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1951-07-23 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月二十三日(月曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       中村 純一君    福田  一君       南  好雄君    村上  勇君       佐伯 宗義君    加藤 鐐造君       風早八十二君    田代 文久君       河口 陽一君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君  委員外出席         公益事業委員会         委員     松永安左エ門君         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         公益事業委員会         経理長     中川 哲郎君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気料金に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  本日の理事会において決定いたしました順に従つて議事を進めます。  まず電気料金に関する件について調査を進めたいと存じますが、新たに高橋龍太郎君が通商産業大臣就任せられました。この機会発言を求めておられますので、これを許します。通商産業大臣高橋龍太郎君。
  3. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私はこのたびはからずも通産大臣をお受けいたしました高橋でございます。これから皆さんにはいろいろお世話になることと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。簡単ながらざあいさつといたします。
  4. 小金義照

    小金委員長 この際通商産業大臣に対して簡単な質疑を許すことにいたします。これより順次発言を許します。小川平二君。
  5. 小川平二

    小川(平)委員 今日は通産大臣が御出席になつておりますので、当面の問題につきまして、二、三ごく簡単に御所見を伺わせていただきたいと思います。いずれ機会をあらためまして詳細に承りたいと存じますが、時間がございませんので、大づかみな考えだけを承らせていただきます。  第一に朝鮮の戦乱が終結をするのではないかという見通しが次第に濃厚になつてつておるのでありますが、これが実現をいたしました場合に、特需が大幅に減少して来るのではないか、それがわが国経済相当深刻な影響を与えるのではないだろうか。この点に関しましては、楽観、悲観両論が行われておつて、非常に大きな関心を呼んでおると思うのでありますが、これについて過去の実績等を分析されて、ある程度見通しをすでにお立てになつておることと存じますので、この点をちよつと承らせていただきたいと思います。
  6. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の御質問朝鮮停戦という問題は、まだ軽々しく予断を許さないと思うのでありますが、万一そういうことになつた場合には、相当影響があると私は前から考えております。しかし特需品の種類が非常にかわつて来ると思います。朝鮮方面でも相当特需品発注があると思いますが、品目は非常にかわつて来るでしよう。つまり停戦後は朝鮮復興資材、それから今復興資材の中に入れるべきかどうでありますか、たとえば繊維品というようなものは非常に必要になつて来るのではないかと思います。その上に日米経済協力といいますか、アメリカの今計画されておる軍備拡充計画、これもだんだん予定通り進んでおるようでございますから、この方はまた新しい期待ができるのではないかと考えております。そういう問題でございますから、まだ数字的に御説明をする材料を持つておりません、半ば私の私見でありますが、私はそういうふうに考えております。
  7. 小川平二

    小川(平)委員 それから一般的な問題といたしまして、最近における国際価格の反落によりまして、輸出の不振が次第に顕著になつて来ております。そこでこういう状況のもとにおきまして、現存の貿易計画を修正することなしに維持し得るという見通しを持つておいでになるか、この点を承らわしていただきたいと思います。
  8. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 これも現在非常に大きな問題でありますが、御承知通り現在ではある商品は国際価格を下まわるというようなことになつておるようです。そうして国内の急激な物価下落がかえつて輸出を促進せずに、それを妨げておるというのが御承知通り現状なのです。この数箇月来価格があまりに暴落しておるので、外国の発注側で高いものは一応キヤンセルして、また買いかえ手続をするというような面がだんだん実際に現われておるわけなんです。現状の姿から見ますというと、輸出貿易の今の計画に多少の影響があると考える。これが常識だと思うのです。それではどの辺に見通しをつけるかということになると非常にむずかしいのであります。キヤンセルをしておるものなどの個々の場合をだんだん聞いてみますと、その物資が必要でなくなつたわけでなくて、皆同じ程度に必要を感じておるのだが、値段が下るので一応キヤンセルという意味なのですから、少しおちつけば相当回復して来るではないかと思うのです。値段が下つただけまた発注のふえる面もあるだろうが、この見通しをつけますことは、ちよつと一、二箇月推移を見なければ、たれにも困難なことだと思つております。私はそういうふうに考えております。
  9. 小川平二

    小川(平)委員 さらに関連する問題といたしまして、輸出の不振のためにドルの不足がだんだん深刻になつて来るものと考えられます。これに対してどういう対策を用意しておいでになるか。根本的には輸入物資仕入れ先ポンド地域に切りかえるということが必要になつて来るものと思います。  なおまた朝鮮停戦が近く実現するのではないかということで、中共との間に非常に引合いが活溌化して来ているということを新聞等で見るのでありますが、これも非常に業界では大きな関心を抱いておる問題だろうと存じます。かりに停戦が実現した場合に、対中共貿易の制限が緩和されるという見通しをお持ちか、その方向に向つて努力をするお考えを持つておられるかどうか、これらの点をお伺いしたいと思います。
  10. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 この中共貿易の再開、これは日本としては非常に望ましいことだと私は思うのです。中共貿易が復興しなければ、日本全体の貿易政策といいますか、ほんとうの建直しが非常に困難であるので、これは日本としては非常に望ましいことであるのですが、今ちよつと政治的にも関連がありますし、政府がその見通しを立てるということはどうでございましようか。しかし私個人としては、おそかれ早かれ必ずや中共貿易はまた元のように回復するのだろうと信じております。これは私個人見方であります。
  11. 小川平二

    小川(平)委員 それでは時間がありませんので、もう一つだけお尋ねをいたしたい。  おそらく大臣が当面しておられる目先の一番大きな問題ではないかと思いますが、輸入物資引取資金の問題、この問題は昨年の秋ごろから、当然かような事態が起るに違いないということで、識者の間で憂慮されておつた問題でありますが、はたして今日最悪の事態に当面してしまつておる。これにつきまして、業界で要望いたしております、たとえば工業手形の再割でありますとか、あるいはユーザンスの期限の延長とか、あるいはまたスタンプ手形の対象を拡大しろ、こういつた要求はすべていれられませんで、おちつくところは、日銀ケースバイケース融資のあつせんをする、こういうことになつているようでございますが、聞くところによりますと、融資あつせんをするといつても、銀行の方でも自分のところの資金ポジシヨン等がはつきり知られてしまうのでありがたく思わない。借手の方でも経理内容があからさまにされるというようなことをはばかつているので、一向に実効が上つておらないというふうに聞いておりますが、実情はどうなつておりまするか。また少しでも解決方向に向つて進めて行く見通しをお持ちかどうか、それらの点についてお尋ねをいたしておきます。
  12. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 輸入物資決済資金の問題は、ただいまお話のように非常に重大な問題であります。私当局としては、これをケースバイケース解決して行くということは非常に困難だろうと思つておるのであります。私のそういう意見は、大蔵大臣あるいは日銀総裁にも十分話しておるのですが、なかなか思うように解決していないのが実情であります。しかし実は一昨日日銀当局、そのほか二、三の銀行の幹部を順次歴訪しまして、実際の模様を聞いてみたのですが、その模様によりますと、ことに見聞銀行側の話を聞いてみましても、だんだん解決の緒についております。それは事実のようです。実は私にはそういう面はあまり耳に入らなくて、反対のことばかり耳に入つてつたのですが、実情は少し好転しているように私は感じております。もつともこれは見方によつて、たとえば日銀総裁などは、予期以上に非常に好転しているんだと見るでしようし、民間人の方からいえば、全然そうでなくて、ますます悪くなつておるという見方をするのでしようが、ケースバイケースでだんだん解決しておるものがあることは事実のようです。ともかく現在の市場を安定さすことが第一であるので、今の行き方でわれわれの希望する早期の安定が期待されるかどうか、私は少し疑問に思つておるのであります。そういう問題もありますので、明後日に私大阪へ参りまして、業者と直接に接触していろいろ実情を聞いて帰りたいと思つております。
  13. 小川平二

    小川(平)委員 今の御説明を承りまして、日銀が現在行つているというところの、いわば姑息な手段に対して、大臣が否定的な考えをお持ちになつておる。われわれも実際同感に存じておるわけでございますが、この問題は、もちろん言うまでもなく深刻な経済問題であると同時に、大きな政治問題であると考えるのであります。国策として輸入を奨励しておきながら、その跡始末を政府が全然してやらないということでは、これから政府国民に対してまつたく信を失つてしまうことになりますので、この上ともこの問題の解決については、十分御努力をなすつていただきたいということを希望いたしまして、まだいろいろお尋ねをいたしたいことがございますが、ここで打切らせていただきたいと思います。
  14. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  15. 今澄勇

    今澄委員 私は新大臣就任にあたつて、簡単に四点だけお伺いをいたしておきたいと思います。  その第一点は、大体吉田内閣大蔵大臣通産大臣兼務文部大臣通産大臣兼務というような事態が総いて、しかも通産大臣発言力閣内においては常に弱い。そこで一国の最も重大なるべきこの商工行政というものが、今日非常に苦難な姿に陷つておると私は思うのです。そこで長年経済界におられて、産業にも実際携わられた新大臣は、この現在の吉田内閣のもとにおける閣内バランス——あるいは外交方面の問題の通商関係外務官僚金融問題は大蔵省、物価その他は安本というふうに、多岐にまたがつて、他省間の官庁の圧力を受けながら運営しなければならぬ通産大臣というものは、私は非常に重職であると思います。しかも現在までとられた通産行政は非常に矛盾に満ちて、異常なバランスの上に立つて現実経済界に混乱を与えておるということも事実であるが、この際講和を前にして就任せられたあなたの、大体の信念と見通しについてお伺いしたい。  なおあわせて、私は今の通産行政はこれを重点的に言うならば、貿易を主力にして行つて日本産業を建て直すか、あるいは企業合理化でやつて行くかといういろいろの目のつけどころがあるが、一体あなたの通産行政としては、いかなるところをまず重点的にやられようとしておりますか、簡単にひとつお答えを願いたいと思います。
  16. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の第一の質問としての御意見は、私ありがたく御警告として頂戴しておきます。  それから私の抱負というようなことを至るところで聞かれるのでありますが、通産行政は関係するところが非常に広いので、むろん時勢に応じてだんだんかえて行かなければいかぬのですが、軽々しくかえることはいけない。私は何十年間民間財界人としてやつて来ましたので、いろいろなことを見聞して来ておるし、また民間人として通産行政に対して不満を抱く場合もあつたのです。あつたのですが、今度就任しました最初に私が考えましたことは、今までの私の見聞といいますか、予備知識といいますか、それは責任のない民間人としてでありますので、今度局に当つて通産行政を指導して行くのには、そういう先入感を持つて事を判断して行くことは非常に誤りを来すおそれがあるので、そういうものは一応全部白紙にして、新しく当局から一々説明を聞いて、私の予備知識を是正しつつある次第であります。  平和はいよいよ見通しがついて来たわけですが、平和後のわが国にとつては、通産行政が最も重要な仕事だと思うのであります。やりたいことはたくさんあるわけですけれども、何もかも一緒にやらないで、やはりだんだんどれを先にやるべきかということが非常に問題になる。根本輸出貿易を盛んにする、それがためには合理化、その合理化の必要なことはもう長く説かれておつたのですが、昨年の朝鮮事変以来ちよつと産業界がにぎわつたために、かえつて合理化というものが、停頓して一向進んでいないというのが現状である。これでは輸出貿易を盛んにして行くということは不可能であると私は考えておるのであります。これらの点に最も努力して行かなければいかぬと考えております。
  17. 今澄勇

    今澄委員 今の大臣お話で、漠然とでございましたが、輸出貿易を中心にやつて行かれるというお話でございました。私は新たに就任された大臣に、とにかく内外の事態が重要であるから、少くとも超党派的に、日本通産行政というものにひとつ打込んだ御行政をぜひおやりを願いたい、かように思うわけです。  今御指摘のように、朝鮮事変以来非常な上昇を見せたわが国鉱工業生産指数は、すでに四月と五月では五月の方が漸次下落して来ておるという状態で、輸出も五月の一億二千百万ドルからもう大分落ちて来た。この現状通産大臣になられようと、民間商工会議所の会頭であろうと、客観的にながめて見れば、これは何らかわりない具体的の一つの事実である。こういう事実の上に立つて、私はまず第一点は、どうしても国民生活経済規模ということになりますが、これらの国民生活の上に今後一番重大なことは、国際的な価格その他の問題もあるが、とにかく一応物価をある程度安定し、しかも低物価政策をとらなければ国民生活が安定しないということは、これはもう間違いない。そこで私は、新大臣はこれらの低物価政策をある種の統制方式をお用いになるか、あるいは標準価格制度のごとき中間対策でお行きになるか、あるいは経済規模を増進する、増産一本やりで、大きく経済規模の拡張でこれらのことを解決されようとするか、この根本方針についてひとつ御解説を願いたいと思います。
  18. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 これも非常にむずかしい大きな問題ですが、根本としては、私は産業を興し基産をして低物価を来すということが、原則として考えられるのだろうと思います。御説の通り物価政策ということが伴わなければ、輸出の増進ということは困難であろうと、私も同感に存じております。
  19. 今澄勇

    今澄委員 根本的には、増産並びに経済規模の拡大ということで臨まれるには、現実輸出輸入実情を見るというと、非常に計画は困難ではないか。本年度貿易計画をこのまま推し進めて行くことはこれは無理であるから、貿易規模を縮少するやに、われわれは安本その他から聞いておるが、新大臣はこの貿易部面については、本年度貿易計画はそのまま推し進めて行かれる考えですか、それとも何か改正をされるか。もし具体的にわかれば、第一番は輸出組合などをおつくりになるかどうか。それからダンピング対策としてフロアプライス制をしかれるかどうか。あるいは輸出のいろいろな対策として、輸出信用保険法を施行されておりますが、これらについての今後の見通し、あるいは優先外貨制度の存続を決定したと伝えられておるが、これらの問題について、おさしつかえなければ、ひとつあなたの所見だけでもお伺いしておきたいと思います。
  20. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今年の貿易計画を今変更するということは、安本ではどういうふうに考えておるか知りませんが、私はちよつと早過ぎると思う。少くとももう一箇月か一箇月半様子を見て研究すべき問題だと考えております。  それから今のフロアプライスですが、この間繊維輸出許可制をとることにして政令を出しましたが、これはダンピングを防ぐというのが趣意なんです。この問題もフロアプライスで行くべきかというようなことも一応考えてみたのですが、どうもフロアプライスでは所期の目的が達せられぬという結論を得たのであります。フロアプライスの点は、むろん将来ものによりましては、そういうものを採用することもあるであろうと思います。  それから保険制度の方も、せつかくこれは実行に移したいと調査研究をいたしております。
  21. 今澄勇

    今澄委員 きようは最初でございますから私も小さいことは伺いませんが、今までの結論からすると、いわゆる低物価をするために経済規模を大きくして増産と言われ、貿易面についてはもう一月半もすれば、場合によれば縮小しなければならないかもしれないという大臣お話ですが、しからば目を転じて国内重要基礎物資を見ると、御承知のように石炭を例にとれば、四千万トンの昭和二十五年度の予算が本年は四千六百万トンになつているけれども、電力用石炭一つを見ても、石炭の奪い合いでなかなかうまくまわつておらぬことは御承知通りです。製鉄用その他一切の基礎産業部面についてもかくのごときありさまで、国内基礎資材についてはすでに頭打ち的な非常に困難な情勢に立ち至つておるとわれわれは思うが、さすれば貿易国内主要鉱工業生産現状も、あなたの言われる、いわゆる経済規模を大きくして、増産を大にするという情勢が整つておらぬが、それでもあなたはその増産だけで物が安くできるという考えの中には、何かもう一つ打つ手がなければ納まらぬというりくつになりますが、御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  22. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お説の通りこの問題は、私が増産を基本にして考えるべきだということは、これは原則であつて、現在の実情はあなたが指摘されたように、そういう旗じるしだけでは解決ができぬようになつておるじやないかという御意見同感しごくなのです。そこに非常な現在の困難が横たわつておるわけであります。そういうものをどういうふうに解決して行くかということに、私は就任以来非常に苦心研究しておる次第であります。これらの問題は皆様の御協力を得なくては行けぬことでありますから、よろしくお願いいたします。
  23. 今澄勇

    今澄委員 そして最後にもう一つ聞きますが、その一番重大な問題に対する抱負見通しを当通産委員会において一応述べられて、われわれが通産行政の、大臣に対するいろいろな問題の基礎にしたいと思うのですが、今の御答弁では何らはつきりしませんので、私は価格その他については標準価格制度等のごとき、ある程度統制政策をどれだけかの物資についてはおとりになるかどうかという点を明確にお答え願いたいという点と、もう一つパルプ、製紙、人絹等の非常に利益の多い産業には御承知のように非常に投資が進んで、これらの産業はますます基礎をかたくするけれども、それ以外のあまり利潤の生れない産業については、現在国家資本を投下しておらぬ現状においては、投資もままならず、たとえば電源開発にしてもその他鉄鋼増産の問題にしても非常に遅々として進んでおらない。これらの問題については新大臣はいわゆる自由企業に放任して、利潤のあるところだけに金が流れて行く現状をそのままにしておいたのでは、これらの基礎産業の確立は望まれないが、こういつた投資の面について、国家の重要とする産業については何か心構え、物価の面と資金の面について、ひとつあなたのお考えをこの際具体的に、これだけでけつこうですから聞かしておいていただきたいと思います。
  24. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 御説ごもつともですが、これは非常に困難な複雑な問題で、今、新任早々の私に意見を発表せいとおつしやることは少し御無理かと思うのです。しばらく時間を与えていただきたいと思います。いずれ結論を得ましたれば、ここで皆様にごひろう申し上げます。どうかそういうことでお許し願いたいと思います。
  25. 今澄勇

    今澄委員 それでは私はこれで終りますが、最後中小企業金融について、あるいは中小企業振興について何か大臣のお考えがあれば伺いたい。それから商工会議所を法的の一つ団体になさるような御意思があるかどうか。なお私が先ほど御質問した標準価格制度あるいは投資問題等については、あなたの就任の際の抱負として新聞にはある程度載せられておるが、新聞紙上にはそれを発表することはできても、われわれ国会の通産委員会に対してはそれらの問題は発表できないというようなことであることは、これはまことに矛盾撞着するが、私は個人の御見解としてでもけつこうであるからおつしやつていただいた方が、今後の通産行政に対してわれわれが法案審議その他の常任委員会としての運営の上に好都合であるということを申し添えて、いま一度答弁を希望いたします。
  26. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 中小企業問題は私も多年民間におります間に、これは最も苦心をして来た問題です。ところでこれはなかなか解決の困難な問題で困つておるのであります。私就任の際にもひとつこの問題は微力を盡さなければいかぬと決心しておるのであります。第一の今御発言にもありました金融の面でございますね。これは最も必要なことで、ことに現在のような大体の金融政策でありますと、中小企業に一番しわが寄つて来ておるわけで非常に苦慮いたしております。これはある程度中小企業金融措置はできると思います。今各省の間に折衝研究中でありますが、必ずある程度までは実現できると考えております。  第二の商工会議所の問題ですが、民間商工会議所では、昨年でしたが商工会議所法が出まして、現在法的のものにはなつております。しかし現在の会議所というものは法的にもつと強化してもらいたい、それが必要だというのが会議所側意見でありまするが、まだ省としてはなかなかそれに反対意見もありますので、私就任商工会議所の問題はまだ事務当局と何も話し合つていないわけなので、これもしばらく答弁を保留いたしておきます。
  27. 今澄勇

    今澄委員 時間がちようど来ましたから、この程度にいたしますが、私は大臣に望むらくは、もう就任されて大分たつておるのに、こういつたいろいろな中小企業団体商工会議所の問題、これをどういうふうにさばいて団体的な措置をするか。あるいは今の採算あるいは投資の面における金融対策、いろいろな輸出対策等々の問題について、近く機会をあらためて一ぺん詳細な御方針を承りたい。本日は就任早々でございますので、敬意を表してこの程度で終ります、
  28. 小金義照

    小金委員長 次は風早八十二君。
  29. 風早八十二

    風早委員 私の質問時間は五分間と限られておりますからごく簡単に二点だけお尋ねいたしたい。  第一点は日米経済協力の問題でありますが、いわゆる日米経済協力、新特需といわれるものはまだそう実際に現われているものはたくさんあるとは考えられません。しかし今までにたとえば日立とスコツト大佐との新特需契約といわれる現地調達契約というようなものを見てみますと、結局日米経済協力のマーケツト氏その他が言われておつたこのコマーシヤル・ベースというものを貫徹するためには非常な低賃金賃金の切下げということが必要であるというよりも、これなしにはコマーシヤル・ベースというものは成り立たないというようなことがひとつ証拠立てられているじやないかとか思う。御承知のように日立の場合、労働者一人当り一時間当りの請負工賃というものはわずか四十八セントとなつておる。そのうち少くとも労賃を除いたまた林料費を除いた一切合財の費用を含めて少くとも四十セントはかかるというのが日立側の言い分であろうと思うのでありますが、そうなりますと実際の労賃としては労働者一人当り一時間当り八セントにしかならない。これが今大きな問題として出て来ておるわけです。こういう行き方がこれから続いてよいものかどうか、またこれに対して通産大臣はどういうお考えを特つておられるか、これをひとつまずお尋ねいたしたい。
  30. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の日立の数字はどういうことになつておるか存じません
  31. 風早八十二

    風早委員 新聞にでかでかと出ておる。
  32. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 それは私見ておりませんコマーシヤル・ベースで将来取扱つて行かれるのだ。現在海外での日本の見積り価格がほかの国よりも高くなつておる事実もあるのです。しかしこれをどういうふうに是正して行くかという問題になりますれば、日本賃金をさらに低賃金に特つてつてこの問題を解決するというようなことは、それは不可能なことで、おそらくだれも考えていないだろうと思う。そのほかの面で解決しなくちやいけない。そこに困難があるわけなんで、その一つ合理化、私はそのうち問題の低賃金制というようなことは全然考えておりません。不可能なことだと思う。
  33. 風早八十二

    風早委員 通産大臣は不可能と言われますが、実際そういうことになつておることは、また事実なんである。日立の労働者の場合には、団体交渉で一万五千円の要求を出して、これに対して会社はすでに一万三千円の回答をしておるわけです。ところがこの回答したあとで実際に契約のふたをあけてみると、それが事実は一時間当り四十八セントということになり、八セントしか労賃分は残らないという始末になつておるわけです。でありますが、そういう八セント、大体一箇月に直しますと約五千二、三百円前後になるわけです。まるで会社の回答から見ましても何分の一にしかならない、不可能と言われてもその不可能が現実なんです。これを今合現化によつて何すると通産大臣は言われますが、はたして合理化によつてこの低賃金問題を解決するという見通しがあるかどうか、今のお話合理化によるというだけで、その見通しについて、さらにお尋ねしておきたい。さらにこの調子で行ますと、アメリカは結局コマーシヤル・ベースというものを貫徹するためには、遂にはアメリカはただ材料を渡して、そうして日本にはただ労賃だけをかせがせる。日立の場合なんかはそれに近づいておりますけれども、そういうようなことになつて来やしないかということも考えられるわけです。それと見合つて、やはりそれを克服するための合理化というものをどういう方法でやられるか、その見通しをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  34. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私は日立の問題は研究していないのでありますが、私が言いますのは、日本産業全般を通じて現在よりも低賃金考えるという余裕はないということを申し上げておるのであります。今の日本貿易品の低物価あるいは輸出プラントの低物価ということは、それを解決するのに低賃金ということで解決することは不可能なことだということを申し上げるので、それでできなければしようがないことなんでありまして、その方法を考えるよりしかたがないのだと私は思うのであります。
  35. 風早八十二

    風早委員 この問題で時間をとつてしまうと、もう一つの問題の時間がなくなりますから、簡単にしますが、どうもお答えが納得行かない。不可能と言われても事実がそうなんです。私はそのためにわざわざ実例をあげたのです。これを全体として日米経済協力というものは実際上賃金を名目的にも、またもちろん実質的にも切り下げることなしにはやつて行かれない仕組であるということをあなたは認めておられないわけですね。つまり日米経済協力日本賃金は上る、こういうふうなお考えですね。われわれはそのことだけちよつと今伺つておきます。この点についてはまた次の機会にゆつくりお尋ねしますから、日米経済協力というものは賃金問題では一体どういう影響を与えるものかということですね。
  36. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私の所見では日米経済協力のために日本賃金が脅されることはないと信じております。
  37. 風早八十二

    風早委員 その問題は次にまわしまして、第二点は中日貿易の問題です。中日貿易については、幸いに新大臣は、今日第一回のこの席でごあいさつの中で、はつきりとこれなくしては、結局日本経済は成り立つて行かないということを考えておられることが明らかになつたと思うのです。この点ははなはだ喜ばしいことであると思うのであります。そこでこの中日貿易の問題を実際に打開して行くために、大臣はどういう方法を今とりつつあられるか。新聞で伝えられるところによりますと、通産当局としては、すでにこの問題について、つまり中日貿易の復活について司令部に対しても申入れを行うであろうというようなことも伝えられておるのでありますが、そういうような動きをすでに示しておられるのか、努力をしておられるのか、この点をお尋ねしたい。
  38. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 私はまだ司令部等に対して中共貿易の復興という問題で働きかけておることは全然ありません。またただいまのところそういう考えも持つておりません
  39. 風早八十二

    風早委員 中日貿易の問題は中日貿易が不当に禁止せられました直後から、毎回々々この委員会においてもわれわれはこの問題を出しております。しかしながら今まではこれはほとんど問題として取上げること自体が相手にされなかつた。ところが今日はいささか情勢がかわつたと思うのです。今度のマリク提案に基く朝鮮停戦協定が進むにつれまして、経済界にもいろいろ影響があるわけです。あるいはキヤンセルの問題も起つておるのですが、これに対してすでに業界からも今後は公然と中日貿易の復活ということについては要望が出て来ておるわけです。これは先ほども大臣も一部言つておられたのですが、その通りです。つまりこれは今日までこの委員会でも長い間ほとんど黙殺されて来たこの問題を再び取上げなければならないような、また取上げ得る情勢が出て来たということを示しておると思うのです。そういう意味でも少しこれは大局的な見地に立つて、新しい情勢に即応して、この問題に対して積極的な御意見を伺いたいのです。あなたは先ほど今澄小川委員質問に対しても、はつきり中日貿易というものは非常に日本に大事なものである、生命線であるとまで言われて、すでにあなた御自身認めておられるわけです。いやしくも大臣が私見として認められておるものであれば、これがまた全国民の要望でもあるとすれば、もう少しまじめに積極的にこの問題に対して何か努力があつてしかるべきものであると思うのですが、何もしておられないというのか、この点をお尋ねしたい。もし何もしておられないならば、それほどいう理由で何もされないのか、あなたは正しいと思つておられるのか、なぜ今何も努力をされないのか、その両方をひとつお答え願います。
  40. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 中日貿易を復興することは私は非常に望ましいことだと思うのです。しかし先刻申しましたように、通産省として中日貿易の復興に対して何か働きかけておるか、積極的に何かやつておるかということですが、それは何もやつておりません。またやるべき問題でないと考えておりますので、将来も私通産大臣として、そういう問題に積極的に働きかける意思は全然持つておりません
  41. 風早八十二

    風早委員 はなはだ驚くべき御答弁ですね。一体通産行政というものは何によつて成り立つておるか、小川委員が先ほどるる聞かれたのも、結局この問題であつたと思う。その本旨はここにあつたと思うのです。われわれも同様でありまして、この日本の今日の経済を復興させて行くために最も重要な点は貿易だということは、あなたも認められておる。しかも輸出貿易第一主義だ。これも認められておる。そしてその実除の打開策として、今日中日貿易というものがはつきり目の前にぶら下つておるわけです。すでに停戦問題が出てから後、中国から日本に対して発注があるわけです。鉄鉱石も石炭も送ろうと額まで示して来ておる。そういう中国との関係について、これを打開するために努力することが、これが通産行政なんです。それをおいてありはしない。他の中小工業の問題もインフレの問題も、合理化の問題も一切合財ここが活路になつておる。この問題について、大臣としてあるいは通産当局として、将来とも全然努力する意思がないと言われるのはまつたく驚くべき御答弁だと思います。通産大臣通産行政の担当者であるのか何の担当者であるのかわれわれ了解に苦しむところです。
  42. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 通産は通産省の所管でありますので、各国との通商協定、そういうものは現在もイギリスあるいはドイツなどと折衝をしておりますし、将来も平和條約後そういう問題がたびたび起つて来るでしよう。それはわれわれの所管であつて、われわれが努力しなくちやいけないことはもう当然のことで、そういう決意を持つておりますが中日貿易は現在まだ通産省がタツチする実情に達していないのです。将来中日貿易の復興は希望するし、それは必要だと思います。情勢が変化して、その問題に通産大臣が、あるいは通産省がタツチできるようになれば。それはもう進んで大いにタツチして解決して行く決心であります。現在ではそういう情勢に達していないから何もやつていないんだ、また、現在のままではやる意思がないんだということを申し上げたわけであります。
  43. 風早八十二

    風早委員 それでわかりました。
  44. 小金義照

    小金委員長 風早君、大体時間は約束よりもう倍以上もかかつておりますし、御意見の相違のように認めるから、その意見ならばあとにしていただきたいのです。
  45. 風早八十二

    風早委員 意見の相違だけじやないのです。
  46. 小金義照

    小金委員長 まだあなたに発言を許しておりませんよ。どうします。
  47. 風早八十二

    風早委員 これでおしまいだから……。
  48. 小金義照

    小金委員長 それではどうぞ……。
  49. 風早八十二

    風早委員 今の大臣最後のお答えでわかりました。将来とも努力する意思がないというお話であつたから私ははなはだ驚いた。しかしながら今まだその時期でないと言われるなら、それは一応大臣のお答えとして了承します。これは国民の利益ですからわれわれとしては大臣自身がやはり情勢を切り開いて行く、その積極的なフアクターにもなつていただきたいと思う。私どもは新大臣が今までの歴代の大臣より以上に国民に期待されておるという前提に立つて特に申し添えておきたい次第です。これで今日の私の質問は終ります。
  50. 小金義照

    小金委員長 次は電力料金の問題に入りますが、本日の会議の劈頭において電力料金改訂申請案査定方針といつたような新たな資料も配られましたので、本日の質問者の中には、これらの資料をお読みになつて後刻あらためてまた質問があるかと私は想像いたしますので、一応もし今日の質問者がその点保留されたならば、これを明日あるいは後刻許すことにいたしたいと存じます。質問は通告の順に従つてこれを許します。神田博君。
  51. 神田博

    ○神田委員 質問の前に一言お伺いいたしたいのでありますが、本日の私の質問につきましては、公益事業委員会に対しまして松本委員長出席も要求してありましたし、さらに安本長官、安本政務次官等につきましても要求しておつたはずでありますが、お見えになつておらないのでありまするが、これは何かの都合が悪かつたのか、徹底しなかつたのか、その点まず委員長から承りたいと思うのであります。
  52. 小金義照

    小金委員長 ただいま御要求の方々に連絡いたしております。まだ返事が参りませんそうですが、できるだけ早くお呼びいたします。
  53. 神田博

    ○神田委員 それでは私の要望をした政委の関係の方々がお見えにならぬようでありますが、時間の都合もありますので、順次質問をしておきまして、おいでにならなかつた方々につきましては、どなたか関係の方からお伝え願いまして、適当な時間に報告していただくか、あるいはまた私が時間を見まして再質問することにいたします。  そこでお尋ねいたしたとのでありますが、まず公益事業委員会委員長代理にお願いすることにいたします。電気料金の値上げの問題は、当委員会におきましてもすでにしばしば調査を進めておりまして、当委員会の意のあることも公益事業委員会の方には徹底しておるのではないかと思います。しかしながらどうも徹底を欠いているような次第もあるようでありまして、この際私の考えておることを申し上げまして質問を進めて参りたいと思います。電気料金が特に値上げというようなことになりますと、重大だということは、ただいま私が述べましたことく多言を要さないと思うのでありますが、今わが国におきまして、全国民関心を持つておりますことは、講和会議を早くしたいという問題、またりつぱな講和会議にしたいという問題だろうと思いますが、その次に電気の値上げの問題について一番心配しているのではないか、かように私は考えております。四つの島、尨大な人口、この将来のことを考えて参りますならば、電力が唯一の財源であるのでありまして、電力問題の取扱い、またこの解決ということになりまするならば、国民全体が快く納得し、また大いに協力できるように努力しなければならないことは、私はもとよりだと思います。しかもこの努力努力される人の努力感よりも、国民がひとしくその努力を認めることでなければならないのでありますが、松永委員長代理は、当委員会におきまして、しばしば電気事業は壊滅の状態である、崩壊の寸前であるというような言葉を使いまして、電気事業の改善強化に乗り出されておることを述べておられますが私どもの見ておりますことを申し上げますならば、戦争の惨禍は電気事業のみに限らず、国民生活なり、産業がそのような状態になつておるのでありまして、むしろ電気事業の方は被害状態が少いのではないかというくらいに考えておるのであります。松永さんは電気に専念された方でありますので、いわば生みの親であり、育ての親であると言われておるのでありますが、まあその意味におきましても、今日のような電力事情では不具者の状態でありまするから、いろいろ心配されることがあることは想像できるのでありまするが、今日電気事業のみがすべての国民、すべての産業を犠牲にして急速に立ち上るというようなことは許されないことではないか。すでに電力王国とか、あるいは電力貴族ができるというような批判を耳にしておるわけでありまして、これらのことは聞きのがしができないことと考えておるわけであります。私はかような意味におきまして、十分この電力の値上げ問題を調査いたしたいのでありますが、すでに数日来の新聞には、平均三割一分の値上げを公益事業委員会が決定をしておる、しかも九電力会社にそれぞれ指示を与えておる、こういうようなことが伝えられておるのでありまして、私は第一に、まずそのようなことがほんとうにあつたのかどうか承りたいと思つてつたのでありまするが、ただいま私どもの手元に電気料金改訂申請案査定方針昭和二十六年七月十八日公益事業委員会、こういうように銘打つた査定方針書が出ておりますので、それでは新聞に出ておることがなるほどほんとうなことかということを感じたわけであります。料金問題につきましては、当委員会といたしましてこの国会休会を利用して全国に調査に参つておるわけでありまして、私ども中国及び九州の一部を視察して参つたわけでありますが、国民すべてがこの値上げに反対しておる。国会も反対をしておれば、官庁もまた反対しておる。しかも絶対に一銭一厘も上げるなという意味の反対ちよつと乱暴だと思いまするが、程度の問題であることはもとよりでありますけれども、電気会社の申請しておるようなことはとうてい許されないというふうに私ども考えており、さらに三割を越えるようなことはあり得ないというように考えておつたわけであります。どうもこの査定方針を十分伺つて結論になろうかと思いますが、これは私どもは非常に心配にたえない。はたして三割一分の値上げであるといたしますならば、国民生活また産業界に及ばす影響はきわめて甚大なものがあるのではないか。すでに私どもの手元にも、本日電気料金値上げ反対九州協議会というような団体から申合せが来ております。さらにまた中国、四国、九州、北海道の全国四地区電力需要者協議会の名をもちまして痛烈な要望書が配られておるようなわけでございます。私どもこの問題につきましては非常に心配にたえないのでありまして、電気料金の適正な程度の値上げはやむを得ないと考えておるのでありますが、伝えられる三割一分ということに相なつて参りますならば、事態をこのまま進めて行くということに相なりますならば、きわめて重大なことが起るのではないか、すなわち予想されると申しましようか。すでにわれわれの耳に入つている一、二を申し上げましても、かような値上げを容認するならば徹底的に電力会社と争う、すなわち料金の不納同盟を結成してこれを供託して最後まで争う、国会も賛成しておらない、また関係官庁も賛成しておらない、すべての国民反対しているにかかわらず、公益事業委員会のみがこれを電力業者の意思によつてつて行くというようなことはとうていわれわれとしては納得できない、こういう強硬な反対意見も出ておるようでありまして、私ども当委員会といたしまして、またわれわれ委員といたしましてまことに深憂にたえないものがあるのでありますが、はたして三割一分になるのか、どの程度に相なるのであるか、電力料金の申請書に対しまして査定方針をお出しになつたようでありますから、ひとつ詳細に御説明願いたい。なおこの査定方針というものは、私ども今日まで耳にしておりますが、公益事業委員会の独善案であるのかどうなのか。安本なりあるいは通産省なり、あるいは物価庁なりがかかる査定方針を合意の上でおつくりになつたのであるか、これもひとつ十分納得の行くように御説明願いたい。この御説明を聞いてから逐次調査を進めて行きたい。どうも電力王国ができるのではないか、電力貴族が生れるのではないか。かくのごとく電力のみが国民を犠牲にし、すべての産業を犠牲にして急速に立ち上らなければならないか、この根本的なギヤツプと申しましようか、国民の心配と申しましようか、それらに対しましてこれが誤解であるならばその誤解を解かなければならないし、一体どの程度努力をされて参つたのであるか、これを十分ひとつ伺つてみたい、そして調査を進めてみたいと考えております。私の質問いたしましたことにつきましては松永委員長代理よりひとつ御説明願いまして、なおまた査定方針につきましては、詳細説明を伺いたいと思います。
  54. 松永安左エ門

    ○松永説明員 ただいま神田君から御質問のありましたことは、大体二つにわかれておるように思いますから御答弁申し上げておきます。  一つは、国民全体が非常に反対のようである、それを無視してきめたのではないかという御心配のようであります。決してそんなことはございません。もとよりまだ決定もしておりませんが、その間各種の御議論は承りもしなければならぬし、また公益事業委員会として考慮も加えなければなりませんけれども、すでにこの題問は公益事業者から料金改正について願出がありました。願出があつたことに関してその算定の基準をきめるために、公益事業委員会としましては公聴会を開いて、基準の方針を決定いたしまして、この料金算定基準の大体を決定することができたのであります。これが御承知通り、六月十六日の公益事業委員会の規則として発表されたものであります。これに基きまして各電力事業者は再び旧来の算定方法がその償却法においても、あるいは修繕の状態においても、また総括原価に織り込みます石炭の使い方につきましても、それぞれ具体的に陳述しました事由書をつけて、再び公益事業委員会に改正案が提出されたのでありますから、これをさらに検討いたしますとともに、またその前後国会に対しましてもたびたびお呼び出しを受けて御意見も承り、また算定基準の総則についても御説明申し上げ、また料金をある程度まで上げて行かなければ、電気事業の開発は容易でないのみならず、合理化の一歩手前においてかような計算を明朗にし、業者の責任を明らかにすることによつてのみ初めて公益事業者は国民に対し、消費者に対してそのサービスの義務を果し得られるものと考えまして、この査定に入りますとともに、各方面の意見を徴し、去る七月五日から十四日に至りまする間東京におきまして、東北区域におきまして、北海道におきまして、大阪に、九州に、四国に、北陸に、中国に、九箇所に委員はそれぞれ手をわけまして、事務当局とともに聽聞会を開いたのであります。中には一区域に数日間聴聞会を開きまして、電力料をどうしても上げなければ修繕並びに人件費の高騰、あるいは物価の値上り並びに旧来償却の困難でありし状態を是正することができないという理由を業者から一面聞きますとともに、またこれを消費する方面の御意見も十分承りました。また株主各位からも所によりまして十分株主の立場から自分たちの資本の擁護に関する御意見の陳述を聞きました。さようなことが五日より十四日に至ります間、各地区において数日連続して聽聞会を開きました結果、各委員は十六日に集まつて、それぞれその聴聞の記録もまとめ、討議いたしているのみならず、なお関係の方面に向つて委員が聽聞会に聞いて感じたところ、こうしたいというところについて、それぞれ各官庁との間も、その筋との間も目下交渉中でありまして、今日何割できまつた、あるいはこの通りするのだということをただいま御答弁いたしかねる次第でありまするが、神田氏の言われましたように、これら電気事業がひとりよくなるものであるばかりでなく、電気事業が多少ともその経理方面が改良され、あるいは銀行あたりからでも金が借りられるようになりますれば、そのために施設の改善等をはかつて国民各位の便益をはかることができるものと、その方面を考えまするとともに、一面はまたこれが需用家に反撥して需用家、消費者の不利益をかもすようなことのないように愼重に考えております。その考え方の大体は事務当局により、作成してお手元に差上げていると思いますから、これももう説明するまでもなく、どうぞごらん願いまして、その中にどうしてもふに落ちない点があるとすれば、その点は今日中川経理長も参つております。事務総長も参つておりますから、事務当局からも私からも十分に御説明を申し上げたいと思います。  それから次の御質問であつたと思いますのは、すでにお前方はそういうことを言うているが、各官庁の同意を得て言うているのであるか云々ということについては、いまだ同意を得て申し上げる段階には行つておりませんけれども、同意を得るべく努力していることだけは事実でございます。
  55. 神田博

    ○神田委員 もう少し具体的に申し上げまして御答弁願いたいと思います。大事な御答弁になることと考えておりますので、くどいようでありますがお尋ねするわけであります。説明の方はもう少し先にしていただきます。  私が第一番にお尋ねいたしました電気事業が壊滅の状態になつている、あるいは崩壊の一歩手前だ、そこでこれを十分建て直さなければならぬ、急いでやらなければならぬということは、松永委員長代理が当委員会でよく言われることであります。私は先ほど申し上げましたように、それは日本産業全体の問題であつて、ひとり電気事業のみではないのだ、見方によつては電気事業よりは戦争の惨禍というものは他の産業の方が多いのもある。一体松永委員長代理は電気事業のみが壊滅の状態にあつて国民生活なり他の産業けそうではないのだというようにお考えになつておられるかどうか、この基本的なところからお聞きしてひとつはつきりして参りませんと、いろいろ値上げの附帯的な問題に入りました場合に議論なり意見がわかれて来るのではないか。それで前提をなしておる電気事業そのものが他の産業と比べて一体どうなのか、ここが一番大事な問題だと私は思います。この点お答えがなかつたようでありますから、はつきりした詳細なお答えを願いたいと思います。
  56. 松永安左エ門

    ○松永説明員 ただいまのは御質問というよりむしろ私の意見をお求めかと思いますので、私の意見としては、日本国全体の産業がまだ十分回復していないことは、ひとり電気事業のみではないということは御意見と同様であります。
  57. 神田博

    ○神田委員 ただいまの松永委員長代理の御答弁は私の見方と同意見だということでありますので、たいへんけつこうなことだと考えております。そこでなおお尋ぬ申し上げたいのであります。先般来この委員会におきまして料金の値上げについては公益事業委員会としては一つのやり方があることはもとよりであるが、日本全体のすべてに影響することであるから政府と協調しよう、各関係官庁と十分な連絡をつけて納得して行くようにしてやりたい、また国会の御了解といいましようか、十分納得できるような方法をもつてやりたい、こういう意味の言葉を当時述べられておつたように考えておりますが、われわれ衆議院の通産委員会としてはこれから審議するわけでありますから、納得行くかどうかは今後の問題になりますが、ただいま各官庁間の関係については十分話が落ちておらぬ、こういうようなお答えのようにお聞きしたのでありますが、もしそうだといたしますならば、それは話がつくという前提でおやりになつたのであるか、話がつかなくても押し切るぞという意味でおやりになつたのでありますか。この査定方針を御決定になつて、すでに電力会社に通達した、こういうことになつたように私どもも聞いておりますので、はたしてそうだとすれば、ただいままで当委員会において御答弁されておつた説明と違うようであります。しかしこれが私の考え過ぎであり、これは査定方針がまだ未定稿なのであつて、こういう査定方針安本なり通産省当局、すなわち政府側と十分な連絡をとりたいということであり、また当通産委員会のわれわれに対しましても、これで納得させたい、こういう意味でつくつたということでありますならば、これは私の杞憂に終るわけでありますが、その辺のところをひとつはつきり御答弁願いたいと思います。
  58. 松永安左エ門

    ○松永説明員 大体神田さんのお話通りで、まだ何もきまつておりません。また各官庁ともその筋とも、あるいはこちらともよくお話を承つてきめなければならないと思いますし、聴聞会を開いて大体の腹をきめて行かなければならない次第であります。さような心構えで現在は進めておるのであります。
  59. 神田博

    ○神田委員 ただいまの松永委員長代理の御答弁によりまして、この電気料金改訂申請案の査定方針なるものの内容がわかり、私のお尋ねしたことが心配のことであつて、私どもの念願しておる方向に向いておるような意味の御答弁でありましたので、これは大いにそういうふうにおやりになつていただきたいことを申し上げておきます。  もう一つは、これは考え方によつてははなはだつまらぬことをお尋ねするようでありますが、しかしまた一面これは大事なことに相なろうかと考えておりますので、言葉のはしをとるという意味ではなくて申し上げておるわけでありますが、これもこの機会にはつきりお聞きすることが公益事業委員会の性格として、また委員長代理としても非常にけつこうなことじやないかと考えますので、お尋ねするわけであります。これはほかでもありませんが、私どもよく新聞等で見るのであります。また有力な方々からも耳にするのでありますが、電力料金の値上げ反対は、これはまさに愚論である、こういうことをよく委員長が方々で言われておるという話を聞いておる。これはなるほど電力料金値上げの程度いかんが問題であるわけでありまして、私どもも、適正な値上げは今日の電力事情としてやむを得ないというふうに考えておるのでありますが、委員長から出る言葉といいましようか、受ける感じといいましようか、新聞その他で見ておりますことから率直にお尋ねするのでありますが、どうも相当幅のあるところを上げることが必要であつて、それに反対するのが愚論だというように耳にするのでありまして、はなはだざつくばらんなことでありますが、かようなことも非常に電力料金値上げについて誤解を招く点が多々あるのではないかと考えておりますので、この点を明らかにしたいという意味で伺いたい。  それからもう一つは大事なことでございますが、この料金改訂申請案の査定方針で、一応電力の値上げというものをどの程度までの時期に押えているのか、これは今日開発の問題とも関連しておりますので、的確に伺うということは、無理があるだろうと思いますが、今回の改訂案は輿論の圧力によつて公益事業委員会、特に松永委員長代理は心にもない退却をしたのではないか、その次にさらに大幅な値上げが控えておるというように見られておるようでありますが、これらの点につきましても今日の段階で説明できることと思いますので、この点につきまして、特にこれは審議を進める上において必要だと思いますので、御答弁願いたいと思います。
  60. 松永安左エ門

    ○松永説明員 ただいまの御質問は料金改訂認可の時期をいつごろにするかという御質問のようであります。目下各官庁とも、あるいはその筋とも交渉をいたしておりますが、私どもの今日ごらんに入れましたものに基く、これに対する業者の書類がまだ出そろつておりませんので、予定を申し上げることは非常に困難でありますし、また業者から出ましたものにつきましても、そのまま認め得るかどうかも今日において断言することは困難でありますけれども、多分今日から明にかけて九会社の再々改訂案が出そろつて参ると思いますが、それによりまして適正であれば、すみやかにこれを認可する方針をきめなければならぬと思つております。その認可の方法については先刻神田君のお話通りで、最も愼重を期したいと思いますけれども、何分ともこういう問題を長く棚ざらしにして、いたずらに紛糾を重ねますことも、あまり賢明な政策ではなかろうかと思いますので、適当のときに各方面の御了解が得られましたならば、すみやかに改訂しなければならぬと思つております。認可は大体八月十日ごろからその効力を発するように手続を進めたいと考えて、ただいま事務局におきまして特に勉強しておられるところであります。
  61. 神田博

    ○神田委員 ただいまの御答弁で私のお尋ねしなかつたこともお答えになつたようでありますが、お尋ねしたととが一つ落ちておつたようであります。それはこれで当分値上げをしないのか、この次の値上げを考えておるのかどうかということであります。  それからさらにただいまの御答弁によりまして一つ疑問が出て来ましたことをお尋ねいたします。それはどういう疑問かと申しますと、ただいま私どもの手元に参りました料金認可申請案の査定方針というものは、これはまだ案で、関係官庁と相談をしてきめるのだ、当委員会にも十分説明してひとつ納得行くようにしてもらいたい、その努力をするんだという先様どの御答弁、それからただいまの御答弁の中に電力会社から今明日くらいに電気料金の改訂申請案が出て来る。そこでそれが適正なものであれば認可しようと思つておる、こういうことなんでありまするが、私が疑問を持ちますことは、この査定方針が未決定のうちに——先ほどの御答弁から私ども得ましたところによりますれば、この査定方針はまだ未決定と考えていいんじやないか。しかるに電力会社からは、今明日中に認可申請書が出て、それでよかつたら許可をしようと思うのだ。これがどうも少し私どもよくわからないことなんでありまするが、どちらがほんとうなのか。それは一体何に基いて認可申請書を出して来るのか。私ども今いただいておるこの査定方針に基いて認可申請書をお出しになつて来るのか。そういうことになりますと、これがきまらないのにそういうものをお出しになつて来る。そうすると、再々申請書が出て来るのだということでありますが、再々々申請書がまた必要になつて来るということも私どもには考えられるのでありまして、その点ひとつはつきりしたことを御答弁願いたいと思います。
  62. 松永安左エ門

    ○松永説明員 ただいま査定方針というものが未定稿であるにかかわらず、明日明後日出たものがすぐにそれできめ得られるように常識的に思わぬが、どうであるかという御説であつて、ごもつともであります。明日、明後日出ましたものが私どもの査定方針とも違つているようでありましたら、業者とまだまだ懇談を重ねにやらぬと思います。懇談というと語弊がありますけれども、何分役所といつても、極端な命令権よりはむしろ消費者と業者の利害錯綜した点、その調節をするところがどの辺にあるかということを判断する役所でありますから、この判断については、諸君御存じの通り各方面の御了解を得ますけれども、決定は何とか公益委員会でせにやなりませんが、それは業者の方でもなかなか議論が多いようであり、あるいは不満もあるようでありますから、何とかその辺に話合いをつけ、それから一般産業への迷惑もこの程度ならばよかろうかというところを押えてやりまするので、予定は十日ごろに発表と思うておりますけれども、あるいは少し遅れることも保しがたいと思うております。その間こちらともどちらともできるだけ連絡はとりまするけれども、これはただ該文書を持つでまわつて評議をするというようなことではらちが明かぬことは皆さんの常識でも御判断であろかと思うのであります。その辺は不肖でありまするけれども、何とぞわれわれの苦心を了とされて、あるときには決定し得られるように心からあたたかい御同情を願いたいと思います。  それからもう一つの問題につきまして、この問題はやる、やらぬということを私がなまいきに今日申し上げるというより、そういうことが、もう一回ということがあり得られるだろうという心持ちについてちよつと申し上げておきたいと思います。実は妙なりくつを申すようでありまするけれども、一体今度の料金値上げは電気事業の再建をはかるためには、すなわちロスの軽減をやり、サービスの改善をやり、それから同時にいろいろの方面から化学工業の方面あるいは民間の普通の需用の増進というのが非常に急激でありまして、これは何とか業者の奮発で切り抜けなければなりませんけれども、それとても第一の難関は、石炭などはとうてい安本あたりから言うて来ております割当は通産省は石炭の方面から言うと出したくないという議論、これはごもつともでありますけれども、ここに政務次官もおられますが、輸出は盛んにしたいという御注文、これはどうも輸出を盛んにするにはやはり電気でも石炭でもよけいにまわしてもらわなければ、電気は石炭なくしては今日は水力だけではとうていいかぬことも常識であります。通産省も二つのジレンマにかかつておられることと思うのであります。そうでなかつたら、ひとつ御答弁を願いたい。こういうむずかしい難関でありますから、とりあえずこの料金の問題も、当面のことを含んでおりますとともに、非常に未来の開発ということも含んでおります。この未来の開発は、なまいきなことを申すようでもりますけれども、何しろ日本は水力をもつて立つよりほかにないことは、私より皆さんの方が熱心に御主張になつているところであります。これはなかなかなまやさしい資本となまやさしい技術では困難であります。大きなダムをつくつて、そして今日のような小さい水路式のもので、渇水のときには石炭が倍も必要であるというようなことをやつておりましては、四千万トンあるいは四千五百万トン以上出すことは困難なこの日本にとつては、非常にむづかしい難問題をあてがわれるのであります。これはどうしても大きな電源開発に向つて進まねばなりません。そのために皆さんの御配慮で一億万円の只見川や態野川の開発調査費を頂戴しております。それから千五百万円の日本の包蔵水量の調査費を頂戴いたしております。合せて国家から公益委員会が頂戴しておりますものは一億一千五百万円というのがすべて大水力開発に対する準備金であります。これは今年中に使つてしまわなければなりませんものであり、かつ一億一千五百万円では足りないくらいの状態であります。足りなければ何とかくめんしてでも只見川、熊野川の開発は着手研究しなければならぬ状態であります。従いましてかかる大きな状態のときにおきましては、まず電気事業者の心構えというものをしつかりさせて、会社が苦しければあるいは償却金に金を出す、また償却金に税金がかかれば修繕費の方で逃げるというようなことでありましては、はなはだまじめになりません。さきにいろいろ会計法を発布し計算の明朗化をはかり、原価の幾分でも安くできるように、そうして大ダム水力の開発に向つて心構えをしつかり構えるように、ただいまいろいろの準備をいたしておりますが、その意味におきましての再算定基準方法によりますと、いかにも再評価というものが現在少いのであります。これは簡単に申し上げると、再評価しておりながら、五万円以上かかる火力はわずかに三千円というのが現在の再評価の値段に火力はなつている。水力は御承知通り十万円はかかる。あるいは八万円はかかるという状態であるにかかわらず、三万円を切れ込んでおるような状態であります。でありますから、かかる状態において日本の電力の再建をはかり、あるいは外資を導入するということは非常に困難であります。公益事業委員会みずから算定基準を示し、電力の合理的経営を指示し、大電源の開発をやるべきである、石炭はできるだけ使わぬようにすべきであるというようなことは、ある意味において公益事業委員会の自繩自縛でありまして、まことに言い出して困つておるわけであります。と申しますのは、私どもの言うたことが間違いでもなく、むしろ国民の皆さんを代表して私どもはその通りのことをしていると思いますけれども、公聴会に聞きましても、どこに行きましても、先刻神出君の言われるように、各種の産業、個々の農村、中小工業というものはいまだ十分な回復はしておりません。ここにおいて、電力がたとい国の産業基礎であり、日本に唯一の水源であり幅源であり、これをもつて国民経済を建て直すものであるということをいくら考えましても、現在の状態において再評価一〇〇%あるいは定率償却法であるとかいうようなことは、当議会においても、できるだけしたいということは申し上げたのでありますけれども、公聽会に聞き、その後皆さんのごく御老巧な、世間を御承知になつておる御意見を承るにつけて、なかなかそうは行かぬということを知つて参りました。しかしながら、これは委員長も私も同説でありますけれども、さりとて計算をごまかして償却を十分にせず、そうしてすぐに行き詰まるようなことをして、日本の水力を開発するというようなことを、日本だけで話が進んでも、世界の大きな目で見れば、要するにごまかし仕事であります。どうせあるときは、原価計算に織り込んで、そして償却を十分にして、日本の電力というものはただ食いつぶしではない、十分な配当ができなくても、一割でも一割五分でも、配当はわずかする。しかし今のところ資本金は非常にわずかであります。資本金はすでにアメリカあたりの状態に換算するとあるいは五千億近くになるのではないかと思います。それがようやく三千何百億の再評価である。その十分な再評価は今日することは無理だということになりますと、どうしても適当なときに外資の導入、または業者もただいまのところ五月一日の発足で足腰もまだ十分立つておらぬと思いますが、だんだん責任を感じて強くなつてくれると思いますから、その時分には自分たちの責任で十分納得の行くように、皆さん方に対しても、あるいは需用者に対しても、業者みずからが説明をし、責任を持つて、われわれに向つて、もう一人立ちでやりますというときが来ます場合に、それでもお前たちの償却は許さぬということはどうも言えないことであろう。従つてその時分には業者の言うことが道理であり、民間もまた、どうも電源開発のためにはやむを得ないとおぼしめした場合には、皆さんにまたあらためて御相談するときがあろうかと思います。今日私が、またやるとか、やらぬということはちよつと申し上げはばかる次第であります。ただ所感の一端を申し述べた次第でございます。
  63. 神田博

    ○神田委員 松永委員長代理の大雄弁を拝聴したわけですが、私ども詳細な内容の問題はあとでお聞きしたいと思いますが、今減価償却のお話が出ましたので、議論をするわけではありませんが、松永さんは財界から出られ、ことに電力を専門にやつておられたわけでありますが、たまたまただいま再評価のことをお話なさるので私も申し上げるわけであげますが、再評価のやり方が非常に少いから、電力事情が将来不安だという見方も、一応はごもつともと思います。しかし民間事業の再評価は、御承知のように自由にやつておる。しかも再評価するといつても、これは企業努力で償却をやつておる。この電力会社の再評価は、料金の値上げでやるから問題が起きているわけです。もちろん開発促進は国民の声でありますが、開発しない前に開発の金を料金に織り込むというふうに見えるので議論が出て来る。いかなる仕事でも、仕事をやらぬうちに料金をとつておる仕事はないと思う。ここに私は電力会社の今回の値上げ案に対して、国民から排撃された問題があるのじやないか、こんなふうに考えております。しかしただいまこれをもつと掘り下げた議論をして参りますと、時間の余裕もないわけであります。特にきようは、電気料金改訂申請案査定方針なるものをいただいたのでありますから、きようはこれをひとつ詳細御説明を伺いまして、そのあとでなお研究いたしまして調査を進めたい、かように考えておりますが、委員長はそのようにお諮り願いたいと思います。
  64. 小金義照

    小金委員長 皆さんにちよつとお諮りいたしますが、今神出委員の御指摘になりましたように、昭和二十六年七月十八日、公益事業委員会編纂といいますか、おつくりになりました電気料金改訂申請案査定方針というのがお手元に参つております。これについて中川経理長説明を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 小金義照

    小金委員長 それではさようとりはからいます。  電気料金改訂申請案査定方針について中川経理長説明を求めます。
  66. 中川哲郎

    ○中川説明員 それでは査定方針につきまして御説明申し上げます。この査定方針につきましては、結局におきまして数字と結びつくものでございますが、この方針に基きました試算を委員会に出しまして、なおこまかい計算を現在作業中でありますので、できました計数につきましては一両日御猶予願いたいと思うのであります。この文面につきまして説明をいたしたいと思います。  第一番は、総括原価の査定につきまして、一が役員報酬、この役員報酬は、会社案におきましては、おおむね会社の現在の役員の実在員につきまして一定の単価、すなわち常勤重役については年間九十万円というような基礎的な単価をもちまして原価をはじいておられるのでございますが、一応委員会といたしましては、各会社の現在員そのものをとるということは、現実の姿はさようでありましても、会社の大小、事業規模というようなものを的確に反映しているゆえんでないというように考えまして、役員につきましては、常勤と非常勤とをわけまして、常勤分につきましては、全体といたしまして現在員をもつて一応妥当と認めますが、個々の会社の配分につきましては、これを一定数、すなわち一社四人平均程度につきましては、固定的にいる役員である。その他の分につきましては、会社の規模によつて人員構成をかえるという行き方をとりまして原価をはじいたわけであります。  それから二番目の給料手当、これにつきましては、新会社発足当時の人員から、それぞれの年内の減少人員を会社側が見込みまして人員をきめまして、申請料金はいずれも現在におきまする電産の賃金ベースを基礎にしております。この点につきましては、委員会といたしましても、会社の現実事態からいたしまして、この基準賃金並びに各会社の見込みました年内の自然減耗人員というのは妥当であるというふうに認めまして、もつぱら基準外賃金合理化という点に重点を置きまして、各社の方で出しております基準外賃金につきましては、昨年度の実績を一つ基礎にいたしまして、半面、理想的な基準外賃金の標準というものは、基準賃金の二〇%をもつて基準外賃金の目安とすべきであるという理想値を置きまして、その折半値をもつてこの原価計算における当年度の基準外賃金の所要額、こういうふうに見込んだわけでございます。  それから賞与につきましては、いろいろ議論のある点でございますが、公益事業といたしまして、原価計算をきわめて嚴格にいたす関係上、一般会社のように、利潤についての余裕というものを見込んでおりません関係上、現行の二箇月の賞与という点については妥当なりという見地をとつておる次第でございます。  それから建設振替人件費につきましては、もともと建設従業人員は経常費からは除外して各社計上いたしておりますが、旧配電会社の分につきましては、それぞれ建設費に一部分振りかえるべき筋合いでございます。これは当初の会社案では、いろいろ振りかえの十分でなかつた会社もあつたわけでございますが、再度の申請の際に、それぞれ振りかえを計上いたして来ておりますので、会社案を認めるのが適当ではないかという見解でございます。  それから四番目の法定厚生費、この法定率の見方につきましては、会社と差異がございませんが一応この法定厚生費をはじきます基礎といたしましての給与手当額が乗じて参りますので、その程度の差異を圧縮せざるを得ないことになるわけでございます。  五の一般厚生費につきましては、会社案は基準賃金の七・五%、関西電力につきましては八・六%でございますが、これはいずれも昨年度の経費の監査の結果、一般厚生費中には、賃金に経理するのが適当であるというような科目もございましたために、かような経費をそこから差引きまして、そういうものを考慮いたしますと、基準賃金の六%をもつて妥当と認める、こういう見解で六%に査定いたしたわけであります。  退職給与金は、会社は大体基準賃金の一割程度の計上でありまして、妥当と認めるわけであります。  油脂類質及び用水料、これも各社がそれぞれ実際上の値上りを見込んで、年間の計画を出しておりますので、会社案を妥当と認めるわけでございます。  石炭費につきましては、消費トン数が、会社案は六百五十八万トン、全国平均炭価でありますが、四千五百八十五円、二十五年末ないし四月程度の購入炭価から見ますと、四〇%程度の上昇を計算いたしておるわけでありますが、委員会といたしましては、供給計画はすべて委員会が策定いたしました今年度の需給計画基礎にいたすという見解をとりまして、この供給計画に基きまして年間の消費トン数を六百五十万トン、電気需用分が六百十七万トン、委託発電分が三十三万トンという推算をいたしまして、この平均炭価につきましては、若干石炭地帶における購買の合理化等を認めまして、五%内外の圧縮をいたしたわけでございます。  それから燃油費につきましては、大体会社案を妥当と認めるわけでございます。  それから十番の運炭灰捨費、これは会社案の単価は二十五年度の実績の二割増しないし倍額ということでございますが、各社間で非常に差異がございますので、人件費の上昇率を二割、他の物件費の上昇を一割と見まして、二十五年度の実績の三割をもつて妥当と認めまして、近いうちに策定がえをいたそうと思うのであります。但し四国等は灰捨場の新設等もございまして、二・五倍の実績に対する割増しを認めることにいたしたわけでございます。  それから委託集金費は会社案通りを妥当と認めるわけです。  それから需用者指導費、これは二十五年度の実績に対しまして、会社案は一〇%ないし八〇%増加のほか、本年度においてサービスの強化運動費を加算しておるものがございまするが、昨年度の経費の監査等に照しまして、この費目のうちには、若干妥当を欠くものが混入しやすいということも見受けられますので、これをこまかく計算いたしまして、一般の需用開拓費は需要家数に比例するものといたしまして、電燈一、電力三という構成のもとに需用家数を整理いたしまして、それに今までの実験数を参酌いたしまして、年三十円の単価を乗じまして、それを基礎にいたしまして、その他擅用防止関係の費用というものを、擅用収入の三五%としてこれを計上して、査定をいたしたわけでございます。  養成費につきましては、会社案通りであります。  十四番目の研究費におきましては、会社案は二十五年度の実績に対し二割増ないし倍額の増加を認めるほか、経理業務の機械化等の試験的な研究施設費を加算いたしておりまするが、そもそも研究費につきましては、ある程度、電気事業は現在まで研究が非常に弱体だという点を考えまして、各地域の特性に応じた研究費を根本的に強化するという意味合いにおきまして、収入の約〇・三%程度を、各社別に計上するのが安当ではないかという意味合いで、研究費の増額査定をするのが妥当だ、こういう見解でございます。  十五の修繕費でございますが、これが一番問題の多かつた科目でございます。これにつきましては、委員会におきましても、この委当な数字を求めるのには相当苦心いたしておるわけでございますが、一応会社側におきまして、それぞれの工事計画に基いて昨年度の実績に対する値上りとか、あるいは修繕不足の回復というようなものを見込みまして計算いたしておりますが、委員会におきましては、地帯別の主要設備別の再建設費を一応算出いたして、これに過去における標準修繕の率というものを求めまして各社ごとに修繕費を算定することにいたしたのでございます。これにつきましては、すなわち昭和二十三度におきまする修繕費の設備別の建設費に対する修繕率が実績としてとられましたので、その年度におきままするものは、建設固定資産に対しまして、一・二八%程度の比率になつておりまするが、建設費支弁のものも入つておるというふうに見受けられますので、これを一というふうに置きかえまして、二十三年度の修繕費を総体において固定資産に対する一という比率のもとに、各水力、火力、送電、変電等の設備別の修繕率を求めまして、これに対して原価計算期間におきまする設備の最終設備額を求め、その率を乗じまして算定いたすことにいたしたのであります。  それから電球取賛費につきましては、各社のものがそれぞれ出ておりまするが、東京、北陸の二社が一般のものよりも高いという事情のもとに、この部分について査定を加えることにいたしたわけであります。  十七の特別費と申しまするのは、水利使用料その他地方税的なものでございますが、これも各社の申請案がまちまちでございますので、一応二十五年度の実績に対しまして、五〇%の増を見込むということを目標にいたしまして、各社一律な査定をいたしたわけであります。  固定資産税につきましては、地方財政委員会の通牒に大体きまつておるところに従いまして、再評価限度額から陳腐化資産を控除いたしたものの一・六%を計算いたしまして、計上するのが妥当と認めたわけであります。  それから諸費につきましては、二十五年度の実績に比較いたしまして一割ないし三五%の増加を各社が計上いたしておりますが、この諸費の中にはそれぞれ、いわゆる雑費というようなものの中には、過去の実績におきましては必ずしも経理の的確でないものもございますので、一応の尺度によつてこれを査定するということにいたしまして、消耗品費、被服費、旅費、委託手数料等は、実績とこれらの総額の各社の人員構成によつて按分がえをいたしまして、それの一割増という物価上昇率を見まして計上いたしたわけでございます。  雑費につきましては不適正な経費を除いた実績額だけを人件費の割合で計上いたすという方針が妥当ではないか、かように考えたわけであります。購入電力料におきましては、それぞれ各社が需給計画基礎にいたしまして、適宜経理をいたしておるのでございますが、需給計画委員会策定の本年度の年間計画にとることにいたしました結果、この購入電力料につきましても、相当需給計画に即した需給量に改訂をいたしまして、それぞれ会社案の見込みました単価を勘案査定いたしましたものを乗じてつくる、こういうことにいたしたわけであります。  委託発電費につきましては、本年度の初期の計画に即しまして、それぞれの発電電力量を査定いたしまして、各社の申請単価を乗じて計算がえをいたすことにいたしました。  二十二番目の減価償却につきましては、御案内の通り、再評価限度を、陳腐化資産を除きましたものの一〇〇%、それに定率ということで原案は出ておつたのでございますが、それは再評価限度の九〇%の償却にとどめる。そして償却金は定額法をもつて償却する。ただこの場合の定額法と申しますのは、税法の扱いにも認められております通り、再評価の基準といたしました取得時期より残存命数を計算いたしまして算定いたす方式でございまして、いわゆる法定年限を償却費として算定するという行き方でございませんで、残存年限内に定額法をもつて償却するという行き方の定額法償却によりたい、かように考えるものでございます。ただ九〇%といたしましたのは、各社の出しました陳腐化資産の内容につきまして、具体的にもう少し正確な調査をいたすのが妥当ではなかつたか、もともと電気事業の陳腐化というのは、ほとんどフル稼働しておる現状からさほど大きいものとは思われませんけれども、一応さような点を勘定に入れまして、九〇%が妥当ではないかというふうに釈解いたしたものでございます。また括孤内にありますような北海道、四国、中国及び九州というようなこの四地域は再評価の限度額の九〇%に再評価いたすということは、料金の実体からいたしまして、地域差の点よりいたしてやや無理がございますので、かような地区は七〇%にとどめてはいかがか、かように存ずるのであります。  それから支払いの利息につきましては、会社案は本年度の収支予想に基礎を置いてそれぞれ資金計画に基いて出しておりまするが、一応委員会といたしましては、五月一日現在における借入金の実額に、一年間の期中増加額を適宜査定いたしまして支払利息を精査いたしまして、これからさらに建設勘定への振りかえ分を控除いたしまして、所要額の査定をするという方針に基いて、査定いたしたのであります。  二十四の社債発行差金償却につきましては、会社によりまして、利子の計上あるいは償却年限に、三年あるいは五年という差がございますが、一律に七分、かつ五年で償却するというように、尺度によつてこれを算定するということにいたしました。  二十五の固定資産の除却費でございますが、これを二十五年度の実績に対しまして、各社それぞれの総価額を見ておるわけでございますが、除却費は、本来減価償却費で充当すべきものでございますが、除却損に相当する部分のみを見ることにいたしまして、二十五年度実績の三〇%を総額として、再評価額に対する各社の負債比率によつて、これを按分して、除却費を推算計上することが妥当ではないか、かようなりくつでございます。  それから雑損失につきましては、これもやはり二十五年度の実績に対してまちまちでございましたが、一応雑給的性質のもの及び臨時の損失と見られるものを除きまして、実績の約四六%程度が全体として妥当であるというふうに認めまして、実績をそれぞれ査定いたしまして、計上いたしたわけでございます。  それから仮払い修繕費の償却でございますが、これは特別改修勘定として七箇年償却として資産計上を認めておつたものでございまして、物価庁時代の料金改正におきましても、やむを得ざる経費として計上いたしておつたものでございまして、現在まだ継続中でございますので、この会社案通り計上することが妥当である、かように存じておるわけであります。  配当金につきましては、現在の資本金に対する一割の配当、これに対する法定準備金という点につきましては会社案通りでございます。  税金は同様会社案と差異はございません。  附帶事業費につきましてはほぼ会社案通りでございまして、地帶間の融通電力量は需給計画に即しまして供給量がかわりますに応じまして、地帶間の融通電力量も若干の量において差が生じましたとともに、料率におきましても値上げ率が小さくなりましただけは小さくするという方針のもとに圧縮いたしたわけでございます。  水力賦課金及び火力助成金は、会社間の協定は会社の申請の七割内外の値上げを元にいたしました調整金でございましたが、この値上げ率を低くしました場合にも、この程度の賦課調整金は妥当なるものという認定のもとに水力については一キロワツト三千五百円の水力賦課金、並びに火力調整金につきましては、各地平均いたしまして一円四十八銭程度の率が妥当であるという前提のもとにこれを認めることで計算をとつてみております。  三十四番目の建設営業関連費につきましては、会社案では計上しておりませんが、これは会計規則の建前からいたしまして、計上するのが妥当であるというふうに見まして、これも振りかえ計上させることが適当である、こういう見解で査定減を加えております。  その他の収入につきましては、これは今回の料金の値上げ等を会社が見込んで計上しておりましたものを値上げ倍率を低める意味においてそれぞれ査定いたしまして、収入控除を計算いたすことにいたしております。  それから二の販売電力量、以上計算いたしました総活原価を分担させます販売電力量につきましては、委員会の年間の需給計画に基きましてこれを推算して計算するという建前をとりました、会社側が全国平均二七・四%程度のロスを見込んでおりますに対しまして、委員会におきましては二六%のロスで計算をとるということで算定をいたしたわけであります。  以上の結果、大体現在まで計算いたしましたことを申し上げますと、給料手当関係で約九億円の削減でございます。石炭関係で二十億円、需用者指導費につきまして五億円程度、修繕費におきまして会社案が二百十億円計上いたしましたものを百六十億程度、すなわち四十七、八億円の査定ができようかと思います。それから特別費という科目におきまして五億円程度の査定、減価償却費におきまして会社の申請が二百五十億円でございましたものが百数億円、約百五十億円の査定減を見るわけでございます。その他小さい点を合せまして全体で会社の申請が総額千三百億円程度でございます。申請額で千三百九十六億という総括原価がございましたものを約二百六十億程度の査定減がいたされるのでございまして、総原価額といたしまして、九社通じまして一千五十億円内外という計数に一応なるようでございます。その結果本年度の現行料金におきまする見込み単価と比較いたしまして、先ほどお話が出ましたように約全体で三割一分内外の値上げ率、こういうことに推算がつくわけでございます。一応こういつた方針に基きまして、こまかい計数の整理を現在いたしております。いずれできましたらぜひ一両日中にまた御報告申し上げたいと思います。
  67. 神田博

    ○神田委員 公益事業委員会経理長の料金改訂申請案の査定方針説明を大体承知いたしたのでありますが、これだけではちよつとわかりにくい点もあるようでありまして、ことに計数の関係になりますので、項目別会社案と、それから公益事業委員会の査定方針によるとこうなるということを刷りものにして至急お配りを願いたい。明日の午後一時の委員会にはぜひひとつそれを頂戴できるようにいたしたいと思いますが、間に合いますか、委員長からお聞き願いたいと思います。
  68. 小金義照

    小金委員長 間に合いますね。——それではさようにお願いいたします。
  69. 神田博

    ○神田委員 間に合うようでありまするから、それを頂戴いたしますことと、本日はこの説明をただいまお聞きしたばかりでありますから、よく私どもも内容を調査してみたいと思います。そこで本日はこの程度にしていただきまして、明日は午後一時から再開するようにいたされまして、今要求いたしました資料をいただく。同時に安本物価庁の査定方針に関する意見を明日拝聴したい。  なおもう一つ本料金改訂につきましては、自由党の党議といいましようか、先般新聞等によりましても御案内のように、増田幹事長、吉武政務調査会長が、公益事業委員長の松本氏にお会いになつておられますようで、二割というような値上げが出ておるようであります。新聞ではどうもはなはだ面目もないようなことが出ておりますが、はたしてさようなことがあるかどうか、それはよくわかりません。非常にまじめな意図があるように私ども見ております。有力な料金改訂の参考になるものと考えておりますので、明日は自由党の政調会からもどなたかこれを担当した方においでを願つて、今回の料金改訂の自由党の決定いたした結論説明していただき、そうしてそれにつきまして、公益事業委員会の側から弁明といいましようか、説明をしていただきたい。その後に私どもの質問調査を続行して行きたい、こういうふうに考えております。以上お諮り願いまして、本日はこの程度で散会願いたいと思います。
  70. 小金義照

    小金委員長 お諮りいたします。今神田委員からお聞き及びの通りの動議と申しますか、申出がありましたが、皆さんその通りとりはからうことに御異議がございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それでは明日午後一時より本委員会を開きまして、今神田君の発言された通りに議事を進めて参りたいと思います。  本日はこの程度にて散会いたします。御苦労さまでございました。     午後四時十五分散会