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猪俣浩三君 ただいま
佐々木君の
提案いたしましたる
決議案につきまして、第一点、その
構成及び
運営上について
反対をいたします。
今までの
不当財産取引調査特別委員会におきましても、
考査特別委員会におきましても、その
構成は三十名からなる超党派的な
委員をも
つて組織するという
断り書きがありました。しかるにかかわらず、今回の
提案からは、この超党派的という
言葉を削除された。これはいかなる意図に基いて特別にかような
措置をなされたのかわかりませんが、
自由党の
諸君の
意気込みのほどがうかがわれると存ずるのであります。大体かような
委員会は、ま
つたく超党派的に
運営いたしませんならば、その有終の結果を得られざることは明らかなことでございまして、私
どもは、この
委員会こそは、いかなる小会派からも一名以上
委員として出して、
按分比例によらず、真に公正妥当なる
運営をすることが正しいと考えるのでありますが、それと逆転して超党派的なる
言葉さえも削除してしま
つて、そうして
自由党多数の
委員会たらしめる計画ありと私
どもは認定せざるを得ないのであります。かような
構成運営、この
提案をなされた
自由党諸君の
意気込みから察しまするというと、これはおそらくは
自由党諸君の
党略に使われることは火を見るよりも明らかと存ずるのであります。かような
意味におきまして、かような
構成の
決議案に対しましては私
どもは
反対をいたします。(
拍手)
これは過去におきまして、われわれは苦い経験を持
つておる。近く行われましたるところの
考査特別委員会における
日発事件の
調査にいたしましてもいよいよこれから私
どもが本格的な
調査に乗り出したいと思
つて非常な苦労をいたしまして、いろいろな材料を整えてやりましたそのとたんに、これは
打切りである。
動議を出されてしま
つて、ぺつしやんこである。そうして、それから間もなく
日発の
総裁自身から、三十数億円の
含み資産がある
——公益委員会の
委員長は、最初これは不正であると断定したのでありますが、かようなことが暴露された。これは
考査特別委員会の恥であります。私は、
調査の過程におきまして、この
電燈料金に不正があるということを指摘して、これを
調査する準備を進めてお
つた。そうして、詳細なる経理の表も私は出した。しかるにかかわらず、その
調査を途中にして打切
つてしま
つた。何も要領を得ないような前
総裁だの、副
総裁だの、何々課長だのいうようなものをざつと調べて、それで
打切りである。ほんとうの
中心人物は一人も登場させない。かようなやり方をや
つておりましては、何ら事の真相を把握できないことは明らかである。かような
意味におきまして、本
決議案のような
運営の方法では、これは
自由党の
諸君、その他の
諸君の
党利党略に使われるおそれがあるゆえ、われわれは、この
意味において
反対する。(
拍手)
なおまた、その
調査の
範囲におきましては、なはだ不審があります。何がゆえにこの
決議案にありますような二項だけに
調査の
範囲を限られたのであるか。この点ついて、われわれは理解できない。われわれの考うるところによるならば、この
決議案に出ておりますような二項は、これは憲法の
国政調査権に基きまして各
常任委員会において
十分監察ができるはずであります。
大蔵委員会において
大蔵省関係、
法務委員会において
法務関係、これを
十分監察できる。また今までもや
つて来たのである。こういう
国家機関を、特別な
委員会をも
つて、百五十万円も出して、そうして
監察するとは、どういう
意味であるか。これは私は、はなはだ不審である。私は、真にこういう
機関、
監察の
機関が必要であるとするならば、それは何人からも
監察されておらないところの
国会議員それ
自身だ
つても
——これは
国会議員に対しまして、世の疑惑をこうむるような、いわゆる
政治道徳上非難されるような者がありました際に、
自粛自戒の
意味におきまして、
国会自身がこれを
調査し、これを
監察するということが第一でなければならぬと思う。これをさておきまして、ほかばかり
監察するということは片手落ちであります。みずから糺して、しかる後他を
調査するということが順序でありまして、私
どもは、この
国会議員の中に、不幸にして
政治道徳上非難さるべきものがあ
つたら、
国会議員みずからこれを
調査して世間に発表するということが
中心の
委員会でなければならぬと思うのでありまするが、さようなことは、さつぱり抜いてしま
つて、そうして
常任委員会でいつでもできるような
行政機関だけをやるというようなその
趣旨は、はなはだ私は不可解であります。なおまた、この
地方公共団体に対しまして
監察するということは、これは
地方自治の原則をあるいは破るような結果を引起すのではないかと憂慮にたえないのでありまして、かようなことは、この
中心的な使命にすべきものではない、
地方公共機関と必ず摩擦を起すことができて来る、おのれのことをまずさておいて、かような出過ぎたことまでやらかすというような、かような
趣旨に私
どもは
反対であります。
なおまた、この
調査の
範囲だけだといたしますると、はなはだ疑義が出て来る。たとえば、天下の耳目を聳動いたしましたるところの小
瀧鉱山融資事件なんというものは、ここで一体
調査できるのかどうか。あれは、現にわれわれから
考査特別委員会に
提案しております。
考査特別委員会は、これを受付けておるにかかわらず、とうとうこの
調査をしない。
調査しないうちにこれを廃止いたしまして、今度は別な
機関を持
つて来た。私
ども邪推かも存じませんけれ
ども、ああいうことは
調査したくないために、こういうふうなことをやらかして来たんじやないか、こういう疑いを持たれる。小
瀧鉱山融資事件のごときは、まことに明白な
事件でありまして、これは徹底的に追究しなければならぬ。これは一体この
機関でできるかどうか、はなはだ疑義が出て来るのであります。
かようにいたしまして、どうもこの
提案者の真意につきまして、われわれは、はなはだ疑問を持つ。この超党派なる
言葉を削除し、この
調査範囲をかように限定いたしまして、そうして
常任委員会でいつもできるようなことだけを取上げて、百五十万円も金を使
つて、與党多数のうちにこの
調査をする。おそらくはこれはレツド・パージの下
調査の
機関にならずんば幸いであると私は考えている。そうして、
自由党に
反対のような思想傾向や行動をやる者を一々
調査して、これを何とかいう形で処分するというような
調査機関にこれは転落するのではないかという疑いが十分ある。(
拍手)
かような
意味におきまして、その
運営上から見ましても、
調査の目標から見ましても、はなはだ妥当を欠き、
党利党略に使用されるおそれあるこういう
委員会、しかも百五十万円も使う
委員会に対しましては、社会党といたしましては
反対をいたします。(
拍手)