運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-20 第10回国会 衆議院 農林委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 中垣 國男君 理事 松浦 東介君    理事 足鹿  覺君       遠藤 三郎君   小笠原八十美君       川西  清君    原田 雪松君       金子與重郎君    坂口 主税君       山口 武秀君    横田甚太郎君       中村 寅太君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 二月十三日  土地改良事業費増額及び国庫補助率増額請願  (平野三郎紹介)(第五三〇号)  農地調整法等の一部改正に関する請願平野三  郎君紹介)(第五三一号)  開拓開墾事業に対する助成強化請願平野三  郎君紹介)(第五三二号)  川前部落揚水施設設置請願志田義信君紹  介)(第五八二号)  駒込部落揚水施設設置請願志田義信君紹  介)(第五八三号)  国営諌早干拓事業促進に関する請願田口長治  郎君紹介)(第五八四号)  丹生川防災ため池事業促進請願志田義信君  紹介)(第五八六号)  舟形村福壽野附近かんがい用水路改修工事施行  の請願志田義信紹介)(第五八七号)  農業改良委員会存置請願高塩三郎紹介)  (第六三一号)  本郷村東山地内の村有林早田山国有林交換反  対の請願志田義信紹介)(第六三二号)  養鶏用飼料確保に関する請願千賀康治君紹  介)(第六三三号)  西北稻作研究会試験農場研究費国庫補助の請  願(山崎岩男紹介)(第六三四号) 同月十九日  尾滝国有林拂下げに関する請願橋本龍伍君紹  介)(第七四五号)  旅館業調味用砂糖配給請願長野長廣君紹  介)(第七五二号)  農作物病虫害防除用薬剤及び家畜用薬剤並びに  機械機具無償配付等請願田口長治郎君紹  介)(第七七二号)  積雪寒冷單作農業振興法制定に関する請願(梨  木作次郎君外一名紹介)(第七七三号)  五万戸国有林等拂下げに関する請願塚田十一  郎君紹介)(第七七四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十四日  農林漁業長期融資法案に関する陳情書  (第二一七号)  積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法制定に関する  陳情書  (第二一九号)  同  (第二三一号)  同(第二三  二号)  同  (第二三三号)  同(第二  三四号)  早場米奨励金制度継続陳情書  (第二三六号)  農林漁業長期融資法案に関する陳情書  (第二三九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を  除外する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号)  畜産に関する件     ―――――――――――――
  2. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまより農林委員会を開会いたします。  まず農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日より質疑に入ります。山口君。
  3. 山口武秀

    山口(武)委員 この法案は、形はきわめて簡單でありまするが、負担金消費者負担の問題、その負担を肩がわりするというような問題でありまして、私は災害補償法の根本を貫いている問題がここに出されているのだ、かように考えているわけなんであります。それについて二、三の点をお伺いいたしたいのでありまするが、この負担金の問題を、一体政府の方では基本的にどのように考えておられるかということが、問題になつて来ると思うのであります。なぜかと申しますると、これは單に災害に対する保険というようなことで、この農業災害保険を見ることは少しむりがあるのではないか。災害がありますれば、もちろん農家は困るのでありまするが、普通の企業において困るのとは、質の面においても、深刻の度におきましても、問題点が多過ぎるというようなことがあるのではないかと思う。第一に、この負担金の問題が問題になつて来るわけでございまするが、現在の状態におきましては、農家経済も大分逼迫して参りまして、負担金自体農民負担に耐えかねるという問題が起つている。このような問題に対して、政府はどのようにお考えになつておられるだろうか。軽減の問題について、すでに先ごろの農林委員会におきましても、軽減については考慮するということは、何回か言われて来たと思う。しかも現在の情勢下におきまして、供出政策価格政策農民立場からきめられていない、農業自体立場からもきめられていない。これは全然別個の立場から、価格供出制度というものが行われている。こういう状況下におきまして、この負担金の問題につきまして、もつと根本的に政府考える必要がありはしないか、この点についてどのようにお考えかお聞きしたい。
  4. 藤田巖

    藤田政府委員 農業災害補償法昭和二十二年の水稻から実施されたのでありますが、この法律趣旨は、災害にあいました農家を救う、それによつて生産のために必要な基礎的なことを、この災害共済金支拂いによつてこれを守つて行こうという制度であります。もちろんお話のように、農家だけではとうていこれはやるわけには参りませんので、従来とも国がその共済金額の半分は負担をいたしておるわけであります。しかしながら現状といたしましては、いろいろの問題が起つておりまして、将来とも保険料率合理的改訂ということが必要になつておりまするが、それには当然また農家負担の問題も出て来ると考えます。私どもといたしましては、農業災害補償制度は、一つは国が補償するという法律趣旨からいたしまして、農家負担限度というものは合理的線に維持する、そしてそれ以上の部分については国が負担をする、こういう線を今後ともあくまで続けて行きたいと思つておをます。
  5. 山口武秀

    山口(武)委員 答弁が抽象的でわからないのでありますが、この負担金の問題は、消費者にかけるか、あるいは国家負担に帰するかというような問題で今問題になつているわけですが、  この共済掛金の問題について、政府の方で掛金の率を改訂して、現在より高めるというような話も聞いておるのでありますが、この点どうですか。
  6. 藤田巖

    藤田政府委員 先ほど申し上げましたように、この制度実施以来、毎年異常な災害が続きました結果、政府の再保險支拂いも常に不足であります。また連合会不足金も生じておるわけでありますから、今後の問題といたしましては、やはり保險料率改訂ということも考えなければならぬと思います。しかし、その際に農家負担が増加することに相なるわけでありますが、これについては、私どもといたしましては、あくまでも農家負担は、農家として負担し得る合理的な限度にとどめる。残余の部分については国がこれを負担する。こういうふうに負担区分の変更について、従来よりも改善を加えて参りたい考えであります。
  7. 山口武秀

    山口(武)委員 大分言葉はきれいな言葉で、内部に問題があるように私は受取つたのでありますが、現在の一・五%というものを四・五%に三倍値上げする、このことは事実ですか。それともやる意向は全然ないのですか。
  8. 藤田巖

    藤田政府委員 御指摘の点は、おそらく麦の保險料率を、二十六年産麦から上げる問題だろうと考えております。御承知通り、麦は従来非常に保險料率が低かつたのであります。従つて毎年の政府特別会計等不足金というものは麦から生じております。従つてこれは先国会でございましたか、通過いたしました法律改正によりまして、保險事故鳥虫害等が加わりましたその機会に、従来若干修正を要すべき点を改めて行くということに考えたのでありまして、麦については大体従来の保險料率の三倍程度というふうにいたしたいつもりでおります。
  9. 山口武秀

    山口(武)委員 災害の問題が多いといたしましても、それは政府の方の災害復旧が遅れておる問題でありまして、現在の日本農家におきまして、農業経営それ自体で行けということは無理でありまして、かような方針には賛成いたしかねるのであります。なおここでさらにお聞きしたいのでありますが、農民負担金を軽くするというようなことが一応言われておりまして、問題にされているのでありますが、それ以上問題になつておりますのは、災害がありまして、政府が再保險金支拂う場合に、この額が共済団体の方で見込んだのと、いつも相違ができておる。たとえば五割の被害がありましても、政府の方で、予算がないから被害を三割にしておけ。それで再保險金支拂つておる。こういうような状況各地に出ていると思うのです。私自身見て来ているのです。少くとも今の法律のもとにおきまして、政府予算がないから保險金支拂いを少くする。あるいは災害が五割のものを三割に下げてしまつたというようなことが行われているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  10. 藤田巖

    藤田政府委員 もとより災害補償制度は、一定の保險事故がございました場合には、契約をいたしました共済金額は、必ず支拂うべきのものであります。従つていかに予算不足をいたしましても、現実損害が発生をいたしておりますれば、これは当然政府として支拂いをいたすべき義務があると考えております。ただ問題は、その損害評価の問題、損害評価をいかに見積るかということであります。これについては現在いろいろやつておりますが、たとえば作報で出て来ますところの評価でありますとか、あるいは損害評価委員が査定いたすものというものについて、あくまでも保險制度の建前から申しますと、評価嚴正にする必要がある。従つてどもといたしましては、極力これは明らかでない、確かでないというところは再調査をいたしまして、確実な被害をつかむ。そしてそれによつて正当に支給すべき共済金支拂う、こういうことでやつております。従つて率直に申しますれば、県の方から出て参りました被害額そのままこれは認めておりませんが、私どもといたしましては、当然嚴重な査定をいたしまして、少くともこの程度は必要であるというものは、極力補償いたしまして、予算が足りなくても、それについては別途不足金措置を講じまして佛つておる現状でございます。
  11. 山口武秀

    山口(武)委員 予算が足りなくても努力をして佛うようにする、また評価についても嚴正にいたすというのですが、この嚴正評価というのは、事実上は予算に合せるための実際の被害を引下げる評価になりはしないか、この点をあらためてお聞きいたします。
  12. 藤田巖

    藤田政府委員 これは従来とも経過で御承知でございますように、常に政府は、不足金については補正予算計上いたしております。二十五年産麦についても、補正予算を八億程度計上をいたして支拂いをした。それからまた二十五年産の米につきましても、とうていこれでは佛えませんので、やはり相当程度——八億程度でございますが、八億程度のものは不足金として予算を超過して佛うということで、大蔵省と大体話をつけまして、それによつて正式な請求書を現在出していただくように紹介をいたしております。
  13. 山口武秀

    山口(武)委員 ただいまの問題は、局長もおつしやる通り、そのまま実行してもらえば問題はないわけですが、私どもの杞憂いたしますのは、かような言明があつても、実際にそれが行われないのではないだろうか。補正予算をとるといたしましても、大蔵省が現金を食つてしまうのではないか。このようなことのために、法律では許されないような、被害を少く見積るというような実情が出て来るのではないだろうか、これに対し政府の方で嚴正な態度をとつてもらえば、私はそれに越したことはないと思うのです。それで最後にひとつお聞きしたいと思うのは、この共済掛金負担金消費者負担させるということが、今の状況下におきまして、特に消費者経済状況におきまして無理があるので、こういうような特別な措置をとるというわけでありますが、それならば私お聞きいたしたいと思いますのは、消費者購買力というものが問題になつて来るだろう。実際問題といたしまして、かなり配給辞退が起つておる。配給辞退は單に食糧がよく出まわつて来たというばかりでなくて、消費者経済が逼迫しているために、配給辞退するというようなことも大きな原因になつておるのだ。その場合、今年米価値上げをやつたわけですが、実際は米価値上げをやりましても、あなたたち等級の格下げをやつたろう、買いたたきをやつたろう、早場米超過供出奨励金をなくしておる。そういう状況から見るならば、私たちの調べたところによりますと、二十五年の十二月末は、現在でも供米代金を調べてみましたところ、供米の率は昨年よりも進んでおるにもかかわらず、代金は減つておる。大分下級等級の米が多くなつておる。実際上米価値上げをやつたといつていながら、実際は値下げしたような現象が現実に現われておる。これだけ政府は当初の予算よりもうかつておるではないか、余分の金が入つておるだろう。だとすると、こういう面から見て、消費者価格を下げるということが当然考えられていいのではないか、この点に対する考えを承りたいと思います。
  14. 藤田巖

    藤田政府委員 これはこの法律案を提出する理由を御説明すればいいと思うのですが、従来法律規定は、保險料半額農家が持ち、他の半額は大体消費者が持つ。この消費者に持たせるやり方といたしまして、食糧管理特別会計が売ります食糧価格の中にそれを織り込みまして、消費者負担をさせ、その金を食管特別会計からこの保險特別会計に入れるということが、従来の規定であります。しかしながらそれを現実には実行いたしておりませんので、法律はそうなつておりますが、現実の問題といたしましては、二十三年、二十四年、二十五年と続きまして、消費者の持ちます分は消費者価格に織り込んでおりません。従つて一般会計からその金を食糧管理特別会計に入れまして、そしてその食糧管理特別会計からさらにこの保險特別会計に出すということに、従来通りいたしておつたのでありますが、今回二十六年度分についてはこれを改正いたしたいという趣旨であります。従つて法律はそうなつておるが、現実問題は、食糧庁が売ります食糧売渡し価格にはこれは計上をいたさない。一般会計でこれを持つという趣旨改正でございますので、御趣旨の点については、そういう趣旨でこれが改正をいたしたいというわけであります。
  15. 山口武秀

    山口(武)委員 私の言つたのを感違いしておとりになつたと思いますが、私は、これは消費者共済掛金負担金を一部持たせる。それを今の消費者経済状況から見て持たせないような特別措置をとるのだという点に出て来るならば、最近米価上つたということで、一般消費者価格も上げている。ところが実際は買いたたきをやつて安く買つているのだ。そういうようなことならば、買いたたきをやつて安く買つたのだから、その分だけ消費者価格を引いたらいいだろう、そのくらいの点も考慮してやつたらどうなんだ、この点を聞いたわけなんです。
  16. 藤田巖

    藤田政府委員 米価の問題は、これはもちろん生産者消費者相互意見——必ずしも同じ立場でございませんので、いろいろ意見があると思いますが、これは双方、その他中立の立場も考慮いたしまして、米価審議会の答申に基いて政府決定をいたしておるのであります。その価格で買い上げております。でありますから、予算があるにもかかわらず、予算以上には買つてなくて、何か食管特別会計で余裕が出ているのじやないかというふうな御意見かと思いますが、これは御承知の二十五年産米価格につきましては、従来のパリテイー価格の計算以外に、アデイシヨンといたしまして、一五%というようなものも計上いたして決定した。つまり従来食管特別会計としては、米の支拂いに予想いたしております価格をそのまま見込みまして、それを米価決定に使つておるということでございますから、御趣旨のような点はないと思います。
  17. 千賀康治

    千賀委員長 他に発言はありませんか。——足鹿委員
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 簡單に二つ。私は先回農業災害補償法の一部改正法が出たときにも申し上げたのですが、現在各都道府県の共済連合会が、ほとんど支拂金に行き詰つておる。その事実は農林当局もよく御存じだろうと思う。これに対しては、近時異常なる災害各地に頻発をして、補償法ができた当時の日本基礎的條件というものが相当かわつておるのではなかろうか、そういうことも私ども考えられるのであります。従つて、これは部分的な改正や、法律をいじくることによつては、ほんとう生産農家の再生産を補償する一つ共済制度としての本旨を、全うすることはできない事態に至つていやしないかと思う。その点について農林当局は、全面的にこの災害補償法改正について御準備になつておるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
  19. 藤田巖

    藤田政府委員 われわれといたしましても、農業災害補償制度の根本的な改善をいたす必要があると考えております。ただ保險料率改正の時期が、米につきましては二十七年度に改訂することに相なつております。従いまして、私どもといたしましては、ここ一年間慎重に資料を整え、準備をいたしまして、二十七年産米保險料率改訂の時期において、この災害補償制度の根本的な改善をやりたい、それに必要な調査費等につきましても、現在要求中の予算計上いたしておるわけであります。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 御計画があるようでありますが、その際にいま一つ問題として、私は新しい全面的な改正の際に、ぜひとも取上げてもらいたい点がある。それは先回も私は申し上げましたが、無事もどしの問題です。理想としては、現在のこの農業共済補償制度に対して、何人も異論を唱える者はない。またこれを否定するようなことでは、日本農村近代化も、経営合理化も、進んでは農家経済の安定も考えられない。一応理論としてはわれわれ反対すべき何ものもない。しかし異常災害にしても、また通常災害にしても、その共済金支拂いを受ける農家というものは、比較的固定化しておる。無被害の地帯というものは常に無被害である。この補償法ができて以来、一ぺんも通常災害金異常災害金ももらわない農家が非常に多いということは、御存じのはずなんです。昔共済組合の際においては、無事もどしの際には、もう少し私は実際的に運用しておつたと思う。今度のこの法律になつてから、かりに無事もどしになつても反当にして十円程度であろうというような話を聞いておるのですが、そういうようなことでは、理想がなへんにあろうとも、掛金が高率になつて行けば行くほど、一方においては、農民のこれに対する協力が求められない面が、農家経済が逼迫して来ればやむを得ず出て来ると思う。従つて法の運用にはからざる支障ができて来ると思う。この点にいつては、現在当局としてどういうふうにお考えになつておりますか。私はこの無事もどしの制度を一面に相当強く出して行かないと、日本の現段階においては、この共済制度の完全な発達を期することができないではなかろうか、一部においては、この共済制度に対して、農民は怨嗟の声を持つておる者すらもある。これは大きな面積を栽培しておる農家にとつては大きな負担です。これがだんだん農家経済が逼迫して来ますと、趣旨はどこにあつても、協力が得られないような事態が起きて来る。末端のこの共済事務を担当しておる者の悩みというものは皆そこにある。町村において、あるいは県段階において、郡段階においてやつておる人たちが、どれくらいこの掛金徴收の問題をめぐつて農民との間にはさまつて苦労しておるか、この問題は私は想像にあまりがあろうと思う。これはどうしても無事もどしの問題を具体的に進めて行かないと、ほんとうに円満なる推進ができないではないかと思います。この点についての御見解をお尋ねいたしたい。
  21. 藤田巖

    藤田政府委員 無事もどしの規定も、私はこれは理論上は非常に正しいことだと考えております。しかしながら、現実の問題として考えますると、現在国は毎年々々不足金を生じておる。そうして赤字続きになつて、それをどうするかということになつております。それからまた、現在幸い黒字でありましても、また災害が起りますと不足金を生ずる、こういうふうなことに相なるわけであります。従つて不足金が生じた場合はこれは全部国が見る、それから災害が起らなかつた場合はもどすということでは、これではやはり一貫しないところがあるだろうと考えますので、われわれといたしましては、少くともそういうふうなことも考えて、ただいまのところでは、将来の災害に備えて基金を積んで置くということが適当であろうと考えております。しかしながら、お話通り、将来災害補償に対する根本的な制度ができ、基金ができ、料率の合理的な改訂もでき、しかも災害が起つて支拂金不足を生じない、こういうような見通しがつくように相なりますならば、私はその際には考えてもいいだろうと思つております。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 局長のおつしやることも、理論的にはそうでしよう。しかし、少くとも原局を担当しておられる局長から今のお言葉が出るのは、私非常に遺憾に思う。農地開放によつて自作農化した小作農、再び小作農に転落しないための施設として、これは連合軍農民開放指令に基いてなされたものでありますから、当然これは国家施設として、幾ら国家負担が多くなろうが——これは私は議論になりますから詳しく申し上げませんが、当然国家負担されて行くべきだ。現に農家の收穫險にも該当しないようなわずかな保險金を一方において佛つておるが、再生産を保障するに足る保險金であるかどうかということには疑念がある。もつと社会保險的な性格を多分に持たせなければならぬものである。その程度のものでも国家負担にたえないからというようなことで逃げをうつということは、私は当らないと思う。この制度災害に悩んでおるところの農家の再生産を保障し、ひいては日本農家経営合理化までに進んで行く、農民生活の安定にまでこれを押し進めて行く基本的な法律であるならば、国家いかように大きな負担になろうとも、これは当然国家において保障して行かれるべきものである。必ずしも補助金とかあるいは助成金とかいうような形でお出しにならなくても、私はそういう面で国家が投資をして行かれ、そうしてその上に日本農業近代化がもたらされ、農家生活の安定が期せられて行くならば、農民もあるいはその重い掛金をあえて忍んで、日本農業全体の水準を引上げるのに協力して行くでありましよう。しかし国家が少々の負担におそれをなして尻込みをされるというようなことでは、ほんとうにこの法律の持つ基本的な大きな目的というものは達成できないではないかと思う。少くとも農業当局は、この問題について、この法律が真に日本農村の将来に影響する大きな意味を持つておるということをお考えになるならば、もう少しがむしやらな勇気をお振い立てになつて——他省との御折衝の過程において、落ちつくところにおちついて行くならばこれまたやむを得ないでしよう。しかし当初から原局が今藤田さんのお話のようでは、なかなか問題の解決がつかぬのじやないかと私は思います。これは議論でありますから、詳しく申し上げませんが、この制度農民制度として、しかも社会保險の内容にまで進めて行くという御決意があるならば、将来国家負担の増大はやむを得ない、こういう決意で今御計画になつている根本的な改正については、十分愼重なる御検討を願いたい。同時に、掛金合理的改訂ということを盛んにおつしやいますが、合理的ということはどういうことか存じませんが、現在以上農民負担が著しくかさまることのないことを基本に置いて進めていただきたい、これは私の希望であります。     —————————————
  23. 千賀康治

    千賀委員長 次に畜産に関する件を議題といたします。  飼料の問題について質疑の申出がありますので、これを許します。小笠原八十美君。
  24. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 農林大臣に、ひとつ刻下の重要な畜産の問題をお伺いいたします。  申すまでもなく、日本の再建に一番重要なるものは食糧である。この食糧は、米麦のみを当てにしておつたつて解決のつくものではないと思う。どうしてもカロリー問題で解決しなければなりません。それにはやはり畜産を発達させて、乳肉卵に重点を置かなければ相ならぬことは、大臣もよく御承知通りであり、またそれに熱心な大臣である。しかるにこれは飼料、えさが並行して乳肉卵になる。同時に価格の問題で、病人とかあるいは一部富豪連中のみでなく、これを安価に、一般国民がたやすくとることができるような制度にしなければならぬことも、よく御承知通りなんです。えさが価格に比例するということも御承知通り。ところが同じ大臣の所管でありながら、畜産局長さんも課長さんもよく問題をお調べになつているだろうか。愛知県に鷄が幾らいて、一箇月飼料がどれだけ必要であるか、東北、北海道において、牛馬に対し飼料がどれだけいるんだ、九州でどれだけいるんだ、各府県の各村に至るまでそういう調査ができておるか、非常に疑わしい。できておるとするならば、それの飼料がどれだけいり、農家の手持ちがどれだけあり、今どうして鷄が生きており、牛馬が生きているだろうという御心配があられるはずである。それを供給しなければ、死ぬかやみを買つて食べさせるか二つの問題である。やみを買えば価格は暴騰する。今日のような状況では、一般人は乳肉卵をとることはできない。しかもやみでさえ供給が及ばざることになれば、結果においてどうなるでありましようか。そういうことを考えますると、この問題はきわめて重大である。ところが今飼料がないかといえば、政府の手持ちにおいて、食糧にあらざるとうもろこしとか、その他ひえとかあわとかいうものは多量にある。それを配給するのに、あなた方の方では研究ばかりしておるが、牛馬が研究を待つてつて生きておられるかというのである。これが人間ならばとうにストを起す。牛馬鷄だから何とも言わないで默つておる。それを默つて見ておるというようなことはあるべきはずはない。これに対する計画がどこまで進んで、どう早急解決をつけるかということが、今一般国民の聞きたいところなんです。それの具体案がどういうわけで遅れておるか、いつどうするということの御答弁を承つて、それからあとの質問を継続しよう、こう思うのであります。
  25. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 今鷄や牛や馬はストを起さないで默つているが、これに対する対策がないかというお話であります。だんだんこの委員会で教育されまして、畜産局等におきましても、大勇猛心を奮いまして飼料対策を決定いたし——今まで食糧庁にありましたただいま御指摘になりましたとうもろこしあるいはその他の飼料を、系統団体を通して直接需要者に行くような案を決定いたしまして、ここ二、三日うちに実際にすべり出すようにいたしたわけであります。なおまたそのほかに、海外からも飼料を入れまして、現在のところ大体買付総額十五、六万トンだろうと思いますが、とうもろこし並びに脱脂大豆等を入れまして、あなたのおつしやるように、乳、肉、卵を遺憾なく食糧の対象として、安価に国民に入手せしめまして、食糧対策解決の一助にしたいという意気込みで、畜産局は今懸命に努力しておりますので、遠からずあなたの期待に沿うようになると私は信じております。
  26. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 今の答弁で、大臣はいかにもそういう御趣旨であられることはよくわかる。ところが大臣の下におる食糧庁は食糧庁で、かつてなことを言つており、畜産局は畜産局でかつてなことを言う。今あせつてもなかなか及ばざるところはそこにある。それは今日下部の方の畜産に対して、配給が遅れ、あるいは不満が起きるもとはそこにある。現在えさの値段が高くなつておる。これはだれが高くしたかといえば政府がした。公入札をしたから、金のある者は米ぬかなどむやみに商人か買いつけて横流しして、それをせり合つて高くした。ところが食糧庁の方では、それを標準にしてえさを拂い下げれば、これは時価であろうかとか、間に入つたものはばかにもうけられるとか、いろいろなくだらない心配をされて、ぐずぐず言つている場合があるが、そんな法がありますか。一体政府が拂い下げたものを、系統機関の団体が莫大な利益をとつたでは話にならない。そういうようなことは、あなた方がちやんと監督してやればうまく行くのに、それを商人を間に入れてごたごたさせるからこういうことになつた。食糧と言つたつて、今とうもろこしやひえやあわは、所によつてはどうかするけれども、とうもろこしなどは今は食糧にならない。だから大量にあるものを自由にするということを早くやればいい。政府の方で自由になる、管理している間というものは、一刻も早くこれを飼料の方に流せばいいのだ。そこを大臣が早くてきぱきやらせるようにして——あの課長連中のりくつを言つているのを聞いていたら、大臣、きようあすの問題にはならない。その点をしつかりしてやつてもらはないと困る。食糧庁長官にも来ていただこうと思つておるのだが、長官もだめなんだ。上に上つて盲判を押しているだけだからだめだ。課長連中がよくやらないと、なかなかこれはうまく行かない。生き物はストを起さないで待つているのだから、飼料の解決を早くやらなければいけない。民間の事情や飼料の事情を聞いている者にはこれが問題なのだ。早く解決をつけてもらいたいというのに対し、今御計画を立てられて、二、三日うちと言われるが、それについて、二、三日うちに御計画が立つたといたしますならば、一体飼料の問題は、大臣が御承知かどうか知らないが、ふすまの問題でも、ふすまがなぜ出ないかというと、粉が余つてしまつて粉の配給を受ける者がない。それに原麦があるにもかかわらずちつともやらせない。やらせないからふすまはできない。工場は手をあけておるといういかにも不合理なことになつておる。ふすまの方もせつせとやらせればどんどん出るとい関係があるから、当局はよく下部の方に連絡をとられて、一刻も早く解決をつけて行かなければならぬと思うのだ。そこでとうもろこしはどれだけ、ふすまはどれだけ、あるいはその他の雑穀どれだけのものを、二、三日中に解決されるつもりであるのか。その数量と種類いかん。また配給の方法は系統機関と言われるが、何だかその問題を聞いてみると、県の知事はどうのこうのと、お互いにあの課長連中は責任のがれをしている。そんなことをやつているひまはないのだから、とにかく末端に早く行くことをくふうしなければならないから、どうかその問題の内容をひとつ詳細に御答弁願いたい。
  27. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 何か食糧庁と畜産局との間に意見の対立があるようなお話でありましたが、両者課長を集めて懇談をいたし、大臣命令で、飼料が実際政府手持ちのものが末端へ端的に行くような方図を決定いたしまして、大体とうもろこしは二万五千トン、それから大豆かすが五千トン、その他のこまかいものは事務当局から説明いたさせますが、一応そうしましてルートを決定いたしました。それからこの前出しました公団手持ちですが、政府手持ちの飼料が非常に市価を刺戟いたしまして、これが非常に悪い結果になりましたので、今回も価格はぐつと下げてやりたいと思う。この前中間商人で、実際に必要なくてこれをとつたものに対しては、経済査察庁の方に依頼いたしまして、その後のものの行方を探求いたす考えでおる次第であります。
  28. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 農林大臣の答弁はそれで大体わかつたが、畜産局長の方でその内容がよくわかつているならば、とうもろこしが二万五千トンというのは、内外ものでどういうような区別になるか。ふすまやその他の雑穀等は、今日その計画が立つているのならば、それを詳細にひとつ御答弁を願いたい。  それから値段をごく安くしてという大臣のお話であるが、その価格の点もおわかりになれば、その点どれくらいのところで系統機関の団体にやつて、それが末端にどれくらい行くという計画であるか、その点おわかりになつたら明確にしていただきたい。
  29. 山根東明

    ○山根政府委員 大臣からお答えがありました以外の品目に対しまして、私は数字的に御説明をいたします。ふすまにつきましては、大体一、二月の加工計画によりまして、発生数量を五万五千トン程度に見ております。これにつきましては、本来でありますれば、実はこれを私ども計画従つて流通するという法的の基礎はないのでありまして、製粉工場の所有になつておるわけであります。指示する法的権限は持つていないのでありますけれども、製粉会社に協力を求めまして、私どもといたしましては、少くとも月間五千トン程度のものは、われわれの必要に応じて指示に従つてもらいたいという話を進めております。製粉工場側も協力する旨を言明いたしております。  それから米ぬかでございますが、米ぬかは三月分として三万八千トン程度が公団から発生する見込みであります。このうち半量は実需者団体に直接限定入札の方法によつて売り渡す。残りの半量は搾油業者にこれを限定入札させまして、搾油業者から発生します脱脂ぬかにつきましては、これもできるだけ飼料用にまわすように、搾油業者に事前に誓約をさせる等の措置をとりたい。かような考え方をいたしております。
  30. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 局長の答弁でわからないことがある。一体限定入札というが、その限定ということは価格の限定か、そのものに対する、油をとつたあとを飼料にまわすという限定か、何のことやらちよつと聞きとれないことがある。それから今言つた数量問題は、先刻大臣が二、三日のうちに配給ということに決定するのだ、こういうことを言われました。その二、三日に配給する数量であるか、その前を見越しての数量であるか、それがわからぬ。それからとうもろこしについて、今の内外物の区わけの点もまた不明瞭である。そういうことを明確に答弁せられたい。  それから続けて言うが、公団問題。一体公団の配給手数料は幾らか、何も食糧庁が持つているものなら、公団の手を経なくても、安くする気なら直接でもいいんだが、今のところ公団のやつかいになつているが、公団というのは莫大な手数料をとる癖がある、これを押えないと需要者がまことに迷惑する。その点の連絡がうまくとれているかどうかということである。その点を、あなたの方は食糧庁でないから、ただ直接公団の方から配給を受けるつもりだなんて、量だけ配給を受けたつてだめだ、公団の方でよろしくその手数料をとることになつておるが、その内容を検討して、しつかりきわめないと、安価な飼料が入るわけがない、その点どうなつているのですか。
  31. 山根東明

    ○山根政府委員 前回の御質問に対しまして、お返事の漏れておりました点もございましたので、あわせてお答えいたします。とうもろこしの二万五千トンは、外国産のものが約六千トン、残りの一万九千トンは国内産の品物であります。これの拂下げ価格は、トン当り約二万円ということで考えております。  それから限定入札について御質問がありましたが、限定入札と申しましたのは、入札資格者を限定する、とうもろこしは随意契約でございますが、米ぬかにつきましては、畜産の必需者のみに限定して入札をするという意味でございます。  公団の問題が出ましたが、あるいはまだ御理解が、十分に行つていない点もおありのように拝察できるのでありますが、米ぬかにつきましては、私が公団発生の米ぬかという言葉を申し上げた点について、関連しての御質問であつたようでありますが、御承知のように、食糧管理制度のもとにおきましては、政府が玄米を公団に売却いたしまして、公団の所有になつております。精米所で現在精製いたしておるのでありまして、この副産物であります米ぬかは、公団の所有になつておるのであります。これにつきましては、公団の手数料決定の際に、米ぬかの副産物の收入を一定のものを予定はいたしておるわけであります。現状におきまして、先般来実施して参りました入札価格が、予定価格をはるかに上まわつておる、その意味で、公団がある程度非常な思わぬもうけをしておるという点が、あるいは御指摘の節であつたろうと思うのでありますが、実は従来は入札資格者を限定いたしませんために、主として搾油関係者が入札に殺到したというふうに承知しておりますが、油の需給関係から、ある程思惑的に高い値段を呼んだという実情もあつたようであります。このたび防止する意味で、先ほど申しましたように、油屋に参加させないで、畜産関係者だけが、これに参加して入札して落して行くという方法を、米ぬかについてとりたいという考えを持つております。
  32. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 政府の管理にある公団から、国家としてきわめて重要な飼料問題を解決つけるに、公団に自由にさせて入札させなければならぬというりくつはない。この問題は局長ではだめで、大臣に聞くところだが、今大臣がおられぬから、あなたから、大いに今日飼料の必要なことを述べて、そうして——食糧庁が来ればそつちの方に話しするけれども食糧庁がぬかまで売らなくてもいいじやないか、ぬかをとりもどす條件で米を配給してもいいのだ、ことに公団はぬかができたならば、飼料に行くぬかについては、それだけの手数料をとつて、あとは畜産局の飼料課の方にまかせろ、こういうことを言つてもいいのだ。それを畜産家の団体に入札させたら高くなるのはきまつている。みな競走するし、入札することによつて、こういうのどから手が出るほど飼料をほしがつている場合に、お前らかつてにしろ、こういうことでは、国民の生活に影響がある、そういうことを考えずして、思いもよらざる入札制度にするということは、同じ政府の農林大臣のもとで、あるべきはずがない。なぜそういうことをなさるか、それをもう一歩踏み込んで、もつと安いところの値で、だれにも公平に行く飼料を分配することの案をどうして講じないのか、それがおかしい。その問題をなぜ畜産局の方で手を打たぬかということなんだ。今食糧の方の関係の部長もおいでになつたが、食糧関係でも、飼料にまわす米ぬかならば、これは同様に刻下の食糧を解決するためにやるように、公団あたりに自由にさせて、そうして公団の入札までやつて高いものをやる制度をやめさせて、これは飼料に向けるべしという條件をつけて、もしこれが法律によつてできないものなら、われわれ改正することに決してやぶさかではない。国家のために法の改正をするのだから当然である。そこでもしそこにいろいろないきさつがあつて、円満な解決ができぬということになれば、それはほかにとる方法もある、それをただ需要者に迷惑をかけ、ことに国家の再建に影響を及ぼすことを、ぐずぐずやつているかというところに疑念がある。これは食糧の方の関係のり部長も、畜産局長の方でも、この問題については、大いに協議して、円満な解決を早急にやらなければならぬ問題だと思うのです。いかがですか。
  33. 山根東明

    ○山根政府委員 米ぬかを競争入札にしないで随意契約によつて拂い下げる方が安く入るのではないか、なぜそういうふうにしないかという御趣旨だと思います。実は私どもも、米ぬかをできるだけ安く供給したいという気持におきましては、小笠原委員とまつたく同感でありますし、でき得ますことであれば、これを低い価格で入手させるように、実はいたしたいといろいろ研究をいたしたのでありますが、御承知のように、公団は政府ではございませんけれども一つ政府機関として、その所有に属する米ぬかを会計法の趣旨から見まして、随意契約によつて拂い下げるという道は、実は非常にそういたしかねる点がありますので、やむを得ず今畜産関係者のみの限定入札ということによつて、現在の建前の範囲内で、できるだけ安くという腐心の策をとつた、こういうふうにひとつ御了解願いたいと思います。
  34. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 それだから申し上げるので、会計法がやかましいことの、何か法律改正しなければならぬところがあつた改正すればいい。一体入札においてできるだけ安くといつても、人に競争させて安くということは無理だ、ただ商人が入らないで、貧乏な連中の集まりだから、大して高くならぬという点は、その点が幾らか讓歩してよいところを発見したということは言えるけれども、入札というのは一ぺんにだれそれと言つて入札はできますまい、やはりここに一万貫あるものなら、一千貫ずつわけて十口にして入札するでありましようが、一口は何千円、一口は何千何百円ということになれば、自然飼料の値段が違うことになる、そうするとただちに値段に影響がある、また段階がついて来る、ところによつて値段が違う。そういう不合理な配給をしていては、日本食糧問題は解決できない。ことに段階がつくことが重大問題だと思う、それは畜産の方をあずかつておる方の飼料の問題は、局長初め課長もよく研究しなければならぬ。食糧をあずかつておる方も直接関係があるのだから、ともに研究なさつて法律改正すれば円満に配給もできるのである。そうなればみんな同じ一律の価格配給することができる。一律の価格でやつて来るから、これは政府で押えることもできるし、また一律に恩恵をこうむるわけで、国民も喜ぶのである。これはやがては日本食糧問題を解決づける公平な処置である。それが法律やその他あなた方の運用いかんによつて、末端の国民に対して食糧段階をつけるとは一体何事だ。この問題はよろしくあなた方とくと考えなければならぬ。これはあなた方農林大臣にすぐ進言して、あすにも解決づけることをなされた方がよい。それをなされないで、今の法律がどうのこうの、方針がどうのこうの、会計年度がどうのこうの、会計検査がどうのこうの、そんなことはつまらない研究だ。役人というのはそういうことばかり研究するが、それはやめなさい。ほんとうに国民の生活の実態に合うことを研究するのが、これからの民主主義のお役人なんだ。そこをよく考えて、戦前の役人の型は今はさらりとぬぐい去つて前進するように、お努めにならぬと、日本の再建がなかなかほど遠いものになる。今講和を控えているのであるから、もう少し明るい方法で解決づけて行かれたい。今そういうことを言つたつて、大臣はいないからどうのこうのというわけではないでしようが、そういうことを望んで私の質問を打切ります。
  35. 横田甚太郎

    ○横田委員 国会における畜産論議には非常なインチキがあります。この点において私は非常な不満を持つものであります。まず第一問として聞きたいのは、現在飼料はとうもろこしが六千トン、大豆かすが三万トン、五等米が一万トン、五等麦が二万トン、これが畜産業者に渡るか、あるいは営利的な飼料業者に渡るか、あるいはまたみそ、しようゆを醸造するところの、畜産に関係ない人に渡るか、これが問題になつておるのですが、まずこれ以外の飼料があるかないかということを聞きたい。なぜかと申しますと、日本の飼料は年間に二百三十万トンいるということがいわれておるのであります。二十四年度に国内において産出されますところの飼料が大体百九十万トンといわれております。これは朝日経済年史が伝えるところであります。それゆえ需要量は結局四十万トン足りない、これを外国から入れなければならない、こういうような事情から見ますと、年間二百三十万トンも飼料がいる、一箇月二十万トンの割合になるのである。先ほど読み上げましたところのとうもろこし、大豆かす、あるいは五等米、五等麦、あるいは国内用の今手持のわずかのふすま等飼料、こういうようなものを合算いたしまして六万六千トン、これでは、十日分ほどの飼料しかないのです。この十日分の飼料が畜産業者に渡らないで、みそをつくる方にとられてしまう、これは非常に困つたことだ、もらつても十日分しかないような飼料ついてわれわれは論議しているのです。この飼料をようやくにして農村畜産家に渡るようにしたところが、あとの飼料難がただちに出て来る。そういつた場合には一体飼料問題はどうなるか、これを聞きたいのです。
  36. 山根東明

    ○山根政府委員 飼料の全体的な計画について、いろいろ御質問がございました。ただいまお話になりました数字は、あるいは正確には聞き漏らした点もありますが、大体全体的の需給数字であろうと思うのであります。これは数百万トンの農家飼料が家畜に必要だという数字は、実は国内の全家畜が一年間に農家飼料として攝取を必要とする数量であります。従いまして、たとえば農家でありますれば、全量を自給できる農家もあるだろうと思いますけれども、そういうようなものも含めましての需要数量が、お話の数字だと思うのでありまして、それとただいま拾い上げられましたとうもろこしでありますとか、大豆かす、ふすま等を、直接問題として比較することは、その意味で若干食い違つた点があるわけであります。もちろん私どもが現在手持ちしておりまして、近く操作したいと思つております数字は、十分でないということは、お感じとまつたく同様でありますが、数字的な観念はただいま申しましたようなことになつておりますので、その点はただちに直接的な計算でこういうお考えを抱かれるのは、若干誤解しておられる点があるのではないか、かように考えます。
  37. 横田甚太郎

    ○横田委員 誤解しておるのは畜産局です。なぜかと申しますと、日本畜産の五箇年計画を見ておりますと、昭和十九年度におきましては、家畜単位にいたしまして約四百八万家畜單位あつた。それが二十一年には三百二十一万家畜單位になつた。二十三年には三百五十万家畜單位になつた。二十四年には三百七十五万家畜單位になつておる。戦時中の昭和十九年を基準にとりまして、なお三十三万家畜單位の減なんです。私がここで聞きたいのは、なるほどだんだん家畜單位はふえておる、ふえておるけれども、このふえておるのは国会の論議によりますと、農村有畜化の一環としてやられておるはずなのです。ところが実際におきましては、やみ畜産がふえておるのです。飼料は、飼料屋が鷄をやつておる、豚屋をやつておる、あるいは馬を飼うておる。ここには多分に飼料があるが、農村で飼われておる豚は、豚にならずに犬のように飼料難で細くなつておる。なぜかといえば、ふすま、ぬかが渡つていない、これを入れようとしたところが経済的に入らない。だから国会におきましては、農村の窮乏を打開する意味合いにおいて、いわゆる農村畜産、有畜化をはかつておるのだ、こう言われますけれども、結果はそうじやなくなつている。私がここで問題として伺いたい第二問は、家畜單位がこのくらいふえたと言われましても、このふえた家畜單位は農村の有畜化の一環として、農民の利益のためにやられているかいないか、政府はこの家畜單位のふえた数字は、農村のいわゆる有畜化の一環として、農民が家畜を持つた結果としての豚や鷄か、それともやみ屋の飼つた豚や鷄か、この点の数字的な分折や考慮をせられたことがあるかどうか、これを二問として伺いたい。
  38. 山根東明

    ○山根政府委員 家畜が最近ある程度ふえておる内訳は、大部分がやみ畜産業者の手でふえたのではないかという御趣旨であつたかと思いますが、私どもは実はそう見ておりません。やみと申しますか、農家以外のものが飼養する家畜ももちろんふえております。特に鷄など、家庭養鷄というようなものは、相当ふえておるだろうと思うのでありますが、全体的にこれを見ます場合には、やはり従来何らかの都合で牛や馬を手放しておつた農家が、再びこれを飼養するに至つた。五羽の養鷄農家が十羽にふやした、こういうことが、ふえた数字の少くとも大きい部分を占めておるというふうに考えております。
  39. 横田甚太郎

    ○横田委員 それじや伺いますが、廣川農林大臣は農民ですか。あの人が飼うており、新聞で喧伝されております鷄は、あなたの基準によりますと、いかなる種類の養鷄に入りますか、農村有畜化の一環ですか。
  40. 山根東明

    ○山根政府委員 私も先ほどお答えしましたように、農林大臣は戰前飼つておられたかどうか存じませんが、ああした、いわば家庭養鷄と申しますか、農林大臣の場合はもつと規模が大きいようでありますが、そういう非農家——特に鷄については非農家の飼養羽数が相当ふえておるというふうに考えておりまして、廣川農林大臣を私どもはそのままでは、有畜化の一環としてのああした現象というふうには考えておりません。
  41. 横田甚太郎

    ○横田委員 はつきり伺いますが、廣川さんが中心になるのです、廣川さんは農林大臣である。個々のことをとやかく言うのではない。農林大臣が鷄を飼うということは非常にけつこうなことです。しかも廣川農林大臣が議会に来るまでは、朝羽織を着て鷄小屋に入つておる。きれいな鷄小屋で臭くはない。いい鷄舎を持つている。こんないいことはない。日本共産党といたしましては、こういうふうな鷄小屋を日本農村のあらゆる人々に持つてもらいたい。また工場に働く人々にも持つていただきたい。ところが廣川農林大臣はまず実践されておられる。規模が大きい。こんな大きなものがあるにかかわらず、畜産局長はこの点については、戦前持つておられたか持つておられないかは知らないと平気で答えるほど、実に日本畜産責任者は調査が不十分なんです。この意味においてお聞きしたいのは、畜産局といたしまして、日本の農林大臣といたしまして、朝鷄小屋に入つて、それは襌三味に楽しめるような意味合いにおいて、清楚な風流な鷄小屋を持つような施設を、日本農村の津々浦々に至るまで持てるようにするために、どういうふうな具体策を持つておられますか。
  42. 山根東明

    ○山根政府委員 お話のようなことは、私ども農村におきましても、養鷄農家経済の向上をはかつて行くことによつて、そうした理想に近づけて行きたいということははつきり申し上げられると思うのであります。これに対して、具体的にどういう策を持つておるかというお話でありますが、私どもは養鷄振興につきましては、現在のところ予算の許す限度において、最大の努力をいたしておるつもりであります。ただ十分でない点も、予算の面からもあるわけでありますけれども、私どもとしましては、今後さらに一層の努力によつて、養鷄農家経済の向上ということには力をいたして行きたい、かように考えております。
  43. 横田甚太郎

    ○横田委員 そう白々しく努力をして行きたいというようなことを言われると、文句を言わざるを得ないのです。このごろの新聞記事を見ますとこういうことが出ておりますね。鷄四羽以上飼つた人に対しましては税金をかける、こういうふうなことは一体事実か、新聞記事が間違つているのか。もし税金をかけるとされるならば、これは法的には一体現在の法を、どういうふうに悪く適用されるのか。私の考えによりますと、鷄というものは大体もうからないものなんです。ところが吉田自由党政府といたしましては、鷄はもうかるものだと思つているらしいのです。なぜ私がこんな皮肉を申すかと申しますと、廣川さんは鷄の専門家であります。そうであるにもかかわらず、廣川農林大臣のもとにおきまして、鷄四羽以上飼う人に対して税金をかける。こんなことをされては困るという新聞記事がたくさん出ているのであります。農相もこう言うべきなのだ。だがそうは言わない。廣川農林大臣が鷄を飼つておられるということは、自分の体験からいつて実にボロもうけができておるらしい。だから廣川養鷄というものは、数字的に申しましても、日本養鷄の理論から申しましても、どう変革されてもうかるような養鷄になつたか。われわれの養鷄と違つてしまつたところの点をひとつ承りたいのです。  それからまた、このようにもうかるように飼つておられるところの養鷄でございますから、廣川さんは一体どのくらいこれによつてもうけて、税金をかけておられるのか。またその鷄を太らせるために、どうして飼料を安く入手しておられるのか。それからできました玉子というものは、一体どうなつておるか。なぜこういうことを聞くかと申しますと、こういうふうな意味合いにおきまして、私は廣川さんがほんとう畜産家であり、ほんとう日本農民の利益を代表するところの農相であるなれば、四羽以上の鷄を飼つておる人に税金がかかるという考え政府に出たならば、むちやなことを言うては困ると、自分から行つて、後輩であるところの大蔵大臣にどなり込まなければならぬ。どなり込んだという記事は一つも出ておらないのです。今の飼料を畜産にまわせというのは、鷄に玉子を生ますためなんです。今鷄に対しまして税金がかかるようでは、太らしたり玉子を生ませない方がいいのです。これでは税務署の鷄を飼つていると同じことなんです。だから廣川さんがやつている養鷄事業というものは非常に有利なんです。夢の養鷄家の農村指導ゆえ農村における畜産というものは地につかない。ここで飼料談議をいたしましたところが、わずか十日分の飼料のやりくりのために、われわれがいろいろと妙な意見を出しているのであります。これを解決いたしましたところが十日分、しかし一年というものは三百六十五日あるのですから、あとの三百五十五日というものは、飼料事情がちつとも解決ついておらない。だから私はこういうような意味合いにおきまして、もう一回はつきり畜産局の、いわゆる畜産をどういうふうにして指導しておられるか、そういうような点と同時に、その指導の線に沿うて、飼料なるものがどういうふうに配慮されておるか、これをはつきり聞いておきたい。
  44. 山根東明

    ○山根政府委員 畜産局といたしましては、端的に申せば、家畜の導入し得る農家は、全部家畜を導入したいという大きな目標に向つて進んでおるのであります。そのための飼料の問題は、まつたく基本になる問題でありまして、飼料の計画につきましても、綿密な需給の計画を実は立ておるのでありまして、これはただいま資料を余分に持つておりませんので、後刻差上げたいと思いますが、これによりまして、私どもの家畜増殖計画に即応した飼料計画というものを、一応は持つておるのでありまして、ただいまのところ昭和二十八年度に至るまでの計画は持つております。供給源としましては、濃厚飼料、粗飼料、さらに不足分は輸入にまつという計画になつておりますし、需要の面としましては、増殖計画に即応して家畜がふえて行くという、家畜頭数を基礎にいたしまして、所要量を算出いたしております。
  45. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは大蔵省に聞けと言われるかもしれませんが、鷄四羽以上で税金をかけるというような雲行きが政府部内にはあるかないか。もしあるとすれば、畜産局としてはどういうふうな申入れを大蔵省にしようとしておるか、これを承りたいと思います。
  46. 山根東明

    ○山根政府委員 鷄を飼う者に対して税金がかかるということは、しかもその税金が、非常に負担に耐えがたいほど重過ぎるという問題は、実は新しい問題ではないのでありまして、私どももたびたび税務当局とこの問題については懇談をいたしたのであります。これは私もはつきり覚えておりますが、お役所同士だけでなしに、実際の養鷄の関係者も交えて、いろいろ懇談をいたしたこともございます。最近の話として、四羽以上に税金をかけるということも、新聞記事として載つてつたかと思うのでありますが、この正確な報道については、実は私もまだ正式には承知いたしておりません。御指摘がありましたので、あらためてさらに調査しまして、私たちが従来から主張しておりましたように、すなわち養鷄農家の税の負担力というものは、決して強くないんだという現状に即した、私どもの主張で大蔵当局と十分折衝いたしたいと思います。
  47. 横田甚太郎

    ○横田委員 鷄を飼う、今まででも四羽飼つておるということは、重い負担になつておるということはほんとうに認めているのですね。ほんとうに認めるのですね。それで鷄だけの話をしているので偏頗になるから伺いますが、これは大阪府を單位にいたしますと、こういうようなことが出ている。大阪府においては、酪農を盛んに奨励しております。去年大阪府が、営利的に養鷄をやつている人たちに対しまして、営利的にやられては困るというので、大阪府が特に特約いたしまして、特殊な養鷄業者に補助金を與えて鷄を安く配給した。それが非常に安くなつた。安くなつたがために、專業の養鷄業者から苦情が出て、去年はそれをやつたけれども、ことしはやらないという始末になつている。それで鷄をやめて、豚の方をやつたかというと、豚の方はやらない。それで元の話にもどりますが、乳の出る牛という話が出て来たのです。これを一生懸命やつている。これをやるためには、農林中金から二千万円の金を出してもいいという話なんです。ところがその金は農村に出るかといいますと、農村には出ない。どこに出るかというとはつきりしない。出す相手がないといつて、農林中金では二千万円の金を握つている。大阪府においては、現在牛が二千七頭いる。この二千七頭の牛が百四石の牛乳を出しておる。大阪府におきましては百五十石の牛乳が売れるというのです。この百五十石の牛乳は大阪で消費できるから、これを出そうという。大阪の農家は決して二千戸や三千戸ではないのです。八万も九万もある農家に対しまして、現在二千七頭の牛がおる。そこへどうしても百五十石の牛乳を出すところの牛を入れるというのが、いわゆる大阪酪農の中心課題らしい。そうしますと、百五十石に対して百四石の牛乳が出ているのですから、ふやせる量は約三分の一です。三分の一の牛の数と申しますと、二千七頭に対して三分の一ですから、約七百頭です。二千七百頭以上の牛にいたしますと、大阪府では牛の乳をとつたところが売れないということになる。すると大阪府には二千七百頭しか牛が飼えない、農家は八万戸もある。こんな試みだから行き詰まつておる。こういうわけになるのです。それに対して一体政府はどういう態度をとつているかというと、何もやつていない。畜産ということはただ添え草なんです。ただこういつて看板にかけているだけなんです。そうして畜産課というところの看板が大阪府にあるから、ちよつと店開きのようにやつているのです。実態は、七、八百頭の牛をふやしたら、おしまいなんです。これ以上はどうしてもこうしても見込みがない、こういうことになつておる。だから個々の單位の県に対しまして、府に対しまして、政府畜産局といたしましては、乳の出る牛に力を入れておられるのか、あるいはうさぎに力を入れておられるのか、鷄に力を入れておられるのか、あるいは豚に力を入れておられるのか、各府県によつても違いましようが、入れておられるのであれば、各府県の特徴的な所においては、この府県に対してはこの豚、この府県に対してはこの牛、この府県に対してはこの鷄、それがためにこれだけの費用を出している、その結果がうまく行つておらない、あるいはうまく行つておる。それに対しては一体今後どういうふうに改善せられようとしておるのか、この点を承りたい。
  48. 山根東明

    ○山根政府委員 お話のように、私どもも全国的には一本の計画でありますが、それを府県の実情に即して、府県におろした計画を持つております。大阪府の計画が、乳牛について何頭であるかということは、私ただいま資料を持つておりませんが、大阪府の生乳を含めました乳製品の需要状況に即応した計画ができておると思うのでありまして、まつたお話通り計画で、府県の実情に即応した計画を持つておるわけであります。
  49. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたの答弁から判断いたしますと、何も具体的には聞けないのです。ここで農村有畜化のために畜産を論議して時間をつぶした。その席には代議士がすわつてつた。盛んな議論が出た。特に小笠原委員のごときは、最も畜産に対して熱意を示された、こういう結果だけなんです。現象だけなんです。しかし下におろして、どこの村において、といつたらあまりたくさんありますから、どこの府県においてどういうふうにやるかと聞いたら、何もありやしない。そこで私たちは疑問を持つのです。だからもう一回聞きたいのは、農林中金が私たちに申しましたところの二千万円の金ならば、乳牛を飼うて、その結果として出る乳のために処理場をこしらえるのだ、その処理場をこしらえるには二千万円くらいいるかと聞きに行くのだそうです。そういうようなからくりが一体どこにあるのか、この二千万円はどういう性質の金か、またこの二千万円についてあなたは知つておられるかおられないか、大阪府に対して二千万円ですから、これが全各府県に対してどのような金になるか、こういうような点から私は聞くのですが、どういうわけでこういうような金がダブついておつて、しかもそれが農村にまわつて来ないのか、もう一回伺いたい。
  50. 山根東明

    ○山根政府委員 府県の計画は先ほど申しましたようにあるのでありますが、私はなはだ申訳ありませんが手元に持つておりませんので、具体的に大阪府の計画を申し上げられないとお断りしたわけであります。本省に帰りますれば、府県が国の計画をどういうふうにさらに碎いておるかということはわかつております。  それから二千万円の中金の資金のお話は、私も実は記憶がございません。聞いたこともございません。地元で中金当局と話を進めておることではないかと思うのでありますが、今日まで私は直接聞いておりません。
  51. 横田甚太郎

    ○横田委員 大阪における畜産の例は、答弁するのに資料を持つておらないと言われました。しかし私が伺いたいのは、資料を持つておられないのは今だけでないのであつて、いつも持つておられないのじやなかろうか、こう私は思うんです。簡單に具体的な例をあげないと、ホラのように思われます。それゆえ具体的な例を一々あげて論議すると、あなたは一番困つてしまう。かりに大阪、東京あるいは名古屋、福岡というような大都市を控えましては、その付近にあるところの農村は近郊農村といつて、そこは大体耕地が非常に少いということは御存じですね。耕地が少いが、しかしそこには町にあるところの残飯がある。残菜がある。ここに養豚ができる。こういうような意味合いから、農村にいわゆる協同組合運動が始まつて、その協同組合が畜産を取入れる。そうして畜産をやりかけたが、そのときには小豚が高かつた。ところが去年はあなたたち御存じのように、やりかけた豚だとか鷄、馬などが一ぺんに値下りになつてしまつた。そして畜産は壊滅に瀕しかけた。こうなんです。しかしこのごろまた豚や鷄の値が上つて来た。これはどうしても農民の力において盛り返して行かなければならない。そういうような場合においては、農民が豚を買うために金を出さない。なぜ出さないかといえば、農民は今までだまされて来ているのです。だから協同組合をこしらえましたところが、五千円の出資金を出すような人はよほどの人です。たいていは百円から三百円くらいの出資金です。いわんや畜産というような新しいことをやるのに、三百円の出資金をするというようなことは、よほどの人でないとやらない。清水の舞台から飛びおりたような気持でなければ出せない。そこで一頭三千円もするような子豚を買えといつても買えやしない。その上飼料に困つておる。国会においては論議しておる。大都会には飼料がある。残飯がある。これを中心にして農民たちに養豚を奨励し、養鷄を盛んにする。そういうようなことをやるためには資金がいる。どういうふうな形態にして、どこから金を引出したらいいか、政府としてはどういうような指導補助があるのか。どういう実際に即した問題に対してはどういうお考えがあるか、これをはつきりしてもらいたい。
  52. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 一体こういう長いこまかい質疑応答をしておつては実は際限がないから、畜産局長も御答弁なさるなら、かりに大阪の問題が出たら、資料も持たないというようなことは言わぬで、大阪でも牛乳はたくさん必要なんだから、いくらやつたつて横田君の言うようなあまるというようなことはない。チーズ、バターにする。工業施設をすればいくらでもそれが消化することができるのだから、そんなことは大まかに実際の畜産の将来に対して御答弁なされば解決はつく。だから資料を持たないというようなことを言わないようにして、また横田君も質問するのに、共産党の鷄は損があるし、自由党の鷄は利益があるというようなことは言わぬで、どつちの鷄でもやり方によつては産物があるのだから、何も及ばざるところへ手を出せば損がある。そんな党派によつて鷄屋の損益が現われるものじやない。とにかくお互いにもう少し、ここは議会だから、議会にふさわしい質疑応答をして、早く收めなければ、いつまでやつてもこれはしようがないから、二人ともいいところで結びをつけていただきたい。
  53. 横田甚太郎

    ○横田委員 小笠原委員の仲裁があつたので、資料のない人をそう追究しません。われわれの申したいのは、鷄を四羽飼えば税金をかけるようなことをやられると、つい自由党の政策に反対したくなるというだけのことであります。だからこれから議会で、飼料といわず畜産といわず、これを論議する場合には、大きく論じ、数字について論じもいたします。しかしそれを実際にやる場合には、畜産の單位というものは、農村においては一頭から飼うて行く、一羽から飼うて行くところの、養豚、養鷄あるいは馬を飼うことから始まるのですから、よろしく資料を整えて、もつとはつきりした言葉と、事実に即したところの答弁を、これからしてもらうようにお願いしたい。これできようは、小笠原委員の仲裁がありますからやめておきます。
  54. 千賀康治

    千賀委員長 金子君。
  55. 金子與重郎

    ○金子委員 簡單な問題を二つだけ質問いたします。  第一の質問は、ただいま小笠原委員の熱心なお話やら、あるいは農林大臣の、役人のセクシヨンを越えて、農村に急遽飼料が渡るような処置をとつたということを一応承つたのでありますが、ただここに心配いたしますのは、とうもろこし二万五千トン、あるいは大豆かすの五千トンというものは、今の政府手持ちの放出ということを中心に火急に処置をして、これをどうしてもやつてもらわなければならぬことはよくわかるのでありますが、今後の見通しといたしまして、はたして自由経済なつたときに、えさに向くものは、ほかの食品の用途にも向きます関係上、統制を解いた以上は、今までの飼料というものが、必ずしも飼料として流れるということは保しがたい。一方国外の市場を見ましても、国外の食糧情勢は、食糧の絶対生産はよし上つているといたしましても、国際関係の危機から輸入に相当困難性がある。こういうことを前提におきまして、畜産局の今後の畜産の奨励計画というものの根本的な考え方を——買える買えないにいたしましても、再考を要する時期が来ておりはしないか。かりにそういうことがありとするならば、将来日本畜産というものを、もう少し自給飼料に多く待つような方向へ持つて行かなくちやならぬだろうと思う。そうしたときに、今農村人たちが一番耕作上恐れているのは、耕作地に対する税金の問題であります。そのときに、飼料畑に対する課税問題、あるいは飼料畑の範囲の拡大、こういうことを考えなければならぬと思うのであります。それらの点に対して、直接その衝に当つておられる局長は、どういうふうな見解を持つておられるか、その点をお伺いいたしたい。
  56. 山根東明

    ○山根政府委員 先ほど来飼料のさしあたつての応急的なことが問題になつてつたのでありますが、さらに深く根本的な対策を立てる必要があるということにつきましては、まつたく私どもも同感でありますし、さらにその方向として、自給飼料といいますか、飼料の自給を強化するという方向に進むべきであるということも、私どもはまつたくそういう気持でおるわけであります。これにつきましては、いろいろ考えなければならぬのでありまして、たとえば牧草の改良でありますとか、あるいは飼料作物の作づけの確保でありますとか、こういう問題も問題として取上げておるわけであります。この場合に、お話のように、あるいは課税の問題というようなことも一つの大きな問題となろうかと思うのでありますが、私ども考えております一つの線は、ただいまお申し述べになりました御意見と、まつたく同様な線で考えておるわけでございます。
  57. 金子與重郎

    ○金子委員 その問題は、ただ感情として同感だということではなく、私はどうしても日本畜産というものを、自給飼料度というものを、もう少し高めなければならぬという点で実際支障が来ているのは、農民の耕作地当に、一畝、一坪も漏らさず税金を取立てる、こういういわゆる大蔵行政のしわ寄せが、農村の今後の自給飼料の生産に非常な影響を持つと思います。たとえば飼料畑にした方がいいような悪い土地であつても、お前はここに何反つくつているのだから幾ら税金をとるのだ、こう来るから、食糧作物を無理につくるということになるのでありまして、この飼料畑に対する税金というものを、特にあなたの方で研究してほしいということと、もう一つは、今後の新らしい畜産計画というものを、でき得る限り近い機会に、こういうふうに変更して行きたいと思うというような、具体案をお示し願えれば非常にけつこうだと思います。  もう一つ最後に、これはあなたに申し上げることははなはだへんでありますけれども、大臣がおりませんから、一係としてのあなたの考え方だけを伺えればけつこうなんでありますが、先ほどから非常に熱心に、前小笠原委員長を初め農林大臣がこの問題に触れておりますが、その間答を聞いておりましても、非常に何か別の感じが出て来るのであります。と申しますのは、今の飼料の需給状態におきましては、統制をそのままぽんと放せばこうなることは、大体常識ある人たちにはわかつておるわけであります。そこでそういうふうになることは、経済的の面に対して、幾分なりとも考慮を持たれる人であるならば——おそらく現在のように、小麦よりもふすまの方が高いというような、こんなべらぼうなことがあるかと言いましても、現実にできておるわけであります。しかしこれはかつて統制を始めたときにも、統制をされた品目とそうでない品目とが、こういう過程を経て全面統制まで入つたのであります。統制を解除いたして来ますと、またこういうふうにちんばなことが出て参るのであります。このときに、どういうふうな意味で配付されておるかわかりませんが、ここに配付されておる政府の声明として書いてあるとに一例をとつてみましても、「これがため経済統制の復活を行うごときは毫もその必要を認めておらない」ということを前提としまして、その次に「自由の存在するところ、必ずそこに責任と規律が伴わなければならないということである。政府は自由な経済活動の助長を不動の基本政策として」云々ということが書いてあるのであります。全国民がこういうふうな自由のあるところ必ず責任があるのだという常識を守つて経済行為を行つてくれれば、もちろん経済統制の必要なんか毛頭ないのでありますが、しかしながら今の世の中は、経済行為ばかりでなく、破廉恥行為さえもあえて盛んに行われるこういう時代に、こういうふうな一片の作文で、経済の問題を一つの軌道に乗せようとするところに、私は非常な無理があつたと思う。そこで結論として聞きたいのは、この際ただ無方針に、飼料の問題を手放しにして統制を解いたことは、少しはやまつたとか、あるいはまずやつたとか、うまかつたとか、その点をあなた個人の考えでもよろしい、統制をぱつと解いてしまつたが、これは成功だつたと思うとか、あるいはこれは不用意だつたと思うとか。これはほんとうは大臣に聞くべきことでありますが、取扱つておるあなたが一番痛い目にあつておるから、あなたが一番よくおわかりと思いますから、あなたの感じでけつこうでございますから、その見解を承つて質問を終ります。
  58. 山根東明

    ○山根政府委員 飼料の統制は、昨年四月、実はほとんど完全に統制を撤廃したのであります。当時撤廃をしても混乱することなきやいなやという点は、非常に議論され、懸念もされたわけでありますが、幸い最近までの実情は、はなはだしい混乱は生じなかつたというふうに考えております。最近非常に価格が暴騰いたしまして、こうした論議が出るような状態になつたのでありますが、この点につきましては、内外のいろいろな事情がからみ合つた結果、こうした現象ができておると思うのでありますが、こういう事態に対処して、将来統制をどうするつもりか、私的な考えでもいいからという御質問でありますが、私どもは、ただいまのところ、このたびとりますような応急的な措置をとること以外に実は考えておりません。
  59. 千賀康治

    千賀委員長 進行いたします。中垣國男君。
  60. 中垣國男

    ○中垣委員 畜産局長にお尋ねいたしますが、私の質問に対しましては、簡單明瞭にお願いしたいと思います。特に本日まで五回、本委員会におきまして、農林当局畜産行政並びに飼料問題について伺い、大体全貌が明らかにされたと思うのでありますが、重複しますけれども、念を押しておきたいと思いますので、以下四点についてお尋ねします。  現在の輸入飼料の計画は、順調であるというような説明がなされておつたのでありますが、今日も情勢はかわりはありませんが、お尋ねいたします。簡單にお願いします。
  61. 山根東明

    ○山根政府委員 私どもも順調に行つておるという見方をしております。
  62. 中垣國男

    ○中垣委員 今後の見通しも不安視する必要はありませんか。
  63. 山根東明

    ○山根政府委員 実ははつきり自信を持つてお答えはできぬ点もあります。それは価格の点でありまして、将来外国の価格がどうなるかという点がはつきりいたさない点であります。そういう意味ではつきりは申し上げかねますが、ただいままでの進行の状況から推しまして、私どもが当初年間予定しておりました計画は、これは比較的容易に達成できるのじやないかと考えております。
  64. 中垣國男

    ○中垣委員 有畜農業に必要な家畜の増産制限等をするような予想をされておりますか。その点お伺いします。
  65. 山根東明

    ○山根政府委員 増産制限でありますか。
  66. 中垣國男

    ○中垣委員 そうです。
  67. 山根東明

    ○山根政府委員 そういうような考え方は持つておりません。
  68. 中垣國男

    ○中垣委員 もう一点お尋ねいたしますが、今日程度の家畜單位、これを餓死させずに維持させることの見通しについて、最後にお尋ねいたします。
  69. 山根東明

    ○山根政府委員 先ほどもほかの委員の方に御説明をいたしましたとき触れましたが、増殖計画とうらはらになります飼料の計画を、実は持つておるわけでありまして、これによりますと、ある程度海外からの輸入を期待しておる面もあるわけでありますが、国内産の飼料給源として、麦類等の耕作作物もあるわけでありますので、それの豊凶によつて、あるいはどうした結果になるというような点もあるかと思いますけれども、持つております需給計画では、家畜増産計画は達成して行けるという考え方をいたしております。
  70. 中垣國男

    ○中垣委員 これで打切ります。     —————————————
  71. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りをいたします。議員提出法案の作成につきまして、法案の通過を容易にするとか、あるいは野党の方の諸君の意見もこれに織り込む利便を與えるとか、いろいろな意味がありまして、一部分の野党の方からも相当に御意見が出て、御希望があります。そこで各小委員会を中心にいたしまして、野党の方々と意思の連絡をはかつていただいて、御希望のあるのに従つて、野党の方々もともに法案提出者になつていただくというような運びで進行いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。将来さようにして法案の作成をいたしたいと思います。
  73. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 ちよつと今の宣告についてですが、それはできるだけという意味ですか。
  74. 千賀康治

    千賀委員長 そうです。
  75. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 そういうことを入れておかないと、あとで問題が起る。
  76. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの小笠原委員のお言葉を、私の発言の中に含ませることを御了承願います。  なおこの際小委員会の設置についてお諮りをいたします。先般畜産に関する諸問題を調査検討するため、畜産委員会を設置いたしましたが、この際特に家畜伝染病の問題に対して専門的な調査を加え、現行の家畜伝染病予防法を全面的に再検討を加え、新たに現状に適合するような法律案を起草するため、家畜伝染病予防法案起草小委員会を設置いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。よつてその小委員及び小委員長の選任についてお諮りいたしますが、これは委員長においていずれも指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。さよういたします。    宇野秀次郎君  遠藤 三郎君   小笠原八十美君  千賀 康治君    原田 雪松君  金子與重郎君    足鹿  覺君  横田甚太郎君    中村寅太君を小委員に指名いたし、次に小委員長には原田雪松君を御指名いたします。  次会は公報をもつてお知らせをいたすことにいたしまして、本日はこれで散会いたします。     午後三時四十八分散会