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1951-05-23 第10回国会 衆議院 文部委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 松本 七郎君       柏原 義則君    甲木  保君       坂田 道太君    高木  章君       東井三代次君    圓谷 光衞君       根本龍太郎君    平島 良一君       若林 義孝君    井出一太郎君       小林 信一君    笹森 順造君       渡部 義通君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席政府委員         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出席者        專  門  員 横田重左衞門君         專  門  員 石井  勗君     ————————————— 五月十八日  委員岡村利右衞門君、尾崎末吉君、尾関義一君  及び八木一郎辞任につき、その補欠として鹿  野彦吉君若林義孝君、柏原義則君及び平島良  一君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員小林信一辞任につき、その補欠として芦  田均君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員芦田均辞任につき、その補欠として小林  信一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十一日  民間学術研究機関助成に関する法律案若林  義孝君外八名提出衆法第六〇号) 同月十八日  天台寺文化財防災施設費国庫補助請願(小澤  佐重喜紹介)(第一九八七号)  社会教育費国庫補助に関する請願圖司安正君  紹介)(第二〇九二号)  六・三制教育施設整備に関する請願若林義孝  君紹介)(第二〇九四号)  国旗の祝日設定に関する請願天野公義君紹  介)(第二〇九五号) 同月二十二日  盲人用学用品購入費国庫補助等に関する請願  (甲木保紹介)(第二一八七号)  教職員の結核対策強化に関する請願今野武雄  君紹介)(第二一八八号)  小学兒童完給食実施に伴う施設費国庫補助等  に関する請願平野三郎紹介)(第二一八九  号)  南部小学校雨天体操場新築費国庫補助請願(  長野長廣紹介)(第二二三五号)  麻布山善福寺を史跡に指定の請願井手光治君  紹介)(第二二三六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公立大学管理法案内閣提出第八二号)  国立大学管理法案内閣提出第八三号)  国立大学管理法及び公立大学管理法施行に伴  う関係法律整理に関する法律案内閣提出第  八四号)  民間学術研究機関助成に関する法律案若林  義孝君外八名提出衆法第六〇号)     —————————————
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  公立大学管理法案国立大学管理法案国立大学管理法及び公立大学管理法施行に伴う関係法律整理に関する法律案の三案を一括して議題とし、質疑に入ります。松本七郎君。     〔委員長退席、岡(延)委員長代理着席
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 前回に概略の御質問を申し上げたのですが、当時の政府答弁の中で、少しはつきりしないところがありますので、もう少し追加して聞きたいと思います。学長任期及び学部長任期のことでございますが、これはやはりよい場合には重任することができるのですから、万一どうしてもこれは不適任だという場合の処置方法が、これではなくなるのじやないか。むしろ短かく、学長は三年以上六年以内を、二年以上四年以内ぐらいにとどめ、学部長はせいぜい二年ぐらいにしておいて、よいものはどんどん重任すればよいし、悪い場合に短期間にかえる道をつくつておいた方が安全ではないかという気がするのです。今日のようにいろいろと社会状態が複雑になり、時代がかわつて来ると、古いものにどうかすると不適任なものがついて行く。というのは、特に新制大学で、そういう声を非常に聞きますので、むしろ短期間にしておいた方がよくはないかと思うのですが、その点について伺いたい。
  4. 稻田清助

    稻田政委員 まことにごもつともに承つたのでありますが、起草委員会における論議もその点においていろいろあつたわけでございます。ことにこういう教育に関しまする責任者任期が非常に短かいときは、教育計画を立てるというような点についても遺憾な点が多いというようなことからいたしまして、学年が四学年であり、大学院等を設置いたしますれば、その上にもまたコースがあるというようなことから、三年ないし六年と規定いたした次第でございます。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 私はこの程度にとどめておきたいと思います。ただ委員長にお願いしたいのは、党として坂本君があとで詳細な質問をすることになつておりますので、またそのときに私は関連質問的に伺うことにいたします。
  6. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 了承いたしました。
  7. 小林進

    小林(進)委員 この大学管理法案成立経過に至るまで、文部省では相当いろいろな方面意見を聽取せられたと、御説明になつておるのでありますが、願わくは、審議経過の記録の書類でもありましたら、ひとつわれわれの方にも見せていただきたい、これをひとつお願いしておきます。
  8. 稻田清助

    稻田政委員 審議速記録はとつておりませんが、お話の、各方面から参りました意見の重要なものを整理いたしました書類をお目にかけることができようと存じますので、できるだけすみやかにお目にかけたいと存じます。
  9. 小林進

    小林(進)委員 その書類を見せていただきましてから、またあらためて御質問いたしたいと思います。  次に、漠然とした質問でありますが、まず大学成立要素をひとつお伺いいたしたいと思います。
  10. 稻田清助

    稻田政委員 教育職員及びそれを補佐いたします事務職員と申しますような人的要素及び校地、校舎、校具等物的要素を備えた施設であつて、そこに一定の教育計画のもとに教育運営する課程が設けられるというのが、従来学校を定義する場合、要素的に考えられることであろうと存じます。
  11. 小林進

    小林(進)委員 物的要素は別にいたしましても、人的要素といたしましては、私は学校というものは、学校経営者と申しましようか、それと教授学生、この三つ根本じやないかと思つております。もし私の考え方が間違つておれば別でございますけれども、これを承認願うならば、経営者——国立ならば国家でありましようが、それと教授学生というものが三大要素である限り、これら三つ意見というものが、合理的に学校運営の上に反映しなければならぬのじやないか、私は実はきようあすでなく、古い学生のころから、こういう考え方を持つていたのであります。これに対する御意見を伺いたいと思います。
  12. 稻田清助

    稻田政委員 国家及び公共団体機関として学校考えます場合に、その機関を構成する要素といたしましては、教育職員の側ばかり考えるのを、従来の例といたしておるように考えております。すなわち、学生はこうした教育機関教育対象であるというような取扱いをいたしております。
  13. 小林進

    小林(進)委員 私はそこに一つ大きな意見の相違があるのではないかと思います。この法案に流るる考え方根本が、今御説明になりましたような趣旨になるというところから、どうも割切れないものがあるのではないか。学生教育機関対象である。決して学校成立要素ではない、こういう考え方は、私は間違いではないかと思う。私は、学生はあくまでも学校成立要素であつて対象として考えるべきものではないというふうに考えているのでありますが、いかがでありますか。
  14. 稻田清助

    稻田政委員 たとえば教育基本法八条二項の政治活動の場合に、学校政治活動をしてはならぬという解釈につきましては、学生は直接その規定対象にならぬというのが従来の解釈であるわけであります。もしここにおいて学校要素の中に、学生を入れろといたしますれば、基本法その他各種の面において従来の解釈をかえなければならぬという問題が生ずると思います。
  15. 小林進

    小林(進)委員 この問題は一応留保いたします。  次にこの第一条の法律目的でありますが、その中で、自治を尊重するとともに民意を反映せしめるという条項があります。「自治を尊重する」ということは、これは私どももあげて賛成しているのでありますが、次の民意を反映させるという、この民意の反映ということは、具体的にどういうふうにお考えになつているかを、私はお伺いいたしたいのであります。
  16. 稻田清助

    稻田政委員 この管理法におきましては、中央の管理機関であります文部大臣に対しまして、民意を反映いたしまして、諮問的意見を答申すべき委員会であると考えているわけであります。また各大学長のもとに商議会、あるいは公立大学におきましては参議会という名のもとに、大学外部の方々の御参加を願つて、それらの意見大学運営に反映せしめるという形をとつているわけであります。
  17. 小林進

    小林(進)委員 この参議会並び商議会外部委員の方がお入りになつて、いろいろ意見も開陳されるというようなシステムになつているようでありますが、この民意を反映するということを、善意と申しますか、よき場合のみを考えて行けば、非常によいのでありますけれども、ともすると、時勢や時の流れに押されて、かつての京大の瀧川幸辰事件と申しましようか、そういう一つの例にかんがみましても、むしろ外部一つの大きな時代流れに押されて、ときには不当なる大学自治干渉、あるいは教育内容干渉までに至るような懸念なきやというようなことが、非常に懸念せられるのでありまして、その点に対する当局のお考え方を、ひとつお伺いしたいのであります。
  18. 稻田清助

    稻田政委員 一つはこの審議会参議会ないしは商議会権限の問題であろうと思います。権限につきましてはいずれも諮問委員会という性格にとどめておりまして、実施責任は、文部大臣あるいは学長に、はつきりいたしているわけであります。それから次にその構成の問題であろうと思います。審議会につきましては、学識経験者を入れます場合に、国会の承認を求めることによつて適正を期しておりますし、また商議会におきましても、あるいは参議会におきましても、十分その選出を誤らなければ、この点御心配になるような弊害は避け得られると考えております。
  19. 小林進

    小林(進)委員 確かに書類の上では、今おつしやるような一つの機構であり、選任方法であるのでありまして、表面上今おつしやいました御答弁のごとく、懸念もないというような御説明もつくと思いますけれども、しかし、この問題には、いまだ私は非常に割切れないものを持つておりますので、これもまた後日論をあらためて、ひとつ質問を繰返したいと思いますので、留保いたします。  次に、同じくこの審議会でありますが、いま一つ国家最高教育及び研究に関する内容の干犯になるようなことはないかということが考えられるのであります。今おつしやるように運営のみに関することが規定されておりますが、内容に至るような懸念がないかどうか、これも一応お伺いいたしたいと思います。
  20. 稻田清助

    稻田政委員 御承知のように、この大学基準協会と申しますのが、各大学自治的組織において設けられておりまして、教育課程等の問題につきましては、そういう自治的団体における基準をもとといたしまして各大学がそれぞれ自主的立場においていたしております。この法律におきましては、根本法案であるとか、予算であるとか、あるいは施設等についての問題について、文部大臣意見を答申いたすわけでありますから、この審議会教育内容に干犯するというような憂いはなかろうかと考えております。
  21. 小林進

    小林(進)委員 次に、この学長の問題でありますが、学長は、審議会には必ずしも入るとはきまつておりませんけれども、あと商議会評議会教授会には全部参列せられるようになつでいるのであります、商議会評議会にも学長を入れることの可否でありますが、これについてひとつお伺いいたしたいと思います。
  22. 稻田清助

    稻田政委員 商議会参議会の中に学長が入ることについては、やはり外部の方の意見を聞く機会を得るものではありますけれども、同時に、外部の方は、大学のことについて、いわばしろうとでありますので、大学を全部つかんでおります学長が中に入つて御懇談することが、最も適正な意見が出ることだと考えて、こういうような案になつたのであります。
  23. 小林進

    小林(進)委員 そういたしますと、この商議会並びに教授会学長が出られた方がよろしいという御意見について、お伺いいたします。
  24. 稻田清助

    稻田政委員 教授会には出ないのであります、評議会は、学長が主宰いたします。これは大学の最も重要な意思決定機関でありまして、重要案件を取扱いますものですから、最高責任者であります学長がその中に入り、同時にこれを主宰するのが適当だと考えたわけであります。
  25. 小林進

    小林(進)委員 私の考えとしては、学長の線だけが一本につながる関係上、学長ワンマンの形が出て来る懸念なきやということが考えられましたので、今の質問をしたのでありますが、その点についてひとつつておきたい。
  26. 稻田清助

    稻田政委員 商議会あるいは参議会にかけます案件は、学長だけでいたしませんで、あらかじめ評議会の議を経てかけるわけでありますから、十分学内の諸方面意見を代表した方で構成される評議会の働きが、そこにあると考えております。
  27. 小林進

    小林(進)委員 第二十九条におきまして、第五号の、「学生団体学生活動及び学生生活に関する事項」、第六号の「学生の懲戒に関する事項」等の問題がございますが、そういうことについて、何か学生意見なりを聞く末端の一つ機関をお考えになつておるのか、伺いたいのであります。
  28. 稻田清助

    稻田政委員 実際において学生の補導問題あるいは厚生問題について、教授会において審議いたします前提としては、いろいろな方法考えており、また、いろいろな機会において、学生意見を聽取することなどを考えております。しかし、これは大学各部そのときどきによつて、いろいろな形で現われることが適当だと考えておりますので、一つの形を大学管理法の中に規定いたすことは、避けた次第であります。
  29. 小林進

    小林(進)委員 質問を保留して、一応これで打切つておきます。
  30. 渡部義通

    渡部委員 議事進行について……。この前特例法が、文部委員会であがるという当日に、学術会議から、ぜひ学術会議意見を述べる機会をつくつてもらいたいという申出があつたときに、きようどうしてもあげなければならぬというような切迫した事態になつたのではやむを得ない、こちらの委員会の方にまかせるといつて帰つたという報告があつたわけです。その後学術会議の方から、当人についてそのときの模様を聞いたところが、そうではなかつた、これは長野委員長も了承して、そういう事情であつたならやらなければならぬ、それには一日や二日は遅れてもやむを得ないという長野委員長言明があつたというので、それではその点はおまかせしますと言つて帰つた、こういうふうに当人は話しております。これは学術会議に行つて正式に私は聞いたわけです。そういうふうな話がこの委員会に報告されておらなかつたのだが、その事情をひとつ御報告願いたいと思います。
  31. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 その点につきましては、この前も横田專門員から事情説明がございましたが、重ねて説明させます。横田專門員
  32. 横田重左衞門

    横田專門員 私から、ただいまの点について申し上げます。この前ちよつと言葉が足らなくて、今の委員長がおつしやつた件について触れませんでしたが、そのときに、確かに委員長はそういうことをおつしやいました。しかし私一存では行かないから、今これから委員会に臨んで相談するという言葉の保留を残しておかれたはずでございます。そのときに私と小椋さんとの話では、そんなにお急ぎならば、とにかく一応私は帰りまして、委員会の御決定次第の御返事を待ちますということで帰られました。委員長はそのとき、委員会が今から開かれるから、一応委員会に諮るということで、言葉をそのまま保留されておわかれになつた次第であります。
  33. 渡部義通

    渡部委員 そこでその結果についても、学術会議の方に通知がなかつたものと見え、学術会議の方としては、委員長はぜひそれはやらなければならぬというふうな言明をしたから一、二日中に委員長の方からお呼びがあるかもしれないというので、それぞれの準備を進めようとしておつたが、この点がはつきりしなかつたがために、委員会としても、学術会議に対して公約的なものを与えておきながら、とうとうその実現をなし得なかつたという点で、学術会議の方に非常に迷惑をかけておるだけではなくて、学術会議立場、ことに学術会議を代表して来た人の立場をも困難ならしめたという実情であります。しかし、これは過ぎ去つたことでありますから、今とやかく言うわけではありませんけれども、この大学管理法案についても、ことに研究者にとつては、非常に重大な問題でありますので、これについても、学術会議の方から、ぜひ意見を聽取してほしいという希望があり、浦口君からもこの前そういう提案がありまして、当日学術会議の方でも、ぜひそうさせてもらいたいという意見がありましたので、この法案について、再び学術会議の方に意見を求める必要があるというふうに私は考えておるのです。この点について、委員会としてはどういうふうな処置をすべきか、ひとつつていただきたいと思います。
  34. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 私からちよつと申し上げます。理事会運営責任があるわれわれ第一党といたしましては、当然公聽会を開いてこれをやる必要があると考えております。その場合に、その学術会議のメンバーを入れるか、あるいは学術会議は特別に権威のあるものですから別にやるか、そういうようなことも考えようかという心組みをしております。
  35. 渡部義通

    渡部委員 わかりました。     —————————————
  36. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 それではこれから民間学術研究機関助成に関する法律案若林義孝君外八名提出衆法第六〇号)を議題といたします。法案は昨二十二日本委員会に付託せられましたものでございます。これより提案者から提案理由説明を聽取いたします。若林義孝君。
  37. 若林義孝

    若林委員 ただいま議題となりました民間研究機関助成に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  文化国家の建設を唱えるわが国において、学術研究振興が、いかに重要な課題でありますかは、いまさら申し上げるまでもありません。また、学術研究振興をはかるためには、まず研究機関振興が必要であることも、説明を要しない点であろうと存じます。この法律案対象としております民間学術研究機関は、民法規定によつて設立される公益法人の経営する研究機関でありまして、わが国学術の向上と産業の発達に寄与するという、純粋な公益目的を遂行するために設立されたものであります。また、これらの研究機関は、国または公立の研究機関と異なつた特色ある研究分野を開拓して、長い歴史と輝かしい業績を有し、わが国学術の進歩に貢献し、その研究成果が広く社会に活用せられたものも多くあるのであります。しかるに、これら研究機関状態を顧みますると、戰前においては、財産より生ずる果実を主財源とし、寄附金研究委託金等を副財源として、比較的安定した情況のもとで経営されていたのでありますが、戰後においては、各種経済的変動の悪影響を受けて、安定した経済力は根底からくつがえり、その機能を停止し、あるいは事実上業務を停止するという悲境に立ち至つたものもあり、研究活動を継續していても、その多くは人員の整理・土地・建物・機械器具等を売却あるいは貸与して、当面を切り拔けんと苦慮している現状であります。以上のごとき状態でありましたので、国家においては、昭和二十二年度以降毎年民間研究機関事業補助金を交付して、優秀な機関維持改善に資して来たのでありますが、十分その目的に沿い得ないうらみがあつたのであります。一方、昨年以来、日本学術会議を初め各方面において、これらの機関が、戰前のごとく活発な研究活動を開始して、公共の福祉に貢献するという本来の目的を十分に発揮させる必要のあることが、強調されて来たのであります。これらの要望にこたえるため、種々の観点より調査研究いたしました結果、わが国学術上重要な地位を占めているこれら研究機関活動振興させることは、時宜を得たものであると認め、ここに本案を提出する次第であります。  次に、この法律案の大要を申し上げますと、第一に、民法第三十四条の規定により設立された法人で、学術研究目的とする研究機関に対しては、その維持運営に資するため、国は予算範囲内で補助金を交付することができることを規定いたしたのであります。これは、従来国が行政措置として実施して来たことを立法化したもので、問題の重要性にかんがみ、これらに対する補助は、法律の裏づけをもつて行うことが適当であり、かつまた、これら研究機関運営安定性をもたらすゆえんでもあります。  第二に、地方税法の改正をはかり、従来行われなかつたこれらの研究機関に対する市町村民税固定資産税の免除をはかることにいたしたのであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられるようお願い申し上げます。
  38. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 これより質疑に入ります。松本
  39. 松本七郎

    松本(七)委員 民間学術研究機関助成するということについては、われわれは何ら異存はないわけでありますが、この法律案で多少疑問を抱く点があるわけであります。  その前に伺つておきたいのは、二十六年度の民間学術研究補助等予算はどのくらいあるのでありますか。
  40. 稻田清助

    稻田政委員 科学研究費五億の予算のうち、約三千六百五十万円程度、これに振り向け得られるだろうと考えております。
  41. 松本七郎

    松本(七)委員 この法律案考えておるように、民間学術研究助成を一本に統合してやりますと、今までは、各省からいわゆる調査依頼費というような名目でもつて、相当の金が出されておつたと思いますが、それが一本に統合することにより、今までの各省予算というものはなくなり、結局は全体の金額は減るのではないかと思いますが、この点はどうでしようか。
  42. 若林義孝

    若林委員 われわれの構想しましたのは、ただいま局長から話されたものを主として交渉したのでありまして、各省にもこれと同様のものがなければならぬのでありますが、現在各省にはそれがないのであります。そういう意味で、各省に確保せられておりますものを、一本になつたために縮小せられるおそれがあるということは、現在の状態においては、予想しておらないので、各省関係のものは各省予算を確保して行く、こういうことに了解をつけておるわけであります。
  43. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほど局長からお話の三千六百万円何がしの金に、従来各省調査依頼費として出しておつた金は含まれておりますか、お伺いいたします。
  44. 稻田清助

    稻田政委員 含まれておらないのであります。ただいま若林委員よりお答えになりましたように、維持経営に対して出す補助金であります。
  45. 松本七郎

    松本(七)委員 すると各省調査依頼費というものは、依然として残つて、それは使えるわけですか。
  46. 稻田清助

    稻田政委員 さようであります。
  47. 松本七郎

    松本(七)委員 このように一本で研究奨励補助をやるということになりますと、私の懸念するのは、民間研究所色わけをして、その結果御用研究所のようなものばかりが存續するような結果になるのではないかということを、一番憂えるのであります。と申しますのは、たとえば、立案者は、第五条第二項において、日本学術会議に諮問してすべてのことをやる。つまり、審査するにあたつては「あらかじめ日本学術会議に諮問してその意見を聞かなければならない」というふうな言葉を使つておる。しかし方針及び対象範囲は、あらかじめ諮問するというようなことがありますから、その危險はないと考えておられるのかもしれませんが、実は日本学術会議には、以前には民間科学研究所調査委員会というものがあつて、野村兼太郎さんが委員長であつたわけです。ところが現在はそういうものがないのであります。だから、そういう專門的な委員会がない日本学術会議にただ諮問してみましても、ただ名目上の諮問だけやつて、実質的な答申は得られないのではないか、そういう危險を感ずるわけです。それでありますから、どうしても日本学術会議に、こういう民間研究に対する專門的な委員会というような、はつきりした機関を設けるとか、あるいは日本学術会議とは別個に、そういう審議会を設置して諮問するというふうなことをやらなければ、私は御用研究所ばかり存續して、他の文部民間研究所がなくなろという危險があると思うのですが、この点のお考えを明らかにしてください。
  48. 若林義孝

    若林委員 今の御発言の点は、われわれ立案者におきましても重点をそこに置いて相当考慮いたしたのであります。松本委員におきましても、日本学術会議にそういう研究機関を設けて行くべきだという御説でございますが、現にそれは廃止されておりませんので、民間研究機関振興対策委員会というものが、第一部から第七部まで設けられておりまして、このこと自体が目的ではないかもしれませんけれども、野村兼太郎氏のごとき、やはり第三部に入つておられ、委員長の職責をもつてつておられまして、その委員会が現存しております。そのことをひとつ御了承願いたいと思います。
  49. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、立案者は、日本学術会議は、現在あるその機関で諮問が十分足りるというお考えでしようか、あるいはもつと強化する必要があるのか、その点をお伺いいたします。
  50. 若林義孝

    若林委員 大体、現在までこういう行政措置としてやつて参りましたところの事柄を強化することは、われわれといたしましても、希望はいたしますし、学術会議にこの点を要望すべきだと思いますけれども、立案者といたしましては、学術会議に一任するという気持以外は、持つていないわけであります。
  51. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、審査の方針だとか、あるいは対象範囲ですが、そういう基準を、今の日本学術会議振興対策委員会という機関で、全部やり得るというお考えでしようか。
  52. 若林義孝

    若林委員 大体御説の通りの考えを持つております。
  53. 渡部義通

    渡部委員 文部省にちよつと聞きますが委託研究調査費は、三千六百五十万円のうちに含まれていないと言われましたが、従来、たとえば昨年度あたり、委託研究調査費はどのくらいになつておりますか。
  54. 稻田清助

    稻田政委員 先ほど若林さんからお答えになりましたように、各省関係から委託研究費が非常にたくさん出ておりますが、私どもといたしましては、ただいまこの数字はつまびらかにいたしておりません。文部省の方は、科学研究費五億のうちから、科学研究費交付金として三億一千百万円、それから、科学試験研究補助金として一億一千万円出しております。そして、性質としては委託調査費と類似いたしておるものもあると思いますが、われわれの方としては科学試験研究補助金ということになつております。各省関係——通産省、労働省等におきましては、委託研究費という名目であります。
  55. 渡部義通

    渡部委員 それはどういうふうな手續、あるいは審査方法によつて決定しましたか。
  56. 稻田清助

    稻田政委員 この科学研究費交付金、科学試験研究補助金は、日本学術会議において配分の基本方針を答申せられまして、それに基きまして、特別に各方面学術研究者をもつて組織する委員会に諮つて配分をきめるわけであります。
  57. 渡部義通

    渡部委員 提案者質問しますが、学術研究機関法人でなければならぬという意味は、どういう点からですか。
  58. 若林義孝

    若林委員 国家にとつて大切な財を与えて補助をするのでありますから、責任を明らかにするために、法人でなければならぬといたしたのであります。
  59. 渡部義通

    渡部委員 法人は、財団法人ですか、社団法人ですか。
  60. 若林義孝

    若林委員 両者を意味しております。
  61. 渡部義通

    渡部委員 第五条に、「主務大臣は、前条の申請があつたときは、左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、備えていると認めたときは当該研究機関に対する補助金の額及び使用の目的決定し」とありますが、「使用の目的」というのは、どういう範囲にわたるものですか。たとえば、使用の目的というものを、文部大臣あるいは主務大臣の方で指定するのか、あるいは、民間研究団体から、こういうことに用いたいという要請を受取るのか、どういうふうにして使用の目的をきめるかということです。
  62. 若林義孝

    若林委員 「維持運営に要する経費」という範囲内においての事柄を言うております。
  63. 渡部義通

    渡部委員 その維持運営という事柄ですが、たとえば、建物とか、設備備品とか、そういう範囲にわたるのか、あるいは、研究者の給料というものにも及び得るものかどうか。
  64. 若林義孝

    若林委員 大体今仰せになりました維持運営関係する費用を指さしております。渡部委員から仰せになりました建物の拡張であるとか、機械の設備を拡大するというようなことまでは含んでおらないと了承いたしております。
  65. 渡部義通

    渡部委員 現在民間研究団体では、維持経営が非常に困難であつて、先ほど説明があつたように、人員の整理、土地、建物、機械器具までが、ほとんど崩懐状態にあるか、あるいは売却されておるかという状態である。つまり、ほとんど整理されなければならぬような状態に置かれておるわけであります。私たちは、多くの研究団体の人たちに接触しておりますけれども、こういう研究団体にとつて最も問題になるのは、現在では、現状を維持しただけでは、従来だけの研究さえもやつて行けないということである。だから、設備を拡充する方法とか、人員を拡充しなければならないという点が、研究団体の一番の悩みであり、またこれが紛糾の原因にもなつている事実なのでありますが、維持経営だけであつて、増設あるいは拡大というようなことができないとなれば、従来やつて来たところの研究さえも、もう維持できないという状態に置かれておるわけなんです。従つて、拡充ということも、この中に当然含まるべきものである。含まれなければ、今日の研究団体の崩懐状態においては、民間研究団体を学術研究の上に十分に役立たせる状態にはないというこの現状にかんがみて、維持運営ということだけではなくて、拡充ということにも、当然これは補助さるべきであるというふうに考えるのですが、この点はどうですか。
  66. 若林義孝

    若林委員 渡部委員に、私たち立案者といたしましても同感の意を表するのでありますけれども、現状のこの法案のねらうところは、御不満ではございましようけれども、維持運営ということに主点を置いております。将来この法案によつて研究機関助成せられ、発達の機運に伴つて御希望のごとき方向の法案をつくり、大いに振興を期したい、こういう意図はありますけれども、現在におきましては、大体維持運営ということに主点を置いておるわけであります。
  67. 渡部義通

    渡部委員 問題は二つあると思う。第一は、維持運営だけに限つて、拡充整備ということに触れられていないとするならば、民間研究団体がほとんど崩懷状態にあるという情勢の中では、わずかに生き残つておる大きなものだけが存續されるということになりまして、大部分の研究団体は、全部破滅してしまわなければならない。しかも、そういう研究団体が、きわめて重大な仕事をして来たということは、私たちそういうものの中にあつて現に見ておるわけです。今各民間研究団体の人々による全国の協議会というものができておりますが、ここでの要望は、現在生き残つておるきわめて少数のものではなくて、まさに破滅の状態に瀕しておるというふうな研究団体にこそ補助が与えられて、これらが多かれ少かれ重要な学術的寄与をして行きたいというのであつて、この点が欠けるとすれば、今申しました通り、ごく少数のものにしか将来補助を与えられないということになるわけであります。  第二の問題は、重要な意味を持つて新設されようとするような場合に、これらに対しての補助はどうなのかという点を聞きたいと思います。つまり二つの点であります。
  68. 若林義孝

    若林委員 現状におきましては、この法案は、現状を維持運営して行くことを、ねらいといたしております。従来も、国家の方針としては、これらに何らの補助を与えていなかつた、純然たる美しい寄付行為でこれが存續されておつたわけでありまして、その寄付行為のみでは存續できない部分については、いわゆる経済状態の変動ということが大きな主眼点になつております。それを育成して行く、拡充して行くという点においては、補助金が設けられていなかつた当時でさえも、民間のうるわしい寄付行為によつて成立しておつた。だから、そういう意味において、発展を誘導して行くというかつこうになるのではないか、こう思うのであります。  それから第二点としての御質問でありますが、新しく生れんとするところのものを助成することがねらいであるかどうかということ。これは大体この法案の目標には、現在のところ置かれていないわけであります。新しく生れるものは、現在の経済状態を基本として考えられて、財団法人ができるわけでありますから、また現在寄付行為が行われておれば、現在の経済状態を基本として考えられる寄付行為でありますから、そこまで考慮する必要はないのではないか、こういうように思つておるわけであります。
  69. 渡部義通

    渡部委員 実際問題としまして、現在辛ろじて生き残つておるような研究団体は、どういう団体であるかというと、これは文部省なり他の省なりから委託研究費の配分を受けたり、あるいは補助を受けたりするもので、官庁等との特殊的な関係を持つておるもののみが、何とかやつておるという状態であるわけであります。それで崩懐しておるところの民間研究団体というものは、従来主として寄付行為その他によつて、あるいはその研究団体において何らか生産的な活動をすることによつて、たとえば研究調査したものを出版発行して資に充てるとかいつたような形で、非常に重要な研究をやつて来たのであるが、御存じのように、今日の情勢は、寄付というものが求められない。直接的にその会社なり、その産業なりに、当日からでも何らか利益があるようなものでないと、めつたに寄付が求められない。長い間かかつて基礎的な研究調査をやつて行こうとするようなものに対しては、寄付が求められない。そういうところから崩懐の危機が追つておるのでありまして、将来新設さるべきもの、あるいは現在瀕死の状態にあるものが、寄付行為によつてその使命、その任務を果して行こうとすることは、ほとんど困難の状態であります折からですから、研究助成費が、現在相当の活動をしておるものにだけ与えられ、その現状を維持するものにだけ与えられるということになりますと、先ほど松本君からも意見がありましたように、研究機関に対する助成費は、一部のものにしか与えられないというような欠陷を来しまして、現在ほんとうに困り切つておる研究者たちの法案についての心配は、ここに集中されておるわけで、この点がもつとはつきり拡充されることが予想され得る形でないと、民間研究団体としては、非常に不満であるし、実際上に実益にありつくことができまいという現状にあるわけで、この点さらに考慮されたいと思うわけです。御意見を聞きます。
  70. 若林義孝

    若林委員 この点、助成をすべきかどうかということについての対象となり得るものの決定は、はなはだ困難であろうと考えるのでありまして、一律的に全部の民間研究機関助成するということは、豊富なる財源を持つのでない限り、できない。そこで選択をするということが、当然起つて来ると考えます。その判定ははなはだ困難でありますから、その困難を克服するために、一大権威のある日本学術会議がこれを決定して意見を具申する、こういうことになつておるのでありまして、それ以上より方法が他にあるならば、それをも相当加味すべきではないかと考えるのであります。
  71. 渡部義通

    渡部委員 この法案によつて規定されてしまいますと、現在存在しておるものが、その存在しておる形においてのみ、つまり崩懐しようとする状態においてのみ維持しようとする点において、第一の難点がある。それから、非常に重要な民間研究団体を創設しようとしても、その創設するものに対しては、もはや法的に補助が与えられないということになりますと、ここに従来以上に不便が生ずるおそれがある。この二つの点からして、こういう法案の形で、これだけに規定されてしまうと、問題が起きる。私の考えでは、学術会議が必要と認めたならば、それを拡充することもでき、また必要と認めたならば、新設するものに対しても補助が与えられるということにしたならば、その難点が切り開かれるのではないか、こういうふうに考える。それで学術会議が、その決定をなすのに、非常に有力な機構であるというふうに考えるならば、学術会議に、それを決定するほかに、そういう点までもまかせる余地を残しておくことが、非常に重要ではないか。法案規定されてしまいますと、そういう余地が奪われてしまうわけであります。この点に私は非常に重要な難点があると思う。
  72. 若林義孝

    若林委員 渡部委員と、われわれ同感でございます。同感であるが、現状においては、この法案程度より、しかたがない。一歩進んで、われわれ立案者もまた各委員におきましても、営利会社に附属しているような研究機関をも、将来助成をして行くという構想においてのこれは法案でございまして、この法案のみをもつて満足すべき要はないのであります。一大科学技術の振興、また科学技術をもととしての産業の振興国家の興隆を土台とした法案を構想いたしておるわけであります。
  73. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 渡部君に申し上げますが、約三十分にわたつて同じことを繰返している。これは提案者質問者も、あるいはここにおつて審議している委員も、同様だろうと思います。これはちよつと際限がないから、もう少し発展させたらどうですか。
  74. 渡部義通

    渡部委員 発展させる方法は、ただ一つである。あなたは、私の言うことに同感であると言う。同感であるとすれば、その同感の方をとるべきで、同感でない方を法文化する手はないと思う。この点が根本であつて、そういう余地を与えるようにやはり修正すべきである。その点についての見解を聞きたいと思います。
  75. 松本七郎

    松本(七)委員 関連してちよつと……。立案者考えが、ちよつとはつきりしなくなつて来たんですが、今の渡部さんの質問に関連してはつきり伺つておきたいと思うのです。今日事態が非常に困難であるから、一応こういう民間研究所維持運営に要する費用の一部を国で補助しようとするので、あつて、将来もしある程度の安定を得たならば、なるべくこういうものは一般の寄付でやるべきだという考え方に基いてやつておられるのか、それとも今は維持運営に要する費用を負担するが、将来はより以上に設備の拡充あるいは創設にまでも補助をやつて行こうというのか、そこがはつきりしないと決定ができない。そこをひとつはつきりしてもらいたい。
  76. 若林義孝

    若林委員 松本委員と同感でありまして、現在においては、維持運営範囲ということになつております。将来科学技術の振興に対する機運が高揚して参りましたならば、この法案をもととして松本委員が仰せになつたような、より拡充した方向に進み得るものだろうと考えております。アメリカあたりの話を聞いてみますと、研究費というものはペイするものだという観念が行きわたつている。日本の在来の考え方というものは、研究費の補助のごときは、むだなところへつぎ込むというような観念の方が多くなつている。この法案をもとといたしまして、助成をいたして行く研究機関が、有効に発展して参りますことを念願しておるわけであります。
  77. 松本七郎

    松本委員 それではつきりしたんですが、そうなると「維持運営に要する」と、ここに限定したことがおかしいということになる。この「維持運営」に限つておいて、将来安定したら一般の寄付行為にまかすということならば、この「維持運営」ということに限定したことが正しいことになる。ところが、将来は拡充の方にまで補助を持つて行こうというつもりがあるなら、ここでやはり一般の学術研究遂行に要する費用の経費の一部を補助するというような規定——予算範囲内でやるのですから、そういう規定にしておけば、今は維持運営範囲内でやるし、将来は拡充にまで持つて行こうという足場ができると思う。だから、もし今言われたような趣旨ならば、当然これは「維持運営」ということでもつて限定するのは間違いであると思うが、いかがでしようか。
  78. 若林義孝

    若林委員 われわれ立案者の側におきましても「維持運営に要する経費の一部」ということに、相当問題があつたわけであります。しかし現在の段階でこの法案をつくり上げるについては、大体この範囲にとどめておくのが妥当である。これを基本といたしまして、将来他の法案が企図せられる。これは第一条の「これに対し現下の経済情勢に対処して」というところに、重点が置かれておるわけであることを、御了承願いたいと思うのであります。
  79. 浦口鉄男

    浦口委員 念のためにちよつと伺いたいと思います。産業教育法は、参議院に参りまして審議中と承つておりますが、大分修正点も多いように聞いております。会期末になつて修正案が再び回付されるようなことになりますと、またいろいろ運営上の支障も起るように考えられますので、今どこでその経過を伺つておくことも参考になると思いますから、委員長に特にその点の経過をお聞かせ願つておきたいと思います。
  80. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 それではただいまの点について、参議院の模様を、水谷政務次官からお願いいたします。
  81. 水谷昇

    ○水谷政府委員 私も、参議院の事情はつきり存じませんが、昨日の堀越委員長の話によりますと、まだ審議を進めて行くのには、大分時間を要するということであります。この産業教育法についても、委員の間においていろいろ意見があるようで、私ちよつと伺つたのでありますが、予算の面において、半分は地方が負担しなければならぬという点に難色があり、その点非常に懸念しておることと、それから産業教育法による費用が、六・三制の方に食い込むのではないかというような心配がある。従つて修正の意見もあるのだということでありましたので、懇談会を開いて、これについてひとつ善処したいということで、きようは午前中産業教育法について懇談会を催しておるようであります。  大体以上のような経過になつております。
  82. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 それではこれで休憩いたします。午後は二時から再開いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後二時四十四分開議
  83. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 休憩前に引續き会議を續行いたします。残余の質疑を許します。
  84. 松本七郎

    松本(七)委員 提案者にもう一度はつきり立法の趣旨を承つておきたいと思います。それは午前中にも伺いましたように、第三条の問題ですが、若林さんの方の答弁を聞いておつて私が感じたところでは、この法律の趣旨というものは、やはり民間研究機関というものは、なるべく国の補助を受けないで一般の寄付によつて、これは自分の費用で維持運営さるべきものだ、そういう考えを根底にしながら、現在はその維持運営でさえ困難であるから、一時これを国で補助するようにしよう、あるいは免税もしよう、そういう趣旨ではなかろうかと私は考えるわけであります。ところが御答弁を聞いておると、そうではなくて、もう一歩進めた、あるいは設備の拡充充実、あるいは運営維持、すべてにわたつて、もつと積極的に国が補助をなすべきものだ。これをもとにして、だんだんそういうふうなところまで行く土台にしたいというふうな御意見も、ちらほら出るわけであります。そこで、もし後者のような御意見だとすると、まだまだこの法立案にいろいろな矛盾が私は出て来ると思うのです。そこで、この法律の趣旨は一体どこにあるのか、そこを明確にしていただきたい。
  85. 若林義孝

    若林委員 本法案のねらつておりますところは、松本委員の仰せになる前者にとどまつておるわけであります。私の申しました拡充云々ということは、これは別個の法案として将来考究さるべきものではなかろうか、国策として科学技術の振興という大きな構想のもとに描かるべきものであると思うのであります。本法案は、松本委員の仰せになる前者の部類にとどまつており、きわめて消極的なきらいはあると思うのでありますけれども、維持運営助成ということにとどまつておるのであります。
  86. 松本七郎

    松本(七)委員 それでこの「維持運営」云々の趣旨がはつきりいたしたので、私の質問はこれで打切ります。
  87. 渡部義通

    渡部委員 念のために、もう一度はつきりさせておきたいことがあるのであります。それは第三条の「維持運営」ということであります。「維持運営」ということは、現存する研究機関に対してのみやられるだけではなく、新しく今後どんどんできるような研究団体でも、一定の諸条件を備えておるものに対しては補助が与えられるということの意味であるかどうか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  88. 若林義孝

    若林委員 今朝来御説明をいたしましたような趣旨でありますが、この法案には、新しいものに対する助成の、否定的な言葉はないわけでありまして、予算範囲内においては、できるならば、価値あり、また国家のため、公共のためになる研究機関であるということに判定を下されることがあるならば、助成はさしつかえないことになつておる、私はこういうように思うのであります。ただ現在の予算範囲内という一定の限度が設けられておることを、はなはだ消極的で遺憾とは思うのでありますけれども、この法案は、新しいものを否定するという事柄は、文字の上には表わされておらぬことを御了承願いたいと思います。
  89. 渡部義通

    渡部委員 第五条ですが、補助金の「使用の目的決定し」云々とあります。これは主務大臣が決定することになりますが、この決定するというのは、目的を具体的細目にわたつて主務大臣がきめるのか、あるいは補助申請者の側から使用目的提出して、それが承認されるという形をとるのか、この点はどうですか。
  90. 若林義孝

    若林委員 第四条の「研究機関は、」云々「主務大臣に申請しなければならない。」ということがありますが、その申請の中に、今渡部委員が言われるような事柄が明示されておるわけであります。
  91. 渡部義通

    渡部委員 第五条の第二項ですが、これに「審査の方針及び対象範囲」とありますが、「対象範囲」というのはどういうものをさしておるのか。研究のテーマをさしておるのか、あるいは研究機関をさしておるのか、その点はどうですか。
  92. 若林義孝

    若林委員 機関をさしておるのであります。
  93. 渡部義通

    渡部委員 それから第十一条の、主務大臣は「その職員をして帳簿その他の物件を検査させることができる。」とありますが、「その他の物件」というのは、どういうものをさしておるのか、またどういう必要から、こういう文句が使われておるのか、お聞きします。
  94. 若林義孝

    若林委員 薬品、機械、書物、書籍、その他の資材をさすわけであります。
  95. 渡部義通

    渡部委員 それからこの法案は、文部関係だけのものであるか、他の各省にわたるものであるか。また他の各省がこの法案についてどういうふうに考えておるのか、連絡があるのか、こういう点を明らかしていただきたいと思います。
  96. 若林義孝

    若林委員 現在までの分では、この対象になり得るものは、他の省にはなかつたように聞いております。そこで午前に御説明したように、この法文に「文部大臣」という言葉で言い表わして十分ではないかと思つたのでありますけれども、しかし、この趣旨からいえば、他の省に関連のあるものにも助成すべきだという意味で「主務大臣」と書いて、どの省においても、この精神に基いてやれるように拡充をしたことになるわけであります。その点は、希望もあり、各省との連絡につきまして、行政機構の中に科学技術協議会といいますか、各省を連絡する、科学技術を主としての連絡機関の協議会がありますが、それとの連絡に基いて了解を得ておりますから、各省との了解は成り立つておると思います。
  97. 浦口鉄男

    浦口委員 まず第一に、民間研究団体のうちで、私的なものと法人として認められたものを内訳して、現在幾つぐらい団体があるか、お知らせ願いたいと思います。
  98. 石井勗

    ○石井專門員 ここに申します意味の団体は、約二百になつております。その七割の百四十が文部省の所管になつております。あと農林省所管が約二十、通産省所管が約十五、厚生省所管が同じく約十五、その他の各省が約十、計約二百となつております。今申しましたのは、この法案対象になる数字であります。純然たる個人のものは約三百九十であります。
  99. 浦口鉄男

    浦口委員 今まで行政措置対象となつて参りましたものは、法人だけに限るのか、個人のものにはないのかということをお聞きしたい。
  100. 稻田清助

    稻田政委員 現在まで文部省において予算補助をいたしておりましたのは、法人だけであります。
  101. 浦口鉄男

    浦口委員 その補助対象になつて参りました法人組織のものは、数で幾つぐらいになつておりますか。
  102. 稻田清助

    稻田政委員 昭和二十五年度において三十六機関であります。
  103. 浦口鉄男

    浦口委員 その補助額は三千六百五十万円が交付されておるということを承知いたしましたが、二十二年度以降の補助額は、年度別にどういう傾向になつておるか、お知らせ願いたい。
  104. 稻田清助

    稻田政委員 昭和二十二年度におきましては七百六十万円で三十一機関であります。二十三年度が二千百五十万円で三十五機関、二十四年度が三千五百万円で三十二機関であります。
  105. 浦口鉄男

    浦口委員 私、実は今記録を持つて参りませんので、はつきり申上げられないのですが、多分最近の新聞と思いましたが、この四千万円ぐらいの額に及ぶ民間学術研究団体に対する補助金が、全面的に廃止されるような危機にあるというふうなことを読んだように記憶するのであります。もしそういう危機があるとすれば、それはどういう理由によるのかということをお尋ねしたいのであります。それは予算関係によるのか、あるいはまたその他の理由によるのか、それをお尋ねします。
  106. 若林義孝

    若林委員 提案理由説明にもありますように、別に危機という意味ではないわけでありまして、きわめて不安定な状態に置かれているのであります。なおこの法案法律化することによつて、より以上前進する、力を与え得るということには、なろだろうと思います。
  107. 浦口鉄男

    浦口委員 そうしますと、来年度に対しては、具体的に補助団体をどの程度にふやし、どの程度予算を見込みたいという御構想が、もしあるならば、お聞きしておきたい。
  108. 若林義孝

    若林委員 今朝来、この法案を御審議になります委員各位の気持は、より以上これを拡充して、また補助目的の団体の数をふやせという御意向でありますので、議員のわれわれといたしましても、極力この予算を増額する上に努めたいという気持がありますし、政府も、おそらくこの法案通過によつて、より以上の力を与えられる。言葉は悪いかもしれませんが、大蔵省への圧力に、非常に力があるのじやないかと心得られておるように思います。
  109. 浦口鉄男

    浦口委員 それでは、これは念のためにお尋ねをしておくわけでありますが、もちろん補助対象は、研究範囲にとどまると思うのでありますが、それ以上、いわゆる事業化すというふうな面にも、ある程度触れて来るのかどうか。これは限界はそうはつきりとはしないと思いますが、その点はいかがでございますか。
  110. 若林義孝

    若林委員 これは純然たる学術ということに、中心を置かれておるわけでありまして、ピユーア・サイエンスといいますか、基礎的のもの、それから今言われます応用的のものについては、相当、收益の伴う傾向があります。こういう意味においては、先ほど松本君の御質疑があつたのでありますが、名前は何とつくか知りませんけれども、研究団体法とか、研究機関法とかいうようなものでも構想されて、それをも助成をする必要は相当あるだろうと思いますけれども、この法案では純然たる学術ということになつております。
  111. 浦口鉄男

    浦口委員 これはある意味では、たいへん国策的な意味からお尋ねするのでありますが——お尋ねというより、もし御意見があれば、御意見をお聞かせ願いたいと思うのであります。先ほどの提案者の、これを提案された理由は、大体よく承知しておりますが、その中で、民間団体はなるべく純然たる民間団体として、経費もその他もまかなつて行くべきではないかという御意見ちよつとあつたのです。これは今の日本の経済状態としては、むずかしいと思いますが、行く行くは、やはり純然たる民間団体による学術研究がなされるいうことが、非常に理想だと思うのであります。それといま一つには、国立の学術研究所というふうな強力なものがあつて、両々相まち、その長短補つて行くということが、非常に重要じやないかと思うのであります。これは将来たいへん国策的な意義を持つのでありますが、立案者はそれに対して、もし御意見をお聞かせ願えれば仕合せだと思います。
  112. 若林義孝

    若林委員 御存じの通り、この法案は大体御了得を願つたと思うのでありますが、本法案のねらいは、大体維持運営ということでありまして、国家全体の文部省関係予算が五億近くあるのでありますが、これは三千七百万円にすぎないのでありまして、他は研究費、あるいはいろいろの名目で、やはり今の御質疑に盛られておるような使途に使われておるわけであります。しかし、それで満足すべきではない。これも先ほど申しましたように、法的に根拠を与えて、拡充した行き方を将来考究すべきだ、こう思つております。
  113. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 すでに御質疑があつたかと思いますけれども、一、二点お伺いいたします。ただいまの第三条の予算範囲内でというのを、もう少し御説明願いたいと思います。
  114. 若林義孝

    若林委員 ただいまの予算は二十六年度においては、一般に四千万円といわれておるわけでありますが、事実は三千六百五十万円になります。しかしながら、これをもつて満足すべきではない。一般のベース・アツプということから考えると、それに従つて、現状維持ならば、それにスライドすべきものだろうと思います。それから、国策として科学技術の振興という点に重点を置く意味においても、将来は増額されなければならぬものだと考えております。
  115. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 おそらく今回の二十六年度の予算は、ただいまの物価事情から考えましても、その他の点から考えましても、補正予算を出さなければならない事情に立ち至るだろうと思いますし、本日も予算総会におきまして、いつ出すかわからないけれども、出すことは出すということを、大蔵大臣がはつきりと明言をなさつておるような次第でございます。そういう際に、立案者はこれに対して、この予算の増額をやられるような御意思があるかどうか、あるいは二十七年度まで待たれるのか、そういうふうな点について、お話を伺いたいと思います。
  116. 若林義孝

    若林委員 立案者のわれわれ関係議員といたしましては、関心を持つております科目であります。そういう場合は、自然に増加されるべきものは、もちろんより以上主力を注いで増額を期する念願ではあります。
  117. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 もう一点お聞きいたしたいのは、地方税法によつて免税になる総額がどれくらいになるか、わかりましたならば——もしお調べがお手元になければ、あとでよろしゆうございますから、何かの機会にお願いいたします。
  118. 若林義孝

    若林委員 固定資産税で、大体五百万円を予定いたしております。
  119. 松本七郎

    松本(七)委員 この法律ができましてから後に、予算のとり方というか、そういうものがかわるかどうか。今までの各省関係が、今度一つに統一されるということでありますけれども、この民間学術研究助成に要する予算として一本でとつて、それを今度は学術会議の答申に沿つて、さつきお話のあつた科学技術協議会で大体割当をきめて、分配するのかどうか。     〔岡(延)委員長代理退席、委員長着席〕 それともやはり各省ごとの直轄下にある研究所のそういう助成費用というものを見積つてから、ばらばらに要求して予算をとるのであるか、そういう点をもう少し具体的にお願いいたします。
  120. 若林義孝

    若林委員 各省別に、この予算は大蔵省相手に折衝をすると思います。内部的の連絡はお互いにとることと思いますが、しかし各省関係は、別個に予算獲得のためには、努力するということになつております。
  121. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、予算については、今までとかわらないということに了承してよいですね。
  122. 若林義孝

    若林委員 今まで行政措置としてやられたものでありますから、財政当局の意向によつてなされておるわけでありますが、今度は法律的に根拠を与えましたから、当然維持運営して行くことに対して、国家としての義務づけがなされたということになると思いますから、折衝がきわめてしやすくなる、安定感を持つて来るということになると思います。
  123. 小林信一

    小林(信)委員 この民間学術研究機関と称する数は、先ほどお伺いしたようですが、種類というふうなものが、分類できてわかつておりますかどうか。
  124. 稻田清助

    稻田政委員 先ほど若林委員からお答えされたように、これは会社に属するのはないのであります。わが国研究機関を大観いたしますると、国立の研究機関が約二百四十あります。それから公立の研究機関が三百七十あります。それから会社に所属いたしますもの、あるいは個人の経営で法人でないものを合せまして三百九十あります。そうしてこの法律対象になります法人が二百であります。この二百は人文、社会、自然の三部門にわかれておりまするが、非常に多いのは、自然科学系統であろうと思います。
  125. 小林信一

    小林(信)委員 できるならば、この際そういう資料がありましたら、実は見せていただきたいと思うのですが。
  126. 稻田清助

    稻田政委員 承知いたしました。
  127. 小林信一

    小林(信)委員 そういう研究所の、たとい三つに大きく、分類されておつても、その中でどういうふうなものが今一番困窮しておるか、割りに困窮しておらないものはどういうものかという傾向が、もし御調査がありましたら、この機会に資料として受けたいわけです。実は経済自立計画というふうなものが一応出たわけですが、そういう計画等を見ましても、今後日本の科学技術という面で、重視しなければならぬようなものもあるわけです。この際そういう点を考慮して行くことは、提案者考えておらなかつたかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  128. 若林義孝

    若林委員 むろんそういう面においても、大いに考慮の中に入れておつたわけでありますが、その点は、学術会議の答申を待つて行うことになつております。
  129. 小林信一

    小林(信)委員 学術会議の方もですが、やはりこういう問題は、そういう面と、また同時に直接仕事をしておるような方面からも意向を聞く必要があると思うし、われわれとしても、そういうことを考慮すべきだと思うのです。従つてこの法の趣旨から言いますと、どつちかといえば、われわれ文部委員よりも、かえつて通産委員のような方たちが、こういう点に積極的に出てもらう必要があると思うのです。そういう意味からすれば、文部委員だけでなくて、そういう関係委員との連合審査というようなこともして、この際もつとこれを充実したものにして行きたいとわれわれは考えるわけです。たとえば、経済自立計画と称して出ておるもの等を拝見いたしますと、電気の問題にいたしましても、ロスになるものが三割ある、これを少くともその自立計画から行きますと、五%だけ少くするために、そういう科学的な技術を向上しなければならぬということが言われておるのです。そういうものと、これをもつと関係づけたならば、先ほど問題になつております、この法律は多少消極的なきらいがある、もつと積極的なものにする必要があるということが言われておるのですが、そういう点をもつとねらつて行くべきじやなかつたかと、私は考えるわけですが、提案者はこれをこの程度で置くのか、今後これをもつとマツチさせて発展させる御意向があるかどうか。従つて、それは予算獲得等の場合には、そういう点を考慮していただくと非常に都合がいいと思うのですが、その点をお伺いいたします。
  130. 若林義孝

    若林委員 小林委員の御構想なりお心持ちと、提案者であるわれわれとは、一致いたしております。その証拠には、提出者になつておりますのは、小金、福井、星島、多武良、前田というような通産関係委員たちの名前も列記いたしております。また将来の構想も、大体松本委員の御質疑に対して説明をいたしたわけでありますが、この法案は大体維持運営ということになつておりますけれども、将来他の別個の法案として、より大きく科学技術振興という一大国策を具現する法案が考慮さるべきだ、こういうように考えております。
  131. 小林信一

    小林(信)委員 この法律目的のところにあるのですが「現下の経済情勢に対処して財政的援助を行い」こう書いてあります。経済的事情によるのか、研究所の本来が、自立ではその目的を達することができないというような点はないのか、お伺いしたいのです。
  132. 若林義孝

    若林委員 この法案自体は自立不可能だというのを助成するという気持であります。拡充、拡大というようなことは、別個に考慮せらるべきで、この法案自体は、今言われた経済情勢のもとで維持運営が困難であるというものを助成して行く、こういう意味のもので、消極的ではありますけれども、この法案にはそれをねらつております。これより以上、国策としての科学技術振興ということについては、別個に考慮いたしたい、こう考えております。
  133. 長野長廣

    長野委員長 これにて質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。渡部君。
  135. 渡部義通

    渡部委員 私はこの法案に賛成でありますが、若干の強い要望を、民間研究団体の最近集りました意見を代表して、申し上げてみたいと思います。第一に、法人にのみ補助をすることは妥当でないので、法人のみでなく、非法人研究機関にも助成が考慮さるべきである。これは大部分のものが非法人をなしているからであります。  第二に、非常に多数の研究機関のうち、現在までわずかに三十余の機関だけが補助を受けておるのでありますが、大部分のものは崩懐し、あるいは崩懐に瀕しておるのであつて維持運営というだけではなしに、拡張が要請されておる場合がある。拡張が要請されておるのでありますから、補助さるべきものは、やはりこういう点をも考慮されて、ぜひとも拡張せらるべきものに対しては、それをも容認するというような立場考えられる必要があるということ。  第三には、主要研究機関だけではなしに、新しい小さな研究機関であつても、重要な研究調査をなされておるような機関に対しては補助さるべきである。こういう新しく生れる小さなものであつても、むしろそういうものの中に、研究方法なりテーマなりにおいて、新しいりつぱなイニシアチーヴを持ち得るものがあるわけだし、持ち得る期待を持つていなければならぬからであります。  第四には、補助を出すことによつて民間研究機関の調査研究活動に対して、干渉や制約をしてはならない。  この四つの点を強く要望しまして、原案に賛成します。
  136. 長野長廣

    長野委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  137. 長野長廣

    長野委員長 起立総員。よつて原案の通り可決せられました。  なお報告及び報告書の提出については、委員長に御一任願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十三分散会