○
小林(信)
委員 修正をした両法案に対しまして、賛成をするものであります。
この両法案の提案
理由の中に、この
法律が
教育職員の資質の保持と向上を考慮するものであ
つて、そのために、政府といたしましては、ここに修正案の
改正案を
提出した、こういうふうに申されておるのであります、なるほど修正したものから見ますと、相当にその点が
考えられておると思いますが、まだまだ根本的にこの
法律をも
つて教育職員の資質の向上、あるいは保持ということが全うできるとは、私たちには
考えられないので、政府に対してこの点十分なる考慮をしていただきたい、こういうことを念願するものでありまして、私は特に次の点をこの際申し上げたいのであります。新しい制度とこれに伴うところの
教育方法という二つの事実を通しまして、その資質を向上して行かなければならぬのでありますが、現行制度は、これは
日本の従来の
教育が自然的に発展したものでなくて、他国のものをそのまま取入れたものであります。なるほど制度は共通するところはあるかもしれませんけれ
ども、
方法においては、十分
日本独自の文化とか、あるいは国民性、あるいは現在の経済事情、こういうものに即して行かなければならないものであ
つて、単に他国のものをそのまま取入れておる場合は、
日本的な真の
教育というものは生れて来ない。今現に行われておりますところの
教員の資質向上というようなことが、何ゆえ実質的に
教職員の資質を向上することができないか。今日の
段階に立
つても、
教職員の質が低下しておる、あるいは
教育に対する熱意がないというふうなことが言われておるのは何か。この二つの新制度という問題と、あるいはこれに対する
方法という二つの問題と、それからこれに対しまして政府が処置するところの免許法というものに欠陷があるがために、そういうことができておるのではないかということを痛感するものであります。やはり
教員諸君の
経験というふうなものを、相当重視いたしまして、その
経験の上に立
つて、
教員諸君が熱意を持
つて日本的な
教育方法を創意工夫して行くというようなことがなされない以上は、真の資質の向上は望まれないし、
日本の
教育の充実はないと思うのであります。最近心ある
教育者諸君がこれを感じまして、政府の今
考えておるような
方法でなく、みずから自分たちの教養に努めようとしている傾向が見られるのでありますが、これに対して政府の方でも、この免許法のみによ
つて教員の資質を向上するというようなことは妥当でない、もつと積極的に
教員の意欲を燃やして行かなければならぬというような感じを、私たちが質問している中から多分に受けたので、今後そういうふうに努力して行かれると思うのであります。問題は
講師のことになるわけでありますが、
講師の諸君といえ
ども、やはり十分な勉強ができないとか、まだ新制度を解釈するだけの余裕とか、あるいは経済的な余裕が与えられておらないというような点もあるし、また何か政府の方からいたしまして、こういう
方法で教えろというような形で押しつけられるような傾向があるのであります。そういう点から見ますると、
講師の問題は、あながち
講師自体の問題でなくして、政府当局にそういう問題が多々あるのじやないか。政府当局がまたそういうふうな形に出て行くことは、やはり免許法そのものに何かそういう傾向をもたらしておるのじやないかというふうな点も
考えまして、この免許法の問題につきましては、まだまだ検討することが多々あるように
考えられます。
教員諸君が一番自覚する点は、自分の
経験の上に立つことであ
つて、その
経験の上から新しい制度を十分消化して、自分でくふうし創造して行くというような
考えを持たせるような
方法が、この際とられなければいけない。一応
教員諸君に対しまして、基準というようなものをつく
つて、こういう
段階を用意することはいいかもしれませんけれ
ども、それによ
つて、単にその
段階をふんで行きさえすればいいんだ、そうすれば自分の
身分が安定するんだ、生活が安定するんだというような感がまだまだ深いのでありますが、これを除去して、真に
日本の
教育を自分たちの手によ
つてつく
つて行かなければならぬという
責任感を持たせるということは、他の何らかの
方法によらなければならぬということを、今日の事情からして私は痛感しておるものであります。単なる免許法によ
つて資質が向上できるというような
考えを、もし政府当局が持つならば、
日本の
教育は、この免許法に負うところが多いのでありますから、考慮していただかなければならない、そういう点で今回の一部
改正を見たわけであります。
経験ということを重視しまして、従来の既得権を幾分復活されておる点は、
教員諸君に非常な感激を与えると思いますが、これとても、私たちはまだ十分でない、かように
考えております。
なお
改正個所におきまして、聾唖学校の先生方に、一級普通免許状をとる場合には、従来単位を獲得する要はなか
つたのでありますが、今回六単位を加えられたことは、一面聾唖学校が、他の学校に比較いたしまして何となく権威がなか
つたような感を与えたものが、これによ
つて一層聾唖学校の必要性、重要性が認識されて、権威を与えたということにはなるわけでありますが、しかし聾唖学校の特殊な事情と、これに従事しております
教育者諸君の問題を
考えますときに、遺憾に思う点であります。しかしそのためには、十分なる講習の機会を与えられ、あるいは施設の充実をして行くとか、あるいはそのために必要な経費等も他より実情に沿
つて多く支給するというような内容を承りまして、了解するのでありますが、特にこの点がほかの部面に比べまして、以前よりも強化されるような傾向にあ
つたことは遺憾であります。ただいま自由党の方から、臨時免許状の問題で北海道等が……(「簡単簡単」と呼ぶ者あり)
——これは単に北海道だけの問題ではないと思うのです。各府県にも相当そういう実情があるわけですから、あながち北海道と限定されるようなことは、せつかくの修正の
意味がなくなりますから、北海道に限定されるというようなことに政府でとらわれず、またこれではせつかくの修正が無
意味になるわけでありますから、私たちはそういうように限定をしないよう希望するものであります。
簡単にというお声がありますから、以上をも
つて政府に御注意を促して賛成するものであります。