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1951-02-10 第10回国会 衆議院 文部委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十日(土曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君    理事 松本 七郎君       柏原 義則君    甲木  保君       坂田 道太君    佐藤 重遠君       高木  章君    東井三代次君       飛嶋  繁君    平島 良一君       若林 義孝君    井出一太郎君       坂本 泰良君    渡部 義通君       浦口 鉄男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房会計         課長事務代理) 相良 惟一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      西崎  惠君         文部事務官         (調査普及局         長)      關口 隆克君  委員外出席者         專  門  員 石井つとむ君        專  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 二月九日  公立学校教育公務員地方公共団体議員と  の兼職についての臨時措置に関する法律案(荒  木正三郎君外十名提出参法第二号)(予) 同月十日  公立学校教育公務員地方公共団体議員と  の兼職についての臨時措置に関する法律案(参  議院提出参法第二号) 同月八日  九州大学医学部附属病院看護婦増員に関する  請願福田昌子紹介)(第四二二号)  職業教育法制定に関する請願外三十三件(田中  重彌君紹介)(第四二三号)  同外八件(吉川久衛紹介)(第四八〇号)  同外七件(小坂善太郎紹介)(第四八一号)  同(大石ヨシエ紹介)(第四八二号)  平島中学校舎建築費国庫補助に関する請願(  坪内八郎紹介)(第四二四号)  学校給食法制定に関する請願坂田道太君紹  介)(第四二五号)  同(小川原政信紹介)(第四七八号)  六・三制整備に関する国庫補助並びに起債等に  関する請願南好雄紹介)(第四七九号)  支那学振興に関する請願庄司一郎紹介)(  第四八三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  社会教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第一九号)(参議院送付)  公立学校教育公務員地方公共団体議員と  の兼職についての臨時措置に関する法律案(参  議院提出参法第二号)  教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二一号)(予)     —————————————
  2. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 これより会議を開きます。  社会教育法の一部を改正する法律案参議院送付)を議題とし、討論に入ります。渡部義通君。
  3. 渡部義通

    渡部委員 共産党は、この法案改正反対であります。質問の際にも話しましたように、社会教育というものは、民衆の中から燃え上るところの科学、技術、芸術その他の文化や思想というようなものが、高揚結集されて、それが大きな全民衆的なものとして発展することなしにはあり得ないと、われわれは考えているわけであります。しかし今日こういう民衆の欲求というものが非常に高く、そういう動きというものが非常に活発であるのに対して、現代の政治が、これを制約し、弾圧するという傾向がきわめて強化されている。このような状態の中では、社会教育というものが発展する條件が、非常にこわされておるのでありますが、この改正案を見ますと、従来とても社会教育法案には、これを制約し、統制するという内容が盛られておるので、私たち反対したのに、さらに今度は教育主事及び主事補を官製化することによつて、結局社会教育委員会というようなもの、あるいは教育委員会の活動に官製的な統制を加え、民衆自己教育という本来的な社会教育の成長の條件が、これによつて統制される。その結果は、現在進行しつつあるような思想統制が、社会教育の面にまで拡張されることになり、その結果は、日本の今日置かれている国際的な情勢のもとで、言いかえると、日本植民地化の問題、また日本が隷属して行くという状態を促進するような役割さえも果す憂いがある。少くともそういうような傾向を強化するところの法案改正されるのでありまして、共産党としましては、以上申し上げた理由によつて、遺憾ながらこれに反対せざるを得ないわけであります。  簡単ながら反対理由を申し述べておきます。
  4. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立
  5. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 起立多数。よつて原案通り可決せられました。     〔岡(延)委員長代理退席委員長   着席〕     —————————————
  6. 長野長廣

    長野委員長 次に、教育公務員特例法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 この教育公務員特例法の一部を改正する法律案につきましては、せんだつて大臣の御説明に対して、少し大臣に伺つておきたいと思うことがございますが、これはまたの機会讓つて、局長も見えておられますから、少し質問しておきたいと思います。  ただちに具体的な條項に入りたいと思いますが、この改正法律案の中で、これまでやつて参りました大学の学長、教員及び部局長転任規定について改めまして、口頭審理公開を今後やらないことに改正しようとしております。この点について、少し伺いたいと思います。これは大臣説明されたときに、述べておられたように思うのですが、事前審査手続について、現行の規定では運用上多少の疑いがある、そのために実施上にも支障を来す場合が少くないからこの点を改正する、こういう御説明であつたように伺つたのですが、どういう疑いがあるのか、かつ今まで実施して来た場合に——いかような支障があつたかということを、具体的に御説明願いたいと思います。
  8. 稻田清助

    稻田政委員 ただいま教育公務員特例法五條改正について、御質問があつたわけでありますが、申すまでもなく公務員に対しまする身分保障規定といたしましては、国家公務員については、国家公務員法第八十九條から九十二條の規定がございまするし、地方公務員に対しましては同法第四十九條から五十五條までの規定がありまして、教育公務員といえども、この規定によつて身分保障せられておると解釈せられるのであります。しかしながら、特に大学に属しまする教育職員につきまして第五條規定があります趣旨考えますれば、それは任命権者あるいは懲戒権者でありまする大臣、あるいは地方自治団体の長が処分いたしまするには、それの前提といたしまして、大学管理機関審査を必要とするところにあると考えられるのであります。いわゆる大学自治でありまして、大学教職員に対する人事につきましては、大学自治の観点によつて大学管理機関審査を必要とする、こういう趣旨解釈せられるのであります。その審査を適正ならしむる意味におきまして、処分せられようとする人たち陳述を聞くというところに、この條項のねらいどころがありまして、それが反面身分保障という意味合いも持つてはおるのでありますけれども、この五條趣旨は、身分保障という一点のみによつて解釈すべきものではない、こう考えられるのであります。と申しますのは、地方公務員法五十七條におきましても、こうした教育公務員に対して特例を開きますることは、地方公務員法一條精神にのつとらなければならぬ、国家公務員法におきましても同様な規定がありまして、それらの規定根拠としてこの特例法が成り立つておることから考えますと、国家公務員法及び地方公務員法の第一條規定について考えますれば、行政能率ということを考えなければならない。従いまして人事行政におきましては、もちろん一面愼重は要するといたしましても、人事行政というような行政上最も大事な問題につきましては、その能率をはからなければならない。しかるにただいまお尋ねのありました点でありまするが、従来ややもすればこの第五條規定が実際適用せられる場合、たとえば無制限本人陳述を許すように解せられます点であるとか、あるいはまた無制限証人代理人を出席せしめるという点でありますとか、常に公開審理を行わなければならない、こう解釈せられるところからいたしまして、大学管理機関における審査が遷延いたしまして、一年余りに及びましても、なお結論を見出すことの曙光すら見出せないというような点がありまして、これは一面人事行政能率を阻害するところ非常に大きいというような意味合いからいたしまして、改正を必要と考えた次第でございます。すなわち改正におきましては、大学管理機関審査にあたりましては、本人から事情を聽取する機会を與えるのだというのがこの本旨であるということを、明らかにいたした次第でございます。さらにまた公開審理は、あらゆる場合に禁じようという趣旨ではないのでありますけれども、学徒の面前におきまして、学園内部において、教授と大学管理機関年月久しく論争するというような状態を露呈いたしますことは、教育考慮しなければならぬという考えからいたしまして、いかなる場合にどういう程度公開するかということは、すべて大学管理機関それ自身教育的見解に立ち、また良識によつて定めるようにまかせた次第であります。現に今までの事例といたしましては、東京大学において、一年余りにわたつて十何回の審理を経ましてなお解決を見出せないというような例もございまするし、同様神戸大学におきましても、年月久しくこの問題が係争になつております。山形大学あるいは佐賀大学等におきましても、この審理が開始せられたのでありますけれども、これはその処分せられます御本人の意思と身分上の事由によつて、中途で解消いたしておる。そういうような事例考えましても、今後大学内におきまして、人事行政円滑化迅速化をはかる意味で、今回の改正を企図いたした次第でございます。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの御答弁によりますと、大学自治ということと、行政能率という両面からの御考慮のように承つたのですが、これは相当の問題がございますので、ただいま参議院の方からお見えになりましたから、議事進行上一応ここで中止しておきたいと思います。     —————————————
  10. 長野長廣

    長野委員長 次に、公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案議題といたします。  これより提出者提案理由説明を求めます。参議院議員荒木正三郎君。
  11. 荒木正三郎

    荒木参議院議員 今回荒木正三郎外十名から提案いたしました公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案について、御説明申し上げます。  この法案内容は、今第十回国会政府から提出いたし、現在審議中の教育公務員特例法の一部を改正する法律案附則第四項に相当いたすものでございまして、公立学校教育公務員で現に地方議会議員を兼ねている者について、なおその議員残任期間議員を兼ね得るよう措置をいたさうとするものであります。  公立学校教育公務員で、地方公共団体議員を兼ねております者は、昨年六月三十日現在で、府県会百二十七名、市町村会二千三百五十一名に達しております。ところが御承知のごとく、この兼職根拠規定をなしておりまする教育公務員特例法第三十三條及びそれに基く教育公務員特例法施行令第十六條は、二月十三日地方公務員法施行に伴い、失効いたすことと相なります。ただいま政府より提出いたしております教育公務員特例法の一部を改正する法律案附則第四項が、これに対して残任期間中、兼職を継続いたし得るよう措置しておりまするのは、このような理由に基くものであります。しかしながら、同法案の現在における国会審議経過から推察いたしましてとうてい二月十三日までには、両院の審議は終了いたす見込みなく、従つてその際には、兼職議員は失格のやむなきこととなり、既得権の重大な剥奪と相なりまするゆえ、ここに同法案附則第四項だけを特に取出して、単行法として提案いたしました次第であります。  何とぞ以上の点を御考慮の上、この法案に御賛成いただきますよう、切にお願いを申し上げる次第でございます。
  12. 長野長廣

    長野委員長 これより質疑に入ります。質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 長野長廣

    長野委員長 質疑はないようでありますので、これにて質疑は終了いたしました。  手続上の関係で暫時休憩いたします。     午前十一時四十一分休憩      ————◇—————     午前十一時四十六分開議
  14. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 休憩前に引続き再開いたします。  次に教育公務員特例法の一部を改正する法律案議題とし質疑に入ります。松本七郎君。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほど稻田局長の御答弁によりますと、公開審理をやめた理由として、行政能率ということを言われたのですが、この点はどうも教員身分特例ということからして、一般公務員と同じように、行政能率ということから考えることは、むしろ逆行だと思います。この点で、行政能率の面からこれを禁止するというのは、どうも積極的な意味がないように考えられるのですが、この点、行政能率の面からこの公開審理をやめなければならぬ理由が、どういうところにあるのか、もう少し積極的に明らかにされる必要があると思います。
  16. 稻田清助

    稻田政委員 先ほども申し上げました国家公務員法及び地方公務員法におきますところの身分保障規定といわれまする、いわゆる事後審査段階における審理におきましては、一方において処分者、一方において被処分者、これが対立した形になりまして国家公務員におきましては人事院の公平委員会地方公務員におきましては人事委員会ないし公平委員会におきまして、審査を行うわけであります。これは事後のことでありまするし、そうした対立の形を第三者の立場でありまする委員会がさばくというかつこうになりますので、條文は非常に五條と似ておりまするけれども、これはいわゆる争訟主義と申しますか、訴訟法廷における審理のごとく、これにおきましても決して荏苒日を送つていいというわけではありませんけれども愼重審理機会が與えられるということによりまして、本人身分保障という点につきましては、重々この法律においては措置し得ることだと考えております。大学管理機関事前審査をいたしまする意味は、單に任命権者、あるいは懲戒権者それ自身が、ほしいままに一つの処分をやるのではなくて、そこの大学自治でありまするので、大学管理機関審査前提とするという点に意義があります。その審査はもちろん愼重に誤りなくいたす必要があるのでありまするけれども事前審査であり、人事行政といえども行政の一環である行政能率を増進するということが、国家公務員法地方公務員法の第一の念願とするところでありまする以上は、この五條の立法につきましても、あるいはその解釈につきましても、一條精神をもつて当るのが必要だ、こういうふうに考えられるのであります。そうしてこれは審査をしようとするものと、審査を決定するものとが同一な管理機関でありまするので、事の性質上、條文内容が非常に事後審査の場合と似てはおりましようとも、この段階におきましては いわゆる争訟主義によつて処分せられた者が、どこまでも心行くままに証人あるいは代理人を選び、あるいはまた陳述機会を得て陳述するというようなふうにいたしておりますことは、やはり何と申しましても、行政の非常な支障になる。これはまた現に事例もあることであるというような点から見まして、この五條がもともと争訟主義規定でなくして、いわゆる聴聞主義と申しますか、本人陳述を聞く機会を與えて、そうして審査の適正を期するという点をねらつた趣旨を、この改正法律案においては、より明らかにいたしまして、法の趣旨解釈から、各学園内部に必要以上にいろいろ紛争を招来することを防止することが、教育的見解から見ましても、行政運営円滑化から見ましても必要だと考えて、この改正を提案いたした次第であります。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 この身分保障ということと、今の御答弁趣旨とが、どうも一致しないように私は考えるのですが、これは後ほどまたもう少し詳しく御質問したいと思います。  その次は、やはり同じような問題ですが、十五條を削除された結果、任命権者が校長または教員に対し、その意に反して降任し、免職し、その他これに対し著しく不利益処分行つた場合の規定もなくなるわけです。これはおそらく今後は、地方公務員法に基いた人事委員会、あるいは公平委員会審査請求をするということに、まかせることになるのだろうと思うのですが、これについても、やはり教育委員会というものが、教育公務員についてあるのでありますから、これは何か審査をするのを待つ規定を必要とするのじやなかろうかとわれわれは考えます。その点はいかがですか。
  18. 稻田清助

    稻田政委員 第十五條削除趣旨は、お話通りでございまして、地方公務員法に新たに事後審査規定が設けられましたので、それによることといたしたわけであります。地方公務員たる教職員に対しましても、任命権者たる教育委員会処分いたすに際して、事前審査が必要であろうというお説でありますけれども、その点を国家公務員たる教職員と比べますれば、任命権者として比較いたしますれば、それは大臣処分することとちようど同じであります。国家公務員につきましても、任命権者あるいは懲戒権者たる大臣がそういう処分をやります場合に、それ自身において事前審査をいたすということは、性質理由がないのじやないかと思うのでございます、大学につきましては、大学自治というような点からいたしまして、大学管理機関というものが、任命権者懲戒権者の別にございますので、そちらの意見を聞いて任命権者処分する、そういう必要がありますからそこに設けてありますので、同じ任命権者であります教育委員会が、それ自身処分せんとする場合に、事前審査ということは、ちよつと意味をなさぬじやないか。いずれにしても、身分保障という一点におきましては、事後審査にまつべきであるというふうに、私ども考えるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、五條というのは、身分保障という一点からのみ解釈すべき條文ではない、こういうふうに考えるわけです。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、この十五條削除によると、教員身分保障については、教育委員会では不当だが、何か別な機関でもつてある保障をするという必要は認められるのですか。
  20. 稻田清助

    稻田政委員 この点につきましては、地方公務員法四十九條から五十條に至ります間におきまして、不利益処分を受けました当事者から請求がありました場合に、人事委員会ないしは公平委員会において審査をする、こういう規定がございますので、身分保障はそれによるという考えでございます。
  21. 松本七郎

    松本(七)委員 大臣もちようどお見えになりましたので、この機会大臣に伺つておきたいと思います。  この前、大臣の御説明の中に、教育公務員人事管理については、一般公務員とは異なつた要素がある。従つてそれに応じ得るだけの体系的な制度が必要と考えられるということを言われております。どうしてもそういう体系的な制度をつくらなければ、教育公務員待遇適正化は期待することができない、こういうふうに断言されているのです。われわれはこれに大賛成でございますが、現在教育公務員待遇が非常に悪い。後ほど問題になります結核療養等についても、それが言えるのであります。現在結核は、ほとんど完全になおせる段階にまで医学上は来ている。それにもかかわらず、金がないためにその療養を受けることができないという教員が、非常にたくさんあるのであります。そういう点からも、何としても教育を守るためには、教育公務員待遇適正化をはからなければならない、これが根本になると思うのでありますが、この点について大臣も、これについては根本的に検討する必要があると言つておられます。ただ近い将来に第二次米国教育使節団勧告というようなものがあるであろうから、今回はそこまで根本的な検討にまで行かないで、さしあたり今回の改正にとどめたという御説明でございましたが、米国使節団勧告教育面についてもいろいろございましたけれども、これからは大臣のご自分意見をもつと強く積極的に出して行く必要がありはしまいかと思うのであります。勧告にも、なかなかよいことを言つている点がたくさんございますが、どうもすべてを勧告にまつというような態度が強過ぎるように考えるのであります。これからは、もう少し具体的な案をこちらで積極的につくつて、それを実行して行くというような面が強調されなければなるまいと私は思うのであります。特に教育に関しては、大臣考えておられることについては、だれも異論のないところでございますから、そういう面からまず日本自主性の確立ということが一番やりやすいのではなかろうか、そういう点から具体的な構想を大臣にこの際説明をしていただきたいと思うのであります。
  22. 天野貞祐

    天野国務大臣 松本委員のおつしやる自主性ということは、私もそうなければならないと思つております。何でもアメリカ教育使節団の教えたことを墨守しようというような考えは毛頭持つておりません。ですから、この給與に関しましても、教育公務員には、別表をつくろうという考えを持つております。また先ほどお話になりました、教員結核を病んでおる者につきましては、私は大臣になる前どころではなく、ずつと以前、そういうことについて自分で文章を発表したこともあるくらい、これは非常に重要な問題だと思つております。できれば三年というようなことがよいのですけれども、しかしさしあたつては、やはり一般公務員との関連もあり、国家財政ということもありますから、この程度に一応とどめておこう、けれども、今おつしやる趣旨には、私もまつたく同感なんで、何もどこからも束縛されることはないのであつて自分たち考えでもつてやつ行こうと思つております。
  23. 松本七郎

    松本(七)委員 それに関連して、十四條の結核については、われわれも以前から、どうしても三年を必要とするという主張を持つておりましたので、今回は政府の方の改正案にも、この三年とする改正の出て来ることを期待しておつたのですが、そういう改正が具体化されなかつたのを、はなはだ遺憾に存じます。どういうところにこの障害があるのか。おそらく文部当局でも、この教員結核療養期間を三年にするということは、前から希望しておられたところでありましようから、御努力はされたのだろうと思いますが、その経過を少し具体的に説明していただきたいと思います。
  24. 相良惟一

    相良政府委員 ただいまの御質問に対して、お答えいたします。御承知通り教育公務員特例法の第十四條で、現在結核性疾患に基くところの休職期間は、満二年となつておりますが、実はこの教育公務員特例法を立案いたしました際は、三年ということも考えまして、種々研究いたしました。しかしながら二箇年ということに相なりましたのは、早期発見早期治療に努めますならば、二箇年で大体十分であるというような結論に到達いたしましたので、二箇年といたしました。しかしながらこれはもちろん長ければ、長い方がけつこうなわけでございます。先ほど大臣が申されましたように、他の公務員とのバランスもございますし、なお一年延長いたしますことによつて、非常に財政上、地方公共団体あるいは国の負担がかさむということも考えられますので、目下私どもは努力しておりますけれども、今回の教育公務員特例法改正の中には、一応織り込まなかつたようなわけでございます。私どもは、なお期間を延長するように目下研究中で、いろいろな努力を重ねておることを付言いたします。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 その努力をされておることは、われわれもよく承知しておりますし、感謝しておりますが、それが今回織り込むに至らなかつたのは、どういうところに原因があるのか、そこをもう少し伺いたい。大分長い努力ですから、もうそろそろ努力の成果が現われてもよかろうと思います。
  26. 相良惟一

    相良政府委員 問題は、ただいま申し上げました財政上の問題と、他の一般公務員とのバランスの問題でございます。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 次に移りますが、第二十一條の二に、職階制を実施する規定がございまするが、これは局長の御説明にもありましたように、教育公務員に職階制を行うことが、はたして可能かどうかの根本問題があると、こういうふうに局長も説明されております、そういう根本問題があるにかかわらず、それを根本的に検討することをせずにここに職階制を行つて、はたしてこれがうまく行くものかどうか。職務内容をどういうふうにして区分するのか、何を基準にするのか、そういう点を少し明らかにしていただきたい。
  28. 關口隆克

    ○關口政府委員 お答えいたします。職階制について申し上げます。教職員の職階制がはたしてできるかどうかということについては、いろいろ問題があるということを、過日申し上げたのでございますが、職階制が、しからば教職員には絶対にできないものであるということは、いまだ確定した意見はない。従つて大ざつぱに申しますと、教職員に対して、よい職階制というものができるならば、職階制をしいてさしつかえない。一般公務員について職階制をしくことが原則になつておりますので、その原則を根本的に排除するということは、この際十分な論拠がない。私どもの方で目下国家公務員法に基いて、国家公務員であるところの教育公務員にも、職階制をしくという原則を採用して、そのことについては目下研究中でございますが、問題になつております点を一、二申し上げます。  第一の考え方は、大学の教授あるいは助教授、高等学校以下の学校の教諭、助教諭といつたようなわけ方で、一つの職階を考えてみることも可能である。同時にまた、部局長というものがございますが、学長あるいは学部長あるいは付置の研究所の長、そういうような職務上の官位的な立場からの分類、こういうことも可能であろう。これらのものを組み合せて、教育公務員にとつて適切な職階制というものがまつたくできないとは考えておりませんので、目下研究でございます。従つて、もし国家公務員についての職階制ができるならば、できたあかつきにおいては、地方公務員であるところの教育公務員についても、ほぼ同様の職階制をしくことも可能になると考えまして、この際この規定を設けた次第であります。     —————————————
  29. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 次に、公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案(荒木正三郎君外十名提出参法第二号)を議題として討論に入ります。  お諮りいたします。本案の討論を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 御異議なしと認めます。よつて討論は省略せられました。  採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  31. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 起立総員。よつて原案通り可決せられました。  なお報告及び報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 御異議なしと認めます。さように決しました。     —————————————
  33. 井出一太郎

    ○井出委員 議題外でございますが、ただいま松本委員質問中に教員結核対策がございました。これは教員ではありませんが、結核という意味で御質問いたします。  昨年のことでございましたか、長野県下のこれは軽井沢の近くの、ある一村でございます。小学校に一クラス、結核の集団発生とでも申しましようか、こういう事件があつたことは、多分文部省でも御承知だと思います。これは全国的にも非常にまれなる事例かと存じますが、たしか二名くらいの学童が粟粒結核のために、きわめて病勢がすみやかに高進をいたして死亡いたした。それに驚いてそれぞれツベルクリン反応等の調査をしましたところ、そのクラスの大半の学童が、強陽性というような結果が出たと聞いておる。そのために村当局は非常に狼狽をいたし、ただちに県あるいは結核予防協会等にも連絡をとりまして、ただいまのところでは、手当に万全を期しておるようでございますが、この報告を、文部省はおそらく受取られておるでございましよう。これに対しまして、文部省として、どの程度措置をとられておるか、あるいは予算的な支出なども、計上し得るであろうかどうか、こういう問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
  34. 相良惟一

    相良政府委員 昨年長野県で起りました兒童の集団結核につきましては、私どもも報告を、厚生省の方から受けております。これはどのくらいな経費を保健、結核対策に費すか、それについてお答えいたしますと、長野県の問題は、主として教員の方から感染したというようなことを聞いております。教員結核対策ということに文部省は重点を注いでおりまして、昭和二十六年度も九百七十六万円というような、これは主として教員保養所の設置に要する補助金でございまするが、さようなものも計上しております。なお兒童あるいは生徒の結核対策と申しますか、こういうものにつきましては、もよりの保健所を利用するように、これは教育委員会法の中に規定してございますが、学校と保健所と密接な連絡を保つて結核早期発見に努めるよう、精密検診等を行うようにして処置も講じてございます。
  35. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時十一分散会