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1951-02-05 第10回国会 衆議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月五日(月曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 吉川 久衛君 理事 足鹿  覺君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    小淵 光平君       川西  清君    河野 謙三君       中馬 辰猪君    原田 雪松君       平野 三郎君    八百板 正君       山口 武秀君    横田甚太郎君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務次官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務次官         (畜産局長)  山根 東明君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月二日  裝蹄師法の一部を改正する法律案内閣提出第  二〇号)(参議院送付) 同月三日  東河村字岡田地内にため池築設の請願(佐々木  盛雄君紹介)(第二八四号)  国有林野内牧野開放に関する請願柄澤登志子  君紹介)(第二九七号)  早場米奨励金制度存続請願柄澤登志子君紹  介)(第二九八号)  昭和二十六年度農地関係予算復活請願柄澤  登志子紹介)(二九九号)  土地改良事業費国庫補助増額請願柄澤登志  子君紹介)(第三〇〇号)  国有林地内砂防工事施行に開する請願柄澤登  志子紹介)(第三〇四号)  北上川、雫石川両沿岸農業水利改良事業昭和  二十六年度国営計画地区に指定の請願野原正  勝君外一名紹介)(第三〇六号)  胆沢平野土地改良事業昭和二十六年度より国  営として施行請願小澤佐重喜君外三名紹  介)(第三〇七号)国営山王農業水利改良事  業施行促進請願野原正勝君外一名紹介)(  第三〇八号)  開拓農業協同組合強化に関する請願渕通義君  紹介)(第三五五号)  荒川及び駒込川の毒水排除費国庫補助に関する  請願山崎岩男紹介)(第三五六号)  青果物の販売共済制度確立に関する請願(増田  甲子七君紹介)(第三九二号)  下閉伊郡下の土地改良事業等国庫補助請願  (野原正勝紹介)(第三九四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  裝蹄師法の一部を改正する法律案内閣提出第  二〇号)(参議院送付)  昭和二十六年度農林省関係予算に関し説明聽取  の件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会開きます。  前会に引続き農林省関係予算に関し説明聽取を行います。前会は農林省予算全般につきまして説明を伺いましたので、今日は各局別にその予算及び予算に盛られておる重要諸施策につきまして御説明を聞くことにいたします。なおこれらの事項関連いたしまして、あるいは新しく法律制定改廃が問題になるものと考えられますので、この点もあわせて説明を伺いたいと思います。
  3. 小笠原八十美

    小笠原委員 これは各局長説明だから、私は今出た予算がこれこれだという説明では物足りない。われわれはこれこれを要求した、これを削られた、残つたのはこれだ、こういう説明をしてもらいたい。そうして今これをやる人はその準備がないのだが、明日説明する人に委員長から通告してその準備をしてもらいたい。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 承知しました。今の小笠原委員説明趣旨沿つて説明ができたらやつてください。では農業改良局長小倉武一君。
  5. 小倉武一

    小倉政府委員 それでは農業改良事業に関しまして、二十六年度要求予算の概要を御説明申し上げます。  御承知通り農業改良事業昭和二十三年の夏ごろから始まりまして爾来大体二箇年半を経過いたしておるのであります。その間に普及事業につきましては、新しい構想のもとに、府県職員といたしまして全国農村に当初約六千五百名の食糧増産技術員設置いたしまして爾後二十四年、二十五年に若干ずつの増員をみまして、二十五年度におきましては予算の定員は九千二百五十名になつておるのであります。従来農会あるいは農業会技術員としてやつておりましたのをさような形に切り離しましてそうして特に一般統制あるいは管理的な行政面から切り離して普及一本やりにいたすという建前でやつておるのであります。また試験研究機関につきましては、新しく企画研究官制度を設けまして各種の農業関係試験研究連絡調整、あるいは企画をやるという建前になつておるのであります。さような研究企画官制度とともに、また農業試験研究機関整理統合をいたしまして、大体本年度から発足をいたしておるわけであります。二十六年度予算といたしましては、改良事業関係総額で申しますというと十六億一千十五万五千円になつておるのであります。これを二十五年に比較いたしますと、四億一千二百七十三万八千円の増加になつております。この内訳を大別して申しますと、改良局関係一般行政に関するものが六百八十二万六千円でありまして、あと改良普及事業プロパー関係が大体半々になつておるのであります。すなわち普及事業関係を申しますと、九億五千九百五十六万七千円、試験研究関係が九億四千三百七十六万二千円となつておるのであります。そこで特に普及事業関係研究所関係事項の二つにわけて申し述べたいと思いますが、なお今申しました予算のほかに、建設省所管公共事業関係で、試験研究所関係営繕予算といたしまして、二千七百二十五万六千円ばかり計上いたしております。これは農業技術研究所関係、あるいは地域農業試験場営繕関係費用であります。  まず最初に普及事業について申し上げたいと思います。普及事業関係費用は二十六年度といたしまて、八億四千五百四十二万一千円を計上いたしております。その大部分府県に対する補助金でございます。特にまたその中で重要な位置を占めるのは、普及員設置に対する補助金であります。普及員は本年度におきましては、全国八千六百七十人でありましたのを、来年度二千百二十三人増加いたすことにいたしております。そこで二十六年度は一万七百九十三人になる予定でありまして、ほぼこの予算考え方の基準は全国の市町村に一名ずつ程度置けるという標準予算要求ができていわけであります。  なお少しこまかくなりますけれども専門技術員の数の増加も加わつて  いるのでありまして、二十五年度は三  百人でありましたのを二十六年度におきましては三百九十人増加いたしまして六百九十人、大体一府県十五人程度置けるというのを標準といたしているのであります。  普及事業につきましては、なお次に改良普及員の養成の関係費用がございます。これは御承知のように各府県試験場普及員を特に養成するために農業講習所というのを置いてありますがそういうものに関する費用が大部分を占めているのでありまして、これが二十六年度におきましては三千五、百七十二万四千円になつております。これも昨年度と比べますと一千百四十万九千円の増額になつているのであります。  それから次は同じ普及関係でございますが、三番目に農村の若い子弟、特に農家子弟農家に入りまして十分新しい経営をやつて行ける、またそれと同時に農村青少年の活動の中心になるような若い農村の青年を養成したいという目的でもつて農業に関する実務講習施設をやつているのでありますが、これに対する費用が二千四百七十四万三千円になつております。これも昨年度に比べましてわずかでありますが、増額になつているのであります。  今まで申しましたのは、主として農業改良関係仕事でございますが、われわれの方におきましては、生活改善のための普及事業についても相当の力を入れました関係上、これを別立てにいたしまして、二十六年度予算要求といたしましては五千三百二十万八千円を計上いたしております。昨年度に比べまして一千二百八十五万七千円の増額になつているのであります。これは主として生活改善普及負人員増加を企図しているのでありまして、本年度は五百八十人ばかりでありましたが、来年は百十人ばかり増加して六百九十人になる予定でいるのであります。  第二番目といたしまして、試験研究関係のことであります。まず本省における農業研究関係でございますが、これが二億百六十八万九千円を計上いたしております。前年度は一億八千二百万円でありました。その内訳としてまず技術研究経済研究経営関係というふうに三つにわけて申し上げた方がいいのではないかと思いますが、この二億百六十八万九千円のうち、その大部分を占めます一億八千八百五十一万九千円は農業技術研究のための経費であります。次は農業経済研究の方でございますが、これは一千三十六万三千円で多少減額になつているのでありますが、ほぼ前年通りであります。三番目は農業経営関係農業機械でありますとか、あるいは小水力の発電でありますとか、そういうことに関しまする経費が二百八十万九千円になつております。前年度に比べましてこれも若干の増額になつております。  今申し上げましたのが本省関係試験研究に関する経費でありまして、次は同じく試験研究関係でございますが、研究所あるいは試験場関係であります。まず農業技術研究所といたしまして二十六年度におきましては二億八百九十二万八千円を計上いたしております。前年度に比べまして五千五面三十二万五千四百七十七円の増額になつております。また全国に七つの地域農業試験場がございますが、この総予算が五億七十五万八千円になつております。前年度に比べまして約一億円近くの増額になつておるのであります。以上技術研究の方が主でございますが、経済関係研究機関といたしまして農業総合研究所がございますが、この二十六年度予算は三千二百三十八万七千円になつておりまして、これも約一千万円近くの増額になつておるのであります。試験研究機関につきましては、本年度と比べまして、本年度要求予算相当増額になつておるのであります。これは本年までは、人件費事業費にわけまして、大体大まかに言われておりますことは半々であつたわけでありますが、それを私どもといたしましては、人件費三に対して事業費を七くらいに持つて行きたいということで、いろいろ案もいたしたのでありますが、その結果、人件費四に対して事業費六近い程度になりまして、だんだんと私ども希望に沿うようになつて行くのではないかと考えております。  なお私どもどういう予算要求の仕方をしたかということについての問題でありますが、今申し上げた試験研究機関事業費増額するということにつきましては、人件費四に対して事業費六に近いそれ相当のことができるのじやないかというように考えておつたのですが、一方給與ベース引上げということもございましたので、四対六ということには少し離れておる実情であります。  なお普及員待遇すなわち普及員補助單価の問題でありますが、五万一千五百円になつておるのであります。一部補助という建前の結果、一部補助についてはベース引上げをしないという財政当局方針で、やむを得ず来年度も本年度と同じ單価になつておるのでありますが、これは私ども要求といたしましても、昨年の十月ごろ調査した現員現給によりましても、もうすでにそのとき五万一千五百円では足りませんので、もつと増額したいというので、いろいろ努力はしたのでありますが、遺憾ながら実現を見ておらないのでありまして、今後何らかの機会に、待遇改善給與ベース引上げをしたいと考えておるのであります。  前年度予算との対比において御説明申し上げたのでありますが、先ほど小笠原委員のお話しの点につきまして、なお準備が不十分でありましたので、その点につきましては、なお別の機会にでもできれば御説明申し上げたいと思います。  なお私どもの二十六年度の問題といたしまして、予算のほかに予算関連したようなことでもつて説明すべきことということになりますと、私ども改良局自体といたましては、改良事業関係法律というものは、今のところ別段予定はいたしておりません。ただ関係がございますのは農業委員会法でございます。御承知のように、農林省といたしましては、農業委員会法というのを提案を準備をいたしておるのでありますが、これは農地委員会農業調整委員会農業改良委員会という三者を統合することになつておりますので、直接の関係があるわけであります。ただ改良委員会につきしましては、これは今法制上の基礎がないわけです。国の法律としての基礎がないのでありまして、その点農地委員会あるいは農業調整委員会と趣を異にいたしておりますけれども、このたびもし農業委員会というようなものができますれば、農業委員会が国の法律基礎をもつて改良指導をすることに相なるのであります。農業委員会としましては、また他の主管局から御説明もありましようし、また後日御討議をいただくことになるかと思いますので、私からあまり詳しくお話するのもいかがかと思いますので、この程度で、農業委員会の問題はただ基礎関係があるということだけを指摘して御参考に供したいと思います。簡單でありますけれども、私の御説明はこれで終ります。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 質疑を許します。なるべく簡潔にお願いをいたします。
  7. 河野謙三

    河野(謙)委員 今の御説明の中で生活改善の問題がありましたが、後ほどまた詳しくお尋ねますけれども、特にその中で、具体的にどういうものを生活改善の中に持つておられるか、おもなるものをお知らせいただきたいと思います。
  8. 小倉武一

    小倉政府委員 生活改善普及に関する経費といたしまして、来年度要求いたしておりますものは、総額五千二百二十万八千円であることは先ほど申し述べたのであります。その内容でありますがそのうち補助金が五千三十へ万五千円であります、その差引したものが本省人件費事業費になつておるのでありますが、この補助金が大部分でございますので、まず補助金について申し上げますと、そのまた大宗を占めるのが生活改善普及員設置補助金でございまして、これが六百九十人分、四千八百四十一万五千円に相なつております。これは給與だけではございませんで、その中には職員指導費というようなものが一千十二万円計上してあります。それから講習会設置費のほかに、生活改善のための講習会の開催の補助金でございますが、これは六十三万二千円、それから生活改善のためのいろいろの器材、たとえば指導する場合の寒暖計といつたようなものでありますが、そういうものがいりますので、それにつきまして百二十三万八千円の費用を計上いたしておるのであります。本省の方につきましては、これは職員基本給その他の関係がありますことはもちろんでありますが、人員は十三人であります。それに関する必要な経費が計上してあるのでございます。事業費は百十八万円であります。
  9. 河野謙三

    河野(謙)委員 私伺つておるのは、たとえば生活改善の中で、農村婦人生活の問題をどうするかというようなことであります。そういうことについてどこに重点を置いておられるか、時間の関係で私からその点、意見と申しますか、希望を申し上げて御答弁をいただきたいと思います。御承知のように農村生活については小倉さんよく御承知だと思いますが、とりわけひどいの農村婦人の問題です。都会の男と農村の男との開きはありますけれども、大したことはない。都会婦人農村婦人との開きは非常に大きい。そこに農村婦人の、大きく言えば解放というような問題になつて来るわけです。生活改善といつても、経済的の裏づけのない役所指導だけで生活改善はできない。おのずから農村経済的な裏づけをしなければならぬ。そこで生活改善にいうこと即経営改善であります。経営改善ということはどこから行くかということになると、私どもの考えでは、結局特に婦人の問題を考えた場合に、年間を通じての農村労働力平均化することによつて、男によつて部分が処理できる、女が田や畑に出なくてもよい、極端に言えばそういう結果になる。そこでそういう労働力平均化ということになると、結局有畜農業なり畜産重点を置いた農業に漸次切りかえるということだと思う。そういう面から出発した生活改善でないと、ただ経済的の裏づけのない役所指導だけで、講釈ばかりでは生活改善の実が結ばないと思うのであります。今年はそういうことはないと思いますけれども、従来の役所指導というものは、常に指導指導に終つてしまつて、そり経済的な裏づけが少しもないというところに、効果があがらぬ点があると思います。私は本年度においては、生活改善の中で、特に農村婦人の問題を大きく取上げて指導改善をしていただきたい、こういう希望なので、実は私はその生活改善内容の中で、農村婦人の問題について、特にどういう点を取上げておるかということに期待を持つたのですが、時間がありませんからまた後刻詳しく御説明を伺い、また意見も申し上げたいと思いますが、そういうことだつたのです。
  10. 小笠原八十美

    小笠原委員 一体農業改良局という所は何をやる所だか、それから伺いたいのです。それが第一わからない。それから今の予算説明の中で——今河野委員から生活改善なんか言われましたが、生産改善の一番の重点衣食住でありましよう。着物にしたつて九州から北海道の間に政府の配給するものは、寒い方は寒いなり、暖かい方は暖かいなりの配給ができておりますか。今までの衣料切符つてみな一律です。そのために幾多の不平があつたのです。今は衣料切符関係はないにしたところで、やはりあの弊がある、そういうところを改善できておりますか。食糧関係つてどうですか、今河野委員畜産関係を言われましたけれども、豚なんかは二束三文に売つてしまつてカロリーのない塩ざけを買つて年越しをするというような状態です。あれは何かといえば、簡易屠場がないために屠殺することができない、都会まで持つてつて屠殺してまた持つて来るのでは運賃だつて高いものになる。豚でも農村方面簡易屠場があると、簡單にそれを塩づけにして、十分にカロリーがとれるようなことになつておる。農村事情をあなた方は知らない、あなた方には生活改善をやるだけの資格がない。もう少しつつ込んで、農村事情をよく把握してからでないとあなた方にはできぬのだ。あなた方がただ学校を出たばかりで、外国の古帳面なんか広げて、それをまねて縦横十文字にそんなことを研究した、そんなことを言つてそれでやるからあやまちを出すのだ。住家つてそうです、トラホームになるようなまつ暗なところに寝ころんでおる、あれを改善する方法はたくさんあるのだが、衣食住ともできない。予算を四千万円生活改善にとつたという、何に使うかわからぬけれども、絶対これはだめなんです。従つてあなたの方の農業改善とか改良とかいう所は、一体何をする所だか、私たちにちよつと見当がつかない。そのためにあなた方の方の預けられた部門、その範囲というものは何々であるか、何々を重点としておるか。そうしてあなた方は予算をどれだけ大蔵省要求されて、大蔵省にどれだけ拒絶されたか、削られたか、私の伺いたいというのはその点なんです。これは実際やつてみて効果のない。ただむだに金を捨てるなら国家のためにやらぬ方がよい。わずかの金でもやれること、ほんとうに農家の幸福になるような改善をするために使うように、あなた方に御奮闘を願わなければならぬのだから、そこで私は内容を承りたい。それを御説明願いたいと思う。
  11. 小倉武一

    小倉政府委員 農業改良事業が何をするか、あるいはその目的というようなことにつきましては、もう御承知のことと存じておるのでありますが、これはしかし、考え方によりましては非常にむずかしい問題で、そういう御質問の出るのも、また非常に深いところからではないかと存じております。もちろん究極の目的は、この農業改良事業によりまして、農業出産力の増大と、農家生活安定向上を期するということに盡きるのでありますが、ただその方法が、金融でありますとか、あるいは補助でありますとか、あるいは統制算理というようなことでなくて、生活であろうと、経営の問題であろうと、農家に科学的な知識を供給いたしまして、それによつて農家が自主的に改善をはかつて行くことをねらつておるのであります。部門はそういうわけでありますので、なお全般に及ぶべきなのでありますけれども、現在のところ、蚕糸業養蚕関係は除いてございまして、その他の狭い意味の農業すなわち耕種というもののほか、有畜農業というものも一応改良作業普及事業の面、あるいは研究事業の面には取入れてやつておるのであります。また生活改善の問題にいたしますと、先ほども御指摘がありましたように、経営という問題を離れては考えられないということもごもつともであります。私どももさようなつもりでおるのであります。特に婦人労働の問題、あるいは農家衣食住の問題、これらにつきまして、私ども生活改善ということをやつておるのであります。たとえば住居の問題にいたしますと、各方面から非常に要望もあり、また実際に若干の所で実施しておるのに台所改善があります。台所改善と申しましても、これは燃料の問題、それからできます灰の問題などもありましてなかなかむずかしいのでありますが、そういう事情が許す所では、新しい合理的なかまどの設置をしておる村も、ある程度できつつあるように見受けられるのであります。台所に限りませず、またたとえば料理の方法でありますとか、あるいはたんすの中に入つておるいろいろな着物を利用することとか、こういう方面で別にそうたくさんの金をかけずに、合理的ないい生活ができるような指導もだんだんいたしておるのであります。さようなわけでありますので、私ども仕事としては、非常に間口が広いのでありますけれども、しかし私ども目的を達成する手段は、これは試験研究といものを直接の関連を持ちまして、それによつて出来る新しい技術、あるいはすでに確認されておる技術手段農家に伝えて、そうして農家が自主的にそれを取入れてやつて行くというふうに考えておるのであります。もちろんそのためにはいろいろの組織もいりましよう。また施設もいるのでありますが、組織につきましては、たとえば各地方でできつつありますところの農事研究会、あるいは青少年のクラブというようなものと普及員が密接に連繋をつけまして、そのよき相談役になるとか、また生活改善につきましては、村々の婦人会というような団体と関連を持ちまして、相談に乗つて行くというような方法でやつておるのであります。かような次第でありますから、非常に手間のかかる気の長い仕事なのでありまして、すぐにどうこうという結果を期待することは非常にむずかしいと思いますが、長い目で見ていただければ、そこにやはり経営改善なり、あるいは生活改善なりが出て来ることと、私ども確信をいたしておるのであります。なおしかし、そのためにどういう結果が生じたか、効果が生じたかというようなことにつきましては、発足以来ごくわずかな年月しか経過しておりませんのでやむを得なかつたのでありましようが、今後は普及事業効果を強化するというようなことにも努めまして、何をしておるというような御質問に対しましても、よくお答えできるような準備もひとついたしたいというふうに考えております。御質問趣旨とは違つたかもしれませんが、以上御答弁申し上げます。
  12. 小笠原八十美

    小笠原委員 発足以来日が浅いので、方針等もまだしつかり実行に移しておらなくて、顕著な効果が現われないことは御無理ないことです。ただ今後の方針としても重要な問題だから承りたいのでありますが、農業経営改善ということも重点的に含まれているようですが、農家には、まだ二千年前の農具そのままの姿のところがたくさんありますよ。神武天皇のころそのままのところがたくさんある。農業改善だなんて言つても、よほど力を入れて大蔵省と折衝せんければ、そんな雀の涙みたいな予算では、ほら一つ吹けばなくなつてしまう。とてもだめだ。農業経営改善ならば、ほんとうにしつかり力を入れて計画を立てて、強く押して行くということでなくては今後の方針もむだになりますから、よほど注意しておやりにならないとだめだ。衣食住といい、農業経営といい、まだ日本では改善する仕事がたくさんあるが、あなたの局はそれをするのにいい局だ。あなたのところの仕事は非常に重大だ。予算関係でも、こまかいことを言うと、一家の経営つて、薪炭関係つてむだは多い。食糧関係つてカロリー問題からいつて相当むだが多い。いろいろな点から改善すべき点がある。微細な点にわたつて調べればよほどおもしろい問題だと思います。だからあなた方はそういうことをこまかに研究して、縦にも横にも連絡をとることが——畜産局でも、あるいは農政局でも、いろいろな方面と連絡をとることがなくさんおありだろうと思うのだ。こういう農業関係の連中ともよく御相談なさつて、ほんとうにいい、実行のできる計画を立てて、それに予算を織り込んで、それから大蔵省と折衝するべきだ。大蔵省と折衝するにも役人ばかりではだめだ。やはり農業関係の国会議員もみな入れて、一緒に押して行き、そして実行に移すぐらいのことをやらぬというと、あなたの計画は小さなものになつてしまつて、実行ができない計画になるというふうにぼくには思われるのだ。だから今後の計画を立てるには、よほど愼重を期して、実際に実行に移れるだけの御計画のもとに進まれることを私は望みます。今はまだ日が浅いから、あなたの方のやつたことに対して、いろいろと云々しても始まらないからやめますが、今後はその点十分に御計画をなさつて、進まれることを希望いたします。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 農業委員法の問題は他日またお尋ねする機会があろうと思うのですが、ただ私は局長所管の関係で一、二お尋ねをしたいと思うのです。最初にお尋ねしたいのは、米価の問題に重大な関連を持つている点についてであります。すなわち、従来はパリティーによつて決定されておつた。しかし二十五年産米からパリティーの出た指数プラス、アルファという形式が新しくとられて来ております。そのこと自体すでにパリティーの方式が大きな矛盾を現わして、これをアルファという形でカバーしているというかつこうが出て来ているのであります。従つてここに一つの新しい年産費計算方式ということが問題となつており、前第九国会におきましても、この米価の算定方式については新しい角度から考えたいということは、関係大臣もしばしば申しておられることなのであります。生産費計算方式で行くということになつて参りますと、結局問題は正確な生産費調査を必要とするわけです。従つて農林統計との関係がここに全面的に出来ると思うのです。ところが今年の農林統計予算概観して見ただけでありまして、御構想はどういうところあるかわかりませんが、御承知のように人数も相当減してある。米の生産費調査との関連において、どうしてもやらなければならない問題が確かにあるのでありますが、これらの農林統計に直接関連を持つて実務を担当しておられる局においては、どの米価問題とにらみ合せて、いかような措置が予算の上に盛られておりますか、この点をまずお尋ねいたしたい。
  14. 小倉武一

    小倉政府委員 統計関係予算につきましては、統計調査部長から御説明を申し上げた方がよいのではないかと思いまして省略いたしたのでありますが、ただいまの御質問の点についてお答えをいたしますと、御指摘の通り、全体の予算としては来年度減額になつておるのでありますが、今特にお話の米価の問題等に関連いたします経済調査については、少しながら増額をいたしておるのでありまして、御指摘のように、米価の問題あるいは農家経済の調査については、作物調査とは別に、特に重点的に予算も組み、また実際の運用もさようにいたしたいというつもりでおるのであります。
  15. 千賀康治

    千賀委員長 ちよつと御希望いたしますが、関係法案が出たときに詳細にやつていただけばよいので、ここでは簡潔にお願いいたします。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで若干でも増加している。詳細はまた別の機会に話すということでありますから、そのときに伺つてもよいのでありますが、大体の統計調査の構想についてはどういうふうにお考えになつているのか。今度事前割当が——これは法律が通らなければどういうふうになるかわからないが、かわりまして、事後割当にしようという政府の大体の構想のようである。事後割当の構想ということになりますのか。結局農林省の九月一日の収穫予想調査が事後割当の根幹をなして来ることは、私ども従来の経験から明らかであろうと思うのです。その収穫予想調査の方法にしてみても、従来そのものに矛盾があつたから、農民の間の問題が起きて、事前割当という制度が起きて来た。ところがこの事前割当の制度が、またいろいろ運営上に大きな問題があつて、結局はいろいろな点で摩擦が起き、あまりかんばしくない結果になつた。いろいろな情勢から、政府はまたほかの理由もあろうかと思いますが、事後割当にあともどりされて行こうとしている。そうすると、ここに事後割当の根拠になる一つの農林統計資料というものがもつと整備されて行かない限り、正しい事後割当の姿というものは出て来ないと思う。これは局長にお尋ねするのはあるいは無理かもしれませんが、そういう大きな食糧政策の方向をかえて行こうという、その背景をなすところの資料の整備の問題についても、ただおざなりの予算が組まれておつて、従来の矛盾きわまるものをそのまま踏襲して行くということでは、私は何ら食糧政策の前進には役立たないと思う。従つてまた農民の供出への協力を求めることも困難ではなかろうかと思うのであります。これが範囲の大きいことについては、また別に大臣なりその他の適当な方にお尋ねいたしますが、これらの点について、こういう実務を担当しておいでになる局として、もし事後割出になつた場合、現在の收穫予想調査をもつて満足しておいでになつているのか、またどういう根拠に基いて、それを完全な姿に持つて行こうという御努力をなさつたのか、また予算的にはどういうふうに表現されているのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。まだお尋ねしたいことはありますが、委員長の御注意もありますので、また別な機会にお尋ねを申し上げたいと思います。
  17. 小倉武一

    小倉政府委員 農作物の調査についての予算でございますが、これは御指摘のように、残念ながら来年度相当減額になつているのであります。そこで特に減額になつてつて困りますのは、推定実收高の調査についての減額でございますので、この点につきましては、調査のやり方も若干かえて、御期待に沿うような調査をするように、事務的には努めざるを得ないと考えているのであります。大体の考え方を申しますれば、統計的な推計をいたしますのは、五箇町村を單位にいたしまして、それを基礎にして町村別の資料を提供して行くことが一つであります。それから御指摘のように、事後割当になりました結果、特に予想收穫高が割当の基礎にもなりますので、これを早く、また的確に行うように努めたいと考えております。もつともこの收穫期と申しますか、予想收穫をいたします時期が、全国一律にいたしてみますと、的確なことができませんので、なるべくならば北、南と二つにわけてやるということも、食糧庁と打合せてやつた方がいいのではないか、そうした方が予想收穫高が的確に早くできるのではないかと考えております。また予想收穫高なり実收高の制度を高めるために、被害調査ということをごく最近始めたばかりでありますが、正確な被害調査ということにつきましても、これは供用ばかりでございませんで、ほかの関係もございますので、その調査も少しはつきりやりたいと考えております。お話の通り人員が約一千五百名程度制減になりますので、これまで労働力が過重だと言われておつたこともありますので、十分なことはできないかもしれませんが、われわれとしては、さらに調査手段方法、やり方についての合理化に努めまして、労力の軽減をはかるとともに、正確な実態に沿うような調査資料を提供するように努めたいと存じます。
  18. 原田雪松

    ○原田委員 議事進行について申し上げます。  いろいろ今農業改良局長の説明を聞いたのでありますが、お出しになつておりますデータが、一号は予算の概要で、総括的には次官から説明を聞いておりますので、大体のことはわかります。しかし今のような御説明の場合には、お持ちになているデータとわれわれが持つているデータと違いますので、あつちを繰り、こつちを繰りして見なければわからないので、聞く方で聞き流しのような点があります。このことは蚕糸局、畜産局あるいはその他の農地局などいろいろなものが、あると思いますが、ぜひお示しを願わなければ、委員の方ではあつちを繰り、こつちを繰りしなければわからない。これは非常に迷惑千万で、何も頭入りません。なお今の改良局の問題つきましても、内容的にいろいろお尋ねしたいことがあるが、これはまた部門をわけてその際お尋ねしたいと思うのであります。今申し上げました、御説明をいただきます場合には、蚕糸局でも同じでありますが、そういうふうにしてお示し願いたい。こうしなければちよつとも繰り出すのに非常に時間がかかります。  なおこの際進呈書したいことは、大体農業改良局のお託は済んだようであります。装蹄師法の一部を改正する法律案簡單な法案でありますので、この際委員会にお諮り願いまして、これは三月に間に合うように、その間の操作もあると思いますので、参議院を通過してこちらに付託になつたということでございまするならば、常任委員としましても、一応かつこうをつける意味からも、一件ぐらいお落しに一なることが面子の上からもいいだろうと思いますので、各委員にお諮り願つて、これを議題といたされんことを要求いたします。
  19. 千賀康治

    千賀委員長 原田さんにお答えをいたします。そのつもりでおります。装蹄師法の一部を改正する法律案をここで上程したいと思つておりますが、出口君の質問が一つ残つておりますので、これを済ましましてただちに、御提案の通りにとりはからいます。山口君。
  20. 山口武秀

    ○山口(武)委員 小倉さんにお尋ねしたいのですが、先ほど小笠原委員質問に対しまして、農業改良局は、終局的には生産の増大と農民生活の向上ということを目標にしているのだ。方法からいえば、それは一般にわたつてやるのだが、受持ちとしては生活経営、知識の方面から、この目的達成のために活動しておるのだというようなことを言われておりまして、これはもちろんわれわれも初めからそう受取つておりましたが、しかしただいま説明された話によりますと、農業改良局に対する認識というものを、われわれは、この際改めなければならないのではないか、機構そのものも考えなければならないと思う、このように感じたわけであります。なぜかと申しますると、あなたの言われたのは、この目的のために将来長い目で見てくれ、成果を確しておる、こういうことを言われておりますが、あなたは何を言いますか。台所改善する、たんすの中の物を利用する、要はそれだけです。これが一体農業改良ですか。日本の農業が現在いかなる経営方式に置かれておるか、こういうことはすでに百も明らかなことである。それにもかかわらずそのような御説明しかできない。そういうことになつて来ると、これは農業改良ではなくて、農民がこれ以上の苦しい生活を耐乏するのに、どうやつたらごまかしがきくのか、それだけを目的にしておるのではないか。一体あなたは農業の置かれておる今のような環境のもとにおきまして、農業改良をほんとうにやられると思つておるのですか。一体農業改良局の目標、確信というものは、ほんとうにおありになつて、長い目で見てくれておるのか。もしもそう言われておるのなら、私は簡單でいいですから、一体どういう目標と確信を持つておられるか、そのことを御説明願いたい。
  21. 小倉武一

    小倉政府委員 農業改良專業の終局的な目的ということにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、農業生産の増大、農民生活の向上にあるということに盡きると思います。ただ私どもが担当しております農業改良事業でもつてそれができるかと申しますると、私はそれだけではできないと思います。いろいろ経済的な、社会的な條件がございまして、そういうものにつきましてはあるいは政治的な、行政的な措置が必要でありますけれども、こういう與えられた條件のもとで、しかもただ農民に科学的な知識を導入するというような部面において、できるところを私どもが担当しておるということに盡きるのであります。ただ若干ずつでありますけれども、よりよく今日よりも明日、今年よりも来年というぐあいに、農民生活あるいは農業経営改善されるということは、私ども確信しておるのであります。
  22. 山口武秀

    ○山口(武)委員 ただいまの御説明によりますと、農業改良局目的というものは、きわめて小さい、限定された消極的なものである。このように理解できる。(「そうじやない」と呼ぶ者あり)いや、そうです。そうじやないと言われる人もありますが、そうじやないと言われるならば、明瞭な目標をもつて進べきです。  なおお聞きしたいのは、あなたたちが大分金を使われまして試験、研究をされておるという話でありますが、その試験、研究をなさつて、何らかの成果が出て来る。それを農家で実行に移すという場合に、一体これがすぐ実行に移せるか、そこに矛盾を感じておられやしないだろうか、その点をお聞きしたい。
  23. 小倉武一

    小倉政府委員 試験研究とその普及関連の困難性の御指摘と思いますが、そういう点は確かに存在すると思います。ただ試験、研究と申しましてもいろいろ段階がございまして、奥の農業研究所のやつておることと直接農家農業というものと結びつけることが本来の目的でありませんし、ある程度離れることは当然だと思うのであります。しかしこれは基礎的な研究でございますので、そういうことになるのでありますが、そういう基礎的な研究に基きまして、さらに応用的な研究、試験、そうしてまた農家に実際受入れられるような形にするためには、地域試験場がございまして、それによつて農業経営というものも十分考えて、その地帶に向く農業技術の確立に、農林省といたしましては努めておるのであります。さらに府県試験場になりますと、これはむしろ普及技術——農家に受入れられるような技術を中心にやつておりますので、今後は農家の期待できるような技術が十分確立されて行くのではないかと思います。従来はそういう試験、研究機関の相互の関係、段階というものが明確でなかつたので、御指摘のような欠陥もあつたかと思います。しかしながら今申し上げましたような試験場整理統合によりまして、今のような構想で、基礎的な研究は中央の農業研究所でやる。地域的な試験、研究地域的の研究試験場でやる。さらに普及技術——農家に受入られる技術研究府県試験場でやる。これは大筋の建前でございますが、そういうことで従来の欠陥を是正できるのではないかと思います。ただ試験、研究機関というものは予算的にも限りがございますので、農家からいろいろ提供されて来る問題を全部まかなうことはできませんので、その中で特に農民生活、あるいは国民として重要な問題を取上げて、それを解決するということに努めたいと思つておる次第であります。
  24. 山口武秀

    ○山口(武)委員 今の御説明を聞いておりますと、ああでもない、こうでもないという答弁だけで、何のことやら一向要領をつかめない。それでやむを得ませんが——やむを得ないというのは、時間があれば、いくらでもやむを得るようにしますが、時間がないから、やむを得ないとして、今度の予算を見ますと、農業改良普及員を大分増員する。私たちの観念をもつてしますると、今のように目的も明瞭でない——いつの間にかだんだんよくなるだろうというくらいの目的で、農業改良普及員をふやす。それから現実の農業経営の実際というものをわれわれ見守つておりまして、こんなもので何になるんだ、これはどこでもそういう行き方だと思う。あなたは、ことしはこの人員をふやして、新しいこういう目的をもつてこういう改良をやつて行くんだという確信をお持ちになつてつておるのですか、それとも單に人員をふやせばこれは役には立たないが、失業救済の意味なら役に立つだろう、このような気持でやつておるのか、その点をお聞きしたい。
  25. 小倉武一

    小倉政府委員 御指摘のような趣旨人員増加をいたしておるのではございません。もちろん私どもは、人員増加だけをもつて問題が解決できるとは思つておりません。先ほどの説明には、長くなるから省略いたしたのでありますが、改良ということについては、質の向上ということがむしろ人員増加より今後は重要になるということで、一応一万以上の普及員が整備されることになりますならば、質の向上ということに重点をおき、多少でありますが、来年度改良普及員の再教育費用を計上しておりますし、また先ほどお話をいたしましたように、改良普及員養成のための経費もある程度増額いたしておりますような次第でありまして、ただいまのところ、まだ十分御期待に沿うような活動ができる改良普及員がそろつておるというわけには参りませんが、漸次このようにいたしまして、農家の御期待に沿うようにいたしたいつもりであります。     —————————————
  26. 千賀康治

    千賀委員長 これより装蹄師法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は去る二日参議院を通過して、同日本委員会に付託になつたものでありますので、念のために申し添えておきます。これより前金に引続き質疑を行います。吉川君。
  27. 吉川久衛

    ○吉川委員 前回の委員会において本案の提案理由の説明を伺つたのでありますが、その理由に三つございます。一つは学校制度の改革に伴い改正しなければならない、一つは農業生産力の増強、もう一つは運輸業の拡充に資せんとする、というような理由の御説明がございましたが、学校制度の改革は今に始まつたわけではございませんし、農業生産力の増強も、運輸業の拡充等も、これはただいま出て来た問題ではない。こういうことはすでに早くからきまつていたことなんで、そういう必至は痛感されていたはずです。こういう改正は、この前の獣医師法の改正当時に少くともなされなければならないのに、これは畜産当局のきわめて怠慢であつたと思う。そういう消極的な畜産局のやり方が畜産局の予算が削減され、そして畜産局の仕事を遂行する上にいろいろの支障になつているのであると私は思うのです。これを今出されることについて私は異議はないのであります。しかしこれを今に至つて出されるからには、十分検討をして前会のように、十分研究をして次の機会に完全なものにしたい、ああいう不十分な答弁をなされないように配慮をしなければならない。そういう点を御注意申し上げておく。  それから伺つておきたいことは、獣医師法の改正でも問題になつておりましたし、現在でも残つております問題で、現行法の第一條第二項第五号の「外国二於テ削蹄及装蹄二関スル学理及技術ヲ修メタル者ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」とあります。この外国でありますが、終戰後朝鮮、台湾等が一切外国になつたわけだと思うのですが、そういう所でこのような技術あるいは学理を修得した者があるのかないのか、あるとするならば、これに対してどういうような措置をとられるのか、これは獣医師法の場合にも非常に問題になつたことであり、なおかつ残つております問題でありますから、この問題を明らかにしていただきたいと思います。  それから第十條、第十一條の罰則でありますが、これは現在の経済状態に適合するように改めるということはまことに妥当であると思いますが、十條、十一條について、それぞれ罰則の金額をどのくらいに予定されているのか。この二点を伺います。
  28. 山根東明

    ○山根政府委員 第一点の、「外国ニ於テ削蹄及装蹄ニ関スル学理及技術ヲ修メタルモノ」という規定に該当いたします者は、現在のところはないようであります。ただ将来外国において、今お話の朝鮮等においてそうした制度がしかれたような場合に、そこで学理、技術を修めた者に対しましては、この規定で無試験の免許を與えることになるわけであります。それから罰則の十條、十一條を現在の経済情勢に即応して修正した点でありますが、これは私どもも法務府の專門的な見解に基いて案を立てたわけであります。それによりますと、大体従来の規定の五十倍にこれを引上げるというのが、法務府の取扱いの最近の実例になつておるようでありまして、その見地からそれぞれ五十倍を乗じて、端数ができました場合、すなわち三百円の五十倍で一万五千円になるわけでありますが、その五千円を削つて一万円というようにまるくしたのであります。十一條も同様であります。
  29. 原田雪松

    ○原田委員 本案は前回の会議においていろいろ論議し盡されたものと存じます。ただ私がその際申し上げました削蹄と装蹄との差異の問題、これを万一地方の獣医師がやる場合支障があつてはならない、こういうことでお伺いしておいたのでありますが、この点については、次官通牒等によつてぜひその線をはつきりしていただきたい。今吉川委員からのお話の通り、法そのものは完全ではない。しかし差迫つた問題もありますし、簡單なことだと思いますので、このままでも何ら支障を来さないということが、專門的に見まして考えられるのであります。願はくは討論省略によつて御決定願えればまことにけつこうだと思います。
  30. 八百板正

    ○八百板委員 この法律は吉川委員からもお話がありましたように、説明理由の中に、農業生産力の増強とか、運輸業の拡充というようなことをうたつておりますが、少し大げさなきらいがあるように感じられるのであります。なるほど間接的には農業生産力の増強に資するところがあるかもしれませんが、もつと実際的な理由を明らかにしてこういう法案を提出せられたいと思うわけであります。現実に装蹄業務の不合理を直すためというふうなことでよろしいのを、ことぎようぎようしく農業生産力の増強というのは、少しもてあそび過ぎるように私は感じるのであります。なおまたこの法案は、いろいろ前会以来の審議の経過を伺つておりますと、まだ研究中だということです。研究中でいろいろ不備な点があるということも提案者自身認められておるという状態でありますが、研究中で、いずれは本格的な整備をするということを申されておりますが、一体いつごろそういうことをやられる準備をされておるのか、この点をこの機会に明確にしていただきたいと思います。
  31. 山根東明

    ○山根政府委員 この法案について、実は私からなお根本的な点が残つておるということを、前会申しました点に関連しての御質問と思うのでありますが、この前山口委員から御指摘のありました二條、三條の欠格條項等の問題につきましても、これと関連の深い法案であります獣医師法との関連において、さらに検討を要する点が残つておるということを意味して、山口委員の御質問に対してそうお答えしたわけであります。それでこれにつきましてはできるだけ早い機会に結論を出すことに努力したいと思います。そういう意味で結論が出次第、さらに改正法案の御審議を願うことになると思うのでありますが、その時期については、次の国会であるとか、あるいはいつごろであるというようなことは、ただいまのところはつきり申し上げかねますけれども、できるだけ早くやりたいと思います。実は装蹄師につきましては、今日まで私どもの方で、装蹄師のいろいろな実態が十分つかめてない点が多多あつたのでありまして、この機会にそういう方面の調査も十分整えまして、そうした実態の調査に基いて根本的な検討をし直せば、さらに先ほど申し上げました問題以外はいろいろ検討しなければならない問題も出て来るであろうと思うのであります。それらを合せまして、できるだけピツチを上げまして、これの勉強を進めて行きたい、かような気持でおります。
  32. 八百板正

    ○八百板委員 もう少し答弁を簡潔にお願いしたいのであります。ただ早い機会というのはいつごろかというお尋ねでありますから、ごく簡單に、本国会中にできないか、来国会までにはどうするというような意味で具体的にお答えいただきたいと思います。  それでこの機会に、ついでにもう少し明確にしていただきたいと思うのでありますが、御承知のように最近いろいろな免許を與えるにあたつて、学校を出た者に対して特典を與えるというようなことがなくなつておることは御承知通りでありまして、そういう角度からあらゆるものが整備されておるわけでありますが、この際に特に装蹄師学校を出た者だけを無免許にしなければいけないという法制上の根拠、あるいは実際上の根拠というものはどこにあるのか、この点を明確にお答えいただきたいと思います。
  33. 山根東明

    ○山根政府委員 お話のように獣医その他は学校で勉強してさらに国家試験を必要とするというふうに最近改められたのでありますが、実は率直に申しまして、装蹄の業務と獣医の業務は、学理といいますか、そういう面においてなお幾分の差異がある。装蹄については主として実務でありますので、学校で三年間も装蹄の学理並びに実務を修めた者に対してさらに国家試験をやる必要が現在の段階ではないという観念のもとに立つておるというふうに御了承願います。
  34. 八百板正

    ○八百板委員 学校を出た者に対して国家試験の必要がそういう理由からないとすれば、実務に携わつて何年かやつた者に対しても、そういう必要がないということが言えると思いますが、そういう点についてはどういう考慮を拂つておられますか。
  35. 山根東明

    ○山根政府委員 学校におきましては実務を主としてやつていると思うのでありますが、その間にある程度の学理も修得させているわけでありまして、装蹄師の助手として、実務ばかりではもちろんないと思うのでありますが、実務を修めた者に対しては、やはり一定の試験をする学校出と、若干の差別を設けることも意味があると考えております。
  36. 八百板正

    ○八百板委員 看護婦にしても、あらゆる免許を要する仕事というものは、すべて学校を出たとか、あるいは特別の機関で教練を受たということに対して恩典を與えておらないのが、最近の一貫した法律上の傾向ですが、国家試験でなしに、装蹄師学校を出た者だけに特典を與えるということは、どうもうなずけるものがないのですが、こういう点についてなお一層研究して、筋の通つた体系をつくつていただきたいと思う。ただ單に早い機会ではだめですから、大体いつごろまでに、装蹄師に対する全体的な整備と申しますか、そういう点についてはつきりとお答えいただきたいのです。
  37. 山根東明

    ○山根政府委員 実は先ほど申しましたように、装蹄師の実態をこの機会に調査したいと考えております。調査が完了いたしました上でその点を考究いたしたい。こういう趣旨から次の国会にとか、あるいはいつということは、はつきり申し上げられませんが、それで御了承を願いたいと思います。
  38. 千賀康治

    千賀委員長 他に御質疑もないようでございます。なお原田委員から出ている動議の御趣旨に沿いまして、討論を省略して採決に入りたいと思いますが、御異議ございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。  これより装蹄師法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  40. 千賀康治

    千賀委員長 起立総員、よつて本案は原案の通り可決することに決しました。  なおお諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認め、さようとりはからうことに決しました。  次に予算説明を伺いたいと思います。ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  42. 千賀康治

    千賀委員長 速記を始めてください。  それではあらためてお諮りいたします。今日は資料の問題について、いろいろまだ整備の上に欠けるところもございまするので、次会にこの整備をしてもらつて説明を開くことにいたしまして本日はこの程度で散会するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時一分散会