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1951-03-02 第10回国会 衆議院 農林委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 足鹿  覺君       宇野秀次郎君   小笠原八十美君       小淵 光平君    川西  清君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       平野 三郎君    八木 一郎君       坂口 主税君    八百板 正君       山口 武秀君    横田甚太郎君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (大臣官房長) 塩見友之助君         農林事務官         (大臣官房農林         金融課長)   富谷 彰介君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      上松 憲一君         農林事務官         (農地局農地課         長)      和田 正明君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月二十八日  農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関  する法律案内閣提出第五四号) 三月一日  農林漁業資金融通法案内閣提出第六四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業委員会法案内閣提出第四三号)  農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関  する法律案内閣提出第五四号)  農林漁業資金融通法案内閣提出第六四号)     —————————————
  2. 千賀康治

    ○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  去る二月二十八日本委員会に付託になりました内閣提出農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案、及び昨三月一日付託せられました内閣提出農林漁業資金融通法案を順次議題といたし、審査に入ります。  まず農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案趣旨について説明を求めます。島村政務次官。     —————————————
  3. 島村軍次

    島村政府委員 ただいま上程になりました農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  さきに提案いたしました農業委員会法によりますれば、現行農地委員会は新たに農業委員会に改組されることになりますので、現行法律中の「農地委員会」とあるものを「農業委員会」に改める必要が当然生ずるわけであります。このような整理を行うため関係法令についての一部改正を行うた次第であります。  何とぞ農業委員会法と並行して御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたす次第であります。     —————————————
  4. 千賀康治

  5. 島村軍次

    島村政府委員 農林漁業資金融通法案提案理由につきまして簡單に御説明申し上げます。  最近における国際情勢推移を見まするに、食糧自給態勢を確立し、国民生活の安定をはかるために緊急の施策を講ずる必要があると考える次第であります。しこうして農林漁業生産力増進を現在以上にはかりますためには、土地改良造林漁港修築等固定的生産設備改修に対し、公共事業費による助成をはかりますほかに、これらの目的に対しまして別途長期かつ低利資金を融通する制度を確立する必要があります。かかる意味におきまして、今回政府におきましては一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計から六十億の資金を得まして、これを農林漁業者に融通することを適当と考えますので、この法律案を提出した次第であります。  その内容概要の御説明申し上げますと、農業林業漁業もしくは塩業を営む者またはこれらの者の組織する法人に対し毎年度予算範囲内におきまして、土地改良造林林道開発漁港修築塩田改良共同利用施設等に必要な資金を貸し付けることができることとしております。そしてその貸付金利率は、融資対象となる事業ごと最高及び最低の率を定め、その範囲内で具体的に政令で定めることになつておりますが、いずれも事業採算制により極力低利となるよう考慮した次第であります。なお一方貸付資金として資金運用部からの借入れも予定いたしておりますので、その借入金返済及び委託金融機関手数料等も含めて、貸出利率を決定しなければならないわけであります。償還期限最高二十年で、業種別主務大臣が定めることとなつております。またこの貸付業務は、農林中央金庫その他主務大臣の指定する金融機関に委託することになつておりますが、政府基本政策沿つて所期効果を十分にあげ得るよう指導いたすつもりであります。その他貸付條件といたしまして割賦償還方法によるとともに、担保をとることを原則といたしておりますが、災害その他特別の事情がある場合には、貸付條件を緩和することができることとして、借受人立場も十分考えている次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  6. 千賀康治

    ○千賀委員長 この際農林漁業資金融通法案に対する質疑は暫時保留いたしまして、これより農業委員会法案及び農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案一括議題といたしまして質疑を行います。通告順にこれを許します。
  7. 小笠原八十美

    小笠原委員 議事進行について申し上げます。  ただいま委員長はこの法案に対する質疑あとまわしにすると申しましたが、内容のこまかいことはともかくとして、この題目に対して一応やつておかぬと、あとでこちらの方の態度をきめる上に困ることがあるから、一応題目だけについて政府に、ただす必要があると思います。  そこで政務次官に伺いたいのは、なぜここに畜産という問題を入れないか。仄聞するところによれば、畜産長期ではないという解釈をして、当事者向う折衝したという話がある。畜産くらい長期なものはない。酪農工業であつても、羊毛加工工業であつても、その他畜産廃物を利用する問題にいたしましても、これくらい長期なものは、このうちのどれを見てもありません。それを、畜産導入資金とか限定して考えてやるからこんなことになる。関係方面がどうのこうのと、そんなことを言つている場合ではない。どこまで折衝して、どういう内容までやつたか。農林省政策のうちに畜産がなかつたならば、農林省全体の目的を達することはできない。今大切な長期金融をやるときに、どういうわけで入れないか。どういう交渉をやつたという、その結末までを詳細に説明してもらいたい。
  8. 島村軍次

    島村政府委員 畜産重要性並び畜産に関する資金の必要な点については、農林省といたしましても非常に痛感をいたしているのであります。今回提案をいたしました法律の上から申しますと、土地改良造林など、提案理由説明申し上げましたような固定的な設備主体にいたし、かつ畜産に関しましても、共同利用施設等に必要な資金については、なるべくその措置を講じたいという考えは持つているのでありますが、土地改良造林等区別をして、軽量の問題になりますと、あるいは御意見もあろうかと思うのでありますが、ただいま御指摘になりましたような点は、最後に上つている共同利用施設等においえ、十分考慮を進めたいという考えを持つているのであります。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員 そんなことではわからない。あなたは畜産が軽くて、土地改良が重いので、これでいいのだと言うのでありますか。その点まで口はとめませんけれども、最後の方で——しつぽの方で利用して何とかしようと言う。題目になぜ畜産という文字を入れぬか。しつぽの相談なんかどうでもいいのだ。これの国民に対する影響は重大だ。これから畜産が発達しなければ食糧解決がつかぬということは、たびたび論議されておる。そこでどういうわけでこれを入れなかつたか、大臣がすでにここの席において、これを入れようじやないかということで、畜産局長立法者の方の関係連絡をとれとまで、私の前で命じたのだ。それで畜産局長を呼んで話したところが、なおかつ関係方面がどうのこうのとりくつばかり言つて、なかなかこつちの方に応じてくれないと言う。これでわれわれは困つておるのだ。それに対してあなたの方で納得し得る説明があるかどうか。題目問題を確かめるためにお尋ねしておるのだから、軽重がどうだ、こうだと言うことはない。今ちよつと農林省畜産の方は軽いと言われかけたが、農林省畜産の方にはそう重きを置いていないと言うのなら、別の観点から話をしなければならぬが、どうもあいまいな御答弁でいけない。重要なことが十分わかつておるなら、わいわい言わないで、これから入れようじやないかとか、あるいは畜産金融法案準備をするとか、何とかかんとか話がありそうなもんだと思う。
  10. 島村軍次

    島村政府委員 少し説明が足りませんでしたから、つけ加えます。畜産を軽視する考えはありません。これははつきり申し上げておきます。  題目農林漁業と上つております。畜産は当然この農林漁業の中に含んでおると思います。  それから畜産の、たとえば畜牛購入等資金につきましては、これは提案した土地改良とか共同施設とは多少     —————————————
  11. 島村軍次

    島村政府委員 農林漁業資金融通法案提案理由につきまして簡單説明申し上げます。  最近における国際情勢推移を見まするに、食糧自給態勢を確立し、国民生活の安定をはかるために緊急の施策を講ずる必要があると考える次第であります。しこうして農林漁業生産力増進を現在以上にはかりますためには、土地改良造林漁港修築等固定的生産設備改修に対し、公共事業費による助成をはかりますほかに、これらの目的に対しまして別途長期かつ低利資金を融通する制度を確立する必要があります。かかる意味におきまして、今回政府におきましては一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計から六十億の資金を得まして、これを農林漁業者に融通することを適当と考えますので、この法律案を提出した次第であります。  その内容概要の御説明申し上げますと、農業林業漁業もしくは塩業を営む者またはこれらの者の組織する法人に対し毎年度予算範囲内におきまして、土地改良造林林道開発漁港修築塩田改良共同利用施設等に必要な資金を貸し付けることができることとしております。そしてその貸付金利率は、融資対象となる事業ごと最高及び最低の率を定め、その範囲内で具体的に政令で定めることになつておりますが、いずれも事業採算制により極力低利となるよう考慮した次第であります。なお一方貸付資金として資金運用部からの借入れも予定いたしておりますので、その借入金返済及び委託金融機関手数料等も含めて、貸出利率を決定しなければならないわけであります。償還期限最高二十年で、業種別主務大臣が定めることとなつております。またこの貸付業務は、農林中央金庫その他主務大臣の指定する金融機関に委託することになつておりますが、政府基本政策沿つて所期効果を十分にあげ得るよう指導いたすつもりであります。その他貸付條件といたしまして割賦償還方法によるとともに、担保をとることを原則といたしておりますが、災害その他特別の事情がある場合には、貸付條件を緩和することができることとして、借受人立場も十分考えている次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  12. 千賀康治

    ○千賀委員長 この際農林漁業資金融通法案に対する質疑は暫時保留いたしまして、これより農業委員会法案及び農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案一括議題といたしまして質疑を行います。通告順にこれを許します。
  13. 小笠原八十美

    小笠原委員 議事進行について申し上げます。  ただいま委員長はこの法案に対する質疑あとまわしにすると申しましたが、内容のこまかいことはともかくとして、この題目に対して一応やつておかぬと、あとでこちらの方の態度をきめる上に困ることがあるから、一応題目だけについて政府に、ただす必要があると思います。  そこで政務次官に伺いたいのは、なぜここに畜産という問題を入れないか。仄聞するところによれば、畜産長期ではないという解釈をして、当事者向う折衝したという話がある。畜産くらい長期なものはない。酪農工業であつても、羊毛加工工業であつても、その他畜産廃物を利用する問題にいたしましても、これくらい長期なものは、このうちのどれを見てもありません。それを、畜産導入資金とか限定して考えてやるからこんなことになる。関係方面がどうのこうのと、そんなことを言つている場合ではない。どこまで折衝して、どういう内容までやつたか。農林省政策のうちに畜産がなかつたならば、農林省全体の目的を達することはできない。今大切な長期金融をやるときに、どういうわけで入れないか。どういう交渉をやつたという、その結末までを詳細に説明してもらいたい。
  14. 島村軍次

    島村政府委員 畜産重要性並び畜産に関する資金の必要な点については、農林省といたしましても非常に痛感をいたしているのであります。今回提案をいたしました法律の上から申しますと、土地改良造林など、提案理由説明申し上げましたような固定的な設備主体にいたし、かつ畜産に関しましても、共同利用施設等に必要な資金については、なるべくその措置を講じたいという考えは持つているのでありますが、土地改良造林等区別をして、軽量の問題になりますと、あるいは御意見もあろうかと思うのでありますが、ただいま御指摘になりましたような点は、最後に上つている共同利用施設等においえ、十分考慮を進めたいという考えを持つているのであります。
  15. 小笠原八十美

    小笠原委員 そんなことではわからない。あなたは畜産が軽くて、土地改良が重いので、これでいいのだと言うのでありますか。その点まで口はとめませんけれども、最後の方で——しつぽの方で利用して何とかしようと言う。題目になぜ畜産という文字を入れぬか。しつぽの相談なんかどうでもいいのだ。これの国民に対する影響は重大だ。これから畜産が発達しなければ食糧解決がつかぬということは、たびたび論議されておる。そこでどういうわけでこれを入れなかつたか、大臣がすでにここの席において、これを入れようじやないかということで、畜産局長立法者の方の関係連絡をとれとまで、私の前で命じたのだ。それで畜産局長を呼んで話したところが、なおかつ関係方面がどうのこうのとりくつばかり言つて、なかなかこつちの方に応じてくれないと言う。これでわれわれは困つておるのだ。それに対してあなたの方で納得し得る説明があるかどうか。題目問題を確かめるためにお尋ねしておるのだから、軽重がどうだ、こうだと言うことはない。今ちよつと農林省畜産の方は軽いと言われかけたが、農林省畜産の方にはそう重きを置いていないと言うのなら、別の観点から話をしなければならぬが、どうもあいまいな御答弁でいけない。重要なことが十分わかつておるなら、わいわい言わないで、これから入れようじやないかとか、あるいは畜産金融法案準備をするとか、何とかかんとか話がありそうなもんだと思う。
  16. 島村軍次

    島村政府委員 少し説明が足りませんでしたから、つけ加えます。畜産を軽視する考えはありません。これははつきり申し上げておきます。  題目農林漁業と上つております。畜産は当然この農林漁業の中に含んでおると思います。  それから畜産の、たとえば畜牛購入等資金につきましては、これは提案した土地改良とか共同施設とは多少趣を異にいたしておるものと認めます。そこで畜産共同施設に対しては、もちろん六十億の範囲では希望も相当多く、なかなか小笠原委員のお話のように十分なことには参らぬと思うのでありますが、提案理由にも申し上げました通りに、資金運用部からの資金等も、今後さらに借入れの手続を進めまして、将来その御希望の点を十分達成いたしたいと思うのであります。率直に申し上げますと、かねてから本委員会なり、あるいはまた農林省等といたしましても、ぜひとも畜産も明らかにこの題目の中に書き加えたいという希望を持つて関係筋折衝をいたしたのでありますが、われわれの認識と多少異なるところがありましたために、今回の提案の中には畜産という文句を入れるとか、これを大幅に取上げるということには難色があつたということをはつきり申し上げて、漸次その希望を達成するように今後努力をいたしたい、かように存じております。
  17. 小笠原八十美

    小笠原委員 大分明らかになつて参りました。あなた方は認識不足なんだ。畜産とか農林とかいう問題について相談する時分には、政党でも農林省でも、いつも農漁業という題目を掲げてやつて来た。そのうちに林業というものが重大問題になつて農林漁業改まつたことは、過去の歴史においてよくおわかりでしよう。今度ぐらい畜産が大切なことはない。それで大政党自由党の綱領でも、先般の総会においも農林畜漁業とこうなつた。政党改まつているのに農林省だけがぼやぼやしておる。すでに今は農林畜漁業、こう行かなければだめなんだ。それを忘れておるから、認識を新たにしないなんてアメリカのことを言つているが、これはアメリカではないんだ。こつちの方認識が新たになつていないんだ。そこのところを認識していただかなければならぬ。そこで畜産という題目を入れて進むことはけつこうなことですから、ぜひそう解決して参りたい。われわれもこれに向つて修正なんかして向う折衝もする。もし向うがそういうことを認識しなかつたらどうなるか。——日本がこの乳・肉・卵の食糧問題を解決つけようとしておるのに、その認識のないわけはない。あなた方の説明が足りないということははつきりしている。ことに六十億がどうのこうのと言うが、この六十億を畜産にみなよこせと言つているのではない。これは畜産を軽視せず、ほかの方と按分すればわかる話なんです。そんなことは議論のうちに入らないが、今の政務次官答弁は、だんだん畜産の方に進んで来たようですから、がまんをして納得する。われわれもこれに対する態度を皆さんと相談してきめようと思うから、これで私の質問は打切つておきます。
  18. 山口武秀

    山口(武)委員 農業委員会法案について政府に質問したいと思うのです。きようは大臣がおいでにならなかつたようですが、この間の委員会におきまして大臣代理を勤めていると言われた農林政務次官が来ておりますので、政務次官にお聞きしたいと思います。さらに大臣が来てから、あらためて質問する機会を持ちたいと思うのであります。  この法案内閣提出法案でありまして、大臣代理と称する政務次官は、この法律案は十分おわかりだろうと思う。それでこの法案を読みまして、私は実に奇妙な感じがするのであります。この法案の第一條にその目的が掲げてあるのでありますが、この目的を読んでみますると、きわめてけつこうなことが書いてあるのであります。それは農業生産力発展をはかる、農業経営合理化をはかる、それから農民地位向上をはかるというようなことでありまして、この目的を実現するためにこの法案が組まれておりますならば、おそらく私たちにいたしましても、それから農民一般にいたしましても、どなたでも反対する道理はないと思うのであります。ところがこの法案は、現在きわめて特定の農業を除く以外の農民の絶対多数から反対されておる。しかも農民農業団体もこれに反対をしておるわけであります。そうしますと、このようないい目的を第一にうたつて法案がなぜ反対されるのか。ここにおきまして、私たちはきわめて大きな疑問を持たざるを得なかつたわけであります。それでここに書いてある農業生産力発展をはかるということに対して、われわれは反対し、政府はこれを主張している。そういうことになりますと、農業生産力という問題、農業経営合理化という問題、あるいは農民地位向上という問題について、政府側農民側、われわれの側におきまして認識相違があるのではなかろうか、根本的な見方の相違があるのではなかろうか、かように考えるわけであります。従つてわれわれ世間一般に使つている農業生産力という言葉と、政府の使つている農業生産力という言葉には解釈相違があるのではなかろうか、このように考えるのでありますが、とりあえずこの農業生産力という言葉について、政府考えている定義をお聞かせ願いたい。
  19. 島村軍次

    島村政府委員 農業生産力発展及び農業経営合理化をはかりということの定義は、そこに上つておりまする通りで、これを遂行するために第七條に、行うべきすべての事業を書いておるのであります。私はただいまのお尋ねがはつきりわかりませんが、これは農民の多数の人が反対しておるという話ですが、私は逆に農民の多数は、この法律案のすみやかに成立することを望んでおるという確信をもつて提案をいたしております。
  20. 山口武秀

    山口(武)委員 大多数の人が賛成しておるということを言つておられますが、もし政府認識がそのようなものであるならば、これはきわめて重大な問題だと思う。  この間の農地委員協議会全国大会におきましても、この法案に対しては絶対反対の決議をしておる。しかもこれは共産党員だけの集まりではなかつたはずなんです。あるいはこの中には自由党系の諸君も参加しておる。このような実情があるのに、どういう見解をもつて大多数の者がこれに賛成しておるという認識に立たれるのか、その内容を納得の行くように詳しく説明していただきたい。
  21. 島村軍次

    島村政府委員 本法律案は、提案理由説明申し上げました通りに、終戰後における、農民組織の意思を民主的に反映するという立場をとつておることは、たびたび繰返して説明しておる通りでありまして、本農業委員会において、農地委員会仕事も行い、自作農創設仕事も行い、さらに市町村ごと農業委員会を通じて、つまり市町村農業計画をいやが上にも民主的に盛り上がらして、総合計のもとに、適地適作に応じた農業計画を立てて行くというのが、この法案目的の重要な部分になつておるのでありまして、供出等に関する農業調整委員会等仕事もあわせて行う、これらをあげて考えますと、ただいま御指摘になりましたような点は、本農業委員会によつてすべてが総合的に解決して行くものと存じております。
  22. 山口武秀

    山口(武)委員 そのようなことはあとでお聞きします。私の聞いておるのは、政務次官農民の大多数がこれを支持しておる、希望しておると言われましたので、その認識の根拠、内容、どういう判定に立つて、どういう材料を集めて、そのような認識をしておられるのか、これを説明してくれと言つたのです。
  23. 島村軍次

    島村政府委員 私も農民の一人としてかように信じております。
  24. 山口武秀

    山口(武)委員 農民見解というものを、たまたま百姓としてはできそこないの農林政務次官見解をもつて代表するのですか。そのようなばかばかしいことはやめてもらいたい。政府というものは国民全般を見なければならないはずだ。農民全部をこの際見なければならないのだ。農民がこれに賛成しておるというなら、どこどこの農民、どこどこの団体が賛成しておるのか、それを政府はどういうふうに調査をしたのか、それを言つてくれというです。
  25. 島村軍次

    島村政府委員 誤解があつてはいけませんから、さらに十分説明を加えておきたいと思います。私が農民立場においてというのは、私の一つの例を申し上げたのであつて、これが全部を代表しておる意味では決してないことは、ここではつきり申し上げておきます。私が農民の多数の意見であるということを申し上げたのは、農地委員会全国大会の様子も承つております。しかしこれをぜひとも通してくれという多数の農民代表意見もわれわれはよく承つております。それらを彼此勘案いたしまして、この際この法律案は、全国農民多数が支持しておるということは間違いないものと信じております。
  26. 山口武秀

    山口(武)委員 この法案を通してほしいという農民が大分農林省の方へ来ておるというのでありますが、その農民はどこの農民であるか、どのような団体であるか、その農民反対者と比較して一体どれだけの割合を占めておるのか、あなたのところへたまたま来た農民が、どういうわけで大多数を代表しておると判定されたのか、その内容を示していただきたい。
  27. 島村軍次

    島村政府委員 一々投票をもつて聞いたわけではありませんけれども、これは代表機関があるわけであります。反対の陳情も受けておりますし、賛成の陳情も受けておる。それを分析してみますると、日本の農民の大多数は、民主的機関としての本農業委員会の成立を望んでおるということは、繰返して確信をもつて申し上げます。
  28. 山口武秀

    山口(武)委員 それではいつになつて答弁が出て来ない。それなら答弁ができないと言えばいいのです。あるいはおみくじを引いて、大体こうだろうというきめ方をしておるというなら、それでもけつこうです。しかし日本の農林省がおみくじを引くような気持で民心の動向を察しておるということは、きわめて重大な問題である。これはそれなりに日本の農民考えなければならないだろうと思う。なぜその認識が大多数のものだということを内容的に説明することができないのか。同じことを繰返しておる。それならお答えできないとして承つておきます。それから先ほどの問題に帰りまして、農業生産力定義をお聞きしたい。聞き返さなくてもいいように、明瞭に定義を教えていただきたい。
  29. 島村軍次

    島村政府委員 生産力の増強ということは、そこの第一に上つておりまする通りに、日本の農業の生産性を高め、生産力を高める、こういうことでありまして、生産に対しての定義は、私からあらためて申し上げなくても、よく御承知のはずだと思います。
  30. 山口武秀

    山口(武)委員 私はあなたに聞かなくてもわかつています。しかしながら世間一般に通用する農業生産力という言葉定義と、政府認識とに食い違いがあるのではないか、当然そう考えられるので、政府考えておる農業生産力定義をお聞きしておるのです。
  31. 島村軍次

    島村政府委員 法案全部を通じてお考えになれば、自然に御了解いただけることだと存じております。
  32. 山口武秀

    山口(武)委員 大分情ないことを言つていますが、私が先ほどから繰返しておる農業生産力定義ということは、五分が三分で言えるのだから、はつきりお言いなさい。もしも農業生産力定義ということを知らないなら、残念ながら知りませんと申したらいいでしよう。
  33. 島村軍次

    島村政府委員 別にこれ以上説明を申し上げる必要はないと存じますので、どうぞさように御承知を願います。
  34. 山口武秀

    山口(武)委員 説明する必要がないと言われますが、おそらく政務次官は、自信がなくてこの定義を言えないのだろう。自信がないはずですよ。あんたが言つたら私は駁撃します。実はそれを持つていたのだが、とうとう逃げられてしまつた。逃げられたなら逃げられたで、日本の農民を代表する、しかも農林大臣代理と称しておる農林政務次官の、農業生産力定義に対する認識がきわめて明快になつただけでもありがたいと思つております。但しそれは私個人の話で、日本の農民にとつてこれくらい不幸なことはない。これだけはつきり念を押しておきます。それでさらにお伺いいたしますが、今度は、あまりむずかしいことを聞いて、わからないと気の毒ですから、簡單なことを聞きますが、農民地位ということについて教えてください。やはりこの法律案の第一條に書かれております。
  35. 島村軍次

    島村政府委員 誤解があつてはいけませんから、さらに加えておきますが、生産力の増強とは、農地の開発改良を行い、その保全その他生産條件の整備、土地の利用高度化に関する施設を行う、これが生産力増強ということになるのでありまして、私が先ほど申し上げたように、第七條中の各種の事項を取上げることが、すなわち生産力増強の内客に関する定義、かように御承知を願つておきます。それから農民地位向上、これもやはり法文の中に上つております通り農業技術の改良、あるいは加工販売に対する処理を適当に行う、あるいは農業経営合理化をはかり、また農民生活の改善というような仕事に当ることそれ自身が農民地位向上であります。
  36. 野原正勝

    ○野原委員 ちよつと議事進行について……。先ほど来共産党の山口委員の質問を聞いておりますと、一体まじめに農業委員会の問題をやつているのかどうか、はなはだ私は疑問であると思う。農業生産力の増強とは何だ、農民地位とは何んだというような一片の言葉じりをとらえて、一つの言葉定義を一つ一つ聞いておつたのでは、農業委員会法案審議するに一体何十日かかるかわからない。こういうような審議方法で進めることは、いたずらに農業委員会という、われわれがせつかく日本の農村の発展のために最もよい委員会をつくろうとするこの審議にあたりまして、何かためにせんがための、議事引延ばしのための態度であろうと私は思うのであります。委員長はその点にかんがみまして、かかるくだらない、字句の定義その他の問題に関しましては、断固として注意されんことを望みます。
  37. 千賀康治

    ○千賀委員長 ただいまの野原委員の御意見はごもつともでありますので、野原君の御意思を体得いたしまして、以後の議事進行をやりたいと思います。
  38. 横田甚太郎

    ○横田委員 ちよつと議事進行について……。ただいまの野原君の言うような議事の進め方に対しては反対します。なぜかというに、きようもらつた書類の中には、三月中にこれを成立させるということが書いてある。この議案が上程されまして、農林委員会審議したときには、自由党はだれも来ておらなかつたじやないか。そのときに野原君が……。     (「じようだんじやない、おつたじやないか」と呼ぶ者あり)いや、ほとんどおらなかつた。きようやり始めてそろうただけである。これから三月一ぱいにやらなければならないこういう重要法案に対して、やはり字句のわからないところは、はつきり見解を尋ねて行かなければならない。だからそういう意味合いにおいて、あまりこせこせしたことにとらわれずに、ゆつくりと、そうして委員会審議内容を充実させてやつてもらうように、お願いしたいと思います。
  39. 千賀康治

    ○千賀委員長 横田君の御意見もありますが、横田君の御意見に賛成する空気は、この議場の中ですこぶるわずかであると認めますので、野原君の御意見を主として採用したいと私は考えます。
  40. 山口武秀

    山口(武)委員 今野原君からの意見があつたようでありますが、決して字句の問題を聞いているのではない。農民の大多数はこの法案を実施されることによつて困ることが起るのです。それで現にこれに反対をしているのです。それにもかかわらず、法案の一番中心をなしている第一條を見ますと、けつこうなことが盛られている。実際には困るのに、第一條の目的だけはよくなつている。しかしわれわれと政府の間にはこの言葉内容——言葉内容というのは、法案全般の内容の問題なのですが、この点についてかなり食い違つた点がある。もしも農業生産力の問題につきまして、政府見解とわれわれの見解というものが食い違つているとするならば、この点を明らかにすることは、單にこの法案のみならず、日本の農政全般に通ずる根本問題である。かように考えたから聞いているわけで、決して字句の問題を聞いているのではないのです。ところが先ほど来の政務次官説明を聞いておりますと、農業生産力言葉について簡單に答えれば一言で済むのです。ところがああでもない、こうでもないと、わけのわからない横町の回答ばかりするから、いつまで経つてもきまりがつかない。少くとも私は、農林次官の説明としてはあまりに情ない答弁だと思う。農業生産力説明につきましても、それは爐端でおじいさんたちの言う言葉です。農民地位ということを聞いておりますのは、農民地位ということを決して簡單に聞いているのではないのだ。これは今後の農民の生活を向上する場合にどこに目安を置いているのか、現状に対してどのような認識を持つているのか。これはやはり法案審議するのに基本問題になるのだ。この点から聞いているのです。農民地位をここで向上しなければならないということになりますと、一体農民地位というきのを何に比べているのか。日本の財閥に比べているのか、あるいはアメリカの財閥に比べて考えているのか、それとも現在の日本の農民地位というものをそのまま見て、これはやはり人間的な生活ではないという認識の上に立つておられるのか。それによつてこの言葉のもたらす意味というもの、従つてこの法案目的というものについて明確な認識を持たせるし、もしこれに対して御意見があるならば、第一條について議論しなければならないと考えているのです。だから農民地位というものを何と比較し、具体的にどのような認識に基いて言つているのか、この点を説明願いたい。
  41. 千賀康治

    ○千賀委員長 委員長からちよつと御注意申し上げます。先ほど来からの山口委員の言論を聞いておりますと、政府委員があなたの感情と、あなたの思想に同調する言葉の出るまではがんばつていようというような態度が見えます。それよりも、あなたもこの委員会を進めようという誠意があるならば、卒直にあなた自身の考えをここに披瀝されまして、その考え政府委員が同調するかせぬか、それに基いてはつきり判定をきめて行かれたら、きわめて簡單にこの委員会は進行すると思います。どうぞあなたの方も、協調的な態度をとつて質問を進めていただきたいと思います。
  42. 山口武秀

    山口(武)委員 私は今の委員長言葉にも納得いたしかねるのですが、聞いたところでわからない人に聞いても話になりません。決して私は自分の見解に合致するような答弁を求めているのではないのです。農林次官というものは、どのくらい偉い人であるかということは、これはやはり日本の農民として、この際明らかにしておく必要もあると考えたのです。しかしわからなくて答弁ができないというならば、きわめて残念ですが、この第一條についてはわからないままに進めて行きたいと思います。  農業委員会法案提案理由説明によりますと、初めの方に、農地改革の事業がほぼ完成を見たとありますが、われわれが承知しております限りにおきましては、たとえば山林の使用権の問題、採草、薪炭林の使用権の設定の問題につきまして、ほとんど現状におきましては進んでいない。これは当初農地改革関係法ができまして、そのあとにおいてやはり山林の使用権について設定する必要があるということで政正になつたようでありますが、これが全然実現を見ていない。このような点について、政府認識はどのように考えておられるのか、お伺いたしたい。
  43. 島村軍次

    島村政府委員 農地改革は、すでに御承知の通り、最初の方針に従つて百九十万町歩の土地が買上げされて、それぞれ最初の目的通りに行つております。小作地として残つているのはわずかに四十五万町歩、あとはいわゆる自作農になつておることは御承知の通りでありまして未墾地あるいはその他については、年々起る問題でありますので、その問題に対する措置はその都度都度やつておるわけでありまして、未墾地の解決がついてないから、農地改革がまだ進行してないという結論には、もちろんならぬと思いますし、さようなことは、本委員会を通じて国民にもよく納得してもらわなければならぬので、この農地改革は進行しておるということに対しては、以上の数字をもつても明らかだと思います。
  44. 山口武秀

    山口(武)委員 私は進行してない言つたのではたいのです。事業もほぼ完成を見たと言つたのです。それから末墾地の問題について私は聞いておりません。これはあなたのおつしやるように、毎年これを進めて行く、それでよろしいでしよう。私が聞いたのは、山林の採草、薪炭の使用権の設定が、どのように進んでいるかを聞いたのです。われわれの見解では、おそらくこれはほとんど進んでないのではないだろうか、たとえば昨年、一昨年あたりの状況で、山林の使用権の設定についてなぜ進まないかと聞いてみましたところが、これは農林省の方から、山林の使用権についてその賃貸料金というものが指示されていないのだ、それだからわれわれとして進めるわけには行かないのだ、町村農地委員会もその方向に指導できないでいるのだ、そういうわけで、町村農地委員会の方から申請があつたにもかかわらず、これが握りつぶされておる。その後におきまして、この料金がきまつたかどうか、私は知りません。しかしこの使用権の設定について、それが進んでいるということは私は承知していないのです。だから一体この山林の使用権の設定ということが、どのくらい必要か、現在どのくらい進んでいるか、これを一つ聞いておきたいわけなのです。
  45. 島村軍次

    島村政府委員 数字の内容については他の政府委員から答弁いたします。
  46. 上松憲一

    ○上松説明員 薪炭、採草地の使用権の設定問題つきまして御説明いたします。お話の通り、薪炭、採草地の使用権の設定は非常に必要なことでございまして、農地調整法で取上げまして、これを奨励いたしておるのであります。ただいま御指摘のございました、事業が進まぬではないかという問題でございますが、地方の実情によりまして非常に困難なものがあるのでございます。ことにお話の賃貸料につきましては、農地の小作料につきましては統制がございますが、山林あるいは採草地につきましては、賃貸料の統制というものはないのでございます。従いまして、一律にこれをどれぐらいにするかという指示をいたすことはできがたいのであります。そういう事情もありまして、事業が進まないという点もあると思いますが、それ以外にも、各種の困難な問題がございまして、比較的事業は進んでおりません。主として従来から使用されておるものが、そのままの形において存続しておるという状態でございまして、私の方におきましても、的確なる使用権設定の数字を持ち合せておらないのでございます。
  47. 山口武秀

    山口(武)委員 今の話によりますと、全然資料も持つていない、どれくらい進んでいるかわからない、実情に困難性があるというようなことでございますが、これは料金をきめますのに、何もそれほど困難な事情はないでしよう。農地改革のときに、土地の買收価格につきましてもあれほど思い切つた手段をとつたではないですか。この山林の使用権の料金をきめるのに、これが全然行えない、政府がこの基準も出せないのだというようなことは、われわれには了承しかねるので、この点を説明してもらいたい。それからこのことが、実情に困難があつてなかなかやれないので、今なおやつていないのだというようなことになりますと、法律をつくるときはどうだつた。初めからできないつもりで法律をつくつたのですか。少くともほかの農地改革は、ともかく法律できめられたことは、それはもちろん不徹底なものもあり、誤りもあつたでしようが、かなり進行を見ておるのに、この一点に関してはまつたく行われていない。これはきわめて重大なことで、もう少し納得の行くような説明を願いたい。
  48. 島村軍次

    島村政府委員 農地改革においては、山林は御承知の通り最初から除外されて立案されておつたのでありまして、その後牧野の問題が入つて法律改正が行われて、今日では使用権の問題は対象外だと考えております。
  49. 山口武秀

    山口(武)委員 何か言葉の聞き違いがあつたかもしれません。だれかにつけ智惠されたかもしれません。薪炭、採草地の使用権の設定という問題は、まだ農地関係法案に残つておるはずです。いつの日付で、どのような法律で除外されたかを御説明願いたい。これは農林次官にお願いいたします。
  50. 島村軍次

    島村政府委員 私が説明申し上げたことに間違いないと思いますが、ただいまのお尋ねと少し食い違つたようでありますから、他の政府委員から説明いたします。
  51. 和田正明

    ○和田説明員 使用権の設定の件は、御説のようにいろいろ困難もありまして、現在まで必ずしも十分な成果は上げておらないのでありますが、政府といたしましても、最近国有林野法の改正等によりまして、共用林野制度等を今後とも活用して、十分な成果の上るように準備をいたしております。
  52. 山口武秀

    山口(武)委員 使用権の問題につきまして、政府として今後努力するということを言われたようでありますが、これは確かに聞いておきますから、あとになつてあいまいなことのないように……。  それからさらにお聞きいたしたいと思いますのは、農地改革の事業の成果を確保するということがいわれておるのでありますが、この農地改革の成果を確保するということは、これまで農民を経済的に、身分的に圧迫しておりましたところの、かの封建性をなくすことが、この事業のねらいであるのだ。従いまして、この事業の成果の確保というものは、農地改革で、單に農民に土地が移つたという形式上の問題だけでは、問題は済まされない。これは、それを通じて農業の今後の発展というもの、従つて農民地位向上という問題、これが出て来てこそ成果の確保ということになります。これまでの形式的なことだけで確保とは言えない。ところが現在この成果の確保につきまして、ほかの條件が具備されてないようなことになつておるのでありますが、政府としては、軍に土地の形式的な開放ということだけで——それが先ほども言つた農業生産力向上、経営の合理化という問題にまで進んで来たときに、確保と考えておるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  53. 島村軍次

    島村政府委員 大学で講義をするようなお尋ねでありますから、私は山口氏の人格を尊重してお答えを差控えたのでありますが、そういう問題はすでにわかり切つておることであります。繰返して申し上げておきますが、生産力とか、あるいは地位向上とかいうような問題について、私が定義を下さなんだということを前提にしてお尋ねになることは、少し差控えてもらいたいと私は思います。それだけひとつ申し加えておきます。  御意見のようでありますから、別に説明を申し上げる必要はないと思います。
  54. 山口武秀

    山口(武)委員 情ない弁解だか抗議だかをなさつているようですが、どうも私どもにはわかりません。
  55. 千賀康治

    ○千賀委員長 山口君に希望しますが、どうか質問の発展を願います。進行を願います。同じところを行き来しておつては困る。
  56. 山口武秀

    山口(武)委員 私ももちろん質疑発展をしたいのでありますが、ただ次官の答弁があつちこつちして、何が何だかわからない答弁ばかりしておるので、同じことを聞き返さなければならなくなつているのです。     (「質問がわからないのだ。」と呼ぶ者あり)質問がわからないというのはよほど頭が悪いのです。  それで、この法律を出されることにつきまして、きわめて重大なことは、従来上から行われていた農業政策を、下からの農業政策に切りかえることが根本問題であろうと考える、こう言つているのです。この法律の大体の内容を見ますと、農地問題であり、あつさり言えば供出問題である。土地の改良や技術の改善問題をやるということでありますが、一体供出の問題につきましても、上からの政策を下からに切りかえるようなことで出て来るのか。農地問題でも、われわれはそう簡單には考えられない。世間的には農地改革の打切りがこの法案に現われて来たのだと言われている。それから土地の改良や技術の改善ということを行うといつても、それに農民がどのように意思を反映するのか、單に建議するとか、諮問に応ずる程度にすぎないだろうが、それに対して、御趣旨はごもつともだが、政府は予算がありません、現在の国家情勢ではやむを得ませんと大体断わられる。だからほんとうに内容的に検討してみますと、そういう言葉が容易に受取りがたいのです。何をもつて上からの政策を下からの政策に切りかえると言つているのか、この内容について少し詳しくお伺いしたいと思います。
  57. 島村軍次

    島村政府委員 これは一つの例で説明を申し上げれば御納得が行くかと思うのであります。たとえば従来の割出制度等も、非常に嚴格な割当をやつておつたわけでありますが、今度は事後割当制度をとり、そしてなるべく意見を聞いた上でやる、こういうことになつているわけです。それからいつても、これは確かに民主的になつて来らということは言えると思うのです。上からの問題ということは、たとえば戰時中には、農業改良仕事でも各戸に割当てるというふうなことをとつておつたわけです。しかし今度の割当制度は、各戸に割当てるのでなしに、各村で農業計画を立てて、ほんとうに百姓の総意がその農業計画の上に反映するというようなことをとりたいというのが、上からでない、下からだ、こういうことで、これははつきりしておると思うのであります。むしろお話になつたことは、意味ちよつと逆じやないかと私は思うのです。農業委員会法内容を全部御検討になれば、そういうことはおのずから、なるほどそうだというふうに御了解願えると思います。
  58. 山口武秀

    山口(武)委員 これまでの割当がきわめて嚴格な割当であつて、今度は事後割当になつて従つてゆるい割当になる、こういうことに了解してよろしゆうございますね。
  59. 島村軍次

    島村政府委員 今日は傍聽者がたくさんお出でになつておるから、誤解があつては困るのですが、簡單な例をもつて申し上げれば、割当の問題は、ジープでもつてガチヤガチヤいわすようなことは今度はやめた。これあたりも、なるべく下の意見を尊重してやろう、こういうことなんですから、自主的に出るように方法をとつた。これは割当の問題でありますが、農業委員会法全部を通じて考えますと、そういう思想がたくさん出ておるわけです。それで御承知願います。
  60. 山口武秀

    山口(武)委員 ジープがガチヤガチヤ出て、これまでは供出の督励をやつていた。今次官はこう言われておつたが、それはあんたたちのやることで、法律としてこうやつて来た場合には、この前食糧確保臨時措置法に比べてみなければならない。そこでこの前の食糧確保臨時措置法によりますと、農業調整委員会は決議機関ときめられておつた。ところが今度は諮問機関に格下げされた。諮問機関は話を聞いて、聞くとも聞かぬも自分のかつて、こういうのが諮問機関だ。これでやつてなぜ農民意見というものが尊重さることになつたのか、きわめて了解しがたいことである。これはどういうわけなんですか、御説明を願いたい。
  61. 島村軍次

    島村政府委員 決議機関であるから民主的である、諮問機関であるから非民主的であるということは、私は言えないと思う。
  62. 山口武秀

    山口(武)委員 決議機関の場合には物事を決定する力を持つておる。諮問機関の場合には決定する力を持つていないで、意見を述べるだけの力しか持つていない。世間一般の常識から申しますと、決議機関の方が民主的である。それをあなたはそうじやないと言われるのですが、もう少し世間一般の常識でわかるように御説明を願いたい。
  63. 島村軍次

    島村政府委員 決議機関か諮問機関かという問題ついては、いろいろ輪議のあることは私も承知いたしております。しかしこの委員会法全体を通じまして、第七條の、農地の開発改良、保全その他土地の生産條件の整備及び土地利用の高度化に関する事項、農業技術の改良その他農業生産に関する事項、加工、販売その他の処理に関する事項、生活改善、農業経営合理化、こういう問題は、主として地方の農業委員会において御決定になりましても、決議機関としてやつても、そのものは——これはたとえば予算を執行するような場合には、これは町村長がやる場合がありましようし、あるいはまた農業協同組合がその事務を執行する場合がありましようし、すべて農業全体の改良計画、あるいは農業経営の改善、生活改善というような事項については、これを決議機関にいたしますとがんじがらめになりますので、諮問機関にいたしたのであります。
  64. 山口武秀

    山口(武)委員 このことで先ほどの諮問機関と決議機関が民主的、非民主的の問題は説明されてないと思います。それから問題がそらされていると思う。私は供出の割当を決定する場合の問題を聞いている。なぜそのようにわきの方に問題を持つてつてしまうのです。なるほど総合計画の樹立という実は内容は何もない。からつぽです。ごまかし言葉を使つている。たとえばこの前の食糧確保臨時措置法にいたしましても、それによつて肥料の計画の割当から農機具の配給計画まで含めて、農業計画を指示するということを言つている。ところが実情をごらんなさい。そんなことはありましたか。大半の農村では、農業計画の指示なんかしておりません。いつの場合でも、下手をすると生産数量の指示すらもしていなかつた。供出の割当だけの指示をしているところが多かつた。しかもこの法律の一番根本の内容は、総合計画をやるといいますが、残りの供出割当計画の指示が問題なんです。その場合に、それが諮問機関に下げられたということは、明らかに非民主的なんです。もう少し納得の行くようこ御答弁を願いたい。
  65. 島村軍次

    島村政府委員 御意見をさしはさんでのお尋ねでありますので、先ほど答弁いたしました通りで、これ以上はお許しを願いたいと思います。
  66. 山口武秀

    山口(武)委員 それでは大臣と事務局に対するこまかい質問はあとでやることにいたしまして、そういう條件付で一応やめます。
  67. 横田甚太郎

    ○横田委員 次官に簡單な問題で聞いておきたいのです。次官は二十八日の委員会で、これは国会の審議を尊重すると言われましたね。これは言うのがあたりまえです。しかしこの法案は、通過の線で審議をしてもらいたいというような意味合いのことを言われたのです。そこで聞いておきたいのですが、そこがいつも議会の問題になるのです。前の食確法のときにも、われわれは食確法それ自体に対する審議をしたのです。その結果として議会全体が意思表示をしたが、いけないという意思表示をした。それに対して今年の予算委員会で廣川農林大臣は、農民の代表者である人が多数議会に議席を占めているので、従つて議会は農民の意思を代表されるだろうと言われた。そして皆さんの意思によつて法案が通つたと言われたのですが、これはポ政令で通つたという問答があつた。そこで聞きたいのは、この法案政府は、審議を尊重するといいながら、どういうふうな点までを審議を尊重し、またどういうふうな点が譲れるか、譲れる点を言つていただきたい。
  68. 島村軍次

    島村政府委員 これは譲れる、譲れぬというようなことは、まだ具体的に国会の皆さんの方からの御意見が出ておりませんから、今答弁の材料がありません。
  69. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると外国人関係からは何の指示事項も来ておらないのですね、この点を伺つておきたい。もつとはつきり言えばアメリカ人です。
  70. 島村軍次

    島村政府委員 占領下でありますので、おそらく司令部の意味だろうと思いますが、これは御承知の通り提案するときには、関係筋の了解を得て提案をいたしております。
  71. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、この法案はこの内容において通せという意味ですか。これに対して少しの修正意見も入つた場合には悪いというのか、その修正意見は、どういう点までは向うの方が認めるか、認めないかという点を伺いたい。
  72. 島村軍次

    島村政府委員 それはあなた方の方で修正する案をお出しになつて交渉してみなければわかりません。
  73. 横田甚太郎

    ○横田委員 こういうようなことを言つたのは、これが本質なんだ。それに国会の審議権を尊重するというなまいきなことを言つたから、しやくにさわつたので言つただけのことです。  それからきようの農業委員会法案は、山口君の多数農民反対しているという質問に対して、次官は賛成すると言われたが、この点について、われわれは数の問題を論議しようとは思わない。二月二十六日農民の代表者なる団体が、神田の共立講堂に朝から寄つて、全国の農地委員大会を開いたが、衆議院あるいは参議院の全部であろうと思いますが、それぞれの農林委員関係の方に対しましては、招待状をもつて招いている。そこに私たちは行つたが、そのスローガンの中においては、政府農業委員会法案絶対反対ということが出ている。そこでこの問題がよいとか悪いとか言いますと、あなたがお気の毒だから申しませんが、そこに行きましたところが、びつくりするほどのお百姓さんが集つておつたことは事実だ。私はこれは権威ある農民団体だと思つたのであります。ところが政府としては、これを権威ある団体と見ておるのか、その見解を承りたい。なぜかと申しますと、この会合には、農林省の役人が招待されておるにもかかわらず、行つておらなかつたという事実を聞いたのであります。もし行つておられたのであるならば、農林省から行かれたところの役人はどなたであるかということを聞きたい。  それからこういうような団体は、非常に権威ある大きな団体であると思うにもかかわらず、これにまさるところの農民団体が会合を開いて、そうしてこの法案を通せということを、次官に言われたのかどうかということを聞いておきたい。
  74. 島村軍次

    島村政府委員 私も招待は受けましたけれども、当委員会答弁で非常に忙しかつたので、出席することができなかつたのであります。
  75. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは共産党員ではないということを断つておきますが、あの会合においては長野県の代表者が、農林省は、この会合においてやる趣旨とは意見が違うから、行かないのだということを言われたが、これはうそかほんとうか。
  76. 島村軍次

    島村政府委員 会議に出席いたしておりませんから、長野県から出られた代表者が、どう言われたかはよく存じません。しかし農地局長は出席をいたしております。
  77. 小笠原八十美

    小笠原委員 議事進行、この問題について……。こういうことを論議することは、委員会の権成に関する問題だから、御答弁なさる方も注意しなければならぬし、横田君も注意しなければならぬ。政府がこれを提案したのは、国民のために幸福だという意味で、そうした信念で提案して議会の輿論を問うておるのだから、これは議会の多数が賛成であるならば成立するのだ。それにもかかわらず横田君は、農民団体がどこで、どうのこうのと言つておるが、そういうことをここで論議すると、非常に一般人の誤解を招くから、そういうことはお互いにやめましよう。
  78. 千賀康治

    ○千賀委員長 横田君に御注意いたします。ただいまの小笠原委員の御意見は、われわれは相当に吟味すべきものだと思いますので、先ほどと同一趣旨の質問はやめていただいて、内容発展をお願いいたします。
  79. 横田甚太郎

    ○横田委員 同一趣旨のことについて言うのではない。山口君の意見に関して、外の意見は、こうであつた、ああであつたというのに対して、次官はそうではない、こうだというような答弁をされるから、そうなつたのです。  それでは、小笠原委員の言われたように、国会を中心にして論議しましよう。あなたは山口君の質問に対して、事前割当から事後割当、事後割当から自主的な割当、ジープをがちやつかせて供米をとりに行くようなことはいたしておらぬ至つて民主的になつたと言われるのですが、私も日本の農民です、あなたも日本の農民でしよう、それならば伺いたいのですが、私はこの供出制度それ自体が非常に非民主的なものだと思うのです。戰争中にありましたあらゆる強権を加えられたやり方に対しては、全部やめられておるにもかかわらず、日本で残つておるのはただ一つ供出制度だけであります。これは政府の弱点だと思うのであります。だから供出制度それ自体は続けなければならないあるいはやめなくちやならないという論議はあとにいたしまして、供出制度が非常に民主的なものであると思つておられるのかおられないのか、この一点を伺つておきましよう。
  80. 島村軍次

    島村政府委員 農業委員会には直接関係がないと思いますが、供出制度は一つの例として申し上げたのでありまして、供出制度が民主的であるかどうかということについては、きようは答弁いたしません。
  81. 横田甚太郎

    ○横田委員 だから要点は、小笠原委員の発言にもありました通り権威あるところの答弁をしてもらう、従つて山口君の質問は大臣に対してしようというようなこともあつたのです。これは事実大臣に聞いて、大臣がいい答弁をされようが悪い答弁をしようが、大臣は一番の権威者です、それは最終の答弁です、一番偉い人の答弁です。だからそれをもつてわれわれは論議の代表とされるが、しかし次官は言を左右にして、供出の問題に関連しておりながら関係していないと言つておる。まるでおじいさんが火ばちのそばで孫と話をしているようなとぼけた答弁をしないでもつとはつきりした答弁をしてもらいたい。
  82. 千賀康治

    ○千賀委員長 小笠原委員から議事進行について発言を求められております。これを許します。
  83. 小笠原八十美

    小笠原委員 ここに農林漁業資金融通法案が出ておりますが、これは農林一般につきましての重要な法案でありまた今回新たにこういうものが出たということは農民の幸福になる法案で、われわれは最も賛成するところでありますが、しかしながら先刻来申し上げたように、何か一方の種類にのみ偏したということは、農林政策軽重があるようなきらいを持たせるのでありまして、この際そういうことのないように、題目畜産というものを織り込み、また内容の方に来ては、蚕糸というものも織り込んで、農林行政における大あらましのところにこれを含ませ、そしてことにこの内容に対してはいざという場合には、金額の分配等に対する明確な説明ができる段取りの用意がある法案として、これをもとして、さらに取直して提案してもらう、こういうことを私は政府に動議として要求したい。もちろん今即答ではない、大臣も見えていないから、よく相談して、この委員会の意思を尊重して御答弁を願いたい。これを動議として皆さんの御賛成を願います。     〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  84. 千賀康治

    ○千賀委員長 ただいま小笠原委員から動議として御発言がありましたが、多数の御賛成でありますから、これは成立をしておると思います。  そこでお諮りをいたしますが、この法案は現在すでに付託になりましたので、われわれ国会といたしましても多数をもつてすればいかようにも修正をする権能を持つておるのでございます。そこで国会がこれを修正して、小笠原委員の御意見に沿うことがよいか、あるいは政府みずからこの案を撤回してもらつてやり直していただくのがよいか、これは時間の関係等を考慮いたしますると、相当な問題であろう、非常に研究を要する問題であると思いますので、この問題は採決を保留いたしまして、これは内輪で研究をしたいと思います。小笠原委員の御賛成を得られたらそうしたいと思いますが、いかがでしよう。
  85. 小笠原八十美

    小笠原委員 われわれは修正意見のあることは、委員長の注意のあるまでもなく、よくわかつておるのでありますが、まずこれは政府法案としてこういうことに偏重しておるような意思を盛つておるということに対してわれわれは不満があるから、もう一ぺん考え直していただきたいということを、今動議として出して、それが成立したのだから、その成立のもとに決をとつて、そうして政府に一考を要するということでこれを返してもらいたい。そうして向うがこれに応じないとなれば、さらにこつちは協議をして今委員長のお考えのようなことに話を進めて行きたい、こういうわけであります。
  86. 千賀康治

    ○千賀委員長 いまひとつ御相談します、あなたのおつしやる通りに進行しようとすると、本会議の議決によらざればこの案を撤回することができないということを聞いております。そこで時間的に非常に早く議決をしてしまうことが必要だとすれば、やはり委員会の修正の方が事が早いようにも思います。しかしこれも政府が誠意をもつて同調しなければ、いずれにしても進行はやりにくいと思います。この点に関しましては、何分の処置は次会まで保留をいただきたいと思いますが。いかがでしよう。
  87. 小笠原八十美

    小笠原委員 委員会委員会の名においてこれを決議して、この案を本会議にやるものなら本会議にやるようにあなたがお取運びになればよい。ただ政府の方で、そうなつては困るから、これは委員会の修正にしてもらいたい、これこれにはこういうふうにして、共同で向うの方にも骨を折ろうとか、何とかしてもらうということが出て来た時分に、委員長のような話になるのでありまして、ここで委員長と私だけでこれを引込めるということなら、初めから出しはしない。正々堂々と本会議にかけるようにあなたは手続をすればよい。その間において政府の方にまた話が出て来たならそのようにしよう、こういうのであります。
  88. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今小笠原委員の動議に関連して、委員長から本会議にかけなければ云々という話がありましたが、この政府提案の原案に政府みずから畜産というものを入れて修正して出すという手は私はあると思う。そういうふうな方法をとられたらどうか、これが私は小笠原委員の動議に含まれた一つの手段方法である、かように思う。  私はこの機会に一言しておきますが、政府畜産に対する認識というもは、まつたくめちやくちやです。政務次官は農村のことをよく御存じのはずです。畜産の場合には、長期融資対象としては、他の農業漁業林業等と少しく性質を異にしておるとおつしやいますけれども、今畜産で一番の問題は何かというと、牛乳なり肉なり卵は非常にふえております、このふえておるのは、消費者の面から見れば生産過剰ではない、十分消費するだけの態勢はできておる、ところが生産とその畜産物を処理する機関との間のバランスが乱れておる。そこに現在農家がいたずらに乳価をたたかれるという危険が出て来ておる、これらの畜産物の処理機関等は、国がまず第一に考えなければならぬところの、非常に重要なる長期資金融資対象である。こういう点について私は少しく認識が乏しいと思う。もう少し畜産についての認識を深めてそうしてこの提案についても、畜産を入れるということに出直されることを、私は小笠原委員同様に強く希望いたします。     〔〔賛成々々」と呼ぶ者あり〕
  89. 千賀康治

    ○千賀委員長 委員会の意思としては、ほとんど全員に近い数をもつて、小笠原氏の提案に賛成であることが示されております。そこで政府に伺いますが、この空気に沿うべく、政府として最も早く、最も確実にこれが実現されるような手を打つてみられる誠意がありますか。
  90. 島村軍次

    島村政府委員 本法律案提出の経過から考えますと、今政府の方でこれをひつ込めて、あらためて提案しかえるという意思は現在持つておりません。お話の点はよくわかつておるのでありますが、ただ修正等の場合における内容についてはつきりいたしませんと、提案しかえるということもおのずからいろいろな関係で困難だと思うのであります。もう少し具体的にお話を願えますれば、それによつて法案の取扱い等についても、研究を進めることにやぶさかではないのでありますが、この御決議についての事柄は、本日は保留さしていただいて、なお政府の方でも検討を加えまして、次会においてその点をはつきり申し上げたいと思います。さよう御猶予を願いたいと思います。
  91. 八木一郎

    ○八木委員 ただいまの次官の御答弁によりますと、もう少しはつきりさしたいから次会に留保したいと言う、それならそれでよいが、われわれの言つておるのは、畜産、蚕糸に関する重要性を認めて、その資金融通について心配しておるわけであります。ところがこの法案そのものがこれを無視して——親心はあるけれども、具体的には資金計画にも入つておらない、法文の題目にも入つておらないから再考慮を求めているのであり、この点の再考慮をする意思があるかどうか聞いておるのです。その意思があれば次会まで延ばしてもよいが、その意思ありやいなやを伺いたい。
  92. 島村軍次

    島村政府委員 ただいま申し上げました通り、農、畜、蚕の問題をこれに加えることに対しては、従来の経過的なことから考えますと困難だと思います。
  93. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 政務次官に伺いますが、従来の経過から見て困難だということは、農林省意見がその必要なしという見解なのか、それがために従来り経過から見て修正する意思はないというのか。それとも関係筋の方の折衝の経過からいつて、その修正の見込みがない、従つて修正する意思が政府にはないと言われるのか、そこのところをひとつはつきりしてもらいたい。
  94. 島村軍次

    島村政府委員 後段であります。
  95. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 後段であるとするならば、そういうふうにはつきりと政府態度を表明されるのはまだ早いと私は思う、というのは先ほど来の農林省の御説明によりますと、畜産に対する認識見解というものは、私からいうと非常に乏しいのです。そういう乏しい知識をもつて関係方面折衝された今までの経過と、今後十分認識を深めての折衝の経過とは、おのずから結論が違つて来ると思う。本案を提案された責任者である政府みずから、もう一度深く認識して、そうして折衝の経過をまつて、その上で出直される方がよいのではないかと私は思いますが、もう一度御見解を伺います。
  96. 島村軍次

    島村政府委員 先ほど申し上げました通り、従来の経過から考えると困難だと思います。そこで本委員会の御意思のあるところを、さらに内部においても相談をいたし、大臣にひとつよく相談をいたしまして、次会においてその点をはつきり申し上げるということで御猶予を願う、こういうことです。
  97. 小笠原八十美

    小笠原委員 政務次官ちよつと申し上げるが、修正の内容はつきりすれば云々と言うが、修正の内容はきわめてはつきりしておる。畜産というものを題目に入れ、蚕糸というものも内容の方に入れて、そうして予算の六十億が動かせなかつたら、その半分を等分する用意を持つた内容が充実しておれば、それでよろしいというのだから、何も明確でないことはない。しかも委員会の動議とか何とかいうものは非常に重要なことだから、動議を次会まで控えてくれという反面においては、これを修正する意思を持つていなければならぬ。あるいはこれを修正して出し直す意思がないとか、めんどうだというならば、われわれに堂々とここで決議させたらよい。だから私が冒頭にも言つた通り、今日は大臣も御欠席だから、よく御相談なすつて、次会にでも話をまとめたらよいと大事をとつておるのだ。與党の関係もあるから、われわれも皆さんと御相談する余地をちやんと準備してかかつておるのだ。委員会の意思はわかつたから、われわれは準備して来ます。ただ決議となると、できるものもかえつて気まずくなるし、法によつてあとから動きのとれぬようなことになつては困るから、それはしばらく待つてくれと、そういう意味ならこれはわけのわかる話だ。しかし絶対にこれをやり直す気があなたにないということになれば、われわれの決議を押えることはいかぬので、そうではない、十分考え相談をする。従つて今決議とか何とかしつかり法的の根拠をここに残して、あとになつて困ることがあつてはならないから、一応の意思はわかつたから、次会まで決議は保留してもらいたいという希望なら、これはわれわれも大いに同意してもよろしい。だからそこをはつきりしてもらわなければ困る。
  98. 島村軍次

    島村政府委員 委員長から私に対してお尋ねがあり、河野委員から御質問があつたので、委員会の御決定に対してわれわれがかれこれさしはさむ余地はないものであるし、またその意見をかれこれ申し上げるだけの権能は持たないわけですが、ただ発言しろということでありますから率直な考えを申し上げたわけです。そこでともかくも一応研究してみて、次会にはつきりしたことを申し上げたい、こういうことです。
  99. 平野三郎

    ○平野委員 何か委員長のお取扱いの関係で、問題が非常に紛糾したようですが、私はその点ははつきりしておると思います。こういうことではありませんか。政府提案資金融通法案が、本委員会において強い修正意見がある。しかし本委員会において修正するよりも、一応政府がひつ込めて委員会の意向ももう熟しておるのだから、あらためてその線に沿つて出し直すということがよいのではないかという緊急動議が小笠原委員から出まして、全会一致でそれに賛成しておるわけです。従つて政府の方は一応研究せられて、これをひつ込めて、あらために提出し直すか——それには本会議の決議を要するとのことですが、それは手続をとればよいのである。しかしその必要がないということならば、この委員会において修正の審理を進めるわけでありますから、問題はきわめて簡単であつて、本日の委員会におきましては、政府に対して一応ひつ込めるという勧告をするという決議をしたらいいのです。それで今日は終ればよろしい、次会にあらためて政府はその勧告に従つてひつ込めるという手続を、再び議長に対して政府がとるやいなやということは、政府の御自由でありますが、とるということならば本委員会の意思はそれで実行されるわけであるし、そうでないということならば、本委員会として、あらためてこの案を修正するということについて審議をする。こういうことになるわけですから、そういうふうに委員長がおとりはからいになれば、その点問題は簡單であると思いますので、そういうふうにおとりはからい願いたいと思います。
  100. 野原正勝

    ○野原委員 この問題の扱い方には二色あるわけであります。先ほどの小笠原委員提案は、一応政府がこの問題を再検討して出直すようにということであり、島村政務次官のお話では、政府は今までの経過から見ると、非常に困難だというようなお話でございます。しかし努力はしてみる、この次までにはつきりしたいというお話ですが、われわれの考え方は、要するにこの問題に関連をして、どうしても畜産のことを入れなければ意味がないという強い要望でありまして、また蚕糸の問題も同様でありますが、これは政府の責任云々ということはもちろんでありますけれども、要するにそういつた問題をこの資金融通法の中にはつきりさせるということになりますと、結局政務次官のお話によれば、関係方面との折衝、あちらのオーケーをもらえるかどうかという問題になつて来るわけであります。この際は公式にはどうかしれませんが、むしろ政府の方も努力する。また委員会としてもあちらの方に働きかけるというように取扱つて、この次の委員会までに何とかしてある程度の見通しをつけることに政府も努力をする、委員会も努力をする、こういうやり方をするのが一番妥当でなかろうかと私は思いますので、委員長はどうか皆さんにお諮り願います。
  101. 千賀康治

    ○千賀委員長 いろいろ御意見もありますが、ここで一ぺんにやつてしまうよりは、目的を遂げるためには、研究すればよい道はおのずから発見できると思いますので、この問題はどうか次会まで保留をしていただきたい。われわれ多数の意思がここで表現されていることだけは間違いのない事実でありますので、重ねてお願いをいたしますが、次会まで研究の期間を延長させていただきたいということを切に希望いたします。
  102. 小笠原八十美

    小笠原委員 それでは先刻の私の動議の関係を、決議に入らずに、次会で政府がどういう態度で出るかという答弁をよく伺つて、その後に、さらに委員諸君が集まりまして協議をすることにして、本日はこの程度にいたしたいと思いますので、皆さんの御賛成を願います。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  103. 千賀康治

    ○千賀委員長 御賛成と認めます。  今日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十六分散会