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1951-06-19 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月十九日(火曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    福田  一君       南  好雄君    村上  勇君       金塚  孝君    河野 金昇君       佐伯 宗義君    風早八十二君  委員外出席者         公益事業委員会         委員     松永安左エ門君         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         公益事業委員会         経理長     中川 哲郎君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君         経済安定事務官         (物価庁第三部         動力課長)   藤田  勇君         参  考  人         (東京電力株式         会社社長)   安蔵 彌輔君         参  考  人         (中部電力株式         会社社長)   井上 五郎君         参  考  人         (九州電力株式         会社社長)   佐藤篤二郎君         参  考  人         (関西電力株式         会社社長)   太田垣士郎君         参  考  人         (東北電力株式         会社社長)  堀   豁君         参  考  人         (北陸電力株式         会社社長)  山本 善次君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 大石 主計君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  電気料金問題に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  本日は去る十一日に引続きまして、電気料金問題に関する件について、調査を進めます。  本件の調査につきましては、前会と同様、参考人として東京電力株式会社社長安蔵輔君関西電力株式会社社長太田垣士郎君、中部電力株式会社社長井上五郎君、東北電力株式会社社長堀豁君北陸電力株式会社社長山本善次君、九州電力株式会社社長佐藤篤二郎君、この方々に御意見を承ることにいたしたいと存じますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと存じます。それではそのように決定いたしました。  この際参考人各位に対しまして、この席より当委員会を代表いたしまして委員長から一言ごあいさつを申し上げます。昨今電力業界は非常に多忙をきわめておる折から、参考人各位におかれましては、まげて本委員会のためにこの席に御出席くださいましたことに対して、厚く御礼を申し上げます。どうか忌憚のない御意見を御発表くださいますよう、切にお願いをいたします。  なお衆議院規則によりまして、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになつておりますので、念のため申し上げておきます。  それではただちに質疑に入りますが、理事会申合せによりまして、おおむね三十分を標準として質疑をお許しいたします。質疑は通告の順にこれを許します。河野金昇君。
  4. 河野金昇

    河野(金)委員 電気事業の再編成のねらいというものは、独禁法とか集排法にひつかかるというだけでなしに、責任態勢を確立して、豊富低廉な電力を供給するというのが、その自的であつたはずだと思います。しかるに新しい九つ会社ができましたが、依然として、これは九つ独占事業であるのであります。この九つ独占電気会社ができるまで、日発配電会社の両方から人事の問題でどろ試合を演じて、ようやく発足しただけであります。発足するや、どういう合理化が行われたということも何も聞いておりませんが、発足早々伝えられるところによると、七割前後の電気料金値上げということであつたのであります。このことに対しましては、電気会社に対するところ国民の憤り、並びに公益事業委員会公益事業たるの本質を忘れて、一方的な電力会社の要求のみをいれられようとしておるがごとき観を呈しておりまして、電力会社並びに公益事業委員に対しましては、産業界はもちろん、国民一般非常な憤りの念をもつて見守つておるのであります。私たちも政策的に見ましても、再出発早早に大幅の値上げをするということは、これは非常にまずいことだと思うのでありますが、こういう大幅に値上げをされようとすることが、よいことであるとお考えになつておるかどうか。これは公益事業委員のお方、電力会社、並びに政府当局——大臣がきようはおりませんけれども、たといポ政令によつて政府とは関係ない、あるいは国会関係ないとおつしやるかもしれませんけれども政府当局としても、関係官庁としても、これは物価体系の上からいつても重大な問題であろうと思います。この突如とした一方的な値上げに対して、どうか公益事業委員会側電力会社側政府側から、われわれの納得の行くような説明が願えれば仕合せだと思います。
  5. 松永安左エ門

    松永説明員 ただいまの御質問の趣意は、大体においてごもつとも考えます。公益事業委員会に対しまして、新会社出発以前、すなわち四月十何日かに、各社より値上げ試案が出ております。その理由とするところをつぶさに検討いたしておりまするうちに、再び五月になつて会社責任者がそれぞれおできになつて、多少の修正を加えられて、一応試案の形で出て参りましたので、これに対して世間から、出発早々値上げによつて自分たちの不合理あるいは不行届ををカバーするのではないかというふうな考え方が、私どもの耳にも入つておることは当然でありまするし、またごもつともな次第と思う点も多々あります。公益事業委員会におきましては、しばらく世間に耳を傾けるとともに、また業者の四月以来御提出になり、さらに五月になつて提出になつた案につきまして、その適当なりやいなやを検討し、これを適正なる計算の基礎となすべき必要があることを感じましたので、大体の計算基準をつくりまして、各方面ともその基準が適切でありやいなやを一通り検討しました上に、さらにこれを公聴会に付しまして、去る十一日の公聴会をもつて大体検討を終つたのでありますが、委員会はさらに、この料金値上げについての適正なる、かつ電力事業の発達をはかり、あわせて消費面の利益をできるだけ確保することに、計算基準を置くべきものであるということを一条加えまして、他の大体につきましては、料金値上げ原価主義による適当なる評価のし直しをする。これによつて償却を適正にするということをきめまして、同時に公益事業として出発しおした折に、多分四月の初めと思つておりますが、会計規程を設定いたしまして、そしてこの償却に属する固定資本処理方法、それから経費に属する修繕費処理方法など、相当綿密に会計規程を設けまして、五月一日以後は、この経理法によつて各社は処理さるべきことをあらかじめ通達いたしまして、この会計規程に基き、十一日に公聴会を終えまして十六日に決定、官報によつて公布されました基準法に基き、新たに提出されるものにつきましてよく検討した上に、これを適当な機関においてあまねく天下に公布しまして、そして公聴会を開き、各利害関係者の参加を求め、十分の意見の開陳を願う方法をとりました。のみならず、すべて各社独自の料金値上げの議案でありますがため、その地区においてなるべく公聴会を開いて、公益事業委員会としても、その討議に親しく参加いたしまして、後に公正にきめる建前でおります。従いまして、右お話なつたようなことに対しての危惧はもとよりでありますけれども各社提出されるうちに、この原価に基かざる多分の修繕費を含んでいる場合、あるいは経費を含んでいる場合は、これを適当に削除すべきものは削除すべきであるという信念を持つておるのですが、これはすべて公聴会なり、あるいは今日親しくそういうことについて皆さんの御意見を承ることができますれば、十分御意見を承つて善処したいと思つております。所感を申し述べておきます。
  6. 首藤新八

    首藤説明員 工業生産面を担当しております通産省といたしましては、今回の電力値上げに対しては、重大なる関心を持つておるものであります。ことに日米経済協力の推進という現段階におきまして、できる限りインフレを抑制しなければならぬ基本的条件にかんがみた場合、一層この値上げ案に対しては、関心を深くいたしておるのであります。しかしながら当面日本産業の伸張のために、最も大きなネツクとなつておりまするものは、言うまでもなく電力であります。電力をできる限り急速に増強しなければならぬということは議論の永地はないと考えておるのであります。そこで今回電力の再編成を動機といたしまして、この際急速に経営合理化あるいは経営基盤の確立等々に対するところの対策をとられるということは、これまた当然の措置だと考えておるのでありまするが、ただしかしこの値上げの率をどういう程度に決定するか、会社側は七割程度を主張しておるようでありまするが、もしこれを実行いたしますれば、産業に及ぼす影響はきわめて重大と相なつて参るのであります。従つてできる限り合理化その他の面に重点をおいて、値上げ率は、必要ではありますが、できる限り低率に決定していただきたい。これは率直に申し述べて通産省意見であります。
  7. 安蔵彌輔

    ○安藏参考人 私東京電力会社社長安蔵でございます。私ども東京電力会社を引受けまして、突如として値上げをしなければならないということを公益事業委員会の方にお願いすることにいたしましたことは、まことに私自身としても心苦しい次第でございます。何分にも電気の民生諸産業に影響することの重大なることは、すでに私ども覚悟してございます。できることならば値上げをしたくはないのでございますが、私どもこの電気事業を引受けましてこれをつぶさに調べますと、このままではどうしてもやり切れないのでございます。ことに最近におきましては電気需用が非常にふえまして、現在送ることさえも非常に困難を感じておるのでございます。ただいまでも電気需用申込みが数十万キロございますが、これに対する電源としては非常にわずかなものである。ただいまではこのつゆで水があるときでございますけれども、なおかつ非常なる火力発電をもつてつている、しかも予定された火力発電の三倍以上もたいておるような次第でございまして、このままではどうしても足りなくなる。しかも現状設備と申しますと、戦争以来、資材が足りないとか、労務が足りないとか、いろいろな事情がございましたでしようが、極度に設備を利用しておるために、今や出力はだんだん減り、あるいは破壊する一歩手前ではないかというような心配もございます。たとえて申し上げますと、猪苗代の発電所のごときは、大正三年にできたのでございまして、まだ建つて三十年になつておりませんが、これが先般水車が破裂したということがございまして、また二回目もございまして、これらのごときは、耐用年数が来たのでございまして、これをとりかえるのにはたくさんの金がかかりますが、従来の建設費ではとても安うございまして、その建設費償却ではとうてい間に合わないという次第でございます。一例を申し上げればそんな程度でありますが、なお値上げ要素、すなわち電力原価に盛り込みますところのいろいろな要素について説明をしろとおつしやれば、ぜひ説明させていただきたいと存じますが、時間がかかりますからこれは省略いたしまして、とにかく私ども最低限度六割弱の値上げをしなければどうしてもやり切れないということをお願いするのでございます。それでないと、むろん私ども経営はまつたくの赤字でございます。ただ、ただいま赤字でないというのは、たまたま過去の安い施設を擁しておるためでございまして、私どもの身を削つてつておるという始末でございます。私どもはぜひこの願いを天下に訴えましてお願いしたいと存じます。私どもはこういうところ行つて、いろいろとお願いをしまして、十分の御理解を願いたいと存じますが、たまたまこういう機会をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く感謝をいたします。
  8. 河野金昇

    河野(金)委員 かつて電産が給料値上げの問題からストライキをやつて電気を消そうとしたり、一部には消したようなこともあつたのであります。そのとき国民は非常な憤りを感じておつたのでありますが、この春ごろ、ちようど電気事業ポ政令によつて編成され、また人事の問題でいろいろもめておつたころは、どこの電力会社もほとんど停電とか何かということをやらずに、九つにわければお互いに競争するからロスも決してふえやしないということをおつしやつて、非常にサービスされたことは記憶に新たなところであります。しかるに今度値上げの問題が出ましたら、これは偶然かもしれませんけれども中国とか九州とか、あるいは中部においてすら最近は緊急停電行つておる。この春以来ありませんでしたが、ごく最近私どもが郷里へ帰つてつたこの二、三日前に、初めて停電をおやりになつたのであります。いかにもこれは電産の労働者諸君ストライキ停電と同じことでありまして、戦術というものは労働者資本家も同じようなものだと思つて国民はもう少し電力会社首脳部の方に、お知恵がないのかとあきれておるような次第でございますけれども、この緊急停電なり制限なりをお行いになつた中国九州中部、今日は中国は来ておられないようでありますが、九州中部がおいでになつておるようでありますが、この緊急停電の問題に対して、おそらく何らかの御意見はあろうと思いますが、われわれの納得できるような説明をしていただきたいと存じます。
  9. 小金義照

    小金委員長 それでは今の河野君の質問がございましたが、それぞれの電力会社責任者から、要点だけ簡潔にお答え願います。井上五郎君。
  10. 井上五郎

    井上参考人 緊急停電のことにつきましてはまことに申訳ないのでございますが、当時の事情を申し上げますことは、いたずらに弁解がましくお聞えになるかもしれませんが、中部電力株式会社創立をいたしました五月一日に、日本発送電株式会社から引継ぎました石炭が、あの地区におきまして一万八千トンあつたのであります。昨年の同月をこれに比較いたしますと、あの地区に十三万トンの貯炭がありました。ところが五月の上旬は非常に水の状態が順調であつたのでありますが、五月の中旬以降非常に降雨状態が悪くなりまして、本州の中部地区電源を有します関西電力さんと、私どもの方の渇水率が全国のうちで非常に高くなりました。その結果五月二十六日に緊急停電をいたした次第であつたのであります。私当時こちらにおりまして、ただちにその晩引返しまして、各方面手配をいたしました結果、幸いにその後に降雨もございまして、その後緊急停電は一回もやらずに済んでおるのであります。創立早々石炭手配等若干遅れましたことに対しては、まことに申訳ないのであります。一方におきまして石炭手配を万全を尽して努力中でございます。と同時にいま一つは各電力会社間の電力相互融通につきましても、関係者間に打合せをいたしまして、そうした場合に相互間において、緊急停電を救えるよう万金の手配をいたしております。今後におきまして絶対に停電をしないということはなかなか言うべくして行いがたいことでございますし、何分にも非常な需用増加をしておる、降雨状態が順調である限りそうした問題は起らないということは申し上げ得るのであります。非常に降雨に左右される事業である関係上、絶対的のことは申し上げかねるのであります。この点につきましては私どもといたしまして万全の努力をいたしたいと考えております。
  11. 佐藤篤二郎

    佐藤参考人 九州の五月の状況を見ますと、水力がいわゆる平水に対しまして一一九%出ております。火力の予定は一〇〇%たいているわけであります。なお炭鉱その他の自家用を動員して、電力に対して遺憾なく送る手配をいたしましたが、先ほど申し上げました通り水力が一一九%、火力一〇〇%たいても、なおそういつた措置がやむを得なかつたということは、電力の需要が非常に増加していることが一つの大きな原因であります。従つて、今、後料金を適正にしていただきまして、火力の補充その他によつて、そういつた緊急の停電のないようにいたしたいと考えております。先ほど申し上げました通り電力需用増思つたより多いということが非常に大きな原因になつております。
  12. 河野金昇

    河野(金)委員 さすが九州でありますから、石炭のことは言おうとしても言うわけに行かないだろうと思う。中部の場合は、去年は十何万トンあつたが、今年は一万千何トンしかなかつた。これは結局日発配電会社が一緒になつて出発早々われわれ国民から見れば、いすの奪い合いや何かをやつておられて、結局その手当が十分できていなかつた需用増ということもあるかもしれませんけれども緊急停電などは九州の場合は知りませんが、中部の場合などは緊急停電をおやりになつたということは、これは首脳部の方方の手落ちであつた。これは率直に私たちもそう認めますし、そういうふうにお考えになつて、今後手抜かりのないように石炭や何かの手当をしていただきたいと思います。電力会社はそれぞれ値上げ理由は持つておられる。いただいた資料を見ますと、だれがおさしずになつたのか知りませんが、ちようど学校の先生に教えられた子供が同じ答案を書くように、まるで理由の文書から大体同じようであります。よくもお習いになつたものだと感心いたします。これはいろいろりくつはありましようが、とにかく電気料金値上げしたいというのが電力会社側要望である。しかしわれわれ国民側から言うと、あるいは国民を代表する国会側から言うと、上げてもらいたくない。万やむを得ない場合でも、最小限度にしてもらいたいというのがわれわれの要望なのであります。だから値上げをする前に、いろいろ会社自身としてもお打ちにならなければならない手があると思います。合理化の問題とか、いろいろな点でもう少し御努力を願わなければならぬ点があると思うのであります。この問題について代表的に東京電力社長さんにお尋ねをいたしますが、六月八日の読売新聞の紙上で、東電社長さんが電力会社従業員電気料半額は全廃する、こう言つておられるのでありますが、ほんとうに半額おとりになつていたかどうかも私たちは疑つているのであります。半額ちようだいするという建前になつていて実際はおとりになつていなかつたのじやないか、これは私の周囲の点から考えてみて、そういうことが言い得るのであります。しかしこれは従業員諸君給料の問題やら何やらと関連して来ますから、それを半額にするとか、あるいは電気会社に勤めているのだからただにするということも、観点をかえればそう問題もなかろうと思いますが、社長さんが全廃するとおつしやつたのであります。ほんとうに金廃なさる御意思があるかどうか、全廃なさるなら電気料金を上けるそのときから全廃なさるのか、それからなかなかこういうことは電産の従業員諸君が強くて、社長さんがお考えになつてもむずかしいのではないかと思うのでありますが、ほんとうにその決心があるかどうか。同時に電気料金値上げ理由一つには、送電線とかいろいろ不備や何かから盗電が相当あるということでありますが、この盗電というものも、実際は捕えて見ればわが子なりで、案外どろぼうの大部分はあなた方の御周囲ではなかろうかと思うのであります。いかにも国民が盗んでいるように世間には言つておいて、案外電気会社関係者側の方にこういう点が多いのではないか。そうすると実際盗電というものはなかなか捕えられないと思うのでありますが、これは電力会社を代表して東電社長さんでけつこうであります。あなたがこういうことをおつしやつているから、あなたからどうされるつもりであるか、どういう現状であるか、たとえばあなた自身の御体験——私の知つている電産の従業員の人は、ふろから煮たきから全部やつておりますが、電気料金を払つておりません。これは盗んでいるのかもしれませんが、そういうことを御考慮にお入れになつてあとで電産が問題にすることであろうと思いますから、ひとつ腹をきめてほんとうに全廃なさるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  13. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 私その新聞記事を知つておりますが、私は全廃するとは申し上げておきませんでした。しかし私は電気使用方法はあくまで合理化しなければならないということは言つております。電産との関係、いわゆる給与関係でございますから、簡単にこれはやめるということは私は考えておりません。すなわちやめるならばそれに対する給与をやらなければならないと考えておりますから、当然私は単に全廃するということは申し上げなかつたのでございます。しかし今後電気使用のことについてはあくまでも合理的にやりたいと存じます。また社員の盗用のことでございますが、私はないと思いますけれども社員三万人もございますから、中にはそういう不心得者もあるかもしれませんが、今後は、法規の運用を適正にやつて、あるいは社員としてはずかしからざるところの行動をなすように社内一般に注意している次第でございますから、あるとしてもこれは漸次改善されると存じます。
  14. 河野金昇

    河野(金)委員 結局新聞に罪ありで、新聞記事間違つていたということに相なるだろうと思います。やはり再出発早々従業員側とこんなような問題で摩擦を起されるということは、また国民が大きな迷惑をするのでありますから、ただ一時的の人気取りなんということは、社長さんにはそういう気持はないでありましようけれども国民はこの値上げに非常に憤りを持つておりますから、いろいろなことを言つて行くと思います。そのときにその場をごまかす、単に体裁のいいことを言われては、あとで大きな問題が起るということを御念頭に置いていただきたいと思うのであります。  それからまことに皮肉な質問松永さんにお気の毒でありますけれどもちようど電気事業編成の途上において、当時の小坂日発総裁が、日発には三十六億の含み資産がごまかされておつたということを公表されたのでありますが、その後どうなつているか、私たちちよつとも知らないのであります。普通の会社なんかでありますと、当然その決算期に入れなければならぬものを故意に次の期に繰越したりなんかしたような場合には、当然脱税と見られて、大きな罰金なんかをとられておるのが普通の民間会社の例であります。三十六億ものものがあつたが、それも渇水期石炭代使つたとか何とかおつしやるでありましようが、日発とか配電会社というような大きな公益事業においては、そういうことをおやりになつても、経理上一向さしつかえないものかどうか。これは松永さんからお聞きした方が適当であろうかと思います。
  15. 松永安左エ門

    松永説明員 小坂日発総裁が三十六億円の石炭代金含みについて発表された日は忘れましたが、私どもその当時何か一種の間違いが、あるいは日発自身経理上にあつたのか、あるいは小坂君の考え方に何かの間違いがあつたのか、どちらかの間違いではなれば、あまりに話の平灰が合わないという感じを持つておりました。その後だんだん事態が明らかになつて参りまして、私どもの方の公益委員会としても、これを取調べなければならぬ必要性が多くなつて参りました。当時この監督をされておつたの通産省でありましたがために、たしか議会においても通産大臣あるいはその代理の方で相当御説明なつたものと記憶いたします。私はその当時議会に参りませんで、他の委員説明に当られたと思いますが、ともかくこれは公益委員会として、その当時の管理が通産省であつたにしても、現在目先を管理しておる建前におきまして、私の方の経理部の者が出まして、その誤りあるいはその誤差というものについて一通り調査したはずでございます。私が申すよりその当時任に当りました中川経理長も参つておりますから、おさしつかえなければ経理長より答弁をいたさせたいと思います。
  16. 中川哲郎

    ○中川説明員 お答え申し上げます。いわゆる三十六億の含みのうち、二十四年度分に所属いたしますものが、十五億八千九百万円でございますが、この分は二十五年度の決算におきまして——決算期末でなく、二十五年の十二月でございましたが、日発におきまして雑収益に計上いたしました。うち税金といたしまして九億四千万円に相当するものを支払つております。残りの二十五年度の期間中途で出ました十八億九千万円につきましては、期間中途でありましたために、科目中の含みでありましたが、決算期末までにはお話のございましたように全体の経費の増と大体見合つて消費いたされたのでございます。一番大きな項目といたしましては、お話のように石炭費でございまして、最初の計画に基きますれば、下期だけで三百万トンの消費計画でありましたものが、実績におきまして三百七十二万トン、約七十万トン以上の石炭の消費増になつたのでございまして、石炭費として支出せられたものもございまするし、その他の人件費の給与関係等もございまして、結果におきましては、決算期末までに二十五年度の利益並びに二十四年度分の税を支払いました残りの利益というものは、それぞれの費用に充てられた、こういう結果でございます。
  17. 河野金昇

    河野(金)委員 公益事業委員会電気料金の算定基準をおきめになるにあたつて聴聞会などを開かれたのであります。あるいは参議院の電気委員会へ参りましたし、その他聴聞会等におきましても、ほとんどが大幅の値上げに反対をしている。大幅値上げに賛成をしておられるのは電気会社のお方と一部の公益事業委員のお方だけでありまして、安本も通産省も建設省も、ありとあらゆる役所、あるいは産業界、あるいは国民、特に婦人の連中が家庭生活のことを考えて猛烈に反対をしているのであります。これは今後電気料金値上げ電力会社の本店の地区においてお聞きになつても、同じ反対の空気であろうということは想像がつくのであります。先ほど松永委員長代理は、国民やら、国会やら、いろいろな意見を聞いて、そうして適当にきめるとおつしやつておるようでありまするが、実際はあまりわいわい言うから七割何分というのを七割くらいにしようじやないかというような内輪の話合いがあるいは行われておるかもしれません。結局は役所が何と言おうと、安本や物価庁が何と言おうと、あるいは国会が何と言おうと、公益事業委員会電気料金の決定の権限はポ政令によつて与えられている。いわばポ政令という防弾チヨツキの中にうずくまつてつて、結局形式的に聞くだけであつてほんとう電力会社との間におそらく内々に話を進めておられるであろうと思うのでありますが、このいろいろな国民の反対をお開きになつて、これからどういうふうにされるつもりか。今まで出しておられたところの七割前後の案というものを、各電力会社はどういうふうにされるつもりであるか、また公益事業委員会としては国民の反対、産業界の反対はわかつておるのでありますから、これをどういうようなところにおちつけようとなされるのである。資産再評価の問題でも、あるいは定額法、定率法というような問題でも、これはほとんどおきめになつておることであろうと思いますが、一体どういうふうにおきめになるつもりであるか、公益事業委員会あるいはまた電気会社としてはどういうふうにきめてもらいたいか、ほんとうの腹をお漏らし願えれば仕合せだと思います。
  18. 松永安左エ門

    松永説明員 今の御質問に対しまして、公益事業委員会の立場から御返事を申し上げます。公益事業委員会におきましては、算定基準を中枢として、今後各社の値上案に織り込まれました原価の内容について、相当厳重な調査をしたいと思つております。ただ念ずるところは、適正なる価格の構成を基準として、電力事業の今日ほとんど破滅に陥つておりますことに対して、相当の資金が外部から注入されるだけの信用をできるだけ培養させ、同時にこれによつて、今日のように最もゆがめられておりまする各種の電気事業現状を一日も早く建て直しをすることにしまして、これによつて国家の産業、民主の平和に貢献せにやならぬものだとのみ念じておりますので、何割がどうだとか、もう少し大いにやるがいいとか、五人おりますから、五人さまざまの考えはありますなれど、大体共通しておりまする点は、消費者側の振り合いをよく考えるとともに、現在の電気がいかにも瀕死の状態に迫つておりますことに対して、適当なる発達のできるよう、この料金問題によつてできるだけ適切に、かつ他の産業にはなはだしき変化を来さぬように十分注意しながらきめて行かにやならぬ問題と思つております。従いまして、昨日、本日にわたりまして、各社の再吟味された料金が再び提出されておりますが、これをまだよく検討する時間がありませんが、ただいま申し上げましたような趣意によつて、厳正な検討を加えたいと思つております。世間もし公益委員会が一方に偏するごとき考えを持つておるごとき誤解はこの際に起りやすいことでありまするけれども、これは単に公益委員会の迷惑ばかりでなく、そのことから出られる結論は、正しく朗らかに出られるようにいたしますために、公益委員会の立場は最も厳粛に考えてこの問題に当るつもりでありますることだけを申し上げておきます。
  19. 河野金昇

    河野(金)委員 さすが老巧で、私の質問をうまくそらして、急所は一つもお答えになつておらないのでありまして、長々と御答弁くださいましたが、その御答弁は何にもならないのであります。結局私の聞きたいことは、再評価を大体どの程度認めるか。普通の会社並に、六〇%とか七〇%程度の資産再評価にしておくのか。それとも今まで通りに一〇〇%の資産再評価をお認めになるつもりであるか。それから減価償却の場合に定率法でおやりになるのか、定額法でおやりになるのか。そういうようなことを実は私は聞きたかつたのでありまして、どうぞもう簡単でけつこうでございますから、こうするということだけをおつしやつていただきたいと思います。
  20. 松永安左エ門

    松永説明員 はなはだ申し上げるべきことを残して申訳ありません。再評価の問題につきまして、各社に厳重なる再評価の高について、その届出をお願しております。それからこの出ましたものをよく検討しまして、再評価されたものが不適当であると思いますれば、相当考えなければならぬと思うております。しかしまだ出ました案を見ませんので、それが不適当である、あるいは再評価に何割掛するというような考えはもとよりきまつておりません。  それから償却の率につきましては、前に出しました算定基準が十一日の公聴会を経て、その後各方面との折衝を終えまして、そうして許されました算定基準方法は、大体定率によることになつております。委員会のただいま申し上げ得られるのは、まだ各社から出ておりませんから、これをどうあてはめるという委員会決議をもつて申し上げる次第ではありませんけれども、算定基準を決定し、これを尺度として定率にするか、定額にするかということにつきましては、定率を用いるという状態になつております。御報告しておきます。
  21. 河野金昇

    河野(金)委員 今度は電力会社のお方に聞きたいが、これはどうせ同じような値上げの御相談をなさつてつておられると思いますので、御答弁はなるべく今まで御面識のない関西の太田垣さんからでも御答弁願えればけつこうだと存じます。結局値上げがどれだけになるかはまだ最後的の決定ではありませんが、とにかくどれだけがお上げになることだけは間違いのない事実であろうと思いますが、そういう場合に、一体電力会社として、今までほとんど電気だけに頼つていたともいえるような化学工業等の大口に対して、どういうふうにお取扱いになるか。同時に米価というものはこう押えつけられているが、その農村で使う用排水あるいは脱穀調製、こういうようなものに対して電力会社としてはどういう考慮をしておられるか。こういう点を御答弁願いたいと存じます。
  22. 太田垣士郎

    ○太田垣参考人 ただいま御質問の要綱は、大体化学工業とかあるいは農業方面についてどういうふうな考え方を持つているかというお話でございますが、大体大口電力につきましては、これはいろいろな基準がありますが、一応政策電力、政策による料金というものにはあまり触れてはいけない、こういう考え方を持つております。ただしかし問題は、農業電力のごとき、米価に非常に大きな影響を及ぼす、従つてそれが大衆に非常に大きなウエイトを持つというようなものにつきましては、今度の値上げにつきましてもよほどわれわれといたしましては考慮いたしまして、大体普通の電力値上げの三割近くのものを低下しております。それからなお、今までとつておりました設備料金というようなものにつきましても、これに考慮を入れまして低下さしておりますから御了承を願います。
  23. 河野金昇

    河野(金)委員 今度は政府側にお聞きしたいのでありまするが、米価というものが、今司令部との間において折衝されておるようであります。米価の算定基準はきまつておるのであります。去年も今年もきまつておるはずであります。一応政府側として決定して持つてつたものが、向うにおいて、米価の値上げはいろいろな他の物価への影響が大きいというところから、いまだ認められないような状態なのであります。お互い人間の食糧が米であると同様に、産業の食糧は電気であります。電気というものも、私は米同様に慎重な態度できめなければならないものだと思うのであります。しかるに政令でできたこの公益事業委員会だけが決定権を持つてつて、政府や国会にはその権限がないのであります。しかし安本としては、他の物価への影響、産業界への影響を慎重に考慮しておられるので、米価に対しても慎重な態度をおとりになつたのでありますが、たとい権限はないといいながらも、電気料金だけを一方的に上げられるようなことがあつたら、これはたいへんなことだと思います。日本全体の物価体系から考えて、あるいは日米経済協力の根底をゆすぶるようなこの値上げの問題に対して、一体物価庁としてはどういうように考えておられるのか。私自身といたしましては、公益事業委員会というものにこういう特権的な——結果においては、こういう国会へ出て来たり、あるいは政府と相談する必要がないような権限を与えられておることは大きな間違いだと思うのです。結局吉田内閣がポ政令というようなものでこの電気事業の再編成をやつた、その悪の子供が公益事業委員会だと思うのでありますが、政府としてはどういうように考えておられるのか、松永さんなどに御遠慮なさらないでひとつ御答弁願いたいと思います。
  24. 川上為治

    ○川上説明員 公益事業委員会だけに決定の権限があるという司令部の方からのメモが出て来る前に、電気料金値上げにつきましては、各産業のみならず、一般の国民生活に対しまして非常な影響を持つておりますし、特に産業のうちでも、肥料とかあるいはその他の化学関係のものに対しましては非常に大きな影響を持つておりますので、私の方としましては、この決定につきましても、公益事業委員会と少くとも共管の形においてやつていただきたいと思いまして、いろいろ相談もしたのでありますが、御承知の通り司令部のメモによりまして決定の権限は公益事業委員会なつたわけであります。しかし少くとも電気料金の決定にあたりましては、事前に双方におきまして十分な連絡をとり、相談をいたしまして、そうして一般の産業、また国民に対しまして影響がないように、十分に私どもの方としましては発言もし申入れをするということになつております。かつまた公益事業委員会の方としましても、物価庁なり安本の意見は聞くということになつておりますし、また現在におきましては、実は各電力会社の方からお出しになりました案につきましても、双方でいろいろ研究もし、一緒になつてつておりますので、おそらく私ども意見は、たといその決定の権限はなくとも、十分に反映されるのではないかというふうに今のところ考えております。
  25. 河野金昇

    河野(金)委員 約束の時間が大分過ぎておりまして、同僚の諸君に御迷惑でありますからこれでやめますが、結局大幅な電気料金値上げというものは、産業界はもちろん、国民全体に大きな影響を及ぼし、あるいはこれは物価体系にも影響して、インフレの導火線となつて来ることをおそれるので、電気事業公益事業であるというその本質にかんがみられて、どうか公益事業委員会においても独善にならないように、国民の、あるいは産業界の意思を十分に入れて、国民からうらみを買わないような処置をとつていただきたいと思います。いろいろこまかい質問はありますが、同僚諸君が待つておられますし、私の約束の時間が過ぎましたから、これで私の質問を終えます。
  26. 風早八十二

    ○風早委員 関連してこの際物価庁にお尋ねしたい。電力料金値上げによりまして、一般に物価へのはね返りが一番大きな問題として大騒ぎになつておるわけでありますが、この点について物価庁からしかるべき資料が出されておらないわけです。私はこの際、生活費の中で占める電力費の割合、その他その割合だけではまだ十分な影響はわからないのでありますから、生活費に対して一体どういう影響を及ぼすものかというような御判断、それをひとつ簡潔にお答え願いたいと思います。
  27. 川上為治

    ○川上説明員 私どもの方で今つくつております資料としては、一応生計費に対しましては三%ちよつとと思いましたけれども、その程度現在の支払い料金はコストの中に占めておる。その他肥料とかあるいはいろいろありますが、その中には十数パーセント占めておるものもあります。そういうような、現在支払つておる料金がマル公なりあるいはコストなりの中に占めております割合はどの程度であるかという資料はあるのでありますが、新しくこの際電気料金を改訂しまして、基本料金を幾らにすれば、また超過料金を幾らにすればそれが各産業あるいは生計費に対しまして、しかも地域別に考えまして、たとえば九州でありますとか、北海道あるいは関東でありますとか、そういうふうに見まして現実にどの程度上るであろうかということにつきましては、そういう仮定を一応置きまして調べておりますけれども、それがまだできておりませんので、できましたらおそらく皆さんの方にそれを申し上げる機会があるのじやないかというふうに考えております。まだ十分な資料はできておりません。
  28. 風早八十二

    ○風早委員 その点は非常に遺憾に思うのであります。公益事業委員会料金決定の全権を持つておりますが、その公益事業委員会料金の決定をまかせるのは非常に危険だということは、すでに物価庁としても考えておられ、そういう意味のことを言明もしておられるのをわれわれは承つてつたのであります。それを実際に立証するための資料は一刻も早くお出し願いたいと思います。今生計費の中で大体三・五、これは地域により階層によりまして違いますけれども、大体三・五くらいの割合を占めていると言われましたが、そこで東京電力社長さんにお尋ねしたいのです。あなたの方からわれわれの手元へ出されました、「電力料金の改正が生計費並びに他産業に及ぼす影響」という資料によりますと、二十五年度では二一・二四%しか見積つていない。でありますから、その値上げ理由として、料金を倍にしても、これは戦前の電力料負担の割合にも達しないのだ。だから何ら生計費には見るべき影響はないのだ、こういう結論を出しておられるわけです。これは一体どういう根拠に基いて、そういうことを言われるのか、はなはだわれわれは憤激にたえない次第です。その点ひとつ社長の方からお答えを願いたいと思います。
  29. 川上為治

    ○川上説明員 先ほど三%幾らと言いましたが、ちよつと感違いしておりまして、生計費におきましては一・三三%ということに全国平均一応なつております。
  30. 風早八十二

    ○風早委員 私は今三%幾らと伺つたので、それに基いて社長質問したわけでありまして、ここでは一・二四になつておりますが、今一・三幾らと言われました。全国平均数事としても、そういう不正確なことをその都度変更されますと、これは議論にも何もならないわけであります。これは非常に御注意願いたいと思います。いずれにしても、この生計費の中で占める割合が非常に表向きは少いということから、すぐ影響はないのだというようなことを結論されることは非常な即断ではないかと、われわれは思うのであります。電燈にいたしましても、電燈がなければ一日も生活することができない、そういう絶対的なものでありまして、しかもこれを滞納すれば、ただちに脱線をする、こういうふうな大きなおどかしがかかつておる。これについては、この前の質疑で十分に述べましたから省きますが、こういうことで料金値上げ理由にされるということははなはだ迷惑千万で、大衆が納得しないのはあたりまえだと思うのであります。この点について一言社長の方からお答えを願つておきたいと思います。
  31. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 ただいま何パーセント、何パーセントというお話がございましたが、私どもが調べた資料でございますと、生計費のうち、光熱費すなわち電燈とその他の熱量、この割合が幾らになつておるかと申し上げますと、二十五年におきましては四・七%、すなわち百円使つておるうち、四円七十銭が電気代と塾代、木炭あるいはガス代でございまして、そのうち電気が幾らである、すなわち電気だけを調べてみますと、一・二四%でございます。すなわち百円の生活をしておりますと、一円二十四銭が電気代ということでございます。私どもは生活費のうち電気代だけを考えますと、先ほど申し上げました百円のうち一円二十四銭が電気代でありますということを申し上げておきます。これはこのような数字があるところの根拠がございまして、それによつて申し上げたのでございます。従いまして私どもは、これだから倍に上げてもいいとは決して申し上げておりません。できるだけ少いことを希望し、少いことを念願しておるのでございます。この見当で行きますと、電気代だけでは、一円二十四銭が、五割、六割上つたところで、二円というくらいのところでございましようということを申し上げておるのでございまして、これが安いから何割上げてもいいという結論はなかなか容易に申し上げられないので御遠慮申し上げておきます。
  32. 風早八十二

    ○風早委員 よくあなた自身がわれわれにまわされた資料を読んでください。時間がありませんから省きますが、はつきりこれをもつてあなた方は、以上の理由によつて家庭用電気料金の適正な改訂を行つても、生計費にはほとんど影響を与えないと言い得よう、こうはつきり結論しておられるのです。これはよく読んで、そういうでたらめを言わないでもらいたい。たいへん途中で時間を拝借して申訳ないのですが、一点だけ公共事業会員にお尋ねしておきたいことが残つております。それは進駐軍関係需用についてでありますが、進駐軍関係電力供給は、この前松永委員にお尋ねしましたところが、進駐軍の自粛によつて、幸いに最近では非常に減つておる。これはその後伊藤忠兵衛委員からも同様なお答えがありまして、そういう事実があると思うのです。しかるに実際にこれに対して昨年よりも一〇%増した割当を出しておられる。つまりこれをキロワツト・アワーにしますと、一億キロワツト・アワーに近いものを増しておられる。こういう点がどうしてもわからない。その点について松永委員にはつきりお答え願いたいと思います。
  33. 松永安左エ門

    松永参考人 進駐軍の消費キロワツト・アワーはだんだん増しておるじやないかというこの前の御質問に対して、確かにだんだん減つておるはずでありますということをお答えし、なお相当数字をあげて事務局から御報告するようにいたしておりましたが、その数字がまだお手元に到達していないようでありましたら、さつそくあとでお届けをしたい。  それからただいま新らしい割当について、今回のアロケーシヨンについては、もとより各社の新提出が完了いたしておりません。従いましてそのアロケーシヨンが増加しておるとか、あるいは増加していないということは、まだ御返事できない状況であります。
  34. 風早八十二

    ○風早委員 御返事ができないというお話ですからいたし方ありませんが、ついでに軍事基地関係に対する給電指令というものは、やはりそれぞれの地域の電力会社が握つておられるのですか、それとも全然別個になつておるのですか、といいますのは、検針も何も、そちらの方に対しては、やつておられない、ですから幾ら使つておるかということ、また何に使つておるかということはわからない、こういう関係で実際にやつておられる、従つてこの給電指令というものが電力会社からはずされておるのかどうかということを聞いておるわけです。
  35. 小金義照

    小金委員長 風早君にちよつとお尋ねしますが、軍事基地というのはどういう意味ですか。日本にはそれはないと私どもは心得ておるのですが、それでは政府なり公益事業委員でも答弁ができないのじやないかと思うのですが……。
  36. 風早八十二

    ○風早委員 それはあなた方があるものをないとおつしやれば、それきりでありますが、それでは広く進駐軍関係のごく特定の場所ということにしておきましよう。そういう場所に対して給電指令が実ははずされておるようなところがやはりあるわけですが、なお、これをお聞きする理由は、やはり実際今消費が減つておると言われるのに、あらかじめやはりたくさんそれに対する割当を確保しておかれるということは、一般の進駐軍の家庭等で節約しておりながら、なおそれ以外に非常に電力を食う。また必ずこれだけは食わなければならない、それはたとい少量でありましても、これだけは絶対だというようなところがあつて、そういうことを見はからつて、今の予算で備蓄的な経費で、何に使うかはどうしても答えてもらえないような経費があるわけでありますが、そういうような意味で、この供給をあらかじめ確保しておかれる、こういうふうに解釈してよいのかということを開いておるわけです。
  37. 松永安左エ門

    松永参考人 ただいまの風早さんのことにつきましては、ちよつと御返事をいたしかねます。
  38. 風早八十二

    ○風早委員 しかしそれはどういう意味で御返事——御返事されないことも事によりけりです。つまり給電指令は一本ですかということに関連しておるわけですが、それもお答えできませんか。
  39. 松永安左エ門

    松永参考人 御必要がどうしてもおありのようでありますから、よく取調べてお返事申し上げます。
  40. 風早八十二

    ○風早委員 それではよく取調べてぜひお答え願いたい。この前もやはり進駐軍関係についてはどなたも他の同僚議員諸君からは御直間が出ないわけですから、私がかわつて質問申し上げたのであります。(「だれも頼んではいない」と呼ぶ者あり)従つてこの前もお聞きして、材料はあとで提供するというお話であるが、材料は少上も出されておらないわけです。おさしつかえのない、あなた方に御迷惑のかからない程度で材料はやはり責任を持つて出してもらいたい、このことだけをお願いしておきます。
  41. 小金義照

  42. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 電力料金値上げの問題に対して強い反対のありますることは、これはもういまさら私がくどくどしく申し上げることもないのであります。私たちがただここで、どうしてああいう数字が出て来るかということを非常に心配するわけなのであります。これは結局値上げをしてはいかぬということはわれわれは当然強く主張するのでありますが、その半面において、どうして資産の再評価を限度一ぱいまでやらなければならぬのか、その原因はどこにあるか、それからまた従つて固定資産の償却の問題につきましても、あるいは修繕費の非常に大きな金額になるというようなことも、あわせ考えて検討しなければ、ほんとうの数字が出て来ないのではないかというふうにわれわれは考えるわけです。ですから値上げに対しては極力これを押えてもらわなければならぬということは、これはもう声を大にしてわれわれは強く主張する。ではありまするけれども、半面において現在の状態で、せんじつめたところがどうしてもそうしなければならぬということになりますれば、また別の考えをもつて進まなければならぬ大きな問題が残されておるというふうにわれわれは考えておる。  そこでまず第一に私がお尋ねしたいことは、電気料金公益事業であるということのために、戦時中からあるいは戦争終了後の今日まで、絶えず料金が相当に強く押えられて来たということだけは、これはすべての表を見ても明らかな事実なのであります。そこでそれだけに要求を押えられておつて、はたして自発会社の完全な固定資金の償却が当時できておつたかどうか。それからその当時において完全な修復が実際に行われておつたかどうか。終戦後の今日までの状態がどういう結果になつておるか、まずその点をひとつ、できますれば相当詳細に伺いたいと思うのです。
  43. 松永安左エ門

    松永説明員 ただいまのお話詳細にお答えしたいと思いますけれども、時間も許されないと思いますので、一、二点原則的のことを申し上げてみたいと思います。電気事業はむしろ国民一つの財産である。これを十分に育て上げて、そして豊富低廉なる電力を供給するということは、これは事業そのものの持つている使命である。従つて料金も、過ぎてもいけない、また少くてもいかぬ、そこにおのずから合理的に処理すべき道がなければ発達いたさぬことは申すまでもないわけであります。要するに日発並びに九配電がお互いにプール計算をやつて、一時政府から補助を受けておつたものも補助を受けられぬようになつて、そうしてできるだけ配当をしなければ金がとれないというので無理な配当をし、無理な払込みをしておつた。二十一年、二年は混雑のときでありますからこれはやかましく言うても間に合いませんが、二十四年ごろになれば、ただちにこれを改めて、適当な原価計算によつて事業の立て直しをし、社会の信用を受けて、そして資金を吸収することが必要であつたにかかわらず、再編成が非常に遅れましたために、それらのこともそのまま一日送りに送つて来たのであります。でありますから、原価計算に即して自分の資産を適当に再評価して、これを適当に償却する。また修繕にも念を入れて、この修繕費をむやみにかけ過ぎたり、あるいは自分たちの費用をかけ過ぎたりして需用家に迷惑をかけないで、一文でも倹約して施設の改善に当らなければならぬという使命であるにかかわらず、これらの計算はぼやかしてあつたのであります。     〔委員長退席、中村委員長代理着席〕  しかるに再評価の事実は世間に行われて、どこの会社も、資材を供給する石炭会社にしましても、あるいは鋼材会社にしましても、それぞれ資産を再評価し、あるいはマル公に連なつたものはマル公をはずれて自由経済になつておるにかかわらず、この電力会社の再編成が遅れて、自分のはマル公で売つて、買うのは自由経済で再評価されたもので買うというような、原価計算をすでに誤つてつたことは間違いない事実かと思うのであります。これは議論の余地もありましようけれども、少くとも私はそう考えておる。しかるに幸か不幸か再編成はたいへん遅れて参りました。従つて各社の独立採算というものは初めて五月一日後に行い得るような状態になつたのでありますから、この原価計算というものを立て直して、そうして事業の発達をはかるというのでなければ、需用家皆様、国民全体が非常な迷惑をしておる現状は御承知の通りでありまして、この六月になつて雨の多いときに関西そのほかにおいて緊急停電をしなければならぬ、サイクルが落ちた、ボルトが落ちたという、はなはだ悲しむべき状態になつております。それ以上話を申し上げますと冗漫になりますから打切りまして、今回どうしてもこの立て面上のために自分の資産というものを適当に評価すべきである。しかも再編成が許されたならば、すなわち五月一日後は再評価してよろしいということになつておりますがために、各社はみずから自己の資産を再評価され、これを適正に償却し、それから修繕そのほかにつきましては、過去の計算に誤りがあるならばこれを減少し、それから、日発配電の人たちがおもに新会社をつくつたのであります。そのほかの人も入つておりすすが、大体八分、九分旧会社の人たちが集まつて会社ができておりますために、従つて一面においては仕事は簡略になつて統制が行われやすいとともに、一面においてはむだな費用というものがまだ温存されておると見なければなりませんがために、各社はこの料金を見積るについては、自己の資産をりつぱに再評価して厖大にわたらせぬように再評価する必要があります。かつ過去のこの古い資産を一日も早く立て直しをして償却をすることが必要であるということが、今度の原価基準の原則になつておりまして、かつこれを種々多方面にも説明いたした次第であります。かくのごくとして、もし今同提出されましたものが、私どもの今申し上げたような基準に適合し、かつこれが適合したといいながら、農村あるいは重要なる輸出産業たちまち、はなはだしく行き詰まるようなことのないように、適当にこの負荷率のあんばいあるいは夜間電力の割引そのほかによつてできるだけ自粛的に調整されて、原価計算と申しながら、その道理はそれであつても、その適用においてはよくよく考えてやられることを常に念願して、業者のお方にお目にかかるたびに、それはお願いしております。そのことは、世間ではあるいは公益委員会が業者の音頭をとつて、むちやくちやに値上げを賛成しておるかのごとき印象を与えておるのはこの値上げというようなことの起る場合に、やむを得ない一種の社会的反感でありますけれども、皆さんのごとく高所大局について、国家の産業の基礎となる電力事業が、今のようなシヤイネストツクと申しますか、あるいは麻痺状態に陥つておるようなものをいかにすれば積極的に救つて行けるかということも、同時にお考え願うことをひとえに希望する次第であります。ただ所感だけを申し述べておきます。
  44. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 値上げの問題についてのお話は、もうたびたび伺つておりまするから、私はそれ以上詳しく御説明を願わなくてもよろしいのでありますが、私ははなはだ電力事業に対しては経験がありませんから、非常に経験が乏しいだけに、言うことに若干の狂いがあるかもしれませんが、ああいうふうに戦時中から今日まで料金を極度に押えて来られた場合において、資産の償却と修繕が完全にできなかつたものが、今度電力編成によつてそれらのすべてのものがここで一ぺんにしわ寄せされたんじやないかというような感じが非常に強いのでありますが、その問題はどういうふうなことになつておりますか。
  45. 松永安左エ門

    松永説明員 そのことにつきまして、新聞等で同様な御批評を見受けるのでありますが、これはまつたく一種の誤解に基いておると思います。もつとも業者の再検討されたものがまだ出そろいませんので、それに即して申し上げるわけでありませんが、旧来そういう誤解はやはり一種の誤解であり、また業者も幾らか誤解を招くごとき、あるいは誤つたお話をなすつたことがあるのじやないかと想像するのでありますが、たとえば修繕を非常に過去に怠つた、約百億の修繕しかしなかつた、それが急に三百億修繕するようになつた、その二百億は今度の料金に入つているというのが、修繕の、要するに時間的しわ寄せではないか。それを料金に織り込むのではおもしろくないんではないかという御説に対しては、確かにその通りであります。決して修繕を怠つたからにわかに値上げをして、その修繕費国民料金において織り込むべきものではないという考え方を私としては持つておる。でありますから、今回はむしろ旧来の修繕プラス修繕材料の騰貴、値段の上つた個々の材料を加えたものをそのまま認めるというよりも、過去の修繕費を基礎として出されたその修繕費さえも、ある程度是正してこれを少からしめるのが本筋なのではないかと委員会の一員として考えております。でありますから、この修繕費の問題、たとえば電柱を建てかえておりながらこれは単に修繕費として出ておるというごときものはむろん建設費にまわすべきものであつて、その料金経費に織り込むべきものでないという思想を握つております。しかしこれは業者でも多分さように訂正になつておるかと存じております。そのほか無理なしわ寄せをしたことがただちにそれが電気料金に影響する。こういうことも誤解の一つになつておると思いますから、御質問と違いまするけれども、同じような誤解が世間にあります。たとえば自分の財産を維持し、あるいはこれを新規にとりかえ、すなわち償却を完全にするという意味が二つになつて参るのであります。一方の修繕は経費に落しますけれども、この償却に関するものの完全償却経費というよりはむしろ資産勘定の方の社内積立金となりまして、過去の借金等を返しまして会社の信用を高め、そうしてその高まつた信用によつて、たとえば発電所のボイラーが三管ある、一管はまるでだめであるという場合は、修繕でなく、一管は完全なる建設として償却費の中からやりますけれども、その金をただちに需要家の値段に織り込んだものからその財政のやりくりをするというようなことは、少し話が行き過ぎた考えでありまして、大体償却の金は社内に保留いたしまして、資産勘定にこれを持ちまして、そうしてそれをもつて古い借金を返し、できるだけ有効にそれを会社の資産の増加に使つて参ります。これが再評価の償却に対しまする私ども考えでございます、各社にもその頭で、なるべく償却についても適正な、また無理に償却といつて、それで工業をやるというような思想は、必ず民衆の御承諾を得るゆえんでないことを、よく民間需要家にも御説明願うように言うてはおりますけれども何分まだその辺の説明が行き届かぬと見えまして、私ども公益委員会にもさような御質問がありますけれども、昨今では償却費を建設費にすぐまわすのだというお考え方は大分訂正されたように思うて喜んでおる次第であります。
  46. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 そういうふうな御説明でございますると、従来の設備というものは——すべての設備には耐用年数がありますから、耐用年数従つて今日までの償却は完全にされており、必要なる修繕は完了されておるというふうなお答えだ、かように承知してよろしゆうございますか。
  47. 松永安左エ門

    松永説明員 簡単にお答えいたしますが、耐用年数を差引きまして、現在どう内輪に見積りましても、資産の価値というものをある程度再評価する必要は、過去二年間のうちにはあつたのであります。たとえば再評価いたしますると、火力のごときは約三千円くらいになる、耐用年数を差引き、並びに陳腐化されたものを引いても、最小それくらいになる。水力発電所のごときも、陳腐化を引きまして再評価法によつて考えられたところでも、約一キロ三万円くらいに当つておるのであります。しかるにこれを修繕し、あるいは維持するという立場は、この割合からはからなければ、もう人を一人使いますのでも、一人当りの費用は過去の原価計算から比べますと、百倍二百倍に上り、修繕のための材料にしても、はなはだしきに至つては三百倍から五百倍に達しておりまするものを、維持修理します立場におきましては、資産を一通り普通の使える値段まで引き直して、これを償却いたしまする立場に立ちますると、過去の償却はどうなつておるかといいますと、なるほど修繕費などで大分ものを扱つてありまするけれども、これを厳密にみますると、むしろ建設費に入るべきものを修繕費に入れておる形もあります。それはその評価そのものが適切でなく、これをまたむやみに償却に落せば、非常な税金をかけられることも当然であります。やむを得ず過去の償却というもの は非常に少うございます。たとえて申しますと、昨年度の日発、配電全部の償却は二十億に達しておりません。十何億円台でありまして、これを相当再評価したものを加えますと、ほとんど一分の償却に当るかどうかわからないのであります。大体外国から金を借りるとか、あるいは保険会社あたりから長期に社債を募集しようという場合の、その償却のお話合いというものは、収入の六分なり七分なりなければ、ほとんど財産を食つて配当をしているという会社には金は集まりにくいのでありまするがために、財政を立て直す上から申しましても、償却の適正をはかる上からいたしましても、ここに再評価されたものによる適当な償却率が初めてほんとう償却であり、これがすなわち原価に織り込まれるべき相当な額であると見なければならないのでありますために、期限をさようにきめまして、またそういう方向によつて各社は今後の値上げ案をいたしておられる次第であります。少し話が行き過ぎたかわかりませんが、さような次第でございます。
  48. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 私の伺つたのとは大分御答弁が横にそれておるように伺うのでありますが、ただいまの委員長代理の御答弁は、その前に御答弁になつたのとはちよつと食い違いがあるように考えられるのですが、そうはお考えになりませんですか。私たちが調べたところによりますると、これはむろん別にむずかしい書類によつて調べたのではありませんが、水力電気の建設から二十一箇年以上経過しておるものは、現在のもので四四%、十一年から二十年までを経過しておるものが三三%、十年以下のものが二三%だ、それから火力の方は建設から二十一年を経過したものが四二%で、十一年から二十年までのものが五三%、十年以下のものはわずかに五%だ、こういうふうに聞いておるのであります。これは私専門的に調べたのでありませんから、数字に若干の狂いがあるかもしれませんが、大体においてあまり大きな間違いはないとわれわれは承知しておるのであります。そこで私は、今回よく問題になつておりまするいわゆる資産再評価を、限度いつぱい持つて行かなければならないかどうかという問題と、いま一つは、従つてそれが固定資産の償却に対するところの金額が相当に大きくなるかどうかという問題に関連いたしまして、しかもその固定資産の償却の率が定額法によるか定率法によるかという問題にこれは関連するわけでありますが、私のお尋ねしたいことは、もしかりに委員長代理が言われるように、完全に償却ができておるのだ、それから修繕も完全に予定通りには進行しておるのだということになりますると、建設いたしまして今日までの年数は相当たつておりましても、現在持つておる資産というものは、やはり相当な高い価値があるわけであります。あるのではありますけれども、もしかりに、それがあるいは過去の電力料金の値段を極端に押えられたということのために、それらの問題が、ある程度繰越されておるということでありますれば——現に繰越されておるということは、ただいま委員長代理から一昨年の償却が非常に金額が少い、それがために修繕費その他の償却費が非常に少いから、従つて完全な処理はできない、こういうことでありますれば、少くとも一昨年からのものは繰越されておるということがはつきりしておるわけであります。そうすると見方によつては、私の言う通りに完全には償却ができていないということになつて来るのではないかというふうにわれわれは考えるのであります。その点はどういうふうにお考えになつておりますか。これは長く御答いただかなくても、ごく簡単に率直にお話を願えばけつこうであります。
  49. 松永安左エ門

    松永説明員 過去において償却がよく行われておつたか行われなかつたか、それが現在の償却にどういう考え方を持つておるかという問題だけにつきまして申し上げますと、要するに問題の重点は、物価の非常な騰貴あるいは人件費の上り方が、いつごろから始まつたかという問題でありますが、もうすでに両三年前から始まつておるということは御承知の通りであります。ここにおいて料金値上げを相当交渉されて二十四年にその値上げもあり、従つてこれによつて償却も増しておるはずであります。修繕も相当やつておるはずであります。ですが、問題はその程度というものが、いかにも再評価しない形においてすべてが行われましたがために、再評価の考え方をもつてすると、ほとんど十分の一にも達しないでおつたということを今日振りかえつて計算してお示しすることは、少しも困難はないのであります。要するに、その理由のおもなるものは、償却の金高が足りなかつたというばかりじやなく、その償却の率も足りなかつたことに帰して、これが約十分の一の償却をしておるにかかわらず、資産の再評価をした場合、今日の資産を立て直した場合においては、やはり今日に即した償却をせなければならない。しからば過去二年間償却が足らなかつたと仮定すれば、それは今度取返すのかというお話であれば、先刻申し上げたように、それは本年にしわを寄せるということは絶対にしない方針であります。すなわち過去は過去として葬らしめて、そうして再評価は、その償却の足らなかつた分は切り捨てて、それで現在の再評価の限度はそれだけ低いものに再評価される、対象の金額がそれだけ少いものになるというふうに御了解を願いたい、私はさように考えております。
  50. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 今のお話で大体わかつたのですが、結局委員長代理がいろいろにおつしやつておりますが、まあ考え方によつてはやはり十分な修繕もできなかつたということにある程度までは率直に言つてさしつかえないのじやないかと思うのであります。そこで問題は、われわれの主張通りに値段はあくまでも安くなくちやならぬ、また一方においてはあくまでも相当な修繕もしてもらわなければならぬということは当然なんですが、ただ何でもかんでも下げろというのではりくつは合わぬと思う。何でもできるだけのことは——それはもちろん経費を節約し、すべてのものを節約して、極度の低い値段に押えるということはぜひやらなければならぬ、一般の国民はそれを強く要望しておるのであります。この点においては公益事業委員会の皆様方も国民の声というものは無視するわけにいかぬ。だからいやでもおうでもこれはある程度まで低い価格でもつて押えなくちやならぬ。しかし低い価格でもつて押えてしまつてあと手も足も出ないような状態なつたんでは、電力の再編成をし、そうして今後の電力の開発をすることの意義がなくなつて来るわけであります。そこで公益事業委員長代理あるいは公益委員の方々は、この問題について政府当局とひざを交えて折衝をされたことがございますかどうか、これをお尋ねしたい。と申しますることは、公益事業でありますので、国民の負担に直接関係のある非常な重大な問題でありまするから、従つてこれはできるだけ安く押えなくもやならぬというのですが、それと相反した同じような一つの例がある。これは昭和二十三年度の予算に、国有鉄道の赤字補填を一般会計でもつて三百数億円支出しております。そのほかにもまだあると思います。これは今日わが国の財政の立て方が、いわゆる健全財政であるがために、そういうふうな問題には相当触れにくいかもしれませんけれども公益事業であるがために料金は押えなければならぬ、しかしあの当時、問題は要するに客車その他の貨車が非常に老朽になつてつて、何とか適当な方法をとらなければ円滑な運転ができないということで、一方においては独立採算制の方に進むにいたしましても、運賃の値上げはそう大きくはできないということのために、結局一般会計から繰入金として三百数億円が支出されておる。これは物価庁の方もおいでになつておるから、その当時の状態はわかつておると思う。結局一般会計でもつて負担することは、ひいては国民全体の負担になるのでありますから、結論においては同じかもしれませんが、しかし現在のように電力の問題で非常に議論が多くなつたときに、こういう問題について公益事業委員としては当然政府の当路若干十分な懇談をなされる必要があるのではないかと思う。なぜ私がそういうことを言うかと申しますれば、私たちもがそんなに値段を下げなくちやならぬということを強く主張するのは、ただ何でもかんでもむちやくちやにがまんしろということを言うのではないのであります。どこかにこれを完全にする方法がなければ何ともいたし方がないということは、いやしくも事業に経験のある人間ならばすぐにそういうふうに考えなければならぬ問題だと思うのであります。そこで一言どういうふうなお考えでもつて進んでおられたか、現在までにそういうことについて折衝をされたことがあるかどうかということを委員長代理にお尋ねしたい。
  51. 松永安左エ門

    松永説明員 お答え申し上げます。
  52. 中村幸八

    ○中村委員長代理 ちよつと松永委員長代理に御注意申し上げます。委員会における質疑応答は一切起立の上でこれをなす慣例であります。御答弁の際は御起立を願います。もつとも御老体等で御起立が非常に御困難であれば、委員長の許可を得て御発言を願いたいと思います。
  53. 松永安左エ門

    松永説明員 いや何でもないことであります。ただいまの御注意、すなわち先年の鉄道事業における状態とやや同じような場合には、相当政府当局の力を借りてこの難関を何とか抜けることについて種々努力をしておるかどうかというお話でございますが、私どもまだ十分時間等も持ちませんために、相当な提案を持つて政府当局とお話するまでにはなつておりませんけれども委員の一人として、松本委員長のごときは、財政の困難、あるいは各会社の資金難ということを打開するために、財政当局の官庁または中央銀行等に足を運んで相当お話になつているように承つておりまするが、まだもとより結果のはかばかしいことはないようであります。ことに政府からは、只見川、北山川の調査費に多額の援助をしておつてもらいますし、それからこれを生かすためにも、種々努力いたしまして、これによつてさらに外資の導入をするようになりますると、日本の政府並びに銀行等の保証もいることでありましようし、すべてその方面に向つて財政当局の御援助をひたすら仰がなければならぬことは存じており、今後とも努力を続けてみるつもりでおります。ただ米価の取扱いと違いまして、年々に豊作、不作で国民の食糧を補給する、足りなければアメリカから小麦を持つて来るというようなわけに電力は参りかねるのでありますがために、どうしても根本的に日本電源を開発するよりほかにないことでありまして、しかもそれは、できるだけ豊富に、豊富の結果できるだけ安くなるという筋を辿つて行かなければならぬのでありますが、これなかなか言うべくして行いにくい重大問題であります。日夜苦心しておりますが、その点について政府当局の御援助は得なければなりませんが、苦しいからといつて、政府から援助を与え、あるいは補給金を各業者に出してもらうということになりますれば、また話はあとに戻りまして、ちようど国有民営と同じことになり、ついには業者の自主的努力の精神をくだくことになります。それでは子供をあまやかして、いたずらにのらくら子供を育てることになりますので、あまり国家が補助する、補助するということは、私自身の立場ではお断り申し上げたいくらいに思う次第であります。それよりむしろ業者の自力によつて奮闘して、この日本のあり余つておる水利——私ども調査によると三千万キロまでは開発ができると思う。しかも開発したものはアメリカに比べても安いものができるということを確信しておりますが、この開発はどうしても業者の自力によつてつてもらうよりほかに手はないのでありますから、それを国家的に、あるいは社会的に国の税金で補助して行こうということでありましたならば、話は再び十年前に後戻りになりまして、もう一ぺん混雑をいたすということは忍びがたい事情であると考えます。その見地に立ちまして、業者に御苦労をお願いして、どうかつらかろうけれども努力していただきたい、そのかわり金が一時足らぬ分はできるだけ大蔵省そのほかに向つてわれわれも足を運ぶということを申しておつた次第であります。
  54. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 公益事業委員長代理の御意見は、非常にわれわれとしても喜ばしいことであると思うのでありますが、ただ問題は、委員長代理はそういうふうに言われておりまして、価格が非常に高くなつたということのために、これが現在の状態において、直接日本産業に、あるいは一般大衆に非常な大きな影響を及ぼすということを考えましたときに、それらの問題を完全に除去しながら、しかもいわゆる自給自足の態勢でもつてあくまでも苦しんでやるということでありまするならば、それでたいへんけつこうだと思うのであります。ただ私たち考えておることは、どう考えても今日の場合において、過去の修繕費の不足とか、あるいは固定資産の償却の不定とかいうような問題を解決するために、現在の需用家、あるいは今後の需用家に対してそれらの負担を多くかけるような状態なつたときには、一体日本産業はどうなるのか、また国民生活にはどういう悪い影響を及ぼすかということを考えましたときに、ある程度まで万全の策としては相当の考慮を払う必要がある、こういう考え方を持つておるわけであります。それに関連いたしまして、今日は大臣は旅行中でありますが、通商産業省なりあるいは物価庁なりの方々が、ことに物価庁は今日まで料金の算定については相当に大きな経験を持つておられるのでありますから、はたして電力の今日までの料金の算定がほんとうのいわゆる原価計算主義でもつて立案されたかどうか、そしてあるいはそれが物価に及ぼす影響なり、あるいはほかのいろいろな問題に左右されて原価計算でもつて行つてもつと高くならなければならぬものを押えて来たというような傾向があるかどうか、この問題をぜひ物価庁の係官から御返事を願いたい。それから首藤政務次官にお願いすることは、先ほど御答弁がありました通りに、これは非常に日本の現在の産業に大きな影響を及ぼすものでありまして、通産省は極度の値上げは絶対に反対だということをはつきり表明されておられるのでありますが、ただ反対だけでもつてそれでよろしいかどうか、これに対する対策をある程度まで別な角度で考える必要があるかどうか、この問題についての御答弁をひとつお願いしたい。
  55. 川上為治

    ○川上説明員 従来の、すなわち現在の料金原価計算的に見まして、当時設定しましたときに正しいものであつたかどうかという問題でありますが、私どもの方としましては、当時におきましては、すなわち一昨年の十二月の半ばでありますが、そのときもうすでに原価計算的には、はたしてそのとき改訂しました料金で、うまく行くであろうかどうかということを相当心配をしておりました。というのは大きな問題としてまず人件費の問題でありますが、人件費につきましては、現在の料金、すなわち改訂しましたときの料金のうちに含まれております人件費は、七千百円程度のベースでやつておりますが、その後におきまして、すなわち今年の一月におきまして、二回人件費は上つておりますし、またその七千百円ベースというものも、そのときの実際払つておる賃金よりもすでに低いところをとつていたことになつております。それからまた修繕費につきましても、私どもの方としましては、当時においてでさへも百数十億は少くともいるのじやないかというふうに考えておりましたが、これにつきましても八十数億で原価計算的には織り込まれたということになつております。これはもちろん司令部、すなわち関係方面といろいろ折衝しました結果そういうことになつたわけであります。減価償却につきましても再評価ということは全然考えないでやつております。そういうような意味から、そのときにおきましてはそうひどく原価的には苦しいものとは考えられないのですけれども、少くともその後の資材の値上りとか、あるいは人件費の高騰とかいろいろな点を見ますと、ある程度はやはり料金を引上げなければいけないのじやないかというように、原価計算的には現在私どもの方としましては考えております。ただ問題は程度の問題でありまして、それが各産業に対しまして、あるいは生計費に対しましてどの程度影響するかということと十分にらみ合せて、適当な料金を決定すべきじやないかというふうに考えております。
  56. 首藤新八

    首藤説明員 先ほど申し上げましたごとく、通産省はよつて来る影響がきわめて深刻でありますので、なるべく影響のない範囲内の値上げ要望しておるのであります。同時にこれも先ほど申し上げましたが、現在日本産業の発展途上におきまして、最も大きな隘路は実に電力の不足であります。電力の開発が日本産業発展のために最も大きな問題でありまして、しかも緊急を要する問題でありますが、この開発の財源については、外資の導入等も強く要望されております。しかし実際問題として、現在外資の導入がしかく簡単にできるものかどうかという点も一応考慮する必要あり、また同時に株主負担が建前としては当然でありまするけれども、しかし現在の株価から見て、はたして単費が可能であるかどうか、これも一応考慮しなければならないのではないか、かようなことをかれこれ総合して考えました場合、電力の開発をまず優先的に考慮して、それがために財源を得るということはやむを得ない措置ではないかという一応の考え方を持つております。が問題はしからばどの程度に出すべきか、どの程度が妥当であるか、これが一番問題でありまして、今物価庁担当官からも申されたごとく、これの程度いかんが今後の産業にどういう影響を及ぼすかということに相なつて参るのであります。通産省といたしましてはいろいろの場合を考慮し、それに対するところの影響も考慮いたしておるのでありまするが、いずれにいたしましても若干の値上げはやむを得ないのではないか、ただそれをなるべく最小限度にとどめることは好ましいという考えを持つておるのであります。
  57. 永井要造

    ○永井(要)委員 ただいま澁谷先生から御質問がありましたので、関連して一言お伺いしてみたいと思います。電力値上げという問題につきましては、私は前の委員会には不幸にも出席しなかつたのでありますが、非常に大きな影響を与えるものであるということで、慎重に考えておるわけでありまして、今日までわが党が内閣を担当以来、われわれに至るまでも国家の再建ということに対しましては非常に微力を尽して常に関心を怠らず参つたのであります。物価等もやや平静に復しまして、健全財政を堅持して今日に至つたのであります。このことは一般に認むるところであります。いよいよ八月には講和会議が締結されるという段階に入つたのでありますが、たまたま今年の一月から公益委員会というものができまして、この電気の再編成という問題はいろいろその間こだわりもありましたが、やや平静に復して来た際に、突如としてこの大幅の値上げを敢行するということは、まことに青天の霹靂的なことであつて、私ども国民全般とともに、大いにこれは考慮しなくちやならぬと考えておるものであります。日本が今日まで六年の間臥薪嘗胆して参つたのは、国民の協力は申すまでもありませんが、政府の施政方針がきわめて適切妥当であつたということはもうはつきりしておるのでありまして、たまたま国民の待望の講和が締結される直前に、公益事業の最高をつかさどつておるところ電力をかような大幅に値上げするということは、私どもは断じてこれに応対なのであります。私ははつきりとこれを申し上げて、国家的見地に立つて強く主張したいと思うのであります。産業というものは、いずれの産業にいたしましてもやり方いかんによつては、赤字にも黒字にもなることは私ども事業家の一人としてよく了承しおります。たまたま電力に対する大先輩の松永さんが、この公益委員会に入つておられるということは、われわれ意を強くしたのでありますが、ここに松永さんがおるにもかかわらず、かような大幅な値上げをするということは、非常に不愉快に感じ、不可解に思うのであります。国民が今日電圧の低下したままに甘んじていることは、電力事業に携わつている業者においても十分了承されていることと思うのであります。ラジオを聞きましても、また家庭の電燈にいたしましても非常に電圧が下つておりまして、私ども最近世界を一周して参りましたが、日本ほど電燈の暗いところはないと私は考えているのであります。世界一暗い電力を供給している電力事業者が、ここに公益委員会ができたからといつて松永さんがおるからといつて、それにすがつてそれも一割値上げとか一割五分値上げというならば、国民はある程度まではいろいろの面から考えまして了承するかもしれませんが、このむずかしい時期にあたつて七割の値上げを断行するということは、政府はもちろんのこと、国民も断じて承服できないと私は思うのでありますから、どうぞ公益委員会におかれましても、また業者におきましても、十分考えを新たにしていただきまして、ほんとう日本が講和後にも大きなインフレーシヨンを起さずに、今まで持ちこたえて来たこの状態に大きな波紋を起さないように、国家再建のために犠牲になつていただきたいということを申し上げておきます。これに対して御答弁はいりませんけれども、現段階において非常に大きな影響をもたらし、もし強引にかようなことを行いまして日本経済に破綻を起さすようなことがあつては、今まで臥薪嘗胆したのが地に落ちてしまうわけであります。非常にむずかしい大きな問題であることを、委員会におきましても、また業者におきましても十分にお考え願いたいと思います。  三十六億の社内保留が隠されておつたということも、国民は非常に疑惑の目をもつて見ております。先ほど河野委員からもお話がありました通り、その行方について私どもつまびらかでありません。しかしそれはそれとして適当に処分されることと思うのでありますが、これまでわれわれが努力を払つて来たこの国家の安定した経済を破綻に導くようなことのないように、十分お考え願うことを切望してやまないのであります。一言申し上げます。
  58. 中村幸八

    ○中村委員長代理 次は福田一君。
  59. 福田一

    ○福田(一)委員 私は今までの同僚議員の質問によりましていろいろわかつた面もありますが、二、三補足的な質問をさせていただきたいと思うのであります。今まで電気料金値上げということが世間に出ますと、世間からはたいへん大きな反撃を食つているわけであります。電気料金値上げ電気会社がなさる気持、また公益事業委員会電気料金の一部の値上げを認めなければならないというような考えを持つておられる根本の理由は、将来の日本産業ほんとうに立ち上らせるには、日本の動力源をなしているところの基礎産業である電気からまず始めなければならぬ、これによつて初めて日本産業が立ち上れるのであるという一つの高い理想を持つておられるところにあると考えるのでありますが、そういうような面が少しも国民に徹底しておらないということは、これは公益事業委員会あるいはまた関係電力業者の怠慢でなければならないと私は考える。この点をもう少しはつきりさせることが必要でないかと思うのであります。しかしこれはわれわれとして言うよりは、むしろ皆さん方ここに出ておられる人たちの御努力にまつべきことの一つであると私は思うのであります。しかし今度の電気料金値上げにつきまして、今世間で一番問題にしておるのはどこかというと、再評価を急激にやろうとしておる点である。一般の産業電気というものとを比較してみた場合に、なるほど電気も基礎産業であるけれども、一般の産業もまた非常に重要な国家の産業経済の一環をなしておるものである。しかるにその中における電気というものだけがフルな資産再評価をしなければいけないという考えを持つておるのはいかがなものであろうか。すなわち一般産業についてみますと、大体六〇%ぐらいの資産再評価はいたしております。しかもこれらの産業は戦時中あるいは戦後を通じまして、いろいろな苦しみを受けておりますので、電気と同じく非常な苦しみを今受けておる。そういう同じような境遇にあるにかかわらず、電気だけはフルに定額一ぱいに一〇〇%の資産再評価をする。そうしてしかもそれを定率法によつて二百五十億円余という資産再評価によるところの減価償却をする。その減価償却電気料金として消費者にかけるということは、一般の国民の生活を脅かすのみならず、ほかの関連したる産業というか、電気を使つておるところ産業を脅かすものである。こういう反対が私は出て来ておると思うのであります。  そこで私が今までにもお伺いしたことでありますが、もう一ぺんこの席上でお伺いいたしたいと思います。ことは、大体新しい電力会社が五月の一日にできまして、人員の配分が起り、あるいはまた資産の分配がようやく行われようとしておりますけれども、これがまだほんとうにはつきりしておらない。また会社の内部におきましても、会社首脳部ほんとうにその会社の人心をまだ把握するまでには至つていないかと考える。また自分のところ電気会社がどれぐらいの供給力を持つておるか、また自分の地域の産業がどれくらいの需用量を持つておるかというようなことについても、あるいは、将来の見通しについても、まだ的確な数字が出て来ておらないと私は思うのであります。従いましてそういう状態において電気事業の資産再評価をフルにやらなければならないということは、建設、いわゆる電源開発をするために、すなわち基礎産業の中でも基礎産業であるところ電気の再建が産業の開発にどうしても必要だということを言われますけれども、これを二段階にわけて、まず一応一定の料金値上げをされまして、資産再評価は来年の九月までできるのでありますが、そういうこともにらみ合わせて二段階に電気料金値上げをお考えになることでなければ、いかに高邁な理想であつても私は実情に即せぬのではないか、かように考えるのでありますが、これに対して公益事業委員側、あるいはまた業者のお方からお答えを願いたいと思います。
  60. 松永安左エ門

    松永説明員 ただいまごもつともな御発言であつた思つて傾聴いたしておりました。これにつきまして業者の方から、再評価した御信心あるいは償却についてどうせなければならぬか、そうしてそれがどういうふうに織り込まれて一般の産業にそう迷惑がなく、かえつてこれによつて電気事業の開発あるいはロスの逓減をはかつて国民の生活をゆたかにすることができるかということについては御答弁があることと思つております。その前に、再評価の問題でお話がありましたが、一般の再評価も平均六〇%前後であるにかかわらず、電気事業者がそれを一〇〇%主張するということは少しく急激ではないか。かりにその考えがあるにしても、それは二段階くらいにわけて、急激なる変化を避けるのがいいじやないかというお考えについて、その点だけをちよつと申し上げておきたいと思います。  二段階にするせないの問題については業者の方の御説明もあろうと思いますが、私の方として再評価の電気事業者に対する観念の持ち方は、同じような産業でありましても、たとえば紡績事業のごとく二つばかりの紡績会社は一〇〇%の償却をいたしております。平均しますと紡績会社全体でも七十何パーセントになつておるかと思つております。そういうふうで一〇〇%したものもすでにありますが、電力事業のごとくほとんど九〇%が資産によつておりますのは、おのずから償却しまするのがまじめで、りつぱにしない限りは、その資産の維持及び自分の会社の信用を維持することは困難であろうかと思います。かりに紡績会社そのほかを比べて見ましても、その資産はおもに固定資産というよりは流動資産、あるいは綿花の貯蔵その他によつて営業を確保して行つておるのでありまするが、電力事業のごときはほとんど全部が固定資産に依存しております立場において、この償却は先金償却を希望いたしておるのであります。ただその完全償却にあたりまして、他の振合いを見てという、お言葉に対して別に抗議を申すわけではありませんけれども、固定資産に依存し、しかもその資産の維持が悪ければ国民の迷惑になるべきものと、物の売り買いによつて多少の損益はカバーできるものとの間に、公益事業としての性質上の差がはなはだ多大でありまする点を考えまして、私ども公益委員会の算定基準は、定率によつてやる、再評価は無理にむちやくちやに高い再評価されては困る、適当な再評価をしてもらいたいということの希望を申し述べております。業者において出しておられる今回の再評価は、まだよく拝見いたしておりませんが、これについて業者の方から御説明があることと思つております。
  61. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 ただいまの福田議員さんのお話まことにごもつともと存じます。御意見に対して十分なる敬意を表するものでございます。私何分にも電気会社関係いたしまして様子を見ますと、ただいまでさえも非常に電気が足りません。先ほども申し上げました通り、ただいま申込みを受けておるものさえも五十万キロある。いかにこれに対するか、実は心配にたえないのでございます。しかもただいま工事中の発電所といたしましては、群馬県等にありまする二万三千キロの水力だけであります。これでは何ともしようがありませんで、急場に間に合せますには、実は石炭をたいて非常に不経済になるのであります。日本では今石炭がないとか騒いでいるときに、なおこの石炭をたくような発電所をつくらなければならないというこの窮状をお察しくださることができると存じますが、ただいま火力発電所の二万キロを拡長しております。合せて五万キロほどの電気をただいまつくつておるのでございますが、先ほども申し上げましたところの五十万キロには何とも足りません、私は早くこれをやりたいと非常なる心配をしているのですが、いかにもお金がございません。いろいろ御心配いただきまして、見返り資金においてもずいぶん御心配いただきましたが、その他の資金は、私どものわすかな株金、資本ではほんのわずかで、しかもこれに対する社債の能力というものも非常に悪うございまして、すでにこれはほとんど使つております。従いまして、国家資金の預金部資金でございまするとか、あるいは開発銀行の資金というものを、ぜひぜひ皆さん方におきましても御尽力を願いたいと存じます。また一方におきましても、外資の導入ということよもいろいろおすがりしておりますが、何分にも私ども会社赤字でございまするので、これではなかなか外国の資本もどうかと存じております。それで私どもはできるだけ現在の設備を完全に直したいと日夜苦労しておるのでございますが、先ほどもお話いたしました通り、ただいまでも火力をたいておるような始末でございますから、なかなかこの手入れが困難でございます。私ども従業員の方々も非常に苦心しておりまして、ただいまでも、あそこの発電所をとめてくれ——実は新潟県の方に中津川という発電所がございますが、これを早くとめてくれと毎日催促されております。これを直さないと、もうじきに水路がこわれやしないかというので、ずいぶん責められております。私どもはこれを直す機会の早く来ることを非常に持つておるのです。すなわち多少の火力をたいてもこれを直し、かつ将来の不安をなくしたいと存じておるのでございます。そういうわけでございまして、従業員の方々も大体は夜修理にあたり、一般の人が休んでいるときに残作業をやつておる。電気は夜が少うございますから、この期間を利用いたしまして、夜とか休日とか日曜とかいうものでせつかくやつているような始末でございます。従いまして私ども公益事業といたしましては、私どもに課せられたところ電力の供給の確保というものを、できるだけ十分にいたしたいと始終いろいろな苦労をしておる次第でございます。ただいま償却のことがございましたが、私どもは再評価がこれこれ、あるいは償却率が定額であるとか定率であるとか、いろいろ議論もございまするけれども、結局は償却の額でございます。この額を私ども希望するのでございまして、それがために再評価を十分にしていただきたい、あるいはできるだけ多い課税されないところ償却金がほしいということを心配しておるのでございます。それで私ども今度値上げを御認可願いまするところの書類には、定率法による一%の償却お願いいたします。しかしこのかけた乗積の数というものは、ただいま私どもでは五十七億を計上しております。一見いたしますと、五十七億というのは非常に大きな数のように思いまするが、私どもが昔東京電燈に関係しておつて外債を募集いたしましたときの償却の年額は四千万円でございます。ただいまのお金にいたしますとおそらく七、八百億ではなかろうかと存じます。ただいま私ども東京電力といたしまして預つているところの資産というものは、東京電燈のその時代よりもはるかに大きくございます。日発から引受けたところの財産は——その当時における発電会社といたしましては、東信電気とか上毛電気とかいろいろ二十くらいの会社がございまして、この資本を合せても七十億くらいの償却をいたしましたが、ただいまフルに再評価し、しかも定率でやつてもかつ五十七億でございますから、その額から比較いたしますと少いのでございます。しかし新聞に伝えられます通り、定率でやれば幾ら、定額でやればそれから何十億かふえるだろうということはございます。新らしい発電所ができますと、これは定額でやろうと定率でやろうと、どちらでも同じでございます。初めのときは定率の償却が多うございます。初めの方は毎年同じでございまするが、最後の耐用年限におきましては結局同じなんですから、どちらでもさしつかえないと存じますが、現状におきましては償却がいかにも少いのでございます。それがために再評価も法律の許す限りにおける一〇〇%、償却も許すところの定率の一〇〇%、合せまして五十七億をお願いしているのでございます。その五十七億が多いか少いかは、私どもちよつと見たのでは判断がつきかねまするが、一番簡単にわかりやすいところの例を申し上げますると、私どもが市内に配電線をたくさん持つております。この配電線の償却が再評価いたしますと十九億でございます。再評価前の額は一億何千万円でございますが、再評価いたしますと十九億、約二十億でございます。これを定率で償却いたしますと一億二千万円でございます。それで私どもが預つている電柱は約百二十万ほどございまして、その建てかえはどうしても年十万本あるいは八万本、かりに十万本いると申し上げますと、一億二千万円の償却で毎年十万本の建てかえができるかということになりますが、十万本を建てかえますにはおそらく六億いると思います。六億の建てかえを要します。この建てかえは私ども経費ではやりません。すなわち建設でやります。その償却が先ほど申し上げました一億二千万円ではおそらく二万本しかできない。償却でできるのは三万本でして、私どもに必要なのがその四倍でございます。この理由は結局再評価額が少いからでございます。私どもただいま再評価を上げてくださいとは決して申し上げません。これはすでに法律できめられております。それですから、償却法をかえてまで増してくださいとは申しません。ただ許す最低限度、すなわち一〇〇%の評価をお願いいたします。また償却についても定率をお願いいたします。定率と評価額とその乗積がいかにも少いということを申し上げまして、私どもが一〇〇%の評価、一〇〇%の償却お願いするのもやむを得ないということを十分おくみとりを願いますれば、私どもの満足するところでございます。
  62. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまのお話によりますと、再評価をして、そうして定率法によつて減価償却を一ぱいにやらなければならないという業者側の御意見はよくわかるのであります。電気事業のみから見たならば、私はごもつとも意見だと思う。しかし公益事業であり、公益事業委員会ができた使命から考えてみましても、また電気というものが国家の産業と離るべからざる関係にあることから考えてみても、それだけの理由をもつてしては、他産業との均衡とか、比較とか、あるいは他産業への影響ということを無視してよいという理由には私はならないと考える。これを勘案してきめて行くのが、公益事業委員会でなければならないと思うのであります。この意味において、私は公益事業委員会が深甚なる考慮を払われることを切望いたすものであります。  そこできようは実は時間があればこういう問題ももつといろいろ聞いてみたいのでありますが、時間がないから、要点だけを申し上げるのでありますが、その次に私ここで一点お伺いいたしたいと思うことは、一体二百五十億円ほどの減価償却を今度は電気事業でされなければならないといつておられるのでありますが、この減価償却費と、修繕費として会社側から二百九十億円という金を出して来ておられる。この修繕費が——二百五十億といたしてもよろしいのでありますけれども、二十四年、二十五年度の実績を見ますと、修繕費は予算が八十何億円、九十億円くらいになつておる。そういうように電気業者の方からは出ておる。それが急に今度は三百億円近い修繕費がいるということになると、これはやはり世間の人が非常に疑問を持つのではないか。その点が明瞭でない。明瞭でないというのはどういうことかといえば、一体修繕費というものはどういうものに充てているのであるか、またいわゆる減価償却というものはどういう面に使うのであるかということがはつきりしておらないところに、この疑問が出て来ると思う。われわれの了承しておるところでは、昨年の八十何億の予算というものは、自発や配電の側の人が、官庁に対しまして、今のところは減価償却もフルに行えないで、修繕さえできない。そういうような修繕というか、いわゆる減価償却ができないので、ほんとうの営業ができなくなつて来ておる。だからどうしても修繕費というものを認めてもらわなければ困ると言われて百四、五十億の修繕費を要求された。当時お役所との間にどういうやりとりがあつたか私は知りませんけれども、とにかくその結果として八十何億、九十億の修繕費を使われた、こういうように了承しておる。それが急に今度は四倍内外まで上つて来ているというところ一つの疑問があるのでありまして、私はここで皆さんにその内容を全部説明してどういう結果になつているかということをお伺いする意思はありませんけれども、時間もないし、また電気料金があすにでも上るということなら、それを明確にしていただきたいのでありますが、まだそういう時期まで来ておらないから、修繕費と減価償却との関係はどうなつておるかということを明確にしていただきたいと思います。こういう意味ではおそらくあなた方の方から的確な資料とか何かお出しになつて説明になるだろうと思いますが、どうかこの面をもう少しはつきりお調べを願いたい、かように考えるものであります。  もう一つは、その他経費というのが出ておるのであります。これも二百何十億出ていると思います。この中には当然必要な経費もたくさんあるのでありますけれども、私は先ほど御答弁を承つてつて、とにかく建設を大いにやらなければいけない、その場合には外資も導入しなければならないし、また国内において社債とか、あるいは将来は増資をはかるとか、いろいろなことがある。それには会社事業を安定しなければならない、こういうこともお話があつたのですが、今までは電気会社というものは配当されておらなかつた。私はこれは非常にふしぎに考えているのであります。大体電気会社の資本金は、今のところは公称資本七十二億、その一割の配当をしても七億二千万円——私どもは数字の魔術にかかつてはならないのでありまして、たつた七億二千万円の金を出すと一割の配当ができる。ところが、ほかの経費には二百億とか三百億というような金を出すような案が出ておつて、そうして今建設をするために金が必要だというならば、こういうような配当の問題も取上げてちつともさしつかえないではないか。もし電気会社の人が、ほんとうにまじめに国家の重きをもつて任じておられるならば、すなわち正しいことをしておるのだという自信を持つておられるならば、主張すべきところは当然主張すべきである。だから配当なんかの問題も出して来てさしつかえないと思う。そういうことが出て来ない。いまさら電気料金を上げて配当などといつたらへんだろう、怒られはしないか。しかし千億もの出入りのある中で、七億やそこらの配当があろうがなかろうが、それは大した問題でない。私はそういう面はもつと大胆になつてもさしつかえないんじやないかと思う。これもひとつはつきりお考えを願つた方が——社債を募集するとか、今のように株価が四十円か四十五円であつては——しかも国家がこれに対して公益事業だから補助してやるということになつておるなら、そういう必要もないでありましようが、国家は何にもこれを補助することはできません。何となれば、これは企業である。公営事業とか、公社とかいうような会社にしたわけでも何でもない。これはやはり一種の私企業である。独占私企業である。そうして公益性を持つた独占私企業ということになれば、これが将来の日本産業のために、また国民生活を向上させるために必要とあれば、こういう面も十分考慮されてよいではないか、遠慮しないでやられてよいじやないか、こういうふうに私は考えます。従つてそういうような経費の内容というようなものも、もう少しはつきりお出しになつてはいかがかと私は考えます。  もう一つお伺いいたしたいことは、今までの電気料金を見ますと、中小企業の工場で使つておる電力料金は、普通の電燈料金よりもどうも高いようであります。これは数字が出ておりますが、片一方は五円五十銭ぐらいで、中小企業で使つておるのは五円七、八十銭になつておると思う。こういうことはどうも少しおかしいことで、これは電気業者の方にもう一ぺんお考えを願わないと、日本産業の中で中小企業が占める地位というものを考えてみますと、もとより、ものによりましては、大きな資本を擁してやらなければ能率が上らないし、またできないものもありますけれども日本から急に中小企業をなくしてしまうことはできない。こういう意味からいつて、中小企業に対する電力料金が、一般のわれわれが使う電燈料金よりも高いというような統計が出て来ることはおかしなことではないかと考える。これは皆さんもうすでにおわかりと思うけれども、よくこの点をお調べになつた上で特に考慮をしていただきたいと思います。いずれにしましても、私まだまだ実はいろいろ御質問申し上げたいことがあるのでありますが、きよういただきましたこの資料は、前に各電力会社から出された資料でありまして、新しい基準によつておつくりになつた資料はまだ出ておらないと思うのであります。これが出てからもう一ぺん検討をした方が私は合理的であると思います。そういう意味において今度電力会社基準に基いてお出しになる新しい資料はいつごろできるかということをひとつ承りたいと思います。
  63. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 ただいま御質問のいつできるかというお話は、もうできたところもあります。またまさに出さんとするところもございます。それは基準案が十六日に公布発表されたからでございます。それから修繕費償却のお話がございました。私どももいつもこの修繕費償却費が重なりやしないか、重複しないかということを心配しておりますが、その点は先般も公益事業委員会におきまして、電気事業の会計を明瞭にしろというので、会計規程が発布されております。私どもはこの規程が十分に完全に実行されますと、いわゆる電力原価のなす要素というものが一目瞭然といたしまして、ただちにこの原価がいいか悪いかということが判明できると思います。この点につきまして、公益事業委員会が何か米国でおやりになつておるようなことをおまねになつて、完全なる会計規程をつくつていただいたことは私どもまことに感謝にたえません。ぜひこれは実行いたしまして、とかく電気事業がいいかげんではないかという、一般の輿論をぜひぜひ改善いたしまして、この内容がほんとうに透明であることを私はいつも念願しております。これからの電気事業はどこから見ても透明でなければならない。私はこれを実行する信念でございます。これに加えまして、委員会からそういう規程が出ましたことは、まことにありがたい、感謝にたえないと存じます。これを私は十分遵奉いたしまして、会計の明確を期したいと存じます。修繕費と申し上げますと、あくまでも現在の設備の維持、補修でございます。償却と申し上げますと、あくまでも現在の設備が破損したとか、あるいは現状が維持できないというときのとりかえ費でございます。先ほど申し上げました電柱で申し上げますと、電柱は、毎年拡張の分は、これは建設費でやつております。しかしながら耐用年限が来ますと建てかえをしなければなりません。これは建てかえを経費でやつてもよろしゆうございます。そのかわりに償却は不要でございます。しかし私ども償却お願いいたします他方において、電柱の建てかえを経費でいたしますことはよろしくございません。償却がいただければ電柱の建てかえのごときは十分建設費、すなわち資本勘定でやつてよろしゆうございます。決してその建てかえを需用者に負担をお願いいたしますことはいたしません。しかし償却がなければ、これはどうしても経費でやらなければなりません。しかしこれは平常の事態でございます。先ほど申し上げました再評価が少な過ぎます。すなわち償却が少な過ぎますから、ぜひ再評価を一ぱいにやつていただきたい。また償却も一ぱいにやつていただきたい。しかし電柱の建てかえは建設費でやります。しかし毎年建設費でやりますと、結局は固定がふえて、これに対する金利あるいは償却がだんだん重なりまして、これを結局需用者が負担されるのでございます。その点で私どもはあくまでも償却建設費あるいは修理費というものは明瞭にいたしておるつもりでございます。
  64. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまの御説明を聞いておつてたいへん考えさせられる面があるのであります。それは国状はただいま十万両の貨車を持つておるのであります。国鉄の事務当局内では、これはどうしても一年に五千両ないし六—両を廃車にいたしまして、新しい貨車をつくつて行かないと、とても輸送ができないと言つておる。今日本産業の中で輸送ということは非常に大事でありまして、これはどうしてもりつぱな貨車をつくつてどんどん輸送をして行くということが非常に必要であります。ところが廃車してかえて行く車両というものは、希望の三分の一にも満たない非常に悪い貨車を使つて、しかもなお一生懸命に輸送をやつておる、こう言われておるのであります。ただいまの東京電力社長さんのお話ですと、これは非常に電柱が——これは例でありますから、それを突ついて言うのではありませんが、電柱をとりかえなければならないような状況において、それの減価償却をして行く分と修繕して持つ分、いろいろ考えて行くとまだ足りないのだ、こういうことを言われるけれども、それは日本の国力というものとにらみ合せて考えることがそこに必要になつて来る。なるほど電柱は腐つて来ても——五十年とか三十年とか存命があつても、中には全然とりかえないでもまだ五年や十年持つものもあれば、持たないものももちろん出て来ましようが、そういうものを勘案して、なるべくそれを持たして行くというような行き方にするならば、私はそれほどたくさんの修繕費と減価償却費というものが、はたしてこのほうはいとして起つて来ておる国民電力料金値上げ反対の声に抗してまでもこれをやらなければならないのかどうかということを、電力業者としてではなく、国民の一人としてもう一ぺんお考えになつてしかるべきではないか。この意味では、特に公益事業委員会がこの点を強く認識されてこの問題を処理されたいということを、私は強く希望いたすものであります。いずれにいたしましても、まだまだ質問もございますけれども、ただいまのお話では、新しい資料もそのうち全部出そろうそうでありますから、私は委員長に希望いたしますが、その新しい資料が出そろいました上で、もう一ぺん委員会を開きまして、電力料金に関する審議を継続されんことを希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  65. 中村幸八

    ○中村委員長代理 承知いたしました。  それでは以上で通告の質疑は終了いたしました。この際参考人の各位に一言お礼を申し上げます。御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたり御出席くだされ、種々貴重なる御意見を御発表くださいましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。本委員会といたしましては、各位の御意見を十分参考として今後の審議に万全を期したいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会