○加藤(充)
委員 先般濠洲連邦の高等法院におきましては、
さきに同国会を通過した共産党
解散法というようなものの
内容が違憲であるという判決があ
つたようであります。それとま
つたく対蹠的に、最近の新聞によりますと、政府が取急ぎ、しかもきわめて近い期間に日本共産党を非合法化する意図を決定し、それぞれ関係当局はその
措置を準備完了したというようなことが報道されておるのであります。私はこういうような事柄は、まず第一に終戰以来ポ宣言を嚴重に実行している。従
つてその
内容とする日本の徹底的民主化と非武装化と平和国家の建設あるいは
警察国家組織の徹底的な廃止というようなものに対して、ほんとうに闘
つて来ているものは日本共産党だと思うのでありますが、そういうふうな日本共産党の合法性を抹殺するというようなことは、明らかにポ宣言と憲法を蹂躙し、日本における民主主義を根底からくつがえして、再びあの黒いフアシズムの体制をつくるやり方だと思うのであります。それから第二段には、この共産主義の指導原理、あるいは共産主義の世界政策といいますか、そういうものにのつとるところの民主的国家は、世界の人口的に見ても過半数を占めているということであります。これは私が言うばかりでなく、
さきに英連邦の対日理事会の代表として長らく出席もされてお
つたW・マクマホン・ボールという人の言葉にもあるのでありまして、米国がまだ管理している日本と共産党が支配権を握
つた中国を除外するとしても、カラチからサイゴンに至る約七億の民衆というものを大きな平和勢力として取上げているのでありまして、その動向は重要だということを言
つておるのであります。反面それを除外しましても、社会主義のソ同盟及びヨーロツパとアジアにおきまする人民民主主義共和国と言われている国々と合体しただけでも、そこに八億の人口があるのでありまして、大体過半数の人口を持
つていると思うのでありますが、こういうようなところは、
さきに
朝鮮と中国との境の鴨緑江を突破するかしないか、またそのことに
関連して新中国の懲罰の問題が国連で問題になりましたときに、アラブ・アジアの十数箇国の、あの中立的な態度というものは、あの戰争の拡大、激烈化というものを防止した大きな力であると思うのであります。これほど大きな勢力と
なつておりますことは、だれもが否定できない嚴粛な事実だと思うのであります。しかもこういうような傾向が国際的な
状況でありますにもかかわらず、
法律をも
つて多数で権力を私するというような意味合いでこれを明らかに敵とし、そういう風潮に反するような、この反共法というようなことをすることは、まさしく日本をみずから進んで戰争に巻き込む危險――みずから自分たちが平和主義者にくみせざる態度をはつきりしてしまうということではないかと思うのであります。それから次には特にこういうようなやり方をやりますと、全面講和というものは首相みずからが好ましいことではあると言
つておるのでありますが、その心情がほんとうであるとすれば、首相ばかりではなく、首相もそう言うくらいですから、日本の全国民、全人民のほとんど大多数が、全面講和と平和と民族の独立を
内容とした講和を求めてやまないのであります。それは單独講和の道ではないのでありますけれ
ども、以上のような
措置を講和締結を前にしてみずから進んで時期を早めてやるということは、みずから進んで単独講和の方向を決定してしまうことであり、こういうようなことは、先ほど申し上げましたように、さらに日本をみずから戰争にほうり込んでしまう。そうして世界のいわゆる血のマーチヤントと呼ばれ、血の商人と呼ばれた大量殺戮武器の製造や販売業者の勢力
どもに日本を売り渡してしまうことに相なると思うのであります。第四に、特に地方選挙を前にして自由党が日共の非合法化をやるということは、やはり私は地方選挙に対する大きな妨害であると思う。全面講和、平和、独立というようなものを弱めてしま
つて、それで投票が恫喝による詐欺と欺瞞によ
つて集められたならば、形の上で、投票の数字で單独講和を求めている、再軍備を求めているというふうに論理づけて行
つてしまう恐るべき謀略であり、明らかに選挙妨害だと思うのであります。こういう点を私
ども考えますときに、あの日本の新聞に報道せられました共産党非合法化の問題は、單に共産党だけじやなしに、日本の全民族が、同時に日本のほんとうに民主主義を愛する者が、同時に日本の独立と平和を愛する者が、ひとしくこれは関心を持たなければならないし、また持
つておりますし、影響するところ甚大なる問題だと思うのであります。
それで私は次の
質問をいたすのであります。まず第一番に、非合法化をいそぐ事由、それから第二にはそれをどういう方法でやろうとしておるのか、第三には国内的な問題、あるいはきようも配られました世界人権宣言、あるいはポツダム宣言、あるいはまた日本の明確な憲法の規定から見まして、事実上また法理上そういうことができるとお考えに
なつているのかどうか、それから第四に、このことと
関連いたしますが、再軍備を
内容とするような講和條約、いわゆる單一講和といいますか、單独講和といいますか、そういうような講和條約は、次の二つの点で問題になるのではないか。すなわち第一点は、憲法九條と、同時にそういう講和ができてもそれが憲法違反であるかどうかという点では、九十八條との関係、第二にそういうような單独講和をみずから求めて行くというような積極的な出過ぎたやり方というものが、一九四二年の一月に決定されておるワシントンにおける連合国の共同宣言の第二に反したようなことを日本がや
つておるということになりはしないのか、第五には廣川氏の民主党の苫米地氏に申入れをしたという
事件の真相は、一体どういうものであるか、以上のような点を羅列申し上げましたが、お答え願いたいと思います。