○
辻田政府委員 昭和二十六年度に入学する
児童に対する
教科用図書の
給与に関する
法律案につきまして、条文を追
つて御説明申し上げます。
義務教育の
無償につきましては、憲法第二十六条第二項に
規定されているところでございますが、二回にわた
つて来朝し、わが国の教育について有
意義な勧告を残しました米国教育使節団も、再度義務教育の
無償の範囲の拡大を勧告いたしております。そこでわれわれといたしましても、かねてからその範囲の拡大について、
研究して参
つたのでありますが、このたび
児童の公共心の涵養という点を考慮いたしまして、国が
地方公共団体に対して、
昭和二十六年度に
市町村立の小
学校並びに都道府県立の盲
学校及びろう
学校に入学する
児童の
教科用図書の
給与を奨励するという方法により、義務教育の
無償の理想の、より広範な実現を試みたのであります。
まず第一条は、
教科用図書の
給与の奨励が、
昭和二十六年度における義務教育
無償の理想の、より広範囲な実現の試みであることを明らかにしております。
昭和二十七年度以降のことにつきましては、何ら
規定はございま
せんが、政府においてこの制度の実施の結果を検討し、その改善の方策その他の必要な
措置について、十分
研究いたしたいと考えております。
第二条第一項におきましては、国は、
市町村が
市町村立の小
学校の第一学年に入学する
児童に対して
教科用図書を
給与する場合には、予算の範囲内においてその
給与に要する経費の二分の一を補助することを
規定してあります。この場合において、この
児童のうちには、いわゆる委託
児童を含むことは当然でありますが、学年の中途において入学する
児童は含まないことにしてございます。その
理由は、すでにこれらの
児童が他の
学校で
教科用図書の
給与を受けたものであること、及び転学の多い都市において財政
負担が大きくなることが予想されるからであります。
次に、
児童に対して
給与する
教科用図書の種類は、国語及び算数に限るわけでありますが、この
教科用図書が、検定または国定
教科書であること、及び教育
委員会が
昭和二十六年度に小
学校の第一学年の課程におきまして使用する
教科用図書として採択したものでなければならないということを、政令で定めたいと考えております。
第二条第二項におきましては、国は、都道府県が、都道府県立の盲
学校及びろう
学校の小
学部の第一学年に入学する
児童に対して、
教科用図書を
給与する場合には、予算の範囲内において、その
給与に要する経費の二分の一を補助することを
規定してあります。この場合において、
児童のうちには、学年の中途において転学した
児童を含まないことを
規定してございますが、これは小
学校との均衡上
規定を設けたにすぎず、事実上該当者はほとんど予想されておりま
せん。
次に、
教科用図書は、現在盲
学校につきましては、国語、算数のほかに音楽、またろう
学校につきましては理科を加える予定でありますが、身体に故障があり、また多くは貧困家庭の子弟でありますので、さらに予算の範囲内で、
児童の学習能力を助長するために適当な
教科用図書があれば、これを教育
委員会が加えることができる
ように、政令で定めたいと考えております。
なお、補助金の額は約一億四千万円でありますが、残りの二分の一は、全国的にこれが実施されることになりましたときは、
地方財政平衡交付金法に基く教育費の基準財政需要額のうちに算入する
ように、交渉したいと考えております。
第二条第三項は、補助金の交付の
手続について政令に譲
つてありますが、政令では、都道府県の教育
委員会が、その都道府県の区域内にある
市町村に対して交付すべき補助金の算定及び交付に関する事務を取扱うこととか、補助金を四月において概算で八割
程度を交付するとかいうことを定めたいと考えております。
最後に、第三条におきましては、都について、
地方税法及び
地方財政平衡交付金法におきまして特例が設けられているのに対応して、特例を設けてあります。すなわち、特別区のある地域につきましては、都が
教科用図書の
給与について責任を負うわけであります。
以上がこの
法律案の要旨であります。