○藤井説明員
地方自治庁の公
務員課長兼行政
課長藤井であります。私の方は特に住民
登録に関しまして、その
事務自体を所管をいたしておるわけではございません。ただ日ごろ仕事の性質上、
地方自治の強化ということに関しまして、いろいろその
立場からの
意見を申し上げたり、またその他の仕事をや
つております関係から、お呼出しにあずかつたことと存じますが、その見地から、私といたしましての
意見を申し上げておきたいと思います。
第一の第四条の関係であります。第一項の第九号でございますが、この点に関しましては、おそらく原案にこの
規定を盛られました趣旨は、一応住民票に記載いたしまする
事項といたしましては、一号から八号で基本的な問題、少くとも全国的に統一をとるべき問題は尽されておるけれども、そのほかに何か必要なものが出て来るかもしれない。特に各省関係等で
法務府に要求がございまして、こういう
事項はぜひ行政
事務の円滑な執行の上から必要である、そういうような
要望があつた場合に入れる余地を存して置かれるおつもりでないかというふうに想像をいたすのであります。その点建前といたしまして、別に私といたしましては異議はございません。しかし説明の資料等を拝見いたしますると、今のところは別にこの九号を適用いたしまして、何か書いて行くという特別のお考えはないようであります。率直に申しますと、私自身といたしましては、この条項につきましては、むしろ特に重要なものがあればはつきりと一項のところへ書き上げて行くということにいたしまして、九号の
政令で定める
事項というこの条項は
削除いたしても特にさしつかえはないのではあるまいかというような気がいたしております。しかしこれは関係各省の御
意向もございましよう、また原案を
提出せられました方々の御
意見もあろうと思いますので、その点につきましても、特に私といたしましてはこうでなければいけないということを申し上げるつもりはございません。
第二項の点でございますが、これは先刻から両参考人から御
意見の開陳がございました。私といたしましても、大体その
意見と同様に、この二項は存置をせられることが
地方自治の面から申しましても適当ではあるまいかというふうに考えておるのであります。これはやかましい議論は別問題といたします。特に住民
登録に関する
事務は固有
事務であるから、ここに相当程度市町村の自主性を認めることが本来必要であるとか、その他また市町村といたしまして、これらの
事務をほんとうに能率よく、積極的にや
つて参りますためには、そこに何らか市町村の当局自体の行政
事務の運営に適当である、あるいは便宜であるというような
事項、特に市町村といたしまして、全国的に一定はできませんけれども、当該市町村自体についてのみ、あるいは適当な、必要な条項もあるかもしれません。そういうものをここに留保いたしておきますことは適当ではないかというふうに私は考えております。
それから先刻
地方自治法の第十四条の関係で、本法がなくても条例で書けるではないかというお話もございました。これは一応そうい方解釈も成り立ちます。しかしながら厳密に
法律解釈の問題としてこれを取上げました場合に、特に条例できめまする
事項につきましては、第四条の一項の法定
事項以外の
事項であります。従いまして、これにつきましては、後ほどの条項で届出を要する部面が出て参ります。そういたしますと結局この条例によ
つて住民にそれだけの
義務を新たに課するということに相な
つて参ります。そういう場合に、法定
事項といたしましてはつきり書いてございまする以外にそういう
義務を課することは、結局
法律が
規定いたしましたその部面において、条例にそのような
事項を留保いたしますることが
法律解釈の問題として当然出て参りますが、
地方自治法の条例の
規定事項の
範囲として当然出て参るかどうかということについては、これは若干の解釈上の問題は残ると思うのであります。そういう
意味合いももちまして、ここにはつきりと「条例で住民票に記載すべき
事項を定めることができる。」というふうに書いておきますることが、むしろ
法律上の疑義を断つためにも必要ではないか、そのような見地から私は第四条の第二項の
規定は、これを存置することが適当であろうというふうに考えます。但し先刻来いろいろお話のありまするように、市町村がこの条例をいろいろ濫用いたしまして、むやみやたらな
事項を記載するというようなことがあ
つてはならないことは当然でありまして、その点については市町村当局の自粛を求めなければならないというふうに考えまするし、条例自体は
議会の議決によ
つて制定されまするものでありますので、その間適当なる
調整が加えられて参るのではないかというふうに考えるのであります。
それから第十条の利害
関係人の問題でございますが、これは私といたしましては特に
意見はございません。ただ原案者の意思を推測するに、全然関係のない者から、むやみやたらにこの住民票の謄本あるいは抄本の交付を請求されるというようなことにな
つても困るではないか、そういうような御意思もあつたのではないかと思うのであります。また一方におきまして、この利害
関係人の
範囲の問題でありまして、これは相当流動性のあるものであろうと思います。利害
関係人はここまででなければならぬというはつきりした限定があるわけではございませんで、この
法律の趣旨から申しておのずから利害
関係人の
範囲というものが出て参ります。
従つて相当広
範囲に解釈をされ得るのではあるまいかというふうに考えておりまして、利害
関係人の
範囲いかんの問題にもなりますが、私どもといたしましては、利害
関係人ということでも特別の支障はないのではないかというふうに考えております。
それから次は二十二条の第二項の点でございますが、この点は先刻四条のところで申し上げましたところによ
つて御承知おき願いたいと思います。特に二十二条の二項は届出に関する記載
事項でございます。
従つて但書で「条例の届出を要しないものと定めたものについては、この限りでない。」ということで、特別に届出の
義務を免除する
規定でございますから、この点は住民に対してそれだけ負担を軽減するゆえんにも相なると思います。これはむしろ適当な
規定ではあるまいかというふうに考える次第であります。
それから次に、第三十条の当該吏員が住民
登録の正確な実施をはかりますため、必要と認むる場合の事実の調査権の問題でございます。住民票というものはいろいろな利点を持
つておりますが、行政
事務の執行の便宜をはかるというようなことも、その主たるねらいであります。そういたしますと、何といたしましてもこの住民票は正確な事実の記載ということがその生命であると思います。そういう
意味から申しまして、この程度の調査権は必要ではないか、もちろんその際市町村の当該吏員が職権を濫用して私生活にみだりに立ち入り、あるいは他の
目的のためにこれを利用して行くということは、厳に慎まなければならぬ点ではないかと考える次第であります。
最後に、一言
地方自治庁の
立場として
要望したいと存じますことは、この
事務が
施行されることに相なりますと、これは相当の経費がかかるのであります。現在御承知のように、府県、市町村ともに、
地方団体は財政の貧窮に呻吟しております。この際この新しい
事務がふえましたために、いろいろとまた経費がかか
つて来るということでは、とうてい負担にたえられないと思われますので、その点本
委員会におかれましても十分御考慮に相な
つておるように承
つておりますが、このために特別な負担が自己財源から捻出しなければならないということにならないように、せつ
かくの御配慮をお願いしたい、この一点だけつけ加えて申し上げたいと思います。