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1951-02-13 第10回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十三日(火曜日)     午後零時二十一分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君       鍛冶 良作君    佐瀬 昌三君       古島 義英君    松木  弘君       山口 好一君    田万 廣文君       上村  進君    梨木作次郎君       世耕 弘一君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ————————————— 二月九日  委員大上司辞任につき、その補欠として牧野  寛索君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員加藤充辞任につき、その補欠として上村  進君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  神戸その他の地における騒じよう事件現地調査  についての委員会報告書に関する件     —————————————
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  神戸その他の地における騒じよう事件現地調査についての委員会報告書に関する件を議題といたしまして、報告書原案について質疑を続行いたします。なお前会の委員会における決定に基きまして、委員から書面をもつて質疑事項が提出になつております。よつてまずこの質疑事項に対して答弁を願います。押谷富三君。
  3. 押谷富三

    押谷委員 梨木委員から書画によつて出されました質問について、神戸事件大阪事件京都事件のこの三つの地方の事件につきまして私より御答弁を申し上げたいと思います。
  4. 梨木作次郎

    梨木委員 議事進行について……。実はこの前のお話では、委員会外において文書を出すということになつておりましたが、それは答弁の便宜に資するためであつて、本日やはりこれに基いて私が質問をして、それに答えていただくというような形にしていただかないと、私の方からどういう質問が出ておるか速記録の中では明確になりませんので、私の方は簡単にこれに基いて質問いたしますから、そういうふうにとりはからつていただきたいと思います。
  5. 田万廣文

    ○田万委員 ただいま梨木さんからお話がございましたが、私がこの前議事進行の方針として申し上げたのは、さような意味ではなくして、むしろ要点を書面で出していただいて、調査団としてそれに対するお答えをこの委員会で願う、なお不明な点は梨木君の方からお尋ね願つたらどうだろうかという意味議事進行として申し上げたのであります。
  6. 安部俊吾

    安部委員長 梨木君になお委員長よりお答え申し上げますが、この前の申合せによりますれば——懇談会において決定したことですね。それは書面をもつてあなた方の方より十日までに提出する。そしてこの質疑に対しては、押谷君その他田嶋君より口頭をもつて委員会答弁する。こういうような申合せのように記憶しておるのでありまして、それは速記録によつても明らかと思うのであります。
  7. 梨木作次郎

    梨木委員 しかし今私の方から出た質問要旨というものは、これは委員会で明確になつておらないわけであります。これは委員会外であります。従つて今御答弁になつても、どんな質問が出ておつて、それに対する答弁が、さつぱりわかりません。これでは困ると思うのです。
  8. 安部俊吾

    安部委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  9. 安部俊吾

    安部委員長 それでは速記を始めてください。梨木作次郎君。
  10. 梨木作次郎

    梨木委員 報告書原案の六ページから七ページに書かれてあることでありますが、検察庁をはじめ関係者合計八十二名を喚問し、説明を求めたとありますが、公務員以外の民間側は、その中に何名含まれておるか、この点の内訳を御説明願いたいと思います。
  11. 押谷富三

    押谷委員 第一点でありますが、われわれが調べました総数は八十二名で、そのうち民間人が二十九名であります。その内容は報告書七ページの二行目、三行目、四行目に書いてあります。
  12. 梨木作次郎

    梨木委員 それではその次の十ページでありますが、検挙者地域別調べというところで、明細な地域別の人員が記載されておりますが、こういう資料はどこから入手されたか。入手先をお知らせ願いたい。
  13. 押谷富三

    押谷委員 検挙関係いたしておりました警察検察庁などから入手したのであります。
  14. 梨木作次郎

    梨木委員 それではその次の十一ページで、長田区内朝鮮人生活状態は、終戦後一時的には良好であつたが、その後下り坂となり、現在では困窮者相当数上つている、こうなつております。私たち長田区内朝鮮人生活状態についても詳しい調査を持つておるのでありますが、これが本件の、いわゆる騒擾事件の主たる原因になつておると思うのであります。そこでこれらの朝鮮人生活状態をどのような方法調査されたか、また困窮者生活状態の詳しい様子、これをお伺いいたしたいと思います。
  15. 押谷富三

    押谷委員 お答えいたします。長田区内における朝鮮人生活状態は、われわれは詳しく調査を遂げて参りました。その調査方法社会党県連書記長を初め多くの民間人、あるいは関係官公吏からも調査をいたしたのでありますが、特にかような関係におきましては、共産党立花議員から、われわれの調査の最中に連れて参られた六十数名のいろいろな団体代表調べてくれという要求がありまして、協議の結果、そのうちから三名の代表を選んで会見もいたし、また翌日ようやく時間のゆとりをつくりまして、これらの各団体代表者を招致して調べたのであります。いろいろな資料、あるいは情報等を総合いたしまして詳しく調査をし、その調査の結果が報告書に出ていることを御了承願いたいと思います。
  16. 梨木作次郎

    梨木委員 職業安定所について、一般日雇い労働者就職状況並びに朝鮮人日雇い労働者就職状況、こういうものをお調べになりましたでしようか。お調べなつたといたしますれば、その詳細をお伺いいたしたいと思います。
  17. 押谷富三

    押谷委員 われわれの調査目的が、この報告書の冒頭に掲げられておりますように、朝鮮人騒乱あるいは多数集まつ暴行事件などを中心にいたしておりますので、朝鮮人生活調べる、あるいは就業状況調べるのが主たる目的ではないのであります。ただその参考となるべき朝鮮人生活状況、特に長田区における生活状況等を、いろいろ情報あるいは資料を収集して結論を出したのであります。主たる目的がそこにございませんから、さような点については調査を遂げておりません。
  18. 梨木作次郎

    梨木委員 次にもう一つ伺つておきますが、生活困窮者に関する生活保護法適用状況、こういうものについては区役所においてお調べなつたかどうか、その状況を伺いたいと思います。
  19. 押谷富三

    押谷委員 調査はいたしておりますが、しかしそれについて区役所等における調査は必ずしも的確なものが出ているとも考えられませんので、先ほど申し上げたように、一応こう長田区における朝鮮人生活が、やみができなくなつて相当困窮状況に陷りつつあるという程度調査をして、それからはおもな朝鮮人騒乱本件の重要な点に入りました。調査期間が短かかつたのと、調査をしなければならぬ事項がたいへん多かつたので、そこまで手が及んでおりませんが、しかし今の生活保護法適用等関係につきましても、一応の調査を遂げておることを御了承願いたいと思います。
  20. 梨木作次郎

    梨木委員 その点に関してもう一点お伺いいたします。朝鮮人の間で昨年の年の初めあたりくらいから非常に家賃が上つて来、水道代相当上つて来た。それから学校へ子供をやつている家庭での給食代その他の費用が非常にかさんで来た。これらのことのために非常に困つておるというような実態をお調べになりましたかどうか。その点はいかがですか、
  21. 押谷富三

    押谷委員 一般内地人におきましても、今あげられましたような事情で、生活困窮者に一段と重圧が加えられておるような形にあるということは、これはもうどこでも見受けられるのでありまして、特に朝鮮人がそういうようなために生活に大きな脅威を受けておるというようなことは、私ども考えておりません。
  22. 梨木作次郎

    梨木委員 次にこれも十一ページでありますが、「昭和二十五年一月、外国人登録証明書の一齊切りかえ、及び未登録者等強制送還が実施せらるるに至り地下組織結成の必要を生じた。」こういうようにありますが、私たちの聞いておるところでも、外国人登録証明書の切りかえ、これは従来の朝鮮人生活実態からいたしまして、こういうものが生活にいろいろな圧迫を與えて、その結果いろいろな商売上にもさしつかえを生じたり、生活に困るような事態が起きて来た、こういうように聞いておるのであります。またこの問題と関連いたしまして、外国人登録をしておらない者について強制送還の問題がうわさされておるということのために、朝鮮人の間に非常に不安動揺を引起した。そういう行政措置の中において、外国人登録証明書の切りかえ、また登録証の携帯を検査する、そういうことに籍口いたしまして、朝鮮人を圧迫したというような事実、これらがまた朝鮮人反感を非常に引起するような原因をつくつておるというように聞いておるのでありますが、これらの点について御調査なすつたかどうか、なさつたといたしますならば、どういう結果になつておるかをお伺いいたします。
  23. 押谷富三

    押谷委員 外国人登録証明書の切りかえをしなければならぬ、これは行政上の必要によつてなされたと思いますが、それによつて朝鮮人生活に與えた影響は大したものを見出し得ません。この登録証の切りかえで強制送還等の問題が起つて朝鮮人に不安を與えたと言われますが、この不安を受けておる人たち強制送還対象になつておる人たちでありまして、これは不安におびえるということは当然のことであります。すなわち外国人登録証明書の切りかえをする必要はそこにあつたのでありまして、不安を與えたとすれば、それはすでに政治目的が達せられておるという形になるのではないかと思つております。こういう事実から考えまして、登録証明書の切りかえあるいは強制送還という問題は、善良な朝鮮人の利益と名誉、信用保持のためにまことによい影響を與えておると私は考えております。
  24. 梨木作次郎

    梨木委員 この問題に関連いたしまして、盛んに今町で流布されておる朝鮮人財産の凍結、これは善良な朝鮮人財産までも凍結するというようなことを政府が計画しておるということが流布されておる。このためにまた非常な動揺を與えておる。そういうことからまた政府に対する反感が醸成されておるというように聞いておるのでありますが、この点についてはいかがなものでしよう。
  25. 押谷富三

    押谷委員 私どもはそういうような風評を聞いたことはございません。まただれか何か意図するところがあつて、そういうことを流布しているかもしれませんけれども、私どもの耳には、まだ入つておりません。
  26. 梨木作次郎

    梨木委員 次に十二ページでありますが、「工作隊訓練所を逐次設置し、精鋭隊員訓練を実施した。」こういうことが記載されてありますが、一体こういうことはどういう証拠によつてかような事実を認定されたかを伺いたいと思います。
  27. 押谷富三

    押谷委員 この工作隊訓練というのは、取調べ対象になりました騒乱事件にきわめて密接な関係を持つておりまするので、われわれはここ非常に関心を持つて調査を進めたのであります。この訓練が行われた場所あるいは方法人数等を詳細な情報資料によつて調査を遂げて、この結論を出したことを御承知を願います。
  28. 梨木作次郎

    梨木委員 だからその情報とか資料というものを、もつと具体的にお示しを願いたいのであります。えてして情報というものには間違いもあるのでありまして、だれが見てもこれは信用してもよろしいというような、そういう情報だとか資料、さようなものによつてでなければ、かような事実を認定するということは、少くとも国会国政調査報告書としては当を得ないと思われますので、伺つておるのであります。
  29. 押谷富三

    押谷委員 たいへんたくさんな資料とそうして情報によつて総合結論を出しておるのでありますから、別の機会にゆつくり資料あるいは情報等をごらんに入れます。
  30. 梨木作次郎

    梨木委員 その情報とか資料というのは主として警察検察庁方面から入手されたものではないのでしようか。
  31. 押谷富三

    押谷委員 ただいまはつきりいたしておりませんが、そういう方面から入つたものもあります。
  32. 梨木作次郎

    梨木委員 どうもこれは、この委員会におきましてどういう情報、どういう資料、その出所、その情報の正体を明確にしないでこういう認定をなされるということになりますとこれは問題だと思うのでありますから、やはりここで私が質問したのを幸いといたしまして、もしあなたの方で自信がおありになるのならば、ひとつ明瞭に出していただきたいと思うのであります。別の機会ということでは、これは少くとも国会国政調査報告書を今ここで公に討議しておるのでありますから、これ以外の場所でお示しになつても、それは場所を得ないと思うのでありますから、どうかその点について資料を出していただきたいと思います。
  33. 押谷富三

    押谷委員 この国会における国政調査途上におきまして、いろいろ資料あるいは情報を集める場合に、これが公にできないような場面もあることを梨木君は御了承を願いたいと思うのであります。ただいまの朝鮮人工作隊訓練関係でありますが、これはただいま手元に相当たくさんあると思いますが、整理ができておりませんから、別の機会言つたのは後刻お目にかけてもよいと申し上げているのであつて、決して秘密にいたしているわけではございません。この質問書の各所にそういうことが現われておりますが、中にはその情報入手経路を発表することができない、いわゆる秘密に属するということもあり得るのでありますから、そういう点も御了承をあらかじめ願つておきます。
  34. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは次に進みます。十七ページでありますが、十七ページのところで神戸事件につきましていわゆる十一月二十七日事件の前に起つた事件、これを記載されてありますが、その中で第一番目には十一月二十日事件を取上げているのであります。しかし私たち調査したところでは、この前十一月の十七日にも約二十名の陳情長田区長に対して行われているのであります。この十一月二十日事件の場合には、午前八時ごろから工作隊員全相福ほか十数名が、「市民税で困つている人及び生活ができなくて困つている人たちは、今から陳情に行くから学校に行つていてください」、こういうように狩り出しをやつたということになつているのであります。これをまず最初に伺いたい。しかしながら、その前にもやはり非常に生活に困つているので、自然発生的に区役所陳情がなされておつた事実が現に長田区長によつて証言されている事実もあるのであります。そこで私は、なぜその前にこういう陳情があつたことを御調査お取上げにならなかつたかという点について、調査正確性の点から疑問を持つております。そこでそれをお伺いしたわけです。
  35. 押谷富三

    押谷委員 十一月十七日の陳情事件調査をいたしております。ただこれは穏やかに適法妥当な陳情でありますから、そこで騒乱事件には深い関係を持つておらぬから報告はしておりませんけれども調査はいたしております。
  36. 梨木作次郎

    梨木委員 今御答弁でよくわかつたのでありますが、そこでこれはあとで私がこの報告書に対する意見の陳述の中でも解れるわけでありますが、この結論の中で「合法運動を偽装しているけれども、」というような批判がなされている。そういたしますと、実際生活に困つている人が、穏やかに陳情行つた事実がやはりあつたのならあつたということを調査報告書の中に書いてくださることによつて、やはり結論が違つて来ると思うのであります。そこのところは、だから御調査になつたのならば、ますますそういう穏やかな陳情のあつたことも書いてくださらないというと正確な報告にならないように思うのでありますが、この点はどういう御見解でお取上げにならなかつたかを伺つておきます。
  37. 押谷富三

    押谷委員 われわれの調査には、調査目標というものがありまして、それは報告書の第一に「本調査目的」という一項目をあげて詳しくいたしておるのでありますが、こういう目標をもつて調査をいたしておるのでありますから、そこでこの目的にあてはまらない陳情、さようなものを取上げて書いておつたならばきりがございません。調査途上において現われたことについての取捨は、調査団におまかせを願うほかはないと思います。
  38. 梨木作次郎

    梨木委員 その次に、これは先ほどちよつと触れた件でありますが、十一月二十日事件におきましては、この報告書にも出ておりますが、朝鮮人の方から陳情した項目の中で、第一番目には、きようから食うことができないのだ、食わしてくれ、第二番目に、生活保護法を適用して救貧を行え、第三番目に、朝鮮人に対する市民税を免除せよ、こういう要求が出ておるのである。これらの要求が出る以上は、やはりそれだけの生活実態が存在しておつたものと普通常識で考えられます。この生活実態がないのに、こういう陳情をしたということになれば、これはあるいは合法運動を偽装しということになるのかもしれません。だからこの点が非常に大事なことなのでありまして、はたしてこういう要求が出るについての、それに相応するような生活状態にあつたかということについての調査をおやりになつたかどうか、これを伺つておきたいと思います。
  39. 押谷富三

    押谷委員 ただいまのお尋ねは、質問書第三に書いてあることと重複いたしております。第三にお答えいたした通りであります。
  40. 梨木作次郎

    梨木委員 それでは次に、京都事件について質問いたします。  三十四ページでありますが、前記実力解散に際し、リーダー格某はきようの欝憤は円山で晴らせとアジ演説をしたとありますが、そのリーダー格某というのは一体だれなんでありますか。そしてこれがリーダー格であつたというような事実、これをどんな証拠によつて認定になつたのかをお伺いしたい。
  41. 押谷富三

    押谷委員 リーダー格と目せられる人の言葉でありますが、その名前がわからないのです。だから某という表現をいたしております。この事実は、入手いたしました多くの情報資料によつて総合判断をいたした結果であります。
  42. 梨木作次郎

    梨木委員 また情報資料が出たのでありますが、これもここで明確にできませんでしようか。
  43. 押谷富三

    押谷委員 ついでですから、あとで一括してごらんに入れたいと思います。
  44. 梨木作次郎

    梨木委員 ではその次に移ります。  同じく三十四ページでありますが、「北鮮旧朝連系朝鮮人の動向について」こういう題で一連の事実が記載されております。同じ朝鮮人の中でこういう区別の基準というものは何によつて出されて来たのか、この点を伺いたいと思います。私たちから見ますと、どうも当局側から見て不当な行状をするものは、すべて北鮮系だというように認定されておるのではないかと思われる節もありますので、この点を附加してお伺いする次第であります。
  45. 押谷富三

    押谷委員 北鮮系朝鮮人韓国系朝鮮人区別は、外人登録によりまして判断をいたしておるのがおもな資料であります。それから京都における北鮮系韓国系は、この事件関係いたしましたものでは相当はつきりいたしておるのでありまして、これは民族教育要求を市の理事者にいたして、それがようやく貫徹して、教育を施すべき教員の選定にあたつて十九人の教員を選んでもよいという段階に達したときに、北鮮系委員、あるいは韓国系委員の間において、その教員の数の奪い合い等があつて、遂にまとまらなかつたというような事実から、この京都事件における関係朝鮮人で、どれが北鮮系で、どれが韓国系かということは相当はつきりいたしておるのであります。
  46. 梨木作次郎

    梨木委員 韓国人登録朝鮮人登録との二つがあるということは、この委員会特審局長がその趣旨の答弁をしたから、私もそのように了解しているのでありますが、韓国人登録をしておる人の中にも、北鮮に住んでおつた人もおらないとも限らないのでありまして、朝鮮人登録韓国人登録、この二つがあるということになりますならば、その朝鮮人登録の中で北鮮南鮮とどうして区別するのか、それをお伺いしたい。
  47. 押谷富三

    押谷委員 今のお尋ねについては、的確な数字はもちろんわかりませんけれども、おおむねこうであるという結論は出し得ると思います。特に韓国人登録を求められておる場合に、韓国人としての登録をせずに、朝鮮人登録をいたしておる人は、これは北鮮の人である、こういう認定はおおむねくだし得る、かような考え方を持つているのであります。
  48. 梨木作次郎

    梨木委員 それはその程度にいたしておきます。  次に三十六ページでありますが、十二月九日の円山大会責任者である全官公京都地協議長梅林信一氏が、十二月七日に、一年前の京都交通労働組合年次大会における問題を取上げ、これを暴力行為容疑当局は逮捕しておるのであります。そして十二月九日の午後三時二十分に、勾留の理由なしということで釈放された事実があります。これは明らかに十二月九日の円山大会責任者である梅林信一氏を、一年前の暴力行為容疑に籍口して、十二月九日の集会弾圧するための、いやがらせ的なやり方であるというふうに一般には信ぜられておるのであります。こういうようないやがらせ的な弾圧、これを十二月の七日、つまり十二月九日大会前々日にやつておる。こういうことが非常に大衆に対して不満と反感をそそつた原因をつくつておるように思いますが、こういう点についてお調べなつたかどうか。
  49. 押谷富三

    押谷委員 梅林信一氏を逮捕し、勾留し、釈放いたした、この日時なり、その関係は、ただいまおつしやつた通りでありまして、間違いございません。われわれの調査の結果からいたしますと、これが計画的な弾圧という目的を持つてなされたとは認めておりません。
  50. 梨木作次郎

    梨木委員 その次に移ります。三十七ページであります。十二月八日の午後七時に民主団体代表者大下公安委員と会見いたしまして、大会禁止の指令を撤回してもらいたいという交渉をしたのに対しまして、十二月九日の大会禁止は再考慮する、こういうことを約束したのであます。民主団体側はこの約束に基いて十二月九日の大会は決行できるものだと信じまして、準備を進めて行つたのであります。そうして十二月九日の午前十時からさらに公安委員会交渉に入りまして、午後二時二十分、公安委員の方から、しばらく検討するから退席してくれ、こういう申入れがあつたのであります。そのときには大会が許可される公算が非常に多かつたのであります。ところが約十分いたしまして、市警の方から絶対に許可しない、問答無用というような強硬な態度に出たために、公安委員会が遂に集会禁止の撤回をするに至らなかつた、こういうような経過的な事実が存在するのであります。これからの事実についてお調べなつたかどうか。
  51. 押谷富三

    押谷委員 この事実関係について共産党調査団の諸君が非常な努力でかような詳しい点までお調べになつているのはまつたく感服にたえません。われわれも調査をいたしまして大体大同小異であります。
  52. 梨木作次郎

    梨木委員 その次に移ります。質問の十二、四十一ページであります。ここに「解散してはいけない、大いにやれ」と共産党員が叫んだというような記載があります。ところが私たち調査によりますと、当日集団の中にたくさんの私服警官が入り込んで、挑発をかけたという事実があつたと言われておるのであります。従いまして、解散してはいけない、大いにやれというようなことを言つたのは、共産党員ではなくて、私服警官のしわざではないかと思われる節があるのであります。そこでこういうことを叫んだのは共産党員だという事実を認定されたのは、一体どんな証拠によつてさような認定をされたかを伺いたいと思います。
  53. 押谷富三

    押谷委員 私どもは的確な情報資料によつて認定をしているのですが、梨木君は私服警官がこんなことをやつたというような考え方をしていらつしやるのですが、その方の資料があつたらひとつ示してもらいたいと考えております。
  54. 梨木作次郎

    梨木委員 だから私は、この質問の中でも申し上げておりますように、当日私服警官がたくさん集団的に入り込んであつたということが伝えられておるのであります。そこでもしかしたら、解散してはいけない、大いにやれとアジつたのはこれは私服警官ではないかと疑いを持つのでありまして、私はそういう的確な資料を持つてつて、これを断定しておるわけではないことは、質問の言葉使いの中から御判断ができると思うのであります。そういうわけでありまして、今の御答弁によりますと、調査団の方では的確な資料によつているとおつしやいますが、先ほど来のその的確な資料というのを御発表ができれば発表してもらいたいと思います。
  55. 押谷富三

    押谷委員 一体私服警官が集団の中にたくさんまじつてつたという事実もはつきりいたさないようでありますが、かりにそういう警察官が入つてつて警察官が解散してはいけない、大いにやれというようにアジつたと考えられることが、私はどうしても常識的に狂うておるのじやないかと実は思うのです。そういう判断はわれわれはつきません。われわれはほかの資料情報によつてただいま申し上げましたように、共産党員が叫んだのであるという結論を出しておるのであります。
  56. 梨木作次郎

    梨木委員 私は今の御答弁ちよつと触れて申し上げておかなければならぬ点があります。というのは私服警官がそういう挑発をするというのは、少し判断が狂つているのじやないかとおつしやいますが、ところがそれは押谷さんの非常に甘い考えでありまして、事実共産党を陷れるためには、今までの歴史的な事実の中にも、共産党の中にスパイを繰込んで、銀行ギヤング事件というものをしでかした事実があるのでありますから、私の判断は決してそれほど狂つておらない、この点を申し上げてその次の質問に移ります。  十三番目の五十ページの質問であります。日共府委員会から出された戦術指令というものをここにあげておるのであります。ところでこれは考査委員会でも問題になつたことでありますが、共産党の指令というものの中にいわゆるにせ指令というものがたくさん流布されておりまして、そのにせ指令が当局に売買されているというようなこともあるのであります。そこで日共府委員会から出された戦術指令というものは、ほんとうの共産党の指令なのか、私たちはにせ指令であるかもしれないということを疑うのであります。そこで真正の指令と認定された根拠、しかもこの指令はどこから入手されたのか、この点はわれわれ共産党に籍を置く者といたしまして、どうしても明確にしていただきたいと思うのであります。
  57. 押谷富三

    押谷委員 戦術指令の入手関係は、これは将来にも大きな影響がありますから、調査団としては申し上げないことにいたしております、これは秘密であります。それからわれわれの入手したこの日共の戦術指令がにせであるかまことであるか、どうして判断をしたかと言われますが、実はわれわれはにせ指令とほんとうの指令と二つあることを承知いたしておりません。何ならひとうつほんとのやつとにせのやつとを出してもらつて、われわれに参考のために見せてもらつたならば、たいへんにけつこうだと存じております。
  58. 梨木作次郎

    梨木委員 入手の経路は秘密である、これは私はまことに解しかねるのでありまして、だから私は質問したのであります。にせ指令がたくさん流布されている、現に考査委員会でもこれが問題になつた、一体その指令はどこから手に入れたのかということをいろいろ聞いてみますと、買つたのだということになつて、笑いものになつた事実があるのであります。でありますから指令を見せていただければ、われわれはそれをちやんと確認いたします。見せてください。見せてくだされば、これはほんとうの指令かどうかちやんとわかるのです。見せないで、これは秘密秘密だと言われたのでは、人民を納得させるゆえんではありません。そういう秘密的なやり方というものは、これは専制的な政治制度のもとにおいてのみ認められる警察国家的なやり方といわなけばならぬ。どうしても秘密であつてわれわれに見せることができないとおつしやるならば、私はこれはどうもにせ指令だと断定せざるを得ません。  そこでその次に移ります。十四番目であります。円山大会事件では、これは新聞の報道によりますと、死者一名が出たということが言われておるのであります。この点につきましては、いろいろ民主団体の側でも調べておるようでありますが、とにもかくにも、あれほど大きく東京の新聞にも出たのでありますから、まんざら根拠のないことでもないのじやないかと思われます。もしこれが真実であるとするならば、これは重大な人権蹂躙であります。そこでこの点をどの程度調べなつたか伺いたいと思います。
  59. 押谷富三

    押谷委員 私ども調査いたしましたのは、相当たくさんの負傷者を出しております。中には重傷者が出ていることも、調査の結果明らかになつておりますが、実は調査当時においては死者が出たとは、そういう事情は現われておりません。
  60. 梨木作次郎

    梨木委員 調査団の方では新聞をごらんになつたでしよう。死者が一名と新聞に大きく出たはずです。だからそうならば、これは非常な重大問題なんで、これはお調べにならなければならないはずで、われわれの方も調べておるのでありますが、どうもこういう事実があるのであります。自由労働組合の永野修一という人から聞いたことなんでありますが、この人の話によりますと、十二月九日の午後五時十五分ごろ、警察用の拂下げトラツクが、六十歳ぐらいの地下たび、国防色ズボンの男の顔に手ぬぐいがかかつておるのを第二日赤に運び、三十分ほどしてから、顔から下部七分通り上半身を白いきれで包まれて、解剖室から担架に乗せられて出て来た、こういう事実があるということを述べておるのであります。これはたいへんだというので、市警の田中警邏部長にその事実を確かめてみたところが、覚えておらぬ、こう言うのであります。日赤の外科の喜多医師に聞いてみたところが、そういう事実はないと答えておるのであります。看護婦もそういう事実はない、こう言つておるのであります。そこで念のために受付日誌を見せてくれとこう言つたら、それを断つております。そこでどうも従来の警察のやり方から推察いたしまして、全然身寄りのない自由労働者がもし殺されておるというような事実がありますと、このように証拠を隠滅されるとわからなくなることがあるわけです。この点についてあれほど大きく新聞にも出たのでありますから、私たちは権力を持つておらないので調べることができないのでありますが、国会調査団といたしましては、これは非常に重大な問題なので、どの程度御関心をもつて調べなつたか、お聞きしておきたいと思うわけであります。
  61. 押谷富三

    押谷委員 死者が出たかどうかは十分調査をいたしましたが、そういうことは現われておりません。ないと思つております。
  62. 安部俊吾

    安部委員長 本日はこの程度において散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時十五分散会