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1951-05-29 第10回国会 衆議院 農林委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十九日(火曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 原田 雪松君    理事 松浦 東介君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       小淵 光平君    川西  清君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    幡谷仙次郎君       八木 一郎君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    横田甚太郎君  委員外出席者         農 林 技 官         (大臣官房検査         課長)     田下 武弘君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会審査に関する件  農林物資規格法の一部を改正する法律案河野  謙三君外三名提出衆法第六十四号)     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  去る二十五日本委員会付託になりました河野謙三君外三名提出農林物資規格法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。まず本案趣旨について提出者説明を求めます。河野謙三君。     —————————————
  3. 河野謙三

    河野(謙)委員 ただいま議題に共せられました私外三名提出農林物資規格法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に提案理由を御説明申し上げます。  御承知のごとく、農林物資規格法は、昨年四月、第七国会を通過し、制定せられたものでありまして、その目的とするところは、農林物資について全国的に統一された日本農林規格を制定し、これを普及させることによりまして、農林物資品質の改善、生産合理化取引単純公正化及び使用消費合理化に寄与するにあります。  しかしながら、現行法によりますると、規格証票をつけることができますのは、都道府県農林省機関に限定せられておるのでありますが、乳製品やびん、カン詰等につきましては、民間団体にもこれを認めることが適当であると考えましたので、農林大臣登録を受けた法人にも規格証票を付けることができるようにした次第であります。  次に、日本農林規格審議機関として設置されておりまする農林物資規格調査会につきまして、これを諮問機関にする等の改正行つた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切にお願いいたします。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 これより質疑を行います。横田委員
  5. 横田甚太郎

    横田委員 簡単に質問します。今までのように検査をやつておりまして、どういう点が一番弊害になつてつたかということをお伺いしたい。
  6. 田下武弘

    田下説明員 御質問の要点がちよつとわかりかねますが、農林物資規格法で今まで検査をやつておりますのは、大体府県検査をやつておりますが、今提案理由の御説明の中にありましたように、農林省機関も一部検査をしております。しかしそれは林野庁が、自分で焼いた場合の炭を検査し、格付をする、あるいは林野庁自分の山で切つた原木の格付をするという場合に限られております。それ以外の品目につきましては、規格は全部この規格法で国がきめます。検査都道府県条例を出して、その条例検査をする、こういう行き方になつております。今までやりました点で、今の御質問の、不都合の点というお話は、どういう点かちよつとはつきりいたさないのでありますけれども、今度の改正で考えておりますのは、今までは府県だけしか——農林省自分の山のものだけということですから、実際問題としては府県だけしかやれないというのは、少し範囲が狭過ぎるのではないかということで、今度の改正をお願いしたい、かように考えております。
  7. 横田甚太郎

    横田委員 私が尋ねましたのは、出先機関にいるところの、検査関係している人たちが、この法規にかわることを非常に望んでおつた、そういうような運動をしておつた、こういう点です。だから検査をしているうちに、現在の規格においては合致しないものが非常にあるんじやないか。もし合致しないものがあるんだつたら、どの点が一番合致しにくかつたかという点を聞きたかつたのです。
  8. 田下武弘

    田下説明員 お答えいたします。その点は、現在の規格法自体の問題ではなくして、今もお話しましたように、法律自体は、府県検査だけの問題になりますので、法律自体の問題でなしに、この法律できめます規格内容の問題かと存じます。その規格内容は、この法律のできますまでは、指定農林物資検査法というものがございまして、それによつて都道府県強制検査を最近しております。しかし指定農林物資検査法というものは戦後できました法律で、これは価格統制と、配給統制のために規格をきめなければならぬ。上級品には幾ら公定価格、それから下級品には幾ら公定価格という公定価格をきめるために、品等の格付をしなければならぬというのと、もう一つ配給統制をするために、物が検査を受けたものでなければ売つてはいけないということで、物の流れを検査で縛つて行く。こういう考え方で、指定農林物資検査法というものができておつたわけであります。もちろんそればかりではございません。品質のいいものはいい、悪いものは悪いとするのでありますけれども、それと、終戦後物資の不足の折でありますので、規格は非常にラフな規格が出ておつたわけであります。そういうことで、自由経済になつて物も豊富に出て来た場合には、前の規格では、実際取引においてどうも合いかねる。もう少し実際の経済価値から行くと、等級段階をたくさんにつくつて、そして実際経済価値のはつきり現われるような等級にした方がいい、こういう問題があるわけであります。その点は、昨年今度御改正を願おうとする規格法を出しましてから、順次品目名規格改正を、現在われわれやりつつあるところでございます。今までやりました品目を申し上げますと、農産物関係ではみつまたとか、こうぞ、わら工品というようなものは、昨年の六月ですか、この法律が施行になりましてから改正をいたしました。それから林産物は、木炭木炭は全国に関係があるのですが、これの規格を、自由経済に沿つたような、段階をたくさんにした規格改正したわけであります。それからすぎの薄板、しいたけ、木ろう建具材料、ひば材水産物関係では、水産動物油、するめ、こんぶ、干たら、大体そういうようなものを、自由経済に合うような規格改正して行つております。まだこのほかにも、もちろん今後改正をしなければならぬ品目はございます。それは現在順次資料を整えて、改正の準備中でございます。
  9. 横田甚太郎

    横田委員 よきものはよし、農村から出る、ここに書いてございますね。農産物林産物畜産物水産物、こういうようなものの、規格に合致したいいものを出せる。買うときにも、安く、安心して買える、こういう形は非常にけつこうだと思うのです。それから聞きたいのですが、あんたは専門外だと言われるかもしれませんが、そういう形において、だれでも喜ぶ物を、安心して出せるような条件をつくる裏づけを、どう考えておられるか。私が一番不満に思いますのは、そうして検査が厳重になりますと当然犠牲を負うのは農民です、あるいは漁師です。自由経済のもとにおいては、弱肉強食であつてこれは適切ではないのですが、米の検査を見ておりましても、あんたの先の答弁の中にもあるように、三等の値打のあるものが四等になつておる、四等の値打のあるものが等外になつておる、こういう形はおそらく木材においてもそんな例があると思うのです。木材の場合には事情が違いますから、今やかましく言われておらないけれども、要は私の聞きたいのは、よいものが出ないような経済的な条件があるから、悪いものが出るのであつて、それに対して町の人たちが安心して買えるような形において、規格のみを厳重にするということは、消費者生産者といたずらに、対立せしめるものであつて、その結果として、生産者が非常にゆがめられたような条件のもとにおいて暮して行かなくちやならなくなるのじやなかろうか。だから、一ぺん聞いておきたいと思うのは、よきものを出せるような条件をつくるという意味においては、どういうふうに考えておられるかということをお聞きしておきたい。
  10. 田下武弘

    田下説明員 お答えいたします。よき物の生産のできるような条件農林省は何か考えておるか、こういう御質問と思いますが、今御質問の中にもありましたように、私の今の検査課長としてのところでは、ちよつとお答えいたしかねると思います。なお今御質問の中にありました点で、お話のように生産者側が非常に迷惑をするという場合もあると思います。しかし、わら工品などの例をとりますと、これは大量に出て来ますのは、関東、あるいは東北から、北海道漁業用むしろ、あるいは北海道雑穀用のかますというように、相当遠距離で、貨車何十車というような、大量な取引が行われるのであります。そういうことになりますと、買う方も、どこかの県で検査をしてくれなければ安心して買えない。県の検査を受けないものは、結局北海道ではもう買わぬというようなことになるのであります。そうなりますと、やはり生産県の方では、県が検査をしてやることが、生産者の、農民の保護にもなると思います。今お話のように、あるいは生産者が迷惑する場合があるかもしれませんけれども、われわれが考えて、この規格法で、なるべく全国的に規格の統一をはかりたいと申しましたのは、相当生産者利益擁護になる場合が多い、かように考えてつくつておるわけであります。  それからもう一つ申し上げておきたいのは、この規格は国でつくりますけれども検査をするかしないかの問題は府県がきめるところであります。その県が条例できめるわけであります。その条例のきめ方によりまして、府県によつては、強制検査をやるという条例をきめれば、そこの県内で生産しておる人たちは、みんな検査を受けなければならないということになりますし、府県によつては、希望者検査を受ける希望検査条例を出せば、希望者だけが検査を受ける。受けたくない生産者は受けなくてもいい、こういうことになるわけであります。その点は、その規格法には何ら規定はありませんので、それは自治法に基いて府県条例を出すということになつております。条例の問題は結局府県議会で、どちらがいいかということをおきめになることだろうと存じます。
  11. 横田甚太郎

    横田委員 先ほどのむしろの例をとりましたところが、むしろを織つておる人たちは、むしろという芸術品をこしらえておるのじやないのでありまして、むしろを織ることによつて生活をしておるのです。むしろを織つておる人の実態を見ておると、きれいなむしろを織るのはいいが、一つの制約があつて、一枚織つて幾らなんですから、できるだけ、二十枚よりか二十一枚、二十一枚よりか二十二枚織つて行くのです。これは自然の状態です。ただそのときに、二十一枚になり二十二枚になる、一枚ふえるということは、検査さえ通れば、もつとどつかに売れさえすればいいという程度商品に対する責任感しかないのは、理の当然だと思います。私はそういう意味において、売れたむしろが、検査というものをやられた場合において、悪いのですから当然売れなくなつて来ると、検査はいくら厳重にやつたところが、その裏にあるところの農民生活がよくならない限りにおいては、これは決してむしろの質がよくなるのではない。この検査規格に合うような製品ができるのではない。それを聞いたところが、あなたがお答えにならないのは当然のことであつて、これも了承するのです。もう一つつておきたいのは、ただこういふうな場合に、検査規格を良心的にあなた方がおきめになる、提案者である河野君は、人柄からいつても悪いことをする人でないことはわかるのですが、結局において、こういうふうな規格を厳重にして行つた結果として、犠牲になるのは生産者である。この事実をお認めになるかならないか、こういうふうな結果が起きてはいけないから、こういうふうな結果がないような農村をつくるためには、あなたはあなたの与えられた、あなたの持つておられる役のうちにおいて、どういうふうな主張をされ、どういうような努力をしようと思つておられるか、この点だけをお聞きしたい。
  12. 田下武弘

    田下説明員 今の御質問の、検査規格が非常に厳重なものであれば、農村でつくるものはその検査規格にはずれるものができる、そういうものは結局売れなくなつて、農家としては非常に迷惑するのではないか、そういうおそれがあるかどうか、そういうことが一つの点であつたと思います。その点は、この農林物資規格調査会で、主として規格は大体審議してもらつております。これは農産物農産物林産物林産物水産物水産物というように、それぞれ部会にわかれておりまして、部会にはもちろんわれわれ役所の関係者も入つておりますが、民間専門家、またものによりましては大学の先生の入つているのもあります。それから実際の生産者の代表の方にも委員になつていただいております。さらに、委員といたしましては一応人数に制限がありますので、実際その衝に当つている生産者方々専門委員になつていただいておりまして、その方々規格の案は十分御審議を願つてきめております。大体私の今の所管の範囲といたしましては、そういう行き方で、なるべく農村に迷惑のかからないようにやつて行きたいと考えております。
  13. 横田甚太郎

    横田委員 その売れる程度製品というのは現在の目標ですね。売れさえすればよいのです。営利社会ですからそういうことになる。ところがわれわれの伺いたいのは、実用に適する製品、そこまで行かなければならぬと思う。そうしたときに、おのずから検査というものがあつてもなくても十分に使えるところの良心的な製品ができると思うのです。こういうところまで切りかえて行つてもらいたいと思う。これはあまり長く聞きません。要は簡単にあと二問ほどお聞きいたしますが、第十七条の二項に出ております「格付のために使用する設備、機械及び器具、格付に従事する者の資格及び人員」ということであります。この資格に合致する人が民間にはどのくらいいるか、あるいは民間にどのくらいの機関があるかということが、もしわかりましたら簡単に御説明願います。
  14. 千賀康治

    千賀委員長 田下君にちよつと注意いたしますが、あなたは聞かれたことだけ答えてください。あまり冗長にわたらないように願います。
  15. 田下武弘

    田下説明員 数字としてはただいま手元に持つておりません。
  16. 千賀康治

    千賀委員長 他に質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 千賀康治

    千賀委員長 ないといたしますれば、先般川西清君より本案に対する修正案委員長手元提出されております。この際本修正案趣旨弁明を求めます。川西清君。     —————————————
  18. 川西清

    川西委員 私は、共産党を除く各派を代表いたしまして、ただいま議題と相なつております農林物資規格法の一部を改正する法律案に対しまして、お手元に配付いたしました修正案について、その趣旨弁明をいたします。  河野謙三君外三名の方により提出せられております改正法律案によりますと、従来日本農林規格によりまして格付を行うことができますものは、農林省機関及び都道府県ということになつておりますものを、今後は農林大臣登録を受けた法人もまた格付をすることができるというように改められておるのでありますが、実際にわが国の現状を見ますると、民間団体にこの権能を認めますこと自体には根本的に異論はないのでありまして、商品によつてむしろ効率的な格付がなされ得ると信じますが、一定の登録基準を備えた営利法人のすべてがこの格付を行い得ることといたしますと、信用の薄い会社自社製商品自社系検査会社検査し、格付するというような弊害も絶無であるとは申されないのでありまして、この際かような弊を避けまするために第十七条第二項の一部を修正いたしまして、農林大臣登録を受け得る法人は、これを公益法人でなければならぬようにしたいと思う次第であります。以上が修正案提出しました理由でございます。
  19. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの川西提出修正案に対しまして、御質疑ございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 千賀康治

    千賀委員長 なしと認めます。  それではこれより原案並びに修正案を一括して討論に付します。討論の御希望がございますか。     〔「討論省略」と呼ぶ者あり〕
  21. 千賀康治

    千賀委員長 討論省略という声がございますが、省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。これより採決に入ります。まず農林物資規格法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつて修正案は可決せられました。  次にただいま可決せられました修正案修正部分以外の原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつて農林物資規格法の一部を改正する法律案は、修正案のごとく修正すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に対する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。さようとりはからいます。     —————————————
  26. 千賀康治

    千賀委員長 この際閉会審査に関しましてお諮りいたします。近く会期も終ることになりますが、本委員会といたしましては、閉会中も適時委員会を開いて現下における緊要な問題について調査を進めたいと思いますが、委員会閉会審査をいたすためには、審査しようとする事件について、特に議院の議決によつて付託されなければなりません。従いまして、この際閉会中の審査事項を本委員会において協議願いまして、これを議長手元まで申し出すことにいたしたいと思います。その点をここに申し上げます。  一 食糧に関する件  一 肥料に関する件  一 畜産に関する件  一 蚕糸に関する件  一 林業に関する件  一 農林公共事業に関する件でございます。  まず閉会審査すべき事項についてお諮りいたしますが、理事諸君と協議して作成したしました案は、今申し上げました通りであります。何か御意見がございますか。いかがでございましよう。——意見なしと認めます。ただいま申し上げました六件について、議長に申出でることにいたします。  この機会にいま一つお諮りいたします。ただいま議長に申出ることにいたしました閉会中の審査事項が院議によつて委員会付託になりましたならば、調査の方法の一つとしまして、現地について実状を詳細に調査する必要も当然起ると思われますが、この委員派遣につきましては委員長に御一任を願いまして、議長の承認を得ることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めますので、さようとりはからうことにいたします。  次会は公報をもつて申し上げることといたしまして、今日はこれで散会いたします。     午後二時五十二分散会