○柄澤登志子君
日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されました
郵政事業特別会計の歳入不定を補てんするための
一般会計からする
繰入金に関する
法律案に反対の意を表明するものであります。
ただいま反対の理由を申し述べるのに対しまして社会党の席からすらも、何でも反対するというお声がございました。しかし、この給與を上げるためにということが主にな
つておりまするところの本法案につきましては、私
どもは絶対に
賛成することはできないのでございます。なぜかならば、先第九臨時
国会におきましてこれは浅井人事院総裁すらが、実施する自信を持たない給與であるということを強力に主張なす
つたのであります。田村郵政大臣も、特に現業
関係を持
つておりまするところの郵政におきましては、現業の
実情を知らずに閣議において
賛成したことは申訳ないということすら
委員会で言明された給與法であります。(
拍手)当然であるならば、第十通常
国会におきましては、まずこの給與法から改正すべきであります。なぜ人事
委員会を開かない、なせ労働
委員会を開かない、なぜ郵政
委員会を開かない——
関係委員会は何ら開こうというところの誠意を見せずに、突如として大蔵
委員会にこの法案が出され、そうして今日ここは上程されたのであります。われわれは、こういう美名をも
つて、労働者の給與を上げるためであるというような、かかる美名のもとに、この間違
つた給與法、実施の自信のないような給與法を二十六年度全体において承認するというような、この第一歩を踏み出すところの本法案には、絶対に
賛成することができないのであります。
給與の実施の
状況はどうな
つているかといえば、千円ベース・アップの内訳は、最低は二百数十円しか上
つておりません。最高は一万数千円上
つております。このような、ものすごい職階制が、職場においてはどうな
つているかと申しますれば、下部の現場を守
つておりますところの、あの郵便配達夫であるとか、ほこりつぽい原簿を整理しておりますところの従業員であるとかに対しましては、ものすごい圧力とな
つてかか
つて来ておるのであります。超過勤務すらが職階制にな
つております。———————お茶を飲んで監督しておるところの十三級の職員が六千円の超過勤務手当をと
つており、汗水流して時間外二時間も三時間も働いているところの現場の労働者
諸君が五百円ももら
つていないというような、かかる不当な給與制度なのであります。
さらに最近はどういう
状況が出ているかといいますと、原簿整理三千件を一日にやらなければ、お前の給料のうちの同割しか働いていないというようなことを言
つてこの職階制の、月六千円も超過勤務手当をとるような係員が、下の現場の五百円しか手当をもらわないような労働者に対して圧力を加えて来ているのであります。
さらに郵政省は、その貴重な
一般会計から繰入れますようなこの赤字の予算をも
つて、給與簿制度というものを確立するために講習会を開いておられます。この給與薄制度が実施されますと、どういうふうになるかと申しますと、現に今実施されておるのでありますが、十分間遅刻いたしましても二時間の遅刻になる。無届で遅刻いたしましたときには、これも欠勤になります。早退した者も、無届の場合は欠勤になる。欠勤というのは、給與がもらえないのであります。つまり労働の完全なる搾取であります。しかも居残簿というものと、それから命令簿というものがあるのでありますが、この講習会におきましては、命令簿は、この予算の裏づけのない場合には支拂わないということが前提にな
つております。居残簿というものは鉛筆で書けとい
つて講習をしているということであります。
かかる不当な労働強化、ちようど、か
つての大戰中にありましたような、かかる不当な労働強化、一番現場を守
つているところの二十六万の労働者のうちの三級、四級あるいは五級というような、こういう人たちが、三千円、四千円あるいは五千円というような、生活の保障もできない
状態に置かれて、超過勤務をせざるを得ないような
状態に追い込まれて行く、このような給與制度に対しましては、まずこのような欺瞞的な、
一般会計から繰入れることによ
つて従業員の給與を保障するこいうような法案を出す前に、すべからく給與法を改正すべきである、こういうふうな観点から、私
どもは、とうてい
賛成することができないのであります。
さらに第二の理由といたしましては、そもそも郵政省の赤字の原因というものは、どこにあるかと申しますれば、これは、あの各省設置法案、つまり逓信省を分割して独立採算制にした、あの電通省、いわゆる吉田首相の言うところの自衛と平和、これのために
国連に協力するという、この協力の最も重要な一つの機関として、完全にこれに協力させるためには、赤字になることがわか
つておりながら、
政府は電通省と郵政省に分離したのであります。この分離が最も赤字の原因にな
つております。これが原因であることから目をそらしまして、一般人民大衆から取上げますところの税金を労働者の給與に持
つて行
つて支沸うということによ
つて、あの低賃金に悩み、首切りにおびえている従業員
諸君と、さらに人民大衆を分離させまして、今給與ベースを上げてほしいという労働者の要求を粉砕しよう—
諸君は、あの全官公の労働者の
諸君を首切るときに、
国民の税金の多いのは官吏が多いからだと言われた。しかるに、今はどうかといえば、官吏を首切
つたたけ警察予備隊をふやしておられるではないか。そういうような矛盾した根本的な理由を
解決せずに、給與を上げるということで
一般会計から入れ、
国民の負担を多くすることに対しましては、わが党といたしましては
賛成することはできないのであります。
最後に、郵便特別会計とか、あるいけ預金部
資金特別会計運用法というようなものが今後続々出されるそうでありますが、このような零細な
国民の預貯金が、郵政省の要求であるところの、第五
国会以来のあの
決議がま
つたく無視されまして、完全に大蔵省に支配され、郵政省はま
つたくの隷属的な地位に置かれておることに対しまして、おそらく官民もに、與党の
諸君も郵政大臣もこれに対しては闘わざるを得ないであろうのに、かかる法案をも
つて欺瞞されて、これで屈服するということはできないと思うのであります。
以上三点の理由をもちまして、本法案に反対の意を表明する次第であります。(
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