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1951-06-02 第10回国会 衆議院 農林委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月二日(土曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    小淵 光平君       川西  清君    河野 謙三君       中馬 辰猪君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    平野 三郎君       八木 一郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    坂口 主税君       足鹿  覺君    横田甚太郎君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林政務官         (農政局長)  東畑 四郎君  委員外出席者         参議院議員   瀧井治三郎君         参議院議員  池田宇右衞門君         参議院議員   三橋八次郎君         農林事務官         (農政局農政課         長)      土屋 四郎君         農 林 技 官         (農政局植物防         疫課長)    堀  正侃君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 六月二日  植物防疫法の一部を改正する法律案瀧井治三  郎君外七名提出参法第二七号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  植物防疫法の一部を改正する法律案瀧井治三  郎君外七名提出参法第二七号)(予)  肥料価格に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  昨日予備審査のため本委員会に付託になりました植物防疫法の一部を改正する法律案参法第二七号を議題といたし、審議に入ります。  まず本案の趣旨について提案者説明を求めます。参議院議員瀧井治三郎君。     —————————————
  3. 瀧井治三郎

    瀧井参議院議員 ただいま上程せられました植物防疫法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表してその提案理由を御説明申し上げます。  農業生産確保及び増進をはかりますためには、農作物病害虫防除の完全なる実施がきわめて重要であることは、申し上げるまでもありません。しかるに現行植物防疫法は、国際植物検疫国内植物検疫及び緊急防除に関する規定のみにとどまり、現実農作物に対し非常に大きな損害を及ぼしている稻のいもち病等一般病害虫防除については、何らの法的措置が講ぜられていないのであります。従いまして、以上のような欠陷を補い、一般病害虫に対しても有効適切な防除措置をとり得ることとするため、本改正法律案提案するに至つたものでありまして、その骨子大要次のようであります。  第一は、一般病害虫の中で、広範囲にわたり急激に発生して農作物に甚大な損害を及ぼすおそれのある病害虫指定し、これら指定病害虫異常発生時に備えて国において農薬備蓄及び防除機具の備付を行い、必要に応じ農薬讓與讓渡及び機具の貸付をなし得ることとなし、さらに防除実施者に対して補助を行うことができることにしました。  第二は、指定病害虫防除の的確を期するためには、これら病害虫発生予察事業の完全な実施がきわめて必要でありますから、国においてこれを実施し、この際都道府県協力によつて、これが完全を期することとしています。  第三は、国内植物防疫上、国の直接行う病害虫発生予察事業農薬備蓄及び防除機具の備付等は、現在の動植物検疫所を整備拡充してこれに当らしめることとなし、なおその名称を農林省防疫所と改めることにいたしております。  第四は、病害虫防除事業を円滑かつ効率的に実施するために、都道府県は適当な場所に病害虫防除所を設け、ここにおいて防除の企画及び指導、病害虫発生予察防除機具及び農薬の保管、並びに防除用機具修理等を行わしめ、また必要に応じ市町村段階非常勤病害虫防除員を設けることができることとなし、かかる場合に国庫から補助金を交付し、これを助成することができることにしています。  以上がこの法律案提案いたしました理由、並びに法律案骨子でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 なお提案経過及び法案の詳細について、参議院議員三橋八次郎君より説明があります。三橋八次郎君。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋参議院議員 この法律案提案理由につきましては、ただいま御説明申し上げました通りでありますが、続いてこの改正法律案提案するに至りました経過及び本改正法律案内容等について、いささか敷衍して御説明申し上げます。  まず経過についてでありますが、農業生産確保及び増進をはかるため、植物防疫はきわめて重要な事項でありますから、植物防疫については、古くから輸出入植物検疫法及び害虫駆除予防法等によつてその措置が講ぜられていたのでありますが、第七回国会において、植物防疫に関する従来の法制を改廃統合し、新事態に即応して、国際的及び国内的に植物防疫に関する一貫した新立法を企て、現行植物防疫法が成立して、昭和二十五年五月四日公布せられ、今日に至つておるのであります。  現行植物防疫法国際植物検疫国内植物検疫及び緊急防除とにわかれておりまして、このうち国際植物検疫についてはしばらくこれをおくといたしまして、緊急防除は新たに国内に侵入し、またはすでに国内の一部に存在している病害虫蔓延防止目的とし、国内植物検疫優良種苗の保全を目的としているのでありまして、一部都道府県防疫規定が設けられてはありますが、しかしすでに国内に広く分布して常時発生し、あるいはときに異常発生して、農作物に甚大な被害を及ぼす稻のいもち病白葉枯病うんか、麦のさび病、赤かび病等一般重要病害虫防除に関してはほとんど考慮が拂われていないのでありまして、この点についてはかつて現行植物防疫法法案審議の際も指摘せられたところであります。そこでこの不備を補い、この種の国内における一般重要病害虫防除の完全を期することが喫緊の要務であると考えまして、かねて衆参両院各党各会派の関係議員間において研究を続けておりましたところようやく成案を得ましたので、今回便宜私ども提案者となつて、本改正法律案提案する運びとなつたものであります。  次いで、内容についてでありますが、第一は第五章の指定有害動植物防除でありまして、農林大臣は広面積にわたり激甚な発生をして農作物に重大な損害を與えるおそれあるもので、今のところでは稻のもち病白葉枯病うんか、麦のさび病、赤かび病等病害虫指定して、これら指定病害虫防除について、おおよそ次のような措置をとることを規定しているのであります。すなわちその一は、農林大臣都道府県協力を求めて、発生予察事業を国の仕事として行い、その場合、農林大臣都道府県協力に要する費用予算範囲内において負担する。その二は、農林大臣は必要があろと認めたときは、防除基本計画の大綱を立て、これに従つて防除行つた者に対して、薬剤及び防除用機具購入費の二分の一以内の補助金を交付する。その三は、農林大臣は、病害虫異常発生時の緊急事態に備えて、常時防除用機具を備え付け、また農薬を国みずからあるいは他の適当な機関に委託して備蓄しておいて、必要ある場合、防除用機具を貸し付け、農薬讓與、または讓渡する等であります。  第二は、防除体制を整えることは、完全な防除を行う上きわめて必要でありますので、常時及び異常の発生時に対処して、不断かつ臨機の備えを構えるため、次の措置をとることとしたのであります。  すなわち、その一は、現在の農林省における動植物検疫所農林省防疫所と改称し、従来の所掌事務のほか、一般病害虫防除に関する事務をも行わせる。その二は都道府県管内各所に、病害虫防除所を設置し、発生予察事業、その他病害虫防除に関する各種の措置を行うことができるものとし、その場合農林大臣は、これに要する費用の二分の一以内を補助する。その三は、都道府県は、市町村等条例で定める区域ごとに、非常勤病害虫防除員を設置し、発生予察事業、その他防除に関する諸般の業務に応じしめることとなし、その場合農林大臣は、これに要する費用の二分の一以内を補助する。  第三は、予算についてでありまして、本改正法律案施行に要する費用は、その大部分は別紙の通り、すでに昭和二十六年度予算に計上されているのでありますが、しかし新たに農薬備蓄防除機具修理及び病害虫防除員に要する等の経費が不足しておりますので、この経費についてはできるだけ早い機会に補正計上するよう、財政当局打合せ済みであります。  以上が本改正法律案に関する説明大要であります。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 なおお諮りをいたします。  参議院議員瀧井治三郎君、同三橋八次郎君の両君は、参議院農林委員会において提案者として審議出席せられます関係退席をせられるそうでありますが、農林省堀植物防疫課長出席をいたしておりまするので、この方に質問あればこの際発言をしていただきます。
  7. 井上良二

    井上(良)委員 提案者は二人だけではなく、ほかに提案者がありますから、その提案者にここへ来てもらいたい。それからこの法律は非常に重要な法律でありまして、お二人が主としてその提案者として答弁をされるとすれば、参議院審議が済むまでは提案者に対する質問ができないということになつて、この審議が午後にまわり、短時間のうちに、この法律を可急に通そうとしたところでそうは行かぬと思います。審議の時間を十分與えていただきませんと実際上困難です。だからあなた方が参議院の方で提案理由説明をしなければならぬというならば、どなたかほかの提案者をここへ呼んでいただきたいと思います。その間に私ども政府当局質問をいたしておきます。そういうように審議の時間を十分に與えてもらいたい。これを委員長にお願いしておきます。
  8. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまいる説明員堀防疫課長であります。御発言はありませんか。
  9. 井上良二

    井上(良)委員 専門的に担当課長に伺いたい。この法案提案者国会議員になつておりますが、この提案について、政府当局法案の整備その他予算措置等について相談を受けましたか。
  10. 堀正侃

    堀説明員 いろいろと相談を受けております。
  11. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると、この改正法案政府も一応相談を受けて成案を得たと解釈していいですか。
  12. 堀正侃

    堀説明員 けつこうであります。
  13. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、提案者がいなくてもあなたからいろいろ答弁をしていただいてけつこうであります。  第一に伺いたいのは、この法律の一番最後に「施行期日」という規則がございます。この附則の一に「この法律施行期日は、政令で定める。但し、その期日は、この法律施行に要する費用で国の負担に係るものが計上された予算が成立した後でなければならない。」こういうことになつております。そうしますと、本年度の国の予算にも、この資料として出されております植物防疫関係予算一覧表の中に、この法律に関連する予算が含まれておりますか。
  14. 堀正侃

    堀説明員 一部含まれております。
  15. 井上良二

    井上(良)委員 どういうところが含まれておりますか、それを御説明願いたい。
  16. 堀正侃

    堀説明員 まず第一に国有防除機具購入費というのがございます。これが今度の法律改正で国が防除機具及び農薬を整備しなければならぬという防除機具の方の費用になつております。それから主要食糧農作物病害虫予防費補助、これが二十七条の農薬費補助に充てられております。それからなお病害虫駆除予防費補助というのがございます。これは従来予備金補助費のような性質を持つた予算でありまして、これも異常発生時等には充当することになつております。大体それだけが今度の法律関係のある予算ということになつております。
  17. 井上良二

    井上(良)委員 この予算現行防疫法施行するために必要な予算として計上したのとは違うのですか。
  18. 堀正侃

    堀説明員 もちろん現行防疫法施行するのに必要な予算として計上されたのでありますが、今度の改正法律にも使えるかつこうにつておると思います。
  19. 井上良二

    井上(良)委員 この法案が成立いたしましたときにはそういうことも言えるかもしれませんが、もし成立しません場合は、結局現行植物防疫法施行に伴う経費として予算をとつたのでしよう。従つてこれは現行法に基く施行経費であつて、これが今度の改正案関係のある予算というのはおかしいですよ。
  20. 堀正侃

    堀説明員 われわれのやつておる植物防疫、つまり病害虫防除関係は、現行植物防疫法だけで全部完全にやれると考えてないことは言うまでもないことでありまして、従つて現行植物防疫法関係した予算もあります。またそれ以外に防疫事業を完全に推進するために必要な予算として本年度計上されておるわけです。
  21. 井上良二

    井上(良)委員 そういたしますと、植物防疫法施行に関する予算経費がこの中に何ぼかあつて、その余分に改正案とは別に、緊急にいろいろの病害虫発生をしましたときの予防対策費として何か予備金みたいなものを予算的に持つておるのでございますか。そういう予算の組み方が一体ありますか。
  22. 堀正侃

    堀説明員 ちよつと恐れ入りますが、私よくわからなかつたのであります。現行予算が何か病害虫防除に対する予備金的な性格を持つておるかという御質問であつたのですか。
  23. 井上良二

    井上(良)委員 私の聞いておりますのは、つまり植物防疫関係予算一覧表というのは現行植物防疫法施行に伴う予算として組んでおるのでありましよう。それ以外に何の法律根拠もないのに、何か政府予算を持つておるかということを聞いておる。
  24. 堀正侃

    堀説明員 植物防疫事業というのは、非常に広い範囲内のいろいろの作物病害虫について防除をやらなければならぬのでありますが、現行植物防疫法というのは、ある一定の限られた範囲植物及び特殊な病害虫に対して防除をやつております関係上、本年度の現在の予算が全部現行植物防疫法関係のある予算とは申し上げられないのであります。むしろそれ以外にあるいは一般の多くの病害虫防除費として計上されておるのであります。
  25. 井上良二

    井上(良)委員 わかりました。そうしますと、この植物防疫法関係する予算のほかに、特に病害虫防除費として予算が別にある、こういうのですね。そういうことでは抽象的でどうにもならぬから、そこでこういうはつきりした法律をつくつてやろう、こういうのですか。
  26. 堀正侃

    堀説明員 それは先ほど提案理由で御説明もあつたかと思いますが、現在の植物防疫法が非常に不完全なもので、それを完全なものにしたいというのが本来の目的であります。それをやりますと、当然本年度に含まれておる予算関係する事項もできて来る、こういうことであります。
  27. 井上良二

    井上(良)委員 この改正案に盛られております病害虫防除経費のほかに、病害虫防除経費として使える金がありますか。
  28. 堀正侃

    堀説明員 この改正案には全部含まれてしまうことになると思います。
  29. 井上良二

    井上(良)委員 次に病害虫指定をするということですが、その指定する種類は一体どういうものを指定するのでありますか。
  30. 堀正侃

    堀説明員 抽象的に申し上げますと、主要な食糧作物の広範囲面積にわたりまして、突発的にあるいは急激に蔓延をする病害虫指定しようと思つております。例を上げてみますと、稻ではいもち病であるとか、白葉枯病であるとか、あるいはうんか、麦ではさび病、赤かび病といつたようなものを一応考えております。
  31. 井上良二

    井上(良)委員 これは政令かなんかで指定する病害虫をきめるわけですか。
  32. 堀正侃

    堀説明員 そうであります。
  33. 井上良二

    井上(良)委員 この法律では病害虫予察事業を非常に重要視しておりますが、今まで予察ということはやられておりましたか。
  34. 堀正侃

    堀説明員 発生予察事業は、従来は都道府県に職員の俸給の二分の一、事業費の全額を補助いたしまして、先ほど私が申しましたようないろいろの作物の中で、特に天候その他の事情異常発生するような病害虫をつかまえて、それにつきまして長年の間各農作物成育状況、あるいは病菌の繁植状況、あるいは気象状況等の統計をとつておりまして、その平均値に対する変異をもつて、今年はあるいはある種の病害虫発生するとか、あるいは今年は発生をしないとかいうような予想をやつております。
  35. 井上良二

    井上(良)委員 日本のように非常に気候あるいはまた地理的条件の異なります所で、予察事業を完全にやろうということは、実際上非常に困難ではないかと私は思うのであります。こういう自然を相手にして、人力をもつて対抗し得るのには、單に人間の努力だけにこれをまつて、はたして完成でき得るやいなやという問題であります。少くとも湿度、温度が一体どう変化し、自然諸条件植物に及ぼす影響を科学的に十分のみ込んだ人が、こういう条件、こういう状況のもとでは非常に危険であるということを科学的に調査され、査察されることが正しいのではないかと考えておる。そういう方向についての政府としての処置というか、またそういうことについての経費科学的調査、そういうものについて何も見積らず、單に人員を配置して村をぐるぐるまわらせればよいということで、完全に予察ができ得るかどうか。もちろんそういうことも必要でございましようが、それよりももつと根本な問題がありはせぬかと思つておりますが、どう考えますか。
  36. 堀正侃

    堀説明員 お説の通りでありまして、現在発生予察事業をやりますために、昭和十六年からこの事業開始しておるのでありまして、本年度予算で大体三千八百万円の事業予算が計上されております。この事業開始されてからまだわずか十年でありますが、主要な病害虫に関しましては、たとえば螟虫のごときは数十年来の研究があるのであります。病害虫発生研究と申しますと、先ほどお話のありましたように、いろいろ気象状況あるいは生物関係等からの研究が最も重点を占めておる関係上、発生予察事業開始以後十年とは申しますが、すでに発生予察し得る相当多年の資料が集積されておるのであります。従つてこの事業開始当時ですら、すでに重要な病害虫につきましては、相当程度確実な発生予察のやれる資料ができておつたのでありますが、その後十年間、国で予算を計上いたしまして、都道府県農事試験場に三名の專門職員を配置し、その手足となる監察員を大体三百人程度全国に配置いたしまして、いろいろ資料を求め、それによつて過去の成績を集積いたしまして、だんだん確実な方向に向つております。従つて病害虫種類によりましては、相当的確な、あるいは相当見込みのある予察ができるような段階に至つております。もちろんこれは今後長年の間の資料を集積するこによつて、だんだん集成し、なお確実なものにして行かなければならぬと思うのであります。現段階におきましても、全部の病害虫とは申せませんが、主要なものにつきましては、相当確実な予察ができるという段階まで行つていると考えております。     〔委員長退席野原委員長代理着席
  37. 井上良二

    井上(良)委員 最近私ども農業共済の方の運営状況や、予算状況等を見ておりますと、台風その他の被害または病虫害被害が年々大きくなつておる。あなたの今御説明のように、十年この方專門家の方々が非常に努力されて、発生予察に力をい注いで来て、相当効果が上つておる、こういうふうに承つたのですが、しかし一方共済保険支拂いは恐しく大きい金額になつておるのです。いずれの農業会においても全部赤字が出て、その赤字をどう処理するかということが困つた問題になつておる。それとこれをつき合してみたときに、この事業がいかに大事な事業であるかということがわかるだけに、一層発生予察事業が完備しておらなければならぬということが言い得られると思うのです。そこでここ数年来、特にこの点についてこういう成績が上つて来たという具体的な資料をお持ちですか。
  38. 堀正侃

    堀説明員 最近の病虫害発生が、ここ三年来特に多いということはお説の通りでありますが、これは言うまでもなく、二十四年、五年と相当気象的に悪かつたということも一つ理由でございます。それと同時に、戦争中非常に少い肥料で、むしろ非常に欠乏した肥料で、農作物、特に稻、麦等の栽培をしておる関係上、病害虫、特に病気の発生が非常に少かつだということができると思うのです。終戦後だんだんと肥料事情がよくなつて来た関係もあり、また戦争中に非常に地方の弱つておるところに、急激に有効速効性肥料等がやられた関係もありまして、この数年間は特に病害虫が多くなつておるのじやないかという気もいたしておるのであります。一方また発生予察事業として相当成功しておるにかかわらず、防除態勢がこれに伴わないという欠点がございまして、せつかく資料も持ちぐされになつておるという事情もあつたのじやないかと私は思つております。そういう関係が今度の防疫法改正案の出された一つ理由にもなつておるのじやないかと思つております。さて発生予察の具体的な資料でございますが、私今ここに数字的な資料を持ち合せておらないのでありますが、いろいろたくさんそういつた事例を持ち合せておりまして、現有整理されておりますので、もし御要求がございますれば提出することができると思います。
  39. 井上良二

    井上(良)委員 提案者が来ましたから、もう一度さつきの点について伺つておきたい。附則に、この法律施行に要する費用で、国の負担にかかるものが計上された予算が成立した後でなければこの法律施行はできないとなつております。この点について今事務当局伺つたのですが、この法律にも関係する予算政府の手元にある、だからこの法律を成立さしても、この法律施行にはさしつかえがない、こういう答弁のように伺つたのです。しからば一体附則は何ゆえにつけられたものであるか。
  40. 瀧井治三郎

    瀧井参議院議員 お答え申し上げます。大体予算といたしましては、すでに盛られております予算がきまつておりますので、それでは足りませんが、足らない分に対しましては、大蔵当局の方に大体の御了解を得まして、後刻いただく。いただいたときに、それと同時にそれに関連した事業をやつて行くというような方法で附則がついておるわけであります。
  41. 井上良二

    井上(良)委員 あなたは国会議員としてこんな不完全な法律を出していいとお考えですか。そういうような薄弱な予算的裏づけ理由に、国民に非常に大きな影響のある法案審議する立場にある議員として、そんな不完全な法律をつくつていいのですか。
  42. 瀧井治三郎

    瀧井参議院議員 完全な予算措置が講ぜられることが望ましいのでありますが、と言うて現状のままではとても現実があやぶまれますので、われわれ議員があらゆる角度から検討いたしまして、こういう案を提出したので、そう不完全な、無責任な法案とは信じておらないのであります。
  43. 井上良二

    井上(良)委員 この法案全体にうたわれている、今あなたが説明された点を実行するためには、今の政府予算では足りないのです。そういう予算裏づけのない法案議員提出するというような不見識な話はありませんよ。その点を私は聞いておるのです。
  44. 瀧井治三郎

    瀧井参議院議員 執行でき得ます部分は現在の予算範囲内においてやる。あとの不足分予算獲得と同時に施行するということになつておりますので、予算が得られれば自動的に仕事ができるというようになつておりますので、御指摘なさるほどそう不完全なものではないと信じております。
  45. 井上良二

    井上(良)委員 世の中には、芽が出ると称して芽の出ない種子を売つておる人があります。ところがこれと同じようなことがこの法律にあるのです。大蔵大臣日本予算をかつてに一人でどうするというわけには行かない。国会の承認を得なければ予算を使うわけには行かない。この法律施行に伴う予算が同時に国会提案されておつて、それによつてこの法律施行されるということならば、あなたの御主張も通るわけでしよう。ところがこの法律の一部が実行されても、一部は実行できないのです。そこが私は不完全だと言うのです。だから臨時議会に補正予算が出て、こういうことに関連する経費大蔵当局に要求し、それに伴う法律が必要となつたときに、初めてこの法律の趣意が実行され得るのですから、そういう面で法案審議し、成立させなければいけない重大な責任を持つている議員が、そういう片ちんばの法案を出すということは、常識上許されるかどうかということです。
  46. 池田宇右衞門

    ○池田参議院議員 私は提案者の一人として急速衆議院に参れというお話でありましたので、参つたのでありますが、井上さんの御指摘のようなことから言えば、その憂いは多分にあるのでありますが、病虫害などというものはどこに発生するか、またどういう結果になるかということをあらかじめ知ることのできないものが多く、薬剤、機具その他をできるだけ準備し、そういう場合に対応する設備をするというところに本法案と結びつけて意義があるのであります。御指摘のごとく予算裏づけがないからというのはその通りでございますが、しかしながら本法案が通過した後において補正予算、あるいは臨時国会等において予算の充実をはかつて完璧を期するというのも一つの行き方ではなかろうかと思います。国会の代表の皆さんとして、国会の権威を尊重する意味において、法案の通過を願つて大蔵当局をして十分に予算を分割せしむるという主張と申しますか、了解を得せしむるところにねらいがあるのでございまして、何とぞこの点を御了解いただきたいとこいねがう次第でございます。
  47. 井上良二

    井上(良)委員 私は別にその点をあまりしつこく言うのは、はなはだ本意ではございませんけれども、もし今のあなたのようなお考えで法律が今後つくられることになりますと、ゆゆしい問題であります。予算をとるために法律を先に通す、もしそういうことが許されるならば、これはえらいことになるのです。そういうことではなしに、実際緊急やむを得ず、この法律を改正しなければ本年の病虫害発生予防について非常に支障があるということなら、これは私も了解します。しかしながら今のあなたのような、法律を通しておけば、政府はどうしても裏づけ予算を練らなければならない、そのために予算裏づけ法案を通すのだということが許されるならば、これは今後に悪例を残します。そういうことは許されぬと思う。  それから次に伺いたいのは、この法案施行されまして、各都道府県防疫所をつくり、非常勤防除員を設けるということになつていますが、各県に政府協力を求めてつくろうとします防疫所の構成は、一体何人ぐらいで、その予算はどれくらいになつていますか。また全体の所要人員をお知らせ願いたい。
  48. 池田宇右衞門

    ○池田参議院議員 ただいまの御質問事務的にわたることでありますので、事務当局から答弁いたさせます。
  49. 堀正侃

    堀説明員 農林省の動植物防疫所というのは、現在の動植物検疫所を、名は体を表わすというふうに名前だけをかえて行こうというように考えております。それから府県段階におきます防疫所と申しますのは、大体理想的に申しますれば、一郡に一箇所ぐらいあればいいかと思うのでありますが、これは都道府県が設置をされた場合に、国で補助をするというかつこうにつております。  それから最後の防除員でありますが、これは大体市町村に一名ぐらいの防除員があればよいのではないかと考えております。
  50. 井上良二

    井上(良)委員 県段階でつくります防除所は、各郡に一箇所くらいつくるのがいいということですが、その場合その人員は一箇所にどのくらい見ておりますか。
  51. 堀正侃

    堀説明員 これは現在の病害虫発生予察事業における監察員が、約二百六十七名であつたかと思いますが、大体それくらいございます。これをさらに拡充いたしまして、大体一郡に一名、全国で六百名くらいは置いたらいいのではないか。そうして防除所の仕事は、発生予察事業だけでは十分ではないのでありまして、これに伴つて、一名ないし二名ぐらいの、実際に防除事務に当る者をつけて行けばいい、こういうふうに考えております。     〔野原委員長代理退席委員長着席〕
  52. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると全体では幾らになりますか。
  53. 堀正侃

    堀説明員 防除所には各単位に二名ないし三名というふうに考えております。従つて全体で千二百ないし千八百というふうに考えております。
  54. 井上良二

    井上(良)委員 全国に市町村が一万何ぼありますね。この防除員とその防除所における一名、二名を加えてそんなもので足りますか。
  55. 堀正侃

    堀説明員 防除員は市町村に一名くらいであります。一万何千名ということになりますか、それにプラスの防除所の職員ということになります。
  56. 井上良二

    井上(良)委員 わかりました。次に薬剤を備えつけておくというのですが、これは年間保有いたしますか。その時期々々に必要な分量を一月前なり二月前に備蓄しようというのでありますか。その薬剤の種類及び備蓄しようという薬剤の数量、金額、こういうものがわかつておつたら知らしてください。
  57. 堀正侃

    堀説明員 備蓄という言葉がいいか悪いかは別問題といたしまして、異常発生に備える農薬は、一年間を通じての必要量を考えています。そうしてこの種類は、大体先ほど指定病害虫種類を申し上げましたが、従つて備蓄する農薬種類がきまつて来るわけであります。病害に対しましては硫酸銅あるいは石灰硫黄合剤を、それから害虫に対しましてはBHC剤を主体として備蓄をしたいと思つております。その数量は、面積の方で申し上げますと、大体国で備蓄する量は、稻の病害用に硫酸銅五万町歩分、それからBHCを五万町歩分、麦の病害防除用には石灰硫黄合剤を三万町歩分、こういうふうに考えております。その備蓄に要する予算額は、金額はまだこまかい計算はいたしておりませんが、大体二億見当になるかと、私、推定いたしております。
  58. 井上良二

    井上(良)委員 先般たしか病虫害防除のために農薬肥料公団に備蓄するという処置がとられたのでありますが、公団が解散になりまして、もう備蓄行為というのは今どこもやつていないことになつておりますか。
  59. 堀正侃

    堀説明員 今どこでも備蓄されておりません。
  60. 井上良二

    井上(良)委員 次に防疫所の組織の問題でありますが、大体今政府が持つております全国六箇所の検疫所を防疫所に直して活用しようという、さしあたりの案のようですが、ここでおかしいのは、北海道がない、四国が抜けておる。それから中国にない。政府防疫所には、薬剤とか機械類を用意しておいて、いざというときは動員する、こういうように承つたのですが、そうしますと、東北一円を福島で持つ。北海道は一体どうするのですか。四国はどうするのですか。これを伺いたい。
  61. 堀正侃

    堀説明員 現在農林省動植物検疫所は、本所が三箇所と出張所が十七箇所ございます。できるだけ現在の本所及び出張所を利用することが非常にいいのではないかというふうに考えておりますが、本来動植物検疫所は、御承知のように、従来の仕事は主として開港における輸出入植物の検査であつた関係上、必ずしも適当な場所にあるとは限らないと思います。今御説の北海道は、現在函館、小樽に出張所がございますのでとりあえずそれを利用する方法もございますが、北海道は、小樽等がこれの運営上はなはだ不都合ということであるならば、また今後もし予算措置でも講ずることができますれば、どこか適当な場所にまた出張所を置くという処置を講じなければならぬと思います。東北地方に現在やはり検疫所の本所も出張所もないのですが、これは早急に何とか解決をしなければならぬ問題であるというふうに考えております。四国の分は、とりあえずは広島あるいは神戸に動植物検疫所がございますので、それを利用して行きまして、四国の問題も東北と同じように、近い将来に解決して行かなければならぬ問題だと考えております。
  62. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると、この資料として出ておりまするものの中に、国有動力防除機具配置場所及び配置台数というのがありますが、こんな場所に置いておいて、さあというときに間に合いますか。これを今あなたの御説明の各出張所に置くといいましても大体場所からしてかえて行かなければ——これは今お話の通り、輸出入の動植物についての検疫所として持つておるのであつて日本の農村の病虫害防除施設としての役割は、非常に片寄つてしまうわけですね。どちらの仕事が多いかということになれば、この改正案仕事の方が、今後は非常に大きな量になつて行く。そういう場合に、こんな辺鄙な所にこんな重要な機具や薬剤を置いておいて、さあというて間に合いませんよ。事実上、一晩のうちに田はまつ赤になつてしまいます。そういう場合に、こんなことではまつたく役に立たぬと思うのですが、どうお考えですか。
  63. 堀正侃

    堀説明員 動植物検疫所の位置は、そのあとの資料の十一にございますが、現在は持つておる動力機具がまだ少い関係上、とりあえずの施設を利用したのであります。しかし大体におきまして、門司におりまして九州地方に、大阪及び神戸におりまして中国あるいは四国に、それから敦賀で裏日本に、横浜で関東、福島で東北というように大体のブロックを考えて貯蔵をしておるわけであります。病虫害発生は、御承知の通りに一晩、二晩で葉がまつ赤に枯れてしまうというような非常に突発的な発生をするのは事実でありますが、しかし私どものねらつておりますのは、この改正案にございますように、発生予察指導を強化することによりまして、相当早期に、つまり一つの病斑が出ておりましても、これは今後進展するものであるかどうかというふうな判定をいたしまして、今後大いに進展をして、経済的に大きな損害を生ずるものであるということを相当早期に判定し得るというふうに考えております。従つて電報一本で措置をするというような方法をとれば、相当間に合うのではないか、そしてまた防除期間にいたしましても、大体病虫害を通じて早期手当を考えますと、十日あるいはときによると半月くらい防除期間がいるというふうになつておりますので、現在のこの場所が最適の場所とは申し上げかねますが、大体において現在の台数くらいならば、このくらいなところに置いておいてよいのではないかと考えております。実際一日、二日で葉が枯れるというのは、従来発生予察等の仕事が十分完備せられていなかつたために、農家の発見が非常に遅れておるために、一見現象的にそういうふうに見られたという関係もありますが、しかし発生予察法が強化され、そしてその指導が十分育つて来ると、その活用によりまして動力防除機具、あるいは備蓄農薬等も相当有効に使用ができるのではないか、こういうふうに考えております。
  64. 井上良二

    井上(良)委員 私は、非常に時を急ぎます防除対策の発動については、政府がこういう機関を別に持とうとするところに大きな欠陥があると見ておる。すでにわが国には、農業共済機関も各県市町村に全部完成された組織を持つております。また農業改良普及の事業相当活発に行える組織を持つております。そういうものと何ら関連させずに、おれの方はおれの方だというようなやり方でこういう組織を持つところに、はなはだ官僚的な不活発な原因があると考えます、何ゆえに一体農業改良普及員やあるいは共済組合等と共同の上にこの事業を運営することを政府は考えられないか、そういうものをやらせてはぐあいが悪いと考えますか。
  65. 堀正侃

    堀説明員 お説の通りでありまして、病害虫防除につきましては、今おつしやつたよないろいろの機関をフルに活用し、協力を求めなければならぬと思います。従つて防除員のごときも、平生の病害虫防除等につきましては、普及員の方々、あるいは市町村の技術員の方々、あるいはその他団体の技術関係の方々のいろいろの御協力を得なければならぬのでありますが、非常な異常発生というような場合に、専心その防除に当りまして、二十日間なり二十五日間、県と連絡し、あるいは防除課と連絡して、資材確保等に専心——ほとんど他の仕事を投げ打つて従事するような職員が必ず必要になつて来るのではないかというふうな気がするのであります。それと一緒に、また防除員というふうなものが発生予察の最末端機関として、いわゆる情報員的な役割をするという意味におきましても重要であると思つております。そういう意味合いをもちましてほかにいろいろの仕事を持つている普及員、その他市町村における技術員の方の御協力、あるいは積極的な御努力を願わなければならぬのでありますが、専心これにある期間従事する人として防除員というものを考えておるのであります。国で備蓄農薬につきまして、あるいは動力防除機具につきましては、たとえて申しますと、異常発生の場合に、うんか発生が、平生では十万町歩ないし十五万町歩出たといたしましても、異常発生の場合は六十万町歩、七十万町歩というふうに、例年の数倍に上る大きな発生を見るのであります。しかしその発生は、一応数字的にはそういうふうになつておりますが、必ずしも四国へ出るか、あるいは九州の方へ出るか、あるいは中国に出るかわからぬのでありまして、その最大発生量に備えて、各農家あるいは農家の団体が、病害虫異常発生に対して十分な農薬の量を準備しておくことはとうていできないのであり、またできたにしても非効率的であると考えるのであります。従つて国がある一定量を押えておりまして、その発生状況に応じ、ある地方に重点的に、機動的に使用することが病害虫防除上非常に効率的な薬剤の使用であり、能率的な防除方法であると考えます。また農薬生産の面から考えましても、いつはたして需要があるかどうかというようなことのわからぬものに対しまして、見込み生産をするというふうな点も非常に困難であります。国がある一定量を確保しておくことが、こういう点からも非常によいのではないか、こういうような考え方をして、国の持つておる動力防除機具あるいは備蓄農薬をもつてのみ、病虫害防除が全部完全に行き渡るとは考えておらないのでありまして、共済団体等の非常な活動を願わなければならぬのでありますが、それはいわば病害虫防除における小さな網の目として十分な活動を願う、その上に大きな網の目の対象として国のこういつたものを考えて行くことが、非常に合理的で能率的な資材の使用ができるのではないかと考えております。
  66. 井上良二

    井上(良)委員 あなたの御説明の後半は、私は同感であります。つまり薬剤の実際使用でありますとか、発生予察の技術的な指導でありますとか、そういう面については専門的な技術員を持つておることが必要であります。これは各県に一名ないし二名も指導員としておればよろしい、末端組織は土地改良普及員なり、あるいは農業改良技術員をお願いすればよいことで、御存じの通りあなた方の特にめがけておりますのは、大体米、麦、ばれいしよ、さつまいも等の主要食糧であります。これは、年間収穫するのは一期、二期になつておる、年百年中病虫害発生しておるものじやない。しかし一方はやはり年百年中その仕事に専念するということになります。そこで私のここであなた方にお願いいたしたいのは、われわれは一方農業改良普及員というものを、国の経費を出して持つている。その農業改良普及員が、一番大切な主要食糧の病虫害発生に対して責任をもつて仕事をせぬというのでは、農業改良普及員じやありませんよ。その者にやらせたらいい、別にそこで人を県に雇わしておく理由は何もない、そんな経費負担は私どもできませんよ。農業改良普及員というものはそれでおる、技術員はそれでおるので、それにやらしたらいい。それに別におれの方はおれの方の役人を置いておかなければならぬというような考え方はない。農業改良技術員の方へも、あるいは農業委員会の方へも、あるいは共済会の方へもわれわれは国の経費をもつてそれぞれ補助金を出しておる。そこでまたこれを置くとまた余分の補助金を出さなければならぬ。そんな負担はたえられませんよ。そこは改めてもらわなければなりません。どう思いますか。
  67. 堀正侃

    堀説明員 市町村の防除員というのは、法律にも規定いたしておりますように、非常勤の職員になつております。従つて平素の病害虫発生に対する対策あるいは技術のいろいろの指導等につきましては、もちろんお説の通り普及員に非常な努力を願わなければならぬし、またその他の技術員にも非常な協力を願わなければならぬのであります。特にいもち病とか、うんかとかいうものが非常に発生したときに、二十日間なり二十五日間なり専心それに打込んで、資材その他のおぜん立てをするのです。普及員は、技術上の指導されるのでありますが、いろいろほかに義務もあり、普及員の性質上資材のおぜん立てというようなところまで行かないことになつております関係上、そういうような非常勤の職員を置いて、非常時の資材のおぜん立てをする、そういう点を重く考えている次第であります。
  68. 井上良二

    井上(良)委員 それなら農業共済組合の職員を使えばよいのであつて、何も別にそんな人を置く必要はない。資材の準備をしたり、それをどこへ持つて行く、ここへ持つて行くというような配置とか、輸送とか、そういうめんどうを見る人ならば、各県に農業共済組合があり、各村にそれぞれ共済組合ができておりますから、それを活用すればよい。そこへ持つてつて、今の農業改良技術員に、そのときこそほんとうに手伝つてもらつてやればよいのであつて、特別にあなたの方が各県にそういうものをつくらせて、二分の一の補助金をやるというえさで屋上屋を重ねるようなこんなことをせなくてもよいじやないか、私はそう思います。
  69. 堀正侃

    堀説明員 共済団体の職員にも、もちろん病害虫駆除に当る人もあるわけでありますが、今申し上げましたように、特殊な異常発生時には、それらの人々は、その他いろいろな職務を持つております関係上、専心注薬に当るというようなことにおきましては、ある程度不足があるというような考えをいたしております。なお先ほどもちよつと申し上げましたが、この防除員は、発生予察防除員という一つ仕事を担当したいというように考えております関係上、ちよつと共済組合の職員では十分に活用できない点があるのではないかというふうに考えます。なお市町村段階における病害虫種類は多いのでありますが、その重要なものとなりますと、大体数種類に限られている。そのものにつきましては、少くともそれに関する限りは、専門的にこれをマスターした人もおつて病虫害の対策の完璧を期する上において非常に重要ではないかというようなことも加味いたしまして、こういうものの設置をいたしておるわけであります。
  70. 千賀康治

    千賀委員長 遠藤委員
  71. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま井上委員から非常に建設的な御意見が出ておつたわけでありますが、私は本案につきまして、二、三の点を御質問申し上げたいのであります。  去る第七国会におきまして、本案については当農林委員会で決議をしております。今日食糧増産の残された重要な部門としては、病害虫の駆除、予防の問題が一番大きな問題だ、すみやかに政府は、病害虫の駆除、予防の態勢を整備して、法案提出その他のことを考えなければならぬということが、本委員会の決議になつているわけであります。この法律案は、その決議の趣旨に基いてできているようでありまして、私どもこの案に対しては非常に敬意を表するわけでありますけれども、ただ一、二の点についてお尋ねしたいのであります。予算の問題であります。予算の問題については、ただいまの提案者の御説明によりますと、大体五億数千万円の予算がとれておつて、なお追加の部分は、来るべき国会においてこの法案を完備する、内容を充実するのだというお話であります。私ども計算をしてみますと、四百万石程度の病害虫損害を防止するために二十億程度の金がいるのではないかということを計算したのであります。伺いますと、予算は非常に少く予定しているようでありますけれども、その程度で足りるかどうか。来るべき臨時国会においては徹底的な予算とつたらどうか、その点についての見通しをお伺いしたいのであります。
  72. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 植物防疫法につきましての態勢を整備するということにつきましては、農政局といたしましても極力努力いたしております。さきの国会で五億何千万円の予算がとられました内容は、御承知のように、国で動力噴霧器等町の機具を置くこと、府県に若干の人件費の補助を出すこと、それから府県に機具及び農薬補助を出すという点だけであります。この法案に盛られております内容は、そのことも含んでおりますけれども、さらに国それ自体が機具農薬を置く、あるいはただいま井上委員からいろいろ御質問がありました、末端における非常勤防除員を置く点等が欠けているわけでございます。農林省といたしましては、この法案通りました上は、これをできるだけ早く整備いたしたい、財政当局その他の関係等もございますので、まず順次整備して行きたい、さしづめ必要な農薬備蓄であるとか、あるいは末端の防除員の整備とか、あるいは現在国が相当機具を買つたり、府県に補助を出しておるが、こういうものが故障した場合の修繕等を重点的に考えまして、まずそういう方面の補正予算の要求をいたしたいと考えております。
  73. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 この法律案施行いたしまして、実際に病害虫の駆除、予防の仕事を全国にわたつて組織的にやることになつて参りますと、ただいま井上委員からの質問にもありましたが、相当専門的な人が必要だと思うのであります。発生予察事業は、ほんとうの技術者でなければわからないと思うのであります。事前にそれを予察して大事に至らない前に手を打つて行くことが、この法律のねらいだと思いますが、そういう技術者かたくさんおられるかどうか、そういう適当な人が十分あるかどうか。ないとすれば、そういう者をだんだん養成しなければならぬと思うのでありますけれども、この点についての御意見を伺つておきたいのであります。
  74. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 発生予察そのものは技術的でございますが、研究が進みますと同時に、人間の訓練もできて参ると思つております。現有全然ないではありませんで、若干の人間なり専門家もございます。しかし理想とするような人たちを一ぺんに置くことはもちろんできませんので、今後こういう方面の技術なり、訓練ができて参るに応じて、整備をいたしたいと考えております。
  75. 千賀康治

    千賀委員長 原田委員
  76. 原田雪松

    ○原田委員 本案は、ただいま参議院の方で御審議中と思つております。予備審査と存じますけれども、時間の都合等であるいは話を許されないかもしれません。この際私は、これに対して根本的な改正をしていただきたいのでありますが、この法案自体が実に重要な問題であるのにかんがみ、あながち反対をしないで修正意見の希望を申しておきたい、さように考えておるのであります。大体昨年の四月に植物防疫法というものができたのでありますが、あらためてこの植物検疫所を農林省防疫所と改めねばならぬ理由はどこにあるか。
  77. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 これは政府提案でございませんので、動植物検疫所というのを農林省防疫所に直されました理由等につきましては、提案者からお聞き願いたいと思いますが、従来、堀課長が申し上げましたように、動植物検疫所という考え方は、この法案改正案に盛られましたよりは狭いのであります。動植物検疫所というものを国内一般植物防疫の方に大いに拡充いたしたい、こういう思想から、従来の狭い、国内の若干の植物検疫であるという思想を、広く国内植物防疫所にしようというので、農林省防疫所にかえた方が適当でないか、こういうふうに考えます。
  78. 原田雪松

    ○原田委員 過渡期に統制機構を整備しなければならぬことはもちろん必要であります。今日のように、いろいろな施策が平常化して参ります場合には、こういうことによつて農林省防疫所ということは、私は当を得てないと思う。しかも御承知の通り、過般家畜伝染病予防法を通していただいております。その中には最も重要な輸入検疫ということをうたつております。しかも神戸、横浜、門司等に検疫所を設けまして、それによつて獣疫の侵入を防ぎ、またそれに付随した各種の皮革類その他の物資も厳格な検査を行うことになつておる。こういうことをやつておるこの際、動植物検疫所というものを何ゆえに農林省防疫所ということに改正する必要があるか、私は絶対にかえる必要はないと考えております。しかしながらこの問題を大きく取上げて修正の動議を出しますと、あるいはこのままほうむり去られるかもしれぬというので、私はこれについてはある程度の希望を付せなければならない、さように考えるのであります。そういう意味からいたしましても、少くもこの際動植物検疫所農林省防疫所にかえることをやめて、こう際はやはり元のまま残してもらうことが一つと、もう一つは根本的の改正は、この十三条に動物検疫所を加える、私はここに案を持つております。この案はさしあたりこれの修正になりますので、この後九月に農林省設置法によつてこれを裏づけしてもらうことによつて了承したいと思いますが、結局こういう煩わしいものを一緒にしておきますと、少くもそこに職域の摩擦を生ずることは事実であります。ややもすると畜産局に属するものを農政局がとつて、その間に摩擦を起す原因になるようなものをつくる、こういうことは非常によろしくないけれども、今日これを通さなければならぬということであれば、私今ここに五つばかり希望を申し上げたいと思う。第二十七条の二に、動物検疫所は左に掲げる事項を行う機関とする。一、輸出入動物その他の貨物に対する検疫及び取締り。二、国内産畜産物その他の物に対する消毒を厳重にやる。三、家畜伝染病防疫上必要な検査、注射、薬浴及び投薬の実施を行う。四、家畜伝染病予防上必要な動物用生物学的製剤及び予防用機具の保管。五、動物の輸出入検疫に必要なる調査事項をやる、こういうことを加えていただきたいと思うのであります。  なお重ねて申し上げたいことは、農林大臣が動物検疫所の事務の一部を分掌せしめるようにしてもらうことである。その所要の地に支所、出張所を設けることができるようになつておりますので、この出張所もやはり伝染病予防法の検疫規定に基いてこれをやるようにしていただきたい、これが重要な問題だと思うのであります。  なお動物検疫所の内部組織並びに支所及び出張所の名称、位置所管事務及び内部組織については農林省令でこれを定めることにしていただきたい。  こういうことが私の考えておる重要なる問題だと考えるのであります。そういう意味からしますと、この問題のごときは小さい問題のようでありますけれども農林省設置法によつてこの分野を明らかにする必要が確かにあると私は思います。ややもすると、畜産局部内の者がほかの方に引きずられ、両方にまたがつてどつちもうまく運営ができないというような面が事実現われておることを、私たちは体験いたしております。この際農政局にお尋ねいたしますが、この問題につきましては、畜産局と会議をなすつたらどうか、一応この点を確かめておきます。
  79. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 動植物検疫所は現在農政局所管ございます。われわれといたしまして動物検疫、植物検疫は若干性格の違うものであると存じております。従いましてその機能がだんだんかわつて参りました場合におきまして、農林省設置法等におきまして、動物と植物の所管をかえるということも今研究をいたしております。この次の設置法改正等にからみまして、われわれとしましては、動植物検疫所の分離等につきましてはさらに考えたい、こういうように考えます。
  80. 原田雪松

    ○原田委員 所管が自分の方だからやるのだというような御意見、これはどうもけしからぬと思う。何ゆえならば、植物の検疫事務というものと、家畜の輸出入に対するところの検疫事務とどつちが大きい、これは重大な問題なのです。見解の相違かもしれませんが、もし鳥獣疫の検疫に欠陥があつて、たとえばリンダペストすなわち牛疫というものが日本に入つて来れば、とんでもない被害をこうむる。そういう恐るしいものが控えておるにかかわらず、何ゆえに畜産局に会議をしないのか、これは私は失敗だと思いますが、どう思いますか。
  81. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 この法案政府提案でないのでございますが、この法案提案いたされるにつきましては、私おもとしましては、畜産局に実は交渉をいたしておるわけであります。そしてこれが通りました場合において、かりに農林省防疫所となりましても、ただいまのところは農政局所管でございますが、動物等の検疫がただいまお話のように重要であるし、非常に大事なものであるし、また非常に大きな行政的なものを持つておるということは私どもよく存じておりますので、農林省設置法等の改正につきましては、畜産局と十分内々の打合せをしておりますので、御意見の通りの改正をいたすべく努力しようと思います。
  82. 原田雪松

    ○原田委員 説明はまことにけつこうでありますが、事実の問題としてどうも不安定なことがあるのです。たとえて申しますと、一昨々日の家畜保険共済の問題でも会議をしてない。これも重要な獣疫の検疫の問題があるのに、相談もしていない。それはルーズと言えばルーズでいいかもしれませんが、おそらく国の政治をとる面と、また監督指導をして行くところの農政局なり畜産局なりの会議がないということは、国民が非常に不安定な感じを持つ。もちろん議員提出であるからぼくらは知らないと言えばそれだけであるが、議員提出でおつても、いろいろなことを会議をし、献策をして、初めて議員立法として成り立つておる。それを何ゆえにこれに動物を入れることに対して会議をしなかつたか。これは一つの失敗だと思うのですが、これも失敗でないとおつしやるかどうか。私はこれは大きな失敗だと考えておる。こういことがあるならば、すべてのものに影響があると思う。だからこういうことはぜひ会議をしてもらつて、その点はよく協調を保つておやり願うように私は希望を申し上げます。もう答弁はいりません。ぜひそういうふうにやつてもらいたい。
  83. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 一点だけお伺いします。緊急農薬の貯蔵の方法ですが、これは今後どういうふうな方法でおやりになりますか。従来の緊急農薬の貯蔵、金融関係、これは御存じのように非常に失敗して、いたずらなる経費を使つております。いたずらなる資本家の擁護になつております。今後これは当然改められると思いますが、どういう構想のもとにおやりになるか、それを伺いたい。
  84. 堀正侃

    堀説明員 備蓄に対するいろいろの計画とか、あるいはその使用の計画等は国で立てることになるのでありますが、備蓄する仕事そのものは、適当な団体に委託してやりたいと思つております。農薬の購入等につきましては、十分に価格の点等を考慮いたしまして、そのため農薬の価格をつり上げるよりなことのないようにしたいと思います。また購入時期等につきましても十分考慮いたしまして、農薬の需要の非常に多いときに購入することによつて、価格をつり上げるというふうなことのないように努力して行きたい、こういうふうに考えております。
  85. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 国が経費の一部を負担するのに、団体にまかせつ放しということはないはずである。国の方針として、いかなる場所にどういう方法で貯蔵するか、その間の金融面を国はどうしてやるかということについて、御構想がないはずはない。これについて、団体にいかなる範囲においておまかせをなさるか、これを伺いたい。
  86. 堀正侃

    堀説明員 先ほども申し上汁ましたように、備蓄の計画、つまりいつ購入して、どういうような種類農薬を買つて、これをどこに貯蔵して、どういうような場合に使用するかというようなことは、これはすべて国で企画いたしたいというふうに考えております。ただいろいろの農薬の流通の操作を実際にします場合におきましては、団体等に委託した方が円滑に行くのではないかと考えておりますので、すべての企画は国で行いますが、突然の扱い等は団体に委託したいと考えております。
  87. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それでは時間がありませんから私から具体的に申し上げますが、今まで政府がやられたことは、緊急農薬と称して大量のものをメーカーから買いとつて、これを全国数箇所へ貯蔵された。ところがそれが非常に余つて、二年も三年も置いて使えなくなつ農薬を二足三文で製造会社に売りもとしている。この間における国の負担というものは莫大なものであるか、今後とも、今までのようにメーカーから買いとつて、営業倉庫に入れて、そうして従来と同じような方法でやられるかどうか。こういうむだなことは断じて承知できません。従来の経過から見て、今後どういうようにしてやるか、それを聞きたい。もしあなたに案がなければ私が教えてあげる。     〔「答弁できるはずがないじやないか、休憩しろ」と呼ぶ者あり〕
  88. 千賀康治

    千賀委員長 暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時五十六分開議
  89. 千賀康治

    千賀委員長 午前に引続き会議を開きます。  植物防疫法の一部を改正する法律案に対する質疑を行います——その前に河野君に対する答弁から始めます。東畑農政局長
  90. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 午前の河野さんの御質問に対しお終えいたします。肥料配給公団がかつて農薬備蓄いたしておりましたときに、農薬の価格が下落したり、また保管等が適当でなかつた等のことは、午前中申された通りでございまして、はなはだ遺憾であつたのでありますが、この法案通りました場合においてやはり国が備蓄いたすことに相なつております。その場合にわれわれといたしましては、国が備蓄いたす場合における購入費等は、当然予算に計上しなければなりませんが、あと金利、保管料その他の取扱い等に関しても、民間に委託する場合は、そういう予算をもつて委託することになろうかと考えます。民間に委託する場合にも、ただ委託しつぱなしにするということでなくて、いろいろ防除計画等に基いて防除、保管その他について十分なる監督を国で行いまして、かつて肥料配給公団がやつておりましたような保管方法にならないように、十分に注意をしてやりたいと考えております。     〔委員長退席野原委員長代理着席
  91. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうしますと、相かわらずやはり国が一定の計画に基いて一定量の緊急農薬を買い取る、そうして国が指定するところの営業倉庫に貯蔵保管する、この御方針は従来とかわりはないのでございますか。
  92. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 営業倉庫に保管いたしますか、あるいは農業倉庫にしますか、実はまだはつきり申し上げにくいのでありますが、大きな方向としては、そういうようなことになろうかと存じます
  93. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 営業倉庫であろうが、協同組合の倉庫であろうが、そういう問題ではないのであります。私の申し上げるのは、かつてやりました肥料公団の問題にいたしましても、その他の場合にいたしましても、かつておやりになりましたことが、結果においてどのくらいのむだな経費を使つたか、どのくらいの農薬をむだにしたか、どのくらいいたずらなる金利を拂つたか、これにお気づきになるはずだと思います。これに気ついておられるならば、別の方途によつて今後の農薬の買取り貯蔵をやらなければならない。その別の方途を今お考えになつておるかどうかを伺いたいと思います。
  94. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 被害がどの程度に起りますか、これは将来の見通しでなかなかむずかしいと思います。肥料公団当時は無計画に多くの量を買取らせましたために、相当これが需要期においても不需要になつたということが一つございます。それから農薬が非常に不足しておる事態から、輸入その他によりまして急速に値が暴落いたしましたために、値下り損が相当あつた。その他保管等におきまして、消耗その他適当ならざる分があつた。従いましてて、今後この法案通りました上に実行する場合におきましては、適当な量というものを、相当長期間観察をして委託をいたすことになつており、同時に保管場所等につきましては、従来の経験等も考えまして、十分愼重に研究をいたしたいと思いますが、河野委員から、何かいい御意見でもございましたら、この際お教えを願いたいと思います。
  95. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 お尋ねでありますから、私の方から私の考えておる案を申し上げます。今までの貯蔵方法は、今農政局長が御答弁のように、いたずらなる金利を拂い、倉庫料を拂い、また市価の変動による価格の損害政府が負但しておつた。私が考えますのに、製造会社の倉庫にあるものを在庫の形のまま仮契約で、金融措置によつて押えたらいいのではないか。ある一定量の農薬につきまして、その当時の価格に相当する金融をその製造会社にいたしまして、その製造会社にその一定量をそのまま保管を命ずる、必要な時期があつたならば、いよいよ正式の買取り契約をやつて、その買取り当時の価格によつて契約価格を決定し、そうして政府が買い取り、ただちにこれを緊急必要な場所に配付するということにしたらいいのではないか。いつ病虫害が起るか、どこにそういう場所が起るかわからないものを、初めからあまりかたく考えて、製造会社から買い取る、しかも値段をきめてしまう、そうして倉庫に入れてしまう、そういうことはむだであります。またそういうことをすることによりまして——かつて買いましたような大量なものは買わないにいたしましても、緊急の場合に備える農薬でありますから、相当量のものを買つておかなければならぬ。相当量のものを買うということは、何と申しましても農薬の市価に影響が起ります。でありますから、仮契約と申しますか、覚書の交換と申しますか、そういうことによりまして、農薬の製造会社と政府の間に一つの約束事によりましての金融措置で十分間に合う、それ以外のことは政府のいたずらなる負担を重くするという以外の何ものでもない、私はかように思いますが、かようなことにつきまして、今度は逆に農政局長の御見解を承りたいと思います。
  96. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農薬そのものの所有権を農薬会社に置いて、あとは金融措置で考える、仮契約で政府との間に契約して行くという方がよりいいのではないか、こういう御意見のように思いますが、われわれの今までの考え方は、やはり所有権を国の財政機関で買い上げて、保管その他適当に処置した方がよりいいのではないかという考えをもちましていたしたのであります。この法案通りますと、国が農薬をいつでも整備して行かなければならぬという規定になつております。この整備のやり方としての具体的な方法論などにつきましては、さらに十分検討を進めてみたいと思います。
  97. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私はひとつ参考に申し上げます。たまたま私は肥料のことをよく知つておるのですが、かつて肥料公団がなくなつたときに、大蔵省が肥料の在庫買いをやられた。これは政府がやられた。農政局長も御存じだと思う。その当時の肥料のうち、政府が買おうと思う数最を肥料の製造会社の工場のあり姿のままで買つて、それに金を拂つた。そうしてその工場にある肥料が、一定量のものが常に新陳代謝しておつた。古くなつて来ますとどんどんその製造会社の責任において販売する。販売したものについてはまた新しいもので埋める。こういうことによつて、大蔵省は肥料の在庫買いをやつた。農薬におきましては、肥料と違いまして特に年月がたちますと、成分に変化のある農薬があります。ですから農薬におきましても、かつて大蔵省がやつたと同じように在庫買いをいたしまして、左庫買いの数量の範囲内において、その製造会社の責任において常にその新陳代謝をやらせるというようにやれはこれは常に新しい農薬政府の名において保管できる、金利もあまりいらない、倉敷はもちろんいらない、かようなことを考えるのでありますが、私はここですぐに同意してもらいたいとは申しませんが、御参考に申し上げます。今後の農薬の買取り、貯蔵につきましては、過去の失敗の経験に徴しまして、十分慎重にやつていただくことを強く希望いたしまして、私の質問を終ります。
  98. 吉川久衛

    ○吉川委員 ただいまのことに関連して伺つておきたいことがございます。農薬の管理とかあるいは防除用機具の管理等について、少しはつきりしない点があるのです。どういうように今までやつて来られ、今後もやつて行こうというのか、その辺を少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  99. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 防除用機具は、動力噴霧機、動力撒粉機の二種類ございますが、ただいま政府で大体千百五十五台というものを持つております。その政府所有のものを現在は、午前中課長から御説明申し上げましたように、動植物検疫所が三箇所ございまして、その三箇所で責任を持つて保管をして、あとは貸興する、こういう形でやつております。ただ修繕につきましては、現在政府予算でございませんので、これを使つた場合の修繕費その他は、借り受けた方から負担していただくというような形で保管をいたしております。  それから二十五年、二十六年の二箇年に買上げ貯蔵をいたしております農薬そのものにつきましては、現在国が備備するという制度はございません。二分の一の補助をやりまして府県で農薬を購入するという予算はあつたのでありますが、この法案通りました場合に、国で備蓄することになるのであります。この備蓄のやり方等につきましては、ただいま河野さんがお話になりましたように、今後相当研究を進めて適正な保管をやりたいと考えております。
  100. 吉川久衛

    ○吉川委員 防除用機具は、御案内の通り薬品を扱う関係で、非常に損傷しやすい。どうも公徳心が欠除している関係か、公の機械やあるいはその他の管理、貸與を委託されているところの機関のこういうものに対する管理のやり方が、はなはだ不十分な点があつて、そのために非常に不経済な管理が行われておるのを、私どもよく見て来ているのですが、こういう点について、今後十分御配慮を願いたいと思うのです。  それから農薬備蓄の問題でございますが、河野委員のお話にもあつたのですけれども農薬の製造工場というものが、今日の状態では非常に小さいものがたくさんございます。そうしてその倉庫等の設備が十分でないために、河野委員のおつしやつたような、肥料の管理システムでは行かない面が相当あることを私は見て参つておるのであります。そういうことで、これはやはり農業協同組合あたりの倉庫を利用なさるというようなこともお考えになつていただいてよろしいのではないかと思います。こういうことはひとつ御検討を願いたいと思うのであります。  それから、もちろん金融問題は、これは小さな工場であるだけに非常に差迫つた問題でありますから、これも河野委員の言われた通りに、格段の御配慮あつてしかるべきだと思います。ただ私の一番憂慮している問題は、この農薬備蓄の問題は、机の上では幾らでも考えられるのでありますけれども、実際問題といたしまして、備蓄するだけの農薬が適期に製造できるかということなのであります。この農薬の原料、たとえば硫黄合剤なんかにつきましても、硫黄等の入手についての今日までの農林省の無力は、農林省御自身が十分お認めになつておられることたと思います。繊維工業が盛んになりましてから、この硫黄等がその方面に前渡金で押えられて、農林省あたりでいくら御心配していただいてもどうにもならないというのが、今日までの状況であつたのであります。そこで適期に適量の農薬の供給がなくて、いろいろの支障を来して来ておりますので、おそらくこの法律ではどうすることもできないかもしれませんけれども、こういう点に行政的な面で何らかの手を打つていただいて、適期に適量の農薬確保できるような努力、配慮が佛われなければならないと思います。こういう点について、ただいまのところではほとんどお見通しがないのではないかと思いますが、何かありましたら承つておきたいと思います。
  101. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農薬会社等は、肥料会社等とは若干規模が小さくて、従いまして在庫する場合におきましても、倉庫等も困難である。あるいは金融をつけます場合でも、普通の商業的な金融で、はたして政府の希望いたします在庫だけの金融がつくかどうかにつきましても、さらにより具体的に研究をいたしまして、適当な保管、貯蔵の方法を考えたいと思います。また根本的に農薬の需要が季節的に片寄りますこと自体が、農薬の生産と需要との関係において非常にめんどうな問題かありますので、そこにやはり財政的な関與というものを考えませんと、これを金融だけで負担することは困難であるというように考えております。なおよく具体的に研究いたしたいと思います。  それから硫黄合剤、硫酸銅等の緊要物資等につきましては、まことにその確保が困難な事態になつております。現在統制等がございませんために、自由にこれを買うという以外に実は方法がないのでありますこの法案通りました場合において、政府が買う場合におきましても、やはり一般の市場からこれを買うといことでありますけれども農薬そのものが農業生産上重要な物資でありますために、これらの生産関係の会社その他と十分打合せまして、われわれといたしましては、行政的に御協力を願うという以外に、実はただいまのところ方法がないのではないかと思います。主として硫黄合剤あるいは銅製品等についての確保ということが、本年の今後に起る稻作等にからみまして、重要な問題になつて来るのではないかという心配を実はいたしております。
  102. 吉川久衛

    ○吉川委員 私は、こういう重要な農薬の原料資材の確保について、これは国会でも考えなければならないことでありますが、政府でも十分この点御研究を願いたいと思います。  それから午前中課長から御説明がありまして、この事業の完璧を期するために、農業改良員等の協力にまたなければならないということであつたのでありますが、その通りであると思います。そこで今度農業委員会法が通過をいたしました、その際に、一部改正に伴います予算不足分を次の臨時国会において補正するということについては、大蔵大臣とわれわれはお話ができたのであります。従つて大蔵大臣は、その予算の補正をすることは確約されておりますから、これは間違いないと思いますが、聞くところによれば、明年度においては、その予算は計上されないやに聞いておるのであります。さようなことを農林省はお聞き及びであるかどうか、農林省としては、そういうことにかまわずに、今回通過した法律の命ずるところに従つて、それだけの予算を大蔵省に要求されるものと私は信じておりますが、その辺について、農政局長のはつきりしたお答えを願いたいと思います。大蔵省等との今日までの交渉の経過等も、お聞かせ願えれ幸いに存じます。
  103. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農業委員会の書記の手当寺につきまして、再開前の国会相当論議があつたことを承知いたしております。われわれといたしましては、問題が今年度の問題と来年度の問題と二つにわれると思いますが、今年度の問題について具体的に申し上げますと、一・二人を〇・八人ふやして二人とするという問題であります、これはわれわれといたしましては、再開前の国会大蔵大臣農林大臣等が言明された趣旨に沿いまして、また再開後の国会において申しておられるような趣旨に沿いまして、補正予算等の要求をいたしております。  来年度の問題でございますが、来年度の問題を今から申し上げるのはいかがかと存じますが、まだ政府自体としても、二十七年度予算の編成方針がきまつておらない。農業委員会はあの法律によつ與えられたいろいろな事務があります。国が負担すべき国家的な事務、市町村本来の負担すべき事務がありますが、われわれといたしましては、そういう事務分量の変化等を考えまして、最も適当なる予算編成をいたしまして、大蔵省に要求いたしたいと思います。大蔵省からは、来年度はなくするというような話はまだ何らございません。ただ行政事務の再配分という問題が今研究されております。その行政事務の再配分とからみ合いまして、農業委員会事務を分析してやろうという話は、実は内々あります。しかし来年度書記その他の手当をゼロにするという話は、ただいまのところ毛頭ございませんことを御了承願いたいと思います。
  104. 野原正勝

  105. 井上良二

    井上(良)委員 先般の質問に続きまして、もうちよつと伺つておきたいと思います。防除機具購入の問題でありますが、今御説明によりますと、二十四年度、二十五年度で千百五十五台政府が買うて持つている、こういうお話でございますが、そうすると、この本年度予算国有防除機具購入費は七千四百万円が計上されておりますが、これでどのくらい噴霧機と撒粉機がふえますか。それとも他の機械を買おうとするのか、その購入台数、機械、種類、それを伺いたい。それと同時に伺つておきたいのは、本法律案が通過いたしまして、本法律案の実行に伴つて必要とする機械台数はどのくらいふやそうとするか、それを伺いたいと思います。
  106. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 二十六年度予算で七千万円の機具購入費が計上してありますが、これはすでに四月早々に政府で買い上げたわけであります。予算といたしましては、一千台買う予定でございましたが、資材等の値上りのために九百十台より購入できなかつたのであります。九百十台はすでに二十六年度予算で実行いたしまして、現在買い上げた数字であります。将来どのくらいこの千百五十五台をふやすかという御質問でありますが、今のところ、二千五百台程度を整備すれば、国としてはまずよいのではないかと考えております。
  107. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、この二千五百台の機械を政府の所定する場所に配置しておく、薬もそうしておく。ところが問題は、いかにこれを動かすかという問題だろうと思います。この病害虫発生と同時に、これが動員できる態勢が完備しておりませんと何にもならない。そこで、私どもの考え方からいたしますと、もちろん政府がそういう機械を持つて必要な場所に活用さすということも必要でありましようが、いつそのことこれを各県の農業協同組合なり、各県にできます防疫所というところに配置しておいた方が、いざという場合に役立ちはせぬか。でないと、相当多量の機械が一箇所に持たれておりますと、第一貨車の手配、自動車の手配それ自身にも相当の日にちを要するわけです。まして、日本のように山岳の多い、しかも帶のように長い島国においては、東北のものを関西に一挙に持つて来るというわけには、現実の場合行かない。そういういろいろの考慮を拂つて、各県にこれを配置するという処置をとられた方が、一層機動性を発揮しはせぬか、こう考えますが、その点どうお考えになりますか。
  108. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 病害虫の起りましたときに、機動的に薬剤撒布その他を行わなければならぬことは当然でありますので、われわれといたしましては、普通の災害等に備えまして、大体一万二千台程度を目標にいたしまして、国で府県の機具の保有ということに対して助成をいたしております。すでに七千台程度は整備いたしまして、なお五千台程度を、今後財政等が許す範囲において整備したいと思つております。この農機具等は府県の協同組合等に移管をするということになつておりますが、異常なる災害等が起りました際に、なお国みずからが防除機具等を保有して出動いたした方がよいのではないかということで、助成によりまして一万二千台程度を整備いたしますほかに、国みずからがただいま申し上げました二千五百台程度を整備しよう。こういう考え方になつております。井上さんのお話になりました府県のものは、すでに助成で今継続してやつておる次第であります。
  109. 井上良二

    井上(良)委員 異常の災害、異常の病害虫発生したというときに国のものを動かすということは、ちよつと説明するのでは、そういうことでよいかもわかりませんけれども、実際の場合に、これの活用が非常に敏速を欠きはせぬかと思うのであります。だから簡単に言えば、国が持つよりも、いつそのこと県に持たした方がいいのではないか。幸いあなたの方で一万二千台もの県単位の機械設備を補助しておるというならば、これは国が持たずに、全都県に持たした方がいいのではないか。そうして法律で機動性をはつきりしておいて、いつどこででも動員できるということにしておいた方が、さらに効果的ではないかと思うのですが、あえて国が持たなければならぬ必要があるのですか。
  110. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 府県自身に持たせますと、どうしても府県と府県との間の貸與その他がやつかいなことになりますから、国みずからが持つのでありまして、これを機動的に動かすことによつて、より少い噴霧機で最も効率が上るのではないかと思います。異常な場合等につきまして、県を通じまして、あるいは県間で自動的に動くよりも、国みずからが持つておつた方が、財政負担が軽くはないかというふうに考えまして、国で持つ分と県の補助で持つ分をわけた次第であります。なお発生予察事業等が、もう少し組織的に、行政的に動いて参りますと、災害の程度等も事前に相当わかりますので、そういう場合については、国みずからそういう方面に動かして行つた方がよいのではないか、そうして発生予察等の防除計画——今後の計画によりますれば、そう混乱なしに二千五百台が機動的に動くのではないかというふうに考えておるのであります。府県等に持たせますれば、より多くの保有量を各県別にわけなければならぬので、そのこと自体はやはり財政の負担を多からしめるということで、国に持たすということを実は考えておる次第であります。
  111. 井上良二

    井上(良)委員 説明はそういう説明がつくかもわかりませんが、要は、実際に県に病虫害発生していないのに、機械を使つていないのに、これをよそへ出すことに対して文句を言うということを言われているのだろうと思います。しかし、それを活用し得る法的基礎を明確にしておけば、その機械購入に必要な経費については、国から補助し、援助している関係がありますから、私はそれはやり方によると考えます。それは議論になるからそれ以上申し上げませんが、同時にひとつつておきたいのは、この組織を活用する場合、つまり、これだけの経費をかけて、これだけの法的基礎をもつて仕事をやるという場合に、これを機動的に活用する組織の問題です。そこで、さきにちよつと聞いた御説明では、かんじんの末端の町村の組織になければならない町村の防除員の任命と申しますか、あるいはそれに伴う予算ができていないというふうに聞いたのですが、その通りですか。
  112. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 非常勤防除員を置く予算は、ただいまのところございません。
  113. 井上良二

    井上(良)委員 そういたしますと、この法律施行を急いでおります提案者並びに政府当局としては、今年度の米作からこれを合理的に活用したいということで進められておるのだろうと思います。そうなりますと、この組織が完備せず、この組織を政府の思うままに動かすことができなければ、本年度の米作に対しては思うような活動ができないということになりますね。
  114. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 この法律通りました場合は、全部の理想は達せられませんが、そういう最小限度の必要なものにつきましては、次の補正予算等で農林省としては財政当局と交渉をいたしたい、こういうように考えております。
  115. 井上良二

    井上(良)委員 この改正法律案に関連する予算は一体どこへ出ておりますか。だれか先ほどの説明で、もう二億円ほど足らぬというお話をしておりましたけれども、これに関連する予算は、資料としてどこに出ておりますか。
  116. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 参考資料に添付いたしました予算の五億四千二百万円というのが既定経費でございます。次の補正予算資料は、実はこの資料に添付して、ございません。目下法案通りました上で、次の国会等にからんで補正予算の要求をいたしたいと存じております。
  117. 井上良二

    井上(良)委員 そこの点が私は非常に遺憾に思う点であつて法律が通つてからというよりも、この法律がもし実行されるならば、これだけの所定経費を必要とするということで、関連する経費を出して来なければ、これは何を審議しているかわからないことになつてしまう。その関係経費は、たとえば防除機具購入費で何ぼ、人件費で何ぼ、あるいは薬剤購入あるいは非常勤防除員の補助が何ぼというように、明らかにしてもらわないと——これが提案理由を読んでいると、どこで何ぼの補助をやるということが書いてあるにかかわらず、かんじんの裏づけになる予算がこれについていないことは困るじやないですか。あなたの方で、ほんとうにこまかい数字はいずれ補正予算として臨時国会に要求されてもよいと思いますが、しかしこの法案審議する上において、大蔵当局に要求する予算は大体でもよいから提示されぬと困るじやないですか。
  118. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農林事務当局としては、いろいろ案としては持つておるのでありますが、政府としてまだここにお示しするだけの資料が整いませんので、この法案通りました上で、次の議会に補正予算等にからみまして御審議を願いたいと思います。
  119. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると提案者に聞きますが、提案者予算の案を持つておりますか。
  120. 三橋八次郎

    ○三橋参議院議員 大体これは予算の方の関係で何べんも組みかえまして、実は今一億八千万円くらいの腹案は持つておるのでございます。財政当局相談の上これを出してくれるという見通しがつきましたものですから、一応その詳細な数字は、向うへ示して相談をしているのでありますが、まだここにはお示しするほどコンクリートとなつておらぬものでありますので、実は添付しておらぬような次第であります。
  121. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると、ここへ二分の一補助するということは、どこからそういうことが言えるのですか。かんじんの提案理由に、かかる場合は国庫から補助金を交付し、これを助成することができるということで、その他にも出ておりますけれども、どういうわけで、そんなことが言えますか。
  122. 三橋八次郎

    ○三橋参議院議員 これは予算範囲内でということになつているのでございますから、予算ができれば、おのずから基礎ができて来るはずでございます。
  123. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、実際の問題として、この法案審議し、この法案の成立をこいねがう提案者側といたしましては、この予算内容さえわれわれに示すことができ得ずして、これだけ通してもらいたいという、そんなうまい話はありません。だから一応この点はこうなる、それの合計一億八千万円なら一億八千万円になる、しかしこれでは足らぬから、さらに活動するためにはもうあと二、三億なら二、三億いるという話ならわかるけれども、かんじんの法文には明らかに補助金を出すと書きながら、それに與えるべきところの予算的な計画が全然ないということでは、われわれ審議できません。
  124. 三橋八次郎

    ○三橋参議院議員 大体ここに腹案はできているのでございますが、プリントがまだできておりませんので、これをこまかにお話申し上げてもいいのでありますが、時間がかかりますので——、大体は補正予算としまして要求いたしますというのは、一億八千万円でございます。これは先ほども説明があつたと思いますが、農薬備蓄補助の方の経費として、その一億八千万円を要求しているような次第でございます。
  125. 井上良二

    井上(良)委員 はなはだどうも聞いておつてたよりない話で、これ以上私ども質問する勇気を失いますが、御承知の通り法案審議し、法案を成立さすということは、関係する国民が非常に多いです。特に補助金を出すというような場合は、全国民に利害関係を持つているわけです。ゆえにその点に対してもつと提案者の方で、参議院で通過さして行きませんとここで審議を進めるわけに行きませんから、一応参議院が通過して、ここへ本式に提案になりますまで、もう一度提案者側と打合せをされて——私はこの法案の建前に反対しているのではなく、こういう不備なことを立法したことに反対している、無責任なことはできぬということを私どもは言うておるのですから、そこを了解願いたい。そこのところが了解できるならば、われわれもこの法案には賛成でありますから、そういう不備なものを通すわけにいかぬということたけですから、そこを得心の行くように準備をしていただきたい。
  126. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま井上委員から、予算の問題についての質問がありましたので、私はこの際予算の問題について二、三の点について申し上げておきたいと思いますが、ここで速記をやめていただきたいと思います。
  127. 野原正勝

    野原委員長代理 それでは速記をやめてください。     〔速記中止〕
  128. 井上良二

    井上(良)委員 私ども遠藤さんが本法案の成立に非常な骨を折られておることには感謝をいたします。別にわれわれもこれの成立に反対をしておるわけではありませんが、ただ予算的裏づけがないところに問題があるのであります。この法案を通せば、必ず次の臨時国会では補正予算が出るであろう、こういう希望的観測の上に立つてのお話でございます。ところが大蔵当局というやつはなかなか油断のできぬやつで、たとえて言いますと、この共済組合の方の経費に食管特別会計から十億の金を出さなければならぬということが法律にきめてある。ところがこれを一ぺんも実行したことはない。あるいはまた競馬でもうけたものは、その三分の一を畜産の奨励に使わなければならぬと改正法律できまつておる。それも実行しない。そういう自分の都合のためには法律を無視するような大蔵当局がおります。だから私どもとしましては、少くとも予算裏づけのはつきりした法案を成立させることが、議員としては当然の任務であると私は考えておりましたから申し上げただけでありまして、できるだけわれわれの方におきましても、法案それ自身の目的は、わが国の農業生産向上の上に絶対必要なものでありますから、大いに協力を申し上げますが、この法案を成立させますためには、そういう点をわれわれは十分検討いたしまして、少くとも立法者としては、その点については人からいろいろ言われぬだけのことをしておかなければいけないということで、くだらぬことでございましたけれども質問をいたしておるわけであります。その点は御了承いただきたいと思います。
  129. 横田甚太郎

    ○横田委員 植物防疫法の三十二条七項、三十五条三項、二十五条の一項、ともに二分の一の補助と書いてある。二分の一というのは一体どこから割出してそういうことを書かれたのですか、それを聞きたいのです。
  130. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 私から便宜お答えいたします。農薬を買いましたり、動力防除機具等を買います場合に、府県の事業に対しまして国の仕事が半分、府県の仕事が半分、勘案しまして従来とも半分は府県の負担になるということになつております。この法案は少くとも半分以上の負担を府県にかけてはいけないというので、二分の一ということになつております。二分の一は必ず予算範囲内で国が持たなければならぬ、こういうことになつております。
  131. 横田甚太郎

    ○横田委員 その二分の一がけしからぬ。大体政府のやり方といたしましては、政府がとる場合には全部とつてしまう。農民に何する場合には半分にする。すべてがこういう行き方である。しかもこのごろは供出制度がある。それでよし農民が保有米をつくつておりましても、一般の町の人達は、外国から高い食糧を買つて来てそれを安く配られている、いわゆる補給金が出ている。それに対して農民は、簡単に申しますと、補給金なしの高いものをそのまま食つている。だから供出制度がある限りにおいては、供出農家あるいは供出しておらない転落農家にいたしましても、これは国の必要なものをつくつているんです。だから政府が農民から低米価においてものを取上げる場合において、しかも新聞の報道によりますと、パリティーによる算出方法というものは米価を低く抑えるものであるといわれているにかかわらず、その計算によつた米の値段が七千円も七千五百円にもなつて来る。これはいかぬというので、パリティーの算出それ自体をかえようとしている。そういうふうにして何でも押えているんです。こういうような形において、とるものは無理にとつておきながら、しかもとる値段が安い。安いにもかかわらず、こういう場合において、損害が起る、あるいはそれに対するところの負担金の分担になつて来ると、常に二分の一になるという考え方、こういう考え方のいわゆる現在の日本の自由党政権には、日本の農村において病虫害によつて毎年なくなつているところの、六百万石あるいは五百万石の米だけの損害さへも防除する力がないのではなかろうかと思う。どういう意味において二分の一をおきめになつたのか、あるいは予算がないからおきめになつたのか。予算がないというならば、戦後の富はだれが築いたか。その御意見を聞きたい。
  132. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 病害虫防除すること自体が、農業の生産力を上げる一つのゆえんだと考えます。その負担というものは結局府県自体の仕事が半分であります。国自体の仕事もあるわけでございます。府県自体がやる仕事につきまして、府県である自治体がその負担を持つことは当然だと考えます。また府県の二分の一の負担というものは、あなたの言われるように、必ず全部農民の負担になるとは限らないのでありまして、府県全体の財政等にからんで適当な負担になるわけであります。米価が低くて、これの二分の一負担が全部農民の負担に加重するということでありませんで、これをやること自体によつて米の生産の減退が防止されるということに効果かある。これを府県本来の仕事として、その二分の一を府県財政で負担して行くということは、決して矛盾した話ではない、こういうように思います。
  133. 井上良二

    井上(良)委員 それは東畑さん、関連しているし、ちよつとあなたの考え方は間違つている。その食糧増産という問題は、国の大きな事業としてやらなければならぬ仕事なんです。これは府県ががんはつてみたつてどうにもならぬことです。だからあなたの方が食糧増産の建前上、食糧確保の必要上、こういう仕事がいいとしてやられる場合は、国の経費でやるべきなんです。それをかつて法律をつくつておいて、お前の県もこれをやれと言う。やれと言われた方は二分の一負担しなければならぬのです、県が自分のところでつくつたものを自由操作できるものならば、衆にも大いに負担させてもいいけれども、少くとも食糧増産確保、供出というような問題は国の仕事であつて、これは国が全額負担をしていい問題です。あなたの方がやる場合は、機械は全部国の負担で持つ、県に持たせるものは二分の一だ。これでは持たせられる方ではえらい迷惑な話です。そこをどう考えますか。
  134. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 防除計画等に基きまして、先ほど御説明をいたしましたように、二千五百台を理想として、国自身の持つものについてはこれを府県へ無償配付いたします。従つて府県自体が農業災害防除の一環としまして、病害虫の駆除等の計画をいたしました場合に、府県の計画に従つて国が補助を出すという形であります。その主体が府県である場合におきまして、府県で当然二分の一を負担することは、従来の慣例もふるわけでありまして、特に病害虫防除だけに限つたことではないのであります。国自体が計画するものにつきましては、国か機具を買い、農薬備蓄して、県の方に配付する、あるいは無償で貸すか有償で貸すかは、そのときどきの状況によつて考えることがあつて、府県自体がやります場合は、府県自体がやるものに国が補助する、こういうことがりくつであると考えております、
  135. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、たとえば県の方で防除所をたくさん設けて、それに伴つて相当多数の防除機械を買い、農薬備蓄しておきたいという申出が特定の県からあつた場合、政府はそれに対して必要な補助として二分の一を出しますか。そうでなしに、私は全体的ににらみ合せて、全国のわくはさまつておるから、一県当りは大体このくらいでいいのではないか、それでいよいよ足らぬ場合は国が補助して行くという仕組みではないかと思いますが、あなたのような意見でありますと、特に県の方が防除対策をやりたいということで、必要施設を要求して、それに対する国の補助がもらえるということで、どんどん施設をやればやるだけ、あなたの方はそれだけ費用を出しますか。
  136. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 防除所をつくります場合は、この法案によりますと、やはり農林大臣の承認がいることになつております。その承認はもちろん予算等にからみまして承認することになつております。また府県で農薬等、いろいろやります場合においては、やはり国自身の補助があります以上、予算範囲内ということは当然でございまして、この法案におきましても、そういうことがうたつてございますので、井上さんのおつしやいましたような矛盾は事実問題としては生じて来ないのじやないかと考えます。
  137. 横田甚太郎

    ○横田委員 矛盾が生じている証拠がここにあるじやないですか。三十二条にこういうことが出ております。「病害虫防除所は、地方における植物の検疫及び防除に資するため、都道府県が設置する。」こう一項に書いてある。三項には「都道府県は、病害虫防除所を設置しようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。」こう書いてある。この場合設置するのに必要な費用が一〇〇いるといたしますと、けちんぽな政府はおそらく二分の一の五〇しか出さない。あとの五〇は府県が持つ。ところが設置することの承認を受けなければならぬのに、承認を與えるところの農林大臣は一〇〇の力を持つてしまうので、府県は五〇出したところの力がなくなるのであります。そういう横着な考え方で法案ができておる。一〇〇いるものを国が五〇持ち、府県が五〇持つ、その五〇に対して、全体の設置権、承認権を政府が持つてしまう。この点を聞いておる。一体府県の五〇の権利はどこにあるのですか。五〇はただですか。
  138. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 御質問の御趣旨がわからないのでありますが、国が防除所をつくります場合には、予算範囲内において十分の補助金を交付することができることになつております。国としましては、府県で防除所を自分自身の全額でおつくりになります場合はどうにもしようがありませんが、国に補助を請求される場合には、この法律従つて二分の一の補助をやる。その場合にはその補助金は国の予算がなければ出せません。そこで予算とにらみ合せまして、国が補助を請求されました場合に、予算のきくものだけを承認するということはいたし方ないと思いまして、決して横着な考え方ではないと考えます。
  139. 横田甚太郎

    ○横田委員 国が設置する、府県が設置するという考え方が私と違う点です。これは意見だから申し上げませんが、占領下における生存の維持のために政府農作物を取上げておる。いわゆる農政がなくて食糧政策がある。従つて農民がつくる作物に対しては、政府が責任を負わなくてはならないというのが私たちの主張である。その場合におきまして、府県に掘り下げて行つておる。しかも府県になりましようとも、国になりましようとも、それを出すのはあんたたちが出すのではなくて、働いている農民が出す。こういう点において、あんたの言うことにはわけのわからぬところがある。一例をあげますと、毎年米の供出に対して補正闘争が起つておる。補正割当がうまく行かない結果として、ことしも青森でこれが起つておる。たしかことしは一〇〇%の米の供出が終つたはずである。ところが青森県においては不供出罪に問われてつかまえられている農民がある。これは割当てられた供出額が出ないためにひつぱられておるのです。これはみな病虫害とか水害とかいうものから来ておる。そうでなかつたら米価が適当ではないのです。そういう意味におきまして、農村で毎年もめる、ことに不供出罪が出るというのは政府のやり方が悪い。あんたたち補助を二つにわけて考えられている観点が間違いであつて、府県によつてつている所もあるが、やつていない所もあるというのは困るので、全部やるためには、統一して、政府において責任をもつてやるべきだと私は考えますが、これは意見になりますから、これ以上聞きません。  次に防除によつて、毎年どれくらい減収が防がれている見込みですか、お聞きしたい。というのは、防除をしろ、いもちがはやつた、あるいはそれ以外の病虫害がはやつた、だからこれに対してこういう扱いをしろといつて政府農薬を押しつけて来る。ところがそれがきかない場合がある。金を拂うだけ損である。これは私の大いに疑問とするところである。とにかく日本病虫害というものは、自然の形において発生して、それが自然の形において治まつて行くまでは放任されているのではなかろうかと思います。そこであなたに聞きたいのは、こういう防除をやられた結果として、毎年減収がどのくらい防がれている見込みであるかお聞きしたい。
  140. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 病害虫その他によつて減収が相当多いということはお話の通りでありまして、その資料等は第一ページ以下六ページまでに米麦の問題が添付してございます。この大きな病虫害に対する防除計画によつて、どれほど減収を防止できるか、こういうことが問題でありますが、今後の防除計画その他の実行によつて、理想的に行けばこれが全部防止できることになるのでありますが、実行上予算その他におきまして増減があるわけであります。われわれはこういう病虫害、少くとも薬剤その他で防除できるものにつきましては、これを撃滅いたしたいというふうに実は考えでおります。石数等は、ちよつと集計いたしておりませんが、病虫害についての減収石数及びその平均等は、この表をごらん願いたいと思います。
  141. 横田甚太郎

    ○横田委員 この防疫所に置かなければならない薬ですが、薬が薬であれば間違いないのです。薬は非常に効能書きがうまい。しかも口銭が高い。これが人間に使うお医者さんの薬ならば、人命に関するので、死んだならばたいへんこたえるのです。それがそうでなしに、農村の場合においては、薬を買うのに自己組織を通じて買うのです。たとえて申しますれば、農村においては、農業協同組合あるいは市町村の出張所から買うのです。そういたしますと、損を受けた場合においても、それがきかなかつた場合においても、効能通りの用をなさない場合においても、損害補償を要求すれば率が非常に悪い、低いのです。こういうようなわけですから、私のあなたに聞きたいというのは、ここに置かれる薬、これは非常に研究された薬なのかということです。それからついでに、日本のこういうような病虫害に対する新薬は、研究のあとの効果が一向に現われないのです。こういう点におきまして、きく薬というような標準を一体どこに置いておられるかということを聞くのです。これは人間の場合こういうことがありましたね。この間も新聞に出ておりましたが、ある医学博士の相当の期間勤められている方が保証付で売り出された目薬を、しかもそれは一人じやない、たくさんの人が使つた。ところがそれをさしますと、半年くらいたつてから目のふちが黒くなつて来て嫁入れができなくなつてしまつた。そのくすりを使つたがために嫁入りができなくなつて、あきらめてしまつたというようなことが出ておつたのでありますが、そういうようなことが起つておるのです。これは人間の場合だから新聞で問題になつたのですが、日本農薬の場合においては、これよりもつとひどいことが行われておる。だからここに置かれるのは、新薬であろうが、何であろうが、きかないものが多いのだが、きかないものをきかないものでないように、あえてきくものにするためには、どういう方法を考えておられるかということと、またこういうような病虫害防除のために備えられる薬に対して、どういうふうなものを基準にしてものを研究しておられるかということを承りたいのです。
  142. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農薬等で不良品があるということは承知しております。現在政府といたしましては、農薬取締法という法律に基きまして、農薬検査所を設置いたしまして、新しい農薬ができました場合には、そこで防除等の検査もいたします。そうして農家の御迷惑にならないような農薬だけを登録いたしております。登録した農薬については、政府は絶対の責任と信頼を持つて農家に奨励いたしておりまして、農薬取締法の実行で、おつしやるような弊害は防除できるように考えておりすす。
  143. 横田甚太郎

    ○横田委員 それからこういうことが出でおりますね。この防疫所に置かれるところの薬ですね。これが農民選拓の場合ならば、きくものは買う、きかないものは買わないわけだが、これを選択するものは一体だれかということを聞きたい。もし役人が選択するならば、簡単に言うと、製薬会社の宣伝によつてそれを買い込んでしまうということになる。そうしてここが結局製薬会社と売薬ボスとの結託によるところの、不正の温存所になりはしないかと思います。だからこういう場合におきましては、薬がきくかきかないかということに対して、良心的にこれを判別してやる場合においては、あなたが言われましたように、農薬取締法だけではだめだと思います。その点はどうですか。
  144. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 府県等に置きます農薬でありますが、国で買います農薬は、砒素剤とか、DDTとか、BHCとか、あるいは硫黄剤、これらはすべてその効果がすでにはつきりいたしまして、また製造会社、価格等もはつきりいたしまして取締りをいたしておるのでありますが、そういうような農薬がまた米麦等病虫害に一番きく農薬でありますので、その点は現在の法規の実行を確実にいたしますれば、御心配のような結果にはならないと確信いたしております。
  145. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではその心配が起るようなまずいことが起りました場合の責任は、一体だれが負うのですか。
  146. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 現在政府が助成いたしまして、府県に農薬を貯蔵させる場合、その農薬が悪かつたために作物がだめになつた場合には、政府そのものが責任を負うわけであります。
  147. 横田甚太郎

    ○横田委員 この際ついでに聞いておきますが、いもちの場合においては薬をやることも大事だが、深耕、深水は非常に効果があると言われ、朝日新聞などでやつております收穫日本一競争なんかで、すでに実験によつてその効果は顯著になつております。こういうようなものに対する防止策はどんなものか、聞いておきたいのです。
  148. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農作物の生産を上げる場合に、農薬だけではいけないことは、私もよく存じております。従つてすべて経営等についての指導と申しますか、生産を上げるいろいろな方法によつて強い植物を育てて、病虫害を駆除することも一つの方法だと思いますが、現在そういう方面について、予算措置を実はまだ講じていないのであります。
  149. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうなりますと、動植物検疫所が現在どのくらいあり、今度農林省防疫所に改められると、どのくらいの数が不足になつて来ますか。
  150. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 現在動植物検疫所は午前中申し上げましたように、三箇所ございます。出張所が七七箇所にわかれております。今後この植物防疫法の改正が通りました場合に、さらに国内防疫施設を拡充いたしたいという希望は持つておりますが、まだ具体的に何箇所ふやせばいいかということまでの検討はしておりません。御了承願いたいと思います。
  151. 横田甚太郎

    ○横田委員 防除員の給與はどうなりますか。
  152. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 非常勤の給與は賃金拂いでございます。予算等もまだきまつておりませんので、どの程度になるかはつきり申し上げられません。補正予算等の機会にお答えをいたしたいと思います。
  153. 横田甚太郎

    ○横田委員 もう一つ聞いておきますが、供出事務に携わる人は、一年に七十日間くらいほとんど無料で過している。その場合今はちよつとかわつていると思いますが、大体酒一本くらいでごまかしている。またこういうような形になるのではないかと思いますが、貧しい町村においても、こういうことが問題なくやつて行けると思いますか。
  154. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 非常勤の人が先ほど申しましたように、病虫害があつた場合には専念して活動していただくように、相当の額を交付すべく努力いたします。
  155. 横田甚太郎

    ○横田委員 相当の額とはどのくらいのものでしようか。廣川農林大臣に言わせますと、農村の労賃は非常に安定したと言われ、藤田元農政局長に言わせますと、農民は貧乏なときは麦ばかり食つているが、金持になると米ばかり食つて困ると言つておりましたが、そういうような意味で相当の賃金とはどのくらいの金を拂うつもりですか。
  156. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 補正予算を組みますときに御説明をいたします。
  157. 横田甚太郎

    ○横田委員 三十五条の二項に、「国は、予算範囲内において、都道府県に対し、第三十三条第一項の病害虫防除員その他発生予察事業に従事する都道府県の職員に要する経費並びに前条第一項の規定による薬剤及び器具の整備に要する経費の二分の一の補助金を交付することができる。」こう書いてありますが、この二つがともに働くというような場合になつて来るのだつたら、先ほどどなたかの意見にもあつたように、一つにまとめて全部出すわけに行かないのですか。この間の関係を明確にしていただきたい。
  158. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 御質問の趣旨が読みとれなかつたのでありますが、もう一度お願いいたします。
  159. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは都道府県の職員にも金を拂うのですね。それが一つ。それから防除員にも、先ほど言われましたように、相当の額の賃金をお拂いになる場合があるのですね。これを聞きたいのです。この場合金の出る所が一つであつて予算の性質が一つであるならば、これを一つにして、一つの系統のものに仕事をさせて、それに金を拂つた方がうまく行きませんか。こういうわけなのです。
  160. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 片一方の方は都道府県のいろいろ防除計画等をつくります職員の費用でありまして、片一方の賃金を拂うと申し上げましたのは、末端において非常勤で働く方たちのことを言つておるのであります。仕事の性格が若干違うかと思います。金は一所から出ますけれども、項目が違う、こういう意味で別の条項になつております。
  161. 横田甚太郎

    ○横田委員 植物防疫法の一部改正提案の参考資料の一番しまいに、本省予算額というのがありますが、そこに右内訳として人件費、旅費、事務費が相当金額出ております。人件費が二百八十八万、合計いたしまして七百万ぐらい出ていますが、今度地方に防疫員を置かれるようになると、相当この金額はかわつて参りますか。これを聞きますのは、相当むだな出張が多いということを聞いておりますので、このことを承りたい。
  162. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 本年の補正予算等におきましては、主として府県その他の充実を考えておりまして、本省の事務費の増ということは考えておりません。
  163. 横田甚太郎

    ○横田委員 もう一つ伺いたいのですが、妙な条項があるのです。私ちよつとわかりにくいので聞いておきますが、二十八条に、「何人も、自己又は他人のために財産上の不当の利益を図る目的をもつて農作物についての指定有害動植物のまん延による広範囲損害発生に関し、風説を流布してはならない。」こう書いてあります。これは一体どういう意味ですか。またこういうようなことを書かねばならないようなことが過去においてあつたか。あつたとするならばその例を承りたいのです。
  164. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 これは要するに病害虫等が非常に起るというような、損害発生に関する風説をなすこと自体が農民自体の財産上に不当な利益を與える、こういうことのために書いた規定でありまして、それでは過去においてそういう例があつたかと申しますと、ただいまのところそういう記憶はございません。     —————————————
  165. 野原正勝

    野原委員長代理 河野君から肥料問題に関して発言を求められております。これを許します。河野謙三君。
  166. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 ただいままで、植物病虫害防除等についてのお話がいろいろあつたのですが、これらの問題も大事でありますけれども、増産上もつと大事な問題は、根本にさかのぼつて植物の健全なる栄養の問題だと思います。最近聞くところによりますと。現在燐鉱石の補給金を次年度においては予算を組んでありませんが、これをほんとうに削るということになりました場合に、一体食糧の増産上、どういうような影響が起きるかということにつきまして、まず農政局長の御意見を伺つて、その上におきまして、農政局長の御意見も参考にいたしまして、燐鉱石の補給金を中心にしての肥料についての決議案を提出したいと思います。まず燐鉱石の補給金の今までの経過並びに農政局長の御意見を承りたい。
  167. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 燐鉱石の補給金が今年の半期以後はついておりませんことは、本年度予算等において明らかでございます。しかし予算編成当時は、まだ海上運賃等が非常に低廉でありましたために、さしたる支障がなかつたのでございますが、その後における燐鉱石の海上運賃等の値上りが厖大でありますので、現在かりに補給金がなくなります場合におきましては、一かます三百六十円のものが五百円あるいは五百二、三十円になるのではないかというような結果に、実はやむなくなつておるというように考えております。従来硫安と過燐酸にはある価格のバランスがございまして、一定の施肥をやつたのでありますが、ただ農家自体が過燐酸そのものの使用等につきまして、硫安ほどまだわかつておりませんので、むしろ畑作等におきましては、過燐酸石灰等を大いに奨励することが必要だと考えます。特に秋肥として、麦作等に一番大事な肥料が過燐酸石灰でありますが、その過燐酸石灰そのものが、補給金を削減されまして、急に暴騰いたしますこと自体は、むしろ過燐酸そのものの消費を減らすのでありまして、過燐酸石灰の消費が減りますこと自体は、麦の生産に非常に影響があるというように考えておる次第であります。
  168. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 農政局長の御意見の通り私も考えます。この際、補給金を次年度において創ることになりますと、過燐酸が一俵あたり百五、六十円上る、その結果は消費が減る、その結果は減産になる。いかに一方におきまして農業共済をやつたり、いかに病虫害防除をやられても、そんなものは何にもならない。その意味で私は、本日、議会の最終日でありますけれども政府に対しまして、肥料価格に関する決議を提出して、政府に強く要望したい、かように思います。過日私は、この決議につきましては本委員会に一度御紹介申し上げたのでありますが、その前に一度大蔵大臣出席を求めて、その意見を聞いた上にしようということで、本日まで留保になつておりましたが、遂に大蔵大臣が見えませんから、この機会にやむを得ずただちに決議をいたしまして、政府に強く要望することに、委員長を通じて委員各位の御賛成をいただきたい、かように思います。つきましては、手元につくりました肥料価格に関する決議を読ましていただきたい。   肥料価格に関する件  衆議院農林委員会政府に対し、農家経済に至大の影響のある肥料価格について屡次その適正化を要望して来たのであるが、最近殊に燐酸質肥料の価格が異常に騰貴し、農民に多大の不安を抱かしめる等、政府の施策は甚しく適正を欠いている。  仍つて政府は、この際速急に、肥料価格に関する見解を明かにし、併せて肥料価格の妥当化を図るとともに思惑的価格つり上げを抑制し、その円滑な需給を図るため、左の措置実施すべきである。  一、燐酸質肥料の主原料たる燐礦石が外航運賃の値上げ等の影響により大巾の値上をみており、若し本年度において燐礦石補給金の支出を撤廃した場合は、肥料の消費者価格はさらに急げきに昂騰し、ために農業経営を破壊し、食糧生産の減退をみること必至なるに鑑み、今後も引続き燐礦石補給金を支出するよう所要の措置を講ずること。  二、燐礦石補給金支出の本来の意義に鑑み、消費者価格が予想以上に騰貴しないよう最も有効な措置を講ずること。  三、燐礦石の輸入については、外貨資金の割当、船舶の確保等について格段の対策を講ずるとともに、既契約分の早期輸入の実現を図り且つ、補給金支出額を節減するための廉価購入を図るよう措置すること。  右決議する。 以上であります。なおこの決議に対する回答は、一両日中に本委員会に回答を求めるように、委員長において、もし皆さんの御賛同が得られますならば、おとりはからい願いたい、かように思います。
  169. 野原正勝

    野原委員長代理 お諮りいたします。ただいまの河野君の提案通り肥料価格に関する件を本委員会の決議として、なお政府に参考送付することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 野原正勝

    野原委員長代理 御異議なしと認めます。さように決定いたします。
  171. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はこの際緊急の質問をひとつ申し上げたいのであります。本委員会において約二十日ばかり前に、御承知のように畜犬競技法を可決いたしまして、衆議院といたしましては、とにかくあの畜犬競技法を施行すべきであるということで、約二週間ばかり前の本会議に上程し、これを可決して参議院の方に送付したのであります。しかし今伺いますと、参議院では提案理由説明農林委員会が聞いただけで、何らの審議をしないそうであります。これははなはだ遺憾でありまして、当委員会としても、このままほおつて置くわけに行かぬと思います。そこで委員長から厳重に、参議院においてもすみやかに審議をしてくれるように、ひとつ申し込んでいただきたいということをお願いする次第であります。その点を私は緊急に督促をお願いしたい、こう思うわけであります。
  172. 野原正勝

    野原委員長代理 遠藤君のお申出はまことにごもつともでありますので、参議院の農林委員長にも善処方をお願いいたしたいと思います。
  173. 井上良二

    井上(良)委員 私もこの際特に委員長を通して政府に要望していただきたいことがあります。それは本年度の産麦の価格の決定、並びに産米価格の決定に伴う問題でございますが、すでに委員長も御存じの通り、本年度産麦価格の決定に伴う本年度の米価の想定価格の決定をめぐりまして、いろいろ政府の方でも問題になつております。特に最近問題になつておりますのは、パリテイー指数の非常な上昇に伴う米価の値上りに伴いまして、何とかこの米価をもう少し安い価格で押えようというのですか、一つは麦の対米比率を引下げ、あるいは特別加算額を大幅に削減したい、はなはだしきはパリティーの算出の基準までかえて行こう、そういうような論議が取交されたように伺つております。これは食糧を増産しようとする農民の意欲、特に自由党内閣が価格政策によつて食糧を増産しようとする方向とは、まつたく逆な政策になつて来ておりますから、この点特に小委員長から政府に反省を求められて、ぜひ食糧が増産され、確保され、かつ農民が農家生活を営むに足るところの価格を決定されるように、一段の要請をひとつ委員長として政府に願つておいていただきたいと思います。
  174. 野原正勝

    野原委員長代理 お答えいたします。井上委員の御提案はまことに同感であります。この趣旨を政府に徹底いたさせまして、適正価格が決定されるように善処を求めることにいたしたいと思います。  この際暫時休憩いたします。     午後四時二十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた。〕