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1951-05-22 第10回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十二日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 江花  靜君    理事 船田 享二君       井上 知治君    大内 一郎君       鈴木 明良君    田中 萬逸君       橋本 龍伍君    本多 市郎君       松本 善壽君   山口喜久一郎君       松岡 駒吉君  出席政府委員         特別調達庁次長 堀井 啓治君         総理府事務官         (特別調達庁長         官官房長)   辻村 義知君  委員外出席者         参議院議員   石川 榮一君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     高田 浩運君         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     小林與三次君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 五月二十二日  委員樋貝詮三君辞任につき、その補欠として鈴  木明良君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二十一日  審議会等整理のための総理府設置法の一部を  改正する法律案、(内閣提出第一四三号)(参  議院送付)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四四号)(参議院送付)  審議会整理等のための農林省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一四六号)(参  議院送付)  審議会等整理のための建設省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一四七号)(参  議院送付)  審議会整理等のための経済安定本部設置法等  の一部を改正する法律案内閣提出第一四八  号)(参議院送付)  審議会整理等のための厚生省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一五〇号)(参  議院送付)  審議会等整理のための国立世論調査所設置法  の一部を改正する法律案内閣提出第一五一  号)(参議院送付)  審議会等整理のための地方自治庁設置法の一  部を改正する法律案内閣提出第一五二号)(  参議院送付)  審議会等整理のための大蔵省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一五四号)(参  議院送付)  審議会整理等のための通商産業省設置法等の  一部を改正する法律案内閣提出第一五五号)  (参議院送付)  審議会整理等のための運輸省設置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一五六号)(参議  院送付)  特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五三号)(参議院送付)  利根川開発法案参議院提出参法第一七号) の審査を本委員会に付託ざれた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  利根川開発法案参議院提出参法第一七号)  特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五三号)(参議院送付)  審議会整理等のための厚生省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一五〇号)(参  議院送付)  審議会等整理のための建設省設置法等の一部  を改正する法律案内閣提出第一四七号)(参  議院送付)     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 ただいまより会議を開きます。  本日は委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。  本日の日程に入ります前にお諮りいたします。利根川開発法案について、建設委員長より連合審査会を開催いたしたいとの申入れがありましたが、建設委員会連合審査会を開くに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 ではさよう決定いたし、時日につきましては、建設委員長と打合せの上、公報をもつてお知らせいたします。大体の予定は明日午後一時より開会いたす予定であります。  本日はまず利根川開発法案参議院提出法案第十七号を議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。青木正君。
  4. 青木正

    青木(正)委員 本法の第七條に、利根川開発計画国土総合開発法との調整の問題が規定されておるのでありますが、御承知のごとく国土総合開発法がありまして、それに基いて地域の指定を行い、その国土総合開発法に基く審議会を設置して利根川開発計画を立てれば、それで事足りるのではないかという議論が一部において相当行われておるのであります。なるほど国土総合開発法がありますので、ここでわざわぎ利根川開発法というものを別につくらなくても、国土総合開発法を活用することによつて本法目的とするところは達せられるのじやないかということも一応考えられるのでありまして、その点についての提案者の御意見を承りたいと思うのであります。
  5. 石川榮一

    石川参議院議員 お答えいたします。ただいまの御質問は一応ごもつともの御質問であります。私どももその点につきましては、立案にあたりましていろいろと研究を遂げたのであります。国土総合開発法は昨年の五月公布となつておりますが、この国土総合開発法のねらいは、その目的といたしまして、経済社会文化等に関する施策総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、保全し、そしてさらに産業立地適正化をはかり、そして最後目的は、社会福祉向上に資するものであるというのであります。従いましてこの国土総合開発法は、あらゆる経済施策、あらゆる社会問題、あらゆる文化施策等広汎におたる総合開発法でありまして、いわゆるしつかりしたねらいがないのであります。第二條にもうたつてありますように、広汎な経済社会文化厚生一切にわたるものを総合的に検討を加えて、そして産業立地條件、あるいは都市、農村の規模及び配置の調整、あるいは文化厚生方面におけるあらゆる公共的な施設というような、各般にわたる項目を掲げまして、国土総合開発法の名において計画を立てようということに相なつているのでありまして、私どもがねらつております、ただいま全国にわたつて荒廃しておりますあらゆる水系等を、直接取上げて、そして重点的にそこの水系総合開発するというようなねらい重点を置くよう法律になつておらないのであります。要は広汎な社会政策向上を目指ざす総合開発を目途としておりますので、私どものねらつております、最も荒廃した水系を克服し、その水資源を高度の技術によつて開発するというような、直接必要な施設中心を置いておりませんので、この国土総合開発法は、茫漠としてつかむところがないのであります。ことにこの国土総合開発法は、総裁関係都府県に命じてプランを立てさせる。いわゆる総合開発計画を立てさせる。それを建設大臣を通して総裁は受けて、国土総合開発審議会の議に付し、その答申を待つて、また元の起案者である都府県あるいは特定地域都府県知事等に勧告をする、あるいは助言するというようにしか規定してありませんので、そこに何ら推進力もなし、実現性もありません。単にプランをつくるための国土総合開発法に相なつておりますので、私どもがねらつております、実質的に、ただちにその事業推進をされ、そして実現をすみやかならしめるというような、法的根拠を持たないのであります。さようなわけでありますので、国土総合開発法では、私どものねらつております利根川開発はできない。もしこれをやろうとすれば、さらにこの国土総合開発法のねらうところを、集中的にできますよう法律に改正されますればいざ知らず、今日公布されております国土総合開発法では現実に即さない。ただプランをつくることに堕しておるようなきらいがありますので、この国土総合開発法では、利根川総合開発実現に導くことは不可能であります。ことに利根川は御案内ように、一部六県にわたる日本における最大の河川であります。戦争後非常な山の荒廃が起りまして、水害は昭和二十二年九月のカスリーン台風以来、累年非常な災害関東平野に及ぼしておりますことは御承知の通りでありますので、一刻も躊躇することを許さない。荒れている利根川の克服、同時に水資源総合開発は、この際における焦眉の急務であります。こういう観点から国土総合開発法の何ら実現性のない、推進力を持たない、単にプランをつくる一つの方便にしかすぎないものにたよれないというので、この法案を出したわけであります。従いまして、との法律が幸いに御協力を得て両院を通過し、法律として公布せられますならば、私どもはこの国土総合開発法の一歩の前進であり、国土総合開発法のねらいを生かし得る先駆をなすものである、かよう考えを持つておるのであります。法の立場から考えますれば、あるいはこの国土総合開発法利根川開発法案とはダブる傾向があるようにも考えられるのでありまするが、私どもはもしこの法律公布ができますならば、国土総合開発法の範囲から利根水系に関する限りは除かれてもさしつかえないと考えております。要するに国土総合開発法のねらいの一環をなすものを特に的確に計画推進実施をする法律でありまするから、この国土総合開発法のねらいとするところと何ら背馳するものではない。むしろその推進をするものであり、また考え方によりましては、利根水系に関する限りは、この法案が通りますれば、国土総合開発法から除かれてもさしつかえない。ちようど北海道総合開発法国土総合開発法との関連ような形になるのであるという見地に立つておるのであります。ただ解釈のしようによりましては、国土総合開発法との関連考えねばなりませんので、利根川開発法による計画国土総合開発法計画との間にトラブルが起る、あるいは重複が起るというような場合には、これは総裁たる総理大臣がその調整に当ればよろしいのである。要は国土総合開発法実施に移すための唯一の方法といたしまして、こういう法案によつて事業推進実現をはからなければならない、かよう観点に立ちましてやつたわけでありまして、国土総合開発法自体では断じて推進力もなし、実現可能性の何ものもうたつてないのであります。こういう観点に立ちましてこの法案提出した次第であります。今御質問の要旨に対しましては、さよう考えで提案しておりますことをお答えいたします。
  6. 青木正

    青木(正)委員 次に第二十三條の「別に法律の定めるところにより設立される特別の法人」というのは、どういう実体を持つものであるか。これに伴う法律案提出も今のところありませんので、はつきり実体を把握することができないのであります。そこで提案者の方におかれまして、この法人はどういう内容を持つ計画のものであるか、その点を大体の腹案がありましたならば、御説明願いたいと思います。
  7. 石川榮一

    石川参議院議員 お答えいたします。第二十三條に規定しております特別の法人の問題でありますが、この利根川開発法案がねらいまする利根水系全般にわたる開発計画に対しましては、その予算が相当大きなものに相なるのであります。もちろん私どもは周密なる調査をする時間もありませんし機関もないのでありまするが、各省が五年計画、十年計画として、おのおの総合的な見地から、その省自体のなすべき総合計画なるものを集め、あるいは各県庁が考えております事業等を勘案いたしまして得ましたところの予算は、大体におきまして二千四百五十億円の集計を得たのであります。この二千四百五十億円の膨大な予算に対しまして、日本の国の財政とにらみ合せまして、いかに実現性を持たせるか、いろいろ検討を加えた結果、一部は民間資金導入によりまして、いわゆる官民協力の力によりまして、この予算の消化をはかり、この工事の促進をはかりたい。幸いにも利根に関係を持ちます東京千葉茨城、栃木、群馬、埼玉一部五県は、年々歳々の水禍におびえております関係もあり、長い間の伝統的な結合もありましたので、最近におきましては、一部五県の行政官庁並びに民間人は打つて一丸となりまして、非常に強力な態勢を整えて参つたのであります。この盛り上る一部五県の一千五百万住民の熱意の結晶に目をつけまして、この燃え上つて参ります住民層蓄積資本をもこれに導入いたしまして、おのおの責任においてこれに協力させるということが非常に望ましいと考えますのと、もう一つは、日本の国の財政状況から考えまして、大規模に外資の導入考えてみる必要がある。かような着想をもちまして、この特別法人には公共的な性格を持たせました特殊法人を一応意図いたしまして、その線に沿うていろいろ検討を加えて参つたのであります。大体におきまして各都県財政並びに国の出資、さらに一般一部五県の住民層出資いわゆる官民一体出資を結集いたしまして、相当大規模利根川開発会社とも称するよう特別法人を設立いたしまして、この民間資金中心とする政府資金並びに都の財政から支出する資金等も加え、今利根川計画に人つております上流部電力事業、あるいは東京都の水道事業、あるいは下流の千葉県、茨城方面には、電力供給等ができますれば、りつぱに美田にかえ得るたくさんの湿地田もありますので、これらの干田事業等をも加えまして、広汎なる利根川開発振興に寄與し得る会社の設立を目途しておるわけであります。さようにいたしまして、国家資金民間資金タイアツプいたしまして、この膨大なる予算を消化して行こうという構想を持つておりますので、実はこの法案は、国の財政支出と、バランスシートがとれる発電事業、先般申し上げました水道事業、あるいは干拓事業、あるいは奥地林開発問題等を総合いたしましたいわゆる総合開発会社の具現を意図しておるわけでありまして、この法人は、いずれ利根川開発法公布せられたあかつきにおきまして、その基本計画が立案された場合、年次計画等構想がまとまるときを待ちまして、この特別な法人に対する法律を制定いたしましてその発足をしたい、かよう考えまして第二十三條を入れたわけであります。要は官と民の力を結集せんがための特別法人を設立するという意味合いになるのでありまして、この点は特に利根川開発法案としては特色を持たせておると考えておるわけであります。
  8. 青木正

    青木(正)委員 最後にもう一点伺つておきたいと思います。それは開発庁を設置するととになつておりますが、法案によりますと、開発庁定員は五十一名になつておりますけれども開発庁は大体どんな機構によつて組織されるつもりか。もちろんこれはできてからの問題かと思うのでありますが、提案者の方の腹案がありましたならば、御説明願いたいと思います。
  9. 石川榮一

    石川参議院議員 お答えいたします。開発庁は新たに設置いたしますので、私どもといたしますと、詳細な計画を立てますのに、どの程度の定員を要するかということにつきましては、前例がないので非常に困つておるのでありますが、北海道開発庁が発足いたしたのが三十五人であります。その後北海道開発庁事務運行をいろいろ取調べてみますと、三十五人ではとてもできないというので、四十五人に定員をふやしておるのであります。私ども利根川開発計画は、北海道は広いが、利根川は狭いから小さくて済むと考えることは間違いでありまして、むしろ北海道開発庁北海道庁に仕事の全部を與えておつてほんとう連絡機関にすぎないよう形態しか持つておらないのであります。しかもその仕事もこの開発法にあるように、北海道のあらゆる文化施設にまで手を伸ばしておりますので、広く薄く運行するという性格を持つておりますが、私どもの意図しております利根川開発法は、最も高度な技術によつて利根水資源経済文化の面に十分寄世與させようという深刻な、非常に深い、強い意思を持つておりますものですから、規模といたしましても、相当に人員を要すると考えまして、いろいろ研究いたしました結果、五十一人ということに一応きめたのであります。その一人は次長、あとこの機関のうちには、とりあえず考えておりますのが調査課、この調査は庶務を含むのでありますが、調査課計画課管理課とわけて、なるべく簡素化の線に沿いまして、この三課にわけるつもりでおります。そして調査課には二十人、計画課には二十人、管理課には、これは連絡調整報告等事務、あるいに会計も加わつておりますが、これが十人、合せまして五十人、次長を加えて五十一人、かよう考えておるわけであります。そのほかに長官の補佐役として参與を十名以内置きたいと存じます。この参與各省代表的な役割を演じます官吏、要するに私ども考えておりますのは局長あるいは次官をこの参與に充てたいという考え方でございます。この法律を制定いたしましても、ほんとうにその実をあげまするのには、各省協力が最も大切なのでありまして、各省協力なくしては、この法律ほんとうにその成果を期し得られないのでありますから、こういう点からさような規定を置きまして、各省代表的な意見の開陳、あるいは希望、あるいは資金面に対する連絡等に当てたい、かよう考えまして、参與制をしいておるわけであります。その他ついでかもしれませんが、利根川総合開発審議会を設置いたしまして、この審議会はその構成メンバーといたしまして、衆議院から五名、参議院から三名、各関係の六都県知事府県会議長、それに学識経験のあるエキスパートを十名以内、合せまして三十名以内で、この利根川総合開発審議会を設置することにしておるのであります。この機構は、一部五県の地方関係を持ちます大きな利根川開発法案でありますから、各行政官庁、並びにその県民の代表であります県会代表する議長等に十分な発言権を與え、計画に関する十分な協力を求めるため、さように各行政官庁並びに県議会の議長等を包含しておるわけであります。さようにいたしまして各省との緊密な協力を保ち、また一部五県にわたる各行政機関並びに都県会意見を十分にこの仕事の進行に寄與させて行きたい。民主的に運行させるねらいをもちまして、さようにこの構成をきめておるわけであります。衆議院議員参議院議員人選等総裁がこれに当りまして、議会の同意を得ることはもちろんであります。以上のようにいたしまして国会並びに知事県会、さらに各行政官庁代表者あるいは全国的に名をなしております学識経験者等を網羅いたしまして、万全の機構を整えまして、この開発法の美果の実現に移したいと考えております。さよう考え方でこの開発法機構をつくつておるわけであります。御了承願たいと思います。
  10. 青木正

    青木(正)委員 もう一点、日本治水行政の従来のあり方を見ますときに、常に堤防を上げる、あるいは川底をさらうというように、水底だけを考え治水の問題を取上げておつたのでありますが、ただ堤防を上げ川の底をさらうということでありましては、いつになつてもこれは解決できないので、どうしても根本的に考えなければいかぬ、そこでアメリカTVA方式が今日世界的に大きく取上げられて参つて、その一つの世界的な風潮にかんがみまして、今回日本において最も大きな川である利根川治水問題についてTVA考え方を取入れたことは、これは日本治水行政における画期的なあり方だと思うのであります。ただここで私ども考えなければなりませんことは、未開発地域におけるTVA方式そのままのあり方を、今日考えております日本利根川治水という問題にただちに持つて来ることは、とうてい困難な問題であると思うのであります。先ほど特別法人のお話もありましたし、それから本法案全体を通覧してみますときに、私どももこの法案日本治水行政におけるまことに画期的な一つ法案として重要な意義を持つものと考えるのであります。そして千五百万の住民を包容するこの利根大水系の問題を解決せんとするこの法案のねらいとするところにつきましては、私ども一満腔の賛意を表すものでありますが、先ほど申し上げましたようTVAあり方をそのまま利根川に持つて来るということは困難であり、そこで特別法人の問題が取上げられて参つたと思うのであります。そこで特別法人がやるべき部門と、それから純粋の財政投資によつてやる従来の治水面との関連の問題、それからまたこの法案を立案するにあたりまして、TVAあり方について相当御研究願つたかと思うのでありますが、TVAの観念とこの法案のねらいというような問題につきまして、提案者の方で御研究なつたところをお話願いたいと思うのであります。
  11. 石川榮一

    石川参議院議員 TVAあり方利根川開発法案がねらいとする構想はどんなものか、関係いかんという御質問でありますが、TVAは御案内ようほんとうに民主的なアメリカが試みましたところの画期的な公社性格を持つ大事業でありまして、わずか十箇年で世界にまれに見るようなすばらしい効果をおげておりますことは、まことに羨望にたえないのであります。私どもはあのTVA方式をそのまま日本に入れるということにつきましても、いろいろ検討を加えて来たのでありますが、日本民主化はまだ進んでおりませんで、ややもしますると、官尊民卑といいますか、官の力にたよるという考えが非常に強いのであります。この官にたよる考えを断ち切つて、一種の公社的な性格を持つ独立機関として持つて行くととができるであろうかということをいろいろと考慮を加えたのでありますが、未熟な民主下にありまする日本現実では、どうしてもある程度まで官の機能が十分に働きかけなければ、とても日本水源開発総合開発ということは考えられない。かよう観点に立ちまして、いわゆる公社性格でなしに、国の行政機関といたしまして開発庁を設置いたし、その公社的な性格は、先般申し上げました今民間人の盛り上つておりまする利根川に関する重大な関心をとらえまして、そして公社性格のある法人をつくりまして、発電事業あるいはその他干拓事業、あるいは奥地林開発事業、ある程度のバラソス・シートがとれるようなものに対しましては、特に公社的な性格を持つ会社によつてやらせまして、逐次この利根川開発が進み、あるいは次の大きな開発に移るという段階になりましたら、ちようどその経験によりまして、アメリカにおけるあのTVA公社的な性格の理想的な形態が生れて来るのではないか。今さしあたり第一陣としてやりました開発事業に対しましては、遺憾ではありますが、TVAのあの性格をそつくりとり得ませんで、若干官にたより過ぎるきらいはありますが、ある程度の財政支出を絶対必要とする現在の利根川状況から見まして、かよう考えまして、この法案TVA性格とかえましてこういう法案にしたのであります。特にTVAでは航行、電力等重点を置くのでありますが、私どもがねらつておりますのは、災害防除電力、ととに利水であります。土地改良事業であります。水田排用水であります。TVAでは少しも水田がないのでありますから、土地改良なんというものは問題にならないのであります。要するに災害を防除して水力発電を大きくする。一方は船の運行によつてあのテネシー川の大河川を交通の利便に寄與せしめる、運輸に使おうというようなねらいがあるのでありますが、利根川にはそれとは性格を異にしましたねらい電力は共通しますが、特に土地改良用排水事業あるいは干拓事業水田構想中心にしております利根川とは、おのずから事業性格も違つて参ります。ことに食糧の問題に対しましては、関東のこの土地においては米におきましても一四%、大小麦におましては全国の四三%を生産しておる重要な食糧基地であります。こういう食糧基地の持つ食糧源を確保し、増産するということが、ねらい中心でありますので、これに対しましてはTVAとは違いまして、国家的な国策でなくてはならない。公社にまかせるような、いわゆる利潤を上げるのに汲々とするよう公社的性格ではなくして、国策の線をそこに織り込むべきである。食糧難に陥らんとする日本食糧政策に対しまして、関東の受持つ、利根水系の受持つ役割は非常に重大であります。こういう観点から考えまして、TVAの方策をとらずして、国策としてこれを推進すべきであり、その国策に対する協力機関として民間の資金を導入する、これは国の予算が非常にきゆうくつでありますので、盛り上つた民間資金をこれに導入することによつて、この国策の遂行に協力させる、かよう考え方によりまして、この法案のねらいを定めたわけであります。そういう点がTVAとたいへん違つている点であります。要は私どもはこの緊急やむを得ざる事態なり、一年も耐え忍ぶことのできないような荒廃した大利根のあの荒れ狂う状況をながめ、また第三次戦争を予想する現下の状況考えまして、日本食糧問題こそ、日本民族の生死に関する重大な問題であつて、断じて外国にのみたより得べきものでないという観点に立ちまして、食糧増産の急務、それは河川災害防除であり、また土地改良の急速なる進展である、かよう考えまして、主として国策利便の立場からこの法案はねらつたのであります。TVAとその性格を異にいたしますのは、国の窮迫しております現在の状況、国際情勢の緊迫化により累卵の危うきに立つ日本食糧情勢をにらみ合せまして、TVA構想とはかえまして、こういうよう法案をつくり出したわけであります。よろしく御了承願います。
  12. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 他に御質問はありませんか。——なければ次に進みます。     —————————————
  13. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次に審議会整理等のための厚生省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたし質疑を行います。御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に進みます。     —————————————
  14. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次に特別調達庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたし質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。青木正君。
  15. 青木正

    青木(正)委員 この前の委員会におきまして、江花委員から質問があつたのですが、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案の第六條第四項の監察官の問題であります。「長官官房に監察官一人を置く。監察官は、命を受けて庁務の監査に関する事務を総轄する。」という一項でありますが、この「命を受げて」ということと「総括」という字句につきまして、多少疑念を生ずるおそれがありますので、その点につきまして調達庁の方のはつきりしたお考えを御説明願いたいと思うのであります。
  16. 辻村義知

    ○辻村政府委員 ただいま御質問のございました「命を受けて」という言葉と「総轄する」という言葉は、いずれも比較的漠然とした表現になつておりますので、前会いろいろ御疑念があり、御質疑がありまして、一応お答えいたした次第でございますが、ただいまの御質問に対してお答え申し上げたいと存じます。  「命を受けて」という言葉でございますが、これは法文の解釈上は、当然上司の命を受けてということでございまして、従いまして、官房に設置せられております監察官でありますので、官房長、庁次長並びに長官の命を受けてということに相なると存じます。なお運用の面におきまして、監察官を設置いたしました趣旨にかんがみまして、この監察官の機能が十分発揮できるように適当な考慮を加えて参りたい、かよう考えております。  それから「総轄」という言葉でございますが、これも漠然といたしておりますが、われわれがこういう言葉を用いました趣旨は、要するに監察官が監察業務のとりまとめをいたし、またその監察業務に専念をするという趣旨でございまして、別段特別の権限を與えるとか、あるいはその他の特殊な意味を持たせておるようなつもりではないのでありまして、最初に申し上げましたような趣旨でこの言葉を用いております。さよう了承願います。
  17. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 他に御質問はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  18. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次に審議会等整理のための建設省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑はありませんか。——別に御質疑がなければ、本日はとの程度といたし、次会は明後日午前十時三十分より、各省設置法の一部改正に関する法律案について採決に入りたいと存じますから、さよう了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会