではありませんが、少くとも私の知る範囲では、こういうような各省にまたがつている問題については、十分事務的な折衝と了解を得た上で、いろいろ討議さるべき問題であるにかかわらず、この問題は国会の問題で、しかも過去五十年にわたつて大いにごたごたした問題が、今回のドツジさんのあの手紙一本のために、みな御破算になつてしまつた。そして一方では全然この問題は、国民的にも、あるいは郵政省の事務当局としても、もちろん好んでいないことを深く承知しながら、悠々と法案をつくつて、しかもそれを突如として次官会議に出されたということは、大臣は十分に御承知のはずだと思う。そういうような状態にあつても、なおかつそういうふうに善意に御解釈なさることは、非常にかつてではありますけれども、これはよほどお考え願わないと、私は一歩々々郵政事業が退歩して行くような感じがいたしまして、非常にこの点については憂慮をいたしております。これは郵政従業員の志気にもかなり影響いたしますし、これはまたもちろん事業全体の経営にも、相当大きな変化があろうかと思います。最近の実例を言いますと、私はきようは惡たればかりついて、まことに申訳ないのでありまするが、例の何々局区内というのを入れる。これくらい乱暴な議論はない。一々何の郵便局で配達しておるかわからないものを、無理に何々局区内というのを入れさせたために、何が利益になつたかといえば、全然利益になつておりません。これは出した者も非常に迷惑しておる。そういうような問題についても、関係筋から言つて来たからやるのだというようなことで、簡單にお引受けになつておる。そうして国民に対しては非常に不便なことをしいておられる。私は郵政省自体がもつと強気に、これは絶対いけないのだというようなことであつたならば、こんな無理なことを国民に強要せぬでも済んだものであろう、私はかように考えるわけでございます。ですから私は皆さん方に、いま一段と事業全体についてのはつきりした信念をつかんで、その信念に基いて動いていただきたいと思うわけでございます。これは占領下でありますから、絶対的な命令に対しては従わなくてはいけないが、しかし同じ従うにいたしましても、その次善の策がおのずから現われて来るのじやないかということを、私は心から考えておるわけでございます。重ねて申し上げますが、郵政省でこの運用部の事務を扱いましても、決して野放図な、いわゆるやみ屋みたいな金融をいたそうというわけではなくて国家の要請に基いてこの金を利用活用するというような趣旨については、私どもも考えちよつともかわつていないのでございますから、どうかそういう面で、いわゆるドツジさんの言われたような見解に対してのお考えは、もう一度お考え直しが願いたい、こういうふうに私考えるわけであります。
  34. 田村文吉

    田村国務大臣 郵政省がやるからインフレになる、大蔵省がやるからインフレにならないという意味で申し上げたのではありません、そういう意味で申し上げたのではありませんが、資金を統制する、統制ということは実際いやなことで、まただれしも願わないことでありますが、だんだんそういう点に行き詰まつて参りまして、物の方の統制や何かになると、勢い資金の方だけで統制する。統制する場合には、もう過去において物の統制で十分御体験になつておる通り、決してそれは最良の方法でなかつた。国民の自由を非常に緊縛するということになるので、はなはだおもしろくない問題がたくさんあるのであります。そういうような意味からひとつこれをまとめるというだけ、なんで、場合によつたら今のお説のように、一体大蔵省がそんなものはしないで、郵政省がそういうものを統制してやつたらどうか、こういうのも一つの案なのであります。これは私どもの方として、長い間郵便貯金が、いわゆる貯金制度が始まつて以来、全部大蔵省運用しておる、こういうような長い因習もありまするので、私どもは、今度はむしろわれわれ郵政省におまかせ願つた方がもつと安全有利で、しかも大蔵省は財政の方だけやつていただけばいいので、金の金融の問題までお触れにならぬ方がよかろう、こういう説も出ないではないのでありますが、これも長いしきたりになつておりますので、そう一概にこちらの思うように参りませんが、しかしある程度まで、こういう事態だから、資金がまちまちに、お互いの自由意思で金が動くということにならないで、ある程度統制しまければならぬということは、よかれあしかれ今日進んでおる日本の現在の状況であります。この態勢にはやむを得ない、こういうふうに考えておる次第であります。
  35. 石原登

    石原(登)委員 昔から政治の中に、袞龍の袖に隠れる云々という言葉がありますが、私は今日の大蔵省ぐらい、そういうことを簡單にやつてのけておる役所はないと思う。これは私再び大臣に申し上げておきますが、どうかひとつ今度のドツジ・メモランダムと、それからこの問題の本旨との問題については、ぜひお考えくださるようにお願いいたしたいと思います。特にこの六十九条の問題については、今度のいわゆるドツジ書簡の中には何も書いてない。今争いの中心になつておるのは、実はそこに中心があるようであります。そういたしますとこの問題は、最近の情勢は、もう事務的な折衝もどうでもよろしいというような強気一点張りで、一挙に閣議に持つて行こうというような動きもあるように私聞いておるのですが、実は坪川君も大蔵省に行つて、非常に心配してやつておる。私どもも坪川君ときのういろいろなことを相談して、どうしたらいいかということで相談しておるわけでありますが、そうしますと、これは閣議に出て来た場合、この六十九条はドツジ書簡に何も拘束されない問題なのだ、しかもこの問題は郵政従業員は好まない、一般の国民が好まない、そういうものを大蔵官僚のいわゆる立案者、それは何人で立案したかわからないが、そういう立案者の意図の通りにこれを運ぶような案に、大臣は御賛成できるかどうか。これは私どもは、どうしても大臣としてぜひ反対してもらいたいと思う。またこれは当然反対さるべきだと思うのでありますが、この問題の扱いに対して、大臣の態度と、これに対するところの最終的な確信の見通しについて、これはぜひお伺いしておきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  36. 田村文吉

    田村国務大臣 いわゆる国のまつりごとを憂えての御発言でありますので、私はごもつともなお説と考えますので、さような点についてできるだけひとつ、さようなことは通したい、こういうふうに考えております。考えておりますが、なかなかめんどうな問題で、まだ実は私としては閣議でさような問題は発言したことはないのであります。これは今まで事務局の間でお互いに妥結点を見出し得るもの、また郵政省側の主張を十分了解してもらえるものとして、交渉しておるわけでございます。なおただいま石原君の真に国を憂えてのお気持から出るその御趣旨につきましては、全面的に賛成でありますので、その点で私どもも行きたい、こういうふうに考えております。
  37. 坪川信三

    ○坪川委員 関連して……。今まで石原君がるるお聞きになりましたので、大体は輪郭は把握できたのでありますけれども、私たちも郵政事業を愛し、また郵政省の行政に対して相協力したい。また国家的な見地から憂慮してのことでありますから、その点ひとつ御了察願いたいと思うのでありますが、大臣のこの問題に対するお見通しでございます。これはどうしてもだめになつて来ているのだから、ひとつ諸君頼むという気持になつておられるのか、これはもうしようがないことになつて来たのだから了解してくれという話になつておるのか、このポイントでございます。言いかえますならば、先ほども申し上げました、ごとく、議会においては二回にわたつて両院において決議をいたし、閣議においても決定になり、事務的には大野さんと長沼次官との間に協定も結ばれてしまつておる。しかも吉田さんから手紙まで行つておるというようなことで、見通しも明るい見通しを続けて来たのであります。しかし今大臣が御説明になるごとく、ドツジ書簡によつてこうなつたのだから、資金の統制も国家的に一応われわれは考えなければならぬのだ。しかし私は、先ほど石原君も御指摘になりましたごとく、この問題がもしわれわれの希望とする線よりはずれた場合においては、郵政省の大きな危機、言いかえますれば、郵政省独立採算制というものは根本的にこわれてしまい、また十数万の郵政従業員に対する影響も、非常に大きな影響を與える。また市町村、国家公共事業団体に大きな影響を與える、こういうような段階になつて来たのでありますが、今申し上げましたその見通しの線が非常に明るく上昇して来、しかも講和条約がもう間近に締結されんとするというときに、根本約な立案が、かわつた線において立案されたときに、それを今度は発案にするということは、なかなか容易ならぬことであろうと思うのであります。でありますから、この追い込まれまして、いよいよコンクリートにぶつかりそうになつて来たときに、大臣としては、これはぜひやつてもらいたいのだ、やるのだという決意と見通しを持つておられるならば、われわれも今後犬馬の労を大いに努めたいと思うのであります。大臣がこれはもうやむを得ないのだというようなお考えをお持ちになつておられるならば、われわれはまた別な考えをもつて進まなければならないのであります。その点の見通しを私は先ほどから伺つておるのでありますから、その点に対する大臣ほんとうのお気持を聞きたいのであります。
  38. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 その点に関しては速記をとめて、大臣から御説明を願います。     〔速記中止〕
  39. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 速記を始めて。
  40. 石原登

    石原(登)委員 坪川君の今のお尋ねは、根本的に今提出されようとしている案をやめさしてほしい、こういう意味ではないと私は思う。今ぼくが言つたように、六十九条の問題で、少くとも運用権というものに対する根本の精神は郵政省にあるのだ、この最後の一線だけはあなたは責任者として死守されるべきだ、その決意のほどを私はお伺いしておるのだと、かように観念しておるのです。それだから、全体の法律を粉砕せよという意味ではありません。これはわれわれもいわゆるドツジ書簡の内容についてはよく知悉しておりますから、できることとできないことは、そんなむちやなことは要求をするはずはないと思つております。
  41. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  42. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 速記を始めてください。
  43. 石原登

    石原(登)委員 大臣のただいまの言明を聞きまして、非常に心強く思つております。われわれはこの問題の解決については、郵政委員会は全力をあげて御協力申し上げたいと思います。これは決しておかしな政治の取引でも何でもありません。堂々たる主張でありますから、このてんまつについては、われわれ委員にもお知らせ願えれば、われわれは微力でありますけれども、みんな協力を申し上げたいと思います。  それからもう一つお伺いいたしたいと思いまするが、大臣の先ほどの御報告の中で、資金運用部の審議会、このものについていわゆる郵政省発言力を強化して、実質的な運用にタツチしたい、こういうようなお話のようであつたし、また今もそのようなことをおつしやつておられるのであります。ところがその内容について、構造について、われわれにはちつとも明らかになつておらないのでありますが、大体どういうような資金運用委員会をつくつて、そしてどういうような運営をやつて行くならば、今大臣が抱懐されておりますところの、この郵政省の仕事の一環としての責任を全うし得るような運用委員会運用ができるか、審議会運用ができるか、この問題についてひとつお漏らしを願いたいと思います。
  44. 田村文吉

    田村国務大臣 運用委員会の原案から申しますると、関係各省の機関が委員になりまして、資金運用の大綱につきまして協議する。一年一ぺん、少くとも一ぺんはそういうものを提案して承認を得なければならなぬというように考えておるのでありまするけれども、それでは在来の審議会と同じような形式的になりはしないか。これは当然幹事会というものが必要になつて来る。幹事会で案を練り、そして重要事項については、時を選ばず協議をするというようなことに行くようにしたい、こういうふうに私ども考えております。なおそれらは政令によつてきめられることになると思うのであります。そういう点につきましては十分に話合いをしてみたい、こう考えております。
  45. 石原登

    石原(登)委員 この問題は郵政省責任の上から考えましても、また国民に対するところの立場から言うと、これは相当考えてやつてもらわなくちやいけない。実は従来の運用についても、審議会がありまして、実は私どももこの審議会のことをちよつと調べたことがございます。ところが審議会がまつたく郵政省の意見を無視している。その審議会をやつている場所へ私行つたのですが、郵政の方が出て来ていない。だから私は郵政の次官の大野さんにさつそく電話をして、こういう事実があるがと言つたら、えらいびつくりされたというような例がございますが、大体そういうようなことをされておるのに、のうのうとしておるということであつてもいけないことであるし、私はこういうことは、今のような考え方では、将来も続いて行くであろう、私は非常にこの点についてはお考えを願わなくちやいけないと思うのですが、これはひとり郵政省だけではありませんが、ひとつ厚生省ともお諮りを願つて、少くとも運用議会の会長は大蔵大臣であつても、この事務的な処理のいわゆる責任者といいますか、こういうものは郵政省あるいは厚生省から、相当重要なポイントに出すべきだ、こういうふうに考えますが、こういうような問題については大臣はどのようにお考えでございましようか。單なる事勉的な、いわゆる処理の責任者として、私は郵政省あるいは厚生省から出すべき問題だ、かように考えるのでありますが、この点どうでございましようか。これは人事的には大蔵省郵政省の兼任事務官とか何とかいう形は出せると思うのです。
  46. 田村文吉

    田村国務大臣 こまかい点は政令できめるようになろうかと思いますが、郵政省としましては預金者にかわり、保險者にかわり、この金が安全であり、しかもその投資が不公正でなく、正々堂々とこれは行われておるということだけは、少くとも確認したい、こういう気持を持つております意味で、この審議会についての発言力を持つて行きたい、こういうふうに考えております。なおこまかい点につきましての問題は、事務当局でもいろいろ案を練つておりますし、考えておるようであります。
  47. 石原登

    石原(登)委員 今の郵政大臣のお考えは、従来のことであつて、従来はその通りである。従来の審議会でも、それが公正に運用されておる。それをするために郵政事務次官が出ておる。ところが実質的には何もしていない。こつちが惡いのじやないが、大蔵省がそういう会議を開くときでも、あえて通知をしないというような独断ぶりをやつておる。これは今後そういうことは私はあり得ると思う。だからこつちはもつと積極的に何らかの手を打たない限りは、そういうおいてけぼりにあうと思う。その結果はたれがひどい目にあうかと申しますと、一般預金者がひどい目にあいますから、このために非常に苦労しておりますところの郵政省従業員が、いつまでたつても日の目をみないということになりますので、私はくどいようですがお尋ねしておるのです。それからこの事務の扱いの面について積極的に、われわれはただ單に生みつぱなしじやないのだ。そのとどの最後まで、われわれはこういう関心を持つて見ておる、そうして仕事をやつておるということを、これは第一線り従業員諸君に、非常に大きな影響があるわけでありますから、くどいようですが、お尋ねしているわけです。そういう意味で、この問題は徹頭徹尾私はタツチして行けるような方策をお考え願いたい、かように考えますから、これは別に答弁を求めませんが、どうか大臣はそのつもりでひとつやつていただくように、特に要望いたしておきます。この問題に関する私の質問は一応打切ります。
  48. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 関連してこの席から質問いたします。先ほど郵政大臣の御説明の中に、厚生省の取扱つておる健康保險積立金云々ということをお話でありましたけれども、厚生省の取扱つておる健康保險積立金と、郵便局が取扱つておりました従来の簡易生命保險積立金とは、かなりその意味において私は違うものがあると思います。どうかその意味においても、厚生省が譲るから郵政省もそれに同調しなければならないというお考えをお持ちにならないようにお願いいたしたい。それからもう一つは、ドツジ・メモランダムが至上命令である。それから事務的に大蔵当局とどういう折衝を郵政省でやつておられるか。これは大臣でなくても、担当局長の御説明でもよろしゆございますけれども、その点簡單でよろしゆうございますから御説明願います。
  49. 金丸徳重

    ○金丸政府委員 ドツジ・メモランダムが出まして、これの解釈につきましていろいろと懇談的に関係の省との間に話し合つてみたのであります。特に本年の当初におきまして、私は関係官と一緒に大蔵省の係官とよく話し合いまして、これの取扱いにつきましては、必要最小限度において法律措置も講じたい。従いましてわれわれの方といたしましては、簡易保險法も改正しなくてもいいというような見解のもとに、法案は出したくないのであります。また持つておるものも現状のままで行きたい、つまり従来のままで行きたいということの話合いをいたしましたところ、大体としてはわれわれもその程度でよかろうと思う。ただ関係の向きがあるので、それらとの打合せがあるからということで、本年当初の最初の会談におきましては、そういうことで了解いたしておりました。ところがそれからしばらくいたしまして、大蔵省の案として持ち出されたところを見ますと、ただいま問題になつておりますような、資金の現に投資済みのものにつきましてもこれを引継ぐ、あるいはまた法にはつきり書いてある六十九条も削るという案の内示を受けました。そこでこれはたいへんである、われわれの考えとまつたく違うからということで話合いをいたしましたが、なかなか関係の筋が了解しがたいからということで、そのままになつてつたのであります。われわれは絶対にこの点は直してもらわなければいけないということで話し合つてつたのでありますが、一月末になりまして突如関係方面からの呼出しがありまして、そこで結局かなり大蔵省の見解通り関係筋がわれわれの意向とは違つた、強い意向を持つておるということもはつきりいたしたのであります。しかしながら向うの意向をかえるのには、われわれが直接折衝するよりも、むしろ大蔵省こそが従来の政府決定なり、従来の国会の意向なりを体して、折衝してくれることが望ましいことであり、効果的であるということから、大蔵省に交渉を頼んでおつたのであります。ところがどうしたことでありましようか、先ほどもいろいろ御質問の中にありましたように、突如として次官会議にわれわれの意向が何ら取入れられない形においてかけられ、今日まだ事務上の折衝を続けておるという状況であります。
  50. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 なお大臣にも閣議の席上で、あるいは事務当局においても、まだそれほどの至上命令でないとすれば、折衝の余地があるように考えられますから、その点十分御努力せらんことを望みます。柄澤君。
  51. 柄澤登志子

    柄澤委員 大臣にお伺いしたいのでございますけれども、他の委員から預金部資金につきましては、特に郵政省関係の預金につきましては質問があつたのでございますが、大蔵委員会から資金運用法というものと、郵便貯金特別会計法というのが出るというふうに、私ども承つておるのでございますが、それは事実でございますか。
  52. 田村文吉

    田村国務大臣 運用資金法というものを出そうということで、今問題になつておりまするそれが法律なのでございます。
  53. 柄澤登志子

    柄澤委員 予算書を拝見いたしますと、今石原委員からいろいろ審議会にどうとか、あるいは運用委員会郵政省関係が入るべきだというような御意見が論議されておつたのでございますし、また大臣もそういうことを最小限度では確保したいという努力をしておられることと承つたのでありますが、すでにこの資金運用部特別会計郵便貯金特別会計というような項目があげられておりまして、明細までもできておるというのを、私案は知つたわけでございます。この内訳について郵政省ではどういうふうに御処置になつておるか。たとえばさつき大臣が、預金が一番確実であるとか、有利にするとか、ドツジ氏がこういう御意見だというようなことを言われておりましたが、郵政省では一体これがどのように運用されるかということを御承知の上で、やはり今日まで大臣がやむを得ないのだというような御見解に達せられたところまで来ておられるのかどうか、この印刷物が出るまでには十分審議された上で、これが印刷されて、われわれ代議士に配られると思うのでございます。どういうふうに使われるか、ちよつと承りたいと思います。
  54. 田村文吉

    田村国務大臣 こまかい内訳までの問題は私承知しておりませんけれども、運用資金法というものを出さなければ、今度のドツジ・メモランダムに対する処理の方法はないのであります。その点まず法律で出した。同時にそれに対する相当の予算を見込むというのが、私は当然のことだと思うのですが、こまかい内訳がどうということについては私承知しておりません。
  55. 柄澤登志子

    柄澤委員 さつき大臣は、ドツジ氏が非常に重大な事態だと言われた、非常な事態だということを承認された上で、メモランダムを一時的に受入れなければならないという観念を固められたことと思うのでございます。そういうふうに、国会できまつておりますいろいろな決議が無視され、それから簡易保險法の大正七年につくられましたときの出発点にある趣旨の、地方にこれが還元されなければならないという法律の精神までが、一時的にも曲げられるような形になつておりますような事態こそが、非常事態ではないかと思いますが、その非常事態の解釈をどういうふうに考えられるか。国会審議権も決議権も全部無視されておるという事態が、日本にとつての非常事態ではないか、かように考えるのでございますが、一体ドツジ氏の言われました非常時の状態というものを、大臣はどういうふうにお考えになつておるのでございますか。
  56. 田村文吉

    田村国務大臣 この点はドツジ氏にこまかく伺わなければ、どういうことだということはわかりませんけれども、私どもの感得したところでは、今日のインフレは、ドツジ予算によつてかなりに押えられて来た情勢にあるのであります。しかし今日は、ことに朝鮮事変が起つてからというものは、ややもすれば国内の物価が暴騰して、大きなインフレを起すおそれもある。かような場合に資金をなるべく一箇所にまとめて、それの運用をはかる。その場合において、庶民の方の金であるから、第一に安全な方法をとるということが考えられなければならない。ややもすれば第三者からいろいろな注文が出たがるけれども、その点は慎重に考え運用すべきである、こういうようなドツジ氏の注意であります。
  57. 柄澤登志子

    柄澤委員 大臣にお伺いしたいのでございますが、当委員会でも、このドツジ氏のメモランダムが非常に問題になつておるのでありますから、この全文を私どもには公開していただけないものでしようか。
  58. 田村文吉

    田村国務大臣 それはもう公開になつておりますので、もし何でありましたら、控えもありますから、いつでもお渡しいたします。
  59. 柄澤登志子

    柄澤委員 私どもはメモランダムと了承いたしておりまして、法律とか政令とか命令というふうには解釈いたしておらないのでございますけれども、大臣はどういうふうにお考えでいらつしやいますか。
  60. 田村文吉

    田村国務大臣 メモランダムというのは、占領政策を施行なさる上から、GHQの方でお出しになるものでありまして、それにのつとつて政令なり法律なりがつくられなければならぬ、あるいはできている法律はやめなければ、ならぬ、こういうふうに私どもは解釈しております。
  61. 柄澤登志子

    柄澤委員 これは先ほどほかの委員からもお話があつたのでございますけれども、たとえば日本の実情に合わないいろいろなメモランダムや、そういう示唆が出たことは、数々あると思うのでございます。たとえば医師のいろいろな試験制度の問題、ただいま厚生委員会で問題にしておりますところの看護婦の試験制度の問題、こういうことにつきましては、はつきりと看護婦などにおきましても、アメリカの看護婦と日本の看護婦とは異なるのだというようなととが、非常に広汎な人たちに主張されまして、どんな示唆がありましても、どんなメモランダムがかりに出ましても、日本の実情に合つたものに、日本の国会は権威を持つてかえて行くべきだ。そしてまた先ほども石原さんでございましたか、坪川さんでございましたか、御承知なさいましたように、かりに日本に対して非常に好意を持つてつて来られるのであるならば、特にこういうことについては、私どもの意見というものは、国民の輿論というものは、全逓二十六万従業員の声というものは、当然郵政事業には反映すべきものだと思うのであります。きよう承つてみますと、大臣はすつかり観念なすつてそうしてそのわくの中でどうしようかというふうに、お考えになつておられるようでございますけれども、このようなことで、はたして地方の保險募集がうまく行くかどうか、そういう点についても、あるいは従業員がこれに対して全部反対しておることに対して、どうしてこれに協力させて行くかということにつきまして大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。実はきのう東京地方保險局に参りまして、募集の問題について、契約解除等の問題につきまして、いろいろ資料を出していただきました。ところがだんだん困難になつて来ておることは認めておるけれども、やはり今のところ成績が上つているのは、非常に無理がかかつているのではないかというのが、私どもの心配のもとであります。そういうものの打開の方法として地方の預金者、保險の加入者が、自分たちの荒れ果てた堤防であるとか、道路であるとか、あるいは建たない学校であるとかいうものが、自分たちの出した保險金を利用することによつてつて行くということがわかれば、実にこの保險募集がやりやすいのではないか。これは大臣は知りませんけれども、郵政省の全部の役人の希望でございます。こういうことを保險局の局長が言つておられたのであります。こういうような局長や職制の人たちや従業員をおかかえになつて郵政大臣お一人がそういう御見解をお持ちになつても、はたしてこれがやつて行けるかどうか。これは命令でないという考えを持つて、そしてこれをかえていただきたいというふうに、私ども考えているのでございますけれども、大臣はメモランダムは政令、命令と同じである、こういうように考えておいでになるのでございましようか
  62. 田村文吉

    田村国務大臣 御見解の相違も多少あるようでありますが、私はメモランダムは絶対に信奉して、それに従つて法律、命令を出し、やめるべきものはやめる、こういうふうにやるべきだと考えております。ただお言葉の中に、今度保險の金がそういうふうになるということは、今までと非常にかわつて来て、地方の方に金が何も還元しないというようにお考えのようでございますが、御知のように今度四百億の起債が行われる。これは今の預金部資金がこれにまわる、こういうことでありまして、政府としては十分そういう点を考え運用の方はやるのでありまして、これはまた国会で御決定になりましようけれども、四百億の金が出るということで、保險の金は幾らかというと、二百億今年は積立に残るわけであります。むろんそのほかに貯金の金もございますし、いろいろございますから、それこれの金の中から地方にまわるものもあり、国で直接投資されるような形のものもあります。たとえば電話事業のために百三十億の金が出るとか、いろいろのところに使われるのでありましてこれは決して今度のメモランダムが出たから、地方の還元額が減るということはないのでありまして、むしろ現在としては地方の還元額はふえておる、こういうわけでありますから、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  63. 柄澤登志子

    柄澤委員 地方債のお話が出たのでございますが、昨年東京都の職業安定所の労働者のあぶれが出まして、何とかして完全就労をさせてもちいたいというので、東京都の労働局長のところに会いに参りましたときに、預金部資金に金はあつても、その利子が非常に高くて地方の経済が許さないのだというお話を承つたのでございますが、一体どのくらいの利子でまわつているのかということが第一点、職業安定所の労働者などは、われわれの零細な預貯金は、それでもつて私どもの毎日の仕事、失業救済をやつてもろうのは当然なのであるが、どうして東京都はこの地方債を利用してくれないのか、預金部資金に千何百億の金があるなら、なぜそれで公共事業をやつてくれないのか、なぜ失業救済をやつてくれないのかということが問題になりましたときに、利息が高いからできないのだということを言われたのでございます。  それからもう一つ、今度の大臣はこまかいことは知らないということでありますが、多少御研究になつていらつしやるでしようかが、国鉄、電通、郵政には、全部で二百七十億くらいの公共事業費がまわつておるようでございます。これは見返り資金の肩がわりというふうに承つておりますが、その点はいかがでございましようか、この二点を承りたいと思います。
  64. 田村文吉

    田村国務大臣 ただいまは大蔵省預金部にまわつている金の利息は、どういうわけで高いかということであつたかと存じますが、これは決して高い利息とは思いません。今具体的に、何分何厘でどこへどうして貸しておるかということについては、ちよつと覚えておりませんから、あるいはわかつておれば、後ほど政府委員から御答弁させたいと思つております。  それから昨年は電通省の方で、百億の見返り資金をお願いしたのですが、今年は見返り資金は、そういう方面に使う余裕がないから、それで預金部資金を使うということで、百三十五億の予算を計上いたしたのであります。鉄道もおそらくは同様であろうと思います。
  65. 柄澤登志子

    柄澤委員 そういたしますと、電通に百三十五億、国鉄に百億、国有林野に三十億、郵政に五億といいますと、合計二百七十億が預金部資金から見返り資金に肩がわりされるということになるのですか。
  66. 田村文吉

    田村国務大臣 それは別に見返り資金の肩がわりでも何でもありません。新たに来年出す金は、預金部資金からそれだけの金が出るということでありまして、見返り資金の振りかえではありません。
  67. 柄澤登志子

    柄澤委員 見返り資金はほかの方にまわさなければならないので、預金部資金からまわすということでございますね。
  68. 田村文吉

    田村国務大臣 政府企業でありますと、見返り資金は利息がただでありますから、私どもできるだけそのようなただの金を使いたいと考えております。しかし電通事業は收益を上げている企業なんだから、無利息ということでなしに、ちやんと預金部資金を使つた方がよかろう、見返り資金政府で使う場合においては、あるいは無利子であつても、そういうような全然收益の上らぬような企業に使うということに、大体御承知つておいたらいいと思います。
  69. 柄澤登志子

    柄澤委員 郵政省独立採算制になりましてから、昨年の十一月でございましたか、あなたの方でお出しになつておる新聞だと拝承しておりますけれども、三十億くらい黒字になつたという記事が実は載つておりまして、私どもどういうふうな御苦労をなさつて、そういうような黒字ができたのかしらというように思い、承つてみたいと思つていたのでございますが、今国会では一般会計から三十五億繰入れるということで、そういうことはなかつたのだということが大体わかつたのでございますが、そういうような非常な増收が、経費の節約その他で成績が上げられているというようなことが、新聞に載るような根拠があつたのでございましようか。経費の節約その他のいろいろな点を……。
  70. 田村文吉

    田村国務大臣 ゆめにもそんな話があると、たいへんうれしいのでございますが、なかなかもつてさようなわけには参りません。何かの間違いだと存じます。しかし今のお言葉のように、努めてむだな経費は省くということについては、常時気をつけて参ります。しかし御承知のように行政整理だというようなことで、人を減らすというようなことは、私どもとしては考えたくないのでありまして、ただむだな経費として、消耗品にいたしましても、そういうものについてできるだけ節約をする、こういうことには努力をいたしております。
  71. 石原登

    石原(登)委員 実はさつきからお尋ねしようと思つてつたのですが、今大臣の御答弁の中に、行政整理という面だけのことを考えていないというお話があつたのでありますが、実はさつきちよつと触れましたけれども、郵政省の企業の合理化というような面から、日曜配達をやめて、すべて出費を少くしたいというような議論、この議論の出場所も私ども大体知つております。まことにこれはとんでもない議論をするものだと思つてつたのでありますが、事実郵政省では、一部試験的だといつて行われているようでありますが、先ほどから申し上げる通り、これは世間の失笑を買つている。新聞ではゴシツプや何かで扱つている。この郵政省のやり方の内容を検討してみますと、どうもふに落ちない点があるようであります。たとえばこの問題で、三千人ぐらいの人員の縮小ができて、四億円程度の出費を防ぐことができる。ところが先ほどから聞いておりますと、郵便の利用者は昭和十七年に比べると、昭和二十四年度は五七%だ、しかも二十五年度は前半期で二八%という御説明でありましたが、そうするとさらに利用者は低下する。だれが考えても郵便をもらうことは一番うれしいので、私などは国会に来て非常に忙しい中でも、朝、あと五分か十分したら郵便が来ないかというので、実は五分、十分と出発を延ばして郵便を受取つてみたいと思つてつておる。これは郵便にしても新聞にしてもそうでございます。ところがせつかく日曜日で、自分で親しく郵便を受取るのを楽しんでおるにもかかわらず、これをやめるということになりますと、あなた方がかねておつしやつておる郵便の利用度を高めるというような議論、今度日曜配達をやめるという議論、これはまるで私なんかにはチンプンカンプンで、わけがわからなくなるわけであります。しかも三千人の人が減るということですが、日曜日の配達はやめても、月曜の配達はやめるわけでないし、一日の配達のために人を減らすというのは、数字的にはできるかわかりませんが、具体的にははなはだ困難じやないか、こういうふうに考えるわけでございます。しかも郵政省は、サービスがどうだこうだといわれている。こうなると事業官庁としては、国鉄は公社になりましたけれども、国鉄のサービスぶりは完全に復旧したとわれわれ思うのですが一郵政省はまだまだサービスが復旧しないために、こういうふうに事業自体も不振を来しておるということを、さつき大臣も言われた通りであると考えております。ところがそういう郵便の日曜配達をやめると言いながら、二十六年度の予算においては、そのためにちつとも減つていない。サービスは低下したが、経費の節約が具体的には全然現われないということになりますと、このやり方は郵政事業としては、非常に情ないと考えておるわけですが、いろいろないきさつがあることは私承知しておりますけれども、これは新聞の反対の切抜きを集めただけでも、皆さん方が日曜配達を絶対にやつて行かなくちやならぬのだという一つの事由は成り立つと思つております。それから郵政省がいつでもこずきまわされるのは、いつでも、郵政事業だけが一般会計から特別会計に繰入れたというふうなことで、それを責め道具にされる。ところがまた今度預金部関係その他で、そういうような面が出て来ようとしている。こういうことでは、いつまでたつて郵政事業が頭が上らないというようなことにもなるわけですが、ひとつせめて日曜日の集配をやめるということについては、郵政省国民の意思を代表されて、ぜひ善処してもらいたい。幸いに今の段階では、まだ試験的にやつているというような段階でありますから、これはまだまだ皆さんの御決意いかんよにつては、また元に返せるわけですが、国民生活上も違いますし、いろいろな点で違うわけですから、せめて郵便の配達にまで、あまりごたごた言つてもらわないように、ひとつ格段の御努力が願いたい、かように考えております。この問題にはむしろ、事務的な折衝もいろいろあろうと思いますけれども、郵政次官からでも、あるいは郵務局長からでも、何とか御答弁願いたいのであります。
  72. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 日曜日におきます通常郵便物の配達を休止したらどうかという案件につきまして、お尋ねがあつたのでございますが、この点につきましては、先ほど大臣所管事項の御説明の中にもるる申し述べてありますので、別に申し上げることもございませんが、ただいま数字的な点に触れていろいろお話がありましたので、一応事務当局といたしまして、この問題につきまする考え方を申上げてみたいと思います。  郵便事業の現在の財政状態からいたしまして、何か経費を節約してできるだけ独立採算制を期し、国民の負担を軽くする方法はないかということにつきまして、研究、検討することは、私どもこの運営をまかされておる事務当局者としても、当然なことでありますので、かような観点から、もし日曜日におきまする通常郵便物の配達をやめましたならば、それだけ人員と経費が百浮くはずです。と申しますのは、もちろん郵便事業全体は、たとえば引受け、あるいは逓送、運送、その他局内の仕事は、日曜でもやつておりまするが、いわゆる末端の配達局に着きましてから、郵便を配達する。しかもこれは通常郵便だけであります。通常郵便だけやめてみたならばどれだけの経費が節約になるか、こういう観点から取上げてみたのでありまして、従つて通常郵便の配達に従事しておられるところの現在の外動員に対しまして、あるいは労働基準法、あるいは公務員法に基きまして、週一回の休日を与えます。これは交代で一日の週休をとられますために、それだけ別に人を配置する必要があるわけであります。これをいわゆる休暇定員と申しておりまするが、この定員がそれだけ日曜を実際仕事をしながら浮くというりくつになるわけであります。はたしてそれではどれだけ浮くかということでありまするが、この点につきましては、ただいま石原先生は三千名というような数字をあげていらつしやいましたが、まだ私どもは確実な数字を決定いたしておりません。これは一月の第二日曜日から実施しまして、全国において二百二十箇所の局を選びまして実施をいたしまして、はたしてこの日曜の通常配達をやめたために、月曜の仕事にどれだけの影響があるか、物数がどれだけになるか、それに対しまして月曜日に外勤員の服務状況がどうなるか、これを十分に検討してみませんと、最後的にどれだけの数字の人員過剰になるかというこということもわからないのでありまして、これは目下テスト中でありまして……。     〔飯塚委員長代理退席、風間委員長代理着席〕  新聞等に三千名について四億の経費が浮くと出ておりましたが、大体三千名程度の計算にはなりますが、しかし月曜日のいろいろな業務運行に対する人員の配置状況、その他いろいろな問題を検討してやらなければならぬわけであります。三千名必ず浮くというふうには私どもは申し上げられない次第であります。
  73. 石原登

    石原(登)委員 かた苦しいことばかり申し上げてはなはだ何ですが、実は私はこういうようなことは、昔たいへんな金持が下男、下女をたくさん使つておつた、ところが考えてみると、こういう者は、たくさん食わしておいても不経済だというので、一人減らしてみたがさしつかえなかつた。まだ多過ぎるというので、また一人減らしてみてもさしつかえなかつた。またもう一人減らしてみてもさしつかえなかつた。それでだんだん減らして行つて、結局最後には自分一人になつて、食事をするのもめんどうくさいからというので食わずにいて、とうとう死んでしまつたという昔話があるが、郵政省の今までのやり方を見ていると、そういうやり方です。この仕事をやらないとこれだけ浮くというような、消極的な考え方はやめてほしい。何かそういうことが郵政省に伝統的に残つているような感じがする。なぜかというと、サービスをやめて費用を少くする。これは私は事業経営の上においてまつたく考え直してもらうべきであつて、何か積極的にもうかる仕事を考えてもらえばよい。  たとえば專売公社あたりは、ピースの箱にまで広告をとつておつたようだが、私も個人的にお勧めするのですが、はがきなんかでも、もし今のはがきに広告をとつて、そうして紙面が少なかつたら、紙の大きさをもう少し大きくすればよい。あれに広告をとることも收入の方法である。これは私はいろいろあると思つております。私は先般新潟の郵便局に行つたときに見て来たのですが、あそこは場所がよいというので、郵便局の壁を利用していろいろの広告を張つて、相当の收入が上るということでしたが、そういう例もあるのであるから、そういうような消極的なことでなく、現在の費用を減らすということはきわめて微々たるものですから、もつとどんどんと積極的な面にくふうと努力を払つてもらいたいということを考えておる。日曜配達の問題も、皆さんのりくつには、経済的にはどうだこうだというようなことですが、経済的もさることながら、数十年来の国民生活と郵便との歴史から考えてみても、精神的な面に相当マイナスがあると思う。廃止したりする面から来る利用度の減少によつて、御当局が考えていらつしやる以上に、相当な減收になると思う。どうかひとつこういうような費用の節減という面は、ほかの面でお考えつて、ぜひ積極的にやつてもらいたいと思う。最近では郵便のポストが、今のままでは高いとか低いとかいわれておるが、低ければれんがの二、三枚も敷くとか、コンクリートでつくればよいので、聞いてみるとそういうものをつくりかえるのに、たいへんな金がかかるそうでありますが、そういうことをするのはむだである。そういう面においても、今のような積極的な面で、特にサービスを低下させるということは、今せつかく復旧途上にある郵便事業としては、ゆめゆめやつてはならぬと私は考えます。この点も小さいようで、決して小さくない問題でありますから、この問題についても大臣もみずから第一線に立ちまして、この解決にぜひ御努力を願いたいと考えております。きようは私はあまりたくさんしやべりましたからこれでよしますが、いずれにしましても、郵政省は非常にたいへんな時期になつていると思いますから、当局は十分委員長とも連絡をとられまして、たびたび委員会を開かれて、委員会を通じて、郵政事業に対するところの国民の声を熱心にお聞きになるように、最後に希望を申し上げまして、私の本日の質問は打切りたいと思います。以上申し上げます。
  74. 柄澤登志子

    柄澤委員 今政府委員の方から御説明がありましたように、独立採算制の建前から、経費の節約の面で、日曜集配の休止が試みられているというふうに承つたのでございますけれども、この実施しております状況は、まだおわかりにならないわけでございますか。
  75. 浦島喜久衞

    ○浦島政府委員 問題が問題でございますので、私どもは慎重に実施の状態を把握しまして、その上で検討いたしたいと思いまして目下調査中でございます。ただ実施しました直後の状況はわかつておりますけれども、ごく最近までのものにつきましては、全部をまとめまして正確な実施の状況のデータをつくりたいと思つて研究中でございます。詳しいことは申し上げません。
  76. 柄澤登志子

    柄澤委員 二百二十局の局名や実施状況を、ぜひ当委員会に御報告を願いたいと思います。それは今日でなくてもよろしゆうございます。先ほど石原委員からもお話があつたと思いますが独立採算制ということは、やはり企業として考えておられると思うのでございます。そういう場合に貯金だけを零細なものを吸收して、貸出しを一切せずに、一般会計から十五億も繰入れなければならない。銀行たとかりにいたしましても、これはまつたく独立採算制という制度そのものが、適用できないものではないかというふうに考えられるのでございますけれども、その犠牲が、この日曜集配を休止するという形で、従業員の方に切りかえられて行く。結局は失業の方にしわ寄せさせられて行くというのでありますと、上の方のメモランダムというものはやむを得ないのだからというふうに、郵政大臣はお考えになつておりますけれども、その犠牲は全部下の募集したり、配達したりする従業員の方に押しつけられて来る。しかもこの賃金の値上げを組合が要求いたしますと、常に独立採算制なんだから、独立採算制なんだからということで、押しつけられて来るというふうに私どもは考えられるのでございますけれども、郵政大臣はこの独立採算制という、この形態そのものが郵政事業——ことに預金部資金に全部のものをゆだねるというような形になりました場合には、不都合なものになるのではないかというふうにお考えになりませんかどうか、その点についての御見解、さらに進んで、もし預金部資金を全部向うにまかせてしまうということであれば、独立採算制というものは成り立たぬのであるから、これは廃止して、そのことを理由として首切りをしたり、賃金値上げを押えるというような不当なことはやめるべきだ、こういうふうに私は考えるのでありますが、その独立採算制ということについて、事業経営の非常に豊富な経験を持たれる田村さんは、どういうふうにお考えになりますか。
  77. 田村文吉

    田村国務大臣 預金部資金運用独立採算の問題を御論じになつたようでありますが、今の十五億円の経費不足を入れてもらうということからお話が出たようでありますが、郵政自体の問題といたしますと、独立採算の問題は別に研究さるべきではないかと考えるのであります。と申しますのは、今までの郵便貯金の扱い方というものはどうなつておつたかと申しますと、要するに預金の日歩がきまつておりまして、あとの一部の経費は、かかるだけ大蔵省から出ておつた。わかりやすく言えばそうなのであります。今度それを預金部に預け入れる日歩は、年によつて違いますが、最高五分五厘、五分五厘で預金部に預ける、こういうことになつておるわけであります。そこで支払う利子法律できまつておりますから、さきに申しましたように二分二厘何毛ですか、その差の三分で経費があがれば、別に一般会計からの繰入れがなくとも済む。ところが今まで原価が六分八厘かかつたものが、だんだん預金の額もふえて来た、合理化が行われて六分三厘に下つて来たということで、今年は足らない八厘だけ補給してもらうということなのであります。これが現在千五百億の金でありますが、将来二千億、三千億、三千五百億とふえて参りますと、自然と郵便原価が下つて参りますから、従つてそれによりまして採算も引合うという時代も来るだろう、こういうことで一応今年度はさようにいたしたわけであります。ただ郵便事業自体の独立採算の問題は、この前たしかお尋ねがあつてお答えしたと思いますが、この問題は非常にむずかしい問題でありまして、山間村落の非常に不便なところに郵便局を置いたり、配達をしたりするというようなことは、そういうところは事実上引合わないのはさまつておるのであります。それを一々その原価に従つて料金をきめるということは、事実できないことでもあるのであります。そういうような点、それからその配ります郵便物新聞というようなものは、どういうものかといえば、文化財であります。そういうように文化のために御奉公する、こういう考え方にならないこともないと思います。そういう点を考えてみますと、郵便事業というものは必ず独立採算でやるべきものか、しからずしてある程度国家の一般会計からの補償によつてつてつていいものかどうかという点については、非常に私は議論があると思うのであります。まだ私どもは、郵政事業というものは、絶対的に独立採算によつてやらなければならぬということで、決心をしておるわけではないのであります。しかし昔は郵便事業というものは、相当黒字でやつたことがあるのではないか、だから郵便物が半分の五割七分になつておるが、十割にも十二割にもなる時代が来れば、相当利益が上つて来て、あまり赤字赤字だといつて、補填してもらわなくてもやれる時代が来るのではないか、こういうことも考えられます。嚴密に言つた場合でも、必ず企業は独立採算であるから、引合うように料金も決定すべし、従業員が多ければこれはやめてもらうというような性質でばかり行くわけに行かないというようにも考えております。なおお言葉の中に、もうからない、独立採算制で行けないから、従業員の賃金を特に切り下げるのではないか、給料を上げてやらぬのではないかというお話でありますが、現在ではそういう制度にはなつておりません。一般公務員の給與をやるわけでありますから、事業赤字であろうが黒字であろうが、ある一定のわくで今日は行われておる。しかし現業員に対する給與としては、そういう公務員並の規律一本ではいけないのではないか。もつと能率的なものを考えたらどうかということが考えられますので、できればそういうことにいたしたいと、人事院とも寄り寄り協議をいたしておる次第であります。
  78. 柄澤登志子

    柄澤委員 こまかいことについては、また別の機会にぜひ伺いたいと思うのでございますが、大きい点での大臣に対する御質問を三、四点やりたいと思つております。そういたしますと、公務員の首切りの問題については、人事院その他の定員法その他によつてというお話でございます。決して独立採算制に左右されないというお話でございますが、しかし現実に三千名の人が浮いて来るという前提のもとに、日集配というものをおやめになつておいでになるわけでございます。このことは、やはりこれらの人々を他の戰場へやるというようなこと、ではなしに、全逓の労働者の俸給の総額を減らして行きたい、人件費の比率を少くして行きたい、こういうふうなお考えから来ているのではないか、かように考えるのでございますが、大臣はどういうふうに考えていらつしやいますか。
  79. 田村文吉

    田村国務大臣 先ほども御説明いたしましたように、この日曜集配をやめてみようという試み、この試みを全然無鉄砲にやるわけじありません。むろんそれについては相当の人員の減少が考えられる。しかし日曜配達の問題は單なる経済上の問題だけとして私は考えたくないのであります。というのは、欧米ではキリスト教の関係から、月曜日はできるだけ仕事はしない、休息する、こういう一つの観念がずつとあるのであります。日本でも現在は学校とか一般の役所は、日曜は休みということになつておるのであります。できればそういう点において——緊急の速達とかはそうでないとしても、一般のものは日曜は休んだらどうだ、こういう一つの高い文化的な意義が含まれて、この日曜配達の廃止を考える、こういう意味があるのであります。これを試みるときに、人が減るのを整理するのかという問題が出ましたが、これは絶対にしない、それでは文化的な意義があるということはけつこうだが、人な整理しないというなら、非常に企業会計を惡くするのではないか、こういう疑問が当然出て来る。それに対しまして私どもの考えているのは、もしさような場合には、郵便事業というものは五割七分に減つておるが、これからどんどんふえてて行く。新しい事業——小包速達もやるとか、いろいろな新しい方法を考えて、国民サービスする面が幾らもあるではないか。決してそれがために、今の従業員をやめてもらわなければならぬというような問題は起るまい。かりに若干の問題はあつても、自然減は若干あるのであります。だから不可能な方法を試みるわけじやないという観点でまずやつてみよう、しかしこれが日本の国民の習慣からいつて、また郵政従業員の諸君は、昔から有名な勤勉な人たちなんです。でありますから、そういう人たちからいうと、月曜を休むとか休まぬとかいう問題よりは、收入の減らないようにするということが先だ、こういうような意見も出ないでもないのであります。それこれの点を考えまして、今後の行き方というものをまず試験してみて、それで使われる人たちの声、それから実際にやつた上の月曜日の成績、そういうようなものをよく勘案した上で、最後の決定をしたらよかろうということでいたしましたので、漫然とただ試みをやつたのでは、やつぱり迷惑をかけるわけですからやるからには、そういう点についていろいろ考えましてやつたのであります。これは單なる経済問題だけと考えていただきたくないのであります。文化向上という意味から考えた精神が入つているということを御了解いただきたい。
  80. 柄澤登志子

    柄澤委員 たいへん郵政大臣としては、文化的なことを考慮なすつておいでになるというふうに拝承したのでございますけれども、実際は労働者の実態というものは、日曜に夫婦で共かせぎで内職をしなければ、ほかの職場に行つて何か仕事をしなければ、一箇月の給料を補えない。あなたの部下の労働者は、一週間でお金がなくなるそうです。十日では大体もちつた給料がなくなる、あとをどうするのだというと、また借りるのだ、だから給料をもらうと、この十日くらいで全部払つてしまわなくてはならないので、おかず代にも困るのだというようなお話なのでございまして、どうも労働者の実態は、日曜にはキリスト教的に休ましてやるという、文化的な平和的なお考えとは非常にかけ離れておる。どうも今の日本の労働者の実態には、ぴつたりしないと思うのでございます。ですから私どもとしては、失業の問題と給与の安い問題、こういう問題についてはあくまでも労働者の利益を取入れていただきたいという考えを持つておるのでございまして、郵政大臣から人は絶対に整理しない方針だというふうに承りますと、たいへん私どもは満足なのでございますが、そういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  81. 田村文吉

    田村国務大臣 今度の日曜配達の停止を試みるということ自体は、決してそういうことを考えないということで出発しておるのであります。万劫末代冗員があつても、仕事がなくて、ただそういうことをしているのかという問題ではむろんありませんが、少くとも今度の日曜配達停止の問題は、かりに二千人になりますか、三千人になりますか、今度はどんどんそんな仕事をふやして行くということが考えられる時代になると思いますから、その点について経費がセーブされれば、独立採算の方にそれだけ足しまえになるのであります。ただ考えていただかなければならぬことは、先刻石原先生から、明治初年からやつた仕事なのだ、日本人としてはそれは受入れられないという気持であることも考えられないではないのであります。でありますが、私どもの考えている意味は、金銭の問題だけでやるのではない。これはひとつ高い文化の意味から、こういうことも考えていただいていいのじやないかということで、とにかくこれはやつてみないと、実際のことがわからないから、ひとつやつてみましようというので、郵政の方では全部の人の声を聞くようにして、配達先その他の方の御意見を集めておるのであります。
  82. 柄澤登志子

    柄澤委員 私が郵政の勤勉な労働者の実態に、どうも遠い御見解だということを申し上げました点は、これはあくまでも翻すことはできないのでございます。私は勤勉ということの反面に、郵政審議会——昨年であつたと思いますけれども、二十六万数百の郵政従業員の定員では足りない。郵政業務を満足に実施いたしますのには、もう少し人がいるのだということで、たしか相当の数——それは資料はございますけれども、数千名だと思いますが、定員の増加要求しておられたことを私は承つております。それに比べまして、二十六年度の予算定員を拝見いたしますと、七百八十一名ばかり減つておりまして——先ほど郵政大臣は七百六十六各とおつしやつたと思いますけれども、予算書には確かに七百八十一名、昨年の予算より減員されておると思うのでございます。それが最も勤勉だといわれておる現業の面の三級、二級というようなところで、二級が四百八十名、三級が百三名というように減員になつておるのでございますけれども、これはどういうところを根拠にしてそういう数字が生れたのでございましようか。ただいまのような日曜集配の停止というようなことも考慮されまして、そういうことが含まれているのかどうか。定員の問題についての根拠を、ひとつ大臣から承つておきたいと思います。
  83. 田村文吉

    田村国務大臣 日曜配達とは全然関係ございません。これは電通の方にある仕事を移しましたので、それだから電通の方がそれだけふえております。
  84. 柄澤登志子

    柄澤委員 そうすると、理由になつておりますのは、まつたく電通の方にとられただけだというふうに了承してよろしゆうございますか。
  85. 田村文吉

    田村国務大臣 さようでございます。
  86. 風間啓吉

    ○風間委員長代理 それでは今日の本問題に関しまする質疑はこの程度にとどめまして次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十六分散会