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1951-05-27 第10回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十七日(日曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 江花  靜君    理事 青木  正君 理事 坂田 英一君    理事 鈴木 義男君       今村 忠助君    宇野秀次郎君       岡延右エ門君    佐々木秀世君       田中  元君    玉置 信一君       苫米地英俊君    中川 俊思者       橋本 龍伍君    松田 鐵藏君       松本 善壽君   山口喜久一郎君       松岡 駒吉君    池田 峯雄君       小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         次長)     岡田 包義君  委員外出席者         議     員 井上 良二君         議     員 岡田 春夫君         議     員 門司  亮君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 五月二十七日  委員大内一郎君、山口六郎次君、田中萬逸君、  平澤長吉君、井上知治君、鈴木明良君、本多市  郎君及び坂田英一君辞任につき、その補欠とし  て苫米地英俊君、佐々木秀世君、岡延右エ門君、  今村忠助君、宇野秀次郎君、田中元君、中川俊  思君及び松田鐵藏君が議長の指名で委員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  北海道開発法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八〇号)     —————————————
  2. 江花靜

    江花委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所用のため理事の私が委員長職務を行います。  本日は北海道開発法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際お諮りいたします。本案に関して地方行政委員会及び大蔵委員会より連合審査会を開きたい旨の申出がありますが、会期が明日で終了される趣であります関係上、連合審査会は開かないことに賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立
  3. 江花靜

    江花委員長代理 起立多数。よつて連合審査会は開かないことに決しました。  それではこれより昨日に引続き質疑を続行いたします。小平忠君。
  4. 小平忠

    小平(忠)委員 私は昨日に引続きまして増田建設大臣並びに政府委員質問を行いたいと思います。  私の昨日の増田建設大臣に対する質問の、今回北海道開発法の一部を改正いたしまして直轄事業を国が行いますために、現地機関たる北海道開発局を設置することに関して、北海道民負担が過重になりはしないかという問題については、きわめて適切なる御説明があつたわけでありますが、関連いたしまして、しからばこのような現地機構を設置されました場合に、国の予算、すなわち国庫負担が増額しはしないかという問題であります。どういう点かと申しますと、従来国が任免権を持つ四千人に近い国家公務員を、実際は北海道知事指揮監督をしておる、こういう従来の変則といいますか、これを正常な形に持つて行くのであるという御説明でありましたが、そういたしますと、昨日大臣提案理由説明を伺いますと、このことによつて約三千二百名に及びます国の官吏が従来の知事指揮監督から離れて、直接それぞれ所管大臣指揮監督をすることになるのでありますが、そういたしますと、この現地建物、あるいは施設営繕、こういつたものは、現在の機構のままで支障がないのかどうか。やはり北海道北海道としてのいわゆる公共事業なり、あるいは補助事業、あるいは産業経費によるところの事業等を行います場合に、当然従来使つてつた施設等が必要とされる部面があると思うのであります。これを切り離すことによつて、それらの施設あるいは人員、これらのものについてさらに国庫予算の増額をしなければならない。すでに二十六年度予算国会を通過いたしておるわけであります。その場合にこの法案改正案通りに増額するならば、予算的措置は何らされていないという観点から見まして、やはりこの点が問題になるのであります。この点について大臣所見をお伺いしたいと思います。
  5. 増田甲子七

    増田国務大臣 小平さんのただいまの御質問は、きのうもその一部について伺いました。私もお答えしたわけでありますが、重ねてお答え申し上げます。今回直轄事業を国の機関において行うことになつたについて、あるいは官庁の営繕関係建築物、あるいは器具機械等において、特に北海道新規要求をなさなくてはならない、それが負担の増加になるかどうか、この御質問にお答えを申し上げます。  まず第一に、国の側におきましては、全然新しき負担が増加するということはないのであります。営繕関係建築物におきましても、まだ公共事業施行に要する器具機械にいたしましても、特に負担が増加するということはございません。新規事業を大いにやることによつて事業拡大強化伴つて土木機械を大いに買い込むとか、あるいは営繕関係建設物を大いにつくるということは、将来の問題としてはありまするが、要するに予算がふえれば事業がふえる。そこで事業施行に要する建築物な、土木機械が必要となつて来る、これは内地においても、あるいは北海道においても、いやしくも予算性質上当然でありまするが、機構改革伴つて、国の側において予算がふえることは絶対にございません。従つてすでに皆さんが議決してくだすつたあの予算をもつてして、十分にまかない得るのであります。予算には全然関係しないということを重ねて明言いたしておきます。  それから地方関係1でありまするが、地方公共団体たる北海道自治団体たる北海道で行う各種の事業に要する器具機械等が増加しはせんか、あるいは約二十億ふえるというようなことが、全然根拠のない流説であるということは、きのうも申し上げた次第でありまするが、本日重ねて申し上げますが、御承知通り北海道庁建築物、あるいはそれぞれの十勝あるいは根室、釧路各地方にありまする土木現業所建造物等国費であります。国の営造物であります。北海道自治団体のものではない。これも実は内地と非常にかわつていることであつて、むしろああいうような性質にかんがみても、北海道の国の出先機関が直接直轄事業をしていなかつたことは、この四年間はおかしなことだつた地方自治団体の仕事をするにすぎない。公選知事という切りかえのときに、従来と違つたやり方になるのでありますから、あのときに考え直すべきであつたということは、鈴木委員にきのう私が長時間にわたつて、詳細に御説明いたした通りでありまするが、要するに国の営造物であります。たとえば長野県庁建物は何か、これは長野県という自治団体建物であります。しかるに北海道庁建物は何か、これは日本の国という国の営造物である。北海道という自治団体のものではないのである。また長野県のたとえば北安曇郡にある、土木現業所に匹敵する土木出張所建物は、何か、これは長野県という自治団体建物である。しかるに帯広の土木現業所という建物は何か、これは日本国所有にかかる営造物であります。まつたくこういうことになつている以上は、国が直轄事業でやるという理由の方が、ほとんど百パーセントであるということは、私は内閣委員皆さん、おそらく良識を持つている皆さんは全然肯定してくださる、こういうふうに確信している次第であります。そこで実は従来公共団体である北海道道庁というものを持つている。この道庁が国の営造物である、あの赤れんが建物の中で事務をとつているのでありますが、この国の営造物を、国だけの公務員の使用に供するというようなことに、今すぐするというようなことがあれば、これは大問題でありまして、要するに北海道の費用がふえます。そこでわれわれはどうするかといいますと、他の府県と違いまして、北海道道庁建築物、あるいは現業所建築物等は、すべて国の営造物であるけれども自治団体の吏員の諸君がこれを使うことを、手続その他の方法によりまして当分認めて行きたい、しかも無償で使うようにいたしたい、こう考えております。あるいは機械につきましてもその他の点につきましても、同様の扱いをいたしまして、二十億はおろか、二億も二千万円も二百万円も二十万円も少しもふえないようにいたしたい。但し北海道という自治団体が、何か特別に公共事業を大いにやりたい、そこで道で予算を新しく計上して、北海道自治事務としての土木事業をしたいという場合はこれは別でございます。従来のようなそれぞれの自治事業としての公共事業、国の事業としての公共事業を営む場合には、すなわちこの機構改革によつては何ら人員関係につきましても、あるいは家屋の関係につきましても、機械関係につきましても、特に経費を要しない仕掛でやつて参りたいということを、この際明言いたしておきます。
  6. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの大臣の答弁で、きわめてその点が明瞭となつたわけでありますが、しかし実際の問題としまして、この法案がかりに可決になつたという場合に、これは結果はわかりませんけれども、そのような場合に私が一番憂えますことは、北海道庁建物赤れんが国費建物である、国の所有営造物であるということは、われわれ十分承知しているわけでありますが、しかしあの建物の中に少くとも相当の国家公務員がいるということから、実際にこれを分離されることによつて建物のぶんどり合いとか、あるいはこれは当然国のものだから返せということになつて、その結果道は急速に新たに営造物を新設しなければならぬというような問題が、惹起するということが絶対ないように、その点は国とそれから地方自治体とが、ほんとうに相提携をして円満に北海道開発が推進されるように、この際特に希望いたしておきます。  次にお伺いしたいことは、北海道開発法が昨年通過いたしまして、いよいよ北海道開発に乗り出しているということでありますが、これには基本的なものは何といつて北海道総合開発のいわゆる開発計画であります。この基礎計画北海道開発庁がその企画立案に当り、実施をせられる。ところが昨年は二十六年度、本年度予算の折衝に対しまして、開発庁発足早々関係上、詳細なる計画がまだ立つておらなかつたことはやむを得ないとしても、今日は北海道道議会なり、あるいは北海道が中心になりまして、学識経験者を網羅して、自治的な北海道総合開発審議会をつくり、その審議会の手によつて北海道開発五箇年計画というものを立案いたしまして、北海道開発をはからなければならぬという道民輿論を結集いたしまして、もはやそれを開発庁提出されているわけであります。その場合に、私は先ほど来また昨日来、増田大臣のきわめて詳細なる御説明をいただいたのでありますが、私は何といつて北海道開発を強力に推進をするというその前提となるべきものは、国策として国の未開発資源を強力に開発するという観点からも、やはり確固たる開発計画がなければならぬと思います。従つて開発庁北海道から実は提出されておりますところの五箇年計画、これについて現在どのような新段階にあるか。もう一点は現に国が経済自立三箇年計画を安本で立てておりますが、この三箇年計画北海道開発五箇年計画との関連性であります。別個にまさか関連しているとは考えませんが、その経済自立三箇年計画の中にどのような形で織り込まれているのか、また今後これをどう推進して行くかという問題について大臣の御所見を承りたい。
  7. 増田甲子七

    増田国務大臣 小平さんの終戦北海道日本全体に対して占める地位、あるいは意味にかんがみて、北海道総合開発に特に国が力を入れて総合的に大開発を行わなくてはならぬ、そのためにはりつぱな総合開発計が樹立されなくてはならぬという御意見のもとに御質問になつた事柄につきましては、私は深く敬意を表します。私と全然意見を御一緒にしてくだすつているわけでありまして、非常に私ありがたいのであります。そこで御承知のごとく開発庁というものは計画庁である、企画庁である。この企画をするために開発庁は去年皆さんの議決のもとに生れたわけであります。北海道総合開発計画を樹立策定すべく、議員諸君が一生懸命勉強をいたしております。ただ私どもの方から打立てましたところの総合開発計画というものは、まだ成案は得ておりません。成案を得べく一生懸命調査をいたしている、こういう状況であります。そこで御承知のごとく本年度調査費も二千万円いただきました。この二千万円をもつてしては不十分という方もございますが、まずまずこの程度の調査費を使いましたならば、相当りつぱな調査ができる、こう私どもは考えている次第であります。小平さんの御承知のごとく北海道総合開発につきましては、特に私は力を入れる必要があると思いまして、北海道現地において北海道総合開発十箇年計画が一応でき上つたのでありますが、これを基礎にして、ことし北海道知事北海道開発法に基いて、意見を具申することを得ないというあの条文に基いて、五箇年計画が出されたのであります。あの五箇年計画を私ども拝見してみますと、その昔昭和二十二年に立てました北海道総合開発十箇年計画というのが、基礎になつておるような感じがいたしております。ただ数字等要求の面につきましては、必ずしもあの数字が妥当であるかどうか、私どもはまだ確信を持つておりません。でありまするからこそ、一生懸命調査もいたしておる次第であります。いずれにいたしましても、知事意見書の中には、昭和二十六年度を第一年度として、北海道総合開発を大々的に行つてほしいという要求があるわけでございまして、私どももあの要求の趣旨を大いに尊重いたして参りたい、こう思つておる次第であります。  そこで北海道知事意見書である北海道総合開発五箇年計画と、政府の先般発表いたしました三箇年計画との関連いかん、こういう御質問にお答え申し上げます。もとより私どもの先般発表いたしましたあの昭和二十八年度までの二箇年計画は、政府の施策の目標として各省協力して努力して参つておる次第であります。あの三箇年計画の一環をなすものである、こういうふうに考えておる次第であります。
  8. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、国は北海道総合開発五箇年計画を急速に確立して、国の経済自立三箇年計画とも相連携を持たして強力に推進されるという御意思でありますが、その場合に、私は一番問題になります点は、従来の慣例から見ますと、地元意見というものが、とかく抹殺されがちな点が多いのであります。特に北海道開道八十年でありますが、あのまつたく未開発の地域に入つた北海道民が、長い体験と、いろいろ苦心をして今日の北海道になつておるのでありますが、今回この現地機関が設置されることによつて、一方的に国が独断で北海道開発をやるのではないかという心配を、われわれ自身も実は持たないわけではないのであります。そういう観点から、やはりこの開発計画に関しましては、北海道民輿論北海道民意思を十分に政府は取入れていただきたいと私は考えております。ただいま大臣の御説明によりまして、一部わかるのでありますが、しからば北海道道民輿論を十分に反映する、また意見を参考にする、あるいは尊重するというお考えがあるならば、どのような形によつてそれをなされようとするのか。われわれは、具体的にこうするのだという線がないと納得しかねる。この点について大臣の御意見を承りたい。
  9. 増田甲子七

    増田国務大臣 先般知事提出にかかる意見書は、北海道開発法という法律に基いて出した意見書でありまして、これを十分尊重いたしまして、先般の閣議において了承を得た次第であります。しかしながらあの開発計画というものは、先ほども申し述べました通り、元来内閣部内にある総理府の外局の北海道開発庁において、これを樹立策定する責任職務がある次第でありまして、われわれはわれわれが主体的立場において総合開発計画をつくりつつありますが、その際最も尊重すべき意見書として、知事提出にかかる北海道総合開発計画書を検討いたしております。百パーセント尊重というところまで行きかねるかもしれませんが——というのは、数字等から見ますと、どちらかといいますと、陳情書を多少科学的に練り直したようなきらいがある場合もあります。というのは、小平さん御承知のごとく、現地におきましても、中央におきましても、ほんとう北海道構成する二百七十七市町村それぞれについて総合開発計画を立て、それが集大成された北海道総合開発計画というものがまだでき上つておらないのであります。また石炭なら石炭、あるいは林業なら林業、鉄なら鉄、あるいは鉛なら鉛、アルミニウムならアルミニウム、あるいは水銀なら水銀河川なら河川道路なら道路、今度はあらゆるものを、そのものの見地から北海道総合開発計画をつくる。それが集大成されたものと、市町村という地域的な見地から総合計画が、それぞれでき上つて、それが集大成されたものとのまた練り合されたものが、北海道総合開発計画でなくてはならぬ。昭和二十二年にできました北海道開発十箇年計画は、北海大学教職員諸君はもとより、朝野三、四百名の方々を動員して、今日の貨幣価値で申しますと、六千万円ぐらいの金を使つてでき上つたものでありますが、今回知事さんの提出されました北海道開発計画書は、私ども一応拝見したところでありますが、先ほど小平委員にお話しいたした通り、前に苦労してつくつた十箇年計画が取入れられておる。もとより、取入れられたことは、私は非常にけつこうなことだと思つておりますが、またあらゆる観点から十分検討したわけでありませんが、各市町村にはそれぞれ陳情等がございますから、その陳情数字を少し振りかけて、あるいは科学的に多少練つたというか、われわれから見て、もつと勉強したいという点も多々ございます。もとよりわれわれの職責でございますから、一生懸命北海道総合開発計画書はつくつております。つくつておる際に、先般知事提出にかかる総合開発五箇年計画は最大の敬意を払い、尊重をいたして参るつもりであります。法律に基いて出した意見書でもございますし、特に尊重して参る。これが北海道民意思をまず尊重するゆえんの第一であると場思つております。  その次に、しからばどんな方法北海道民諸君意思や希望を尊重するか。もとより北海道会動向等も、われわれはよく勉強いたしておりますが、十分に尊重して参りたいと思つておる次第であります。今回の北海道機構改革についても、道会意向等は、私どもが従来政府という立場で皆様に御説明申し上げている通り、従来もそうであつたけれども終戦後の北海道というものは、特に国の力によつて開発を行わなくてはならぬ、こういう見地に立つておられるようでありまして、機構改革等も、そういう意味合いにおいて、北海道のためになる機構改革であるならば、国の出方国会出方等を見て、北海道会においても善処いたしたい、こういう立場をとつておられるようであります。北海道開発のためにまことに賢明な態度であると私は思つております。それからなお北海道開発審議会がございまして、道会議長道知事は、法律上当然の構成員でありますが、なおあれだけの構成員臨時員等をもつてしては、まだ足りないというような御意見でありますならば、北海道民意思を代表する道会から、さらに法律上へあるいは臨時委員といつたような形において、国にあります北海道開発審議会に、それぞれ意見を開陳する有力者に御参加を願うというようなことも、考慮いたしておる次第であります。
  10. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいま北海道開発審議会の問題に大臣は触れられまして、われわれ常日ごろ考えている点を、的確に御指摘願つたことを非常に感謝するものであります。私の常日ごろ考えておりますことは、北海道開発審議会が設置せられまして、この審議会意見を十分尊重していただきたい。と申しますのは、これはもちろん諮問機関ではありますが、やはり重要な問題、基本的な問題に関しては、この審議会意見を聞く。この構成は、御承知のように開発法第十条に規定されておりますように、衆参両院議員八名と、知事道議会議長と、学識経験のある者本名、その中でやはり特に地元の最近の意見を聞きますと、道議会を代表するものは議長一人で十分できるのであるか、北海道議会は御承知のように定員九十三名でありまして、これは全国でも一、二を争う数を持つておる相当大きな議会であります。そういう見地からただ一人では少い。少くともこの議会から数名出していただきたいという意見があるのでありますが、これはわれわれ機会あるごとに大臣にも申し上げ、また関係省にも申し上げておつたわけでありますが、ただいま大臣から率直な意見の開陳がありまして、それを了とするものであります。  引続きましてお伺いいたしたいことは、そのような形によつて今回かりに現地機関を設置されるということになりました場合に、その機会北海道道民意思というものが、十分に反映された形になつて行くということが考えられるのでありますが、たまたまこの開発機構現地に設置するという問題が表面に出て参つて来たやさきに、仄聞いたしますと、現地機関局長に、これは私だけでなく相当多くの人が耳にしておるのでありますが、某県の某前知事が今度は北海道にこういう機関ができるのだ、その機関局長かあるいは長官に君をもつて行く、だから知事に出るのはやめたまえというような政府首脳部、あるいは自由党の幹部においてそういう取引がなされた、近くこの法律が決定になつて、この現地機関が設置された場合に、そういう人が行くのだというようなことを、われわれ耳にしたのでありますが、私はこの問題に関しまして、非常に純真な気持でいろいろ問題はあろうが、北海道開発国策としてもこれはどうしても強力に推進せねばならぬという、この考え方、また政府当局考え方についてはまことに感謝、敬意を表しておるわけであります。しかしそういつたような問題について、北海道現地機関を設置して、その最高の責任者たる人に——肩書はどういう肩書であろうとも、北海道の問題について、何ら識見もなければ事情も知らないという人を中央から押しつけるというような行き方は、私は絶対に承服し得ない、なぜならばこれはやはり人を云々するのではありませんが、少くともこういう問題については、北海道の実情がよくわかつており、また北海道開発に理解があり、北海道道政についても高邁なる識見がある、そういう有識なる有能なる人材を私は起用すべきであると考えるのであります。万々そのようなことはないと思うのでありますが、もしそのようなことがあるとするならば、やはり北海道が植民地的な、あるいは中央集権的な、中央のさしずによつて一方的に押しつけられるというような行き方については、断じて承服し得ないのであります。この点について特に増田建設大臣は、新聞紙の報ずるところによりますと、近く自由党幹事長になる、こういうお話であります。あわせてこの機会にその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  11. 増田甲子七

    増田国務大臣 現地機構につきましてわれわれが考えておつたことは、小平委員の御指摘通り、去年の暮れからでございます。しかしながら知事選挙にあたりまして、いずれ北海道機構改革するから、君は知事に出ることをやめたまえというようなことを言つた事実は全然ないのであります。その何々だからということはないのであります。あとの方のことはこれは党のことで、どんな話があつたか、そこは存じませんが、いずれ北海道機構改革するつもりであるということは、私は去年から考えておりました。君は知事選挙に出ることをやめたまえということは、これは党でよくあることですが、何々だからということは全然ございません。お説のごとく開発局というものは、国の総力をあげて終戦後特にやらなければならぬ、終戦前ですら国の機関たる北海道長官がやつてつたのだから、終戦日本に残された四つの島のうち、開発のことについて特に力を入れなければならぬのは北海道でありますから、これは終戦前ということから考えると、特に国がりつぱな機関をつくつて開発に力を集中する必要があることはお説の通りであります。そこでかかる機関の長たる者はお説のごとく北海道の事柄について精通しておる、高度の学識経験者でなくてはならぬ、こう考えておる次第であります。開発庁をつくるにあたりましても、次長の選考に非常に私ども苦心いたしましたが、幸いに北海道の長官をされました北海道開発についてきわめて熱意を持ち、また高度の学識経験を持つておる岡田君に次長に来てもらつた、こういうような意味合いで、私は現地機関の長についても考えておるということを御了承願いたいと思います。
  12. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの大臣の明確なる答弁によつて私は絶対その点を信じます。もしや今後その意に反するようなことがあつた場合には、また再び国会において私は追究いたしたいと考えるのであります。そこで私は二十八項目にわたりまして、いろいろお伺いいたしたい点を一応まとめておつたのでありますが、昨日社会党の鈴木委員から詳細にわたりまして質問があり、それに対して大臣の御答弁があり、その内容はきわめて明瞭になりましたので、私はその具体的な問題について質問をいたしますことは重複いたしますから避けます。そこで最も大事な点を二点私はお伺いいたしたいと思うのであります。  その第一点は、今回の直轄事業を行うために、実は現地機関たる北海道開発局を設置するという問題は、昨日からも大臣の御答弁によりまして、これはどうも単なる機構いじりをするような考え方と、そうではないのであるという点でありますが、私は単なる機構いじりというようなお考えならば、絶対に承服し得ないのであります。なぜならばこれは従来官選知事の時代に行われておつた行き方を、民選知事、あるいは公選知事になつたのだから、当然これは本来の姿に、本州、四国、九州並にしなければならなかつたのを、四年間の惰性でそのままに来たのだそれをどうしてもやはり不都合な点があるから、この機会においてすつきりした形にするのである、こうおつしやいますと、単なる機構いじりになるわけであります。私はそのような単なる機構いじりでは時節柄この問題については、きわめて賛意を表しにくい点があるのでありますが、特に私は次の点を御指摘申し上げたいのであります。昨日社会党の鈴木委員が、北海道開道八十年の経過にかんがみて、その行き方をここに急遽改めるのは奈辺にあるのか、この点に対して大臣はそうではないのだ、開道八十年の昔に立ち返ろうとしておるこういうお話でありました。この意味というものは実に含蓄のある言葉だと思います。すなわち国が責任を持つて北海道開発をやるのだ、こういう高邁なるお考えだろうと思うのでありますが、そこでかつて黒田長官が開拓使としてやつてつた当時のあの雄大なる構想で、北海道開発がずつと継続されておつたならば、私はおそらく今日の北海道は本州、四国、九州並の開発ができておつたのではなかろうかと思うのであります。しかるにその後日清、日露の戦役、あるいは第一次欧州大戦、あるいは満州事変、支那事変、今次の太平洋戦争へと数次にわたる戦争あるいは事変等によつて、多くの外地を手に入れた、この外地を手に入れたことによつて日本の朝野の眼というものは——北海道開発が完全に見捨てられて、やれ樺太だ、あるいは朝鮮だ、台湾だ、満州だといつて日本の厖大なる人的資源あるいはあらゆる日本の主力というものが、外地に向けられてしまつたというような観点において、私は北海道開発の中途いわゆる途上において、見捨てられておつたということを、振返つて見る必要があると思う。このことは特に賢明なる大臣は十分御承知になつておるはずでありますし、そういうような行き方——今日の日本の現状において、すべての外地を失つた日本は、北海道開発、特に日本の眠れる未開発資源日本全体の四八%、半分も占めておる。これを開発することによつて、当面する日本の食糧問題、人口問題、失業問題を解決するのだ、こういう見地に立つて、国が総力をあげて北海道開発に重点を注がれるということになつたのでありますが、私はそういうような観点から、今回の北海道開発は単なる機構いじりではないのだ。昨日も大臣鈴木委員質問に対して、次のようなことを言われておるのであります。私は主管大臣として、北海道開発については、明年からは数百億の予算国会において議決されるように、諸君たちの健鬪を願う、こういうようなお話があつた。私は大臣が本気で北海道開発を、そのような雄大なる構想のもとに、かつて黒田長官が考えられたような雄大な構想のもとに、ひとつ始めようと考える、そういうことならば私は了解できるのでありますが、この問題が、本案を国会に提案をされて議決をするかしないかの、最も重要なる分岐点であるというように私は考えておるのでありますが、この際大臣からこの点について明快なる御所見を承りたいのであります。
  13. 増田甲子七

    増田国務大臣 御質問は非常に高邁なる御意見を包蔵していらつしやるのでありまして、御質問の内容ないしは御意見に対しましては、私は全然同感の意を表する次第であります。元来北海道がりつぱに開発されておつたのは、開拓使のおかげであると私は思つております。この開拓使の長官である黒田開拓使長官が心血を注いで、たとえばケプロンというような人や、七十名の外国の技術官を入れて、都市計画をつくり農地計画をつくつた。私は建設大臣として、広島、長崎を初め、全国百十の戦災都市の再建という役目を担当しておりまするが、その場合に、いつも模範になるのは札幌の都市計画であり、旭川の都市計画であります。しかしこれらの都市計画は、計画ばかりでなく、その計画にのつとつて、都市がりつぱに建設されておるのであります。かかる計画なりあるいは建設は、いずれのときになつたのであるが、もとより皆様御承知のごとく黒田開拓使長官のときであります。農地計画というようなものは、内地にはあまりございませんが、北海道の地図をごらんになるとおわかりの通り、たとえば十勝の地図をごらんになると、十勝全体が碁盤の目のようにわかれております。十勝のあの広漠たる関東平野にも匹敵すべき高原の上に、これは何か都市計画でもあるのかと、地図をごらんになると不思議がるわけでありますが、これも農地の地割がしてあるのであります。農地計画ができておるのである。しかもかかる農地計画は、黒田開拓使長官がしたのである。明治二十年以前において、雄大なる構想のもとに、りつぱな総合開発計画が設定され、着々と北海道開発されておつたのでありますが、日清戦争以後、御指摘のごとくわれわれ同胞の眼は、あるいは台湾あるいは樺太あるいは朝鮮あるいは満州に転ぜられてしまつた。しかも国策を誤つたために今やお互い非常に苦しんでおる次第でありますが、外地へ同胞諸君の目が向くと同時に、北海道開発のテンポというものを、きわめて顕著にのろくなつてしまつたのであります。そこでもとより開発はされておるのでありまするが、その開発の速度はきわめて緩慢になつてしまつて終戦のときに及んだのである。終戦となりまするや、今日吉田外務大臣がダレス特使と非常に折衝されましたが、国民的の強い熱望もございますけれども、ヤルタ協定も改訂されないようでありますし、従つてソ連が幾ら好意を持つと品に言つても、千島も返つて来なければ、あるいは北洋漁業もどうなるかわからず、あるいは樺太はもちろん返つて来ないようであります。また硫黄島あるいは琉球等は信託統治の済んだ後は、これはどうなるかわかりません。大いに希望を持つことはできまするが、要するに四つの島を開発するということに、われわれの行政の主力が注がれるべきであります。そこで内地全体につきましても、北海道についても特に力を入れる必要があるということを、われわれはかねて考えておりまして、内地全体につきましては国土総合開発法が皆様の議決によつて去年成立いたしました。また北海道については他の三つの島よりも特殊性があるという意味合いにおきまして、国土総合開発法の上へ持つて来て、さらに北海道開発法というものがつくられて、現に私が開発庁の長官を拝命いたしておる次第であります。私は就任以来一生懸命力を入れておりますが、まだ一年間ばかりでございまして、刮目して見るほどの開発計画なりあるいは開発事業費が投ぜられないことを非常に遺憾といたしますが、しかし本年度予算も、やはり昨日も鈴木委員に御答弁申し上げましたが、歳入の特色は減税であるし、歳出の特色は八〇%ふえた北海道開発費である、こう思つております。すなわち国会議員の皆様が、国家的事業、国民的事業として、北海道には終戦後特段の力を入れられておる証拠でございます。そこでそういう見地から見ますると、この予算が倍額近くもふえたというような見地から見ましても、また将来総合開発のために、私はこれをもつてしても満足と思つていないことは、鈴木委員に御答弁申し上げた通りであります。この何倍かにしなくてはならぬと思つておりまするが、とにかくわれわれが大いに力を入れなければならぬという見地から見ましても、自治事務をやつている知事というような険路を通じたのでは、とうてい国民的大事業としての北海道開発は期待いたしがたい。ぜひとも皆さん自身が乗り出されて、現に北海道開発も議決されておるのでありますから、国会の皆様の意向を現地においてりつぱに反映するためにも、国家機関として北海道開発をする必要がある、こう思つております。昨日も官僚政治というようなお言葉がございましたが、新憲法下におきましては、国家機関国会の下に立つものであります。国権の最高機関国会である。その国会の皆様の下に立つて、それぞれ行政の執行をするのである。これが民主的であることはもとより当然のことであります。もとより官吏個人個人はあるいは官僚的な人があるかもしれません。しかしとにかく公務員がやつておることが、昔のような国会を離れた官僚政治でないことは、きわめて明瞭であります。現在はいわゆる三権分立といつた、立法府、行政府、司法部がそれぞれ対立したような工場ではないのであります。皆様の下に政府があつて、皆様の意向を受けて忠実に執行をするのが政府である。この政府事業として北海道開発をすることは、国会北海道開発をされておることでありまして、すなわち国民が国民的事業として、北海道開発をされておる形でございまして、ぜひとも——ことに社会党の皆様におかれましては、鈴木委員はこの方面については学識も経験も高度に所有のお方でございまするし、元来国家的事業として——民主的の国家でなくてはならぬことはもとよりでございまするが、国家的事業として諸般の生産なり、あるいはその他の行政を行うということを政策として堅持されておる社会党の皆様方は、むしろ自由党のやり方がなまぬるい、もつとしつかりやれというふうに御鞭撻あることを、私は心から良心的に期待をいたしておるということを、この際明言いたす次第でございます。
  14. 小平忠

    小平(忠)委員 きわめて適切なる御答弁を願つたわけでありますが、そこで私はやはり一番問題は、北海道開発は、ただ現地機関ができただけでは開発はできるものじやないと思うのであります。基本的にはどのような形によつて、国がどれだけの北海道開発予算を投じ得るかいなかに私はかかつていると思うのであります。従来のごとく四十億や五十億程度の予算では、北海道のあの広大なる地域、面積からしますると、東北六県と新潟を合せたくらいの面積がある、そういう地域に年額四、五十億の北海道開発費では、これはまつたく焼け石に水——言葉は変でありますが、それとひとしいじやないかと思うのであります。そのようなことならば、従来のような変則ではあるが、道知事に一部権限を委譲してやらせるというようなことも、私は少少不都合な点はあつても、不可能ではなかろうと思う。ただいま大臣の御答弁によりますと、昨年は画期的な予算の増額をしたのである。さらに明年度からはこの予算の五、六倍くらいの増額をしたいという御意見でありますが、私はそこが一番大事だろうと思う。北海道総合開発五箇年計画の第一年度昭和二十七年度であります。昭和二十七年度予算の編成は、すでにもう来月の六月から、政府は各地方から要求をとりまとめてその準備にかかる、政府はまた二十七年度予算編成の根本方針も決定されるだろうと思う。そういう場合に、いつも予算折衝とか陳情だとかいつて、あの津軽海峡を渡つてわんさわんさしかけて陳情するという問題は、一にかかつて、基本的に北海道開発考え方が、政府として確立されていないからです。北海道はこうやるのだという態勢が、はつきりときまつておりまするならば、陳情団が押しかけて来て、わんさわんさやらなくても済むじやないかと思う。問題はやはり政府が二十七年度からは本腰を入れてやるのだ。ここで大臣に、じや二十七年度は、北海道開発予算はどれだけ出すかといつて食い下つたところで、おそらく大臣はこれだけ出すのだということを現段階においては明言されることは不可能でありましよう。しかし少くともこのくらいの考え方はあるのだ——従来のような行き方では、われわれは絶対に御承服し得ない面があるのであります。少くとも大臣が昨日からなされた考え方から申すならば、ある程度の北海道開発の構想、あるいは明二十七年度北海道に対する予算を編成される大体の考え方、この問題について大臣の御所見を、この際承つておきたいと思うのであります。
  15. 増田甲子七

    増田国務大臣 お話の前半の、すなわち北海道知事意見書であるところの北海道総合開発五箇年計画は、明二十七年度から始まるのであります。それから私が開発庁長官として、北海道知事意見書である北海道総合開発五箇年計画書を、最も尊重しつつ検討しておることも、先ほど申し上げた通りであります。そこで本年度は二千万円の調査費を使いまして——これだけをもつてしては十分とは申せませんが、北海道総合開発計画をりつぱにつくるつもりで、現に着々勉強いたしております。しかして知事提出にかかる北海道開発五箇年計画の第一年度は明年度でございまして、明年度予算編成は、六月ごろから準備に着手する次第であります。そういう意味合いからも、この七月一日ごろからは、現地機構が整備されていることが必要になつておりますから、政府は取急いでおる次第でございます。  それから御質問の後半である明年度は、しからば幾ら予算をとるつもりであるか、またどれくらいの心構えで、北海道開発に対処しておるのであるかという御質問にお答えを申し上げます。私どもはでき得れば、昨日鈴木委員にもお答え申し上げました通り、数百億の予算をぜひとも計上いたしたいと思うておる次第でありまするが、小平さんも御承知のごとく、国全体の公共事業のうち、災害費を除きますと、五百七、八十億しかないのであります。その中で北海道が七十五億である。だから、一四%ばかりに相なつておる次第であります。そこでどうしても国全体の公共事業費をふやす、三つの島の開発も等閑に付しがたいことは御同感くださると思いますが、それよりもさらに北海道開発が急務でございまするから、全体の公共事業費をふやしつつ、また北海道はそのうち占むる割合を、特に増加いたしたい。おそらく百億以上、百数十億ということでないと、とうていわれわれ開発庁の者としては、北海道開発について、国の総力だとか、国民的事業というからには、どうしても公共事業費のうちの十数パーセントはおろか、二十数パーセントも占める、また七十五億はおろか百数十億に必ずするということでないと、がまんができない。昨年の予算の獲得につきまして、北海道国会議員諸君が総力をあげて、私を鞭撻、協力賜わつたことについては、私非常に感激いたしておりますが、本年度におきましても、北海道のために、また全日本のために、北海道選出の国会議員各位の御協力御鞭撻を、ひとえにお願い申し上げる次第であります。
  16. 小平忠

    小平(忠)委員 そこで私は昨日来の大臣の御答弁なり御説明によりまして、北海道開発法の一部を改正しまして、国の直轄事業を行うために、現地機関たる北海道開発局を設置するという、その考え方は私は了承いたしたわけであります。その場合は一番問題になります点は、今回地方選挙が終りました直後に、この改正案を国会提出して現地機関を置くという問題については、今や北海道はもちろんのこと、中央におきましても、相当いろいろ論議の焦点となつておるのでございまするが、この際お伺いいたします第一点は、これはわれわれの見方でありまするが、国がかような日本の現状を十分に把握せられ、北海道開発国策として強力に推進しなければならぬということは、これはもう大臣の御説の通りであります。しかし振り返つてみますると、北海道のこの開発事業については、従来変則ではあつたが、官選知事から民選知事に切りかえられまして、四年間、従来の官選時代道政によつてつて来た、それを選挙直後にこれをやるということは、一般の道民の見方が、選挙に負けた腹いせにやる、あるいはこれはどう見ても、選挙のいわゆる復讐である、こういう見方があるのであります。それで私はそういつたような問題は非常に枝葉末節であつて、いかに説明しようとも、弁明しようとも、そういう見方はあると思いますが、私はそういつたような見方よりも、北海道開発することが、日本の復興と、日本の今講和会議を前にして役立つのであるということが、基本問題であろうと思うのであります。そういう大きな、大乗的な見地に立つて、昨日来大臣はるる説明をされましたので、その点は私はわかりました。わかりましたが、今ただちにやらなければならぬか。もう少し現在の機構のままでやつてみて、特に現在は二十六年度予算も可決になつて事業執行のさ中である。こういうときに、なぜ今やらなければならぬか。これは非常に北海道地元道民の疑惑を招いておるのであります。私もこの点については、その設置をしなければならぬという意見は、大乗的な見地に立つて十分わかります。わかりますが、今一般国民なり道民が、疑惑を感ずるような段階において、これを行わなければならぬという何か具体的な理由があるのではないか、こう思うのであります。この点について賢明なる増田大臣所見をお伺いしたいのであります。
  17. 増田甲子七

    増田国務大臣 実は私一個人の経験一から申さねばならないのでありますが、終戦直後北海道長官として赴任いたしました。今日もまだ交通機関は浮遊機雷等で、夜間の交通が禁止されておることは御承知通りであります。これは浮遊機雷の関係等ですが、当時はまだ終戦直後の混乱期でありまして、そこで青森の埠頭において、三日も飯盒で御飯をたいたりしていないことには、北海道に渡れないというときでございました。北海道へ渡つてみますと、治安その他の関係もうまく行つておりませんし、人民管理だとか、人民裁判ということが横行しておるときでございました。そういうようなときから約一箇年間おりましたが、北海道開発は治安から始まつて、生産の面に至るまで国がどうしても力を入れなくてはならぬ。幸い私は国の機関たる北海道長官でございましたが、中央政府ともろくに連絡がとれないというような状態のときから、やや平和が回復したというときまで一箇年間おりました。ぜひとも北海道には特に力を入れて、実質的の樺太や、台湾や朝鮮を北海道の中へつくり上げなくてはいけない。北海道にはそれだけの生産力も、また埋蔵資源もあるのであります。これは自治事務だけではとうていだめである。当時私は北海道長官の権限を、もう少し強化してもらいたいというふうにすら実は考えておりました。そこで道会に諮りまして、今日の貨幣価値で申しまして六千万円ばかりの調査費を計上してもらいまして、北海道総合開発十箇年計画というものができ上つた次第でございます。これはどうしても機構の上にも、予算の上にも移さなければならぬというのが、私の乏しい経験からではございますが、強い信念となつてつたのであります。私ども中央へ参りまして、実はすぐ吉田内閣も引退しまして、民主、社会両内閣が昭和二十三年十月まで続きまして、再びわれわれが政権を担当し、責任を引受けたそのときに、私はどうしてもこれは早くかねてからの信念を具体化しなくてはならぬ、こう思いまして、昭和二十四年の二月官房長官となるやいなや、ただちに北海道開発審議会というものを閣議決定によつてつくつてもらつたのであります。私は当時から、どうしても国家的機構でなくてはならぬ、こう考えておつたのであります。すなわち北海道開発審議会というものと、国土総合開発審議会というものが、昭和二十四年の四月から併存して政府部内に設けられておつたことは、小平さん御承知通りであります。そこでこれは閣議決定に基くものではございましたが、北海道開発審議会は非常に勉強してくださいまして、その結論が北海道開発法ということになつて現われたのでありまして、皆様方が北海道開発法というものを議決してくだすつたのは、去年の三月であります。実はあの法律をつくる際も、現地機構というものがもう問題になつております。非常に問題になつて委員の方々自体が討議されておるのです。それで一応はまず中央北海道開発庁というものをつくる。それから種種の北海道総合開発計画を策定するために調査をする、企画をする。それからその企画をつくつた場合には、企画の実行について各省大臣を国務大臣たる北海道開発庁長官が推進する、ネジをまわすということは、これは法律に書いてあります。まずあの程度でがまんしましたが、実はあのときにすでに北海道関係の有識者、北海道を愛していらつしやる方々、その他内地の方々でありましても、これだけでは不十分だという声が会議の席上においても、しばしばあつたのであります。私は開発庁長官になることは夢にも知りませんでしたが、官房長官として開発審議会にはしばしば列席いたしました。そのときも強い声がありまして、総督府でなくてはいかぬというような声すら実はあつたということは、小平委員も側記憶だと思います。そこで一応ああいう暫定的の形で出発はしたが、いずれ北海道開発機構は整備拡充するものとするということは、閣議決定に基く北海道開発審議会委員皆さんの共通の御了解であつたのであります。でありまするから、突如として問題になつたわけでも何でもない。いずれ北海道開発機構はこれをもつてしては不十分であるから、漸を追うて——漸を追うてというのは私は不満足でありましが、漸を追うて整備拡充するものとする。これが委員皆さん、党派がどの党派でありましても、共通の御認識であつたと思います。そこで開発庁ができたとたんというよりは、実はできる前から、北海道開発機構については題があつた。だんだんそれが実を結んで、どうしても現地機構開発局といつた形でつくる、すなわち性質においては内地並にもどすけれども内地並の地方建設局、港湾事務所、農地局というような、ばらばら開発ではいけない。結局開発局というような形で、性質内地並にする。しかしながら調和ある一体の関係において、総合開発をしなくてはならないという意味において、一つの開発局をつくる、こういう意見にだんだんまとまつて来たのでございまして、初めから一貫したと少くとも私は考えております。とにかく私どもは信念において少しも恥ずるところはない。昨日鈴木委員にもお答えいたしました通り、水谷政策審議会長も、黒澤が候補に立つ前に、私が機構改革はするぞということを宣言しておつたことは認めてくださるし、それから鈴木委員も、きのうさらにこのことを確認してくだすつた質問があつたのであります。すなわち突如として出したわけではない。ただしかしながら準備等に時間がいりましたのと、もう一つは選挙前に——今でも御理解のない方があるのであります。ただ事務的に費用が千万円くらいふえたら困る、たとい北海道開発のために、五十億ふえようが、百億ふえようが、どんなに北海道の利益になろうが、さしあたり一千万円費用がふえたら困る、こういつたような事務的な反対すらあるのであります。そこで選挙前はどうかということで、われわれ見合つておりましたが、選挙直後、すなわち予算執行に支障のないようにできるだけ早く現地機構を整備いたしたいという意味において、本案を提出いたした次第でございます。私はもう五年来の信念であり、また熱望いたしておる。しかしこれは個へ的の熱望でも何でもございません。八千万同胞が生活の安定向上を得るためには、ぜひともこういう機構でやらねばならぬ。本来昭和二十年の暮れにできるべきものであつたのに、まつたく五年間、ぼやぼやしておつたというふうにすら、私は考えておる次第でございます。
  18. 小平忠

    小平(忠)委員 私がお伺いいたしたいと思つておりました事項は、これで終るわけであります。今回の法改正によりまして、現地機関を設置するという問題について、特に私がお尋ねしたかつたことは、このことによつて北海道道民負担が過重になりはしないか。またこのことによつて地方自治体の権限が縮小せられ、またその自主性を失うのではなかろうか。さらに今回の現地機関が、単なる機構いじりではなくて、年来の主張である北海道開発を、国策として雄大なる構想のもとにいよいよ着手する。すなわち明年度からは、少くとも数百億円の国費を、北海道に投入するのであるという点、そういうような基本的な線について大臣の御答弁がありましたので、私は大臣のただいまの御答弁を——特に現在の自由党内閣におきましても、増田大臣は信念の人である、国会において言明されたことは、必ずこれを実現に移す大臣であるという、大臣の人格と、さらに手腕力量というものに十分の期待を持ちまして私はただいまの一大臣の御答弁を信用し、私の考えておりました質問は、これをもつて打切りたいと思います。
  19. 江花靜

    江花委員長代理 この際お願いを申し上げます。今委員として質疑を申込まれた方が、まだお二方残つておられます。そのほか委員外の発言を求められている方が四名ほどある見込みでございます。そこで参議院との関係もあり、大体本日で質疑は打切りたいという意向を持つておりますが、非常に関心の深い問題でありますから、なるべくこういう方々にも、理事会を開いて、質疑の時間を制限するというような方式はとりたくありませんので、重複するようなことは質疑も応答も、ともになるべく避けていただきまして、審議の能率化をはかられるように、この際委員長としてお願いを申し上げておきます。池田峯雄君。
  20. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 最初に委員長に希望を申し上げておきますが、先ほど地方、大蔵両委員会からの申入れを三対一で否決し、拒否することに決しましたけれども、その理由として委員長は、会期が明日一日しかないからというわけでありました。ところが運営委員会の方では、五日間会期を延長されたそうでございます。そういうわけですから、委員長の方でこの運営委員会の方をお取調べ願いまして、会期が五日間延長されたのでありますし、明日一日しかないというわけで、合同審査を拒否したのでありますから、この点をもう一ぺん十分各位に諮られまして、また与党部内においても十分御相談いただきまして、愼重審議される意味において、両委員会の共同審査の申入れを受諾するよう委員長に希望しておきます。
  21. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 関連して。実はわれわれ社会党の委員は、一時から始まるものと思つて、部屋に待つてつたのであります。しかるに何の放送もない。時間はだんだんたつて行く。どうも不安であるからということで、使いをつかわしてみたところが、始まつておる。すでに大事な一議決も終つておる。こういうことでは非常に困るのですが、何ゆえに放送をされなかつたのでありますか。その点を確めたいと思います。
  22. 江花靜

    江花委員長代理 委員長の手落ちでございましたから、どうぞ。放送は何べんもしたそうでありますが、とにかく委員長が行き届かなかつたことは事実でありますから、まず日ごろの御厚誼に免じて、ひとつこの際お許しを願つておきます。
  23. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 今池田委員からも希望いたしまし通り、われわれが参加しておれば多数になつたかもしれない。とにかくこれは合同委員会も開いて、公聴会もできるなら開いて、正々堂々とおやりを願いたい。それほど重大な議案と思うのであります。その点について愼重に御考慮を願いたい。
  24. 江花靜

    江花委員長代理 なるべく御期待に沿うようにいたしますが、この問題は主として参議院に対する審議の期間をお与えするような意味で、延長になつたとも見られるのでありますから、衆議院の関係では早く送付しなければいけないような事情になつておりますので、どうかそういう点も御了承を願いまして、御協力をお願いすることにいたしておきます。
  25. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 昨日来の増田建設大臣の御答弁を承つておりますと、本法律の改正は、北海道道民の意向を十分反映させて、そうして国会に対する責任のもとにおいて、国が直接やるのがほんとうのあり方である。そうして八十年来の慣行にもどすのが、むしろ問題なんだという御答弁を聞いておりまして、これは増田建設大臣の答弁ではなくて、増田内務大臣の答弁のように思いました。地方自治というのは一体どうあるべきものか。まず私は増田内務大臣でない、増田建設大臣にお伺いしたいと思います。
  26. 江花靜

    江花委員長代理 池田委員に申し上げます。大臣はそれについてはお答えがないそうでありますから、御質問の角度をかえていただきます。
  27. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 答弁がないというのは大臣としておかしいと思います。たとえばこの地方行政調査委員会議が勧告しておるところにこういうのがあります。「地方公共団体事務と密接な関係を有するものについては、地方行政の円滑なる運営、住民の利便等を考慮し、出先機関を設けないで地方公共団体に委任して行うことが卑しい。」あるいはまた「従来ややもすると国が地方公共団体に対して不当な統制干渉を行う原因となつたことを堅く戒め、これをその本来の機能に引きもどすことを目標としつつ、制度の沿革と実情に応じて整理すべきである」という勧告をやつております。こういう勧告におそらく基いたのでしよう。そういうふうな説明をやつたように聞いておりますが、この前の行政整理は、地方出先機関を整理する、それは地方自治の本来の建前からそうするのだという説明政府がやつたと思います。一方においてこういう説明をやつておきながら、今度は国がやる方がいいのだということになりますと、一体政府部内において地方自治とはかくあるべきであるという意見の統一があるかどうかということが疑わしいのでありますから、そういう意味では、地方自治ということをどういうふうに考えているかを、私は伺いたいと思うのです。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 地方自治の本質論は、ひとつ岡野国務大臣に御質問願いたいと思います。私のお答えする範囲は、今回の機構改革は、国の事業は国で行い、地方の自治事務地方の自治事務地方機関で行つて、その間なるべく紛淆しない方がよろしい。こういう信念を行政調査員も持つておりまするから、その行政調査委員の動向に従つたまでであるということを、昨日も鈴木委員に私るる御答弁申し上げたことを、御含味願いたいのであります。
  29. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 これは五月二十六日の夕刊朝日新聞でありますが、知事会議におきまして声明書を出しております。「最近政府の施策は中央集権的な色彩が見られるが、特に開発事業について政府出先機関を強化する傾向があるのは納得できない。政府は行政の能率化、合理化を理由地方自治の実現を遅らせるような施策を行わないよう要望する。」こういうふうに言つておりますが、これにつきまして政府は、どういう答弁を知事に与えたのでございますか。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 忙しくてまだ知事会議に出ておりませんが、知事会議の方でどういう意味合いから決議されたか、北海道のことかどうか、私はわかつておらないのであります。
  31. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 自由党の新幹事長に補せられる方が、知事会議の模様を御存じないというのは、はなはだどうかと思うのでございますが、北海道開発局設置問題に関連して、そういう声明が出ているのであります。これは今回の地方選挙後初の知事会議でありまして、自由党知事さんも一緒になりまして、こういう声明を出しておるのであります。政府の今回のやり方は、明らかに中央集権的な色彩をますます濃くするものである、だから反対だ、こう言つておるのであります。これは中央集権であるということはもう確実なのです。これは昨日来の大臣の答弁によつても、中央集権制度をますます強化することだ、その方が北海道民にいいのだ、こう言つておるのでありますけれども、しかしながら地方行政調査委員会議の勧告では、中央集権をだんだん緩和して、そうして国の権限を地方に委譲して行くのが地方自治なんだ、こう言つておるわけであります。この地方自治のあり方と、それから増田建設大臣の御答弁の、中央集権を強化して行く方がいいんだということは、はなはだ矛盾しておるのではないか、こういう考えで質問しておるのでございますけれども、御答弁できなければけつこうであります。
  32. 増田甲子七

    増田国務大臣 新聞をただいまお読みでございますが、北海道機構に関連してかどうかわからないのであります。私も決議文を読みましたが、抽象的の文庫であるにすぎません。そこはおそらく解説としてそういうことを書いてあつたのでありましよう。ところがそういうところが決議の内容であるということをおつしやつておられると思います。  それから今傾向から見ますと、むしろあべこべ的な傾向がたくさんございます。まず利根川開発あるいは北上川開発は、国が機関をつくつて大いにやつてほしい、これはその地方選出の国会議員が地方民の意向を受けて、切なる要望をいたしております。実はこちらの当惑しておるくらいであります。すなわちこれらの諸府県の傾向を、さらに他府県が学ぼうとするような傾向があつて、そうなつたならば一体どうしようというので、政府も実は困惑しておる。すなわち国の事業で大いに開発事業をやつてほしいという声が、知事さんをもつて代表されておる府県民から、非常に起きて来ておるのであります。これについてむしろ池田君に解説を要求したいくらいであります。
  33. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 でありますから、政府地方行政のあり方、地方自治のあり方というものが明確になつておらぬことに対して、私は疑問があるのであります。これを明確にしてほしい。地方自治とはかくかくあるべきだ、これが自由党吉田内閣の政策である、こういう明確な見解がほしいのでありますけれども増田国務大臣としては御答弁できないようでございますから、それはまたあとで岡野国務大臣にでも、とつくりとお伺いすることにいたしましよう。  次に問題は、北海道が非常に重要であるということを強調されております。四つの島のうちの重点である、そういうふうに説明されておりますが、なるほどいろいろな意味で北海道は重要でしようが、しかし増田建設大臣が特に北海道が重要であると強調せられる理由につきまして、御所見を承りたいと思うのであります。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 このことは、御答弁申し上げる仕方によつては数目はかかる。そこで昨日は鈴木委員、また本日は小平委員から御懇切なる御質問もございましたので、私といたしましても、るる数千万言を使いまして御回答申し上げておるつもりであります。池田君も出席されておりましたから、あれで御了解を願いたいと思います。
  35. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それでは次に、吉田内閣が単独講和をやりました場合に、千島あるいは樺太の領有権は非常に重大な問題になつて参ります。これは外務委員会において、どなたが政府委員の方が答弁したところによりますと、講和をやつて三年以内にソビエトがこの講和条約に参加しない場合には、千島の領有権、樺太の領有権、これは当然日本のものであるという見解が成立つと言われた。そうなると、ソビエトがもし、いやこれはヤルタ協定に基いて、ソビエトの領有権だということを主張いたしますと、この千島、樺太を日本のものにするといつても、ソビエトはそれは認められない、こういう意見の対立が、場合によりましては軍事的な対立にまで発展しないとは保障できないのであります。そういう場合に、増田建設大臣として、北海道はどういうふうにして行くつもりであるか、そういうことを今から予想しておられるか、その点をお伺いいたします。(笑声)各位は笑つておられますけれども、こんなことを考えないでやつているほどばかな政府ではないと、私は考えておりますから、質問しているのでございます。
  36. 江花靜

    江花委員長代理 池田委員に申し上げます。今の御質問は、開発問題とは少し遠いような……。
  37. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 いや関連しますよ。
  38. 江花靜

    江花委員長代理 関連はあるでしよう。何でも関連のないものはありませんから……。どうですか、今の御質問はちよつと場にそぐわないような気がいたします。
  39. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 関連がなければだんだん関連して行くようにします。  この法律の第十二条の第二号に、「国費の支弁に係る建物の営繕並びに公共団体日本国有鉄道」云々、こういうことがあります。「国費の支弁に係る建物の営繕」とはどういうことでありますか。これは終戦処理費その他によるところの建物の営繕も含むと解していいと思うのであります。たとえば今州兵が駐在する、この州兵駐在に伴うところの建物の営繕を開発局がやつて行く、あるいは警察予備隊の建物開発局がやつて行く、あるいは終戦処理費に基いて飛行場が建設される、この飛行場に道路をつける、これもこの開発局がやつて行く、あるいは米兵駐屯による港湾につける道路もやはり開発局がやつて行く、こういうふうに解釈してさしつかえないのでございますか、その点をお伺いいたします。
  40. 岡田包義

    岡田(包)政府委員 ただいまのは営繕支局が向うにありまして、営繕支局が普通の営繕を現在やつておるわけであります。それが今度できますから、これを統合するというだけのものであります。特別のものはまた特別の機関でいろいろやつておるわけであります。
  41. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 特別のものを除くという括弧があります。その括弧には「郵政事業特別会計、電気通信事業特別会計」云々とありまして、ここには終戦処理費、特別調達庁関係、そういうものを除くとは書いてないのであります。しからばなぜそういうものを除くということを入れなかつたのでございますか、それをお伺いしたい。
  42. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたは法制局のような御質問をなさつていらつしやいますが、それでは私もそういう立場からお答えいたします。要するに一般法、特別法の関係でして、これを一切排他的にやるわけでもなんでもない。特別調達庁がそれぞれ権限に基いてやれるということは、その権限までも奪つたわけではございません。
  43. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そうなりますと、開発局が警察予備隊の庁舎を建てたり、あるいは特別調達庁から頼まれて州兵の兵舎を建てることもできるわけでございますね。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは民法上の関係に今度はなつて来ると思いますが、頼まれて仕事をする、こういうことでございます。
  45. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 「国費の支弁に係る建物の営繕」を「行うこと。」こういうふうに法律でできているのでありますから、終戦処理費に出るのも国費でございます。従つて明らかにこれは州兵の兵舎を建てることも開発局がやるというふうに理解することが、この法理論上正しいのではないかと思うのでございますが、いかがですか。
  46. 増田甲子七

    増田国務大臣 どうもここに法制局がいないから私がかわることになつてしまいましたが、要するに国費の支弁に係る建物の営繕は、この開発局のみがやるのである、こう書いてない場合は、こういうこともやるのだということなのです。特別調達建関係はもとより御指摘のごとく国費です。終戦処理費という国費なのですが、そこでやることもそれぞれの単独法でできるのですから、そこまでわれわれが入つて行き、排除するわけではございません。そこで特別調達庁が終戦処理費という国費に基いて営繕をします場合に、自分の方に手がないから頼むと言つて頼まれる場合があるかもしれませんが、それはいやなら断つたらよいし、また手が余つたらやつてもよろしい。いわゆる民法上の関係に立つのでありまして、特別調達庁がやつてはいけないということには、この法律上からはちつともならないのであります。
  47. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 ちよつとそれとは違うのでございまして、北海道開発局は州兵の兵舎を建てたり、あるいは警察予備隊の庁舎を建てたりすることはやらないで、住民と密接な関係を持つているような工事の方をやるのが本来だろうと思うのであります。従つてここにはつきり明文として、そういうような建物の営繕は除くということを入れるべきだろうと、思うのです。それを入れないというのには、明らかにそういうような終戦処理費関係の工事まで、開発局がやることができるのだ、特別調達庁で間に合わない場合には、どんどんそれをやつて行くのだという政府の意向が、ここにはつきり現われているのではなかろうか、こう考えましたので、質問しているのでございます。
  48. 増田甲子七

    増田国務大臣 池田さん、ちよつとメモをとつてもらつたらいいと思うのですが、中略で読めば「国費の支弁に係る建物の営繕」を「行うこと。」とありますが、そうすると、一般的には、この括弧の中以外のことは、すべて国の営繕事業をやるわけです。これがまず第一。  第二は特別調達庁は別個の設置法がある。これは特別法である。その関係においてはこちらは一般法であります。だから国の経費でやるところの営繕は、一般的にはここでやるのです。それから特別調達庁はすでにこの法律から見れば旧法であるけれども、しかし特別法であるから、特別法は一般法にまさるという原理によつて、特別調達庁は国の経費事業がなし得る、これが第二です。  それから第三に特別調達庁が頼んで来る場合がある。頼んで来る場合でもこの括弧の場合は頼まないわけです。もし頼んで来れば「国費の支弁に係る建物」になるのですから、特別調達庁で元来やるのですけれども、こちらに頼んで来れば終戦処理費といえども国費であるから、国費の支弁に係る営繕だから、こちらでやる場合だつてあるので、絶対にやつてはいけないということはない。これが第三です。  そこで今度はあなたの御意見になるのですが、そういう第三のような場合はおもしろくないからやるなという御意見らしいですから、その点は気をつけます。
  49. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そこが私は問題なんです。その点は気をつけますという大臣の御答弁でございますけれども、気をつけますでは済まぬ。先ほどから私が単独講和の問題を言つているのはそれなのであります。私はこの前の建設委員会で建設大臣に、たいへん予算の自慢をなさつておりますので、いや、北海道予算をあれだけ組んだのは、あれは北辺の守りをかためるためだ、こういうことを申したつもりであります。現在政府北海道を重要視している意図は、明らかにこれは北辺の守りでありまして、単独講和後三年もたてば千島、樺太の領土権をめぐつて、北方に必ず問題が起つて来る。おそらくそのためでしよう、州兵が北海道に駐屯するというような問題も出て来ているのであります。従つてこの北辺の守りをかためるために北海道経費を注いで、そうして北海道の軍事基地化を進めて行くという意図に基いて、この法律が出ていると私は考えているのであります。この私の考え方が間違いだというならば、この「国費の支弁に係る建物の営繕」の括弧の中に、そういう終戦処理費関係は除くということをはつきり明文化すべきだ。これを明文化しないでおいたところに、この法律の何というか、よろいの上に衣を着せたみたいな、そういう意図がはつきりかくされているのではないかと考えるわけであります。でありますから増田建設大臣が、その点は気をつけますと言つても、気をつけますでは済まぬのでありまして、ここにはつきり政府は、そういう関係の営繕は、この法律ではやらないということを言うべきだと思う。
  50. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が気をつけますと言つたのは、あなたが、開発局をつくるからには開発事業に専念しろという、その御説がごもつともだと思うからであります。但し手が余つている場合は——向うには特別調達庁の支局もあり、それぞれ技術員も事務員もおりまして、特別調達庁関係の仕事をやつておりますが、なお頼まれてこちらが手が余つた場合には、やつてはいかぬということはないと思います。行政機構全体は統一ある有機体だと思いますから、いやしくも国家的事務で、やつていけないということはないと思います。
  51. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 次にこれまた建設大臣でお答えになれるかどうか、広汎な問題になるのでありますが、北海道民の意向を国に反映させ、そうして国が責任をもつて北海道開発して行くというならば、北海道の教育の問題、文化の問題、保健衛生、その他民生保護の問題、こういう問題も全部国でやつたらどうです。なぜ一体国でやらないのでございますか。こういうことは資金の裏づけがありませんから、国でやらないで地方に押しつけておく。そうして当然軍事的性格と見なされる土木工事等を中央に取上げて、中央でやるというのはどういうわけでありますか。この点をお伺いいたします。
  52. 増田甲子七

    増田国務大臣 池田さんの御意見を、聞いていると、あなたは岡野国務大臣から地方自治法の講義を聞かれる必要があると感じます。あなたは地方自治それ自体がよくおわかりにならない。今御指摘の衛生行政、民生行政、厚生行政、労働行政の一部分、こういうものこそ自治行政それ自体です。私どもがやろうというのは、ほんとう北海道を思う愛情から出ているのであつて、何十億もかかるような国道の建設だとか、あるいは横浜港と同じような小樽港の建設だとか函館港の建設だとか、あるいは幾春別の六十億もかかるようなダムの建設だとか、そういうことは北海道——おそらく道税は三十億くらいしかないでしようから、それをもつてしてはとうていやり得ないのです。だからこそわれわれが国の行う直轄事業でやるのであつて、それ以上中へ入つてつて、私ども地方自治を侵犯しようという考えはございません。今御指摘のそれらの問題こそは、地方行政それ自体であり、地方自治それ自体である。そこでわれわれは、地方行政を行う上に財源が乏しいから、財源のことを考慮せよと言われるならば、それは考慮します。あらゆる行政を国の直轄事業でやるのなら、地方自治行政も国でやつたらよろしいというのは、池田委員の御説とも思えない暴論中の暴論であります。
  53. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 大臣がたいへん失礼なことを言うので、地方自治の根本問題について論争しなければならないというはめに陥つたのであります。これはやむを得ない関係であります。  教育文化というような問題は、これは全額国費をもつてやるべきだ。あるいはまた保健、衛生、医療制度の確立、社会保障制度の確立というものは、全額国費をもつてやるべきだ。政府はそういう問題はやらぬで、盛んに土木費をふやす。ではその土木費が何に使われているかというと、これは明らかに日本を沈まざる航空母艦にするような政策じやありませんか。この日本の国土を極東における共産主義国制圧の一勢力にし、日本を沈まざる航空母艦にする。アジア侵略の前進基地にするというような、そういう政策に基いてこの法案がつくられているのだということは、これはもうはつきりしておることなんであります。増田国務大臣は、教育や保健や衛生や民生保護というような問題は、地方自治にまかせるのだと言われる。地方自治にまかせるのはけつこうです。金は国で出すべきだ。しかしその使い方はできるだけ地方自治体にまかせろというのが、地方自治の根本理念でなければならないと私は考える。だから先ほどの御質問をしたのであります。大臣の御意見を承つて、私はこれで質問を終りたいと思います。
  54. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたの御説は、非常に矛盾だらけで、私ども理解に苦しむのでありますが、私はこう考えております。平衡交付金はもとより出しておりますが、本来地方行政は地方財政でまかなうべきなんであります。そのためには地方財政を強固にすることを中央で考えるべきだ。それを国の方に依存するということになれば、それだけでも地方自治の主体性は侵害されるのであります。元来平衡交付金というものはない方がよい。そのかわり地方の財政基礎を確立して、国から金をもらわなくても、主体性のある自治をなし得るようにしなければならない。行政そのものはあくまで自治行政にしておいてよろしいが、何でもかんでも全額国庫が持つというあなたの御意見は、少くとも地方自治行政それ自身を理解しておるとは言えないのであります。
  55. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういうことになりますと、またまた発言を求めなければならないのでありまして、一体平衡交付金なんという制度をやつておりますけれども、しかしこの平衡交付金で、地方行政が円滑に運営されているかといえば、実情はそういうことではないのであります。あるいはまた地方財源を十分に地方民に与えたようなことを言つておりますけれども、この地方財源なるものは、はなはだ怪しげな取立てにくい税金でありまして、地方住民はますます重税に苦しめられておるという状態であります。従つて地方自治体の徴税状態を見ましても、なかなかはかどらぬ。滞納がなかなか多い。なぜかといいますと、第一番目には全体として日本の人民大衆の上にのしかかつておりまして、そのために日本人民が非常に苦しいのであります。たとえば農地改革をやりましても、日本の農民の生活がちつともよくならぬ。なぜよくならぬか。こんなばかな話はない。地主が今まで收穫高の半分を收奪しておつて、これも土蔵、倉を建てたのであります、これがなくなつたのだから、解放された農民も土蔵、倉が建たなければならぬはずでありますが、依然として日本農民は五反農業であり、零細農業である。従つて日本の農業の発展というものはあり得ない。(発言する者あり)これは農林委員長よく知つている。こういうわけで、日本の農民というものは非常に貧乏だ。これは地主の收奪以上の收奪を国家機関が行つて、重い税金をとる、あるいはまた高い工業生産品を売りつけて、そうして安い値段でもつて農民から收奪している、このためである。ところが北海道に対してはなお收奪がひどい。これは明治政府ができてからというものは——増田建設大臣は盛んに黒田開拓使を賞讃しておるけれども、実は明治八年以来の北海道行政というものは植民地行政なので、北海道道民を搾取して来た。内地の搾取より、よりひどい收奪を北海道民からやつてつたというのが実態なのであります。こういうように大きな搾取が、收奪が人民の上にのしかかつて来ている。これが地方財政をますます貧窮にしている原因なのであります。でありますから私どもといたしましては国庫が十分な金を出して、当然税をとるのだから、この收奪をやめて、そうしていわゆる教育、文化、医療制度、こういつたようなものを全部国庫から出すべきである。しかしその使い方、計画というものは地方民の利益の上に立つて計画され、実行されなければならない。北海道の場合におきましても、やはり北海道開発北海道民意見に基いて十分にやらなければならぬ。そのためには道知事というものにも、十分な意見の発表の機会を与えなければならない。もつともつと民主的制度をつくりまして、その民主的な運営に基いて、北海道民の利益を守るということを考えなければならない。ところが国が責任を持つてつて行くという、しからば国の責任ということはどういうことかというと、先ほどから申しておるように単独講和の政策、単独講和の政策とはどうなのだ。北辺の守りをますます固めなければならない政策、これは増田建設大臣が、三年後のことはわからないとおつしやつたけれども、わからなければどうかしている。三年後には千島、樺太の問題が起つて来る。その問題を起そうというのが単独講和の政策、北海道を軍事的基地で固めなければならないという政策が、現在の国の政策、国是として、吉田内閣の政策として当然これは起つて来る。そういう北海道開発であつてはならぬ。あくまでも北海道民の生活を安定し、向上させるための北海道開発でなければならぬ。それを国がやる、国があくまでも推進して行くということになると、現在の単独講和の政策を遂行しておる国の政策というものは、これは軍事的な比重が非常に強くなつて来る。そうして北海道民の意向を無視するような結果になつて来るのではないか、私どもはそれをこの法案から看取いたしますがゆえに、先ほどからの質問をしておるのでございます。
  56. 江花靜

    江花委員長代理 御答弁なさいますか。——池田委員に申し上げます。建設大臣は御意見のほどはよく拝聴されたそうでありまして、御答弁はないそうであります。この程度でよろしゆうございますか。
  57. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 岡野国務大臣質問したいと思いますから出席を要求したいと思います。その時間を与えていただきたい。質問の権利を留保して私はやめます。
  58. 江花靜

    江花委員長代理 なるべくそういたしますが、もし先の方に御都合があるときは、議事の進行の都合からいたしまして、御期待に沿えないかもしれませんが、よろしく御了承を願います。
  59. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 岡野国務大臣から大いに地方自治について説明を聞いたらいいだろう、失礼な言葉だが、講義を受けたらいいだろう、こういうようなことを言われたのであります。そういう意味でこの法案がなかなか地方自治の問題と密接不可分の関係を持つておるということは——先ほど増田建設大臣地方自治の問題とこの問題と、どういう関連があるかということに対して十分な答弁をしておらぬ、こういうことから考えてみましても、この地方自治といかなる関係があるか、これを岡野国務大臣から聞いてみたいと思う。委員長地方行政委員会との合同審査の問題は、いらぬと言うて拒否しておるが、あれは一対三でございまして、実は定足数がないのでありますから無効でございます。ぜひとも地方行政委員会との合同審査をされまして、岡野国務大臣にも出席してもらいまして、これが地方自治の根本理念とどういう矛盾があるか、あるいは矛盾がないかということを、私は十分にくみとるのが国会議員としての義務ではなかろうかと思います。私はこの点正式に動議を提出いたします。
  60. 江花靜

    江花委員長代理 池田委員にお答え申し上げますが、あなたの御質疑に答えるには、資本主義と共産主義の問題もここに解決しなければならぬし、地方自治の問題も解決しなければならぬし、講和の問題も解決しなければならぬということになりまして、ことに非常に広汎にわたりますし、大体この場の、今の委員会で解決というてはおかしいが、委員会で解決を行うのには時間の余裕もありませんし、岡野国務大臣は明日洋行されますから、これも人情問題として御了承願つておきます。鈴木義男君。
  61. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私は昨日御質問申し上げたのでありますが、問題が非常に重要でありますので、なお御答弁のなかつた点及び不十分な点について二、三の点を補充的に御質問申し上げたいのであります。  第一は、建設大臣は、大体地方行政調査委員会の勧告の趣旨に反しないと、はつきり言われたかどうか覚えておりませんが、そういうふうな御趣旨にお答えになつたように記憶しておりまするが、建設大臣は勧告書を読んでおられるのであろうと思いまするが、勧告書には「国と地方公共団体との間における事務配分の調整は、その事務性質上当然国の処理すべき国の存立のために直接必要な事務を除き、地方公共団体の区域内の事務は、できる限り地方公共団体事務とし、国は、地方公共団体においては有効に処理できない事務だけを行うこととすべきである。」こういう大原則を明確に打立てておるのでありまして、国の事務は国の機関でやるというのは、内地にあつては数府県にまたがるものについてでありまして、北海道のような一道、単一の行政区域をなしておりまする場合に、この地方行政調査委員会議の勧告にかんがみましても、その趣旨に沿わない。さらに勧告におきましては、東京都と北海道は一般の基準によりがたいものであるから、この点についての特例は後日勧告するということになつております。ゆえに、北海道につきましては、この調査会議ですらも、特に慎重に北海道の特殊性を考慮してきめるということで研究しておるのであります。ことに北海道行政は、開発行政と一般行政が密接不可分の関係にあつて、これを分離して考えることができない特質を持つておるのでありまするから、最も合理的な行き方について、愼重な検討を行うこととしまして、今研究をいたしておるということを承るのであります。なお去る三月以来定期的にこの地方行政調査委員会議北海道関係者の間に会合を持ちまして、打合せを行い、そして委員会議委員は、来月の初めに北海道へ参りまして、現地を視察して、来月の末までに結論を出すということになつておるのであります。しかるに政府がそういうことを待たずに、今急いでこの機構改革をおやりになるという点について、いま一度はつきりした理由を承つておきたいのであります。ことに地方行政委員会が、北海道開発行政と一般行政とのからみ合せを最も合理的な方向に考えなければならないということを、真剣に検討いたしておるのでありまして、建設大臣は勧告の精神に反しないというふうに仰せられるのでありまするが、その点はむしろ私は自治庁長官あるいは地方行政委員会委員諸君あるいは議長等に、この御意見を聞きたいとさえ思つておるのでありますが、しかし国の事務は国の機関でやるということにして、開発行政のような地方自治にきわめて関係の深いことを取上げることは、地方自治の確立という新しい地方自治法の精神、さかのぼつては新憲法の精神にも反するものではないかと思うのであります。これが先ほど読み上げられた——私はここに持つておりまするが、明らかに知事会議における声明とは——近時政府のやり方には中央集権的な傾向が顕著であつて、そして開発事業については、特にこれを拔き出して言つているのは、北海道を指していることは、だれが見ても間違いないのでありまして、そういう点に特に全国の知事からも声明として考慮を求めておるということは、軽々に看過すべからざることではないかと思うのであります。どうしても政府が急いでやらなければならぬという理由につきまして、いま一度お伺いをいたしてみたいのであります。
  62. 増田甲子七

    増田国務大臣 今まで東京都と、北海道とを除いた地方行政調査委員会議の勧告書の趣旨は、私どもはあなたと同様に了解をいたしております。すなわち後段のあなたが読まれました地方の能力をもつて、してはとうていなし得ない事業は、国の行政として行うということを勧告しておるのであります。北海道開発ということについて、終戦後特殊的な意味を北海道が持つようになつたことは、鈴木委員も御同感くださると思いますが、終戦後の特殊事情を除外しまして、しばらく終戦前のような状況であるといたしましても、北海道の力をもつてしては、すなわち四百三十万の道民の担税力をもつてしては、北海道開発は行い得ないのであります。だからこそ内地諸府県に対する直轄事業費よりも、北海道直轄事業費の方が、はるかに比重が重いのでありまして、従来国の機関である長官がこれを行つてつたゆえんでございます。内地においては鈴木さんの御承知通り地方建設局において国の直轄事業は行つておる。国の農地局において国の直轄土地改良事業は行つておる。国の港湾事務所において国の港湾建設は行つておるのでありますが、従来は国の機関である北海道庁長官が出先機関としてこれらの直轄事業を行つており、国費が大部分投下され、内地と違いまして、ほとんど金額負担のみであります。内地直轄事業と申しましても、地元の人が三分の一はたいてい持つております。あるいは二分の一地元負担というのもございますが、北海道の直準事業は、すべてこれ全額国庫負担でありまして、これは先ほど池田君が御指摘通り、すべて全額国庫負担をしておつた。この金額国庫負担というものは、先ほどの勧告書の中にある通り地方の能力をもつてしてはなし得ない事業である、この文句の中にぴつたりと当てはまる次第であります。それからあとの知事会議の結論というお話でありますが、実は私ども出席しようと思つておるときに、たちまち二十五日の午前中に議決されておりまして、話も何もしないうちに議決されておる。ところがあとで知事さんに聞いてみると、内地並にするのか、それならあたりまえではないか、こういうことを社会党の知事さんも言つております。何だ、これはびつくりした、地方自治には関係はないではないか。たとえば九州の福岡県の知事さん——福岡には九州地方建設局がありまして、あの関門トンネルの直轄事業をやつております。あれは福岡県にやれと言つても無理な話だ。それは福岡県でやつでください、私どもやめますと言つたらたいへんな問題です。そこでそれと同様なことを北海道でやる。またそれは、従来国の行政としてやつてつたことです。このことを法学に精通しておる鈴木さんがおわかりにならないはずはないのでありまして、国の行政でやつておるから地方事務官、地方技官も健康保険行政や職業安定行政と同様であります。国の事業としてやつておる。国の行政なんです。地方行政でも何でもない。この点は決して地方自治法を侵犯するわけではない。また北海道という公共団体に仕事を委任したわけでも何でもない。ですから、ただ公選知事にわれわれ建設大臣、農林大臣あるいは運輸大臣が港湾建設や、国道建設やあるいは直轄土地改良事業について、国の行政機関である地方技官、地方事務官も指揮監督しますが、北海道知事も並列的に指揮監督しておる。知事に委任さえしておらないのであります。まつたく変態的な現象なんであります。これは大臣ももとより指揮監督をしますが、知事指揮監督する。現在その点をはずして国の行政機関であるのでありますが、やはりりつぱな国の行政機関にして、そうして飛躍的に開発費を投じようというのでありまして、行政調査委員会議が東京都と北海道とを除いたのは、国で直接やらんならぬ色彩がたくさんある、他の諸府県とは比べたものにならない、こういう見地から除いてあるのでありまして、おそらく結論が出ますというと、われわれの想像以上に国がもつと力を入れてやれ、こういう結論が出ることは賢明なる鈴木委員さんも、御期待なさつていらつしやると私は確信します。
  63. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 建設大臣とわれわれの考え方は違うので、ともすれば議論が並行線の上を走るようなことになりますが、この法律的な見解でも、北海道大学の法文学部の教授をしている某氏が、今月の公法雑誌に開発行政と自治行政という題で、北海道の特殊性を説いて、北海道の全額国庫負担の仕事でも、公選知事にやらせるところに北海道の自治の発達があるということを、大いに書いておるわけでありまして、そういう学者もあるし、学問的にそういうふうに考えている方もあり得るのでありまするから、建設大臣やわれわれが学んだ法律だけが、唯一の法律ではないということを御承知おき願いたいと思います。金を出せば何でもかんでも出したものがやらなければならぬということは、資本主義的な考え方であります。金を出してやるが、ひとつ公選知事にやらせてやるという雅量を持つていることが、民主主義国家の一つのあり方であると思うのであります。北海道における経費負担状況は、国費が八割であり、道費が二割でありまして、自治体としてはきわめて弱体であり、これに開発行政を担当させることは、建設大臣のお言葉を使うと自動車が運ぶべきものを、自転車で引いているようなもので、開発行政の重荷を取除かなければならないというように仰せられたのでありますが、なるほど北海道の財政能力も決して強固なものとは言えない。開発事業経費負担する能力は持つておらないのでありますけれども、一応純道費の総額は、昭和二十五年度予算におきまして道費予算総額百七十億円のうち、七十余億円という巨額に達しておる。しかもこの開発行政の執行力というものは、あえて経費の差からだけ見るべきものではないのではないか。現在北海道ないし北海道知事は、明治初年以来開発行政を担任して来た、この北海道の特徴を受継いでおるのでありまして、機構等において他の国会出先機関に比し何ら遜色を見ない。いなむしろ事業執行の面からは強力な体制を整えておるもでありまして、決して開して開発行政担当の任にたえないというような弱体なものではないのであります。ことに開発行政は総合的運営のもとに遂行されてこそ、その成果が期待されるものである点からいいましても、総合行政の長としての知事がこの任に当ることが、最も適当であるということができると思うのでありまするが、その点についていま一度お伺いをいたしたいのであります。
  64. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴木委員は昨日も御同様な御質問をなさいましたわけで、重ねての御質問でありますから重ねてお答え申し上げます。昨日私は鈴木委員の御同様の御質問に対してお答えをいたしましたが、執行が一人の人でなければ総合開発は期待しがたいという御意見には、私は反対でございます。何でもかんでも一人でやる。戦時中はよく一元的というような言葉がはやりましたが、一元的にやつたのではとても忙しくてやりきれない。私は総合開発をする必要は、もとより人一倍認めておりまするが、その総合開発の特にどこへ力を入れる必要があるか、もとより中央で行う行政並びに地方行政をひつくるめた意味におきまして、総合開発計画害がりつぱにでき上ることが絶対に必要である。そうしてそれぞれの機関が、それぞれの職域に応じて総合開発計画書の一部分を執行する。その執行の仕方は総合開発計画に調和ある関係において執行しなくてはいけない、一元的にやらんならぬとするならば、北海道は、郵便事業も、鉄道事業も、あるいは税関行政も、あるいは国の税務行政もひとりでやらなければならぬ。そうでないとこれは必ず地方行政に密接不離の関係があるのでりあますからいけないという議論になります。私は一元的統制的に北海道総合開発をすることは、事務分量、事業分量、また技術員その他の関係から見まして、そう期待しがたいと思う。われわれの力を入れんならぬところは、総合開発計画をりつぱにつくることである。でありまするからこそ開発庁皆さんの議決によつて、でき上つておる次第であります。鈴木委員さんが所属せられる社会党は国家的の事業ということをよく強調されますが、そういう立場をとり、そういう政策を堅持されておる社会党の各位におかれては、これだけ国の歳出面において特に力を入れたのが、北海道開発である、これは国の事業として、国民的事業として責任を果し得る態勢において執行するのが当然であるという主張が、むしろあなたの方から出て、われわれを教育していただきたい、こういうふうにすら考えておる次第であります。
  65. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そこで民選知事に大規模な仕事をまかせることができないという御議論になるわけでありまするが、地方自治体の事務は、大部分が国の委任事務であることは御承知通りであります。それで地方行政調査委員会議の行政事務再配分の勧告におきましては、国と地方公共団体との双方に利害関係のある多数の事務については、国と地方公共団体とが同様の形で協力しつつ、最大の効果を上げるようにすることが、眼目でなければならないということが示されておるのでありまして、ことに北海道行政の性質からいたしまして、開発行政と一般行政とを切り離して論ずることは無理である。すなわち開拓の推進によつて自治体が発達をし、住民多年の経験の上に立つた積極的協力によつて開発が促進され得るものでありまするから、この点は北海道に非常な特殊性があると思うのでありまして、いわゆる総合行政というものは北海道において、これからますます助長し発達させて行かなければならぬものであり、また北海道に発達すべき特殊の方式でさえあるのではないかというふうに思われるのであります。ただ民選知事であるから、あるいは器が小さいから、仕事が大きいからということでは、民主主義を育てて行く上において、われわれの考え方にぴつたりしないものがあるのでありまして、ごとに北海道庁長官が国の行政官庁としての地位を有した当時でも、一面自治体の首長としての任務を持つて総合的に行政をやつて来た、その形を今度は民選にしてそのまま移したのでありまするから、この点をできるだけ尊重し育成して行きたい、こういう気持が私どもの主張なのであります。また昨日のお話にもありましたように、民選知事が何か事務違反のようなことをやつたときには、これはまた調整する方法があるのでありまして、またその任にたえざるがごとき知事は、公選によるのでありまするから、輿論によつて変更されるのでありまして、それらの点について何度お伺いいたしましても、あるいは平行線の上を行くようなものかしれませんが、政府もわれわれの考え方に、十分理解を示していただきたいと存ずるのであります。  それからいま一つ念のためにお伺いしておきたいのは、どうして国費の紛淆を避けるか。従来会計検査院から指摘された違法でありまするか、不正でありまするか、お答えがはつきりしなかつたのでありますが、そういうようなことがある。もし民選知事になりましてから、そういうような事実があつたのであるかどうか、あつたならばこの機会にひとつお示し願つておきたいのであります。念のためにその点を承りたい。
  66. 増田甲子七

    増田国務大臣 北海道の問題につきましては、むしろ社会党の方から——これは私はせんだつて浅沼君にもお話したのでありますが、社会党がかりに政権を担当されれば、必ずこういうふうにされるでしようと言つたくらいなんで、むしろ開発法政正案をつくるやおそかりしと言つて、あなたの方から叱咤督励を受くべきようなふうに考えた、こういうふうにすら私は考えております。これまで国営なり国家的事業として、自分で責任をもつてやると、口を開けばいつもおつしやるあなた方が、地方にまかせろと言うことは、これはどうかと私は思うということを、再三皆様に申し上げております。  それから従来、と申しましても、これは北海道公選知事になつてからでありますが、公選知事になつてから自治団体である道の費用と、国の費用との紛淆を来している面白くない事例があれば、この際指摘せよというお話でありますが、ただいま手元にはございませんが、会計検査院等の報告書が決算委員会に出ております。相当ございまするが、なお私どもはこの席上ではお話しにくいのでありまして、従来のことは問わず、将来の改革をして参りたい、こういうふうに考えているということだけで、お許し願いたいのであります。
  67. 江花靜

    江花委員長代理 松岡駒吉君。
  68. 松岡駒吉

    ○松岡委員 昨日の委員会で増田建設大臣は、一自治体内におけることでも、重要度に応じて、たとえば北海道における五箇所の営林署をすでに認めている、こういうお話があつたわけであります。私はこの改正案を見まして、総合開発の点から考えれば、治水、治山というものをわけて考えるということは一体無理があると思う。何がゆえに一体今回改正案にそれを取入れることをお考えにならないで、これは従来通り全然別なものとして、かようにされたのであるかどうか。この点を簡単に明瞭に伺つておきたいと思います。
  69. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。御指摘の点は、私は非常にあなたが私ども所見を同じうせられているごとについて、むしろ敬意を表します。そこで実は営林局というものが四つあることもほんとうはおかしいのじやないかということを、きのう鈴木委員にも私は申し上げました。しかし今ただちにどうするこうするということはございませんが、要するに総合的にやるならば、たとい行政対象物が秋田営林局あるいは青森営林局と同様以上に旭川営林局があろうとも、北海道に四つ営林局をつくることはおかしい。一つの営林局をつくるべきである。それから治山というものは治水と密接不離な関係にある。そこで営林局もこの際開発局をつくるならば一緒にすべきではないか。これは方向としては私は賛成いたします。そういうふうに考えるべきであると私は考えております。そこで今回開発局という名をつけて、実は内地で申しましたならば、東北で申しますと、東北地方建設局、東北農地局、東北港湾建設事務所、これらの三つのものを、北海道にそのままつくるとすれば、北海道地方建設局、北海道一農地局、北海道港湾建設事務所、こういう三つの役所がそれぞれ国の出先機関として独立して、そうして一つは小樽や、函館や、留萌や、室蘭の港を建設する。他の一つはあの矢吹の国営開墾よりもはるかに厖大な、はるかに数の多いところの土地改良をする。それからもう一つの局は、国道がたくさんありまして参るというと非常に長いのでありますが、この国道の建設、あるいは河川にいたしましても、石狩川、天塩川、十勝川初めたくさん直轄河川がございますが、この直轄河川の改修を直接すべきでございます。ただ、きのうの知事会議等において誤解されたのは、すなわち松岡さんみたいな意見が、知事さんの方によくわからなかつた。というのは、これらのものを三つつくつたんでは、それは内地並になるけれども、それでは総合開発の妙味を北海道において発揮することは至難である。だから性質上は三つの局と同じようなものでありますが、行政機構として見れば、新総合開発の妙味を発揮するために、事務内容は同じであるけれども一つの局をつくつて、片や行政簡素化の目的を達し、片や総合開発の目的を達成せんとしているのでありまして、あなたの御希望の全部とは申しませんが、一部の目的は達成しております。将来営林局がかりに——北海道に四つございますが、公選になる前は北海道庁長官が一人でやつてつて北海道庁長官のもとに林務部長がいただけであります。そこで総合的に林政、すなわち治山行政をやつておりましたけれども、これが四つにわかれた。そこで行政対象としては、一つの局であつても青森や秋田の営林局よりも多いのであります。だから四つ一緒にするなんということはもつてのほかである、おそらく内地の五つか六つか、七つ八つの営林局と北海道の営林局と同じである、これはけしからぬといつたような御意見が起きましようが、総合というような見地から見れば、私は行政対象や事業分量がたとい内地の営林局の何倍になろうとも、北海道は一つの営林局でやる。それができなければ開発局が営林局に合併されるというような方向に行くべきものである。あなたの御意見はまことに敬服に値する御意見であると私は思つております。
  70. 松岡駒吉

    ○松岡委員 私はそういうことを聞こうとしたのではなくて、たとえば閣内において簡単に解決できるこの種の問題を、しかも総合開発のために考えられる改正案に取入れることができない、そしてしかも民主化のために最も必要なりと考えられるところの、地方自治の上に影響をもたらす点、あるいは北海道道民に与える印象、そういうことは政治的に相当重要に考慮しなければならないことでありまして、私はこれらのことは同僚委員諸君からしばしば指摘されていることであるから、あえて繰返そうとは思いませんが、そういう点の考慮が必要であるときにあたつて、しかも急速にこれをあくまでおやりになろうという政府が、なぜ一体農林省と交渉すれば簡単に解決のつきる得るものを、この総合計画のうちに取入れることができなかつたのであるか。それを聞きたいのです。私は何もほめてもらうことを欲して質問したのではない。そういうよけいなことを言われては、はなはだ迷惑である。
  71. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はそういう方向に向つて努力いたしたい、こう思つております。そのことははつきり申し上げます。  それから機構の点は、私は御意見のような機構がよろしいと思つておりまするし、私も全然同感でありまするが、なかなかつくるからには、理想的なものをつくつて出せと言つても、これは官庁機構等は御承知でもありましようが、ここまで持つて来るのでも、なかなかたいへんですし、また開発庁一つつくるのでも、なかなかたいへんなことでございます。これはあなた方においても御経験があるわけでありまして、これからだんだん努力を継続的に払いまして、御指摘の方向に進みたい、こう思つております。
  72. 松岡駒吉

    ○松岡委員 今度はひとつ委員長質問したいのでありますが、先ほどこれは同僚鈴木君からも指摘されましたが、私どもは過去のことはあまり言いたくないけれども、来て一時間以上も待つようなこともしばしば経験しておる。きようは気をつけていたにもかかわらず、放送があつたというのですけれども、放送を聞いてなくて、実は使いをよこして鈴木さんは初めて知つたのです。私はそのまたあとから知つて、これはたいへんだということで来たようなわけで、来てみれば、わずかに三対一で御決定になつたというのであるが、従来内閣委員会においては、この種のことは行われていないのである。私どもは、初めから来ていましても、根気よくいつもお待ちしておつたのである。不幸にして用事のある場合には、親切に案内がありまして、出て来たこともあります。そういうことであるに、かてて加えて、共産党の委員のお言いになるところによりますと、もう会期があすで切れるのであるから、これは連合で審議をやるなんということは、とうてい不可能だという理由に基いて、他の委員会からの合同審議を拒否するということであつたというのであります。そういう理由が明らかになつております限りにおいては、これは十分考え直してもらわなければならぬ。会期はもう延長されておるのであります。これが一つ。(「延長されていない」と呼ぶ者あり)  それから鈴木さんの指摘されましたことに関連があるのでありますが、地方行政委員会においての決定について、増田建設大臣が御判断になることは、結局この委員会においては、増田建設大臣の主観として、われわれはこれを聞いておくだけのことであります。地方行政委員会において決定されている地方自治についての大綱の真精神が、どこにあるかということは、地方行政庁の長官、もしくは地方行政委員会委員長をこの席にお招きして、その意見を聞くごとなくして、増田建設大臣の主観によつて、この問題を扱うということは、私は承服できません。従いまして、さきに申し上げたことと関連いたしまして、これはあくまでも連合審議を必要とすると考えるので、委員長はこの点について十分お考えをいただきたい。委員長所見を聞きたいのであります。
  73. 江花靜

    江花委員長代理 第一段のお話は、遅れたことと通知がなかつたことでありますが、この点については事務的には手を尽したように承つておりますけれども、いずれにしましても、結果においてそういうふうに、今までになかつたような不首尾があつたとすれば、委員長の手落ちでありますから、その結果について私は陳謝をいたしておきます。  第二段の、定足数の足りないのに、ほかの委員会からの申入れを断つたということの理由は、これは会期延長は、御承知通り、参議院のための会期の延長であり、衆議院としてはこの際上げることが当然であると考えております。但しその、形式といえば形式のことでありますが、三名でいかぬから、はつきりさせるということであれば、この際あらためてこの委員会に諮ることにいたしますが……。
  74. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 委員長が陳謝するとかなんとかいう、そういうおかしなことはしないで、もし異議があるならば、この通り人がいるときに再決定してもいいのです。そんなものを陳謝する必要はない。会期のことは、延長ということは議院運営委員会できまつておりませんから、現在の場合においては、閉会は明日だということにはつきりしておるのですから、もし異議がありましたら、再決議もけつこうでございます。
  75. 松岡駒吉

    ○松岡委員 委員同士で議論することも欲しませんが、議院運営委員会できまつていないということでありますが、議会全体としては、参議院と打合せしなければならないことで、手続が残つているというだけのことです。議院運営委員会ではきまつていないのではないのであります。この委員会は衆議院の委員会であります。衆議院の運営委員会において、会期延長ということを決定した以上……。     〔「まだ決定していない」と呼び、その他発言する者多し〕
  76. 江花靜

    江花委員長代理 御静粛に願います。
  77. 松岡駒吉

    ○松岡委員 私どもは必ずしも陳謝を要求するものではありません。陳謝を要求するのではないが、これは、数がたくさん出ておられるから、数で決定すればいいというような簡単なものではないと思う。先ほど来言うておるような意味合いにおいて、連合審査をすることが適当であるということを、自由党諸君もお考えを願いたい。でありますから、ここであらためて採決していただくことは私はたいへんけつこうなことと思います。ただ数が出ておかるからというようなことをお考えにならないで、さつきから申し上げておる通りなんであります。どうぞ連合審査が行われるように、自由党諸君の御賛成を願います。
  78. 江花靜

    江花委員長代理 今佐々木委員からお話がありましたが、私の陳謝しましたのは、周知の方法において手落ちがあつたならば、結果について私が陳謝をいたしますということであります。周知をしたと事務的には言つております。  それではこの際お諮りいたします。先ほど地方行政委員会大蔵委員会連合審査会を開かないことに決したのでありますが、念のためあらためて再確認いたしたいと存じます。  地方行政委員会大蔵委員会連合審査会を開かないことに賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  79. 江花靜

    江花委員長代理 起立多数。よつてさよう決しました。     —————————————
  80. 江花靜

    江花委員長代理 この際お諮りいたします。議員井上良二君、岡田春夫君、門司亮君より、委員外発言の申出がありますので、この三人の方に限り、二十分以内において委員外の発言を認めるのに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 江花靜

    江花委員長代理 御異議なければきようとりはからいます。井上良二君。
  82. 井上良二

    井上良二君 ただいま提案されております北海道開発法の一部を改正する法律案につきましては、農林委員会におきましても、連合審査を要求することにいたしておりましたが、会期が非常に切迫しておりますので、特に委員外発言を求めて、農林関係に関連いたします点について、この際政府所見を明らかにすることの必要を認めましたので、特に農林関係だけに限りまして、質問を申し上げたいと思います。  第一に伺いたいのは、この法律案によりまして総合開発をいたそうとします場合、建設省関係公共事業、運輸省関係、農林省関係、これを所管する、こういうことになつておりますが、この各省にわかれております公共事業費のおよそその金額を、この際お知らせ願いたいと思います。
  83. 岡田包義

    岡田(包)政府委員 お答え申し上げます。開発局が扱います金額でありますが、河川事業費十八億、土地改良事業費五億四千万、開拓事業費七億一千万、道路事業費十四億三千万、港湾事業費三億三千万円、大体そんなところでございます。
  84. 井上良二

    井上良二君 それが大体わかりましたが、この経費の内容を見ておりますと、大体道路河川、港湾、これが北海道総合開発の中心経費になつております。私ども総合開発自身に反対はいたしませんし、促進し、積極的に行つてもらわなければならぬと考えますが、北海道開発の中心をなすものは、やはり農林水産事業が中心にならなければならぬのじやないか、もちろん石炭でありますとか、あるいはまた電力の開発というものも、当然行わなければなりませんが、それは北海道の農林水産事業開発というものに結びつけてやるべきものではないか、終戦以来北海道開発政府は相当多額の資金を投じて、農林水産関係開発をやつておりますけれども、まだ十分にその目的を達しておりません。特に農業関係におきましても、開拓予定面積が八十万町歩でございますが、そのうちのわずか二割にしかなつていないのです。さらにまた土地改良にいたしましても、あるいは灌漑排水等の事業にいたしましても、地元要求のわずかしかまだ完成されておりません。そういう点を考えますと、かくのごとき予算の配分によつて、われわれがこの開発局のできた後を考えたときに、これは建設当局の実は大きな出店をつくるような形になつてほんとう北海道民要求しております北海道開発とは、およそ見当の違うものになつて来やしないか、ここなんです、問題は。一体政府はどう考えておられるのですか、その点を伺いたい。
  85. 増田甲子七

    増田国務大臣 ただいま政府委員からお答え申し上げましたのは、開発局が行う直轄事業だけにつけて申し上げたのでありまして、御質問がなかつたからお答えしなかつたのでありますが、今の水産施設ごときは補助費として三億支出いたしております。また土地改良につきましても七億、開拓関係につきましては七億と申し上げましたが、さらに六億の補助事業がございます。すなわち地方自治事務として行う、北海道公選知事が行う仕事が相当ございますが、その中で補助費が六億行くわけであります。それから土地改良関係は、お説のごとく相当力を入れる必要があると思います。これは先ほど政府委員は五億と申し上げましたが、自治事務として行うところの小規模の土地改良につきましては、三億一千万円の補助費を出しております。でありますから合計いたしますと土地改良関係は八億五千万、山林関係は、これは先ほど申し上げませんでしたが、全部補助費として参りまして、二億参つております。もつとも御承知のごとく、北海道は国有林野が相当多いのでありまして、これは営林局が所管しておりますが、これにもやはり相当多額の経費が参つております。水産関係、開拓関係を合計いたしますと十三億になります。相当多額でございます。もとより建設関係が相当の部分を占めておりますのは、開発というものは道路から始まる、また河川がときどき洪水を起して、せつかく改良された土地を流してしまう、あるいは冠水さしてしまう。これではもうおしまいなんですから、河川改修費というものは、井上さんの重点を置いていらつしやる農林水産関係にやはり重要なのでありまして、これは直接至大な関係があるというふうにお考えを願いたいのであります。
  86. 井上良二

    井上良二君 そういうりくつで申しますならば、国の政治があらゆるものに関連を持つことは申すまでもないことであります。今私の質問いたしておりますのは、この開発局ができた後は、どうしても建設省の出張機関としての役割が非常に動いて、実際は農林水産関係のものが、十分な活動ができない結果になりはしないか、この予算関係の配分を見てそういうことがあり得るのです。現実にその点をお伺いしているのです。(「内容を言え」と呼ぶ者あり)それだから内容で、予算関係の配分が明らかになつておるが、そういう点について、大臣の今の答弁は、あらゆるものに関係がある——関係のないものはないのです。だから北海道開発の目的を産業的にどこへ置いておるかということを伺いたい。
  87. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは開発庁関係当局としては、井上さんが委員をしていらつしやる農林関係からも、あるいは建設関係からも、運輸関係からも、特に北海道ではたくさん金を支出していただきたいのです。そこで従来の比例から見ますと、結局建設関係が額においては一番多いのであります。農林関係も額においてはこれに次ぐものである。さらに運輸関係は第三位であるということは御承知通りでありますが、農林関係全体が、国全体として公共事業費を相当とつておりますが、その中で農林省としては相当に奮発をされており、建設関係においても北海道には相当奮発をいたしておりますが、まず国全体の公共事業費の調和をあまり破ることはできにくいのでありまして、われわれといたしましては、北海道では十二分に農林水産関係は奮発してございます。どうぞその点は御心配をなさらないようにお願いいたしたいと思います。  なお開発局には部を四つつくりまして建設部、あなたの御指摘の農林水産部、それから港湾部、営繕部とありまして、それぞれの部がもとより連絡をとつて仕事をする必要がございますが、独立の部を設けてあるというのも、農林水産を重んじておるからでございます。
  88. 井上良二

    井上良二君 問題はこういう新しい法律をつくつて北海道開発を能率的にやつて行こうというのですが、実際この法律は、今まで北海道開発をやつて来て、こういうことをしなければ北海道開発が非常に非能率でうまく行かない、そこでこういうふうに開発局をつくつた方がいいという、事務的な一つの必要性から起つたのか、あるいはまた実際は北海道開発を飛躍的に進めることによつて、これだけのプラスがあるという、一つの大きなねらいを持つて書かれておるか、どつちかということです。そこで問題はそのプラスがあるということを、かりにわれわれが納得するといたしましても、問題はその具体的な、たとえばこれをつくることで、今までやつておるよりもこういう利益があるのだということを、具体的にお示しを願いたいと思う。
  89. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは昨日以来私がるる申し上げたところによつて、御了解を願いたいと思うのであります。要するに国策としてやらなければならぬことである。もとより従来といえども国策としてやつておりましたが、ただしかしながらある一部分を公選知事に委任したような点もあり、また政府が直接やつておるような点もある。そのことは非常に法制的に見ましても不明確であります。そこで総合開発現地においてつかさどる機関はたくさんございまするが、開発局というものを国の機関としてつくつて、皆様の総力を北海道へ注いでいただく。これは必ず私は顕著にいろいろなききめがあると思つております。現に開発庁皆さんの議決によつて去年できて、その結果がどうでありますか。歳出の特色は北海道開発費にありというくらいでございます。すなわち公共事業費全体は一割しかふえなかつたけれども北海道開発費は皆様の、ことに北海道選出の国会議員の御努力と相まちまして八〇%もふえておるのでありまして、たとえば港湾の堤防を百間つくるところが百八十間、あるいはあの岸壁が二百メートルできるところを三百八十メートルよけいできるわけでありまして、これほど顕著なききめはない、これから後ますますこのききめは顕著なるというふうに御了解を願つて、御協力を切にお願いするゆえんであります。
  90. 井上良二

    井上良二君 それほど効果が発揮され、かつそういう実際的な利益が上るというものならば、何ゆえに政府は今までこれを提案をしなかつたか。自由党内閣ができてから一体何年になるのです。
  91. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは先ほど鈴木君にもお答え申し上げました通り、私は自分の乏しい経験からも、特に熱情と信念とを持つて北海道開発をしなくてはならぬと考えておつたのでありまして、私どもが二十三年十月、皆様から引受けて政局を担当するやいなや、このことは具体化したのであります。すなわち二十四年の四月に閣議決定が行われまして、今から三年前でありますが、北海道開発審議会というものを設置いたして、鋭意この開発機構の整備充実については勉強をし、努力して参つたのであります。それが実を結んだのが去年であります。そこでいよいよききめがあるから、ことしは開発局をつくつて、飛躍的の開発北海道道民のために、また全日本八千万同胞のためにやろう、こういうわけでございます。
  92. 井上良二

    井上良二君 そこまで参りますとそれはもうまつたく売り言葉に買い言葉の議論になつてしまいます。われわれはこの委員会もたびたび問題になつております通り、今まで農林、水産関係開発におきましても、北海道庁に委任をして事業をやらして、また事実上そういう事業計画をもつて事業執行の上に何ら支障はないわけであります。特別な支障があるということならこれは別ですが、特別な支障のない限りは、あくまで地方自治制の確立に向つて政府は力を注ぐべきである。その力を全然注がず、ただ一方的天くだり的に、わしが判をつかねばどうにもならぬということを、あなたは方々の演説でもずいぶん言つておるそうだが、そういうものの考え方が、この開発計画の中にある。そういうものの考え方が、依然として官僚的な政治を強行して行こうというような印象を国民に与えますよ。ほんとう出先機関を整理して、地方自治をできるだけ育てて行こうという考え方が一方に政府にあるのであります。それとこれとはまつたく正反対の問題であります。そこに問題の根拠がある。その点についてあなた方内閣として、国務大臣として、この地方自治の要諦についてどうお考えになりますか。その意見を一ぺん伺いましよう。
  93. 増田甲子七

    増田国務大臣 きのう鈴木委員にお答えするときに、あなたがいらつしやらなかつたのは非常に残念でありますが、重ねて私はお答えを申し上げます。  われわれは、この国の直轄事業を国の機関でやろうというだけなのです。従来やつてつたのであります。従来は北海道庁長官という国の機関がやつてつたのです。ところがその国の機関——たとえばあなたがまさか東北農地局を廃止しろだとか、あるいは九州農地局を廃止しろという御意見ではないと私は思つておりますが、いかがでございましようか。そうであるならば、内地と同様にしろ、しかし北海道は特殊性があるから、農地局と建設局と港湾建設事務所を一緒にやろう。先ほど松岡さんの御指摘になつた方向を、全部満足させるわけではありませんが、その方向に向つておるのであります。農地局の廃止を主張されないならば、農地局をほんとうにつくろうととする場合に、あなたが賛成されないはずはないのでありまして、どうも合点が行きません。それから判こ云々とおつしやいますが私はそんな足も上げておりませんから、その足をとられる必要もないのであります。
  94. 江花靜

    江花委員長代理 井上君に申し上げますが、御質疑の割当時間がもう切れております。重複にならないようにお願いします。
  95. 井上良二

    井上良二君 そうすると最後に伺つておきたいのですが、特に農林、水産関係のように、一般的な道路、港湾河川等の建設事業と、まつたくその性質を異にします目的を持ちます公共事業を、特に道庁にやらして悪いと、いう、何か民選知事になりましてから後に、実際の上でぐあいの悪い点がありますか。それを明確に承りたい。
  96. 増田甲子七

    増田国務大臣 この点も鈴木君が御質問になりまして、私がお答えしたのであります。従来道庁長官は国の機関であつたら、たとえば事業分量から申しますと——あなたが建設関係に相当重点がかかつておるらしい、建設重点になりはせぬかという御質問通り北海道直轄事業としてやつておるのは、ただいま道路関係で申しますと、十四億三千万円です。それに補助費を加えますと十六億です。しかるに内地全体はどうかというと五十億、四十五都府県が五十億にすぎない。一府県は一億一千万円であります。その顕著なコントラストの例はあの隣りの青森です。青森はわずかに八千万円くらいです。岩手県を四つ加えると北海道になるということを言われております。それくらい岩手県は日本一の面積のある県でありまして、また未開発後進県でありますが、このことは岩手県の方自身でおつしやつているのですからその通りでございましよう。ここが九千万円くらいしか道路に使わない。しかるに北海道は一道で十六億である。岩手の四倍ちよつとであるならば、大体四、九の三十六で四億くらいであろうというところが、その四億の四倍の十六億である。直轄事業費は十四億であつて、東北地建並びに九州地建の直轄事業費よりもまだ多い。すなわち東北地建と九州地建とを加えますと、県にいたしますと、おそらく十幾つになると思いますが、それと北海道直轄事業費を比べてみると、——補助事業費ではございませんよ、道路に行う事業費は別として、直轄事業費だけを見ましても、十数府県分よりは多いのであります。こういうのを国の機関をつくつてつてほんとうに適正に執行できる。だから従来は国の機関たる長官がやつてつたのであります。現在も知事指揮監督をいたしますが、地方事務官等は国の機関です。総理府の役人であります。総理府の役人三千数百名がやつておるのである。但し政府との連絡はどうかといいますと、従来は国の機関でありますから東京に半年おつたのであります。そうして北海道庁の出張所もあり、道庁長官というものは必ず政府委員であつて、歳出部面として、北海道開発費については、去年は歳入部面の減税と相まつて、二大特色であると私は思つております。その歳出部面の特色である北海道開発費を、国民の代表者である国会の指定する御意向に従つて、適正に執行せねばならぬ、そういう意味で政府委員にいたしておるのである。ところが公選知事政府委員にするかどうか、これは法制上非常な疑問が私はあると思つております。現在はできません。要するに各種の不便がたくさんあるということを、私はどうか皆様の御了解を願いたいと思います。そこでせんだつても淺沼君にも申したのですが、社会党が政権を担当されても、必ずこの改革はされましよう。井上さんが先ほどおそ過ぎるじやないかというおしかりをなさつたほど、改革をされると私は確信をいたしております。
  97. 江花靜

    江花委員長代理 岡田春夫君。
  98. 岡田春夫

    岡田春夫君 二、三の点について簡明に御答弁願いたいと思うのですが、まず第一に、これはきのう鈴木委員からも質問があつたのですが、あまり明確な御答弁ではなかつたようで、再度御答弁を願いたいと思いますが、このような開発法の一部改正をやる場合に、当然憲法上の規定からいつて、住民投票をやるべきであるとわれわれは解釈せざるを得ない。これについてはどのように建設大臣開発庁長官の増田さんはお考えになつておるか、この点からお伺いしたい。
  99. 増田甲子七

    増田国務大臣 法学の権威である鈴木委員が、これは自分は確信を持つてはまだ言えない、研究過程にあるし何だけれどもというような前提をされて、良心的な御質問をなさつたのです。その御質問をなさる前提としては、確信がやはりおありにならないのですから、憲法九十五条には触れないということでありました。それに対しては、一地方の利害ではないという問題を、私は前提を三つ置いてるる御説明いたしました。明確にいたしたつもりであります。岡田さんもいらつしやつたと思いますが、さらに繰返して申し上げますと、地方公共団体に委任した事務ではないのであります。しからば公共団体の執行機関の首長である知事に委任したかどうか、これも不明瞭であります。だから鈴木さんも、まだ確信を持つまでには至らない、こうおつしやつておるわけでありまして、知事にも委任していない。もし知事に委任したとすれば、吏員を使つて知事に委任された事務を行うということになる。しかるに、公共団体の吏員を使つて、これらの国の事業を行つておるわけではありません。総理府の役人が道庁におつて、そうして国の行政事務をやつておるのであります。でありまするから、知事に委任したわけでもない。しからば事務は委任しないことはわかつたけれども、何を委任したか、役人の指揮監督をある程度委任してあるらしいのであります。しからば役人の指揮監督を全然委任したか、そうでもないのであります。たとえば港湾建設について、運輸省の港湾局長の首長である運輸大臣が、小樽の港湾建設事務所をやはり指揮しております。でありまするから、指揮監督が併存的関係にある、まつたく変態的な関係でありまして、要するにこういうことでは形式的に——私はきのうまず論じまして、国政については国務大臣が連帯して責任を負わなくてはならない、悪いことをすれば国会において不信任を受け辞職する、こういう立場から見て、何だか執行についての指揮監督が、半分あるような、ないようなもやもやした関係で、しかも知事が不適当なる執行をした場合に、行政監察委員会に呼ばれるかもしれないけれども、あらゆる委員会へ出て答弁責任があるのやらないのやらわからない。しかもわれわれが自分の直接の部下のごとく、知事指揮監督もできない。まつたく不明瞭な関係に置かれている。しかも建設費から申しましても、中国、四国の建設局並びに東北建設局の直轄事業よりも、さらに数倍の費用を、北海道知事にある程度指揮監督をゆだねたその下の地方技官、地方事務官がやつておる。まつたく法学的に見ても私はわからないのであります。そこで責任の所在を明確にするという意味からも、この際こういうふうに機構を明確化する必要がある、こうかたく信じまして、鈴木委員にもお答えをいたした次第であります。
  100. 岡田春夫

    岡田春夫君 今増田さんのお話で行くと、非常に不明確ではあるが、一部分として北海道知事に権限を委任した部面もある、指揮監督をする点において権限が委任されておる、権限を持つている点もあるということだけは事実である。少くとも北海道という、地方公共団体の長が、あるいは地方公共団体が全体として持つている権限の中に、今認められたような権限があつたということが現状であるとする場合に、この現状から北海道開発法の一部政正法案によつてその権限を奪うということになるならば、当然これはやはり北海道地方公共団体の権限をそれだけ喪失せしめる。その点から考えるならば、当然地方自治の本旨に反する結果を招いているといわざるを得ないと思う。おそらくあなたの昨日の御答弁によつても明らかなように……。     〔発言する者あり〕
  101. 江花靜

    江花委員長代理 御静粛に願います。
  102. 岡田春夫

    岡田春夫君 よく聞きたまえ。それでおそらくこの北海道開発法が、先ほどあなたの言われたように、初めて制定されたときにおいても、北海道開発法それ自体が、憲法九十五条の適用に抵触する部面があるのではないかという点が、その当時においても論議としてかわされておるのであります。このときにあなた御自身の答弁の中に、こういうことを言つておる。たとえば北海道地方公共団体の長に対して、特別にその権限を付与したり、もしくは剥奪するようなものではない。従つて北海道開発法は、中央において開発庁ができるけれども地方公共団体北海道知事に対して、何らの権限の増減を与えるものでないから、これは決して地方公共団体のいわゆる地方自治の本旨に反するものではない、こういう意味での説明をされておるのであります。(「その通り」)この点はその通りと言つて、ただいま自由党諸君賛成された通りなのでありますが、この通りのところから、今度改正法によつて、その通りでない権限を奪うようなことをするから、憲法違反だ、こういうのです。(「ノーノー」)そうじやないか。権限を奪うことになるということを言つているじやないか。だからこれは憲法違反ではないかというのです。自由党諸君がはつきり認めているじやないか。
  103. 増田甲子七

    増田国務大臣 北海道開発法というものが、去年は住民投票でも何でもなかつたのです。その一部改正であります。そからたとえば戸籍事務なんかは、公共団体に委任した国の事務でないことは明瞭であります。しからば公共団体の首長である市町村長に委任したか。これは市町村長に委任してある。しかし戸籍事務を今度は戸籍役場というものを別につくつてやるという場合に、その市なりその町なり、あるいはその道なりが住民投票をすると言つたら、なるほど風が吹けば桶屋がもうかるというように、日本国に起るあらゆる現象は何らかの形において関係はありますが、地方公共団体の利害とは、そんなに間接の関係のものまでを、さすものではないのであります。
  104. 岡田春夫

    岡田春夫君 昨年住民投票をやらなかつたことは私もよくわかつている。あなたに伺わなくてもわかつている。それだから住民投票を行わないような法律の中から、そういうような形で出している北海道知事の権限を奪うからして、住民投票の必要があるのだ、こういうことを私は言いたいのです。それでその点についてはまたあとで——二十分しかないから、あまり質問できませんけれども、今度のこの改正法によつて、おそらくその他の関係法規——北海道にたとえば北海道道路関係法律なんかもあるのですが、そういう関係の特例で、当然これは改廃をして来なければならないものがあるはずであります。例をあげて申し上げると、地方財政法にもあるのですが、地方財政法の特例によつて北海道開発その他に関しては、これは別に扱うというような点が出ている。このような幾多の法律の改廃を行わなければならない問題が、続いて起つて来ると思うのですが、この点についてはいかようにお考えになつておるか。
  105. 増田甲子七

    増田国務大臣 あくまで住民投票に関係のないということは、もう一つ例を申しますと、たとえば北海道におる海運局長に、ある仕事の、そのごく一部分を委任した場合に、今度は北海道にある営林局長にまかせようか、こういつたような場合には、自治団体から北海道民に何ら影響がないのです。そういうふうな意味にぜひともおとりを願いたいのであります。それから北海道関係のあらゆる法規について一応検討いたしましたが、現在のところは直す必要はございません。将来事態の要求がございましたならば、その要求に基いて善処をいたしたいと思つております。
  106. 岡田春夫

    岡田春夫君 われわれの見るところでは、この北海道開発法の一部改正法案によつて、当然抵触をいたして参ります法規関係が、大体二十ぐらい出て来るのじやないかと思うのであります。それほど住民に関係のある法律である。先ほど海運局の事務をどういようにする、こういうようにすると言われたのは、行政事務の問題であつて、まさか増田さんともあろう人が、行政のそういう問題と一緒くたにして、意識的にそういうことをお話になるとは私は考えないけれども、増田さんのそういうような答弁に対しては、これ以上触れていると時間がなくなりますから、この程度にいたします。  続いて、先ほど井上議員から御質問になり、御答弁があつたのですが、公共事業費の支弁にかかわる国の直轄の事業、これは主として開発局で行うことになるわけなんですが、そうして参りますと、国費の中でこれ以外に、従来北海道庁に実際の仕事をさしておつた部面で、今度は開発局ができたために、こちらの方に仕事が移つてしまつて、残りの、北海道庁に対する開発関係経費は、全然国の経費として渡らないことになりますかどうですか。
  107. 岡田包義

    岡田(包)政府委員 これは総額国が北海道へつぎ込みます公共事業関係では、補助費等直轄費とありまして、補助費は従来通りにちつとも変更しないのであります。直轄の分だけを開発局で扱うのであります。その金額を申しますと、開発局扱い分が総合計五十九億、従来通り北海道へ補助費で参りますものが、三十九億くらいになるわけであります。
  108. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ともかく今の御答弁ではつきりした点なのでありますが、昨日も増田大臣が答弁をいたしておりましたが、本来国の要すべき経費は、当然今度は開発局でやるのが建前である、そういうように御答弁なされた。ところがもしそういう建前を通して行くとするならば、当然国の関係経費というものは、全部開発局でやらなければならないにかかわらず、従来北海道で行われた一部分がそのまま残つておる。そうすると、その結果として現われて来るものは、当然役所をもう一つよけいにつくつたという結果にしかならない。先ほど小平君からも、結局官僚の機構いじりになつてしまうんじやないかという意見があつたのでありますが、あなた御自身がもしここで本筋を通して行くとするならば、なぜここのところをすつきり割切つていないのか。しかも先ほども井上議員から話があつたように、農林省の森林関係については、営林局なりその他はそのままになつておる。治山治水の点から行くならば、北海道は森林を離して開発ができるなどとは考えられないはずである。そうならば、当然これは一本にして——もしあなたがおやりになろうとする意見を、そのまま通されるとするならば、一本でやれるような機構をつくらなければならないのにかかわらず、ここでは自由党の内部対立をそのまま暴露した形で、営林局と開発局をつくる、こういう形で官僚の機構いじりをするのか。(発言する者あり。)増田さんはかつて知事時代からも御存じのように——増田さんの時代には北海道長官だつたのだが、そのごろから、北海道開発は総合的に一元的にやらなければならないということになつてつた。しかもその当時においては、あなたも十分御承知のように、中央官僚は絶えず北海道から権限を奪おうとしておつた。その権限を奪おうとしたことに対して、その当時の増田長官は絶えず反対をして来た。その反対をして来た増田長官が、今度は中央官僚の上に乗つかつて分割に賛成するという趣旨がわれわれにはわからない。その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  109. 増田甲子七

    増田国務大臣 点が北海道長官のときの主張について新たに御質問になりましたが、私は今日といえどもそういう考えはやはり持つております。というのは先ほどから申した通り北海道庁長官というものは国の機関なのでして、その考えが今度北海道総合開発法の端緒であるところの開発局になつて現われたのだ、こういうふうに御了承を願いたいのであります。もとより井上君の御指摘のごとく、われわれの理想にはまだ到達したとは言えませんが、しかしながら総合開発機構現地につくるという方向には、われわれは引続いて努力をいたしたい、こう考えておるのであります。繰返して申しまするが、道知事というものと、道庁長官というものは、まるつきり性質が違つて、一方は国の堂々たる出先機関でございます。
  110. 岡田春夫

    岡田春夫君 長官と知事との違いは私もわかつております。しかし実際にこれを施行する場合において、北海道長官であつた岡田さんは、少くとも北海道における地方費とその当時の拓殖費とが一元的に経営されることが望ましいということを言われているはずなんです。うそだと思つたら、私は例をあげて申し上げますが、あなたは昭和二十二年の一月ごろは北海道長官をやつておられた。そのごろに北海道議会において、これは一元的に強化して、北海道庁を中心に一元的に運営し、もつて総合開発の万全をはかられたいという決議をいたしまして、これに対して長官として所見を述べられて、そのように努力したいと言つておる。それを今になつてことさらに——戦争は二十年に終つたのですよ。ところが二十二年の話をしておる。     〔発言する者あり〕
  111. 江花靜

    江花委員長代理 質疑を続行してください。御静粛に願います。
  112. 岡田春夫

    岡田春夫君 ともかくこのようにして、二十二年の増田長官はこれに反対をしたが、二十六年の建設大臣たる増田大臣は、中央官僚の言うことを聞いて、これに賛成をする、こういう結果になつて来ておる。そればかりじやない。お隣に岡田次長も笑つておられますが、岡田次長は二十二年の六月五日のころには、次の長官であつたはずである。ここにはなおはつきり書いてある。北海道の行政はあげて北海道庁に完全に委任して、しかも強力かつ総合的に運営する方法をとる云々と書いて、これに対して賛成意見を述べられておる。にもかかわらず、今ここでことさらにこれに対して反対をするというような意見を出されることは、自由党諸君が今言つているように、遂に君子豹変をされたのかどうか、この点をひとつ聞かしていただきたい。
  113. 増田甲子七

    増田国務大臣 岡田さんにお答え申し上げます。もうこの問題に対しては、これきりお答えいたさないつもりです。ほかの問題についての御質問でしたら幾らでもお答えします。簡単にお答えします。私がそういう主張をしたのは、北海道知事増田甲子七ではございません。北海道長官増田甲子七の主張であります。
  114. 江花靜

    江花委員長代理 岡田君に申し上げます。時間は切れておりますが、何かとつておきのいい御質問であればお許しいたします。
  115. 岡田春夫

    岡田春夫君 とつておきのことをやります。先ほどからら増田かつての長官は、大部苦しいように……。あの当時の北海道長官というものは、行政上の長官としての任務があると同時に、自治体の長としての任務もあつた。その二つの上に立つて、両方が一本にならなければならないということを言つてつた。あなたが北海道議会で、この答弁をされたというのは、行政長官として答弁したはずではない、北海道知事として、自治体の長としての答弁をしたはずなんです。そのときに北海道議会において、自治体においてこれは地方費と国費を一緒にしなければなりませんと、行政上の点はあつて北海道は、一本にしてもらわなければなりませんと言つてつたにもかかわらず、昨日の答弁を聞いておると、八十年前に返さなければならない、八十年前に日本を返すというようなアナクロニズムが今行われようとしている。しかもこのように国の行政を全部こういう形でやろうというようなことは、あなた御自身の官選知事の方がいいという官選思想の現われだ、この点を明らかにしてもらいたい。ともかくもこういうことをやつて、官僚の上に乗かつて、今フアシズムが北海道に行われようとしている点を、一言だけお尋ね申し上げておきます。
  116. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は八十年前に返せと言つたのではありません。鈴木委員が、八十年来の慣行は非常によろしい、この八十年来の慣行を増田は破ろうとするのか、こう御質問になりましたから、むしろ八十年来の慣行——八十年前ではありません。七十九年、七十八年というと明治、大正、昭和、しこうして昭和二十二年四月までやつてつたこの方向へ返すというだけであります。  それから北海道長官は、御承知のごとく国の行政が大部分であります。八割以上やつておる。兼ねて地方自治をやつてつたのであつて長野知事や福岡県知事とは違うのであります。ところが地方自治法をつくるときに、二割しか仕事をしないところの地方自治の首長である知事に漫然まかせた、このことについて、われわれはもう少し勉強すべきでありましたが、四年間の経験にかんがみて、改めた方がよろしいという結論になりまして、おそくはありましたけれども、今回総合開発機構をつくろうとするものであります。
  117. 江花靜

    江花委員長代理 門司亮君。
  118. 門司亮

    ○門司亮君 私は質問に入ります前に、一応委員長意見を伺つておきたいと思います。それは大蔵並びに地方行政委員会から合同の審査が申し込まれております。それがここに否定されております。しかしこの審査の要求をいたしましたのは、おのおのの委員会の総合された一つの意見であります。従つてその意見は、やはり当該委員会に、委員長から正式に、申込みは受けたが、これを拒否するという旨を通知されて、そうして委員各位の納得を得る必要があると思う。私は地方行政委員会におりますが、今日幸いここに参つておりましたので、委員外の発言の通告ができたのでありますが、おそらく委員の中には、そういう会議が開かれるならば、まだ十分聞きただしておきたいと思われる方が相当あると私は思います。それらの委員意見というものは、まつたく抹殺されたということになる。これは委員会の将来の運営の上において、非常に大きな問題だと思う。ただ一方的にこれをきめて、一方の申込みを受けた委員会には何らの通告をしない、そうして議事をあげてしまうということは、私は将来の議事の運営の上に暗影を投ずるものと思う。この点に対して委員長はどういうふうにお考えになるか。委員会の総意の意見で合同審査を申し込みまして、おのおのが聞きただすべきことを聞きただそうとする。この議員の持つておる権限というものが、一方的に剥奪されることになるのであります。この点に対して委員長はどういうふうにお考えになりますか。
  119. 江花靜

    江花委員長代理 お答えいたします。今のお話ごもつともでございまして、なるべく各方面と連絡すべきものは連絡をして、慎重審議をするのが建前であります。しかし場合によつてはそういうことのなくて終る場合もあることも、これも実際われわれの経験するところであります。しかも先ほど御承知通り委員の方にお諮りしたところが、内閣委員会としてはその必要なしという御賛同を得ましたので、そういう決定をいたしました次第ですから、御趣旨のほどはよく存じ、その通りであると考えます。——御質疑を願います。
  120. 門司亮

    ○門司亮君 委員長がもしそういう意見であるとするならば、将来この問題は悪例となる一つの慣例を残すことになると私は思う。要するに多数の横暴がここにはつきり現われておる。しかもそれぞれの委員会の中には、やはり自由党諸君もお入りになつております。自由党の方々にも、やはりお聞きになりたいところがあると思う。これをこの委員会が単独に決定して、相手方の委員会に発言の機会を与えないというような処置に対しては、私どもは非常に不満を持つております。  そこで私が質問をいたしたいと思いますことは、いろいろ質問がされておりますので、すでに私の聞くこともあるいは重複するかと思いますが、地方自治法の百五十八条の末尾に書いてありますいわゆる都道府県の固有の事務として、必置部として設けなければならないものの中に、道のところに開拓部というものがあるのであります。そして開拓部は、「開拓及び入植に関する事項」という明らかに書いてございます。従つてなるほど発と拓と一字、字は違つておりますが、しかしこの道の固有の事務として必置部として設けられておりますこれと、今の開発局との関係を私はお聞きしたいと思います。これはおそらく北海道開発に関する法令が出まして、そうして先ほど増田さんは、これが今日までに北海道知事に大体委任したようなしないような、一向わからぬようなことになつておるというようなお話でございましたが、たとい監督権がありましようとも、これを与えたいということは、地方自治法百五十八条の規定に基いて、北海道においては開拓入植事業は必置部として設けなければならない規定になつておりますので、おそらくこれが相当反映して現在のような状態になつておると、一応解釈するのであります。従つて当局はこの地方自治法の関係と現在の開発法との関係、さらにこれが将来における事業の内容等が、どれだけ違うものであるかということを明らかにお示し願いたい。
  121. 増田甲子七

    増田国務大臣 開拓部というものは、もとより自治法によつて命令されておりまして、北海道においては置く必要がございまして、現在置いております。しこうして将来置くかどうか、もとより置きます。先ほど予算部面からも御説明申し上げました通り、開拓事業費は十三億ございまするが、直轄事業、たとえば直営開墾というものを内地において方々でやつておりまするが、大規模の開墾は七億ばかりで、これは開発局でやります。小規模の開墾あるいは入植事務その他がございます。そういうものは自治事務でございまして、これが六億ございまして、補助費でやります。この補助費が北海道税から出て来るところの北海道本来の負担分と合わさりまして、相当の額の開拓事業費が、道の自治事務としても行われるわけでございます。
  122. 門司亮

    ○門司亮君 もう一つ……。従いましてその事業の内容を一体どこで線を引かれるかということであります。私が心配いたしますのは、もし北海道開発庁が独断でおやりになる——独断というと多少語弊があるかもしれませんが、一応国の計画に基いておやりになることが、もし道の知事の考えておりまする開拓事業と相反するようなことがありますれば、私は非常に大きな問題を起すと思う。これはあくまでも一つの姿で開拓をし、あるいは入植を行うということが正しい行き方だと思う。この点についてもう一応お伺いしたい。ことに私が増田長官にこの際お伺いしておきたいと思うことは、先ほど鈴木さんの御質問に対する御答弁で、利根川あるいはその他の事業は、やはり国でやることがいいと思うからやると、こういう趣旨の御答弁があつたのでありまするが、河川改修というものは、御存じのように、いくつもの府県、いわゆるいくつもの地方公共団体の地域にまたがつておりまして、現在の日本河川法からいいますると、国庫河川であれ、あるいは準河川であれ、市町村河川であれ、さらにその上に上つてつて砂防工事は都道府県が行うというふうに、いくつもの形にわかれておりまして、そうしてこれら総合的の利害の上に立つて、やはり総合的にこれを見る必要があるのじやないかというような議論が、実は起つておるのであります。従つて都道府県の固有の事務ではありまするが、しかし多くの公共団体にまたがつておりまするから、これを利根川開発というような一本の法律にまとめて行うことがいいのではないかということが、私はああいう問題の起つた原因だと思う、またそういうことになつておると思うのであります。北海道は何も地方公共団体がわかれているわけではありません。あれは一つの地方公共団体に間違いはないのであります。従つて地方自治法の百五十八条にありまする通り、開拓及び入植の事業というものは、やはり一本にまとめて行うことが地方自治の本来であり、また地方自治を強化する最も大きなゆえんでもあり、ことに国と地方とを通ずる事務の円滑なる遂行のためにも、そうすることがいいと考えるのでありますが、これに対しての御答弁を伺いたい。
  123. 増田甲子七

    増田国務大臣 直轄と補助とはどういう関係で違うか、これは事業々々で違うものであります。要するに大事業で国で全額でやつてもらわなければならぬものだけをやるのでありまして、北海道でやるというものは、われわれはこちらから遠慮いたしまして、向うでやつてくださるならばけつこうなのでして、こちらは補助だけをやる、しかしながら補助費につきましても、それぞれの箇所をこちらも査定いたしまして、ここは補助でやつてくれということを向うで申し出でてもらうならば、非常にありがたいのであります。大体は全額でやつてくれということの方が多いのです。これら全額でやつてくれというのは直轄開拓事業になりまして、国でやる、われわれがやろうとするのは内地以上を絶対に出でておりません。利根川開発の問題はしばらく別といたしまして、たとえば印旛沼の干拓事業、これは国営事業である、そういうようなのを北海道でやるだけなのであります。あるいは福島県の矢吹ケ原の国営開墾、これを北海道でやるだけで、この矢吹ケ原の国営開墾はだれがやつておるか、福島県知事がやつておるわけではありません。仙台の農地局でやつておるのであります。それだけのことをやるのにすぎません。でありますから補助事業というのは半額補助するだけでありまして、北海道税で負担する、北海道がまた半額くらい出していただきまして、そうして開墾入植事業をやつてくださるのであつて、われわれは感謝こそすれ、こちらから入つてつて何でも全額やるなんということは絶対にいたしません。皆様がどんどん予算を議決してもらいまして、何でもかんでも北海道は全部やるのだ、もう地方は全部やらないでもよろしいといえば、北海道は喜ぶかもしれませんが、われわれは向うがやりたいという事業に絶対に入つては参らないのであります。それから利根川開発云々——どうも開発局という名前をつけたから、ちよつと現状をおそろしくかえるのじやないかという誤解があるようでございますが、現在直轄事業として矢吹ケ原の開墾をしており、それが東北農地局である、そういうようなことを北海道開発局がやるにすぎないのであります。
  124. 門司亮

    ○門司亮君 私はどうも大臣の答弁をそのまま受取るわけに参らぬのであります。それから、私の聞いておりますこの開拓事業と、大臣のお考えになつておる開発事業というものが——利害が反するというと少し失礼かもしれませんが、ものの考え方が違つた場合には非常にむだをこしらえると思う。総合開発というものの中には、やはり北海道知事の考えておりまするものを含んだものが、一つの総合開発にならなければならない。これを別に考えるわけにいかぬと思う。そうなつて参りますると、地方自治法にはつきり必置部として設けてありまするこの部の仕事というものとの衝突が私は将来必ず起つて来ると思う。いわゆる中央から来た出先の官庁と地元の官庁というものは、どこの例をごらんになりましても、あまりいい結果には行つておりません。北海道だけがどうなるかはわれわれには考えられぬ、従つてこの点については私はもう少しはつきりした御答弁を願いたいと思うのであります。
  125. 増田甲子七

    増田国務大臣 門司さんの御質問のうち間違つた点があると思いまするから、私は特に御指摘いたします。総合開発知事の考え通りやらなければならぬということはないのです。あなた方の議決にかかる北海道開発法の中でできた開発庁が、総合開発計画をつくるのであります、もとより知事意見は入れまするが。そうして総合開発計画ができたその開発計画を実施に移すのは、それぞれ職域に応じて、それぞれの官庁が実施に移すのであります。知事一人がなすのではありません。それでこの総合開発を実施に移す場合には、実施地方とは調和ある関係においてやらなければなりません。それが普通の府県では直轄事業をやつてほしくないなんと言う所はありません。直轄事業は全額国庫ですから、こんなものが来るのは困るなんと言う所はない、北海道もまさか困るとは言わない、やつてくれやつてくれ、全額補助をやつてくれ、むしろ内地の国会議員さんが北海道ばかりやり過ぎるといつて、大いに私はおしかりを受けておるのであります。
  126. 門司亮

    ○門司亮君 私が心配しておるのは、それは北海道知事意見を聞かなければならないということは、この法文の中にありますものの、やはり北海道というものは特殊に地方自治法の中にこういう必置部を設けておるのであるから、いわゆる必置部として行わなければならない一つの開拓事業というものがあり、国の開拓事業との関連を円滑にするために、こういう法律ができておると思います。従つてもしこれが別個の形で行われることになりますと、そこは人間でありますから、感情の行き違い、ものの考え方についておのずから緩急がありましようから、事業の緩急があるごとについても考え方が違うこともありましよう。この点を私は指摘いたしておるのであります。  その次に聞いておきたいと思いますことは、例の地方財政法の中にあります問題でありますが、現在地方財政法二十一条の規定には、公共団体負担を伴うような法律をこさえます場合には、地方財政委員会の意見を聞かなければならないということになつております。この開発事業は先ほどから申し上げておりますように、地方公共団体の間に財政的負担というものが必ずかかつて来ると考えられる。国がかりに行うといたしましても、やはり全然道の経費に無関係では一切仕事はできないと思います。従つてこの地方財政委員会の意見を徴されたことがあるかどうか。
  127. 増田甲子七

    増田国務大臣 御質問にお答え申し上げますが、今度の開発法の改正によつて地方負担は増しません。むしろ国庫の負担が大いに増すわけであります。
  128. 門司亮

    ○門司亮君 そうなりますと、私の手元に地方財政委員会で書いた開発庁出先機関設置に伴う北海道負担増加に関する資料というものがありまして、中は読みませんが、それに十六億二千五百万円というものが、よけいいると書いてありますが、この事実を調査されたことがありますか。
  129. 増田甲子七

    増田国務大臣 この点につきましては、昨日鈴木委員が御質問になりまして、それに対してお答えをいたしたのでありますが、重ねてお答え申し上げます。自治事務としての北海道公共事業費というのは、きわめて零細な額でありまして、わずかにしかなつておりません。それが全体の額が、この法律を改正したために十六億にふえるというのは、どこを押せばそういう音が出るか、私ども全然理解できないのであります。
  130. 門司亮

    ○門司亮君 どこを押せばそういう昔が出るかわからぬという抽象的議論では、私は承服できないのであります。こういう例がありまして、従つて私の聞いておりましたのは、地方財政委員会と打合せをされたかどうかということであります。閣議の決定前に地方財政委員会の意見を聞かなければならないように、地方財政委員会法にはなつておる。この法律を無視したかしないかということを聞いておるのであります。
  131. 増田甲子七

    増田国務大臣 国の直轄事業は国で行う、これだけのことであります。今度のこの法律の改正の趣旨は、簡単な言葉でいえば、そういうことが地方負担を増すものではございません。私は国の方で従来かりに指揮監督でも委任しておれば、知事さんが荷物が少しやつかいである。その荷物をとつてあげるのでありますから、減りこそすれ、増すことはない。国の事業は国でやる、これだけなのであります。
  132. 門司亮

    ○門司亮君 どうもおかしいのであります。現在の開発されております北海道ほんとうの実情というものは、おそらく二十六年度から開発が行われておるといたしますならば、北海道における事業というものは、大体事業を行う期間は四月から九月、あるいはせいぜい十月までであります。そういたしますと、この法律は七月にこれを切りかえられることになつておる。そうなつて参りますと、その間に現在の状態で行つておりますものが、これを国と地方とにわけるということになつて参りますると、そこに費用がかからぬとはだれも言えないのであります。多くの仕事をしておりまするのに、全然かからないということは一体どこにありますか。私はその点をもう少しはつきりしておいてもらいたい。それから同時に、国が一般事業を行うにいたしましても、それが全然関係がないというのは、私どもには受取りにくいのであります。従つて私の聞いておりまするのは、先ほど長官はそういう必要がないというお話でありましたけれども、おそらく長官は地方財政委員会にお諮りにならなかつたと解釈してさしつかえありませんか。こういうものがせつかくできておりまして、地方財政法の中には国の施策が地方に経済的負担をかけるような施策を行つてはならないということを、十二条に書き、さらに二十二条にはこういう条項を設けております。国の施策によつて地方公共団体の財政に迷惑をかけるような場合は、地方財政委員会の意見を求めなければならない。これは地方公共団体の財政を育成すべきためにこういう法律が設けられてあると思います。しかるにこれは迷惑をかけないということを増田建設大臣だけがお考えになつてつて、この当面の担当者でありまする地方財政委員会がこれを調べて、地方財政委員会が財政上の迷惑をかけるという結論が出たら、一体どうするか。私はこういう機関がある以上は、当然この機関を通してやはり行うことがこの際正しいと思う。この点について大臣の御意見を承りたい。
  133. 増田甲子七

    増田国務大臣 たとえばこれは国の行うべき戸籍事務を、甲村の村長と乙村の村長にそれぞれまかせておるとします。ところが、乙村の村長は病人である、そこで甲村の村長さんに戸籍の事務をまかせよう、一緒にやつてくれと言つたときに、乙村の方はほつとすべきだと思います。そういう意味に北海道もとつていただきたいと思います。要するに、やる気があれば解決はつく。たとえば東北開拓局でやつております事務を、福島県知事に委任をしたといたします、それには費用も持つてやれば、役人の弁当も持つてつて事務をやつております。総理府の役人が行つてつておるのですから、国の事務を執行しておるわけです。これも北海道の費用を使おうというわけでも何でもないのです。ですから、ほつとしこそすれ、北海道地方負担がふえるということは、私はどう考えても胸に落ちかねます。
  134. 門司亮

    ○門司亮君 ただいま大臣は戸籍事務をおとりになりましたが、戸籍事務に対しましては、国の仕事であるかもしれませんが、地方公共団体はこれに対して一銭も補助を受けておりません。われわれは戸籍事務は国の事務であるから、地方公共団体に補助をしてもらいたいということを言つておるのに、それを聞いてくれません。今増田さんは国の事務だと言われたが、われわれも国の事務だと考える。従つてこれは国の事務地方に委任されておる大きな事務であるから、その費用を地方公共団体に出してくれと言つておるのに、出してくれなかつたじやありませんか。それは増田さんの詭弁だと思う。それをここに取上げて、戸籍事務に対比して、これは国の事務であるとかないとか言われるのは私はどうかと思う。そんなことは増田さんもおわかりだと思う。われわれはそういうこまかい議論をしておるのではない。従つて私は、ただそういう法的な措置をとられたかどうかということを聞いておる、しかもそれが一方的でなかつたかどうかということを聞いておる。増田さんが一方的であるというお考えなら、それでいいと思いますが、その点をもう一回はつきりとお聞かせ願いたいと思います。
  135. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は全然地方財政には関係がないと思うのです。そうすると、いろいろな法規、完全法をつくつても、あるいは関係して来るかもしれない。一々地方財政委員会にかけなければならぬでしよう。われわれが確信を持つて地方財政には全然増減なしに、現在でも北海道の土木部あるいは開拓部で仕事はいたしておりまするが、人間も事業も截然と区別されておるのです。そのうち国の直轄事業は、総理府の役人が現在やつておるから、これをはずして総合開発局をつくろう、これだけなんです。  それからあなたは戸籍事務、ついて反駁されましたが、もし地方負担であるならば、なおさらその隣の村長は、ああよかつたなあといつて喜ぶべきじやないでしようか。
  136. 門司亮

    ○門司亮君 そういうりくつを言つておるのではありません。
  137. 江花靜

    江花委員長代理 門司君に申し上げます。時間は切れておりますが、御熱心さに免じまして、お許しをいたします。
  138. 門司亮

    ○門司亮君 大臣のお話でありますが、こういう問題を処理せられまするのに、自分だけの独善的な物の考え方で、地方財政に関係がないということをおつしやられても……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)……もし地方財政に多少なりとも関係があるということがわかつた場合には、大臣はどういう責任をおとりになりますか。
  139. 江花靜

    江花委員長代理 門司君に申し上げますが、建設大臣は御答弁されないそうであります。  これにて質疑は終了いたしました。この際お諮りいたします。本案に対する質疑はこれにて終了いたし、明二十八日午前十時より、討論、採決に入ることに賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  140. 江花靜

    江花委員長代理 起立多数。よつてさよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十六分散会