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1951-06-11 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月十一日(月曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長代理理事 中村 幸八君    理事 多武良哲三君 理事 高橋清治郎君       今澄  勇君    今泉 貞雄君       神田  博君    澁谷雄太郎君       中村 純一君    福田  一君       南  好雄君    村上  勇君       金塚  孝君    河野 金昇君       風早八十二君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  委員外出席者         公益事業委員会         委員      伊藤忠兵衛君         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         通商産業事務官         (通商企業局次         長)      斎藤 正年君         物価政務次官  郡  祐一君         物価庁次長   熊田 克郎君         参  考  人         (中部電力株式         会社監査役)  清水金次郎君         参  考  人         (東京電力株式         会社社長)   安蔵 彌輔君         参  考  人         (中国電力株式         会社営業部長) 真田 安夫君         参  考  人         (東北電力株式         会社社長)  内ケ崎贇五郎君         参  考  人         (関西電力株式         会社常務取締         役)     一本松たまき君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 大石 主計君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 六月四日  委員松本太郎君辞任につき、その補欠として  河口陽一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月五日  電気事業及びガス事業に関する件  貿易の振興並びに貿易資金調達に関する件  中小企業金融状況並びに中小企業等協同組合  に関する件  鉱業、採石業鉄鋼業繊維工業化学工業、  機械工業その他一般工業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気料金問題に関する件     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長代理 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  本日は私が委員長の職務を行います。本日は電気料金問題に関する件について調査を進めます。  電気料金の問題は現在論議の的となつておるところでございまして、その影響は各界に多大の関係を与えるものでありますので、本日は審議の参考に資するため、東京電力社長安蔵輔君関西電力常務一本松たまき君、中部電力社長井上五郎君、東北電力社長内ケ崎贇五郎君、中国電力営業部長真田安夫君、以上五名の方々参考人として御意見を述べていただくことに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村純一

    中村委員長代理 それではそのように決定いたします。  まず参考人方々に対し、この席よりごあいさつを申し上げます。  参考人各位におかれましては、遠路御多用中のところ、本委員会に御出席くだされ、まことにありがとうございました。何とぞ本調査に対する重要性を御了察の上、忌憚のない御意見を御発表くださるようお願い申し上げます。  それでは質疑に入ります。今泉貞雄君。
  4. 今泉貞雄

    今泉委員 近く電力料金を大幅に引上げる意思を、各電力会社が持つておるということで、国民一般、特に経済界方面に異常なシヨックを与えておるということは、周知の通りであります。もちろん炭代その他発電原価高騰した点から考えてみましても、この際ある程度料金引上げがやむを得ないことは何人も一応了承するところであります。  しかしながら電力料金引上げは、その影響するところがすこぶる広汎であり、かつ産業界に及ぼす影響がきわめて深刻なものでありますので、その値上げの率については、万やむを得ざる最低限度とにどめるべきことであり、合理化その他企業みずからが最善の努力を尽した後、なおかつ経理上万やむを得ない限度を定めて、そこにとどめるべきであつて、いやしくも単に終戦後における電力料金高騰率が他の物資に比べて低率であるからといつて、それにさや寄せをするために値上げをするなどというような安易な考えであつてはならないことは、論をまたないことと思うのであります。同時にまたこれが真にやむを得ない最小限度であるということを、一般消費者大衆に十分に納得が行くように努力することが必要であり、なおまた電力会社経理改善をはかるに急なるあまり、他を顧みるのとまがないというがごとき一方的措置に終ることのないよう、料金値上げによつて生ずる産業界その他各方面への影響、特にインフレ防止日米経済協力等支障の生ぜしめないような対策を確立した後に、この料金値上げを実施するようにとりはからわれたいと考えるのであります。これらに関しましてお聞きしたいことは、たとえば料金と一体不可分の関係にある電力割当の問題、その他多々あるのでありますが、同僚議員各位質問もあることでありますので、私はその大綱に関する三つの点を指摘いたしまして、質問をいたしたいと思うのであります。  第一にお尋ねいたしたいことは、電力料金引上げインフレ防止、並びに日米経済協力との関係についてであります。本年の五月十六日、総司令部から発表せられましたマーカツト少将の声明によると、アメリカ講和後も日本の福祉と進歩について引続き好意を持つことはきわめて明瞭であるが、しかし日本占領中、史上まれな寛大さをもつて日本復興を助けて来たアメリカとしては、講和条約の締結後においては、すでに達成された健全なる経済的進歩から逆行するような場合、日本を救出する義務があるとは考えていない。高度のインフレが起れば、日本製品は割高となつて世界市場から締め出され、日本は適量の原料輸入の道をはばまれることになるであろう。また世界の他の国々が工業製品国内価格国際的水準に調整する措置をとつておる場合には、日本においても同様の措置考えることが必要である。これがなされなければ、日本競争能力を失うに至るであろうということであります。これらの点から考えてみましても、電力料金引上げのために、インフレを助長し、日米経済協力障害を及ぼすことがありはせぬかということは、満天下の最も重大な関心事でございます。電力会社自体においても、料金引上げの結果、インフレを助長し、物価全面的高騰を来すことともなれば、電源開発したちまち支障を生じ、みずから墓穴を掘るの愚を演ずる結果となるでありましよう。  政府は今回の電力料金引上げによつて生ずる影響を、各種産業の内部においてそれぞれ吸収し、製品価格高騰を解消し得ると考えておるかどうか。はたしてしかりとすれば、その吸収し得る限度は、現行電力料金に比しておよそ何パーセントの引上げとなるか。あるいはまた吸収限度を越すもやむを得ないとして、それに対するインフレ防止、並びに日米経済協力上の障害を除くため、他に何らかの行政措置を講ぜんとするのか。またかような見地から考えて、かの五月十七日付をもつて公益事業委員会から出されたところの電気料金算定基準案の第一条、料金算定基本原則中には、単なる電力会社経理改善にのみ偏することなく、一般物価体系との関連において全産業復興を考慮して決定するという趣旨が、当然織り込まれておつてしかるべきではないか。なおこれに関し、特に尋ねたいことは、製品価格が公定せられ、もしくはそれに近い状態にあるものに対する措置についてである。一例を硫安工業にとるならば、巷間伝えるがごとき電力料金引上げが行われるとすれば、硫安においては、ガス法においてトン当り約千九百円、電解法においては一挙に五千四百円の原価高となり、さらに関連産業からのはねかえりがあるとすれば、その高騰は驚くべき額に上るのである。ガス法のごときは今日においてさえもすでに採算割れとなつておるのであるが、これらの肥料食糧政策に重大なる関係を持つがゆえに、その販売価格は実質的には公定されたと同様の形である。従つて電力料金引上げに関する政府の施策よろしきを得なければ、硫安工業の壊滅、ひいては食糧需給上ゆゆしき大事を招来することとなると思うのであるが、政府所見はどうであるか。  以上電力料金算定基準案第一条に関する件、料金引上げによる影響消費産業吸収し得るかどうか等の件、並びに製品価格が公定された産業に対する措置に関する問題について、まず政府公益事業委員会並びに電力会社答弁を承りたいと存ずるの一であります。
  5. 中村純一

    中村委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、中部電力社長井上五郎君が御都合により御出席不可能となりましたので、その代理として、中部電力監査役清水金次郎君に、御意見を述べていただくことにしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村純一

    中村委員長代理 それではそのように決定いたします。  斎藤説明員
  7. 斎藤正年

    斎藤説明員 今の御質問のうち、電気料金吸収の問題と、それから物価騰貴を抑制するための行政上の措置、それから肥料価格への影響、その面からの硫安工業に対する措置という三点についてお答えいたします。そのうち、物価高騰を抑制する措置という問題は、これは単に電気料金のみではございませんので、すでに鉄鋼価格につきましても、現実に現在の価格ですら相当な問題が起つております。それから鉄道運賃値上げの問題が、やはりすでに問題になつておりまして、そういつた点を全部ひつくるめまして、総合的に対策が立てらるべきものと思いますが、現在のところまだはつきりとした対策決定いたしておりません。われわれとしては、ちよつとお答えいたしかねる次第であります。あるいは別に、経済安定本部の方からでもお答えがあるかもしれません。  それから電気料金吸収、すなわち製品値上げ程度と、特にそれが肥料の場合にどうなるかという御質問でございますが、これは実は今まで値上げの案と申しますのが、各会社から個々に出ております。しかもそれが供給条件によりまして、はなはだしく影響の差がございます。硫安を例にとりましても、全体の値上げの率は六割でありますとか、七割でありますとかいうような、全体的に見ればそういう程度のもののように承知しておりますが、これが具体的に個々会社について、個々電力会社値上げの案をそのまま適用してみますと、二倍半とか、三倍とかいうような数字が出て参ります。全般的な値上げの率と非常にかけ離れた数字が出るようなものもございます。従つてこれはおそらく今度委員会で発表されました料金算定基準によりまして、具体的に料金が認可になる際には、こういつたような点が相当調整されるのではないか。従つて料金算定基準によつてあらためて計算し直された価格によつて、その影響を判定する以外に、ちよつと今方法がないわけであります。今度の各会社の案には、特に大口料金を非常に大きく値上げするような案になつておるようでありますが、われわれとしては、そういつた方針にはどうしても賛成できませんので、おそらくその点は、公益事業委員会の方でも十分考慮されることと思つております。従つて現在のデーターだけで吸収が可能かどうか、あるいは硫安工業にどういう影響を及ぼすかということは、ちよつとまだ申し上げるような段階まで研究が至つておらないと申し上げるよりしかたがないと思います。
  8. 今泉貞雄

    今泉委員 私が質問いたしましたその内容は、消費産業吸収し得る程度電力料金値上げするか、あるいはまた吸収し得ない状態においても、現在の電力会社が希望するところの電力料金値上げを認める考えであるか、それらの点についての政府所見伺つたのです。
  9. 斎藤正年

    斎藤説明員 まだこの問題につきまして、政府部内で十分討議をして、意見の一致を見たというところまで行つておりませんが、料金算定基準だけにつきまして、けさ公聴会通産省としての意見を述べておきました。それについての何らの返答も承つておりません。さらに安本、物価庁のような、ほかの官庁ともまだ交渉しておりませんので、政府としてどのくらいまでならのめるというようなことは、まだ申し上げる段階に至つておりません。通産省自体研究状況は、さつき申し上げたような状況でございまして、その点でも、申し上げるような段階に至つておりません。ただ通産省といたしまして根本的に考えますと、さしあたり産業政策見地から見ましては、電力が豊富に、しかも良質の電力が得られるということが、まず最大関心事であります。今後合理化のためにも、また日米協力というふうな問題のためにも、結局生産能力引上げて行くということが、一番最大の問題であると思います。そのためには、現状電気の供給される量なり、質なりがきわめて不満足なものであるということは、御承知の通りでありますが、その点今度の値上げ問題についても、大きく重点を置くべきであると思つております。もちろん料金算定にあたつては、合理化の要素を相当強く織り込んでもらいたいということは、特に強く要望したいところでありますけれども、しかし合理的に経営がなされる限り、今後の電気の施設の改善なり、あるいは能力の拡充が、十分可能の程度値上げをされるということはいたし方ないことである。ただその面を、全般的な価格政策の而からどういうふうに調整するかということは、今後の政府の問題でありますけれども通産省として、それをどういうふうに調整するという、あるいはその影響が強ければ、そういつた第一要請をある程度犠牲にしても、ある限度まで押えてもらいたいという、そういう数字的な作業までは、まだ研究ができておらない段階でございます。その点御承知願いたいと思います。
  10. 今泉貞雄

    今泉委員 この席上には、公益事業委員会の方はお見えになつておりませんか。
  11. 中村純一

    中村委員長代理 見えております。
  12. 今泉貞雄

    今泉委員 それではお尋ねいたしますが、料金算定基本原則中に、電力会社経理改善にのみ偏することなく、一般物価体系との関連において、全産業復興を考慮して決定するという趣旨を、当然公益事業委員会考えて、この電力会社の現在の値上げに対してどういう考え方を持つておるか、お伺いしたいと思います。
  13. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 それでは私から、ごく限定されました、公益事業委員会に関しまする範囲の御答弁を申し上げます。基本料金算定は非常にむずかしい問題であります。並びにこれが国民思想、また実生活に与えます影響も、皆様のおぼしめしとさらにかわらない考えを持つております。ひいてはこれを多量に消費いたします産業一般経済に及ぼします影響につきましても、これまた論のないところであります。しかるに一方事業者でありますところの、新発足いたしました九会社経理の、いわゆる収支面をつぶさに—従来のものを基準といたしました収支計算を点検することによりまして、はたしてこれで、日本の非常に大切なる電力事業運営が立ち行くものかということに対して、私どもも疑惑の念を持つているのであります。これを是正し、健全なる発達をせしめ、ひいてこれを日本産業基礎であります一般産業に奉仕せしめるということが、電力会社の真の使命である以上、ここにある確立したものをこの際に定める—これはすべて国民方々納得していただく、すなわち合理性を持つた電力料金算定せしめ、われわれの委員会も、初めてやります料金制定に、これを採用すべきものであり、その基準を確立することが今回の使命であります。並びに、目下迫つている資金の収集、また金融業者に対する信用の確保、すなわち事業がなめらかに運営できます道をつけ、各九社の経営者に対しまして、十分な確信を持つて、そうして経営意欲と申しますか、自分の働きによつて自分努力によつて事業運営がなめらかに行くという精神にのつとらすことが、今度の料金制定に際しましても、非常に大きな意義のあるものと考えるのであります。また公益委員会というものがこのまま長く、日本のある特殊の存在として残ります以上は、この際にこそ将来の基準を定めるべきものではなかろうかというような考えを、われわれ委員会において持つているのであれます。その立場から考えまして、まずこの基礎をどこに置くかということであります。それはいろいろ考慮いたしまして—決定事項ではありません、私ども五名の者がそれぞれ考えておりますことは、まず基準を、発生する原価本位に置く、いわゆる偽らぬ、明らかな発生します電力であります。早く申しますとキロワット・アワー時で一箇年どれだけ働いたかということを基準にし、またそれに対する合理的な支出の面を考えまして、そしてその間にさらに一つも煩わしいことのない、すなわち経理面の最も正確なことを基準として収支考えまして、その間に生れますものが料金である、見方によりますとごく空疎な言葉でありますが、けさから報告いたしますことの一つに、真実かつ有効という文字使つてあります。これに対しまして抽象的な考えをいたしますと、非常にむずかしくなるのでありますが、先刻来申していることをごく砕いて申しますと、これはあくまでも明らかなものであり、あくまでも基本的なものである。すなわち発生いたします原価を最も正しく評定いたしまして、また支出いたします。面を最も正確に厳正に支出せしめまして、そしてそこに生れますものが適正な利潤、フエヤ・リターンという言葉でないと—日本語に適当な翻訳がないようでありますが、鉄道省の方では報酬という文字使つてあつたそうでありますが、それをあんばいいたしまして、そこに厳正な電力料金を発生せしめるのが、われわれ委員会の最後の目的ではなかろうか。しかるにこの間—決して弁明ではありません。また間違つているものであると信じませんが、新聞だけのことが事実であれば—各方面から、電力料金のまだ未決定な場合におきまして、電力料金値上げ、はなはだしいのは公益委員会がどの辺のことをほぼ認定しておつたというようなことも新聞に書かれていたようでありますが、これは間違いでありまして、今日まで私どもはまつたく白紙であります。どこに実を置くかということは、この厳正な数字のもとに出発したい。それでいかなる方面の発表がありましても、それは私ども責任のない問題であります。本日まだ続いておりまして、私も御用が済み次第そこに駈けつけるのでありますが、料金基本算定基準に要します、いわゆる法規の取扱いでありますが、それの公聴会を開きまして、すでに五省の中の六局からいろいろ御希望があつたのであります。午後は民間の需用者側並びに電力業者の御意見を聞くことになつております。その基準決定いたしました上、月末からおおむね来月上旬にわたりまして、九地—あるいはもつと広げるかもしれませんが、九地におきまして、電力業者の申請いたしました料金基礎といたしまして、そうして需用家消費者の詳細の説明を伺いまして、これを統合して、委員会で公論を闘わし、あるいは全体的にあるいは部分的にものを決定いたします。それすら今日まだほんとうに決定いたしておりません。その意味におきまして、料金に関することの基礎は、私ども、今申します原価主義によるスタートをしたいという考えを持つております。まだ利率に対しまして、あるいはこの産業に対してどういう方法をとるかというようなことは、まつたく白紙であるということを申し上げまして、御答弁にかえます。
  14. 今泉貞雄

    今泉委員 第二に値上げ率妥当性についてお尋ねをいたします。人件費石炭費修繕費あるいは委託発電費等高騰による電力料金引上げは、ある程度までやむを得ないとしても、その引上げ率たるや、会社が忍び得る最低限度のものであることを国民納得するものでなくてはならないと思うのであります。今回伝えらるがごとき値上げ率は、この点に関して疑いなきを得ないのであります。そもそも電気事業の再編成が強行された結果、サービスの改善経費節約あるいは電源開発等に関する責任体制が確立されまして、豊富低廉な電力が供給せらるるものと国民ひとしく期待しておつたのであります。しかるに再編成後、日なお浅いのにもかかわらず、これらの目的に対してまだ何らの成果を見ないにもかかわらず、会社経営健全化の美名のもとに、しかも地方によつて緊急停電などが続発しつつある折から、突如として大幅値上げが一挙に断行せられるということは、どうしても納得のできないところでございます。すなわち最低限度値上げ率決定するための前提工作として絶対必要なりと考えらるる新会社による経営合理化送配電ロスあるいは発送電の一元化による経費節約等が、遺憾なく履行せられ、またその履行せられたことが、経理の公開、明朗化によつて一般消費者に了承せられて、しかる後値上げが断行せらるべきものではないかと考えるのであります。これらに関しましては、一々列挙するの煩を避けまして、たとえば東京電力が実に十六部六十課を擁し、理事十七名、理事待遇者六名、計二十三名の軍役を養つておるという一事に徴してみましても、冗費整理上はたして遺憾の点がないかと言いたいのであります。また資産評価と、これに伴う償却費のごときも、一般産業においては再評価税及び固定資産税負担軽減、並びに将来の配当率平均化をはかる等の観点から、法定限度までの再評価を行わないのが常識であつて、現に再評価を実施している会社は六百になんなんとしており、しかもこれらの平均限度額の約六割であり、公益事業であるところの鉄道通信業においてさえも、限度額の六割九分まで再評価しているという現状であるにもかかわらず、ひとり電力会社だけが限度一ぱいまでの再評価を一挙に断行して、それがために二百二十億に上るところの償却費その他固定資産税及び再評価税を全部需用者負担に転嫁せんとするがごときは、独占制を悪用し、消費者側の一方的負担において経理内容改善をはからんとするものではないかと考えられるのであります。本来新しい資本投下によるべき電源開発資金減価償却費の形式で料金に算入し、これを消費者負担せしめるがごときは避くべきことであつて電源開発のための資金政府及び各電力会社が別途調達すべきものではなかろうかと考えるのであります。また火力用の炭につきましても、昨年度の消費実績五百八万トンに対して六百五十万トンを計画することは、石炭需給関係から見ても妥当ではなくて、かつその取得価格についても四月現在の五割増と見積る結果、自発当時のトン当り三千三百円から三千八百円に対して五千五百円から五千八百円を想定しているということは、他の石炭消費産業に対しても憂慮すべき影響を与えるおそれありと考えるのであります。  これらの点に対しまして公益事業委員会並びに政府の見解を承りたいと思うのであります。
  15. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまの今泉さんの御質問また御注意の点につきましては、非常に要約されまして、また現在の新発足しました電力会社に対しての非常に御親切な御忠告であると考えまして、私どもともに傾聴したのでありますが、グッドサーヴィスにしますこと、並びに諸経費軽減ということは、これはただここで机上の空論として答弁すること、並びに九会社の人が答弁することよりも、これは具体的な数字に現わしまして、あるいは率とか金額等のことについて答弁された方がよいのではないか、私ども調査もそこに目標を置くつもりであります。また電源開発については、これは別の問題でありまして、今私はここでどういう方針をとるということは差控えたいと思いますが、その以後の問題であります、すなわち絶対必要なる合理化、これにはまた内輪にはロスをいかにして軽減するか、また中央、地方、いわゆる日発と旧会社が合一して新発足した以上は、それに対して経費軽減が当然あるべきものであるという御質問に対しては、まことに私ども同感であります。この絶対必要なる合理化の中に、一番先にロスをおあげくださいましたことも非常に賢明な御注意でありますが、これは各電力会社がすでに十二分に承知し、むしろみずからの力で是正したいという説明をたびたび聞いたのであります。まず第一に、電気の性質といたしまして、送電をいたしますのに、細い線に高圧のものを送ることができないにかかわらず、その需用のものをほとんどフルまでに送つておるというようなことであつて、いわゆるテクニカルにロスをやつているということはみな知つているような状態です。本年の新予算におきましても、送電線の改善を大分加えたのであります。たとえば、近くで申しますれば、東北の日平線であるとか、あるいは九州から中国との連絡線であるとかいうような方面に対する切りかえ及び新とりかえ、これによります電気の節減が相当あるはずであります。それからまた壇用、盗用等もまつたく絶無ではないと信じます。これに対することは、やはり一定のわくをきめまして、そのわくに沿うようにやらなければならぬ。電気の性質といたしまして、日本のごとく端から端へと長い国では、どうしても送電費が高くつくことは事実であります。おおむね何十パーセントが当然電気の性質として消耗すべきものであるということを基準といたしまして、それから以上のものをまず三年間でロス軽減をしたい。そのうち三分の一が本年現わしました。たしか三分何厘と考えますが、それだけにいたしましても非常に大きな合理化ができることであります。これは送電その他に関する説明でありますが、他の経理上の、また総括的な合理化というもの、これこそ私どもは最も楽しみにし、また当然やるべきものと信じます。その一例が、東京電力その他に対する御注意もありましたが、これらのことも、ただ、今日合併をいたしまして新発足をいたしますときにおける人の割振り上、やむを得ずいろいろのことができておるものもないではないと—私はあるとは申しませんが、絶無とは考えられぬのであります。彼らの会社の自発的な努力によりまして、そういう御忠告のことに対する合理化が近くされるものと信じます。  なお次に、償却に関して、一時に多額の税を消費者に盛り込むかということでありますが、これは、今すでに相当大きな償却を原価に盛り込むというふうに誤解があります折から、その税まで盛り込みますことは、これはまたそれ以上の大きな数字になるのであります。これらは御注意によりまして、相当な具体的な方法によつて—あるいは何年間とか、あるいは持つているものの引上げであるとかいうような方法によつて支出をすることが妥当ではなかろうかと考えます。それから今度の一番大きな問題にかかつているのは、言うまでもなく、先刻のお話の、再評価による大きな金額を一時にすることは非常に無理である。他の事業でもこうである。ことに鉄道に対してもこういうことであるから、それを考慮してみたらどうかということであります。今度の値上げの上におきまして、再評価の額をきめて、それによる一定の償却が需用家にどういうふうになつて行くかということが見やすい原理であるとともに、電力事業におきましては、決して需用家負担ではありませんが、増発、開発修繕等に対する合理的な余剰がここにあるのではなかろうか。すなわち政府におきましても、再評価を認識いたしましたこと、すなわちものさしの基準をかえさせましたこともここにあるのではなかろうか。一方これを多額にいたしますことは、非常な大きな金額になると同時に、また電力事業のごとく固定資産を多く擁し、また資本に対する認識の確認が経済の上において非常に大きな部分を占めております以上は、この値上げということに対して必ずしも反対をするというわけではありませんが、しかし今泉君のお話のごとく他の事業もそうじやないか、また一度に値上げするということは国民に非常な衝撃を与えるので、こういうことは是正すべきであるということは非常に肯繁に当るものであります。これらは最後に決定します上における大きな御忠告と考えまして、私は帰つて委員会にこれを報告し、協議の基礎にいたしたいと思います。  大体そのようなことでありまして、ただいまの再評価の金額をいかにするかということが、今度の料率には非常に大きな問題であるということは私も考えておるし、また日夜頭を悩ましておる次第であります。
  16. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 自発、配電合併にあたりまして、非常に重役、理事が多数入社したということは非常に遺憾だと思うのであります。電力事業経営は、上は重役から下は労務者に至るまで、一貫してその本分を尽して実績を上げるのが先決開顕であると思います。しかるにこれらに対して何らの対策も講ぜずに、重役が並び大名のごとく並んでおるが、こういうことは値上げする前に断然改革する必要があると思うのであります。これに対して独占企業であるがゆえに自分らを顧みることなくして、料金を上げることにのみ汲々としておることに対して、公益事業委員会ではどういうお考えを持つておるかということ、もう一つは大口契約者である三千キロ以上にのみ一キロワット時一円六十二銭の安い電気料金をとつておる、他から比べてずつと安い、これらに対するお考え、それからもう一つは、農事用電力は、米麦生産資材等の方面からして特別考慮を払うべきであるが、豊水期に使うところの電力に対して特別料金として考えているかどうか、もう一つは東北のような寒冷地帯、すなわち特殊地域に対する電力料金に対して東北電力の社長はどういうお考えをもつてこの値上げ問題に対処しているか、以上の点をお答え願いたい。
  17. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまの人事の問題でありますが、これはちようど二月の下旬から三月にかけまして、当委員会でありましたか、あるいは参議院の委員会でありましたか、いろいろの御質問があつたのであります。大体におきまして、一人もこの人事において失業をさせない、全部引受ける、双方が引受けて新発足するという申合せのもとに出発いたしましたために、一人も新発足に伴うけが人は出しておらないこは事実であります。それにつきまして、重役の数は、御承知の通り、従前よりも減つていることは事実でありますが、しかしながら一人も減らしません以上は、それらに対する相当な負担があるだろうという御質問もごもつともなことでございます。しかしすべて一段ずつ格を下げまして、重役の人が理事になり、理事の人が部長あるいは課長になりまして、その職務を執行されます以上は、ただいまにおきまして、不要の人を首切りするという必要はないのじやないか。それよりも非常に大切なことは、来るべき電源開発に対して、それらの人にかかつてもらうことが必要だと思います。一昨年また昨年、本年と全従業員の数を見ますと、業務が非常にふえて来ているにもかかわらず、人員は七、八%、あるいは一割近い減少を来していることも事実であります。電力会社方々意見では、当分人をふやさず、現在のままの人手をもつて最も能率的にしたい。せつかく経験のある人であります、また退職されます場合に、非常に多額な退職金を用意しなければならない等のために、現在におきましては、来るべき将来の準備のために人を残して置かれることは事実でありまして、これもやむを得ぬものではなかろうかと考えます。それから大口電力料金が非常に安いということの御質問でありましたが、大口電力需用者が多くの場合において肥料あるいはカーバイド等、電力を非常に必要とする事業であります。先刻今泉さんの御質問の中にあつた御注意にもそのことが含んであつたようでありますが、現在では当面の料率なるものはそんなに安いものではないと信ずるのであります。すなわち夜間あるいは豊水期におきます余剰的な電力を補給されまして、その平均がこの料率に近いものになつていると信ずるのであります。このたび幾らにきまりますか、かりに引上げをすれば同じ料率で上るものと信じますが、しかし特殊な、ある時期におきます夜間等の料率を加えますと、これまた表面の料率よりも安くなるのではなかろうか、ここのあんばいが、他の労力と見合いまして、非常に困難な問題であります。どれほど上げるかというようなことについては、各需用家方面意見も聞き、また諸官庁の意見も聞いて決定すべきものと考えます。  最後に農事用の問題でありますが、これも各官庁からもお話がありまして、幸いにも本日は内ケ崎東北電力の社長もおいでになつておりますから、社長のお話を承つていただきますのもけつこうであると思います。これらも御注意は記憶にとどめまして、いろいろ研究するようにいたすつもりであります。
  18. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 私東北電力社長の内ケ崎であります。ただいまの高橋さんからの御質問にお答えいたしますが、公益委員の伊藤さんの方からお話がございましたが、当社といたしましては、農業が非常に重要な産業に相なつております。つきましては、これに使います灌漑用排水の問題、それからその他の脱穀調整等いろいろな事業に相当の電力を消費していただいておりますが、こういうものに対してはできるだけの奉仕をいたしたい、かように考えております。ただこの料金はわれわれにおいて決定するのではありませんで、われわれの方からむろん意見の開陳はいたしますが、公益委員会におかれまして、いろいろ公聴会、聴聞会等を開かれた結果おきめになるのでありますからして、結果はどうなるかわかりませんが、できるだけの奉仕はいたします。
  19. 中村純一

    中村(純)委員 ただいま同僚の今泉委員及び高橋委員から会社経営合理化に関する点についての御質問がありまして、それに対する公益事業委員の御答弁も承つたのでございますが、いささかまたこちらの頭の悪いせいか理解の行きにくい点がありますので、一点だけ伺いたいのであります。今泉委員の御質問に対しまして、技術面のロスに対しては、すでに相当これをチエツクする面における実績が上つておるやの御答弁がありました。これはまことにけつこうなことだと思うのでありますが、その他の経営面の合理化の点につきまして、公益事業委員として大いに楽しみを持ち期待を持つておられるように承つたのでございます。しかるところ、高橋委員のこの人事その他経営面の合理化に関する質問に対しましての御答弁を承りますると、その面においては、これ以上合理化と申しますか、整理と申しますか、そういう余地がなさそうな意味に御答弁を承つたのであります。そういたしますると、経営面の合理化に関して、大いに期待され、また楽しみを持つておられるその内容というものは、いかがなものでありましようか。その点を関連として承つておきたい。
  20. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 言葉が足りませんでしたが、人事に関する限りは、今申しますごく近き将来におきまする開発その他改善等には、相当の人事を必要と認めておるのであります。役柄の変更あるいは任地の移転等は、これは常識的に考えまして当然のことでありますが、この数年間、漸減でありますけれども、ずつと人員の減少しておりますことは、やはり各電力会社におきまして経費の節減の上からの大きな精神のもとにやつておられるのではなかろうか。それがやがて努力の結晶となつて現われるべきものではなかろうか。人員の減少しないということははなはだ御不満足であるかもしれませんが、合併のときにおきまする条件がそれでありますから、また将来の近い時期におきまする拡充のためにそれを準備するということにおきまして、私どもはそれを認めておるのであります。次いで経費の問題でありますが、これにつきましては、私どもつて実業界におりました者には、常に経費の節減あるいは事業合理化ということは、これはエンドレスの問題でありまして、いかほど経費を節減いたしましても、いかほど合理化いたしましても、これは限りのないものであります。一年、半期できたからこれで満足ということはないものと信ずるのであります。その意味におきまして、私が楽しみと申しましたのは、まず新会社に新たなる一つの想定を願いたいということを言いました結果、本日御出席の会社のうちから出ましたものをちよつと拝見いたしましただけでも、科目が五百項目くらいのうちでまたそれをわけますと二十数目から三十数目くらいにわたりまして、詳細な具体化された経費の節減あるいは事業合理化に対する目標が現われておるのであります。これは九会社寄せますと、重なつておりますが、百以上にわたる合理化が現われて来るものと信じます。これをただ一本の報告にとどまらず、それに対する数字をあてはめましてそして伸びて行く事業に対して、逆に経費がどんなふうに減耗して行つたということこそこの事業の精神と思うのであります。その意味におきましてこれを早く拝見したいと思うのでありますが、ただ遺憾なことですが、どうしたものですか、実は今日公益委員会から指令を出しましたが、目先から渡りました書類がまだ完全に整備しておらぬのであります。本日で四十一日であります。日発が各九社に出しました貸借対照表が先月の十四日に渡つておるのでありますが、その細目のものがまだ出ておらねのであります。その細目のものを見ずして、この経費の節減とか合理化とかいうことは、とうていできるものではないのであります。そこでその指令をわれわれの委員会から各所に出しましたから、数日のうちに書類が完備すると思います。それを基本といたしまして調査して私どもはそこにどこかの根拠のあるものを発見したいと思うのでありますが、しかしながらこれ命令的なものでありますあるいは頭でこういうふうにカットして行くということではものは死んでしまうと思うのであります。九社の方々はそれぞれ自己を守り自己の責任におきまして、合理的な、またその地方により特殊な事情から割出しました経費の節減と事業合理化というものが、私どもには最も望ましいのであります。これこそ協力し、またこちらも教えをこうむり、またこちらの注意もしてどこかにいい点を考えてみたいと思つておりますが、はなはだわれわれの不満に思い残念に思いますのは、今日まで基本となる書類が完備しておらぬということであります。私どもはこれは電力会社の怠慢と信じます。真に事業をやりましたならば—もしこれが銀行でしたら一日で破産するのであります。大貿易会社なら五日にして破産するのであります。どんな事業でも一週間も十日もたてば非常な困難を来すものと考えます。いたずらに今日まで遅れておりますことは非常に遺憾であります。私はいいことはいい、悪いことは悪いと申し上げます。私どもはこちらにおられます電力会社とともに、旧日発の清算事務に対して注意をいたしたいと思う次第であります。その基準によりまして、私ども算定いたすつもりでおります。
  21. 今泉貞雄

    今泉委員 最後に電力料金の国際価格へのさや寄せ並びに一般物価高騰との均衡に関する問題について申し述べたいと思います。世間の一部には、わが国の電力料金が国際価格に比べて低廉であること、また戦前の価格高騰率が他の物資に比べて著しく低いことのゆえをもつて電力料金の大幅引上げを肯定せしめんとするものがあるのであります。しかしながらこれについては、日本電力会社が発電した電力の九割は水力であり、これらは言うまでもなくわが国の地理的特殊性に基く遊休天然の資源を利用するものであること、その発電所もまた安価に建設せられておることなどの実情を無視してはならないと思うのであります。またこれがあるためにこそ、他の資源に恵まれず、技術は世界の水準から数十年も遅れ、設備、装置もまた老朽、荒廃しておるわが国が、なおトン当り十数ドルのフレートを払う輸出貿易に参加し得るのであることを忘れてはならないのであります。一例をソーダ工業にとるならば、アメリカにおいては原料塩はトン当り約〇・五ドルでありますが、日本では二十三ドルないし二十五ドルであります。かくも大なる差があるにかかわらず彼と太刀打ちができるというのは、実に業界の努力電力と、しかして低廉なる労賃のたまものにほかならないのであります。わが国の特殊事情を無視し、漫然として国際価格へのさや寄せを強調するがごときは、あたかも主食の公定価格を輸入価格さや寄せせんとすると同じでありまして、かような論法で行われまするならば、日本の自立経済は根底から崩壊するのほかはないであろうと思うのであります。かかる観点からいたしまして、国際価格や他の物資の値上りを無条件にも模倣せんとするような安易な考え方ではなく、電力会社自体、まず自粛自戒し、なおかつ経営上絶対必要な最低限度値上げであることを一般消費者納得せしめる必要ありと痛感いたす次第でありまして、この際電力会社の値上率決定にあたつては、政府並びに公益事業委員会は、私が申し上げました趣旨を体しまして努力せられんことを要望いたしまして、私の質問を終りといたします。
  22. 中村純一

    中村委員長代理 次は福田一君。
  23. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま同僚の今泉君から、大局的な見地に立つたいろいろの質問がありました。非常に参考になつたのでありますが、私はこれを補足する意味において一、二お伺いいたしたいと思うのであります。  まず第一に、公益事業委員会が五月十七日に電力料金算定基準という案をおつくりになりましたが、これはすでに決定されているのかどうか、それを伺いたいと思います。
  24. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 本日午前から今にかけまして公聴会を開いております。前の基準料金算定方法につきまして審議をいたしまして、本日の公聴会後それを決定いたすつもりであります。
  25. 福田一

    ○福田(一)委員 私はそこに非常に大きな疑問が起ると思うのであります。というのは、きようもこういうふうにたくさんの資料が出て来ておりますが、おそらくこれは料金算定基準というものを基礎にして、各喜電力会社料金値上げの案をおきめになつたのだと思うのでありますから、どなたか電力会社の側から、何を基準にして今度の電気料金値上げをおきめになつたかを御説明願いたい。
  26. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 ただいま基準案がきまらないうちにどうしてつくつたかという御質問でございますが、むろん基準案ができなければ正式の案ができないはずでございます。基準案はいずれ近く決定されると存じます。その上において初めて料金の料率がきまるものでありますが、私ども会社内容を見てみますと、できるだけ早く私ども経営合理化し、そうしてその経理が正確である、健全であるというためには、一日も早くお救いを願いたいということを常に念願しておるのでございます。従いまして基準案の案によつたものでございまして、正式のものではございません。基準案の案がありましたから、これによつてどもはいろいろ算定をし、計算をしてやつたのでございます。今私どもで振りまわしている案というものはいわゆる案で、ございまして、正式の案で、ございませんことをお答え申し上げます。
  27. 福田一

    ○福田(一)委員 私は今のお話を聞くことによつて、いかに国民全体が電気料金値上げについて不審を抱いているかということが立証せられたのではないか、かように考える。なるほど電気会社といたしましては、企業の安定ということを考えられ、今のような料金ではとうてい会社の安定を期することができないから、早く値上げをしてもらいたい、こういうお気持はおそらく電力会社経営される以上当然のことであり、いかなる会社も同じであると思います。しかし公益事業委員会は、これを監督される立場におられるのであるが、電気料金算定基準がただいま公聴会で審議されておるという状態にあるのに、その前にこれを基準にして電気料金の案を出されたというところには、何か目的があつたのではないか、どういう意図によつてそういうことをされたかということをひとつはつきりさしていただきたいと思います。
  28. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまの御質問の中の、値上げ案の提出なるものは、決して私どもの慫慂によりまして、あるいは待つておるから持つて来いという値上げでないことは事実でございます。これは聞きますところによりますと、値上げ案の正式申請はないようでありますが、値上げの希望の申出がすでに私どもの初期、すなわち公益事業委員会の発生前にその申出があつたということは事実のようであります。どこまで真実でありますかそれは疑問であります。引続いて再編成最中に、とうてい立ち行かぬ。時あたかも、御承知の通り非常な渇水で、電力を一日三万数千トン消費します折から、会社の実情が非常に困窮を来すから、値上げを非常に希望するという声があつたことは事実であります。しかしながら、それをもつてただちに再編成値上げというような慫慂も誘導もしなかつたのでありますが、その声が、はなはだしいのはわれわれ何も知りませんうちに新聞などに報道されている。あるいは役所におきましては、この程度まではよいだろうというような発表もあつた。これも私は真実性のないものと信じますが、新聞社が想像いたしましたものか、あるいは一部を聞き抜いたものでありますか、あつたようなことは事実であります。しかしわれわれの方におきましては、いまだかつて電力料の値上げに対しまして、慫慂的な、あるいは誘導的なことのないことは事実であることを申し上げておきます。ただいま安蔵氏の御説明の中に、われわれの基礎的なものを見てそれで出したということでありますが、それは公益事業委員会におきまして、たびたびこの基礎的なものを研究し、あるいは業者から個人的に帳簿の説明などを受けたことがあります。そういうことのために想像によつてなされたこともあると信じますが、委員会において正式に値上げを誘導したことのなかつたことは間違いないと思うのであります。
  29. 福田一

    ○福田(一)委員 しかし今まで新聞紙上その他を通じてみて、公益事業委員会が、現在の電気料金ではとうていいけないから、やはり値上げをしてやらねばならないというような意見を発表されておつたことは、私はあるように記憶いたしておりますが、それと今のお答えとは大分矛盾があるように考えるのであります。その点いかがですか。
  30. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 公式に言われたということはないものと私は信じます。個人の談話の中に、新聞記者諸君などを相手にいたしまして、いかにも実情がひどくなつている会社もあるようでありまして、困つたものであるということは言つたことがあると思いますが、公式に発表して電力値上げを是認したというようなことは、私は今日も、他の委員の中にもないものと信じております。
  31. 福田一

    ○福田(一)委員 先般われわれが通産委員会を開きまして、そのときに実は松永委員長代理がおいでになつたのであります。当時私たちは電気料金値上げの問題についていろいろ御意見を承つたのであります。そのときの記録を読んでいただくとわかりますが、やはりはつきりと電力料金値上げをせねばなるまいという御意見を漏らしておられたと思います。それはあなたの御意見とは大分違つておるように思います。しかしここでその問題をやつていて本論に入つて来ないでは困りますが、そういうところに非常な問題がある。電気料金値上げということに何か無理があるではないか。世間の人が疑惑を持つゆえんはそういうところから出て来ている。特に電気料金算定基準というものがきまつておらないうちに電気料金値上げ方法、額まで各社から出て来ている。これは案であるというが、おそらく案ではなくて、この基準がきまつた場合には、それがほんとうの願書としてあなたの方に出されるであろうと思う。こういうふうに無理に急がれるところに非常な問題がひそんでおる。それだけに、一面私たちが好意的に考えれば、電気会社が困つておるという事情はわかるけれども、そういう面がちつとも納得が行かない。私はこれは公益事業委員会の態度としてはやはり一つの黒星ではないかと思う。大体電気料金をどれだけ、どういう方法で上げていいという基準がきまらないうちに—それが審議されておるうちに電気会社からそういう案を受取つてそうしてそれを持つているということがおかしい。われわれもこれをいただいておるのがおかしい。こういうふうになるのじやないかと思う。今後こういうようなことはひとつよほど気をつけていただきたいと思います。  それではこの電気料金算定基準の問題であります。これは追加されて十条までありますが、そのうちで私たちがよく意味ののみ込めないところがある。まず第一条を見ますと、「電気料金は、真実且つ有効な事業資産の価値に対して得られる報酬を公正なものとするとともに、各需用種別間及び各需用者間に不当な差別的取扱をしないものでなければならない。」こういうふうに書いてあるのでありますが、このうちでも「各需用種別間及び各需用者間に不当な差別的取扱をしない」という意味を、ひとつはつきり説明を願いたい。
  32. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 福田さんに申し上げますが、法規の取扱いについて、私どもたびたび審議をいたしたのであります。その法的な解釈につきましては、松田総長が中心にやりましたものですから、この条章にわたります法理的な説明は、松田総長に願いたいと思います。
  33. 松田太郎

    ○松田説明員 この後段の「各需用種別間及び各需用者間に不当な差別的取扱をしないものでなければならない。」この点につきましては公共事業令の第三十九条の第二項の第四号にほとんど同趣旨の規定が入つておるのでありますが、要するにこの第一条は、各需用種別間あるいは各需用者間に、いわゆる不当な差別的待遇をしてはいかぬというのでありまして、従つてそのあとの第八条等にもございますように、たとえば需用者の工場等があるいは電源の近くにありますとか、そういうような理由で、地域的に見ても相当便宜なところにあるとか、あるいはまた電気の負荷の状態からいたしまして、たとえば年中使わなくてよろしい、言いかえれば豊水期に使えばいいとか、あるいは昼間に使わなくても、深夜によけい使いたいとかいうようないろいろな事情があると思います。そういう場合には、今申しました需用者間におきまして差別的待遇をすることはもちろん毛頭できぬのでありますが、それはすべて正当な理由があるのでありまして、その正当な理由がなく不当な差別的待遇をしてはいけない、言いかえれば、同じような状態にあるにかかわらず、甲の工場に対しては安い料金でやるとか、乙の工場に対しては高い料金でやるとか、正当な理由のないのに不当な取扱いをしてはいけない、こういう意味であります。
  34. 福田一

    ○福田(一)委員 電気料金の問題は、ただいま案が出て来ておるだけでありまして、私はこれをまだしさいに検討もいたしておりませんから、実質的な問題についてやることは、今後に差控えますけれども、また今後何回か委員会を開いて、いろいろ御説明を承らなければならないと思いますが、しかしこの電気料金算定基準の問題であります。ただいま会社側の仰せられることでは、これを一応基準にして出されたというのでありますが、一体各会社は、それでは減価償却の場合においては、この出しておられるところの案は、定額法によつてやられたのか、定率法によつてやられたのか、どちらによつてやられたのか御説明願いたいと思います。
  35. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 私どもの出した案におきましては、定率法で計算して出しました。
  36. 福田一

    ○福田(一)委員 それでは公益事業委員会にお尋ねいたしますが、第三条に「減価償却費は、電気事業設備の評価額に対し、定額法により算出した額を基準としなければならない。」という根本原則を定めてある。「但し、電気事業会計規則第五条第三項の規定により、公益事業委員会の特別の指示があつた場合は、この限りでない。」こうあるのであります。各会社が出されたのは定率法によつて出しておるのであつて、定額法によつてお出しになつておらない。定額法と定率法によるところの差を聞いてみますと、年間に約百五十億円ほど違つて来ると考えておるのでありますが、それほど厖大な金額をきめるにあたつて基準に「定額法により算出した額を基準としなければならない。」こういうふうに書いてあるのに、それを許さないで、そういうところの伺いを立てないでこういう案を出されたのかどうか。また公益事業委員会としては、何らかこれについての指示を與えられておるのかどうかを承りたい。
  37. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 法規的の解釈に対しますことは、私も内見をいたしまして、今日におきましてはおぼろげながら多少の理解をいたしておるのであります。仰せの通りこれをいかに取扱うかということにつきましては、非常に大きな問題であります。まだ未決定のものを判断することは、これは差控えるべきものだと考えますが、「真実且つ有効」という言葉が出ておりますが、この基準から考えますと、現在残されておるところの、稼働しているところのもの、あるいは廃棄に近いものなどの償却がこれにはからみ合つて来るものと考えます。いろいろ考慮すべきものと考えておりますが、これはまつたく定額、定率ということを決定せずに、自分たちはすべてを聞いた上で案を立てるべきものと考えております。
  38. 福田一

    ○福田(一)委員 どうもただいまの御説明では——電気料金はとにかく一挙に七割とか七割五分とかいう高率な値上りがあるだろうということを新聞紙上その他に、いかなる方法をもつて伝えられたかは知りませんが、世間を騒がしておる。その電気料金値上げの一番大きな問題になつておるところの減価償却について、電気会社が、全部高い方の基準をとつてお出しになつた。そうしてそれを出したことについて、何にも公益事業委員会の方でまだ指示もしておらないということでありますが、そういうところにも私は、この料金算定基準というものがきまらないうちにこういうことをやらせたことに、一つの問題が起きて来ておるのだと考える。これは私たちは非常に疑問に思つております。従つてこの点は士ほど検討を加えていただかなければならないということをはつきり申し上げておきます。  その次にもう一つ承りたいのでありますが、この出ておる資料にそうなつておるかどうか知りませんが、大体電力会社の方からお出しになつたことしの年度の石炭の消費量というものを七百三十万トンないし七百五十万トンと押え、自分会社で使う分は六百十万トンないし六百二十万トン、自家発電に使わせるものは百万トン内外、こういうことになつておりますが、そういうような内容は全部資料をとつておられるかどうか。特に自家発電のような場合においては、どこで幾ら使うかということの資料が全部出ておるかどうか、それをひとつ承りたいと思います。
  39. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 自家発電の百数万トンにわたりますものは、これはむしろ資源庁その他安本等の割当にまつべきものでありまして、公益事業委員会におきましては、これを指示しまたは条件を加えることはできぬ立場にあろうと考えます。各電力会社の使用いたします六百三十万トンあるいは六百五十万トンなどという、昨年度の二割何ぼの使用増加ということが出ておりますが、事実現在の電力消費から見ますと、少くもその最高を押えなければ電力は補給できないものと考えております。しかるに一方石炭の生産—石炭の採掘、運搬を考えますと、これは確かめたことではないのでありますが、われわれの委員のうちの一名の者が各石炭業者ともひざつき談合し、あるいは当該の役所とも連合の打合会をいたしました結果でありますが、これがはたして補給できるやできないかということに対する確かなことの検討には、少しの時間を要するものと考えます。その意味におきまして公益事業委員会におきましては、炭価並びに消費量の検討はいま少しの時間を要することと考えております。これは当該の役所におきましても責任を持つてもらうことはできないような実情である。すなわち統制をはずしました以上、自由主義に帰りました炭業というものは、われわれの方の力でもつて押えることができないというような実情でありますので、これもいま少し具体的な調査を要するのでありまして、確実性はないものと御承知おきを願いたいと考えております
  40. 福田一

    ○福田(一)委員 私はこの三月の終りの国会に運輸委員会へ出まして、そうして石炭輸送に関する昭和二十六年度の計画内容について国鉄公社の方から説明を聞いたときには、ことしの石炭の輸送量—特に発電用に運搬するのは三百五十万トン内外である。しかしこれではとても足りないからどうしても石炭をよけい運搬しなければならないということを考えていろいろ案を組んでみたけれども、これは三百八十万トンくらいしか輸送はできませんということを、当時の委員がはつきり言明いたしております。ところがただいまの御説明ですか、一応示されたところでは、七百三十万トンのうち六百万トンないし六百三十万トンを各電力会社が使われる。そうすると三百八十万トンと六百三十万トンの間には二百五十万トンの差が出る。二百五十万トンの差というものは、一トン当り石炭を四千円と見ますと、これは百億円になります。こういうような大きなさばが読まれているということに相なつては、電気料金はまことに困つたことに相なります。みんな非常に心配いたします。またそれではおかしいじやないか、輸送できないものをどうして使うのだ、こういう疑問が国民の間に起きて来てはたいへんであります。そこでどれだけの輸送計画があり、それが輸送は可能であるかどうか、またどれだけの石炭の生産ができるかというような総合的な見地からいたしまして、この問題は安本その他ともよほど深く検討なされた上でなければ、電気料金のうちに算入されることは非常にわれわれとしては迷惑する、私はこのような意味でもう一度この点をはつきり公益事業委員会において確かめられることをお願いいたしたい。また電力会社におきましても、私たち、少くとも私といたしましては、電気料金値上げになるということが、将来の日本産業全般を考えまして、そうして電気の開発を行わなければならないという意味合いからいつて会社経営の安定をはるるということはわれわれはこれを肯定いたします。決して否定するものでありませんが、こういうような架空の数字に基いて、基礎の薄弱な点に基いて算定された電気料金値上げであれば、私たちとしてはこれを肯首することはできない、御賛成申し上げることは潰憾ながらできない、これは当然なことだと思うのであります。こういう意味合いで、この石炭の問題も、もう一ぺん深く再検討されることを特に希望いたすものであります。  それからもう一つ伺いたいのは、すでに私たちの承知いたしておるのでは、電力関係の従事員の方の賃金ベースは七千百百円から相当大幅に値上げになつて今実施されておると思うのでありますが、ひとつその間の事情を電力会社の方から御説明願いたいのであります。
  41. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 賃金ペースはこの前の値上げのときには五千三百五十円を織り込んで値上げをお願いして、これが実行されております。しかるにその後の経過におきましては七千何百円、最近におきましては一万二百円を考えております。そうして私どもがこのたび値上げを希望する案には一万二百円べースを織り込んで計算をしてございます。
  42. 福田一

    ○福田(一)委員 七千百円ベースというのは実行されておると思うのでありますが、一万二百円というベースは今すでに実行されておるのですか。
  43. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 一万二百円ベースは一月から実行しております。
  44. 福田一

    ○福田(一)委員 それでは公益事業委員の方へお伺いいたしますが、私たちは重役陣が多いとか、あるいは会社の首脳部が少し数が多過ぎるとかいうようないろいろな文句を聞くのでありますが、一体会社の重役が一人ふえるのと、普通の社員をふやすのと、どれくらいの差が出て来るか、大体の概算でいいから承りたいと思います。もし公益事業委員会でわからなければ会社側の方から、理事を重役にすると一体一人当りどれくらいの給料がふえるか、これを承りたい。
  45. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 概算で申し上げますと、各会社によつて大分違いますけれどもちよつと考えたところでは、重役一人に対して普通の従業員平均におきまして三人ないし三人半くらいでなかろうかと考えます。
  46. 福田一

    ○福田(一)委員 そうすると、もちろんそういうものも多くない方を私たちとしては希望するのでありますが、人件費の増というものの一番大きな面は、従業員数約十五万人、それの賃金ベースが一万二百円に上つたということによつて、大体五、六十億はふえておると思うのでありますが、それが一番大きな原因になつておるのかどうか。これを公益事業委員の方で御説明願いたいのであります。
  47. 松田太郎

    ○松田説明員 ただいま御質問の点、いろいろありますが、委員会といたしましては先ほど申し上げましたように、まだそういつた点についての正式な、いわゆる完璧な申請書が出ておるわけでもございませんので、従つてそういう点についての具体的な検討はまだいたしておりません。しかしながら先ほど来お話のございますように、この料金の認可をいたします際にはあくまでも公益事業委員会といたしましては、いわゆる電気事業者側の意向と需用者側の意向とを十分考え決定をしなければならぬ点であります。従つてその前提といたしまして、できるだけ各事業会社の方とせられましても、あらゆる経費節約合理化というものを考えていただかなければならぬということも当然だと思つております。従いまして今お話のような点につきましては、十分委員会といたしましても検討いたしまして最後の認可をいたします前には結論を出したい、かように考えております。
  48. 福田一

    ○福田(一)委員 私がお伺いしたのはそういう点でまないのでありまして、重役を一人ふやしたことによつて三人半になるならば、重役はふやさない方がいいけれども、今度の電気料金値上げの根幹をなしておるのは、賃金ベースを改訂したということが、人件費のうちでおもなる部分を占めておるのではないか。それを確認していただきたいということを申し上げたのであります。
  49. 松田太郎

    ○松田説明員 先ほど申し上げましたと同じようなことを繰返すことになると思いますけれども、われわれのいろいろ考えております点といたしましては、もちろん人件費の値上りの問題も今度の料金改訂の一つの要素のもなると思つております。しかしながらそればかりが大きな要素ではないのでありましてやはり先ほど来いろいろお話の、この新会社といたしまして、どの程度評価をしなければならないか。またそれに応じてどういつた償却をしなければならないかというような点が、やはり中心になつて来るのではないか、かように考えております。
  50. 福田一

    ○福田(一)委員 今の問題は実はどうも私の考えておることをはつきり言つていただけないので、いくら押し問答しておつてもわからないと思いますが、おそらくほかの委員の方は、あなたも実際は簡単に答弁ができる問題をわざわざまわりくどく御答弁になつておるのだと思います。これ以上聞いてみてもしかたがありませんからもういたしませんが、次に私は一つ伺いたいのは、今度電気料金が上るということにつきまして産業界は非常に大きなシヨツクを受けておるのであります。これは先ほど同僚今泉委員から御説明がありましたように、日米経済協力という意味において、われわれは日本インフレを極度に抑制しなければならない立場にあるにかかわらず電気料金値上げとか米価の値上げとか、あるいは運賃の値上げとかいう、インフレを促進するような別個の要素がここに現われて来ておる。この意味において、このインフレを抑制するのと逆の方向になつて来ておるのだ、そういう意味合いで産業界としても非常な矛盾じやないかということを非常に突いておるのであります。これはまことにもつともな議論の一つであると考えております。しかしそれらの議論をいろいろ承つてみますと、これは非常に抽象論であります。私のところの電気料金は二倍になる三倍になるといつて、各会社からわれわれに陳情がある。電力会社の方に聞いてみますと、いやまあせいぜい二倍になるかならないかで、そう大したことはありません、こう言つておるのでありまして、その間の事情ははなはだ不明瞭であります。こういう不明瞭な水かけ論を基にして私たちがこの電気料金の合理的な決定について意見を闘わすということは非常に無理だと思う。そこで私は、ここに資料の要求をいたしたいのであります。各電力会社の地域において、大体二十ないし三十の重要産業の工場との間に、今出されておる案のような電気料金値上げがあるというと、一体去年と比べて電気料金はどれぐらいになるか、その場合においては割当というものはなくなるかどうかということは大きな基準になりますが、割当をそのまま続ける場合にはどうなるか、また続けないでやる場合にどうなるか、いずれにしても各工場と、それからその地域の電力会社との間において、どれだけの電気がいつて、その電気料金は幾らになるか、従つてどういう数字が、ここに出て来て、いかなる産業影響を与えるかということをはつきり調査して、われわれに資料を提出していただきたい。そうでないとこれが産業界に与える影響というものはわれわれは把握することはできません。把握しない材料の上に立つて議論することはむだであります。そこでこれはぜひとも近い将来に、資料をとりそろえられることを要望いたしますが、それはやつていただけますかどうか、御答弁を承りたい。
  51. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 ただいまの御注文、当然私どもがやるべきものでありますし、ただいま用意しておりますから、できるだけ早い機会に提出いたしたいと存じます。
  52. 福田一

    ○福田(一)委員 時間があまりありませんので、ただいま私がいろいろ御質問申し上げたことによつてもおわかりと思いますが、料金算定基準すらまだきまつておらない。会社の方では出した案もまだ試案だ。こういうような試案を基にして、しかもごこにこういう資料が出て来ておりますけれども、われわれはまだこれを検討もいたしておらないのに、深く料金内容に立ち至つてこれ以上御質問申し上げても、これは結局わからないところをあちつへ行つたりこつちへ行つたりするということになつてしまいますから、私はいろいろ質問あります、またいろいろ考えておることもありますが、これは別の機会に譲ります。  ただ最後に一点お伺いいたしたいことは、これほどの重要な問題になり、これほど国民が関心を集めておるこの電気料金値上げでありますが、これをおきめになる場合には、国会に対して、一応その方向というものがきまつた場合、いつからどういうような方向でやりたいということを、報告ないし説明して、われわれが検討を加えられるような機会を与えられるかどうかということを、公益事業委員にお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  53. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 電力の問題に対する、その基幹をなします電力料金制定ということは、非常な重大なる問題であることは今お伺いして重々同感なのであります。本日をきつかけにいたしまして、法規上の基準制定し、並びに月末から約十日ないし二週間を要すると思いますが、各地におきまして聴聞会を開くつもりであります。それによつて一応の各需用家及び九つの地におきます特殊の事情を持つておる事業会社説明などを聞きまして、そうして私ども基礎的なものをきめたいと思うのであります。むろん国会の御召集があるなれば、私はわれわれの基本の決定の前後には説明をいたすことはあえていといません。しかしながら言うまでもなく電力料金決定なるものは、これは公益委員に与えられております最も厳粛にして、また非常な重要な事項であります。ちようど裁判所の判決が判事あるいは裁判所を構成しておる官吏のもの全部で決定いたされます。これと同じようにこの最後の決定は私ども責任を持つべきものと存じますが、かくのごとき重大なるものに対して、私は国会を無視するなんということは夢にも考えておりません。その意味におきましてこの席におきまして、私あるいは私以外の方がみな各地へ参るのでありますが、その申しました意見に対しまして御説明いたしますことは、これは喜んでいたすつもりであります。ただしかしながら最後の決定というものは、私どもにその責任があると考えておるということだけはつけ加えて申上げておきます。
  54. 南好雄

    ○南委員 伊藤委員のお言葉、これは法律的なお言葉であります。今同僚の福田君とかあるいは今泉君が質問された通り電力料金値上げは、日本経済にとつて非常に大きな問題である。少くともこういう大きな問題をきめられる際に、こんな法律論ではなくて、今の時期は日本の自主経済にもどりつつある時期なのでありますから、あなた方に責任をとつていただくことは言うまでもありませんが、いわゆる国民の代表である国会を少くとも納得させてから、この問題をきめてくれという福田委員の希望なのであります。これを聞かれずにそういう不得要領のお返事をなさることは、いかに口に国会を尊重されると言われても、国会軽視だと思う。少くなくとも方針がきまり、いつからやるという決意がついたときには、通産委員会をあなたの方から要求して、あるいはこちらの委員長と連絡をとられて、われわれに納得させて、国民説明のできるようにしていただかなかつたならば、これは非常に大事な問題だと思いますから、繰返しもう一ぺん念を入れてあなたの御所見を承つておきます。
  55. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 大して見解に相違はないと思いますが、私は過日参議院においで申し上げたことがあります。電力事業というものは、非常な厖大なものであります。従業員の数も多ければ、また取扱う物資の豊富なること非常に多額なものであります。自然これを経理に現わします上には、ゼロを幾つもつけるということは事実であります。しかしながら実業界に処しましたものとしては、電力事業収支計算は非常な簡単なものであります。いわゆる公益事業というものは比較的簡単なものであります。ガスは少し意味を異にしておりますが、電気の方は収支計算が非常に明らかなものでありますので、この機会にいわゆるガラス箱の仕事で、外からハンドル一つで動かし得る基準をきめたいと思うのであります。その意味から申しまして、当初に御説明申しました原価主義ということでスタートします以上は、電力会社経理というものはおのずから自動的にわかつて来るのではなかろうかと考えます。その基準をきめましたときにおいて、私どもは、この項目でこれだけのものが消費されるのだ、これだけの項目に対してはどうしてもこれだけのものを承認しなければならぬという基準を申し上げることはできると信じます。それを総合いたしまして、幾らになるかという数字もほぼ出て来るものと信じますが、本日の公聴会におきまして質問をしております、また答弁つております基本料金基準案が決定します以上は、そのものさしによつてつて行けるならば、比較的簡単なものである。また福田さんの御質問また御希望にありましたが、数字が出ました以上は、私どもはお申しつけによりますれば伺いまして、その数字説明をさせていただくことを非常に愉快に思う次第であります。重ねて申しますならば、非常に明らかなことでありますので、すなわちガラス箱の仕事を将来ともやりまして、これがどこに無理があるか、どこにどういうような隠れたものがあるか、そういうようなことがありますと、国民が疑問を抱くのでありまして、だれしも電力料金値上げということには足元から反対のことは事実なのであります。しかしながら電力事業の将来のために、国民すべてが同じ基準のもとにこれを認めまして、そうして今後起し得る高価な電力を、どういうふうにして消化して行くかというようなことに対する最も見やすい基準を皆さんにも御認識を願い、また御説明を申し上げて、そうしてこの電力料金の処置をすることが必要であろうと思います。しかしながら最後に決定をいたしますことにつきましては、言うまでもなく通産省、安定本部あるいは本日は農林省あるいは運輸省からの申出もありました。物価庁等にも十分相談いたして決定いたしますつもりであります。その説明基準につきましては、私どもは、筋がわかりますれば、ぜひごらんを願い、また御報告を申し上げることを愉快に思う次第であります。お申出のことは、決して隠れもいたしませんし、またごまかしもいたしませんことを御了承おき願いたいと思います。
  56. 福田一

    ○福田(一)委員 最後に一つだけお伺いしておいた方がいいと思います。先ほど今泉委員からも言われたのでありますが、料金算定基準案第十条に、「電気を供給する需用者に対しては、公益事業委員会の認可を受け、特別の料金を設けることができる。」、こうありますが、これはたとえば農業用電気というような、期間的に十一月とか、あるいは水がかれたというときにだけ使うようなものにも適用される方針で、この条文をきめられたかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  57. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 それらのものを含めまして、広い意味におきまする処置をでき得る条項と考えております。
  58. 中村純一

    中村委員長代理 次は今澄勇君。
  59. 今澄勇

    今澄委員 私は今までの同僚諸君のいろいろな質問で大分明らかになつて来ましたが、一言委員長に申し上げておきたい。少くともこういう重要な電気料金の問題等については、公益事業委員会には松本委員長あり、松永副委員長あり、国会がこれらの問題を審議しようというのに、委員長が来られなければ委員長代理ということでないと、先般松永委員はこの委員会において、電気料金値上げの際は、必ず国会にその内定したものを提示して御相談ずるという答弁をしており、きようの伊藤委員答弁とは違つておる。さらに東京新聞には、松永委員長代理談として、この値上げはやむを得ない、むしろここで電気料金の改訂をしなければ、わが国電力事業は壊滅に瀕するというはつきりした言葉すら伝わつている。われわれはこうい問題を公益事業委員会責任者に聞かんとしておるのに、これらの責任者が今日ここに出られなくて伊藤さんの来られた理由。それからわれわれは、これらの電気事業については、少くとも例の再編成以来重大な関心を持つておるが、この委員会がきよう質問の時間を制限して行われておるのはまず了承するとしても、電力と最も関係ある通産大臣、安本長官並びにその責任者すらここに呼び得ない委員長は、国民の前に通産委員会としてどのような責任をとられようとするのか、委員長の御見解を承りたい。  さらに今伊藤委員のいろいろやおちよう的な御答弁があつたけれども、少くとも私どもはこの電気料金値上げにつきましては、真剣に国民の意思を代表して述べておるものであることを御了承願つて、きよう委員長並びに委員長代理が何ゆえにここに出て来られなかつたか、その理由を御説明願いたい。
  60. 中村純一

    中村委員長代理 公益事業委員長並びに委員長代理をお呼びしておつたのですが、ちようど折あしく、本日は電気料金引上げに関する算定基準の聴聞会が開かれておるそうでありまして、そちらの重要用件のために本日ここに出席ができないということでまことに遺憾であります。次回の委員会におきまして、十分納得の行くような答弁を得たいと思つております。それで御了承を願いたいと思います。  なお通産大臣はやはり先ほど出席の予定でありましたが、これまたやむを得ない用事でこの席におりません。しかし物価庁の政務次官あるいは第一部長、その他の政府関係官もみえておりますから、十分御質問を願いたいと思います。
  61. 今澄勇

    今澄委員 通産大臣は後ほど出席するという連絡が今私のところにありましたから、通産大臣は出られるものと思つて、私は通産大臣が出られてから安本並びに公益事業委員会あるいは通産省その他の関連事項について質問をいたします。出られなければ、私は明日出ていただいて、委員会を継続してもらいたいと思う。そこでそれらの人に出ていただくまで、とりあえずきよう中国電力株式会社から出た料金値上げの要望書に基いて先ほど来行われたいろいろな質疑応答についての具体的な御答弁会社側から聞きたいと思います。  そこで第一番に、私は中国電力のここにお見えになつておる代表の方にお聞きをしたいのでありますが、公益事業委員会からこのたびの石炭不足に名をかりる緊急制限は許されないという通達が全国の電力会社に行つておるにもかかわらず、中国電力がこれらの制限を管下の会社に行つた理由をひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  62. 真田安夫

    真田参考人 本日社長やむを得ない事情のために、私かわつて答弁申し上げます。私先般来上京しておりますので、緊急制限の点につきまして、詳しい事情を存知しないのでございますが、中国で石炭不足のために緊急制限ということは聞いておりません。先般関西方面電力逼迫のために、電力が遮断されまして、その爾後三時間制限をやむなくせなければならなかつた、こういうような事情で制限したのであります。石炭不足のための制限とは報告を受けておりません。この点御承知を願います。
  63. 今澄勇

    今澄委員 大体今度の七割値上案は、あれを見ると中国電力は七割五分、東京電力が五割九分二厘、平均して七割五厘の大体値上案になつておる、こういう値上案を公表しておいて、そして再編成九分断の後に電力会社が大体梅雨の豊水期を前にして、この際緊急制限をしなければならないなどということは、私は経営者としてあり得べからざる怠慢でなければならぬと思う。少くとも中国で電気の緊急制限があつたということは私のところへ連絡が来ておる。その原因が石炭不足にあるか、何にあるかということは中国電力会社側の方がいろいろここで何とか言われましよう。しかしながら私はこの際緊急制限を行わなければならなかつた中国電力というものについては、一体公益委員の伊藤さんはどう考えておられるか、もう一度ひとつ御答弁を願いたい。
  64. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 電力の自然流量の減少ということはまことに困つたものでありまして、すべてがこれに基因しておる点もあります。しかしながらただいまの今澄さんの御質問のうちの、中国が何がゆえに数時間の緊急停電をしなければならなかつたかということにつきまして、これは今のような電気が一社のみの独立した経営でなくして、リレーによる各社の連繋運営をしておりますときの、その完全な操作が少し手ぬかりがあつたということにも基因するものと信ずるのであります。中国に対しましては、田植どきの灌漑用水に分水いたしますために、中国の特殊の実情を考慮いたしまして、大阪関西電力の方からこれを臨時に補給する申合せもついておつたのであります。いつの日であるか存じませんが、たまたま急に電力が減少しましたために、大阪の助けを請う目的であつたのでありますが、大阪がより以上の欠乏であります。しかしながら大阪は制限をなおきつくしても、中国に対して補給すべきものだという説明のもとに渡されようとしたのでありますが、遺憾ながら大阪の電圧が御承知の通りその当時五十七前後まで低下しておりまして、それをそのまま中国に移動することができなかつたがために、石炭の発電をすべく数時間手遅れした結果、ああいうことを来したのではなかろうかと考えております。あるいはこれは間違いであるかもしれません。日常操作を見ておりますのにそういうふうな実例があつたこともあるいは過失であつたかもしれません。
  65. 今澄勇

    今澄委員 今の伊藤委員の御説明で、電気事業の九分断の施行されたときにいろいろ公約されましたが、そのうちの地域間の電力の融通あるいは料金差の問題、その他合理化による電力供給量の増加等々の、あらゆる九分断に際するときの公約というものは、全部御破算になつているということを私どもは確認いたします。さらに伊藤委員の御答弁で、石炭等その他の手当が遅れたというような現状から見るも、中国地電力の今日の電気事業運営に関する心構えというものは—私は会長も東京におられることを知つているし、副会長もついこの間会いました。社長もおられるが、副社長にも会いました。そういう方が出ておられないというこの一事を見ても、電力料金値上げだけはあなた方はこういう資料を提出されておるけれども合理化運営その他の点について非常に怠慢であるということを私は指摘して御注意を促します。  もう一つ、このあなた方が出された七割五分の原案の中で、収入の方を見てみると、供給の損失が二八・五%という大きな数字が出ております。このような二八・五%という大きな供給損失は、先般の分断後においては、非な送電供給ロスがこれによつてなくなるという御答弁でございましたが、そのときの御答弁と天地雲泥の差であるが、これに対して中国電力の方からひとつ御説明を願いましよう。
  66. 真田安夫

    真田参考人 現在、電力損失は私の会社で二十五年の実積が三〇・〇七、大約三一ございます。これを本年度は約二・五%下げまして、二八・五に目標を置いてあるのであります。電力量にいたしますと六千三百万キロワット・アワー、詳しく設備の実態を申し上げると御理解願えるかとも思うのでありますが、戦時中、終戦後のいろいろの補修の不備、需用の構成の違いでありまして、一般需用の方が非常にふえたといつたようなことから、電力損失が戦前より非常に増大して参りました。しかし終戦後年々電力損失は下つておるのでありまして、大体平均いたしまして一%前後下つておると思いますが、本年はこういう再編成のときでもあるし、この点に大いに努力しなければならないということで、二・五%という目標を置いておるのであります。これを実施するにつきましては相当困難もありまして、そう簡単に電力損失の軽減というわけにも参りませんので、二・五%ということを公約いたしましてぜひ実現いたしたい、こういう考えでおります。
  67. 今澄勇

    今澄委員 松永委員長代理が先般当委員会へこの再編成直後現われたときの御答弁によるとこれらの電力損失というものは非常な低い数字を述べられておりますが、伊藤委員はそういつた電力損失で現在の電力会社運営されておるという事実で御満足でございますか。
  68. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 当初にその説明も申し上げたのでありますが、電気の自然減少といたしまして送電ロスということは当然のものであります。その上に、かりに中国の例をとりますと、発電量に比例いたしまして供給地区が広いのであります。日本海から瀬戸内海にわたりますあの地区に渡しますので、自然、送電に対する高圧のものを用いることができがたいところもあるのであります。中国などはその代表的なものと思いますが、電気の持つておる性能から見ました送電ロスの多い地区が中国なのであります。またそのほかに老朽あるいは陳腐化いたしまして、人為に近いロスが相当あるはずであります。それと今の擅用、盗用等を考えまして、日本全国がやはり三一%くらいであつたのであります。それをわれわれの目標は十数年前の最も合理化した運営時期の二割前後にとどめたい、一割強のものをごの三年間に縮めるために、三%基準のものを、ロスの防止を計画しておる、これが九社の目下の計画であります。大体におきまして、そんなふうに行くものと信じます。
  69. 今澄勇

    今澄委員 そういうことになると、電気事業の再編成は豊富低廉なる電力を供給することができないという結論になります。そこで私は簡単に申しておきますが、この中国電力値上げ収支、バランスの中で、まず役員俸給手当というものは一応これをおくとしても、石炭費などについて見れば、九州炭の使用が非常に多くて地元炭の使用を減らして、しかもその買炭価格についても、現在われわれが見ておる市場相場からすると、千円程度高かろうという値段がついておる。これを私どもは、地元の宇部炭を使用して計画を組んでみると、二十五億ないし二十六億見当で十分これが運営できる。それから修繕費等は大体十五億見当であるとわれわれは見ておる。減価償却に至つては、先ほどお話のように、やはり定率法によつてこれは行われておりますが、私どもは減価償却は定額法で行うべきだと考える。この中国電力が、定率法による減価償却の表を出されておるその根拠を一応この際伺いたいが、これを定額法に直すと、この金額も非常に下つて来る。固定資産税、支払い利息等のことについては、借入金その他でまかなわれるということになれば、あなた方が出しておる数字より減るであろうと私ども考えます。かくて現在の支出面で約三十億の減額ができる。これらの詳細な検討をして減額するならば、七割値上案はこれを一割四分という数字をわれわれはここに出すことができるわけであります。このようないろいろの条件から見ても、あなた方がこの中国電力の詳細な収支バランスの上に出された数字そのものについても、私どもは非常に奇怪に存ずるわけであるが、これらの定率法をとられた理由、それから何ゆえに石炭費等が時価よりも千円も高いか、あるいはまたこういうふうなずさんな電力値上げのバランス・シートを出しながら、緊急停電は避けることができないという中国電力現状というものについては、私はいま少しく詳細にして明確な答弁をこの際していただきたいと思います。
  70. 真田安夫

    真田参考人 ただいま燃料費の問題につきまして御指摘がありましたが、昨年度の実績が大体十八億五千万円出ております。昨年度大体七十六、七万トンたいたと思いますが、本年度は大体委託を合せまして八十四、五トンたく予定になつております。値上りを、大体九州の炭は四五%、地元炭を五五%、これをぐるにいたしまして、大体昨年度の実績の一倍半ぐらいと一応見通しを立てまして、三十二億、この値上りと、量的にもふえましたので、一・七倍という計数が出ております。それから修繕費でありますが、これは昨年度の実績が十一億七千万円ほど出ております。いろいろ物価指数の値上りを検討いたしますと、総合的には一・五七倍というような計数も出るのでありますが、この計数をかけるだけで、すでにわれわれが今回計上しております約十八億という線が出るのであります。先ほどロスの問題もありましたが、非常に改修のたまりがあるのでありまして一般修繕のほかに、そのたまりを数箇年計画で解消するというような意味合いも持つておるのであります。量的には昨年度よりちつともふえないという結果になるのであります。減価償却の点につきましては、これは業者の幹部会議の方でこういうような話がありまして、定率法を適用しておるのであります。現在定額の話もありますので、定額にしたら幾らになるかということも試算しております。大体七、八割ぐらいの程度ではないか、かように考えております。簡単ながら御回答申し上げます。
  71. 今澄勇

    今澄委員 今中国電力の方の御説明を聞きましたが、どうも他の物価指数と比べてというような話が出た。それから今の定額法にする場合の話、石炭費などは大体九州炭が四千五百円ぐらい、カロリーが五千五百という程度にわれわれは踏んで—時間がございませんからあまり詳しくはつつ込みませんが、詳細に出した数字が今申し上げたような数字で、公益事業委員としてもこれらの問題は運賃その他の問題もはじいて、地元炭をうんと使えば運賃も助かり、値も安いのですが、あらゆる点から見て、中国電力その他の石炭の使い方については不合理な—合理化の反対を行くものと思わなければなりません。さらに今お話になつた他の物価指数という点は、全電力会社の皆さんから、ほかのものは二百倍にもなつておるのに電気が六十倍というような話がありますが、この点についても私は一言したい。電力はその原料の九割は水に求めておる、ほかの産業はその原料が全部値上りしておるが、水が値上りということはないと私は思う。火力はその中の一割であるから、石炭の値上りの影響を及ぼすものは、わずかにその中の一割である。新しい水力電気の設備はなるほど高いでしよう。しかしながら八百キロワットという現在の設備の中で、新たに設備したところの水力が負うところの値上りはわずかである、明治初年電気が最初についたときは、労務者一箇月の給料よりわずか十燭光の電気の方が高くてもたれも疑わなつたが、それから百年近い発達をした現在の日本電気事業のもとにおいては、電気料金というものはむしろ技術の発達において安くなるということが、公益という名前のついた公益事業委員会考えるところの一つの目安でなければならぬ。されば私どもは、一般の物価が戦前に比べて二百倍であるから、電気事業が云々などということは国民をだますところの一つの謬論である、かように考えなければならぬが、公益事業委員の伊藤委員と中国電力の代表者に御見解を伺いたい。
  72. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 物価の指数が高いから、電力引上げなければならぬということの説明などは私どももしたことはありません。また今お手元にまわつております電力の値上りに対する各社の書類を、私ども是認したものでもないのであります。繰返して申します、本日電気料金に対する基本方針決定するために、その法規に定める聴聞会を聞きましていわゆるものさしの制定をいたしたいと思います。次いで月末から約十日間にわたりまして、各地におきして需用家並びに事業家の御希望等をすべて伺いまして、そして総合しましたものを各官庁との連繋もとり、またその基準方針につきまして決定しましたものもお目に入れ、御報告もいたすつもりであります。ただいま数字におあげくださいましたことはまことに参考になることでありまして、私の不用意な説明では不満足と思います。しかしそれは答弁する時期ではありません。よく考えて申したいと思います。  それから先刻来豊富低廉なるところの電気ということのお話をよく聞いたのであります。私どもはどこにあつたかと思つていろいろ聞きましたところが、これは昭和十四年に時の内閣が申しましたモットーであります。私どもは結局豊富にしなければならぬ、豊富にするがためにこの乏しい電力を、必要なだけのものをどうして国民の前に供給するかということは、電気会社を置きましたわれわれの任務と思います。低廉ということはいかなることかと思つておつたが—豊富低廉ということがいろいろな方面に唱えられたのでありますが、それは今から十二年前に唱えられました日本の合言葉だつたそうであります。私どもは豊富ということを念願しておりましていわゆる低廉ということは、切詰めて切詰めたあらゆる努力によつてより低廉なものを発生させ、それを需用家に供給することが任務と考えておりますが、絶対額が今日よりも安くなるということは非常に困難な問題であることもつけ加えて御説明申し上げます。
  73. 真田安夫

    真田参考人 先ほど石炭のお話がありましたが、この面につきましては、われわれの方の中国電力は三分の一を火力に仰ぐのであります。それが非常なウエイトになつておる。石炭の問題は一番関心を持つておる問題でありまして、これをできるだけ能率よく、量も少く、もちろんできるだけ安くまかないたいということはわれわれ満々たる熱意を持つておるのでありますが、今仰せのような価格は、ちよつとわれわれの方ではじいたのでは出ないのであります。  それから地元炭を使えということでありますが、これはわれわれもまつたくその考えでおりまして、現在宇部炭というのは、御承知の通り、ほとんど宇部地区の発電所だけでありまして、その他の発電所は全部九州炭を主力に置いております。電源の拡充が滞つておりますために、需給のバランスがとれない。時期的には火力を相当たかなければならぬというような関係で、やむなく九州炭が相当いるのであります。将来は新宇部に大きな構想を持つておるのでありまして、中国としましては全部宇部炭による方針を堅持しております。この点御理解願いたいと思います。  それから水力の問題が出ましたが、これは一般的な問題でありまして、改修費が相当かかりますし、新設しますと、旧来ならば五百万キロ五万円くらいのものが、現在どういたしましてもわれわれのところで七万円ないし八万円くらいになる、貯水池も見れば十万円を越えるぐらいです。百四、五十倍にもなつている、この点を御了承願いたい。簡単ながら御答弁といたします。
  74. 今澄勇

    今澄委員 それでは今伊藤委員から特に中国電力につきまして値上げに同意しておらないという明確な御答弁があつたので、十分これらの指数を公益事業委員会においても審査の結果、国民納得する電力料金をきめてもらいたいということを付言いたします。なお中国のごとき非常に電力事情の悪いところにおいてかくのごとくであるから、他の電力会社等はこれをしさいに調整すれば、むしろ値上げをしなくても十分やつて行けるという指数が出るであろうと私は思つております。この点もこの際ひとつ御報告して置きましよう。  そこで私は伊藤委員並びに安本その他の方々にお伺いしますが、まず最初に周東安本長官は先般の新聞紙の報道する通り、この電力料金値上げは三割五分程度において安本としてはおちつけるつもりである。先般の参議院における電力委員会答弁においても少くとも松永公益事業委員長代理答弁したように、安本と相談し、安本の同意を得ないで、かつてにきめることはあるまいということは速記録に載つております。これらのいろいろな答弁を総合して考えてみると、周東安本長官の三割五分と言つたものは、どういうところから割り出され、公益事業案とどう打合せになつており、どういうような基礎を持つものであるかということを、ちよつと安本の方から御説明願いたいと思います。
  75. 郡祐一

    ○郡説明員 安本物価庁といたしましては、公益事業委員会と十分緊密なる連絡をとります。従いまして規則の制定であるとか処分というようなことについて一々協議をいたし、またただいまも国会との連絡に御意見をしばしば伺いましてごもつともと思つておりますが、政府といたしましても閣議等において十分統一をいたして、閣議が了解をいたし、しかる後に料金の真の効率的な決定をいたしまするように、その間の連絡を十分心がけております。ただどの程度値上げになるだろうかというようなことについては、従来いろいろな試案を物価庁でも検討しておりましたが、今どのくらいになるというふうな確たるものは現在持ち合しておらない状態であります。
  76. 今澄勇

    今澄委員 物価庁の従来の試案から見て、今推定され得る指数はいかほどであるか、御答弁願いたい。これは特に物価庁においてはあなたの下僚の方がそれらの見解をあれこれ述べておられるので、私は責任者としてあなたの物価庁がながめた全物価体系の中における電力料金はどの程度のものであるかということについてこの際見解を披瀝していただきたいと思います。
  77. 郡祐一

    ○郡説明員 私ども原価の形成をいたします場合、先ほど石炭代の話が出ました、また今澄さんのお話にもありましたが、これらについても十分検討の余地があるだろうと思つております。減価償却についても物価全体を安定いたします上から、政策的な考え方を加えて行かなければならぬということも考えております。かつ物価全体の体系に電気料金の占める割合と申しますか、重要性というようなことについてもしばしば検討を加えております。しかし今お話のありますように、料金そのものがどの程度値上げでとどまり得るものであるかということは、私の役所の者でもまだ私見の程度でも持つておりません状態であります。しかし十分勉強いたしますから、その程度で御了解願いたいと思います。
  78. 今澄勇

    今澄委員 今の御答弁は、非常に合理的な考え方を安本が持つておるものであることを私どもは了承します。まず第一に私はこれらの電気料金だけを切り離して、ガスとともに公益事業委員会が、全日本物価体系の中から切り離してきめるということには、大きな矛盾を感ずるものであつて政令による一切の施行規則を法律に直す際には、私は断じてこのような不合理を改正しなければならぬ、かように考えておりますが、今の物価の体系の中で、ただいまの御説明によると、閣議にも公益事業委員会の方から報告して、閣議でこれを諮つて、そうして内閣の意思も入れた国民全体の要望するものにきまるというような御答弁でございましたが、伊藤さんにお伺いします。あなた方の方は大体七月の上旬聴聞会が終れば、再開国会前七月中にこの電力問題の解決をつけて国会閉会中にこれを断行するということを巷間伝えられておりますが、その通りであるかどうか。  もう一つ、あなた方の方で閣議へ報告を出される時日は一体何日ごろになるか。あなた方の出した数字を閣議において決定を見ない場合においては、権限を持つ公益事業委員会としてはどのような立場に立つてこれが再考をされるものであるかどうかということについて責任ある答弁を願います。
  79. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 今のお話中、議会の閉会がいつまで続くかということは私ども考えておりません。議会の閉会中にこれを決定するということも考えておりません。再び申します。各地における公聴会等で入れました参考資料をもつて、まず安本、通産省その他の関係官庁に対し個々の打合せなり討論をし、研究いたしたいと思うのであります。そうしてその基礎案ができました後におきまして、私どもその基礎案の報告等を国会に対しても出すつもりでありますが、私ども公益委員会から閣議に提出して、閣議の裁決を経るというような制度を考えておりません。おそらく通産大臣並びに安本の長官等が御相談申しまして、それがそれぞれの手によりまして処理されますものと信じます。私どもは単に権限がどこにあるかというようなことよりも、通産省並びに安本等の、当該の人々と最も合理的な、無理のない料金制定を協議することがまず先決問題ではないかと考えておる次第であります。
  80. 今澄勇

    今澄委員 そこで私が今お伺いした問題の要点は、日本電気というものは、これは日本に限らず電気事業の性質として、電気は全産業のために奉仕者としてそのあり方が規定づけられるのが正しいのか、それとも電力を持つものが全産業を牛耳るがごとき電力権力主義の上に立つのかということが一番大きな問題であると思う。少くとも私は電気事業編成から今日に至るまでの松永公益事業委員考え方の中には、電気事業の権力主義というものを大いに盛り込んで、少くとも今度でも百パーセント国民料金負担の上に、いわゆる疲弊せる日本電力事業を一挙にこれが合理的な力強いものに編成しようという考えが、全産業をして混乱に陥れることの大きな理由であるかように思います。そこで私は今あなたがいろいろ答弁されたけれども、今の安本の方の御答弁は、実はすでに周東安本長官からも、われわれは会合の席上において正式に閣議に諮られて、閣議において談合して行くことになるというふうに承つておるので、私は今の安本の方の答弁は絶対正しいものであつて、今の伊藤委員答弁間違いであるか、あなたが公益事業委員の一人として怠慢であるという証拠であると思います。  そこで私どもは、今の電気料金決定について、電気事業電力権力主義に立つことを防ぐために、やはりわれわれは公益事業委員会というものがあると思うが、少くとも電力の値段、割当というものについては、一般的な物価体系の上から見ると、これが決定権はやはり安定本部にあるということが私どもは正しいと思うが、大体運営上、今伊藤委員はどのように考えられておるかということが一点、それから第二点は、伊藤委員に対して電力というもののあり方は、全産業の奉仕者として、やはり大きく国のために、電力事業というものが全産業のためにこそ運営せられるのであつて電力の円満なる発達のために全産業が犠牲になるというが、ごとき考え方は万々ないと思うが、これらについての御見解、それから安定本部の方に、私は現在の電力の値段のきめ方、あるいは今後の割当はどうなるかわかりませんが、公益事業委員会が割当てるということで、安定本部の全体的な日本の自立計画、その他のものについて何らの支障なく運営でき得るかどうかという点について安本の政務次官から、さらに通産大臣がお見えになりましたので、われわれはここに平均して七割五厘と伝えられる—今次のこの各社の出そろつたものでは、東京電力が五割九分二厘、中国が七割五分というこれらの電力値上げによつて日本基礎産業、特に鉄鋼それから化学肥料、ソーダ、アルミ等における通産省の所管大臣が責任を負わなければならぬそれらの産業が、間違いなくわが国の現下産業計画の中で、今後十分運営維持ができるものであるかどうかということについての、通産大臣の答弁を第三番目に要求いたしまして、私の質問を終わります。
  81. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 私に御質問くださいましたことに二つあつたようでありますが、まず電力会社が自己の事業を通じて社会並びに国家産業に奉仕すべきものであるか、あるいは電力という非常に大きな権力を持つて他の産業の上に君臨するかという御質問であります。これ見方よればいろいろ説明もできるかと考えますが、私ども長く自己の職業を通じて社会に奉仕をするということがならわしのいわゆるアバンゲールの人間には、すべての事業は私は自己の事業を通じて国家社会に奉仕すべきものだという考えを持つております。ことに公益事業であります以上は、いわゆる奉仕的な事業である、各国民全部にわたつて奉仕的な事業であることはこれは間違いない事実であると信じます。いずれに権力があるかというようなことは、私の哲学ではそういうことを明晰に説明し得る能力がないことを申し上げまして、御答弁にかえたいと思います。  次いで、電力その他の公益事業決定に際して閣議の決定をまつかまたぬかという問題に対しては、これは非常にむずかしい問題であります。いま一度昨年暮の十五日に総理大臣から与えられましたあの法規上の権能を読まなければ私は答弁はできませんが、しかしながら事実の上に考慮いたしまして、各産業にわたつて非常な関係の深い電力事業、すなわちただいま御質問通りであります以上は、通産省並びに安本、物価庁等の当該の方々と隔意なく意見を交換いたしまして、おのずから出て来る道によつてやりたいと思いますが、それより先に、先刻来たびたび申しております電力料金というものを原価発生主義—原価主義によつて出て来ます基準をもつて制定いたします以上は、おのずからそこに明白なものが出て来ると思います。その意味におきましてどの官庁も実は大きな意見の相違のない結論に達するのではなかろうか。今実は電力値上げ内容に対しましては、大体のことは承知はしておりますが、しかしながらただいま御質問のように、どの地区の石炭を何トン使つて幾らで買つてあるというような末までは実は目が届いておりません。あなた方のお手に渡りました書類と、われわれに渡りまし書類とはほとんど時間が同じでありますので、そういうことにわたつて説明することは後日に譲りますけれども、おそらく原価発生主義から割り出しますと、大きな狂いはないのではなかろうかというような考えを持つておる次第であります。
  82. 郡祐一

    ○郡説明員 電気料金物価全体に及ぼします影響、また割当が全産業に及ぼします影響は、今今澄さんのおつしやる通りであります。従いまして、これらのことについて安定本部が十分な責任を持つて物価全体なり、産業全体の影響というものを把握して間違いないようにできまするためには、公益事業委員会できわめて緊密な連絡をとつて参りますること、このことはまた私どもが申しますだけでなく、松永委員長代理も国会の席上でも同席いたしまして相ともに言明をしておられたところであります。従いまして緊密な連絡をとります方法については十分細心な注意を払つて参りまするが、安定本部なり、物価庁の仕事なりに決して支障のないような方法責任を持つてつて参りたいと考えております。
  83. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 電気料金産業面に対して影響のあることはよく私も存じ、今澄さんと同感であります。従いまして産業面から申しますると、少しでも安い方を望むものであります。しかしまた電気事業の荒廃に対しましても考えなければならぬところでありますから、ある程度電気料金値上げというものは起らなければならぬかもしれないと考えるのでありますけれども、現在の段階におきましては、幾ら、どういうふうなために値上げをするかということの額がきまつておりませんので、その点に対して私の考えを申し上げることは避けたいと思います。しかし私はあくまでも安い料金にして、産業影響ないように、物価庁公益委員会等にお願いをして—私の方はそういうことを決定する権能はないのでありますから、ただ私の方としてはこういうふうにやつてもらいたいという要望をして行きたい、こう考えております。
  84. 今澄勇

    今澄委員 約束の時間があとわずかで残念ですが、通産大臣にもう一点お伺いしたいのは、現在の通産省を所管される責任者として、たとえば肥料工業を例にとると、肥料配給公団の廃止以来、肥料は自由販売である。     〔中村委員長代理退席、多武良委員長代理着席〕  しかしながら自由販売では値段が上るのでこれらの自由販売の肥料に対しては勧告的な価格の押えつけをして、今日農村の農業経済の切抜けをしておることは、勧告されたあなた自身がよく御存じである。しかもその肥料は先ほどから質問がありましたように、少くともガス法においてはトン当り千九百円、電解法においてはトン当り千四百円も値上りになることは、物価指数において明瞭である。しからばそれらの値上げをそのまま農民に持つてつたのでは農村はつぶれる。といつてこれを肥料工業にまわせば肥料工業が荒廃することは明らかだ。鉄鋼においても、ソーダにおいても、アルミニウムにおいてもこれやの現象は言えると思うのである。通産大臣として、通産省所管のこれらの事業会社は、電力料金値上げに対してはどの程度までならばたえ得るものであるかということを、一国の政治の責任者として、これらの電気事業の混乱している今日、意見を申し述べ、その所信を明快にすることが最も必要であると思う。これらの点についての明快な御答弁を願いたい。
  85. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 統制をはずして肥料が高くなり、鉄鋼の補給金をはずして高くなる、それでどれくらいの値上げまではたえ得るという案は持つておるかというお話かと思います。はなはだうかつでありますけれども、現在におきまして、それまでの討究をまだ終えていないのでありますからあしからず御了承を願います。
  86. 今澄勇

    今澄委員 まことに遺憾でございますが、大臣においてまだそういう用意が全然ないということでございますればわれまた何をか言わんやであります。ただ私は通産省の事務当局においてそれらの点を安本と打合せ、安定本部の全体の計画の中で通産省が認めて、この程度ならば日本産業は十分やつて行けるというような見通しがあり、原案でもございますれば、事務当局の方からでも、安定本部の方からでも、たいへん恐縮ですが、いま一度御答弁を願いたいと思います。
  87. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 今それは討究中でありまして、まだはつきり幾らということは省でもきめておりません。しかし先刻から申し上げておりますように、産業の最も重大なる電力がそう高くなつてはいけないということだけはよく承知しております。その意味においてよく討究いたしまして善処いたしたいと思います。
  88. 今澄勇

    今澄委員 そこで私は現在の日本の経済再建自立の重大なる段階で、かくのごとき明確な数字が、各電力会社からの要求によつてそろい、しかもこれは公聴会にもかかつて国民輿論の対象になろうというときに、一国産業の、消長の上にこれらの問題がどう影響するかということがいまだわからぬということは、これは残念だと思います。ただしかしながら経済安定本部においては、日本の経済自立の観点から、先ほど申されたように一つの目安を持ち、絶対に日本産業が混乱しないような体系において、公益事業委員会と十分連絡をして責任を持つという御意見でございましたので、私はどうかひとつ物価庁においては、これらの日本物価大系の中に占める電力ということにおいては、公益事業委員会が持つ現在の公共事業令の政令の権限は別といたしましても、日本産業の建前から私は大きくひとつ安定本部としては強力なる主張をされることを希望いたします。特に一般国民大衆に影響を及ぼす電力料金制度の問題すなわち地域差なりあるいは大口、小口の差別、家庭電力等の問題においては、私はこの次の委員会において詳細質問を申し上げることをお約束いたしまして、約束の一時間が参りましたので、同僚議員に譲つて終ります。
  89. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 次は風早八十二君。
  90. 風早八十二

    ○風早委員 時間がわずかに限られておりますので、簡単に二、三質問いたしますからお答え願いたいと思います。  まず第一に公益事業委員会にお尋ねしたいのでありますが、九分割というものに対してわれわれがかつて絶対に反対をいたした際、九分割はコストを切下げるものだ、こういう御答弁がしばしばあつたように記憶しておりますが、実際問題としてみますと、まず九分割の地ならしとして行われました料金引上げというものがあります。これはたいへんな大幅の引上げであります。また今回いよいよ九分割が出発したという場合にまた料金値上げがある。しかもそれはコストの上つたためである、こういうことになりますと、結局九分割というものはコストが高くなるという体系であつたということになると思うのでありますが、その点は別に御異存はないのでありますか。
  91. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 結果において、ただいまのお話のごとく、九分割をした後に電力が問題化しますことは事実であります。しかしその原因におきまして九分割なるものの処置がそのフアクターであつたというように考えることは、私どもはいたしかねるのであります。すなわち電力料金値上げをいたしましたのは昭和二十四年の下期のようであります。それ以後の物価の騰貴並びにいろいろなるフアクターを考えまして、ただいまの値上げが問題にされておるのであります。九分割そのものがただちに電力料金引上げの原因であると私は考えることはできないのであります。
  92. 風早八十二

    ○風早委員 今ここで古い話を一々点検しておるひもないですが、しかしながらあの場合の地域差料金も結局は全国平均しましてもたいへんな値上りをした。実質はまた三割三分というのでなくて何倍に上つたという面もたくさんあつたわけです。しかもこの地域差料金というものは、九分割の地ならしであるということについては、われわれはもうしばしばここで論争もして大体お互いに結論を持つておると思うのであります。またこれを繰返すことは無用だと思います。われわれはこれははつきり九分割の地ならしであるという前提をとつておるわけです。それはとにかくとして、現在電力の問題にしましても、何の問題にしましても、やはり日米経済協力というこの大きな問題と関連なしには考えられないと思うのであります。公益事業委員会としても、日米経済協力とこの分割なり、特に今具体的に出ております電力料金値上げ値上げ程度の問題は別としてとにかく値上げという問題と、これが非常にまた関係がないはずはないと思うのであります。そこで日米経済協力ということを特に主眼として、それに関連させて公益事業委員会は、電力の割当なり料金の配分なり、こういうことについてはどういう根本方針を持つておられますかということです。     〔多武良委員長代理退席、中村委員長代理着席〕
  93. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまの御質問の要旨の、日米経済協力の—これは昨年の朝鮮事変から以後の特需というものも、見方によりましては日米経済協力のその一端かと考えますが、過日マーカット将軍の発表されました日本に対する特定のものの注文をふやすという案件でありますが、私今日いかなる分量であるか、またいかなる種類のものであるか、またその時期がいつであるかということは、各方面について調査をいたしましたが、私まだ手に入つておらぬのであります。どの程度の提携であるかということによりまして、今のお話の通りに、電力量の割当に対しましては非常に困難が起るおそれを持つております。すなわちただいまを基準といたしまして漸次にふえて行くということになれば、これは非常に困難と言い得られぬ点があるかと思いますが、今日にしてなお一割とか二割の多額の消費を求められるならば、これは不可能ということを申し上げてもやむを得ぬと思うのであります。  それから料金が日米経済提携の上にどういうふうな響きがあるかということの御質問もありましたが、これも確実な数量と品種の明細がなければ御答弁できませんが、たとえば機械工業とか、繊維工業の場合ならば、内地向けを振りかえれば消化しきれるものと考えますが、非常な多額な電力を消費するものが採算に合うかどうかということは、これは架空なものでありますので、責任のあることを答弁いたすことは困難であることを御了承願いたいのであります。
  94. 風早八十二

    ○風早委員 日米経済協力の問題は、決して架空な問題でなく、これは過日マーカツト経済科学局長、モロー補佐官あたりが、かなり詳細な基準を出しておると思います。しかもそれらの基準に基いて、実際に幾多の実例が出て来ておると思います。最近スコット大佐と日立製作所の間にとりかわされた現地調達契約においても、非常にはつきり出ておると思う。そういう場合に、目立はとてもこれはやつて行かれないような現地調達のいわゆる調弁価格、特に材料費以外には、労働者一人当り一時間四十八セントというような非常にきゆうくつなわくがはめられて、その中で減価償却から電力とか、その他の燃料費とか、一切合財をまかなわなければならぬ、利潤もそれから生み出さなければならない、労賃も出さなければならぬ、こういうきゆうくつなわくがはめられておる。そういう場合に労賃の問題は、おのずからこれはやはり一つの限界があるのであります。もちろんこれに対して会社側が攻撃を加えて来るということは十分予想されるのでありますが、しかし限界がある。そうした場合に、どうしても電力問題などにつきましても、そこに特殊な取扱いということを要求せざるを得ないと思うのであります。そうした場合に、一体公益事業委員会としては、一般方針として特需に対してはどういう特別な取扱いをされるおつもりであるか、これをやはりはつきり伺つておきたいと思う。
  95. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまの御質問電力料金電力量の割当と二つにわかれておりますが、両方御説明申し上げたいと思います。  私架空と申し上げたことは、言葉が過ぎるかもしれませんが、しかし全般にわたりまして、日本に幾らの数量の注文が入るかということに対する明確な数字を持つておりませんために、ああいう御答弁を申し上げたのであります。日立の場合に考えますと、電力の数量的な面からは、ただいまそれに対して非常に大きな電力消費の増加を申し込まれましても、これは地区によつては不可能であると信じます。事実今日大阪におきましては、緊急割当制限をしておる、あるいは電圧が非常に低下しておるという折からに、なお大きな消費が要求せられますと、これは不可能に近いものではなかろうか。しからばどうされるかというと、現在やつております日本向けの仕事をやめてその方に振りかえるということも一つ方法であると思います。電力量の急激なる増加ということは、今日におきましてはかすに時間がなければ困難なるものではなかろうか、むしろ新会社の方の御意見にまつべきものと思いますが、現在の電力会社の供給関係は、非常な困難なことに直面しておると私は考えております。  それから次に料率の問題であります。私も直接関係いたしておりませんが、友人が数年前から関東地区におきましてちようど今のような特別な注文があつて、長い間提携の仕事をされておりましたが、その経費のかかり方に対しましては、アメリカからしい真に正確な人件費並びに雑費の割当をしておられるようであります。自然その意味におきましてかりに電力料の値上げということが起るならば、それはアメリカ側におきまして、日本の根本産業を破壊しない範囲における値上げならば必ず是認されるのではなかろうかと考えております。それが根本的に困難であるというような考えは持つておらぬのであります。
  96. 風早八十二

    ○風早委員 その割当に関しても非常に困難である、あるいは場合によつては不可能であるというようなことを率直に出されましたことは非常に正しいと思いますが、しかしながら困難であればあるほど、問題は結局はどちらにか行かなければならないのであります。その場合に結局日米経済協力という大きな一つのわくと関連させなければならないとすると、どうしても民需を犠牲にして特需の方に行かなければならない。こういうことに自然の趨勢してなるわけであります。従つて率直に結論を言えば、これは日米経済協力というものに対して、電力会社は実際の利害関係上、原価主義からいいましても、これは当然もつと批判的でなければならぬのじやないか、こう考えるのであります。そういう点では公益事業委員会は一応天くだり委員会といわれておりますが、しかしながらこれはやはり日本委員会でありますから、そういう点ではもう少しはつきりした公正なる方針を立てられる必要があると思うのです。そういうお考えはおありになるかどうか、その点について根本的に検討して入られる必要があるのじやなかろうか。これは中小メーカー、特に民需関係のメーカー一般は、非常に大きな問題として今騒いでおるわけであります。でありますから、これもやはり国民の一部でありますから、それらのことも十分に考慮された上、この点についてはどこまで一体引きずつて行かれるつもりであるか、これについてはつきりしたお考えをひとつもう一度伺つておきたいと思います。
  97. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまのお話は私非常に参考になりますので、ありがたくただいまの御質問を聞いたのであります。電力の不足ということと同時に、機械その他人員の限定が工業会社にはあるはずであります。その意味におきまして、かつて私の関係しておりました紡績事業などは、昨年の秋以後緊急に注文がある場合におきましては、輸出はやめられぬが、内地消費のものを一時停止してまで緊慰な特需の方に割当したことがあります。そういうことは今後も起るものと信じます。  次いで全体の電力消費量を日米新提携によつてどういうふうに振り向けるかということは、お話のように実際大問題であります。私今ここでそれに対する明らかな御返事を申し上げることの不可能なことをおわび申し上げます。これは非常ないい御注意をこうむつたもの思いまして、われわれの委員会におきまして至急慎重に考慮するつもりであります。どうもありがとうございました。
  98. 風早八十二

    ○風早委員 それに関連しまして、これは必ずしもいわゆる特需、つまり軍需メーカーというものでないにいたしましても、進駐軍関係に対する電力の割当並びにその料金の実際の徴収の仕方、これについては今までたびたび各方面から問題が出ております。ことに電産方面からもいろいろ資料も提供せられております。その前にあなたの方から出された青い本の二十五年度、六年度の需給計画、それによりますと、二十五年度の場合に対して、二十六年度は大体進駐軍関係に対する電力供給は一〇%増しということになつておりまして、ほとんど一キロワット・アワー近いものを増されるということになつております。ここにおいてもはつきり今の矛盾が出ておりはしないか、私どもはこういう点でいろいろ松永副委員長にもお尋ねしたのでありますが、どうも要領を得ないのであります。そういうふうな数字もよく知らないというようなそらとぼけた御答弁があつた。今日は幸い伊藤さんがお見えになつておりますから、一体進駐軍に対してどういう方針をとつておられるか、その辺についてはもう少し率直な御答弁を伺いたいと思います。  またついでながら申しておきますが、料金の率につきましても、割当を超過した部分の九十何パーセントまではもとの水力料金でやつておる。こういうことで、それならば結局は割当がない、無制限の割当と同じことであるというふうに了解せざるを得ない。実際進駐軍の家庭に入つてみれば、電気ぶろは言うまでもないのですが、電気ぶとん、電気ストーブ、その他電気設備は至れり尽せりだ。これは実際だれでもみんなが見て知つておる。そういうところにふんだんに電力が供給される、その料金は今のような状態である。こういうことでは、一方で非常に電力制限で困つておる中小メーカーやまた一般の電燈消費者にとつては、はなはだ大きな不公正だという感を抱かざるを得ないのであります。そういう点でやはり毅然たる日本国民としての方針を示されんことを切望したいのであります。
  99. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 ただいまの進駐軍向けの割当の内容に対しましては、私の承知しておる限り、進駐軍に類する人の引揚げの数に応じまして、個々の単位は減つておることは事実であります。また各家庭につきまして私の承知しておる限りにおきましては、おおむね去年、一昨年よりもやはり個人の消費は減つておることも事実のようであります。これは全部にわたります批判は別でありますが、私の承知しておる限りにおきましては、個々の消費は減つておるということも事実のようであります。いま一つ、これを個人消費以外の場合を考えますと、今のようにただちに電力の多額の消費というようなことは困難でありますけれども、内部の振りかえ並びにその事業が直接非常に必要なものであるならば、電力会社におきましてはあらゆるものの困難を冒しても、その方に振り向けられることの可能性もあるものと信ずるものであります。私は今数字的な、また数量的な品種別の表を持つておりません。テーブルを持つておりませんがために、明確な返事を申し上げることはできがたいのでありますけれども、おそらくかつてわれわれ繊維工業者になされたごとく、内地向けのものを臨時に停止してその方に向ける、あるいは今後増加しますものが日本の国策上非常に必要なものならば、その方に向けられるということを各電力会社がされることも可能性があるのではないかと考えます。非常に明確な御返事を申し上げることができませんことは遺憾でありますけれども、他日その表を見ましてもう一度御返事を申し上げようと思います。
  100. 風早八十二

    ○風早委員 私もきようは突然の招集で十分な数字的の資料は持ち合せませんけれども、大体あなたの方で出された需給計画そのものによりまして、たしか九億何千キロワット・アワーを出す。それが昨年度よりもちようど一〇%増しになつています。ですからあなたが言われるように、実際には消費が節約されて減つておる、これは松永副委員長もそう言われました。それが事実であるとすればするほど、ああいう需給計画を立てられるということが、われわれますますふに落ちない。しかもこれを一向改めようとされないことははなはだふに落ちないのです。減つておるのにどういうわけで一〇%も増した計画を立てられるか、私どもはさらにそれをつつ込んで考えてみると、やはり進駐軍関係の割当なり、またそのPD工場なりその他特需の一部に対する新たなる電力供給を何かここでレザーヴしておる、今の一般予算にもそういう妙な備蓄的なものがありますが、そういう意味でああいう大幅な供給増加をやつておられるとしか考えられないわけです。そういうふうに推量してさしつかえないわけでしようか。
  101. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 すべてアンビギュアスな御返事を申し上げまして恐縮な次第でありますが、一〇%増加したということにつきましては、やはり各社が正確なる基準のもとに増加率を出したのもではなかろうか、また全体におきまして日本電力消費が、二十六年度は二十五年度よりも増加しておりますことも事実であります。そのレーシヨーから見ましてもあながちふしぎではないのでありますが、いわゆる日米提携経済を見越されましたり、あるいは具体的な申込みを受けられましたか、九社の間におけるトータルがそういうふうになつているものでありまして、私どもはその数字の点検の基礎にあたつておらぬだけに、はなはだアンビギユアスな御答弁でありますが、おぼしめしのことを体しまして、いずれ一括いたしまして各電力会社について諮問いたしたいと思います。
  102. 風早八十二

    ○風早委員 その点は十分に私ども意見参考にしていただいて、次に移ります。  今度は各電力会社、特にこれは旧関配関係にお尋ねしたいのです。それは実際の電力の割当といい、あるいはまた料金といい、そのこと自身が非常な不公正なもので、これはまたあとで公益事業委員会質問したいと思つておりますが、その具体的な事例を二、三あげてみたいと思います。  私は最近神奈川県下に参りましたが、神奈川県の足柄下郡にあります吉浜町とか真鶴町、福浦村、こういつたような具体的な名前をはつきりあげておきます。こういうようなところで非常に電圧が下つておりまして、電気のそばに寄せても物が見えないくらいに非常に暗い。これはほとんどボルトで言えば三十ボルトか四十ボルトくらいにでも下つてやしないかと考えられるような暗い電燈だそうであります。そういう電燈に対して、やはり普通の料金をとられる。そこでこれらの農家やまた商店がみんなそろつて百燭の電燈をつけたそうで、少しぼんやりと明るくなつて来た。これは関配の湯河原営業所でありますが、そこえ踏み込んで戸ごとに三千円ずつの罰金を仰せつけたということです。そこで驚いてみんなで抗議に行つた。抗議に行つた人だけが三千円が九百円に下げられた。しかしボルトが五%下つた場合には、これは電気事業法違反であつて、逆に配電の方面こそ問題にされなければならないわけです。こういつたような不合理なことガ全国的に多々あるというのが事実であると私は確信しております。こういう状態に対して一体会社はどういうお考えであるか、それはそれでよろしいというようなことを考えておられるのかどうか、この点はひとつ今後ただちに問題になることでありますから、ひとつ明快な御見解を伺いたいと思います。
  103. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 ただいまのお話は私寡聞にして具体的には伺つておりませんが、そういうことは起り得ることと存じております。ただいまいろいろ電源の問題、需用量の問題がございましたが、ちよつとつけ加えさせていただききたいと存じます。私ども最近東京電力を引受けました。私は東京電力の幹部になろうなんと心うことは毛頭考えておりませんでした。しかるに私は引受けた以上は献身的に電気事業に私の身を捧げて、この現状を打破したいという覚悟を持つております。個人のことを申してまことに申訳がございません。私会社に参りましてまず見たのは、いかにも電力が行き詰まつておるということでございます。私ども毎日扱つている電気は、百五十万キロという大きな量でございます。これは私どものやつている電源では足りませんので、隣りの地区からもらつたり、またただいまでは火力発電をたくさんやつております。この火力発電所の量は再編成当時の予定した三倍以上もやつております。そうして電力の供給を完全ならしめんと、責任をもつてつておるのであります。そして去年と比較しますとただいま伊藤さんの申し上げました通り、需用は一割以上も増加しております。これに対しまして私どもは日発から引受けた工事中の発電所というものは、群馬県方面にあります二万数千キロのものと、それから応急の処置といたしまして東京附近にある火力の二万キロほどの増強であります。需用増加が十数万キロ、これに当るところの電気というものが四、五万キロであります。そうしてこれによつてかようなるところの需用増加に応ずるということは、なかなか困難であります。私どもはこれに対処せんがために、できるだけの水をため、できるだけの石炭を貯蔵し、これに応じようとしております。従いまして、線の先の方におきましては十分な電気が行きかねております。すなわち電圧降下というものが起ります。これにはむろん電源の不足もございましようが、設備が酷使されまして、従来の設備を十分に手当をしておりません。すなわち十分の改修をしなければなりません。これに対して私どもは、今度の値上げにおいても非常に強調しておるとこるでございます。すなわち私ども責任を果すには、工作物の完全なる維持と、そして十分なる償却に上りましてこの使命を全うしたいと思つております。さしあたり電源の不足というものは、長期の期間を要します。町を歩いておつても、大きなビルディングが建つております。まことにけつこうと存じますが、すぐ私どもははらはらするのは、あすこで何キロくらいの電気が、いるんじやないかとしうことを常に心配しておるのでございます。これに対しましていかに供給するか。それは供給しなければならないでしようけれども、これはほかの電気が薄まつてやるのじやないかということを非常に心配しております。できるならばこういう電気を、こう言つては悪いかもしれませんが、産業方面使つてもらいたいということをしよつちゆう思つております。また一方電気を熱に使う工業といいますか、熱に使うのが大分ございます。これは一方におきまして火力発電をし、そうして電気ができてこれを熱に使う。これも非常に不経済なことと存じます。皆さんみたいなお偉い方に対して、こんなことを申し上げるのはまことに恐縮しごくでございますが、こういう苦しい事情でございます。できるだけのことをいたしまして、責任を全うしたいと思いますが、ただいまの御質問の電圧の降下に対する処置を私は十分に改善したいということをここで申し上げたいと存じます。
  104. 福田一

    ○福田(一)委員 関連して。今の安蔵さんの御説明は私たちも非常にごりつぱな御説明だと思つて謹聴いたしました。私は非常にけつこうだと思いますが、そこでちよつとお伺いいたしたいのでありますが、それほど御熱心におやりになるのでありましたならば、たしか電気関係の従事員のお方は、電気料金は半額になつているのだと私は考えておりますが、もしそういうことになつてつて相当電熱器などをお使いになつておるということになりますと、これは進駐軍の関係と同じような意味において、これは一ぺんお考えを願わなければならぬ問題になりはしないか、かように考えるのであります。今までの給与ベースの問題とか何かで非常に待遇が悪かつたというようなことなら別でありますけれども、電産とかあるいは配電関係の従業員のお方の生活問題というものも、これはわれわれ考えなければならないが、今のようなまじめなお考えであるならば、そういう面についてもここで再検討を願いたいと私は思いますが、それについてはどういう御意見をお持ちになつておりますか。
  105. 安蔵彌輔

    安蔵参考人 まことにごもつともな御注文と存じますが、痛切にそのことは感じております。それで私ども会社に参りまして、あらゆる合理化方面をやろうとただいま着手しております。そのうちに職員の電気使用合理化という一つの項目を掲げて、組織的にその方面に力を盡したいと存じます。むろん電産の従業員の方には給与という点がございますから給与のことを考えますと極端のことはできませんけれども、少くとも合理化をしようということについては努力したいと存じております。
  106. 風早八十二

    ○風早委員 先ほどのお答えは、いろいろな困難な事情があるというお話です。これはまことにごもつとも千万です。しかしこの困難な事情を、やはりもう少しよく掘り下げていただきたいわけです。先ほど私が公益事業委員の伊藤さんにお尋ねしておるのもその点なのです。もう少し皆さん方困難な事情をただ、上つただけでごらんにならないで、一体よつて来るところはどこにあるかということをやはり考えていただきたい。これははなはだおこがましい申し方でありますが、ぜひその点をお含みおき願いたい。なお先ほどの神奈川県の例でありますが、こういうことは明らかに不法な強奪行為とも言つてさしつかえないもであのりまして、こういうものに対して逆に罰金を、それをつまり救済せんとして大きなたまをつけたというので、すぐ今度は権利の方はやかましく主張する。これで電気料金を払わなければならぬ。四十五日たたない前からこのごろは断線の通告をやつておどかして、どんどん電気会社へ納めに行かなければならなく差向けておるのであります。そういうふうにして、東京の大井の営業所の管内だけでも、そのごく小口または一般家庭電燈の人たちの、二百円程度負担の加重になるわけです。そういうふうな人たちが料金取立てをやるのですが、それでおどかして徴収したという額が実に巨大に上つております。こういつたような実情がありますからして、あなたはとにかく新しい社長だといわれておりますけれども、そういう点は今後十分に注意していただきたいと切望してやまないのであります。  そこで公益事業委員にお尋ねしたいのですが、今までは三千キロワツト・アワー以上の大口、これは大ざつぱにわけまして、大口とそれ以下の小口並びに一般の家庭電燈全部合わしたもの、この二つをわけてみますと、全体の電力供給量の割合は六と四になつておる、しかも料金はこちらを一とすれば、こちらはその三倍払つておる、こういう計算が出て来るわけであります。こういう方針が、私どもは端的に言つて、これが割当やまた電力料金の階級性ということを言つておりますが、確かにこれははつきり階級性になつておるのであります。原価主義で行かれる、原価主義で行かれるという先ほどからの御強調でありますが、原価主義から言つても少しどうかと思うのです。一キロワット・アワー当り二円八十八銭の原価に対しても、この原価そのものは、はなはだ検討の余地はありますけれども、二円八十八銭に対して片一方は一円で流す、片方は五円だ、十円だ、こういうことではこれは原価に対しても少しおかしいのじやないかと思うのです。原価主義というのは、厳格に言つてどういう一体主義なのであるか、これは料金に当てはめた場合にはどういうことなのであるか、ここにまたいろいろな矛盾が起つて来はしないかと思う。そういう点でただ原価主義で聞き流しておるわけに行かぬと思う。一応原価主義ということは私は成り立たないと考えておりますが、皆さん方の根本の今日の考え方からいつたら成り立たないものであると私どもは思つておりますが、とにかく原価主義と言われるからには、一応その料金関連してどういう主義であるかということをひとつ御答弁願いたいと思います。
  107. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 これもたいへんいい御質問をくだすつたと思います。一言そのこと申し上げまして、いろいろ御解釈になり、また御教示を仰ぎたいと思いますが、ただいまの御質問で三千キロワット・アワーとおつしやいましたが、三千キロワット以上、ピーク三千キロワットだと思います。その方が正しいと思いますが、その場合を考えまして、あるいははなはだしいときには、一キロ、五キロの使用者と多額の使用者との間においておのずから営業経費に非常な差額があることはもう自明のことであります。その意味におきまして、多額に消費されますところと、非常にピークの少いところとけじめのあることは、これは経済上の常道でありまして、説明を要せぬ問題であります。しかるに三千キロ以上とかいう多額の動力消費者が比較的安いということは、第一階致における電力料から見ますればそんなに大きなけじめはない。その比率は少いものと考えます。しかるにある特定の地方、その特定の地方というのは豊水期に非常なオーバーな発電ができる、あるいは夜間急に電力の余剰ができるなどの特殊電力を供給されまして、平均価格に今お話の通りのような、たいへんな差額が出て参りますことが実情のようであります。それが今日そういうことに制定されていますことは、やはりおのずから電力事業者と需用家との間におきまする見合いをとりました、そこに経済上の常道で編み出されました合理的な料金ではなかろうかと私は考えております。しかるにこのたびの原価主義ということは、内容を明らかにします以上は、すなわち原価であります。基準をどこに置くかということは、やはり現在の基準をおもに見なければならぬものと思うのであります。いろはから検討いたしまして、電燈は幾ら、小口は幾ら、大口は幾らというようなことなどは非常に困難なことであります。現在を基準といたしまして、その原価主義によつて、発生します電気料金をおのずから割当てるということが、一番公平ではなかろうかと思う。早く申しますれば、同じ料率で上げますことが非常に公平なものと考えるのであります。しかしながら、先刻来の御質問また御希望の一つの、農業電気であるとか、あるいは特殊の電気であるとかいうものに対して考慮しろということは、これはまた特殊に考慮すべきものと思いますが、原則とすれば原価主義ということは、発生します電力の料率を平均して、現在を基準としてやることが、一番穏当じやなかろうかというような考え自分は持つておるのであります。それがまず原価主義の定義と信じます。
  108. 風早八十二

    ○風早委員 そうしますと、結局は原価に二つあると言つていいと思うのです。ですから一キロワット・アワー当りの電力の生産費というものとは違つて、それも一つ原価、しかしながら別にやはり大口の方ではどんどん流れるので、いろいろその他のコストが非常に低い、こういう点を考慮に入れた原価と、この二つあると言われるわけであります。そうしますと、やはり原価というものは、大きい方と小さい方の双方にとつて非常にうまく行かないものである。大きい方にとつては、はなはだけつこうでありますが、安くもらつて—八幡製鉄とか三池染料などは三十銭だというのですが、これは今お話の特殊電力を加えて全部を割つたものであるかもしれません。とにかく実際に安い。そういうところはいい、しかしながら電力会社としては、これはもつととれるべかりしものではないかと思うのです。それに反して小さい方並びに一般の家庭電燈、特に定額電燈、こういうふうなものは非常に数は多いし、実際に合せてみれば相当量が多いわけです。また実際に豊富に供給してもらえば、もつともつと使いたいわけです。こういつたような方面は、今の電力料金では実際にもうやつて行けない。この点は何も電力会社の知つたことではないと言われるかもしれません。しかしながら一般の購買力、一般の貧困状態、そういうものを具体的に考えて—これがやはり国民の大多数なんですから、そういうものにとつては、今の電力料金ではすでにやつて行かれないのです。でありますから、生活困窮者に対しては、電力はただでやつてもらいたいという要求を持つておるくらいであります。また一般の家庭の電燈に対しても五割以上は下げてもらいたい。この前値上したのが、そもそもむちやなんだから、下げてもらいたいというのが率直な考え方であります。しかしそういうことは原価主義から行つたら、とんでもない話だということを言われるに違いない。ですから、とんでもない話だろうが、事実は困るのですから、その間に矛盾があるわけです。それをどう解決するかという問題にどうしてもぶつからざるを得ない。ですからこの電力の問題は、前から電力の国営問題も出ております。私どもも結局は電力というようなこういう公益事業はやはり国営にし、但し官僚的なものでなく、人民管理にしなければならない、これで初めてほんとうに電力というものが、国家経済まも国民生活に役に立つものとして使えるんだ、こういうことを主張して来ておるわけでありますが、そういつたような矛盾に現にぶつかつている。あなた方自身が実際やつてみて、ほんとうに正しく公益事業委員会の任務を果そうと思えば、そういう矛盾にぶつかつているということは、私は承認されるのじやないかと思うのです。そういう点はどうですか。
  109. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 伺つておきます。
  110. 風早八十二

    ○風早委員 その点について特別にお答えがなければ、私は一つだけ電源開発の問題についてお伺いしたいと思います。この前リリエンタール氏が来朝されて、そうして方々をまわつて帰つた。あのリリエンタール氏の来朝は、当時非常に新聞でも喧伝されたのですが、あれについては一体どういう成果あつたのか、どういうことがその間に行われたのであるか、これについてひとつ電源開発関連して今どういう状況になつておるか、リリエンタール氏の来朝の成果、これをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  111. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 先刻御返事を申しませんではなはだ失礼でありましたが、電力値上げ原価主義に即せずしてどういうふうな方法をとれるかということに対するいろいろの理想があります。いろいろな考えを皆持つておりますから、お話の点は傾聴いたしまして、われわれの参考資料に供したいと思います。  次いでリリエンタールさんがおいでになりまして、総理初めその道の関係の人々に、日本はどういうふうにしろというお話のあつたこと、これは仄聞したことで、私直接手を握つて話したことでありませんから、新聞等に表われたことを総合いたしますと、日本の真の産業を進め、そして国民生活の水準を高め、理想的な国にしようということは、やはり産業の振興にある、それには基礎的なものに電力の開発を必要とする、今まで想像もできなかつたことが、豊富な電力を持つならば新たなものが起るだろうというようなお話もあつたそうであります。まことにさすがに戦争中、戦争以後もあのアメリカ産業基礎になりますものを考え、ことにある特定なもの、すなわち原子製造等に対する非常な広汎な仕事をされた、いわゆる超キャパブルな人の考えでありますので、そういう人の話はまことに傾聴すべきものと思いますが、偶然にもそういう考えは、リリエンタールさんをまたずして、国民全部が考えておるように思つておるのであります。何といたしましても、現在当面の電力不足ということが、いろいろな事情のもとに起つておりまして、それはだれをも責めることができません。国民みずから各自が反省し、その乏しきをを協力して救うべきものと思いますが、なお進んで、電力さえあるならばという仮定のもとに、われわれが日本の行くべき道を考うべきものではなかろうか。真に幸いにも日本には電力ソースは、ただいまのところ、無限とは申しませんが、現在の二倍も起しても可能なことは、これも自明の理であります。私ども電力開発によりまして、日本産業の振興ということのほかに、日本産業がもつと理想的な地にうまくあんばいされまして、今のような交通も十分できない、また非常に罪悪の中心であるような都市を、少しでも地方に分布しまして、一つの理想的な日本国家ができ上ることを祈つてやまない次第であります。その線に沿いまして、リリエンタールさんの説が、はからずも国民のすべてと合致しておるようでありますので、その目的に進んで行きたいという考えを持つております。
  112. 風早八十二

    ○風早委員 まだたくさんお伺いしたいことはあるのですが、時間がたいへん少いので、全部今日は省略して次の機会に譲ります。あとにもう一人お尋ねしたい同僚が控えておりますから、譲ります。  最後に、私は今いろいろ貴重な御答弁を伺つて、これは非常にけつこうだと思いますが、この機会に私ども考え方もやはりよく知つておいてもらいたい。それはあなたの答弁は非常にけつこうでありますが、私はやはり大事な点が一つ抜けておるということを率直に申し上げておきたい。それは結局TVAのようなああいう一つの大きな超大計画を、やはり頭にちやんと持つて日本に来られたリリエンタール氏—これは日本でやれないことはたいと思います。いかに日本であつても、今仰せの通り、やはり水力の電源というものは、非常に豊富なものでありますから、やれないことはないのでありますが、これがなぜやれないかということは、今お話のいろいろな理由もありますが、今日ではもうはつきりその理由が出ておるということです。それは今のように非常に片寄つて、つまり日本産業日米経済協力というふうな—日米経済協力という言葉だけを抽象的にとりますれば、これはだれしも問題ない、りつばな、また賛成すべきことであると思いますが、実際マーカット局長やモロー補佐官がはつきり声明したその基準、ああいうものによる日米経済協力というものになると、これはもう先ほどからのあらゆる矛盾の根源であります。つまり一定の特需にだけ資金も資材も電力石炭も、一切合財そこへ特権的に集中して行き、そのあげくの果ては、これで日本を結局戦争というような危險のところに導いて行く。こういう大きな問題を今ぶつつけられ、これを上から押しつけられ来て、これにわれわれが協力するということになつておるから、こういう簡単な大改革というものがやはりできない。私はそういう点については、いやしくも公益事業委員会としては、国民的な大きな立場から、根本的にひとつ検討していただきたいと思う。ここの委員会に対しても、たとえばソビエトの電力事業の詳細な分析報告のようなものもあります。そういうものはわれわれだてにもらうわけではない。どうしてそういうことができるか、アメリカのTVAにしましてもどうしてできるか、またなぜTVAが実際には非常なじやまが入つてできないか、公益事業委員会電力会社ではないのでありますから、そういう点についてやはり十分な検討をされ、構想を持たれるならば、おのずから実際にやられる政策についても方針についても、かわつて来やしないか。それなくしては、結局公益事業委員会電力会社の言いなりに引きずられて行くほかはないのだ、こう考えるものであります。この点ははなはだ失礼な言い方でありますが、ぜひひとつわれわれの意見として御参考に供したいと思います。これで今日の私の質問は終ります。
  113. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 関連して……。東北地方は元来火力発電所を持たないだけに、将来水力発電所を設けて、大いに安くなるようにはかるのは、当然のことだろうと私は思うのであります。しかるに当委員会において過般三回にわたつて、私が北上川の胆沢川電源開発の問題についてお尋ねいたしましたが、通産省におきましては、あれは閣議決定ではなくして、了承であつたという答弁がありました。それから過般公益事業委員会の松永副委員長に対しまして、またそれをお尋ねいたしましたところが、あれはまだ許可になつていない、今東北電力会社との関係調査中である、その調査の結果、追つてこれは報告するという答弁であつたのであります。幸いにもきようは横尾通産大臣がおいでになり、また東北電力会社の社長内ケ崎さんが見えておりますから、これを明確にお答え願いたいと思います。新聞紙上の伝うるごとく、閣議了承であつたか、閣議決定をしたのであるかどうか、通産大臣としてその閣議に列席しておつて、よくおわかりのことでありましようから、はつきりとこの点をお答えを願いたい。  次には、公益事業委員会としまして、過般松永副委員長が、東北電力会社との関係調査中である、その調査の結果報告するというお答えであつたが、その調査の結果はどうであつたか、その結果を報告していただきたい。  それから東北電力会社の内ケ崎氏には、一体電力の開発ということは、東北電力会社でやるのがその使命であると私は思うのであります。しかるに何らかの政治的工作によつて、東北電力会社がこれを了承されたということが流布されているが、はたしてそうであるかどうか、これが東北電力会社に及ぼすところの影響があるかないか、また内ケ崎社長として、その東北興業株式会社なるものが、この北上川電源を開発することが妥当なりやいなや、この点に対する御所見を伺いたいと思うのであります。
  114. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 今の北上川の電力開発の問題でありますが、これはいろいろと説をなし、またいろいろと討議されたものであります。閣議のときには、閣議決定とまでは行つていない。ただそのとき、そういう話が出たということは事実であります。その次にちようど再編成をして、そうして公益委員会の方で電力開発の件は所管されることになつているので、その後の成行きは私は存じません。さよう御承知を願います。
  115. 伊藤忠兵衛

    伊藤説明員 北上川の問題に私も数度—と申しましても三度ばかり、それぞれ当該の方にお目にかかりまして、お話を承つたのであります。ただいま懸案になつておることは事実であります。私の方で閣議決定であるか、承認であるか、そういうことは実は存じあげませんから、その答弁は困りますが、これはいわゆる新発足いたしました東北電力会社の管轄内におきまする発電所のことでありまして、しかもその河川の末端に、すでに東北配電会社は発足をしておられるのであります。また今度の計画は、その配電会社の既設の発電所を包合してやる。それを迅速に進めてやることのために、これは許可するか、許可せぬかという前に、東北電力会社と東北興業との間における十分の話合いがあつて、そしてお越しを願えば、それに対してわれわれはいずれとも処理をいたしましようということのもとに、もう一歩進んで東北電力会社との間におけるお話合いを御決定願いたいということに、今話が進行しておると記憶いたしております。あるいは私の記憶が間違いかもしれませんけれども、私ども数度お目にかかりましたが、伝聞いたしますと、各委員は十度ぐらいお目にかかつているのじやないか、口々に違つていることは言つておらぬと思います。私の最後に聞きましたのはその程度のことと考えております。
  116. 内ケ崎贇五郎

    ○内ケ崎参考人 東北地方における電源の開発われわれ東北電力使命考えております。これはぜひ完成するつもりでおります。ただ御承知の通り、なかなか思うように設備資金が集まりません。そういう意味におきまして、ある特殊の所が電気事業以外のわくから特別の資金を持つて来て、自分の力において開発し得るというような有力なる開発の形がありますれば、われわれはできるだけ自分の力でやりたいと思いますが、その力を補助してくれる意味におきまして、そういう方があるならば、これまたやむを得ざることと考えておるわけであります。但し、はたしてその開発の能力があるかないかということについては、われわれとしても納得の行くところまで究明した後でなければ、賛成はできないと考えております。かような意味におきまして、ただいまの御質問の東北興業との間において、さような点につきまして、浜田総裁といろいろただいま相談、折衝を継続しておる途中でございます。
  117. 高橋清治郎

    ○高橋(清)委員 とにかくこの問題はいろいろのうわさが流布されておる。吉田総理と浜田総裁とは同級であり、友達であり、これを救済する意味において東北と縁のない総裁を東北興業の総裁に入れた。そうしてこういうような運びになつたというような非常に東北民の間においては芳ばしからざるうわさがある。この点において、ひとつ閣議に通産大臣として出席した際においては、強硬にこの点を主張していただきたいということを希望して私の質問を終ります。
  118. 中村純一

    中村委員長代理 これにて本日の質疑は終了いたしました。  この際参考人各位に一言この席より御礼を申し上げます。参考人各位には長時間にわたり御意見の御開陳をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会は各位の御意見参考にいたしまして、今後の審議に万全を期したいと考えております。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は来る十九日午後一時よりと予定いたしております。     午後五時二十四分散会