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1951-03-01 第10回国会 衆議院 電気通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月一日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 庄司 一郎君 理事 辻  寛一君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       井手 光治君    岡西 明貞君       尾關 義一君    黒澤富次郎君       小峯 柳多君    關谷 勝利君       中村  清君   橋本登美三郎君       宮原幸三郎君    山本 久雄君       椎熊 三郎君    畠山 重勇君       田島 ひで君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電波監理委員会         副委員長    綱島  毅君         電波監理長官  長谷 愼一君  委員外出席者         総理府事務官         (電波監理委員         会法規経済部         長)      野村 義男君         総理府事務官         (電波監理委員         会法規経済部放         送課長)    松田 英一君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     古垣 鐵郎君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 三月一日  委員犬養健君、井上信貴男君、鈴木明良君及び  森下孝君辞任につき、その補欠として宮原幸三  郎君、黒澤富次郎君、尾関義一君及び山本久雄  君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長の選任に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)     —————————————
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  前会に引続き、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。前回の委員会におきまして、日本放送協会長垣鐵郎君を参考人として、本委員会に御出席を願うことに決定したのでありますが、本日ここに古垣参考人が御出席なつております。これより質疑に入りますが、質疑政府側参考人に対し同時に行いたいと存じます。質疑の通告があります。これを許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員 昭和二十六年予算案を見ますと、受信契約者から徴収する聴取料月額五十円といたしまして、収支予算が編成されておるのであります。その理由といたしまして、放送番組の充実とか、あるいは刷新放送施設拡充整備事業合理的能率化目的とされているようであります。放送料金の件につきましては、昭和二十三年七月に規定されましたままの料金でありますので、その後の物件費及び人件費等値上りは、要求の額と比較にならないほどの高騰ぶりを示しておるのであります。私はあえてこれに反対するものではありませんが、御承知通り放送事業公共的性格を持つておりますので、利潤追求目的とする他の企業体とはまつたく相違しておるものであります。さらにまた国際的知識をあまねく国民大衆普及する重大なる使命を有しておるものでありまして、特に終戦六年を迎え、講和問題のいよいよ実現間近になつて参りました現在のわが国におきましては、必然的に放送内容刷新は、焦眉の急を要する問題であると確信するものであります。他の動物と異なつて、人類は視覚よりも聴覚によつて取入れるパーセンテージは最も大なるところ、すでに何人も認めておるものであります。しかるに放送協会世論によれば、出演料金低額だとか、あるいはそのために有能な出演者出演拒否にあつたとか、出演契約料金低額のゆえをもつて一つ番組を長期にわたつて継続しておるのだとか、さらにまた放送設備の不完全のために、中央に近い市街地においても聴取することができない等、受信改善に怠慢があるのではないかというような声を聞くのであります。今や世界文化の進展に伴いまして、平等なる主権を持つて進まんとするところのわが国であり、なかんずくその国際的文化普及に対しまして、指導的立場にある公共的事業体であることをみずから確認して、これに当つてもらわなければならないと信ずるものであります。これに対しまして私は次の点につきまして、二、三御質問申し上げたいと思うのであります。  その第一点としまして、放送法に、全国あまねく受信ができるようにと規定してあるのでありますが、本予算において実質的に前進せしめることができるかどうかということであります。  第二点としまして、昭和二十三年以降の受信状態はどのように改善されておるか。さらにまた出演料金においても他と均衡がとれるように、はたして改善されてあるのか、どうか。  第三点といたしまして、諸外国における放送内容について、調査研究をする何らかの機関が設けられておるのか。また設けようとして考えておるのか。さらに放送料金等について、これに対する調査がしておありになるかどうか。  あまり長くなりますから、まずそれだけお伺いいたします。
  4. 富安謙次

    富安政府委員 お答えを申し上げます。ただいまお尋ねになりました三つの点でありますが、その第一点の、放送法全国あまねく容易に聴取できるようなことを目途として、施設しろという使命放送協会に負わせておるのでありますが、その点から見て本予算において何ほどの前進をしておるかというお尋ね、それから第二点は、二十三年度以降の受信状態は、どのように改善されておるかということであつたように拝聴いたしました。この二つの問題は、結局は関連をいたしておると存じますので、その含みをもちましてお答えを申し上げたいと存ずるのであります。お手元にも差上げてあるわけでありますが、この事業計画を見ますと、この放送事業というものは、まず放送内容、いかなる放送番組を組むかという放送内容に関することと、それからどういう物的の施設をもつてその内容放送するかということ、及びこれに関連しまして、その物的の施設をどういうふうに運用して参るかという、その三つの点から考え計画を立てておるようになつておるのであります。放送に関する方針でありますとか、それから施設に関する方針であるとか、事業運営に関する方針であるとか、この三つ方面にわけておるのであります。  その物的の施設に関すること、物的の施設整備拡充するということは、まさしくただいまお尋ねになりました放送全国あまねく、そして容易に聞くことができるようにしようという目途に向つて立てられておる方針であると思うのであります。  この事業運営方針、重要な一つ方針が、ただいま御指摘になりました点に欠けておるということは看取できるのであります。それではどのようにこの予算にその方針実現をされておるかという点につきまして、まずこれを結論的に申してみますと、今年度建設計画によりまして、あまねく聴取できるという趣旨に従つて、どんな結果が現われておるかと申すことを、第一放送、第二放送にわけてみますと、大体こういうことになつておるのであります。どういうような普及状態であるかということを、普通にまずこういうような観点から見ております。日本全国世帯数がどれだけであるかということを一方で頭に置きまして、それに対しまして、放送がまあ電界強度を普通の基準に置きまして聞き得る範囲が、どの程度まで及んでいるかということを考え、その範囲の中にあります世帯数がどれだけであるかということを数えまして、世帯総数に対するその聞き得る範囲内に含まれている世帯数割合をもつて、大体これを推定する方法といたしているのでありますが、結果がどういうふうに現われているかということを見ますと、現在はその割合が約九三%ということになつているのであります。ところが二十六年の計画が完成いたしました後には、そのパーセンテージが九六%まで進むという勘定になつているのであります。差引三%の増進、これがただいまお言葉にありましたような、第一放送に対する本計画による前進一つであります。  第二放送の方を見ますと、ただいま申したと同じような意味におきまして、現在は約七九%になつております。それが完成の後になりますと、約八八%あまりということになるのでありまして、これも差引約一〇%の増加に相なつているのであります。このパーセンテージ増加というものは、すなわちあまねく容易に聞けるようにするという、そのことを目途として計画をいたしました結果、かような前進ができるということに相なるわけであります。それをもう少し具体的に、しからばどういうような事柄がこの予算に盛られて、ただいまのような結果が得られるようになつたかということを具体的に申してみますならば、これは大分数字的なことになりまするし、私よりも他の政府委員、あるいはお許しを得まして、説明員等からお尋ねによりまして、詳しく数字的なことはお答えをさせていただきたいと存じまするが、大体のことを事柄で申しますならば、この二十六年度におきます計画内容といたしましては、放送所建設とか、中継放送局の新設であるとか、既設中継所の第二放送設備を整備するとかいうようなことがまず一つあります。大阪盛岡網走、この放送所建設、これは二十六年度に盛られておりまする建設といたしましては相当大きいものでありまして、この大阪盛岡網走、この放送所のために本年度は約二億くらいたしか出ておることになつております。それから中継放送所を五局新設することになつておりまするし、また既設中継放送所の十局に対しまして、第二放送設備を整備することも、この内容として盛られております。そのほかに中継放送所施設改善するとか、あるいは機器を改善するとかいうようなこと、それらのいろいろ物的な施設整備拡充ということによつて、ただいまのような結果をもたらし得るわけであります。もちろんこれは施設改善、すなわち放送を送信するという面からのことでありまするが、同時にまた受信の面からも考えられなければならぬのでありまして、受信の面と申しまするのは、受信機の最も優秀なものを最も安く製作普及せしめるという点が必要であります。つまり送信の面と受信の面と両方相まつて、初めてただいま申しましたようなかなり拡張ということが、実質的に一般聴取者に対して実効をもたらすわけでありますから、受信の面、すなわち受信機改善のための予算というものは、あるいは研究費として、あるいは改善対策費として相当の額が盛り込まれているわけであります。大体そういうような状況を御了承くださいまして、この新年度予算があまねく聴取せしめるという点に対しまして相当考慮を払い、そうしてまたこの予算計画実現しますれば、実効が上るはずであるということを御了承願いたいのであります。  それから次に第二あるいは第三点でありまするか、海外放送事情調査についても十分必要なことと考えるが、現在どういうようなことをしているのか、あるいは予算面ではその点はどういうふうに現われているかというようなお尋ねであつた了承をいたしました。まことにお尋ね通りに、そういうような面の調査研究というものは必要なことでありまして、放送協会といたしましても十分にその点には意を払つているのであります。実際どういうことをしているかということになりますると、やはり計画の中にもありまするが、研究に関する方針というところに述べてありまする通りに、この研究技術の面と文化の面とあるわけでありますが、技術研究所文化研究所というものがありまして、ただいまお尋ねになりましたような点は、この放送文化研究所におきましてもつぱら——もつぱらと申すのは当らぬかもしれません、力を注いでその点の調査をもいたしているわけであります。でき得る限り海外の書籍、新聞、雑誌、そういうものの資料を集めまして、海外放送界における重要な動きとか、そういうものは、番組関係の新らしい面において、これを正確に懸命にとらえまして、すみやかにこれを日本放送において紹介する。そしてまた番組の面だけでなく、経営面その他にも、その海外実情によつて得たところをもつて寄与せしむるように努力して行く、かようなことについて十分に意を用いているわけであります。大体その数字は、ただいまお話のありました外国受信料、これも放送協会におきまして調べたものはありますが、文化研究所経費がどれだけになつているかということは、他の人からお話をしてもらおうと思いますが、大体事業費支出の中に調査費用というものが盛られております。その調査費は、全部ではありませんけれども、その中にはこういうような外国事情調査というようなものも、相当に費されているはずでございます。それから外国受信料比較、これはなるほど放送協会からいろいろとりました資料を見ますと、受信料比較があります。各国によつていろいろ事情が違うのでありまして、その表を見ましても、それがただちに日本受信料をきめるのに直接に役立つかどうかということについては、相当考えなければならぬと思いますけれども事情が一番日本と似ているという意味におきまして、ここにドイツの場合との比較が私ども手元に参つております。これはこういうようなことに言うておるようでございます。ドイツ工場労働者平均月収がどれだけであるかということを見まして、そのどれだけのパーセンテージ受信料が当つているかということを、かりに調べているわけなのであります。これによりますと受信料月額が二マルク、この二マルクという額は、ドイツ工業労働者平均賃金の二三七・二五マルクに対して、〇・八四三%に当つているのだそうであります。これに対しましてNHKの受信料の五十円というのは、どういうような比較になるかということをかりに調べてみますと、日本工業労働者月収は、最近の調べによりますと、一万一千三百九十八円という調べがあるようでありまして、これに対しまして五十円というものは、〇・四三八%ということになつているのでありまして、ドイツ比較しますれば〇・八四に対する〇・四三と、はるかに低位であるわけであります。ドイツとほかの英米等とはまた大分違うのでありますが、英国における受信料年額どれくらいになつておるか、フランスカナダ、オーストリア、スイスそのほかについてもそれぞれ出ております。これはお尋ねがありますれば、詳しい数字を刷りものにでもしてごらんに入れようと思いますけれども参考にはむろんなるのでありまして、こういうものも十分考慮に入れまして、五十円というものに結局到達したのだと思いますが、英国受信料年額一ポンドであるとか、フランス年額千フラン、カナダが二・五ドル、こういうようなことも参考になるかと存じます。大体そういうような状況でありまして、お尋ねの主眼であります外国事情等についても、平常注意を払つているのかどうか、どういうような資料を得て、どういうふうにこれを日本に利用しておるのかということにつきましては、ただいま申しました文化研究所を設け、また調査費相当なる経費を見込みまして、絶えず海外資料を収集いたし、これを日本放送実情に即して、目を広く世界情勢に応じて、日本放送をよくして行こうということに、十分に意を用いているのだということについては、御了承を願いたいと存ずるのであります。足りないところは、お尋ねをいただきますれば、なお他の政府委員からもお答えを申し上げますが、私より大体それだけのことを申し上げます。
  5. 長谷川四郎

    長谷川委員 大体ただいまの説明で了解できるのですが、放送費増額八億六千五百万円としてあるのですが、これによつてどのような内容刷新ができるか、またする考えであるかという点について、大ざつぱでよろしいからお聞かせを願いたい。  さらにまた特に委員長に聞くのですが、他の物価とか、あるいは新聞等比較して、非常に値上げが不当であるという話を聞くのだが、これに対して委員長はどんな見解を持つているか、ひとつ伺いたい。  さらにラジオが、東京で聞くのと名古屋で聞くのと同一でなければならないのに、何ゆえか同一の音声で聞き取れないというようなことがいわれておりますが、これに対してはどうか。大体放送の理念にかんがみましても、そういうものではないのではないかと思うのですが、これらに対して何か調査がしてあつたならば、聞かしていただきたいと思います。  それから衆参議員並びにこれに準ずる公職選挙等について、建前上録音をもつて放送をできるだけやるようにしたい、こういうような考え方でわれわれはおるのですが、委員長はどんな考え方を持つておられますか、聞かしていただきたい。  もう一つ、レツド・パージは協会が自主的に行つたものであるか、またこれに対して関係方面から示唆があつてそれを行つたのであるか、この際聞かしておいていただきたいと思います。  それからすでに民間放送が、眼前に展開されようとしているときにあたつて料金改訂によつて民間放送を圧迫するようなことがあるかないか、私たちはそう心配もしていないけれども一般民間放送を圧迫するためではないかという考え方を持つておる人たちもあるので、この点について委員長のはつきりした見解を表明してもらいたいと思います。  それから放送協会は他の公共団体と異なつて、相当の待遇を受けておるというような話を聞いておる。このたびの料金改訂は、人員の増加あるいは給与水準を高めるために行うのであるかどうか、そんなことはおそらくないと思いますが、この点についてはつきりした御返事を承りたいと思います。私は料金改訂については、国民大衆もおそらく納得することを確信するものでありますが、これには大衆の要望しておる最も優秀な番組と、物的設備改善が必要ではないかと思うのでありますが、その期待満足を与える決意があるかないか。さらにまた放送費増額の八億六千五百万円、これでその期待を裏切らないような放送内容刷新がはたしてできるのかどうか、以上の諸点をお尋ね申し上げます。
  6. 富安謙次

    富安政府委員 お答え申し上げます。御質問が多岐にわたつておりましたので、私のただいま控えましたメモにあるいは漏れがあるかもしれません。漏れました点は、さらにお尋ねいただきまして、お答えをいたすということにお許しを得たいと思います。  まず第一に、八億余りの放送費増額なつておるが、一体この内容がどういうものであるか、それを簡単に説明するようにというお話でありました。この八億余円の増額の大部分は、番組費増加ということになつておりまして、ほかに僅少の調査費その他のものはあります。何と申しましても、放送事業大衆と直接につながるところは、番組の良否ということ、つまり放送内容に関することなのでありまして、この点に事業計画方針として主力が注がれておることはもちろんのことでありまして、この増額の八億というものは、予算総額に対して相当な重きをなしておること、相当なウエートを持つておることは当然なのであります。大体番組費増額というけれども、その内容はどういうようなことが多くなつておるかと申しますと、お話の中にもありました出演料著作権料、それから放送内容といたしまする作品を委嘱する作品委嘱料、それに合せまして通信専用料、これまた相当額に上るのであります。そういうようなことだけでも八億のうち六億四、五千万円というものが占められているわけであります。     〔委員長退席庄司委員長代理着席〕  そういうようなものに対しまして、この増額をもちまして物価値上りを補い、また放送事業を拡充いたし、それから時間としましても、放送時間をできるだけ増加する。それにつけ加えまして、いろいろの放送番組関係いたしまする番組審議機関を新たにつくつて、その審議を待つて番組の向上を期するというようなこと、あるいはまたどういうような放送が最も国民大衆の望むところであるか、受けているかというようなことに関しまする、いわゆる世論調査であります。その世論調査をただいまも十分にやつてはおりまするけれども、なおそれを調査することであるとか、報道網を充実するとか、そういうような放送実質内容を向上せしめることに、八億余円の大部分のものが費されているわけであります。それだけをもちまして、放送内容を向上し、国民大衆満足を買うのではむろんないのであります。これとともに資本支出におきましても、相当の額を建設費として認められておるのでありますから、物的施設拡充整備、それから番組面におきまする八億余円の、ただいま申しましたような内容を持つておりまする増額、こういうようなものと両々相まちますれば、御結論にありましたような、放送の面目を一新して、国民大衆の要望にこたえることができるのではないかと考えておる次第であります。  それから五十円というものが、世間には必ずしも安くはないという声があるようだが、その点に関する私の考えはどうかというお尋ねつたように拝聴いたしました。五十円が高いか安いかということは、なかなかむずかしいことでありまして、考え方によりましては、五十円が安いとも言えますし、安くないとも言えると思うのであります。物価との比較、あるいは他の外国の例、いろいろな方面からこれを判定しなければならぬと思うのであります。五十円が安い高いということを離れても問題となりまするのは、三十五円を五十円に上げるということ、つまり値上げの率があまりに急激であり、きつ過ぎはしないかということが、まずだれの頭にもすぐ来ると思うのであります。それが一体一般物価値上りとどういうようなことになつているかということは、慎重の上にも慎重を期して考えなければならぬことと思うのであります。一躍四割以上の増額は、いかにも急激のように見えるのでありますけれども、これは二十三年七月以来しばらくすえ置きになつておつたのだという事情考慮して、判断をしていただきたいのであります。私の聞いておるところによりますと、これは委員会発足前でありますけれども、この三十五円を情勢に応じてたしか四十五円に上げようという案もあつて、それがそれぞれの方面の了解も得ておつたのでありますけれども、結局最後に政策的意味において、その値上げ実現できなかつたのだということを承つております。もしそのときにこの段階をふんでおりましたならば、その後の物価値上りがありましても、こういうような急激の増加ということにはならなかつたはずでありますけれども、そのときは値上げにならずに、そのときの諸物価の騰貴にかかわらず、今日まで維持しておつたものですから、急に上げなければならぬことになつたのであります。それでは二十三年七月と現在の諸物価との比率が、一体どういうことになるのかということになるのであります。これはいろいろの物価比較しなければならぬと思いますけれども、私どもはまず類似のものとしてすぐ頭に来るのが、新聞料金との比較であります。新聞料金は御承知のようにたびたび値上げなつておるのでありまして、二十三年七月当時と今日と比較いたしますと、一・八倍の増額ということになつております。それが受信料値上げは、約一・四倍ということになつておるのであります。そのほかに電力料だとか、ガスだとか、鉄道だとか、そういうものとの比較が一応頭に来るのでありますが、電力料は約三倍だと思います。それからガス料金は約二・三倍だそうであります。鉄道料金は一・六倍だそうであります。そうして新聞料金はただいま申しましたような事情であります。こういう際に受信料の一・四三倍、そのくらいの倍率というものは、私ども考えといたしましては、どうもやむを得ないかと考えておる次第であります。もちろんこの増額によつて得られた増収が、どういうものに使われるかということによりまして、もしこれが望ましからざる使い方をされるということでありますならば、これは一分一厘といえども増額などは不当だということになるのでありますけれども、今日の経済情勢その他物価の大勢等を見ますると、この物価値上りの際におきましては、若干の値上げがなければ現状維持さえできない、現状よりもますます悪くなるというのが実情なのであります。現状を維持するということにさえも、三十五円では不可能であるのに、現状をもつて放送事業満足するということはできないのでありまして、ただいまよりもつとはるかに内容を充実しなければ、放送使命を果し、国民大衆の要望に沿うことはできないと思うのであります。そうなるとどうしても三十五円を上げないでおくというようなことでは、事業使命を全うすることができないのでありまして、それでは一体どのくらいの額を得て、どのくらいの事業をぜひこの際しなければならぬのかということを両方から考え合せまして、結局五十円ということにおちついたのでありまして、物価庁の方でも、これくらいの程度は妥当だという意見を聞いておるのであります。こういうような物価の大勢から考えまして、また放送事業の現状から考えまして、これだけのことはどうしてもこの際やらなければ、法律によつて負わされた使命を果すことができないという両方の点から考えまして、五十円というようなものがまず妥当のところであろうかと私ども考えておる次第であります。  それから選挙の録音のお話があつたようであります。これは実際問題といたしまして、日本全国のある県等におきまして、地勢等によりまして放送に非常に不便、不自由——山の高低の関係からいたしまして、いろいろ施設考えましても、その県の聴取者に十分の満足を買うことのできないような事情でございます。選挙というような切実な実際問題に触れますと、特に問題が深刻になるのでありまして、選挙の際に自分の県の選挙放送は聞けなかつたのが、隣の県の放送を初めて聞くというような実情にあるのだというようなことは、ある地方によつては私どもつておるのでありまして、これはどうしてもその状態を救う方法を講じなければならぬと考えております。お話のありました録音、これも確かに一つの方法でありまして、ある県におきまして、その県の放送がうまく聞けない。隣の県から放送されるのを聞けば、それで初めて地方の選挙放送が聞けるのだというような事情がある県によつてはありますので、それを救うために、ある県で選挙放送をやつておりますものと同じ内容のものを、他の県からも放送せしめるというような番組の編成方法を考慮いたしますと同時に、他の県から放送するといつても、そこに放送しようとする者が出かけて行つて放送しなければならぬということであつてはたまらぬのでありまして、それは録音の方法によつて、自分で足を運ばないでもその放送が他の県からも放送できるのだ。そしてそれが自分の県の人に聞けるようになるのだということにすれば、全部とは言いませんけれども、地形と選挙放送というような切実な実際の問題に関しまして、その窮通の道の一つには役立つと考えまして、これはお話通りに録音を利用して、ただいまのやつかいな問題の解決の一つに役立てようということは、私の方でも考えておる次第でございます。  それからレツド・パージの問題のお話がありました。これはスキヤツプが数次にわたつて出しました日本政府あての書簡の精神に基いて、協会の判断で行つたのでありますが、これは司令部から出ておりまする書簡の精神と意図をくみとつてつたものだと御了承を願いたいのであります。  それから民間放送の圧迫ということの問題に触れてであります。民間放送が近く生れようとしている際に、協会といたしまして聴取料値上げを行い、その値上げによつて施設拡充整備するということは、民間放送に対して圧迫になりはしないか、こういうことであります。しかし私ども考えておりますところによりますると、ただいま申しましたような事情のもとにおきまして、三十五円を五十円に上げるということは、民間放送に対して圧迫を加えるという程度のものであるかないかということにつきましては、この程度をもつて民間放送の誕生あるいは助成を圧迫するとか、妨げるというような結果になるとは、私ども考えておりません。     〔庄司委員長代理退席、委員長着席〕  それから待遇の問題についてもお話があつたようでありますが、この意見書等にも書いておきましたけれども放送協会の人件費の件につきましては、協会の経営、委員の側におきましても、ずいぶん慎重に検討を加えておるようであります。世間には放送協会が剰員をかかえ込んでいるではないか、ぜいたくに人を使つておるではないか、あるいはまたその人に対して相当高い給与を、他の者と比較して与えておるのではないかという声がある。その声にかんがみて、自分で慎重に考えたものだと思います。その点につきまして、どういうようなことに予算なつておるかということにつきましては、私どもの方で十分に検討をいたしたのでありますが、人件費の節約については、例年度よりも事業費に対する人件費の割合などを、はるかに減じておるくらいに考慮を払つておりますし、人間としましても、わずかに五十人ばかりしか増員をしていないような状態でございます。それから待遇の問題につきましても、これは私どもの方といたしましてもよく調べたのでありますが、一口に申しますと、平均の基準給は一万二千円ということになつておるようであります。その一万二千円というものは、ずつと前からすえ置きになつておるのでありまして、二十四年の一月以後、その基準を維持しておるのであります。御承知のように公務員につきましては一般に上つておるのにかかわらず、協会は自分でその点を返上いたして、上げないでいるという実情であることを、とくと御考慮を願いたいのでありまして、私どもといたしましても、待遇が過重であるというようなことは考えていない次第であります。これを要しまするに八億の増額、それから全体としましては十六億くらいの増額なつておりますが、その使途はおおむね妥当であり、これをもちまして一般の要望にこたえ、情勢に応ずる事業の面目一新ということには役立つ、またこれをもつて十分とは申すことはできないかもしれませんが、この際にせめてしなければならない程度のこと、五十円という程度の値上げとにらみ合せまして、ぜひこの際やらなければならぬという程度のことは、なし得るのではないかと私ども考えまして、さような旨を意見書にも書いて提出しておるような次第でございます。何とぞ御了承を願いたいのであります。
  7. 長谷川四郎

    長谷川委員 長谷長官にお聞きしますが、海外放送はまだ実施されていないようでありますが、現下の内外の情勢から見て、その必要性があると考えるのですが、実施でき得ない理由は何にあるのか。またこれらに対して先行きの見通し等を簡単にひとつお願いいたします。
  8. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対して要点を申し上げます。わが国海外放送につきましては、一日も早く再開するような運びにいたしたいと存じまして、私ども関係の者が絶えず関係の向きと折衝いたしております。この問題は二十四年の秋に司令部から、大体日本政府において国際放送を開始することを考慮してもよろしいという書簡をいただいております。それによりまして、二十五年度のうちにぜひ海外放送を開始したいということで、御案内の通り放送法におきましては、政府が日本放送協会海外放送を始めさせるというときには、それにかかつた必要な経費というものを政府が補償してやるということになつておる、その点も考慮いたしまして、大蔵当局と折衝の上、本年二十五年度におきまして、全部の費用をカバーするというわけには行きませんが、とりあえず一千万円の予算を認められまして、昨年以来関係方面とこのすみやかなる開始を交渉して参りました。大体の要点を申し上げますと、昨年の六月を期して開始したいということで、昨年の初めから交渉いたしておりましたが、大体御案内のようにこの海外放送は、広く世界各地に聞いてもらうということが第一でありまして、聞えなければ海外放送にいくら施設を用い、金をかけてもむだでございます。それは適当な電波の獲得ということに相なるのでございます。この電波の獲得につきまして、占領軍当局並びにアメリカ本国の方々に非常に好意的に運んでいただいて、開始し得るのが間近でないかという気持でおりましたところが、御案内のように昨年の朝鮮動乱の勃発に伴いまして、私ども真相をうかがい知ることはできないのでございますけれども、その後司令部当局のお考えなり、あるいはアメリカ本国あるいはその他の連合諸国のお考えかと存ずるのでありますが、業務を完全に運用するための電波がまだ獲得されていないのが一つ、もう一つ、国際情勢から今すぐに始めることは、なお考究を要するということでとどめおかれまして、年を越してただいまに至つた次第でございます。その間におきましても、私どもたびたび関係の方々に接触いたしまして、われわれとしては一日も早い海外放送の開始を懇請いたしておりますが、ただいまのところ、まだいつから始めるという見通しがついていない状態でございます。  なお先ほど長谷川委員から、東京の放送と地方の放送の質が非常に違うじやないかという御質問があつたように存じますが、その点について、放送協会考えておられることや、またわれわれのそのことについての気持を申し上げたいと思います。この問題は放送局同士の間の、いわゆる中継線の質の問題になるわけでございまして、この中継線は、電気通信省の設備を放送協会が借り上げてつくつておるのでございます。ところがこの電気通信省のケーブルが、戦争中あるいは戦後のいろいろな事情から、放送の音質の良好なる、いわゆる伝送ということがむずかしいような現状になつております。この点は放送協会並びに電気通信省の当局の方が鋭意努力されまして、逐次改善をしておりますけれども、いまだ全国的に十分という域には達していないのでございます。なおこのケーブルの質が悪いという点は、たとえば一部無線中継ということで、どうしてもいけないところは改善して行く。また当座の改善策としては、録音を活用しまして、録音盤を直送して、質の悪い放送というものはできるだけ避けるようにして行くというようなことを考えておるのでございます。
  9. 長谷川四郎

    長谷川委員 幸い会長もおられるようでありますから、一言最後にお願い申し上げたいのでありますが、現在の放送局は国会とひとしく、日本の新名物の一つと化しておるような状態でありまして、見学者は日に何千と殺到しておるような状態であります。かかる実情を見ましても、放送事業に国民がいかに関心を持つており、少しでも高い文化を吸収せんとする意欲の現われであるということを、雄弁に物語つておるものと考えるのであります。しかし当局の責任あるお方は御存じかどうかわかりませんが、これをわずかの人員において引受けて、その見学者の要求を満たしておるというような現状であります。この事実につきましては、私はこの人たちとともに深く敬意を払い、これに感謝しておるのでありますが、このように国民は少しでも高い文化に触れて、民族的な文化国家建設の悲願に燃えており、少しでも前進せんとみずから考えておるということを、十分皆さんの頭の中に入れていただいて、そして実際に当つていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を打切ります。
  10. 椎熊三郎

    椎熊委員 同僚長谷川君の多岐にわたる質問に関連いたしまして、二、三の点を簡単にお聞きしたいと思います。委員長は懇切丁寧なお答えですが、形容詞が多いようですから、もつと簡潔に要領よくお答弁を願います。  私は大体放送内容の問題について二、三お伺います。第一は、ただいま古垣さんもいらつしやるようですから、時事解説の問題について伺います。いろいろな放送のあるうちで、時事解説は私どもから見ますと、非常に重要な影響を国民に与えている。最近の放送局における時事解説は、私どもの聞くところによると、たいへん評判がよろしい。非常に公平で、非常にわかりよく、まことにけつこうなことだと思います。従つてこの時事解説を将来続けて行く上においては、この解説者というものが重要な要素であります。放送局はいかなる陣容でこれを持つており、あるいはいかなる方法でこの人々を集めておるか。そしてこれらの人々に対する待遇等はどうなつておるか。まず第一に、それを古垣さんからお伺いいたします。
  11. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。御趣旨に対しては全然共鳴でありまして、この時局解説ということを、ぜひ今後とも一層充実して強化して行きたいと思つております。それにつきまして、解説者をどういうふうにして採用するかというお話でございますが、これはいろいろの編成番組関係委員会を開きまして、そしてそういう委員会において候補者を慎重に調べまして、さらにまた実際にそういう人たちの人格、識見、知識、さらには放送効果の上から、音声といつたようなことも録音にとつて調べまして、それを理事会にかけまして、私みずから参加いたして、慎重に人選をいたします。そして少くとも数週間の間は放送に出しませんで、練習させてゲストいたします。それも単に内容の点ばかりでなくして、表現、音声というような点についても、いろいろ練習いたさせまして、これならばよかろうというところで放送させるのであります。なお待遇につきましては、放送協会の編成局に報道部というのがありまして、そこには解説課というのがあり、解説課の所属の課員のほかに、嘱託制度にいたしまして、外部の一流の解説者を自由に採用し、その人の力に応ずる給与を出すように努力いたしております。そういたしまして、私みずから直接にそういう人たちとも接触いたして連絡をとつて、遺漏のないように努めております。
  12. 椎熊三郎

    椎熊委員 それで現在時事解説に携わつておる人は、何人ぐらいおりますか。その課には、たとえば経済部門であるとか、政治部門であるとか、その他の文化方面だとか、わかれておると思いますが、政治部担当者は何人、経済部担当者は何人、嘱託何人というようなことをお伺いいたします。
  13. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。先ほど申しました報道部というのがございまして、そこに放送記者というものがおり、全員百数十名の部員がおります。そしてそこで実際の報道関係の仕事をいたしております。その中で特に時事解説にみずから現われる人が解説課に属し、あるいは放送解説者として嘱託されておる人であります。そういう人は今日は約十名おります。多くの人は一週間に一回放送するくらいですが、人によつてはもつとたくさん放送するとか、いろいろ相違があるが、十名程度の人が、自分のつくつた解説をみずから放送するわけであります。しかしその仕事を助けるのは、報道部全体でありまして、先ほど申しましたように約百数十名のものがやつております。
  14. 椎熊三郎

    椎熊委員 よくわかりました。今後ともこの方面には特に力を入れて、完成していただきたいという希望を付してお尋ねしたのであります。  次は最近問題になりました英語教授の放送、世間ではカムカムおじさんとかいつて非常に親しまれておりますが、それが問題を起して、放送局と意見が合わずによしたという、本日の新聞によりますと、それにかわるのに青山学院の教授かなんかがかわられたようです。巷間伝うるところによれば、あれだけのりつぱな放送をしたのにかかわらず、放送料が非常に安くてやつて行けない、そういうことが最大の原因だということを私は聞いておりますが、もしそうだとすればはなはだ遺憾なことであります。ことに料金値上げするというような段階の直前にあつて、この更迭を見た。さらにりつぱな人がなるようでございますが、放送内容については私どもは今後の問題ですからわかりませんけれども、今まで長年にわたつて非常な好評を博しておつた人が、単に料金の問題でやめたということであれば、はなはだ遺憾です。今までどれくらいの待遇を与えられたのか。本日新聞で発表になつた人は、今後どのくらいの待遇で嘱託になるのですか。
  15. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お尋ねの平川氏の放送は、昭和二十一年二月から引継き英語放送を担当しておりましたが、ただいまお話のようなぐあいに、突然二月五日付でとめられることになりました。そのために聴取者の皆様にも御迷惑をかけたと私どもは思つております。その経偉は、昨年の暮れ私のところに参りまして、すでに数年間放送させていただきました。その間私の熱意もありまして、いろいろと放送協会に御迷惑をかけました。しかしその都度皆さんから寛大にしてもらい、特に私からはいろいろ助けてもらつたこともあつて感謝しております。しかしもうここらで私も引くべきときだと思います。今まで我を張つた——と言つては語弊がありますが、自分だけが続けて行くということは適当ではないと考えるし、自分も心身ともに引くべきときというような気持がするので引かせていただきたい。ありがとうございましたが、どうかそういうふうにおとりはからいいただきたいというので、そこで私は非常に同情いたしまして、何かほかに目的があつておやめになるのかということを聞きましたらば、そういうことは全然ありません、今申した通りですということでありました。そこでこの平川英語の放送につきましては、聴取効果などを調べてみますと、今日ではやはりいろいろの事情からずつと聴取率が下つております。それから平川氏自身に対しても、いつまでもこうやつて働いていただくということはお気の毒にも思いまして、そこで放送協会と平川さんとお二人の利益になるように慎重に考えたい。あなた自身も当然報いられた給与をとられたその上で、またカム・バツクされてもいいではありませんかというふうに慰めましてわかれました。そして対策を考えていたのであります。ところがその後いろいろのいきさつがありまして紛糾しまして、実は決してすぐやめたいわけでなくて、テキストの印税、そういうようなものについて、協会側と平川氏の間に意見がわかれたのであります。協会としては適当な、平川氏以上の講師をすぐ探すわけに行かないし、聴取者に迷惑をかけないために、再考を促し、そうして交渉を再開したわけです。そのときにテキストの印税の問題で、両者の意見が合わなかつた。このテキストは、平川氏が社長をしておられましたメトロ出版社で発行されております関係がありまして、印税として定価の一割五分を要求され、そのためテキストの定価が相当割高となつておりますので、協会としましてはこの種テキストを少しでも安く普及するために、印税を大体五分としておりますが、平川英語のテキストだけは在来一割五分でありました関係もあつて、一割、一〇%で折れ合うように努力したのであります。それを平川氏はあくまで一割五分を主張され、従来よりもさらに好条件を期待されましたので、やむを得ず解約にいたした次第であります。
  16. 椎熊三郎

    椎熊委員 その点はその程度にとどめます。  次に娯楽放送内容について、娯楽放送と申しましてもいろいろあるようですが、なかんずく私が今指摘するのは、日曜娯楽版などのことを中心に申し上げます。この放送内容は長きにわたつて続けられておりますが、何らかそこに政治的意図が含まれておるのではないか。娯楽放送ですから、諷刺があつたり、皮肉があつたり、辛辣な批判があつてしかるべきではございましよう。しかしそこに何らか政治的の意図があつてなされておるとすれば、これは公的意味を持つておる日本放送として、ゆゆしき問題であると思う。ことに私は特にこの人の放送を注意深く、長年にわたつて聞いておるが、この人の放送の底を流るる思想的体系は、一体那辺にあるか、私は非常に疑問を持ちます。私の菲才をもつて検討いたしましても、これはどうも共産主義的思想ではないようであります。私ははなはだ浅学ではございますけれども、まさにこれは虚無主義的な思想ではないかと思う。そういうような印象を与える娯楽放送というものは、一般大衆に及ぼす影響が非常に恐るべきものがあると思う。なかんずくこの人の経済界、政治界を主題とした場合における放送というものは、驚くべきものがあるのであります。少くとも国家と結びついてやつておる日本放送協会放送は、日本の国家再建復興のために協力するということが、根本的な建前でなければなりません。これがあるいは革命的思想であつたり、これが破壊思想であつたり、虚無的な思想であつたりすることが根底で、ああいうものが出て来るとするならば、恐るべき宣伝力を持つものであつて、国家に及ぼす影響は私は見のがすことができないと思うのであります。その点について古垣さんはいかようにお考えなつておられるか。
  17. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。日曜娯楽版についての御批判、非常に適切な、痛いところをついておられるように拝聴いたしました。御承知のようにああいう諷刺娯楽を取扱う番組は、なかなかむずかしいのでありまして、万全を期してなおあやまちを犯すことが非常に多いので、ただいま御指摘になりましたようなことが万々ないように、日曜娯楽版を始めましたときから、私自身も非常に注意いたしておりまして、しばしば結果について批判して、改めさしたこともございます。しかしただいま御指摘されました、あるおもな人、日曜娯楽版をやつておると御指摘になつた方のことでありますが、世間では、この人がこの日曜娯楽版を書いてやつておるというようにお考えのようでありますけれども、よく御注意になりますとわかりますように、今日の日曜娯楽版の内容は、聴取者大衆から募集するとか、またその他のところでしているのが主でありまして、先ほどの御指摘の人も、その人としてのものも一部取入れますけれども、それは全部ではございません。それからまた娯楽版のスクリツトといいますか、台本というものは、ラジオ・コードに照しまして、事前にただいま御指摘のようなことがないようという立場から、協会の中の機構で、それぞれ係の者が十分検討いたしまして、これならよろしいということでやるようにいたしております。しかし、初めにもどりますが、これはなかなかむずかしいもので、これをよくやりまするならば、国民に希望を与へ、独立の精神を与えてたいへんけつこうなものだと思いますが、一歩誤れば、またたいへん被害も大きいので、一層慎重を期してやつて行きたいと思います。
  18. 庄司一郎

    庄司委員 ちよつと関連して——。ただいま同僚椎熊君より虚無的な、ニヒリステイツクな傾向が底に流れる思想に関する御意見がありましたが、私もその点を指摘いたしたい。実はそれは二月二十七日、ロシヤの帝政末期における世界的文豪であるツルゲーネフの「父と子」が、海外文芸の紹介放送の中にあつたのであります。「父と子」はある意味において、全世界に近代文芸の創作として有名であるが、この父に対する子——名前はバザーロフの抱懐しておる思想は、かつて世界の文芸市場において最もはつきりしたニヒリストの思想であると、文芸評論家は述べておる。ニヒリストの思想は無理想、無目的である。明治四十年代に日本に入つて来たソーシヤリズムの思想の最も濃厚なものであります。いわゆる俗にいうふてくされ、デカタンス、かようなバザーロフの思想を、海外文芸の紹介の場面において放送することは疑問である。祖国再建のために全国の青少年の、特に文芸を愛好する青年の思想の中に、堅実な、ほんとうにまじめな、おおらかな心を植えつけて行かなければならぬ。私は放送局は決して文部省であるとは考えておりません。だからあらゆる文芸の中には、多少毛色のかわつた文芸の御紹介もけつこうです。ただ特に選んでバザーロフ的な文芸をただいま御紹介なさるということは、番組を編成されるお係諸君の信念、思想の点において、非常にぼくは疑惑を抱くのであります。後刻時間があれば多少もつと敷衍して申し上げたいのであるが、同僚椎熊君の指摘されたニヒリステイツクな思想傾向というようなものが、放送局のどこかに底流をなしておるのではないか。私は気がつきましたので、ここに書いておいたのであります。さような意味において、番組内容をよりよく改善して行く公正な立場から、単に政治評論だけではなく、文芸についても公正な、妥当な、しこうして穏健な文芸として、ほんとうに正しい人世を現実化して再現しておる文芸の上においても、古いクラシツクなものであつても、ゲーテがある、シエークスピアもある、トルストイもある、もしツルゲーネフの創作を御紹介なさるならば、むしろツルゲーネフのきわめて雄大な「こじき」という小説がある。そういうものの解説ならば望ましいのであります。それは絶対愛を説いておる。バザーロフのこの記事と解説は、時局からいいましても、まことに望ましくない。虚無思想の宣伝とは申し上げませんけれども、紹介だけは結果においてしたのであります。関連として簡単に同僚椎熊君の御意見に共鳴して、御参考までに申し上げておきます。
  19. 椎熊三郎

    椎熊委員 選挙放送のことについて長谷川君からもお尋ねがありました。選挙放送は選挙をやつた経験のある者でなければほんとうに切実ではない。私どもはたびたび選挙をやつておるから、身を切られるような思いで選挙場に立つ。この放送が投票に及ぼす影響は甚大なものがある。しかるにこの放送を許されますと、一週間前に原稿を書かなければならぬ。原稿を提出いたしますと、一字一句間違えてはならぬ。厳格な監視のもとに放送をされる。選挙の最中、ことに投票間近になつての一週間というものは、時々刻々に情勢がかわつて来る。その間立会演説もあり、世間の情勢もかわつておる。一週間前に書いた原稿が、一週間後のその当日では間に合わない場合が往々にして起る。それを訂正することが許されません。せつかくこれほどのことを許してくれて、生きた選挙放送ができないことは、私どもにとつてはまことに残念しごくのことなんです。そこでその場でいきなりかつてなことを言われてもお困りでしようから、一週間前に、必要なら大体の要綱を出してもらつて放送の現場に行つたときと、テーブルの上で原稿を書くときとはまるで気分が違うのですから、一言一句違つてはならぬということではなしに、内容が大体違つていなければ、なるべくそれを許してもらう。時間の制限—長短等についてはもとより制限がなければなりますまい。その範囲において大体の方針に違いがなければ、生きた放送をさしてもらいたい。聞く方もその方がためになる。言う方にとつては命がけのことです。その辺をもう少し選挙をほんとうに純粋にきれいにやらせるという意味において御考慮を願いたい。先ほどの録音などをさしてもらうこともまことにけつこうです。私は終戦後三回選挙をやりましたが、北海道の吹雪の中において、鉄道障害のために放送できなかつたことが二回あります。そのことが私の選挙にどれだけ影響しているかわかりません。ラジオのあるところはもちろん、ない人はある人のうちまで行つて、北海道などはみな聞いている。せつかく自分が入れてやろうかどうかと思つている椎熊三郎君が出ない。(笑声)とんでもない話になる。こういう点が非常に心配になりますから、適当な時分に候補者に録音さしておいて、その日これをやらせる。これなら一番安全です。原稿で校閲なさるよりも完全です。そういうことは、選挙自体をほんとうにいい選挙をさせる意味において御考慮願いたい。これは私の希望であります。
  20. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お二人の方にお一緒にお答えいたします。放送番組というものは、絶えず皆さんの御批判や御希望を伺つてよくするものでございまして、お二人のお話は非常にありがたい御意見でございますから、今後一層その点について注意したいと思います。
  21. 關内正一

    ○關内委員長 松井君。
  22. 松井政吉

    ○松井(政)委員 同僚諸君から私の質問しようと思う事柄を質問されましたので、重複を避けて、きわめて簡単に質問をいたしたいと考えます。御承知のように今度の国会承認を求める件は、放送協会予算の問題でありますが、この予算編成に当ります場合において、受信料の四割近くの値上げということが、一番重要な問題になつて来ております。私どもは、御承知のように放送というものは、一般国民を利用の対象とする公共的なものであることは間違いがないと考えております。従いまして一般国民を利用の対象とする公共的な性質を持つた企業というものは、できるだけ国民全体の便利をはかることが目的でなければなりませんので、そのために一般国民に負担をよけいにかけるということは、できるだけ避けなければならないのであります。しかし今日の物価事情で、同じ報道関係を担当しております新聞等料金からみて、値上げをしなければ維持ができないという御説明でありまするので、やむを得ない趣意とは考えますが、その上に立つて、具体的な問題に触れて御質問いたしたいと思うのであります。  第一番に収入面についてでございます。受信料の五十四億九千百万というものが、これは一昨日の御説明によりますれば、九百五万を対象とするという説明を受けたと思いまするが、これは九百五万に対する五十円の計算で出ておる数字であるかどうか、これをまず第一点お伺いいたしたいのであります。
  23. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。結局この受信料の収入の算出根拠についての御質問だと存ずるのでございますが、大体放送協会といたしまして、過去の実績から、一年間に大体どのくらい聴取者が新規の聴取者としてふえるか、また一年の間にどのくらいの聴取者がいろいろな事情からやめて行くかというようなことを、統計的に記録をとつておりまして、そういう実績から毎年度予算において、受信料の収入の算出基礎としておるのでございますが、二十六年度におきましては、初頭は九百五万といたしております。この一年の間に今申し上げましたように。過去の実績からいたしまして、月大体九万、年間にいたしまして約百万が新規のものとしてふえる。しかし一方廃止をして行くものも、やはり過去の実績から行きますと、相当あるようであります。大体二十六年度におきましては、年間で約五十五万はやめて行くのではないか、結局差引きますと、二十六年度の最後におきましては九百五十万になる。そういう考え方でこの月々の平均をとりまして、受信料の収入といたしておるのでございます。なおこの受信料が、一体どのくらい収納されるかということでございます。これは大体九八%収納されるという見込みを立てております。なおこの九八%というのは、一般料金の収入の実例から見ますと、少し高率ではないかというふうによく御質問等があるのでございますが、実際は九九・なにがしまで行つておりまして、九八%を見込むことは、決して見込みが過大であるとは思われません。  大体以上をもつて説明としたいと思います。なお御質問がありますならば、その際申し上げたいと思います。
  24. 松井政吉

    ○松井(政)委員 大体数字を見ますると、ただいま説明をお伺いしたように、非常に収納率が高く上つておりますし、さらにわれわれが予算承認するかしないかという場合におきまして、これはこの予算から見ると、受信料以外の収入がほとんどないのでありまするから、受信料を中心にして収入をきめ、支出をきめて運営するということになるので、これが収入に関する率も度合いが甘過ぎたり、あるいはここに狂いが出ますと、支出予算に狂いが出るわけであります。そこでただいまお伺いしたのでありますが、過去の実績及び九百五万を当初として、九百五十万と押えて、九八%の収納率で行く。従つてこの数字にはいろいろの角度から、大体狂いはないと説明になられましたので、大体了承するのでありますが、これはもしこの数字に狂いのないように確実に運営していただかないと、われわれが承認はしたが、収入面で狂いが出たので、支出の方に大いに狂いが出るということになれば、理想的な運営ができないことになりますので、これは希望条件ですが、申し上げておきます。  それから支出の方について、具体的な問題についてお伺いいたしたいのであります。第一番に、番組でありますので、古垣さんにお伺いいたします。本年度放送費のうちの番組費が非常に多くなつております。先ほど来同僚議員の質問に対して、お答えを願つておりますので、ある程度了解をいたしたのでございますが、さらに番組の編成については、国民の階層が、高度の文化を求める階層と、活字では納得することができないで、耳によつて文化を吸収しようという国民階層があるので、非常に御苦心をなされていると思いますが、私は総体的な問題についてお伺いしたい。番組について、はたして協会自身の自主性のもとに、一切が行われるのであるかどうか、それとも番組の問題については、関係方面等のサゼスチョンあるいはその他の関係考慮しなければならないものがあるかどうか、この点についてお答えを願いたい。
  25. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。番組の重大性は仰せの通りでありまして、新しい放送法によつて、私どもは編集権の自主独立ということを与えられておりまして、法律によつて規定される以外には、何ものからも侵されてはおりません。ただ御承知のように各方面の内外——関係方面も、あるいは国内でも、いろいろな知脳をしぼり、御意見を伺つて、真にわれわれが独善でない番組にしたいという面で、外部の参加をお願いして、参考にして、われわれの自主性のもとに番組を決定しております。
  26. 松井政吉

    ○松井(政)委員 重ねてお伺いいたしますが、そういたしますと番組編成にあたつては、協会の自主性が完全に確立しておるという解釈をしてよろしゆうございますか。
  27. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 その通りでございます。
  28. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それではいろいろの数字に対するパーセントをお伺いいたしたいのであります。御承知のように、昨年度と本年度予算比較表を見てみますと、返還金、それから償却金、放送債券の差金償却、さらに債券の償却積立金の繰入れ等の昨年なかつたものが、本年度目立つてふえております。それに反しまして、退職手当等が減つております。それから四割の受信料値上りに対しまして、各項目にわかれておる給与関係では、技術研究費のうちの給与だけが同じのように見受けられます。その他は多少ふえてはおりますが、これは値上りの大体一割に満たないのであります。こういう編成の方針は一体どこから来たかということをお伺いしたいのであります。たとえば減価償却、支払いの利息、放送債券の償還積立金の繰入れ、債券の発行差金償却等の、ないものが加わつておりまするし、従つてふえているということが明瞭であります。それに対しまして退職手当等は減つております。給与関係はきわめて微細なものであります。こういう関係について、総括的な御説明を願いたいと思います。
  29. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。この昭和二十六年度予算の骨子は、先ほど来富安委員長より詳細かつ適切に御説明がありました通り番組刷新充実ということに重きを置きまする一方、全国あまねく容易に聞えるための、いろいろの施設をしなければならぬというような点に重点が置かれております。そういう重点のもとに予算が組まれておるものと御承知願いたいと存じます。  またただいま御指摘の、いろいろの減価償却費とか、放送債券の発行差額償却、その他の点は、これは法定その他で、私どもとして事業運営して行きます上に、予算に組まなければならないものというふうに御了解願いたいと思います。
  30. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ちよつと了解しにくいのです。富安さんにお伺いしますが、たとえば建設費関係建設勘定を中心にして組まれたというただいまの古垣さんの御説明でございまするが、建設関係とそれから債券償還及び利息等に関するものとは、おのずから別個ではないかと私は思うのです。従つて私の質問に対する答弁にはならないようにお伺いするのです。そこでこういう昨年なかつたものを、本年度料金値上げして、国民に負担をかけてふやした。しかしそれは建設関係でもなければ、番組費以外のものがありますから、これが経営上二十六年度特にふやさなければならなかつたかという、その必要性をお伺いしたいのであります。
  31. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対して、私から要点だけをお答え申し上げたいと思います。御指摘になりました放送債券償還積立金の点、それから諸返還金の点、それから減価償却、そういうものが昨二十五年度と比べると、非常な数字の食い違いがあるという点が第一であります。まずこの放送債券の償却の問題でありますが、放送債券は昨年御案内の放送法によりまして、初めて放送協会に認められた制度であります。従来放送債券というものは、放送協会に発行の権限を認められておりません。今年度から初めて——昨年の秋から放送債券を売り出しておるわけでございまして、二十六年度に入りまして初めてこの放送債券の償還金を、毎年度一定率をもつて積立てて行く、こういうわけでございますので、二十五年度にはそういうものはなかつたわけでございます。  次に諸返還金がむしろ逆に減つておる。これは従来こういう建設資金は、長期借入金によりましてまかなつておつたのでございますが、先ほど申し上げました放送債券に、この長期借入金が肩がわりして行つておりますから、現在の長期借入金はどんどん減つております。従つて年度は諸返還金、つまり長期借入金に対する返還金というものは、二十六年度におきましては二十五年度ほどいらなくなつている。従つてこのように数字が減つております。  次に減価償却でございますが、これは昨年の六月、従来の社団法人の日本放送協会が特殊法人となりましたときに、設立委員からの御注意もあつたようでありますが、放送協会の資産を再評価して、そして減価償却をやるようにということで、昨年の六月一日に協会の資産全般にわたりまして、再評価をいたしまして、その再評価の数字に基いて、法定の減価償却の方法によりまして計算いたしますと、このように約倍近くにふえたわけでございます。なお御参考までに申し上げますと、この減価償却は昨年通りつたといたしましても、約二億五千万円になります。これは二十五年度相当新しい施設がふえましたので、そういうものを考えに入れますと、従来通りのことをやりましても、約二億五千万円になりますが、さつき申し上げましたように再評価をしました結果、なおそれよりも四千万円ばかりふえたという形になつております。  次に職員の退職資金が、非常に減つておるようだというお話でございますが、これはまことにその通りでございます。二十五年度つまり昨年におきましては、新しく停年制度が実施されましたので、二十五年度中に相当の数の方が退職をされまして、それでこのような数字の退職資金がいつたのでございますが、来年度——今年はそのように一度に多人数の方が退職されるというようなことは予想されませんので、大体従来の実績によつて数字ができております。そういう事情から出ておるものであります。  次に全般的に人件費の点におきまして、方々のところがある程度増しておるにかかわらず、技術研究関係はふえていないようだ、こういう御質問でございますが、確かにその通りでございます。この増員は先ほど富安委員長からの御説明の中にもございましたが、できるだけ人件費というものの節約を期して行く、これをつまり給与ベースの上においても、また人員の数の上においても、最小の必要限度に押えて行くという根本方針によつて立てられておるようでございます。この増員はそれならどうなつておるかと申しますと、一年間に約五十一名増、しかもそれは放送設備増加と、受信契約者が先ほど申し上げましたように約百万新規がふえて、やめるのが五十五万ということを申し上げましたが、そういう加入関係の仕事をする者、これはやむを得ない増員と見られるのでありますが、その五十一名だけであります。なおそのほかに各給与の面のところに入つておる——前回は人件費のところに入つておるのでございますが、臨時雇員、これはやはり一般の市価の値上り——市価の値上りと言うとちよつと妥当を欠くようでございますが、一般の臨時雇員の給与というものとにらみ合せて行かなければいけませんので、その面で約千四百万円ばかりふえておる。これが各方面のところに入つておりますので、人件費が割合にふえておるようにごらんになるかと存じますが、実際に定員としてふえるのは、先ほど申し上げたように五十一名だけでございます。技術研究所の方は、特に来年度としては人件費を増すほどの点は認められないので、一応現行のままということになつておるわけでございます。
  32. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私は人件費がふえているのがいかぬというのではなくて、私の考え方は逆なのであります。それでその立場に立つてお伺いしますが、大体放送関係の給与ベースを、新聞社等の報道関係比較することは、あるいは妥当を欠いているかもしれませんが、一応参考までにお伺いしたいのですが、新聞関係等の報道機関を担当しておる人々の給与ベースを、ただいま一万二千円ベースすえ置きのままだというお話を承りましたが、その比較についてまず御答弁を願いたいと思います。  第二点は、ただいまお伺いしたように、給与関係の多少でもふえているものは、二十六年度ベース改訂のために充てられるのではなくて、五十一名の増員と臨時雇い給与の関係からのみ生ずるものであるかどうか。これをもう一ぺん明瞭にお聞かせ願いたいと思います。
  33. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいま協会の職員の給与関係につきまして、大体二点の御質問があつたように存ぜられますが、一つは、同じ報道関係であるところの新聞関係の職員の方々の給与との比較の点でございます。この点は私ども放送協会のベースが、妥当であるかどうかということについての参考といたしまして、新聞関係のところもいろいろ調べておりますが、端的に申しまして、各新聞関係の給与関係実情を申し上げる自由を持つておりませんので、具体的には残念ながら申し上げかねるのでございますが、大体各社の給与関係の当局の方々同士で、実情並びに情報等を交換いたしまして、お互いに参考として各自のバランスをとつておるようでありまして、結果的に申し上げますと、大体放送協会の職員の給与というものは、各新聞社の給与と同じレベルである。ただ給与のわけ方におきましては多少違うと思いますが、全般的なネツトとしてのものは、大体同じ程度と御承知つていいと存ずるのであります。  次に再度確かめての御質問でございますが、人件費の増は、先ほども申し上げました増員の五十一名と、臨時雇員関係経費の増だけでございまして、ベース・アツプは全然考慮の外にされてございます。
  34. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これは古垣さんにお伺いをいたします。先ほど一番先に私が申し上げたように、放送は国民全体を利用の対象としているのでありますが、ここで四割近くの受信料値上げをして、運営をしようということであります。しかしその運営の一番中心に携つておる従業員諸君の給与関係はすえ置きにして、遠慮しているという御答弁を先ほど承りましたが、これはあまりけつこうな遠慮じやないと思う。われわれから考えると、四割値上げをしたならば、やはり最前線に働いておる者の給与関係と、必要欠くべからざる建設面と、昨年なかつた債券等の法定上納めなければならない償還金というものは、予算編成にあたつては合理的になされなければならない。その場合にベース・アツプは名誉ある遠慮をしたということで、放送文化のために働いている諸君のベースの改訂はさらに考えないとすると、一般国民からは四割も値上げした受信料をとつておるということが妥当であるかどうか。その基本的な考え方をお伺いしたいと思う。
  35. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。昭和二十六年度予算におきましては、国民の要望にこたえるために、まず放送番組改善及び技術施設の拡充ということを、先ほど来のお話通り、できるだけすみやかに実現したいというので、ここに焦点を置いて方針をきめたわけでございます。事業収入もその方面へ重点的に計上した次第でございます。しかしながら協会といたしましては、今御指摘もございましたが、できるだけ従業員の待遇改善をはかりたいということはやまやま考えておりますが、国内の経済情勢その他を考慮いたしまして、現行の給与ベースをすえ置くことにいたしたのであります。今後事業運営の能率化をはかりまして、できるだけ従業員の給与の改善をはかるように持つて行きたいというのが、われわれの考えでございます。
  36. 松井政吉

    ○松井(政)委員 経済情勢の問題から割出して、諸物価値上り等を勘案して、受信料値上げするということでありますが、そうすると諸物価が上つて生活が苦しくなるのは、やはり従業員であります。従つて国民全般に受信料値上げによつて利用してもらうという線を打出すならば、やはり諸物価値上りに伴つて、ベースすえ置きの諸君がいかに生活を維持するかということは、重大な問題だと思う。従つてそういうことを考慮なしに行つたということについては、私はきわめて不満であります。それからさらにただいまの御説明を伺いますと、できるだけ待遇をよくしたいということであります。ところが予算面に現われておる数字は、給与関係に多少の増額はあるけれども、これはベース・アツプのものではないということが明瞭でありまするから、予算の面においては、給与の中から待遇の問題を処理することはできないことになつている。そういたしますれば、今古垣さんのおつしやつたできるだけ待遇をよくしたいというお考えは、予算の費目のどの点で補おうとお考えなつておるか、これを第一にお伺いしたい。  それから第二点は、福利厚生、さらには諸手当等を費目流用あるいは各項目にわかれた諸費の中で、多少古垣さんの考え方を従業員の待遇のために生かす余地が、この予算の中にできておるのかどうか、この二つの問題について明瞭にお聞かせ願いたいと思う。
  37. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 経済情勢ばかりでなくて、その他のいろいろの事情も入りまして、今回はやむを得ず現行の給与ベースをすえ置くということにしたわけであります。われわれの本旨からいたしますれば。やむを得ず聴取料金を最小限度の値上げにとどめるための処置であつたのでありますが、十分研究いたしまして、従業員の給与の改善はどういうふうにして割出せるかということも考えて行きたいと思つておりますが、ただいまのお尋ねの福利厚生施設という点は、われわれがこの点でまず従業員の待遇をよくするということを考えておる方面であります。
  38. 松井政吉

    ○松井(政)委員 どなたでもけつこうでございますが、もう少し明瞭に聞かしてもらいたいと思うのです。この予算をわれわれが承認すると、予算の面の給与では取扱うことはできないのです。そこで私の問わんと欲するところは、他の費目で待遇改善をしてやろうとか、あるいは福利施設をしてやろうとする場合に、立法上も実際上も、この予算の中において費目流用ができるのであるかどうかということが第一点なんです。それから費目流用ができなくとも、諸費というものが各項目別に出ておるわけです。その諸費で、多少でも古垣さんの意見を生かすことができる予算であるかどうかということを聞いておるのであります。これをひとつ明瞭にお聞かせ願いたい。
  39. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問について、私どもとして了解しておる点を申し上げたいと思います。御指摘のように諸費を給与面の方に流すことは、予算の総則別もいろいろ書いてございますが、そういうことは予想できないことです。但し諸費の使い方によりまして、間接的に職員の給与なり、あるいはレクリエーシヨンとでもいいましようか、いろいろな面から待遇改善の一端になし得るような措置はとられるだろうと思います。しかし真正面から流用はできません。  次に、経済情勢その他に急激な変化が起きまして、どうしても職員の待遇改善考え直さなければいかぬという時期になりました場合は、幸に来年度予算におきましては、一億数千万円の予備金がございますから、この予備金の活用によりまして、解決の道を見出すこともできるのではないかと思います。先ほど御説明申し上げた中で、誤解があるといけないと存じますのでちよつと申し上げますが、現行の放送協会の職員のベースは、二十五年の一月に改正になりまして、現在は至つておるわけであります。
  40. 松井政吉

    ○松井(政)委員 大体わかりました。そうすると諸費の中にはない、その他の科目による——もちろん費目流用の点は、これは立法上からも事実上からもできないと考えるのであります。予備金に多少のゆとりがあるやにお伺いしたのでありますが、そう了解してよろしゆうございますか、念を押しておきます。
  41. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまのお考え通りにわれわれも考えております。
  42. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それからもう一つ、給与関係ばかりのことをお伺いして申訳ありませんが、大体概括的には他の報道関係と連絡をとりながら、合理的にきめられたベースだというお話をお伺いしたのであります。ベースの内容についてお伺いするのもいかがと思いますが、参考までにお聞きしておきたいと思うのであります。一万二千円ベースの内容についてでありますが、一万二千円ベースは、主として少数の高給者によけい出して、一般的な、言葉は適当でないかもしれませんが、下級従業員といわれる第一線に立つ人たちの方が低い場合がたまたまあるのでございますが、協会の方としてはそういう事実があるのかないのか、これをひとつお伺いいたしたいと存じます。
  43. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対して、給与体系の点をまずお答え申し上げたいと思います。放送協会の職員は、昨年の秋現在で約七千九百七十九名、約八千名弱おるのでありますが、先ほど申し上げましたようにその平均給与、基準賃金は、月一万二千円に相なるのでございます。その内容を大別いたしてみますると、大体基準賃金は能力給、それから勤続給、地域給、家族給及び補給金の五つにわけられております。これは一般公務員等のやり方と多少違つておりますが、その内容について、御参考までに一人平均の月額について申し上げますと、能力給が二千百四十八円、これは約一八%に相当すると思います。勤続給が百三円、家族給が五百五十三円、地域給が五百七十七円、補給金が八千六百十九円、これが大部分を占めておりまして、約七二%になるかと思います。そういう基準からなつておるのでございます。なおこの給与体系は、ただいま申し上げたような内容にわかれるのでございますが、全般的に申しまして生活給にウエートを置いていることはもちろんでございまして、上下の間の差は非常に僅少なものでございまして、むしろ下に厚い給与体系になつていると申し上げて間違いないと存ずるのであります。なお御参考に申し上げますと、協会の戦前と戦後における初任給与と部課長等幹部の給与との比率は、戦前は五・五倍くらいになつておりましたが、現在はそれよりもずつと少く、約四・七・八倍になつているかと思うのでありまして、税金等の関係から、手取りになりますとさらに少く、四倍を割るような形になつていると思います。
  44. 松井政吉

    ○松井(政)委員 もう一点お伺いしておきたいと思います。ベースは一万二千円でありますが、平均はどのくらいになつておりましようか。
  45. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 月一万二千円と申し上げましたのは、これは平均であります。
  46. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そうすると平均が一万二千円であつて、ベースは幾らでございますか。ベースと現在の従業員の平均というものは、おのずから違うと思うのですが、いかがですか。
  47. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 あるいはお答えの的がはずれておつたかも存じませんが、基準外手当というものもあるのでございまして、一万二千円というのは、一人当りの月平均で、そのほかに基準外手当というものがございます。この基準外手当は、先ほどもお話に出ました新聞関係、いわゆる報道関係の同じような仕事をされているところ等とのバランスもとりまして、現在放送協会としては二五%程度のものが、基準外手当としてそれに加わる形になつております。
  48. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私はこれでやめますが、そうすると、現在八千人の平均が一万二千円、こう解釈してよろしいのですか。
  49. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 その通りでございます。
  50. 松井政吉

    ○松井(政)委員 よろしゆうございます。
  51. 關内正一

    ○關内委員長 庄司一郎君。
  52. 庄司一郎

    庄司委員 簡単に二、三点だけ希望を述べながら、質問をしてみたいと思います。  料金の現行十五円値上げ五十円、これは他の諸物価の騰貴に連れて、あるいは公正妥当なものであるかもしれません。ただかように聴取料値上げされた場合において、放送協会は聴取するお得意様に対して、何らか積極的にサービスをするような御計画がありませんか。たとえば農漁山村等においては、受信機の修理営業者もない町村が相当多い。そういうところに毎月一回ずつというわけにも行かぬでしようが、時折トラックなどで奉仕班を編成されて、無料あるいは材料の必要なものはほんの実費で、奉仕の精神を持つて修繕をしてやる、こういうようなことがあつてほしいと望むのであります。もつともさような修理修繕が不可能なために、なお継続して受信をしたいのであるが、やめてしまうというような受信者も、御説明の中には相当あるようでございますので、何か奉仕班でもつくられて、他の民間のラジオ修理業者の営業を圧迫せざる範囲内において、どんどん奉仕作業でもつて修理してやるというような御計画があつてもしかるべきものではないか、かように考えておるが、お考えはいかがであるかということが、お伺いの一点であります。  第二点は、来年度において約百万人の受信者を増加募集するという御計画ですが、口では百万世帯を募集すると言うことは簡単であるが、各家庭経済の面においては、困難な面があるのではないか。何となれば、受信機一台購入するに最低五千円、あたりまえのものは七千円とか一万円かかる。これを購入しなければ聴取ができない。まずもつて受信者は相当なる固定資本金がいる。そこで放送協会は経済団体でないのでありますから、直接の主体となることはむろん不可能でありましようが、あるいはこのごろぼつぼつはやつて来たようだが、向う十箇月の月賦販売とか、あるいは向う二箇年の年賦販売であるとかいうことのあつせんを考慮されて、そうして家庭経済の上において一回に五千円、七千円を出しあたわないような家庭に、月賦なり年賦なりの方法をあつせんする御意図がないであろうか。もしあるならば、これはたいへんけつこうなことである。これが地方の農業協同組合等とタイアツプされて行われるならば、あるいは百万人の新規加入の募集に成功するであろうけれども、とにかく代金をすぐ現なまで用意するということは、なかなか容易ならざることであるので、さような御意図があるかどうか。願わくばあつてほしい。またさような具体化を見たい。最初にこの二点をお伺い申し上げたいのであります。
  53. 富安謙次

    富安政府委員 お答え申し上げます。料金値上げをいたしたについては、それに対しまして主として地方農漁村等に対するサービスを、相当に提供すべきではないか、それがどういうふうに半面に現われておるかという御質問が、まず第一であつたと存じます。まことにお言葉ごもつともだと存じますので、予算におきましても、その点はできる限りの配慮をいたしておるのであります。ローカル放送をまず拡充するということなどが、その地方に対して料金値上げに対応するサービスの一つとして考えてもらいたいのでありまして、これについては二十六年度において、それぞれ地方の実情に応じまして、地方の要望にこたえるように考えております。一例を申しますならば、東北、北陸地方のように、農村がおもなる地方向けに対しましては、農村向けのローカル番組といたしまして、農村の青少年に対しまして教養放送、あるいは農業技術方面、あるいは農業気象の方面などを主要な事項として、それらに対する適当な内容番組に盛り込むというような計画をいたしております。それのみならず、つけ加えまして農村に対する慰安の方面などにつきましても、今よりもさらに一層農村に満足が与えられますように、番組の編成において考慮をいたしておる次第であります。  それから受信機の修理についてお話がありましたけれども、これまたまことにごもつともな、農村の要求を代表してのお言葉だと拝聴いたしました。その点につきましても二十五年度比較いたしますと、二十六年度におきましてはでき得る限りの考慮を払つておるのであります。これを予算の額に当てて見ますと、巡回相談のために二十五年度に対して三百五十万円程度の増加を、二十六年度考慮いたしております。これなども数字について申しますならば、従来地方の利用者からの要望が相当多かつたので、これを考慮いたしまして、業者の圧迫にならない程度におきまして、二十六年度におきましては指定区域の中の受信者の三百以上の町村に対しましては、年に二回、それから三百以下の地域に対しましても、年一回は必ず巡回をしようという計画のもとに、本件を処理しておるのであります。これなども地方の要望に対しまして、受信料値上げを機会にいたしまして、報いる一つの方法として考えておる次第でございます。  それから受信機が何分にも今日におきましてはまだ相当入手困難でありますので、これを農漁山村等に対しましては、もつと容易に手に入る道はないか、それに対して何らかの方法を講じてほしい、こういう御希望と了解をいたしたのでありまするが、委員会におきましてもそういうような点について、平生考慮をいたしておりまするので、提出いたされましたこの予算書を見ますると、やはりその点に考慮はありまするけれども、一歩進んで具体的に問題を処理する方法といたしまして、月賦の受信機の購入という方法は考えられないものかという意図を持ちまして、これは関係方面とも関係するところが深いのでありまするので、業者の面、あるいはそれに対して資金を供給する官庁の面、そういうような面とも連絡をとりながら、その実現に向つてただいま鋭意研究いたしておるのであります。もしこういうような月賦販売というような方法が講ぜられますならば、今仰せになりましたような点につきましても、農漁村等の聴取者に対しまして、多大の便宜を与えることになるのではないか、そういう実現を期したいと私ども考えておる次第でございます。
  54. 庄司一郎

    庄司委員 たいへんけつこうなお答えです。どうかそういう御意図が具現化するように念願してやみません。  それから時間もありませんから、二、三分に二、三点だけ包括的にお伺いしておきたい。国会ニユースの放送に関して、たいへん公正妥当な放送が行われておるようですが、もつと御留意を願いたい一点があります。それは国会ニユースを喜んで聞いておりますと、政府の、総理大臣以下国務大臣の答弁だけは簡潔ではあるが、大体その要点を放送されておる。ところが本会議なりあるいは各委員会等において国会議員が質問をしておる、それに対してたとえば大蔵大臣はかくかく答えた。こういうふうな報道であるならば、プレス・コードの上からいいましてもこれは公正な報道であるが、質問した国会議員の名前は大体九十五パーセント往々にしてオミツトされておる。ただ予算委員会において、あるいは電通委員会においてだれそれ大臣がかくかく答弁した、あるいは所見を開陳したというだけの報道では、はなはだこれは片手落ちである。議員が質問する場合には、おざなりな質問もありましようが、お互いに相当やはり研究をして、頭を悩まし勉強して質問をするのであります。あるいは一時間、あるいは三時間にわたつての質問もある。ところがそれが全然考慮外にされて、放送報道方面においては、大臣の答弁だけがきわめて重要性を持つているかのごとく報道されていることは、はなはだ民主的なやり方ではない。ことにたとえばこの質問は府県別を言えば宮城県、自由党、庄司一郎君の質問、こうなつたら宮城県のわがはいの選挙区の連中は、庄司のおやじ、例のはげ頭でやつてるなというようなことで、ただいまの御答弁のように、非常にこれはローカル化するのであります。ところが一方的に大臣の答弁だけ報道されていることはよくない。この点は何とかひとつ改めて、公正妥当な国会放送を願わしいと思うのであるが、御所見はいかがでございますか。  第二は来年度事業計画の中に、学校放送、小学校、中学校、高等学校と区分して、適当な放送をするという御計画があるようで、たいへんけつこうであるが、この高等学校年輩の青少年は、全国に五百万人ございます。ところがこの五百万人の高等学校年輩の青少年が、やはり家庭の経済上、あるいは自分の労働の上において、学校教育を受け得ないのでありまして、この五百万人のうち、せめても定時制高等学校として一定の期間、農閑の期を選んで時折やつて行くというようなおそまつな高等学校教育ですが、その定時制の高等学校に上つておる生徒というものは四十三万、あとの四百五十七万ですか、これは定時制高等学校にさえも進学しあたわない気の毒な青少年である。そこでこの教育の機会均等を具現化するために、せつかく来年度の御計画には中学校、高等学校向きの学校教育放送をやるという御計画であるから、昼諸先生から直接御指導を受けておる中学校、高等学校の生徒に対しては簡単でもいいとぼくは思うが、学校に行つて上級の高等教育を受けることのあたわない四百五十七万のこの諸君のために、社会教育法という法律に準拠して各市町村の公民館が、これまた時折、一箇年に十日か二十日青年学級というのをやつておる。その青年学級に相当力を注いで、高等普通教育のゆたかな資料放送していただきたい。かくのごとくせざれば、祖国日本の再建はできない。高等学校程度の年輩の、将来日本を背負うところの青少年を教育するために、何とか青年学級タイムを設けて、相当な教育資料を用意されてやつていただきたい。これは私の切なる念願であります。せつかく御計画のある中に青年学級という文字がありませんが、勤労青少年の教育のために放送計画を持たれておるということは、満腔の敬意を表するので、どうか上りたくとも進学しあたわない約五百万人近い勤労青少年のために、せつかく最も効果のある教育放送番組をよく組まれまして、御善処を願いたい。これに対してお答えはいかがでございますか。
  55. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 二つの御質問にお答えいたします。  最後にお話になりました青少年教育に関して、放送がさらに寄与するようにという非常に御熱意を込めた御意見に対しては全然同感でございまして、私どもこれまでもそういうような考え考慮を払つて参りましたけれども、今後一層この方面には力を入れなければならないと思つております。ただいまでも公民館を利用いたしまして、ラジオのつどいを催しましたり、いろいろな企画を持つておりますし、番組面における青少年向けのいろいろな具体例もございますが、庄司さんの方ですでに御承知と思いますから、これを一一申し上げますことは差控えたいと思います。お説の通りに一層青少年、先ほど御指摘の全国五百万に及ぶ高校生の年齢に達して学校に行けない人たち、しかも日本の将来の土台になる人たちのことを一層考えて、そうしてこれらの人たちの教育の向上に放送が寄与するということが、われわれの使命であり責任であると思つて、具体化をさらに進めて行きたいと考えます。  次に、最初におつしやいました国会関係のニユースに、大臣の答弁ばかりが録音に出たり、あるいは説明放送があつて、質問者に関する報道が薄いという御意見、これもよく承りまして、いかにすればさらに公正妥当になるかということを研究いたして、御意見のように持つて行きたいと思います。
  56. 庄司一郎

    庄司委員 もう一点だけ、サービスの面において、特に農村方面に対するローカル的な放送をゆたかにしたいという先ほどの御答弁は、まことにわが意を得ております。どうも放送全般からいうと、都会文化的な放送の傾向が従来濃厚であります。そこでぜひ農漁山村向きのローカル的なよき資料を編集されて、農漁山村方面に送つていただきたい。また同時に農漁山村の汗を流して働いておる諸君の主張、あるいは叫び、あるいは報告、そういうものも、従来も多少は御採用になつておるが、どうかこれをゆたかに放送していただきたい。たとえば農村における四H青年運動の多収穫運動、あるいは精農家、篤農家の体験談、あるいは水田裏作、二毛作の経過並びにその結果等、そういうようなほんとうに農村に有効適切な、そして聞かんと欲するプラクテイカルな、そういう資料を編集されて放送されるならば、十五円値上げになりましても、内容においては決して高いものにならないのであります。そういう意味においてぜひひとつ、大学教授諸君の講演だけではなく、精農、篤農、四H運動に燃え上るところの食糧増産面に働いておる人々、あるいは土地改良のために奮闘しておる農村等の諸君の切実な叫び等も時折採用してくださつて、そうしてその農村の放送のあいまあいまに、その地方独特の無名の詩人のつくられたところの民謡などを配されるならば、まことにこれは有終の美を納めるであろうと思います。西洋音楽もとよりけつこうであります。だが日本古来の情緒てんめんたる民謡をこれに配するということになりますれば、これは画竜点睛を得るものでありまして、ぜひ農村向けのローカル放送をできるだけゆたかにしていただきたい、そういう希望を述べまして、材料がきわめて豊富にありますが、政府与党ばかりでも何ですから、この程度で質問をとどめます。
  57. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 最初に先ほど松井さんが御質問になりました点に関連いたしまして、私も質問いたします。この予算の中で一般施設面とか、事業計画につきましては、一般物価が上つているという点で、非常に予算がふえております。にもかかわらず職員の賃金だけはすえ置いている、非常に節約しているということを、委員長自身が自慢のごとく申しておられますが、先ほど松井さんから詳しく御質問がありましたので、私は詳しく質問いたしませんけれども、それに関連いたしまして、この協会の給与の面では、世間でも非常に部課長がたくさんとつているということは、これはもつぱらのうわさになつております。一体部課長級が何人おありになつて、部課長級の給与が全体でどれだけか、職員が何名で職員の給与が幾らになるか、ちよつとその点を初めにお聞かせいただきたいと思います。
  58. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいま御質問の点を、数字だけ簡単に申し上げます。先ほど申し上げましたように、昨年の十二月で全体の職員の数は七千九百七十九名でございますが、これから約五十一名来年度において増になりますから、八千をちよつと越える形になりますが、そのうちで部課長以上の人数は約四百名ほどでございます。
  59. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 部課長の給与といいますか、それはどのくらいになつておりますのですか。パーセンテージでよろしゆうございますけれども、全体の総額……。
  60. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 先ほど申し上げましたように、大体初任給の下級の者と、部課長の給与の比率は、約四倍になつておりますけれども、全体の人件費のうちのパーセンテージは、後ほど通知して申し上げたいと思います。
  61. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 全体の額もおわかりになりませんか。おわかりにならなければ、後ほどまた資料を提出していただきたいと思います。  それからこの聴取料値上げの問題が、先ほどから問題になつておりまするが、もちろん私はこれには反対でございます。三十五円を五十円に値上げするというのが、高いとか安いとかいうのではなく、特にこの五十円を三箇月前取りするというような、三箇月間前取りしましたならば、これは莫大な数字になると思います。きようは古垣さんにもおいでになつていただいております。私はたしか第八国会か第九国会のときに、一応ちよつとこの問題を出しまして、古垣さんをお呼びいただきたいということを申しておいたのですが、二十六年度予算計画につきましては、放送法に従いましてここに提出されておりまするが、放送協会の経営内容については、これはもう世間でも非常に疑惑を持たれておるのであります。私はその点で少し古墳さんに詳しく御説明をいただきたい点がございます。つまり昨年の旧放送協会の改組になりました節に、莫大なお手盛り手当というものが出ているということを聞いております。たとえば会長自身は二百万円もとつておられる、これはもうその以下の方々の数字も出ております。その点どういうことになつておりますか、まず御説明をいただきたいと思います。
  62. 關内正一

    ○關内委員長 田島君に御注意申し上げますが、なるべく二十六年度予算並びに事業計画等に関してのみ、御発言を願いたいと思います。
  63. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私はちよつと古いことをお聞きいたしますのは、旧財産を新協会は引受けておるのだと思います。つきましてはわれわれその古い会計について、かれこれ言う権利はないかもしれませんけれども、旧放送協会が改組になりましたとき、世間に非常に疑惑を生んでおります。たしか三月四日かの週刊朝日にも詳しく出ておりまするように、農村あたりからの零細なお金を集めておる協会といたしまして、三十五円を五十円とすることは小さく考えられますけれども、やはり最近の農村事情から言えば、これを三箇月前取りするというようなことは、非常に大きな問題です。そういう点につきましても、協会が改組になるときの点を一応はつきりさせておく方がいいと思うのでありますが、その点に関連して私はお伺いしております。
  64. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。なぜ三箇月集金をしているか、三箇月集金を実施いたしましたのは、昭和二十三年七月からでございますが、その当時の集金は二箇月集金をしておりましたが、その集金に要する経費は、受信料収入に対して相当高率を示しておつたのであります。それでこの受信料をとるための経費を減らすことによつて、プロパーの放送番組技術施設等の経費に振り向けまして、そうして受信者、聴取者へのサービスを増大するということを考えまして、実施いたしたのであります。またこれが受信者の受信料支払い困難によるラジオ普及を阻害せぬ範囲であるということを考えまして、こうしておる次第でございます。  もう一つの旧社団法人の改組のときに、私どもがお手盛りで二百万円ですかとつたというようなことはございません。そういうことは非常に根拠のないことでございます。
  65. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ただいま古垣さんのお答えでは、改組のときにそういう手当をとつた覚えはないというふうにお伺いいたしましたけれども、大体これは全部で一千万円くらいのお金が出ているということを聞いておりますが、しかもこれは翻訳部で翻訳されて、関係方面にも提出されている。しかも二百万円は税金が入つていない。税金を別に加えますと四百万円にもなつているということが、世間でもつぱらいわれておりますから、これは私は前の国会でお聞きする予定であつたのでありますが、お招きいただけなかつたのであります。こういう点、やはり古垣さんとしても一応はつきりなさつておいた方がいいじやないかと思います。
  66. 關内正一

    ○關内委員長 答弁がないそうです。
  67. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 さつきの給与の問題に関連いたしますけれども、たいへんこまかいことを御質問いたしますが、会長のお手当というのですか、理事のお手当はどのくらいおもらいになつておりますか。以前は日本でも最高の給料で、改組前は月三十万円もおもらいなさつておるということを、これを間接に聞いておりましたけれども、そういう点は予算の中でどこに出ておりますか。理事に対する予算面での点をちよつとはつきりさせていただきたいと思います。
  68. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対して申し上げます。会長及び理事等の手当は、経営委員会によつて決議されまして、それによつて支給されておるのでございますが、会長は税込みで月十万円、それから理事は一名当り七万円、これも税込みでございます。なお副会長がございますが、副会長は月額八万円、これも税込みでございます。
  69. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 この予算数字面に非常にわからない点がございます。たとえば管理方面に二億何千万という諸費が出ておるのですが、これは一体どこへ使うものでありますか、こういうものはやはり手当のほかの特別手当とか、あるいは機密費とか何とかいう方面に使用される点のように、われわれちよつと見受けられますが、この点の御説明を願います。
  70. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対しまして、簡単に申し上げます。この諸費という言葉は、ほかの一般予算や経理のやり方と、協会の従来のやり方が多少違つておりますために、大分誤解があるようでございますが、これは全部放送法に基く放送法施行規則におきまして、諸費にはこういうものを含めて予算書をつくるようにということが、明らかにせられているのでありまして、大体放送関係の職員の旅費、物品費、被服費、会議費、厚生費及び修理費、また一般の謝礼金もこのうちに含まれておりますし、借上げ料、その他諸税公課、保険料、そういうものが入つておるのでございます。決してこれはいわゆる接待費とか、そういうものが全額この中に入つておるというのではございません。大体今申し上げましたのを項目にいたしますと、約十項目余りのものがこの中に入つております。
  71. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 計算書の中で、法人費というものがございますが、これは何でございますか。
  72. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 法人費は管理費の中の内訳で法人費となつておりますが、この法人費は役員の報酬、手当、旅費、それから退職金並びに経営委員会理事会の費用、それがこの法人費でございます。
  73. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ちよつと今の御説明で、諸費とこれと同じような御説明があつたのですが、旅費なんかはどういうわけでございますか。
  74. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 今の法人費の中でダブツているようにお考えになりましたのは、旅費あるいは会議費だと思いますが、法人費は今申し上げましたように、役員と経営委員関係の旅費、会議費でございます。その他一般職員の旅費や会議費等は、諸費の中に入つております。
  75. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 古垣さんがおいでになりましたから、もうちよつと直接お伺いいたしておきたいと思います。たしか協会は以前、五箇年計画というものを御計画なすつたと思いますが、その五箇年計画の進行状態と、今年度のこの計画との関連を、あらましでけつこうでありますけれども、御説明願いたいと思います。
  76. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 旧法人時代に、五箇年計画というようなものを立てました。しかし昨年の六月新法人として発足しまして、経営委員会によつて、こういうような大きな協会方針が検討されて、議決されるということになりまして、そのうちでさらに検討して、三箇年向うまでを見越した計画というようなものを立てたのであります。
  77. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 その進行状態について、大体どの辺まで計画が進行されておるか、おおまかな点でよろしゆうございますが、説明をしていただきたいと思います。
  78. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 大体の点を申し上げます。旧法人時代に計画されました五箇年計画は、それがそのまま続行されておつた考えますと、今年は第三年度なつておりまして、大体割合といたしましては、六、七割見当がなされたと見ていいと思います。なお残つたところは、先ほど放送協会の会長がおつしやられたように、新たな経営委員が再検討されて、新たな三年計画をつくられて、その一端が二十六年度事業計画なつておるのであります。
  79. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ごく最近施設が特に設けられたという点を、御説明いただけませんか。
  80. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 簡単に施設の点を申し上げます。二十三年度当時から申し上げますと、放送局が毎年数箇所ずつ新しくつくられて参りましたし、また増力を必要とするところは増力を行つて現在に至つております。それによつてどのくらいサービスが改善されたかは、最初に当電波監理委員会委員長から御説明申し上げた中に示されておつたと思います。
  81. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私がお聞きしておるのは、施設などが特に最近において一般サービスのために設けられておるのか、あるいはその他の方面に設けられておるのかということです。たとえば裏日本方面相当に設けられておる。日本国民大衆の公共設備としての放送協会施設が、案外そうでない方の施設に向けられておる点があるように承つておりますので、具体的に施設のなされた点を、ごく最近のでよろしゆうございますが、それの御説明を伺つておきます。
  82. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。最近において放送協会施設の拡充を行つており、今後も行つて行くというこの計画は、先ほど申し上げましたように、かつては五箇年計画として、内外関係者の要望に沿うように、しかも日本国内でどこでも放送が聞け得るようにというような根本的な考え方から、五箇年計画が立てられ、また今回新たに放送協会が新しい性格のもとに再出発をいたしましてから、なお一層全国あまねく受信ができるようにという、その課せられた使命を一日も早く果すという線で、計画をされておるのでございますが、御参考に申し上げますと、昭和二十三年度以降建設をせられました放送局は、二十三年度におきましては萩、室蘭中継所を五百ワツトに増力いたしましたのと、長野放送局そのほか九局に第二放送をさらに追加いたしました。二十四年度においては、東京のサービスを改善するために東京の放送の増力、それから地方のサービス改善のために、福岡、新潟、松江、網走、それの増力、それから金沢放送局等の増力でございますし、そのほか甲府その他全国で九箇所に第二放送の設備を整えております。また二十五年度におきましては、鹿児島放送局の増力それから八戸の放送局の増力、その他、尾道放送局外六局に第二放送を整備したようなわけであります。
  83. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ただいまの説明でよくわかりました。それから古垣さんにお聞きしたいのですが、放送番組につきまして、先ほど椎熊さんからたいへんおほめの言葉で出ております。椎熊さんとしてはごもつともだと思います。私どもの立場では、放送番組内容が非常に一方的に偏しておる。これは一々具体的に御説明しませんとわかりませんけれども、大体において非常にまあこれはだれが聞いても、最近の放送は反共放送だといわれております。特に最近子供——さつき小学校向け、青年向けの放送ということがいわれておりましたが、私がいつか子供相手に全面講和の話をしておりますと、全面講和は悪いものだよ、なぜ悪い、それは放送でそういうふうにいいましたと、こう言つたのです。たしかこれは小学校向けの放送で、高学年の放送か何かに、全面講和は悪いものであるかのようにやはり放送がされておる。これは一例なんです。そういう点は放送協会が先ほど、自主的にいろいろな番組をお組みになつておられると申されましたが、やはり放送協会の自主性によつて、そういうような番組を組んでおられるのか。その点ちよつとお伺いしたいと思います。
  84. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答えいたします。協会は講和問題につきまして論点になつておりますところの、全面講和とか多数講和につきましても、決して一方的には取扱つておりませんし、また取扱わない方針でやつております。さらに田島さんから放送番組が反動的であるというような御質問、あるんじやないかという御質問でございますが、放送協会はあくまでも不偏不党の立場で放送を行つております。私どもとしましては決して反動的な立場をとつているとは考えておりません。
  85. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 その点でもうちよつとこまかい点をお聞きいたしますが、たとえばニユースの面なんかで、北鮮を敵にという言葉をお使いになつていらつしやいます。北鮮の方にはつきりとそういうような言葉が出ております。これもやはり放送協会として、それをはつきり意識して、そういう言葉をお使いになつておられますのか、伺いたい。
  86. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 戦況のニユースは、戦地から電報が届いて参ります。その電報のうちから最も重要な、そうして公正なニユースを放送しております。そういうような文字等も、別に作意はいたしておりません。
  87. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう一つ、スポツト・ニユースというのがございます。これなんかも最近は非常にひどくなつているのじやないかと思います。これは前にも放送法案が出ましたときも、株なんかを買え買えと言つて、株で損した人に対して、だれが責任を負うというのかわからないような放送がされておりました。このスポツト・ニユースで今度は、何か指紋を青年からとるということを言われておりますが、こういう放送もなされるように聞いておりまするけれども、そんな計画をやはり計画的になさる予定でございますかどうか。
  88. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 そういう点は調査いたしてみたいと思います。別に方針としてしないとかするとかいうようなことは私は考えておりません。
  89. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 大体政府の方の意向が出まして、いろいろなそういう時の政府の宣伝的なことが、このスポツト・ニユースを利用してなされていると思いますけれども、そういう点はどうなんですか。やはり協会あたりは、できるだけ政府のそういう意向を買つて出ておられますのかどうか、その点を伺いたい。
  90. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 どうも御質問の真の意味が了解しかねますが、NHKの編集権は、先ほども申し上げましたように、法律にきめられました以外は、どこからも侵されず、独立のもとにやつておりますので、毛頭政府の御用としてやつているのでなく、自主的に、その必要を認めてやつているのであります。
  91. 庄司一郎

    庄司委員 ただいま議題となつております本件に関しましては、こまかく掘り下げて質疑を継続するならば、なお幾多時間を要するものと思いますが、大体各派においても、態度の御決定があるように伺つております。本日はこの程度をもつて質疑打切りの動議を提出いたします。
  92. 關内正一

    ○關内委員長 ただいま庄司一郎君より質疑打切りの動議が出ましたが、賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  93. 關内正一

    ○關内委員長 起立多数。よつて質疑を打切ることに決定いたしました。(「横暴々々」「少数横暴」と呼び、その他発言する者あり)  これより本件を討論に付します。討論の通告があります。これを許します。橋本登美三郎君。
  94. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今回の日本放送協会収支予算案は、国民放送体、すなわち公共企業体に改組されましてから最初の収支予算であり、事業計画及び資金計画でありまして、注目すべき承認事項であります。私は自由党を代表して、右議案に対して承認することに賛成するものであります。  この議案で一応各委員の問題になりました点は、放送受信料金を五十円に値上げをするということであります。しかしこの点は各委員から、事情やむを得ない、ことに電波監理委員会の意見書にありますように、公共の福祉の増進に寄与するための施設改善、拡充及び放送番組の充実と刷新を重点とした予算である、こういうような説明がありましたが、この説明従つて項目を審議いたしました結果、まことに同意見であつて、われわれこれに対して賛成をするものであります。ただ放送費予算面上において八億七千万円という増加なつておりますが、これは従来の放送協会が、ややもすれば番組編成にあたつて十分でないところのそしりを受けておつたのでありますが、一応放送費増額によつて、この内容についても法の示す通りに、よき番組を、よき放送を目標としての努力を意味していると信じて、われわれは当局がよき監督のもとに、十分な放送のできることを信ずるものであります。なおこの予算面から考えまして、ラジオ文化は常に国際的な水準を維持すべきものである。従つてラジオ文化といたしましては、十二分に技術的な研究は必要であつて、この意味におきましての技術費、研究費は十二分であるとは考えられませんけれども、これは全体の予算の中から考えまして、一応各款項目においても、この点については研究ができるのでありますから、これらを十二分に生かして、国際水準に遅れざるように努力せられんことを切望するものであります。  最後に唯一つ希望することは、先ほど来委員の各位からも御質問がありましたが、現在の日本の現状あるいは国際情勢、こういう点から考えまして、今日の日本がどういう状態にあるかということを国外に知らしめることが、今後の講和問題あるいは日本の再建、こういう点から考えて、まことに重大な使命を持つておるのであります。しかしこの海外放送が、先ほど来御説明にありましたように、まだ実現の緒に至つておらない。これは関係方面との交渉も十分ではない点にもあろうと思いますが、なお予算の面におきましても、従来二十五年度においては一千万円の予算が計上されており、また来年度においても一千万円程度の予算を当局においては補助費として計上しておる。これは単に海外放送の一部の費用である、こういうような御説明でありますが、少くともこの海外放送に対しましては、一億円以上の費用を要するという話でありますから、こういうようなわずかな費用を計上することによつて海外放送実現できるような考え方は、やはり関係当局の熱意が不足しておるようにも考えられるのであります、従つてこの点については、将来十二分に海外放送費としての補助を考えてもらいたい。また私としましては、関係同僚とも御相談の上、海外放送実現促進のための国会の意思を表明する機会を持ちたいと思つております。  以上、二、三の点を明らかにしまして、本案の承認に賛成の意を表するものであります。
  95. 關内正一

    ○關内委員長 長谷川四郎君。
  96. 長谷川四郎

    長谷川委員 先ほど来質疑がありましたので、私はただ一言、民族的な文化国家建設の悲願に燃えておるこの国民の意欲を、十分に取入れて事業に当つていただけるという確信を持つて、賛成をいたすものであります。
  97. 關内正一

    ○關内委員長 松井政吉君。
  98. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私はただいま議題になつております放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件でありますが、内容受信料値上げを中心とする予算の編成でありまして、日本社会党を代表して、希望条件を付して賛成の意を表明いたしたいと思うのであります。  御承知のように経済上の諸情勢及び報道関係、主として新聞関係料金等に比較し、さらに現在の放送企業の運営から見て、今回の受信料値上げは、やむを得ないものと考えるのであります。しかしながら放送事業は、一般国民を利用の対象としております公共的企業であることには間違いないのでありまして、従いましてその公共性を生かし、一般国民へのサービスを中心にして企業の運営をはかるということが、一番重要ではなかろうかと考えますので、左の三点の希望条件を付して、賛成をいたしたいと思うのであります。  第一には、ただいま申し上げましたように公共的文化企業であるということを、当局は十分にお考えになりまして、運営にあたりましては少くともこの線からはずれないように、国民に負担をかける以上は、国民に再び福利になり、文化の面となつて、負担をした国民のもとへこの文化企業の実績が帰るように、運営をしていただきたいということであります。  第二は、番組の編成にあたつてでございますが、これは日本の国民の各層の中には、高度の文化放送を希望している者もありますれば、さらに活字によつて文化を求めることができない、主として耳によつて放送を何より楽しみにし、さらに放送によつて文化を吸収しようとしておる国民大衆がおるということを十分お考えなつて、番組の編成については慎重を期していただきたいと考えるのであります。  第三点は、受信料金が四割近く値上げされるのでありますから、当然放送企業が文化企業であるとともに、今日ではなくてはならない公共企業である限り、その第一線に働く従業員諸君のベース・アツプに、直接予算面で充てられていないということを、私ははなはだ遺憾に思うのであります。実際の運営面におきまして、実質的な待遇及び職員の福利等については、予備金及び諸費等の使用について、当局は十分御留意を願いたい、これが第三点であります。  以上の希望条件を付しまして、本案に賛成いたします。
  99. 關内正一

    ○關内委員長 田島ひで君。
  100. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私は放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件につきましては、承認をしがたいのであります。  まず最初に、私は本案について討論をする前に、質問を多数でもつて途中で打切られ、十分な質問すら許されない、こういう横暴な、一方的な委員会運営に対して、大きくここに抗議をいたしたいと思います。  反対の理由といたしましては、まず予算面において、受信料が五十円の値上げなつております。額は小でございますが、三箇月分の前取り、しかもこの計画の中には、かんじんの働く職員に対する給与が、一般値上りにもかかわらず、前の状態にとどめおかれまして、他の方は一般物価が上つておるからというので、値上りした予算をとつております。全体としまして本予算計画が、労働者の低賃金の上に、極度の労働強化の上に仕組まれておるという点から、まず私は反対いたします。と同時に事業の拡充の面につきましても、私は十分質問を許されておりませんから、お答えをいただいておりませんけれども、費用の使い道がいろいろな点で非常に疑義がございます。研究の面におきましても、たとえば技術の実用研究ということがいわれておりますが、実際の基礎的研究が非常に少くなつております。日本の今後の重要な技術研究につきまして、特に放送方面では、自費で研究所を設けるということは困難でございます。放送協会あたりが費用を出して、十分な基礎的研究をやらなければ、真の研究というものはできない、そういう費用が多くこの中からとられておりまして、実用研究というのは、向うのものをただ応用化するような研究のように見受けられます。また人員の点でも、たしか人員が百名くらい減らされるということを——私は質問さしていただけませんからお答えは得られませんけれども、減らされるということを聞いております。そういう点から言いましても、私はこの事業の拡充の点に反対いたします。  また事業の進行状態につきましても、先ほどの説明では、大体裏日本方面施設が非常に多くなつております。これは国民大衆のために設けられた施設というようには考えがたいのでございます。それからまた先ほど農村向け放送ども論議されましたが、朝鮮動乱以来、夜の第一放送、第二放送が大きく削減されまして、韓国向けの放送にこれが向けられております。こういう点から申しましても、放送の仕事が非常に一方的に偏して、ほんとうに国民大衆の利益のためになされておるとは見受けられません。そういう点からも私は反対いたします。また番組の点についても、先ほどちよつと私が質問の中で申し上げましたように、非常に一方的に偏しております。これはだれが聞きましても、最近の放送が反共放送にかわり、あるいは反ソ、反中共放送なつております。少くとも現在日本が置かれております情勢のもとにおいては、こういうようなお隣りの中国あるいはソ同盟を敵にまわすような宣伝的な放送をなされておるということは、今後の日本の状態に重大な影響を与えるものでございまして、その責任はたれが負うべきであるか。おそらく放送協会の責任者の人々は、この点につきまして重大な責任をお持ちにならなければならないと思います。そういう放送番組の点から言いましても、その他の事業の拡充の面からいたしましても、すべてこれは一方的に偏している。そして特に最近の放送内容におきまして、小さい点ではございますが、単独講和の宣伝になるような放送が、意識的にずつとなされております。こういう点から見ましても、政府の宣伝機関と化している感が非常に濃厚でございます。たとえば放送討論のごときは、少数党にはこれをさせないで、二、三の政党だけにさしておりますのは、これも一つの選挙宣伝という点から見ましても、たとい少数党でありましても、こういうものに十分開放して放送させるということは必要なことでございまして、そういう点からも、現在の放送協会の独占的な放送は、NHK王国の形をなしまして、一方の反動的な方面に非常に強化されている。  こういう点から私は、この二十六年度放送協会事業、あるいは予算その他の承認の件につきましては、共産党を代表いたしまして承認しがたいのでございます。
  101. 關内正一

    ○關内委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件について採決いたします。本件に承認を与うるに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  102. 關内正一

    ○關内委員長 起立多数。よつて本件は承認を与うべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本件に関する委員会の報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  104. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 動議を提出いたします。実は最近各方面で問題になつておりますが、両三年来、たとえば北海道を初めといたしまして、全国にわたつて有線放送施設が非常に増加いたしまして、今日ではその施設が四百、家庭にいたしまして約四万に達するような数字なつております。この有線放送は最初無電放送を中継するという目的のもとにできたのでありまするが、最近マイクロフオンを設けて、みずから種々の放送をやつておるので、あたかも私設放送局のような観を呈しております。この有線放送は、おもに電気のない地帯において、放送の聴取が困難であるということから、自然に発生したものでありまして、これを適当に助成あるいは補助するということがきわめて肝要でもあるのであります。また一面その放送番組が政治的に不公平であつたり、あるいは極端な場合には、公安を害するようなこともないではないのでありまして、こういう点につきまして、放送法が持つておりまするところのラジオ・コードも、ある意味においてはこういう有線放送にも当てはめる必要があるのではないか。こういう意味で、この問題についての小委員会を設け、放送法一部改正の法律案を、委員会として提出するような運びにいたしたい、こう考えまして動議として提出する次第であります。  以上お諮り願います。
  105. 關内正一

    ○關内委員長 ただいま橋本君より御提出になりました放送法の一部を改正する法律案起草の小委員会設置の動議についてお諮りいたします。ただいまの動議のごとく、小委員会を設置するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕
  106. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なしと認めます。さよう決します。  なおお諮りいたします。本小委員並びに小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なしと認めます。それでは御指名申し上げます。  井手光治君、岡西明貞君、高塩三郎君、橋本登美三郎君、長谷川四郎君松井政吉君をそれぞれ小委員に指名いたします。なお橋本登美三郎君を小委員長に指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十六分散会