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1951-05-14 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十四日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君    理事 高橋清治郎君 理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    江田斗米吉君       小川 平二君    澁谷雄太郎君       中村 純一君    南  好雄君       金塚  孝君    河野 金昇君       風早八十二君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員長   木内 信胤君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      井上 尚一君         経済安定事務官         (貿易局次長) 松尾 金藏君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         参  考  人         (日本銀行理         事)      五十嵐虎雄君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 五月十一日  委員福田一辞任につき、その補欠として門脇  勝太郎君が議長指名委員に選任された。 五月十四日  委員門脇勝太郎辞任につき、その補欠として  福田一君が議長指名委員に選任された。 五月十四日  理事阿左美廣治君の補欠として高木吉之助君が  理事に当選した。     ――――――――――――― 五月十二日  公益事業委員会の電力再編成指令に関する陳情  書  (第六八  三号)  同  (第六九〇号)  同  (第六九一号)  日米経済協力に関する陳情書  (第六  九八号)  同  (第六九九号)  中小企業振興対策に関する陳情書  (第七〇三号)  木材輸入促進に関する陳情書  (第七〇八号)  電気事業編成善後措置に関する陳情書  (第七一八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員長及び小委員補欠選任  貿易に関する件     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまから会議を開きます。  御報告申し上げることがあります。すなわち去る十二日委員福田一君が委員辞任せられまして、その補欠として門脇勝太郎君が委員に選任せられました。また本日門脇勝太郎君が辞任せられまして、福田一君が再び委員に選任せられました。小委員につきましては従来通りといたします。以上御報告であります。  本日は貿易に関する事項について調査を進めます。なお皆様にこの際お諮りいたしますが、貿易に関する問題につきまして参考人として日本銀行理事五十嵐虎雄君から御意見を伺いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたします。  発言の通告があります。順次これを許します。澁谷雄太郎君。
  4. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 貿易の問題につきましては、この前の委員会におきまして通商産業大臣にいろいろお尋ねをしております。その後の情勢相当に大きく変化しておりますし、ことに最近の情勢を見ますと、せつかく一—三の期間におきまして輸入促進されました原材料が着々入つてつておるのでありますが、その後世界的に情勢が変化いたしまして、原産地におきましても、これらの原材料相当値段変動があります。従いまして国内におきましてもこれらの原材料値段変動を来しております。それにかてて加えまして、一—三あるいは昨年末から本年の春にかけましての輸入が、相当な大きな幅に上つておりますので、これらの輸入原材料引取資金につきまして、相当きゆうくつな問題が起つておる。もちろんこれらの問題につきましては、その当時われわれといたしましてはやがてこういうふうなことが起るのではなかろうかということを予測いたしまして、強く大臣にもそれらの問題について、大蔵省あるいは経済安定本部あるいは日銀当局とも十分な折衝をして、万遺漏のないようなお手配が望ましいということをその当時強く要望しておつたとわれわれ記憶しております。しかるに最近の情勢になつて参りますると、それが必ずしも円滑に行つてない、しかも今後におきましてはまだこれらの物資が引続き相当多量に入つて来ることは当然のことであります。契約しておりまする金高が相当に大きいのでありますから、それらの物資が着々日本に到着するわけでございます。そうしてユーザンス期間が切れまして後の決済の問題につきましては、輸入業者並びに製造業者相当に頭を痛めておりまして、この対策を間違えますと、せつかく将来のことを見通して輸入を確保したことが、かえつて逆な効果を現わすようなことがあつては容易ならぬことであると思うのでありまして特にそれらの問題につきまして、現在通商産業大臣としてあるいは通商産業省各位が、どういう対策をとり、またそれらの問題について、各関係当局とどういう折衝をしておられるかということをまず最初にお尋ねいたしたい、そうしてその対策につきましては、相当つき進んだ具体的のお話伺つておきたい、かように考えるわけであります。
  5. 横尾龍

    横尾国務大臣 輸入資金のことに対しては先般のときも各位の御要望もありますし、また御要望がなくても、当局といたしましては考慮すべき問題だと考えております。現在におきましても、ときによつてはこれ以上の輸入促進せなければならぬ場面も起るかと思います。従いまして、国内資金の面につきましては、より一層の考慮を要することと考えて、実はスタンプ手形の問題につきましても日銀その他にお願いをして、ある程度交渉を続けておりますけれども、いまだにその交渉がはつきりいたしませんで、実ははなはだ困惑しておる次第でございます。なおしかしながら、これを続けて国内金融の困難を打開したい、さように考えております。詳しいことにつきましては、交渉の衝に当つております者から説明させることにいたしたいと思います。
  6. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 まず最初に私のお尋ねしたいことは、四月—六月の輸入に対する資金の手当の状態でありますが、これは新聞とか、あるいは雑誌に書いてあるところによりますと、金額が多少まちまちになつておりますので、正確な数字がよくわからないのでありますが、もちろんこれらの問題については、日銀におきまして隔月にこれはある程度までの資金のやりくりの予定があると思うのでありますが、もちろん通産省といたしましては、それらの問題についても十分に日銀当局折衝をされておると思うのであります。その折衝状態をひとつ率直にお漏らしを願いたいと思います。
  7. 井上尚一

    井上(尚)政府委員 輸入引取資金金融につきまして、通産省が最近調査をし、及び関係当局交渉中の問題につきまして、御説明を申したいと思います。  昨年下期以来輸入が逐次伸張して参りましたことは、今澁谷委員の方から申された通りでありますが、この結果としまして、輸入引取資金、すなわちユーザンス決済に要する資金金融という問題が、最近非常に大きな問題となりつつあるのであります。私ども通産省調査によりますれば、大体重要物資につきましての、四月ないし六月の輸入引取資金金額を申し上げますと、綿花につきまして四—六で、四百二十億円、羊毛につきまして同じく二百三十億円、原油につきまして六十億円、重油につきまして十億円、鉄鋼原料につきまして八十億円、皮革につきまして三十億円、麻類につきまして二十億円、燐鉱石につきまして十五億円、油脂原料関係が百五十億円、生ゴム関係が約百二十億円、合計しまして、この重要原材料のみについて申しましても、以上の合計が千百三十五億円になるのでありますが、このほかのものをも加えますと、大体四—六といたしまして、千三百億円程度になる見込みでございます。一—三月の輸入引取資金が七百億程度でありましたから、大体一—三に比べて、四—六が倍弱になつておるという調査数字であります。こういう引取資金金融につきましでは、いろいろ構想をめぐらしでおるわけでありますけれども、この所要資金の調達につきまして、まずさしあたつて方法としましては、日銀スタンプ手形制度適用するということによりまして、その円滑を期したいと考えまして、先般来、以上申しました品目中、すでに原綿羊毛原油鉄鋼原料皮革麻類、この六品目につきましては、すでにスタンプ手形制度適用を見ておりまするが、われわれ通産当局としまして、は、これに加うるに生ゴム油脂原料及び燐鉱石をもスタンプ手形適用品目に追加をしたいという一案をもちまして、先般来大蔵省及び日銀当局ともいろいろ交渉中でございます。鋭意折衝交渉は続けておりまして、日銀当局の方でもその必要性については十分御理解を願つておるようでありますが、遺憾ながら今日までの状況では、いまだそれについて正式の確定を見るに至つていないという状況であります。そういう手を打ちまして、なお今後の問題といたしましては、ほかにもいろいろ方法があろうかと考えまして、いろいろ構想を練りつつある状況でございますが、とりあえず以上をもつてお答えにかえたいと思います。     〔委員長退席中村委員長代理着席
  8. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 引取資金の問題につきましては、ただいまの御説明は、大体先日のある日刊新聞に出ておりましたのとほぼ同様に思つておりますが、またわれわれの承知しております金額においても、全体を合計しますと一千三百億見当だということもわかつておるのでありますが、これは特に私たちが強く要望したいことは、非常に大きな誤解があるのではないかということが第一点でございます。なぜ誤解があるかと申しますと、品物を買いつけたならば、当然今日になつたならば、入つて来るのがわかつておるじやないか、従つて輸入業者なり、あるいは製造業者が前もつてそれらの問題について相当準備をしておくことが当然じやないか、また金融業者とも十分な連絡をとつておくことが当然ではないかというふうに、一応言えるのであります。これは一応言えると思います。しかしあの当時、昨年末から本年の一、二月にかけましての状況は、通産省でも案を練られたようでありますが、場合によつては、重要物資に対しましては、ある程度備蓄をしてもいいじやないか、政府備蓄をしてもいいじやないかという構想で進んでおられたくらいでありまして、また一般の情勢から判断しましても、これらの物資国内に、いわゆる備蓄の形でなくても、ランニング・ストツクの形においても、相当量国内になくてはならない、またぜひそれが必要だということを当然痛感されたために、従つて関係当局が率先して、あの当時においては輸入促進をはかつてつたのであります。今日になつてこそ世界的に重要物資の若干の値下りが、物によつては生じておりますが、これは単なるスペキユレーシヨンではなかつた。あの当時においては、それらの物資を、非常に高価であつてもある程度まで確保しなければならぬということが、日本産業界において、また日本の実際の状況から判断されまして、そういうことが要望されておつたのであります。従いまして、今日になつてそれらの非常な高価であつた物が続々入つて来ておりますが、政府自身がある程度までは進んで備蓄をしようじやないか、あるいは相場変動によつて相当リスクが起つて来るが、そのリスクに対しても、相当考慮を払わなければならぬまでの決意をしておつて、ああいうふうに輸入促進をはかつてつたものに対して、今日においてそれが忘れられたような形で、この金融処置に対して比較的に芳ばしくないような方向に進むようなことがあつたならば、今後においてまた国際的の情勢が変化したときに、これは非常にゆゆしい問題が起り得るということを想像しなければならぬと思う。これらの問題に対しましては、大臣は積極的に真剣な態度をもつて、各関係当局とどういう折衝を進めておられるか、この問題が私たちはほんとうにはつきりと伺つておかなければならぬ大問題と思うのであります。さもないと日本産業が、それらの問題のために努力をした者は、何か一種のスペキユレーシヨンか何かのためにそれらの物資輸入されて、そうして多少の相場変動があつたたためにいろいろな混乱状態を引起すのは、いかにも業者なりあるいは貿易業者がみずから招いたことだというふうな見方をとられるおそれがあると思うのであります。その一つの例は、ただいまお話がありましたが、比較的に値下りの多かつた油脂並びに生ゴムのごときに対しては、いろいろの事情があると思いますが、スタンプ手形が今になつてもまだ出ていない。これは価格変動のために非常な危険があると解されているのではないかというようにも解釈されるのであります。これらの問題に対しましては、あらためて日銀の御当局からもお話を伺いたいと思いますが、それらの問題について、今数字はわかりましたが、もう少し具体的な通商産業大臣の今日までの折衝の経過と、それからそれに対するところの抱負、それからいかなる努力を払つて来ておるか、これから先どういう努力を続けられるか、それらの問題に対して大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  9. 横尾龍

    横尾国務大臣 今日のあることは、輸入する当時から予想していなければならなかつたことは、お説の通りであります。このことに対しましては、その当時におきましても、国内資金のことに対しては、大蔵大臣にもよく申入れておつたのであります。しかし今のお話生ゴムのごとき問題に対していろいろなお考えのある方もあるかに聞いております。それがためにスタンプ手形が今日まだ進捗していないということも聞いておりますが、それはよくわれわれとしては、早期にダンピングをやつてつたというのではなしに、また思惑ではないというようなことを説明いたしまして、現在ある程度までは進捗したものが、再び暗礁に乗り上げておるということについて、よく事情を話しまして、了解を得て、なるたけ早くスタンプ手形の採用ができるように努力して行きたい、こういう考え方でおります。御了承を願います。
  10. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 なお引続き横尾通産大臣にお尋ねしたいのですが、きようは日銀総裁がおいでにならないで、代理の方がお見えになつておると承知しております。この問題はただいま通商産業省大臣並びに局長から大体の御答弁もありましたが、それをそのままわれわれが、通商産業省大臣なり係官の方からの御説明通り受取つてその通りでもつてさしつかえないということで了承してよろしいですか。その問題をまず先に伺いたいと思います。
  11. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 御説明申し上げます。この輸入重要原材料引取資金につきましては、ことに生ゴム油脂燐鉱石、これらのものにつきましては、通産当局も非常に強硬にスタンプ手形に載せようという御要望がございまして、また業界からもきわめて熱烈にそういうお話を承つておりまして、目下研究しておりますが、今政策委員会にかかつておりまして、政策委員会でまだ結論が出ていないわけであります。しかしながら、スタンプ手形に載る、載らぬにかかわらず、これは刻下重要な原料資材でありまして、私どもはできるだけ融資のあつせん、その他金融のつくように努力いたしておるつもりでありますが、スタンプ手形の点はまだ結論に至つておりませんので御了承願いたいと存じます。
  12. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 実は私が休会前の本委員会におきまして、質問をいたしましたときに、大蔵当局並びに日銀当局の御出席願つてつたのであります。その当時においておいでくださつてわれわれの希望するところなり、その当時議論になつてつたことを日銀当局が十分に御了承くださつたならば、私はこういう問題は比較的簡単に片づいておるのではなかつたか、こう考えるわけであります。ところがそのときに、日銀総裁なり、あるいは大蔵大臣なり、あるいは経済安定本部長官なりが、いろいろな御用があつた見えまして、——見方によつては本委員会を無視しておられたのかもしれませんが、お見えになつていない。でありますから、その当時われわれが真剣に、このきわめて地味な、しかも日本産業相当重大な影響を及ぼすところの問題を取上げて討議を続けておりますのにかかわりませず、その当時御出席にならなかつたために、結果を見てからいろいろなことを判断されることは、われわれとしては非常に遺憾にたえないのであります。もちろんそんなことはないと思いますけれども、あの当時あるいは昨年末から本年の一、二月にかけての情勢を御判断くださいますれば、いかにして重要物資日本国内にできるだけ多く保有することができるか、それについてはドル資金はどういうふうな状態にあるか、また万一引続き国内に入つて来たときに、それらの引取りに対するところ円資金の金繰りはどういうふうに対策をもつて進まれるかということを真剣にわれわれとしては考えて憲議し、また御意見伺つてつたはずなのであります。聞くところによりますと、アメリカあたりにおきましては、これは私がゴム関係者であるために、ゴムのことしか知らないという御非難を受けるかもしれませんが、ゴム国内備蓄の問題についても、ある代表会社を五つか取上げて、それらの会社に対してストツクを命ずる。そのストツクされたものに対しては、販売なり備蓄価格プール計算にしてそうして万一の場合においても、ある程度までは政府がそのリスクを負担してもよろしいという考えで、従つてそれらの融資に関しては、そういう備蓄品に対して特別な金融措置を講じておるということをわれわれは聞いておるのであります。しかしあの当時におきまして国内備蓄の問題は、実際におきましては、その筋との折衝等の点から考えましても、また対外的の問題から考えましても、日本国内に何か特に戦争準備のごとく聞えるおそれがあるというので、おそらく備蓄の問題は解消されておると思うのであります。その反面におきまして、輸入促進が叫ばれまして、いわゆるランニング・ストツクとして相当長期にわたつてもさしつかえないものを、できるだけ国内に保有したいというのが、あの当時の輸入促進の根本問題ではなかつたかと思うのであります。従いまして業者自身もそうでありますが、あるいは貿易業者にいたしましても、いくらでも多くの原材料国内に保有したいというのが、根本趣旨であつたと思うのであります。従いまして今度国内に引続き原材料が入つて参りますときに、それらの決済に必要な資金を、輸入業者やあるいは製造業者に手放しでもつてつておいて、そうして今お話を伺いますれば、スタンプ手形の問題についても、原綿その他六種類のものに対しては、スタンプ手形は許されておる。そのあと、燐鉱石あるいは油脂、並びに生ゴムに対しては、まだスタンプ手形の問題はそのままになつておる。こういうふうな状態は、一体どういうわけでもつてそういう区別をおつけになつておられるのか、われわれにはちよつと合点が行かないのであります。その点をひとつ日銀当局から御答弁を得たいと思います。どういうわけでそういうふうに、あるものに対してはスタンプ手形を許しており、あるものに対してはスタンプ手形を許さないのか、この問題をひとつ率直に伺いたい、かように考えておるのであります。
  13. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 今の御質問でございますが、まだスタンプ手形に載せない、あるいは載せるという最後的な決定に至つておらないわけでございますが、いかにもスタンプ手形に載せないことになつたような前提で御質問になると、非常に私ども困るのであります。まだその点は決定していないのであります。  それから私どもとしましては、スタンプ手形制度というものは正常な制度とは考えていないわけであります。日本経済が逐次復興いたしまして、だんだん軌道に乗りますと、急にはできませんけれども、従来の不合理な制度は、逐次少しずつ正常な方に持つて行きたい。急激ではありませんが、少しずつそういう方向をとりたいという考え方なのであります。紡績加工賃スタンプ手形でありましたので、これははずしました。鉄鋼運転資金スタンプ手形からはずしております。紡績鉄鋼のごとき日本産業において重要なものでも、その加工賃なり運転資金スタンプ手形からはずしております。逐次スタンプ手形の範囲を狭めて行きたい。そうして普通の工業手形制度というのがありますから、工業手形制度で行きたい。これは日本銀行としましては、国内商業については商業手形貿易については貿易手形農業については農業手形製造工業については工業手形、こういう制度金融する建前になつております。スタンプ手形というのは一つの異例な処置なんでございまして、これをどんどん拡張いたしますことは異例の処置でありますから、なるべく避けたいという方針なんでございますけれども、先ほどおつしやつたような事情もありまして、今せつかく政策委員会で検討中でございますから、結論がどう出ますか、わからないのでございますが、事情その点御了承願いたいと思います。
  14. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 スタンプ手形が正常な姿でないということは、おつしやるまでもなく、私もよく承知しております。しかしものによりましては、すでに相当前からスタンプ手形を使つております。にかかわらず、ある特殊なものはこれを除外するということも、これまた正常の姿でないことも、われわれそう想像するよりほかにしかたがないと思います。もちろん現在やつておりまするすべての制度が、必ずしも私たちは正常な姿とは毛頭考えておりません。というのは、敗戦後の日本経済状態がすでにもう正常な姿でないことは、これは日銀当局は十分に御承知のことと思う。しかも朝鮮事変以来、日本がこれから先、この世界の非常に変動の多いマーケツトにおいて日本産業を維持するという形をとつて、少しでもより以上に一歩ずつ先に前進しようとするならば、場合によつては正常でない姿も、それが特別に取上げて非難すべきものでない以上は、これは最善の方法でなくても、ある程度までは、いいものはやつて行かなければならぬということは、これはもう十分におわかりのことと思うのであります。そこでただいまも申しましたように、現在の状態においては、相当に行き詰まつた場面が現われておることだけは、これはもう為替管理委員長もお見えになつておりますが、大体日銀当局においては、それらの問題はよくおわかりになつていることと思うのであります。ここで私たちが一番懸念することは、そういう問題が研究とかあるいは調査とかいうことのために、一日遅れれば一日遅れるだけ、それだけいい結果は得られないということになつて行きはせぬか、こういうふうに考えるわけであります。これは相当火急を要する問題ではないか、もし病人が出て、その病人に対しては早くよい薬を与えたらあるいは回復も早いが、しかし診断が遅れて時日を経過してしまつたならば、遂には助かるべき病人も殺さなければならぬというような結果を招来するようなことにならないかどうか、そういうことをわれわれは懸念するわけであります。でありますから、これはりくつではないのであります。それらの問題をひとつ冷静に御判断くだすつて、もし通商産業当局が全面的にそれを支持し、また通商産業当局が、日本産業の発展のためにぜひとも必要であるということを強く要望しております限りにおきましては、それらの問題に対しては特に御考慮を願いまして、一時も早くそれらの問題の適当なる措置をしていただきたいということを、特にお願いする次第であります。  おそらくそれに対しては今すぐに御返事はでき得ないと思いますが、およそどのくらいの期間にそれらの問題は解決し得るというお見込でございますか、日銀当局並びに通商産業大臣御返事を願いたいと思います。
  15. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のいつごろできるかというお話でございますが、これは私どもとしてはなるだけ早く解決してもらいたいことは、澁谷さんのお話通りであります。私らもそう考えております。またその他スタンプ手形のほかに、先刻お話のあつたように、これは正常なものでない。工業手形でも行ける。私はもともと工業手形をなるべく早くやつてもらつて、そしてそれを採用してもらうことを希望するものでありますけれども、いろいろの関係上それが今日なお実行に至つておらないのであります。しかしただいまのお話で、そういうことを考えておるということでありますから、これもなるべく早い機会に解決していただくように努力したいと思います。しかし期日はいつかということは、まだ私どもから予測はいたしかねますけれども、先刻申し上げるように、早い機会においてしていただきませんければ、漸次日にちがたつてしまいますし、もう終りに近づきつつあるのでありますから苦慮しているので、早くしていただくことを強く要望しているわけであります。
  16. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 ただいま大臣からお話がありました通りに、今期限を切つていつまでとは申し上げかねるのでありますが、いずれにしましても、できるだけあつせんいたしまして、不都合のないようにはいたしたいと思つております。しかし非常に大量のものでありますので、今の弱い金融におんぶするために、なかなか困難な点もあるかと実は思うのであります。先ほどアメリカのお話が出たようでありますが、アメリカの予算では、朝鮮事変前の戦略物資備蓄予算が四十億、朝鮮事変後それが八十何億ドルかに倍増されまして、さらに本年になつて増加いたしまして、最近は九十何億ドル、とにかく百億ドル近くの戰略物資の予算が今あると伺つております、もし平常のランニング・ストツク以上の原料が必要とすれば、これは政府予算なりその他で、アメリカのような、そういう備蓄予算的なものでもありまして、そうして金融をつけていただくのが私どもは本則かと思うのであります。そういうことはいささかりくつになりますが、しかしすでにもう輸入されたものでありますから、この金融につきましてはできるだけのあつせんはいたしたいと思つております。スタンプ手形ができますればよろしゆうございますが、たといできなくても、これは工業手形として、金融については十分お世話申し上げたいと思つております。
  17. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 期日の問題が御返事のできないのはごもつともだと思いますが、できるだけの努力をひとつお願いしたいと考えております。  そこで問題は、スタンプ手形あるいはその他の措置によつて金融措置をつけたいというお考えなのでありますが、私たちの見ておりまする情勢から判断いたしますると、最近一般の金融相当に行き詰まつておるように思われるのであります。これはむしろ大蔵大臣なりあるいは日銀総裁なりにお尋ねしなくちやならぬ大きな問題だと思うのでありまするが、金融措置に対していま少しく、ただインフレーシヨンだけを恐れて、そうして引締めだけをやつておりましたならば、要するに率直に申しますと、角をためて牛を殺すようなことが起り得るのではないかということを、われわれは懸念するのであります。もちろんわれわれは、ただいたずらに放漫な金融政策をとつてくれということをお願いするのでは決してないのであります。しかしそれらの情勢をよほど慎重に御判断を願いませんと、角をためて牛を殺すようなことが起るのではないか。ことに、先ほども私申し上げました通りに、昨年末から本年の春早々にかけて、日本から買いつけましたところのすべての原材料というものは、ここへ来てから相当値下りが起つたのであります。でありますから、正常な姿においてさえも、それらの決済の問題については、これは貿易業者並びに製造業者の間、あるいはそれらに関連した業者間には、金高が大きいのでありますから、相当困難を来すのではないか。それにかてて加えて、いわゆる値下りがあるということになりますと、これがますます混乱を引起すおそれがあると思うのでありまして、それらの問題については、日本産業の前途ということから、大きな眼ですべてのものを判断されまして、そして金融措置につきましても、特別な考慮をしていただかないと——これは私が日銀当局に言うことは、釈迦に説法かもしれませんけれども、われわれが実際にその産業に直接携わつておりますと、そういう感じが非常に深いのであります。こういうことは、あくまでも角をためて牛を殺さぬような方途を、ぜひお願いしたいと思います。  ちようど私の約束の時間が参りましたので、私はきようはそれだけ伺いまして質問を打切ることにいたします。
  18. 中村幸八

    中村委員長代理 次は小川平二君。     〔中村委員長代理退席、委員長着席〕
  19. 小川平二

    ○小川(平)委員 ただいま同僚澁谷委員から、引取資金の問題について、相当つつ込んだ質問がなされたのでありますが、今日までの貿易政策を見ておりますのに、長期的な見通し、認識に基いた確固不動の方針というものが少しもうかがわれない。言うまでもなく貿易の世界は非常に専門化され、技術化された世界でありまして、もちろんそのときどきにおきまして、一般大衆には簡單に理解できないようなそれぞれの原因があつたことと思うのであります。虚心に見ておりますと、いわば朝令暮改とでも申しますか、そのときどきの眼前の現象に追いまわされておるような印象を、おそらくすべての国民が受取つているのじやないかと思うのであります。たとえば、輸入促進が第一だということになると、ただちに輸出貿手の再割をやめろというような議論が出て来る。あるいはまた外貨が足りなくなつて来ると、今度はまたたちまち元へもどつて、どうしてもやはり輸出の増強が急務である。ただいま澁谷委員の御質問の中にも出て参りましたが、あたかも今までの輸入促進が、いわゆる不当な思惑であつたかのごとき声が起つて来る。伺つてみますと、役所の方では決してそういうことを言つた覚えはないと言われるのでありますが、とにもかくにも、貿易の問題は決してゆるがせにすべからざる重大問題なのでありますから、長期的な見通しに基いたところの、はつきりした不動の対策をぜひとも樹立していただきたいということを、強くお願いせざるを得ないと思うのであります。  今御質問のあつた輸入引取資金の問題にいたしましても、かような事態が起つて来ることは、とつくの昔に予見し得べかりしことであつたと思うのでありまして、休会前の国会におきましても当時の振興局長であつた岡部さんのごときは、四—六の資金繰りについてはとうてい自信が持てないということを、委員会の席上ではつきり言つておられる。それにもかかわらず、今日までに何ら積極的な、抜本的な手段が講ぜられずに、今日かような事態を引起してしまつておるということは、まことに私は遺憾なことだと思つておるのでございます。この問題につきましては、今いろいろ御質問もあり、御答弁もあつたことでございますから、私は重ねていろいろ承ることは御遠慮いたしまするが、この問題に関連をいたしまして、私どもがかねてから、輸出の面においては輸出銀行というものが設立をされて、本来の狭い意味の貿易金融から、一歩生産の段階に足を踏み入れた金融が行われておるのであるから、輸入に関しても同様の措置をとることが望ましいということを申し上げて来ておるのであります。最近輸出銀行を輸出入銀行に改組しようという構想が進められておるように承つておる。そこで今の輸入物資引取資金の問題に関連をいたしまして輸出銀行を輸出入銀行に改組して、引取資金の一部をまかなわせるというような考え方をされておられるように新聞等で伝えられておるのでありまするが、この点についてはたして事実であるのかどうか。そうであるとすれば、どういうふうな具体的構想を持つておられるか、承らしていただきたい。
  20. 井上尚一

    井上(尚)政府委員 お答えを申します。輸出銀行に輸入金融の面の機能をもこの際担当させるということはどうであろうかという問題につきましては、先般来通産省大蔵省と緊密な連絡をもちまして、いろいろ研究中でありましたが、今日まで両省当局としまして到達を見ることになりました一案は次の通りであります。この際輸出銀行を日本輸出入銀行というふうに名称をかえる。そうして輸入金融についても、業務を輸出銀行の業務に追加するということでございます。この内容としましては、たとえば機械設備その他のプラント物を輸入するような場合におきまして、分割払いをするというようなアドヴアンス・ペイメントの必要が生ずるわけでありますが、そういう場合に、その分割払いのアドヴアンス・ペイメントについて、輸出入銀行が金融のめんどうを見ることにしてはどうであろうか。あるいはまた原材料輸入するような場合に、その輸入原材料につきまして、同様にアドヴアンス・ペイメントの要求があるような場合があるのであります。たとえば鉱産物等をこちらに輸入するというような場合に、その鉱産物の輸入の代金を前払いしまして、積出地におきましての鉱産物の輸送あるいは荷役の設備、そういうような方面の改良に要する費用というようなものを、場合によつてはアドヴアンス・ペイメントとして要求がある場合がある。そういうような場合にも、輸入金融の一端としまして、この輸出入銀行でめんどうを見てはどうであろうか。それからまた一般の原材料につきましても、正常の在庫量を著しく超えて輸入をするという場合に、市中銀行の金融に乗ることがなかなか困難であるというような場合には、条件等を限定しまして、輸出入銀行でその輸入金融についてめんどうを見ることはどうであろうかというようなことをいろいろ考えまして、大蔵、通産当局におきまして、実は一案を起草したようなわけでございますが、もしそういうような方法が実施を見ることができまするならば、今小川委員から申されましたように、正常な在庫を著しく超えたような原材料物資輸入等につきましても、その金融の一端を輸出入銀行においてまかなうことができることになるわけでありますので、そういう一案をもちまして、でき得れば法律案として国会に提案をしたいという希望をもちまして、ただいま鋭意関係当局方面とも交渉を続けつつあるという状況でございますけれども、いろいろな事情等もありまして、われわれの当初の案の通りの内容をもつて国会にその改正法律案の御審議を願えることになりますかどうか。その辺につきましては今日までのところはつきりした見通しがまだついておらない状態であります。大体事務当局としましての構想の一端と今日までの経過を簡単に申し上げたような次第であります。以上をもちまして御了承願いたいと思います。
  21. 小川平二

    ○小川(平)委員 そういたしますると、通産省のお考えは、輸出入銀行は、輸出の面においてはいわゆるプラント輸出に対する金融を業務とするのだが、輸入の面ではいわゆるプラント輸入だけに限定せずに、アドヴアンス・ペイメントが要求されないような物資引取資金についても融資をする。こういうお考えのようでありまするが、その場合に現在の資本金で足りるかという問題もございましようし、開発銀行の仕事とどういう関係になつて来るかというような問題も出て来るであろうと思いますけれども、それらの点はどういうように考えておられますか。
  22. 井上尚一

    井上(尚)政府委員 プラント輸入金融につきましては、実は開発銀行の方との機能の限界が当然問題になつて来るわけでございますが、こういう問題につきましては、まだはつきりした結論には到達をしておらないのでありますけれども、一応事務当局としまして、今日までの試案といたしましては、プラント物、設備につきましては、分割払いを要求されるようなアドヴアンス・ペイメントについて、すなわち輸入当該プラントが国内輸入になりますその前の事前金融を輸出入銀行の方で考えて行く。そうしてプラントがこちらの国内輸入になりました場合には、適当なる時期におきまして輸出入銀行から開発銀行の金融にそれを切りかえるということにしてはどうであろうかというのが一応の試案の内容でございます。それからなおそういうような大きな設備以外の物資、すなわち原材料等につきましても建前としましては、この輸出入銀行の性格から申しまして、輸入になります前のアドヴアンス・ペイメントをむしろ本来の対象として考えて行く。そうして資金の余裕がございましたような場合には、著しく正常在庫を越えて輸入があるというような原材料についても、輸出入銀行としましての資金状況等から、可能な限りにおいて。それが市中銀行の金融に乗ることがきわめて困難であるというような場合には、その金融の対象として考えてみてはどうであろうかというのが試案の内容であります。繰返して申しますが、大蔵、通産当局といたしましても、いまだ試案の程度でありましく関係当局の意向、その他閣議の決定も得ていないというような程度の案でありまするので、そういう点を一応お含みを願いたいと存じます。
  23. 小川平二

    ○小川(平)委員 よくわかりました。もう少し問題が進みましてから、また別の機会に承らしていただくことにいたします。  次に、今ドル地域、スエーデンその他の自動承認制がとめられたままになつておりますが、再開の見込みについて承りたい。再開をしてもまたすぐにとめなければならないような事態になるのではないか。さらにまた、この自動承認制という制度そのものを、はたして長きにわたつて将来維持することができるかどうか、これらの点について、承らしていただきたいと思います。
  24. 木内信胤

    ○木内政府委員 自動承認制はかなり思い切つてつて来て、そのために相当の効果もあつたと思いますが、御承知の通り三月初旬とまりましてそれから再開いたしました。まだ続いているものもありますが、再開直後にまたとめたものもありまして、御不安にお思いになるのはごもつともと思います。この将来の見込みでありますが、これはもちろん外貨が十分あれば続いて行けるわけであります。しかしまた外貨を使う方の能力にも問題があります。その点はあとで御説明することにしまして、最初に外貨の見込みの方を申し上げます。  自動承認制なるものは、私どもが当初に考えておりましたよりも機能を余分に発揮し過ぎてしまつた。実は一—三の予算というものは、あれほど大きな輸入の契約をしてしまうとは予期しなかつた。実は行き過ぎたのです。その点はあとで申し上げますが、行き過ぎた結果といたしまして非常に大きな輸入が成り立つてしまつたと同時に、外貨のポジシヨンが思つたよりも非常に悪くなつて、それが今日困難を感じているゆえんであります。もう一つそれにつけ加えまして、私ども当初の見込みでは、ポンドについてもドルについても、今ごろは例の外銀のユーザンスなるものが成立していると思つていたのであります。その見込みのもとに勇敢な輸入を続けて来たのでありますが、遺憾ながら種々のことに妨げられまして、ポンドの方は別途の理由からユーザンスをとめてしまいまして、ドルの方はいまだに司令部の承認が得られませんで行き悩んでおります。こういう事情にあります。これは遺憾な点でありますが、同時にまた、最近ドルの方のユーザンスの行き詰まりというものは、時がたつにつれまして講和気構えが強くなり、日本政府に全権を譲りたい、ついては、今司令部が私どもの保証人の立場に立つているのでありまして、それは私どもが委任状をもらつてその委任状で仕事をしているために、委任者たる司令部が債務の責任を持つているのでありますが、その委任状を撤回しようという問題が起つたのであります。その結果として、その問題の見通しがつくまではきめられないということに外銀の方もなつて来たわけであります。司令部としましては、すぐにも委任状を撤回したいのにかかわらず、長い債務になつてしまうのはいやだということもあるのであります。それらの事情にひつかかつて実現しなかつたのであります。要するに、説明がごたごたいたしましたが、思つたように外銀のユーザンスなるものが実現しなかつたことが一つ、一—三の実績というものが思つたよりも行き過ぎたということが一つ、その二つによつて外貨の実情は相当困難であります。不日復活するとは思いますが、外貨事情がある程度好転しないうちは、どうしてもまたすぐひつこめる程度の自動承認制しかできないと思います。そういうふうになりました理由の一つに、今度はそのあてがいます外貨の受取り能力という問題があります。この点は、遺憾ながら、先ほどの引取資金の問題の御質問も根底にはそれがあつたと思いますが、政府輸入奨励というかけ声がどうも少し違つた意味を持つて世間に伝わつてしまつたので、引取資金の心配もしてもらえるかのごとき印象で動いた方もあると思います。それらの点で問題があるのであります。実は自動承認制というものは、それを使つて輸入する人の円資金に制約があつて無限の円資金はないということが前提になつておる。それで澁谷委員の御質問ゴムその他に関する件、すでにできてしまつたのをどうするかという問題であります。御質問の要旨まことに御同感にたえないと思つてつてつたわけでありますが、実はこういうことができてしまつたということは残念なのであつて業者というものは自由に、あたかも為替管理なきがごとく自由に輸入ができるという態勢に置かれたのは、輸入したあとの引取資金その他についても自力でもつてつて行けるという前提があるわけであります。その前提をすぐ正常でない日本にそのまま要求することはいささか無理でありましようが、そういう前提を忘れていたかのごとき部分があつたとしますれば、これは確かに訂正を要するのでありましてそれらのことが自動承認制というものを非常に行き過ぎさせた原因であります。ですから、私ども当局もそうでありますが、財界といたしましても、次第々々に常態に返るのであつて、一歩々々、いわば覚えつつ進んで行つている状態でありますから、今度のこの経験というものは、自然にその辺を訂正して、これからは、四—六の間にまた非常にいい形の自動承認制が復活するかどうかは予言の限りでありませんが、遠からざるうちにそれらの点も見直しが行われて、もう少しいい姿の永続的な自動承認制というものが復活して行くと思う。私どもはぜひそういうふうになつてほしいと念願しております。自動承認制というものは、あれは悪い制度だから放棄するとは決して思つていないばかりでなく、あれは非常にいい制度だと思つて、そういう点を直しつつぜひりつぱに再開して行きたい、こう考えております。
  25. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 関連質問をちよつと。
  26. 小金義照

    小金委員長 関連質問を許します。澁谷委員
  27. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 今の為替管理委員長の御説明の自動承認制に関連いたしまして——一—三月の輸入のいわゆる自動承認制が行き過ぎた。それに対しましては、先ほど私が御質問申し上げたときに一応申し上げてありまするが、為替管理委員会の御立場としてはごもつともな御意見だと拝聴するのであります。しかしその問題については、当時通商産業大臣に、輸入確保のためには、外貨資金のほかに、国内引取資金に対しましても相当考慮を払つてもらわなければならないということを私どもははつきり申し上げてあるはずです。と申しますことは、あの当時におきましては正常の姿でなく、幾らかでもランニング・ストツクとして日本国内重要物資を確保したいという考え方を持つて進んでおつたわけでありますから、今為替管理委員長の言われるような自動承認制に関連する国内引取資金というものは、当然輸入業者なりがあらかじめ予測しなくちやならぬ、あるいは準備しなくちやならぬものだつたということと、大臣のお考えになつておることに相当の食い違いが出て来るように思うのです。一体通商産業大臣はその問題についてどういう考え方で、日本のいわゆる産業行政を行つてつたか、これが非常に大きな分岐点になるので、従つて今回の引取資金の問題の解決もそれに関連が相当多いと思いますから、大臣のそれに関連する明確な態度をもう一ぺん伺つておきたいと思います。
  28. 横尾龍

    横尾国務大臣 澁谷委員の御質問は個々別々にお考えになるとあなたのおつしやる通りであります。しかし今の木内委員長からのお話は、原則としてのお話かと思います。私の方としては行政面から考えてなるたけ支障のないようにしたいというので、輸入の当初において円資金が一番大事だと思うから、それでその点を閣議でも話したわけであります。木内委員長も原則はそうだけれども、だからそれを見てやらないんだというお考えじやないと私は思います。さように御了承願います。
  29. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 そういたしますと、原則論は木内委員長の言われる通りであります。原則論はもちろんそうなんですが、しかし原則論であれば、あのときにあれだけの、約九億ドルの外貨予算をぶちまけて、そうして実際においては一—三で七億八千万ドルという厖大な輸入契約が成り立つて来るということは、あの当時進行中にわかつているわけであります。わかつておるとすれば、それに対する引取資金の問題に対しては、当然十分な手が打たれなければならぬわけです。ところが原則論でなくて、そういう問題をちやんと予測したということは、単にそれは輸入確保という簡単な問題じやなく、国内に特別にそれだけのものを備蓄はできないけれども、ランニング・ストックの形において余分なものを手持しようという考え方が、その当時において多分に含まれておつたことだけは事案であります。むしろそれが促進されたということになつて来ると思うのです。従つて通産当局なりあるいは大蔵当局が、それに対してまた日銀と十分折衝して、それらの引取資金の手当に対しては十分な準備がなくてはならなかつたと思うのです。ところが最近においては、スタンプ手形さえもある一部の者には許して、ある一部の者は許さないというような、いわゆるけちなやり方を今でも続けておるということが、われわれには合点が行かないというのです。それに対しては大臣はどこまで力強く関係当局と御折衝をなさつて準備を進めておられるかということを私はお尋ねしたい。
  30. 横尾龍

    横尾国務大臣 先刻木内委員長からのお話で、予想外によけいになつたということはその通りでございます。それに対して当局としてはどういう手を打つたかというお話でありますが、先刻からお話いたしますように、できるだけ国内金融のために、あるいはスタンプ手形のごときをまず広げてもらいたいということで、交渉を続けて来ておつたのであります。また今後とも先刻お話がありましたように続けて行くつもりであります。
  31. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 重ねてお尋ねいたしますが、通産大臣としては予想外ということは言えないと思う。それは予想されておつたと思うのです。予想外という言葉では私はちよつと受取れないと思う。あの当時においては、一月、二月の輸入為替の許可がちやんとおりまして、一月の月にはどれくらい、二月の月にはどうということは、ちやんとわかつてつた。でありますから、この見通しで行けば期末にはどのくらいの程度になるということは、正確な数字はわからないにしても輸入契約というものができますれば、それは全部わかつておるわけなんです。従つてそれだけのものが入つて来たときに、ユーザンスによつてある程度まで決済される。それがいよいよほんとうに決済されるときには、どういう形でもつてそれを決済するかということは、あらかじめわかつておるはずである。予想外ではないと思う。むしろそうでなくて、政府当局としては、あの当時においては、できればそれだけのものをなるべくたくさん確保したいという考え方つたのではないですか。あの当時は予想外ではなくて、むしろできればなるべく多くの物資国内ランニング・ストツクとして保有したいという考え方で進んでおつたのではないですか、それがどうも私にはちよつと合点が行かない。
  32. 横尾龍

    横尾国務大臣 私予想外と申しましたのは、私が予想外でなくて、委員長が予想外に多かつたとおつしやつた、こう私は申し上げたのです。
  33. 小川平二

    ○小川(平)委員 私もまさに今澁谷委員のお尋ねしたのと同趣旨のことをお尋ねしておつたのでございますが、木内委員長の御説明を承りますと、自動承認制をやつても、おそらく引取資金がそう続くものではないから、その面からチエツクされるだろうけれども、やつたところが案に相違して輸入がされ過ぎてしまつた。本来輸入をするときには、当然取引り資金まで考えて行うべきものである。それを考えずに、どんどん輸入をしたから、輸入をした業者はわかつているのだという印象を与えるような御説明がありました。今日問題になつておる引取資金の問題は、言うまでもなく国民経済的な観点から取上げておるわけでありまして、個々の業者は、一方において自動承認制という自由な窓があいておれば、これはどんどん輸入するに違いない。ことに今澁谷委員も仰せの通り、当時の状態、当時の雰囲気というものは、この日本が国家全体として大きなスペキユレーシヨンをやらなければならない。どんな無理をしても輸入を行わなければいけない状態であつたから、今この責任を個々の業者に転嫁されるような口吻のお話があるのは、私は受取りかねるという感じがしておるのであります。この問題はまあこの程度にいたしまして、木丙さんにもう少し具体的に承りたいと思うのでありますが、自動承認制という制度はいい制度であるから、何とか存続させて行きたいというお話でございましたけれども、このように少い手持ち外資で、しかもこういつた自由な制度のもとに輸入をやつて行くという点に、どうも根本的に無理があるような感じをだれしも受けておると思うのでありますが、今後の外貨の資金繰りの見通しというようなものと関連をさせて、もう少し具体的に承れないかと思うのであります。たとえばこの制度を存続するにしても、特定の品目に限る、そういう場合にどういう品目を残しておくかというふうなことになつて来るのではないかと思うのでありますが、これらの点をもう少し具体的に承れれば幸いであります。
  34. 木内信胤

    ○木内政府委員 ただいまの御質問でありますが、非常に外貨の手持ちが減つてしまつた、非常に何か外貨が足りない足りないという印象さえ見えるのでありますが、これは必ずしもそうでないのでありまして、むしろバイイングとしまして、実力以上の輸入が一—三月にされて、四—六に使うものがない、こういう状態でありまして、日本全体の輸入物資の消費能力、それを使つて輸出品をつくつて出して行くという能力から見まして、ずいぶん思い切つた大きな輸入が行われておるのであります。ですから今の状態から見まして、いかにも外貨が足りなくて、これでは自動承認制のごときものはやつて行けないという御印象が世間には自然伝わるのでありますが、これは少し是正を要するのだと思います。一—三の輸入というものは、まだその品物が全部来たわけではございませんが、契約とすれば八億にも及ぶのであります。八億の輸入というものは、もしそのままで行くならば、年間三十二億ドルの輸入になります。これは明らかに現在の日本としてはいささか消費能力を余る輸入なのであります。ですからそういう輸入の約定をしてしまつたあとの数箇月というものは、非常に輸入契約が少くても、これは別に意とするに足らないことであります。従つて自動承認制をやるだけの資力が日本にあるかどうかという問題は、全体の姿から見なければならないのでありますが、全体の姿としましては、輸出というものが存外伸びているのでありまして、大分前にこの国会にも御説明の材料になりました輸出計画・輸入計画というものは、さまで大きい数字ではありませんが、その後の様子を見ておりますと、それよりも相当ふえているのではないか。少し大げさに言えば、援助なんか全部入れますと、手取りにすれば年間二十億ドルの手取りがありはしないかと思われるくらいであります。そうしますと、昨年は十億を少し越したのでありますが、その前の年は五億だつたと思います。五億、十億、二十億と、大きな発展をしているのであります。でありますから、それらの状況からいつて、自動承認制というものは今の日本としては少し過ぎた制度であるかのごとき言葉を私は使いましたが、それはスタートした後の話であります。今としては必ずしもそうではないのでありまして、かかる制度は十分にやつて行けることになるだろうと思うのであります。     〔委員長退席中村委員長代理着席〕  なお品目は今のままで行けるかどうか。今は大体の品目はすべて自動承認制で、自動承認制でないものは例外であります。その中で非常に大きな品目は、アメリカ以外の綿花が自動承認制でありますが、それが大部分の商品でありまして、それに綿花一商品の分量は非常に多いのであります。ですからもし綿花を自動承認制から、はずせば、あとの自動承認制はすこぶる安泰なのであります。しかし綿花が自動承認制であつたことが過去において実に大きないいものをもたらしたのでありますから、私どもはこれははずさないで行くことができればそれに越したことはない。またできないことはあるまいという目をもつて現在ながめております。この点はまだ何ら結論めいたものは出ておりません。大体気分としてはそういう気分で経過をながめております。こう御承知願いたいと思います。  それからなお前後いたしますが、小川さんの御質問の一番初めに、政府貿易政策は一貫したものが何ら認められないというお言葉があつたのでありますが、これはまつたく私どもも同感でありまして、相済まぬと思います。しかしこれは政府に一貫した政策がないのではなく、新聞紙上から受ける印象がそう見えた、こういうことだと思います。実は参議院において、おとといですか、同じような御質問にもそのことを申したのでありますが、私ども為替管理、貿易管理の仕事を、始めまして、まだ一年と少ししかならないのでありますが、その間多少ともよくなつた点もあると思います。しかしまだまだ悪いのは政府の方針のパブリシテイーの方法でありまして、通産省の一角においては、たとえば輸出を担当している方は、輸出インフレ——輸入奨励が叫ばれていたから輸出を統制しようといつたものではなく、輸出インフレという声があつたから輸出は統制すべきかなということで御研究になつたことは事実である。その担当の方が研究をしたことはいいことだと思いますが、その研究がなされると、それがあたかも通産省の御方針、政府の方針であるかのごとく世間に伝わつてしまう。備蓄輸入という言葉を私も使いましたけれども、これは単に研究的な意味で使つたので、それが成り立つとすればどうすればいいかということを研究しましたが、先ほど澁谷委員からもご指摘がありましたように、いろいろな事情からこれは取下げになつたのであります。そういうことをしたけれども政府資金をもつて備蓄輸入をせしめようというところまで来なかつたのが、そうであるかのごとく伝わつた。これらのことは私ども見ていてはらはらするのですが、この点は早く改良しなければならぬと思つております。ことに今の御質問をずつと一貫して伺つておりまして一番いけない点は、そもそも輸出が盛んになつたときに輸出から起るインフレ的要素を当時考慮しなかつたということで、今度は輸入が多くなればそれから受けるデフレ的金詰まり及び物価下落というものを非常に強く受けなけばならないようになるのであります。ですからそこらの点に一番問題があるのでありますが、そういう点の問題として伝わらずに、政府はあたかもきようは輸出に狂奔し、きようは輸入に狂奔し、その結果また驚いて騒いでいるというような印象しか新聞紙は伝えないということは非常に残念であります。その点大いに改良を要する点であります。しかし政府はそうぐらぐらしていたものでない。一貫しで輸出はもちろんしなければならず、輸出のある限り、できるだけ多く輸入したいという方針にかわりはなかつたと思います。
  35. 風早八十二

    ○風早委員 関連して……。
  36. 中村幸八

    中村委員長代理 関連質問があります。これを許します。風早君。
  37. 風早八十二

    ○風早委員 木丙さんにお尋ねしたいのですが、今備蓄輸入のことが澁谷委員から問題になりまして、これは備蓄輸入と言つたらさしさわりがあるというので、ランニング・ストツクでもいいというふうに非常に緩和して言つておられますが、とにかくいずれにしても日本の生産能力の限度までも越えて特需があつたということ、そしてそれでありますから、もちろん生産能力という中には、原材料も大分入つております。その原材料ももちろん手当をしなければならない関係で、生産能力そのものと、固定施設に対する原材料までも必要だというほどの特需がどんどんあるということです。ですからその場合に、これは備蓄輸入と言おうが何と言おうが、とにかくこの原材料の手当をどんどんしなければならぬということは、これは特別な用途を持つた備蓄輸入ということを言わなくても、これはどんどん入れなければならぬということは、実は必然的にそこから起つて来ることでありまして、むしろその輸入ということが、西ドイツなんかに比べますとまるきり一時期ずれてしまつている。西ドイツではこちらが得意になつて輸出している時分に、先刻どんどん輸入している。その場合に政府はちやんとこれに対してどんな借金をしても手当をしている。銀行も同様である。こういうふうな大きな違いがあるわけであります。問題は、特需というものがどんどんと来る。しかもこれは一応至上命令のごとき形で来ているわけであります。そこに問題があるのではないか。あなたの御説を伺つておりますと、実は責任の所在なるものがどこにあるか、問題の真の重点がどこにあるかということを非常に疑わざるを得ないのであります。これは先ほど小川委員が受けられました印象であるだけでなく、私どももそういう印象を受けたのでありますが、最初はあたかも業者がそういうふうなことの事情考えないで、かつてにどんどんと輸入促進さしたというところに何かその責任があるかのごとく言われ、また今度は新聞に責任を持つて行かれているようであります。新聞がその都度々々よけいな印象を与えるようなことを書くものだから、それでわれわれは引きずられておるのだ、こうおつしやらんばかりのお言葉でありますが、実はそうではなくして、これはすべての原因は今日の特需並びにその性質にあるのではないか。しかもそれでは引受けなければいいじやないかと言われても、引受けなければならないような特需がぐんぐんと押しつけられて来るというところに、問題があるのではないかと考えるわけでありますが、そういう点につきまして、私どもが最も専門家として期待しております木内委員長にぜひ御見解を伺いたいと思います。
  38. 木内信胤

    ○木内政府委員 責任転嫁のようなことを申したということでありますが、制度というものがやはり理解されなかつたのは、私どもの発表の方法が悪いというようなことも十分認めて、ただ現象的にはそういうことだと思つて申し上げたのであります。この点はどうぞ誤解のないように御了承願いたいと思います。それと特需の問題でありますが、非常な輸入の必要に迫られて是が非でも輸入しなければならなくなつたのは、特需があるからだという御見解だと思いますが、そういうことも確かにある程度あるのでありますが、特需というものが、日本貿易及び産業の中で占める割合というものは、そう大きなものではない。ただ非常に目立つたもの、しかも意外のものが参りましたから、非常に強く影響を、受けましたけれども、数量的に見ますればそれほど大きなものではない。つまり全体をそう動かすものとは思わないのであります。ことにいろいろ中には買進みになつた品物も出たということに関係しまして、特需というものがあつたために、原料を手当しなければならなかつたということに対しての輸入手当は、比較的順調に進んだのである。その点は問題なかつたのじやないかと思います。ただ一部の商品に、あるいは買進みが過ぎてしまつたのではないかという現象が現われたのであつて、特需というものは、非常に輸入促進しなければならない状態なつたからといつて、一部の商品に買進みが出なくてはならぬということはない。特需関係から非常な強い印象を受けたために、多少——われわれもそうでありますが、世間もちよつと面くらつたという感はあつたかと思いますが、これがために非常に大きなデイスターバンスを受けたということはなかつたのだろうと私は解釈しております。これは私一個の印象でありまして政府の中でそういふことを論じ合つたことはちよつと記憶しません。大体私はそう解釈しております。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 またあとでいろいろお尋ねしたいことがありますが、今関連でありますから、一点だけつけ加えておきます。これは今おつしやるように、特需の受注者に対しては、比較的手当のあつたことはこれは私どもも事実と思います。しかし、結局資金の出所は一つでありまして、やはりそのために、これが全体としてその割合の問題でありません。それでなくても、大体資金のきゆうくつであり融資の困難であるということは、これがもう前提になつておるわけだ。そこへ特需が割り込んで、それには優先的にとにかく資金が入るわけです。そのために今度はその他のものがどれだけ困つておるかという問題なのでありましてこれはまつたく不可分な関係において理解されなければならぬと思う。先ほど澁谷さんがゴムの場合を言われましたが、ゴムゴムによりけりで、澁谷さんはどういうゴムをつくつておられ、どういうような市場を持つておられるか私は知りませんけれども、同じゴムでもやはり違うと思うのです。特需のゴムにこれがストツク用として入れられるということでありましても、それに対してもし資金が入つたとすれば、その資金というものはもうわくがきまつておるのですから、結局他のゴム業者にしても非常に困つて来る。こういうような問題が出て来るわけでありますが、これはまつたく不可分であると私は申しておきたい。そういう意味で、依然として特需の注文、これの是非ということについてはこれはまた後ほどいずれ御見解もよくただしたいと思いますし、また私どもの見解も述べたいと思いますが、いずれにしても問題の所在がどこにあるかという点で、私は一つこういう問題を出したわけであります。その点でやはり資金がこの面から非常にきゆうくつになつて来る。つまり特需が非常に資金繰りのできないような輸入までつい非常に束縛して来たというようなことに問題があるのだという見解は、少しも今のお答えから反駁されておらないと私は認めて、一応小川さんの方へお返ししたいと思います。
  40. 小川平二

    ○小川(平)委員 最後に一つ承りたいのでありますが、日英支払協定の改訂が今目前に迫つているわけであります。おそらく交渉の焦点になると思われますいわゆるドル・クローズの問題について承りたい。一方にはドル地域との貿易をこの際大いに増大をさせたいという要請がある。他の一面にはいわゆる日米経済協力というような問題がある。そこでこの問題の解決いかんによつて日本経済がスターリング・ブロツクに接近をして行くか、ドルの方に近づいて行くか、これが大きな一つのわかれ目であつて、きわめていろいろな角度から最も愼重に検討しなければならない問題であることは申すまでもないことと思うのであります。これらの問題についてすでに政府においてはある程度の会談に臨む腹構えというものがおできになつておるのじやないかと想像しておるのであります。この問題について通産大臣のお考えを承らせていただきたい。次いで専門家でいらつしやる木丙さんの御意見を承りたいと思います。
  41. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えいたしますが、この問題は非常にデリケートな問題かと思います。輸出についてはスターリング地域に依存するところが多いことは御存じの通りであります。またしかし、一面原材料輸入についてはドル地域に依存しなければならないものが多々ある、かような点を考えまして、どちらにどうするかということの研究は、今せつかく協定に入らんとしておるときでありますので、申し上げかねる次第でありますからさよう御了承願いたい。
  42. 木内信胤

    ○木内政府委員 私もその点に答えろという御指名でありますが、この問題は非常にデリケートな関係を含んでおります。私どもは多少の研究はしたのでありますが、この席で、それについて申し上げていいのか、悪いのかその判断の自由を持つておりませんので、私はごめんこうむる次第であります。
  43. 小川平二

    ○小川(平)委員 もちろんこれはこれから開始されようとする外交交渉の問題でありまするから、機微に属する点がいろいろおありになるということは承知いたしております。この際この問題に、いわばアプローチして行く上においてどういう観点があるか、こういう点について専門家であらせられる木丙さんの御意見を承る、この程度のお願いはさせていただいてもいいじやないか、こう思つておるわけであります。結論を承ろうとは申しません。
  44. 木内信胤

    ○木内政府委員 この問題にアプローチする心構えということだでございましたら、ただ私政府の一員であるということでなくして——一員でなければいけないが、実際に政府がどういうふうに交渉をしようとか、あるいはあちらがどういうことを考えているだろうかというような推測、そういうことを一切抜きにいたしまして、ただ一人の研究家という立場からこの問題をどう見るかという立場としてお答えさせていただきたい。  この立場で申しますれば、この問題は大体こうなるのであります。今のドル・クローズを持つた貿易というものは、なぜ改訂を希望されるかと申しますと、多分あちらはその点はこう申したらいいと思います。現在はドル・クローズがありますために、一定の金額を超えたポンドのバランスがたまりますと、日本側はそれをドルにかえてくれという要求ができるわけでありますが、この権利は使つたことはないのであります。英国の平価切下げのときに使えば使うべかりしものであつたかもしれませんが、使わなかつた。その後もなぜこれを使わなかつたかと申しますと、実はたまる機会がなかつた。なぜたまる機会がないかと申しますと、イギリス側は、先方の輸入許可というものを一定度に制限しまして、常にバランスがたまらないようにというふうにくふうして来るわけでありまして、従つて日本側としては非常ないい宝を授かりながら、その宝を用うべきときは遂に出て来ない。出て来ない結果として、伸び得べき輸出も伸びなくてしまうというきらいがあるのであります。それがこのドル・クローズを持つた現在の貿易でありますが、それは直そうではないか。お前の方は自由に輸出したいのなら輸出したらいいではないか。自分の方は買いたいときは顧慮するところなく買わしてほしい。そうすれば資金ができて日本側の輸入も困ることがないじやないかというのが考え方でございます。これが廃止論の大体の根拠だと思いますが、さてこれを残す残さぬというときに、はずしたあとがどうなるのかという問題でありまして、一番はつきりしておりますのは、あちらの為替管理機構で申しまして、振替可能国と称するものに日本も列してしまうということであります。そうしてしまえば、日本はドルに転換するという心配はなくなりますから、思い切つて輸入許可を出すであろうと想像されるわけであります。その結果は、非常に日本は場合によつてはポンド資金がたまるかもしれないが、たまつた結果はほかの国に振替ができるのだ、従つてスエーデンからパルプを買うとか、あるいはエジプトから米を買うのにも例えるということが考えられる。従つてそういう広汎な使用区域を持つている振替可能のポンド資金をためることは、あえて恐れることはないじやないか、もし言えるならば、振替可能国へ入るべきであります。入るのがいいことになるだろうと思います。ところが必ずしもそれを使つて買えるかどうかは保証の限りでないとも考えられる。日本のほしい物資は、大体原料資材に限られ、その原料資材の多くのものは軍需資材であつたり何かする関係上、必ずしも思うように買えないこともあり得るとするならば、ポンドのバランスがたまり過ぎてこげつくということがある。  現にポンドのバランスをため過ぎて困つているのがスターリングの地域内の国にもありますし、それ以外の国にもあるわけです。ですから、そんなものをため込むことになるかもしれぬ危険なところへなぜ入るのだ。日本の将来を考えてみれば、過去はアメリカの援助によつてどうやら立ち直つて来た。将来は外資導入の関係もあり、いろいろな関係もあつてドル資金をいかにしてつくるかということが日本の主たる関心事でなければならぬはずであるのに、こげつきポンドをつくつてしまうような可能性のあるところへ踏み込むことはいかぬ。すべからく将来にわたつてドルを獲得する能力というものをつちかうように今から工作すべきだというふうに考えられますから、その振替可能国に入つても非常に危険でございます。振替可能国に入らないとすればどうなるかと申しますと、イギリスの管理で申しますと、思い切つてドル地域というものに入つてしまう、あるいは現在も双務協定国というカテゴリーでありますが、現在と同じ双務協定国に入つて引続きドル・クローズを持つておるか、あるいはドル・クローズは落すけれども、ポンドのバランスがたまり過ぎて困るような可能性の起らない意味の、つまりドル・クローズを持つておるのとあまり違いない双務協定国もあり得ると思いますが、大体話の筋はそういう筋道だと思います。そのおのおのにはいろいろな条件があり、いろいろとわからない要素がありまして、むずかしいのでありますが、それらの点は私今日御答弁外としていただきまして、大体考えられることはその程度であります。
  45. 小川平二

    ○小川(平)委員 なおこの問題については承りたいことがあるのでありますが、今御説明のあつたように、詳しい話はできないという御事情もごもつともだと思われますので、この程度で私の質問は打切らしていただきます。
  46. 中村幸八

  47. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 通産大臣にお尋ねいたしたいのですが、二十六年度の綿布の輸出は、大体十三万ヤード、金額にいたしまして三億五千万ばかりというお話でありますが、この十三万ヤードの輸出の見通しについてお伺いいたしたいと思います。なおまた二十五年度に契約せられました分七億一千万ヤードが今年度に積み出されることになつておりますが、国際物価の下落の上におきまして、キヤンセルということが起ると考えられるのですが、こういう場合が起りました場合、政府といたしましてはどのような対策をとられるのであるか、お伺いいたしたいと思います。
  48. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまお話の綿布の十三万ヤードの輸出のことですが、それに二十五年度の残りのことですが、大体においては十三万ヤードは行きはしないかと思うのであります。しかし今のお話のように、現在においては国際相場が非常に下つているので、商談が一時停頓しておつたことは事実であります。幾らか回復はいたしたようですが、ただいまのところ行き得るものなりという見解を持つております。
  49. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 なお価格の低廉によりましてキヤンセルの問題は起つておりませんか。
  50. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまのところでは、私はそのことは聞いておりません。
  51. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 次に大臣にお伺いしたいのですが、昨年の十二月アメリカの物価凍結令がしかれまして以来、生糸の輸出が全然杜絶しておるという状態でありますが、これはわが国にとりましては非常に重大な問題であると考えます。政府はこれに対して何ら対策をとつておられない状態でありますが、大臣においてはこれら輸出の促進に対していかに考えておられるか、御意見を承りたいと思うのであります。
  52. 横尾龍

    横尾国務大臣 生糸の輸出につきましては、昨年末とまりまして非常に困りましたが、非常に日本の生糸の価格が高いのでというように申して来ておりましたので、国内価格が上昇するのを避けるため、たしか二十五万円にきめたかと思います。制限価格をその点にきめて生糸の上昇を防いだのでございます。その後多少の伸びはあるということは聞いておりますが、われわれの期待するように伸びていないことは事実でございます。漸次その方面も直つて行きはせぬか、こういうふうに考えております。
  53. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 価格は現在では相当に低廉になつておりますが、政府として積極的に輸出を促進するという面において非常に対策がない。今までのように生糸の輸出に対しまして政府努力しておらぬというように見られるのでありますが、一層政府としても、輸出促進に対しましていろいろ対策を講じてもらいたいということを希望いたしたいと思います。  次に、近く日米経済協力によりまして各重要産業部門に特需が相当に入る見込みのように新聞で仄聞するのでありますが、現在の設備並びに技術におきましては、他の国と比べまして非常に劣つておる。それに相当量の特需が入つて来るということになりますと、現在の老朽した設備、あるいは技術面等におきましては、著しく支障を来すと考えるのでございますが、これに対しまして通産大臣といたしましてはどういうような対策を講ぜられるか。設備に対する資金を豊富に出すとか、あるいは技術の向上に対して指導を与えるとか、それらの考え方についてお答えを願いたいと思います。
  54. 横尾龍

    横尾国務大臣 日米経済協力のことに対しましては、まだはつきりしたことは先方から承つていないのでございます。但し今の生産能力はどうかというお話でありますが、御存じの通り、戦時中に相当拡大されたる生産能力がまだ残つておるのでございます。もちろんそれには設備の近代化をしてないものもあるのでございまするが、ものによりましては旧設備であつてもある程度のものはつくり得る。非常な精密なものでなければ、現在持つておりまする設備でも、フルに動かしまするならば現在よりも数。パーセント以上の生産はできるものなりと思います。けだしこれには非常に原料の問題があります。これらにつきましては、ほんとうに提携がなりますならば、原材料は先方において何か考慮をしていただきたいということを、私は要望したいと思うのでございます。
  55. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 この特需が入つて参りますと、前の朝鮮事変の際におきましても大体七〇%程度物価が高騰して参つております。過日の新聞を見ますと、一万田総裁は、合理化資金に対しては協力するが、不急不要の面に対しては供給しない、これによつてインフレをとめて行くという考え方を発表しておられますが、特需関係相当な需要が入つて参りますと、従つて一般生活必要物資の面にもインフレがやはり起る。全面的インフレが起つて参りまして、生活必要物資にも相当な物価の高騰を来すことも考えられるのでございます。金融の面からは一応そのように考えられますが、物価及び物資に対する、そういうような場合におけるインフレ抑制に対する大臣のお考えを伺いたい。     〔中村委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 横尾龍

    横尾国務大臣 特需に対しましては、実は慎重に計画を進めて行きませんと、この前の欧洲戦争のときに、非常に景気が来たんだということのために各工業が雨後のたけのこのようにできたものであります。そうして戦後数年ならざるうちに、ほとんど元の状態に返つたという先例をわれわれよく記憶しておるものであります。つきましては、今後の特需に対しても、そういう見地から慎重に工場の設備、あるいは増設ということを考えませんと、再びそのような災いをかもしはせぬかというので、私はこの特需に対する——特需と申しますのはやはり一時的じやないか、あるいは二年続くか、三年続くかわかりませんけれども、まず特定の期間だけのものであると考えますが、これに対しましては、一ぺんにたくさん来るんだというような考えでなしに、堅実な歩みをもつて増産をして行くことがほんとうじやないか、こういうふうに考えております。それで物価の上昇は、工賃その他が多額に出ますので、そういう傾向があり得るかと考えるのでございます。ある程度のものはいたし方ないかと思いますけれども、その他のものに対しましては、よくインフレを抑制するようにいたしまして進んで行くことがほんとうじやないか)こういうふうに考えております。
  57. 小金義照

    小金委員長 次は風早八十二君。
  58. 風早八十二

    ○風早委員 質問の通告をしてあつたのですが、木内外為委員長も帰つてしまわれるし、大蔵当局も帰られたようで、今日の資金繰りの問題については、ドルの問題にしても、円資金にしても非常に質問の方に支障を来しておるので、はなはだ遺憾に考えておるのであります。与党の質問が終つたら帰つてしまうというようなことでは困りますから、この点はひとつ委員長の方でもよろしくお願いしたいと思います。  今通産大臣からこの特需はよほど警戒しなければならぬというような趣旨の御意見がありましたが、いわゆる朝鮮特需はおのずからしり切れになつて来ておるわけです。これに対して新しい特需が今問題になつて来ておるわけでありますが、そういう場合に、その特需の性格、たとえば日立製作所に対しては直接戦車の部品の注文がある。あるいはまた航空機部品に関しましては、旧中島が中心になつて試作を開始しておる。重火器にしましても、中島、中日重工業、あるいは日立、日本製鋼、こういうものがやつておる。これはもちろんこの場合におきましても、経済的な面からいつていつまで続くかわからない。実際わからないものに対しては警戒しなければならぬという点では同じだと思うのですが、こういつたような注文に対する業者の態度には、やはり直接間接一つのわくがはめられておるのではないか、そういう点では通産当局としてはどういう方針なり見解なりをとつておられるか。警戒を純経済的な面からしよう、採算の面からしようと思つてもそれはできないというような、そういう立場に置かれているのじやないかとわれわれは見ておるわけです。もうかりはしないかということもありますけれども、事実また八幡製鉄所のようなところでも、実際生産能力を超過し、そうして非常に臨時の注文であり、納期がやかましいし、値段も引合わないというようなことで、非常に首をひねつているというような、今までの案例もあるのであります。これからこういう戦略品の注文を受ける場合に、やはりその業者は自由な選択が許されないのじやないかという点について通産当局としてはどういう方針をとつておられるかを聞きたいと思います。
  59. 横尾龍

    横尾国務大臣 私が特需に対して警戒をということは、特需そのものに対する警戒ではないのであります。特需がたくさんあるだろうというような予想のもとに調節をするようなことは警戒しなければいかぬということを申し上げたのであります。それからただいま各社の例をあげてお話でありました。御存じの通り、わが国で完備したる兵器をつくることは私は現在の段階において困難ではないか、でき得ないのだ、また特需としても向うの兵器をそのまま完全としたものをわが国につくらせるということは非常に少いケースじやないかと思うのであります。先刻もお話のように、部分品の製作というお話でございますが、機械工業者は部分品の製作ならばこれは普通の機械工業でありますので、それくらいのマシーンニングのごときは、戦争中にありましたある程度の精密機械もありますので、そう重く考えなければならぬとは私は考えていないのであります。けだしいかなるものが来るかということに、対しては、まだ予測できませんので、今日ここで御答弁をいたすだけの資料もないのでございますから、あしからず御了承願いたい。
  60. 風早八十二

    ○風早委員 どういうものが来るかということを今お聞きしたわけではないのであります。特需に対する警戒ということを業者が自由にやれるのかということを聞いたわけでありますが、これは今のお答えでは、特需そのものは、これは受けなければならぬということを結局言われたんだろうと思うのです。そうしますと、結局私の問いに対しましては、これはわくがあるということをお答えになつたんだろうと理解しますが、そうなれば、これは特に通産当局としては、先ほどから問題になつております資金繰りは、これはやはり最も責任を持つて考えなければならぬと思うのです。そういう意味で、結局先ほどのいろいろな御質問、お答えが重複するといけませんから、もう簡単にいたしますが、今のユーザンスの問題なり、またスタンプ手形の問題なりについて、先ほどからいろいろお答えがありましたが、結局それ以外に資金の手当について特別な方策というものを現在政府は、通産当局としてもこれは考えておられないか。また考えておられるとすれば、大蔵当局なり外為なり日銀なりに対してどういつた具体的な措置を今講じておられるか、この点についてまず一般的にひとつお答え願いたい。
  61. 横尾龍

    横尾国務大臣 金融、ことに中小企業者、これは大分今の特需の対象になる工業じやないかと思います。大きいのはもちろんでありますけれども、中小企業も相当にこの対象になる工業ではないかと思います。これらに対して現在金融が円満に行つていないことは、これは事実で、これに対しては通産省当局としては非常に苦心しておるのであります。御存じの通り、いろいろな題目を並べて商工中金の額をふやすとか、あるいはまた信用保険制度をつくるとか、題目だけは並べてあります。しかしながらその運用はうまく行つていないというのは、非常にわれわれ苦労しているところである。こういうものが、ある程度運用が円滑に参りますと、今以上に金融が円滑さを増す、こういうふうにしてその点についていろいろと銀行あたりにも相談し、その他盡すべき手を盡して行きつつあるのであります。  それから先刻澁谷委員、小川委員からの御質問に対して説明いたしましたように、輸入物資に対するユーザンスの跡始末、いわゆる製造工業家に原料が渡るための金融については、いろいろと先刻申し上げたような手を打ち、またわれわれとしては先刻ここでお話なつ工業手形、これは製造工業者に対しては非常に望ましいものである、こう考えておるので、その点に対しても今後われわれはできるだけの努力をいたしたい、かように考えます。かように御了承を願いたい。
  62. 風早八十二

    ○風早委員 運用といいますか、円の小切手支払いというような問題をとつてみましても、これは主として貿易金融のことで言つているわけでありますが、ドル小切手の支払いというものは、これは日本にとつて外貨収入になるわけでありますが、円小切手によるものは、ワシントンからGHQにドルが入つて、今度はGHQがこれを自分の手元に置いたまま、円を日銀から引出して支払わせる、こういうふうなやり方になつているわけです。これはいずれ外国為替管理委員会に移されるものだということになつているけれども、実際にはどれだけ移されるのか、外為委員会でもわからない。これは木丙さんがおられればここの点もよくお尋ねしたかつたのですが、そういうようなことになつている。ともかく円小切手による支払いというものは、GHQが支払つたといいましても、実際は日銀の信用を新しくつくり出すことによつてなされているわけです。こういうような現状に対して今運営々々と言われますが、一体どういうふうに通産当局としてはこれを改めてもらつたらばいいというような積極的な御意見を持つておられるのか。私はやはりこういうような支払いの性格にも非常に問題があるのじやないかと思う。でありますから、どうしても日銀が出し澁るということになる。その点をどういうふうにお考えになりますか。
  63. 井上尚一

    井上(尚)政府委員 通産大臣にかわりましてお答えを申し上げたいと思います。従来の特需関係所要資金につきましては、貿手制度を準用相なつているということとは、もうすでに御承知かと存じますが、なお当初はこの貿手はドル払いの場合だけに適用になつておりましたのでありますけれども、直接円貨によりましての支払いの場合につきましても、結局は外貨の入手という形になります関係上、昭和二十五年の八月以降、円貨払いの分につきましても貿手制度の準用によりましてその円滑なる資金調達を考えているという状況でございます。なお、制度としましてはそういう制度適用でありますけれども、実際問題としましては、これは一般の金融の運営の問題になりますものですから、通産省としましてはそういうような制度の方面につきましてはそういう方策を講じているということを御了承願いたいと思います。
  64. 風早八十二

    ○風早委員 先ほど木内さんも答えられましたが、金融の運営なるものが特需の場合にはとにもかくにも曲りなりにもこれが追いついて行くわけです。その半面、特需以外のものに対して、やはり非常に手当が悪いというところに今日大多数の、特に中小メーカーにとつては非常に大きな問題があるわけです。そういう点について今のお答えでは何ら懸念がないかのごとき印象を受けるのですが、実際今困つている。この点は先ほど澁谷委員からも重ね重ね質問しておるわけですが、そういう点についての通産当局としての積極的な御意見を私は聞いておるのです。制度はわかります。実際に特需があつて、そのとばつちりで他のいわゆる平和産業に関する金融が非常に逼迫しているという点については、特別にどういう考慮を払われておるかということです。
  65. 横尾龍

    横尾国務大臣 具体的にどう改良して行くかというようなお話と承ります。先刻申し上げますように、ようやくこの各制度をつくりまして幾らかずつは業界として金融も伸びつつあるのであります。たとえば見返り資金のごときも、非常に手続がめんどうだ、何か簡素な道はないかというお話もよく承るのであります。またその他信用保険制度も、これは全額したらどうかというようなお話も承らぬこともないのであります。しかしよく今の制度お話して、そして納得してもらいますならば、私はそのことが、制度をつくりました現在においてわれわれのとるべき道なりと考えて、その方に全力を盡している次第であります。さよう御了承願います。
  66. 風早八十二

    ○風早委員 この貿手の制度といいましても、これは特需という新しい事態が現実に出て来ておるわけでありますから、今までの金融一般という考え方でこれに対処しておつたのでは、いくら制度がちやんとできておつても、それはきわめて平時的な意味でありまして新しい事態が実際に惹起しておるということ、というのはこの特需でもつて金融がそちらの方に行くその限りにおいて、他を逼迫するという関係になつておる。ですから特需というものをもつと検討して、これはそうでなくても、先ほどからもいろいろな形で認めておられるように、これは明らかに軍事的なものです。ひいては日本を戦争と再軍備というところへ、その一環にして行く。現にそうして行きつつあるのでありますが、そういうような特需のために、その半面に平和的な産業が非常な金融的な逼迫を受けるという問題なんです。その場合に今までの制度がそのままそれで役に立つということは言えない。そういう制度をこれらの平和産業が必要とするような新しい方策でこれを補強して行くか、でなければこの特需というものにまつ向から検討を加えて行くかという、いずれかでなければ、これはいつまでたつてもそう言われても事実ますます困つている状態です。その点はどうもこれ以上具体的に御回答は期待できませんから、もう一つ聞きますが、朝鮮並びに華僑のメーカーに対して、これはまつた融資はないといつても絶対過言じやないと思うのです。こういう点では通産省はそれを御存じになるかどうか。御存じあればこれがどういうところからそういうことになつておるか、今も銀行局の総務課長が急いでいるのでここで聞いてみたわけですが、大蔵当局としては特別な方針はないというような話でありましたが、しかしそういう事実があることは、通産当局はやはり一切のメーカーを管轄しておられるわけでありますから、御存じであると思います。またどういうお考えであるか、この点もひとつお答え願いたいと思います。
  67. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまの御質問は、ちよつとお聞きしたいのでありますが、中共向けのものをつくつておるものには金融をつけてやらないというような御質問の趣旨でありますか。
  68. 風早八十二

    ○風早委員 必ずしもそうじやないのです。つまり一切の華僑、特に朝鮮人の場合にはこれが徹底しておるようです。その注文先はみんな内需であるというようなメーカー、これはたとえば、アルマイトの食器をつくつておりますような、まつたく内需向けの平和産業のメーカー、そういうものに市中銀行は貸さない。とにかく絶対に貸さない。私はずいぶんいろいろと歩いておりますが、まず一番訴えられる不満はそこなのであります。でありますから、今はしようがないから、その人たちは自分たちで金を出し合つて、その人たち自身の信用というものをつくるよりしかたがないということでやつておるようですが、実際市中銀行は貸さない。貸さないということは、結局日銀の問題じやないかと思うのです。ひいてはこれが大蔵省あたりのさしがねがあるのではないかというふうに想像するわけなのです。そういう点を一体どういうふうに認識しておられるかということなんです。
  69. 横尾龍

    横尾国務大臣 そういたしますと、華僑、朝鮮人の方々から平和産業の注文を受けたものに対する金融ができないというのでありますか。
  70. 風早八十二

    ○風早委員 私の言つておるのは、朝鮮人のメーカーそのもののことを言つておるのです。つまりその人たちのお得意先その市場はみんな内需である。そういう場合です。ですからあなたが先ほど言われた中共向けの品物をつくつておる場合でなくても、一切合財融資の道がない。一般市中銀行からは、これは絶対といつていいくらい融資の道がないのであります。これは何か民族的な差別といいますか、第三国人や朝鮮人に対しましては特別な措置を講ずべしというような指令があるのかということを聞いておるのです。そういう点をどういうふうに考えておるか、ということです。
  71. 横尾龍

    横尾国務大臣 そういうものに対する指令を出したという話は何ら私は聞きません。それは銀行のその人たちに対する対人の信用問題ではないかと思います。本省としては、そうものに対して大蔵省あたりから指令を出したということは聞きません。また日本銀行からもそういう指令を出したということも聞いておりません。
  72. 風早八十二

    ○風早委員 それではその点についてもう一点だけ聞きますが、実際信用問題であることは、普通常識的に考えられることです。ところが銀行の支店長がよくその業態を調べて、これはもう縦から見ても横から見ても、経済的な面からは十分信用があると見て、どうか申込みをなさいと言つて申込みをさせて、契約をとりかわすばかりにして、さて本店に行きますと、これがぽんとだめになつてしまう。そういうようなことで、すつかりみんなくさつて、現在政府並びに特に大蔵当局——これは大蔵当局にもずいぶん言つておるらしいのですが、大蔵当局並びに日本金融界というものは、われわれに完全な差別待遇をしているという観念をとにかく持つているわけです。ですからそういうことはやはりどこの民族たるを問わず、これらのメーカーを全部管轄しておられる通産当局として、横尾さんまずこの事実をひとつつかんでもらいたいですね。事実も否認されるのではこれは話は別ですが、これは事実ですからよくひとつ調べてもらいたいです。そういうことに対しては、もし事実だつたとしますれば、今はあなたはわからない、そうした場合にはやはり通産当局としては、他の中小商工業者と同様に、これをあつせんしてやろうというくらいな、そういう態度をとられるであろうかどうかという点についてもあなたのひとつ考え伺つておきたい。
  73. 横尾龍

    横尾国務大臣 那辺にそういうものがありますか、よく取調べたいと思います。それから大蔵大臣が指令を出したとか日銀で指令を出したということはまだ聞いておりませんですから、さよう御了承願います。
  74. 風早八十二

    ○風早委員 では問題を他へ移しまして、今日の貿易の問題ですが、今アメリカ当局がとつておる対外政策、ことに中国に対する輸出禁止を全面的に西ヨーロツパ諸国へもこれを押し及ぼすというので最後の圧力を加えておるようです。しかしこれに対しては少くも経済的な面から見ますと、西ヨーロツパ諸国、ことにイギリスを先頭としまして、西ヨーロツパの連中もやはりこれをはなはだ困惑しているということは、いろいろ今情報の伝えるところだと思うのであります。そういう場合に、さて日本の具体的な利害関係から言いまして、この問題を結局もうしようがない、ここまでアメリカが押して来るのだからしようがないというので、今後まつたくこの問題については考えないというような態度を今とつておられるのか、やはり機会あるごとにこの問題は打開して行こうという努力を払うつもりでおられるのか、また実際払つておられるのか、そういう点は、ことに今日非常な最後の切迫した段階になつておりますので、私はひとつ政府当局としく横尾通産大臣の御見解を承つておきたいと思います。
  75. 横尾龍

    横尾国務大臣 国際関係のことについては、私よりも風早委員の方がよく御存じかと思います。現在のわが国は国連協力でありまするから、国連協力の線に沿うて行くことが最も適当なりと考えます、中共貿易に対しても重要性は認めます。しかしながら現在の段階におきましてはそのことが国連に対していい協力だ、または国家に対して最もいい政策であるということは、あなたと私の見解は違うのであります。ここで議論をいたす段階ではないのでありますから、さよう御了承願います。
  76. 風早八十二

    ○風早委員 やはり横尾通産大臣も、だんだんとお考えはかわつて来ておられるのですね。最初は、私はずいぶんこの問題について何度も繰返してお尋ねしておるのですが、今日また最後的な圧力が、この問題についてはアメリカから加わつておるので、事重大であると思つて、また再び出したのですが、しかし今あなたのお答えの中にも、中日貿易は、日本にとつては非常に重大な問題だということは、認めておられるわけです。これは日本の全国民の利害の立場からいえば、なくてはならないものです。ところが国連協力だから、これはもうやらない、こう言われますが、国連協力が大事なのか、日本国民の重大な利害関係が大事なのか、この点をやはり根本的に考えられて、国連協力がわれわれ国民に有利であるという限りにおいては大いにけつこうです。またわれわれも正しい意味での国連協力に賛成なのです。意見はその点では決して違つておらない。ところが今国連協力の名のもとに向米一辺倒と申しますか、結局中日貿易の禁止にしやにむに向つております。まつたく無理にやらせない、やることが日本の最大の利益であるのに無理にやらせない、その政策に従うというだけのことなんです。国連協力という名前はつけましても、真の正しい意味の国連協力ではないわけですが、それと対比してみた場合に、あなたは最初は中日貿易の問題についても、できるだけその打開の点に努力するということをたびたびここで言われていることは、速記録を見ればわかります。今日はいよいよかわられたわけですか。
  77. 横尾龍

    横尾国務大臣 昨年お話した時分は、でき得るならそうしたい。しかし今日の段階ではもはやその時期を脱しているのです。病人が切開すればなおる、しかし切開すれば痛い。だからおれは切開したくないというときに、また薬が苦いから、苦い薬を飲むのはつらいのだという者があつたと仮定しても、やはり病気をなおすには切開もしなければならぬし、薬も飲ませなければならぬでしようが、このことは私が最後の国民に幸福をもたらすものと、こう信じますから、先刻国連協力が最もわが国の幸福を持ち来すものなりという断定のもとにお話申し上げたのであります。さよう御了承願います。
  78. 風早八十二

    ○風早委員 経済もそうですが、政治というものは、そんなどつちかこつちかというようなものじやないことは、あなたも大臣として、政治家として十分御承知と思います。いきなり今中日貿易を再開しようといつたつて、それに条件があるわけですから、できないことはだれもわかりきつております。しかしたとえばきよう問題になつております。ドル・クローズの廃止の問題、これはイギリスが非常に主張しております。そうした場合、われわれはドル圏貿易またスターリング圏に対して、もつと大胆にもつと有利に足をかけて行くという問題が、このドル・クローズの廃止の問題をめぐつて、その前提として出て来ておるわけです。そういう点をぶつかつて実際にそれをほぐして行かれるならば、私はほんとうは日本の国民が望んでいるところの目標に向つて行くことも、決して不可能じやないと考えられるわけです。そういうことを全然さぼつてしまつたり、こうなつたらこうなつたでしようがないということでは、これはもう何もできない。問題はわれわれ国民の側の利害関係から出発して行くか、あるいはあなたが向うさんの命令で動くかという、そこに、わかれ道があるのであつて、下から川発して行つたら、いくらでも打開の道があるのじやないかと思います。そういう意味で、ドル・クローズ廃止の問題について、またひいてはスターリング圏に対する貿易方針について、はつきりした御見解をひとつ総体的に伺つておきたいと思います。
  79. 横尾龍

    横尾国務大臣 国民全部が要望しておるとおつしやいますけれども、私はそうばかりも考えない。  それからドル・クローズの問題であります。これは木内委員長からこまかしく説明があつたのであります。是非は申されませんでしたけれども説明があつたのであります。それでそういうことを私も聞いておりました。そういうことを勘案いたしまして、どちらにつく方がよいか、どうするのがよいかということは、最もこの際慎重に考えなければならぬことだと考えます。そのゆえに日英協定に入ろうとしております現在でありますから、私としては現在の段階において、意見がましいことを申し上げることを避けたいと思います。あしからず御了承願いたいと思います。
  80. 風早八十二

    ○風早委員 日英経済協定に、いつまでに入ろうとしておられるわけですか。
  81. 横尾龍

    横尾国務大臣 新聞でもごらんくださつた通り委員も大体きまり、最近に入るのじやないかと思うのであります。
  82. 風早八十二

    ○風早委員 そうしますと私どもが今最後に問題にした点なんかも、そこからやはり一つの道が開けて来るわけなんで、その協定のあらましの内容を、特にクローズ制の問題に関連して、ここで言つていただきたいと思います。
  83. 横尾龍

    横尾国務大臣 先刻からお話いたしますように、現在はそのことを申し上げる段階でないのであります。さよう御了承願いたいと思います。
  84. 風早八十二

    ○風早委員 一番大事なその協定の内容というような、こういう具体的な問題について、やはりこれは外交的な問題であるからというようなことが、おそらく理由になつておると思いますが、全然お話がなく、われわれが一体何のために具体的に経済政策を今検討しようとしておるか、わけがわからないわけです。かんじんのことは、これは答える段階でないと言つて答えられない。しかし全体として通産大臣に私が申し上げておきたいことは、最初はまつたくあなたの頭の中も白紙で、まだ多面的にいろいろな見解も取入れようというような御趣旨であつたように私どもは見受けておりまして、大いに期待しておつたのですが、今日に至りますと、頭の中はすつかり詰まつておりまして、もう完全に長いものに巻かれろというような観点で考えておられるとしか実は考えられない。私どもはそういう考え方は非常に危険だと思つて日本の将来をまつたく誤るものだということだけを私はあなたに特に申し上げておもしろくないからやめます。
  85. 小金義照

    小金委員長 この際お諮りいたしたいことがございます。理事の阿左美廣治君より理事辞任の申出がございましたので、これを許したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。なお理事補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において御指名いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それでは高木吉之助君を理事に御指名いたします。  本日はこの程度にて散会いたし、明日は午後一時より開会いたします。     午後四時十五分散会