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1951-05-24 第10回国会 衆議院 本会議 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)  議事日程 第三十八号     午後一時開議  第一 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第二 国家公務員災害補償法案内閣提出参議院送付)  第三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件  第四 民間学術研究機関助成に関する法律案若林義孝君外八名提出)  第五 鉄道敷設法の一部を改正する法律案前田郁君外二十一名提出)  第六 郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 警察法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第二 国家公務員災害補償法案内閣提出参議院送付)  日程第三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件  日程第四 民間学術研究機関助成に関する法律案若林義孝君外八名提出)  日程第五 鉄道敷設法の一部を改正する法律案前田郁君外二十一名提出)  日程第六 郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 警察法の一部を改正する法律案内閣提出)  公営住宅法案田中角榮君外十六名提出)     午後二時三十六分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長守伍郎君。     〔守島伍朗君登壇
  4. 守島伍郎

    ○守島伍郎君 ただいま議題となりました法案につきまして、外務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、五月十二日内閣から国会提出され、本委員会に付託されましたので、五月十六日及び二十三日の両日にわたり委員会を開き、審議をいたしました。政府側説明によりますれば、貿易の振興及び在留邦人に関する事務処理ために、日本政府在外事務所を、すでに設置された十八箇所以外の地にも設置することは、きわめて必要でありますので、連合国最高司令官、総司令部を通じて設置方交渉中のところ、アメリカ合衆国その他の関係諸国の承諾を得ましたので、ワシントン市、オタワ市、メキシコ市、リマ市、ロンドン市、ジャカルタ市及びスラバヤ市の七箇所に在外事務所を増置することとし、この機会に総計二十五に及ぶ在外事務所を北米、中米、南米、東南アジア及びヨーロツパの地域別に配列するのが改正の第一点であります。  次に在外事務所に勤務する職員在勤手当及び住居手当は、従来はアメリカ合衆国内の在外事務所について定められた額の九割から十一割までの範囲内で外務大臣が定めることになつていたのでありますが、在外事務所の数が増加して、その人的構成等が複雑になつて参りましたので、今回の改正案では、右の金額の九割から十二割までの範囲内において、外務大臣が各職員について支払額を決定するのであります。その基準としては、アメリカ合衆国内の在外事務所については当該職員の職を、またその他の在外事務所については、当該職員の職のほかに、従来通り物価水準及び為替相場をそれぞれ考慮するということにいたしたいということでありました。  次いで委員政府当局との間に質疑応答が行われ、討論はこれを省略して、ただちに採決に入り、本案は多数をもつて可決せられた次第であります。  右御報告いたします。(拍手
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、国家公務員災害補償法案議題といたします。委員長報告を求めます。人事委員会理事藤枝泉介君。     —————————————     〔藤枝泉介登壇
  8. 藤枝泉介

    藤枝泉介君 ただいま議題となりました国家公務員災害補償法案につきまして、人事委員会における審議経過並びにその結果の概要を報告申し上げます。  本法案は、過ぐる三月二日、予備審査ため委員会に付託せられ、次いで五月十八日、参議院より送付せられて本付託となつたものであります。  本法案提案理由は、国家公務員法第九十三條から第九十五條までの規定に基き、同法第二條に規定する一般職に属する職員公務上の災害に対する補償を迅速かつ公正に行い、あわせて公務上の災害を受けた職員の福祉に必要な施設をなすことを目的として提出されたものであります  本法案要旨とするところを申し上げますと、まず第一の点は、人事院人事行政の一環たる補償の完全な実施責任を負うものとし、同時に人事院が指定する国の機関は、この法律人事院規則等従つて実施事務を行い、人事院がその総合調整行つて、迅速かつ公正な補償実施を確立しようとするものであります。第二の点といたしましては、補償の種類及び内容につきまして、労働基準法に定める基準と同様とし、官民の均衡をはかつたことであります。第三の点は、審査制度を設けたことであります。すなわち、補償実施について異議のある者は、八房院審査の請求をすることができるものとし、人事院がその審査に当ることとし、もつて補償を受ける者の利益の保全をはかつたことであります。  本法案要旨は、ほぼ以上申し上げた三点に盡きるのでありますが、そのほか、災害補償として支給される金品は非課税とし、また現行の労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給與応急措置に関する法律恩給法等條文整理並びに従前の関係法令の改廃を行うことといたしております。なお公務災害補償ための予算は、昭和二十六年度におきましては、一般会計及び特別会計を合せて二億七千万円が計上されております。  次に審議経過についての報告でありますが、その詳細は速記録に讓ることといたしまして、おもなる点のみを申し上げます。  まず第一点といたしましては、労働基準法との関連についての問題であります。すなわち本法案は、その補償の実態において労働基準法を一歩も出るものではない、周知のごとく、労働基準法は多種多様の民間企業最低基準を定めたものであるから、本法案補償額労働基準法規定した額と同一にすることは公務員に不利益取扱いを與えることになるのではないかとの質問がございました。これに対し政府側からは、本法案における補償は、使用者の行う無過失損害賠償であるとの観点に立つものであつて民間企業における場合と、国家公務員のそれとを特に区別して考えるものではない、なお国家公務員特殊性に対する配慮については別に新恩給制度によつて考慮したいとの答弁でありました。  次に、公務上の災害の意味、あるいはその内容規定をどう考えるか、さらに公務上の疾病の問題、特に結核性疾患公務による疾病と認定するかいなかの質問が出されましたが、これに対して政府側より、公務上の災害についての定義づけに関しましては、恩給法労働基準法労働者災害補償保險法等が古くから行われており、従つて、これらの立法例を通じ、すでに不文律として定められていると考える、具体的には公務上直接災害を受けた場合、もしくは公務相当因果関係があると認められる場合であるが、これらの解釈運営については、労働基準法労働者災害補償保險法等の先例を十分考慮して万遺漏なきを期したい、次に結核性疾患公務による疾病とみなすかどうかについては、結核性疾患であつても、それが公務因果関係あるものについては、当然公務上の疾病として補償対象になると考える、また解釈運営についても、公務員にできるだけ有利になるよう努めたいとの答弁がございました。  かくて質疑を終了し、討論に入り、自由党藤枝委員並びに国民民主党平川篤雄君よりは賛成意見が述べられ、日本社会党成田知巳君及び日本共産党林百郎君よりは反対意見が述べられました。  次いで採決に入りましたところ、賛成多数をもつて参議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上をもちまして、本委員会における審議経過並びにその結果の報告といたします。(拍手
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。成田知巳君。     〔成田知巳登壇
  10. 成田知巳

    成田知巳君 ただいま上程になりました国家公務員災害補償法案に対しまして、日本社会党を代表して反対意見を申すものでございます。  法案を一読いたしまして、だれしもただちに気のつくことは、本法案は、従来の関係法令であります労働基準法あるいは労働者災害補償保險法等の、実に機械的な、モザイツク的な寄せ集めにすぎずして、そこに何らの創意くふうの跡を見出すことができないという点であります。政府みずからの説明によりましても、本法案はかのマイヤース勧告に基く新恩給法制定までの、過渡的な、暫定的な措置にすぎないと言つております。もし、しかりといたしますならば、何ら新機軸なく、実質的に少しの進歩の跡も見出すことのできないような本法案を、何を好んで提案するか、拙速をとらんとする政府意図を了解するに苦しむものであります。  政府説明によりますと、また委員会における自由党諸君賛成討論を聞きますと、本法案は、使用者たる官庁と、被使用者たる職員との間における無過失損害賠償責任原則を確立するために、労働基準法の精神並びにその規定しておるところを取入れたと言つておるのであります。無過失損害賠償責任原則を確立するという、その言葉はまことに美しいのでありますが、私たちが本法案にまつこうから反対いたします直接かつ重大な根拠は、実にそこにあるのであります。申すまでもなく、労働基準法は、多種多様な民間企業を適用の対象にいたしております。  しかして、わが国産業構造的特徴といたしまして、民間企業の大半は、町工場に類するような中小企業が大部分であります。その結果、わが国におきますところの労働立法は、労働基準法がその最たるものでありますが、勢い企業中の最低線基準としなければならない結果になつております。これがために、比較的大規模の工場とか、あるいは比較的に内容のよい工場に勤務する労働者諸君は、自主的に労働協約によつて最低基準たる労働基準法に定むるところより有利な補償規定を獲得しておることは、周知の事実であります。この最低限度補償規定する労働基準法をば、民間労働者と異なりまして、罷業権団体交渉権によつて有利な補償規定を闘いとる道がまつたく奪われておりますところの国家公務員に、ただちにそつくりそのまま適用することが、いかに不合理であるかは、多くを言わずして明らかだと思います。  特に政府は、口を開きますと、公務員は単なる雇用契約に基き労働に従事する、かの民間労働者とは異なつておる、公務員国民全体に奉仕するものである、こう力説いたしまして、公務員に特別の忠実義務要求いたしておるのであります。国家公務員法の九十六條にも「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益ために勤務し、且つ、職務途行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」とうたつております。このように、政府みずから公務員に対しまして、一身をささげて職務に専念することを強く要求しておきながら、一方公務員がこの政府要求を忠実に守つたために生じたところの傷害、疾病に対しては、單に民間労働者に與えられておる補償、しかもその最低補償しか與えないというに至つては、はなはだ片手落ちであります。(拍手)  政府は、この矛盾、この不合理を、本法律案の形において公然と行おうとしておるのであります。このことが、いかに不都合な結果をもたらすかは、治安維持の大任を果すために、凶悪犯逮捕に当りまして、敢然身を挺して死におもむいた殉職警官のその遺族補償が、平均給與額一日二百円といたしまして、わずかに二十万円にすぎないというこの一事をもつて見ましても、思い半ばに過ぐるものがあると存ずるのであります。(拍手)本法案内容を知りました国家警察官の間では、聞くところによりますと、政府にたよつていてはとても不安である。安心して職務途行ずることができないというので、現に殉職者の、遺家族に対しまして、一人当り十円、国家警察官三万人といたしまして三十万円を、弔慰金としてみずからの手で醵出しようというような議が、期せずして持ち上つておるとのことでございます。かかることで、国家治安維持に支障なしと、はたして政府はまじめに考えておるかと問いたいのであります。  次に本法案の重大欠陷として指摘したいのは、公務に基因する疾病としての結核疾患に対する補償規定の問題であります。当初政府は、結核疾患に関しましては、国立療養所等に勤務する医師あるいは看護婦等結核にかかつた場合のみを公務に基因するものとして取扱うという、はなはだしく偏狭な解釈をいたしておつたようでありますが、委員会における質疑応答の結果、ようやく、しぶしぶながら、結核疾患公務との間に相当因果関係があれば公傷病と認めるというところまで折れて参つたのであります。人事院意見によりますと、公務員採用のときは、結核については特に厳重な体格検査をしておる、また採用後も定期的に体格検査をしておるから、公務に基因する結核疾患かどうかは科学的に判定できると言つておるのでありますが、人事院の口癖のように言いますところのこの科学的というのは、まつたくはなはだ怪しいものでございます。特に私たちは、むしろこういう考え方は、従来の政府あるいは官僚のやり方から見まして、この科学的という言葉を逆利用し、科学的という美名のもとに、低賃金労働強化ために続々と病魔に冒され、職務に倒れて行く公務員に対し何らの補償をなさずして、これを見殺しにするという無慈悲な取扱いが行われるのであろうことを、深くおそれるものであります。人事院の言うがごとく、採用時に厳格な体格検査を行つたものといたしますならば、その後勤務中に発病した結核疾患は、公務に基因しないことが一見して明らかな特別な場合を除きまして、原則として公傷病取扱いとし、国家が万全の補償をなすことが理の当然でありまして、この点に関する明確な規定が何らなされていないことは、本法案の重大な欠陷であります。  本法案がこのまま通過いたしますならば、低賃金オーバー労働ため結核の床に坤吟する多数の公務員諸君並びにその遺家族が、はなはだしい生活苦に陷ることは、火を見るより明らかであります。委員会審議の過程におきまして、多数の自由党委員諸君のうち、ただの一人もこの問題に触れるものなく、今また本議場において、多数の力で本法案を押し通さんとしておることを、まつたく潰憾とするものでありましてその責任はかかつて自由党諸君にあるといわなければなりません。(拍手)  以上、本法案は、その構成においてまつたくずさんであり、その内容において国家公務員にはなはだしい不利をしいるものでありますがゆえに、拙速を排しまして、十分なる研究調査の上、新恩給法制定の際に完全なる補償規定を設くべきことを強く要望いたしまして、反対意見とするものであります。(拍手
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 加藤充君     〔加藤充登壇
  12. 加藤充

    加藤充君 日本共産党は、ただいま上程された国家公務員災害補償法案反対するものであります。  第一、生活保障最低賃金制定というものを怠り、欺瞞的なペース給與であるとか、地域給のやりくりなどで糊塗して、賃金問題の本質の解決をそらしておる吉田政府人事院が、この法案を今ごろ出して来たのが、そもそもそもさいのであります。本法案は、再軍備、単独講和をしやにむに遂行し、━━━━━━━━━━対応した戦時的労働立法の一部であります。すなわち、苛烈なる戦時労働にかり立て、けがをさしても、病気にしでも、不具廃疾にしてしまつても、はなはだしきは殺してしまつても、政府最高これだけの責任を負えばそれで済むのである、それでよいのだという、天下ごめん許可状をこの法案制定によつてなし遂げようとするのが、彼らの意図であることは明瞭であります。ちよつと拾つてみただけでも、第五條賠償責任免責規定、第十四條の休業補償及び障害補償の例外の規定、第十九條の打切補償規定がすぐ目について参ります。しかも、無過失損害賠償責任原則を明らかにしたなどと言つておりますが、公務員に対するこのわくは、やがて民間労働災害に対してもはめ込まんとするものであることは明瞭であり、労働者最低基準を定めたという労働基準法にいわゆる最低基準が、今日最高基準になつて参つており、その基準を獲得し、保障することすらも労働者は汲々として苦しんでおるという現実の実情は、このことを証明しておると思うのであります。  第二に、政府並びに人事院が、この法案制定によつて、まつたくいい顏をしながら、とんでもないことをやらかそうとするインチキは、断じて許すことはできません。政府人事院は、昭和二十二年の十月、国家公務員法制定以来、何年たちますか、今日になつて、やつとこの法案を出して来て、「人事院は、なるべくすみやかに補償制度研究を行い、その成果を国会及び内閣提出するとともに、その計画を実施しなければならない。」という、負わされた当然の責任を、このインチキ法案によつて果したといような顔つきをしようとしているものであります。舶来職階制レッド・パージ、首切りによつて、あつかましい首切り脅迫が行われております。その後、労働組合運動無力化等によつて、情ないことではありますが、生活改善向上希望を失いかけさせられている、まじめな労働者、今や職制の圧迫のもとに、へとへとになつて働いているこれら人々の、なお最後に、あの苦しい生活の中で働きながら気にかかる不安というものは、最後医療費であり、葬儀費であり、残された家族たち生活問題であります。この頭から離すことのできない、これらの苦しみに対して、ちよぴり慰め言葉だけをかけ、成仏の念仏を聞かせてやつて最後とどめを刺し貫こうとするような残忍な意図を、私は見のがすわけには参らないのであります。(拍手)この上、この法案の通過を理由に、全般的に労働基準法無視、あるいはそのわくはずしを公然化し、労働基準法無視を合法化しようとする意図を、私はここに指摘せざるを得ないのであります。  第三、労働者災害に対する保護補償とが万全なものでなければならないことは、憲法を初め、関係法規の要請するところであります。しかるに政府は、この法案によつて一般公務員八十八万四千八とその家族を含める厖大な人々保護補償を、わずかこの二億七千万円で済まそうとしているのであります。人をばかにしたにもほどがあるといわなければならない。しかも、これら公務員を含めて、労働者災害というものは、最近増大する一方であり、その傾向と、その原因が強化されつつさえあるのであります。皆さん、国民経済研究所やシヤーリフの計算によりますれば、一九四一年、すなわち昭和十六年の日本工業労働者は、一日の労働時間のうち五分の一だけを自分のために働くけれども、実にその労働時間の五分の四を資本家ために働かされて来ているのであります。まことに恐るべき、まことに残忍な、高率な搾取率であるといわなければなりません。  ポ宣言の受諾によつて人民主権憲法にもうたわれはしましたけれども、このことは改善されていないばかりか、あるいは民主的、あるいは科学的、効率的というような美名のもとに、言葉のもとに、あるいは今や世界にもおおうすべもなく明らかである野蛮なフアシズム的なやり方で、この状態はさらに改悪されつつあるのであります。昭和二十五年十二月二十日、経済安定本部総裁官房調査課の発行いたしております、朝鮮動乱以降の労働事情なるパンフレットを一瞥してみても、このことは明らかであります。すなわち、労働省毎月勤労統計によれば、二十五年一月から六月までに、製造工業全体としての総実働時間は一二%増、機械器具工業では一四・一%増になつている。しかもこの統計は、零細な企業は含まれていないのでありますから、これを含めるとすれば、その増加率はより大幅なものでありましよう。朝鮮戦争前後の繁忙に伴つて賃金の収入は増大はいたしておりますが、それは当然に残業手当増收によるものが多く、労働者側賃金ベース引上げ要求には、企業者側は強硬な態度をとつております。従つて全般的に名目賃金收入はわずかに上昇しているけれども、その間の生計費高騰があるので、生活水準は必ずしも上昇していないと、さきのパンフレツトが明白にうたつているのであります。さらにまた基準労働時間の延長、労働強化労働災害増大傾向も看取されるというのであります。だから、政府意図は明らかであります。何でもかんでも、わずかの涙金二億七千万円前後で済ましてしまおうとする企て以外の何ものでも本法案はないのであります。  第四には、かくてこの災害増大は、当然にこの補償についての具体的支給金額希望は種々因縁をつけられ、減額をされて来ることは必定であります。しかるに、公務上の災害の認定であるとか、療養方法であるとか、補償金額の決定、その補償実施について、あるいは審査について人事院責任に当るというのでありますが、実はこれは、諸君、屁のつつ張りにもならないということは、明らかに過去の実例が実証しているところであります。一体全体、卑怯下劣、憲法蹂躙レッド・パージなるものに際して、人事院というものは、一体どんな方法態度公務員身分保障をして来たか。いけしやあやあと政府となれ合つて、さる芝居首切り芝居をやつてのけて来たのが人事院ではありませんか。(拍手朝鮮戦争以来、今年の三月までに、消費者物価指数に現われた生活費高騰は一八・七%になつているというのであります。このときにあたり、給與引上げ勧告義務を怠つているのも、すなわち人事院そのものであります。まつたく一方的独断専行に押し切られ——この補償をするためには、この法案の第三十四條には罰則すらも規定され、用意されているのでありますから、こんな手続や、こんなやり方では、災害被害者及びその家族は、あてがい涙金で泣寝入りさせられるのが当然の落ちといわなければならないのであります。  第五には、日本労働者は、国連協力の名のもとに、実質上、日本の人的、物的戦争力の総力をあげて朝鮮戦争に介入し、動員しているところの、内外反動手先吉田政府によつて、まつたく動物的低賃金と、言語に絶する━━━監視のもとに、━━━━━職場労働強化をさせられている実情を、私どもは見のがすわけには参らないのであります。文字通り給料も與えられず、国体消磨的奴隷労働を強行していることが、公務員を含めて、全日本労働者災害増大の根本的な原因であることを、ここに指摘せざるを得ないのであります。民族の独立と平和と、人民生活の安定と向上を保障したところのポ宣言基準とした公正な全面講和の確立と締結こそが、労働者災害補償の唯一の根本的施策であることをここに主張し、このことのために、わが党は断固として闘うことを宣言し、以上をもつて反対討論を終るものであります。(拍手
  13. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇————— 治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員会理事丸山直友君。     〔丸山直友君登壇
  15. 丸山直友

    ○丸山直友君 ただいま議題となりました、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件について、厚生委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  最近、出入港船舶及び航空機の増加に伴い、その検疫事務を促進するため、大阪港及び羽田飛行場に検疫所支所を、呉港、四日市港及び関門港の若松区に出張所を設けたいというので、地方自治法の定めによりまして国会承認を求めて参つたのでございます。  本件は、五月二十一日、本委員会に付託せられ、同二十三日、政府より提案理由説明を聴取し、審議の後、質疑を打切り、討論を省略し、採決に入りましたところ、本案は全会一致をもつて承認を與うべきものと決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認を與えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認を與えるに決しました。(拍手)      ————◇—————
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第四、民間学術研究機関助成に関する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。文部委員会理事岡延右エ門君。     〔岡延右エ門君登壇
  19. 岡延右エ門

    ○岡延右エ門君 ただいま議題となりました民間学術研究機関助成に関する法律案につきまして、本案要旨及び委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、文化国家の建設に重要な課題となつておる民間学術研究機関の苦しい現状に対して、日本学術会議を初め各方面の要望にこたえるため、民法第三十四條の規定による法人で、学術の研究を目的とする研究機関に対し、その維持運営に資するため、国は予算の範囲内において補助金を交付することができることを規定したものでございます。次に地方税法の一部の改正をはかり、これらの研究機関に対する市町村民税と固定資産税の免除をはかることにいたしたのであります  本案は、自由党若林義孝君外八名の提出にかかるものでありまして、去る二十一日に委員会に付託、二十三日提案理由説明を聴取した後、ただちに審議に入り、各委員よりきわめて熱心なる質疑があり、提案者並びに政府よりそれぞれ懇切なる答弁がございましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  20. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第五、鉄道敷設法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長前田郁君。     〔前田郁登壇
  23. 前田郁

    前田郁君 ただいま議題となりました鉄道敷設法の一部を改正する法律案につき、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、昨二十三日、本委員会に付託され、ただちに提案者より提案理由説明を聴取し、これを愼重に審査いたしたのであります。  本法案の趣旨を申し上げますと、鉄道は経済文化の基盤であり、わが国経済の再建、文化の向上をはかるため、国土総合開発の一環として鉄道の新線を建設することはきわめて緊要であつて国民のひとしく熱望するところであります。この要望にかんがみ、衆議院では、第七回及び第八回国会において、参議院では前国会において、それぞれほぼ同一趣旨の鉄道建設促進に関する決議がなされたことは、諸君の御承知の通りであります。今日まで新線建設が進捗しなかつたのは、戦後国鉄の復旧に急を要し、かつ財政状態が不良であつたこと等によるものでありまして、この法律の別表に掲げられている建設予定線中、すでに着工せられたにもかかわらず、戦争の影響により中止のやむなきに至つたものは、区間だけでも五十箇所、五百九十余キロに達しているのであります。今や国鉄の復興ようやく軌道に乗り、財政状態もまた安定したのにかんがみ、戦後の新情勢に即応する鉄道建設計画を樹立し、これが推進をはかる必要があることは、多く言うまでもないのであります。しかして、建設の順位、資金の調達等については特に慎重を期するの要がありますので、ここに運輸大臣の諮問機関として鉄道建設審議会を設け、広く衆知を集め、鉄道建設に関し必要なる事項を調査審議せしめ、鉄道新線の建設に万全を期することとしようというのであります。  次に本改正案のおもなる点を申し上げますと、第一に、運輸大臣は、日本国有鉄道から新線建設の申請があり、これが許可に関し必要なる措置をする場合、並びに公共の福祉を増進するため、特に必要があると認め、新線建設に関し必要な命令をなす場合には、あらかじめ審議会に諮問しなければならないこと、第二に、審議会は総理大臣及び関係各大臣に対し新線建設に関し建議することができること、第三に、審議会はわが国経済の発達、文化の向上に資することを目標とし、公正かつ合理的に審議決定しなければならないこと、第四に、審議会は両議院の議員、関係行政機関の次官または副長官、運輸審議会の会長、日本国有鉄道総裁、運輸業、鉱工業、商業、農林水産業、金融業等に関しすぐれた識見と経験とを有する者、鉄道建設に関し学識と経験とを有する者、以上二十七人をもつて構成せられるものであること等であります。  さて本法案に対しましては、提案者代表岡田五郎君と各委員との間に熱心な質疑応答がかわされたりでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます  かくて、昨二十三日質疑を打切り、討論を省略いたしまして採決の結果、多数をもつて法案は原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  以上、簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手
  24. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  25. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  26. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第六、郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。郵政委員会理事飯塚定輔君。     〔飯塚定輔君登壇
  27. 飯塚定輔

    ○飯塚定輔君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に関し、委員会における審議経過並びに結果を報告申し上げます。  まず政府の議案提出理由並びに法案内容の概略を申し上げますと、従来わが国の航空郵便は、昭和四年より正式に実施せられ、年々著しい発達を続けて参つたのでありまするが、終戦と同時に事実上廃止となり、制度といたしましても、翌二十一年七月限り廃止せられていたものでありまするが、御承知の通り、昨二十五年六月に至り、国内航空業務が許可せられ、近くその再開の運びとなつておるのでございます。政府といたしましても、これに伴い国内航空郵便制度を復活することとし、このために本法律案提出したのであります。  本法案内容を申し上げますと、まず第一に、航空郵便として取扱う郵便物は通常郵便物に限られております。     〔議長退席、副議長着席〕 その料金については、第一種郵便物、すなわち封書については、重量二十グラムまで、現行基本料金を含めまして二十円とし、以下それぞれの種類、重量等に従つて料金を規定しておるのでございます。  次に本法の施行期日についてでありまするが、これは国内航空業務の開始が前提でありまするので、それに適応するよう政令で定めることといたしております。  右法案の付託を受けました本委員会は、去る二十三日会議を開き、法案提出理由内容等について詳細検討を加え、政府との間にも種々質疑応答を重ねたのでございますが、その詳細はすべて会議録に讓りたいと存じます。  かくて委員会は、同日質疑を打切り、討論を省略の上、ただちに採決に入り、全員一致原案を可決すべきものと議決いたした次第であります。  右、簡単でありまするが、御報告申し上げます。(拍手
  28. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  29. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  30. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第七、警察法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員長前尾繁三郎君。     〔前尾繁三郎君登壇
  31. 前尾繁三郎

    ○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につき、その内容及び地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  最初に、本改正案内容につき、そのおもな点を御説明いたします。  まずその第一は、現行法におきましては国家地方警察の警察官の定員を三万人以内と定めておりますのを、管区警察学校及び警察大学に在校する者は、五千人を限つて定員外に置くことができることにしたことであります。  その第二は、自治体警察の区域内における治安上重大な事案につき、やむを得ない事由があると認めまするときは、都道府県知事がその事案を国家地方警察に処理させるよう、当該都道府県会安委員会要求することができることとしたのであります。  第三は、従来総計九万五千人のわく従つて、個々の自治体警察には警察吏員の定員がきめられていたのでありまするが、今回その総体のわくをはずしますとともに、各自治体の警察職員の定員は、それぞれの市町村が、その地方事情に応じて自由に決定することができるようにしたことであります。  第四は、現在人口五千以上の市街的町村は、市と相並んで自治体警察を維持することになつておりまするが、町村については、住民投票によりまして、警察を維持しないことができ、また一旦維持しないこととした後も、二箇年を経過いたしますならば、再びこれを維持することができる道を開いたことであります。  第五は、現在各警察は、それぞれその管轄区域内で行われた犯罪、その管轄区域内に始まり、または及んだ犯罪についてのみ管轄区域外においてその職権行使が認められているのを改めまして、さらにこれらに関連する犯罪についても管轄区域外に職権を行い得ることとしたことであります。  第六は、現行法では国家地方警察が自治体警察を援助する場合のみを規定しているのでありまするが、自治体警察も、要求があつたときは国家地方警察または他の自治体警察の援助に当ることができることを明定したことであります。  第七は、現在各警察相互間の犯罪に関する情報の交換は、相互協力義務の規定の運用として事実上行われて来たのを、新たに法的に義務づけたことであります。  以上のほか、都道府県及び市町村の公安委員の資格要件を幾分緩和したこと、自治体警察の職員が、国家地方警察の要求により、または国家非常事態布告の場合、その区域外に出動したときに直接いりました費用及びこの場合の職員公務傷病の補償について国庫負担とすることを明らかにしたこと、その他若干の改正が加えられているのであります。  以上が本法案の概略でありまするが、御承知のごとく、現行警察法は、わが国の警察制度を根本的に改革して、警察運営の民主化とその地方分権化とをおもなる目標とする画期的な立法でありまして、昭和二十三年三月施行せられたものでありまするが、その実施後の実績に徴しますると、特に国際情勢や社会情勢の変化に伴い、幾多改正を加える必要が生じておるのであります。従つて、本委員会としましても、特に警察小委員会を設けて、警察制度改正をめぐる諸問題を研究調査して参つたのでありまするが、政府も、現下の治安の実情に即しまして、警察力の強化並びにその運営の能率化を行うため、今回政府案を提出するに至つたのであります。  本改正案は、五月十一日、本委員会に付託となりましたので、翌十二日提案理由説明を聴取し、連日委員会を開いて熱心な質疑応答を行い、その間、五月十七日には法務委員会との連合審査会があり、さらに翌十八日には公聴会を開いて意見を聽取するなど、慎重審議を進めたのであります。委員会並びに連合審査会における質疑応答、公聴会における公述人の意見などは会議録についてごらんを願うことにいたしまして、ここには委員会の論議の主要な論点二、三を御紹介申し上げたいと思います。  まず総括的に論議せられました点は、今次の改正案の趣旨は、自治体警察が諸種の欠陷を現わしていることを理由に、その権限や管轄範囲を縮小し、国家地方警察の権限を強化し、その優位を確立せんとするものではないか、また弱小自体警察の欠陷とされるものの多くは、従来国が当然講ずべき育成を怠つた結果であつて、たとえば財政的裏づけを強化し、または各自治体警察の連絡、指導に当るべき中央機関設置するなど、自治体警察の弱点を糾明し、これを救済する方策がとられるべきではなかつたか等であります。これに対して政府は、警察民主化や地方分権化の根本方針はあくまで堅持しているのであつて、今回の改正も、いたずらに自治体警察を圧迫するものでなく、むしろこれを指導助成する趣旨によるものである、たとえば国家地方警察の自治体警察に対する応援協力の規定を整備し、応援費用を国庫負担とした点などは、国家地方警察の補完的な役割を強めることによつて自治体警察の強化をはかつたものであり、地方財政平衡交付金についても、今後ともその増強に努力するつもりである、ただ警察の地方分権ということについては、そこにおのずから限界があるのであつて、全体としての警察力強化の要請から考えて、あまりにも小規模な自治体警察は、その能率の面から、また経済性の面から非常な欠陷を示しているので、この際住民の意思に基いて国家地方警察に改編することはやむを得ない措置と考える、と答弁しているのであります。その他、警察予備隊と本来の警察との関係、国家地方警察の増員並びにこれに対する予算措置の問題など論議せられたのであります。  次に逐條的な論議で問題とせられましたその一は、第二十條の二に規定せられました都道府県知事の要求権の問題であります。これに対しましては、平素警察法上何らの権限を有しない、従つて情報収集等の下部機構を持たない知事が、いかにして事案の適正な認定をなし得るか、またかような機関に警察官の出動を要求するごとき権限を與えることは、特に要求できる場合の規定が抽象的であるために権限の濫用になりやすく、地方自治体に不当の干渉を加え、その自主性をそこなうごとき結果となりはせぬか等の質疑があつたのであります。政府は、知事の事案認定については、都道府県会安委員会の勧告による場合の規定もあり、しからざる場合も市町村長その他種々の方面から情報を得る道があること、しかも本條のごとき場合はきわめて例外的な場合であつて、事案の性質が広い範囲の治安に影響を及ぼすべき場合で、国家地方警察が出動するほか他に手段なきことを信ずるに足る十分な理由がある場合に限るのであること、なおこの場合の具体的事案を列挙しなかつたのは、かえつてその場合を小さく限定する趣旨であること、知事は公選による民主的機関である上、右の要求を行つたときは、事案の処理終了後、都道府県の議会に報告して、その批判を受けることとなるので、権利の濫用のごときはあり得ないことなどを答弁しているのであります。  第二点としては、第四十條以下の規定で定めた人民投票による自治体警察廃止並びにこれに伴う問題であります。すなわち、その廃止の手続を住民投票によることがはたして必要であるか、町村議会の議決で足りはせぬか、また廃止せられた警察の職員の身分は保障せられるか等が論ぜられたのでありますが、政府は、警察権は自治権の本質的な一部として地方自治団体の固有の事務であるから、その存廃はきわめて重大であり、住民の十分な理解に基き決定されるべき事柄である、従つて住民投票によることが妥当であり、これは憲法原則にもかなうものである。また廃止される警察の職員は全員を国家地方警察の定員に繰入れるものであつて、待遇等も均衡を失しない限り従来のものを尊重する等の点を答弁いたしているのであります。  さらに、人口五千未満で、独立して警察を持ち得ない町村が、共同して、あるいはすでに自治体警察を有する隣接市町村と相結んで組合警察を持つことのごときも、民主警察育成の見地から考慮せらるべきではないかという趣旨の質問があつたのに対しまして、政府は、現在のところ、すべての警察が自治体警察でなければならないとする原則をとつてはいないのであつて国家地方警察と自治体警察とは表裏一体をなして、前者の補完的役割のもとに両者共存するのである、従つて、前者の規模を極度に縮小して、そのよつて立つ基盤を失わせるような改革には、にわかに賛成しかねる旨を答えているのであります。  なお警察費用の問題に関し、特に地方財政平衡交付金における警察費の単価引上げの必要が強調せられたのでありますが、政府は、自治体警察が国家地方警察に移管せられる分については、経費において地方財政平衡交付金から転用しようとする当初の方針がかえられて、そのまま平衡交付金中に保留されることになつたことを明らかにし、この部分を平衡交付金算定上の警察費単価の引上げに充当すべく努力する旨を答弁しておるのであります。  五月二十三日、質疑を終了したのでありますが、国民民主党から次のような修正案が提出せられたのであります。  すなわちその第一点は、人口五千未満の町村で自治体警察をもち得ない町村であつても、市または警察を維持する町村と組合を組織して共同で警察を維持できることとしたこと。  第二点は、改正案中第二十條の二の知事の国家地方警察の出動要求権の行使に関して、都道府県公安委員会の勧告に基くことを必須條件とするよう改めたこと。  第三点は、別に一章を設けて、国家地方警察と自治体警察及び自治体警察相互の連絡の機関として、総理府に委員十人よりなる公安委員中央協議会、都道府県に委員六人よりなる公安委員地方協議会を置くことを規定したことであります。  委員会は、修正案に関する趣旨弁明を聽取した後、修正案並びに原案について討論を行いましたところ、自由党を代表して大泉委員より修正案に反対、原案に賛成国民民主党を代表して床次委員より修正案を含む原案に賛成日本社会党を代表して久保田委員より修正案、原案ともに反対日本共産党を代表して立花委員より同じく修正案、原案ともに反対のそれぞれ討論がありました。ついで採決を行いましたところ、修正案は賛成少数をもつて否決せられ、多数をもつて原案を可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  32. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 本案に対しては、床次徳二君外五名から成規による修正案が提出されております。この際修正案の趣旨弁明を許します。床次徳二君。     〔床武徳二君登壇
  33. 床次徳二

    ○床次徳二君 ただいま提案せられました警察法の一部を改正する法律案に対しまして、私は国民民主党を代表いたしまして修正案を提出いたしますとともに、修正せられました部分を除いた原案には賛成するものであることを明らかにいたしたいと思います。修正案は、すでにお手許に配付せられました議案によつてごらんを願うことといたしまして、朗読を省略させていただきます。簡単に修正案に関する要旨説明申し上げ、あわせて原案に対するわが党の意見を申し上げたいと存じます。  御承知の通り、わが党は、かねてより内外の情勢にかんがみまして、すみやかに国内治安の維持を強化するとともに、わが国の自衛力を確立することを必要と存じまして、これを強調しておりました。なおこの一環といたしまして警察力の整備充実を唱えておるのであります。しかして、わが党の主張するところの警察力の充実は、あくまで警察運営の民主化と、なお地方分権の民主的警察制度を主張し、民主警察の精神を尊重しつつ、その強化、能率化をはからんとするものでありまして、右方針に基きまして、すでに根本的改正案につきまして成案を得ておるのでありまするが、今日この法案の実現をはかることは、会期の都合上困難と考えますので、とりあえず政府の提案せられましたところの案に対しまして、そのおもなる欠陷と認められまする三点に対して修正を加えまして、われわれの主張するところの民主警察の確保、治安強化の一翼に資せんとするものであります。  修正案の第一点につきましては、いわゆる弱小自治体警察の整理によつて警察力を強化するのほかに、自治体警察の統合強化の方策をも追加せんとするものであります。政府の原案によりまするならば、大口五千以上の市街的町村は、その実情にかんがみまして、住民投票によつて自警を廃止することを認めたのであります。これは国警中心の考えであり、またきわめて消極的な方途であると同時に、自治警察の発展をも阻害するおそれが認められまするので、今回修正によりまして、さらに自治警察をより積極的に強化するの道を開かんとするものであります。これがために、現在の自治警察を維持する市町村は、さらに組合組織によりまして、隣接町村と共同して、一層充実したところの、より強化せられた自治体警察を維持することを得るようにしたのでありまして、これによりまして、弱小自治体警察を解消するばかりでなく、また能率化のために民主警察を犠牲とすることなく自治警察の強化を期待し得るものでありまして、かく修正いたしまして初めて国警中心化を避けまして、真に民主警察の増強の案を上げ得るものと確信いたすものであります。  第二点は、治安維持上重要なる事案に関し、知事が都道府県会の公安委員会要求いたしまして、地方警察をして処理せしむることを得るという規定に関する修正であります。かかる処理方法を認めますことは、現下の治安対策といたしまして必要であることを認めるのでありまするが、知事が、まず十分治安に関し責任を有するところの都道府県公安委員会の勧告を受けました後に、一般行政的広い見地に立ちまして、第三者的立場において冷静かつ公平に判断いたしました後に、国警を発動せしむる方がより適切と信ずるものであります。ことに修正によりまして、今後公安委員の連絡協議会等が設置せられますならば、委員会としても一層この趣旨に適応いたしましたところの勧告を行い得ることになるのでありまして、この規定の運営が一層有効適切になることを期待せられておるのであります  修正の第三点は、自治体警察と国家警察の両公物委員の連絡を強化せんとするものであります。今回の改正案では、警察活動の能率の向上ために、各警察相互間に、犯罪情報の交換、関連犯罪に対して管轄区域外における職権の行使、さらに相互援助を認めておるのでありまするが、かんじんの公安委員に関しましては、何ら両者の連絡の機会が認められていないのであります。この際、国家公安委員、都道府県会安委員及び市町村公安委員相互の連絡を円滑ならしめ、治安対策に遺憾なからしむるために、総理府並びに都道府県にそれぞれ公安委員協議会を設けることにいたしたのでありまして、今後公安委員をして従来より一層有効に活動せしめ、治安上大いに寄與せしめることを期待しておるのであります。  修正の点は以上でありますが、この際政府の案に対してわが党の要望を明らかにいたしまして、今後の本法の施行に遺憾なきを期したいと存じます。  第一点は、自治体警察につきましては、政府は地方財政平衡交付金中、標準警察費の単位費船を増額し、もつて運営の改善と質の向上をはかり、真に自治体警察をしてその機能を発揮せしむるに遺憾なきを期せられたいのであります。今回の改正によりまして、十名程度の職員の弱小自治体警察は漸次整理せられることは当然でありますが、元来自治体警察に対しましては、平衡交付金は職員一人当りおよそ十六万二千円でありまして、しかも実際は二十万以上も必要といたしておるのであります。市町村は、自治体警察を維持するために、職員一人当り四、五万円以上の負担をしておるのでありまして、この事実は見のがすことができないと存じます。これに対しまして、国家警察につきましては、地元町村においてはまつたく負担をいたさないばかりでなしに、二十万円以上国庫より支出をいたしておりますことを考えますと、自治体警察と国家警察との間に著しい差別が行われておることを見るのでありまして、これはまことに不合理であると存じます。政府は自治体警察に対しまして、はたして十分な認識を持つておるかどうかということを疑わざるを得ないのであります。今回の改正にあたりましても、往々にして自治体を窮乏に陥れました後に、自治体警察を維持することを不可能ならしめ、しかしてこれを国警に併呑するかのごとき印象を與えることもなきにしもあらずでありまして、今後はすみやかに標準警察費の増額を行いまして、自治体警察をして真に民主警察の特色を発揮することを得せしむるように地方財政平衡交付金の増額を実現すべきものでありまして、これは単に政府答弁のみにとどまらず、その実現に対して十分なる責任を持たれたいのであります。  第二は、今回の改正に伴うところの予算措置をすみやかに実行せられるとともに、地方に対する悪影響を避くるがごとく努めてもらいたいのであります。政府案によりまするならば、自治体警察の国祭警察への移譲に伴いまして経費の増額が予想せられるのでありますが、今日その所要予算の計上がないばかりでなしに、国警の定員増加に対しましても、いまだその財源が確定いたしておらないのであります。かかることは、はなはだ不都合でありまして、すみやかに予算措置を講ぜられる必要があるのであります。なお自治体警察の廃止によつて地方財政平衡交付金を減ずるがごときことは絶対にないことをすでに弁明しておられるのでありますが、今日までの地方財政の運用から見ますると、まことに遺憾の点が少くないことを私ども見ておりますので、あらかじめこれに対しては十分なる注意を喚起いたしますとともに、なお所要の経費に対しましては、すみやかに追加補正予算を提出せられんことを要求するものであります。  第三点は、警察能力の向上ためには、警察職員の質の向上という見地より見まして、国警並びに自警の人事の交流に対しましては、十分今後とも積極的な配意を要望するものであります。  第四点、将来の警察力の向上は、いたずらに人員の増加よりも、警察官の素質の向上と、装備の充実によることに努められなければならないと存ずるのであります。現状より見ますると、この点はなお遺憾の点が少くないことを信ずるのであります。なお今回の改正によるところの定員の配置に関しましては、内外の情勢にかんがみまして実情に沿い、真に遺憾なき配置を実視せられたいのであります。なおその素質の向上と訓練に関しましても一層の努力を要望するのであります。なお自治体警察の職員は、今回の改正に伴いまして国警に移管せられる場合におきましては、一応その身分は保障せられるのでありまするが、なお今後自治体警察として残りまする者に対しましては、あるいは住民投票によりまして、これが国家警察に移るかもしれないという懸念にもさらされておるので、これがために自治体警察の能率の低下が生じないことく常に配意を要望するものであります。  以上、大体わが党の態度を明らかにいたしたのでありまするが、要は、今日の情勢にかんがみまして、すみやかに警察力を増強することにあるのであります。しかも、これが民主的警察の精神を維持し、これを実現するということに要点があると存じます。何とぞ修正案に関しましては、各位の御賛成を要望するのであります。  なおこの際一言申し上げまするが、修正案が御賛同を得られなかつた場合におき幸しては、遺憾ながら政府の原案に対しては反対せざるを得ない立場にあるということを申し添える次第であります。(拍手
  34. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これより討論に入ります。河原伊三郎君。     〔河原伊三郎君登壇
  35. 河原伊三郎

    ○河原伊三郎君 私は自由党を代表して、ただいま議題となつておりまする警察法の一部を改正する法律案に対しまして、国民民主党の修正案に反対し、委員長報告の通り原案に賛成討論を行わんとするものであります。  現行警察法は、終戦後のこんとん時代たる昭和二十三年に制定されたのでありまして、形式的な警察の民主化に重きを置き、警察の機能能率に関する点、社会の実情との調和の点など、重要なる商が閑却されたきらいがありまして、制定の当初から、世論のきびしい批判を受けておつたものであります。近く独立日本が新しく生れようとする今日、三年余の経験、実績にかんがみて本改正案提出を見ましたことは、まことに時宜を得たものというべきであります。  賛成の第一点は、本改正案が、警察民主化の本義にのつとつて、虚心坦懐、すなおに世論に聽従して立案せられておる点であります。すなわち、弱小町村におけるきわめて小規模なる自治警察は、警察機能の点からも、警察職員の進級、栄進という人生観から来る士気の点からも、また町村財政の面からも多大の難点を持つているのでありますが、町村住民の自由意思によつて国家警察へ返上できる道を開き、同時に再設置、新設、いずれも住民の意のままになるようにいたし、さらに市町村各自治体警察全体を通じて定員の制限をまつたく撤廃して、増減ともに当該市町村の自由にまかせることにいたしましたことは、警察の民主化に徹した措置というべきでありまして、大いに賛意を表するゆえんであります。  賛成の第二点は、現行法の最大の欠陷を是正して能率の増進をはかつた点であります。戦後の警察は、戦前の警察に比較して人員は著しく増加されたが、能率は逆にはなはだしく低下した、これがために兇悪犯罪が所在に頻発し、検挙率もすこぶる低いというのが世論であります。これは戦前戦後の社会情勢の変化ということも見のがせないことではありますが、警察の組織をこまかく碎いて、ばらばらに分解し、しかもそれらの自治体警察がおのおの孤立的で、相互の連絡、協調、協力の道がとざされているということが最大の原因をなしていると思われるのであります。本改正案は、この欠陷を拔本的に是正し、相互連絡、相互援助の緊密化をほかり、事情によつては他の警察の領域においても捜査、検挙ができる道を開いたことは、最も適切な改正でありまして、警察活動の活発化、能率の増進上大なる効果をもたらすことを確信するものであります。(拍手)  賛成の第三点は、治安維持上重大な事案について、やむを得ないと認められる場合は、都道府県知事が臨機の手を打つ道を開いたことでありまして、住民の面接投票によつて最も民主的に選ばれた知事、常に県会の監視を受けておる知事にこの権限を持たせることは、治安の実質上にも、住民に與える安全感の上にも、効果の大きい良案と考える次第であります。その他にも若干の改正が加えられていますが、特に指摘するほどのこともない、当然または妥当な改正で、本改正案の全体を通じて原案に賛成するゆえんであります。  なお国民民主党の修正案を不可とする理由を述べますれば、第二十條の二、都道府県知事に関するものは、責任の所在をあいまいにするばかりでなく、いたずらに手続を煩雑にするものでありまして、迅速を要するがごとき事案につきましては、非常なる手落ちを来すおそれなしとしないのでありまして、まつたく有害無益の修正というべきであります。(拍手)中央地方にそれぞれ公安委員協議会なるものを新設せんとすることは、無用の長物をつくる以外の何ものでもないと信ずるのであります。組合警察の設置は、人口稀薄な農村も広く自治体警察に持つて行こうとする考えに立つというべきでありまして、現行警察制度の根本理念と相いれないものであります。すなわち、現行の国家地方警察は、国家警察、地方警察の二つの性格、二つの機能を一つの国家地方警察が持つているものであります。すなわち地方警察は、いわゆるいなか警察で、国家警察の面は臨機応変、機動性を持つて各自治体警察に応援をして、補完の作用をなすという二つの性格を持つておるものでありまして、かようなことは、ひつきようこの国家地方警察の性格またはその妙味を破壊し去る、きわめて有害なる修正意見と申さねばなりません。以上の理由によりまして、国民民主党の修正案には全部反対するものであります。(拍手)  私は、本改正案の無修正成立によつて幾多の欠陷が是正せられ、ここに警察弱体の世評を清算して、生々はつらつ、独立新日本の治安秩序の確保をになつて遺憾なく機能を発揮し、国民の敬愛と信頼を集める、よりよき民主警察の実現を期待いたしまして、重ねて強く原案に賛意を表する次第であります。(拍手
  36. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 門司亮君。     〔門司亮君登壇
  37. 門司亮

    ○門司亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする警察法の一部を改正する法律案並びに国民民主党の提出にかかりまする修正案に対して、反対意見を申し述べるものであります。(拍手)  両案に反対をいたしまする前に、現在の自由党の本問題に関する行政の関係において一言申し上げておきたいと思うのであります。それは大橋法務総裁の現在の地位であります。すなわち、憲法の第四章第四十一條には、明らかに立法の権限を国会に與え、さらに第五章の第六十五條におきましては、行政の権限は内閣にあると規定いたしておるのであります。さらに第六章の第七十六條によつて最高裁判所は司法権を掌握しておる。さらに同第七十七條によりまして、最高裁判所の定める規定に検察官は従わなければならないということが明記してあるのであります。この憲法の三権分立の規定は、明らかに民主政治、行政の基礎であるとわれわれは深く信じて疑わないものであります。しかるに、現法務総裁でありまする大橋君は、一方においてこの司法権を掌握し、一方において警察の行政権に主管大臣としておられます現在の地位に対しまして、憲法解釈上われわれは多大の疑義を持つということを、まず申し上げておかなければならないと思うのであります。(拍手)われわれは、過去数代の間における日本の政治、行政が、ややともいたしまするならばフアシズムの傾向に陷らんといたしておりまするときに、一方において司法権を握り、一方において警察行政権が、たとい法律の上に、おいて指揮命令の権限はないといたしましても、政府に対していろいろな進言をし、さらに企画立案する立場にあるということは、明らかにこの二つの問題を混同したものであるということを申し上げなければならないのであります。従つて自由党のこのフアシズムの性格を遺憾なく現内閣は暴露しておるものであるということを、はつきりと申し上げなければならないと思うのであります。(拍手)私は、かくのごとき見地に立つて、今回提出されておりまするこの警察法一部改正法案の逐條にわたりまして、きわめて簡単ではございまするが申し上げたいと思うのであります。  すなわち、その第十九條に定めておりまする、管区学校並びに警察大学に在掌中の者約五千を、第四條に規定する三万の定員のほかに置くという規定であります。これは警察学校におり、さらに警察大学におりまする者は、明らかなる、きわめて優秀なる警察官であつて、いつ何どきといえども十分出動し得る機能と資格を持つものであるということは、諸君も御承知の通りであります。(拍手)従いまして、この規定は、第四條に規定された三万の定員を、明らかに五千増員するという規定であつて、欺瞞もはなはだしいものであるといわざるを得ないのであります。  さらにその次の第二十條に規定いたしておりまする、知事の、重大なる治安維持ために、公安委員を通じて国警の出動を要請することができるという権限であります。この権限は、事態の内容だけを見ますれば、あるいは妥当性があるかのような形は示しておりまするが、昭和二十二年九月十六日の、マッカーサー元帥から時の内閣総理大臣にあてた警察法改正に対する書簡の内容を見てみまするならば、いかなる事態があるといえども、日本の警察制度を再び中央集権的のような状態にもどしてはならないという意味は、はつきり明記してあるのであります。従いまして、この趣旨と、この要領にのつとつた今日の警察権の行使が——しかも警察に対しまする権限と、さらに十分なる情報を把握いたしまするところの何らの組織の上に立つていないその知事が、きわめて重大なる治安に対して、ただちに国警の出動を命ずるということは、一面知事にきわめて大幅な警察権を付與するのと同じである。すなわち警察権の中央集権化であるということをいわなければならないと思うのであります。それと同時に、いわゆる事案があると考えられておりまする当該自治警察に対し、公安委員会に対し、あるいは首長に対しまして、何らの連絡も、何らの話合いもしないで、ただちに知事の認定によつて国家警察が出動して参りまして、その区域内において権限の行使をするということは、明らかに当該市町村の自治権の侵害であるといわなければならないのであります。今日、日本の真の民主主義の建前というものは、地方自治体の完全なる自主的自律性である。これが日本の民主政治の重要な点であるということは、これまた憲法の九十二條に規定しておる通りであります。しかるに、この自主的自律性が、かくのごとき角度から侵害されるということになつて参りまするならば、この規定は明らかに自治権の干犯であるということを申し上げましても、私は決して過言ではないと思うのであります。  その次に問題になつて参りますものは、四十條の、地方の弱小自治警察を住民の意思によつて国家警察に吸收するという條項であります。この條文は、一見民主的のようにも見えておりまするが、先ほど申し上げましたように、真に日本の民主化をはかろうとし、真に日本の警察行政を民主化することのためには、地方の住民はその責任において治安を確保すべきであるということは、これまたマッカーサーの同書簡の中に明記してある事実であります。こう考えて参りますると、われわれは、この地方におきまする、たとい弱小の自治警察と申しましても、当然これの維持のできない欠陷を指摘いたしまして、これを十分に補足して、いわゆる弱小警察の育成助長がまずなされなければならないと思うのであります。すなわち、多く申されておりますような財政の問題、あるいは犯罪の科学的捜査、あるいは機動性、あるいは住民みずからの責任においてみずからの治安を維持するというこの民意の高揚等に対しましては、何らの処置が今日まで講ぜられていないのであります。しかして、育成助長ということを忘れて、ただ單に弱小であるからこれを国家に吸收する、その手段の一つとして住民投票によるということは、明らかに民主主義の冒涜であるということを考えておるものであります。(拍手)われわれは、かくのごときことに対しましては十分警告を発したいと思うのであります。  さらにその次に書いてありまするものは、いわゆる住民の意思の決定において、地方議会の諸般の情勢と地方的要求に応じて、警察官を適宜に増員あるいは減員することができるという規定が設けてあるのであります。従つて、この條項によつて、現在きめられておりまする九万五千の地方自治体の警察官のわくは、くずれて参るのであります。このことを考えて参りまするならば、現在施行令第二條の別表にありまする警察官の定員を換算して参りまするならば、現在九万五千の自治警察は、明らかに十二万にふえて参るのであります。詳しい数字を申し上げまするならば、三万二千百十一名の増員が当然行われなければならない。そのうちで八大都市に含んでおりまする二方三千が、かりに現状維持として増員をしないといたしましても、八大都市を除く市以上が、かりに現状のままで増員するといたしまするならば、私は明らかに八千名の増員が行われ得ると思うのであります。しかいたしまして、この八千と管区学校その他におりまする五千名が定員外となつて参りまして、双方合せて参りまするならば、約一万三千の警察官が現員十二万五千に加えられて参ると思うのであります。一万三千の警察官が、かりにふえて参るといたしまするならば、ここに警察官一人当り二十万ないし二十三万の費用を計上いたしておりまするので、明らかに三十億内外の予算を必要として参るのであります。(「予算をどうするのだ」と呼ぶ者あり)今回この警察法改正によつて、国、地方を通じ三十億の予算を要求しなければならないということは、これまた国民の血税にまたなければならないということであります。現在ですら、国民は非常に税の電圧に悩んでおりますときに、この警察法の一部改正によつて、国、地方を通じて三十億の予算を要求するということが、はたして妥当であるかどうかということであります。  諸君は、今、予算をどうするかと言つているが、予算をどうするかということは、諸君に聞きたいのであります。自由党諸君に聞きたいのであります。(拍手)われわれは、この予算的処置を伴わない、いたずらなる増員に対しましては、将来の問題といたしましても当然反対をしなければならない。諸君は、架空のと申し上げまするか、予算を伴わない人員の増加を決議するということは、私はきわめて不見識であると考えておるものであります。(拍手)われわれは、この三十億の予算を、あるいは地方財政平衡交付金によつて地方に配付し、あるいは国家予算においてこれをまかなわなければならない具体的処置が講ぜられていないということが、この問題に対しまする一つの大きな反対理由であるということを、十分に知つていただきたい。  さらに、民主党から出て参りましたるこの修正案でありまするが、その中で、私どもがいまだに釈然とし得ざるものは、いわゆる自治警察をこしらえることのために組合警察を組織することができるという違いができます。一方におきましては、地方自治法の二百八十四條によりまするならば、なるほど一部事務組合というものは当然できるのでありますが、今日の自治警察の制度というものは、町村固有の事務とは、われわれにはいまだ考えられないのであります。もしこれを町村固有の事務として事務警察ができるといたしますならば、この原案にありますところの自治警察を国警に委讓するということに非常に大きな矛盾を感ぜざるを得ないのであります。この矛盾に対しましては、何らの解釈がされていないのであります。従つてわれわれは、かくのごとき法案、かくのごときものとの間に十分の了解と十分の解釈の成り立たないような修正案に対しましても、また反対の意思表示をするものであります。  最後に、警察法の一部を改正する法律案政府提出して参つたのでありますが、私は、日本の警察制度に対しましては徹底的の改革を要求し、徹底的の組織の改善をはからなければならないと思うのであります。すなわち警察予備隊と警察との関係、この関係は、いまだに釈然としたものもなければ、はつきりとした法律もない。日本の警察制度を改正し、警察法改正せんとするならば、この警察予備隊と警察との結びつきをはつきりしない限りにおいては、いつまでたつて日本の警察というものが明朗にならないということを、私ははつきり申し上げなければならないのであります。軍隊にほとんどひとしいような性格を持つこの警察予備隊と、純然たる行政警察である現在の警察との関連をいま少しく明確にいたしますると同時に、日本のすべての治安、すべての警察制度を改革することが最も緊急であり、必要であると考えておりますが、政府は、この点に対しては根本的に改革する意思がないということを委員会において表明されておりますが、これは私は、政府としてはきわめて無責任な放言だと考えておるのであります。私どもは、この点を強く要求いたしまして、原案並びに修正案に対して反対の意思表示をするものであります。(拍手
  38. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 立花敏男君、     〔立花敏男君登壇
  39. 立花敏男

    ○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつております警察法改正案並びに修正案に対しまして反対意見を述べんとするものであります。  内外の反動勢力がアジアにおきまして必死になつて途行いたして参りましたのは、日本の再武装であります。吉田内閣は、その忠実な手先として、あらゆる面において日本の再武装を推進して来たのでありますが、しかも彼らがすでに国内においてつくり上げましたところの再武装の成果は、まつたく厖大なものであり、世界の平和を脅かすものであることは、すでに世界周知の事実であります。  昨年十一月、ポーランドのワルソーにおきまして、第二回平和擁護世界大会が開かれましたが、全世界八十三箇国の代表は、国際連合に対しまして、日本再軍備反対の要請を決定いたしております。また本年二月ベルリンにおきまして開かれましたところの世界平和評議会は、日本問題の平和的解決に対する決議を行いました。その中で、現在日本において進行しつつあるところの再軍備に対しまして、鋭く非難の決議をいたしておるのであります。その席上、中国代表郭沫若氏は、日本の再武装につきまして次の具体的な事実を指摘しております。すなわち、戦前日本の正規軍は十七箇師団、二十三万の兵力を有し、当時の警察力は六万五千であつた。現在日本は、正規軍という名称は廃止されたが、そのかわり三種、類の警察力がつくられ、この三種類の警察力の合計は二十万の武装人員である。陸軍のほかに海軍がある。日本の海上保安庁は約三百隻の艦艇を持つている。朝鮮戦争勃発後、マッカーサーは、海上保安庁の人員を八千六百人から一万六千人に増員することを吉田内閣に許可した云々。  日本の再軍備は、今や公然と、全世界の面前においてその正体が暴露され、不在世界の平和を愛する人々の非難の的となりつつあるのであります。しかも吉田内閣は、以上指摘されたような武装勢力のほかに、鉄道公安官の武装、税官吏の武装、また全国数百万に達しますところの消防団に対する防空、防火訓練の実施等々、あらゆるものを、あらゆる名称のもとに再武装の方向に動員しつつあることは、もはやたれ知らぬ者はない事実であります。吉田総理自身が、先般これら一切の武装勢力を統轄するところの、いわゆる治安省の構想を明らかにしているが、これは明らかに日本の国防省の創設を意味するものであります。  警察予備隊が、かつてわれわれが指摘したごとく、実質しまつたく軍隊であることは、ワシントンにおけるマッカーサー自身の証書によつて何よりも明白であります。現在提出されておりまする警察法改正に、警察予備隊の問題が全然含まれていないというこの事実は、警察予備隊が実質上警察でなくして軍隊であるということの完全なる証明にほかならぬのであります。  しかも、現在日本の全土をおおうものは外国の航空基地と航空網であり、さらに全国のほとんどすべての重要港湾が軍事的に使用されつつあり、かつての陸海軍工廠のほとんどすべてが、今や軍需工場として復活されつつあることも、まぎれもない事実であります。吉田内閣によつてでつち上げられたところの日本武装勢力は、アジアに進出して参つたところの外国の巨大な軍事勢力と合しまして、今や明白に世界の平和の脅威となりつつあるのであります。ただいま提案されているところの警察法改正法律案は、この世界平和への脅威をさらに一層拡大し、     ━━━━━━━━━━━━━ ━━以外の何ものでもないのであります。日本の━━━━━━━━の特徴は、民主主義と国際主峯の仮面をかぶつて現われたことであります。今回の警察法改正もまた警察民主化の仮面のもとに提出されておるが、その内容はまつたく反動的、フアツシヨ的である。われわれは断じて賛成することができないのであります。  反対の第一点といたしましては、国家警察五千の増員の問題でありますが、この数字は、実は国民を欺瞞するところの見せかけの数字であります。国家警察の増員はおそらく二万以上に達し、少くとも法律上は無限に増員することができる仕組みになつておるのであります。大橋法務総裁は、この点に関しまして、国警の定員に二種類あることを認めておる。すなわち一つは、三万五千の見せかけの定員であり、他の一つは、無限に増員できるところの、人民に隠された定員であります。自治警察九万五千のわくをはずし、しかもこれを無制限に国警に吸収するのであるから、国警定員が無限に増員することは、けだし当然であります。その結果としまして、世界の民主勢力が日本の警察定員として決定いたしましたところの十二万五千のわくは跡形もなくはずされまして、日本の有する武装警察力は無限に増加し得ることとなるのであります。これこそまさに世界の平和に対する重大なる脅威でなくて何でありましよう。  反対の第二の点は、国家警察を自治警察の上位に置いて、前者は後者を指導し得ることとしたことは、かつての内務省警保局によつて指揮命令されたところの━━━━━━━━━━━━。戦時中の日本が、軍事国家であつたと同時に警察国家であつたことを思い出すならば、今回の改正こそは━━━━━━━━━であると断ぜざるを得ないのであります。  反対の第三点は、かつて戦時中知事が持つておつたところの出兵請求権とまつたく同様の国家警察出動要求権を與えたことであります。知事に対して、かかる独裁的権限を與えることの理由といたしまして、政府は、ある地方においては、警察や公安委員会が住民側についてしまつて手がつけられない、こういうふうな説明をしておるのであります。これこそまさに問うよ落ちず語るに落ちるものであつて、この改正條文が地方住民断圧以外の何ものでもないことを証明しておるものと思うのであります。また知事に対しまして、かかる権限を與えることは、市町村の自主性を侵害するものでありますが、このことは、同時にまた現在の吉田反動内閣のもとにおきましては、地方自治制度すら、もはや成立し得なくなりつつあるということの実証であります。  反対の第四点は、この改正案が何ら予算措置をすることなしに国会を通過せしめられようとしておる点であります。従つて国民は、本案によつて幾百億の増税を負担せねばならぬかは、まつたく知ることができないのであります。このことは、かつて東條軍閥が、国家予算を無視し、人民の負担を無規して厖大な軍隊をつくり上げたやり方と、まつたく同じであります。  最後に注意せねばならぬ点は、政府は本改正案提出と時を同じくいたしまして、昔の特高警察官多数を含むところの戰犯者の大品追放解除を断行せんとしていることであります。このことは、本改正案のねらうところがいかに恐るべきものであるかということを、最も明らかに人民に知らしめるでありましよう。  以上述べましたごとく、政府の企てつつあるところのものは、警察民主化の仮面のもとに、人民新庄のための、また同時に━━━━━━━━━━━━━━━武装警察力増強以外の何ものでもないのでありまして、政府は、この本質をごまかさんがために、いわゆる間接侵略に備えるというデマを飛ばしておりますが、このデマの煙幕のもとに自己の野望を達成せんとしているのであります。ところが、事実はまつたく逆であります。侵略とは一体何でありますか。侵略とは、一国が他国の人民の意思を武力をもつて断圧することであります。(拍手)侵略とは、一国が他の国の主権の自由なる意思決定を武力をもつて抑圧することであります。日本の完全なる自由と独立をはばむものは、ほかでもない、現在すでに日本自身の中に内外反動勢力の手によつてつくり上げられつつあるところの、反人民的な、反民主的な武装勢力そのものであります。アジアの平和と独立を脅かしつつあるものは、わが日本の中につくられつつあるところの、厖大なるフアツシヨ的武装勢力そのものであります。  吉田内閣は、單独講和を結ぶことによつて━━━━━━━━━━━━━━━━祖国日本の独立を脅かすところの日本の再軍備を一層強行せんとしておるが、これは決して日本国民の意思でもなければ、アジア各国民の意思でもないでありまして、日本人民大衆は、単独講和こそは国際條約違反であり、従つて非合法であり、かつまた無効であることを知つております。唯一の正しい、合法的な講和は全面講和のみであることを知つておるのであります。今回政府が反動的改正法案提出したことによりまして、日本人民大衆は、いよいよますます単独講和こそが人民断圧の道であり、日本の植民地化の道であり、━━への道であることを、はつきりと確信するに至つたのであります。現在すでに四百万ないし五百万の勤労大衆が全面講和促進の署名運動に参加しておりますが、この運動は、今後さらに瞭原の火のごとく燃え上るでありましよう。日本共産党は、その先頭に立つて闘うとともに、明らかに単独講和の一環であるところの本改正案に対しましては断固反対せざるを得ないであります。  最後に、民主党の修正案は、本質的にはまつたく原案と同様でありまして、むしろ蛇足の部分が多いと考えまして、遺憾ながら賛成することを得ないのであります。(拍手
  40. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました  これより採決に入ります。まず床次徳二君外三名提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて床次徳二君外三名提出の修正案は否決せられました。  次に原案につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案を原案の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  42. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  43. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、田中角榮君外十六名提出公営住宅法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  44. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました  公営住宅法案議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員会理事内海安吉君。     〔内海安吉君登壇
  46. 内海安吉

    ○内海安吉君 ただいま議題となりました、田中角榮君外十六名提出公営住宅法案につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、本法律案要旨について申し上げます。戰災等に基く異常なる住宅難に対処して、毎年行われております公営住宅の供給に対しましては、建設費の半額が国庫から補助されております。これは單に年々の予算措出置によつて建設されておるので、法律によつて国の住宅政策が確立されてはいなかつたのであります。翻つて諸外国の事例を見ますと、英国におきましては、すでに百年も前に労務者に住宅を供給する法制が確立し、アメリカにおいても、一九三七年の合衆国住宅法により、低家賃公営住宅の供給方策に根拠を與えております。わが国におきましても、特に戦後の困難な住宅問題を解決するためには、国の助成による公営在宅の供給についてすみやかに立法措置を講じ、この方策を恒久的に確立する必要があるのであります。本法案は、以上の観点に立つて、国の補助による公営住宅の建設、補修及び管理に関して規定いたしまして、公営住宅の計画的供給に関する国と地方公共団体との責任及び公営住宅の建設に要する費用の両者の負担の限界を明確にするとともに、公営住宅の管理の適正をはかつたものであります。  その主要なる点は、およそ次の通りであります。すなわち第一に、公営住宅の建設は地方公共団体の責任としていること、第二に、公営住宅を第一種と第二種に区別し、第一種公営住宅は一般の低額所得者、第二種公営住宅は、さらに低額な所得者を対象としていること、第三に、建設大臣は、公営住宅建設三箇年計画を設定して、計画的な公営住宅の建設並びに敷地の取得造成を行い得ること、第四に、災害時に多数の住宅が滅失した場合には、その滅失戸数の三割までは、その地方の公共団体が第二極公営住宅を建設し得ること等であります。  本法律案は、五月十四日建設委員会に付託され、翌十五日、提案者より提案理由説明を求め、引続き質疑を行いました。次に質疑応答のおもなる点について申し上げます。  第一に、厚生省が考慮している生活保護の面からする住宅対策と本法律案との関係いかんとの質疑に対しては、本法律案国民大衆に低廉なる住宅を供給するものであるが、現下の異常なる住宅難に対処して一般の住宅困窮者に貸與されるものであつて、貧困者に対する生活保護の面とはおのずから異なるものがある、建設面は建設省において一本に所管することが官制上も至当であり、さらに住宅政策を強力に推進するゆえんでもある、ただし第二種公営住宅の管理に対する指導監督に関しては、建設省は厚生省と十分協議して運営上遺憾なきを期する旨の答弁がありました。  第二に、公営住宅建設三箇年計画はいかなる範囲において国会承認を得るのか、またこれによつていかなる効果を期待するかという質疑に対しましては、公営住宅建設三箇年計画として国会承認を得るのは、各年度に建設される住宅の戸数及び所要資金であつて、その効果としては、公営住宅の建設並びに敷地の取得または造成をある程度長期の見通しに立つて行い得るという点にある旨の答弁がありました。  第三に、地震又は暴風雨等の災害による場合は五百戸以上、火災による場合は二百戸以上の住宅が喪失した場合に限り、国庫から三分の二の補助を受けて第二種公営住宅を建設し得ることとなつているが、この戸数の区別はいかなる理由により設けたかという質疑に対しましては、地震、暴風雨等は広い範囲に分布するため五百戸とし、火災は比較的小範囲に集中するため二百戸として、その間の均衡をはかつた旨の答弁がございました。  かくて、討論を省略して採決に入り、多数をもつて法律案は原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。
  47. 岩本信行

    ○副議長 (岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  48. 岩本信行

    ○副議長 (岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)  明二十五日は定刻より特に本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会