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1951-03-20 第10回国会 衆議院 法務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 押谷 富三君       鍛冶 良作君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    古島 義英君       牧野 寛索君    眞鍋  勝君       山口 好一君    大西 正男君       石井 繁丸君    上村  進君       加藤  充君    佐竹 晴記君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  委員外出席者         参議院議員   宮城タマヨ君         参  考  人         (警視総監)  田中 榮一君         参  考  人         (警視庁刑事部         長)      古屋  亨君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 三月十七日  委員松木弘辞任につき、その補欠として川西  清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川西清辞任につき、その補欠として松木  弘君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十九日  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第五七号)(  参議院送付)  裁判所職員定員法案内閣提出第六一号)(参  議院送付)  裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)(参議院送付) 同月十六日  傷病者団体結成許可に関する請願(足鹿覺君  紹介)(第一二九三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  最高裁判所裁判官に関する陳情書  (第四三〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  少年院法の一部を改正する法律案宮城タマヨ  君外三名提出参法第六号)(予)  犯罪捜査及び人権擁護に関する件  商法の一部を改正する法律改正に関する件     ―――――――――――――
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  日程に入ります前に、まず小委員補欠選任に関する件についてお諮りいたします。住民登録法案起草に関する小委員でありました松木弘君は、去る十七日に一旦小委員辞任せられ、同時に再び委員に選任されたのでありますが、松木議員の小委員たるの資格は失われましたので、その小委員補欠選任を行わなければなりませんが、この補欠選任につきましては、その小委員従前通り松木委員を御指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安部俊吾

    安部委員長 御異議がなければ、住民登録法案起草に関する小委員松木弘君を御指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 安部俊吾

    安部委員長 それではただいまより本日の日程に入ります。まず少年院法の一部を改正する法律案議題といたします。提案者より提案理由説明を聽取いたします。参議院議員宮城タマヨ君。
  5. 宮城タマヨ

    宮城参議院議員 ただいま上程になりました少年院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、三点について所要の改正を加えるものでございまして、その一は、現行法におきましては、在院者が二十歳に達しますれば退院させる建前をとり、ただその矯正教育のため必要があれば、二十歳を越えても入院の日から数えて六箇月を限り、引続き少年院長の裁量で在院させることができることになつておるのでございますが、最近の実績に徴しますれば、保護少年の仮退院までの期間が平均九箇月余になつておりますので、この一月からの少年の年齢の引上によりまして、二十歳近くで収容される少年も増加することを考慮いたしまして、この際、この六箇月を改めて一年とし、少年院矯正教育実情に則したものといたしたいのでございます。その二は、少年保護鑑別所施設特別少年院施設收容能力及び女子医療少年院施設が、現在のところなおいずれも不足しておりますので、これに対する一応の見通しがつくと考えられます昭和二十八年三月末までの二箇年間、さらにいわゆる代用少年保護鑑別所代用特別少年院等を使用することができるようにいたしたいのでございます。このことは、收容施設の整備が遅れております現在の状態におきましては、やむを得ない措置と考えられます。それからその三は、さきに、矯正保護管区本部が設置されるまでの間の経過的な措置といたしまして、移送の認可及び援助の委嘱の承認に関する矯正保護管区長の行います職権を法務総裁が行うことになつていたのでございますが、その設置を見ています今日すでに不要となり、また他に関連もありませんので、法文の整理のため削ることにいたしたいのでございます。  以上が提案理由でございます。なにとぞ愼重御審議あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
  6. 安部俊吾

    安部委員長 これにて提案理由説明は終りました。なお本案に対する質疑は後日に行うことにいたします。
  7. 安部俊吾

    安部委員長 次に犯罪捜査及び人権擁護に関する件を議題といたします。本件に関し、前回留保いたしました田中警視総監及び古屋刑事部長参考人より意見を徴することにいたします。委員より発言の通告があります。これを許します。押谷富三君。
  8. 押谷富三

    押谷委員 過般十條において勃発いたしました朝鮮人騒乱事件につきまして、田中警視総監にお尋ねをいたしたいと存じます。朝鮮人騒乱事件として、本年に入りましてから起りましたものでも、さきに神戸、京都、大津、名古屋等各地に続発いたしたのでありますが、当時本委員会においては調査委員を派遣して、これらの朝鮮人騒乱事件調査途げたのであります。その結果得ました結論では、この各地続発朝鮮人騒乱は、相互の間に一脈相通ずる関連性を持つており、またその騒乱性格等におきましても、あるいは教育闘争であるとか、生活闘争経済闘争などの闘争目標を表に出しておるのでありますが、その実態は権力闘争という形になつておるのでありまして、闘争性格もきわめて險悪なるものがあることがはつきりいたしております。特にその計画性のごときにおいても実に根強いものがあつたのでありますが、これらにかんがみまして、過般の十條の朝鮮人騒動につきまして、その騒乱実情、特におもなる動機、原因あるいは騒乱計画性、それから騒乱事件性格等につきましてひとつお伺いをいたしたいと存ずるものであります。
  9. 田中榮一

    田中参考人 ただいま御質問のございました過般三月七日、都下の北区上十條二の二十二の都立朝鮮人中高等学校におきまして発生いたしました騒擾事件につきましての御質問でありますので、一応私から大体の事件原因並びに発生当時の状況並びにその措置等につきまして御説明申し上げたいと存じます。  これは朝鮮人中高等学校としては都内唯一学校でございまして、これは終戰後在日朝鮮学校管理組合設立にかかるものであります。昭和二十四年十二月二十日東京都教育委員会の決定によるところの朝鮮人学校教育取扱要綱というこの要綱に基きまして、都立学校といたしまして唯一学校でございます。ただいま中学校におきましては男が五百二十六名、女生徒三百七十九名、計九百五名、高等学校生徒といたしましては男が百九十九名、女が四十六名、計二百四十五名、合計一千百五十名在校いたしております。なお校内宿舎は三棟ありまして、その收容されている定員は、大体九十名程度であろうと考えております。この学校は現在都教育庁の監督のもとにその運営を続けておるのでありまするが、本校の教育方針といたしましては、相当熾烈な政治闘争意識学校生徒に植えつけているのであります。特に昨年の三月二十日に行われました上野の台東会館接收の際、その他各種の政治闘争にこれらの高等学校生徒等が常に参画をいたしまして、実力行使のいわゆる行動隊として、相当第一線において活躍をしておるのであります。さらに最近におきましては、「新朝鮮」あるいは「前進」、「朝鮮女性」等のいわゆる反占領軍的な印刷物同校において印刷されておるというような容疑も濃くなつて参つて本庁といたしましてはその視察内偵中であつたのでありますが、たまたま二月二十三日、蒲田署のある巡査蒲田駅構内におきまして挙動不審の男を発見いたしましたので、この男に対して職務質問を実施いたしましたところが、ただちに国電の中に逃走いたしたのであります。この巡査はただちに国電の中に同時に入りまして、その挙動不審の男に対して職務質問を実施いたしました際に、その男が電車の窓から持つておるふろしき包み窓外にほうり出したのであります。該容疑者をただちに引致いたしまして、蒲田署においていろいろ取調べいたしましたところが、本人は朝鮮人学校に寄宿をしておる学生であるということが判明いたしたのであります。それからその窓外にほうり出しました荷物は、二十六日に横浜の鉄道公安官のもとに保管されておることが判明いたしまして、品物の内容調査いたしましたところが、非常に猛烈なる反米印刷物であつたのであります。これらの印刷物は御承知のように政令三百二十五号違反に該当する物件でありまして、この男の陳述によりまして、朝鮮人学校内にこうした不穏な印刷物がなお多数存在しておるという事実を突きとめまして、ただちに捜索押収令状をとりまして、これを二月の二十八日に執行いたしまして、同校の寄宿舎職員室、教室、その他について一斉捜査を実施いたしまして、多数の不穏印刷物を押収いたしたのであります。そこでこの一斉捜査を実施いたした翌日は、いわゆる三・一記念日に該当しておりまして、かねてからこの記念日におきまして、相当激甚なる闘争があるということも一応予定されておつたのでありますが、本一斉捜査がありました翌日は、王子警察署に約三百名の生徒が、きのうのあだ討ちだというようなことで押しかけまして、また板橋署赤羽署にもそれぞれ相当の者がデモをかけて押しかけて参つたのであります。また中にはそのときの行動が不当であつたというようなことで抗議をいたしたのであります。その後同校内におきましては、PTA幹部並びに学校職員を中心に連日門をかたくとざしまして、秘密会を開きまして、今後の善後策を十分に協議いたしまして、きわめて不気味な空気が漂つてつたのであります。また三月六日には民主戰線大会対策会議というものを産別会館において実施いたしまして、翌日すなわち三月七日において朝鮮中、高等学校内において決行する人民大会につきまして、いろいろ打合せをしたのであります。かようなことからいたしまして、相当関係方面に、この三月七日のPTA大会に対しましては、できるだけ多数参加すべしという檄を飛ばしまして、一方朝鮮小学校教師から学童を通じまして、父兄の大会参加を慫慂し、また夜を徹しまして、各方面に七日の大会参加の連絡をはかつたのであります。明けて三月七日の日には、午前七時半ころに飯田橋の職安分室にはすでに朝鮮高等学校生徒、また同じ時刻に王子職安にも朝鮮人が来まして、就労のために参集しておりました自由労働者に対しまして、それぞれ大会参加を慫慂いたしておるのであります。また同日の午前八時ごろ王子警察署付近道路上におきまして、朝鮮人学校生徒ビラを散布いたしまして、午前十時ころから王子朝鮮学校において大会を開くから多数集まれというようなビラを各所に散布いたしたのであります。そこで九時三十分ごろになりますと深川枝川町、世田谷四丁目の各部落、荒川駅等に朝鮮人が相当集結いたしまして、本大会に参加するけはいがきわめて濃厚に見られたのであります。かかる情勢のもとに九時三十分ごろには三々五々朝鮮人学校正門付近に集まつて参りますので、警察署措置といたしましては、PTA連合会長尹徳昆に対しまして無届け集会を中止するように、警察といたしましては警告を発したのであります。しかるにこの警告にかかわりませず、十時三十分ころには約三百名の者が校門付近に三々五々集まつて参りまして、当日在校の朝鮮人生徒一千名と合流いたしまして、相当気勢をあげておつたのであります。さらに警戒線を突破いたしまして続々と集結いたしまして、正午ごろには生徒を含む総勢約千七百名くらいに上つたのであります。かかる情勢になりましたので、本庁といたしましては、ただちに予備隊等動員をいたしまして、まず校門からスクラムを組んでおる朝鮮人学生等を突破いたしまして、中に入りまして、そうしてこの無届集会実力をもつて解散をいたしたのであります。大体実力行使いたしましたのが、午後一時三十分ころから始まりまして、約三十分後大体全部の者を校外に排除いたしまして、その際に公務執行妨害をいたしました者約十一名を検挙いたしたのであります。その際にきわめて、抵抗が熾烈でありまして、木片または石灰あるいは灰等にとうがらしをまじえたものを警察官に対して投じ、あるいはその他の器具、器物等を投じましたために、多数警察官負傷をいたしたのであります。この際にニュースカメラマンで、松本というニュースカメラマンがこの乱闘中に取材行動中に負傷いたしまして、これもただちに警察官によつて手当を加え、これを病院に收容いたしたのであります。現在この松本カメラマンに対する暴行は、警察官がしたのであるか、あるいは朝鮮人がしたのであるか、この点ははつきりいたしておりませんが、当時の状況からいたしまして、ニュースカメラマン取材行為警察がさしとめる必要もありませんければ、またこれに対して暴行する必要も全然ないのであります。従つが警視庁といたしましては、いろいろ調査いたしておりますが、警察官がやつたとは考えられぬのであります。あるいは乱闘中に器物が当つたのか、その原因についてはまだはつきりしておりませんけれども、なおこの点についてはいろいろ調べておる次第であります。かような状況で、このPTA会合は多分に政治的の目的を持つたものでありまして、本来ならばPTA会合でありますならば、当然校長の責任において開催せられ、何ら集会の手続をとる必要はないのでありまするが、先ほど私が説明いたしましたごとくに、連日連夜同校におきまして対策を協議し、また三月六日には産別会館において、民主戰線大会対策会議というものを開催いたしまして、この三月七日の大会に全力を集中する。それからまた前日の六日から各方面に向いまして、外郭団体その他関係方面動員をいたしまして、大会参加を慫慂いたしておるような状況からいたしまして、これが單なる学校内におけるPTA会合とは客観的にだれが見ましても考えられぬことでありまして、従つて警察といたしましては、これは純然たるPTA会合にあらず、集会であるという見解をとりまして、これが都條例違反といたしまして、集会解散を命じた次第でございます。それからなお今回の事件京阪方面に行われました事件と、事件の態様といたしましてはまつたく同一でございまして、その前から警察官実力行使に対しまして、相当計画されておることであります。その一例といたしましては、ここにあります小さなビラでありますが、これは乱闘中に、午後一時ごろ校庭において拾つたビラでありますが、これにおきましては、すでに乱闘をして中学生負傷しておることを書いておるのでありまして、乱闘中にこれが印刷されることはないのでありますから、あらかじめこうしたものが用意されておつたということがはつきりわかるのであります。それからまた同校庭粘土質校庭でありまして、煉瓦石等はないはずでありますが、警察官負傷しましたのは、大体において煉瓦のかけらであるとか大きな石ころでありまして、同校庭にはそういうものはないはずであります。そうしたものも前もつて準備されたものと考えております。それからまた実力行使尖鋭分子といたしまして、青年行動隊二百名をかり集めまして、これを前線に立たせ、スクラムを組んで警察官の突破を防止した。これもすでに計画的に配置をされておつたことははつきりいたしております。かかる点から申しますと、先般京阪地方に起りました騒擾事件と全然その軌を一にしておるものではないかと考えるのであります。ただ事件発生の直接の原因といたしましては、いわゆる政令三百二十五号違反の、反占領目的ビラ捜査に対して抗議を起し、それに対する一つ対抗手段としてかかる暴力行為になつたものと考えております。直接の與えた原因は違うかも存じませんが、大体において騒擾事件を起したという大きな目的におきましては、はつきりしたいわゆる集団的暴力行為の形態でありまして、全然その軌を一つにするものであると思うのであります。
  10. 押谷富三

    押谷委員 ただいま御説明をいただきまして、その騒乱事件関西における朝鮮人騒乱とまつたく共通の点が多いことを感ずるのでありますが、この行動に参加いたしまして青年行動隊二百名の者の行動につきまして、関西方面においてなされた青年行動隊は、騒乱に備えてあらかじめ訓練をいたしておつたのでありますが、この上十條朝鮮人騒乱に加わつた行動隊の人々は、あらかじめ訓練をいたしておつたような事実がありますか、あるいはないか、承りたいと思います。
  11. 田中榮一

    田中参考人 学校内の訓練状況でありますが、これは警察として十分に知つていないのであります。私どもの見方といたしましては、あるいはそうしたことを訓練しておつたかも存じません。その点につきましては、まだはつきり御答弁することはできないのであります
  12. 押谷富三

    押谷委員 御説明の中で、この学校生徒が表に立つて行動をしたとか、あるいは特に計画してとうがらしその他を準備いたしておつたとか、自由労働者に呼びかけておつたとかいう行き方が、関西方面における組織立つた一定の指導のもとになされておつたのと、まつたく軌を一にするものでありますが、こういうような行動、こういうような目的、すべてから考えて、その騒乱背後には何か思想的な力というものがあるようにも考えられるのでありますが、朝鮮人騒乱のこの事件について、背後関係はお調べなつておるかどうか。もし調査が遂げられておるならば、この騒乱背後関係を承りたいと思います。
  13. 田中榮一

    田中参考人 本件につきましては、目下容疑者を逮捕いたしまして、取調べ中でございまして、まだこの取調べが完了いたしておりませんので、はつきりしたことはここで申し上げるのはどうかと考えておりますが、いずれ判明いたしましたら、お答えいたします。
  14. 押谷富三

    押谷委員 大体騒乱事情はよくわかりましたが、こういう騒乱に対して、警視庁方面でこれを鎮圧その他の措置をとられるにあたつて、常にどういう備えがあるか、概括的に御説明いただきましたら……。
  15. 田中榮一

    田中参考人 こうした、騒擾事件に対しましては、本庁といたしましては、すでに昨年機構の改革をいたしまして、各方面にこうした事態が発生いたしましても、十分に治安が確保できるような機構をつくりまして、ただいま実施いたしております。方面本部長が数箇の警察署指揮、統率いたしまして、いわゆる統制ある大衆運動取締りができるように、ある程度融通性のある取締り方針を実施いたしておりますので、今後とも、こうした事件が起りましても、何ら心配はなかろうと思います。
  16. 押谷富三

    押谷委員 この騒乱に対して、二ユース・カメラマン負傷をしたということはただいまの御説明でわかつたのでありますが、まだその負傷原因がまつたく明らかでないようでありますが、その他の新聞記者に対しても何か間違いがあつたのじやありませんか
  17. 田中榮一

    田中参考人 私ども調査によりますと、ニュースカメラマン松本君が頭部に重傷を受けました以外におきましては、現在報道関係者方々に対するトラブルはないものと考えております。
  18. 上村進

    上村委員 ちよつと二、三点今の事件関連質問をしたいのであります。二十八日の朝捜査に行かれたということは、今の御説明でわかりましたが、そのときに一体警官はどのくらい参りましたか。
  19. 田中榮一

    田中参考人 お答えいたします。二十八日朝鮮学校捜査いたしましたときには、大体百名内外警察官であろうと考えております。これは応援の警察官も入れて百名内外ではないかと思います。
  20. 上村進

    上村委員 私服の人はどのくらい行きましたか。
  21. 田中榮一

    田中参考人 私服のものは大体三十名内外ではないかと考えております。
  22. 上村進

    上村委員 その反米ビラというのですが、その文句なぞはよくわかつておりましようか。どういうことが書かれておりましたか。
  23. 田中榮一

    田中参考人 わかつております。
  24. 上村進

    上村委員 詳しいことは時間がかかりますが、大体どういうふうのことがビラに書かれておりましたでしようか
  25. 田中榮一

    田中参考人 その内容につきましては、公開の席上で申し上げるのはどうか思いますので、もし必要ならば、秘密会において申し上げたいと存じます。
  26. 上村進

    上村委員 その反米ビラというものにつきましても、むろん程度というものがありまして、そういうふうに、どうしてもそれを押收しなければならないものであるかどうかということは、内容によつて非常に違つて来ると思うのです。ここでできなければ、後に大体文書的にしてお示し願いたいと思うのです。
  27. 田中榮一

    田中参考人 ただいまこの反米文書につきましていろいろ調査中でございますので、そのビラそのものをそのままここで申し上げることはできない。事件係属中のものでございますから、ちよつと申し上げることはできないと思います。
  28. 上村進

    上村委員 そうしてその数ですが、先ほど総監は、学校にそういう反米ビラがたくさんあるという聞込みで行つたというようにおつしやつたのですが、その数はどのくらい押収されましたか。
  29. 田中榮一

    田中参考人 大体押收品の総数は、種々雑多でございまして、約四十五種類ぐらいにわたるものと考えておりまするが、その内容につきまして一々申し上げることはできないかと存じます。
  30. 上村進

    上村委員 われわれのところで大体報告、調査によりますと、動員された警官はまあ今おつしやつたような通りですが、その中に私服警官がたくさんおりまして、酒を非常に飲んでおつた。いわゆる一ぱいきげんになつておつた人が相当おつた。そうして朝早いもんで、女子学生寮に土足で上り込んで、そうして就寝中の女子学生を、ふとんをまくつて、無理やりに起して、そうしてある警察官はその女子学生に対してみだらなひやかしの言葉を相当浴びせかけた、こういうことになつておりますが、そういうことがはたしてお調べなつてございますか。酒を飲んでいたのは事実か、そのときの現場の指揮者並びに責任者の名前はだれかというようなことを一応御説明願いたいと思うのです。
  31. 田中榮一

    田中参考人 宿舎捜査いたしました際には、学校職員方々にお立会い願いまして、その上ですべて捜査いたしておりまするので、警察官がさような行為をやつたことは絶対にございません。それからなお警察官としてあるまじき行為をしたようなお話でございまするが、そうしたことは絶対にありません。
  32. 上村進

    上村委員 次に、先ほど御説明になつた三月七日の朝鮮学校事件のことですが、そのとき動員されてそこへ行つた警察官の数はおおよそどのくらいになつておりますか。
  33. 田中榮一

    田中参考人 大体千五百名ぐらいだと考えております。
  34. 上村進

    上村委員 こちらの方の調査によると、どうしても三千名近くおつたというのですが、今総監説明では非常に少いですが、その点は、少くとも二千五、六百名、三千名くらい動員した事実ではないでしようか。
  35. 田中榮一

    田中参考人 大衆運動に対しての取締りはできるだけ機動配置に重点を置きまして、一点から一点へただちに配置転換をさせるというような方法をとつておりますので、あるいは千五百名が三千名に見え、あるいは五千名に見えたかも存じませんが、実際の数は千五百名内外であります。
  36. 上村進

    上村委員 そのときの行かれた原因については先ほど御説明があつたようですが、なお私どもの方で調査したところによると、警官の中でピストルをなくした者がある、それを探すためにそこへ行つたピストルの紛失ということが原因一つなつているというのですが、先ほどの説明にはそれがないようですが、ピストルをなくしたということは事実でございましようか。
  37. 田中榮一

    田中参考人 ニュースを写しておりました捜査二課の者に対しまして朝鮮人が暴行いたしまして、カメラを奪取しようと妨害いたしたので、これを救うべく一、二の警察官が飛び出した際に、蔵前署の小泉巡査部長が單身行きましたために、群衆の中に奪取されまして、打つ、ける、なぐるの暴行を受けまして、遂に彼は人事不省に陷りまして、その際に拳銃を奪取されたのであります。
  38. 上村進

    上村委員 今のお話はちよつと違いますが、私が質問しているのはそうじやない。ピストルはずつとあとになつてなくなつたということであつて、初めに行くときにはピストルの紛失云々ということは原因にはなつていないということでありますか。
  39. 田中榮一

    田中参考人 御質問の要旨がちよつとわかりかねますが、ピストルを奪取されましたのは、いわゆる乱闘中に奪取されたのでありまして、その前に奪取されたことはないのであります。
  40. 上村進

    上村委員 それでは次に移りますが、総監の先ほどの押谷君の質問に対しては、何かいかにも朝鮮人が多数寄つて騒乱をしておる、その取締りに出かけたようなふうに説明されたように受取つておりますが、実はそうでなくして、この学生が三月十八日の事件に対するいろいろの検討を加え、つまりその真相の何を会合しておる、それを行つていきなり解散させようとした。そうして例によつてやはり朝鮮人の方が先に警官におそいかかつたのではなくして、いきなり多数の警官がその会場へ乱入して行つて、そうして先頭に行つた警官がこん棒をもつてやたらになぐり飛ばして行つた、こういう事実ではないでしようか。
  41. 田中榮一

    田中参考人 先ほど私が詳しく申し上げましたように、そのPTA会合は純然たるPTA会合ではないのであります。そこで都條例の上から申しましても、かかる会合は無許可の会合でありますので、九時三十分に警察が、かかる集会は違反であるからして散会すべしということの警告を発したのであります。それにもかかわりませず、多数集りましてしかも校門スクラムを組み、そうして中で会合いたしたのであります。従いまして、警察といたしましては、かかる違法状態をそのまま黙認することはできませんので、実力行使によりましてこれが解散を実施さしたのであります。その実力行使をいたします際に、校庭におりまする者を全部場外に出したのであります。
  42. 上村進

    上村委員 こちらの調査総監説明とは大分食い違つておりますが、それはそれで議論になりますからとどめます。それでつまりその警官学生乱闘というのですかを、日本ニュースカメラマン松本久彌という人が写そうとしたのであります。そうしておると、それを写されては困るというのですか、いきなりそばにおる警官がこん棒をもつて松本君の右後頭部を強烈になぐつた。そのために負傷して鮮血淋漓たるものがあつた、こういうふうにこちらでは調査なつておりますが、その点は先ほどの説明と違いますが、実際はどうなつているのでありましようか。
  43. 田中榮一

    田中参考人 警察といたしましては、ニュースカメラマンが取材活動をされることは自由でありますので、ニュースカメラマンが撮影をいたしますることを妨害する必要は全然ないのであります。むしろ警察としては取材活動でありまするからして、何らそれに対して干渉もいたしたこともありませんし、またとめたこともありません。ただ従来の経験からいたしますると、非常にあぶない地点にありますときには、当然警察官として、生命保護の上から注意はいたしたことはありますが、今までの事件におきましても、ニュースカメラマンの取材活動につきまして、警察としては何ら制肘をいたしたことはございません。
  44. 上村進

    上村委員 それはそれでなくちやならないのでございますが、現実は争うべくもないので、結局カメラマンが取材活動中に、非常な大けがをしたということがあるわけであります。総監は部下をかばつてそういうことを言うのでございましようが、この本人の松本久彌の手記がございます。この手記は決してうそを書いているのではない。全部読むわけには行きませんが、結局前の場所にアイモ・ケースを忘れて来た。その忘れたケースを労働者風の人がそばに持つてつて松本君のところへやろうとすると、いきなり二人の警官がそのアイモ・ケースを持つて行つた労働者を手錠をかけてその場で逮捕してしまつた。そうしてこのアイモを松本君から警官が奪おうとした。そこで同僚の朝日新聞の記者その他の人に応援を求めるために叫んだ、こういうのです。そうすると、そばにいた二人の警官のうちの一人が、こん棒をもつて自分をなぐつた。後頭部をこん棒でなぐつた。私は危險を感じて、左へ首をまわしたゆえに、その後頭部に当つたが、私は彼を――彼をいうのは、加害者を見ることが非常に困難であつた、こういうふうに、明らかに警官の一人が私をなぐつたというふうになつておるのを、これのお調べはなくして、あるいは朝鮮人であろうかというようなことで、その警官の犯行をたなに上げておくということは、これは警視庁としてはよほど問題ではないか。要するに、新聞記者カメラマン、これらが社会の実相を、真実を写し、伝えるためには、どこまでもこれは保護されなければならないと思う。それがなぐられて、なぐられつぱなしであるならば、それは昔の切捨てごめんの政治と何らかわりはない、こういうふうに思うのですが、その点なお総監はどういうふうのお答えができるか、確かめておきたいと思う。
  45. 田中榮一

    田中参考人 先ほど述べましたごとくに、警察官が取材活動中のカメラマンを殴打する事由は全然ないのであり、またその必要もないのであります。また従来の例におきましても、ニュースカメラマンの取材活動につきましては警察としては、これは自由な立場においてニュースカメラマンが活動されますので、できるだけそのことには便宜を供與し来つてつたのであります。かような状態でありまして、この松本カメラマンに対して警察として何ら阻止する必要も当時なかつたのであります。またこのニュースカメラマン負傷した、その負傷の傷口――頭髪に相当どろがついているのであります。警察官が同様に頭部に相当負傷しておりますが、これも同様にどろがついているのであります。警棒にはどろはついていないと思うのであります。従つて何か投石されたものにどろがついておつたじやないかというふうに考えられます。  それからまた警察官ニュースカメラマンの付近でニュースカメラマンに暴行をしているような現況を確認いたしましたので、ただちにその二名を逮捕いたしまして、調査いたしたのでありますが、その者がニュースカメラマンを殴打したという事実は遂に出て来なかつたのであります。その反対に、ニュースカメラマンが頭部に非常に重傷を負いまして、鮮血淋漓たる中に敢然としてアイモを握つてつているうしろから、むしろ警察官二人がこれをバツクしまして、教室の入口までこれを介抱して連れて来たという事実はわかつておりますが、警察官がなぐつたという事実はまだ確実に私の方には判明しておりません。ただこれは警察がその当面の関係者でありますから、この点につきましてはむしろ第三者である検察庁に十分御調査を願うことが最も公平であると考えまして、ただいま検察庁の方におきまして、この件につきまして嚴重に御調査を願つておる次第であります。
  46. 上村進

    上村委員 今の総監のお答えは、まるでこつちの事実と反対のことになるわけでありますが、その二人の警官が擁護したということは――それはなるほどあとになつて、倒れましたからそれを起したのはやはり警察官がやつたかもしれませんが、二人の警官が倒れたものを擁護したその前に、二人の警官の一人がなぐつたということは、一体今では全然否定して、お調べにもなつていないということでございますか。
  47. 田中榮一

    田中参考人 私の方でも、もし警察官がかかる非行をいたすといたしましたならば、これはゆゆしき問題でございますので、警視庁内部におきましても、この点につきましては嚴重にただいま調査中であります。
  48. 上村進

    上村委員 こういう事実はお調べになつたかどうかお伺いしたいのですが、刑事部の捜査二課の島田領四郎という警部補が、この松本氏の入院されておる病院を訪問しまして、そして松本氏を親しく三時間にわたつて調べた。そしてその文句は、お前さんのその傷は警官がやつたのではない、朝鮮人がやつたのだという意味のことを繰返して言つておるということでございますが、はたしてこういうことがあつたかどうか。あつたとすればそれはだれの命令でそういうことをしたのか。その責任はどうか。それから今総監が、全然警察側でないと言うのであるならば、この島田という警部補がわざわざそんなところへ行つてそんなことを言う必要はないと思うのですが、それらの実相はどういうことになつておりますか。
  49. 古屋亨

    古屋参考人 私からお答えいたします。島田警部補がカメラマン負傷状況状況聽取に入院中の病院に参りましたことは、事実であります。ただ警察といたしましては、いやしくも傷を受けたというものにつきましては、その状況をすみやかに聞きまして、加害の状況調べなければなりませんので、そういう意味において病院へ行つて聞いております。ただお話のような、警察官がやつたのではないということは言つておりません。
  50. 上村進

    上村委員 その点はそれでよろしゆうございます。それからもう一点、そのときの松本君などのカメラマンによつて撮影されたところの光景の二ユースですが、このフイルムは上映を禁止されておるということを聞いておりますが、はたしてそういうふうなことになつておるかどうか。その禁止は一体だれが命令したのか。警視庁では関係しておるのかどうか。この点を御説明願いたいと思います。
  51. 田中榮一

    田中参考人 ただいまの朝鮮学校ニュースの上映につきましては、上映していいか悪いかということにつきましては、警視庁は全然関係しておりません。これはどういうふうになつているか私は存じません。
  52. 上村進

    上村委員 今の点はこれで終ります。  一点最後に、大田区の区長が自動車を区議会の承諾なしに買い入れたという不正的な問題を取上げて、自由党、社会党、民主党その他の党ではこれの彈劾演説をやつているわけです。ところが共産党の方に対してはこれを絶対に許さないのです。むろん許可をとつているのでありますが、それを許さないので、警視庁抗議に行つたのでございます。すると警視庁の警備課の第三係の北村警部さんがそこべ応接されまして、こういう演説会に関しては、共産党に対しては絶対に許さなさい。それはつまり向うの方の命令で許さないのだ、こう言つてどうしても許さぬということの報告が来ておりますが、共産党であろうが何党であろうが、とにかく正式の手続をふんで演説をやるというこういうことをして不公平な取扱いをしておるのでありますが、これは一体警視総監の権限による御処置でありましようか。そうとすれば一体そんな権限があるのか。そしてその北村警部がそういうことを言われたのは、それはそういうふうになつておるのかどうかというような点をお確かめしておきたいと思うのであります。
  53. 田中榮一

    田中参考人 煽動であるとかあるいは挑発等をやられたり、あるいはその集会をやることによつて非常に社会に不安をかもし出すような集会につきましては、ただいま占領下にありますので、かかる集会につきましては禁止の方針をとつておるのであります。またこれを禁止させる権限は、当然警視総監に與えられておるものと考えます。私の権限でやり得ると考えます。
  54. 上村進

    上村委員 私の問いは、結局共産党だけにそういうふうな禁止をすることができるのかということと、それから北村警部が向うの命令だから絶対共産党だけは許さぬと言つたのは、それは総監がそういうふうにしておられたのか、命令しておられたのかどうかということの質問をしたいわけであります。
  55. 田中榮一

    田中参考人 共産党であろうが何党であろうが、その政党のいかんを問わず社会不安をかもし、また社会の治安を紊乱するような挑発、煽動を目的とするような集会は、いかなる政党に対しましても現在認めておりません。
  56. 上村進

    上村委員 共産党だけに許さぬということをあなたの方では北村警部に言つたということはないわけですか。
  57. 田中榮一

    田中参考人 さようでございます。
  58. 上村進

    上村委員 よろしゆうございます。
  59. 花村四郎

    ○花村委員 朝鮮学校の問題に索連してただ一点だけお伺いしておきたいと思うのですが、先ほど来の御説明によりますと、本問題はPTA会合が無届であつたということが原因なつて起つておるように聞きとつたのでありますが、このPTA会合というものがいかなるものであり、そしてその内容はどういうものであるかということの御説明をひとつ願いたいと思います。
  60. 田中榮一

    田中参考人 一般的に申し上げますと、学校内におきまするPTA会合は、これは学校長の責任において開催が自由なのであります。従つて学校内におけるPTA会合その他学校外におきましても、純然たるPTA会合というものは、これは政治集会ではございませんから、これに対しましては何ら法の取締りその他を受けておりません。但しこの朝鮮学校におきまするPTA会合は、名前はPTA会合と言つておりまするが、先ほど私からるる御説明いたしましたことくに、純然たる政治的の集会であるという形をとつたのであります。それに対しまして、これは無許可の集会なつておりますので、法の命ずるところによつて警視庁といたしましては解散を命じたのであります。
  61. 花村四郎

    ○花村委員 その御説明の趣旨はよくわかつておるのですが、PTA会合を表看板としていかなる会合をせんとしたのであるか、その会合内容等の詳細について承りたいと思うのであります。
  62. 田中榮一

    田中参考人 このPTA会合内容につきましては、大体におきまして民主戰線人民大会、要するに二月二十八日に行いました警視庁朝鮮学校における一斉捜索、これの真相を説明する同志の大会である。かような目的のもとに民主戰線人民大会というものを開催いたしたのであります。しかしこれがかかる名目では許可されないことが当然はつきりいたしておりますので、PTA会合ということで父兄並びに関係方面にあらゆる動員をかけまして、外郭団体その他がこれに参集いたした純然たる政治集会でございます。
  63. 花村四郎

    ○花村委員 よくわかりましたが、PTAとかあるいはその他の名前を利用して、こういう不穏な会合その他の企てをやつたという事例がこれ以外にもありますか、ありませんか。
  64. 田中榮一

    田中参考人 三月一日に、これは都下の各学校におきまして――いわゆる三月一日は朝鮮独立記念日、すなわち三・一記念日でありまして、この日に各学校におきまして、学芸会という名目のもとに参集する予定であつたのでありますが、これは一応いろいろの点から考えまして、社会不安を惹起するおそれありと認めまして、これは禁止いたしました。それから三月二十三日に神田共立講堂におきまして、やはり全校合同の学芸会という名目のもとに集合が行われるように申出があつたのでありますが、これも不許可処分をいたしたのであります。その他三月八日荒川第一小学校、三月十一日板橋第三小学校、三月十五日本田第五小学校におきまして学芸会を行う、これらは條件付にて集会の許可を與えております。
  65. 古島義英

    ○古島委員 三月七日の騒擾事件で、十一名検挙いたしたというのですが、この中には日本人はおりませんか。
  66. 田中榮一

    田中参考人 十一名のうちほとんど全部が朝鮮人であります。それから千葉県から来ておる者もございますし、横浜から来ておるのもございます。それから長野県から来ておるのもございます。
  67. 古島義英

    ○古島委員 各所から集まつておるが、みな日本人はいないのですね。千七百名ほど集会したというのですが、これはみな朝鮮人だけですか。
  68. 田中榮一

    田中参考人 私どもはつきり確認することはできませんが、前日から一般の自由労務者そのほか全学連、地区委員会、各方面に呼びかけておりまするので、あるいは若干名は私は日本人がその中にまじつておる、かように考えております。
  69. 古島義英

    ○古島委員 もちろん朝鮮人にも共産党があるわけですが、共産党の連中がおそらくは背後関係なつておることだと思うのですが、その背後関係は今調査中だということですから深くは承りませんが、その点について、集会した連中及びその連中の今までの行動等はよくお調べなつておると思うのですが、共産党関係の方面はどういうことになつておりますか。
  70. 田中榮一

    田中参考人 背後関係につきましては、ただいま調査中でございますから、いずれ御報告したいと考えておりまするが、あるいは当日行動部隊の中にはいわゆる地区委員会等の者が若干入つておるかもわかりません。
  71. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつと関連して承りたいが、先ほど承つておりますと、学校において政令三百二十五号に違反する印刷物を刷つておる。さらにそれを配布したというような事実がある。また学生みずからが、突発的でなくして、相当訓練した者だろうと思うが、模範的な騒擾を起す、かようにわれわれは承つたのでありますが、そういうことを企てるものが、これは名前は学校であるけれども、そういうものを企てる一つ集会場、謀略の本部と認めざるを得ないと思うのですが、この点はいかがでしよう。
  72. 田中榮一

    田中参考人 この点につきましては、私の方の関係ではなくて、むしろ文部省または東京都教育庁の関係になつて来るのではないかと思います。その方面一つお願いいたしたいと思います。
  73. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのはそうじやないのです。文部省はそんなことを直接調べるところじやないですから、あなた方の方で調べて、こういうものであるということになると、それに対する処置は文部省がやる。それを私は聞きたい。そういうふうにあなたの方で認められたら、文部省なりその他それらに関する行政庁――あるいは司法部内になるかもしれぬが、それに対してとらるべき処置あるものと心得るから、私は聞くのです。
  74. 田中榮一

    田中参考人 今までの事件につきましては、事件内容並びに学校教官のとつた措置その他につきましては、今後教育庁の方でいかなる措置をとられるが、参考資料として私の方から連絡をいたしております。ただその際に、私の方として本校の措置をどうするかという問題につきましては、私どもの権限外でありますので、この点だけは申しておりませんが、事実の詳細は逐一報告いたしております。
  75. 安部俊吾

    安部委員長 ほかに田中警視総監に御質問ありませんか。――なければ、田中参考人におきましては、御多忙のところわざわざ御出席くださいましてありがとうございました。それでは加藤充君。
  76. 加藤充

    ○加藤(充)委員 先般濠洲連邦の高等法院におきましては、さきに同国会を通過した共産党解散法というようなものの内容が違憲であるという判決があつたようであります。それとまつたく対蹠的に、最近の新聞によりますと、政府が取急ぎ、しかもきわめて近い期間に日本共産党を非合法化する意図を決定し、それぞれ関係当局はその措置を準備完了したというようなことが報道されておるのであります。私はこういうような事柄は、まず第一に終戰以来ポ宣言を嚴重に実行している。従つてその内容とする日本の徹底的民主化と非武装化と平和国家の建設あるいは警察国家組織の徹底的な廃止というようなものに対して、ほんとうに闘つて来ているものは日本共産党だと思うのでありますが、そういうふうな日本共産党の合法性を抹殺するというようなことは、明らかにポ宣言と憲法を蹂躙し、日本における民主主義を根底からくつがえして、再びあの黒いフアシズムの体制をつくるやり方だと思うのであります。それから第二段には、この共産主義の指導原理、あるいは共産主義の世界政策といいますか、そういうものにのつとるところの民主的国家は、世界の人口的に見ても過半数を占めているということであります。これは私が言うばかりでなく、さきに英連邦の対日理事会の代表として長らく出席もされておつたW・マクマホン・ボールという人の言葉にもあるのでありまして、米国がまだ管理している日本と共産党が支配権を握つた中国を除外するとしても、カラチからサイゴンに至る約七億の民衆というものを大きな平和勢力として取上げているのでありまして、その動向は重要だということを言つておるのであります。反面それを除外しましても、社会主義のソ同盟及びヨーロツパとアジアにおきまする人民民主主義共和国と言われている国々と合体しただけでも、そこに八億の人口があるのでありまして、大体過半数の人口を持つていると思うのでありますが、こういうようなところは、さき朝鮮と中国との境の鴨緑江を突破するかしないか、またそのことに関連して新中国の懲罰の問題が国連で問題になりましたときに、アラブ・アジアの十数箇国の、あの中立的な態度というものは、あの戰争の拡大、激烈化というものを防止した大きな力であると思うのであります。これほど大きな勢力となつておりますことは、だれもが否定できない嚴粛な事実だと思うのであります。しかもこういうような傾向が国際的な状況でありますにもかかわらず、法律をもつて多数で権力を私するというような意味合いでこれを明らかに敵とし、そういう風潮に反するような、この反共法というようなことをすることは、まさしく日本をみずから進んで戰争に巻き込む危險――みずから自分たちが平和主義者にくみせざる態度をはつきりしてしまうということではないかと思うのであります。それから次には特にこういうようなやり方をやりますと、全面講和というものは首相みずからが好ましいことではあると言つておるのでありますが、その心情がほんとうであるとすれば、首相ばかりではなく、首相もそう言うくらいですから、日本の全国民、全人民のほとんど大多数が、全面講和と平和と民族の独立を内容とした講和を求めてやまないのであります。それは單独講和の道ではないのでありますけれども、以上のような措置を講和締結を前にしてみずから進んで時期を早めてやるということは、みずから進んで単独講和の方向を決定してしまうことであり、こういうようなことは、先ほど申し上げましたように、さらに日本をみずから戰争にほうり込んでしまう。そうして世界のいわゆる血のマーチヤントと呼ばれ、血の商人と呼ばれた大量殺戮武器の製造や販売業者の勢力どもに日本を売り渡してしまうことに相なると思うのであります。第四に、特に地方選挙を前にして自由党が日共の非合法化をやるということは、やはり私は地方選挙に対する大きな妨害であると思う。全面講和、平和、独立というようなものを弱めてしまつて、それで投票が恫喝による詐欺と欺瞞によつて集められたならば、形の上で、投票の数字で單独講和を求めている、再軍備を求めているというふうに論理づけて行つてしまう恐るべき謀略であり、明らかに選挙妨害だと思うのであります。こういう点を私ども考えますときに、あの日本の新聞に報道せられました共産党非合法化の問題は、單に共産党だけじやなしに、日本の全民族が、同時に日本のほんとうに民主主義を愛する者が、同時に日本の独立と平和を愛する者が、ひとしくこれは関心を持たなければならないし、また持つておりますし、影響するところ甚大なる問題だと思うのであります。  それで私は次の質問をいたすのであります。まず第一番に、非合法化をいそぐ事由、それから第二にはそれをどういう方法でやろうとしておるのか、第三には国内的な問題、あるいはきようも配られました世界人権宣言、あるいはポツダム宣言、あるいはまた日本の明確な憲法の規定から見まして、事実上また法理上そういうことができるとお考えになつているのかどうか、それから第四に、このことと関連いたしますが、再軍備を内容とするような講和條約、いわゆる單一講和といいますか、單独講和といいますか、そういうような講和條約は、次の二つの点で問題になるのではないか。すなわち第一点は、憲法九條と、同時にそういう講和ができてもそれが憲法違反であるかどうかという点では、九十八條との関係、第二にそういうような單独講和をみずから求めて行くというような積極的な出過ぎたやり方というものが、一九四二年の一月に決定されておるワシントンにおける連合国の共同宣言の第二に反したようなことを日本がやつておるということになりはしないのか、第五には廣川氏の民主党の苫米地氏に申入れをしたという事件の真相は、一体どういうものであるか、以上のような点を羅列申し上げましたが、お答え願いたいと思います。
  77. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党の非合法化の問題につきましては、政府といたしましては、昨年以来愼重に研究中でございまして、いまだ結論に到達いたしておらないのでございます。
  78. 加藤充

    ○加藤(充)委員 第二に私が聞いた点、――どうも私がやつぎばやに質問したので御記憶がないようでありますが、再軍備を内容にした單独講和というような問題は、憲法九條と九十八條との関連からどうお思いになりますか。それは明らかに憲法違反であり、憲法違反になるような條約というものは無効である。国会はそれに承認を與えるべきでないということを私どもは考えるのでありまするが、その点、それから第二には、そういうことを日本が進んでやる、おちよつかいを出して行くということは、一九四二年のいわゆるワシントンの連合国共同宣言の第二に明らかに相反することを意識的にやるということになりはしないかどうか。
  79. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 再軍備を内容といたしましたる講和條約というのは一体どういうことであるか、私にはよくわかりません。ただいま内閣においては講和條約の準備をいたしておりまするが、再軍備を内容とした講和條約というようなことは考えておらぬわけでありまして、その点につきましては、お答えいたしかねるのであります。
  80. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今言つたようなやり方は、結局單独講和の道であり、進んでそのことを積極的に行動したということになつて、押しつけられたとかいうようなことをはるかに逸脱していると思うのであります。そういうことになりますと、連合国の共同宣言に反することをみずから意識的にやることになると思うのですが、その点はいかがですか。
  81. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 連合国の共同宣言というものの内容を私よく存じておりませんので、何ともお答え申し上げかねます。
  82. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それではちよつとその点を読み上げますと、一九四二年一月のワシントンにおける連合国の共同宣言の第二には、單独講和、單独休戰はなさざることを誓約するということがあるのであります。大橋さんは、今まで知らないでおやりになつたのだから、それは犯意はないとおつしやるかもしれませんけれども、きよう私がここで読み上げたのですから、それをお調べなつて、知つてつてやるというならば、これは故意犯になると思うのであります。
  83. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのお読み上げになつた宣言なるものは、今伺つてわかりましたが、これはどうも伺つたところでは、日本に関係ない事柄のようでありまして、日本がそれによつて拘束されることはなかろうと考えます。
  84. 加藤充

    ○加藤(充)委員 関係がないことでも、自分の方の行動がそれによつて起りますると、その行動が起きたということによつて当然関連を持つのであります。従つて日本の行動というものは、有責な、責任のある行動にならざるを得ないのでありまして、そんなものは連合国のきめたものだから、おれは知らねえというのでは、これこそはなはだしく連合国の権威を冒讀することになると思うのですが、どうですか。
  85. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 そのことは権威ある連合国においてお考えくださることと存じます。
  86. 安部俊吾

    安部委員長 なお加藤君にお諮りいたしますが、議題犯罪捜査及び人権擁護に関する件でありまして、その議題よりあまり離れないように御発言をお願いいたします。
  87. 加藤充

    ○加藤(充)委員 きよう手元に配られました世界人権宣言の第二條を見ますと、これらの宣言に盛られた内容は、そのある個人の属する国または地域が独立しているとか、信託統治下にあるとか、非自治領であるとか、その他主確の制限のもとに置かれているとかいうような、政治上、管轄上または国際上の地位の相違を理由として、その個人の取扱いに何らかの差別も設けてはならないということが書いてある。しかもそのうしろに、その世界人権宣言と日本の憲法との関連が御説明なつておるのでありまするが、その説明の三によりますと、明治憲法においてももちろん国民の権利の保障が規定されていたけれども、とかく義務の面が強調され、近代社会が闘いとつた人間としての権利という考えからははるかに遠いものであつた。国民の権利は、法律はもちろんのこと政府の命令によつても制限を受けていたのである。だが、今はポツダム宣言の「言論宗教及思想ノ自由並二基本的人権ノ尊重ハ確立セラルペシ」という要求に応じて、日本国憲法は国民の権利保障について広汎で強力な規定を設けることになつた。しかもこの世界人権宣言は、日本憲法の基本人権の擁護の規定というものとは関連があるのだということが強調されているのであります。世界人権宣言の第十八條には「何人も、思想、良心及び宗教の自由を享有する権利を有する。」十九條には「意見及び発表の自由を享有する権利を有する。」二十條にば「平和的な集会及び結社の自由を享有する権利を有する。」ということが規定されておりますので、この規定の点から言つても、共産党を非合法化するというようなことは、もつてのほかの世界人権宣言に違反するものであり、違反をしてあえておるということの責任を政府みずからが意識しておやりになつているのかどうか、その点お尋ねしたいのであります。
  88. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党の非合法化について、政府はただいま研究をいたしておりますが、これを研究しておりまするゆえんのものは、憲法を守り、民主主義を維持して行き、そしてこの日本におきます平和と自由と権利というものをどこどこまでも守るためにさような措置が必要ではないか、こういう問題を研究しているわけであります。従いまして、人権宣言をよく守つて、これを国内において実行いたしますためには、どうしても共産党の非合法化ということが必要ではなかろうかという問題を研究しているわけであります。
  89. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それじや最後に一点お尋ねいたします。それほど重大なことであつて、それほど御愼重に御答弁になるにもかかわりませず、ああいうふうなことを国務大臣が――国務大臣は公務員であります。公務員の職務権限というものは憲法にも明瞭にうたわれているのであり、公務員法にも規定されているのでありますが、ああいうふうなお坊さんが苫米地寺をお参りするというような逆手のやり方になつて参りましたときに、公務員として、あるいはあなたの参画されておりまする自由党の吉田内閣のもとにおいて、あの廣川氏のこの責任というものはどういうふうになるのか、あるいは責任がないといたしますれば、その責任がないのだという真相をひとつお知らせを願いたいと思います。
  90. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 他の閣僚の行動につきましては、その方に直接お尋ねをいただくことが適当ではないかと存じます。
  91. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それじやそういうことについてはあなたはお考えになつたことがないというのですか。
  92. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私の行動については、私からお答えすべき立場にあると思うのでありますが、他の方の行動については他の方からお聞きを願いたいと思います。
  93. 加藤充

    ○加藤(充)委員 あなたは確かに自由党員であつて、共産党員ではないと思うのですが、共産党の他人のことをいろいろ国務大臣としてお考えになつて、御配慮になつておるらしいが、そういう立場からやはり廣川弘禪なるものの、大臣として、公務員としての処置、しかも国際的に、国内的にきわめて重大にして深刻なる幅の広い影響を與えていると思うのでありますが、こういうふうな重大な行動に対して、あなたはお考えになつたこともないというのですか、その点についてあなたの御意見を聞きたいのです。
  94. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党の問題につきましては、私の権限の範囲でございますから、私からお答えするのが当然でありますが、廣川農林大臣の行動というものにつきましては、私の権限外のことなりますから、お答えすべき立場ではないわけであります。
  95. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは明らかな意識的な、悪質的な選挙妨害であるということを主張して、そのことについての御意見を聞きたいと思うのでありますが、その点はどうなんですか。
  96. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは選挙法のいかなる條項にも触れたものではございません。
  97. 加藤充

    ○加藤(充)委員 こういうふうな、やればやり得、切捨てごめんというようなやり方は、一面において非常にお上品なような措置になるかしらぬですが、これほど恐ろしい恫喝的な、恐怖的な、同時にこれほど権力を自分の思うように駆使する恐ろしい実質的な暴力はないと思うのであります。幾多の革命の思想なり、歴史を見ましても、相当古いフランス革命の歴史を見ましても、国家の政府の役人どもが権力を私して、しかもそのうちに不正腐敗行為を働いていたということが、人民に大きな不満憤激を與えた原因なつておるのでありまして、こういうやり方は、敵の暴力だ、暴力だと言つていますけれども、それほど恐ろしい暴力を使つたものは、やがてそのことに誘発されて起つて来る人民の反撃によつて倒されて来てしまつたという歴史を、あなたは御答弁なさる前に真險に考えてみなければ、暴力対策を論議される職責を全うすることはできないと思うのでありまするが、最後にこの一点を確かめておきたいと思います。
  98. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 共産党の諸君のごとく、暴力によりましてその主張を通そうとする、そういう人たちが、過去の歴史においていかなる結末に相なつておるかということを私十分に承知しておりまするがゆえに、この国にそういう運命を再びあらしめたくない、こういう点におきまして、共産党の非合法の問題を研究いたしておるわけであります。
  99. 加藤充

    ○加藤(充)委員 じや最後に一点、田中総監がお急ぎで帰られたので、あなたに質問をすることになつてしまつたのですが、先ほどの総監の答弁、報告を聞いてみますると、たいへん事実に反するのであります。実力をもつて集会解散させたというが、すでにその時刻には何らの集会も行われておらず、あの校庭、校舎の中におつたのは、ほとんど学童と大部分が学生生徒だけだつたのです。それに数千名の警官が武装で、実力解散を命じたということは、解散させられる実体がないのですから、そこには明らかに暴力と流血の惨事が警察によつて呼び起されたと思うのであります。しかも同僚上村委員からの質疑の中で明確になつたことですが、あとからピストルがなくなつたのだということなんですが、明らかにあそこに来て検察させろ、中へ入らせろと言つて交渉したまつ先の理由は、ピストルちようがなくなつた、そのなくなつたピストルを捜索に来たのだから、校内を点検させろということで、応酬が始まつたのであります。これほど人を瞞着した、これほどひどい暴力というものは――警察があの日にやつた行動をあとからりくつをくつつけて、そうしてこん棒とピストルをもつてカメラマンまでなぐつた。二・二六事件のときですら、写真機や何かは破壊されたことはあつたようでありますが、直接報道の任務に当る記者の諸君が人体に傷害を受けたということは、そのときにおいてすらなかつたという。あの二・二六事件というものは、日本において最もいまわしい暴力主義が横行したときなのであります台が、そんなことが今なされておるのに、共産党だけを暴力だとか、非合法だとかいう、てめえの足元を見ていないという世間のそしりをあなたはどうして解こうとなさるか、またその本質をいま少し真險になつてお調べ願わなりればならないと思うのでありますが、この点いかがですか。
  100. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 朝鮮学校事件につきましては、実情をよく承知しておられ、またあなたの質問に対しまして十分なるお答えをなし得るところの田中総監がおられる際に、そういう御質問をなさらずに、おられなくなりましてから、事情をよく承知しておりません私に対して御質問なさるところの動機は、どういうことであるか、私はわかりませんが、私といたしましては、この点は田中君にお聞きいただく方が適当である、こうお答えいたしたいと思います。
  101. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは座をはずさせてくれ、忙しい用があるのだということでやむを得ず、先ほどお断りしたように、あなたに言うことになつてしまつたのです。こういう歴然とした事実がある。これは被害者のカメラマンの手記によつても明らかだし、手記があとでつくられたというのであるならば、そのときにいわゆるニュースの鬼となつて報道の責任を全うされたその人がとつたニュースがあるのですから、ひとつ大橋さん、この法務委員会だけでもこのニュースを見まして、いたずらにあなたと論議をし、お互いに頭の悪いところを私らが暴露して、おまけに大橋さんの頭のいいというところの結論だけを表現するようなこの委員会の運営は、私ども好みませんから、このニュースをひとつ委員会で見て、そうして判断していただきたいと思うのであります。それで私はこのことについて、ぜひひとつ大橋さんも賛成だという発言を願いたいし、また私が田中さんがおらなくなつたときに大橋さんに言つたことは――あなたに対する質疑が当を得ていないというのだが、こういう事実を確かなる事実として私が調べて知つているので、この点を積極的に進んで調べていただきたいという希望の申入れを強くいたすことにして、やめます。
  102. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私の申し上げましたのは、先ほど田中総監説明の全趣旨を聞いておりますと、明らかに加藤君の言われたことと逆のお答えがあつたように思います。しかしながらこれはなお事件といたしまして、東京地方検察庁におきまして送致を受けて、現に捜査中の事件でございますから、今後検察庁といたしましては、でき得る限りの方法を講じまして、この問題の徹底的な調査をいたすという考えであることを申し上げます。  なお映画の問題でございますが、その点については私においては何ら意見のないところでありまして、委員会において適当にお研究を願うべき問題だと思います。     ―――――――――――――
  103. 安部俊吾

    安部委員長 次に、商法の一部を改正する法律改正に関する件を議題といたします。この際商法の一部を改正する法律改正に関する小委員長より、小委員会における調査の経過及び結果の報告を求めます。商法の一部を改正する法律改正に関する小委員長押谷富三君。
  104. 押谷富三

    押谷委員 ただいまより商法の一部を改正する法律改正に関する小委員会の経過並びに結果について御報告いたします。本小委員会は、去る二月二十一日に設置されまして以来、商法の一部を改正する法律改正に関して愼重に調査検討を加えました結果、本日の小委員会において次の通り結論を得た次第であります。  先ず小委員会の結論として得ました案を朗読いたします。  商法の一部を改正する法律昭和二十五年法律第百六十七條)の一部を次のように改正する。  附則第一項中「、七月一日」を「十二月一日」に改める。     附則  この法律は、公布の日から施行する。  以下その理由を簡單に御説明申し上げます。  御承知のように、商法の一部を改正する法律は、民主的な、しかも近代的な画期的新立法であり、われわれの双手をあげて歓迎するところでありますが、日本経済の骨格たる株式会社の組織を根本的に革新するものであります関係上、日本経済の運営に與える影響は、きわめて大なるものがあります。しかるに受入れ側の産業経済界においては、目下本委員会において審議中の同施行法実施の遅延等の事情もありまして、まだ十分に受入れ準備ができていない現状にあるのであります。産業経済界からも、この実情に基いて実施延期の陳請が多数参つているのであります。さればと申して、講和の曙光も目のあたりに輝いている現段階において、いたずらに長期の延期をなすことは、とうてい許されないと確信いたします。そこで小委員会におきましては、愼重審議の結果、十一月定期総会の経済実情をにらみ合せまして、施行期日を十二月一日といたした次第であります。  なおこの小委員会の案につきましては、委員各位の御賛成を願いまして、当委員会の一応の案として御採択の上、委員長において所要の手続を経ました後は、当法務委員会提出法律案とせられんことを希望いたします。  簡單でありますが、以上小委員会の経過並びに結果を御報告申し上げた次第であります。
  105. 安部俊吾

    安部委員長 これにて小委員長の報告は終りました。本件について御質疑はありませんか――ほかに御発言がないようでありまするから、お諮りいたしますが、本件につきましては、小委員長の報告通り委員会の案を当法務委員会の一応の案といたしまして、委員長において所要の手続を経ました後は、当委員会提出法律案とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長の報告の通りとりはかろうことに決定いたしました。  本日の議事はこの程度において散会いたしたいと思います。次会は明後二十二日午前十時より開会いたします。     午後三時三十三分散会