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1951-02-13 第10回国会 衆議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十三日(火曜日)  議事日程 第十一号     午後一時開議  第一 特許法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 実用新案法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 意匠法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 弁理士法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 商標法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  吉田内閣総理大臣の外交問題についての発言  日程第一 特許法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 実用新案法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 意匠法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 弁理士法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 商標法の一部を改正する法律案内閣提出)  全国選挙管理委員会委員及び同予備委員指名     午後一時十九分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 内閣総理大臣から外交問題について発言したいとの通告がありました。この際これを許します。吉田内閣総理大臣。     〔国務大臣吉田茂登壇
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 今回のダレス大使一行の日本訪問に際し、私及び政府係官大使その他と話し合つたことの内容につきまして、お話いたします。  今回の話合いは、講和條約の交渉または下相談というものではなく、講和及びこれに関連する諸般の問題について互いに隔意なく意見を交換いたした次第であります。今回の話合いを通じて私が特に深く感銘いたしましたことは、わが国に対する米国の好意の銘すべきものがあることであります。これは敗戦の旧敵国として日本を見ていないというだけのことではありません。米国敵国としての旧怨を忘れるばかりでなく、進んで日米両国民主自由主義諸国の一環として共同防衛の責任をわかち、将来の長きにわたつて友交関係を結ぶことを希望しておる熱意を示されたことであります。(拍手)  私は、わが国として新しき将来の運命を開拓して行くについては、民主主義諸国、特に米国と緊密に協力して行くべきであると、かねがね信ずるものであります。この点は、国民大多数も最も同感するところであると私は確信いたすものであります。(拍手従つて米国政府がかように寛大、友好的な態度を示されることは、日本の将来のために、はたまた東洋平和のために、まことに御同慶の至りであります。(拍手)  米国政府日本との平和條約について抱いておる構想は、いわゆる七原則に示されておるのであります。この七原則は、平和條約に取入れらるべき内容のほとんど全般を盡しているものであります。その内容は、各位においてすでに御承知のことでありまするから、ここに繰返しません。米国がこのような情想を提示しているゆえんも、前述の根本方針に照して考えるときは、初めてよく了解せられるのであります。われわれとしては、このような米国の対日講和方針が他の関係諸国のいるるところとならんことを念願いたす次第であります。  講和に関連して最も問題となるのは、わが国安全保障の点であります。安全保障は、国内治安確保と、外部からの侵略の排除という両面があるわけであります。一国の安全は自力で確保するのが根本であることは、私が従来常に申しておるところであります。国内治安は、現状においても、こうも懸念なしと信ずるのでありますが、ますます警察治安の機関を充実いたしまして万遺憾なきを期する考えであります。しかし、対外安全の面については、現在の日本としては、独力のみでは確保いたしがたい場合も想像しがたくないのであります。さらにわが国のみならず、国際情勢の緊迫せる現状において、いずれの国も共産主義の侵攻に対して共同防衛をもつてするのほかなく、(拍手独力をもつて安全を保障し得ない現状にあるのであります。今回の話合いに際して、ダレス氏が、さしあたり、もし日本が希望するならば、日本に対する外部からの侵略を排除するために、米国の兵力による援助を興うる用意があるとの意向を表明せられたのであります。(拍手)この米国協力関係に入るということは、国際現状のもと、最も適当した策であります。また国民の大多数が心から歓迎するところであると信ずるのであります。(「ノーノー拍手)私は、この趣意により話合いを進めた次第であります。  われわれが、ただ一方的に他国から安全を保障されるだけで、みずからの国土を守るのに、みずからは何らの犠牲をも拂わないということは、国民としての自尊心がこれを許さないところであります。(拍手)また世界平和確保のため協力するということは、平和愛好国としての責務であります。日本の果すべき役割の内容範囲は、日本独立を回復し、自由諸国の社会に対等の一員として仲間入りをいたしました上で、わが国力の回復の度合いに応じて将来において決定せらるべきものであると信ずるのであります。(拍手)この点は、ダレス氏も最もよく了解せられたところであります。  その他七原則に含まれている広汎な事項について、米国構想を聞き、領土、国連加入民主的改革、賠償、在外資産戰争犯罪人通商経済、漁業、文化交流など、わが国民の最も関心の深い事項については、十分に話し合つたのであります。その結果、十一日の発表の双方のステートメントにあります通り、すべての点において双方にとり最も満足すべき了解に到達いたしましたことを欣快といたします。(拍手)そのうち米国の特に関心を有する東太平洋の漁場については、わが方において一方的に自発的措置を講ずることによつて暫定的に解決いたしたのであります。  米国は、今回の結果を考慮に入れて、平和條約締結のため、他の連合国とさらに折衝を重ねられることとなつております。私は、今回のダレス使節団日本訪問が、講和問題解決に一段の促進をすることと信ずるのであります。またそうあることを衷心から希望いたしてやまないのであります。  講和問題が、かように推進せられるに至りましたことは、マツカーサー元帥日本に対する日ごろの深い理解と、多年の間の不断の支援によるところであります。特にここに諸君とともに謝意を表したいと思うのであります。(拍手)      ————◇—————
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、特許法の一部を改正する法立案日程第二、実用新案法の一部を改正する法律案日程第三、意匠法の一部を改正する法律案日程第四、弁理士法の一部を改正するほう立案日程第五、商標法の一部を改正する法律案、右五案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。     〔小事金義照登壇
  6. 小金義照

    ○小金義照君 ただいま議題と相なりました特許法の一部を改正する法律案実用新案法の一部を改正する法律案意匠法の一部を改正する法律案及び弁理士法の一部を改正する法律案並びに商標法の一部を改正する法律案につきまして、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を一括して概要御報告申し上げます。  戰後におけるわが国経済の変動は、まことに目まぐるしいものがありまして貨幣価値も急激に下落していることは御承知通りであります。ちなみに卸売物価をを取上げてみまするならば、昭和二十五年六月には、昭和九年ないし十一年の、平均に比して二百二十一倍に騰貴しておるのであります。なお小売物価におきましても、昭和二十五年六月は、大正三年七月の三百四十三倍という現象を示しておるのであり十ほす。これらの現象考慮に入れまして、他の諸法令等におきましては、各種料金等はそれぞれ引上げられている実情でございます。また、工業所有権制度に関する国家の財政は、従来收入支出を上まわつてつたのであります。たとば昭和十年度におきましては、收入百万円、支出八十三万円であつたのでありますが、戰後のインフレーシヨンの高進に伴いましてこの比率は逆と相なりまして、昭和二十三年度は、收入二千七百万円、支出七千万円、昭和二十五年度の推定は、收入六千六百万円に対し、支出は一億三千九百万に達するのでありまして、かつて財政収支均衡をかくのごとく破つているのであります。昭和二十六年度におきましては、收支バランスを維持するために、特許法実用新案法意匠法及び商標法特許料及び登録料を、発明奨励の精神を害せぬ限度におきまして増額いたしますとともに、これらの法律罰則中の過料弁理士を登録する際の登録料及び弁理士を懲戒する場合の過料の額も引上げまして、收入は一億七千五百万円、支出は一億五千三百万円という均衡予算改正しようというのであります。なお特許登録料は、大正十年現行法制定以来、わずかに昭和二十二年及び昭和二十三年の二回に改正されまして、現在その倍率も戰前の十五ないし五十倍程度にとどまつておるのでありまして、他の各種料金及び物価との均衡はとれていないのであります。以上が改正趣旨でありますが、次に改正点内容を御説明申し上げます。  第一といたしましては、特許料もしくは登録料を、收支バランスや、他の法令等におきまする諸料金料金引上げによる権利者に與える圧迫等考慮して現行額の約三倍に引上げまして、その範囲内で負担の均衡合理化を勘案しておるのであります。  第二点としては、罰則中の過料及び弁理士懲戒過料の額を現行額の五倍に引上げ、五千円以下といたしておるのでありまして、これは民事訴訟法の例にならつておるのであります。第三点といたしましては、弁理士登録料現行額の二倍に引上げ、三千円といたしておるのであります。これも弁護士及び公認会計士等のそれとの均衡をはかつたものであります。  以上が五法律案改正趣旨及び内容であります。  特許法改正法律案外四件は、一月二十五日当委員会に付託せられまして、三十日に政府当局より提案理由の説明を聽取し、越えて二月五日質疑に入りましたところ、自由党中村幸八君、共産党田代文久君と政府委員との間に熱心な質疑応答が続けられたのであります。その詳細は会議録に譲ることといたします。  続いて、昨二月十二日討論に付しましたところ、共産党を除く各派を代表して、特許庁予算を拡大し、独立採算制のごときものに固執する要なきこと、特許庁審判官及びその他係官を増員して、滯りがちな申請処理を迅速化すること、発明日本産業発達の基盤であるから画期的な発明奨励策を講ずべきこと等を、自由党を代表して中村幸八君、国民民主党を代表して高橋清治郎君、日本社会党を代表して今澄勇君より、それぞれ強い希望を申し出られまして賛成意見が述べられた次第であります。引続き採決をいたしましたところ、多数をもつて可決した次第であります。  以上、簡單でありますが、御報告を申し上げます。
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一ないし第五の五案を一括して採決いたします。五案の委員長報告はいずれも可決であります。五案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて五案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御報告いたします。さきに指名を一任されておりました全国選挙管理委員会委員長世吉君を、予備委員田坂貞雄君を本日指名いたしました。  明十四日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十八分散会、