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増田国務大臣 御
質問は非常に高邁なる御
意見を包蔵していらつしやるのでありまして、御
質問の内容ないしは御
意見に対しましては、私は全然同感の意を表する次第であります。元来
北海道がりつぱに
開発されてお
つたのは、開拓使のおかげであると私は思
つております。この開拓使の長官である黒田開拓使長官が心血を注いで、たとえばケプロンというような人や、七十名の外国の技術官を入れて、都市
計画をつくり農地
計画をつく
つた。私は建設
大臣として、広島、長崎を初め、全国百十の戦災都市の再建という役目を担当しておりまするが、その場合に、いつも模範になるのは札幌の都市
計画であり、旭川の都市
計画であります。しかしこれらの都市
計画は、
計画ばかりでなく、その
計画にのつと
つて、都市がりつぱに建設されておるのであります。かかる
計画なりあるいは建設は、いずれのときにな
つたのであるが、もとより皆様御
承知のごとく黒田開拓使長官のときであります。農地
計画というようなものは、
内地にはあまりございませんが、
北海道の地図をごらんになるとおわかりの
通り、たとえば十勝の地図をごらんになると、十勝全体が碁盤の目のようにわかれております。十勝のあの広漠たる関東平野にも匹敵すべき高原の上に、これは何か都市
計画でもあるのかと、地図をごらんになると不思議がるわけでありますが、これも農地の地割がしてあるのであります。農地
計画ができておるのである。しかもかかる農地
計画は、黒田開拓使長官がしたのである。明治二十年以前において、雄大なる構想のもとに、
りつぱな総合開発計画が設定され、着々と
北海道は
開発されてお
つたのでありますが、日清戦争以後、御
指摘のごとくわれわれ同胞の眼は、あるいは台湾あるいは樺太あるいは朝鮮あるいは満州に転ぜられてしま
つた。しかも
国策を誤
つたために今やお互い非常に苦しんでおる次第でありますが、外地へ同胞
諸君の目が向くと同時に、
北海道の
開発のテンポというものを、きわめて顕著にのろくな
つてしま
つたのであります。そこでもとより
開発はされておるのでありまするが、その
開発の速度はきわめて緩慢にな
つてしま
つて、
終戦のときに及んだのである。
終戦となりまするや、今日吉田外務
大臣がダレス特使と非常に折衝されましたが、国民的の強い熱望もございますけれ
ども、ヤルタ協定も改訂されないようでありますし、
従つてソ連が幾ら好意を持つと品に言
つても、千島も返
つて来なければ、あるいは北洋漁業もどうなるかわからず、あるいは樺太はもちろん返
つて来ないようであります。また硫黄島あるいは琉球等は信託統治の済んだ後は、これはどうなるかわかりません。大いに希望を持つことはできまするが、要するに四つの島を
開発するということに、われわれの行政の主力が注がれるべきであります。そこで
内地全体につきましても、
北海道についても特に力を入れる必要があるということを、われわれはかねて考えておりまして、
内地全体につきましては国土
総合開発法が皆様の議決によ
つて去年成立いたしました。また
北海道については他の三つの島よりも特殊性があるという意味合いにおきまして、国土
総合開発法の上へ持
つて来て、さらに
北海道開発法というものがつくられて、現に私が
開発庁の長官を拝命いたしておる次第であります。私は就任以来一生懸命力を入れておりますが、まだ一年間ばかりでございまして、刮目して見るほどの
開発計画なりあるいは
開発事業費が投ぜられないことを非常に遺憾といたしますが、しかし本
年度の
予算も、やはり昨日も
鈴木委員に御答弁申し上げましたが、歳入の特色は減税であるし、歳出の特色は八〇%ふえた
北海道開発費である、こう思
つております。すなわち国
会議員の皆様が、国家的
事業、国民的
事業として、
北海道には
終戦後特段の力を入れられておる証拠でございます。そこでそういう
見地から見ますると、この
予算が倍額近くもふえたというような
見地から見ましても、また将来
総合開発のために、私はこれをも
つてしても満足と思
つていないことは、
鈴木委員に御答弁申し上げた
通りであります。この何倍かにしなくてはならぬと思
つておりまするが、とにかくわれわれが大いに力を入れなければならぬという
見地から見ましても、自治
事務をや
つている
知事というような険路を通じたのでは、とうてい国民的大
事業としての
北海道の
開発は期待いたしがたい。ぜひとも
皆さん自身が乗り出されて、現に
北海道開発も議決されておるのでありますから、
国会の皆様の意向を
現地においてりつぱに反映するためにも、国家
機関として
北海道の
開発をする必要がある、こう思
つております。昨日も官僚政治というようなお言葉がございましたが、新憲法下におきましては、国家
機関は
国会の下に立つものであります。国権の最高
機関は
国会である。その
国会の皆様の下に立
つて、それぞれ行政の執行をするのである。これが民主的であることはもとより当然のことであります。もとより官吏個人個人はあるいは官僚的な人があるかもしれません。しかしとにかく
公務員がや
つておることが、昔のような
国会を離れた官僚政治でないことは、きわめて明瞭であります。現在はいわゆる三権分立とい
つた、立法府、行
政府、司法部がそれぞれ対立したような工場ではないのであります。皆様の下に
政府があ
つて、皆様の意向を受けて忠実に執行をするのが
政府である。この
政府の
事業として
北海道の
開発をすることは、
国会が
北海道の
開発をされておることでありまして、すなわち国民が国民的
事業として、
北海道の
開発をされておる形でございまして、ぜひとも
——ことに社会党の皆様におかれましては、
鈴木委員はこの方面については学識も経験も高度に
所有のお方でございまするし、元来国家的
事業として
——民主的の国家でなくてはならぬことはもとよりでございまするが、国家的
事業として諸般の生産なり、あるいはその他の行政を行うということを政策として堅持されておる社会党の皆様方は、むしろ
自由党のやり方がなまぬるい、もつとしつかりやれというふうに御鞭撻あることを、私は心から良心的に期待をいたしておるということを、この際明言いたす次第でございます。