○横田甚太郎君
政府の本案
提案理由に盛られた
内容のごとき日本
農村の実態である奮ば、われわれは、日本
農村にいかようの
政府お手盛り
委員がつくられようとも、一向に苦情は言わぬ。しかし日本
農村の実態は、
農民とその一家と、日本の繁栄のために
農業を営んでいるのではない。戰時政権が残して行つた
供出政策のつじつまを合せるために、どろの中にたたき込まれ、前世紀的な懲役労働のもと、乏しいやりくりのために人生を消耗しているのであります。地球上で最もよく働く日本の
農民が、一家をあげての労働と、
政府が指示する農産物の処理だけでは生活できない。安い賃金を求めて娘やむすこを工場に出かせぎに出すか、はなはだしいところでは身売りをさせる。暗黒街の特殊飲食店への身売り子女の人的供給源は
農村である。や
つてはならないことをやることによ
つて農家経営の赤字が補われているのであります。これが
政府御自慢の三百万戸の
自作農家創設の実態なのであります。
配給と
統制の時代に、
政府には届けられない、やみのやりくりのための農産物を残すことにおいて、
農業再生産がやつと持続されている。ここに
農村ボスが残り、
農民の名による各種
委員会は
農民のために働けず、収奪の中に自己を保身するための世渡り上手な手合いが多くのさばり、日本の
農業生産力向上阻害の根源がここに残
つておるのであります。平和と自由な正常経済のもとには成り立たず、動乱と混乱、原子兵器の生産異常で世界が不安におののき、主食消費者が低賃金に拘束され、強権のもと、食を求めて配給と
統制下にリユツクサックを背負
つてあがき、町の人々が困る。人間としては好ましくない世相のもとでしか
経営の成り立たないように仕組まれているのが日本の
農業政策であります。最もよく働き、耕しつくる者が、勤労の喜びの中に、実るもののよりよき
成果のためのくふうと
努力と
研究に精進できない。やみ屋のおつさんにならない限り一家の
経営は背負
つて行けない
農業事情のもとに、日本の
農村の
民主化なんかできるわけがない。
この議会で
農業経営合理化のために
農家の有畜化が論議されているとき、皮肉にも関東方面で農耕馬が不足し、やつとの思いで秋田で大きく
なつた農馬が、金詰まりの
農家は背に腹はかえられません、五月の青草季節まで飼い切れませんと、二才駒で一万円から二万円の安値でたたき売られておるのであります。
農家経営の足しにならず、
負担にな
つている。米軍占領下の議会での
農村論議が、
農民にそつぽを向かれておるのであります。
農家へ飼料をの声も、飼料の暴騰で、卵を産む前の若鶏は売られ、
農民の豚は太らずに犬のようにやせ、持ち切れぬ
農家の売る肉はどんどん投げ売りされて、値下げされているにもかかわらず、町では重税のため一向に安くならずに、町の働く人の口には入らないのであります。
農村の生産物を正常に操作させず、不当に中間搾取を許し、日本
農業の弱体化をはか
つて行くやつは一体だれなんだ。
農村に対し必要以上の強権的支配を重ねている占領下の政権ではないか。
農業政策への行き詰まりは日を追
つて深ま
つて行きます。供米の頭打ち、農協の行き詰まり、
解放農地の差押えや、やみ売り、
農家にのみ必要な肥料が糸へん、金へんの金もうけの対象にな
つて、一袋百六十円の石炭窒素が伊藤忠に買われて、四百円で
農家に売り拂われ、強欲な伊藤忠の金庫を太らせておるのであ
つて、
農業生産の阻害にな
つておるのであります。
日本天皇制政権下、当時の侵略の物的、人的根源は
農村の窮乏にありといわれたその
農村は再び窮乏の中に沈み、その帯しみの中に、これを運用する支配者の意のままに、—————戰争兵器、戰略物資生産のための
加工貿易を仰せつかり、英国にさえ非難される低賃金労働者と、武器持つ警察予備隊の人的給源地にな
つておるのであります。
自由党は申します。廣川農相で
予算がふえた、今後三箇年かか
つて開墾十五万一千
町歩といば
つておりますが、その口の下で、
昭和二十一年から二十三年まで平均して、田畑を合して約四万
町歩が壊廃に帰しているのが事実であります。興農て一割増産、
食糧自給度向上をいう日本の
農地委員会のあるところの
農村では、金をかけた開墾地が、やつと米麦が実るように
なつたと思うころ、外国の飛行機がおりて来るのであります。田畑は米麦をつくるものであ
つて、飛行機を実らせるところではない。一方で荒れ地開墾の名のもとに国民の重税を浪費しつつ、一方で四分の一の、よく実る美田、良田をつぶして行く。そうして人力と全力とを浪費して行く。むだな戰争
準備のための、米国人好みの政治支配をやめてしまへ。今までも
政府は、
食確法第八條を、日本の
農民のために法として運用しなかつた。———の利得のために運用して来た。ジープによ
つて供米が集められるとき、
食糧法第八條は無力であつたのだ。日本人によ
つて選挙された、日本人の構成する心議会でつくつた伝が、日本権益の保護にならぬ。いつまでわれわれを占領下の二重政権のもとに——するのか。
戰後政権は、
農地改革をやれといわれてやつただけで、その実相は、紙の上で
地主の名を
小作人の名に書きかえただけだ。民主主義下の
農村のあり方なんて考える能力を持
つていないのが
自由党だ。
小作料のかわりに重い公租公課、
農家への工業製品の高い価格での売込み、安い値段での農産物の収奪、家計費の圧迫等、都市失業者の
農村への押しつけ、依然として
農村は搾取の対象だけにしかな
つておらないのであります。
農地解放の結果としての、ゆたかな経済力の裏づけによる
農業経営の
合理化も、生産の飛躍的増強もありはしない。逆に
国内水田の荒廃は、無
計画な
土地の酷使がたた
つて、老朽化水田、秋落ち、あるいは低位生産地等、全国水田
面積三百万
町歩の三〇%以上に上
つているのであります。
政府の説明、
答弁中に、
農業生産力の
発展及び
農業経営の
合理化を促進し、
農民の
地位の
向上を云々、
制度上の自主性が重視され、上からの
農業政策を下からの
農業政策に切りかえるのだ、
農民の意欲や希望と一致さすのだ、民主的な組織を
農村につくるのだ、こういうようなことを言
つておりますが、こんなことは、もつともらしいうそであ
つて、これらはみな、廣川農相が唱え続けて来た、から念仏の値打以外の何ものでもないのであります。(
拍手)共産党の非合法化だなんて、日本の難解な
農業問題を真剣に考え、これと真正面から取組む気力を失つた廣川農相の、でたらめな覆言であります。
農業問題へのふまじめさは、やがて世界の現状、日本の地理的政治経済のあり方よりして、廣川農相が共産党非合法化問題でなめた苦杯よりもつとひどいしうちを、保守政治家廣川氏と、その率いる政治勢力に與えるでありましよう。
日本の政治家は、日本の国富を軍艦長門や武蔵につぎこみ、太平洋のまつただ中にたたき込んでしまつた。このむだな、ど根性が、まだ残
つておるのであります。こういうような根性を捨てて、
農村にうんと金を出せ。つく
つて、飼
つて損にならぬところの
農業に切りかえよ。そうでない限り、生涯意欲は起りはしない。その
農業こそが、日本国民のために、町と村に、よき米と麦と肉と乳と卵を保証するのであります。
農民の利害得失のはつきり表明できる、日本経済の一環を背負う
農民の
委員会が生れるのであります。
政治は、この逆を行
つている。池田蔵相は、所得の多い者は米を食え、肉を食え、所得の少い者は麦を食え、いわしを食え、と言
つておる。廣川農相は、
農家労賃は安く
なつたと言
つておる。
政府の農政担当者は、
農民のふところぐあいがよくなれば百姓が米を食い、
農民が貧乏すれば、米を出して、麦やいもや大根を食うのだ、こう言
つておるのであります。これでは、まるで米つくる
農民に、政治の作用で、労働に報いず、逆に貧乏させて、
農民に、おいしい米を出して、まずい麦を食らえと言
つているのと同じことであり、池田蔵相の、所得の少い者麦を食えの
内容の具体化は、日本
農民に與えた回答であり侮辱であります。こんな心構えの政権であるがゆえに、月に十数回、二合七勺の配給を求める町の人々に対しまして、米の不足分を石を食わすのだ。責任を感じて、まず石はよ
つて、
自由党、
食糧庁の役人がまつ先に食うべきなんだ。そうして外米の宣伝をしたまへ。こんな政治家の集まりであるなればこそ、日本の国土と人民に自信が持てず、いつまでた
つても長く自立を妨げ、日本を植民地化するようなアメリカの援助が必要なんだ。
アメリカが援助物資だというものは、日本でぜいたくな暮しをしているだれかを利得せしめたであろうが、個個の
農民も労働者も、びた一文も借り貸しはない。援助だ援助だと、いつまでも—————にされ、————られては、ありがた迷惑だ。ついでに言
つておくが、米国の対日援助は二十億五千万ドルと言
つておるけれども、外国軍隊のために日本国民が
負担した終戰処理費は、われわれの計算よると三十億ドル以上にな
つている。
自由党の大臣諸公、もつと日本の政治のあり方に内省を深めよ。安い賃金と低米価で働く人々に十分な支拂いをしないから
国内市場は太らず、
従つて貿易の自主性は確立されないのだ。日本の地理的環境や国情を無視した、米国資本主義本位の日本資本主義の再建のあがきをや
つているから、日本の政治的、経済的自主性を失い、援助の中に戦争を招くのだ。小麦の自給国であつた—————が、小麦の輸入を仰がねばならない国にな
つてしまつた。
—————が—————でやつた
農業改革の結果を、われわれは忘れることはできない。
戰時戰後を通じまして、日本
農業への非常な無理は、
供出の重圧であります。日本
農民がつくつた良質の米は一石五千五百二十九円で
供出させられ、そうしてこれが一キロ五百十五円で配給されている。ところが、一石八千円から一万円で買付された、石のまじつた高い外米が値打がないから、十キロ四百六十五円の、内地米より約一割安い値段で配給されているのが実態なんです。外国人のもうけを、本年は二百二十五億の補給金を出して日本国民が
負担している。この無理を隠すために戰後の
供出制度の持続があるのだ。この間違つた
政府の
農村收奪のお手伝いをさせられるための下請
機関が
農業委員会なんだ。こんな間違つた考えの人々がつくつた
法案並びに関連
法案には、
日本共産党は絶対に
賛成できません。
反対であります。(
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