○立花敏男君 私は、
日本共産党を代表いたしまして、ただいま
議題となりました、
修正案を含むところの
地方税法の
改正案並びに平衡交付金法に対する
改正案の両案に対し
反対の
意見を開陳せんとするものであります。
本
改正案は、
現行地方税法の單なる部分的あるいは技術的
改正案であるかのごとく装
つておるが、その企図するところはまことに重大でございます。なぜならば、国際帝国主義が━━━━ための重要なる
政策の一つとして昨年わざわざ改惡いたしました
地方税法を、さらに改惡する意図を露骨に持つものであるからであります。すなわち指摘するまでもなく、終戰以来六箇年、内外反動勢力が互いに結託いたしまして、
日本の政治、経済
産業を初め、━━━━東洋の民主的諸勢力に対する━━としておるのであります。特に最近朝鮮内戦に対する━━を契機といたしまして、この
政策はますます露骨を極めております。
そもそも
現行地方税法そのものは、人民の利益を守り、あるいは
負担の
均衡をはかるためにつくられたものでは断じてないのであります。
反対に、
国家予算を純粋に軍需予算として確保するためにつくられたものである。このことは、二十六
年度予算について見るも、きわめて明白であります。たとえば、すでに━━としての性格を持つと思われるところの終戰処理費や、━━
公共事業費、また━━警察予備隊費並びに海上保安庁費、その他━━━━莫大なる予備費を加えれば、その額は全予算額の五〇%に達するのであります。
国家予算がすでにこのようなものであるからこそ、その他の一切の経費、すなわち民生安定費、あるいは教育費、あるいは文化費、社会保障費、
災害対策費、その他民生の安定と向上に必要なる一切の経費はことごとく
犠牲に供されておるのであります。またそのためにこそ、国家より地方に支出すべきところの平衡交付金、各種
補助金あるいは地方起債等は、そのことごとくが大幅の削減を受けて
地方財政を圧迫し、結局においては
地方税として人民の
負担に転嫁されざるを得ないのであります。(
拍手)だからこそ、
現行地方税は、世界最惡の税法であるところの人頭税を
日本人民に押しつけておるのであります。また、だからこそ
政府は、減税をくちにしながらも、なお
地方税のみはますます増加しなければならないというのが
現状であります。すでに地方
住民の担税力を越えた税金は、いくらとろうにも、とれないのであります。このことは、たとえば東京都においては、一月末現在におきまして、
住民税の
徴收率はわずか四八%、大阪におきましては、一月三十一日末におきまして、わずか三二%であります。この事実自体が明かに、この
現行地方税法がいかに人民の担税力を越えておるかということを明瞭に証明しておると思います。そればかりではない。たとえば京都市におきましては、先刻御
承知のごとく、すでに給料の
差押えまで強行しておるのであります。また東京都下の警視庁の警察におきましては、税金を批判するところの一切の
住民の集会を禁止しておるのであります。これらの徴税の強化のために、人民はまつたく税金地獄に陥り、至るところで親子心中あるいは一家心中の惨劇が頻発しております。それのもではない。この惡税の結果は
地方財政の破綻を来し、二十六
年度の地方予算はまつたく編成難に陥
つております。すなわち東京都を初め、全国ほとんどすべての自治体が、二十六
年度の予算におきましては、暫定予算あるいは骨格予算しか組めないのが実情であります。しかも
政府は、この
地方財政の窮乏という弱点につけ込みまして、
地方自治体を完全に
政府の思うままに操縦しようとしておるのであります。たとえば自治体警察の廃止や、
市町村の合併奨励は、その現われであります。しかるに
政府は、かかる惡法を、この
改正案によりましてさらに改惡しようとしておるのであります。これは一対なんのための、かつまただれのための改惡であるか。
まず第一に。この改惡は、朝鮮に対する━━を契機といたしまして、━━せんがための、あらゆる
政策の一部としての改惡であります。すなわちダレスは、トルーマン大統領に対する
報告書におきまして、次のごとく述べております。たとえば大砲の照準器、双眼鏡、パラシュート等々を製造するために
日本の労働力と
生産設備を利用することは、西ヨーロッパにと
つて重要なことである。このような軍事的寄與の
基礎となるところの
日本経済は、できるだけすみやかに
復興させるべきである、これは三月二十八日の朝日新聞の記載でありまするが、これは明らかに、
日本をまつたく━━の支部として再現せんとする主張ではありませんか。
第二に、国内においては、反動勢力がこれに便乗いたしまして、━━のための一切の
犠牲を勤労大衆に背負わせようとするための改惡であります。これらのことは、幾らでもこの
改正案そのものの中に証明することができます。
まず付加価値について言えば、加算方式を採用することによ
つて、独占資本、特に軍需
産業の莫大なる特需利益を無謀に保障している。すなわち、特需利益の大部分を含法的に脱税せしめようとしておるのであります。また大工場が外国から仕入れました機械設備等に対しましては、一文も税金をかけない。
次に
住民税についてこれを見ますれば、━━を勤労大衆に背負わせるために、とうてい拂えないような、
負担のできないまでにこれを改惡するのであります。それは、まず第一に、扶養
控除、あるいは医療
控除、あるいは
災害控除等を認めない。その上、総
所得に
課税することにした結果、今まで税金のかかりませんでした零細
所得者約三百万人が新たに税金を取上げられるのみならず、税額は現在の三倍ないし四倍に
引上げられるのであります。第二に、このひどい税金を、勤労
所得者に対しましては、有無を言わさず給料から天引きするのであります。こは
労働者の実質上の賃金切下げであり、かつ同時にお
労働者を
一般人民の税金闘争から切り離すための陰謀であることは明らかであります。
次に、国民健康保險税について言えば、保險の掛金を税金とし、今まででも拂えなかつた医療費を、
差押え、公売で脅かし、無理に強奪するのであります。
最後に、税の
徴收の強化について一言するならば、すでに
昭和二十五
年度におきまして六十億の徴税費を増額し、三万人の
徴收吏員を増員いたしましたが、最近これをますます強化いたしまして、青年団員までも徴税のため動員して、むごい税金の取立てを強行しておるのであります。しかも一方、特定の外国並びに外国人に対しましては、税法上の
規定を無視いたしまして、ほとんど税金をと
つておらない。その結果、自治体がますます
財政破綻の度を加えておるのは明瞭であります。
以上のごとき、一方的かつ無謀残忍な税金の取立ては、まさに━━のしわざであります。同じ
日本人であるならば、かかる情容赦のないしうちはできるものではない。これは一体なぜであるか。われわれは、この
地方税法が、━━ということを、心から銘記しなければならないと思うのであります。
最後に、
政府與党は本
改正案の急速なる成立を策し、あらかじめ予定されました最後のときに至
つて突如厖大な
政府修正案を
提出し、一挙にこれを通過せしめるという暴挙をや
つておるのであります。しかも、その
内容たるや、以上われわれが見て参りましたところの軍需資本の擁護、人民收奪の強化、この線を最も端的に
規定するところの、最も惡質な
修正であります。すなわち
修正案は、一方において軍需資本家の
銀行預金の
利子を免税しておる。また彼らがその雇用する勤労者より
源泉徴收いたしましたところの税金を一箇年間自由に融通できるという露骨な資本家の擁護
政策をと
つており、他方
一般人民に対しては、もしある人が税金を拂えないときは、彼のすべての親戚、すべての友人から、か
つて彼が贈與したところのものを取上げるという、まつたくひどいものであります。まさにこの
修正案は、肉親の情も無視するところの非人間的な
修正であります。
さらに私は、社会党、民主党、
自由党の共同
修正案について一言しておきたい。この共同
修正案は、
地方税法の持つところの根本的な反動性、非階級性を何ら
改正するものでないことはもちろんでありますが、ただこれは
地方税法改悪に憤激するところの人民大衆を欺瞞する役割を果すにすぎないのであります。苛酷なる税金に悩むところの人民は、決してこの
修正案によ
つてごまかされないことを明言しておきます。
〔「時間だ」と呼び、その他発言する者多し〕