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川本末治君 ただいま
議題となりました
消防組織法の一部を
改正する
法律案に関しまして、
地方行政委員会がこれを立安するに至りました
理由及び起草の
経過並びに結果についてその
概要を御
説明申し上げます。
御承知の
通り消防組織法は、
昭和二十二年十二月二十三日
法律第二二六号をも
つて公布され、翌二十三年七月二十四日、
消防法の
制定公布と同時に一部
改正を見たのでありまするが、
消防機関の
組織を定める
本法は、
消防活動の作用に
基準を與える
消防法と相ま
つて、新
消防制度の基盤とな
つていたのであります。しかしながら、その後
法律施行の実績に徴し、また近年
火災が頻発し、その被害も少からず、
日本再建途上の
一大障害とな
つておる
現状にかんがみ、
消防法については、昨年五月、第七回
国会において、
火災の予防及び
防火活動を一層有効適切ならしめる
趣旨から
相当に大きい
改正が企てられ、同じく本
委員会から
改正法案が
提案されて、その
成立を見たのであります。
消防組織法につきましても、かねてより
全国各地の
関係官民、各
団体等から、その
改正について
陳情や
要望があ
つたのでありますが、その主眼とするところは、要するに
消防組織の
強化充実をはかるとともに、
消防関係者の自覚と責任を高め、あるいは無用の
制限を除き、その地位を保護することによりまして、
消防目的の達成に完璧を期そうとするものであります。
昨年三月、
消防振興の
目的をも
つて衆参両院の
有志議員によ
つて結成されました
消防議員連盟におきましても、その
常任幹事会において
本法改正の必要を認め、数個の問題点を採択して、すみやかにこれを
法律化することを
議決したのであります。
本
委員会におきましては、この間の
事情に即応するため、昨年十二月十一日、不肖
川本末治外十二名の小
委員を選任し、
本法改正について鋭意研究を遂げ、小
委員会を開くことは二回でありましたが、その問
関係方面とも連絡して、調査立案に遺憾なきを期し、
愼重審議の結果、過日ようやく
改正草案ができましたので、本月二十日、川十小
委員長から本
委員会に草案起草の姻過並びに結果の
報告をなし、本
委員会においては、若干
質疑応答の後、これを本
委員会の成案とすることについて
採決の結果、
賛成多数をも
つて本
委員会の
改正法律案といたすべきものと
議決いたしたのであります。
以下、
改正のおもなる点を申し上げますが、その
内容は大よそ次の三点であります。
まずその第一点は、現行法の第九條の
規定を
改正して、ここにあげられている各種の中枢的
消防機関に対して閥瞭なる法的根拠を與えるとともに、これらの
消防機関の全部または一部を市町村は設けなければならないとしたことであります。けだし消防団、消防署、消防本部、消防職員及び消防団員の訓練機関は、
消防組織の根幹、中核であり、防火消火その他
消防目的達成のため有効な現実の活動をするか、あるいはその能率を
向上するための教養訓練をなす機関でありますから、これを
組織法止において並列包括的に明示し、市町村はその
実情に即して、それら機関の全部またば一部を義務として
設置しなければならぬこととしたので事あります。
もとより消防団は、
全国至るところ、いかなる山村僻地といえ
ども設置せられており、たとい
法律上これを義務づけずとも、自衛のためにもみずから
組織せられる必要性のあるもので、その輝かしい伝統、事実績及び数量のいずれより見るも、
消防組織上重要なことはいうまでもありません。人口やや集中して、
相当な市街地ともなれば、消防団のほか、常備消防が設けちれるようになり、さらに大都市ともなれば、常時訓練を行い、
相当な設備を持つた専門的な消防施設が絶対に必要であります。大よそ市制を施行する程度の都市におきましては、現今多数が消防署を
設置しておるのが事実でありますので、
法律上も、かかる市街地は漏れなぐ近代的、科学的な消防施設を設けなければならないとすることが望ましいと考えられるのであります。よ
つて、いずれを重しとし、いずれを軽しとすることなく、それぞれの重要性に着眼しつつ、すべてこれを包括的に
組織法上に明示して法的根拠を與え、かつ市町村の護憲義務を法定してこれら
消防機関の重要性を強調するゆえんのものは、当該市町村の具体的
実情に適応しつつも、及ぶ限り
消防組織の充実を期するとともに、
消防関係者の自覚を高めようとするがためであります。
改正の第二点は、消防団員の災害補償制度の確立に関するものであります。一身を犠牲にして水火の難におもむく使命を帶びております消防団員が、後顧の憂いなく、危險に際して十分な活動をなし得るためには、不幸にして死傷等災害を受けた場合、
相当な補償を受け得る制度を確立することの急務なることは申すまでもなく、さきに
地方公務員法が制定せられ、その第四十五條の
規定により、
一般の
地方公務員に対してはその原則が定められたのでありますが、非常勤の消防団員は特別職でありまして、
地方公務員法の適用外にありますので、
本法において特に新もく
規定を設け、これを救済しようとするのであります。
改正の第三点は、消防団長を含めた消防団員の公職立候補禁止の解除に関するものであります。公職選挙法及び同法施行令によれば、消防団員は現職のまま公職の選挙に立候補することはできないことにな
つております。しかしながら、非常勤の消防団員は
一般の
地方公務員とは著しくその性格を異にしており、かつ
地方の
実情におきましては、それらの人々は、多くはその地の中堅ないし有識階層に属し、これらの人々が何ら報酬にかかわりなくして、義勇的に奉公している消防団員の職にあるのゆえをも
つて、立候補できないとすることは、ただに本人に対して酷であるばかりでなく、広く人材を網羅して民主政治を行
つて行こうとする
趣旨にも反し、適当ではありませんがら、その
制限を解き、消防団員は現職のまま立候補できるようにしようとするものであります。
その他は、この機会において数箇所字句の整備及び事項の合理化をはかろうとするものでありまして、たとえば消防吏員の階級の
基準は従来一定のものがなく、各市町村で区々であつたものを、国家消防庁の定めた準則によ
つてこれを定めるとか、消防団長の任命形式を整備するとか、消防事務
組合町村の
規定を完備するとか、
地方公務員法の施行に伴う法文の字句の整理及び事項の調整を行うというがごときことが
改正案のおもなる
内容であります。
以上、
改正案の
提案理由並びに起草の
経過及び
内容の
概要を申し上げた次第であります。何とぞ御
審議の上御
可決あらんことをお願い申し上げます。(
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