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梨木委員 そこで重ねてお伺いいたしたいのでありますが、今
押谷さんのおつしやるところでは、なるほど長田区内の
朝鮮人が
生活に困
つてお
つた点は一応うなずける、しかし
陳情に来たのは、長田区内の人は少数で、他地域の
朝鮮人が非常に多く来た。だからこれらの反
税運動だとか、
生活擁護の
要求は
一つの
口実にすぎないのだという御認定のようであります。そこでこれはどういうような御
調査をなす
つたか知りませんが、私
たちが
調査し、聞いたところによりますと、こういうことにな
つておるのであります。西神小学校と東神小学校というのが
神戸にあるわけでありますが、この
朝鮮人の学校へは、
神戸市内の
朝鮮人の子弟だけではなくて、兵庫県下のあらゆる
地区から
朝鮮人の子弟が通
つておるのであります。それでこれらの学校は、実際は
朝鮮人にと
つてどのように運営され、利用されておるかと申しますと、單に教育のことだけではなくて、何か事があると、この学校へ集ま
つていろいろ相談する。ここが
朝鮮人にと
つては、一面におきましては、
ちようどクラブのようなもので、いろいろな
生活問題だとか、その他の問題を相談したり、ここへ集ま
つて協議したりする、こういう場所に使われているのであります。この実態をどのようにおつかみにな
つて来られたか。実際はそうな
つておるのであります。そこで問題になるのは、なぜ他
地区の人が多く
陳情に行
つたかと申しますと、これは
あとでもつと突込んで御
質問したいのでありますが、この
調査報告書を見ますと、十一月二十七日の
事件をとらえておるのであります。ところが問題は、二十七日に起
つた事件というのは、その前からずつと
陳情その他の事実があ
つたのであります。これが二十七日の
事件にまで続いて来ているのであります。まず一番先に来たのは、これは
あとでもう少し詳しく申しますが、十一月の十七日、二十日、二十四日、二十七日、こういうぐあいに続いているのであります。それで十七日の場合は全然警察は出ておりません。長田区
役所の神崎区長の語るところによりますと、この日は約二十名の
朝鮮人が参りまして、
税金が非常に高いからまけてもらいたい、実情を
調査してください、それから納税組合をつく
つて税金を納める方法をうまくや
つて行きたいと思うが、どうかというような相談があ
つたというようなことであ
つた。その際に、納税組合をつくることはたいへんけつこうだ。ところで今までの延滞は全部まけてもらいたいというような話があ
つて、それはできませんというようなことを答えたと言
つているのであります。これが十七日の話であります。そしてさらに二十日には、十七日に来た人と違
つた人が約八十人来たと言
つておるのであります。そのときは、
生活に困
つているから
生活保護法を適用してもらいたい、こういう
陳情で来ている。これは決して
団体で来たのじやなくて、代表として会
つたのではなくて、個々に話をしたいということで、個々に会
つて話をして、そのときには
陳情に来た人
たちは、
生活保護法を即時に適用してもらいたい、それから市民税を減免してもらいたい、それからパンをほしい、こういうようなことであ
つたそうであります。そのときさつそく
生活保護の問題につきましては、十六件を受付けて、それを調べた結果、その後において九件は採用した、こういうことを言
つておられます。そこで二十日の日には、この区長さんの話では、交渉のために暴言を吐いた人があ
つた、しかしながら暴行を加えられた事実はありません。こういうふうに言
つております。自分が警官を呼んだのじやないが、係の者が心配して警官を呼んだ、こう言
つております。それで区長といたしましては、警官を呼んだけれ
ども、自分の責任で解決するから、どうか穏やかにや
つてもらいたいということで話をして、その日は穏やかに帰
つてもら
つた、こう言
つておるのであります。但しそのときに警官が動員されて来ましたので、この
役所の中で一人検束されて、その他は
役所の外で検束されたのである。この検束されたのも、決してこの交渉の中でいろいろな乱暴とか暴行を加えたとかいうような容疑ではなくして、実際は例の
朝鮮人の登録令に基く登録証を持
つておらなか
つたという嫌疑で検束されておるのであります。そこでこの区長が五時ごろ自分でわざわざ警察へ
行つて、どうか返してや
つてもらいたいということを頼んで、一人を残して全部釈放された、こうい
つております。さらに二十四日になりまして、今度は大分たくさん来たようでありますが、外には二百名ほどお
つた。代表三名と会
つた、こうい
つておるのであります。このときの
要求というのは、
生活保護法を早く適用してもらいたい、それから市民税についての減免の
要求と、もう
一つは、例の二十日に検束された人が一人残
つておるわけでありますが、これをどうか早く釈放するように運動してもらいたい、こういうことであ
つたというのであります。このとき外では歌を歌
つてお
つたということは、区長も言
つておりますが、それでは区長さん、あなたはこの日身の危險を感じたかということを聞いたところが、そういうようなことはありませんでした、こう答えておるのであります。これが二十四日、この日に大分検束者を出したのであります。こういう事実がある。先ほど申したように、西神小学校というのは兵庫県から全部子弟が集ま
つて来ておる。だからここで先生も検束されておるのであります。こういう
関係から先生が検束されたというようなことで、この子弟が全部うちへもど
つてこの事実を父兄に話した。こういうことから二十四日の検束騒ぎが兵庫県下全部に知れ渡
つたのであります。そこでこのことを心配してたしか二十六日は日曜なのであります。二十五日は土曜であ
つたというのでありますが、結局自然的に二十七日に、五々西神小学校へ集ま
つて来たというのが真相だと私
たちは聞いております。ところがこの
報告書によりますと、二十七日の
事件だけをとらえております。これでは私は真相がつかめないし、また二十七日の
事件だけをとらえて来ると、それは今
報告者の言われたように、他
地区の人も来ておるから、
陳情に名をかりた集団的な破壊的な
行動だというような
結論に持
つて来られそうなのであります。事実はそうではなく、なぜ他
地区の人が来たかということになりますと、二十四日の検束で特に先生が検束されて、それを心配して皆集
つて来ておる。これは西神小学校を中心としての
朝鮮人諸君の
生活状態をよく知
つておるものにと
つては、これは外から見ますと何か計画性があるように見えますが、そうではないという事実がはつきり出て来るのであります。だから今の
報告者の御
説明では、他
地区の人が集ま
つておるからということは、今申しましたような
関係から行きますと、そういう事実
関係にな
つておるのであります。そこで私はこの
調査にあたりまして、一体二十七日の
事件の前のいろいろな
陳情、そういうことをどの程度お調べにな
つたのか、長田区長にお会いにな
つてこの
関係をお調べに
なつたかどうか、それをまずお伺いいたしたいと思います。