○松永
説明員 ただいま決議のありましたこと並びに福田議員よりその理由の御
説明がありましたことにつきまして、深く感銘を催すものであります。
考えまするとずいぶん長い間、この
料金問題以前にさかのぼりましても、五月一日に出発するまでの
電力の再
編成について、あるいはその後に起りまする
料金基準の決定に関しまして、また今回の
値上げ問題につきまして、議会中及び議会が済んだにかかわらず、全
委員が常に御苦労いたされまして種々御研究くださつた点を厚く御礼申し上げる次第であります。ただいま
お話がありましたように、私個人のお礼心以外に、簡単に所感を申し述べておこうと思います。
私個人に関しましてもかなりいろいろの批評を受けております。これはみずから不徳のなすところでやむを得ない次第であります。でありまするけれ
ども、
委員会並びに私
どもの助け役の事務当局の間では、常に皆さんの御
意見なりそのほかを尊重して、これを
一つの指針として研究して、御意思に沿うべく努力していることは事実でございます。また今日といたしましても、顧みましてわれわれは
委員長、各
委員ともそう思
つております。ただここにどうしても私
どもが新聞紙そのほかで、どうもお前方の方が無理じやないか、何でも一緒にや
つてしまう、たとえば再
編成をやつたかと思うと、人事問題でごたごたや
つて、五月一日の出発は困難じやないかと私はたびたびこちらでも参議院でも質問を受けた。困難は困難でありますけれ
ども、何とかして早く片づけたいものでありますということを申し上げた。そうするとそのときに、一向
料金の話も何もしないでお
つて、突如として今度は
料金問題が新聞に出て来る、新聞に出て来る前後にこれを決定する
算定基準の聴聞会を開く、どうも一向出し抜けである。それならそれでもう少し早く言えばいいじやないかというような
お話がまず
算定基準のときも出ました。それもごもつともと思うのでありますけれ
ども、
料金をきめますのに、やはり
相当な
基準がなければいけない。
電気事業が成り立
つて行く上について、また
算定基準の第一項目に掲げましたように、
消費者の利益も確保して行かなければならぬ。その両方が見合
つて、どういうふうに
料金を決定して行くかという
基準をまずきめまして、これによ
つて業者がおのおの信ずるところによ
つて自分の
意見を提出することにさせたのであります。そのときも非常な問題が超りました。松永などは、ようやくこのごろ五月一日に生れたばかりのよちよちの赤ん坊みたいなものに、大きな
料金の問題等を背負わせて、しかもそれは世間的に言うてみると、非常に不当な高いようなことを言う。それも半年か一年か、自分たちが
合理化してりつぱにしてから言うならば別だけれ
ども、まるで寝耳に水である。次から次にむずかしいことを持ち出す。思うにあの老人というものが何か頑固一徹で、自分のしたいことを何でもや
つている。
委員会は必ずしも賛成じやなくても彼がや
つているんだ。業者も何もそう急がんでもいいというのを、松永のやつがしりをたたいているんだろうということは、新聞にたびたび出ました。これらのことについて一々申訳はいたしませんけれ
ども、そういうことのよ
つて起るのは、もう少しゆつくりゆつくりやつた方がいいじやないか、何もそう急がんでもいいじやないか、それもお前方がいよいよいかぬというときは――議員と申しては言葉の使い方が悪いのでありますが、国会もお前方を決して見殺しにするんじやない、だから適当に少しゆつくりやつたらどうかという議論があります。それから今回もその
通りでありまして、まあもう少し半年も延べて様子を見た方がいい、もうお前の方がぐずぐずしているうちに米の方が上
つて来る、砂糖は上
つて来るというふうに、次から次に上るが、その方はすらすら行くじやないか。お前方のみひつかか
つてぐずぐずしているのは事を急ぐからである。つまり公益
委員のやり方が下手である。しかもどうも世間は松永が一人でそう引きずりまわしているように思うぞということは、私の友人でかつ政治などに御
関係のあるりつぱなお方々からも
相当注意を受けました。また東洋経済あるいはダイヤモンド社の座談会等におきましても、やはり同じような御
意見を聞くことがあります。この順序を経て漸進的にやれということが常識的であります。その常識にそむいたことが、何か差違えて胸につかえているような思いをするということはまことに遺憾千万でありますから、この機会において一言その点だけをはつきり私の心境を申し上げておきたい。
日本の
電力は少くとも十年間ゆがめられておりました。自治独立の精神を欠き、電源開発の急務を知りながら、何らこれに対応するところの気力を持たず、力を持たない
一つの組織であります。また政府を誹謗するわけではありませんけれ
ども、政府もまた漫然としてこれらを見のがしておつたことは事実であろうかと思う。でありますから、言いかえると、東北あるいは北海道における雪の下に長い間十年も何年も埋められた樹木と一緒でありまして、雪が溶けたときには、順序よくまず梅から咲いて、その次に桜が咲いて、その次に桃が咲いて、それで茶の花が出て、それから麦がぼつぼつ青ばむというわけには日本では行かなく
なつております。要するに長い間雪におおわれたこの
電気事業は、一たび
電力再
編成ということが成立つと同時に、すべて一ぺんに梅も桜の花も一緒に咲き出ることは、東北あるいは北海道の雪の地方にお住いのお方はよく御
承知であります。これは四国、
中国あたりの雪のない、何にも無理のない、梅の咲くときは咲く、菜の花の咲くときは咲くというわけに行かない。
電気事業の状態であります。従いまして
電力再
編成が一たび成り立ちまするときには、この
電気の
料金を適当に処理する、そうして電源開発の信用を得るということを第一に
考えなければなりません。また同時に需用に対して、高い
石炭をたいてでも、あるいは場合によ
つては石油をたいてでも、国家の要請に応じて――これはおきらいな方もあるかもしれませんが、私
ども信ずるところにおいては、国家の要請、すなわち
産業界の要請に対しては、できるだけのことは業者がすべきものと心得てあります。これらに向
つて適当な
料金を与えること、しかもその
料金は適正なることを必要とすること、不公平でないようにすること、これらのことは再
編成とともに、もうその日から一緒に生まれるものであります。従いまして電源開発というものは、何もこれからやるのじやないのであります。電源開発は私
どもがすでにこの再
編成の命を受けて、十二月何日かでありましたか、
委員となりましたその日から、この電源をどうするか、
ロスをどうすれば減らすことができるか、どういうふうにすれば合理理化ができるものであるか、どういう人をこの局に当らすべきものであるか、これについてもう苦心いたしましたことが、ようやく五月一日の再
編成でそれぞれ業者に適当な人を得たと信じておりますから、この業者に自立の力を与え、自分から電源開発の衝に当たり、いたずらに国家にたよることなく、国家の保護のみを当てにせず、自分で努力してやるべきものである。
ロスの軽減も自分からやるべきものである。事業家の便宜を自分から与えるべきものである。これをやりますのは、もうその日から一ぺんに参
つている話でありまして、すなわち電源開発及び
ロスの軽減、サービスの改良ということは、もう第一歩その日の始まりますときに、
料金の問題も
合理化の問題も一切一緒に生れ出たることは、長い間雪の下におつた草木が、春を待たずしてもう一ぺんにもえ出たような状態でありまするので、その問いろいろ世間からも、松永などが先に立
つて料金値上げの運動をしたのだろう、あるいはこういうふうにしたのだろう、電源開発もあるいはか
つてなことをや
つているのだろうというようなそしりを受けますけれ
ども、もしそのそしりがありますれば私の不徳のいたすところで何も申し上げませんが、大体この
電気事業が、一ぺんにせなければならぬ状態に
なつておつた過去のことをお
考えくださいましたならば、初めてこれによ
つて桃も桜も一緒に咲そろうて、国家の御要請にこたえ得られるように業者を奨励、監督して行かなければならぬ責任を私は特
つております。そのやり方についてもとよりあやまちのあることを深く信じております。でありますから、再
編成の人事につきましても、参議院あるいはこちらの
委員会に対しまして、はなはだ不手ぎわであつたということは率直におわびをいたします、今回の
料金も、もう少し漸進的に、十箇月も二十箇月も遅れてやるならば皆さんんの御了解もだんだん得られたたろうと思いますが、事はさように行かないが天然自然の世の中の道理であり、私
ども人間の力で、政治の力でこれは何ともできない、国の発展する
一つの段階であります。この段階のときには、ある
方面から、あるいは他の多くの人から、たとえば主婦のお方々――最も大事な国民の要素でありますけれ
ども、その多くの方々に、無理をしているものである、急ぎ過ぎたものであるというお
考えの起るのは無理のない次第であ
つて、その点私
どものやり方は決して上手でありませんけれ
ども、下手ながら天の命ずるまま、自然の行くべきまま、国家の御要請に対してできるだけ自分の至誠を捧げてやつたのであります。しかしながら、ただ念願とするとはころ――あまり国家の干渉あるいは国家の保護ということが多くなりすぎますと、とかく業者はものに甘えて参ります。
従つて金特ちほど学校もできるはずですが、必ずじもそう行かないで、貧困の中に勉強した人がよくできるように、業者は今日非常な非難を受けております。また
料金についても非常な不満を特
つておるようでありますけれ
ども、この不満がむしろあの人たちを激励して、われわれの希望する線に沿うて来ると思います。昨日神田さんから、
電力貴族をつくるような
考えをやめよという御注意がありました。この点まことに御同感でありまして、彼らをこじきにするわけには参りません。しかし貴族にすることは絶対禁物であります。旧来
会社等が、ややもすれば国の保護に甘んじ、あるいはプール
計算に甘んじて原価を幾らでも切下げ、発
電力を一文でも安くいいものをつくる、できるだけ
石炭を使わぬようにして、そうして国民に十分なるサービスをやらせるということ、やわり彼らをその貧しい地位において努力させることが第一の要件でありまするけれ
ども、私昨日ちよつと申し上げましたように、再
評価は非常に軽く
計算されております。従いましてこの
償却、すなわち物を置きかえ、新規にとりかえて命数を保つこと、これらについての
計算は今回非常に不十分であります。かくのごとき状態で国家の保護なく、国家の助成なくしではとうてい自立的に、自分でやる力はないかのごとく私
どもは思うております。従いまして、これは皆さんとともに十分御研究願いまして、先刻福田さんの
お話のように、電源関発こそ必要であり、
ロスの軽減こそ必要である。
電気事業者の
合理化こそ必要であり、そうしてこれをも
つて皆様の御協力、あるいは力が足らぬ場合は国家の何らかの力、たとえば外資に対して保障していただく。あるいは今度税金も
相当多く業者は払わなければなりません。ちよつと勘定しますと八十億以上の金を払わなければならぬかと思います。これらの金もほとんどありません。私
ども何とかこれは皆さんにもお願いし、大蔵省
方面と税の取扱いについても懇談せなければならぬと思うておりますか、これとてすべて未定の状態でございます。
何とぞこの電源開発、サービスの改善、国力の充実ということにつきまして、当
委員会におきまして専門的にこの上とも御研究願いまして、私
どもできますだけの材料を差上げ、また
説明にも伺いますから御協力をひとえに願いた、
料金問題につきましての御決議につきましては帰りましてよくまた
委員長とも相談いたします。事情は先刻から
今澄氏そのほかに御
説明申し上げた
通り、また昨日神田議員に対して上げたような事情でございます。厚く将来の御援助をお願いいたしまして、一言感想を申し上げた次第であります。