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1951-05-21 第10回国会 衆議院 本会議 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十一日(月曜日)  議事日程 第三十六号     午後一時開議  第一 教育公務員特例法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第二 森林法案野原正勝君外八十七名提出)  第三 森林法施行法案野原正勝君外八十七名提出)  第四 農漁業協同組合再建整備法の一部を改正する法律案野原正勝君外二名提出)  第五 畜犬競技法案原田雪松君外百二十二名提出)  第六 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出参議院送付)  第七 官庁営繕法案内藤隆君外十五君提出)  第八 検疫法案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  統計委員会委員長任命につき同意の件  日程第一 教育公務員特例法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第二 森林法案野原正勝君外八十七名提出)  日程第三 森林法施行法案野原正勝君外八十七名提出)  日程第四 農漁業協同組合再建整備法の一部を改正する法律案野原正勝君外二名提出)  日程第五 畜犬競技法案原田雪松君外百二十二名提出)  日程第六 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出参議院送付)  日程第七 官庁営繕法案内藤隆君外十五名提出)  日程第八 検疫法案内閣提出)     午後一時五十七分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 御報告いたします。皇太后陛下崩御あらせられましたについて、一昨十九日御決議になりました弔詞は、同日議長が皇居に参内、田島宮内庁長官を経て奉呈いたしましたところ、天皇陛下におかせられましては、衆議院において深厚なる弔意を表したことに対し深く感謝せられ、議長よりよろしく謝意を伝えるようにとのありがたきお言葉を賜わりました旨、同長官からお話がございました。(拍手)      ————◇—————
  4. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。内閣から、統計委員会委員長大内兵衛君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて同意を與えるに決しました。      ————◇—————
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、教育公務員特例法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。文部委員会理事岡延右エ門君。     〔岡延右エ門登壇
  7. 岡延右エ門

    岡延右エ門君 ただいま議題となりました教育公務員特例法の一部を改正する法律案につきまして、本案の概要並びに文部委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。  まず本案内容を大略御説明申し上げますると、その第一は、地方公務員たる教育公務員等の任免、分限、懲戒、服務、給與その他の身分取扱いに関する事項について必要なる改正を行い、第二に、新たに社会教育主事等教育公務員またはこれに準ずる職員として取扱うことにしているものであります。第三には、大学管理機関が行いまする職員の転任、降任等事前審査方法についてその適正化をはかり、第四は、大学以外の学校の校長、教員について、特に必要があると認める場合には、結核療養期間を満三箇年まで延長できるように規定しているのであります。第五は、昭和二十七年十月三十一日までの間、都道府県または当該都道府県内の地方公共団体設置する学校職員は、すべて相互に給與勤務時間その他の勤務條件に関して都道府県当局と交渉するための団体を結成し、またはこれに加入することができるようにしたこと、その他若干の規定について整備を加えだものであります。以上が参議院送付案大要であります。  次に、審議経過について申し上げます。本案は、去る一月二十九日、予備審査のために本委員会付託せられ、三月二十四日、本付託となり、熱心なる審議を重れましたる後、自由党の私から本案に対する修正の動議が提出せられました。この修正案簡單に御紹介申し上げますと、第一には、第十四條第一項但書の中に「予算の範囲内において、」という一項目を挿入し、地方財政への不当なる圧迫を避けようとするものであります。第二は、附則第四項から第八項までの職員団体に関する規定を削除し、もつて職員団体運営を円滑にしようとするものでありまして、政府原案にもどしたものであります。  かくて、右修正案に対する質疑省略し、討論に入りましたるところ、自由党を代表して私が賛成討論を行い、次いで国民民主党を代表して小林信一君、社会党を代表して松本七郎君、口書本共産党を代表して渡部義通君の三人が、それぞれの立場より反対討論を行われました。  次に、修正案について採決の結果、起立多数をもつて可決せられ、さらに修正部分を除く原案について採決の結果、これまた起立多数をもつて可決せられました。結局、本案修正議決せられたのであります。  右御報告申し上げます。
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通りに決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、森林法案日程第三、森林法施行法案日程第四、農漁業協同組合再建整備法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員会理事野原正勝君。     〔野原正勝登壇
  11. 野原正勝

    野原正勝君 ただいま議題となりました、野原正勝外八十七名提出森林法案、同森林法麺行法案並びに野原正勝外二名提出農漁業協同組合再建整備法の一部を改正する法律案の三法案につきまして、農林委員会におきまする審議経過並びに結果の大要を御報告いたします。  まず森林法案から御報告いたします。  わが国森林資源ば、敗戦による領土喪失の結果、面積において約四割、蓄積において三割の減少をいたしました上に、木材その他林産物需要は、戦後の復旧資材を初め、建築用材パルプ用材、さらに最近における特需用をも含めまして、ますます増大の傾向をたどり、生長量をはるかに凌駕する過伐となりまして、森林の蓄積は日一日と減耗しつつある状態であります。他方、造林の状況を見まするに、戦後の混乱とインフレーシヨンの悪影響等によりまして、植栽は一向に進捗せず、伐採跡地造林未済面積は年々拡大いたしまして、今日すでに百四十万町歩にも上つておるのであります。  以上申しましたような濫伐並びに植伐不均衡の結果、森林資源は今や洞渇の危機に瀕しておるのでありまして、最近累年の恐るべき水害の原因をなしておると考えられるのであります。従つて、かかる状態をこのまま放置いたしますならば、林産物需給の不均衡はますますはなはだしくなり、国民の日常生活を圧迫するのみならず、電力、パルプ炭鉱業等工業生産にも多大の悪影響を與え、国土保全上ゆゆしき事態を招来するおそれあり、農業その他あらゆる産業国民経済に甚大なる障害となる心配があるのであります。  かかる点にかんがみまして、政府においても、終戦以来、造林五箇年計画実施治山事業強化等、諸対策を講じ、さらに造林臨時措置法実施による造林の励行をもはかつてつたのでありますが、最近特に自立経済計画の確立の要請がますます加わつて参りました実情に照しまして、この際さらに百尺竿頭一歩を進めまして、現行森林法を全面的に再検討いたしまして、これを根本的に改正し、森林施業の改善、合理的伐採実施奥地林分開発等措置を講じまするとともに、特に幼壯叢林保護をはかりまして、森林資源の保続、培養と、森林生産力の発展を期しまして、現下の切実なる要請にこたえる必要があるのであります。  以上が本改正案提出理由でありますが、次にその内容につきまして重要な点を申上げたいと思います。  本改正案は、八章、二百十五條からなる浩瀚なものでありまして、前に申し上げましたごとく、現行法に根本的な改正を加えたものでありますが、現行法に比較いたしまして特に顕著な相違点が二点ございます。  第一の点は、営林のための従来の施業案の制度を改めまして、国の責任のもとに行政庁において森林計画を編成実施し、森林施業の基準を示しまするとともに、その責任の所在を明らかにしたことであります。すなわち森林計画は、森林基本計画森林施業計画及び森林実施計画の三段階にわかち、森林基本計画は、主として小流城別に定められた区域ごとに、国有林民有林を涌じて農林大臣が五年を一期として定め、森林施業計画及び森林実施計画は、森林基本計画に基いて、都道府県知事森林区ごとに、施業計画は五年を一期とし、実施計画は毎年これを定めることといたしております。元来、森林計画主眼点造林の促進と伐採合理化にありますので、森林実施計画におきまして、森林所有者ごと人工植栽による造林計画を定めて、これを義務づけるのであります。また伐採につきましては、森林制限林普通林自家用林及び特用林の四種にわかちまして、自家用林及び特用林に対しましては、立木の伐採は自由であります。普通林も適正伐期齢級以上の立木は、單に届出だけによつて伐採を許すのでありますが、ただ普通林幼壯齢林及び制限林立木伐採につきましては許可制度といたしまして、毎年の生長量を基準として、その伐採許容量森林計画で定めんとするものであります。第二の点は森林組合についてでありますが、現行法によりまする強制加入制度を改めまして、加入脱退を自由にいたしまするとともに、主として林業に関する共同施設を行う協同組織組合といたしまして民主的な運営を期したことであります。なお組合再建整備法改正を行いまして、森林組合につきましても、一般農漁業協同組合と同様に、増資奨励金及び固定化資金利子補給等をはかりまして、これが健全なる発達を期しておりますることは、後ほどあらためて御報告いたします。  本法案は、去る十七日付託と相なり、十八日、不肖私が提案者を代表して提案理由を説明いたしました後、引続いてその大要を御説明したのであります。続いて質疑に入りましたところ、自由党の平野、小笠原両委員民主党大森玉木委員からそれぞれ発言がございまして、各委員とも提案者でございまするので、主として本法案実施上留意を要する諸点並びに一般林政との関係政府当局にただすことを目的としたのであります。  発言の主要な点を申し上げますると、改正森林法施行以前に濫伐が行われるような心配はないか、あるいはまた民有林関係指導機関が不十分であるから、国有林の方から技術的援助を與える必要はないか、林産物の消費について利用の合理化をはかるべきであると思うが、政府はそのいかなる用意があるか、また自立経済のために、ここ数年間は必要やむを得ない需要についてはこれを充足するようにする必要があると思うが、それに対して本法案の眼目であるところの伐採合理化に関していかなる調節をする考えであるか、あるいは森林の保育、培養上最も必要な造林について、電力事業、あるいはパルプ工業等森林享受者の投資を勧奨する必要があると思うがどうか、あるいは林産物需給状況見通しいかん森林組合育成のため予算を計上して、専従の従業員を置くべきではないか、開拓政策森林政策と競合があるが、これをどう調整するかというような、これらの観点に対しましての質問であつたのであります。  これに対しまして、主として政府委員より発言があり、また私からも補足的な説明を加えたのでありますが、第一の濫伐の点につきましては、本改正法が成立いたしますれば、八月一日から伐採について届出制をとつて調節をする、第二の民有林に対する技術指導につきましては、今後は民有林国有林技術者の交流を行つて技術指導をはかりたい、第三の利用の合理化については、研究機関の拡充を計画して予算の折衝中である、第四の点につきましては、自立経済達成のために必要な木材需要はなるべく満たしたい、そのため改正案第十六條に、二割以内において許容限度を越える増伐を認めておるほかに、今後さらに伐採余裕数量を検討して調節をはかりたい、第五に、森林享受者に対する投資励奨は同感であるから、協力を求める措置を講じたい、また第六の需給状況につきましては、配付資料について詳細な説明がなされたのであります。第七の森林組合保護育成につきましては、極力健全な発達を期するよう努力する方針である旨の答弁があり、第八の開拓政策森林政策との競合については、その調節に努めるとともに、開拓用地として買收せられました未墾地につきまして、いまなお開拓されていないものの中で、山林に還元するを適当と認めるものは地目変換行つて、元の所有者に還元させる措置を講じたい旨の答弁があつたのであります。  なお炭鉱業関係業者から、本改正案について、幼壮齢林伐採合理化実施されれば坑木の不足をもたらし、ひいては採炭に支障を来すようなことはないかという陳情もあつたのでありまするが、本法律案におきましては、坑木適材のごとき幼壯齢林伐採をいたずらに制限するものではないのでありまして、所要の坑木の生産はあくまでもこれを確保せんとするものであります。そのため、自立経済達成のため必要なものに対しましては、この必要に応じ何らかの措置を考慮せらるべきものと考える次第であります。  本法案は、共産党を除く各派の共同提案でありまして、提出者委員内容を十分了承いたしまして、各委員とも異論はありませんので同日質疑終了後、討論を省略、ただちに採決いたしましたところ、全会一致をもちまして原案の通り可決すべきものと決しました。  次に、森林法施行法案について御報告いたします。  ただいま御報告いたしましたごとく、現行森林法全面的改正を行いましたるため現行法が廃止になりますので、新法施行の際におきまする経過的諸規定を設けますとともに、関係法律中に所要の改正を加えまして、新法の円滑な実施をはかることとしたのであります。これが本改正案提出理由でございます。  次にその内容について申し上げますと、主要な点が二つあるのであります。その第一点は現在の森林組合は、定款変更の手続によりまして新しい組合に移行できることでありまするが、その際、旧法による旧組合の定款の変更手続と、新法による新組合定款変更手続との双方の條件を備える議決方法によることとし、さらに組織変更行政庁の認可を受け、登記をすることを必要とするのであります。第二の点は、森林計画実施によりまして幼壮齢林伐採の制限を受けました森林所有者に対しまして資金融通の道を開いたことであります。すなわち、さきに本国会を通過いたしました農林漁業資金融通法の一部を改正いたしまして、同特別会計から、年利平均四分、貸付期間二十五年以内の長期低利資金が、いわゆる伐採調整資金として融通されることといたしたのであります。  本法案は、さきに御報告いたしました森林法案とともに十七日付託と祖なり、翌十八日、提出者を代表いたしまして私が提案理由並びに内容の大綱を説明いたしました後、森林法と一括して議題に供したのでありまするが、本法案は、御承知のごとく、改正森林法案施行に伴う経過的諸規定に関するものでございまする上に、森林法案と同様、共産党を除く各派の共同提案でありまして、大部分の委員がこの内容を十分に承知しておりますので、格別の発言もなかつたのであります。  次いで、異議がありませんので、討論を省略、採決たしましたところ、これまた総員の賛成を得まして原案通り可決すべきものと決したのであります。  次に、農漁業協同組合再建整備法の一部を改正する法律案につきまして御報告いたします。  休会前の国会におきまして、内閣より提出せられました農漁業協同組合再建整備法が成立し、農漁業協同組合再建整備法律によつて指定したことは御承知のごとくであります。その際私から、森林組合に対する再建計画が除外せられたことは、はなはだ片手落ちの措置であることを指摘しておつたのでありますが、今回同法の一部改正によりまして、その欠陷を是正することと相なつた次第であります。そもそも現下最大の課題である森林復興のため、治山治水の全きを期する上において、民有林所有者協同組織である森林組合整備強化をはかることが必要であることはもちろんでありまするが、戦時戦後を通じ、木炭供出等に関連しまして、逐次組合経理内容は悪化して参りまして、最近森林組合、同連合会を通ずる要出資額は約十一億円、債権の固定化額は八億円にも及んでおりますが、零細な山の所有者たる組合員の自力をもつてしては、再建はとうていおぼつかなく、ひいてはこれがわが国森林復興を阻害することは明らかであります。森林法全面的改正によりまして、組合の性格に一大転換が行われようとしておりまする現在、その財政的基礎を確立しておきますることは、今後における組合使命達成上重要なる案件と申すべきでありますので、この際農漁業協同組合法の適用を森林組合へも拡大いたし、そのために二十六年度中に農林漁業組合に対し、増資奨励金及び固定化資金利子補給金として支出される予備金の額を、六億五千万円より七億円に増額しようとするのが、本法案趣旨内容であります。  五月十五日、私より提案理由の説明を行い、簡單な質疑が行われまして、十八日、対論を省略、ただちに採決いたしましたところ、総員をもつて本案はこれを可決すべきものと決した次第であります。  以上三つの法律案は、林業振興上関連する緊要なるものでありまして、日本林業百年の大計はここに定まるのであります。いまさら私が申し上げるまでもなく、産業経済、文化の基盤をなすものは森林であり、森林復興なくして祖国の再建はないのであります。しかるに、わが国森林は、すでに昔日の面影もなく荒れ果てて、恐るべき水害の原因となり、一面過伐、濫伐は依然として強行されておる状態であります。従つて、もしも今までのごとき放任主義をもつてするならば、今後三十年を出でずして国内全山まる裸となるのおそれさえあるのであります。ここに本法を制定し、全国五百万森林所有者各位の御奮起を願い、その御協力を期待するとともに、特に政府に対し、従来の消極的態度を改め、森業振興のため積極的施策の断行を強く要請する次第であります。すなわち、造林五箇年計画、治山五箇年計画、林道五箇年計画、以上三つの五箇年計画は必ず実行してもらわないと、森林法は一片の空文に終つてしまうのでありますから、政府責任をもつて御実行願いたいのであります。  次に、林産物利用合理化を促進するため、林産科学研究等積極的施策を講じてもらいたいことであります。  次に林業税制改正であります。林業特殊性を無視した税制は、林業の振興をはばむ最大の原因と考えられるのでありますから、ただちに改正に着手していただきたいのであります。  その他要望の事項は山のごとくありますが、以上の五点は特に重要と考えられますので、これらの予算化あるいは立法化に対し、諸君の御協力を望む次第であります。  森林復興仕事たるや、一朝一夕の仕事ではありません。文字通り国家百年の大計であり、政党政派を超越した、実に民族的使命であります。幸いにして国土緑化国民運動全国に展開せられつつあるとき、共産党を除く各党の熱心なる御支援のもとに森林法制定の運びと相なりましたことは、国家再建のため、まことに御同慶にたえざる次第であります。本法案の成立により、森林復興に対する国民的機運ますます高揚せられ、国土緑化の実現期して待つべきものあると確信する次第であります。国敗れて山河あり、われらの紀国日本をして輸したたる美林をもつておおわしむるため、一段の御協力をこいねがう次第であります。  以上をもつて報告といたします。(拍手)
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。深澤義守君。     〔深澤義守登壇
  13. 深澤義守

    深澤義守君 ただいま上程となりました森林法案及び森林法施行法案自由党民主党及び社会党諸君までが賛成された議員提出法案でありますが、日本共産党は、これに対して反対であります。  第一に、日本山林農地、海面とともに日本産業基礎であることは申すまでもございません。この基礎産業が、明治維新以来、半封建的な地主勢力支配することによつて、広汎なる農山村民山林労働者奴隷的状態に置かれたのであります。このような経済的基礎の上に立つて日本帝国主義侵略勢力一大支柱であつたこともまた間違いない事実でございまして、従つてポツダム宣言に基くところの民主的、平和的日本建設のためには、この半封建的山林地主勢力を排除いたしまして、山林を開放し、農山村民山林労働者開拓農民等の民主的な経営にゆだねることが当然の義務であつたのであります。しかるに、日本歴代政府は、全国農民及び山林労働者山林開放の要求を無視いたしまして、山林地主の擁護に汲々として今日に至つたのであります。本法案は、これを裏づけるものでありまして、官僚統制のもとに大山林所有者保護育成を意図するものであることは明らかであります。  本法案規定されておるところの森林基本計画、すなわち官僚大山林所有者の包合せる審議会によつて決定された森林基本計画によるところの伐採制限造林義務強制は、資金の乏しい中小山林所有者の手から大山林所有者の手に山林を集中する結果になるのであります。大山林所有者によるところの全日本山林支配が強化される一方、本法案実施によりまして、里山伐採が不可能となり、伐採事業奥地山林に移行されるのであります。奥地山林伐採によりますところの資本は、大資本を要する結果となります。その結果といたしまして、パルプ資本特需軍需独占資本が、国家権力保護のもとに奥地山林支配することは明らかであります。その結果といたしまして、農山村民山林労働者に多くの失業者を出すとともに、低賃金が強制されることもまた明らかであります。これは明らかに日本民主化に逆行するものでありまして、われわれは断じて反対せざるを得ないのであります。  第二に、本法案によるところの伐採制限の結果は、著しく伐採量が減少するのであります。それと同時に、特需軍需方面に優先的に振り向けられる結果、平和的な需要に対しては、はなはだしい圧迫が加えられる。建築用材あるいは復興用材薪炭等の価格が著しく高騰いたしまして、国民生活圧迫せられるところの結果となるのであります。これが第二の反対理由であります。  第三点は、本法案実施の結果といたしまして、農地改革によつて開墾地あるいは開墾可能地に指定された土地が、木竹の集団的な生育に供せられる土地という森林定義、または保安林の指定あるいは使用権の設定、土地収用法適用等規定濫用によつて開墾が不可能となることは必至であります。終戦以来、困苦欠乏に耐えまして、いまなお苦難の途上をたどるところの全国開拓農民にとつては、きわめて重大な問題であると同時に、従来農山村民の保有しておりましたところの切りかえ畑、あるいは落葉、下草、あるいは枯木、枯枝採取慣行等も、またこの濫用によつて制限される危險が多分にあるのであります。このような理由からいたしましてわれわれは第三の反対理由とするのであります。  第四に、本法案によつて結成されるところの森林組合及び連合会は、旧来の山林地主支配するところの生産関係を何ら変革することなく結成されるのでありますから、その結果は大山林所有者山林資本家独占支配再建し、農山村民及び山林労働者を従来の奴隷的状態から解放するものではなくして、ますますこの状態を劣悪なものにするという結果になりまして、これこそ反民主的支配の確立以外の何ものでもないのであります。(拍手)  第五には、最も決定的な問題は、本法案が、いわゆる日米経済協力の名において、米国への隷属政策の一環であるということを私は指摘しなければなりません。もちろん日本山林の荒廃は、治山、治水の上から重要視しなければなりません。また日本森林資源の枯渇は憂うべき問題であることも当然であります。しかしわれわれは、その原因が那辺にあつたかということを明確に知る必要があるのであります。それは日本帝国主義の侵略戦争によるところの濫伐がその原因であつたことは、皆様すでに御承知であります。そうして、その当時利益を得たのは、統制会社に巣食つたところの官僚と、山林地主と、悪質業者であり、犠牲になつたのは、入会権を蹂躙され、その上徴用的労働と低賃金を強制されたところの地元農山村民であつたことは明らかであります。資源の枯渇は、アメリカ空軍の爆撃によつて焦土と化したわが日本の大中小都市の復興に未曽有の用材の必要を生じたためでありまして、近くはこれに加えるに朝鮮戦争によるところの特需の発注に基くものでありまして、日本治山治水のもとである山林の荒廃と森林資源の枯渇はすべて戦争の結果であつたということは、何人も否定することのできない事実であります。従つてわれわれは一国際帝国主義の極東における————日本となるための單独講和と、再軍備による——を確立するための政策から割出されましたところのこの森林政策では問題は解決しないというのであります。特に軍需資材としての針葉樹は、国際帝国主義陣営の支配圏には少く、特にアジアにおいては、台湾を除いては、日本よりほかにないのであります。自由党諸君が、山林所有者や材木業者の任意的経営にゆだねるところの、自由主義経済に逆行する官僚統制をあえて実施せざるを得ない根拠がここにあるのであります。これは国際帝国主義の要請に基くものであるということは明らかであります。(拍手)われわれは、国費を単独講和と再軍備の——に費やすことをやめて、日本山林農山村民山林労働者に開放して、国費によるところの保護育成をはかることが必要であることを力説するものであります。日本山林資源を戦争準備に使うことをやめて、平和的な人民の住宅建設のためと、平和的再建のために使う方針を確立し、これを実行することのみが、この問題解決の唯一の道であることを主張いたしまして、反対討論にかえるわけであります。(拍手
  14. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告通りに決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第五、畜犬競技法案日程第六、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員会理事原田雪松君。     〔原田雪松登壇
  17. 原田雪松

    原田雪松君 ただいま議題となりました、原田雪松外百二十二名提出にかかる畜犬競技法案並びに内閣提出参議院送付地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件につきまして、農林委員会におきまする審議経過並びに結果の大要を御報告いたします。  まず畜犬競技法案より御報告申し上げます。  この法律案の目的としますところは、いわゆる犬券を発売して犬の競技を行わしめ、上げた收入の一部を充当することによりまして、畜犬その他の中小動物に関する国家並びに地方公共団体の積極的な施策を推進し、あわせて一方では地方財政の改善に貢献し、文化的、社会的ないしは産業的目的の達成に寄與することが大きな眼目とするところであります。  以下、法案内容簡單説明いたしますと、まず畜犬競技の施行者は都道府県とされておりますが、要はその議会の議決があり、同時に農林大臣の認可があつたときには、各都道府県ごとに設立される、民法第三十四條の公益法人である畜犬改良会に実施を委任することができるようになつております。  また畜犬競技場の開設に対する制限でありまするが、これは原則として都道府県に一箇所、例外的に二箇所ということに相なつております。  次に畜犬改良会は、全国組織として畜犬改良クラブを設立することになつており、競技場、指導師、出場犬はこのクラブへ登録され、このクラブを通じて、これらに所要の規正、教育、訓練を加えることになつております。  次に控除率は二五%以内とし、競技の施行者は、この收入の中からまず百分の三を国庫に納入し、政府はこの納付金の中から畜犬の改良増殖、犬の伝染病の予防、その他家畜の衛生向上、動物愛護、作業犬の指導、天然記念動物の保存、輸出の振興、血統及び能力の登録事業、わが国在来の特殊犬や観賞鶏等の性能保存などに必要なる経費を支弁することになつております。  さらに畜犬競技の施行者は、百分の二十五以内の收入金額の中から、さきにあげました国庫納付金と競技開催費を差引いた残りの中から、その残額の四分の一以上の金額を、政府と同様、動物関係の経費に充当させるように規定せられております。  最後に、本法律案は、去る五月十五日委員会付託となり、五月十六日、提案者の不肖私より提案の趣旨内容説明をいたし、ただちに審議に入つたのでありますが、自由党河野謙三君の要求によりまして、十八日、国家公安委員長辻二郎君の出席を求め、競馬、競輪、畜犬競技等と治安との関係について意見を聽取したのでありますが、辻公安委員長説明の要旨は昨年までの競輪は著しく治安を混乱し、他の競技に比較にならぬほど犯罪を誘発し、警察力にかなりの負担を與えたが、現在では大したこともなく、目下その成行きを静観中である、畜犬競技は、米、英、仏等の例に徴しても、さほど治安を乱すものとは考えない、警察犬などの改良に役立つ等の利点もあるのであるから、畜犬競技が実施されることになれば、運営の面で治安の維持に注意されることが望ましい、ということでありました。  かくして、同日討論省略して採決いたしましたところ、多数をもつて可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件に関し御報告いたします。  御承知ごとく、最近わが国貿易はますます拡張せられ、これに伴いまして、農林水産物製品の輸出もまた日を追うて増加しつつあるのであります。政府におきましても、これら輸出品の声価の向上と品質の改善をはかりまして、貿易の健全な発達を期する必要がありますので、昭和二十四年以降、輸出品取締法に基き、東京に輸出食料品検査所を、小樽、横浜、静岡、神戸及び門司の玉箇所に出張所または支所を設置いたし、輸出品の検査を実施いたして参つたのであります。しかるに、長崎地方はカン詰及び乾製水産物の生産地であり、特にいわしカン詰の生産につきましては、本年は本邦第一位に上るものと見込まれておりまして、これら生産品は今後ますます英国、アメリカ及び南方諸地域に多量輸出されることが予想されておりますのに、現在同地には検査機関がありません。必要のたびごとに門司の出張所から出張検査をいたしておる状態で、検査実施の上に多大の不便がありますのみならず、輸出振興上にも支障がございますので、この際長崎に出張所設置いたしたいというのが、本案提出理由でございます。  本件は、去る十四日、予備審査のため送付となり、次いで参議院を通過いたしまして、去る十六日、本委員会付託せられたのであります。同日、島村政務次官より提案理由説明を聽取の上、質疑を行いましたところ、自由党宇野委員共産党横田委員より、今回新たに長崎に出張所設置いたさせなければならない理由、海外へのわが国食料品輸出に対する批判並びに検査の実施状況等に関し発言がございましたが、詳細は速記録に譲りたいと存じます。  以上の質疑並びに提案理由説明によりまして、本案件の趣旨、内容とも明らかとなり、またこれが実施に伴う予算措置も完了いたしておりまして、各党とも異論がありませんので、討論省略して採決いたしましたところ、全員をもつで原案通り承認を與うべきものと議決いたしました。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。横田甚太郎君。     〔横田甚太郎君登壇
  19. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君 畜犬競技法案に対する反対討論をいたします。  犬をけしかけて寺銭をかせいでもらう。宝くじが売れなくなつたので、犬にまで手伝つてもらつて、ばくちの奨励をやつておる。よくもこのような法案を出して、自由党の多数がはずかしくないものだと私は感心しております。自由党の一部の議員は、こういうことを言つております、競輪をやつておるのだから、犬の方はあいきようがあつてよいだろうと、こう言つておるのであります。その競輪自体が問題であるということを考えてもらいたい。御存じのように、競輪場の開設、経営をめぐつて暴露された官公吏、あるいは地方財界、業界ボスから、中央政界にまで及ぶ不正腐敗事件、またレースのやおちようをめぐる不逞ボス、これに結びついた極右団体の跳梁、あるいは選手の腐敗等は、実にたくさんあります。宇都宮あるいは鳴尾競輪等に見られる放火、殺傷事件、これに対する警官の発砲騒ぎ、あるいは多数の検束騒ぎから引起された社会不安、最近頽廃的な映画の輸入や、これに刺激された淫猥な映画、演劇、小説の氾濫、ビンゴと称する賭博遊技の流行と相まつて、これが国民の健全な文化生活に與える恐るべぎ悪影響は、単に家庭生活の破壊にとどまらず、民主、独立日本の将来に重大な実悪となるものであることは、公知の事実であります。この実情は、まつたく————な様相を呈しているのであります。—————————のとらの子であるところのピストルを持つた巡査が、競輪場で何回人騒がせな大騒動をやつて、新聞のごやつかいになつたかを思い起してみるがよろしい。  提案の説明理由に、今回畜犬その他の中小動物に関する国、地方公共団体の積極的な施策を推進し、あわせて地方財政を改善する目的をもちましてまた畜犬競技の収入の一部を充当することによりまして、次のような文化的、社会的、経済的ないしは産業的目的達成に積極的に寄與することが本法案の大きな眼目とするところでありますと、こういうふうにうたつておるのであります。ところが、犬のばくちで、どのくらい一体かせがせるつもりか。また犬がばくちで引出せる財源があるならば、税制をやりがえるべきであつて、ばくちで、ちよろまかしてとるがごときは、これは政治ではないのでありまして、これは本筋と離れたぺてんであります。これがとれるところから税金をとらずに、享楽階級のために金をたくさん残しておいて、———     ————————————— 自由党の端的な本質の現われなんです。だから、ほろ酔い列車、温泉行の列車を走らせたり、亨楽、——のために列車を走らせるが、六三電車はそのままで     ————————————— 自由党の端的な本質の現われなんです。だから、ほろ酔い列車、温泉行の列車を走らせたり、亨楽、——のために列車を走らせるが、六三電車はそのままでておる罪悪の現われなんです。(拍手地方財政の改善は税法でやるべきであつて、犬のばくちでやるべきではないということを、自由党の多数ははつきりと覚えておいていただきたい。それから堂々と税金がとれるのであるならば、またとれるべきものがあつて、財源の見込みがつくのであるならば、税制を改革すべきであるということを考えていただきたい。  提案には、さらにこういうことがうたつてあります。獣医関係者もこんなところに就職口を求められるところにいいところがある、こう書いてあるのであります。ところが、こんなところに就職口を求めるべきではないのでありまして、獣を扱うところの、こういうふうな人たちは、日本農業構造の中に就職口を求めることによつて、働く人たちに肉、卵あるいは乳を保障することができるのであります。こういうような、ばくち稼業の中に求めるということは、新宿のボスを再び村にこしらえることであつて、暗黒政治以外の何ものでもないのであります。(「その通り拍手)     〔議長退席、副議長着席〕  このようなことをやつておりながら、しかもこれが文化国家たるの実をあげるのに貢献すると、こういうふうにうたつているのであります。これは実に厚顔無恥であります。公認ばくちの種類が多くないと、皆さんは文化国家でないと思つているのか。自由党の文化国家とはこんなものでありますか。町には————————————         ————— がたくさんおつて、横浜へ行つて見て来たらいい。——————     ————————————— がたくさんおつて、横浜へ行つて見て来たらいい。——————画にしたつて、ソビエト映画を見せずに、アメリカの映画ばかり見せている。アメリカの映画にも、たまにいいのはあるが、一ぺん銀座や新宿や浅草へ行つて見ると、そこにはピストルを持つたアメリカのギャングが、牛をとつたり、あるいは牛を飼つている人をごまかしだり殺したり、それ以外に、ありとあらゆる悪虐なことをやつている。殺傷以外の何ものでもない。そんなことをやつて、一生懸命に日本の文化国家の体面を償おうと思つている。われわれは、われわれの文化を持つているのであつて、アメリカ人にこびた、—————————————————を日本が模倣して行く必要はないのだと思うのであります。  こういうふうなことをやつておりながら、これに対する費用をさらにかけると言つているのであります。ところが、犬の競走場に費用をかけるといいながら、人間の子は、日本においては馬小屋の中でまだ勉強をして、日本歴史の事実を忘れさせられている事実があるのであります。子供のためには十二分なるところの施設をせずに、犬のためには費用をかける。自転車のためには費用をかける。ボートのためには費用をかける。馬のためには費用をかける。これでは、日本中に犬ボス、ビンゴ・ボス、ポート・ボス、馬ボス、こういうようなボスばかりこしらえ、その上に農林、通産大臣が乗つかかつている。だから農林大臣は、いつまでたつても麦の統制撤廃を解決すべきか、すべきでないか、あるいは米の問題、あるいは農業構造の本質の問題は、いつまでたつてもわからぬのであります。わからぬような人が農林大臣としてすわつておりながら、自由党はそのままで押し切れるほど—————に対する罪悪を犯しているという事実を、後世において批判される覚悟をしなさい。  特に自由党諸君にはつきりと言うておきたいのは、自由党の中においても、この法案に対しては、まじめな立場から反対せられた人があるのであります。それはここに全文がございます。私は自由党と名がつけば、みなきらいだと言いたかつたのでありますが、自由党の中におられる河野君は、農林委員会で、実にみごとなものであつた、この事実を、皆さんはもう一回思い出していただきたい。河野君はこう言つております。上層の者は、競馬には一部おりますけれども、競輪のごときは下層階級にきまつておる、そこから二割五分の口銭をはねる、首つりの足をひつぱるような、きわめて反社会的なことをやつておる、これがこの種の法案である、今度の畜犬競技法も、こういうものになりはせぬかということを私は心配する、(中略)よく共通した問題として、地方自治に大いに寄與する、学校を建てるというのですが、学校は教育の手段であります、目的そのものは、どこまでも教育であります、目的を破壊して手段を整えても何にもならない、現にそれをやつている、学校はなるほど建ちます、しかし、その町で競輪、競馬をやりますれば、子供というものはその町の影響を受けて、教育そのものが破壊される、こういうことです、これははなはだしくナンセンスですと、こう言つているのであります。自由党の人でさえも、この法案に対して反対しているのですから、ここで特に自由党諸君にお願いしておくのは、自由党内でさえまとまつておらないこの法案に、自由党の中の、ごくわずかにせよ、良心を捨て切れない議員は、勇気を奮つて反対の意思表示をして、この腐つた犬のばくち法案を否決してもらうようにお願いしたいのであります。これが反対討論理由であります。(拍手
  20. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) ただいまの横田君の発言中には不穏当の言辞があるようでありますから、速記録を取調べの上、適当な処置をとることにいたします。  これにて討論は終局いたしました。  まず日程第五につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 岩本信行

    議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。  次に日程第六につき採決いたします。本件は委員長報告通り承認を與えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告通り承認を與えるに決しました。     〔内海安吉君登壇
  23. 内海安吉

    ○内海安吉君 ただいま議題となりました、内藤隆君外十五名提案の官庁営繕法案につきまして、建設委員会における審議経過並びに結果につき御報告申し上げます。  最初に、本法案の提案の理由及び要旨について申し上げます。  戰後における各省各庁の建築物の戰災復旧あるいは新設にあたつては、おのおの独自の立場で計画し、建築をほしいままにしておつたのでありまして、官庁建築物の現状は、まつたく各個ばらばらで、非常に乱雑になつてつたのであります。国民の公共施設といたしましても、公務員の執務能率の向上の点からも、はなはだ憂慮にたえないものがあつたのであります。さらに火災は頻発いたしまして、いたずらに国費の濫費をなしている現状にかん、がみまして、この際官庁営繕計画の統一をはかり、国家の建築物をして保健上並びに保安上欠陷の少いものとし、かつ一般公衆に親しみやすく、便利なものとすることは刻下の急務であると信じまして、本法案提出いたした次第であります。  次に、本法案内容について簡單に申し上げます。第一に、適切なる敷地獲得困難なる現状からいたしまして、各官庁の庁舎は、でき得る限り集中いたしまして、これを合同の本建築とし、小型建築物の濫立を避けること。第二に、庁舎は原則として耐火あるいは防火構造として、防火の徹底を期すること。第三に、各省各庁の営繕計画を、予算編成前に一応技術的検討を加え、統一をはかること。第四に、官庁営繕審議会を設け、関係官及び学識経験者の協議によつて、各種官庁建築物の最も合理的な建築基準を策定すること等であつたのであります。  次に本委員会におけるおもなる質疑について申し上げますと、第一に、米国における連邦営繕局は、約六千の公共建築物の新築、増改築はもちろん、一切の維持管理、割当、配分等を一元的に統一担当して理想的運営行つておると聞くが、これに比較して、本法はあまりにも簡單で不徹底のように考えられるが、本法により相当の実効が期待できるか、との質問に対しては、官庁営繕を計画予算実施等の面にわたり統一できれば理想ではあろうが、わが国の現状にかんがみ、まず営繕計画の統一をはかり、実施は現状通りとしても相当の進歩であり、かなりの効果が期待され得ると思う。  第二に、営繕計画書にはどの範囲を計上するかとの質問に対して、本法案においては、国家機関の建築物で、一件につき総額百万円以上の新築、増改築、修繕または模様がえ等一切を含む。  第三に、建築基準法なる一般法があるにかかわらず、官庁のみ本法により規定し、かつ防火、耐火構造について制限を強化している理由はどうかとの質問に対しまして、基準法においては官庁に対する構造規定が除外されているので、本法において規定した。官庁は公共性が非常に大であり、去る第七国会において、本院において議決された都市不燃化決議中に、官庁は原則として不燃構造とするとの項があるので、該決議をも十分尊重して、特に一般建築物より幾分厳重な規定を設けた。  第四に、目下審議会の整理が行はれている際、その方針に逆行するものではないかとの質問に対しては、本審議会は統一的官庁営繕を強力に推進させる母体となるべきものであつて、その活躍によらねば民主的な官庁営繕の向上は期し得られない等でありました。  討論省略し、採決の結果、多数をもつて可決いたしました。  右御報告申し上げます。
  24. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  25. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第八 検疫法案内閣提出
  26. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第八、検疫法案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員会理事丸山直友君。     〔丸山直友君登壇
  27. 丸山直友

    ○丸山直友君 ただいま議題となりました検疫法案につきまして、厚生委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  現在検疫は、海港検疫法、航空検疫規則及び総司令部より出された回章に基いて実施されているのでありますが、現行法規には最近の諸外国の検疫制度と比較して改めるべき点が多いのと、一方わが国が国際間の自由交通場裡に復帰する日も近いと予想されますので、新しい検疫制度を確立しようとするのが、政府の本法案提出理由であります。  次に本法案内容のおもなる点を申し上げますれば、第一は、検疫の対象となる伝染病をコレラ、ペスト、発疹チフス、痘瘡及び黄熱としたことであります。  第二は、外国から来航した船舶または航空機は、検疫港または検疫飛行場において検疫を受けた後でなければ、国内の港または飛行場において他と交通し、または物を搬出することができないように定めたことであります。  第三は、検疫を受けて検疫済証の交付を受けた船舶等は、爾後特別の事情のない限り、国内のどこの港または飛行場にも、自由に出入することができるよう規定したことであります。  第四は、発港地の衛生状態等から勘案して検疫伝染病の侵入のおそれがないと認めた場合には、一定條件のもとに仮検疫済証を交付し、一応他との交通及び物の搬出を許可し、もし検疫伝染病が発生すれば、ただちにその効力を失わせるという、新しい制度を設けたことであります。  第五は、検疫手続、緊急避難を行つたときの措置等に関する規定を設けたことであります。  第六は、検疫伝染病以外の伝染病に対する措置及び猟族、虫類駆除に関する規定を定めたことであります。  本法案は、五月十七日、本委員会付託せられ、十八日及び十九日の二回にわたり委員会を開き、政府委員より提案理由説明を聴取した後、きわめて熱心な質疑応答が行われたのであります。  次いで質疑を打切り、討論省略し、ただちに採決に入りましたところ、本法案は多数をもつて可決すべきものと決した次第でございます。  以上御報告申し上げます。
  28. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。砂間一良君。     〔砂間一良君登壇
  29. 砂間一良

    ○砂間一良君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となつている検疫法案反対するものであります。共産党といえども、外国からペストやコレラを運んで来るのを防ぐために検疫を実施するということにはもとより賛成でございますが、ここに提出されている法案のようなものは、まことに不備不完全でありまして、とうてい法の目的を達し得ないがゆえに、かかるこまかしのインチキ法案には反対せざるを得ないのであります。  まず第一に、日本は現在占領下に置かれておりまして、正常なる外国との通商貿易も回復されておりません。日本に出入する艦船、飛行機の大部分は軍用のものであります。しかるに、この検疫法によりますと、軍用艦船、飛行機は日本政府の権限外に置かれておるのでありまして、この法律には何らの規定がないのであります。これでは、とうてい完全に検疫の目的を達成することができません。先ごろ日本では天然痘がたいへん流行しておりますが、これは外国から病原を持ち込まれた疑いがきわめて多いのであります。また癩患者の増加に対しても同様のことがいわれておるのであります。すなわち、これらの事実は、現行検疫制度がいかに不備、不完全であるかということの何よりの証拠であります。しかるに、この外国軍隊の駐屯ということは、ただ講和締結までの過渡的なものではないのでありまして、吉田内閣の講和に対する構想をもつてすれば、講和後も永久に外国軍隊の駐屯を希望するというのでありますから、この軍用艦船、航空機に対して何らの規定がないということは、この法律の致命的欠陥となつておるのであります。つまり日本政府は、自己の権限の及ばないことに対して、その責任だけは背負わされるこういうことになるのであります。  第二は、仮検疫済証発行の制度であります。すなわち検疫所長が、発航地の衛生状態等から勘案して、おそらく検疫伝染病の侵入のおそれがないであろうと認められた場合には、仮検疫済証を発行して、他との交通及び物の搬出を許可するというのでありますが、ここにも大きな抜け穴がつくられておると思うのであります。今日、日本の外航船舶はアメリカの船が大都分でありまして、飛行機のごときは全部アメリカのものであります。日本経済、貿易の実権がたれに握られておるかという実情と考え合せますとき、この規定はきわめて一方的に悪用されまして、特定国の船舶、航空機に対しては、ほとんど検疫が行われず、これに乗じて密貿易や密輸入が増加する危険も決してないとはいえないのであります。  次に第三は小型船舶に対する検疫の実施でありますが、御承知通り戦前におきましては、二十トン以下の小型船に対しましては検疫はなかつたのであります。検疫の目的を達成するという点からいえば、これは必ずしも非難すべきことではないかもしれませんが、しかし、これが朝鮮、中国等との近海航路に対して相当の打撃を與えるであろうということは、争うことのできないことであります。ことに台湾、琉球、小笠原が日本から切り離された場合、これらの諸島との交通、通商は非常にやつかいなことになるだろうと思うのであります。これは、検疫に名をかりて他の取締りを一層強化する口実に利用されるおそれもかなりあるのであります。いずれにせよ、かような制度のために、二十トン以下の小型船舶までが一々検疫港に回航して検疫を受けなければならなくなるといたしますと、この検疫の手数、小さな船主の煩瑣は非常なものであります。しかも他方において、大きな艦船、船舶に対しては、先ほども申しましたように、仮検疫済証による抜け穴がつくられているといたしますと、かような法律は、まつたく主客を転倒したものといわなければなりません。  政府は、近ごろ何かといえば講和の受入れ体勢とか、あるいは講和前の自主権の回復ということを盛んに宣伝しておるのでありますが、それはまつたく見せかけの形式だけでありまして、その内容は何らこれに伴わず、いたずらに権利を制限された状態のもとで、義務責任だけは背負わされることになる、インチキきわまるものであるということは、この法案一つを見ても明らかであります。わが党は、かような不備、不完全なる法案に絶対に反対するものであります。(拍手
  30. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて検討は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  31. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。  これにて議事日程は議了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時六分散会