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1951-03-17 第10回国会 衆議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十七日(土曜日)     午前十一時四十四分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 足鹿  覺君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    越智  茂君       黒澤富次郎君    河野 謙三君       田渕 光一君    中馬 辰猪君       中川 俊思君    原田 雪松君       松木  弘君    八木 一郎君       大森 玉木君    金子與重郎君       河野 金昇君    福田 繁芳君       八百板 正君    木村  榮君       横田甚太郎君    羽田野次郎君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君  委員以外の出席者         農林事務官         (農政局農政課         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農地局管理部         長)      上松 憲一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    細田茂三郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君  三月十七日  委員小淵光平君、川西清君、中垣國男君、平野  三郎君、吉川久衛君及び坂口主税辞任につき、  その補欠として田渕光一君、松木弘君、黒澤富  次郎君、中川俊思君河野金昇君及び福田繁芳  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員黒澤富次郎君、田渕光一君、中川俊思君、  松木弘君、河野金昇君及び福田繁芳辞任に  つき、その補欠として中垣國男君、小淵光平君、  平野三郎君、川西清君、吉川久衛君及び坂口主  税君が議長指名委員に選任された     ――――――――――――― 三月十六日  恵岱別川上流かんがい用貯水池築設の請願(  篠田弘作紹介)(第一三八五号)  公有林野官行造林振興対策確立に関する請願(  塩田賀四郎紹介)(第一三八六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  国有林並びに不在地主所有山林開放に関する陳  情書  (第三七九号)  食糧増産興農運動事務費国庫補助に関する陳情  書  (第三八七号)  肥料及び飼料対策等に関する陳情書  (第三九〇号)  農業委員会法制定反対陳情書  (第四〇八号)  同  (第四〇九号)  農林漁業長期融資法案に関する陳情書  (第四一六号)  林野開墾に関する陳情書  (第四二八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農業委員会法案内閣提出第四三号)  農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関  する法律案内閣提出第五四号)  飼料に関する件  委員会の経費並びに運営に関する件     ―――――――――――――
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  まず農業委員会法案及び農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案一括議題として審査を行います。
  3. 野原正勝

    野原委員 農業委員会法案並びに農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案は、すでに数次にわたつてこの委員会で詳細に質疑を継続して参つた案件でありますので、すでにこの問題に関しましての質疑は十二分に尽したと考えますので、この際質疑を打切られんことを動議として提案するものであります。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りいたします。ただいまの動議に対しまして、御異議ありませんか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  5. 千賀康治

    千賀委員長 若干の御異議もあると思いますので、起立によつて採決をいたします。ただいまの野原君の動議賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立
  6. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつてただいまの動議は成立いたしました。  この際お知らせいたします。まず宇野君外十五名より農業委員会法案及び農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案の両案に対し、それぞれ修正案が提出されております。その修正案はすでに各位のお手元に配付いたしてある通りであります。この際この修正案趣旨弁明を求めます。宇野秀次郎君。     —————————————
  7. 宇野秀次郎

    宇野委員 私はただいま議題となりました農業委員会法案並びに農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案に関しまして、自由党代表しで修正案趣旨弁明を行います。  農地改革の一段落、食糧供出制度の緩和、農業改良普及事業の強化の必要性増加等情勢に対処いたしまして、今般政府は、従来これらの業務をそれぞれ処理して参つた農地委員会農業調整委員会並びに農業改良委員会を改組し、農業委員会一本にとりまとめ、農業政策の新展開を期待するところの新法案を提出し、われわれは今日までこれを審議して参つたのでありますが、この法律案におきましては、従来の農地委員会における階層選挙の考え方を継承しているのであります。しかしわれわれは、農村における階級闘争を激化せしめるがごとき思想に原則的に賛成することを得ないのみならず、次のごとき理由によつて階層選挙制度は著しく合理性を欠くものと断定してはばからないのであります。  すなわち一、総農家戸数中小作農家は二%、小作自作は四・二%であつて小作農代表を特に選出する必要ありとは思われない。かりに階層別を案施するも、右の比率基礎とすれば、委員数の一割以下でいいにもかかわらず、法律案では選挙委員十五名中正名を占め、三割以上となり、その比率は過大であります。二、原案区分をもつてすると、区分目標が不明瞭である。すなわち二反歩以上の小作地を耕作するが、大部分土地自作地である農民も、一号階層に編入されていることであります。三、農地改革の結果不耕作地主と称されるものはほとんどなくなり、本法案におきましては、不耕作地主には、選挙権被選挙権も与えられていないにもかかわらず、一方では小作階層が設けられている。七〇%以上の農家自作となり、九〇%以上が自作を主とする農家なつた現在の農村では、地主自作小作を問わず、平等に自由に選挙権被選挙権を持つことが民主的であると思います。四、特別に階層別選挙を行わずとも、小作層もまた立候補の機会は均等に与えちれるのであつて、また適任者がおれば選任委員として選任されることも可能であつて小作層意見を反映させる道は残されているのであります。  以上の理由に基きまして、第八条並びに第二十六条の規定による二階層別区分による選挙を廃止し、全層選挙を行うように改めることとし、これに伴う両法律案の条項の整理行つた次第であります。  修正案文はお手元に配付されている通りであります。  以上をもつて修正案に関する趣旨弁明を終ります。御賛成を得たいと思います。
  8. 千賀康治

    千賀委員長 これより農業委員会法案及びその修正案並び農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案及びその修正案一括議題として討論に付します。討論の通告がありますので、これを許します。八百板正君。
  9. 八百板正

    八百板委員 それでは農業委員会法案並びにその修正案に対しまして、一括反対意見を述べるものであります。  この農業委員会法は、申すまでもなく、従来ありましたところの農地改革のための農地委員会食糧確保供出割当のための農業調整委員会及び農業技術面などの農業改良事業を行うための知事に対する諮問並びに助言機関たる農業改良委員会の、三つ機関を合せて一本とするものであります。  三つ委員会性格を見るに、一つは、日本農業政策の歴史上最大とも言うべきところの地主制度を廃止するという傾向を明らかにとりました、農地改革議決執行機関たる農地委員会であり、一つは、わが国農業政策基本である食糧生産確保並びにそのための食糧事前割当供出等具体的事項について議決を行うことを義務とする農業調整委員会であります。さらに一つは、農業改良事業のための専門技術員改良普及員その他試験研究に従事する主要技術員の任命、異動及び解任などを含む農業改良事業に関する計画の設定並びに予算及びその施行に関することを取扱う農業改良委員会でありまして、それぞれ性格の異なる機関と申さなければならないのであります。農地改革の最も遅れた、たとえばわずかに一五%しか登記事務が進行しておらないと言われますところの、未墾地売渡し登記の完了までやつてのけるというような仕事は、保守勢力農地改革を阻む勢力との対立抵抗の多い仕事でありまして、これらの仕事は、食糧割当事務とあわせてやれる仕事ではないのであります。  さらに改良委員会仕事のごときは、質的にも相違するものであります。たとえば農業改良局において定めましたところの、一昨年二月十四日の農業改良委員会設置概要を見ますならば、改良事業の機構、任務の中で、こういう、ことをうたつておるのであります。すなわち農業改良事業に従事する職員は、供出割当配給、検査、取締りなどの行政事務を担当してはならないということを規定しておるのであります。これはもちろん委員会そのもの規定ではございませんが、供出割当事務はもちろんのこと、農地改革事務などとは、この農業改良局仕事とは両立しないということを、政府みずからが明瞭に承知していることを示すものであると、私は考えるのであります。かようにして、三つ機関任務は、それぞれ異なつた性質を持つており、しかもそれぞれ重要なる仕事をたくさん持つておるのであります。二兎を追うものは一兎もつかまえることができないといわれておりますが、この農業委員会は、二兎どころか、さらに三匹のうさぎを追わんとしております。この農業委員会は、予算の足がないのであります。予算の足は半分に削られて、一本足で、自分自身でさえ立つことができないというようなふらふらの状態に置かれておるのでありまして、農地改革食糧割当農業改良などの、大それたこの三大事業満足にやれる機関たり得ないということは言うまでもないのであります。  この法律は第一条においてその目的を、うたつております。すなわち「農業生産力発展及び農業経営合理化を図り、農民地位向上に寄与するため、」と定めておるのでありますが、一体ほんとうにそういう考えであるかどうかをわれわれは疑うものであります。そもそも農業生産力発展あるとか、農業合理化というものは、農業立法基本的目標でありまして、こういうような言葉は軽々しく振りまわすべきものでは断じてないのであります。こういうふうな農業政策基本的重要題目を、軽々しくお天気のあいさつのように振りまわすところに、今日日本農業立法の貧困があるといわなければならないのでありまして、十億や十八億のはした金でこういう法律をつくつて、こういう大それた目的を振りまわすところに、法の威信の失墜がのり、低下があると私は考えるのであります。しかも合せて一本にして、強れするのか弱くするのかということを考えて参りますならば、これはむしろ弱くする方向を示すということは、今申し上げました通りであります。爾来各機関統合ということは、たえず行われて参つておるのでありますが、それは、それぞれの機関が分立ししおつて満足にその仕事ができないという場合において、一本にして強くして、これを満足にやつて行けるようにするという場合と、もう一つは、それぞれの機関任務がある程度完了したのであるから、この辺で整理統合して、従来の跡始末の段階に備えるという意味合いにおける統合とがあるのでございます。この法律案を見て参りますならば、おそらく政府の考えておりますところは、あとの方だと私は思うのであります。確かにその通りであろうと思うのでありますが、政府の真意は、この整理統合に名を借りまして、農業調整委員会議決権を剥奪し、食糧割当民主的割当を、問答無用的天くだり割当にこれを押しつけ、さらに二つ機関統合に籍口して、農地改革の打切りを目指すものと断定せざるを得ないのであります。現に政府原案は、与党とその同調者修正案によつて農業調整委員会委員の中から、小作層代表進出を阻止するという修正が行われておるのであります。しかもこの修正根拠として述べられたものを見まするに、きわめてその根拠薄弱なりと申さなければならないのであります。しかも提出されましたところの自作層小作層資料を見ますと、それらの資料は、必ずしもその根拠が正当なるものとわれわれは認めることができないのであります。およそ数字立法の上に参考にいたします場合には、正確にその数字を信頼することができるかどうかを検討して、その上に立つて立法の上に参考として取上げなければならないのでありますが、たとえば、この政府の示しました統計を見まするならば、自分都合のよいときには、世界の農業センサス統計をとり、都合の悪いときには農地センサス統計を採用するというふうに、まことにその取扱い、根拠について一貫性を欠いていると言わなければならないのであります。われわれは少くとも農地改革基本的方向を決定いたします場合には、その基礎となる統計資料は、あくまでもそういう目的のもとに集められた統計に対して重点を置かなければならないと思うのであります。さような意味合いにおいて階層別の問題を論議いたしますならば、農地センサス資料に基くことが当然といわなければならないのであります。この農地センサスの結果によつて見るならば、小作農自作農との割合は、政府提出資料とはきわめて大きな隔たりを持つているといわなければならないのでありまして、農地委員会の書記によつて専門的立場から検討せられて集計せられました農地センサス資料の結果によりますならば、一号層並びに二号層わけ方は、一号層において三割五分、二号層において六割五分というふうになつておるのでありまして、十対五の小作層のために五人の委員の選出のわくをとるということは当然の処置と言わなければならないのであります。それを異なつた、都合のよいところの資料を土台にいたしまして、自作層の数がふえて小作層の数がわずかに二%にしかなつていないというような数字をとるということは、われわれの承服することのできない事柄であります。すなわちそういうふうな点について考えてみますならば、われわれはどうしても土地台帳、一筆調査、そういうものを基礎といたしましたところの、しかも階級分化の実態を把握しようという目的のために調査いたしましたところの、農地センサス資料に基いて考えなければならないのでありまして、そういう意味から申しましても、当然に小作層立場というものは相当保護され、重要に取扱われて行かなければならないと思うのであります。しかるにそういうふうな小作層進出を阻止するような方向を、この修正案に盛ろうとしておるということは、この農業委員会の中において、すなわち農地改革仕事を、より以上少くしようという意図の明らかに現われているものといわなければならないのでありまして、いわゆる語るに落ちる農地改革逆行方向農業委員会法案の中に盛り込んだものと、われわれは申さなければならないのであります。私どもはそういう意味合いにおいて、農地改革逆行をねらいとする本法案並びにその修正案に対しまして、反対せざるを得ないのであります。しかも二十五年度予算においてさえ、農地委員会農調委員会等において計上せられました予算は二十八億円であるのであります。これは二つでそれだけなのでありますからして、さらに改良委員会仕事を加えて行きますならば、單に事務的に、平面的に算術計算をいたしましても、四十二億円ぐらいの、農業団体の唱えております程度の費用の計上は、当然しなければならないのでありますが、そういうふうなことをやらないで、單なる形だけをつくつて行くということは、形骸のみを残して農民を欺くものといわなければならないのでありまして、農業政策逆行を示すような結果になるという意味合いにおいて、われわれは原案に対して反対し、修正案に対しても反対せざるを得ないのであります。  以上日本社会党代表いたしまして、反対意思を表明するものであります。
  10. 千賀康治

    千賀委員長 次は野原正勝君。
  11. 野原正勝

    野原委員 私は自由党代表いたしまして、農業委員会法案並びに農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案修正案並び修正部分を除く原案に対して賛成の意を表するものであります。  終戦後の農村民主化及び農業生産力発展の障害を除去するための画期的な農地改革が、すでに三百万戸以上に及ぶ自作農家をここに創設し得まして、そうして一応の目的を達する段階になりましたことは、日本農政にとりまして、これははなはだ輝かしい勝利であつたと私は思うのであります。しかもしさいにこれを見ると、まだ残された幾多の問題もあり、あるいはまた交換分合等によるところの農村経営合理化、こうした問題はまだ相当残つておるのでありますけれども、しかしながら、すでに農地委員会が果したおもな役割というものは、すでにあの事業によつて大体終了を見たと私は考えるものであります。しかも日本農村は、一面においてはかかる大きな画期的な農地改革仕事があり、そうしてまた一面においては、国民の食糧問題に対する農民の努力、そうしてまた食糧供出配給をめぐつて幾多の大きな問題がありまして、この間に、食糧調整委員会が大きな役割を果し、そうして農民協力を得て、今日大方食糧統制を撤廃し、ただ米において事後割当によるところの供出をお願いするという段階になりました。一時のあの食糧の非常なきゆうくつな時代を回顧いたしますならば、まつたく画期的な成果であるということを思わざるを得ないのであります。またその間に果しました食糧調整委員会の大きな役割も、われわれはここに思い起すのでありますけれども、これらの仕事もすでに大方役割が済んだと私は考えております。しかも最近の農村を見ますと、農地改革仕事大方成果を終り、また食糧供出においても、あの行き詰まり的な情勢をすでに脱したとは言いながら、農村はまだまだ非常な困難に逢着しておる。しかもこの日本再建という大きな課題、大きな渦巻の中で、農村お互い協同お互い発展を期して農業協同組合が生れ、そうして一生懸命に努力しておるわけでありますけれども、まだまだ農村は理想の姿になつてはいない。一応の形はできましたものの、農村生産力の拡充、あるいはまた農村経営合理化技術改良普及、そうしてまた農民地位向上というような問題等、まだまだ今後に残された幾多の問題があろうと思うのであります。こういうときにおいて、このたび政府は従来の農地委員会及び食糧調整委員会、また農業改良委員会三つ統合いたしまして、ここに新たな使命を持つ農業委員会法を提案いたしたのであります。これを審査過程においてわれわれ十二分に検討いたしました結果、先ほどわが党の宇野君から修正意見がありましたように、いわゆる階層選挙という点が盛られておりますが、わが党は、すでに農地改革過程において、農村地主小作対立抗争があつたということは、むしろ農村健全化のためにはなはだ悲しみにたえなかつたのである。そこでそうした農地改革過程におけるいろいろな問題も、すでに大方目的を達した以上は、農村におけるいかなる階級闘争も、むしろ今後の農村発展を阻害するところの、非常に望ましくない事柄であると考えておりまして、その点から見ましても、無理に農業委員会の中に階層別選挙をすると、いうようなこだわりを持つことは避けなければならぬという点で、われわれは先ほどの修正案を出した、そういう事情であります。従来のいろいろな行きがかりがあつたにしても、農地委員会としても、あるいはまた食糧調整委員会としても、それぞれの役割をりつぱに果し、ここに新しく今後の大きな課題を解決して行く農業委員会が生れるということは、おそらく全農民の待望であり、またそれをつくることが、現下の日本の実情からいたしまして、最も正しい方法であろうと思うのであります。先ほど来社会党反対の御意見を伺いますと、まことに理由にならない反対をされておる。すなわち農地改革をやめようとしておる、あるいはまた小作階層を不当に圧迫しようとするものである、いわゆる恐るべき反動であるというような御意見であつたようでありますが、すでに農地改革は一応の段階に達し、今後は農村におけるそういう対立闘争をなくして、お互い協力一致の態勢をもつて農村ほんとう発展をはかるべき時代である。こういう点におきまして、二%の小作農、それから四・二%の自作小作——全部を合せてもわずか六%ほどのそういう小作及び自作小作兼業人たち、こういう方のためにその階層選挙をやらなければならぬということは、これはむしろ百害あつて一利なきものであるということを考えたわけであります。この農業委員会ができましても、従来の農地委員会の残された部面において、まだまだやらなければならぬ問題が幾多あることを私どもは承知いたしております。従いまして、決してこれを打切ろうとするものではなく、むしろ農地改革の有終の美をこの農業委員会によつてわれわれは期待したいのであります。なお食糧供出の問題につきましても、天くだり的にやるとおつしやいましたけれども、決してわれわれは天くだり的な供出制度などをやるものではなく、むしろ農民ほんとうの自由の意思によるところの協力を願うということで、今回の食糧供出制度改革ということになつたのでありまして、これに対しましてもこの農業委員会協力をするという立場において、これは最も好ましい委員会であろうと考えるのであります。この農業委員会がここに新しく発足することによつて、従来の一切の行きがかりがきれいになくなつて、そうしてあらゆる農民が、みなお互いに理解と協力をもつて手を携えて行くならば、日本農村は、必ずりつぱな農村として新しい時代の中心となつて日本再建に大きな役割を果し得るものであろうと考えます。そういうようにあらゆる面から見て、この農業委員会がすみやかにりつぱに発足することを望むものであります。  しかしながら一言私は希望を申すならば、正直な話が、今回の農業委員会法に伴うところの予算的処置においては、はなはだ不十分であることを訴えざるを得ないのであります。たとえば一・二人の職員を置くというようなことになつているが、まだ残されている農地改革の問題があり、土地交換分合というようないろいろの困難な問題もあります。あるいは食糧供出の問題においても、いろいろと委員会協力しなければならぬ問題があり、また技術改良普及というような問題に関しては、まさに幾多の問題が山積している。これをわずか一・二人というような事務職員をもつてして、はたしてどれだけのことができるかということになりますと、はなはだ遺憾ながら、これは羊頭を掲げて狗肉を売るというような予算であるといわざるを得ない。従つてこの問題に関しましては、政府は将来の予算的措置を十分考慮して、最も近い将来において、われわれの熱心なる希望を実現するように責任を持つてもらいたい。それを私は希望として特にこの際はつきり申し上げておきますが、この委員会法が十分なる予算的措置伴つた内容をもつて新たに発足することを衷心から祈念いたしまして、ここに賛成意見を述べた次第であります。(拍手)
  12. 千賀康治

    千賀委員長 次は木村榮君。
  13. 木村榮

    木村(榮)委員 私は日本共産党代表いたしまして、ただいま議題となつております農業委員会法並びにその修正案、その他関係法案全部に対して反対意見を申し述べたいと思います。  ただいま自由党委員から、巧みな表現によつて日本地主勢力をいかに温存しようかとこれ努められた御演説があつたわけでありますが、大体戦争後上から与えられましたところのいわゆる農地改革なるものは、これは、ただ單に、昭和初年ぐらいから日本の当時の農業会などがやつております自作農主義、いわゆる農民の歴史的な土地に対する所有欲というか、欲望というものを幾分満足させて、その中で農民をごまかそうという巧みな仕組みになつていることは、もはや農民がこの農地改革の中で実際に経験したことである。そういう状態でございますから、実際農地改革とは名前ばかりで、大きな山林、原野の所有者というものは依然としてそのまま温存され、しかもそういう者の支配を通して、農村における半封建的な基盤はやはりどんどんと強化され、決して衰えてはいない。この例はたくさんございますが、單にこれは農山村だけの問題ではなく、都会の付近などにおいても、そういう傾向は依然として相当強い。これは全国的な例をあげればたくさんございますが、そういう点は長くなるからやめましても、とにかくこういうような状態は以前と一つもかわつていない。しかも戦後における各政府農村に対する政策は、御承知のように、農地改革に名をかりて農村を欺瞞し続けながら、非常にうまくごまかしをやつております。ついでだから私は申し上げますが、この点は社会党八百板氏もさつき相当強調されましたけれども、昭和二十四年の農業センサスを見ますと——これは農林省が極秘の判を押して、部外に出さないと言つておられるようでありますが——こういうものを見ると、小作地は依然として全国に五十七万町歩ある。これは全耕地の一六%に当り、農家戸数のパーセンテージをとつてみますと、全農家の大体四三%だ。これは一反にせよ、五畝にせよ、三畝にせよ、とにかく、何がしかの小作地を持つているのが全農家の四三%ということになつている。これは反別にいたしますと、全耕地の一六%で、きわめて零細なようでございますが、農村の封建的な要素がまだ多分にある中においては、こういうものは非常に大きな比重となつて農村を圧迫していることは、どうしても否定できない。こういうものをひた隠しに隠して、自分たちに都合のよい統計を出して、ごまかして、農村協調主義で、ともかく地主小作もないから仲よくやれ、こういうことを言つて、一方においては土地取上げをどんどんやつている。かくて農村における土地取上げの状態は、最近特に大きくなつている。特に山村において山を持つている地主は、山の支配力を通して相当大きなことをやつている。御承知のように、現在全国の山林の保有量は、用材並びに薪炭等を合せますと約六十三億石といわれておりますが、そういうものの所有権、使用権はほとんど山地主が独占している。こういう支配を通して、かつて小作階級に対する圧迫は依然として強力である。こういう中におきましても、かつてのいわゆる農地委員会においては、階層別の選び方をするとか、あるいはまた中立の学識経験者として相当な人を出すというような方法をもつて、それでも相当民主的に運営をしておりましたが、今度の方法で行きますと、そういうことはほとんどなくなつて、依然として今度は村のおえら方さんたちがうまく出て来て、強力な支配力を持つ。これは当然のことであります。そういう中において、農村民主化とか、あるいは農地改革ということを政府は盛んに言いますが、現在の実情を見ますと、どうにもこうにもそれはやつて行けなくなる。もはやただ農業委員会だけの組織ではなく、現在農村におきましては、隣保組制度も復活し、あるいは部落会長というものも生きて来る。こういつたものの支配は、依然として山の関係あるいは土地の諸関係、こうしたものから来まして、その代表者がほとんどそういう地位を占めておる。こういうやり方、あるいは納税組合の強化、または消防に名をかりて、かつての在郷軍人会の復活というような形で、一定の服装をつけ、一定の訓練を与えなければならない。これは今回の国会に出ました消防法の一部改正を通してもわかる。こういうものは関係はないとおつしやるが、農業委員会法の組織というものは、ちやんと一連の関係を持つておる。小作自作もなくなつたというようなことを巧みに言つて、実はそういつた農村における支配を、あの手この手でしようというねらいが出ておる。農業委員会農地委員会もだんだん数を減らす。とにかくそうして数さえ減らせばだんだん勤労農民代表者が出て来る可能性が少くなる。そういうような、いろいろなあの手この手を巧みにやられて、上からぱつと押えつけてやろうというのが、この法律案のねらいである。そこでそういつた中において農村の状態は——話がだんだん発展いたしますが、(「発展じやない、脱線じやないか」と呼び、その他発言する者あり)私がほんとうのことを言うと、だんだんやきもきして、わいわい騒ぐ。こういつた状態の中にあつて、何ゆえに農業委員会というものをこしらえるか。内容はなかなかいい。交換分合に始まつて農業発展までやる。一体どんな発展をさせようというのか。にわとり三羽、柿の木一本に至るまで税をかける。ただ紙に書いただけで一体どうして政策がやれるか。かつての軍閥政府は、なるほど無謀なことはやつたが、正直だつた。野蛮ではあつたが、とにかく正直に率直に、やれ出せ、こう言つてつて来たが、今度は言葉のあやでは巧みな表現をして、いかにも民主的な擬装しておるが、なかなか手がこん でおつて、うまく、いわば最初はえさを与えておいて、今度はうんとしぼり上げて行く、こういう手を巧みに用いておる。これが日本の現政府のやつておることである。こういつたやり方だから、とてもたちが悪い。委員会をこしらえ、巧みに民主的な擬装をいたしておりますが、しかしそれがほんとうに民主的なものならば、この法案の中でも委員会は何をしておるか。ただ助言をするとか進言をするとかで、意見を言つてもそれは通らない、こういう組織である。いかにも委員会はいいものであるが、なぜ意見が通らないかというと、それは人民の代表ではないから、意見を通しても通さなくてもどつちでもいい。政府に迎合するものであるから、意見が一致する、それをねらつております。これは人民の利益の代表者ではない。こういうことになれば、相当重大な問題である。これはちやんと予定をして、大体天くだり的に委員会をつくつて農業経営合理化だとか盛んに言つております。最近私たちがもらつた例の農林中央金庫から出ました農家の資金の状態、こういつたものを検討してみましても、今の日本農村の零細な自己資金では、農業経営合理化あるいは生産の増強、発展、こういつたふうなことはほとんど不可能である。しかもこの農業委員会法案なんかにおいても、農業委員会にそういつた意味の積極的な指導あるいはそういつたことをやり得る可能性もなければ、何にもない。ただ單に形式的に、農民のあなた方が選んだ委員会でやるのだという幻想を与えて、ごまかそうという巧みな方法でこしらえられておる。しかもこの点はさつき申し上げたように、耕作農民代表というものを度外視して、一方的な地主勢力によつてこの委員会を運営し得るように、うまくこしらえられておる。これはアメリカ式とでも申せましよう。(「ソ連式だ」と呼ぶ者あり)何とでも言えましよう。やはりこの封建的な農村支配というやり方は、植民地政策の上においての最も基礎であり、この封建的な農村の形態というものは、植民地的な搾取をやつて行きますのに最も都合がいい。そこでこの方向へこの方向へと、あらゆる機会を通して逆転させようということをねらつておる。ここにこの問題が端的に出ておる。だからこういつた状態を考えますと、今日本のわれわれがやらなければならないのは、ほんとうにこの農業生産をどんなふうに増強させ、発展させるか、また生産の発展を通して各農家の経営を安定、向上させ、農民の生活をいかに向上させるかということである。これは自然な、長期間的なことではだめであつて、急速にやらなければならぬ。そしてそれはどうしても、国家が計画的な予算その他の措置によつて強力にやらなければできない。しかしながらそういう方向へやるためには、今のような農民から巻き上げる——たとえばアメリカの日本問題を論じたものを見ますと、アメリカのお役所でさえも、アメリカの学説でさえも、日本農村においては、農民から十のものを取上げて、六のものしか返していないと言つておる。こういう政策をやめて、国家がほんとうに今の農村発展という立場から、いわゆる平和的な産業、こういつたものをからみ合せて、大きく発展計画というものを立てない限りにおいては、どうしても急速な日本農村というものの民主化並びに安定化というものはないわけで、ただこうやつていても、米が足らぬ。だから外国から米を入れなければならぬということで、たくさんの補給金を出して米を入れて、アメリカの農業恐慌を日本に輸入して、そういう点から圧迫する。そういう圧迫を合法化してごまかそうとしておるところに、この法律案のねらいがある。そういつた巧みなごまかしを今までもやつてつたが、ますますごまかそうというのがこの法案のねらいである。そのために農林省の役人どもは、わざわざ間違つた統計まで出しておる。農林省の統計で、二十四年以降のものにはそういうでたらめが一貫して流れており、そのときどきによつてつておる。中には極祕という判を押して、部外に出してはいかぬというふうにしてまで出しておる。こういうことをやつてごまかす。そうしてこれは民主的な法律案であると宣伝する。人をだますのもはなはだしい。こういうことをやめて、ほんとうに民主的な農業委員会をこしらえることを私たちは主張いたします。がやがや騒ぐからやめますが、以上申し述べた観点から、何としてもこのようなごまかし法案に対しては反対である。  以上申し述べまして、大体反対意見を終ります。
  14. 千賀康治

    千賀委員長 次に進行いたします。金子與重郎君。
  15. 金子與重郎

    ○金子委員 私は農業委員会法案、並びに農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案及びただいま上程になりました修正案に対して、国民民主党を代表いたしまして二、三強い要望をいたしまして、賛成の意を表するものであります。  この法律案が提案されまして、内容を検討してみまするのに、その第一条のこの法律目的というものは、非常に合理的で、作文としては実にりつばにできておるのであります。また私どもも、こういうものがなければいけないということを、今の農村段階において痛切に考えておるものであります。しかしながら、次の第七条の以下所掌事務の点に参りますと、市町村農業委員会自作農創設の仕事、あるいは農地調整の仕事、あるいは土地改良のみならず農地交換分合農地の開発、農業技術の問題から農村の経済の問題にまでその所掌事務が及んでおるのであります。そこでこれだけの仕事をやる委員会といたしましては、前の委員人たちのひとしく言われておるように、予算的な裏づけがあまりに、貧弱だということが考えられるわけであります。そうして自作農創設の問題につきまして、この土地開放以後において、政府の答弁は、その事務の分量が非常に減つたということを理由にしておるのであります。しかし私は、そのままこれを受取るわけには行かないのであります。なるほど地主土地開放ということについても、数字の上から言うならば、大きく片づいたという感もないではないのでありますが、むしろ問題はこれから多いのであります。と申しますのは、農村が今後不況に入つて参りましたときに、せつかく開放された土地がやみの売買が行われようとしたり、あるいは陰においては地主のやみ小作発展して参つたりして、そのような歴史的な土地開放が行われたにもかかわらず、綱をゆるめて行くならば、再びまた元の状態にもどるという憂いがなきにしもあらずなんであります。そこで今の土地開放の結果をよりよく持つて行くためには、これからもこの制度を維持するために非常な仕事が起つて来る。また農業合理化をするための交換分合等事務におきましても、相当多くのものが残されておるのであります。でありますからして、この法律案を考えた政府の意図が、自作農創設の仕事事務的に終つたからというふうな考え方で行くならば、これは間違いだと思います。それから供出問題におきましても、農地調整委員供出事務に対してたくさんの努力をして、今日まで食糧危機を救つてつたのであります。なるほど今政府は麦の統制をはずそうということを表明しておるようでありますが、しかしながらその麦の統制を解除するということは、まつた日本の国内の食糧の自給度がその点まで参りまして、その結果はずすならば別問題でありますが、一応は食管法の中から、麦を取除いたけれども政府が必要に応じていつでも買い入れることができるんだというような法律をまた中に加えなくちやならぬということを見ましても、食糧問題が單に野放しにこの際解決できるんだというようなことはない。従つてこの供出事務というようなものも、政府がこの法案の説明の過程において申されたように、そう簡單に供出事務は終つているということも成り立たないのであります。かつその上に、村の農業復興計画の基本問題を検討する委員会役割を付すとするならば、とうていこの問題は、かくのごとくできるものではないということがまず考えられるのであります。  次に申し上げたいことは、十四条の選任による委員であります。市町村長は五人の学識経験者を選任するということがありますが、この学識経験者というものは、單なる委員のほかに、一応その村の建設のために枢要な人たちを入れようという意図であるとするならば、私は当然協同組合長のような実行に移し得る人たちをこれに入れるべきだと考えるのであります。  そこで結論を申しますと、農村の現段階の実情を見まするときに、農村は民主主義だとか財閥だとかいうような一つの物の考え方もありますけれども、私どもが長い間農村の建設の仕事に当つて参りましたときに、どうしても日本農業が、個々の企業として成り立たない条件の中に置かれておる以上は、日本農村というものは、自然発生的に生れておるところの有機的協同体だ、この見解のもとに農村問題を考えなければならぬのであります。この理論に対しては、封建的だとか何だとか、りくつとしてはいろいろのりくつがあると思いますけれども、しかしながら現実の農村を見たときに、日本農村が一人々々がフアーマーとして立ち得ない、しかしながら生きては行く。そこでこの農村の現実を見通して、これをどうして行くかということになりますと、私は、日本農村は有機的な協同体としてのあり方で、しばらく発展させて行くよりほか道がないと信じております。そういう点から参りますると、どうしても有機体として行くために、村の自治、経済、教育、こういうものを総括して、有機体としての発展をどう持つて行くかというような自主的な工作が行われなければならない。かつての昭和の初年代における農村人たち農村救済を叫ばれた当時、あのときも最後に農村を侮辱したような言葉でありますが、自力更生運動というような形に持つて行つた農村自体がやつて行けないのに、自力更生をするという言葉は、言葉の上に非常に問題があつたのでありますが、実際はそういうふうにして村の人たちは火の玉になつて立ち上つた。そういうような態勢ができたときに、政府農業政策というものを受入れることができたのであります。そういう点から参りますると、私は農業委員会法の第一条の目的に沿うような団体組織をどうしてもつくりたい、こういうことを考えておるのであります。  もう一つ修正案小作層自作層という階層別をとつていいか悪いかという問題であります。これは賛否両論がそこに出たわけでありまするが、私は反対意見に対しても、今この小作層意見をまつたく封ずるというような形にすべきでないかという意見に対しては、一応階層別を置く意味も残つておるということはわかつておるのであります。しかしながらこれはこうしたから小作層を全部出さないということにも当らないのであります。もう一つは、実際の農村立場から見て、階層的に争うことが、村をつくる上にプラスしておるか。あるいはこの階層別をとつたため、そこに理論的な、あるいは実質的なマイナスが幾分あつたにせよ、今の農村の有機体というものが、村内における闘争勢力というような派閥的な形で行つたときに、はたして村づくりができるか、その関係を少くした方が実質的に村民全体がプラスになるか。私は農村自治体を見たときに、今の段階において、むしろ階層別を置く利益よりも、階層別なしにして、村を一つの有機体として持つて行こうということの方が、村づくりの上にプラスになる、こう信ずるがゆえに賛成するのであります。決して私はただ封建的だとか、あるいは民主化だとかいう言葉の上でこの問題に賛成するのではなくて、現実に自分一つの村をあずかつた立場に立つたときに、この方がプラスだ、こういう見解から賛成しで、おるのであります。  また土地開放の問題について、山林問題が次に出て来るのであります。なるほど現段階における日本の平坦部の地主はほとんど開放したけれども、山におる地主は隆々として経済力を持つておる、こういうことは私も認めるのでありますが、しかしながらこの問題につきまして、さればといつて、だれの山を掘り起してしまえ、あれも山を持つておるから掘つてしまえというような形で行きましても、その失敗はあとから見ると、たくさんふえておるのであります。ですから私は日本の山林問題は、この傾斜の強い山をむりやりに、ただ民主的な管理ということで解決すべきでない、むしろ山に対しては、現段階の、山を個人の所有として、自分の経済の事情によつてつてに切り、かつてに売るという考え方をかえて、将来国家的な見地から、もつと山に対して公共性を強く持たして行くという法律をつくりまして、それによつて山を保護し、日本の国土問題を推進すべきだ、こう信じておりまするがゆえに、今の山というものは、厳然と山地主がおりましても、これを民主化だとか、あるいは小作意見によつてこれを開放させようという考え方が、はたして日本の山を守るゆえんかどうかという点に対して、疑問を持つておるのであります。ゆえに山林の問題に対しては、小作代表を出したために、山の解決ができるというふうな考え方を持たない。以上申し上げたことが総括して本案に対して賛成する理由であります。
  16. 千賀康治

    千賀委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず農業委員会法案に対する修正案について採決いたします。本修正案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  17. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつて修正案は可決せられました。  次にただいま可決せられました修正案修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつて農業委員会法案修正案のごとく修正すべきものと決しました。  引続きまして、農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案に対する修正案について採決いたします。本修正案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  19. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつて修正案は可決せられました。  次にただいま可決せられました修正案修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  20. 千賀康治

    千賀委員長 起立多数。よつて修正案のごとく修正すべきものと決しました。(拍手)  なおお諮りいたします。ただいまの両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  22. 千賀康治

    千賀委員長 この際遠藤君より、委員会の決議について発言の要求があります。これを許します。遠藤委員
  23. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はこの際自由党と国民民主党を代表いたしまして、農業委員会の経費並びに運営に関し決議案を提案したいと存じます。なお本決議案を決議の上は、それぞれ農林大臣及び大蔵大臣に送付し、必ずこれを実現するようにしたいと存じます。まず決議案を朗読いたします。   農業委員会の経費並に運営に関する件  農地改革後における農業経営並に農業技術改良成果如何は、わが国農村の使命達成に重大な関係を有する事実に鑑み、農業委員会法の成立後すみやかに政府は左の事項の実現のため努力すべきである。     記  一、二十六年度予算案における市町村農業委員会書記の給与に対する国庫補助は一・二人分となつているが、これを二人分とし、これがため必要な経費平年額約九億の増額については政府において万全の努力を払うこと。  二、農業改良事業については、部会を設けて運営するよう措置を講ずること。  右決議する。  簡單に提案の理由を説明いたします。今回提案されております農業委員会の内容を考えますのに、その予算はきわめて貧弱であります。わが国の農村の将来を考えますときに、農地改革後における農業経営並びに農業技術改良成果いかんは、わが国農村の使命達成に重大なる関係を有するのであります。しかるにこの予算を見ますのに、私ども必ずしも満足することができないのでありまして、政府はすべからく本法案成立後すみやかに予算の増額をし、強力に農業経営技術改良を推進すべきであります。特に農業改良事業については、これを重視する意味におきまして、農業委員会においてその運営に遺憾なきを期するため、特別の部会を設けて運営すべきであります。わが国農村の将来を考えますとき、このことはきわめて重大なる点でありますので、あえて本決議案を提案した次第であります。満場の御賛成希望します。
  24. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りいたします。ただいま遠藤君の御提案になりました決議案につきまして、大体多数の方の御了解をいただきますれば、このまま決議をいたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 千賀康治

    千賀委員長 それでは採決をいたします。  農業委員会の経費並に運営に関する件を本委員会の決議といたすに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。  なお本件について関係各大臣に対し参考送付の手続については、委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  28. 千賀康治

    千賀委員長 飼料の問題につきまして発言を求められております。これを許します。小笠原委員
  29. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 それではちよつと飼料の問題で伺いたいのであります。過般来いろいろ本委員会で問題になり、入札方法をとるということで、これはやむを得ないといたしまして、先般の入札方法につきましては、倍の価格で札が入つても落札せぬ。そこで疑問を抱くのは、食糧をあずかつている農林省の方で、一体こういう飼料関係の問題をつり上げて、今食糧の重大対象になつている乳・肉・卵の物価を騰貴してどうなるか。今インフレ防止の政府の方針を強行しているときに、第二部長がそこにおられるが、その言明しているところによれば大蔵省が押えている。公団が赤字になつているから、これを補填するためにやるのだというような暴言を吐かれているが、公団はほかの方で赤字があるのを飼料で負担せよというようなことを言うはずはないと思う。言つたとしたら、それを明確にしなければならぬということは、大蔵省がこういう物価のつり上げをしたならば、今日出しておるところの予算というものは、全部実行不可能になるではないか。そんな恐ろしいことを大蔵省が言うはずはないと思う。なお政務次官の方でも、いろいろ飼料の問題で御心配なさつたが、何回も入札して落札しなければだんだん安くする。そんなのんきなことを言われておつたのでは、一体動物はどうなる。こういうことをとくと考えて、飼料飼料の価格で配給するようにする。それがために畜産局はこれを一元化するように努力し、政府もこれを認めた。ところが価格で押えて何か感情的に押えるようなことをされたのでは飼料はどうなる、動物はどうなる。ことに畜産局長飼料を預つて、何日かければこれは解決するのだ。明日だ明日だと言われてから計算すると、もう二十三日になる。こういう明日はない。かようなだらしのないことでは困るから、飼料問題の見通しはどうなつているか、この点について、政務次官からはつきりおつしやつていただくと同時に、畜産局長、第二部長からも伺いたい。
  30. 島村軍次

    ○島村政府委員 飼料事情の推移にかんがみまして、さきに政府手持ちの飼料を、実需者を中心としてなるべく安価に配付するということに対しては、当委員会の御決定の御意見もあり、さようにとりはからうように措置をいたしているのでありまして、今回の入札方法をとりました問題については、現在の政府の手続の上でこれはやむを得なかつたことだと思うのであります。なおいろいろ委員長なり、あるいは私が申し上げたことに対して御意見もあつたようでありますが、前段申し上げましたような趣旨にはかわりがないのでありまして、さらにこれらの問題を内部でも十分検討いたしまして、なるべく安く多量に放出するように努力を重ねたいと思います。
  31. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 ほかの政府委員が答弁する前に、政務次官に伺うのだが、一体入札というものはどういうものだ。一定の価格に達すれば落ちるのが入札じやないか。幾ら入札の価格を高くしても落ちない入札というものは、これは一体何だ。これは入札の意義から疑問がある。公団が買つた価格より倍ですよ。これは何というのだろう。こんな、ぼろいもうけをする公団が、倍に入札しても落ちない入札なら、今あなたの言う、何分安価に配給するというお話と、ちよつと比較してどうなんです。それはどうもわからなくなつてしまう。二部長が答えるなら御説明願いたい。
  32. 細田茂三郎

    ○細田説明員 大分誤解がおありのようで、ちよつと申し上げておきたいのですが、私は決してえさに冷淡だと思つておりません。私は、この問題につきましても、実は部内でもつて相当反対があつたのですけれども——予定価格は、これは小笠原先生もよく御承知だと思いますけれども、醸造業者なんかにやるのとは、てんで桁のはずれた、台の違つた安い値段できめたつもりだつたのです。ただ、たまたまやりましたところが、それでもまだ落札が非常に少かつたということでありまして、お話のような点について、われわれは決して冷淡ではないので、いわゆるわれわれが会計法上課せられております義務をはずすわけには参りませんけれども、しかしわれわれの間でできます範囲で最も安く出したいという気持で、実はやつておるわけであります。あまり個々の弁解がましいことは申し上げません。ただ今度残りましたものにつきましては、今度の二十三日に第二回入札をやりたいと思つております。そこでその際には、実はえさの各実需団体の方からもいろいろ事情を伺いまして、ほぼ価格に対する御要望の筋もわかりましたので、われわれとしてはなるべくそれに沿うようにきめたいと考えております。その点はひとつ御了解願いたいと思います。
  33. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 今あなたがお答えになつたことは、ちよつと私にはわからぬところがある。そこであなたの言う通り誤解ということができる。大いに誤解があるので、もう一ぺん言つてみますが、あなたは自分のできる範囲内で、これは冷淡をしない、実際協力して、みそ、しようゆと距離はあるのだ、こう言う。しかしこれはいかぬ。むろんみそ、しようゆのようなことをされては困るが、一体えさというものは、実需者の方からいろいろ陳情がありまして、大体その趣旨に云々と言う。陳情なんか当てにならないのだ。今ごろ来て陳情したのは百二十円とか何とか陳情したというが、それはもう百四十五円でやつても落ちないから、へたばつてしまつて、たいていこの辺だろうと思つて百二十円だなんというとほうもないことで買つたのである。えさというものは飼畜の方に影響がある。さもなくばなぜえさを買つたか。横流しするために買つたわけか、悪徳手段で……。えさというものはそんな高い値段ではできない。えさは百二十円以上やつたら絶対に間に合わない相場になつておる。あなたがわからなければ、あとで聞きに来れば、しつかり計数をもつて教えてやる。あなた方は、公団は豆かすを幾らで買つてるか。それを倍に入札しても落ちないようなことで、協力したと言つても、誤解も何も、そんなことはあり得べきことではない。それを落ちないようにしたことにふしぎがある。どういうわけで落ちないのか。倍に入札したのに落ちないというのは、いかなる間違いか。誤解でない。実際落ちないでみな帰つて来た。しかも第二部長、考えてごらんなさい。一方は北海道に行き、一方は九州へ行き、日本のはてからはてまで追いまわされてやつて、それが手持ちぶさたで帰つては、責任は一体だれにある。これは政府としてほんとうに親切にやつた方針かどうか。これなんだ。畜産局長、君のところでこんなことをしていいのか、えさという問題は……。これに責任がないということができるか。これが問題だ。一つも落さないで、手持ちぶさたで帰つて来て、陳情させなければならぬ状態にこしらえてしまつて、大いに考えた、同情したと言う。第一、君たちの食糧庁の委員会とか何とかいうのは、高いばかりが能で云々するのは、どういうわけだ。大蔵省がそんなことを監督して押えたというが、そういうことを言つたのは大蔵省の何のたれがしが言つたか。そういう脆弁を弄していかぬ。えさという問題は、これは食糧だ。重大な問題だから、一役人に振りまわされて、天下の食糧を蹂躪されたんではたまるかね。考えてもごらんなさい。
  34. 細田茂三郎

    ○細田説明員 私はどうも、あまり一身上の弁明になるので見苦しいと思つて申し上げなかつたのですが、まだちよつと御理解願えないと思うのです。今大蔵省のどうとかというお話は、これは私の言い方が悪かつたのか、お聞取りになつた方が間違つてお聞取りになつたかしりませんが、こういうことなのです。実は油糧公団が、この三月中に八十億の剰余金を預金部に納入しろということを、預金部の方から非常に強く要請をされておるわけです。そこでそういう立場から申しますと、油なりかすなりというものは、入札によつてできるだけ高く落さなければならぬ。そうしなければ八十億の調達はできないという、一方に公団が大蔵省からそういうふうに要求されておる事情があるわけです。そこで公団側としましては、非常に平たく言いますれば、公団はただそれを達成すればいいのでありますから、高いところで売りたいということになるわけです。そこをわれわれが中に入りまして、とにかくえさはそういうわけには行かない、だから五千トンのわくの範囲においては、とにかくそういうことからだけの見地ではなくて、——御承知のようにわれわれの方がああいうものを処分いたしますのは、会計法に縛られます関係上、普通の入札であれば、最も高いところから落して行つて、落さぬなんというばかなことはないはずです。けれども政府の所有しておりますこういうようなものを入札します場合には、予定価格に達しなければ落ちないという例は、これはたくさんあるわけでありまして、今回だけ起つたわけでも何でもない。それでは予定価格を何できめるかということは、これは大体時価によることになつております。これは私が申し上げるまでもなくよく御承知だと思います。そこで時価の解釈になるわけです。先ほど私どものできる範囲で最も低くきめたいと申し上げましたのは、その時価といつてもいろいろ解釈があるので、だからわれわれの解釈で最も引下げ得る地点へ持つて行こうじやないかというのできめたのが、この間の予定価格だつたのです。ところがそこを小笠原委員から、お前はえさの事情がわからぬとおつしやられるのですが、私の方できめました予定価格は、台がかわつておるほど安いのです。一方えさの事情という特殊なものから言えば、もつと引下げてしかるべきだというお話ですが、正直に申し上げて、そこまでは知らなかつたのですが、今度やります際には、各地方の団体の代表者がお見えになりまして、東北ブロックあるいは北陸ブロックの方のおつしやること、それから中部あるいはその以西の方のおつしやることが、多少値開きがあるようですが、そう大した開きもありません。ありませんが、多少われわれの予定したのが高いことのようです。そこで大体そういう御趣意もわかりましたので、できるだけただいまの御要望に沿うように、もう一ぺんきめたい、こういうふうに考えております。
  35. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 そこであなたかう聞きたいことは、今まで入札するのに百四十五円でも落ちないのです。これは時価をいくらに見てやつたのか、その価格をここに現わしてもらいたい。時価にしても、みそ、しようゆに該当する品物の時価なら、これはよろしい。えさはえさの時価を見てやるのではないのかね。それを今あなたの話では知らなかつたと言う。知らぬで時価を定めるかう危険なんだ。どうしてそれを聞かなかつた、どうして畜産局に聞かないか、なぜ畜産局にその値段もお知うせしないか。畜産局が参加するというものを、参加を拒絶しているじやないか。一体えさの時価というものは畜産局でなければわかるはずがない。それを、くろうとのことを、しろうとが聞かないで、かつて放題なことをするかうこんな手違いができる。これは政務次官、よく考えなければならぬ。しかも預金部の預金だなんて、何のために諸君が監督しているか。公団が横流ししたの、浮貸ししたのを監督するというなら、その方を監督すればよい。あと、物価をつり上げるような、高くする方はいかぬという監督をして、正常なもうけによつて、そして預金部に預金するのが公団の使命であつて、何でもかんでもべうぼうに、政府が買い占めた飼料でも食糧でも、一方においては統制をはずされ、価格をはずして、今がよいころ合いだかう出してしまえというて暴利を負るのは、あなた方の監督の使命か、公団の使命か、それを考えてごらんなさい。あなた役所にいたら、国家の事業ということを考えなければならぬ。何にも知らぬでやつた、今そうそう北海道はこうだ、九州はこうだと聞いたかう、そこに当てはめようというようなとぼけた話ではおかしい。九州の現地だつて北海道の現地だつてえさの陳情をした、それもうそだ。落ちないかう苦しまぎれにこの辺がよいだろうといつて百二十円だの百三十円だの言つたかもしれない、それもうそだ。実際百円程度のことは一番確かなんだから、私の話もよく聞いて参考にして、あなた方それをきめなさい。そうでないと大間違いが出るから。苦しまぎれにうんといじめて、苦しいのはそもそも遠くの北海道から九州から駈け込んで、ここに来て、牛や馬が死にかかつているところを見て来て訴えて、その事情を聞いて、それを根底としてきめるのはとんでもない話だから、冷静になつてやらなければだめだ。政務次官もよく監督されてそれをやつてください。畜産局長ぼんやりしておつて、こんな連中に巻き込まれちやだめだよ。畜産局長はいい人になつていないで、畜産局はくろうとだから、自分で進んでこれをやらないと責任が果せない。何分調節をとつて、うまくほんとうにえさの時価に合致するように——私は決してえさだからただとろうとか言うのじやありません。えさの時価に該当するように連絡をとつていただきたい。
  36. 島村軍次

    ○島村政府委員 昨日来えさの価格の問題ついては、いろいろ御意見もあり、皆さんの御意向のあるところをよく拝承いたしております。またただいまの小笠原さんの御意見もごもつともであります。ただいま御発言になりましたような問題をとくと考慮に入れまして、十分善処いたしたいと思いますから、御了承を願います。
  37. 原田雪松

    ○原田委員 どうも政務次官の話もその場濁しのように聞えて、危険千万であります。大体私たちは、食糧庁からえさを買つて、畜産局に流してもらうのは、その末端の配給部面は畜産局に責任があるように、長官と大臣とで話をきめてもらつたと思うのですが、今なお話を聞くと、五千トンというのは豆かすの話だと思いますけれども、五千トンも畜産局を経て実需者団体に入札さぜることになつていますが、その後変更になつたかどうか、その点をお尋ねいたします。
  38. 山根東明

    ○山根政府委員 豆かすにつきましては、五千トンの数字を私どもの方でもらつた形になります。それで、それをだれに配給するか、具体的に申しますと、入札資格者をだれにするかというようなことは、もつぱら私どもの方でえさの需給状況を勘案して決定いたしております。ただこれを入札する手続なりそういう面におきましては、これは当時の御決定もそうであつたと実は思つておるわけでありますが、これで私どもの方で入札の手続なるものはいたしておりません。そういう事情であります。
  39. 原田雪松

    ○原田委員 そうすると、今山根さんは入札をしたようなことをお話になつたのでありますが、畜産局にまわすえさの分を入札させられたかどうか、それが一点。  それから入札のやり方が、結局最高をきめられると思うが、これを時価相場できめるという話であるが、先ほどの小笠原委員のお話のように、みそ、しようゆの相場と、えさにする相場とを混同せられては困る。これはまつたくそのえさを使つてとれる生産物と、食わせたさえとの、バランスがとれなければ、むしろえさなどは食わさぬ方がよろしい、こういうことになる。その点を勘案しておるかどうか。  それから先ほど大蔵省の関係で預金部資金に八十億になるようにやらなければならない。これは不合理きわまると私は思う。外国から輸入したところのものは少くとも補給金がついておる。これは国民の負担において補給金がついたものを買つている。赤字を補填するために官吏が自由裁量するということはけしからぬと思う。その点一応お尋ねをして、また次にお尋ねをいたします。
  40. 細田茂三郎

    ○細田説明員 前段の五千トンにつきましては、初めからえさ用に出したいということで、ただ方式としましては、これは会計法上の原則上、しかも相手がたくさんでありますので、一々選定をやるということができません。しかしそうかといつて、普通の入札をやりますとだれが買うかわからぬ。そこでえさの実需者と資格を限定しまして、そして入札をしてもらう。そうすれば非常に不当に価格が上ることもなかろうし、実需者にだけ行くことになろう、こういうことでありまして、ただどういう資格者に渡すかということは、これは畜産局の方で御専門の立場から全部きめていただく。きめられた範囲の人に対して入札をしてもうおうじやないか。こういうことになりましたわけで、別に畜産局に預けたものをとつて入札をしたとか何とかということではないのです。  それから公団の八十億の点は、御参考までに申し上げただけでありまして、現にそれはくずれて来ております。と申しますことは、えさなんかもその一つでありますし、油なんかにつきましても、大蔵省が見ておるほど非常に売れ行きがよくありませんので、これはもうすでにくずれて来ておりますし、私の方でもそういうことのために、たとえばえさをやれぬということは絶対困る。そんなことはこつちのむしろ主導でやるべきことであつて、できるだけ公団に要求されておる額を多くしたいということには協力するけれども、逆にそれだからえさには配付できないということでは困る。そういうことではもちろん私の方がイニシアチーヴをとつて大蔵省に話しておるわけです。
  41. 千賀康治

    千賀委員長 原田君、簡單に願います。
  42. 原田雪松

    ○原田委員 簡單にいたします。どうも要領を得ないのですが、実需者団体というものを選定せられるというのはよくわかるのですが、これは畜産局の方で調査したものを、実需者団体とみなされてやつたのであるかどうか。それが一つ。  なお一番大きい問題は、とうもろこしの問題であると私は考える。とうもろこしは食糧庁から畜産高に譲るのは三万五千トンと大体推定されておる。この豆かすの五千トンよりむしろ量においても、価格においてもとうもろこしの方が厖大なものになることは事実であります。このとうもろこしについて、今のようなあやまちを、生じて、そして実需者の手にいよいよ渡らないということになると、重大問題になる。だからその点は局長から話を聞きたいのでありますが、結局いろいろな面を、全部えさに流すものは畜産局の裁量にまかせるというようなことで、食糧庁は絶対干渉しないかどうか、こういうことがこの際承つておかなければならぬ問題だろうと思う。しかもこの代金の支払い等々につきましても、少くも一時に厖大な数量を放出して、ただちに大蔵省に納めるのだから金をよこせといつても、今、地方の畜産団体はきわめて貧困である。だからそれらに対しての期間の問題、あるいは取引の問題を銀行手形にするかどうか、これは肥料はやつております。そうでなければ猶予期間をどのくらい置くか。この点だけは、ぜひこの際伺つておきたいと存じますので、お答えを願います。
  43. 山根東明

    ○山根政府委員 とろもろこしは、実は数量が非常に多いわけでありまして、私どもも前回の大豆かすの入札指値が不当に高かつたという問題が、これについては絶対起きないようにいたしたいと思つております。食糧庁ともそういう話を進めて参りたいと考えております。  さらに代金の納入の問題でございますが、その点もこれはまだ猶予期間を五十日にするか、二月にするか、はつきり確定はいたしておりませんが、現在の農村の金融の状況等を考えまして、許し得る最大限度の便宜を講じてもらいたいという点で折衝いたしておりますが、まだ確定的な結論は出ておりません。できるだけ趣旨に沿うような結論を出したいと思つております。
  44. 千賀康治

    千賀委員長 ちよつと申し上げますが、時間が大分経過しておりますから、簡單にお願いいたします。
  45. 河野謙三

    河野(謙)委員 先ほどから、小笠原委員から、また原田委員から、えさの価格の問題、入札の問題について、いろいろ御意見がありましたが、私はこの機会にまず政務次官に根本的に伺いたい。あなたは一体どういう腹で、どういう思想で、農林行政をやつておられるかということです。最近のこのえさの問題に端を発して私は言うのですか、單にえさだけではない。食糧の加工配給、雑穀の今後の問題、肥料の問題、えさの問題、これらについて、あなたは農村にこれらの政府物資、または政府の監督のもとに行う入札、これを払い下げる場合、いかなる手段方法をとるべきかということです。今まで食糧、雑穀、肥料、えさ、これらの問題について、政府のやつていることを見ると、いたずらにその間に商業資本の介入を政府が助長しているという事実がある。一体終戦後の農村経済の動向を見ればすぐおわかりだと思う。終戦直後においては、農村には通貨の半分があつた。現在は、その農村の通貨というものが、最近の統計を見れば、わずかに一五%か一七%だ。この通貨がどこへ行つたのかと言えば都会に行つた。商業資本に行つたのだ。それであるから、われわれは一方において協同組合の育成をやらなけばならぬ。再建整備をやらなければいかぬ。長期資金もやらなければならぬ。いろいろなことを農村施策としてあげて、協同組合を中心にして、またその他の農村団体を中心にして、つつかい棒をしなければならない。これがわれわれの考え方であり、政府も同一でなければならぬはずである。しかるに最近の、今申しましたように、食糧の加工の問題にしても、いたずらに商業資本の方に加工を命令してみたり、また雑穀の今後起る払下げの問題も、今のままに放つておけば、いたずらに商業資本の介入を許すという傾向にある。今問題になつているとうもろこしにしても、大豆かすにしても、今のままでは私はいかぬと思う。しかし今のままでいいとおつしやるなら、商業資本の介入を認むるべきだと、こういうふうにおつしやるのなら、その御方針を承りたい。私はいたずらに商業資本を排撃するものではない。都市と農村はともに相並行して繁栄すべきものだ。これについては、私は何ら異論はない。ところが先ほどから申しますように、具体的に申すと長くなりますから、具体的には申しませんが、もし具体的に言えと言えば言いますよ。言いますけれども、今までの方針をとつてつて今後の方針として、これらの政府物資の払下げをやるのか、これらの加工の業務を、今までの方針通り今後踏襲するのか、これをまず伺いたい。その次に私は、具体的にえさの問題について申し上げます。
  46. 島村軍次

    ○島村政府委員 私も農村出身であり、またお話の点は、かねてからさような考え方を持つておるものであります。ただ政府のきめておられる今日の手続なり、会計規則なんか、なかなかわれわれが考えているようにうまく参らぬ。法の範囲でやつていることでありまして、むしろ廣川農政は、そういうところに一つ改革をしてもらうということの前提のもとに、われわれも努力いたしておるのでありますが、会計規則を今かえるということはなかなか困難であります。従つて最小限度において、今の段階では、さような段階をとらざるを得なかつたということを、御了承願いたいと思います。
  47. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は会計法規があることなんか教えていただかなくても知つている。そういう問題に触れないで、たとえば精麦の問題にしても、協同組合の精麦の施設は遊んでいるものがたくさんある。製粉についても同様であり、搗精についても同様である。これらについては、何も会計法規に関係はなく、政府の方針一つである程度の修正はできる。ぼくは一ぺんに全部この農業団体の加工にまかせるというのではない。順次その御方針なら御方針のようにかえて行けばよいが、それがちつともかわつていない。最近のふすまや麦ぬかについても、農家から無理やりに供出させた麦からとつた副産物が、商業資本によつていたずらに搾取されておるのではないか。具体的に今度はとりあえずの問題を申し上げますが、昨今起つているとうもろこしの払下げにしても、配合工場にとうもろこしを払下げなければならぬ理由はどこにあるか。一トンといえども配合飼料にしてやる理由にない。農民の声は絶対そういうことではない。農民は全部單でほしいと言つている。農林省の責任において、配合工場をどうして保護育成しなければならぬ義務があるか、私は断じてそういうことはないと思う。政務次官は私たちとまつたく根本方針は一致している、思想は一致しているというのなら、会計法規に関係なくやれることは、どんどんやつたらどうか。どうしてそういうことをおやりにならないのか、それとも根本的な考えが違うのか、もう一度重ねてお尋ねいたします。
  48. 島村軍次

    ○島村政府委員 具体的のお話ですから、私もある程度具体的に申し上げます。加工工場の問題は、農村地帯のたくさんあるものになるべくやつてもらいたいということは、私も同感であり、さようなことで今日まで進んでおるわけであります。ただ能率の点とか、あるいはまた配給操作の点で、必ずしも現在農村にあるのは、全部が全部希望を達成することができないのが現状でありますが、あなたと同一の意見を持つていることを申し上げておきます。  それから飼料を配合工場に出すということは、実需者の団体を主体にいたしたのでありまして、なるべく少数の者にこれを配給したい。配合工場に対し、配合工場を絶対排撃するということは、農村地帯においても、配合して農村が受けるといろ現在の段階もあるわけですから、それはおわかり願えると思います。配合工場へ出したから思想的に根本的に違うということはないと私は思います。
  49. 河野謙三

    河野(謙)委員 最初の食糧加工の問題ですが、私はさつき申し上げたように、極端に全部フルに農村協同組合の加工工場を使えというのではない。順次切りかえて行けというのですが、それをやつていないのではないかというのです。もし能率が悪ければ、農林省の責任において、能率のよくなるように指導する親切気があつてよい。けちをつけるばかりが農林省ではない。農村施設に対しては、親切に指導して行くのが農林省の親心だと思うが、それがない。これは私は今後できるだけ  お考え願つて、もつと十分に部下に徹底するように御指導願いたい。  もう一つ配合のえさの問題ですが、私は寡聞であるかもしれませんが、一体全国の有畜農家が、とうもろこしなり大豆かすを配合してもらいたいという、政府に対する希望がいつありましたか、私はそういうことは知らない。政府が一方的に配合工場に七千トンとか八千トンとか割当てする、どういう基準で、どういう要望でそういうことをやられたか、配合工場からの希望以外には何もない。農民の声はこれには絶対に加わつておりません。現にわれわれが当委員会で、実需者団体に今後払い下げるという決議をしたときは、この前とうもろこしを二万五千トン払下げされたときに、その中の一万四千トンが配合工場と商人に行つた。この一万四千トンが問題になつたから、あの決議に発展した。あの決議の内容には、商人に行つた七千トンと配合工場に行つた七千トンが決議の基礎になつておる。これはよく御存じであると思う。それからあなたは配合工場にやるのが農民の声だとおつしやるが、政府の補給金のついたもの、農民から出したものが、配合工場に商業資本を通して行つた。その結果においてどういうスキヤンダルが起つておるか。具体的に言つてもいい。責任をもつて出します。あなたも知つておるはずだ。私は過去を追いたくない、だがそういう過去のスキャンダルをあなたも御承知のはずであるから、今後潔くこれを修正されたらいいじやないか、私は野党の諸君とはちよつと立場が違いますが、この点についてあらためてもう一度御答弁を願います。
  50. 島村軍次

    ○島村政府委員 既往の配合工場に出したものに対し弊害があるから、そんなことはなるべくやめて、実需者に直接配給するという熱意は、河野さんに劣らぬつもりであります。ただそれなら配合工場へは絶対に出せないかというと、私は必ずしもそうではないと思う。もちろん私のところには、農民直接から配合工場に絶対に出してはいかぬといろ陳情も受けておりません。しかしこの配合工場の弊害があつたからこそ、そういう議論も出たわけです。しかし農民立場から言えば、農民が配合工場から受けて自分飼料にするということもさしつかえない。ただ量の問題については、いろいろの弊害を取去つて、公平でしかも能率的に考えまして、さような措置をとつて行くということであつて、既往の弊害をなるべく今後の配合工場にはとらせないようなことには、指導的に行かねばならぬと思つております。
  51. 河野謙三

    河野(謙)委員 政務次官のおつしる配合というのはよくわかる。あなたのおつしやる配合というのは、農民希望によつて配合する場合の配合なのである。言葉をかえて言えば、農民に單味で一ぺん流したものを、また單味で流す前に農民に相談して、農民の方からの声で、全購連の配合工場でやつてくれとか、その他町の配合工場でやつてくれとか、單位協同組合の配合工場でやつてくれとかいう、こういう委託加工の形で出て来る配合は私はわかる。あなたはその意味だと思う。ところが農林省でやらんとしておることはそういうことではない。一方的に農林省が、配合工場がつぶれては困るからこれだけのものをやるという理由はない。配合工場がつぶれては困るからやる、これは一体天下に声明する理由になるか。少くともこういうことで農民に答えられますか。あなたのおつしやるところの配合は、委託加工の意味で出て来る配合だ、こう思うのですが、それともあなたは配合工場をつぶしては射るからやるのか、その点配合の意味をひとつはつきりしてもらいたいと思います。
  52. 島村軍次

    ○島村政府委員 今回の配合工場については、農民立場から考えましても、委託の形をとるのが一番いいと思います。しかし委託でなくても、適切な配合飼料として配給できるということになれば、農民立場を決して無視したものではないと思う。ただそこには従来非常に弊害があつた。価格についても非常に弊害があつたから、ただいまのような議論が出るので、実需者団体に主体を置いて、農民意思が配合工場に反映するような方法を講ずることは、われわれ当局としても考えなければならぬことでありまして、御注意の点は、今後嚴重にさようにいたしたいと思います。
  53. 河野謙三

    河野(謙)委員 政務次官はなかなか頑強だから、あらためてもう一ぺん申し上げておきます。あなたは配合工場にやつて弊害の起らぬようにすると言うのだが、一体配合工場にやつて弊害が起らぬように監督指導する根拠法規がどこにありますか。あなたにそういう権限がありますか、あなたにそういう自信がありますか、価格の点をいかにして押えますか、配合工場からどこ  へ売れということをどうして命令しますか、單に届出報告をしろというくらいのことです。しかも配合なんというものはそんな簡單なものではない。私は二十年やつたのだからよく知つておる、あなたに教えてあげる。とうもろこしの値段は、あなたは押えられます。しかし配合は御承知のように、ふすまも入つておれば魚かすも入つておる、いろいろなものが入つておる、その価格はフリーです。従つて価格の点で押えようがないのですよ、一番大事な価格の押えようがない。補給金のついた農民からとつたものを配給する場合に、価格が押えられないというそんな矛盾した話がありますか、またその他配給にしても、配給のルートは政府が監督するというけれども、これはくつの裏から足を掻いておるようなものである。あなたの責任じやできない。この間主管局長に言つた、そういうできもしないことをやるのは森の石松と同じである。私は勇気の壮なるものは買うけれども、ただ実行ができない。政務次官は配合についてはおわかりになつておるはずなのに、あまりに頑強だから、私はくどく申し上げる。この点は潔く撤回されて、あらためて出直されんことを私は希望いたしまして、この問題は時を得たならばあらためて御質問することにいたします。
  54. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは農林省関係の方はもちろんのこと、委員長にもお尋ねします。この前に静岡県の焼津のことに対する質問をしておきましたが、あれに対する回答はいつごろ願えますか。
  55. 山根東明

    ○山根政府委員 当時食糧庁の加工輸送課長も来ておりましたので、加工輸送課長に実は伝えておきました。私からさつそくもう一度督促いたしてみます。
  56. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではその点の質問はあなたのところの資料がととのつたときにやります。今あなたのおつしやつた言葉の中に、私は飼料についても冷淡でないと言われた、もちろん冷淡でないかもしれない、机上においては十二分の操作をやつておられる。ところが大阪の方で発行されておる新大阪新聞を見てもわかる。そこにおきましては、卵を産む前の若鶏が、飼料が高いから売られておる、田沢湖におきましては二才駒が売られておる、豚がどんどん身売されておる。大阪においては畜産五箇年計画がやつと緒について、うまく行きがけたときに、飼料事情でまたがたがたになつておる。農林省においても、畜産五箇年計画は非常な難問に遭遇しておると思う。こういうような現状を認めるかどうかということが一つと、もしこれを認めるとすれば、先ほどからも出ておりますように、この前の御質問でありますが、とうもろこしが二万六千トン、大豆かすが一万トン、五等麦が一万トン、これをどういうように配給するかということが問題になつたのですが、これではわずか十日分の飼料にしかならないから、どういうふうにしてその後における飼料を確保し、どういうふうにこれを配給するか、これに対する対策があればはつきりしていただきたい。
  57. 山根東明

    ○山根政府委員 飼料が非常に逼迫いたして、そのために家畜の身売を招致しておるという点でありますが、私ども最初これが問題になりましたときにも申し上げましたように、価格が異常な暴騰を示しておりまして、私ども立場から非常に遺憾なことと存じまして、過般来いろいろな緊急の対策を講じて参つたわけであります。なおこれで決して十分であるとは思つておりません、引続き今後の対策を講じまして、せつかく立てました畜産振興計画なり、自立経済計画なりが挫折いたさないようにいたしますことが、私たちの務めであると考えております。それから先ほどお話の、わずか十日分ではないかという点につきましては、実は前回の御質問のときも私から申し上げましたが、あるいはこれをすべての家畜の口に入れるというように、すべての家畜を対象として計算いたしますれば、お話のように十日間という数字が出るかと思うのでありますが、わが国におります家畜のすべてが購入飼料に依存しておるわけではないのでありまして、農家には供出後の保有量も残つておりますし、また自給飼料に依存する面もあるのでありまして、私どもも、あれだけの数量でどれだけしのげるかという計算は一応立てておるのであります。それは物によつて異なつておりますが、とうもろこし等でありますれば、少くとも一、二箇月分ぐらいのものは、あれでまかない得るというふうな計算をいたしております。
  58. 横田甚太郎

    ○横田委員 非常に遺憾であると存じますとか、十分に何とかかんとか言われましたが、これは葬式に使うおくやみなんです。私はそんなことを聞いておるのではない。それでははつきり聞きますが、先ほど申しましたように、とうもろこし二万五千トン出して、これで一、二箇月分あるならば、その恩恵にあずかる畜産の性格というものは、どんなものであるかお考えになつたことがあるか。これは農村には全然入らないのです。これはあなたたちが監督できないところの人たちに入るのです。ちようど焼津の農業協同組合と一緒です。ここの自由党の人はおこるであろうが、おそらく廣川さんの畜産には入るのです。おそらくそんなものなんです。だから私があなたに聞きたいのは、あなたたちが机の上で、一生懸命やつておりながら、しかも町においてはうまく行つておらない。しかも問題になるのは、飼料代金はどんどん上つて行く。上つて行くものに対しては、あなた方はこれを抑制することはできない。片一方では肉の値段が下つて行く、卵がどんどん下つ行く、計画はあるが、その計画からはだんだん遠ざかつて行く。しかもあなたたちは、増産計画の一つとしては、農民の増産に対する意欲を問題にしておるが、飼料が上つて、値段が下つて、生産費が引合わないような条件のもとにおいて、農村においては農民の増産意欲が起るか起らないか。それをごまかすために廣川朗報があるのだ。だから私があなたに聞きたいのは、あなたたちが机上において一生懸命操作をやつておるというこの形が、実際においては日本の畜産を阻害しておる。これなんです。あなたたちは、おそらく外国の畜産物を日本にはかすために、日本の畜産物を押えて行くのだろうが、この前も申し上げましたように、アメリカやスエーデンでできますところの余つた牛乳、一人が四合飲んでも余るような牛乳を日本に入れるために、日本の乳牛は非常に少くなつて来ている。だから、こういう意味であなたに聞きたいのは、机上の空論をいつまでも立ててやつておられたならば、農村自由党の欲しがつている増産意欲は持たなくなる。そのときのそれに対する農民の権利をどうして守るかということが、第一番の問題です。そういうあなたたちのやる農村の收奪に対しては、反対のための運動をやらなければならない。それが経済の現象として現われたのが、すなわち、あなたたちが豚を探したときに豚が現われなくなる。増産だ増産だといつて牛や馬を探したときに、農民手元には牛や馬がなくなつて、肉屋で肉になつて寝ている。しかも百貨店でぶら下つている。得をするのはみな百貨店というような大きなところばかりで、一切の犠牲は農村にかけられている。かつては税金を高くとつて農村に売りつけるものは高く売りつけ、農民がやつとの思いでこしらえた卵や鶏や牛の肉を、町に行つてぶら下げて、町の資本家を喜ばせて、農村を疲弊さすというようなやり方に対しては、徹底的に反対だ。こういうやり方が切りかえられる畜産のやり方があるかないかを伺いましよう。
  59. 山根東明

    ○山根政府委員 私どもは、御指摘のような考え方に基いて畜産政策をとつてはおりません。畜産を通じて農家経済を安定向上させること、これを唯一の念願として仕事をやつております。
  60. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 先ほど来飼料の問題についていろいろ論議されておりましたが、私は結論を出す意味で二点だけお伺いしておきたいと思う、その一つは、政務次官は、今度の大豆かすの入札については、なるべく安くするということをおつしやつておられた。その点については私ども了とするわけでありますけれども、もう一度入札をした場合に、それで落す気があるのかないのか、また入札をしても落ちなかつたということであれば、数十人の人が九州くんだりまで、あるいは北海道くんだりまで行つてむだをするような結果になる。この間の入札でも、おそらく数十人——百人近い人があそこへ集まつて、から手で帰つて来ておられる。今度入札をした場合に落す気があるのかないのか。やはりまだ予定価格に達しないといつて、またひじ鉄をくれるようなことになりはせぬかということを心配するのであります。その点について、落す気があるのかないのかという点を、はつきりここで明示していただきたい。  それからもう一つ、これは食糧庁の第二部長にお伺いしたいのでありますが、これは事務的な問題になりますが、北海道あるいは九州まで、いろいろ入札のために押して歩いているということは非常に不経済である。どういうものがどこにどれだけあるということがはつきりわかつておるのでありますから、願わくば、この入札をする人たちを東京へ集めて、東京で一括して入札の手続をとつていただけないか。これは政府の方でやろうと思えばできることであると思う。そういう便宜な方法をこの際ひとつとつていただきたいが、それができるかどうか、この二点を二人からお伺いしたいと思います。
  61. 島村軍次

    ○島村政府委員 前段の問題は、実は落すつもりで食糧庁も手続をやるだろうと思います。ただ後段のお話は、旅費を使つて非常にむだがあるというようなことでありますが、何とか冗費を省く方法がとれるかどうかは、もう一ぺんひとつ研究してみたいと思います。
  62. 細田茂三郎

    ○細田説明員 後段の方は、私はできるのではないかと思いますけれども、研究してみましよう。
  63. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま政務次官及び第二部長から、私の質問しました二つの点について、非常に誠意のある御回答をいただきましたが、この次の入札のときには、政府は必ず落す考えである、必ず落ちるものであるということを私は信じます。それから中央で一本で入札できる、つまり実需者の団体に迷惑をかけないということで、政府が誠意をもつてつてくださるということを了承して、私の質問を打切ります。
  64. 千賀康治

    千賀委員長 次会は公報をもつて申し上げることとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時三十九分散会