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1951-03-19 第10回国会 衆議院 農林委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十九日(月曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 松浦 東介君    理事 中垣 國男君 理事 野原 正勝君    理事 足鹿  覺君       宇野秀次郎君    川端 佳夫君       河野 謙三君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    平野 三郎君       金子與重郎君    八百板 正君       木村  榮君    横田甚太郎君       羽田野次郎君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 三月十九日  委員越智茂君辞任につき、その補欠として川端  佳夫君が議長の指名で委員に選任された。 同日  中垣國男君及び吉川久衛君が理事補欠当選し  た。     ————————————— 三月十七日  競馬法の一部を政正する法律案小笠原八十美  君外七名提出衆法第十五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  食糧管理法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七九号)  食糧政府買数量指示に関する法律案(内  閣提出第八〇号)  農薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇九号)(予)  競馬法の一部を改正する法律案小笠原八十美  君外七名提出衆法第一五号)     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。  委員長がさしつかえがありますので、私がかわつて委員長の職務を行います。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。去る十七日理事中垣國男君及び吉川久衛君がそれぞれ委員を辞任いたされましたので、理事が二名欠員となつておりますが、両君が再び農林委員に選任せられましたので、この機会委員長において、中垣國男君及び吉川久衛君をそれぞれ理事に指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦東介

    松浦委員長代理 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 松浦東介

    松浦委員長代理 これより去る三月十七日本委員会に付託せられました小笠原八十美君外七名提出競馬法の一部を改正する法律案及び去る三月十五日予備審査のために本委員会に付託になりました内閣提出農薬取締法の一部を改正する法律案議題とし、順次審査に入ります。  まず競馬法の一部を改正する法律案趣旨について提案者説明を求めます。川端佳夫君。     —————————————
  5. 川端佳夫

    川端委員 ただいま上程になりました小笠原八十美君外七名の提案にかかる競馬法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  現在国営競馬は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜中京、京都、阪神、小倉及び宮崎の十二箇所となつておりますが、諸種の事情により、現実使用に供せられているのは新潟横浜中京及び宮崎を除く八競馬場であつて、原則として年三回以内を開催することができ、天災地変その他やむを得ない事由があつて、一競馬場において年三回開催することができないときは、その隣接競馬場においてわずか年四回開催することができるようになつているのであります。しかるに地方競馬においては、全国を通じて七十八競馬場と百六十九、——これの内訳は、都道府県四十六、指定市町村百二十三の開催主体があり、年間三百六十五日連続競馬を実施してもなお日足らざる状況にありまして、国営競馬に比し地方競馬は、実質的に競馬場ごと開催回数増加がなされているのと同様であり、従つて国営競馬馬主地方競馬馬主に比し、自己の馬を出走せしめる機会に乏しく、ために馬主経済もまた危機に瀕し、国営競馬繋養馬にして地方競馬へ移動するものがきわめて多いのであります。かかる馬主経済危機国営競馬繋養馬地方競馬のとうとうたる移動とは、従来わが国競馬最高水準として健全な進歩発達を遂げて来た国営競馬危機でもあります。かつまた地方競馬に多数の競走馬が流出するにおきましては、競走馬資源維持涵養という畜産上の観点からもはなはだ憂慮にたえないのでありまして、地方競馬における競走馬は明らかに酷使の傾向にあつて、わずか数箇月程度においてその馬体を消耗し、ために競馬重要機能の一たる種牡馬種牝馬たるべき優良馬生産地への還元ということはとうてい不可能であり、現在すでに戦前の五分の二に激減している軽種馬資源をさらに急速に枯渇せしめ、数年以内には、国営たると地方たるとを問わず、競馬自体の壊滅を招来することは必至の趨勢であります。よつてこの危機打開の一策といたしまして、この際開催不能の国営競馬場開催回数を他の競馬場において開催し、馬主経済の逼迫を緩和し、あわせて国庫收入増加をはかるとともに、種牡馬種牝馬たるべき優良馬国営競馬において多数確保し、一定年齢到達後これを生産地にすみやかに還元し、軽種馬資源維持涵養に資するとともに、健全なる競馬の存続をはかることが喫緊の要務であると認められますのと、かつまた国営競馬馬主団体の切なる要望の次第もありますので、至急これを実現せしめられたく今回競馬法一部改正法案提案いたしました次第であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同下さらんことを切望いたします。これをもつて説明を終ります。
  6. 松浦東介

  7. 島村軍次

    島村政府委員 農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと思います。  病害虫による農作物損害は、米麦のみにおきましても年々四百万石以上に達しておりまして、わが国自立経済達成上、これらの病害虫防除によつて食糧増産確保をはかることはきわめて緊要であります。政府におきましては、昭和二十五年度から相当の経費を計上いたしまして、病害虫防除による食糧増産確保を計画し、実施いたしておるのでありますが、これに必要な農薬につきましては、従来特に終戦後不正粗悪な農薬出まわりが多く、農家損害を與えておりましたばかりでなく、農薬生産に著しい悪影響を與えておりましたので、昭和二十三年農薬取締法を制定いたしまして、その実施により、これら不正粗悪農薬出まわり防止に相当効果を上げつつあるのであります。しかしながら、現行法には公定規格制度がないため、低品位農薬出まわりを防止できないばかりでなく、規格が濫出の傾向にありまして、農家はこれを判別する能力に乏しいため、その取捨選択を誤り、これら低品位農薬使用によりまして、損害を受けるばかりでなく、病害虫防除の意欲を喪失して農業生産悪影響を與えておるのであります。かような実情にかんがみまして、一定品質以下の農薬出まわりを防止するとともに、農家使用利便をはかるため、肥料取締法に準じまして、新たに農薬について公定規格制度を設けることにいたしたのであります。なお、あわせて本法施行以来の実績に照しまして、農薬に関する虚偽宣伝禁止審議会規定改正等を行う必要がありますので、農薬取締法の一部を改正する法律案提案いたした次第であります。この改正によりまして、さらに農家の利益が擁護されますとともに、農作物病害虫防除の普及が促進され、農業生産に稗益するところが少くないものと信ずる次第であります。  以下、改正の要点を簡單に御説明申上げますと、第一は、公定規格制度を新たに設けたことであります。すなわち農林大臣は、農薬種類ごと公定規格を定めることができるものといたしたのであります。しかして公定規格に適合する農薬については、公定規格の表示をしなければならないものとし、公定規格に適合せず、かつ公定規格のものより効果の劣る農薬については、品質改良指示をするとができるものといたしまして、一定品質以下の農薬出まわりを防止するとともに、農家使用利便をはかることにいたしたのであります。  第二は、虚偽宣伝等禁止規定を設けたことであります。農家の知識が低く、宣伝等に惑わされて、病害虫防除悪影響を與えるおそれがありますので新たに製造業者輸入業者または販売業者は、農薬有効成分含有量またはその効果に関しまして、誤解を生ずるおそれのある名称を使用し、または虚偽宣伝をしてはならないものといたしたのであります。  第三は、審議会規定改正いたしたことであります。審議会は、従来議決機関となつておりましたが、本法の適正な運用を期するため、諮問機関に改めますとともに、公定規格の設定、検査の方法の決定について、審議会の意見を聞くことができるものと改めたのであります。  その他本法施行以来の実情にかんがみまして、取締りの適正とその徹底をはかるため、登録票の備えつけ、聽聞制度登録制限に関する規定を新たに加えますとともに、登録手続及び取締りに関する規定に修正を加えることにいたした次第であります。  何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同を得たいと存ずる次第であります。
  8. 松浦東介

    松浦委員長代理 ただいま説明された両法案に対する質疑次会にこれを行います。     —————————————
  9. 松浦東介

    松浦委員長代理 次に、これより食糧管理法の一部を改正する法律案及び食糧政府買数量指示に関する法律案の両案を一括議題といたし質疑を行います。通告順によりこれを許します。金子興重郎君。
  10. 金子與重郎

    金子委員 食糧管理法の一部を改正する法律案食糧政府買数量指示に関する法律案とあつちこつちと混同して質問をするかもしれませんが、御了承願います。  最初に御質問申し上げることは、麦類買上げを、政府は任意の立場で、国家が必要と認めたときに限つてこれを行うというように改正されようとしているのでありますが、この場合、政府買上げ強制買上げになると思いますが、この買い上げた麦を——そのときには麦類配給は自由の形になつておりますから、それを拂い下げる場合にはどういうふうな形で行われるのか。またこの問題は、配給統制をやめた後における輸入食糧の場合にも同じことが出て来ると思うのでありますが、拂下げ形式は具体的にはどういう方法で行われるかということを聞きたいのであります。
  11. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これはなお十分研究をしなければならぬ問題でありますが、大体の考え方といたしましては、輸入の麦には補給金がついております。そうした関係からいいまして、これを入札等によつて価格相当あおるような状況によつて出すことは適当でないと思います。それで実需者、主として実需者と見ることになると思いますが、そういうところに割当をいたしまして処分をして行くという形が一番妥当じやないかというふうに、ただいまのところ思つております。
  12. 金子與重郎

    金子委員 輸入食糧の問題につきましては、ただいまのお話のように、競争入札とするということになりますと、せつかく国家はこれに対して補給金を出しておきながら、今度はそこに競争入札によるせり上げができて来る。そうすると補給金を出すという目的の逆の結果が出ることが一つ考えられるのと、もう一つ逆の場合をよく考えなければならぬと思うのであります。それは割当をして、特定な人に特定価格でもつて拂い下げるということになると、たとえば、今度この農林委員会で非常に問題になつた、あなたの方で持つている飼料資源についても、この非常時を救うために、特定実需者に対して特定価格で出してほしい、こういうような農林委員会要望であつたけれども現実の問題になりますと、当局がさじ加減というものを最大限したけれども、基本的に会計法というものの基本法律に触れるために、どうにもならない結果が現在出ておるのであります。そうしますと、もつともこれは政府品物ではないと言えばそれまででありますが、これは政府品物と同じことであります。補給金がたくさん出ております。また買上げしたものは政府品物であります。これを特定な人に特定価格拂下げができるかどうか。
  13. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 会計法をもう少し詳細に検討する必要がありますけれども随意契約をやります場合は、会計法上いろいろな例示が載つておりますので、あの例示を引用することによつて、そうした目的の場合には随意契約も可能ではないかと思つております。
  14. 金子與重郎

    金子委員 そういう方法が可能であるとするならば、今度のえさの問題などもさつそくそういう方法使つて、こういう大きな問題にならぬようにして行けるのではないか。そういうことが最近えさの問題とからみ合つて農林委員会は非常に不満を持つている。しかし一方会計法がこういうようにするのだからどうにもならぬとここで、答弁しているわけであります。政府が買い上げた品物特定人たちに拂い下げるという目的は、生産資材の値上げをしないという建前から、話としてはわかるのでありますけれども、今度と同じような問題が出るのではないかと思う。会計法の特例たり何なりに対して、私はまだ勉強しておりませんのでよくわかりませんけれども、ここに相当の問題が起るのではないか。もう一つ割当をするやり方につきましても、たとえば現段階におきまする小麦製粉会社への割当を見ましても、もしもあれを競争入札で行くならば、もつともつとコストが下げられると思う。なるほど中型製粉やその他の製粉において、品質云々ということはありますけれども、それも大型製粉だけが製粉会社のような形をとつてつて、それだけを対象にしてやるからして、新しい企業形態のものができて来ない。ことに製粉のごときを見ますと、大会社が大きな組織を持つているから品質のいいのができる、そしてコストが安いかと申しますと、かえつてそうでない。今の事情を見ましても、むしろ中型製粉程度のものが、質においてもそう劣つているわけでもないし、コストの安いものができている事実がある。御承知のように、今の製粉工程の機械の状態を見ましても、日本製粉ダイヤグラムは非常に旧式であります。ずつと昔にアメリカから入つた通りをやつている。ことに日本のような硬質小麦少い地帶におきながら、要するにアメリカ直輸入ダイヤグラムでやつているために——能率的にも品質的にも必ずしも日清日本というような大製粉ダイヤグラムがいいとは言えない。そうするならば、どうしてああいうものが日本的に発展しないかと言えば、資本力において大資本企業が独占して、おつたから発展もしないで、でんとそこに位置を構えておられたわけであります。これが自由競争になれば、製粉技術の上からいつて進歩すると思う。そういう点から現段階拂下げ状態を見ても、私どもはもつとコストが安くできると思うけれども、依然として大製粉本位配給なり加工計画を立てている。それが引続いて今度は麦の政府買上げされたものを、民間の自由商業の中へ拂い下げる場合でも、これを割当することになると、それと同じような結果が出て来るのではないか、ひいては農民の売渡し価格と、それから消費者配給を受ける価格との間に非常な開きが出て来る。そのコストの高いことは、生産消費の間に大きな開きができて来る。そこで統制の正しいコースをとらずに、やみで横へ流して行く方が一消費者立場においても、生産者立場においても有利だという、今の統制もそこから困難が来ておる。それを助長するのではないかと思うのです。そこで私は政府買上げのものに対して、会計法その他で何らかの考慮をして、かりに今お話のような、特定価格特定な人に割当て配給をするといたしましても、そのやり方に対しては、非常な問題と考慮されるべき点があるじやないか、こう私は思うのでありますが、そうなりましても、はたして大型製粉本位のような形で行かれる見込みですか、その点をお聞きしたいのです。
  15. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これは実は非常に検討を加えておる問題でありますが、一つ考え方といたしまして、ちようど米穀統制法運用の場合のような、一定価格によつて制限に売つて行くという行き方が考えられると思う。政府において相当大きなストックを持ちます場合には、これは価格安定の面において相当きくと思うのであります。状況が許しますれば、そういう行き方もとり得ると思いますけれども、私が申し上げましたのは、安全度から見ますれば、割当てでもつてそれにひもをつけてやつて行くというやり方をした方が、価格安定の上により効果的ではないかという考え方をいたしておるわけでありまして、それの法規的な関係につきましては、会計法を詳細検討して、みたい、こう思つておるわけであります。その場合に、一定の者にそれを渡すというその基準を何に求めるかということでございますが、これはもちろんこの大型のみに出すというわけには参りませんので、現在政府委託加工をやつておりますような、ああいう対象工場についてやつて参るのが、一番適切じやなかろうかというふうに思つております。現在でもあえて大型工場のみを優遇いたしておるのではありません。一面コスト関係から申しますと、あの工場を縮小いたしまして、大型あるいは中型等に集中をいたしますれば、コスト関係は、運転日数関係もありまして、もつと引下がるということも予想されるのでありますけれども産業全般関係から、少し手広く割当てをいたしておるような状況であります。これを急激に変更いたしますことは、どうかと思います。その辺は、大体そうした方針を踏襲して行くのが穏当ではなかろうか、そう思つております。
  16. 金子與重郎

    金子委員 この問題は、麦類法律案が通過するしないにかかわらず麦の統制、ことに配給面統制をやめるということになりますと、当然出て来る問題であります。ただここに具体的な方法につきましての案がありませんから、この問題は後に譲ることにいたしますが、この問題は麦の統制撤廃をかたちんばにやろうとしておるだけに、問題が今後に非常に大きく残される、こう考えておりますので、このことにつきましては、事実上役所だけで軽々に行われないで、私どもの納得するような方法で今後研究していただきたい。この点についてはお願いをしておきます。  それから麦類配給をまつたく自由にするのを、一体いつの時期に見ておるかということであります。
  17. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大体の構想は、去年の暮れ三相会談基本方針を決定いたしましたが、その際の考え方として、麦をはずすといたしますれば、七月から麦の配給並びに各種の流通上の制限をやめる、つまり自由になるわけでございます。しかし消費者といたしまして、急に自由にされました場合に、はたして必ず今までとあまり隔たりのない価格で買えるかどうかということについて、心理的な不安があつてはならぬという考えからいたしまして、統制をはずしましても七、八、九、十と、遅くとも十月まではクーポン制による裏づけはやつて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。従つて七月から十月までの間は、自由の麦並びに麦製品消費者といたしては買えますけれども、一方クーポン消費者の手元に参りますから、そのクーポン裏づけになりまするものもクーポンによつて買い得る。そうすると市場にはクーポン裏づけのある麦並びに麦製品と、自由の麦並びに麦製品が二本流れて行くわけであります。そういたしますれば、消費者といたしましてその期間に自由に買い得るというような心理が確実になつて参りまして、十一月からクーポン制を廃止いたしましても、麦については自由な流通機構というものになれてしまいまして、その間に不安がないということになるのではなかろうか。そういたしますと、七月に自由にいたしましても、七—十はクーポン制によつて裏づけをいたしまして、十一月からクーポンもやめる、麦が完全な自由の状態に入るというような構想を大体持つておるわけであります。
  18. 金子與重郎

    金子委員 そうしますと、さつきの話にもどるようでありますが、かりに十一月から麦製品に対しては、配給量においても、価格においてもまつたく自由な立場に置くということになりまするが、政府は先ほどの政府手持ちなり、あるいは輸入食糧とか、何らかの方法をもちまして、一定価格ないしは一定に近い価格で、特定の人ないしは特定の人に近い機関に対して拂下げをする。そうして、それが経済界なりあるいは食糧事情の変化によつてどんなにもうかつても、これはしかたがない、こういう見解になるわけですか。
  19. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 七月から十月までの間は、そうしたクーポン制裏づけのあるものを流すわけでありますから、先ほど申し上げたように、裏打ちをする意味においての流し方をしなければならぬと思います。今度は十一月以降の売却の問題になりますが、この方式は、これもまだ未定稿でありまして、いろいろ検討をしている最中でありますけれども、やはり補給金のついておりまするものであつて、これを流した場合に、これが中間において相当うまいしるを吸われてしまい、消費君の価格を安定させるという趣旨に沿わぬというような流し方であつては、絶対にいかぬ問題でありますので、広い意味においての時価による入札というようなことではなくて、やはり一定価格によつて申込みがあつた場合には売つてやり、そのもの対しては契約上の束縛をいたしまして、契約でもつてこういう措置、あるいはこういう価格で、こういうルートで流すべきだというようなことをいたしまして処分するということが、一つ方法かと思うのであります。一方それに違反いたしました場合に——これは私法上の契約でありますから、必ずしも刑罰問題は出て来なかろうかと思います。今後そのものに対しては処分をしないとか、違約金を徴收するというような措置ができましても、そうでない刑事上の問題は発生いたしませんが、これも研究中でありまして、その価格というようなものを、一つ暴利取締令基準価格というふうに見まして、暴利取締令の発動の一つ価格というようなことを考えて、それによつて取締りをして行くということも、一つ方法ではなかろうかというふうに考えておるのであります。その辺はまだ最後的の結論は出しておりませんけれども、そうした線に沿うて検討いたしておる最中であります。
  20. 金子與重郎

    金子委員 ただいま御説明がありましたが、これだけ範囲の広い中で、ことに麦類は第一次加工、第二次加工の問題があり、その下に卸売があり、小売があり、相当錯雑した状態にあるのに、統制をはずせば、そのためにいろいろな間接的な煩雑さというものがなくなるという今の説明範囲では、今後統制を解除して、そうしてかりに條件付契約によつて売渡しをいたしましても、それがはたして政府の意図するような形において消費者の手に届くかどうかということに対しては、非常に疑問がある。またこれを徹底させようとするならば、これはさくの中にいる牛をつかまえるのでなくて、さくの外に離れた牛をつかまえるほど骨が折れる、かえつて手数がかかつて来るというふうな感じがするのであります。しかしながらこれは私の感じでありますから、それをどうこう申し上げるのではありませんが、結局この点につきましても、拂下げの問題と同じように、その後における加工あるいは運送、末端配給までの政府の監督、あるいは契約履行ができるかできないかということに対しては、非常に疑問があるのでありますが、この点も今研究中であるということであれば別でありますが、よほど真剣な立場研究いたしませんと、また具体的の方策がありませんと、結局は非常な無理をして、政府生産者から買い上げることになる。政府は決して無理な買上げはしないということを、常に買上げの過程において言うておるのでありますが、無理な買上げをしたということは、政府をして言わしめれば一度もないのでありますが、われわれ末端におりますと、無理な買上げでなかつたことは一度もない。せいぜい今年の米が幾分量が少かつた程度でありまして、いつでも大きなおどかしをかけて来るのであります。米麦生産費というものは、その土地々々によつて非常に相違があるのでありますからして、生産費の安い所では引合うと言うだろうけれども、しかしながら生産費の高くつく所からは、とうていこれでは半分にも及ばないというような相談を受けるわけであります。そういう点から行きまして、それが配給の結果、あるいは業界の利潤というようなものを目の前に見せつけられますならば、農民の生産なり、供出の意欲にも非常に大きな影響力を持ちますので、この点は研究中だと申しますからこれ以上申しませんが、この点について、政府としては十分御研究を願いたいと思います。  それから食糧政府買数量指示に関する法律案につきまして、第三條と、それから第四條にも同じようなことがあるのでありますが、都道府県農業委員会の意見を聞くというふうにこの法案においてはなつておるのであります。これはかつての農業調整委員会のときには、そこに議決権を認めておつたと思うのでありますが、どういうわけで、この法律をかえることによつて、軽い意味の意見を聞くという程度なつたのか、その理由はどういうところにありますか。
  21. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 先ほどの問題はもつと愼重に研究いたしたいと思いますが、ちよつと気がかりな点がありますのでつけ加えておきます。かりに食管法の第三條で割当買入れをするということになつた場合には、これは国民食糧の確保上必要なためにそれをやるということでありますので、配給の面について、やはり割当配給でもせざるを得ないという状況になるのじやなかろうかと私は思います。一方生産者からは割当買入れをしながら、その買入れましたものを自由に処分をするということは、これはできなかろうと思います。私が先ほど申しましたのは、割当買入れをしない場合の麦の流通についての大体の考え方を申し上げたのであります。割当買入れをするというような事態になりますれば、買い入れる方だけをそういたしまして、流通なり消費の面を野放図にしておくというわけには参りませんので、割当買入れをするような事態になりますならば、その方面における規正もおのずから伴わざるを得ないだろうというふうに考えておりますから、御了承願います。  それから前には、農業調整委員会議決機関でありましたが、今度は諮問機関になります。これはいろいろ内部にも議論がございまして、当然従来は決議でやつて来ており、十分御協力を得ておりますので、決議でいいじやないかという議論もありました。ただ農業委員会法案全般の構成から見まして、これだけが決議になることは、ほかの関係からも考えていろいろ議論しました結果、諮問になつたのであります。しかしこの諮問は單なる諮問ではなくて、決議と同様の意味において運用すべきであるということを現わしたいということで、これを相当尊重しなければならぬという一項を加えまして、決議という字は使いませんでしたが、決議と同じものであるということを法文上明示いたしたということで御審議願いたいと思います。
  22. 金子與重郎

    金子委員 どうもあぶなつかしい御説明ですが、これは決議にしておつたために、今まで相当長い期間あの苦しい供出をやつて参りました。その過程におきまして、とにかく県段階におきましても、町村段階におきましても、議決機関だということで、結局政府が一方的に押しつけた数字を、この人たちが苦労をしてのんでおるのであります。それをことさらに諮問ということにするのは、今までは、自分たちが決議したのだから、自分の郡へ帰つても、村へ帰つてもやらせなければならぬという気持が出たのでありますけれども、單に諮問ということでは責任もなくなり、こういうふうにしたことがかえつて効果をマイナスにする。役人としてはこの方が楽に思うかもしれぬけれども、今まで議決機関であつたために、一定の数字を指示しても、のまないという問題が起つたならば別でありますけれども、今までの調整委員会が、農民と役所の板ばさみになつて、非常に苦しみながらも国から割当てた数字を下の方ヘおろして納得させているのであります。これだけ大きな仕事をしている調整委員会の仕事を無視して、この際意見を聞く程度にすることは、かえつて実績上マイナスになると思います。それから、ほかの部分も諮問だからこれも諮問にしたと言われるが、それでは話にならぬ。たとえば村の農産物の販売計画をどうするか、農業計画をどうするか、これは村全体の問題でありますから、この人たちが決議したつて、この人たちだけでできる問題ではない。だから諮問でも、意見でもけつこうであります。しかし、これはその人たち末端に持帰つてやるのでありますから、この点はどうも納得できないということを申し上げておきます。
  23. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいまのお話は、私もその通りだと存じております。議決機関にいたしましても、やはり関係者が自己の責任において決定したことでありますから、その趣旨に沿つて最大の努力をいただいており、その結果今までのような成績を上げておる。きめますときには非常にもみますけれども、きめたあとは非常にスムーズに行くというのが実情だと思つております。その辺御審議を願つて……。
  24. 金子與重郎

    金子委員 それではこの問題は、私の考え方政府考え方も一致しておりますので、あとにしたいと思います。  それから先ほどの長官の補足の答弁でありますが、そのことにつきまして、私が配給統制を解除した後には、この問題は非常に困難性を持つて来ると申しますのは、最後のあなたの答弁の中で、もしも国家が、必要なりと認めて農民から割当買上げをするというふうな段階になりましたときには、当然配給も放任さるべき問題ではないだろうと思うというふうなお話でありますが、その点は私もそう思います。しかしながら、先ほども申したように、統制が單に公定価格をきめたとか、拂下げ価格をきめたとか、ないしはその契約によつて、こういうふうに流してはいけないというふうな契約條項というようなことで、この複雑した世の中で、しかも個人々々の感情は、いかにしてもうけんかなというふうな感情の上に立つて生活しておるこの社会で、そういうふうなことだけで統制ができるのだつたら、統制というものは非常に簡單なのであります。結局その統制をするためにいろいろの機関をつくる、機構を立て直す、配給なり加工なりの機関や機構を立てて来たことが今日までなのでありますが、この機構を守るために、たくさんの煩雑さと費用とが要するのでありますが、さればといつて——これは家畜で言うならばいわゆる鶏のさくであります。鶏のさくをみなとつてしまつてから、鶏集まれというふうなことでは、どうやつてみても鶏はよく集まらぬ。結局一定さくの中に入れておいて、この組は十羽、この組は二十羽とやつたときに整然としておるようでありますが、そのさくととつてから、お前二十羽にかたまつてくれ、お前は十羽にかたまつてくれと言つても、容易にこれはかたまるものではない。そこに私は、統制をいたしますときの、統制強化の過程におきましても、統制をこういうふうに解いて行きます過程においても、同じような苦しみと欠陷が出て参ると思うのでありますが、その点はどうにも解決のつかぬような大きな問題だと思いますので、十分御研究願いたいと思います。  それから最後に、これは直接法律の問題でありませんが、統制上必要でありますのでお伺いいたしたい。これはどなたからか質問が出ておるかもしれませんが、今の政府の米の買上げの平均、たとえば今度買い上げました昨年度の買上げでけつこうですが、それの平均価格と、それから今の末端配給価格関係、それから小麦、大麦製品に対しますところの末端価格、これだけを後ほどちよつと知らせておいていただきたい。質問はこれで打切ります。
  25. 松浦東介

  26. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、食糧管理法の一部改正並びに食糧政府買数量指示に関する法律案審議に関連いたしまして、二、三お尋ね申し上げたいのです。それは、この法律の中心である麦の統制撤廃問題に対して、最近において総司令部関係から、短時日の間にいろいろな覚書等が発せられているやに聞いておるのであります。またそれをわれわれ考えますと、必ずしも政府が考えておる麦の統制撤廃指示しておるとも考えられないように、新聞紙上においては見受けておるのであります。これと相呼応するかのごとく、全国の農民団体は、こぞつて麦の統制撤廃に反対をし、そうして先般東京において大会を開いて、正式な態度を決定しておるのであります。これらの事実に徴して、政府はなおこの麦類統制撤廃を強行して行こうという——新しいこのような情勢が動いて来ておりましても、なおこれを強行して行くお考えでありますかどうか。  これに関連をいたしまして、三月十日、マーカット経済科学局長から非公式書簡が発せられ、政府部内における意見の不統一、あるいは食糧政策の一貫性を欠いた点等が指摘されたと伝えられておるのでありますが、そのマーカット書簡の内容はどういうものでありますか、お伺いいたしたいと思います。
  27. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 マーカット書簡は発表いたさないということにいたしておりますので、さよう御了承願います。その当時、新聞にいろいろ出ましたが、要点を若干申し上げますれば、いろいろ新聞紙上に散見するところによると、相矛盾したような記事が報道されておる、その辺は日本政府はどういうふうに考えておるかということについての質問が主であります。私どもといたしましては、昨年来統制の緩和ないし解除という問題について、いろいろ検討を加えて来ておりましたが、去年の暮に最終的な結論を得まして、それによつて予算も組み、また法制も整備しておるのでありまして、その方針には変更はございません。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、マーカット書簡は、資料としても御公開は願えないというわけですか。国会といえども内示はできないのですか。
  29. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これは公開提出をいたさないことにいたしております。それから法案につきましては、これも新聞で御承知だと思いますけれども、あれでよろしいということで、正式のアプルーバルが参つております。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 マーカツト書簡の内容は、正式にお出しを願うことができなければ、それでけつこうであります。われわれは他の方法で調べることにいたしたいと思います。これと関連して、政府が麦の統制を撤廃していいという考え方に立つた大きな原因は、外貨予算でもつて食糧は十分輸入ができるという考え方の、一億二千万ドル程度の外貨予算を食糧に振り向けて行くという計画を立て、それによつて着々計画を進行しておる。従つて輸入食糧の確保は心配はいらないという先般私どもが結成いたしております食糧緊急対策委員会に対しての政府の回答を、われわれはいただいておるのでありますか、先般伝えるところによりますと、この外貨予算から食糧を除外されたと伝えられておる事実があるのでありますが、これは政府自身が豪語しておつたにもかかわらず、食糧輸入についての資金計画の重要な場面が破調を来しつつある事実ではないかと、われわれは考えるのでありますが、これらの点について、その事実があるかどうか。またそれに対していかような対策を持つておいでになるか、お尋ねを申し上げたい。
  31. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 外貨予算から削除されたというのは、何かの誤道ではなかろうかと思いますが、誤道が出ましたと一応推定いたされますのは、四月—六月の外貨予算において私どもが最後的に関係方面に持ち出したものが七、八十万トンの食糧輸入である。当初百万トンをちよつと越えるものを組んだのですが、ほかとの物資の調整も考慮いたしまして、七、八十万トンということに考慮して提出しております。全然外貨、予算から食糧輸入が削除されたということはございません。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、外貨予算から食糧が除外されたという事実はないわけですね。  次にお伺いいたしますが、十三日にマツカーサー元帥の代理であるブツシユ代将から正式の覚書が来たことについて、ただいま長官は総司令部の方針日本政府方針を認めてくれたものであるというような御解釈であつたのですが、巷聞伝えられるところによると、それには條件がついていて、いかなる場合日でも統制をただちに復活して、しかも強化できるような法規的な内容を持つことが條件になつておるように聞いておるのでありますが、事実そうでありますか。
  33. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 その通りであります。こちらから出しましたものは、ただいま御審議を願つておりまする食管法の改正案であります。これを向うに出しておるわけであります。その中には、三條一項ですか、国民の食糧確保上必要な場合日には、割当買入れをすることができるという一項がございます。これを指して、それがついておるならばそれでよろしいのだという意味で、回答が来たのであります。
  34. 八百板正

    ○八百板委員 ただいまの問題に関連してこの際少しお聞きいたしたいと思うのでありますが、ある新聞の報道によりますと、「ポンド地域輸入とまる決済資金の不足から」と報道せられておるのであります。すなわち、「外国為替管理委員会は英系銀行側の要請により六日夕、日本側為替銀行に対し、ポンド地域向け輸入信用状の発行を全面的に停止するよう指示した。これはクレジツト・ラインの拡大が先に英系銀行と外為委との間に了解がついたが、この実施に当つて現在決済資金(ポンド資金)が不足しているので、この調達方法について英系銀行と外為委との間に話し合いがつかず、当分の間ポンドの輸入信用状発行停止の措置をとつたものである。」というふうに報道せられておるのでありますが、この点、ただいまの足鹿委員に対するお答えと関連いたしまして、少し了解できない点がございますので、この点について少し明らかにしていただきたいと思うのであります。
  35. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 ただいまの点は私はまだ承知いたしておりません。食糧輸入の面については、いろいろ変遷はありましようけれども、従来並びに現在は順調に入つて来ております。四—六の輸入につきましては、ただいま申し上げましたように、地域的にきめまして、七十万トン食糧輸入計画を立てて、ただいま折衝いたしておるということであります。お尋ねの点は私も再調査いたして見ますが、十分承知いたしておりません。
  36. 八百板正

    ○八百板委員 スターリング地域に対する輸出不振でもつて、ポンド資金が悪化いたして参つております。そのためにビルマ米や濠州麦などの買付が非常に困難だという状況が、これと関連して起こつておるようにわれわれは聞いておるのでありますが、濠州麦は、米国とかカナダとかのドル資金による買付によつて振りかえることができるという見込みでもつて関係方面と折衝中であると聞いておるのでありますが、それにいたしましても、ドルとポンドの振りかえには限度がある、たとえば五百万ポンドという限度があるというふうに聞いておりますので、そういうことになるならば、当然にスターリング地域への輸出不振に基くドル資金の悪化は、食糧買付の上に大きな影響を與えるものであろうと私は考えるのであります。さらにドルが食糧輸入に優先しないというふうな方針をとられておるようにわれわれは聞いておるのでありますが、この点について食糧長官はどういうふうにお考えになつておられますか、これもあわせてお尋ねいたしておきたいと思います。
  37. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 シャムの関係については三十万トンの話がつきまして、これが今輸入について着々進行いたしております。なお私どもの見方といたしましては、その上十万トン程度のものは輸出してもらえるものであろうということで、その線に沿うて交渉いたしたいと考えております。ビルマについても、いろいろ決済上の条件はありますが、     〔松浦委員長代理退席、野原委員長代理着席〕 十五万トン程度のものは私どもはできるという見通しで、いろいろただいま交渉しておるわけであります。従つて従来の計画を、食糧の面につきましてはそうさしたる変更を来さずに、南方の米の輸入ができると存じております。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 もう二、三お尋ね申し上げて打切りたいと思います。要するに長官の御答弁によりますと、本法案の提出後における総司令部の動きなり、あるいはまた一般農村団体の世論はあつても、既定方針通りやる。しかし再統制への復帰も一応考えておいでになるようにわれわれは考えます。さようなことの当否につきましては、追つて議論の際に申し上げますが、いずれにしてみましても、問題は今後は価格面に大きな問題が残つて来ると思うのです。政府が必要と認めた場合は、いつでも麦の強権買上げ政府はやることになつておるのでありますが、その買上げ価格の根拠は、麦価の決定方式については、政府部内においても再検討するというお考えがあるようでありますが、最近のパリテイの上昇は、実にはなはだしいものがあるのであります。すでに現存政府が予算單価に組んでおられるところの想定麦価は、現在の八一・三を六四に対米比価を切り落し、その單価において組まれておる。しかし現実において昨年の十月に組まれた單価は、今日のパリテイの上昇とはおよそかけ離れた、そぐわないものになつておることは事実なのでありますが、これについて一体どのような対案を持つておいでになるのでありますか、先日も廣川農林大臣にこの点についてお尋ねしたのでありますが、少くとも再統制への含みを持つ。自由にした、自由にしたと言いながら、一方においては国民食糧確保のため必要と認めた場合は、いつでも強権供出ができる、こういうかつてな法律をつくり、しかも現在の麦価は対米比価を著しく切下げて行く。かようなことで、はたして農民がこれに即応して、政府がもし必要とした場合でも、国策に協力して供出意欲を振起して出すでありましようか。おそらく問題は非常に深刻になろうと思うのであります。価格の問題について確かに矛盾が明らかに出ておる。この点については非常に大きな問題だと思うのですが、対米比価再検討についての御構想はどういうものであるか。また一説に言われておる現在の対米比価を下まわらぬという意味は、一体どういう意味であるか。もう少し麦価の問題について、母体的に御方針を承りたいのであります。
  39. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 麦価が六四になつたということで、非常に下げられたというような御印象をお持ちでありますけれども、これは従来の八十幾つとか何とかというものの比較において御検討願うといたしますると、六四という数字が妙な数字になるのであります。と申しますのは、今年の米価をきめます際に、パリテイ計算ではじいたものに一割五分かの加算額をつけ加えております。これは超過供出奨励金その他の財源を振り当てまして、パリテイ計算ではじいたものに対して、プラス・アルフアーというものをつけております。この総体についての比率が六四ということでありまして、パリティ計算ではじきました価格とこの麦価とを比較いたしますれば、七四、五になろうかと思います。それは計算の基礎になりました数字を彼此勘案いたしました場合の感じであります。従つて従来通りの考え方をいたしますれば、八〇からただちに六〇台に落したということではなくて、その間七〇幾つになつたのでありまして、一〇程度落したということであります。  それから米価と麦価との開きにつきましては、非常に窮乏いたしておりますれば、やはり代用品等が値上りをいたしますのと同じような意味におきまして、また増産の点からいたしましても、対米比価を上げざるを得ないし、上げて来ておつたのであります。しかし経済状態がノルマルになつて参りますれば、これは経済現象といたしましても、自然にそこへおちついて行く性質のものだろうと思います。しかしそれは急激にそうしたことになつても、農業生産の上いろいろ支障を来しますので、対米比価六四という線を明示いたしまして、そういう線でならば、政府は幾らでも買うというような意味においてのてこ入れをいたしている価格になると思います。これは七四と考えてもいいわけであります。従つてなお十分今後の状況の変化に応じまして麦価の点については検討を加えたいと思いますけれども、現状におきまして、私どもは、そうした価格によつて非常に無理をかけている価格ではないというふうに、実は考えております。六四という数字が非常におかしい低い数字になつておりますけれども、実質的な比較をいたしますれば、七四、五であつたかと思うのであります。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもその答弁は私了承ができかねる。どうして七四になるのですか。六四で、大麦の場合は五四ということで、これははつきりと政府が発表しておられるのであつて、プラス、アルフアーの問題があるから七四に相当するのだというのは、これはどうもまことに苦しい答弁であろうと思う。要するに現在の対米比価を下まわらなければいいのではないかというようなお考えのようである。そのこと自体が、現在の物価の上昇率に関連して、米価自身も、政府はまだ今度の補正予算については改訂のお考えがないように、大蔵大臣は予算委員会でも発表しておられますが、事実そうですが。
  41. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 本年産米の米価については、予算には一定のパリテイの上昇率を見込んで予算米価はきまつておりますが、これは予算上の価格でありまして、現実にパリテイがもつと上る、あるいは生産費計算主義をとれば、生産費の上においてそれが上るという結果になりますれば、予算とは別に、予算米価と切り離して、現実の米価を決定せざるを得ないし、そうすることが適当であろうと思います。従来ともそういうことをやつて来ております。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 そうするとさつき長官が言われた七四という比率はどこから出るのですか。この予算米価をある程度現実の米価に当てはめて、これを増額して行く、その場合に対米比価六四、大麦の場合は五四という比率によつて、実際問題として計算されて行くことになるのではないですか。どうもそこら辺が私にはわからない。
  43. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今、予算上組んでおります麦価の比率は六四、これはまるまるを比較いたします六四でありますが、一割五分のものを除いたものを比較いたしますと七四、五だろうと思います。そういうふうになるということを申し上げたのであります。今後米価が非常に上りました場合に、この麦価の比率をどうするかということは、これは十分検討してみなければならぬと思います。予算はそういうやり方をいたしております。予算で立てておりますのが六四と俗に言われておりますが、従来と同じような筆法で対米比価を検討すれば、七四、五と理解するのが正しいのではないかということであります。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 これはいくら押し問答してもいたし方がないからやめますが、結論的には、麦価の問題については、再検討して行く意思があることだけは明らかになつたのですね。そう解釈してよいのですね。  最後にもう一点、直接麦価の問題と関係はありませんが、雑穀の価格の問題について、供出価格と最近の政府売渡し価格との間に相当の差額がついている。産地の北海道その他の方面の農民は、この問題を非常に重要視して、先般の全国の農民大会においても悲痛な叫びをあげている。これについて、政府はいかような措置をとつておいでになるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 雑穀が一種の気違い相場で非常な値上りをしている。これは日ならずしてもつと鎮静して来るものだと思いますけれども統制解除をめぐりまして、その前後において、みんながちようちんをつけて相当な値段を出している。政府は新しい物はあまり処分いたしておりませんが、今後大豆の処分をいたします。これもいろいろ農林委員会の御意見等もございますが、できるだけ実需者に、そうとつぴな値段でない、一定の値段に近いような線において処分をしたいということで、そういう方向で進めております。かりにそうした処分が終つて、差益が相当出た場合には、やはり食管特別会計に保留すべき性質のものではないというふうに考えます。従つてそうしたものが出て参りますれば、これは何かの形において生産者にバツク・ペイをしたいという方向で進みたいと考えております。
  46. 野原正勝

    ○野原委員長代理 河野委員
  47. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私はこの法案につきましては、根本的にはまつたく同意するものでありますが、ただ法案の内容、実施の面について、少しく政府にただしておきたいと思います。と申しますのは、まず配給の面です。食糧公団を廃止していよいよ民間に切りかえるが、この場合における根本的な、しかも一番大きな理由は、経費の節減の点であろうと思いますけれども、いよいよこの実施に当つて、内容的にはたして経費の節減ができるやいなやという問題であります。なぜ私がかようなことを申し上げるかと申しますと、前回末端の切り離しをやりましたときに、小売の手数料が非常にふえております。しかもこの小売の手数料のふえているのが、真に必要なものによつてふえておるならよいけれども、内容において非常に疑わしいものがあります。たとえば、その小売のマージンの中の金利のごときは、はたしてどういうところからそういう金利を出したか。また今度卸のマージンの中に相当多くの金利が含まれている。卸が小売に貸す、そこでその小売の金利は、ほとんど卸の金利でカバーできているはずです。しかもさきには小売の金利を卸の金利以上のものを見ている。小さなことのようでありますが、かように民間に切りかえることによつて、各段階ごとにだぶつていろいろな経費を加算するということは、結局において、これが積り積つて統制時代よりも逆に、中間経費がふくらむという結果になると私は思います。過日政務次官を通じて資料を要求しておきましたが、ただいま簡單な資料をいただきましたので、さらにこまかく資料をいただいて御説明いただこうと思つております。しかしながら今日の段階においては、大ざつぱでよいのですが、切りかえすることによつて、今までの中間経費よりもどれだけ経費の節減ができるか、また少くとも経費の膨張にならぬということが言い得るかどうか、これをひとつ教えていただきたいと思います。  それからもう一つここで具体的にお答え願いたいのは、これも過日の委員会で政務次官に資料を要求しておいたのですが、問題は、公団がやめになりまして、各地方の市町村の配給事務が非常にふえるのです。御承知のようにこの事務は、私一々読み上げてもいいのですが、六つか七つほど新規にこまかい仕事がいろいろふえる。これにつきまして、地方自治体の財政というものは、平衡交代金をめぐつて非常に問題が大きくなつたということも御承知の通りであります。今後地方の自治体に新しく仕事をさせる場合に、財政の裏づけが中央政府において当然考えられなければならない。ところがこれが私は考えられてないと思う。はたしてこの食糧配給事務を市町村に大きくかぶせる、その裏づけの財政的の負担について、政府は何を考えておられるか、これをひとつ御説明いただきたい、かように思います。
  48. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 民営になりました場合の、卸小売のマージンの内容あるいは算定の基礎についてお話がございましたが、大体から申しまして、総額は、本年の一月に消費者価格を設定した場合に見込みましたものでやつておるわけでありまして、当時予想いたしたものよりもふくらしてはございませんので、この点だけ御了承願つておきたいと思います。詳細の内容につきましては、後刻資料で御説明申し上げます。  それから配給公団はやめになりまして、府県あるいは市町村の行政事務が相当ふえて参るであろうことは事実であります。これについて、平衡交付金の方を増額してくれという要望相当ございます。しかし平衡交付金は相当大きなものでございまして、この配給面の行政事務のためには十二、三億必要ではなかつたかと思いますが、そういうようなものは、ひとつはつきりとつてもらいたいということは、各方面からお話がございまして、私どもも大蔵省と交渉を続けております。大きい金額の中において、十何億をプラスしないということは事実においてはつきりいたしませんので、少くともその部分だけは紐つきにして、この中にはこれだけの金額が事務費のために見込んであるということをはつきりさしてもらえば、地方庁においては、それでもつて処分ができるから、少くともそういうことでやつてもらいたいという、強い要望がございました。私もその通りだと思いまして、ただいま大蔵省方面と、そういうことで交渉をいたして、おるという実情であります。
  49. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 いよいよ四月一日から業務が開始になるので、今例の頑強と言いますか、傲岸な大蔵省と折衝中だ、しかも折衝してほとんど折衝のついたためしがないというくらいにむずかしい大蔵省との関係を、四月一日を控えて、私は非常に心細いと思うのですが、もう少し地方の自治体の実情を考えて具体的に処置されなければ困ると思います。たとえば卸業者なり小売業者の手数料について、もう一ぺん検討し直して、その中からひとつ捻出の方法を考えるとかなんとかいうことがあると思う。私はいつもここで商業資本と言いますか、その方に強く当りますけれども、私は過日申し上げましたが、決して商業資本を否定するものではありませんけれども、たとえば今度の登録実情を見ましても、各県の登録の競争だけで、業者が使つておる金は何千万円ということを、どこの県でも言われております。この金はどこから出るか、なるほど一時それらの登録業者が立てかえたことになるかもしれませんけれども、これは、必ずこれだけのものが取返せる含みがなければやれるものではない。その含みがあるということは、結局消費者に転嫁されるということなのである。今の登録制をめぐつての厖大な、しかもはでな登録分取りの競争の裏を見ましても、私はそこにまた卸なり小売の手数料、またそれに拂うところの運賃なりにつきましては、まだ農林省が検討すべき余地が十分あると思う。これらが非常にきゆうくつなことをやつてつて、しかも一般市民、町民の食糧配給のために地方の自治体が負担する、これならわかつております。しかし地方の自治体は、非常に苦しい中で層残りをして仕事をしておる。しかるに一方においてこれらの業者が——これは仮定ですが、かりにこれらの卸なり小売業者が、余裕ある手数料で左うちわでやるという結果になつたら、これはあまりに政治の不公平であります。これについて、他に大蔵省との折衝の余地もまだ残つておるようでありますけれども、そういうあまりたよりにならぬことを言わぬで、ここで一両日中に、農林省は地方の自治体に対する手数料については、もう少し具体的にお示しをいただかなければいかぬ。かように考えますが、これについてもう少し具体的に御答弁いただきたいと思います。
  50. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 一つの御提案として、卸小売のマージンを切つてそれをまわしたらというお話であります。それも一つ方法だと思いますが、小売のマージンも公表いたしております。卸のマージンも大体公表いたしたような状態であります、これを今すぐに減らすというわけには参りません。この次の適当な機会に、その辺を再検討することは当然やらなければならぬと思います。従つて、さしあたり行政事務に関しましては大蔵省に——傲岸ではありましようけれども、ひたすら頼みまして、食糧問題の重要性から、ぜひ紐つきでやつてくれということでお願いするよりほかしようがないと思つております。
  51. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 くどいようでありますけれども、大蔵省との折衝についての見通しを持つておられるか、おられないか、これをお伺いいたします。見通しが不幸にしてはずれたら、食糧庁長官なり農林大臣の責任で片づけますと言われる。私はその責任を追求しよとは思いませんけれども、こういう問題は責任をもつてつておられると思いますから、それについて長官の見通しはどうであるかということを伺いたいと思います。  それからもう一つ、一番最初に伺いました中間経費が含まれておらないのですか、さつきの御答弁ですと、この切りかえによつて中間経費は含まない、こういうふうに伺つたと思いますが、それに間違いないかどうか、お伺いいたしておきます。  それからさつき足鹿さんから、雑穀の問題についてお尋ねがありましたが、雑穀がここで非常に暴騰しておるのは、その根源はえさの問題から出発しております。でありますから、えさの対策が樹立されない限りは、雑穀の市価は安定しないと私は思います。そこで、えさの中で一番大きな部分を占めるのはふすまであります。このふすまの根本対策は、要するに小麦加工量をふやす以外にないと私は思います。先日政府はふすま、麦ぬか、米ぬかの価格について指示されました。これは適切な指示だと思いますけれども、アスピリン療法であります。解熱剤であります。あとで栄養療法がなければならぬ、栄養療法はすなわち供給量をふやすということであります。このえさの供給量をふやすことについて、何か具体的な方策を持つておられるか。雑穀は一時暴騰したけれども、そのうちにおちつくであろうと言われますけれどもえさが不足する限りにおいては、雑穀の市価は安定しません。私は一時治まつたものはまた勃発すると思う。特にふすまなり麦ぬかの供給量をふやすについて、加工を今後いかに持つて行かれるかということについて、明確にお答えいただきたいと思います。
  52. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 中間経費は、消費者価格をきめます際に見込みましたものの範囲内においてやつておるのは事実であります。お話の点はもつと広い意味において、国家の経費がかかりはしないかということではないかと思いますが、食管特別会計においては、人件費その他は、今後の国会で御審議を願う定員法の関係で、これを御承知のことだと思います。消費者価格の算定基礎になりました場合のわく内において、今度の卸小売価格はきめております。この点は御承知を願いたいと思います。  それから大蔵省との話合いでありますが、これは私は何とかなるのではないかと思つております。はつきりひもつきという形において出されなければ、口頭ででも、そういう指示を大蔵省が流してもらうという程度においてでも、地方庁としては何とかがまんしてやろうということになつております。その程度のことは私はできるものだろうと思つております。  それからふすま等の問題でありますが、飼料の問題が非常に重要なことはお説の通りでありまして、一面食糧加工、貯蔵の問題もありますけれども、私どもは、できるだけえさの問題もあわせ考えて、加工計画を進めたいと存じております。従つてあるいはこの次の期には、ほとんどゼロに近いような加工数字になるというような場合におきましても、その問題を考えて、若干ふやしておくというような措置をいたしまして、できるだけの調整をとつて参るつもりでおります。
  53. 野原正勝

    ○野原委員長代理 木村榮君。
  54. 木村榮

    ○木村(榮)委員 私は最初に根本的な問題をひとつお尋ねしたいのですが、大体原則的に政府方針としては、輸入食糧の方に重点を置かれるのか、国内生産の増強の方に重点を置かれるのか、その点をお伺いします。
  55. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 これはやはり両方に重点を置いております。つまり国内食糧だけで自給ができないからです。その点からいいますと、どうしても輸入食糧というものに努力いたさなければなりません。しかしいつまでも輸入食糧だけにたよつてつたのでは、これまたたいへんなことでありますので、国内の増産というものに対しても努力する。どつちが主であり、どつちが従であるということはちよつと申し上げられません。
  56. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それはぬえ的な答弁であつて、どつちにも重点を置くということは、常識ではそう言えるでしよう。しかし、今あなたがおつしやつたように、いつまでも外国食糧に依存はできないから、生産を増強しなければならぬということになれば、最初からどつちかに重点を置いた具体的な政策というものが政府に立たなければ、なかなかうまく行かない。その点を政府の方としては、どつちも主だというようなことでなくて、重点はここだというところは明確に出ると思うが、その点はどうですか。
  57. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 農政政策の見地からは、政務次官からお話があると思いますが、食糧政策の操作を担当しております私どもの方としては、同じウエイトにおいて考えております。
  58. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、食糧庁の方の計画としては、先のことはどうでもよい。まず今年なら今年の問題だけを問題として取組むのだ、こういうわけですね。
  59. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 将来の方向としては、国内の自給力をできるだけ高めて、輸入はできるだけ少くしたいという方向であります。しかし私ども操作の上におきましては、年度々々の計画を立てておりますが、これは現実的な問題といたしまして、需給の均衡並びに価格の安定をはからなければならぬという点から、その点を重点にして計画を進めて参る、その点から申しますれば、やはり両方同じようなウエイトにおいて考えてみたいというわけであります。
  60. 横田甚太郎

    ○横田委員 関連して伺いますが、価格の安定とはどういうふうな価格の安定になりますか。いつも価格の安定でしやくにさわるのです。日本価格価格でないのだ。強盗が盗んだ証拠に置いて行くしるしなんです。米の値段ではない。現に外国の米は一石八千円から一万円以上で買つておる。日本の米は五千五百二十九円、品質から見たならば日本の方がずつとよい、外国の方が悪い。これはわかつておるでしよう。しかもそれを消費者に渡すときは安い値段で得つており、日本の米は高い値段で売つておる。これは間違いないでしよう。それを価格々々と言われると、何が価格かと聞きたくなるのです。その価格の正体を一つぺん教えてください。
  61. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 価格と申しましたのは、今回のえさのようなことがないように、主食についてはやはり安定した価格を保持しなければ、国民経済上困るだろう、そういう意味で申し上げておるのであります。もちろん生産者価格については、今のものが諸物価に比べて割安である。またほかの方法から見れば、ああいう価格ではどうしても納得が行かぬということは、十分承知いたしております。従つて米価については、やはりできるだけ引合うように引上げて行くという方向については、私どももそういう方向で参りたいと思つております。安定と申しましたのは、どちらかと申しますと、消費者価格というものに重点を置いて私は申したのであります。
  62. 横田甚太郎

    ○横田委員 安定した価格、国民生活の安定ということを言いますが、ここで私がわからないのは、外国食糧は、高く買うて国内で安く売つているということは事実だと言われましたね。そういたしますと、外国食糧を高く買うておきながら、国内においては、国内で安く買うた日本食糧より安く売らなければならぬところの理由は、一体どこにあるのですか。これは価格の面から伺いたいです。
  63. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 外国から高く入つたものに補給金をつけて安く売つておる……。
  64. 横田甚太郎

    ○横田委員 いや、そうじやない。外国から買つた米は日本の米よりもずつと高い。ところが日本消費者に渡す場合には、日本の米よりも外国の米を安く売つている。これですよ。
  65. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 シヤム米みたようなものだと思いますが、シヤム米を内地米の一割安で売つている。このことのお話だろうと思うのであります。これは消費者の嗜好その他から申しまして、そうした差をつけることが適当であろうと考えて、差をつけたのでありますが、内地米とシヤム米とは、国民的な嗜好から申しまして、一割安くらいでいいのではなかろうかというふうに考えております。
  66. 横田甚太郎

    ○横田委員 嗜好というものは、国民の好みに合わないと解釈していいですか。つまり値打がないと解釈していいですか。値打がないものを高く買うて、日本の国内で安く売つている。これが日本の農民としてはしやくにさわるのです。
  67. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 御承知のように、取引でありますから、向うの方からなるべく安く入れたいと思いますけれども、これは相手のあることでありまして、それでなければ売らぬということになりますれば、国内の増産が急ピツチに上つて、今年中にでも自給ができるということならば、これは強気にできろ。そういう関係であります。
  68. 木村榮

    ○木村(榮)委員 今、安孫子長官の御説明では、重点を置くというのは、国内の食糧増産の方が重点だと言われたのでありますが、そういたしますと、政府としては、そのためには具体的な政策が出るのじやないかと思う。たとえばこの食糧政府買入れの法律を例にとつてみますと、この法律案の中では、どういう点でこれを政府としては具体的に表現され、やろうとしておるか。この増産対策というか、そういうものがこの中に織り込んであるのかないのか。もう一つ具体的に言いますと、重点は、根本的に言えば、農民の生産意欲を向上させ、しかもそれにマツチするような諸般の政策をやらないと、実際にこれは現実の問題とならないのでありますから、そういう点でこの法律案そのものを例にとつた場合は、どういう点でこれは生産意欲を増強するようにできているか、こういう点を御説明していただきたい。
  69. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 食糧管理法の方の点は、これは食糧管理に関する法律でありまして、買入手続法の方は、こういうことになつたものをどういう方法で買うかということの手続であります。もちろん増産に関するいろいろの諸施策というものは、この二法律以外に、農林省の全般の政策として考えられるもの、これはそういう手続法、管理に関する法案でありますから、これにどこに増産対策があるかと端的にお聞きになりましても、どこにあるかということは申し上げられません。農業全般の政策として、そういう増産対策を農林省として講じておるわけであります。
  70. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そこで問題になるのは、農林省の方としては、その他の面において、具体的な生産増強対策が出ておると仮定いたしました場合には、その政策にのつとつたような買上げ方法を立てないと、生産増強の対策は、かりにある程度満足すべきものであつても、生産した物をいざ買うということにおいて、もしこれが一致しなかつたときには、やはりこれは全般から見ると、生産を阻害する結果になるわけですから、そういう点で、生産増強のできる対策と、買い上げる方法とがどういう点で一致しているからいいのだということの、御説明を願いたい。
  71. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 大体を申しますと、終戦直後のように、あるいは終戦前のように、食管法一本でもつて、一方的な割当をしてこれをとつてつたが、順次そうした方向よりも、もつと民主的な方法において供出割当をすべきであるという方向に向つて、食確法というものができて来て、その食確法の割当に関する手続をここへ大体載せたのであります。そうした意味において、従来のやり方とそうかわつておらぬのであります。  増産と直接結びつくかどうかという問題でありますけれども、もちろん増産を阻害することのなるべくないようにいたしたい、そのためには、やはり農業調整委員、そうした方々のお話もいろいろ聞き、それと一緒になつてやるという仕組みに、従来やつて来ている、その方法をとつているわけでありますから、そういうように御理解を願いたいと思います。
  72. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、たとえば收穫見込み高をきめる場合に、今度は收穫が見込みよりも上まわつた、あるいは下まわつたという場合に、調査の方法などはどういうふうな方法でやるのですか。
  73. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 原則といたしまして、作報調査によりたいと思つております。
  74. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、作報が最初見たところと、またある一定の時間を経過して見たところと違つたという場合には、多く見た場合の方を採用するのですか。
  75. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 多く見た場合と少く見た場合と両方をとります。
  76. 木村榮

    ○木村(榮)委員 法案の内容にわたるようになりますが、たとえば收穫が下まわつた場合においては、農業調整委員の意見を尊重して、異議の申立てということもあると思います。そして上まわつた場合には、農林大臣が大体意見を聞いてやるというふうになつておると思います。そうしますと、そのきめ方は、上まわつた場合には一方的ですが、上まわつていないということを農民側が申し立てる何か方法があるのですか。
  77. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 少しくはつきりいたしませんが、最初の割当は予想收穫高で一応やつて行くわけです。その後実收高が発表になりまして、その間に相当増減のある場合が出て参ります。減になりました場合には、それを手直すようなことをこの法律の中に規定しているわけであります。それから非常に増になつた場合には、食糧確保上どうしても必要だという場合には、これに対して追加割当ができるというような規定を置いているわけであります。ですから減らす方は大体そういう方法でやりますけれども、ふえる方は、やはり全般の食糧需給の上において、どうしてもそういう必要があるという場合にそれをやるということで、追加して出してもらう場合は非常に制限的で、減らす場合はそう制限的ではない。これは一つの増産意欲をねらつて、そういう建前にしているわけであります。
  78. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そこで最初の問題に返つて、国内の生産に重点を置くことになれば、当然農家経営全般の問題を問題にしないと、ただ單に米の問題だけではないと思います。そういう場合に、農家経営全般における米穀の占める経済的な比重といいますか、ウエイトを、農林省はどのくらいに見ておられますか。
  79. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 地帶によつても、経営規模においても違いますし、また作付内容によつても違いますが、米の比重は大体三十四、五。パーセントではないかと思います。
  80. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、今の御説明では、あとの六十何パーセントというものはほかの生産になる。ところが今の日本の農業経営状態は、国際的ないろいろな関係で、相当脅かされる場合がある。天候その他の関係で、今年は豊年だつたという程度に米ができた、しかし農家経済全般の中においては、非常に困難な状況にあるといつたような場合、米の買入れ価格を決定するのに相当考慮が拂われなければならぬ。そうすると、ただ米のでき高の予想といつたものだけでなくて、これが経済全般から見た場合には、相当うまく調節する必要があると思う。その点はどのような方向でおやりになるか、あるいはそういつた場合の対策、こういう点について伺います。
  81. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 一つ価格でありますが、これは米価審議会その他におきまして、十分いろいろ検討を加え、農家経済の状況というものも背景としては考えて、検討して決定して参りたいと思つております。買入れ手続に関しては、直接的に問題はないかと思いますが、やはりそういう農村の実情、あるいは動向というような問題は、中央におきます買入れ審議会等において、種々検討されて、そうしたいろいろのお話合いの上において、割当数量がきまつて参るかと思います。
  82. 野原正勝

    ○野原委員長代理 本日はこの程度にとどめて散会いたします。次会は広報をもつてお知らせいたします。     午後三時三十九分散会