運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-28 第10回国会 衆議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)  議事日程 第二十五号     午後一時開議  第一 復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 たばこ專売法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 農林漁業資金融通法案内閣提出)  第四 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 漁船法の一部を改正する法律案参議院提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  国家行政組織法の一部を改正する法律案(本院議決案)  日程第一 復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 たばこ專売法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 農林漁業資金融通法案内閣提出)  日程第四 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 漁船法の一部を改正する法律案参議院提出)  国民健康保険法の一部を改正する法律案亘四郎君外五名提出)  漁業法等の一部を改正する法律案永田節提出)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案前田郁君外一名提出)     午後二時十七分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。この際議事日程に追加して国家行政組織法の一部を改正する法律案参議院回付案議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。国家行政組織法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案参議院修正に同意の諸君起立を求めます。     〔起立者なし〕
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 起立者はありません。よつて参議院修正に同意せざることに決定しました(拍手)      ————◇—————
  7. 福永健司

    福永健司君 憲法第五十九條第二項に基いて再議決のため、国家行政組織法の一部を改正する法律案の本院議決案議題とせられんことを望みます。
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて国家行政組織法の一部を改正する法立案の本院議決案議題といたします。  ただちに採決いたします。本案は、さきに本院において議決通り可決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 起立者出席議員の三分の二以上と認めます。(拍手)よつて本案は、さき議決通り可決せられました。(拍手)      ————◇—————
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法立案日程第二、たばこ專売法の一部を改正する法立案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事小山長規君。     〔小山長規登壇
  12. 小山長規

    小山長規君 ただいま議題となりました復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案外一法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、第一に、復興金融金庫債権を保全するために必要な費用で、毎事業年度において回収したものの金額についての国庫納付金を、資本勘定からの国庫納付金に改めることといたし、第二に、同金庫が引受けた農林債券償還金につきましては、従来その国庫納付に関する規定が設けられていなかつたのでありますが、これを昭和二十六年度において国庫納付させ、その納付額に相当する金額の減資を行うことといたし、第三に、同金庫が融通した資金で、代物弁済として公社債を受入れることにより回收した場合において、その公社債当該年度における償還金に相当する金額国庫納付せせることといたし、第四に、昭和二十五年度分の国庫納付金につきまして、その納付のための支出予算額が、その納付すべき額に対して不定する場合には、その不足額昭和二十六年度において納付させることといたそうとするものであります。  次に、たばこ專売法の一部を改正する法律案におきましては、現行法運用の経験にかんがみまして、まず農薬用たばこ專売公社においてその收納を行わないこととし、右の措置に応じ取締り上適正な運用を定め、次に製造たばこに対する災害補償規定を整備し、さらに製造たばこの包装の製造等許可制といたそうとするものであります。  以上の二法律案につきましては、数日間にわたつて愼重審議の結果、三月二十七日、これを一括して討論採決に入りましたところ、深澤委員共産党を代表して反対の旨討論せられました。次いで一括採決の結果、起立多数をもつて原案通り可決すべきものと決しました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第三、農林漁業資金融通法案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長千賀康治君。     〔千賀康治登壇
  16. 千賀康治

    千賀康治君 ただいま議題と相なりました、内閣提出農林漁業資金融通法案につきまして、農林委員会におきまする審議経過並びに結果の概要を御報告いたします。  食糧自給態勢を強化し、国民生活の安定をはかりますことは、現下におきまするわが国農林漁業重要課題であります。このため、従前から公共事業費国家予算に計上いたし、土地改良造林漁港修理等固定施設に対し補助をいたしまして、その基礎的生産力確立に努めて参つたのでありますが、生産力をさらに一段と高揚し、経営の合理的高度化を促進いたしますためには、これらの補助金のみでは不十分でありますので、このたび新たに一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計から六十億円の資金を得まして、農業漁業者に対し長期かつ低利資金融通の方途を講じようとして、ここに本法案提出されたのであります。  次にその概要を申し上げますと、一、政府農林漁業者に対しまして、毎年度予算の範囲内で、土地改良造林林道開発漁港の修築、塩田改良共同利用施設等に必要な資金を貸し付けることができる、二、その資付金利率は、現在貸付予定の六十億円のほかに、資金運用部からの借入れを予定し、かつ融資対象となる事業ごと最高及び最低の率を定め、またそれらの事業採算がとれますよう、できる限り低利としましたこと、三、償遠期限最高二十年とし、業種別主務大臣が定めることといたしましたこと、四、貸付の実務につきましては、農林中央金庫その他主務大臣の指定する金融機関に委託するようにしたこと、五、貸付條件といたしましては、割賦償還方法をとり、かつ原則として担保をとることとしたのでありますが、災害その他特別の事情ある場合は貸付條件を緩和することができるようにしたこと等であろうと存じます。  本法案は、三月一日付託となり、翌二日、政府より提案理由の説明を聽取いたしました。爾後、昨二十七日に至る間、十数回に及ぶ委員会において本法案議題といたし、各委員から熱心な質疑あるいは意見の開陳がなされたのであります。詳細は速記録に譲りたいと思いますが、特に自由党小笠原、八木両委員からは、本法案には貸付対象事業として畜産及び養蚕業が明記されていないが、これは政府畜産業並びに養蚕業重要性に対する認識を欠くのではないかとの発言がございました。また政府委員との質疑を通じまして、貸付利率は平均六分一厘程度でありまして、見返り資金よりの貸付利子七分五厘に比して低利となつていること等が明らかにされたのであります。  質疑を終了後、自由党河野委員より、資金貸付対象畜産業及び養蚕業を加えるという修正案が、また同じく川西委員から、資金貸付対象に牧野を加えること及び漁港に対する貸付金償還期限一年を三年とすること等を内容とする修正案提出されたのであります。この両修正案並び政府原案一括議題として討論採決に付しましたが、討論通告がありませんので、これを省略いたしまして、ただちに採決いたしましたるところ、全会一致をもつて修正案並び修正部分を除いた原案に対し可決すべきものと議決いたしたのでございます。  以上御報告いたします。(拍手
  17. 林讓治

    議長林讓治君) 本案に対しては、川西清君外九名から、成規により修正案提出されております。この際修正案趣旨弁明を許します。川西清君     〔川西清登壇
  18. 川西清

    川西清君 私は、ただいま農林委員長より御報告のありました農林漁業資金融通法案に対しまして、自由党民主党並びに社会党を代表いたしまして修正案趣旨弁明を行いたいと存じます。  国民生活に必要な基礎物資生産に当りまする農林漁業ないし塩業は、原始産業のゆえをもちまして、とかくその長期融資の面におきまして、一般金融機関貸付対象より除外せられがちであることは、基礎物資増産の面よりいたしましても、はたまたこれら産業の包容する人口の点よりいたしましても、はなはだ遺憾に存じて参つたのでありまするが、このたび政府が、この点の欠陥を是正する目的をもちまして、農林漁業資金融通法案提出せられ、農林省にこの業務に当る特別会計の新設を決定され、一般会計及び見返資金特別会計より六十億円を出資され、さらに資金運用部より新規融資をも考慮せられておりますることは、まことに時宜に適した措置といたしまして、満腔の賛意を表するにやぶさかでないのであります。  しかしながら、この法案内容につきまして、一歩つつ込んだ検討を行いますと、貸付に関する基準は、必ずしも各産業の実態を正確に秤量し、何人も肯定し得る計算の基礎に立脚しているとは申しがたいのであります。その例は林道並びに塩田でありまして、貸付利率は一割五厘にも及んでおるのであります。林道に関していえば、日本森林資源現状から見まして、林道網拡充による未利用林開発急務中の急務であり、今回森林法改正の議もあり、里山の伐採を制限し、未利用林開発を計画的に行うこととなりまするが、そのためには林道網拡充を計画的に行う必要があり、しかも林道開設費は、奥地になればなるほど高くなり、その採算点は低下いたしまするので、かような林道網を大規模に拡充いたしますためには、利子を大幅に引下げる必要があるのであります。  また塩田につきましても同様でありまして、塩田改良造成または復旧には、農地の場合に比べて数倍の費用を要し、しかも塩の収納価格は格安であり、借入金返済の余裕が少く、一面において塩の需給の現状よりいたしまして、ますます増産の必要が痛感せられておるのでありまして、これまた、あとう限り長期低利とすることが必要であります。  以上の理由をもちまして、お手元に配付してある通り林道並びに塩田分につきまして利子を引下げ、償還年限を延長いたす目的をもちまして修正案提出いたした次第でございます。何とぞ満堂の御賛成を賜わらんことをお願いする次第でございます。
  19. 林讓治

    議長林讓治君) 討論通告があります。これを許します。木村榮君。     〔木村榮登壇
  20. 木村榮

    木村榮君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されました農林漁業資金融通法案について反対意見を申し述べたいと思います。  戰後における農村が、強権供出と低米価、重い税金、独占価格の收奪によつて窮乏のどん底に陥れられ、現在におきましては、最も困難な状態になつておるのは、御承知通りだと思います。ところが、こういつた條件の中にあつて、国際的な諸情勢は日本農村の急速なフアツシヨ化を要望しておると私たちは考えておる。そこで、こういつた状態の中にあつて外国食糧による日本食糧問題の解決といつた点につきまして非常に大きな問題が起り、廣川農林大臣でさえも、このような状態では、日本食糧問題の前途はきわめて困難な状態であるというので、少くとも千九百万石の増産をやらなければならない、そのためには七千億円ぐらい必要であろう、こういつたふうな、たいへんなお話をやつていらつしやいますが、しかし、こういつたことを言わざるを得ないような日本農村現状であるということにかんがみて、何とかかつこうをつけたことを、ちよつとでもやらないと、どうにもこうにものは、ややつて行けないというので、もともと日本農村労働者犠牲において積み立てました見返り資金というものを、高い利子拂つて、しかもひもをつけられて、すずめの涙ほど出してもらつて、これでおれのおかげだから、お前たちは頭を下げておれというので出て来たのがこの法案である。だから、こういつたふうな金が出ましても、おそらく日本の現在の農村におきましては、保守的な勢力日本ボス勢力が、この巧みな恩恵を振りまわして、恩惠恩惠だという、この恩惠の言葉の裏で、やみ取引を続行し、農村保守勢力の助長、農村フアツシヨ化に大きく拍車をかけようというのが、この法案の真のねらいである。(拍手)  そこで、そういつた点をごまかすために、あとさき條文をつけまして、いかにも農村に対する救済方法、あるいは農村に対する資金関係の対策といつたふうなものを自由党は持つているのだということを今日やらなければならないのは、地方選挙を目前に控えて、農村はどうにもこうにもならないような状態に追い込められましたので、そこでこういつたものを出して、とにかく選挙の看板に、農村の方へも、うんとこの議会ではうまくやる政策を立てていますというので、まあごまかしをやつて行こうというのが、この法案の第二のねらいである。(拍手)  もはや日本農村は、そのようなごまかし法案にはごまかされない。このような法案ではなく、もともと私たち日本労働者や農民の犠牲において積み立てた金だから、利子なんか拂わないで、もつとどんどん出すべきである。六十億という、鼻くそほどの金では、どうにもならない。こういつたごまかしではなく、もつともつと日本農村のほんとうの意味の補助政策を強化し、少くとも廣川農林大臣の大ぶろしきとまでは行かなくても、せいぜい半分ぐらいの、農村の真の復興に役立つような金融政策保護政策をやることこそが日本の現在にとつて最も大事なことである。これをごまかして、日本をよそさまに頭を下げさすような方向へごまかして、恩惠を與えようというインチキ法案であるので、私たちは、そういう点が不足であるから反対をいたします。  以上、簡單反対理由を申し述べます。(拍手
  21. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず川西清君外九名提出修正案につき採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて川西清君外九名提出修正案は可決せられました。  次に、その他は委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつてその他は委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  24. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第四、地方税法の一部を改正する法律案日程第五、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員長前尾繁三郎君。     〔前尾繁三郎登壇
  25. 前尾繁三郎

    前尾繁三郎君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につき、その内容及び地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、現行地方税法は、国税改革と相まちまして地方税の上に一大変革を断行し、地方財政確立に資するとともに、国民負担合理化並びに均衡化をはからんとする画期的立法でありまして、同法案国民注視のうちに昨年三月国会提出せられましてから、第七、第八両国会における白熱的な論議を経て、ようやく成立を見るに至りましたいきさつにつきましては、諸君の御記憶に新たなところであります。この新地方税制度は、昨年八月実施以来、住民の理解ある協力と、地方団体当局の不断の努力によりまして、逐次その本来の目的を達成し、地方自治の発展に寄與して参つたのでありますが、何分にも広汎かつ根本的な改革内容するものでありまするために、その施行後の実績に見ましても、負担合理化及び事務の効率化の見地かも若干の改正を必要と認められたのであります。折柄、先般シヤウプ第二次勧告が公表せられ、新税制に対する貴重な批判と示唆もありましたので、今般政府は、これらの諸点をも参考とし、さしあたり負担均衡徴收制度の改善を目的として本改正案提出いたしたのであります。なおまた、本案提案後に国税徴收法の一部を改正する法律案国会に上程される運びとなりました関係上、地方税徴收方法におきましても、徴收猶予同族会社納税義務、繰上げ徴收等につき同一の取扱いをいたす趣旨をもちまして、政府本案に対する修正を追加提案いたしたのであります。  以下、政府原案内容につき簡單に御説明申し上げます。  まず第一は附加価値税改正でありまするが、御存じのように、本税はまつたくその例を見ない新税目でありまして、新地方税中おそらく最も多くの論議が加えられて参つたのでありまするが、来年度より事業税にかわつて実施に移されるに先だちまして、これらの論議をも参酌いたし、次の諸点改正を加えたのであります。  その一点は、課税標準である附加価値額算定方式が、現行法では、企業一定期間における総売上げ金額から、他の企業支拂支出金額控除する、いわゆる控除法によることとなつているのでありますが、青色申告をなす法人に限り、その選択によつて当該期間における所得給與利子、地代及び家賃の会計額をもつて課税標準とする、いわゆる加算法を採用し得ることとし、法人に対し便宜な方法を許すこととしているのであります。  その二点は、控除法による場合、本税の実施後に取得した固定資産については、購入代金を一度に支出金額として落し、五年間赤字の繰越しを認めているのに対しまして、実施前に取得した固定資産については、控除対象としていないのでありますが、かくては企業間の均衡を失することとなりますので、後者にもその残存価値について減価償却を認め得るよう改正したのであります。その他二以上の道府県事務所等を設けている法人または個人附加価値税額基礎となる課税標準額について、その分割方法を簡易化したこと、現事業年度または現年度の見込みに基く概算申告納付について更正決定を行うことができるように改正したことなどであります。  次に第二の市町村民税改正でありますが、その一点は、法人に対する市町村民税は均等割のみを課することとなつておりましたのを、新たに法人税割を課することとしていることであります。現行個人に対する市町村民税所得割においては、配当所得課税対象となつていないのでありますが、これを源泉課税するねらいを含め、かたがた個人及び法人間の不均衡を是正する趣旨をもつて新たに設けたのであります。これによりまして、初年度約四十億円の收入を見込んでいるのであります。  その二点は、給與所得について源泉徴收方法を採用することができるものとした点であります。一般給與所得者にとりましては、市町村民税をまとめて納付することは非常な苦痛を伴うことでありますので、市町村給與支拂者に徴收を委託できる道を開いて、所得税に準じた取扱いができるように改正いたしたのであります。  その三は、法人等が一市町村に二以上の事務所または事業所を有する場合、これらを一納税義務者として取扱うこと、新たに年齢六十五歳以上の少額所得者非課税としたことであります。  その四は、所得割課税標準として課税所得金額を採用する場合、財政上特別の必要があれば、総所得金額から基礎控除額のみを控除したもの、すなわち扶養控除等を行わないものを課税標準とすることができ、所得割負担層を広めることができるようにしたことであります。その他納期変更報奨金の額の引上げ等改正が加えられてあります。  次に固定資産税改正でありますが、その一は、庶民住宅等、国や地方団体の所有する固定資産使用者に対する課税を廃止することとした点であります。その二は、償却資産に対する固定資産税免税点を、一万円から三万円に引上げたことであります。その他船舶、車両等価格決定権の一部を知事に移すこと、納期に若干の変更を加えたこと、固定資産評価審査委員会委員の定数を十五名まで増員し得ることとしたことなどの改正を行つておるのであります。  次に第四として事業税改正につきましては、法人申告納付制度を採用するとともに、二以上の道府県にわたつて事業を行う法人課税標準について、分割基準を簡素化して、その徴收の遅延を防止しようとしたことであります。  第五には、目的税として国民健康保険税を創設したことであります。御承知のごとく、国民健康保険事業を行う市町村は、保険料徴收して事業をまかなつて参つたのでありますが、その徴收成績が芳ばしくなく、運営困難のため、市町村一般財政に多大の重圧を加えている現状でありますので、この際保険料にあえて本税目を創設することとなつたのであります。従いまして、住民に新たなる負担を加えるものではないのであります。  なお以上のほか、国税地方税との徴收順位を、差押えの場合同順位によることとし、それぞれの債権額に按分して收納することとしたこと、並びに罰則において狩猟者税自転車税荷車税等の体刑を廃止したことなどであります。  なお政府修正によつて追加せられました改正について、その内容簡單に御説明いたしますと、修正の第一点は、納税者等が罹災、盗難、休廃業その他所定の事由によつて一時に納税することが困難であるときは、一年以内に限り徴收を猶予し得る制度を設けまして、納税者苦痛を緩和しようとしたことであります。  第二点は、納税者または特別徴收義務者が滞納した場合、その所有する同族会社の株式または出資が換価不能であり、かつ滞納者の他の財産について、滞納処分をしても徴収できないときは、当該同族会社納税義務を負わせることとして、脱税目的同族会社を設立、維持することを防止しようとしたことであります。  第三点は、滞納者差押えを免れる目的をもつて、親族その他特殊関係者または同族会社に故意に財産を贈與し、または、不当に低い価格で譲り渡し、しかも滞納着の他の財産について滞納処分をしても徴收ができないときは、その財産取得者に対して納税義務を負わせることとし、詐害行為防止をはかつたことであります。  第四点は、納税者等納税管理人を設けずに、当該地方団体の区域内に往所や事務所等を有しなくなるときは、繰上げ徴收ができるものとしたのであります。  最後に、御承知のごとく租税特別措置法改正に伴い、所得税におきまして、公社債銀行預金などの利子及び合同運用信託の利益につき、納税義務者選択従つて他所得から区分し、支拂いの際に五割の税率を適用し得る、いわゆる源泉選択制度が創設せられることとなつたのでありまするが、その趣旨を徹底するため、地方税でありまする市町村民税におきましても、その選択された利子所得分につきましては非課税措置を講ずることに改めておるのであります。  以上が、政府提出改正案の大要であります。  本法案は、二月二十六日付託となりましたので、翌二十七日、岡野国務大臣より提案理由の説明を聽取いたしました後、まず総括的審議を行い、次いで逐條審議に入つたのでありまするが、三月二十日には、本案に対する政府修正が本院の承諾に基いて追加せられましたので、引続きその修正部分についても審議を行つたのであります。この間、三月九日には公聽会を開いて、七名の公述人から意見を徴するなど、審議の愼重を期して参つたのであります。委員会における質疑応答及び公聽会の公述の内容につきましては、詳細は会議録によつてごらんを願うことといたし、ここには、そのおもな論点の二、三を御紹介するにとどめたいと思います。  まず総括的質疑におきましては、今次の地方税法改正は單なる事務的改正の範囲を出ないと思われるが、政府はこの程度の改正をもつて地方財政の現下の窮状を打開するに十分であると考えているか、また地方税とともに地方財政の根本である平衡交付金並びに地方起債の制度をこのままに放置してよいのであるか、これに根本的改正を加え、税制の円滑な運営に資する必要を認めないのであるかなど、地方財政全般との関連において質疑が進められたのであります。ことに平衡交付金の増額、起債のわくの拡大、災害復旧費の全額国庫負担等、国に対して地方が要望して来た諸般の方策がほとんど実現を見ず、地方税に対してのみ徴税強化のための改正を行わんとすることは、地方財政に対する認識に大いなる誤りがあるとする論議が多かつたのであります。これに対しまして政府は、平衡交付金の増額、起債のわくの拡大など、いずれもその必要を認め、実現に努力したのであるが、国の財政力より見て、さしあたり現在の程度をもつて満足するほかなかつたのであり、また地方税法改正については、でき得る限り前国会論議をしんしやくし、シヤウプ第二次勧告の示唆をも導入し、かつまた実施後の実情をも検討して根本的な改正に手を染めたいと考えたのであるが、新税法は何分にも厖大な内容を持つておるものであり、加うるに実施後日なお浅いため、その成果を十分に把握、検討するに至つていないこと、並びに地方行政調査委員会議の勧告に基く地方制度改革、すなわち事務の再配分等が実現を予想せらるる関係上、これと並行して地方と国とを通ずる税制の根本的改革実施する必要のあることなどを勘案して、抜本的改正を将来に期することとし、今回は主として事務的改正の程度にとどめた次第である旨を答弁しているのであります。なおまた、政府改正方針が主として徴税者側の意向を偏重し、納税者側の立場に対する顧慮を欠いているのではないかというのに対し、政府側は、たとえば附加価値税における加算方式の採用、市町村民税における源泉徴収の実現、あるいは固定資産税における使用者課税の廃止、免税点引上げなど、いずれも、もつぱら、あるいは主として納税者側の利便ないし利益を考慮した改正である旨を答弁しているのであります。  次に逐條質疑におきましては、附加価値税につきましては新たに加算法を採用した結果、控除法をとる場合とのアンバランスの問題が生じないかというのに対し、固定資産の取得の場合に、控除法は購買代金を一時に控除するのに対し、加算法は何年かに分割して控除することとなるので、一時的に不均衡と見られるが、これを長年にわたつて観察するならば、両者の間にさしたる相違は認められない旨、政府側は答弁しているのであります。  次に市町村民税における改正につきましては、特に給與所得に対する源泉徴收法の採用が、給與所得者に対する便益というよりは、むしろ重圧となり、徴税者の利益のみを保護し、かつ事業所得との間に現存する税額の不均衡を隠蔽するがごとき結果とならぬかなどの点が論議せられたのであります。法人税割の新設につきましては、個人との均衡上当然とする意向が多く、ただその税率をいま少し引上げるべきである、さらに進んで、これによつて個人所得割の税率引下げをはかるべきであるなどの意見も少くなかつたのであります。  次に国民健康保險税の創設に関しましても、健康保險事業が社会保障制度の一環である性質から見て、これを目的税対象とする点に疑義があるとする意見、その税額の最高限度一方五千円は、従来の保險料金に比して低きに失しないかという見解もあつて、種々論議が行われたのであります。  なお修正追加せられました部分につきましても、徴収猶予の恩恵を、納税者のみならず特別徴收義務者にまで及ぼすことは、税金の流用を認めるような結果となり、また地方団体と大企業等との間の紛争の原因となりはせぬか、同族会社たるといなとを問わず、納入、納付義務者以外の者にその納税の責任を追究することは、基本的人権とも関係するので、その適用せらるる場合を一層最密に規定する必要があるのではないかなどという点が問題となつたのであります。  その他細部にわたつて愼重審議が行われたのでありまするが、委員会の空気といたしましては、党派の別なく、今次の改正は不十分であり、さらに根本的な点に改正を加えるべきであるとする見解が有力であつたのであります。かような見解に基き、二月二十七日、国民民主党、日本社会党並びに自由党の三党の委員の共同提案として、次のごとき修正案提出せられたのであります。  修正案の要点を御説明申上げますと、一点は、遊興飲食税に関しまして、大学を除く学校の行事として行われる幼兒、兒童または学生の修学旅行の場合の旅館などにおける飲食及び宿泊を非課税といたしたこと、その二点は、市町村民税に関しまして、国民健康保險組合など社会保險に関する各種組合並びに政令で限定する農業協同組合及び各種の協同組合の行う事業について非課税といたしたこと、その三点は、同じく市町村民税に関しまして、個人の均等割を一率に百円ずつ引下げることといたしたこと、その四点は同じく市町村民税において、新たに設けられました法人税制について、政府原案の標準税率百分の十を百分の十五に、制限税率百分の十一を百分の十六にそれぞれ引上げますこと、その五点は、事業税につきまして、政令で定ある新聞事業と、農業協同組合等、企業組合以外の各種の協同組合及び森林組合のうち、政令で限定するものの行う事業非課税とすること、以上五点であります。  右の修正案並び原案につきまして、同日討論を行いましたところ、自由党の鹿野委員並びに国民民主党の床次委員よりは、修正案並び原案賛成日本社会党の門司委員よりは修正案賛成原案反対日本共産党の立花委員よりは修正案原案ともに反対討論があり、次いで採決を行いましたところ、多数をもつて修正案並び修正部分を除く原案が可決せられ、よつて本案修正議決せられた次第であります。  次に議題となりました地方財政平衡交付金の一部を改正する法律案に関する地方行政委員会における審議経過及び結果の概要を御報告申し上げます。  昨年創設されました地方財政平衡交付金制度は、地方税法と相並んで地方財政確立の大きな支柱となつておりまするが、何分まつたく新しい制度でありまするため、その理想実現のためには、なお多くの改善の余地があり、絶えざる研究を必要とするのでありますが、政府提案の今回の改正案は、さしあたり必要な二、三の点についてのみ改正を加えているのであります。その第一は、基準財政収入額の算定に用いる基準税率について、標準税率の百分の七十を百分の八十に改めることであります。(「簡單に」と呼ぶ者あり)  第二点は、都等の特例について改正を加えることであります。これは都については従来交付金の道府県分と市町村分との合算額を交付しているのでありまするが、その算定方法について明文の規定を欠いておりましたので、これを明かにしたのであります。  第三点は、基準財政需要額の算定に用いる單位費用は、昭和二十六年度においても地方財政委員会規則で定めることであります。これは法律上は昭和二十五年度限り地方財政委員会規則で定めることとなつているのでありますが、標準的な單位費用については、現在なお研究の段階にあつて、諸般の準備がその時期に至つていないからであります。  第四点は、厚生労働費にかかる測定単位に対する地方財政委員会規則での特例が、昭和二十五年度に限らず、さらに昭和二十六年度においても設けることができることであります。  第五点は、昭和二十六年度においても、地方財政法の国費、地方費の負担区分に関する規定はその適用を停止することであります。  第六点は、予防接種等に上る国庫負担の特例等に関する法律改正でありまして、昭和二十六年度においても、これらの法律に掲げる国費、地方費の負担区分に関する規定はこの通用を停止することであります。  この第四、第五、第六の諸点改正理由は、いずれも諸般の基礎事情が、本年度と同機、なお未確定でありますので、さらに一年間従来通りに法の適用をいたそうとするのであります。  本案は、三月十三日、本委員会に付託され、翌十四日、岡野国務大臣の提案の説明を聞き、その後数回にわたり委員会において愼重審議を重ねましたが、詳細はすべて速記録についてごらんを願うことといたします。ただ基準財政需要額の算定に用いる單位費用の定め方いかんは影響するところが大きいので、これを地方財政委員会で定め得ることをさらに一年延長することについては相当議論があり、民主党の床次委員は特に発言して、その一年延長はやむを得ないとするが、地方財政委員会がその規則を制定するにあたつては、当局は十分国会意見を尊重し、国会と緊密な連絡をとりつつ理想案をつくるべきことを政府に求めたのでありまするが、政府はこれに対し、その意に沿うて善処する旨の答弁があつたのであります。  かくて三月二十七日、質疑を終えて討論に入り、龍野委員自由党を、藤田委員は国民民主党をそれぞれ代表して賛成意見を述べ、門司委員日本社会党を、立花委員日本共産党を代表して反対意見を述べられました。  次いで採決の結果、賛成多数をもつて政府原案通り可決と議決せられた次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  26. 林讓治

    議長林讓治君) 討論通告があります。これを許します。門司亮君。     〔門司亮君登壇
  27. 門司亮

    ○門司亮君 私は、ただいま上程されておりまする地方税法の一部を改正する法律案並びに地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の二案について、日本社会党を代表して意見を申し述べたいと思うのであります。  まず地方税法の一部を改正する法律案でありますが、この法律案内容は、先ほど委員長報告にありましたように、きわめて事務的に取扱われる面が多いのではありまするが、しかしながら、地方税法自体が、皆さんの御承知のように、きわめて時宜に適したものでないということは、十分今日までわれわれが申し述べて来た通りであります。従いまして、私どもといたしましては、今日の現状において、これにでき得る範囲の修正案を出すことが適当と認めて参りまして、一部修正をいたして参つたのであります。この一部修正をいたしましたことは、従来、ことに布野村民税の課税対象となつておりましたものが、法人がその所得割を除かれておつたというところに個人との間にきわめて大きな不均衡のあつたことは、御存じの通りであります。従いまして、私どもはこの点に修正をいたしまして、法人に従来かかつておちなかつたものが、政府原案によつては百分の十の課税をいたしておりまするが、これを百分の十五に改め、その財源二十億をもつて個人の均等割の軽減をし、さらに従来非課税になつておりました、社会的立法でありまする例の協同組合あるいは新聞等に対して、これも非課税にすることといたしたことは、先ほどの委員長報告通りであります。従つて、われわれは、政府原案に対しましては、はなはだ不満足であり、また多くの欠陥を蔵していることは申し述べるまでもないのでありまするが、このわれわれの主張いたして参りました部分の修正案がいれられましたことにつきましては——この案に対するわれわれの態度といたもましては、この修正案のいれられたということを條件といたしまもて、さらに将来この法案に対しては、近く行われるであろうところの事務配分の際に徹底的に修正をしなければならないということをことに申し述べまして賛意を表するものであります。  次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案でありまするが、この法律案は、先ほど委員長報告にもありましたる通り財政需要額並びに地方財政の標準となつておりまする百分の七十を百分の八十に上げるということが、大体この法案の骨子になつているわけであります。しかし、現在の地方財政は、皆さん御承知のように、きわめてきゆうくつになつていること、しかも現行法において、地方財政標準需要額あるいは基準財政額というものが百分の七十において算定されておりまするときにすら、平衡交付金の額はきわめて少いことが叫ばれておりますときに、この財政需要額、基準額をおのおの一〇%ずつ引上げることにおいて地方財政に及ぼします影響は、きわめて甚大でなければならない。すなわち一〇〇%の財政基準收入のうち、七〇%だけを基準といたしまして、これらのアンバランスを平衡交付金において交付いたしておりましたものが、この基準額が八〇%に切上げられて参りまするならば、必然的に地方の財政の面に、大きな、バランスのとれない面ができるということが言えるのであります。すなわち、都市と農村とにおける均衡はますます破れて参りまして、平衡交付金の支給その他に対してもきわめて困難を来すであろうということは言い得るのであります。  また一面行政上の面から考えて参りましても、地方財政の八〇%は基準財政需要額であり、標準税額であるというように考えて参りますと、地方の行政は残りの二〇%だけが彈力性を持ち、諸般の事業を行えることに相なつて参るのであります。今日日本の、ことに戰災を受けておりまする都市等におきましては、この政府の算定いたしまする基準財政需要額、あるいはその他の基準となつておりまするものを除いて、そのほかに非常に大きな仕事を持つておるということは御存じの通りであります。しかるに、それがわずかに二〇%の範囲内において、それを行わなければならないということになつて参りまするならば、一体地方の行政はどういうふうになつて行くかということであります。都市の発展もなければ、都市の改革財政的に行われないようなはめに降るであろうということは言い得ると思うのであります。こうなつて参りますと、極論いたしまするならば、むしろ地方議会というものが、ほとんど不要のような形になつて来る。地方の自治体は、與えられた標準收入を得て、定められた需要額に応じて支出をして行くということになつて参りますと、まつたく自主性というものほなくなつて来る、こういうふうになつて参りますと、おのおのの独自性というものがなくなつて来て、地方の自治団体は、單に與えられたものの維持管理だけをやつて行けばいいということになつて、何らの発展性というものが財政的になくなるということを、きわめてわれわれは憂慮するものであります。従いまして、この七〇%から八〇%に上げるということは、地方公共団体の自主的自律性を財政的にきわめて大幅に阻害するものであるということに相なると思うのであります。  次に、この地方財政平衡交付金の測定單位に関する法律案が当然本国会提案されなければならないことに相なつておるのであります。先ほど委員長報告にもありました通り、この問題は、昭和二十五年度に限つて財政委員会の規則によつてこれが行われておるのであります。従つて、二十六年度は当然法律でこれを定めなければならないものが、いまだにその法律が出ていないということは、明らかに政府の怠慢でなければならない。この地方財政の窮迫いたしておりまするときに、地方の自治体が頼りにしているものの大部分は、いい惡いは別にいたしまして、地方財政平衡交付金であるということは、皆様も御存じの通りであります。その地方財政平衡交付金を交付いたしまする測定の單位となるものが、当然法律となつて国会審議されて、その結果にまたなければならないものが、依然として政府の怠慢から、地方財政委員会の規則によつて、これが国会にはかられないで行われるというところに、われわれはきわめて大きな不満を持つものであります。こうした政府の怠慢を、そのままわれわれは認めるわけには参らぬのであります。従つて、申し述べますることはきわめて簡單でありますが、この地方財政平衡交付金法の一部改正に関しまする法律案は、結論的に申し上げまするならば、地方の自治体の自主的自律性を財政的にきわめて大幅に抑圧いたしますると同時に、これに附帯しておりまする、政府の怠慢である測定單位に関する法律案を、この法律でごまかそうとする一つの案であることを指摘いたしまして、私はここに反対意見を申し述べる次第でございます。(拍手
  28. 林讓治

    議長林讓治君) 野村專太郎君。     〔野村專太郎君登壇
  29. 野村專太郎

    ○野村專太郎君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする両案のうち、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、修正案を含む原案に対し賛成意見を申し述べてみたいと思います。  申すまでもなく、現行地方税法は、第七、第八両国会を通じて、地方行政委員会において、あらゆる観点から熾烈なる論議を展開して愼重審議を重ね、ようやく昨年七月成立を見るに至つたものでありまして、本法案は、まつたくわが国地方自治確立の上に最も画期的な意義を有する重要立法であります。審議の過程におきましても、大幅な修正を要望する声が強かつたのでありますが、諸般の情勢から一応これを成立せしめ、法の実施運用の成果を見きわめた上根本的検討を加うることにしたのであつて、この意味からも、われわれといたしましては、その後の情勢に重大なる関心をもつて監視して参つたのであります。  しかるに、今回政府においては、本法施行後の運営状況に徴し、かつシヤウプ第二次勧告の示唆をも参酌し、主として地方税負担均衡化と、地方税徴收制度の改善をはかることを目的とし、かつその限度において地方税法の一部改正提案をなし、なお本案提出後、政府は徴税方法に、国税における改正と歩調を合せるため若干の改正を追加いたしたのでありますが、その大部分は、さき国会法案審議にあたつて強く要望された事項でありますので、ここにあらためて一々論議するまでもない、きわめて当然の改正と存ずるのであります。よつてわれわれは、政府原案に盛られた限りの内容につきましては、もちろん賛意を表するにやぶさかでないものであります。ただ惜しむらくは事務的改憲にとどまり、本質的改正に触れていないのでありまして、卒直に言えば、政府提案に至るまでの努力は多とするが、われわれとしては、むしろ修正部分について大なる期待をかけたのでありました。  しかし新地方税法は、その内容があまりにも広汎であり、かつその改革がきわめて根本的でありました関係上、その実施によつて得らるべき税收の程度、また新設、改変による住民負担関係から、国民経済全般に及ぼすべき影響についても、実施以前にあつては十分なる見通しを持ち得なかつたのでありまして、実施後の今日も、法の実施年度中途であつた関係もありまして、まだその実績を十分に把握する段階に至つていないことも一応事実でありましよう。従いまして、政府が根本的改革の必要を感じながら、しかもその実施を地方行政調査委員会の勧告の実現せらるる時期に讓らんとしている態度も、十分了とせられるのであります。  しかしながら、法案審議の当時より強く問題となつておりました諸種の修正意見中には、法の実施後の成果を見るまでもなく、他からいかなる情勢の変化があるといたしましても、一日もすみやかに実現せしめて、国民負担の軽減または均衡化をはからなければならないものが多々あると信ずるのであります。ことに入場税のごとき、世界に類例なき高率は、まさに戰時意識の残滓とも申すべきであり、観客層に與える苦痛はもとより、映画製作事業のごとき国民文化と深いつながりを持つ事業も、税の重圧のため存立の基礎を失わんとしている現況にあつて、その向上のほども危ぶまれるのであります。文化政策の上からも寒心にたえないものがあると存ずるものであります。  遊興飲食税のごときも、これまたあまりにも高率であるといつても過言ではない。これが徴收義務者は税の徴收を断念せざるを得ない現状にありまして、これらの点は本税の破綻といつてさしつかえない実情であるのであります。特に百円未満の喫茶等、大衆の最低消費に対して遊興飲食税を課するがごときは、やや非常識のそしりを免れないと思うのであります。しかも、この人たちは、みな中小業者もしくは勤労者といつた少額者である。この点から申せば、むしろ全廃すべきものである。その他電気ガス税の非課税範囲を合理的に是正する問題などは、税制の体系を整備し、科学日本の立場よりその信頼を高める上からも、緊急実施を要するものと信ずるのであります。  われわれは、この際これらの点に触れて地方税法の合理的修正を行うことに、時日の許す限り、及ぶだけの努力を重ねたのでありまするが、遂に客観的情勢の前に、やむなくこれを次の機会に譲ることにしたのは、すこぶる遺憾とするところでありました。しかしながら、市町村民税に対しては、法人個人との均衡がとれていない、この点を是正し、なお政令による協同組合、また新聞事業の公益性より事業税を免税もしくは非課税とした点、さらに学校生徒の修学旅行における宿泊に対する遊興飲食税を非課税としたことは、地方予算のバランスを動かすことなく、ドツジ・ラインにも抵触せしめず、しかも住民のいかなる層にも負担の著しい加重を示さない限度という困難なる條件のもとにおいて、この程度の修正を加えましたことは、わが国民の輿望に沿い得たものと信ずるものであります。  以上をもちまして、本案に対する賛成の意を表する次第であります。(拍手
  30. 林讓治

    議長林讓治君) 立花敏男君。     〔立花敏男君壇登〕
  31. 立花敏男

    ○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、修正案を含むところの地方税法改正案並びに平衡交付金法に対する改正案の両案に対し反対意見を開陳せんとするものであります。  本改正案は、現行地方税法の單なる部分的あるいは技術的改正案であるかのごとく装つておるが、その企図するところはまことに重大でございます。なぜならば、国際帝国主義が━━━━ための重要なる政策の一つとして昨年わざわざ改惡いたしました地方税法を、さらに改惡する意図を露骨に持つものであるからであります。すなわち指摘するまでもなく、終戰以来六箇年、内外反動勢力が互いに結託いたしまして、日本の政治、経済産業を初め、━━━━東洋の民主的諸勢力に対する━━としておるのであります。特に最近朝鮮内戦に対する━━を契機といたしまして、この政策はますます露骨を極めております。  そもそも現行地方税法そのものは、人民の利益を守り、あるいは負担均衡をはかるためにつくられたものでは断じてないのであります。反対に、国家予算を純粋に軍需予算として確保するためにつくられたものである。このことは、二十六年度予算について見るも、きわめて明白であります。たとえば、すでに━━としての性格を持つと思われるところの終戰処理費や、━━公共事業費、また━━警察予備隊費並びに海上保安庁費、その他━━━━莫大なる予備費を加えれば、その額は全予算額の五〇%に達するのであります。国家予算がすでにこのようなものであるからこそ、その他の一切の経費、すなわち民生安定費、あるいは教育費、あるいは文化費、社会保障費、災害対策費、その他民生の安定と向上に必要なる一切の経費はことごとく犠牲に供されておるのであります。またそのためにこそ、国家より地方に支出すべきところの平衡交付金、各種補助金あるいは地方起債等は、そのことごとくが大幅の削減を受けて地方財政を圧迫し、結局においては地方税として人民の負担に転嫁されざるを得ないのであります。(拍手)だからこそ、現行地方税は、世界最惡の税法であるところの人頭税を日本人民に押しつけておるのであります。また、だからこそ政府は、減税をくちにしながらも、なお地方税のみはますます増加しなければならないというのが現状であります。すでに地方住民の担税力を越えた税金は、いくらとろうにも、とれないのであります。このことは、たとえば東京都においては、一月末現在におきまして、住民税の徴收率はわずか四八%、大阪におきましては、一月三十一日末におきまして、わずか三二%であります。この事実自体が明かに、この現行地方税法がいかに人民の担税力を越えておるかということを明瞭に証明しておると思います。そればかりではない。たとえば京都市におきましては、先刻御承知のごとく、すでに給料の差押えまで強行しておるのであります。また東京都下の警視庁の警察におきましては、税金を批判するところの一切の住民の集会を禁止しておるのであります。これらの徴税の強化のために、人民はまつたく税金地獄に陥り、至るところで親子心中あるいは一家心中の惨劇が頻発しております。それのもではない。この惡税の結果は地方財政の破綻を来し、二十六年度の地方予算はまつたく編成難に陥つております。すなわち東京都を初め、全国ほとんどすべての自治体が、二十六年度の予算におきましては、暫定予算あるいは骨格予算しか組めないのが実情であります。しかも政府は、この地方財政の窮乏という弱点につけ込みまして、地方自治体を完全に政府の思うままに操縦しようとしておるのであります。たとえば自治体警察の廃止や、市町村の合併奨励は、その現われであります。しかるに政府は、かかる惡法を、この改正案によりましてさらに改惡しようとしておるのであります。これは一対なんのための、かつまただれのための改惡であるか。  まず第一に。この改惡は、朝鮮に対する━━を契機といたしまして、━━せんがための、あらゆる政策の一部としての改惡であります。すなわちダレスは、トルーマン大統領に対する報告書におきまして、次のごとく述べております。たとえば大砲の照準器、双眼鏡、パラシュート等々を製造するために日本の労働力と生産設備を利用することは、西ヨーロッパにとつて重要なことである。このような軍事的寄與の基礎となるところの日本経済は、できるだけすみやかに復興させるべきである、これは三月二十八日の朝日新聞の記載でありまするが、これは明らかに、日本をまつたく━━の支部として再現せんとする主張ではありませんか。  第二に、国内においては、反動勢力がこれに便乗いたしまして、━━のための一切の犠牲を勤労大衆に背負わせようとするための改惡であります。これらのことは、幾らでもこの改正案そのものの中に証明することができます。  まず付加価値について言えば、加算方式を採用することによつて、独占資本、特に軍需産業の莫大なる特需利益を無謀に保障している。すなわち、特需利益の大部分を含法的に脱税せしめようとしておるのであります。また大工場が外国から仕入れました機械設備等に対しましては、一文も税金をかけない。  次に住民税についてこれを見ますれば、━━を勤労大衆に背負わせるために、とうてい拂えないような、負担のできないまでにこれを改惡するのであります。それは、まず第一に、扶養控除、あるいは医療控除、あるいは災害控除等を認めない。その上、総所得課税することにした結果、今まで税金のかかりませんでした零細所得者約三百万人が新たに税金を取上げられるのみならず、税額は現在の三倍ないし四倍に引上げられるのであります。第二に、このひどい税金を、勤労所得者に対しましては、有無を言わさず給料から天引きするのであります。こは労働者の実質上の賃金切下げであり、かつ同時にお労働者一般人民の税金闘争から切り離すための陰謀であることは明らかであります。  次に、国民健康保險税について言えば、保險の掛金を税金とし、今まででも拂えなかつた医療費を、差押え、公売で脅かし、無理に強奪するのであります。  最後に、税の徴收の強化について一言するならば、すでに昭和二十五年度におきまして六十億の徴税費を増額し、三万人の徴收吏員を増員いたしましたが、最近これをますます強化いたしまして、青年団員までも徴税のため動員して、むごい税金の取立てを強行しておるのであります。しかも一方、特定の外国並びに外国人に対しましては、税法上の規定を無視いたしまして、ほとんど税金をとつておらない。その結果、自治体がますます財政破綻の度を加えておるのは明瞭であります。  以上のごとき、一方的かつ無謀残忍な税金の取立ては、まさに━━のしわざであります。同じ日本人であるならば、かかる情容赦のないしうちはできるものではない。これは一体なぜであるか。われわれは、この地方税法が、━━ということを、心から銘記しなければならないと思うのであります。  最後に、政府與党は本改正案の急速なる成立を策し、あらかじめ予定されました最後のときに至つて突如厖大な政府修正案を提出し、一挙にこれを通過せしめるという暴挙をやつておるのであります。しかも、その内容たるや、以上われわれが見て参りましたところの軍需資本の擁護、人民收奪の強化、この線を最も端的に規定するところの、最も惡質な修正であります。すなわち修正案は、一方において軍需資本家の銀行預金利子を免税しておる。また彼らがその雇用する勤労者より源泉徴收いたしましたところの税金を一箇年間自由に融通できるという露骨な資本家の擁護政策をとつており、他方一般人民に対しては、もしある人が税金を拂えないときは、彼のすべての親戚、すべての友人から、かつて彼が贈與したところのものを取上げるという、まつたくひどいものであります。まさにこの修正案は、肉親の情も無視するところの非人間的な修正であります。  さらに私は、社会党、民主党、自由党の共同修正案について一言しておきたい。この共同修正案は、地方税法の持つところの根本的な反動性、非階級性を何ら改正するものでないことはもちろんでありますが、ただこれは地方税法改悪に憤激するところの人民大衆を欺瞞する役割を果すにすぎないのであります。苛酷なる税金に悩むところの人民は、決してこの修正案によつてごまかされないことを明言しておきます。     〔「時間だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  32. 林讓治

    議長林讓治君) 立花君、申合せの時間が来ております。
  33. 立花敏男

    ○立花敏男君(続) 次に私は、この平衡交付金の改正案反対意見を述べたい。この改正案もまた国際帝国主義の軍事目的に関する意味において、地方税法改正案と本質的にはまつたく同様であります。本改正案のねらうところは次の二つであります。  まず第一に、国家予算中の軍事費部分を増大するために平衡交付金の総額を削減することであります。次に第二のねらい点は、地方税法によつて人民の收奪をより一そう強化することを督励せんがための改惡であります。このことは、国際帝国主義に追従するところの政府としては、むしろ当然のことでありましよう。しかし、この改正案は、今、日本中のすべての地方自治体及びすべての地方住民の一致せる要求であるところの平衡交付金増額の要望と真正面から対立するものであることを、政府は忘れてはならないであります。
  34. 林讓治

    議長林讓治君) 立花君、申合せの時間が過ぎておりますから、簡單にお願いいたします。
  35. 立花敏男

    ○立花敏男君(続) 以上述べたことく、本改正案は、━━━━、地方財政の破綻、人民生活の破壊を顧みず、人民より徹底的な收奪をねらうものであります。これこそ反動吉田内閣の━━の正体であり、━━━━ところの單独講和の正体であります。(発言する者あり)いくら国際帝国主義への忠義立てとは言いながら、かかる無謀をあえてしながら、なおかつ日本人民がこれに承服し、いつまでも奴隷の生活に忍従すると思うのであるか。かつまた政府は、常に治安の維持を口にするが、かかる状態で治安が保たれると考えておるのか。政府共産党に体しまして、社会秩序の破壊者は共産党であると誹謗しておるが、真に人民の生活を破壊し、国を破壊して顧みざるものは、━━━━、かつそれに連なるところの━━それ自身であることを明言しておきます。わが党は、日本人民とともに、断じてかかる暴政を許すことはできない。  わが党は、人民を代表いたしまして、政府に次のことを要求する。一、国際帝国主義のための戰争並びに戰争準備のための一切の政策を放棄すること。一、外国人に対する税法の特典を一切廃止すること。一、一切の犠牲を大衆に転嫁する税制を廃止して、中央地方を通じて高度累進の所得税一本とすること。一、人民のための平和的建設予算をつくり、平衡交付金を大幅に増額すること。一、生活を破壊し、人権を蹂躙する徴税を即時中止せよ。以上のことを実現するために、政府は單独講和のための一切の政策を即時停止し、全政策をあげて全面講和の実現に邁進することを要求する。  以上の理由によりまして、私は断固両改正法律案反対の意思を表明するものであります。(拍手
  36. 林讓治

    議長林讓治君) ただいまの立花君の発言中不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。  床次徳二君。     〔床次徳二君登壇
  37. 床次徳二

    ○床次徳二君 私は、ただいま上程せられました地方税法の一部を改正する法律案並びに地方財政平衡交付金法改正法案に対しまして、国民民主党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  今回の地方税改正に関しましては、先ほど委員長報告にもありましたごとく、政府原案はきわめて事務的なものでありましたが、さらに委員会におきまして、現在の課税の実績にかんがみまして、三派共同の提案によりまして、その内容の改善に一歩を進めましたことに対しまして、また負担軽減をはかり得ましたことに対しましては、まことに喜ばしいことと思うのであります。  しかしながら、今日多少残された問題があるのであります。第一に、市町村民税源泉徴收に対しましては、給與所得に重くなるということを考えなければならないのであります。他の一般納税者との均衡上から見まして、今後これに対しまして適当な是正をすべきものと考えるのであります。  第二に、今回二、三の税におきまして減税を見たのでありまするが、なお地方税の中には、いわゆる大衆課税として、しかも高率なる課税を付せられておりまするところの入場税、遊興飲食税あるいは自転車税荷車税等のものが存在しておるのであります。これらのものは、将来すみやかに減税あるいは廃止せられる必要があるのであります。また固定資産税の中には、非課税として除外すべきものが少くないのでありまするが、今回はその修正が行われておらなかつたのでありまして、本年におきましては、いよいよ固定資産税の適正評価の現実の事務的時期に入つたのでありますが、その取扱いを愼重にいたさなければ国民に不測の負担をかけることになることを憂えているのであります。また国民健康保險税が創設せられたのでありますが、現在の国民健康保險制度は、一般の健康保險に比しまして、著しくその内容におきまして遜色を見ているのでありまして、農山漁村に働いておりますものに対する医療の保障は、はなはだしく不公平であるといわざるを得ないのであります。今回これが目的税として設置せられました以上、その内容におきましては、すみやかに改善を施しまして、他の健康保險と少なくとも均衡のとれ得るがごとき処置を必要とするものと考えているのであります。  これら、目前になお改善を要するものが少なくないのでありますが、先ほども、るる述べられましたごとく、中央地方の行政事務の再配分の機会が目前に迫つておりまする関係上、根本的な改正を将来に待つておるのであります。しかしながら、この機会におきまして、私どもは現在の地方自治をいかにして円満に発展せしむるかということに関しまして、二、三の意見を述べてみたいのであります。  現在の地方自治は、政府の強弁にもかかわらず、非常なる窮迫な状態にあるといわざるを得ないのであります。予算審議の際におきましても明らかにせられたごとく、本年度の補正予算におきましては、平衡交付金におきまして五十三億円不足、地方債におきまして百五十億円の不足が叫ばれておるのであります。また昭和二十六年度の予算におきましては、平衡交付金におきまして百九十億円、地方債におきまして百八十五億円の不足が論ぜられておるのでありまして、この数字の点につきましては、両院の地方行政委員会地方財政委員会、あるいは全国の知事、市町村長も、ひとしくその増額を方財政の窮乏は、地方自治の発展を妨げ、さらに民主政治への関心をはばむものではないかということが懸念されておるのであります。  これに対する対策はいかんと申しますると、これは單に今日の地方税に対する法律的の改正のみでは十分でないと考えるのであります。対策としてあぐべきものは、すなわち地方に対する新財源の付與であり、一は平衡交付金の増額であります。今日地方税対象たるべき財源にして、しかも非課税となつておりまするものは約三百十億円、地方税收入見込額の約一割五分を占めておるのでありますが、この課税が、今日いまだ課税対象として考慮されておらないのであります。また国税におきましては常に軽減が叫ばれておるのでありますが、国税におきまして減税する上りも、これを地方税に委譲して地方の財源とすることが適当と認められるものもあるのであります。また平衡交付金につきましても、もしも平衡交付金法の法律の精神通り今日これを実施するといたしましたならば、少くとも百億や二百億の増額は期待できるのでありますが、今日この平衡交付金法におけるところの欠陥は、むしろその運用にあるのでありまして、平衡交付金法の規定による交付金額の算出の基礎において非常に誤りがある。簡單に申しましたならば、予算より逆算せられるという大きな欠陥があるのでありまして、これに対して少くとも是正を要すると考えます。  その原因がどこにあるかということを申上げますると、今月政府においては均衡予算を標榜しておるのであります。予算審議の際におきまして、遺憾ながら中央予算並びに国税のみが先んじて議論の対象となつておるのでありまして、地方自治に関する予算、地方税というものに対する考慮がほとんど拂われておらないというところに大きな欠陥があるのであります。これは單なる法律改正で済むものではなくして、地方自治に対するところの政府当局の理解によるものであります。今回の国会におきましても、地方税法並びにただいまの平衡交付金法の改正案は、予算に比しまして著しく遅れて提案せられておるために、中央地方の調節をはかることができなくなつたのでありまして、今後は中央地方の財政、予算とも同時に、しかも同じような重要さをもつて総合的に検討し、両者を通じての均衡予算並びに税の負担の公平を期することが肝要と存じます。この点に関しましては、政府、特に岡野国務大臣また池田国務大臣の猛省を要望いたしたいと思うのであります。なお中央の行政組織におきましては、今日多数の地方自治を代表する機関がありますが、これではきわめて弱力でありまして、今後真に地方自治の発展をはかるためには、やはり総合的な有力なる機構の設置が要望せられるということを、ここに指摘いたしたいのであります。  以上私は、地方財政、税制を通じまして、わが党の意見を表明いたしまして、その実現を強く要望して、両法案に対して賛成の意を表するものであります(拍手
  38. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  まず日程第四につき採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  39. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。  次に日程第五につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  40. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  41. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第六、漁船法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。水産委員長冨永格五郎君。     〔冨永格五郎君登壇
  42. 冨永格五郎

    ○冨永格五郎君 ただいま議題となりました漁船法の一部を改正する法律案について、その概要と、水産委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず本案のおもなる内容について申し上げます。  その第一点は、現行法においては、動力漁船の建造あるいは改造等については許可の基準として規定していたのでありますが、このことは漁業調整上重要なる基本的事項であるから、農林大臣が必要と認めたときは、都道府県別あるいは動力漁船の種類別に、その隻数もしくは合計総トン数の最高限度及び性能の基準を毎年設定することにしようとすることであります。  第二点は漁船の工事完了後の認定についてでありまして、漁船の建造及び改造については、漁業の種類とか、漁船の大きさ、性能等が許可の條件にはなつているが、でき上つた漁船が最初の工事許可の内容と必ずしも一致しないので、総トン数五十トン以上の動力漁船については、工事完了後、まだ漁業に従事しない前に許可條件について認定を行うように規定を設け、常に漁船の正確なる実態を把握して、もつて漁業調整及び取締り上十分なる指導監督ができるようにした点であります。  第三点は、漁船が登録された後、登録事項に変更があつた場合、登録がえをしなければならないのであるが、この点が不徹底であるため、都道府県知事は三年ごとに登録漁船と登録票について検認を行うよう義務づけ、原簿と実態との合致の徹底を期した次第であります。その他、従来登録手数料は国の收入であつたものを、地方財政確保の見地から都道府県收入に改める等、その他の関連事項について所要の改正を行わんとする次第であります。  本法案参議院提出でありまして、当委員会においては、三月二十四日提案理由の説明を聽取し、愼重審議し、三月二十七日の委員会において、質疑を打切り、討論を省略して採決したところ、多数をもつて原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上御報告申し上げます。
  43. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  44. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。     —————————————
  45. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、亘四郎君外三名提出、国民健康保險法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  46. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「休憩々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  47. 林讓治

    議長林讓治君) 院内交渉があるそうでありますから、このまま暫時休憩いたします……。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  48. 林讓治

    議長林讓治君) 暫時休憩いたします。     午後三時五十二分休憩      ————◇—————     午後四時十二分開議
  49. 林讓治

    議長林讓治君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————
  50. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、亘四郎君外五名提出、国民健康保險法の一部を改正する法立案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  51. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと求めます。よつて日程は追加せられました。  国民健康保險法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員会理事青柳一郎君。     〔青柳一郎君登壇
  53. 青柳一郎

    ○青柳一郎君 ただいま議題となりました国民健康保險法の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  国民健康保險は、昭和十三年実施以来急速な普及発展を遂げ、今や社会保障制度の一環として着々その成果をあげておりまして、現在における保險者数五千百、被保険者数二千五百万人を算しておるのでありますが、今回国民健康保險制度の運営を一層適正かつ合理的ならしめるため次のような改正を行おうとするのが、本改正法案提出理由であります。  次に本法案内容のおもなるものを申し上げますれば、第一は、国民健康保險の診療報酬を適正ならしめるため、これを審査する機関として、都道府県に一または二以上の国民健康保險診療報酬審査委員会を設置することといたしておるのであります。  第二は、特別の事由ある市においては、その市の一部の区域において、公営で国民健康保險を行い得る道を開いておるのであります。  第三は、一部負担金を療養担当者の窓口で支拂い得ることとし、また特別の事由ある者には一部負担金を減免する等の措置を講じ得ることといたしておるのであります。  第四は、今回地方税法改正によりまして、国民健康保險を行う市町村に、保險料にかえて国民健康保險税を課し得ることとなりましたことに伴い、保險料に関する規定を整理いたしておるのであります。本法案は、社会保障制度における重要なる一環として、従来本年委員会においても数次検討を重ねて参つたのでありますが、本月二十日、本委員会に付託せられ、提案者中川俊思君より提案理由の説明を聽取した後、だだちに審議に入り、時々診療報酬の審査機関に関すみ問題を中心として、きわめて熱心なる質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は速記録に譲ります。  審査の経過に伴いまして、本日の委員会において、青柳、丸山、金子の三委員より次の修正案提出されたのであります。  その第一は、第四十七條の二に、第二項として、保險者がみずから診療報酬の審査を行い、または都道府県を区域とする連合会に対してその審査を委託し得る規定を設けようとするものであります。その第二は、第四十七條の八として、保險者または都道府県を單位とする連合会が審査を行う場合におる審査機関等に関する規定を新設しようとするものであります。次いで質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して岡委員より、医療給付に対する国庫補助の早急実施方を強く要望せられて、修正案に対する賛成意見の開陳があつたのであります。  かくて討論を終結し、まず修正案の部分について採決に入りましたところ、全員一致をもつて修正案通り可決すべきものと決せられ、次いで修正案を除く他の部分について採決いたしましたところ、これまた全員一致をもつて可決すべきものと決せられた次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  55. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  56. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、永田節提出漁業法等の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  57. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動機に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  漁業法等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。水産委員永田節君。     〔永田節登壇
  59. 永田節

    永田節君 ただいま上程せられました漁業法等の一部を改正する法律案について、その要旨と、水産委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  御承知通り、昨年三月十四日施行を見た新漁業法は、その後二年の間にすべての漁業権を再配分し、漁民自身が新しい漁業秩序を再建する漁業制度の一大改革であつて、現在着々と進み、その最終段階に近づきつつあります。この間における改革の実績に基き、本制度改革をより効果的に、しかも円滑に実施するため二、三改正をしようとする次第であります。  次に本案概要について申し上げます。本案は漁業法と漁業法施行法とをそれぞれ改正しようとするのであります。まず漁業法関係から説明いたします。  第一点は、瀬戸内海におけます網漁業について、身網設置場所の水深が二十七メートル以上のものは、当然定置漁業として取扱われるのでありますが、瀬戸内のものについては、特に共同漁業権の内容として、漁業協同組合の管理下に置けるよう例外規定を設け、本漁業の適正なる運用ができるように改正しようとすることであります。  その第二点は、小型機船底びき網漁業についてであります。本漁業は、戰時中あるいは終戰後、食糧不定のため急激に増加して、水産物を増産し、食糧危機の緩和に大いに貢献したのでありますが、その反面、資源の枯渇を招来し、沿岸漁業の秩序維持にゆゆしい事態を惹起している現況であります。これがため本漁業処理の根本方針を確立し、制度改革をさらに強力に推進する法的根拠を規定しようというのでございます。  第三点としては、漁業調整を行う際、多くの場合、知事が海区漁業調整委員会意見を聞くことを要件としているが、このたびの改正にて、委員会が解散または定数を欠き、成立しないときには、知事は委員会に諮らず措置できるようにして、現在実施されつつある制度改革に支障が起らないようにしようとする点でございます。  その他入漁権の取得については、その性質上、漁業協同組合および同連合会に限定することを明確にし、あるいは漁業取締りに関する省令、規則の罰則は併科できるようになつておるが、漁業法の命令への委員が現在のところ不分明であるので、この点を明確にするとか、水産動植物の採捕に有毒物を使用することは全面的に禁止してあるが、特に内水面漁業については、調査研究のため主務大臣の許可を得た場合には有毒物の使用ができるように、その一部を緩和しようというのでございます。なおまた、公職選挙法の規定の準用等につき若干不備の点を改めたのであります。  次に漁業法施行法の改正について申し上げます。  漁業権の消滅時期については、政令によつて地区及び漁業権ごとに一括指定することになつておりますが、漁業計画の進行状況からして、画一的に消滅時期を指定することは実情に即さないため、漁業計画作成に直接関係ある知事がこの事務を行うよう改め、あるいは漁業権補償事務開始の時期についても、漁業権消滅後では、本改革達成の上からも適切でないので、できる限り早く補償額を確定し、証券交付ができるよう措置しようとする点であります。  以上が本案趣旨及び内容でありまして、この案は三月十五日水産委員会に付託となり、提案理由の説明をいたし、同月二十八日質疑に入りましたところ、自由党委員より修正案提出され、代表として鈴木委員より修正案趣旨及び内容の説明があつたのであります。その概要について申し上げます。  このたび改正の重要なる点については、当委員会、あるいはそれぞれの小委員会において調査研究を続けている問題であり、最近においては司令部より勧告を受けている重要なる事項であるから、委員会としては、なお慎重に検討すべきであるとの趣旨をもつて、小型機船底びき網漁業の規定並びに海区調整委員会の開会不能の場合における特例及びこれに附随する規定を削除しようとする点であります。  次いで、討論を省略し採決に入り、まず修正案について採決し、続いて修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもつて可決されました。よつて本案修正議決されたのであります。  以上御報告申し上げます。
  60. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  61. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  62. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、前田郁君外一名提出日本国有鉄道の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  63. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  前田郁君外一名提出日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長前田郁君     〔前田郁登壇
  65. 前田郁

    前田郁君 ただいま議題になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案前田郁外一名提出)について運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告を申し上げます。  本法案は、三月二十七日、本委員会に付託され、本二十八日提案理由の説明を聽取し、これを愼重審査いたしたのであります。  本法案趣旨は、日本国有鉄道の職員が町村の議会の議員となることができるようにしようとするものであります。本法案と同時に、淺沼稻次郎君外四十四名及び原彪君外二名より、それぞれ本法案と同一趣旨日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提出され、本委員会に付託されたのでありますが、前者は地方公共団体の議会の議員に国鉄職員がなれるようにしようとするもので、後者は市、都の区または町村の議会の議員に国鉄職員がなれるようにしようとするものでありましたので、本委員会におきましては、この三案を一括して議題とし、その審査を進めたのであります。  本法案に対し、きわめて活発な質疑応答がかわされたのでありますが、詳細は会議録についてごらんを願いたいと存じます。  次いで質疑を打切り、討論を省略して採決の結果、前田郁外一名提出にかかわる本法案は多数をもつて可決すべきものと議決いたしました。従つて、関連する他の二案は委員会において議決を要しないものと決した次第であります。  以上、簡單でありまするが、御報告申し上げます。
  66. 林讓治

    議長林讓治君) 討論通告があります。これを許します。柳原三郎君。     〔柳原三郎君登壇
  67. 柳原三郎

    ○柳原三郎君 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、国民民主党の見解を述べつつ本案反対せんとするものであります。  昨日、本院におきまして可決せられた日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、第七国会においてこの法律改正せられた際同時になすべきものであつた法文の字句の整理をいたしたものでありますが、これによつて、従来疑義のあつた点、すなわち国有鉄道の職員は地方公共団体の議会の職員を兼ねることができないということが明らかにされたのであります。翻つて地方における国有鉄道職員の居住状況を見るときは、分岐駅、操車場、機関区、工場その他国鉄関係の諸施設のある箇所における居住の割合はきわめて大きいのでありまして、これら箇所において、国有鉄道の職員がまつたく地方自治に参與することができなくなるということは、地方自治の本質にかんがみ、はなはだ遺憾と申さねばならないのであります。(拍手)一方、国有鉄道の職員が地方議員を兼職した場合、国有鉄道の業務に及ぼすべき影響について考えますと、もちろん国有鉄道の職員は、直接、間接に旅客、貨物の輸送に従事する重責をになつておるものでありますが、市区町村の行政区域は比較的狭く、かつ交通の発達いたしております現状におきましては、国有鉄道の職員が議員を兼職いたしましても、職員たるの責務を果しつつ、本来の国鉄職員としての責務をも十分に果し得るものと考えられるのであります。  元来、被選挙権というがごとき基本的人権は、もとよりでき得る限りこれを尊重すべきものであることは、いまさら申し上げるまでもないのでありますから、以上の諸点を勘案して、国有鉄道の業務に支障を来すことが少いと認められる範囲におきまして兼職制限を緩和し、町村の議会の議員のほかに、市及び都の区の議会の議員につきましても兼職を認めるべきが当然であるというのが民主党の見解なのであり  以上、民主党の見解を簡單に述べつつ本案反対いたすものであります。(拍手
  68. 林讓治

    議長林讓治君) 川島金次君。     〔川島金次君登壇
  69. 川島金次

    ○川島金次君 私は、ただいま上程になりました日本国有鉄道法の一部改正法律案に関する委員長報告に対しましては、以下述べまする理由によりまして断固反対をいたすものでございます。  わが党は、一般公務員に対する憲法上の基本的人権を尊重いたす建前から、一般公務員の諸君の政治活動の規制に対しても、従来から一貫した建前において反対を主張して参つたのであります。しかも、この法案によりますれば、日本国有鉄道の職員は、一般公務員諸君の立場とは実情を異にいたしまして、專売公社と同一の立場にあることは言うまでもないのであります。この專売公社諸君に対する地方議会の議員の兼職は、こうもこれを禁止しておらないのであります。この專売公社と同じ立場にありまする日本国有鉄道の諸君のみに対して、自由党諸君は、わずかに町村議員の兼職のみを認め、それ以上の地方議会の職員の兼職を不当に認めないという趣旨は、そもそも公務員並びに国鉄職員の基本的、政治的な当然の権利を抑圧する、はなはだ反動酌処置といわざるを得ないのであります。(発言する者あり、拍手)  諸君は口を開けば、国有鉄道の諸君に大幅に地方議会の議員の兼職を認めることは、鉄道の業務に著しい障害があると言われておるのでありますが、諸君の選出しておりまする運輸大臣の山崎氏は、従来国有鉄道職員の地方議会の兼職について、運輸行政に著しい支障があつたとは認めておらない、と言明いたしておるのであります。(拍手)さらにまた、国有鉄道の加賀山総裁以下それぞれの最高幹部の責任者の諸君においてすらも、国有鉄道の諸君が地方議会の議員を兼職しておりますところの従来の実績にかんがみても、今日までは国有鉄道の日常の業務の上に何ら支障がなかつたので、将来においてこれを認めてもさしつかえがあるとはわれわれは認めてあらないと、明らかに言明をいたしておるのであります。(拍手)主管の運輸大臣を初め、国有鉄道の総裁並びに所管の幹部においてさえも、明白にその兼職を支障のないことを言明しておる。(「現業員は違う」と呼ぶ者あり)しかるに自由党諸君は、この国有鉄道の諸君の地方議会の議員の兼職の中に、わずかに町村会議員だけを認めて、それ以上の市区及び都道府県会議員の兼職をあえて阻止しようといたしまする底意は一体いずれにありやということを疑わざるを得ないのであります。要するにこれは、来るべき地方議員の選挙を控えて、町村会議員以上の議員の兼職を認めることは、吉田内閣の相次ぐ失政、ことに鉄道職員の低賃金、労働の強化、あるいは定員の合理的な縮少、これらからいたしまして、鉄道職員の議員から大きな反撃を受けることを恐れての結果ではないかと私は感ずるのであります。  われわれは、以上申し上げました見解に基いて、鉄道職員に対する政治活動はこれを大幅に広げ、少くとも市町村会議員はもちろん、都道府県会議員に至るまでの兼務を認めて、国鉄職員の政治活動を最も闊達に、自由にこれを行わしめることこそが国鉄組合の健全な政治的発達の上に多大の寄與をなす事柄であろうということを深く確信しておるものであります。  以上申し上げました理由に基きまして、われわれは、ただいまここに上程されました、自由党諸君提案にかかりますところの日本国有鉄道法の一部改正法律案に対しまして断固反対し、さらに機会を見まして、われわれは所定の方針にのつとり、国鉄職員の政治活動の大幅な解除を徹底的に要求することを宣言いたしまして、この法案反対をいたすものであります。(拍手
  70. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  71. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  山崎運輸大臣より発言を求められております。この際これを許します。山崎運輸大臣。     〔国務大臣山崎猛君登壇〕     〔「おかしいぞ」と呼び、その他発言する者あり〕
  72. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 発言を許されております。(発言する者あり)発言を許されております。  ただいま議決に相なりました議決に対しましては、運輸大臣といたしましては、院議尊重の点から考えましても、さらにまた地方自治体における住民権を確立させて行くという点から申しましても賛成なのであります。ただ、ただいま川島君の言及されました点について、一言事態を明らかにいたしておかなければなりませんことは、何であるかと申しますると、(「必要なし」と呼び、その他発言する者、離席する者あり)運輸大臣は鉄道職員が地方自治体の議員を兼ねることに対して支障なしと申したるがごとく引用されたのでありまするけれども、私は、さような言葉を公の席上において申したことはありません。(拍手)むしろ議会において、(発言する者あり)私は前議会において、このことは支障はある、あるけれども——あるけれども、この問題に対しては、憲法の精神から考え、地方自治体における住民権を確立するという点からして、支障は最小限度にこれを縮めて、そうしてこれは認めなければならないものであるということを、はつきり委員会において述べているのであります。(拍手)この点は、どうか本議場におきましてはお間違いのないように、明瞭に御了解を願つておくものであります。(拍手
  73. 林讓治

    議長林讓治君) 本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十三分散会