○中川
説明員 それでは査定
方針につきまして御
説明申し上げます。この査定
方針につきましては、結局におきまして数字と結びつくものでございますが、この
方針に基きました試算を
委員会に出しまして、なおこまかい計算を現在作業中でありますので、できました計数につきましては一両日御猶予願いたいと思うのであります。この文面につきまして
説明をいたしたいと思います。
第一番は、総括原価の査定につきまして、一が役員報酬、この役員報酬は、会社案におきましては、おおむね会社の現在の役員の実在員につきまして一定の単価、すなわち常勤重役については年間九十万円というような
基礎的な単価をもちまして原価をはじいておられるのでございますが、一応
委員会といたしましては、各会社の現在員そのものをとるということは、
現実の姿はさようでありましても、会社の大小、事業
規模というようなものを的確に反映しているゆえんでないというように
考えまして、役員につきましては、常勤と非常勤とをわけまして、常勤分につきましては、全体といたしまして現在員をも
つて一応妥当と認めますが、個々の会社の配分につきましては、これを一定数、すなわち一社四人平均
程度につきましては、固定的にいる役員である。その他の分につきましては、会社の
規模によ
つて人員構成をかえるという行き方をとりまして原価をはじいたわけであります。
それから二番目の給料手当、これにつきましては、新会社発足当時の人員から、それぞれの年内の減少人員を会社側が見込みまして人員をきめまして、申請料金はいずれも現在におきまする電産の
賃金ベースを
基礎にしております。この点につきましては、
委員会といたしましても、会社の
現実の
事態からいたしまして、この基準
賃金並びに各会社の見込みました年内の自然減耗人員というのは妥当であるというふうに認めまして、もつぱら基準外
賃金の
合理化という点に重点を置きまして、各社の方で出しております基準外
賃金につきましては、昨
年度の実績を
一つの
基礎にいたしまして、半面、理想的な基準外
賃金の標準というものは、基準
賃金の二〇%をも
つて基準外
賃金の目安とすべきであるという理想値を置きまして、その折半値をも
つてこの原価計算における当
年度の基準外
賃金の所要額、こういうふうに見込んだわけでございます。
それから賞与につきましては、いろいろ議論のある点でございますが、公益事業といたしまして、原価計算をきわめて嚴格にいたす関係上、一般会社のように、
利潤についての余裕というものを見込んでおりま
せん関係上、現行の二箇月の賞与という点については妥当なりという見地をと
つておる次第でございます。
それから建設振替人件費につきましては、もともと建設従業人員は経常費からは除外して各社計上いたしておりますが、旧配電会社の分につきましては、それぞれ建設費に一部分振りかえるべき筋合いでございます。これは当初の会社案では、いろいろ振りかえの十分でなか
つた会社もあ
つたわけでございますが、再度の申請の際に、それぞれ振りかえを計上いたして来ておりますので、会社案を認めるのが適当ではないかという
見解でございます。
それから四番目の法定厚生費、この法定率の
見方につきましては、会社と差異がございま
せんが一応この法定厚生費をはじきます
基礎といたしましての給与手当額が乗じて参りますので、その
程度の差異を圧縮せざるを得ないことになるわけでございます。
五の一般厚生費につきましては、会社案は基準
賃金の七・五%、関西電力につきましては八・六%でございますが、これはいずれも昨
年度の経費の監査の結果、一般厚生費中には、
賃金に経理するのが適当であるというような科目もございましたために、かような経費をそこから差引きまして、そういうものを考慮いたしますと、基準
賃金の六%をも
つて妥当と認める、こういう
見解で六%に査定いたしたわけであります。
退職給与金は、会社は大体基準
賃金の一割
程度の計上でありまして、妥当と認めるわけであります。
油脂類質及び用水料、これも各社がそれぞれ実際上の値上りを見込んで、年間の
計画を出しておりますので、会社案を妥当と認めるわけでございます。
石炭費につきましては、消費トン数が、会社案は六百五十八万トン、全国平均炭価でありますが、四千五百八十五円、二十五年末ないし四月
程度の購入炭価から見ますと、四〇%
程度の上昇を計算いたしておるわけでありますが、
委員会といたしましては、供給
計画はすべて
委員会が策定いたしました今
年度の需給
計画を
基礎にいたすという
見解をとりまして、この供給
計画に基きまして年間の消費トン数を六百五十万トン、電気需用分が六百十七万トン、委託発電分が三十三万トンという推算をいたしまして、この平均炭価につきましては、若干
石炭地帶における購買の
合理化等を認めまして、五%内外の圧縮をいたしたわけでございます。
それから燃油費につきましては、大体会社案を妥当と認めるわけでございます。
それから十番の運炭灰捨費、これは会社案の単価は二十五
年度の実績の二割増しないし倍額ということでございますが、各社間で非常に差異がございますので、人件費の上昇率を二割、他の物件費の上昇を一割と見まして、二十五
年度の実績の三割をも
つて妥当と認めまして、近いうちに策定がえをいたそうと思うのであります。但し四国等は灰捨場の新設等もございまして、二・五倍の実績に対する割増しを認めることにいたしたわけでございます。
それから委託集金費は会社案
通りを妥当と認めるわけです。
それから需用者指導費、これは二十五
年度の実績に対しまして、会社案は一〇%ないし八〇%増加のほか、本
年度においてサービスの強化運動費を加算しておるものがございまするが、昨
年度の経費の監査等に照しまして、この費目のうちには、若干妥当を欠くものが混入しやすいということも見受けられますので、これをこまかく計算いたしまして、一般の需用開拓費は需要家数に比例するものといたしまして、電燈一、電力三という構成のもとに需用家数を整理いたしまして、それに今までの実験数を参酌いたしまして、年三十円の単価を乗じまして、それを
基礎にいたしまして、その他擅用防止関係の費用というものを、擅用収入の三五%としてこれを計上して、査定をいたしたわけでございます。
養成費につきましては、会社案
通りであります。
十四番目の研究費におきましては、会社案は二十五
年度の実績に対し二割増ないし倍額の増加を認めるほか、経理業務の機械化等の試験的な研究施設費を加算いたしておりまするが、そもそも研究費につきましては、ある
程度、電気事業は現在まで研究が非常に弱体だという点を
考えまして、各地域の特性に応じた研究費を
根本的に強化するという意味合いにおきまして、収入の約〇・三%
程度を、各社別に計上するのが安当ではないかという意味合いで、研究費の増額査定をするのが妥当だ、こういう
見解でございます。
十五の修繕費でございますが、これが一番問題の多か
つた科目でございます。これにつきましては、
委員会におきましても、この委当な数字を求めるのには
相当苦心いたしておるわけでございますが、一応会社側におきまして、それぞれの工事
計画に基いて昨
年度の実績に対する値上りとか、あるいは修繕不足の回復というようなものを見込みまして計算いたしておりますが、
委員会におきましては、地帯別の主要設備別の再建設費を一応算出いたして、これに過去における標準修繕の率というものを求めまして各社ごとに修繕費を算定することにいたしたのでございます。これにつきましては、すなわち
昭和二十三度におきまする修繕費の設備別の建設費に対する修繕率が実績としてとられましたので、その
年度におきままするものは、建設固定資産に対しまして、一・二八%
程度の比率にな
つておりまするが、建設費支弁のものも入
つておるというふうに見受けられますので、これを一というふうに置きかえまして、二十三
年度の修繕費を総体において固定資産に対する一という比率のもとに、各水力、火力、送電、変電等の設備別の修繕率を求めまして、これに対して原価計算期間におきまする設備の最終設備額を求め、その率を乗じまして算定いたすことにいたしたのであります。
それから電球取賛費につきましては、各社のものがそれぞれ出ておりまするが、東京、北陸の二社が一般のものよりも高いという事情のもとに、この部分について査定を加えることにいたしたわけであります。
十七の特別費と申しまするのは、水利使用料その他地方税的なものでございますが、これも各社の申請案がまちまちでございますので、一応二十五
年度の実績に対しまして、五〇%の増を見込むということを目標にいたしまして、各社一律な査定をいたしたわけであります。
固定資産税につきましては、地方財政
委員会の通牒に大体きま
つておるところに従いまして、再評価限度額から陳腐化資産を控除いたしたものの一・六%を計算いたしまして、計上するのが妥当と認めたわけであります。
それから諸費につきましては、二十五
年度の実績に比較いたしまして一割ないし三五%の増加を各社が計上いたしておりますが、この諸費の中にはそれぞれ、いわゆる雑費というようなものの中には、過去の実績におきましては必ずしも経理の的確でないものもございますので、一応の尺度によ
つてこれを査定するということにいたしまして、消耗品費、被服費、旅費、委託手数料等は、実績とこれらの総額の各社の人員構成によ
つて按分がえをいたしまして、それの一割増という
物価上昇率を見まして計上いたしたわけでございます。
雑費につきましては不適正な経費を除いた実績額だけを人件費の割合で計上いたすという
方針が妥当ではないか、かように
考えたわけであります。購入電力料におきましては、それぞれ各社が需給
計画を
基礎にいたしまして、適宜経理をいたしておるのでございますが、需給
計画を
委員会策定の本
年度の年間
計画にとることにいたしました結果、この購入電力料につきましても、
相当需給
計画に即した需給量に改訂をいたしまして、それぞれ会社案の見込みました単価を勘案査定いたしましたものを乗じてつくる、こういうことにいたしたわけであります。
委託発電費につきましては、本
年度の初期の
計画に即しまして、それぞれの発電電力量を査定いたしまして、各社の申請単価を乗じて計算がえをいたすことにいたしました。
二十二番目の減価償却につきましては、御案内の
通り、再評価限度を、陳腐化資産を除きましたものの一〇〇%、それに定率ということで原案は出てお
つたのでございますが、それは再評価限度の九〇%の償却にとどめる。そして償却金は定額法をも
つて償却する。ただこの場合の定額法と申しますのは、税法の扱いにも認められております
通り、再評価の基準といたしました取得時期より残存命数を計算いたしまして算定いたす方式でございまして、いわゆる法定年限を償却費として算定するという行き方でございま
せんで、残存年限内に定額法をも
つて償却するという行き方の定額法償却によりたい、かように
考えるものでございます。ただ九〇%といたしましたのは、各社の出しました陳腐化資産の内容につきまして、具体的にもう少し正確な
調査をいたすのが妥当ではなか
つたか、もともと電気事業の陳腐化というのは、ほとんどフル稼働しておる
現状からさほど大きいものとは思われま
せんけれども、一応さような点を勘定に入れまして、九〇%が妥当ではないかというふうに釈解いたしたものでございます。また括孤内にありますような北海道、四国、中国及び九州というようなこの四地域は再評価の限度額の九〇%に再評価いたすということは、料金の実体からいたしまして、地域差の点よりいたしてやや無理がございますので、かような地区は七〇%にとどめてはいかがか、かように存ずるのであります。
それから支払いの利息につきましては、会社案は本
年度の収支予想に
基礎を置いてそれぞれ
資金計画に基いて出しておりまするが、一応
委員会といたしましては、五月一日現在における借入金の実額に、一年間の期中増加額を適宜査定いたしまして支払利息を精査いたしまして、これからさらに建設勘定への振りかえ分を控除いたしまして、所要額の査定をするという
方針に基いて、査定いたしたのであります。
二十四の社債発行差金償却につきましては、会社によりまして、利子の計上あるいは償却年限に、三年あるいは五年という差がございますが、一律に七分、かつ五年で償却するというように、尺度によ
つてこれを算定するということにいたしました。
二十五の固定資産の除却費でございますが、これを二十五
年度の実績に対しまして、各社それぞれの総価額を見ておるわけでございますが、除却費は、本来減価償却費で充当すべきものでございますが、除却損に
相当する部分のみを見ることにいたしまして、二十五
年度実績の三〇%を総額として、再評価額に対する各社の負債比率によ
つて、これを按分して、除却費を推算計上することが妥当ではないか、かようなりくつでございます。
それから雑損失につきましては、これもやはり二十五
年度の実績に対してまちまちでございましたが、一応雑給的性質のもの及び臨時の損失と見られるものを除きまして、実績の約四六%
程度が全体として妥当であるというふうに認めまして、実績をそれぞれ査定いたしまして、計上いたしたわけでございます。
それから仮払い修繕費の償却でございますが、これは特別改修勘定として七箇年償却として資産計上を認めてお
つたものでございまして、
物価庁時代の料金改正におきましても、やむを得ざる経費として計上いたしてお
つたものでございまして、現在まだ継続中でございますので、この会社案
通り計上することが妥当である、かように存じておるわけであります。
配当金につきましては、現在の資本金に対する一割の配当、これに対する法定準備金という点につきましては会社案
通りでございます。
税金は同様会社案と差異はございま
せん。
附帶事業費につきましてはほぼ会社案
通りでございまして、地帶間の融通電力量は需給
計画に即しまして供給量がかわりますに応じまして、地帶間の融通電力量も若干の量において差が生じましたとともに、料率におきましても値上げ率が小さくなりましただけは小さくするという
方針のもとに圧縮いたしたわけでございます。
水力賦課金及び火力助成金は、会社間の協定は会社の申請の七割内外の値上げを元にいたしました調整金でございましたが、この値上げ率を低くしました場合にも、この
程度の賦課調整金は妥当なるものという認定のもとに水力については一キロワツト三千五百円の水力賦課金、並びに火力調整金につきましては、各地平均いたしまして一円四十八銭
程度の率が妥当であるという前提のもとにこれを認めることで計算をと
つてみております。
三十四番目の建設営業関連費につきましては、会社案では計上しておりま
せんが、これは会計規則の建前からいたしまして、計上するのが妥当であるというふうに見まして、これも振りかえ計上させることが適当である、こういう
見解で査定減を加えております。
その他の収入につきましては、これは今回の料金の値上げ等を会社が見込んで計上しておりましたものを値上げ倍率を低める意味においてそれぞれ査定いたしまして、収入控除を計算いたすことにいたしております。
それから二の販売電力量、以上計算いたしました総活原価を分担させます販売電力量につきましては、
委員会の年間の需給
計画に基きましてこれを推算して計算するという建前をとりました、会社側が全国平均二七・四%
程度のロスを見込んでおりますに対しまして、
委員会におきましては二六%のロスで計算をとるということで算定をいたしたわけであります。
以上の結果、大体現在まで計算いたしましたことを申し上げますと、給料手当関係で約九億円の削減でございます。
石炭関係で二十億円、需用者指導費につきまして五億円
程度、修繕費におきまして会社案が二百十億円計上いたしましたものを百六十億
程度、すなわち四十七、八億円の査定ができようかと思います。それから特別費という科目におきまして五億円
程度の査定、減価償却費におきまして会社の申請が二百五十億円でございましたものが百数億円、約百五十億円の査定減を見るわけでございます。その他小さい点を合せまして全体で会社の申請が総額千三百億円
程度でございます。申請額で千三百九十六億という総括原価がございましたものを約二百六十億
程度の査定減がいたされるのでございまして、総原価額といたしまして、九社通じまして一千五十億円内外という計数に一応なるようでございます。その結果本
年度の現行料金におきまする見込み単価と比較いたしまして、先ほど
お話が出ましたように約全体で三割一分内外の値上げ率、こういうことに推算がつくわけでございます。一応こうい
つた方針に基きまして、こまかい計数の整理を現在いたしております。いずれできましたらぜひ一両日中にまた御報告申し上げたいと思います。