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1951-05-26 第10回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十六日(土曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 木村 公平君    理事 青木  正君 理事 江花  靜君    理事 坂田 英一君 理事 船田 享二君    理事 鈴木 義男君       井上 知治君    大内 一郎君       玉置 信一君    本多 市郎君       松本 善壽君    松岡 駒吉君       池田 峯雄君    小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         総理府事務官         (恩給局長)  三橋 則雄君         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         北海道開発庁次         長       岡田 包義君         労働政務次官  山村新治郎君  委員外出席者         議     員 青柳 一郎君         議     員 今村 忠助君         参議院議員   高橋進太郎君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 五月二十六日  委員池田勇人君及び河田賢治君辞任につき、そ  の補欠として玉置信一君及び池田峯雄君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十五日  北海道開発法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八〇号)  審議会等整理のための文部省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一四九号)(参  議院送付)  審議会等整理のための労働省設置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一五七号)(参議  院送付) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  北海道開発法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八〇号)  審議会等整理のための文部省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一四九号)(参  議院送付)  審議会等整理のための労働省設置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一五七号)(参議  院送付)  北上川開発法案川村松助君外八名提出参法  第二五号)(予)   請願  一 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(青    柳一郎紹介)(第一九三号)  二 恩給及び扶助料額修正に関する請願(中島    茂喜君紹介)(第二五三号)  三 戦傷病者に対する恩給増額請願外一件    (長野長廣紹介)(第三三八号)  四 水産省設置に関する請願小高熹郎君紹    介)(第三八一号)  五 運輸省設置法の一部改正に関する請願(淺    沼稻次郎紹介)(第四五二号)  六 戦傷病者に対する恩給増額請願大内一    郎君紹介)(第四六四号)  七 同(川野芳滿君外一名紹介)(第四六六    号)  八 戦傷病者に対する恩給増額請願船田享    二君紹介)(第五五三号)  九 同(星島二郎君外一名紹介)(第六〇五    号) 一〇 公職追放解除特別訴願委員会設置に関する    請願福田昌子紹介)(第六八六号) 一一 恩給制度根本的改正に関する請願(小川    原政信紹介)(第六九一号) 一二 元軍人老齢者恩給復活並びに追放解除に    関する請願永井要造紹介)(第六九二    号) 一三 水産省設置に関する請願鈴木善幸君紹    介)(第七一〇号) 一四 戦傷病者に対する恩給増額請願河野謙    三君紹介)(第七二四号) 一五 水産省設置に関する請願石原圓吉君紹    介)(第八三九号) 一六 戦傷病者に対する恩給増額請願逢澤寛    君紹介)(第八四四号) 一七 戦傷病者に対する恩給増額請願(羽田野    次郎君紹介)(第九九五号) 一八 国家警察予備隊分遣隊新設に関する請願(    田中伊三次君紹介)(第一〇四五号) 一九 戦傷病者に対する恩給増額請願淵上房    太郎紹介)(第一〇四六号) 二〇 公務員恩給制度確立に関する請願(加藤    充君外一名紹介)(第一一六五号) 二一 同(大石ヨシエ紹介)(第一二六二号) 二二 公務員の新恩給制度確立に関する請願(    堀川恭平紹介)(第一三四八号) 二三 同外一件(岡田五郎紹介)(第一三四九    号) 二四 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(村    上勇紹介)(第一四〇五号) 二五 戦傷病者に対する恩給増額請願淵上房    太郎紹介)(第一四〇六号) 二六 公務員の新恩給制度確立に関する請願(前    田種男紹介)(第一四一七号) 二七 同(堀川恭平紹介)(第一四六二号) 二八 同(柄澤登志子紹介)(第一四六三号) 二九 同(有田喜一紹介)(第一五二六号) 三〇 戦傷病者に対する恩給増額請願長野長    廣君紹介)(第一四六四号) 一二 陸地測量師に対する恩給復活に関する請願    (高木章君外一名紹介)(第一五六〇号) 三二 戦傷病者に対する恩給増額請願苅田ア    サノ君外一名紹介)(第一五八五号) 三三 公務員の新恩給制度確立に関する請願(武    藤嘉一紹介)(第一五八七号) 三四 同(川西清紹介)(第一五八八号) 三五 同(塩田賀四郎紹介)(第一六五二号) 三六 公務員の新恩給制度確立に関する請願(今    村忠助紹介)(第一六七〇号) 三七 同外一件(原健三郎紹介)(第一七〇一    号) 三八 同外一件(降旗徳弥紹介)(第一七六一    号) 三九 同(大上司紹介)(第一七七二号) 四〇 同(山口シヅエ紹介)(第一七七七号) 四一 元海軍技師恩給法適用請願山崎岩男    君紹介)(第一七〇二号) 四二 戦傷病者に対する恩給増額請願(亘四郎    君外一名紹介)(第一七七一号) 四三 公務員の新恩給制度確立に関する請願外一    件(倉石忠雄紹介)(第一八〇七号) 四四 同(松岡駒吉紹介)(第一八〇八号) 四五 同外一件(井出一太郎紹介)(第一八二    二号) 四六 同(小坂善太郎紹介)(第一八二二号) 四七 同(川西清紹介)(第一八四五号) 四八号(田中重彌君紹介)(第一八    四六号) 四九 同(小坂善太郎紹介)(第一八六五号) 五〇 同(福田篤泰紹介)(第一八六六号) 五一 同(松岡駒吉紹介)(第一八六七号) 五二 同外一件(増田甲子七君紹介)(第一八八    七号) 五三 同(吉田省三紹介)(第一九〇二号) 五四 同(井出一太郎紹介)(第一九二八号) 五五 同(有田喜一紹介)(第一九二九号) 五六 同(吉川久衛紹介)(第一九三〇号) 五七 同(田中重彌君紹介)(第一九三一号) 五八 同(鈴木茂三郎紹介)(第一九三二号) 五九 同(石田一松紹介)(第一九三四号) 六〇 戦傷病者に対する恩給増額等請願(菅家    喜六君紹介)(第一八二〇号) 六一 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(青    柳一郎紹介)(第一八四四号) 六二 公立学校教職員に新恩給制度適用に関する    請願長野長廣紹介)(第一九一四号) 六三 国家警察予備隊設置費全額国庫負担請願    (倉石忠雄紹介)(第一九八二号) 六四 戦傷病者に対する恩給増額請願金子與    重郎君紹介)(第二〇〇一号) 六五 公務員の新恩給制度確立に関する請願(栗    山長次郎紹介)(第二〇一四号) 六六 同(吉川久衛紹介)(第二〇四二号) 六七 同(吉田省三紹介)(第二〇七五号) 六八 同(井出一太郎紹介)(第二〇七六号) 六九 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(青    柳一郎紹介)(第二〇七七号) 七〇 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(青    柳一郎紹介)(第二一二六号) 七一 公務員の新恩給制度確立に関する請願(塩    田賀四郎紹介)(第二一三四号) 七二 同(有田喜一紹介)(第二一三五号) 七三 同(上林山榮吉君外七名紹介)(第二二一    一号) 七四 元海軍技師恩給法適用請願宮原幸三    郎君紹介)(第二一四九号) 七五 元軍人老齢者恩給復活に関する請願(受    田新吉紹介)(第二三〇六号) 七六 公務員の新恩給制度確立に関する請願外一    件(松澤兼人紹介)(第二三三七号) 七七 同(松澤兼人紹介)(第二三四九号)   陳情書  一 私立学校教職退職者恩給に関する陳情書    (第四一号)  二 公職追放解除に関する陳情書    (第四七号)  三 身体障害者に対する恩給増額等に関する陳    情書(第    九八号)  四 川棚町に警察予備隊分遣隊新設に関する陳    情書    (第一一二号)  五 昭和二十三年六月以前の退職官吏に対する    恩給増額陳情書    (第二二四号)  六 傷い者恩給増額に関する陳情書    (    第二四九号)  七 恩給増額に関する陳情書    (第三二〇号)  八 出版用紙に関する陳情書    (第三二二号)  九 昭和二十三年六月以前の退職官吏に対する    恩給増額陳情書    (第三九二号) 一〇 傷い軍人恩給増額等陳情書    (第四三    一号) 一一 追放解除に関する陳情書    (第四四六号) 一二 傷病者恩給増額に関する陳情書    (第五〇八号) 一三 出版用紙の配給及び価格の統制撤廃反対の    陳情書    (第六〇    一号) 一四 水産省独立に関する陳情書    (第六八〇号) 一五 水産省設置に関する陳情書    (第六八六号) 一六 新聞用紙統制撤廃反対に関する陳情書    (第七一六号) 一七 遺族に対する恩給扶助料等受領順位に関す    る陳情書    (第七一    七号) 一八 老齢恩給者に対する臨時加給陳情書    (第七四八    号) 一九 元海軍技師恩給給付に関する陳情書    (第七六九    号)     ―――――――――――――
  2. 木村公平

    木村委員長 これより会議を開きます。  本日は審議会等整理のための文部省設置法等の一部を改正する法律案審議会等整理のための労働省設置法の一部を改正する法律案、さらに昨日付託されました北海道開発法の一部を改正する法律案利根川開発法案、及び請願陳情書議題といたします。  まず審議会等整理のための文部省設置法等の一部を改正する法律案議題といたし、討論採決に入りたいと思います。  討論を省略し、ただちに採決に入るに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村公平

    木村委員長 御異議がなければさよう決定いたし、採決を行います。  本案について御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立
  4. 木村公平

    木村委員長 起立多数。よつて本案原案の通り可決いたしました。  次に審議会等整理のための労働者設置法の一部を改正する法律案議題といたし、討論採決に入りたいと思います。  討論は省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木村公平

    木村委員長 御異議がなければさよう決定いたし、採決に入ります。  本案について御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立
  6. 木村公平

    木村委員長 起立多数。よつて本案原案の通り可決いたしました。  なおこの際お諮りいたしますが、右両案についての委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 木村公平

    木村委員長 御異議がなければさようとりはからいます。     —————————————
  8. 木村公平

    木村委員長 次に北海道開発法の一部を改正する法律案について、政府より提案理由説明を求めます。増田建設大臣。     —————————————
  9. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 北海道開発法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の概略を御説明申し上げます。  戰後わが国国民経済の復興と、人口問題の解決に寄与するため、北海道に存在する豊富な未開発資源を急速に開発すべく、昨年五月第七国会において皆様の御賛同を得て、北海道開発法が成立いたしたのであります。この北海道開発法に基き、総合開発計画樹立機関として、北海道開発庁総理府の外局として設置されたのであります。  今回北海道開発を強力に推進するために、北海道開発法の一部を改正せんとするものでありまして、その改正の要旨は、第一に北海道開発に関する公共事業費のうち、国が行うところの直轄事業は直接国が執行するようにいたしますため、現地に国の執行機関として、北海道開発局を設けることにしたのであります。  第二は、その執行機関は、北海道開発庁支分部局として設置することとし、かつ農林省運輸省及び建設省の各大臣はそれぞれの所掌事務について、その機関の長を直接指揮監督するものといたしました。  次に、これが改正理由を申し上げます。  北海道開発公共事業費は、一括開発庁にとりまとめてこれを計上し、しかる後に農林省運輸省及び建設省に予算の移しかえをして執行いたしているのであります。右の直轄事業を執行するために、官吏たる地方事務官地方技官現地に約三千二百名配置いたしておりまして、この官吏の任免及び俸給の支給は、すべて現に総理大臣の直接権限にあるのであります。  戰後北海道わが国全体の立場において占むる地位並びにその特殊性にかんがみ、さきに政府は国策として北海道開発を行いますために、積極的な意欲と熱意をもつて北海道開発法の制定をはかつたのでありまして、今後はますますその重要性を加えて行く段階にあると申さねばなりません。  従つて国費直轄事業のごときは、ますますこれを増加拡充せねばならないのであります。  北海道開発は、国家の総力をあげて解決すべき問題であり、国民的事業として国はその計画から事業執行まで一貫して名実とも国民に対して責任を負うことが、全日本の再建はもとより北海道民生活飛躍的向上のため絶対に必要であります。  かかる意味におきまして従来の、ごとく知事官吏を指揮監督せしめていたのでは、その責任の所在に明瞭を欠くきらいがあるのみならず、とうてい前記目的を達成することは至難でありますから、これを根本的に改めまして、直接政府国民に対する責任において執行することに変更したのであります。  かかる措置によりまして、北海道開発局で所掌するものは、公共事業のうち、国の直轄事業のみを取扱うものでありますから、直轄事業以外の補助事業即ち公共団体本来の事業は、従来の通り知事指揮監督下に置くものであります。それによりまして官吏につきましても、事業の分離に伴いまして分離することはもちろんであります。  これが今回改正しようとする根本義でありまして、かかる措置により北海道開発に対しましては、国民代表者たる国会に対する責任を負い得る態勢において強力に推進する所存であります。  以上この改正法案につきまして、その提案理由内容の概要を御説明いたしました。  何とぞ御審議の上、御賛成くださるようお願いいたします。
  10. 木村公平

    木村委員長 これにて提案理由説明は終りました。午前中はこの程度にいたし、今後一時より再会いたします。暫時休憩いたします。     午前十一時四分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  11. 木村公平

    木村委員長 午前中の会議に引續き、会議を開きます。  まず請願審査を行います。紹介議員のおられないものは文書表朗読をもつて審査を行います。  まず日程第一、第一二、第二四、第六一、第六九及び第七〇、元軍人老齢者恩給復活に関する請願青柳一郎紹介文書表番号第一九三号、第六九二号、第一四〇五号、第一八四四号、第二〇七七号、第二一二六号について審査を進めます。青柳一郎君。
  12. 青柳一郎

    青柳一郎君 四件について請願趣旨を申し述べます。  一つは元兵隊出身高齢軍人恩給復活に関する請願であります。これらの人々は召集令状一本でもつて召集せられまして、軍隊における勤務ぶりが比較的よかつたというので、再服役を勧められるままに軍隊に残りまして、下級幹部としてそれぞれ相当年数軍隊で過しましたので、ようやくわずかばかりの恩給をもらつて退職した後、これを生活資金の主体として新たに生活の道を立てる考えで帰つて来ましたところ、働き盛りで元気旺盛な時代を軍隊で消耗したために、一般社会職業戰線から取残され、思うような職業にもありつけず、辛うじて生活を維持して来たのであります。しかるに昭和二十一年二月恩給権を停止せられまして、かれらといたしましては年齢はすでに老い、活動力は弱つて物価騰貴のこの際、餓死状態で彷徨するありさまであります。他の公務員退職者と比較いたしまして、どうしても納得のできないところであります。のみならず、この恩給なくしては生活ができない年齢と境遇にあるのであります。人命救助意味によりまして、兵出身下級将校准士官、下士官、兵の恩給権復活していただくように請願いたしておるのでございます。  もう一つ請願は、これは兵隊ではございませんが、東京都の正戸という人でありまして、本年八十六歳、元海軍将校であります。若い時分には鎮守府の参謀軍令部参謀というようないい地位を歴任いたしました。明治四十年に病気のために四十二歳にしてやめたのであります。その当時恩給年金をもらいまして、妻子六人の養育に努めました。その後友人の勧告によりまして、三重県立鳥羽商船学校長を拝命いたし、さらにその後に至りまして鹿児島県立商船水産学校長となり、昭和七年に後進に道を譲るためにその職をやめて、もつぱら恩給年金によりまして、妻子六人を養育しておつたのであります。その後昭和二十一年の恩給停止によりまして、非常に生活に困難いたしました。長男の手によりまして七人の家族を養われておつたのでありまするが、非常な生活の困難のため、この老人夫婦二人は養老院に入ろうと思いましたけれども、現に長男がおつてそれが扶養義務を持つておるというような点から、このことも容易にできません。妻は数年前から脳溢血にかかつて、まだまだ療養を要するという状態であります。この人は若いときは日清日露戰役に従事したことがありまして、これら日清日露戰役は国の安危に関するために、わが国の安全と平和を守るために戰つたものであつて日米戰争のようにみずから進んで他国を侵略した戰争とは同日の論ではないのであります。單に元軍人であつたという意味をもつてその巻添えを食い、いやおうなしにたちまち恩給年金ともに没收せられたことは、非常に遺憾千万である。ことにすでに軍職をしりぞいて、いささかも軍事に従事せざること四十数年、もつぱら教育事業に従事しておつたこの人に対しましての処置としては非常に遺憾である。その後戰争が済んでから真の戰犯の調査も進み、戰犯の処刑も済み、戰後すでに六年に至つておるに、いまなお何らの手を講じていただけない。どうかこの際、今回の太平洋戰前軍職をしりぞき、いささかも太平洋戰争当時の軍職に関係せざりし者であつて終戰当時年齢七十歳以上にして現に労役に耐えがたき者は、すべて恩給復活していただきたいという心からのお願いであるのでございます。  その他の請願におきましても、太平洋戰争に関係がないのみか、普通刑法によりましても殺人罪でも十年間でもつて時効によつて消滅する、それだのに二十年、三十年前にさかのぼつて日清日露戰争により功労があつた者に対する恩給年金までも没收されておつて、非常に困つておる、これはりくつにも合わない、一方において公務員は次第々々に増額される恩給をもらつおるのに、われわれとしてはどうしてもふに落ちない。何とかこの際これら年とつた軍人に対しまして恩給復活していただきたいという、まことにお気の毒な願いであるのでございます。何とぞ御採択お願いしたいと思います。  なお昭和二十一年の軍人恩給停止によりまして恩給を停止せられた者は、これら軍人ばかりではございません。遺族に関する恩給も停止せられておるのでございます。遺族年金復活の問題に関しましては、他の委員会におきましてもすでに採択しておるのでございます。軍人恩給停止についての指令はあるといえども、採択を願つている次第でございまして、何とぞ当委員会におかれましても、これらの非常にお気の毒な方々の身を思いやつていただきまして、御採択あらんことを切に懇願申し上げます。
  13. 木村公平

    木村委員長 政府意見を求めます。三橋恩給局長
  14. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今請願になりました人々恩給が廃止されておりますのは、御承知のごとく昭和二十年の十一月二十四日の連合軍最高司令官から日本政府に対しまして発せられました覚書に基いておるのであります。この覚書がいまなおありまする現在におきましては、政府におきまして今ただちに請願趣旨をそのまま履行するということは困難ではないかと思つております。請願されておりまする方々の心情には心から同情はしておるものでありますが、今申し上げましたような覚書がありまする以上は、ただちに御希望に沿うようなとりはからいをするとこは困難ではないかと思います。
  15. 青柳一郎

    青柳一郎君 ただいま政府御当局の御意見は、現在は困難であるということでございます。従いまして将来各種の情勢が変化した場合には努力をするというお話であろうかどうかという点につきまして承りたいと存じます。
  16. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 昭和二十年十一月一十四日に連合軍最高司令官から、今申し上げました覚書日本政府に発せられましたときには、政府総理大臣初めその他首脳部方々は、でき得る限りの力を盡して、軍人思給の廃止の覚書に対しまして善処されたのでありますが、その力及ばずして今日に至つておるのであります。私は今もなお政府全体の首脳部方々の考え方は、そのときといささかもかわつていなかろうと考えております。     —————————————
  17. 木村公平

    木村委員長 次に日程第七五、元軍人老齢者思給復活に関する請願議題といたします。紹介議員受田新吉君欠席のため、文書表を朗讀いたさせます。     〔書記朗讀〕  元軍人老齢者恩給復活に関する請願    請願者 徳山市福川町千二百四十九番地 三宅伊久治    紹介議員 受田 新吉君  今次大戰の初期すなわち昭和九年一月二十日より同十一年十二月一日に至る三箇年の長期にわたり、多年懸案であつた兵員福祉の問題について海軍省より大命を帶びて建設工事に従事中、過労のためか大喀血し倒れましたが、建設途上転地療養を許されず、自宅にて治療しつようやくにして事業を完成しました。その後定期検査により現役不適として予備役に編入され、呉鎮守府より海軍省予備役嘱託として再び海仁会設立命令を受け、回復不十分という理由から断つたにもかかわらず、受諾を余儀なくされました。回復不十分のために激務にたえかね、昭和十三年九月またもや脳溢血で倒れ、十月三十一日退職いたし、自宅において静養いたしましたが、回復の色もなく、遂に退職後一年十一箇月にして両側性半身不随廃疾者となりました。以上のごとく命令に従い、本領たる責任感のもとに苦痛も顧みず執務し、そのため疲労衰弱し、再度の発病から遂に廃疾者となつたものでありまして、これらは当然公務上の傷害として公傷病恩給を受ける資格ありと確信し、再度申請いたしましたが、資格なしとして受付けられず、老齢の痩身を二人の看護人に助けられて今ここに最後のお願いとして老齢廃疾者の泣情として、せめて老齢軍人に対しての恩給復活請願するものであります。     —————————————
  18. 木村公平

    木村委員長 次に日程第二、恩給及び扶助料額修正に関する請願議題といたします。文書表朗読させます。     〔書記朗読〕  恩給及び扶助料額修正に関する請願(第二五三号)    請願者 福岡県朝倉郡退職公務員連盟代表 具島文太郎外十名    紹介議員 中島 茂喜君  本請願の要旨は、今回退職公務員恩給及び遺族扶助料の増額により、生活苦にあえいでいた受給者は若干愁眉を開くことができたが、この受給額が退職の年度により非常に差があるため、不公平を来している。受給額は、勤續年数と履歴とによつて最も公平に支給されるべきものであり、恩給算定の基礎である俸給額の切りかえも、合理的に行われるべきものであるが、別表の通りに受給額に莫大な差が生じている。ついては、恩給及び扶助料額の不公平、でこぼごを修正されたいというのである。
  19. 木村公平

    木村委員長 政府の御意見がありますか。
  20. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 恩給及び扶助料の金額は、公務員の給与ベースの改訂に伴いまして増額されたのであります。その増額は、新しい給与令中の俸給の中で、退職当時の俸給に対応します俸給の金額をとらえまして、その金額を退職当時の俸給とみなして、恩給年額の計算をし直して増額したのであります。従いまして今請願にありました、ごとくに俸給のベースが引上げられまして、それに伴つて恩給が増額された際に、その俸給給与ベースの引上げの金額によつて恩給の年額に不公平を生ずるようなことはない、ご5いうふうに考えております。
  21. 木村公平

    木村委員長 次に日程第三六、公務員の新恩給制度確立に関する請願議題といたし、紹介議員説明を求めますが、日程第三八、第四三、第四五、第四六、第四八、第四九、第五二、第五四、第五六、第五七、第六六及び第六八は右請願と同一趣旨でありますので、一括して議題といたしたいと思います。紹介議員村忠助君。
  22. 今村忠助

    ○今村忠助君 簡單に要旨を申しますと、昭和二十一年六月三十日以前の退職者に対する恩給は、その後の退職者に比して著しく低額である。これをひとつ公正に改めていただきたい、こういうのが請願趣旨であります。おそらく他にも同様な請願があつたと思いますが、ぜひこれは御採択お願いいたします。
  23. 木村公平

    木村委員長 政府意見を求めます。三橋恩給局長
  24. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 前の請願の際にお答えいたしました通りに御承知願いたいと思います。
  25. 木村公平

    木村委員長 次に日程第三、戰傷病者に対する恩給増額請願外一件を議題といたします。なお日程第六ないし第九、第十六、第十七、第十九、第二五、第二〇、第三二及び第四二の各請願は、右と同一趣旨でありますので、一括して議題といたします。文書表朗読いたさせます。     〔書記朗読〕  戰傷病者に対する恩給増額請願外一件(第三三八号)    請願者 高知市帶屋町九十五番地 安井勝正外三万三千四百三十七名    紹介議員   長野 長廣君  本請願の要旨は、数年来、飛躍的な物価高騰のため、一般国民生活困窮の極に達している今日、身体障害により十分なる活動のできない戰傷病者生活は言語に絶するものがある。しかるに労働能力を有する健康者の俸給または恩給が数回の増加を見たに反し、戰傷病者は補償されずにいることはきわめて遺憾である。ついては、すみやかに戰傷病者に対して恩給を増額されたいというのである。
  26. 木村公平

    木村委員長 次に日程第六四、戰傷病者に対する恩給増額請願議題といたし、同一趣旨でありまする日程第一四及び第六〇を一括議題といたします。文書表朗読いたさせます。     〔書記朗読〕  戰傷病者に対する恩給増額請願(第二〇〇一号)    請願者 全国国立病院患者同盟中央委員長 上田 正    紹介議員 金子與重郎君  本請願の要旨は、戰争犠牲による旧軍人傷病者は、働くための身体の全機能を失い、その生活現状は言語に絶する困窮下に置かれている。ついては、左記事項につき、恩給法の一部を改正されたいというのである。(一)現行の旧軍人傷病恩給を、一般公務員並に引上げ、そのわくを拡大して、軍属による不具療養者を含ませること。(二)傷病恩給の階級制度を撤廃し、傷病者の症状等差によつて差額を制定すること。(三)傷病恩給受給者で、二項症以上で、昭和二十三年九月一日以前に妻帶した者にのみ家族扶助料を支給し、昭和二十三年九月一日以降の妻帶者には支給されていないから、同額を適用すること。
  27. 木村公平

    木村委員長 次に日程第一一、恩給制度根本的改正に関する請願議題といたします。紹介議員が欠席でありますから文書表朗読いたさせます。     〔書記朗読〕  恩給制度根本的改正に関する請願(第六九一号)    請願者 北海道恩給受給者代表 久田儀兵衛外二千六百十名    紹介議員 小川原政信君  本請願の要旨は、恩給法が二回にわたつて改正され、恩給の増額が行われたのであるが、恩給の額が僅少なため、恩給受給者の生活は困窮を加えつつある。近く社会保障制度が樹立されるにあたつて恩給法がどのように措置されるか前途に不安があるので、左の事項を考慮されたいというのである。(一)恩給制度根本的改正にあたり、現恩給受給者の既得権を確保するように措置すること、(二)国家公務員に対する賃金ベースの改訂の都度恩給受給者の仮定俸給年額もこれに併行して改訂すること、(三)第一次、第二次の改正恩給法臨時特例中、最近退職者に比し恩給受給額不均衡の者が多数あるから、すみやかに完全是正すること。
  28. 木村公平

    木村委員長 次に日程第二〇、公務員の新恩給制度確立に関する請願及びこれと同一趣旨日程第二一、第二六、第二八、第三三、第四〇、第四四、第五〇、第五一、第五八、第五九、第六五及び第七三を一括議題といたします。文書表朗読お願いいたします。     〔書記朗読〕  公務員の新恩給制度確立に関する請願(第一一六五号)    請願者 神戸市生田区楠町二丁目四十一番地の五兵庫県退職公務員連盟理事長 岡田太郎    紹介議員 加藤  充君  立花 敏男君  本請願の要旨は、公務員が職務に安住専念して全生涯を公僕として終始することができるような在職中の給与と老齢退職後に対する生活安定の道が十分保障されて初めて公務の民主的かつ能率的運営を期することができるのであるが、近く公務員制度確立の必須要件として公務員法の精神に基き、その規定にふさわしい内容を持つた恩給制度法案が国会提出されるとのことはまことに喜ばしいことである。ついては、新公務員制度確立のため、これが法案の提出を促進するとともに、そのすみやかなる成立を要望するというのである。
  29. 木村公平

    木村委員長 次に日程第二二、公務員の新恩給制度確立に関する請願及びこれと同一趣旨日程第二三、第二七、第二九、第三四、第三五、第三七、第三九、第四七、第五三、第五五、第六七、第七一、第七二、第七六及び第七七を一括議題といたします。文書表朗読お願いします。     〔書記朗読〕  公務員の新恩給制度確立に関する請願(第一三四八号)    請願者 兵庫県宍粟郡山崎町入江栄太郎外百二十二名    紹介議員 堀川 恭平君  本請願の要旨は 恩給制度に関するマイヤース氏の勧告書は、その趣旨原則において真に民主的であり、五十万受給者の生活を擁護するとともに、現職公務員をして、その職務に安住専念せしめるに足るものと思うから、次の事項を改善されたいというのである。(一)扶助料の支給額中遺族一人の場合は、従前通り普通恩給の二分の一とすること。(二)政府恩給案における昭和二十三年七月以前に退職もしくは死亡した者に関する勧告改訂表中(3)の(1)に対する比率を合理化し中央が六十倍となるよう修正すること。(三)地方財政の実情にかんがみ、地方自治団体の恩給負担額を五〇%に修正し 国庫負担額を五〇%に増額すること。     —————————————
  30. 木村公平

    木村委員長 次に日程第六二、公立学校教職員に新恩給制度適用に関する請願議題といたします。文書表朗読を願います。     〔書記朗読〕  公立学校教職員に新恩給制度適用に関する請願(第一九一四号)    請願者 東京都杉並区西田町一丁目七百四十八番地 野口彰外三十二名    紹介議員 長野 長廣君  本請願の要旨は、目下人事院において作製中の新恩給制度は、強制的には国家公務員に限 れ、地方公務員は任意加入によつて適用される由であるが、従来、教職員は、国立の学校に勤める教員公務員はもちろん、公立学校に在職する教職員をも含めて恩給法の規定の中にあつたのに反し、今度の立法で、それが分離されようとしていることは、はなはだ遺憾にたえない。ついては、公立学校教職員も従来通り新恩給制度を適用されるとともに、教育公務員の職務の特殊性にかんがみ、なんらかの優遇の方途を講ぜられ、また任意加入制をとるときは府県單位にされたいというのである。     —————————————
  31. 木村公平

    木村委員長 次に日程第三一、陸地測量師に対する恩給復活に関する請願議題といたします。文書表朗読を願います。     〔書記朗読〕  陸地測量師に対する恩給復活に関する請願(第一五六〇号)    請願者 東京都世田谷区世田谷四丁目六百六十五番地武藤勝彦外九百九十七名    紹介議員 高木  章君 坪川 信三君  本請願の要旨は、陸地測量部に永年奉職して来た高等文官技術者は、今次大戰のため恩給を支給されていないが、これらの技術者は、戰時、軍部に奉職して来たとはいえ、その職務は、平和産業への教育、交通並びに地上施設の設計資料として重要なものであり、いずれの国家においても国土経営上不可欠な事業である。しかるにこれらのものに対してのみ恩給を停止し、同じ官衙に従事した判任官、技術者並びに陸海軍の理事官、事務員等に支給されていることは不合理もはなはだしい。ついては、陸地測量師に対し恩給復活されたいというのである。     —————————————
  32. 木村公平

    木村委員長 次に日程第四一、元海軍技師恩給法適用請願、これと同一趣旨の第七四の請願を一括議題といたします。文書表朗読お願いいたします。     〔書記朗読〕 元海軍技師恩給法適用請願(第一七〇二号)    請願者神奈川県逗子町桜山広地八百二十三番地 赤星安太郎外九名    紹介議員 山崎 岩男君  本請願の要旨は、元海軍関係に勤務していた技術系高等文官(海軍技師)の勤務年数は、恩給資格年数として認められず、従つて、これらのものは普通文官恩給を支給されていないが、その生活は現下窮乏のどん底にあるから、これらのものにも一般文官同様に普通文官恩給制度を適用されたいというのである。
  33. 木村公平

    木村委員長 以上をもつて本日の請願日程中、恩給関係の審査を終了いたしました。  以上の請願に対する委員会の態度につきましては、請願日程中第一ないし第三、第六ないし第九、第一一、第一二、第一四、第一六、第一七、第一九ないし第六二、第六四ないし第七四、第七六及び七七以上の各請願採択の上、内閣に送付すべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 木村公平

    木村委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  35. 木村公平

    木村委員長 次に北上川開発法案議題といたし、提案者の趣旨説明を願います。参議院議員高橋進太郎君。
  36. 高橋進太郎

    ○高橋参議院議員 ただいま予備審査お願いいたしております北上川開発法案につきまして、提案者を代表いたしまして提案趣旨を御説明申し上げます。  北上川は御承知の通り、岩手、宮城両県にまたがり、延長二百四十三キロ、その流域面積百二十万町歩に及ぶ本邦弟二位の大河であります。しかして岩手、宮城の両県は、わが国の重要なる食糧生産県であり、昭和十六年より同二十二年の七箇年平均によると、年二百八十四万石の生産をあげているのでありますが、その中心穀倉地帶はこの北上川流域であり、人口約百五十万人がこの地帶にその生業を託しているのであります。しかるにこの地帶は、古来水害地として有名でございまして、明治初年より今日に至るまで、主要なものだけでも九十回の水害に見舞われ、昭和二十二年より同二十四年に至る二年間における災害復旧費のみで、二百億円を越える状態であります。農業を王とするこれら住民の生活は困窮し、地方財政も破綻に瀕しつつある実情であります。かかる災害頻度の多いのは、気象条件にもよることでありますが、流域全般にわたる水源の荒廃と水害防除施設の放置が、この最も大きな原因であることは明らかであります。よつて岩手、宮城両県の当局者並びに県民が二十二年以来各方面の権威者の意見を聞き、地元民の体験と希望をいれて、拔本的災害防除施策を立てるべく考究して参つたその結論が、お手元に配付してあります北上川流域総合治水計画書であります。すなわち本地域に対し治山治水利水事業を水系別に総合一貫した事業を施行し、国土の保全をはかるとともに積極的に土地生産力の増強をはかろうとするものでありますが、特に二毛作田の増成と耕種の改善により、食糧八十万石の飛躍的増産も可能であり、米一本にたよる不安定な東北型農業経営の改善を期することのほか、わが国において残された最も有望な本地帶の未開発資源開発して、わが国経済自立態勢確立に資し、あわせて多年後進地帶として取残された東北の振興に新しい光明を与えることが、国家的緊要事と考えるものであります。  これがため本法案を提出いたした次第でありますが、その法案の内容については、中央に開発審議会を設けて、総合計画の策定をなし、これを十年計画として実施することとし、その推進をはかるため、北上川開発庁を設けようとすることを趣旨とするものでありますが、その内容の詳細は、目下御審議せられております利根川開発法案と同様でありますので、説明を省略いたします。  何とぞ御審議の上、満場御賛成を賜わりますよう、お願い申上げる次第であります。
  37. 木村公平

    木村委員長 これにて提案理由説明は終了いたしました。御質疑はありませんか。
  38. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ちよつと質問したいと思うのですが、議員提案として出されました以上は、一応は政府に対する配慮ということも、立場々々によつてございましようけれども、沿岸住民が一日も早く北上川の治水の根本的な改革を欲している以上、十年間というのは少し長過ぎるじやないか。これはできれば三年あるいは五年ぐらい——五箇年、計画ぐらいででき得るような、議員提出ならば、そういう立場からやつた方がよかつたのではなかろうかと思うのでありますが、どういうわけで十年計画にされたのでありましようか。
  39. 高橋進太郎

    ○高橋参議院議員 ただいま御配付してあります資料でもおわかりの通り、総額約九百八十億の費用を要するのでございますが、何せ従来ほとんど放置されておりました北上川でございますので、これが総合開発については、国家財政の面等も考慮し、かつあわせてその工事が総合的に完璧を期するというためには、技術陣営の強化が必要でありまして、そういう面等も十分なる考慮を遂げて、十年ぐらいをもつて完結することが、各般の情勢からいたしまして最も適当である、こう考えた次第でございます。
  40. 池田峯雄

    池田(峯)委員 現在の政府の資金配分計画あるいは財政計画によりますと、とてもとても十年でもできないようでございます。利根川なども三十年もかかるというふうに言われておるくらいでございますので、これが十年間で完成せしめるというからには、提案者としては、資金配分計画ををこうこうこういう方法によつて十年間で完成するのだという抱負があることと存じますけれども、その抱負の一端でもお伺いできた 幸いだと思います。
  41. 高橋進太郎

    ○高橋参議院議員 御配付申し上げておる調査表にもございます通り、初年度におきましては——十年間で九百八十億でございますから、年平均にいたしますれば約百億になるのでございますが、大体最初の年は五十億ということで、漸次しり上りの状態になつておるのでございます。それは要するに、今後の日本の経済自立態勢の進展に併つて、こうした公共事業費に向けられる国家資本の増大とも見比べ、それらとマッチするように考えておるのでありまして、かつまたこの案を実施いたしますれば、大体年間約八十万石の米の増産等も期待し得るのでございまして、この程度のものはわが国における食糧の事情、また今後の国土開発並びに資本蓄積の上からも、大体無理のない程度である、こういうような観点から、こういう計画をいたした次第であります。
  42. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういう財政的な措置について、提案者は北上川だけのことをお考えになつておられるのでありましようか。それとも全国の直轄河川につきまして、やはり北上川と同じような開発法が出るといたしますと、それぞれ年間百億ないし二百億の支出が必要になつて来る。そうすると毎年度二千億ぐらいの国家支出が必要になつて来るということも予想されるのでありますが、そういう点をいかにして可能ならしめるか。こういう点につきまして、提案者の抱負を伺いたいと思つております。
  43. 高橋進太郎

    ○高橋参議院議員 十分ほかの河川の復旧状況も考えたのでございますが、われわれといたしましては、そういう全体的な立場をも考慮し、特にこの北上川水域が、先ほど御説明申し上げました通り、最もわが国においても取残されたる河川として、その荒廃がはなはだしく、かつまた年々の災害で、人命の危険が数度にわたつて直接さらされておるというようなことは、全国でもまれなる地域でございまして、そういう佳民の最も危険なる状況も考慮し、かつまた食糧の増産面からも、最も効果的な地域であるというような点から、われわれといたしましては、北上川には重点は置きましたけれども、他の河川につきましても一応の考慮を払いまして、この程度のものを国家的に取上げていただくことは、決して無理でない、こういう観点に立つた次第であります。
  44. 池田峯雄

    池田(峯)委員 提案者は、開発長官はそれぞれ国務大臣をもつて充てるということになつておりますが、たとえば北上川開発長官になるべき国務大臣が、利根川開発長官を兼務するというようなことについて、どういうお考えを持つておられるでありましようか。
  45. 高橋進太郎

    ○高橋参議院議員 そこまでは十分考えておりませんが、これは兼務せられても、運営上さしつかえないのじやないかというふうに考えております。
  46. 池田峯雄

    池田(峯)委員 質問を保留して次会にいたしたいと思います。
  47. 木村公平

    木村委員長 他に御質疑はありませんか。——それでは本件については、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  48. 木村公平

    木村委員長 なおこの際本日の日程中、日程第一八、国家警察予備隊分遣隊新設に関する請願議題といたします。文書表朗読を願います。     〔書記朗読〕  国家警察予備隊分遣隊新設に関する請願(第一〇四五号)    請願者長崎県東彼杵郡川棚        町長中尾栄太郎   紹介議員 田中伊三次君  本請願の要旨は、長崎県東彼杵郡川棚町は、国鉄長崎本線上にあつて交通至便であり、佐世保港とともに、朝鮮、満州、中国並びに西南アジヤに通ずるわが国の関門である。昭和十六年、地理的にも軍事的にも同町の重要性が認められ、海軍工廠並に嵐部隊が新設されて人口五万を算するようになつたが、同二十年工廠並びに部隊閉鎖により、現在人口一万六千の町になつた。工廠跡にはなお工場、倉庫その他建物があり、水道電力の施設が備つている上、ほかにも利用可能の広大な空地があるから、国家警察予備隊分遣隊を川棚町旧海軍工廠跡地に新設されたいというのである。
  49. 木村公平

    木村委員長 次に日程第六三、国家警察予備隊設置費全額国庫負担請願議題といたします。文書表朗読を願います。     〔書記朗読〕  国家警察予備隊設置費全額国庫負担  の請願(第一九八二号)    請願者 長野県議会議長 片桐知従紹介議員 倉石 忠雄君  本請願の要旨は、長野県に設置された警察予備遂は、隊員一千名程度の予定であつたところ、その後、当局の要請で四千名收容することとなり、その施設は著しく拡大され、従つて、所要経費もまた当初予定の数倍に増加したので、これが経費に対し相当多額の地元負担を要求されているが、現下財政の極度に逼迫しつつある地方財政においては、とうていその負担にたえがたい実情である。ついては、国家施設の所要経費を地方に負担せしめることは、地方財政法にも反するから、これが経費は全額国庫負担にされたいというのである。
  50. 木村公平

    木村委員長 以上二題に対し、政府意見を求めます。
  51. 江口見登留

    ○江口政府委員 長崎県の川棚町に警察予備隊を設置していただきたいという請願の御趣旨のようでございますが、警察予備隊はすでに御承知の通り、七万数千人の配置計画が定まりました。それぞれの営舎に適当に收容いたしておるのでございまして、新たに今のところ新しい営舎を設けて、そこに既存の予備隊員を移そうという意思は、今のところ政府として持つていない次第であります。  もう一つ、長野県の県会議長さんから出ておりまする請願趣旨でありますが、それは松本に警察予備隊を設置します際に、松本市といたしまして土地建物の相当部分を無償でお国に提供するから、この地に設置してもらいたいという趣旨のお申出がございました。長野県におきましては、松本のみならず、その他数箇所からのそういう誘致運動の競争がございまして、結局われわれといたしましては、松本の土地建物が適当と認めまして、そこに設置したのであります。当時松本市といたしまして、どの程度負担になるかということにつきましては、それほど詳しく調査していなかつたのでございます。予備隊が入つてみましていろいろ計算してみますると、松本市の申出によりますれば、八千万円程度の市の負担になるということを申しております。われわれといたしましても、それほど多額の経費を松本市に負担させるということは、はなはだ気の毒でありますので、今のところその一部を何とかして国で見ることができますように、目下予算上の措置を講じつつあります。それは本年度の予算の中から幾分をさいて、松本市の負担を軽くしたい、かように考えまして目下研究中でございます。ただその請願趣旨の中にあります文句といたしまして、多額の地元負担を強制しておるかのごとき字句がありますが、われわれの方といたしましては、決して強制したような事実はないのであります。しかしいきさつは何といたしましても、事実上の結果といたしまして、多額の負担になる次第でございますので、政府といたしましてもその一部を見たい、かように考えておる次第であります。
  52. 木村公平

    木村委員長 ただいまの二つの請願中、日程第六三のみを採択の上、内閣に送付することを適当と認めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 木村公平

    木村委員長 御異議がないようですから、さよう決定いたします。  なお、委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  54. 木村公平

    木村委員長 次に北海道開発法の一部を改正する法律案議題といたし、質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。鈴木義男君。
  55. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 この法律が成立するに至る過程において、動機と申しますか、多少疑わしい点がありまするので、その点からまず明らかにいたしておきたいと思う次第であります。  増田建設大臣は、私どもは比較的公平な、党派心のあまり強くない人として尊敬をいたしておるのでありますが、新聞の伝うるところ及びわれわれの情報に入つたところによりますると、札幌市において選挙応援の街頭演説を行われましたる際に、田中君なら、おいそれと予算も出せないが、黒沢君なら、ああ予算か、よしよしというのが人情である、諸君が黒沢君を知事にしなければ、道開発も十分にできないぞ、という趣旨の演説をされたというのでありますが、まさかそれほど露骨なことを仰せられたことはなかろうと存ずるのでありますけれども、念のため確かめておきたいのであります。御承知のように憲法第十五条では、公務員は全体の奉仕者であつて、部分の奉仕者ではない。たといいかなる党派から選ばれても、公務員になつた後は超党派的に働くべき責任を持つているわけでありまして、そのことは大臣たると知事たるとにおいて異なるところはないのでありまするから、さような発言は万なかろうと存ずるのでありますが、念のため確かめておきたいのであります。  なおこれは開道八十年以来ずつとやつて来た慣行をこの際根本的にくつがえすものでありまして、こういう重大な変革につきましては、あらかじめ道知事あるいは道議会等に相談をすることが常識的ではないかと考えられるのであります。五月十九日の北海道の新聞によりますると、増田建設大臣が今度のこの開発局の設置の問題については、選挙終了後にこれを行うことにきまつて、黒沢君が立候補したときにもその点について念を押しておいたほどであるということが、談話として載つておるのでありますが、それが事実であるかどうか承りたいのであります。それが事実であるといたしますれば、何も田中知事候補を他人扱いにする必要はないと思うのでありまして、田中知事候補にもやはり同じことをお話あつてしかるべきではなかろうかと考えられるのであります。特に田中知事候補を除外された理由を承つておきたいのであります。少くともこの分離問題が地元側が全然知らないうちに出たということは、何か非民主的なやり方のように印象づけられるのであります。その点につきまして一応御説明を承りたいのであります。
  56. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私の最も敬愛する鈴木さんの御質問にお答え申し上げます。まず第一に、そういう演説はまさか増田はなさるまいと想像されておりますが、その御想像通りでございます。そういうけちな演説は私は全然いたしておりません。  それから第二の、八十年来の慣行である。それから第三の、機構改革は地元にも話すべきであるし、候補者にも話すべきである。この御質問にお答え申し上げます。八十年来の慣行で実はないのであります。というのは、北海道の行政機構というものは、終戰後地方自治法ができたときに根本的に改革されてあるのでありまして、北海道庁長官といつた時代と北海道知事といつた時代の、その知事なり長官はまるきり性質が違うのであります。このことは行政機構のことについて主たる責任を持つていらつしやる内閣委員諸公に、ぜひとも心から御了解を得たいところであります。北海道は最初開拓使というものが置かれ、その長官は開拓使長官であり、御承知のように黒田清隆さんが長年月にわたつて開拓使長官をされておりました。内閣制度が創設された後は開拓使は北海道庁となり、その長官は北海道庁長官であります。これが昭和二十二年の四月まで續いておつたわけであります。そこで明治時代は鈴木さんも御承知の通り、北海道には自治はございません。たとえば北海道というのは国の行政区域でございまして、府県と同じような性質の自治団体の道というものはまだないのであります。北海道々々々といいましても、結局行政区域にすぎなかつた。すなわち自治は非常に遅れて許されたのであります。また町村も、一級町村、二級町村という言葉はございましたが、町村長はすべてこれ国の官吏でありまして、任命されたものであります。しこうして何々町村といいましても、自治団体では多少自治権はもとよりゆだねられておりましたが、内地とまつたく性質の違つたものである。ことに北海道というものは、これは府県というようなものではないのであります。そこで北海道庁長官は何をしておるかというと、国の出先機関であります。国の出先機関として、明治時代は北海道において国の行政を行つてつたのであります。ところが北海道が今度は国の行政区域というばかりでなく、自治を許される公共団体となつたのは、明治の末期から大正にかけてのことでありますが、このとき初めて北海道会というものが設けられたわけでありまして、北海道自身の自治行政も、北海道庁長官という国の出先機関があわせて行つておりました。これが昭和二十二年の四月まで續いた現象でありまして、北海道庁長官の立場なり地位は、従来大臣に次ぐ地位を与えられており、各省次官だとか、あるいは師団長、あるいは全権公使だとかいうものよりは高い地位を与えられていた。こういうのも、北海道が地域で申しますと四国の四倍半もある、すなわち地域的に申しますと四国の県を十八寄せただけある。人口から申しますと普通の府県の四倍以上ある。資源からいいますと、これは問題にならないくらい多い。たとえば材木で申しますと、全国六十億石と称せられますが、北海道にはそのうち二十億石あるといわれております。石炭にいたしましても、現在生産量は全国の四割ある。しかしながら埋蔵資源としてみますと、老年期に入つておると称せられます九州に比べますと北海道の方が多いであろう、こういうふうに言われておるのであります。そこでたとえば鉱山行政のごときは北海道において行つておりまするが、国の行政として行つておるわけであります。また林務行政のごときも北海道において行つておりまするが、国の行政として行つております。  それから、しからば北海道開発の仕事はどうなつておるか。従来昭和二十二年四月までは、国の機関である北海道庁長官がいたしておつたのであります。ところがあの四月に地方自治をつかさどる公選知事の制度ができたわけであります。そのとき本来は根本的の考え方を私どもは機構的にいたさなくてはならなかつたのであります。地方自治は従来北海道庁長官がやつておりましたけれども、国の行政の方が多かつたのであります。事務的に見ましても、あるいは予算的に見ましても八割は国の行政である。だからして北海道庁長官の地位も国でも相当優遇しておつて、ほとんど全権をゆだねて国の出先機関としてやつてつた。あわせて地方自治である事業分量、あるいは予算面から見まして二割の仕事を、知事というような立場と同様な立場の北海道庁長官がやつてつた、こういうわけであります。そこで公選知事の職責は何かと申しますと、申すまでもなく、地方自治についての執行機関の首長の担当事務はあくまで地方自治である。そういう地方自治が主たる職責であるところの知事に対しまして、その四倍も五倍も事業分量、事務分量の多いものを漫然ゆだねるというのは、元来検討が足りなかつたわけであるとわれわれは考えております。しこうして四年間の実績にかんがみまして、やはり国の行政機構、国の出先機関という使命の方が北海道庁長官は多かつたのである、こういうふうに直すべきであるという考えに再び返つたのであります。すなわち八十年来の慣行に返るのであります。むしろ過去四年前から今日までは新しい制度でありまして、八十年来の慣行はむしろ国の出先機関である長官がやつてつた。このことは鈴木さんにおいては御認識ないことはないと思いますが、ぜひとも御認識願いたいと思います。機構的に申せばその通りであります。  今度は実質的の見地に立つて考えたらどういうことになるか、ただいまは行政機構の改革という見地から、私は行政法上の機構論をいたしたわけでありますが、今度は実質的に開発という見地から見ればどうなるか。私は終戰後北海道地位は非常に重要な地位を占め来つておると思つております。吉田兼摂外務大臣がいくら努力をされましても、御承知のごとく硫黄島だとか、あるいは琉球だとか、あるいは千島、樺太等の帰属は問題にならないと思います。もとより努力は續けられまするが、要するにわれわれは平和移民その他の問題も将来ございましようが、われわれの行政の対象は何であるか、それは四つの島である。その四つの島のうち、資源の開発という点から見て、特に重点を置くべき対象はどこであるか、申すまでもなく北海道であります。国の行政の主力をあげて、あくまでも国のという形容詞のところへ力を入れて、国会議員各位におきましてはお考え願いたいと思いますが、国の行政の重点を指向すべきところは北海道である。北海道を国の総力をあげて開発することによつて北海道民四百三十万の繁栄を期待できるし、また全国八千万同胞の生活の安定向上を期待できるのである。われわれはあそこへ政府及び国会が総がかりで力を入れるべきである、こう考えておる次第であります。  ところが地方自治法その他を読んでみますと、われわれは企画もいたします、またある程度指揮監督もいたしまするが、これは去年もそうでありますが、今年の予算を見ますと、歳入の特色は減税であると思います。歳出の特色はどこにあるかといいますと、これはあるいはほかの省からしかられるかしれませんが、一番重点が置かれ、特殊の意義のある支出科目は北海道開発費であると思います。社会保障費その他もずいぶんふえております。しかしながらこれは生活保護の対象がふえたしか、あるいは健康保険の対象がふえて、お医者さんに借金があつて困るから金をふやそうとか、そういうことである。ところが政府が主として力を入れてふやした歳出面の特色のある科目は何かといいますと、北海道開発費であると思う。これは他に全然ないとはいいませんが、北海道開発費が非常な大きい部面を占めておる、こう考えております。この北海道開発費は、皆さんが公正にかつ適当に使え、しかもかくかくのごとく使えといつて細目で指定されて、選挙前の国会において議決をされておるのであります。この国会の御意思を、御意思通り北海道において執行することが、国の責任であると私は考えております。ところが地方自治を主たる職責とする執行機関の首長にこの執行をゆだねるということになりますと、一体どういうことになりますか。その執行についての適当か適当でないかというようなことは、行政監察特別委員会等に呼び出されて調べられるというようなことはありましようが、一般的には、国の機関はすべて当然に国会政府委員その他の形で出席いたしまして、皆様のお取調べも受けまするし、また鞭撻も受けるわけでありまするが、そういう機会もない。従来北海道庁長官は国の機関でありまするし、また東京に半分いたものであります。どういうわけかというと、ほとんど総督みたいな仕事をしておりまするから東京に半分おつた。そうして皆さんの御意向を、執行の上に自分の出先を使つて反映させたわけであります。ところがそういうこともない。それから政府委員に必ずなつておりました。というのも国会の御意向を、現地の皆さんがおつしやる通りに執行しなくてはならぬ、そういう意味において政府委員にも当然なつてつたのであります。自治団体の仕事をする公選の知事政府委員になるというようなことは、将来新例を開けばあるいはあり得るかしれませんが、とにかくあり得ない。結局皆さん方国会政府も総力をあげて、終戰後形の上からもまた予算面からも力を入れておる北海道が、地方自治を担当しておるにすぎない知事を通じて行われるということであると非常な隘路である。これでは私は終戰後日本にただ一つ残された宝庫、その希望を実現するに由しなし、こう考えておる次第でございまして、今度の機構改革は機構改革にあらずして、むしろ鈴木さんの御提唱になつた八十年来の慣行が従来の開拓の歴史に徴してもよかつたのでありまして、この四年間の漫然委任した形はよくないからかえる、あなたの御主張通りになるわけであります。私はせんだつて淺沼あるいは水谷両幹部にもお話をしたのでありますが、おそくら社会党が政権を担当されても必ず機構改革はされるでしよう、四つの島のうち一番われわれが力を入れて開発し、八千方同胞のためにすべき対象は北海道である、しかも北海道で行う事業が百億あるならば、地方自治の関係は二十億くらい、国の費用を八十億貝ておる。二百億あるならば、百六十億は国の費用です。こういうようなことであるから、北海道開発には国が力を入れて必ずやるということになりますから、漫然あの地方自治団体の執行機関の首長にまかせたということは、社会党の方がかりに政権を担当されたとしても、必ず私は再検討をすると思う。こう言つたところが、さすがに淺沼さんも水谷さんも 非常に良識を持つた方でありまして、まあそれはそうかもしれぬというところまで言われました。但し、時期が悪い。今鈴木さんのおつしやるようなことを言つたのです。そこで私は時期の悪いという点についてこの際弁明を申し上げます。  時期につきましては、私どもはほんとうは去年開発庁をつくつたときに、開発局をつくるという説が非常にあつた。ところがこれは閣内にもいろいろな議論がありまして、もうしばらく待つてみろ、しかし私は現地と中央が平仄が合わぬごとには、これはよろしくないということを——当時建設大臣あるいは開発庁長官になるなんということは、夢にも思わない、国政を調整するという比較的第三者的立場に立つてつたときに、私は央中においても地方においても、調和のとれた総合開発機関をつくることによつて北海道が飛躍的に開発されるのである。これは一方だけやつたのでは、飛躍的開発という言葉は形容詞に終つてしまう、これではいけないという主張を非常にいたしましたが、これは内輪のことを申し上げるようで何でございますが、当時は閣内にもいろいろな意見がございまして、それは増田官房長官の言うことはよくわかるけれども、まあしばらくやつて見て、それから段階的にやつてもおそくはないのではないか。そうかな、どうも私は一緒でないと困るがなあ、まあそういうようにおつしやるなら、しばらくがまんしましよう、こういうこともあつたくらいです。当時問題になつたことは、いやしくも北海道について関心を持つていらつしやる政治家は、ほとんど御存じであります。それで私は、当時開発庁長官でも何でもございませんで、去年の二月、三月ごろにすでに問題になつたのでありますが、北海道の国会議員さんはもとより御存じであることは言をまたない次第であります。そこでだんだんやつてみまして、どうしてもこれは理論的にもまた実際的にも、常識的にも、中央、地方相呼応した北海道の飛躍的開発機構をつくらなくてはいけない、こういう結論に到達いたしたのが去年の暮れからでございます。田中君を正式に招致して、これを通告するということはいたしませんでしたけれども、元来北海道庁から持つて来た問題です。田中君の方の、北海道庁の方から持つて来た問題なのですから、知らないはずはないし、また最初私が主張したところだつて閣議においてしばしば議題になつたのですから、知らないはずはございません。ただ黒沢候補に私がお話したのは、黒沢候補は追放でもございましたし、政治上のことはよく御存じない。そこでこういう問題があつて、こういうことをする、田中君だつて私のところに来たらもちろん申し上げますが、私は候補者が十人立候補したという場合に、一人々々に北海道開発機構を改革するつもりであるということを告知しなければならぬという義務があるとは考えておりません。もとより告知する方がよろしいのですが、すでに田中君は御存じの問題なのです。そこで黒沢君は私のところへ来ましたし、私はおそらく当時の情勢は黒沢君の知事可能性がありますから、あなたが知事になつてもこのことは、機構改革いたしますよという事前通告を——当時の北海道開発審議会、今日でもそうでありますが、会長である小川原政信代議士の要請もあるし、かたがたあなたの御意見は今聞かなくともよろしいが、われわれは過去四年間だんだんやつて来た経験並びに去年の三月北海道開発庁をつくつて、機構改革をしたそのときからの研究の結果、どうしても現地開発機構をつくらないといけないという結論に達しておるから、いたしますよ、それに対してイエスもノーも私はあなたからお聞きしたくないが、結局政府責任において国会の協賛なり、議決を経ていたしたい。こういう考えを持つておりますということを申し上げたわけでありまして、この点は水谷政策審議会長も先般北海道の新聞社で催した座談会において、そのことは承知しておるということを私に返事されたような状態でございまして、私は選挙に敗れたとか敗れないと、そういうことではなしに、すでに前から起きておる問題であるし、北海道の選出国会議員のみならず、政治家で北海道のことに関心を持つていらつしやる方は、ほとんど公知の事実である。こういうような意味合いから申し上げなかつただけでありまして、さよう御了承を願いたいと思います。  それから今度は道会になぜ諮らなかつたか、これは鈴木さんは法律のことに非常にお詳しい学者でございますから、もとより私から申し上げるのは釈迦に説法でありますか、道会あるいは県会は、府県という公共団体の自治事務をつかさどる意思機関、議決機関でございます。そこで公共団体たる北海道に委任した事務であるか、そうではございません。しからば公共団体執行機関の親方である知事に委任した事務であるか、これは委任したようでもあり、委任したようでないようでもあるのです。というのは三千数百名の地方技官地方事務官すなわち総理府の役人が、行政を現在執行しておるのであります。それから任免黜陟、俸給の上げ下げ等は私が現にやつておるのであります。それですから知事に委任した場合に、知事北海道の吏員に仕事をさせるというような場合には、知事委任ともいえるのでありますが、結局知事に仕事を全部委任したわけではないのであります。まことに変態的の現象でございます。しからば知事に一体どういうことをやらしておるのか、知事に指揮監督をある程度まかしておる。しかしながら農林大臣建設大臣も運輸大臣も、地方技官地方事務官北海道において国の行政をやつておるこれらの総理府の役人の指揮監督をしております。まことに変態的のものであつて公共団体に委任してないことはきわめて明瞭である。だから道会の決議の問題ではございません。公共団体執行機関の親方である知事に委任したかどうか、これもややこしいので、半分委任したようでもあるし、委任しないようでもある。国が直接やつておるようでもあるし、やつていないようでもある。まことに不明瞭な関係に置かれておるのであります。そういう関係で、地元の道会に諮問するとか、あるいは付議するということをいたさなかつたのは、ちようど先般出先機関をわれわれが府県庁に合したり、あるいは出先機関を創設したりした場合に、府県庁に諮問しないと同様であるのであります。  それからもう一つ、内閣委員会の皆様に御了解願いたいことは、地方自治の侵犯でないことは、地方公共団体に委任したのではないのでございますから、もうおわかりであろうと思います。そこで率直に申して、どういうようにするのかと申しますと、内地並にするのであります。内地のたとえば東北地方の国の直轄事業は、東北地方建設局でやつておる。東北地方のたとえば塩釜というような直轄港湾は、運輸省の出先関係がやつておる。国が行う矢吹の開墾といつたような直轄土地改良事業は、農林省の出先関係がやつておる、農地事務局がやつておるのであります。こういうような仕事を北海道はやつおるのであります。それがどこがやつておるかというと、土木部がやつておるのであります。しかしながら国の事業であるからして、地方技官地方事務官三千数百名にやらしておる、総理府の役人にやらしておる、こういう変態的現象であります。そこで内地と全然同じにするならば、しからば北海道地方建設局をつくり、北海道農地事務局をつくり、北海道港湾事務所をつくればよいじやないか。小樽なんかは、あるいは函館なんかは、内地だつてあれより以下の港湾もあつて、しかも運輸省の出先機関が現に港湾建設をしておるのではないか。こういうようなお説があると思います。このお説は一応ごもつともであります。しかしながらわれわれは従来総理府の役人の、土木部の地方技官地方事務官が港湾建設もやれば、あるいは国道の建設もやれば、あるいはダムの建設もやれば、直轄土地改良事業もやつておるのである。一緒にやつておるところに妙味があるのであるから、これはしかも公共団体の吏員がやつておるのである。繰返して申し上げますが、総理府の役人がやつておるのである。しかも一緒にやつておるのだから、これは一緒にやらしておつた方が総合開発の妙味が発揮できるのであります。要するに、内地で国が行つておる直轄事業北海道において行う国の機関をつくる、しかも国の機関は変態的ではあるけれども、現在あるのであります。しかしこういうようなことでは、責任の所在が不明瞭であるし、国会に対してわれわれが行政について責任を負うということは、答弁責任があることであると思います。また、答弁ができなければ不信任の議決を皆様から受けるということであると思つておるのであります。そういう道があるのやら、ないのやら、さつぱりわからない。しかも道路のごときは、全国で道路は六十七億であります。そのうち、十六億が北海道で使う道路費であります。内地は五十億であります。しかも東京都から鹿児島に至るまで、府県の数は四十五ある。一府県平均一億一千万円であります。北海道では十六億であります。しかしてこの五十億が今度は補助費として各府県にわかれるものが三十数億でありまして、結局直轄事業でやつておるものは、やはり十五、六億きりない。これが六つのブロックにわかれた地方建設局で、直轄事業としてやつておる。一つ建設局では、三億か四億くらいになります。そこで、私はよく例にとつて申しますが、東北六県と中国、四国の直轄土木事業を行うために、仙台には地方建設局があります。中国、四国には、広島に中国四国地方建設局があります。この二つの地方建設局でやつておる直轄事業費と、北海道のこの道路の直轄事業費と比べると、北海道の方がはるかに厖大なのです。それですから府県の数から申しますと、十五県分よりも——中国、四国は九県であります。それから東北は六県で、十五ある。十五県分の直轄事業費よりも、北海道で使う直轄事業費の方がはるかに多い。それが地方自治をやる知事にまかされておる。今までは、昭和二十二年までは、大臣の指揮代行権を与えておつた国の機関たる北海道庁長官がやつてつたのであります。国の出先機関がやつてつたのであります。どうかこの時期の点につきましては、私どもは内心やましくございませんし、皆様が国の総力をあげて北海道開発する。そうして北海道道民なり、八千万同胞の期待にこたえるという意味においてもどうぞ虚心坦懐に御審議を願いまして、御賛同あらんことをひとえにお願い申し上げる次第であります。
  57. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 あまりこまかい議論をすると時間が長くかかりますから、言葉を簡單にしたために、建設大臣が誤解された点があるようでありますが、そういう弁解は一切略しまして、確かにお説の通りであります。ただわれわれはこの制度をかえるときに、官選知事から公選知事に直したときに、できるだけ公選知事を生かして用いるという建前に立つたわけでありまして、北海道の場合にもその建前が継續いたしましたがゆえに、これが悪いというなら別問題でありますが、特に悪い理由が明らかに示されない限りは、できるだけこれを生かして継續させたい、こういう立場から本法案についても考えておるわけであります。質問がたくさんありますので、順序を追うて一問一答式にお願いいたしたいと存ずるのであります。  たとえば北海道議会に正式に法律上諮らなければならぬという意味で御質問申し上げたわけではないのでありまして、この委員会も当然公聴会を開くべきであるというのが私どもの考え方であります。それと同じような意味において、北海道の大切な機関意見を徴するということが望ましいことであつて、こういうような意味において御質問申し上げたのでありますから、誤解のないように願いたいのであります。なお地方行政調査委員会議は、北海道について六月に勧告を出すように審議が進められておるということを承るのでありますが、そういうのはやはり参考にすべき非常に大切な点であると思いますが、それを待たずして本法案を急いでつくらなければならぬという理由についてお伺いしたいのであります。なお決して自治権を侵害してはおらないというお言葉でありましたが、私どもは与えておつたことが間違つてつたというなら問題は別になりますが、一応公選知事をできるだけ活用して、国との間に調整をとつて行政を進めて行くということが、望ましい民主主義の行き方であるとするならば、これは大きな一つの既得権を奪うようなものでありますから、そういうことにつきましても自治庁長官なり、政府責任者の御見解を承つておきたいのであります。
  58. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 時期の問題でございますが、選挙がございまして、選挙に際してはどうかと思つたわけでございまして、選挙が済んだならばただちにというようなことを、自分は黒沢君が来たときも申したのであります。予算執行その他と関連いたしまして、選挙が済んだらばできるだけ早く出したいということを申したのでありますが、この法案のことは前から準備はできておつたのでありまして、この法案の諸般の手續を進行いたしておつた次第でございます。ほとんど法案自体は実は二月、三月ごろからできておつたわけであります。それから地方行政調査委員会議のことでありますが、地方行政調査委員会議は北海道知事に勧告があつて、内地についてもすでにいろいろ勧告がございますが、鈴木さんよく御承知の通り、性質上明瞭に、国の行政は国の機関でこれを執行すべし、性質上明瞭に地方自治事務は、地方の自治機構によつてこれを運営すべし、これが地方行政調査委員会議の動向でございます。そこで私どもが今度北海道にやろうとしておるのは、もう今まで私がるる申し上げたところで御承知の通り、北海道庁長官というものは、知事という色彩よりは国の機関という色彩の方が八割もあつたから、ああいう地位を占めておる、政府委員にも歴代なつておる、こういうことでありまして、国の行政をやつてつた部面の方が八割はあるのでありまして、直轄事業という言葉でも明瞭の通り、これは国の事業であります。ダムをつくるとか、あるいは第一種港湾をくるとか、あるいは国道の建設だとか、あるいは大規模の土地改良、たとえば矢吹原の土地改良といつたようなものは、これは国の事業で内地でやつております。が、あれよりもはるかに厖大な規模の土地改良を国がやつておる、これが国の行政であることはきわめて明瞭であります。それから港湾にいたしましても、たとえば小樽、函館よりも内地では——たとえば例にとつて悪いかもしれませんが、福島県の小名浜の鈴木さんの故郷の港はやはり第一種港湾であるけれども規模は小さい。しかし国の事業であることはきわめて明瞭であります。直轄河川といえども内地のたとえば五ケ瀬川というような川は石狩川よりもはるかに小さい。しかし国の事業としてやつております。でありますから国の行政は国の機関が行うべし、地方行政は地方の機関が行うべしというこの二つの議論の立て方は、全然北海道についても、六月三日を待たずしてもきわめて明瞭である。そこでわれわれは国の直轄事業を行う国の機関をつくる、これだけでありまして内地以上に地方自治を侵犯するわけでも何でもない、北海道の飛躍的の開発のためにはぜひともこうしなければ、地方自治を主たる職責としておるものに大きい仕事を負わせるというようなことは、自動車で物を運ぶ人に自転車で物を運ばせる、そこまで背負つてくれといつてもしばらくは背負えるかもしれませんけれども、無理なことである。国会議員各位が七百名もそろつて議決されまして、そしてその執行ぶりを監視しようと思つても、知事というネツクを通じてこれは執行されるのである。その知事は昔のような政府委員でもなければ国の機関でもない。しかも予算面から申しましても、本年度の予算の歳出面の主たる特色は、北海道開発費である、歳入面の主たる特色は、七百四十三億円の減税である。その歳出面の主たる特色が、そういう隘路を通じて、弱体な機構をもつて初めて実行されるということは、結局お互いが国民の代表としての国会議員の職責もどうかというような感じから、私は確信を持つてこの機構改革案を提出いたした次第でございます。
  59. 木村公平

    木村委員長 鈴木義男君にちよつと申し上げたいと思いますが、あなたの質疑の中に、行政機構の改革案を既得権の侵害だと申されたようでありますが、お取消しの意思はありませんか。
  60. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それは一種の形容詞として言つたわけです。
  61. 木村公平

    木村委員長 では既得権の侵害というお言葉は、お取消しの意思がありませんか。
  62. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 形容詞として使うのに一向さしつかえはない。
  63. 木村公平

    木村委員長 それではお取消しの意思はないと認めてよろしいですね。
  64. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 政府とわれわれと考えが違うために話が食い違うわけでありますが、公選知事をできるだけ生かして使つて行く、国の委任事務でありましても、やれるだけやらせることがいいではないかという立場と、初めから国の事務だから国の官吏でやらせるのはあたりまえだ、こう言つてしまえば、これは話がきまつてしまうのであります。ただいま建設大臣のお言葉の中にもありましたように、自転車には積めない荷物があるのだ、田中知事は自転車である、こういうことになればおしまいでありますが、われわれはそうは思わぬのでありまして、りつぱに大臣にもできる男であり、また大臣をやめたならば北海道公選知事になつて一向さしつかえないし、そういう意味において背負い切れない荷物というふうには考えないのであります。そうして出先機関は地方自治にとつてはじやまになるものであります。たとえば貧乏な県の知事になつて、国の委任事務を何もやらせないというなら、知事になつても、あまり町村長と違わない知事ができる。そういう知事に大いに働かせるためには、国の事務もやらせてよろしいし、やらせることが望ましいことなんです。法律上の建前においては、あくまでそこには差別がなければならないのですが、国家も適当に協力をし、関与をして行きたいということは、ちようど先ほどから矢吹開墾の話がありますが、私はやはり福島県知事も十分に協力して、福島県総合開発の一環としてやつて行くことが最も民主的であり、効果的であるとさえ思つておるのであります。そういう意味において、出先機関整理廃止というようなことが非常に叫ばれており、政府も大体その点は御賛成のように承つておるのでありまするが、今回の改正はそういう方針と背馳しておるように思うのですが、いかがですか。
  65. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 今度の機構改革をすれば、鈴木さんは、北海道知事は町村長と同じとまでは言わないが、同じようになるきらいがあるという御質問に対してお答えいたします。そういうことはございません。要するに性質上はあなたの故郷である福島県知事、あるいは大阪府知事、東京都知事、こういつたようなものと同じになるのであります。それ以下でも以上でもない。すなわち国の直轄事業は国が行うが、矢吹ケ原の開墾は国で相当の費用を投じてやつておりまするし、御承知のごとく成績はきわめて顕著である。私貧弱な福島県の財政も知つておりますが、あれを福島県の財政にまかしては、とてもあれだけできません。但しあなたのおつしやる総合開発は必要なんですから、総合開発につきましては、全体についての構図をつくりまして、それぞれの職域の人がその全体の構図の調和の破れないように、部分々々を取出しまして開発事業を行えばよろしい、こう考えております。今北海道の一部の人を除いて、ほとんど全部の人が、実は北海道開発機構を待望しておるのです。これは私あえて申してもよろしいのであります。知事が一元的にやらなければならぬということですが、一元的という言葉は戰争中よくはやりまして、私大きらいでありますが、一元的にやらなければ総合開発というものはできません。開発機構というものは、北海道開発庁ができまして、ここでいわゆる構図をつくりまして、その図ができたときに農林省に渡し、あるいは建設省に渡し、運輸省に渡しまして、それぞれ自分の担当部分を全体の総合開発構図に即応するごとく執行してもらう。北海道知事さんも、また自治事務に関する部面が必ず総合開発計画の中にございますから、その部面を知事さんとしてやつてもらう。その知事さんの仕事に対しましては、私どもは虚心坦懐に、開発庁長官としてのみならず、政府としても、与党としても協力をいたすつもりでありまするし、現在も協力しておるのでございます。
  66. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 北海道が非常に大切な未開発地であることは御説の通りでありまして、われわれもまつた建設大臣と認識をひとしくしておるのですが、これを開発するのに、いわゆる総合開発でなければならぬということも、一元的という言葉を使うか使わぬかということは別問題として、異論のないところです。北海道の二十六年度の予算を見ましても、半分は開発行政費で占められておるようであります。この総合開発というのは、国でやる事業とそれから地方自治体でやる事業と、それから民間産業の開発事業と見合せて、そうして総合的にやることであろうと思うのであります。企画官庁としての北海道開発庁は確かに存在の理由があると思うのでありまして、北海道開発法に規定しておる通りであります。われわれもこの点は十分にレーゾン・ゲートルを認めるのでありますが、それに基いて、また自治体の要求に基き、また民間産業の事業とにらみ合せてやつて行くのには、やはり従来の通り公選知事たる北海道知事が執行の任に当るということが、むだと重複を省いて、能率を高からしめるゆえんではないか。これをにわかに変革する必要がないと思うのでありまするが、なぜこの点をどうしても変革しなければならないか。むしろわれわれは変革することによつて、かえつて能率を下げるおそれはないかとさえ心配いたしておるのであります。また総合開発という点に重点を置きますれば、一元的という言葉がおきらいであるならば避けてもよろしいのでありまするが、一つのところで統一をとらなければ有機的な総合開発にならない、こういうふうに思われるのでありまして、政府の御見解のようでありまするならば、自治体の仕事も民間の仕事も、この開発局で総合的にやるのが正しいということにもなるわけであります。しかしそういつた考え方はわれわれは非常に官僚的な考え方である、こう思つておるのであります。そういう点について御見解を承りたいのであります。
  67. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お答え申し上げます。まずにわかに変革をされるというお言葉に対して申し上げまするが、実は先ほど鈴木さんもおつしやいました通り、八十年来の慣行を、むしろ公選知事になつたときに漫然と渡した、これがむしろにわかなる変革なんです。それから過去四年間やつてみまして、やはり八十年来通り、これは国が責任を負つた態勢において執行しなくてはいかぬ、それを執行しなくなつたのですから、それで国が責任を負つた態勢で執行するような八十年来の慣行に返つた方がよろしい。むしろにわかなる変革は、昭和二十二年の四月にあつたのです。それから公選知事になりましてから、林務行政のうち国の直轄事業は、営林局を四つくりまして、国で行うことになつたのであります。これは昭和二十二年四月以後のことであります。四つくることがいいかどうかということは将来再検討をいたしたいと思いますが、六十億石の材積のうち、二十億石ばかり占めておるというような、行政的の対象が多い、事業分量が多いということも勘定されたのでありましようが、公選知事ができてから後に営林局ができた。将来、官選知事つまり国の機関の長官のやつてつたときと違いまして、つまり林務行政を離しまして営林局を四つつくつてつたということもあるのであります。あのときは公選知事にまかされないという意味で離したのでありますが、その以後絶対にもう再検討を行政機構に加えてはいけないということは、私はないと思います。過去四年間の実績をだんだん考えてみまして——去年あたり開発庁をつくつたのも、過去三年間の実績に徴してつくつた方がよいというのでできたのであります。ことしはもう一年加わりましたから、過去四年間の実績に徴して、われわれの経験に徴してこうやつた方がよろしい、こういう結論になつたわけであります。それから鈴木さんは、よく御存じでありながら、そういう御質問をなさるのはちよつと困りまするが、開発局はもし増田のいうごとくすれば、民間で行う開発開発局で行わなければならぬというお言葉は、ちよつとわかりかねます。今度つくらんとする開発局の所管事務は、国で行う直轄開発事業、すなわち国道の改修とか、あるいは土地改良とか、あるいは港湾建設というものをやるのにすぎないのであります。ほかに何もいたしません。たとえば北海道開発には、北海道の自治事務としての開発事務がございます。そこで国が補助費を出します。七十五億のうちでも数十億の補助費がある、この数十億は北海道という公共団体に出しまして、北海道という公共団体の自治事務としてやるのでありまして、これは開発局でやるわけでも何でもございません。だから民間の、たとえば石炭の会社とか、あるいは紙をつくる会社、魚をとる会社、すべてのこういう大企業経営形態、あるいは中小企業経営形態、あるいは農民の諸君も相協力してこそ、北海道総合開発ができるのでありまして、それぞれの職域の方が、それぞれ北海道総合開発という一つのホール・ビクチユアというか、全体の構図に調和のとれておる状態において、一生懸命働いてもらうことをわれわれは期待しておるのでありまして、一元的統制というようなことは、言葉としては美しいけれども、能率も上らないし、開発のテンポも早くならない、こういう確信に立つておることは鈴木さんと同様であります。
  68. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 一々言葉に対する釈明をしておると長くなりますからやめますが、私の言つた意味は、たとえば民間の産業開発をやるのでも、結局港湾をやるのでも、民間の産業とも照し合せて考えて行くべきである、そういう意味において、総合開発ということを申し上げたにすぎないのであります。そこで今度は、北海道の現状において出先機関の設置が必要であるか、こういう開発局のような出先機関が必要であるかという点を考えてみたいのであります。二十六年度におきまして、北海道開発費として配分されました公共事業費は、約七十億のようであります。この法案によつて設置される開発局が、このうちの全額国費支弁の事業を実施することになるのでありまするが、七十億というと相当の金額でありますけれども、全国に配分されまする公共事業費のわずかに一二%にすぎないのであります。全国の二一%の広汎な地域と、厖大なる未開発資源を持つており、戰後における日本再建のホープとして期待されております北海道に投ぜられる経費といたしましては、きわめて不十分なものと言わざるを得ないのであります。また事業内容からいたしましても、たとえば道路工事におきましては、その大部分が砂利道の改修、簡易な開拓道路の新設であり、木造の橋のかけかえであり、河川におきましては、おおむね切りかえ掘鑿あるいは堤防護岸等の仕事にすぎない実情でありまして、現在北海道庁の組織をもつて何ら支障なく実施し得る程度のものであります。さらに北海道は、あの一つの島が一行政区域となつておりまして、本州における数府県にわたつて利害関係を持つようなものとは選うのであります。今利根川開発が問題になつておるようでありまするが、これは確かに関東八州が利害関係を持つておるわけでありまして、それぞれの都府県に実施させることは、とうていできないところでありまするが、北海道におきましては、利根川に匹敵するような大河川である石狩川でも、十勝川でありましても、一行政区域を流れておるのであります。     〔委員長退席、江花委員長代理着席〕 内地においては、出先機関は、数府県の利害に地方建設局あるいは農地事務局等の関連する工事である、府県においてはまかない得ない高度の技術を必要とする大きな規模の工事を担当いたしておるのであります。そこに設置の意義があるのでありまして、北海道の実情からいたしましては、特にこういう出先機関を設置する必要はないのではないか、こういう疑いが存するのであります。この点についての御見解を承つておきたいのであります。
  69. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは手前みそを申し上げるようでありますが、実は開発庁ができるまでは、北海道開発費というものは減額されて来たわけであります。現在一三%余なつておりますが、これは私は四十六都道府県があるという立場から見ますと、相当大きい額であると思う。ほとんど八・九パーセントまで実は減つてしまつた時代があります。これは一昨年でありますが、これではいかねというので、北海道選出の国会議員さんが懸命の努力をされまして、私を鞭撻してくださつた結果、従来以上にきわめて顕著に予算がふえまして、この委員会では別段そういうことはございませんが、建設委員会なり農林委員会におきましては、北海道にのみ政府は力を入れておるじやないか、内地はどうするんだ、内地は日本の構成部分じやないのかというような質問さえあるわけであります。これは開発庁を鞭撻督励してくださるお言葉で非常にありがたいのでありますが、要するに従来から比べてみますと、飛躍的に予算の数字は増加をいたしております。これだけの予算をりつぱに使うということは、これはなかなか愼重にしなくてはならぬと私は考えております。そうして皆様方の御意向をりつぱに執行に移さなかつたならば、国会の意思を尊重したことに相ならない。そういう責任感からも、先ほど実質的ないろいろな条件を並べましたけれども、その並べたほかに責任感からも、また内地は日本の構成部分じやないのかとというようなはげしいおしかりさえ受けておるくらいでありますので、この本年度の予算の特色をなすところの北海道開発費を、ぜひとも皆様方の御意向を体して公正に、適当にこれを執行しなくては相済まない、こう考えております。それから一行政区域ならば一人の知事が一元的にやればよろしい、私はそういうことはないと思つております。たとえば森林のごとき、行政の対象が意義があるかどうか、重さがあるかどうかできまるのであります。たとえば北海道は一行政区域にすぎませんけれども、森林のごときは重要なる意義を持つておりますから、出先機関が、従来北海道庁長官という国の出先機関の時代は何もなかつた。それが農林省直轄の四つの営林局で北海道を所轄しておるのでありますから、こういうことから見ても、一行政区域ということが何ら理由にならないということは、あなた自身がすでに学者的良心をもつて肯定されておると私は確信いたします。
  70. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 申し忘れましたが、公選知事は議会に対して責任がないということが、重大な問題になつておるわけであります。なるほど公選知事は自治体のことについては、議会に対して責任はないということになつておりますが、国の委任事務をやつておる限りにおいて、やはり国会に対して責任を負うべきものであるとわれわれは考えております。これについては適当な方法を考えることができるはずであると思います。その仕事を奪うことよりは、そういう方面に考えを向ける方が必要ではなかろうかと思うのです。  それからこの開発局を設けるといいますか、仕事を開始する時期の点について伺いたいと思います。北海道には厖大な未開発地があり、莫大な資源が埋蔵されておる。これをできるだけ早く開発することが急務であることは御説の通りであります。しかしこれをやるのには、ただいままで北海道に投入されたようなわずかな予算では、どうにもならないことも明らかなことであります。そこで国策として推進するという観点からいたしまして、北海道開発庁はこの際大いにもつと大規模な開発をお考え願いたいとさえ私は思うのであります。特に石狩、湧払地帶あるいは十勝、釧路のような未開発の地帶に対して、大規模な国家計画を願いたいと思うのであります。それには非常に巨額な経費と、高い水準の技術を要すると思われますが、そういう大規模にして計画的な工事を施行するにあたつて、りつぱな開発局をつくるということならば、私どもは躊躇なく賛成いたすのでありますが、そういう意味においてならば、そのときまで留保して、時の至るを待つてもおそくない。この程度の仕事は今の公選知事に委託してやつてつても、むしろ有機的、総合的にやれるという利益こそあれ、弊害はないと考えるのであります。なお増田建設大臣は、参議院において木下議員に対しまして、この問題は地方自治法が施行されて、民選知事になつたからこの機構改革が必要であると言われたことが伝え れており、またただいまここでそういう趣旨が述べられたようでありますが、官選知事から民選知事に移りましても、地方自治法によつて知事に対して国が事務の委任をやり得ることは御承知の通りでありますし、また都道府県の事務の範囲は、官選時代の都道府県と比べて大してかわつておらないのであります。百歩を譲つて開発行政である公共事業の実施を北海道知事にまかしくおくことが不適当であると言われますならば、過去四年間やり来つたその間に、もつと早くこの問題を提起しなかつたことは、むしろ遺憾であつたと申すことができると思うのであります。四年数箇月やつて来て大して支障がなかつた。しかも会期が二日しか残つておらないときに、ここで一気呵成にやつてしまおうということは、軽卒のそしりを免れないのではないか。現地北海道機関意見を徴する時もありませんし、また道民の与論を聞くひまも持つことができない。形式的には、国のことだからだれの意見を聞かなくてもいいという議論は成り立ちますが、それは政治道徳ではないと思うのでありまして、できるだけ広く与論を徴し、今後の動向を察して、かくのごとき対策は実行することが望ましいと存じますので、このことを申すのであります。この法案によりますと、七月一日から施行することになつておるようであります。御承知のように北海道は冬期間が長くて、土木事業のようなものはおおむね五月から十月まで、半年の間に実施されるのであります。この事業の最盛期である七月にこのような機構の改革を行いますと、広汎な人事の異動、これに伴う事務の再配分、庁舎の移動、機械器具物品の配置転換を必要とするのでありまして、これが末端の心理を刺戟して仕事も能率的に進まない。またこの仕事を完了するのには数箇月を要すると想定されるのでありまして、こういう仕事の停頓を伴うような時期においてやることは、適当ではないのではないかという意見があるのであります。この点について政府の御見解を承つておきたいと思うのであります。
  71. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 北海道に使う金はまだけちである、少額である、今の程度の予算ならば知事が大丈夫やれる、これは意見の相違であると思います。先ほど私が申しました通り、たとえば道路建設費にいたしましても、仙台にある建設省の出先機関である東北地方建設局、並びに広島にある中国四国地方建設局の直轄事業費の何倍も使つております。要するに公共事業費のうち一四%近くのものを使つている。しかも今年度の予算の特色はここにあるのであります。私は開発局において、本年度の特色であるこの予算を適正に執行してもらいまして、国会の御意向にこたえなくてはならぬと考えている次第であります。それから去年と今年と比べますと、これはまた飛躍的に増額しております。これが各種の委員会で私が北海道のことばかり考えている、北海道建設大臣だと言つておしかりを受けるゆえんでありますが、すなわち去年の予算は事務費を入れて四十二億に対して、今年は事務費を入れて七十五億であります。すなわち八〇%強ふえております。こういうわけでありまして、これだけ飛躍的にふえたからには、事業においてもまた顕著な相違があります。今までダム等を国の直轄事業でつくつたというようなことはない。内地ではたくさんあります。たとえば北上川の猿ケ石、胆沢ダムを見返り資金で去年から始めました。これは国の直轄事業でありますが、これに負けないところの出力六万キロワツトというような、洪水調節にもなり、灌漑用水にもなり、水道用水にもなり、工業用水にもなり、また土地改良にもなる、こういうふうなダムを建築いたします。従来こういうはうなことは道であまりやつていなかつたのであります。そこで今度は北海道でいよいよこういうことをやるにつきましては、技術的方面からも国の技術陣を動員しなければならぬと考えておる次第であります。それから四年数箇月間寝かしておいたんだから、相かわらず寝かしておいてもよいじやないかということでありますが、私はこの四年間の経験を生かして——元来私は、鈴木さん御存じかどうか知りませんが、北海道におつたというような関係もあり、総合開発機構を政府でつくらなければならぬということを最初から実は提唱したのです。北海道大臣をつくらなければならぬ、そうして北海道のことを全部所管しろ。建設省は当時ありませんでしたが、農林省、商工省の電力関係あるいは当時の内務省の建設関係のこと等は、北海道に関する限りは北海道大臣に仕事を委譲して、そうして出先は、もとよりつくつてやらなければならぬ。一種の北海道総督なんということを考えたこともあるのであります。これは自治の方向と違いますから、もちろん各種の修正を私の思想に加える必要はあります。しかしそういう根本思想は、初めから持つておりまして、北海道に飛躍的の開発を国がやらなくてはならぬ、東京新聞その他の論説にもあります通り、地方自治事務としてやつたのではいけない、国会が力を入れ、政府が力を入れる事業としてやらなければならぬ、国民的事業としてやらなければならぬ、こういう考えを前から持つてつたわけでありまして、地方自治事務のかたわらやる事業ではない、すなわち国会の皆さんが北海道にこれだけの熱意を予算面においても、その他においても入れていただくゆえんでありまして、私は第二次吉田内閣のできた当時すでにそのことを提唱しました。しばらくは御承知の通りわれわれが政権を担当しませんで、われわれが政権を持つやいなや私は提唱しましてそれから第三次になつてからいよいよ実を結んだ次第でありまして、もちろん時間もかかりましたが、一年数箇月かかつて、ようやく開発庁ができたのが去年である。しかしことしから考えますと、もう二年半も前から着着と私どもの思想を——つまり国の責任において、国民的事業として北海道開発を行わなければならぬ、この思想は機構の上にだんだん現われつあつて、努力はして参りつつあつたということをどうぞ御了承願いたいのであります。  しこうしてこの七月から始めれば、いろいろ混乱が起きるではないか、これに対してお答え申し上げます。ただいまのところでは、われわれは事業費においてもすでにきまつておりますし、また各種の土木機械等も、既存の物、それからこれにさらに今年度の予算で買うものもございましようが、とにかくやつておる。役人の大部分は同じ役人がやつておる。しかも国の役人がやつておるのでありますから、そう混乱は来さない。そこであなたの御要求通り、これから、後は、国が單なるプランのみならず、四年後の今日までは執行はやらなかつたのでありまするが、執行もやりますから、あなたの御賛成を得て、ことしよりも来年、来年よりも再来年、願わくは数百億の予算を議決あらんことをひとえにお願い申し上げます。
  72. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 根本が違うのでどうも話がしつくり合いませんけれども、私は尊敬する増田さんのような人が、これからひとつ北海道の公選知事になつて、そしてひとつ大いにやつていただきたいと思つておる。それならば自転車で荷物を運ぶというような御議論が出なくなる。アメリカでは州知事をやつた者が必ず大統領になるのでありまして、決して官僚集権で中央から行かなければならぬと考える考え方は、できるならば何とか改めたいというのがわれわれの考え方であります。  次に出先機関設置のために必要とする経費、財政に関する件でありますが、こういう機構がかわりますと、ちようど一県を分割して二県にした、一町村を分割して二町村にしたような場合に、それぞれいろいろな機械器具、部局、現業所、出張所—土木出張所のようなものを分割いたしまするために、経費が非常にいることは、常識から見ても明らかであります。私の手元に参つております道庁の調べによりますると、このために必要とする経費、概算でありますが、こまかいことはこの機構を実施することになつて分離いたしますと、人件費、機械器具費、庁舎、公舎の建築費等を合せて、初年度十四億八千万円、経常費四億三千万円、臨時費十億五千万円というような費用を要するというのであります。こまかい調べもありますけれども、ここで読み上げることは略しますが、非常にそういう金がいるので、その財源の措置に苦慮しているというのでありますが、そういう点に対して、政府はあらかじめ御考慮になつておられるかどうかということも承りたいのであります。とにかくもし道において支弁するといたしますと、北海道民はこのために多額の負担の増加をしいられることになるのであります。わが国における国民負担は、限界に達しているということは公知の事実でありまして、できるだけ政府も行政費を節減して、負担の軽減に努力をしておられる。北海道が今にわかにこの機構の改革をいたしますために、北海道で非常な負担を命ぜられて迷惑を感ずる、こういうことは事実のようであります。そういう点について政府はいかようにお考えであるか、承りたいのであります。
  73. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 今の御指摘のような問題は、行く行くはあるいは起きるかもしれません。しかしながら今こういう機構改革をしなくても、去年もおととしも—決算委員会に現われた会計検査院の報告をお読みになるとおわかりでございまするが、機構を改革しなくてもこういうことはけしからぬ、違法である、あるいは犯罪かもしれぬというわけで指摘をされておるのであります。すなわち国の費用で買つたドレツジヤーだとか、あるいはエクスカヴエーターだとか、あるいはトラツクだとかいうようなものを、どんどん地方自治事務として行う土木事務なり、土地改良事務なり、あるいはその他に転用しておる、こういうようなことは財政分担関係から見て紛淆を来しているし、よろしくないことであるというのが会計検査院の報告であります。すなわち機構改革しない前からそういう報告が年々ございまして、政府も申訳ないということを決算委員会に対しても言つたり、あるいわ会計検査院からしかられている、こういう状況であります。本来それぞれ区分すべきものを区分しないのでありますから、それは将来の問題として区分すべき違法なる現象である。機構を改革すると改革しないとにかかわらず、国の費用で買つたものを地方自治事務の方へ転用すべきではない、こう考えておる次第であります。これはまあ理論であります。しかしながら実際には鈴木さんの御指摘のようにやつておるからこそ、会計検査院の報告もあるわけです。国で買つたトラツクやあるいは鑿岩機やあるいは砂利をすくい上げる機械、ああいうようなドレツジヤーだとか、エクスカヴエーターだとかというものを使うことによつて北海道が相当助かつておることは認めます。これがいわゆる行政の妙味という言葉で、違法な現象をカバーしているわけです。この行政の妙味は、もしこの機構を改革すれば失われるかもしれぬという御心配をなさる点は、私は無理はないと思います。しかし行く行くは違法な状態を直さなければなりません。これは機構改革をしなくてもどうしても直さなければならぬ。しかしながら当分激変を避ける意味において、われわれは機械器具等は今度は所要の手續をふんで、妙味をしばらくは継續させたい、こう思つております。だからして地方費の方ですぐドレツジヤーを買わなければならぬとか、トラクターを買わなければならぬとか、あるいはトレーラーを買わなければならぬ、エクスカヴエーターを買わなければならぬというようなことは、すぐにはないようにいたしまして、だんだん道の力がついて参るに従つて、買つてもらうつもりでおります。繰返して申しますが、機構改革前といえども、こういうことではいけないといつて、決算委員会からも、会計検査院からも批難されているのが現価であります。
  74. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 次にお尋ねいたしたいのは、この法律案が憲法第九十五条に規定するいわゆる住民投票に付せらるべき法律でないか。一つの地方公共団体のみに適用される特別法としての性質を有するものではないかという点であります。この点は私の研究もまだ不十分でありまして、いろいろ憲法をつくるときの速記録も調べてみたのでありますが、十分に議論が尽されておらないように見受けるのであります。個々の形式論としてはあつさりけることができますが、しかし北海道にとりましては、政府はあたかも間違つてでも與えたかのごとく仰せられますが、われわれは公選知事がこういう権限をもらつたことは当然のことで、民主主義の原則に合致することであると思つておるのでありまして、それがなくなるとともに、北海道の自治体に非常な影響を及ぼすのであります。先ほども申し上げましたように、総合開発の建前から、このやり方がかわつて行くということは、民間の産業にまで非常な影響が来るのでありますから、結局この北海道の住民の意思を問うた上で制定するに適する法律ではないか、そういうふうに疑問を持つのであります。この点についての政府の御所見を承りたいのであります。  それからこれは国の直轄事業なる名のもとに、国の出先機関に包括的に北海道に限つて公共専業費の支弁にかかる経費を吸收するわけでありまして、この法律の附則第三項に規定する定員に関する事項は、地方自治法に基きまして、現在まで北海道開発行政に従事して参りました北海道の職員たる地方事務官及び技官の大半を、国の出先機関に吸收せんとするものでありまして、これは北海道に限つて開発行政に関與すべき権限と範囲を縮小せんとするものと解されるのであります。従つてこの法律が、基本的かつ広範囲に、北海道という一つだけの公共団体に関連を有し、憲法第九十五条の規定する住民の投票に付せられた後に制定せられることを適当とする場合ではないかという疑いが起るわけであります。この法律の母法であります北海道開発法審議過程におきまして、やはりこのことが問題となりまして審議がなされたのであります。そのときの政府のお答えは、地理的な区画にすぎないのであつて、地方公共団体というものと何ら関係がないのであるからさしつかえない、問題でないというお答えであつたのであります。その地理的な区別という以上に、こういう機構の改革というものは、住民の権利義務に大きな影響を及ぼす、少くも利益に大きな影響を及ぼすと考えるのでありまして、こういう場省に、憲法第九十五条は考慮すべき要件に入るのではないか、その点についての政府の所見を承りたいのであります。
  75. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私どもは、憲法第九十五条に該当する、いわゆるレフエレンダム——住民投票を要する法律というふうに考えていないことは、あなたも今法律学者としてまだ疑惑がある、全然自分の確信に基く結論ではないかということで、さすが学者的良心を発揮されて、前提とされつつ御質問になつた。その前提の中に入つております、すなわち第九十五条に該当するものにあらず、地方公共団体に元来委任した権限ではないわけですから、自治団体に影響はないわけです。しからば地方公共団体執行機関である知事に委任したかというと、これも全然委託しておるわけではない。ただ官吏の指揮監督を、農林大臣が直轄土地改良事業をする地方技官を指揮監督するような立場で、並列的に指揮監督する。建設大臣が国道の直轄監督をするところの北海道にある総理府地方技官を指揮監督するごとく、北海道知事も指揮監督する、こんなような立場でして、知事に対する委任ではない。ただその関係を明瞭にするだけの法律案にすぎません。元来開発法自身が住民投票によつてできた法律でもなし、その一部改正法案であるという関係もあり、また実質的に見ましても、北海道という自治団体には影響がないから、住民投票を要する、すなわち第九十五条に該当するという点について、まだ結論を持つていないというあなたの学者的の御疑惑の通り、私どもは疑惑も持ちません。確信をもつて第九十五条には該当せず、こう考えております。
  76. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 今度は条文に入つてですが、あまりこまかいことは聞かないことにいたしますけれども、政令でこの公共事業の分掌する範囲が定められるということになつておりますが、どのような事業を行うのか。内容をお示し願いたいと思います。
  77. 岡田包義

    岡田(包)政府委員 航路標識の類を除くことになつておりますが、さような類の特別なものを、場合によりまして拔くことになるかもしれないと思うのでありまして、それで政令でということを入れてあるわけであります。
  78. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 まだこまかいことはいろいろ聞きたいことがありますけれども、あまりこまかくなりますし、なお問題がわからないというのでなくして、立場の相違から食い違いがあることは否定できませんが、この上押し問答を續けてもしかたがありませんから、この程度で省略いたしまして、他の委員並びに委員外の議員諸君の御質問に譲りまして私の質問を打切ることにいたします。
  79. 江花靜

    ○江花委員長代理 次は小平君でありますが、なるべく簡潔に願いまして、あとは次会に継續するようにいたしたいと思いますから、御了承を願います。
  80. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私はただいま議題となつておりまする北海道開発法の一部を改正する法律案内容につきまして、大臣並びに政府委員にお伺いしたいと思います。ただいま鈴木委員の質問に対しまして、増田大臣から、きわめて懇切丁寧な御説明なり御答弁があつたのでありますが、私は本問題が日本の非常に資源の乏しい現段階において眠れる未開発資源開発するという観点から、北海道重要性が国としても認められ、昨年は北海道開発法の制定となり、総理府の外局として北海道開発庁というものが設けられたのであります。昨年この開発庁が設置せられまして、開発庁の任務は、御承知のように、企画立案ということが重点でありまして、実施という面につきましては確然たる出先機関がない。これに関していろいろ不都合があるから、今回出先機関を設置するのだというその理由につきましては、ただいまの長時間の説明で大体了承したのでありますが、きわめて重要な点についてさらにお伺いしたいと思うわけであります。  第一点は、今回の出先機関を設置する、いわゆる直轄事業現地機関を設置するということになつた場合に、やはり問題とされる点は、北海道の道民の負担が非常に過重になりはしないか、こういう点であります。その点は先ほどの質疑にもあつたのでありますが、具体的な事例を申し上げますと、現に国の直轄事業として、各地に土木現業所といつたような事務所があるのでありますが、そこでは国の官吏直轄事業のほかに、道自体が行う事業も一切行つておるわけです。これが今回の現地機関開発局が設置されることによりまして、必然的に道自体が行わねばならぬところの土木事業なり、あるいは土地改良事業というものが、北海道においてさらに分離されることによつて、どうしても北海道に地方事務吏員、こういつたものを新たに採用せねばならぬ。さらに設備あるいは機械器具といつた問題につきましても、どうしても負担をしなければならぬというようなことから、最近の新聞その他の意見を聞きますと、私も具体的に調査したわけではありませんが、道の一部の人の意見を聞きますと、道民の負担が二十億以上に過重になるというようなことも私は耳にするのでありますが、これは非常に重要な問題だろうと思うのであります。この点について、この分離すること、開発機関を設置することによつて、いかようになるかということにつき説明をいただきたい。
  81. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 小平さんが北海道の総合開発について従来きわめて熱心に検討されて、ことに開発庁を鞭撻督励されておることにつきましては、他の北海道選出の国会議員皆さんも同様でございますが、私は平素深く感激をいたしております。  そこでただいまの御質問はごもつともな御質問でございまして、そういうような御心配が多分道においてもあるのではないかと思つております。しかしながら私は当分の間そういう御心配は御無用であるということをまずもつて確言いたします。その理由は先ほど鈴木委員にお答えしたところによつて御了解を願いたいのであります。  それから第二に、二十億の負担が年々増加するという、これはまつたくデマと申すべき以外の何ものでもございません。北海道の自治事務として行う土木事業、あるいは公共事業の総額は二十億あるかないかわからない。ですからそれが二十億ずつふえるというのは、どこを押せばそういう音が出るか、私どもはまつたくびつくりするのであります。要するに普通の府県であれば、土木事業は二十億のまだ何分の一しかありません。おそらく三、四億しかない。北海道の道費として負担するところの土木事業も、割合から申すと実際は内地のことを思えば、私は北海道建設大臣とか何とかいつておしかりを受けますが、ほんとうに内地の諸君に対して申訳ないくらいです。たとえば災害復旧費にいたしましても、内地は三分の二、四分の三及び全額という三つのわくがある。しかるに北海道はてんずけ初めから五分の四及び全額である、こういうようなわけです。それから直轄事業のごときも、たとえば内地は直轄事業であつても三分の一は地元負担をします。直轄河川もしかり、また直轄国道の建設もしかりです。しかるに北海道はまるまる全額です。地元負担というものは全然ない。しかもなおかつまだ北海道が道費として負担する自治事務としての公共事業もございましよう。しかしながらかくのごとく北海道では地元負担なんというのはほとんどない。災害復旧を去年全額負担いたしましたが、ああいうようなことは日本では去年限りであります。しかるに北海道直轄事業といえばすべて全額負担である。これから後だつて、おそらくそうであります。こういうようなことがあるから、北海道という公共団体の負担において行う公共事業費は少くて済むわけであります。地域がたとい大きくたつて、少くて済む。しかし北海道が大いに奮発して将来ふやしてもらうならば別でございます。とにかく今は北海道自身の負担する公共事業費というものは少い。それを年々二十億ふえるというのは、一体どこを押せば——私は二十億ふえるからには、総額は二千億くらいなければいけないと思います。二千億どころか二百億もない。それを年々二十億ふえるというのは、このごろデマがずいぶんはやりますが、そういうデマはわれわれの道義国家という見地からも絶対に排撃いたしたいと考えておる次第であります。  要するに鈴木委員に御説明申し上げたように、当分は費用をふやさないでやつて行くようにします。それも実際は機構が改革されなくても、国会決算委員会においても、また会計検査院においても、国会の決算の報告は本会議においてします。すなわち国会からわれわれはしかられておるのですから、国の関係のものを道の方で援用しては困る。今のままだつてどうしても国会を尊重する限りにおいては、あるいは会計検査院の検査結果を尊重する限りにおいては、将来はいずれは是正しなければならぬ。そういう意味の是正はだんだんやりますが、当分はこの機構変化によつての負担の増加はゼロにいたしたい、こう考えておる次第であります。
  82. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大臣の御説明ごもつともだと思いますが、しからば具体的な問題としまして、現在土木現業所が行つております事業でありますが、これはかりに例をあげますと、石狩川は御承知のように国営河川であります。その水系に空知川でありますとか、あるいは江別川というような大きな川があります。これは部分的には地方費河川、こういうふうに幹川は国営河川でありますが、枝川は地方費河川ということになつております。こういう場合、その河川の改修を行うというような問題が起きた場合に、現業所が国の官吏たる国家公務員と、それから自治体の公務員たる地方吏員、これが三人で行われねばならぬ仕事を相互集まつて協議をして自治体というものと完全に結びつき、相提携してやることによつて二人の人間で済む。こういうことが実際問題として今回分離されることによつて、やはりどうしても二人のものが三人になり場合によつては四人になる。こういう見地から、いかに説明されようとも、実際に北海道公務員をさらに多く採用せねばならぬ、こういう現実の問題があるのじやないかと私は思います。こういう問題についての御所見をお伺いしたい。
  83. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これも実は内閣委員の皆様はもとより、国会議員の各位、ことに建設委員の皆様は御承知の通りでありますが、ぜひとも御了解を願いたいのは、北海道はいわゆる未開発後進地域である。これはきわめて明瞭であり、北海道民諸君も認めておりますればこそ、開発費を飛躍的に増額せよという要求が北海道選出の代表者の皆さんからある次第であります。そこでいろいろの企業といい事か、これに特殊現象がございます。たとえば内地では府県道の建設なり改修という仕事は自治事務であります。ところが北海道の地方費道というのは全額国庫ですから、地方費道といいながら直轄事業であります。それから御指摘の地方費河川といつても全額国庫負担でもつてそして名前だけ貸してやるということで、結局こういう現象はほんとうは全国会議員各位にお知らせした方がいいので、そんなことはけしからぬと全国会議員はおつしやるかもしれないが、地方費道ということを出しておきながら、国費で全額を持つておる。そこでこれらのものはおそらく直轄事業でありますから、開発局でやるということになると思います。はたしてしからば、北海道という公共団体の負担には、人的にも事業費的にも何ら悪影響がないのみならず、これから出先でもつくれば、われわれはその執行についても責任を負いますから、皆様の御議決を経てどんどんふやしたい。北海道のためには飛躍的になることである、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  84. 江花靜

    ○江花委員長代理 この際小平委員に申し上げます。増田建設大臣は他に御所用があるようでありますから、あなたの質疑は次会にしていただくことにしたいと思いますが、御了承願います。     —————————————
  85. 江花靜

    ○江花委員長代理 この際お諮りいたします。本日の陳情書日程趣旨は、先ほど審査いたしました請願と大体同様の趣旨でありますので、本日の陳情書日程中第一ないし第三、第五ないし第七、第九ないし第一二それから第一八及び第一九は、これを委員会において了承いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 江花靜

    ○江花委員長代理 御異議がなければさようとりはからいます。  次会は明日午後一時より開会いたします。本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時十二分散会