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風早委員 私は
日本共産党を代表して、この
廃止法案に
反対の
意見を表明するものであります。
そのことは、しかしながらこの
統制法自体に
賛成しておるということを
意味するものじやないのでありまして、われわれはかねてからこの
統制法に対しては
反対の
意見を表明しております。同じその
反対の根拠をもちまして、また今回の
廃止法案に対して
反対の
意見を表明するものであります。
まず第一は、この官僚的な
統制法——官僚的というよりむしろ軍事的な
統制法、これは
昭和十三年に出たものでありますが、そういう
統制法によりまして今まで、特に戦後を通じてそれが
廃止せられることなく結局この
法律を種にしてどういうことが行われたか。言うまでもなくそこで
肥料資本の
独占の進行というよりも、ま
つたく
独占を
助成し、促進させたという効果をあげておる。これはここに
資料としてもいろいろ
提出されました各社に
日本硫安株式会社がわかれたとはいいながら、これらが一丸と
なつて
日本の
硫安の
独占企業というものを形成しております。
価格の面でも上げるだけは上げ、現在は
独占価格ができてしま
つた。また
市場の面でも同様でありましてこれは内外にわたつてすでに
市場の
独占が完了した。すべてこれらの問題がこの
統制法を通じて、つまり官庁とさらに
やみブローカー、これらの
結托によりまして、この
状態が進行したことはすでに
昭和電工のあの
不正事件を通じても典型的に現われておると思うのであります。この場合においてその反面だれが一体大きな犠牲をこうむ
つたかといえば、言うまでもなく
農民であります。
日本の
硫安工業というものはだれのためにできておるか、その
趣旨は常に
農業増産ということがうたわれておりながら、実は
農民の手には十分渡つておらない。渡ることができない。これは
価格のゆえもあるわけでありまして、事実
農民は高くて買えない。しかもその
値段を下げないために、ま
つたくよけいな
輸出もやつておる。たとえば台湾に
輸出し、そして
値段をしいて下げない。その
理由とするところは、
硫安が余るからというのでありますが、実は余るからではない。買うことができない
農民がたくさんあるのでありまして、そのために余る。
つまり独占という
立場からいつて余る。十分な
利潤を上げ得る
値段で売ることができないという
意味で余るというだけの話でありまして、実際には余つておらない。しかも
価格をつり上げるためには
輸出をするということをやつて参りました。今日これらのことがすべてもうでき上つてしまつて、もはやそれは
提案理由にありますように、
統制法そのものは
空文に帰しておる、それは言うまでもないのであります。しからばこれをこのまま、この
統制法にかわつて単なる
自由放任でよろしいかといえば、決してそうではない。これはいよいよ
独占がこれから自由自在に大手を振つてさらに進行することができるということでありまして、そういう
状態に持つて行くための
廃止であるわれわれはこの
意味においてこれに
反対せざるを得ないのであります。
しからばわが党としては一体どういうことを考えておるかということでありますが、われわれとしてはこの大事な
化学肥料工業というものは、大いに振興しなければならないことは言うまでもない。しかしこれは決して一部の
独占に支配させるためのものではない。ただ
値段をつり上げ
利潤を上げるためのものではないのであります。これはもちろん、
化学工業にも必要でありますが、また同時に
農民の
農業生産のために、どうしてもこれは十分な
確保をしなければならない。それらのことをどうしたら遂行できるかといえば、どうしてもわれわれがかねてから唱えておりますところの
肥料工業の
国営、
人民管理であります。この線以外には
解決の道がないというところまで現在来ておるのだとわれわれは考えるのでありまして、その問題は
全面講和と
単独講和、こうい
つたような、はげしいすれすれの問題の
解決を迫られておるこの
情勢で、それと不可分の
関係でこの問題が存在しておると考えるのであります。そういう次第で、われわれはこの
廃止されるべき
法案そのものにも
反対でありましたが、これを
廃止するこの意図に強く
反対せざるを得ない。また、ましてやこの
独占というものは、単なる経済的なものではないのでありまして、今日
肥料工業は
電力を一番多く食うのでありまして、現に二十六
年度におきましても四十三億
キロワツト、
アワーもここに
割当てられておる。これは昨
年度の二十六億
キロワツト、
アワーに対してほとんど倍近い
増加割当に
なつておる。そうい
つたようなことは
一体どういう
趣旨でなされるのか、言うまでもなく、これは結局
軍事的目的、すなわちいわゆる
硫安ではない。
硫安工業、これは
昭和電工もそうでありますが、
日新化学にしてもあるいは化成にしても、いずれにしても火薬、爆薬の、あるいはその
原料、そういうものの
製造に急転換する、そのこととにらみ合せて、これに対して
電力がどんどんつぎ込まれるのだ。これらのことを考えてみますと、この
独占の道は。同時に
日本を戦争、再軍備、この方向へ導いて行く大きな
基礎を形づくるものでありまして、この点から見るならば、われわれは二重、に重大なものとして
反対せざるを得ないのであります。われわれとしては、この
国営、
人民管理の
条件として、あくまで
全面講和を主張しておるのでありまして、それらの
条件を成就するために闘つておるわれわれとしては、また同時にこの
肥料についても
国営、
人民管理の線で闘つておる次第であります。この
立場から私
どもは、この
廃止に対して
反対であります。繰返して申しますが、そのことは今までの
法案に
賛成であ
つたのではない。これに対しても
反対であ
つた。それはあくまで
肥料独占から解放して、そうして平和的な
化学産業、並びに特に
農民の
肥料を十分に
確保するという
趣旨であるということを申し上げて私の
反対討論を終ります。