○圖司安正君 ただいま
議題となりました
外資に関する
法律の一部を
改正する
法律案について、
委員会における
審議の
経過並びに結果を御
報告申し上げます。
御承知のごとく、わが国の自立経済の達成と発展をはかり、国際收支の均衡を維持せんがためには、国内資本の蓄積とともに民間
外資の導入を促進することのきわめて必要なることは申すまでもありません。これがために、昨年
外資に関する
法律を制定いたしまして、
外資導入に資する法的措置を定めたのでありますが、本法第
二條にも明らかなごとく、わが国に対する外国資本の投下はできる限り自由に認めらるべきものであり、届出または認可の制度は、この必要の減少に伴い逐次緩和または廃止さるべきものであります。最近の諸情勢から見ますれば、今やこれらの制限を緩和すべき時期に立ち至つたと認められるのでありまして、この際外国投資家の株式取得に関する従来の制限を緩和して
外資導入をますます促進せんとするのが、今回の
改正を行う目的なのであります。
本案の
内容を申し上げますれば、第一に外国投資家の株式取得の制限を緩和しようというのであります。それは、当該法人の財産の増加をもたらす株式、すなわち新株の取得については、配当金の外国向け支拂いを保証する必要のない限り認可を要せず、
外資委員会に届け出れば足りるものとしたのであります。また当該法人の財産の増加をもたらさない株式、すなわち旧株の取得については依然認可制度をとるが、その取得が投資計画の一部でない場合でも、外貨または外貨と同等の価値のあるものを対価として取得する場合に限り認可し得ることといたしたのであります。
第二に、外国投資家が本邦において所有する財産が強制的に收用または買收された場合における補償金の外国向け支拂いについて、その手続を明らかにするため第十七條の
規定を整備したのであります。
第三に、外国人の財産取得に関する政令の
規定に基く認可を受けて、外国投資家が取得した株式で、
外資に関する
法律の基準に照して妥当と認められるものについては、配当金の外国向け支拂いを確保する道を開くようにいたしたのであります。
本案については、去る三月十五日に提案
理由の説明を聽取して
審議に入り、二十日に
質疑をいたしましたが、従来投資計画の一部でなければ投資できなかつたものが、投資計画がなくとも投資し得ることに
改正したために、好ましからぬ外国人の株式取得によ
つて財界を撹乱されるおそれがないかとの
質問に対し、
政府は、かかるおそれがないよう十分に
注意しており、外国人の取得株式の配当金で送金を将来予想されるものは毎年四万ドル程度の見込みであ
つて、これがためにわが国の財界が撹乱されることがないと信ずるとの
答弁がありました。また土地その他の不動産取得が、外国投資家のみならず、外国の宗教団体や公益団体より申請された場合、それがわが国の重要資源の保全や自作農耕地の保護の上から好ましくない結果を生ずるおそれはないかとの
質問に対し、
政府は、まつたく同感であ
つて、従来外国人がわが国内でもうけた不当な邦貨で取得せんとするものは、これに許可を與えず、農地法等によ
つても抑止はしているが、今後は一層
注意を拂う旨の
答弁がありました。なお日米経済提携問題との関連についても
質問がありましたが、これに対し
政府は、自立経済をそこなわない限り提携は望むところだが、
外資の導入は、わが自立経済が達成され、日米経済提携ができてから初めて本格的になるものであると思うとの
答弁がありました。
かくて二十日、
討論を省略いたして採決に入りましたが、本案は全員一致をも
つて原案の通り可決されました。
次に
国土調査法案について、
委員会における
審議の
経過並びに結果を
報告申し上げます。
近く
講和を控えたわが国といたしましては、経済の自立をできるだけすみやかに達成することが絶対に必要でありまして、これには生産の向上発展と、貿易の飛躍的拡大をはかるとともに、これが前提として
国土資源を最大限に活用いたしまして、わが
国民経済の基盤を一層充実さして行かねばならないのであります。すなわち、土地の利用度を保持するために
国土を保全し、
国土利用を一層高度化し、
国土の人口扶翼力を強化するために、その基礎條件として土地及び水に関連する幾多の施策を必要とするのでありますが、これが適切有効なる実施には、その計画及び具体化の基礎として
国土の量的及び資的の実態を正確に把握しなければならないのであります。本案は、実にこの
国土の実態を科学的かつ総合的に調査し、
国土の開発、保全及び利用の高度化に資することを目的とするものであります。
本案の
内容について申し上げますれば、
国土調査とは基本調査、土地分類調査、水調査及び地積調査をいうのであります。基本調査とは、土地及び水の測量の基準となる基準点測量並びに土地及び水の所在及び面積、行政区画の境界及び面積に関する測量及び調査を行い、
国土調査基本図を作成することをいうのであります。土地分類調査とは、土地利用現況及び主要な自然的要素並びに收量に関する調査を行い、土地利用現況図、土壌図、土地保全図及び土地收量等級図を作成することをいうのであります。水調査とは、気象、流量、水質、流砂状況、取水量、用水量、排水量及び水利慣行等、治水及び利水に関する調査を行い、治水図及び治水台帳並びに利水図及び利水台帳を作成することをいうのであります。地籍調査とは、毎筆の土地の所有者、地番、地目、地積及び境界に関する測量及び調査を行い、地籍を作成することをいうのであります。
第一に、この
国土調査の計画及び実施については、基本調査は政令で定める国の機関及び都道府県、土地分類調査と水調査は国の機関、地方公共団体及び土地改良区その他政令で定めるもの、地籍調査は地方共公団体及び土地改良区その他政令で定めるものが当るのであります。
第二に、
国土調査に関する業務は経済安定本部において統轄することとし、そのために経済安定本部に
国土調査審
議会を設け、
国土調査に関する重要事項について調査
審議し、調査の実施は
関係各省庁が各所管に応じてこれを行うことにしたのであります。なお
国土調査審
議会は、経済安定本部総務長官及び
委員三十人以内で、
委員は
関係行政機関の職員及び学識経験者から総裁が任命する者をも
つて組織することにしたのであります。
第三に、
国土調査が実施される都道府県に
国土調査
委員会を
設置し、都道府県の区域内における
国土調査の実施のため必要な連絡及び調査を行うこととしたのであります。この
国土調査
委員会は、都道府県知事、当該区域内における市町村長の
代表者二人、
関係行政機関の職員及び学識経験者から知事の任命する八人の者をも
つて組織することにしたのであります。
第四に、
国土調査の結果作成された地図及び簿冊につき認証の制度を設けて
国土調査の精度を確保するとともに、この成果によ
つて土地台帳等の訂正を行うことができるものとし、なお
国土調査を行う地方公共団体等に対しては
予算の
範囲内で所要の補助をなし得るものとしたのであります。
本案については、去る三月十三日に提案
理由の説明を聽取し、
審議に入りましたが、本案のわが
国民経済上における重大性にかんがみまして、
政府より詳細なる資料の
提出を求め、最も熱心なる
質疑応答が行われたのであります。すなわち、かかる計画は徹底的に一貫した方針のもとに、国が負担して、
法律上の強制力をも
つて実施すべきではないかとの、
質問に対し、
政府は、それはまことに望ましいことであるが、財政上の
理由から国が全部を負担することが困難であるから強制力を持たないものとしたが、しかし基準点の測量その他基本調査、分類調査、水調査等、
全国にわたるもの及び重要なるものは国が負担して実施し、細部にわたるもの及び自発的に地方が望むものは地方に実施せしめることとし、また国が直接負担せずとも、地方負担のものについては、国から補助金として財政の許す限り支出するから、この実施は困難ではないと思う、との
答弁がまりました。また地籍に関して所有権の問題があるが、これがために紛争を惹起することはないか、また土地所有者がこの調査を喜ばないということはないかとの
質問に対し、
政府は、この調査は所有権の問題に立ち入らないから、紛争を直接解決するものではないが、正確なる基礎資料を提供するものであるから、かえ
つて紛争解決を促進することになるであろう、
従つてこの調査については、土地所有者の中には多少喜ばない者もあるかもしれないが、しかし非常に要望する者も多いのであるから、結局は
国民一般にと
つて利益になることが理解されるものと思う、との
答弁がありました。
かくて昨二十三日、
討論を省略して採決に入りましたが、全員一致原案通り可決されました。
右御
報告申し上げます。(
拍手)