運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-11 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十一日(金曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       小川 平二君    澁谷雄太郎君       高木吉之助君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       加藤 鐐造君    風早八十二君       中村 寅太君  出席政府委員         公益事業委員会         委員     松永安左エ門君         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君  委員外出席者         公益事業委員会         委員      宮原  清君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気及びガス事業に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  本日はまず先日の理事会決定に従いまして、電気事業に関する件について調査を進めます。この際松永公益事業委員長代理より、今日までの経過報告を求めます、松永委員長代理
  3. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 経過報告をいたしますに先だつて一言あいさつを申し上げておきたいと思います。本日は松本委員長がお伺いして、ごあいさつを申し上げ、かつ御報告も申し上げる次第でありましたが、連日のお疲れで今日御病気でお休みになつておりますので、私代理で伺いました。なお行き届かぬ点もあろうかと思いますので、宮原委員も御一緒に出ていただきました。どうぞよろしくお願いたします。  電力編成仕事ははなはだ重大な仕事でありますが、これを案にいたしまするまでに、いかにも時間が足りなかつたために、十分研究され、また十分関係各社間との和熟することを得なかつた事情もありまして、はなはだ本委員としても困難をきわめた問題でありました。それにもかかわらず当衆議院皆さん、ことに通産委員の各位より、たびたびいろいろの御注意、御鞭撻、御支援を与えていただいて、どうやら五月一日より再出発ができるようになりました点は、国家のため、同慶にたえないとともに、皆さんに対して厚く感謝の意を表する次第であります。この点委員長みずから伺つて御挨拶すべきのところ、前申し上げましたような御病気たのめに、その意を果せない次第でありますので、私より厚く、委員長にかわつても、他の委員にかわつても、御礼を申し上げる次第であります。  さて、今お尋ねになりましだ順序のことにつきまして、正確に一応申し述べたいと思つておりまするが、あるいは記憶違いなどをして間違つてもいけませんので、幸い今日松田事務総長一緒に参りましたから、その経過の日取り、事実について、一応松田君から筋道を立てて御説明を申させます。お許しを願います。
  4. 小金義照

  5. 松田太郎

    松田政府委員 それでは私から電気事業編成に関しまする経過につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  御承知のごとく、昨年の十二月、電気事業編成に関するポツダム政令制定施行を見まして、公益事業委員会がその後発足いたしまして間もなく、本年一月八日に電力会社の再編成に関する集中排除法の規定による持株会社整理委員会の一切の職権の委任を受けまして、同日日本発送電会社及び各配電会社に対しまして、二月八日までに電気事業編成計画書及び新会社株式引受け比率に関する意見の提出を求めたのでありまして、その後委員会におきましては、三月一日に計画書に対する仮指令案を交付いたしました。同時にまた株式引受け比率決定いたしました。その後三月十七日から三月二十三日まで、いわゆる各社ごと聴聞会を開きまして、その聴聞会の手続を経まして、仮指令案に対する、大きく申しまして三箇所の変更を加えたことは、御承知通りと思います。そういたしまして、三月三十一日にその変更を加えました内容において、決定指令を交付いたしたのでありますが、その後この決定指令に対しまして、四月十七日、愛媛県知事代理外四十名から、四国の本店の所在地につきまして、これを高松市からさらに元通り松山市に置いてもらいたいという意味の不服の申立がありましたのを初めといたしまして、四月二十九日に電気産業組合の代表の方から、各社別に不服の申立内閣総理大臣に対してありました。その間件数にいたしまして十九件というものが、不服の申立として内閣総理大臣に対してなされたのであります。その中には日本発送電あるいは関東配電あるいは日発の株主その他あつたのでございますが、そのうちの大部分につきましては、その後取下げをせられまして、結局取下げをされなかつたものに対しましては、四月三十日をもつて内閣総理大臣からいずれも棄却の決定がなされました。それで五日一日に新会社がすべて登記を終えまして、新しく発足するに至つたのであります。かくいたしまして、新会社におかれましても、その後それぞれの役員会におきまして、会長、社長、常務等の選任も終りまして、ただいま新しい感覚のものとに、電源開発その他新会社のなすべき事項につきまして、着着と研究を進め、今後の運営に遺憾なきを期しておられる、こういう状況になつております。ごく簡単でありますが、その後の経緯につきまして御説明申し上げます。
  6. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 大体の経過については右の通りでございますから、経過につきまして、もし御質問でもありましたら申し上げますが、もし御質問がなければ、いろいろこちらの事務局からも、こういうことを調べてくれというお問合せ等もございますことにつきまして、まだ調査も不十分でありまするし、また御説明の段階に達しないものもありますけはども、でき得る限り、最近の電力事情あるいは電源開発についての考え方、あるいはこれに対する財政状態等につきまして、わかります限り御説明をお許しくだされば申し上げてみたいと思つております。
  7. 小金義照

    小金委員長 それではこれより質疑を許します。発言の通告があります。福田一君。
  8. 福田一

    福田(一)委員 ただいま委員長代理事務総長から簡単に経過報告があつたわけ皆あります。そういうことは大体新聞紙上その他で一応了承いたしておるわけでありますが、私はここで一言だけ質問に入る前に御注意というか、希望を申し述べたいことがございます。それは何かといいますと、御存じのように、講和も間近かに控えておりまして、ポ政令その他の占領行政に対する一応の再検討をして、そうしてそれを改正しようというような空気が院の内外に起つておる。しかもこれに対しましては、総司令部方面からも特に好意のある声明が出ておる、こういう事情になつておるのでありますが、私は電気の問題をすぐそういうことに結びつけて行くかどうかということについて発言するのではありませんけれども、少くともこの電力編成ポ政令によつて行われたということは、いろいろの意味があつたことと思いますが、そのポ政令が出る前において、衆議院並び参議院におきましては、電力編成に対するいろいろの希望意見が出ておる。また質問も行われておつたわけであります。そういうような希望意見質問というものは、何といつて国民輿論を代表して申し上げておつたものであります。従つて今後公益事業委員会として電力行政を担当される以上は、こういう、前にありました衆議院空気というようなものを相当参酌し、また参議院意見というものを相当程度加味して行くというような心構えをもつてつていただきたいと思うのであります。そうでありませんで、われわれの輿論違つた方向に参るということになれば、せつかくでき上つたものをまた直さなければならない、こういうことが起きて来ることは火を見るよりも明らかであります。この点は公益事業委員お方としては、非常に時日の短かい間に再編成をやらなければならないという、むずかしい問題を担当されたのでありますから、その間になかなか困難なことも、またやりにくい問題もあつたと思います。しかしわれわれが公平に外から見て考えたところでは、今度のやられた内容は、何といつても申上、一番うまく行つたというふうにはわれわれも見ることができないし、世間もそういうふうにとつておらない。それにはいろいろな事情があつたこととは思いますが、今後まだまだ残されたたくさんの問題について、よほど愼重に、さらにまた輿論というものをよく見きわめていただきたい。何か公益事業委員会というのが非常な権限を与えられて、一応電力行政に関しては自分が一つ専門家だ、また見識を持つておる。だから世間の言うことは一応聞いておくだけで、取入れないでもいいというような感じを持つて、すべてのことを処置されているというような印象世間に与えるということは、将来の日本産業を復興するためにも、再建するためにも、非常な不幸をもたらすのではないかということを非常におそれるものであります。従いましてこの点は、特に公益事業委員お方質問に入るに先だちまして、一応希望意見を申し上げておきます。  そこで質問に入ることといたしますが、電力編成をここに立案されたというか、非常にその問題に参画された松永委員長代理がおられるのでありますけれども、電力編成をした根本の目的は、豊富低廉な電力供給するということにあつた、今までのやり方は豊富低廉なる電力国民供給する方法ではない。従つて豊富低廉なる電力供給する方法がこの再編成である、こういうところに目的があつた。そこでさしあたりお司いいたしたいことは、豊富低廉なる電力供給するという以上は、電源開発ということについては、ただいまどういうような計画を進めておられるか。特にこの再編成については、外資導入をもつて電源開発をはかるのが目的だ。再編成をしなければ外資導入されないということが一番大きな理由一つになつてつたと思うのでありますが、電源開発についての計画並びに外資導入に関するその後の状況について御説明が願いたいと思います。
  9. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 ただいまの電源開発について、また電力を豊富にかつ低廉に供給することについて、どういう考えを持つておるか、これに対する発電計画はどういうふうにするつもりであるか、またこれに要する資金、ことに外資についてどういうことになつておるかという御質問に対してお答えをしたいと思いまするが、ことに外資関係あるいはこれを実行する見返り資金割当等、いまだ十分確定の成案を得ておらないのでありますけれども、できるだけ努力はいたしております。これらのことにつきましては、あるいはGHQ方面の御意向等を承つたり、あるいは財務当局あたりと連絡して話をいたしておりますが、あまりに速記をおとりくださつて、それが何だか他の関係に、あるいは数字間違い等を私が犯した結果、御迷惑をかけるようなことがあつてはいかぬと思いますが……。
  10. 小金義照

    小金委員長 ちよつと途中ですが、お諮りいたします。松永委員は御老体でもあるし、お疲れのようでもありますから、すわつたまま発言を許しました。なおいろいろ打明けた話をしたいということでありますので、速記をとめて、懇談の形でこれから調査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小金義照

    小金委員長 それではさようとりはからいます。速記はここで中止してください。     〔速記中止
  12. 小金義照

    小金委員長 速記を始めてください。
  13. 福田一

    福田(一)委員 時間もありませんので、聞きたいこともたくさんありますが、私も質問を簡単にいたしますから、どうか簡単明瞭にひとつおわかりのところははつきりさしていただきたいと思います。そこで今までのお話だと、電源開発に関する一応の計画ができておるけれども、資金面についてはまだ何らの具体的な決定にまでは行つていないという御報告に盡きると思うのであります。しかし時間もありませんので、その面をもう少し掘り下げて行くということは、私はやめまして、後日の機会に譲ることにいたします。  そこで豊富低廉という意味で、豊富な電力供給するという点では、資金計画はできておつても、それを具体的に報告するまでにはまだ至つていないということだと思います。そこで今度は低廉という問題に関して質問してみたいと思うのでありますが、最近新聞紙上その他によつて伝えられるところによりますと、ただいま言われたような設備の改善、あるいは電源開発、あるいはまた賃金ぺース改訂に伴う支出の増、こういうものに対処するために、電気料金を上げなければならないであろう、こういうことがしばしば伝えられております。公益事業委員会としては、この際電気料金を上げるべきであるか、あるいは上げるとしたならば、どれくらいまで上げてよいと考えておいでになるか、この点を御質問いたします。
  14. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 お答えいたします。電気料金の値上げの問題につきましては、いまだ各会社が申請をいたして参つておりません。しかし事務局あるいは中央幹事会そのほかで各種の試案をこしらえて検討しておるのは事実でありますが、これに対して事務局としては何らいまだ判断を下しておりません。ただ二、三それの材料になることについての傾向を簡単に申し上げますと、現在電気事業に投資されておる資産は、数字がもし間違いましたら訂正願いますが、四百何十億円だと記憶します。これは再評価いたします場合は、三千四百億円ばかりに再評価される。そうしてそれを完全に償却いたしますとすれば、およそ耐用年数において定率的に処理いたします場合は、約年間二百五十億円前後の償却を必要とする計算は調査いたしております。しかるに現在の償却はどういう状態になつておりますかというのに、この数字もまたあとで訂正申し上げるかもしれませんが、二十億前後の償却を毎年やつておる。でありますから、償却耐用年数で割り、またこれを再定置と申しますか、つまり置きかえた状態を再評価と同じような状態評価しました場合は、二百五十億償却すべきものが、二百何十億は資産を消耗して、再定置をしていない、再評価をしていない。俗な言葉で言うと、資本を食いつぶしておるということになるのでありまして、相当な時間が来るたびにその機能を失い、発展力を失い、そしてお話のように良質なる電気供給と豊富なる供給は不可能に陥ることは、数字の明らかに示すところであります。そのために、これを再評価して、相当の償却をするということになりますと、ここに、料金状態に向つて検討を加えることは、当然の成行きのように考えられるのであります。しかしこれはまだ私の単にここでお答えするだけの話でありますから、簡単にその点を申し上げておきます。そのほか物価が上る、あるいは人件費が将来このままでないということに対して、現在の収入状態は、償却をしないでようやく何とかしておるという状態でありますから、この償却さえもまつたく一文もできないというような状態に陥ることは、電気事業発展のために、決して捨てておかれぬ状態になつておることを御了承願つておきたいと思います。
  15. 福田一

    福田(一)委員 電気料金は値上げすべき方向にあるという御説明でありますが、そこでわれわれが一番心配をしておることは、ただいま言われたような再評価の問題にしましても、これははつきり幾らになるか、あるいは三千億と言われ、あるいは四千億と言われておるのでありますが、三千億になる場合にと四千億になる場合では、電気料金もたいへんな差が生じて来るのであります。また人件費をどういうふうに見るか、これは一応われわれは数字を持つておりますけれども、あなたの方で数字がわかつておらないということで御説明にならないのに、私の方から申し上げてもしようがありませんが、人件費の問題、あるいは火力をたくための石炭の代金の問題等もあります。しかし石炭などは、七箇年とか八箇年の平均で大体どれくらい要るということになつておると聞いておりますが、その石炭にしても、今年は、大体四百万トンぐらいのものが、五百五十万トンないし六百万トン必要である、こういうふうに承つておるのであります。こういうものを石炭の値上りその他から見て、この炭価を幾らぐらいに見るかということによつて電気料金はかわつて来るわけであります。いずれにしても、こういうような数字的な基礎はつきりした上で、電気料金改訂をされるのでないと、国民はこれを納得しないと思います。特に石炭などにつきましては、輸送計画というものがありまして、先般運輸委員会で私が了承したところによりますと、年間輸送量というものから見まして、電力のために輸送し得る現在の石炭の量というものは、四百万トンもない。四百万トンを割つて、三百七、八十万トンと思いましたが、それくらいしか輸送する能力がないと言われておる。そういうような輸送力関係その他を見ないで、石炭幾ら幾ら使うから、こういうような数字が出て来る、支出がこれだけになるから電気料金はこういうふうにするのだ、こういうことをきめられるというと、われわれとしてもこれは国民に対しまして責任があるわけでありますから、こういう面の調査というものは、よほど厳重にやつていただきたいと思うのです。また給与ース改訂にしましても、これはわれわれとしても近くこういう問題も検討しなければならないのでありますが、政府側の一応の給与ベース改訂と、あまりかけ隔たりのないものでなければならないというような、いろいろなデーターがあるわけでありますから、そういうデーターを正確におとりになつて、そうしてこれをやつていただきたい。これが私は非常に大きな問題じやないかと思うのです。ただ石炭幾らいるのだと言つたつて輸送のできない石炭をいることにしてやつてみたつて、これは無意味だと思います。こういう点は、特にひとつ慎重に検討をしていただきたい。私が了承しておるところによりますと、公益事業委員会物価庁との間でいろいろと折衝をされておつたということも聞いておるのでありますけれども、実際に電気料金を上げるのは各会社でありまして、立場として公益事業委員会はこれを認可するかどうか、これを補正するというか、訂正するというか、そういう立場におられるのでありますが、こういう面もよく研究の上でおきめを願いたい。そうでないと、国民電力編成をやつたおかげで、電気料金が高くなつたなどというような悪い印象を受けることを、われわれは非常におそれるのであります。従いまして、この電気料金改訂については、特に愼重を期していただきたいということを、強く要望いたしておきます。  そこでもう一つ、それについてお伺いいたしたいのでありますが、電気料金大口小口によつてずいぶん違つておる。小口電燈料金というものが、電力業者収入の大体半分を占めておると思うのでありますけれども、一体この電気料金を上げられる場合に、電燈料金の方へ、いわゆる小口の方と大品の方とをにらみ合せた場合に、どちらに重点を置いて電気料金改訂をされるのであるか、その点の御方針をひとつ示していただきたいと思うのであります。
  16. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 簡単にお答えいたします。石炭の問題ではお話通りでありまして、これに対しまする調査書類を提供いたすことにいたします。  それから電気料金小口大口、もし料金を上げるとすれば、どちらに重点を置くかという問題につきまして、最も考慮しなければなりませんのは、今冬の間の火力補充超過料金というものが、種々の事情、あるいは政府の御希望等によつて、多少無理があるような点を発見しておりますが、この超過料金のごとき、さらにこれをそう上げるわけには参りません。むしろ根本的にこれらは是正して、そして産業家の各自に合理的に——同じ高くても合理的な割当をするようなことになりますと、この面で大きな増収をはかるわけに参りません。それから、次に小口中小工業の方、これもできるだけその採算原価において、非常に無理のあるものについては、むしろ制度を是正して、その是正された公正な制度のもとにおいて、標準割当をするよりほかはないと思つております。電燈にあつても同じような意味でありまして、収入の面から申しますと、ごく小さい零細な方面をわずかでも上げますると、収入は非常に増加しますが、これをもつて国民の全体の生活のことを考えますると、必ずしもそうそろばん通りに行かぬ問題でありますから、やはり大口電燈あるいは業務用電燈というものに向つて、その商売の元手になつておる問題に向つては、適正な料金を御要求するよりほかないものだと心得ておりますが、これらもまだいろいろ数字について研究しなければ、単にそのイデオロギーを申し上げても……。この程度にいたします。(笑声)
  17. 福田一

    福田(一)委員 まだそれは数字が出ないのにお伺いしてもしかたがないことでありますが、しかしこの委員会、特にわれわれとしましては、それが適当であるかどうか、全体としてどれくらいの増収をはからなければならないかという問題、それからそれの大口小口電気料金への割当がどうなつておるかということが、合理的であるかどうかというところに、非常な重点を置いておるということを、ひとつ十分お考えが願いたいわけであります。こういう点を十分御調査の上で、調査ができました上は、私どもとしては、本委員会として正式に申し上げるときは別としましても、私の希望としては、電気料金を上げられる前に、本委員会報告をされた上で、われわれの一応納得が行つた上で、上げるような方法をとつてらつてはどうかと私は考えておるので、この点は委員長において適当にとりはからつていただきたいと思います。  まだ問題はたくさんありますが、とても時間がございませんから、きようはこの程度にいたしておきます。他日また御質問することにしますけれども、電気割当の問題は、先ほども説明されましたが、各地において非常な不均衡があつたり、また需要と供給関係がうまく行つていない面も非常にある。それから日本としてどうしてもやらなくてはならない産業であつても、電力が足りないためにできないというものもありますから、ひとつ大いに開発して、いわゆる豊富に電力を起すというところへ重点を置かれて、そして電気料金改訂をする場合には、先ほど申し上げたような諸点については、国民から疑惑を受けたり、あるいはまた妙な感情を持たれないような、正確な数字に基いてこれをやられることを強く要望して、私の質問は一応これで打切ります。
  18. 小金義照

  19. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 松永委員長代理にたびたび御老体を煩わすのは恐れ入りますが、過般北上川電気開発に関しまして、東北興業株式会社にやらせるかどうかということを、私が当委員会においてお尋ねした際に、これは目下基礎的調査をやつてつて、その結果においてこれを決定するという御答弁でありました。しかるにもう北上川支流膽沢川電力開発東北興業株式会社に、公益事業委員会においてこれを許すことになつたということを聞いておりますが、その真偽いかんをお尋ねしたいと思います。もし事実であるとするならば、許可した調査の結果による理由を承りたい。もう一つは、もしこれが許可した際に東北電力株式会社に及ぼすところの影響はどういうことになるか、この点をお尋ねし、最後にもしもこれに似寄つたいろいろな問題が出て来た際においては、公益事業委員会における基本的態度は、今後許可するような方針であるかどうか。現にここに今度北上川開発法案という法案が提出されるのですが、その中の事業にも、水力発電に関する施設及び事業という問題も掲げてあるようです。これに対する某本方針を承りたいと思う。
  20. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 ただいまの御質問のことについて、はなはだ不用意にも今日技術課長を同伴しておりませんが、これは私も各種研究いたしまして、そういう関係について種々錯雑した利害もありますので、検察庁または地方関係と交渉を願いまして、その状態によつてそれの條件が解けた場合に電気事業者がやるというふうに話合いをして、いろいろ條件を備えて東北電力の方にお話合いをさせておりまして、まだ決定するまでになつておらぬと記憶いたします。あとでよく取調べて申し上げますが、なるべく善処したいと思います。
  21. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  22. 今澄勇

    今澄委員 時間があとわずかですから、私は三点だけ質問をいたします。  第一は、いろいろ問題はございましたが、きよう御報告のような人事問題その他妥結を見て、われわれは日本の全産業に与える影響の上から安堵したものでありますが、現在の妥結案で日本の各電力会社の運営は十分所期の目的を達し得るものであるとお考えになり、またその見通しがありますか。ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  23. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 大体今回は、各電力会社の人達も相当にもみにもんだ結果、一通り適所適材になつておると思つおります。その後たびたび経営者にも首脳者にも寄つてもらいまして、その御方針等についても打合せをしておりますが、大体行けるかという確信を持つております。
  24. 今澄勇

    今澄委員 この電力の人事問題がこんなもんだその根本原因として、巷間伝えられておるところは、大体公益事業委員は国家の公益事業委員ではなくて、一部の勢力を代表しておるものである、こう言われております。それでこの人事問題が落着したあとは電気料金の値上げであろうということが、すでに前から伝えられておることは御承知通りで、私は先輩に対してたいへん失礼ではございましたが、この電気のいろいろな人事問題の紛糾は松永さん自身の強引なやり方にある、かように先般の委員会において御指摘を申し上げましたが、松永さんはこの新しくできた電力のこういつた人事の結果から見て、今後の人事については十分協調されておやりになる意思があるかどうか。それから巷間伝えられておるところの、この次に来るべきものは電力料金の値上げであろうと言われておることに対して、もし公益事業委員会がこの電気料金の値上げを許すものとすれば、その根本的な認識と理由は一体何はよるのかということを社会に示さなければならぬと私は思いますが、簡明直截に御決意のほどを承りたいと思います。
  25. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 ただいま御質問なりあるいは御説論の通りで、まことに不徳のために各種の新聞種になつておりますが、新聞種必ずのもほんとうなことになつておるとも思いませんので、できるだけまじめにやつておるつもりでおりますが、しかし今後とも公益委員会におりまする限りにおきましては、過去多少の不手ぎわも、努力いたしまして今後善処して働いてみるつもりでおりますから、何とぞ御指導願います。  それから電力料金云々につきましては、先刻御答弁したような形勢であります。いまだ公式に何ら願い出もありませんし、ことに料金の問題は非常に複雑でありまして、各地によつて違い、また各産業別によつて非常にその程度、その方法を異にしておりますので、必ずしも業者の希望したようなことでそのまま私ども受続ぐわけにも行かぬと思います。私はよく研究いたしまして、また皆さんの御意見等を承り、公平な判断を下して行きたいと思つております。
  26. 今澄勇

    今澄委員 約束の三時になりましたが、私はもう一つこの際松永さんにぜひ良心的なお答えを願いたいと思うのは、今の数字的な問題その他のことについては、公益事業委員会委員長代理としては現在のところ不可明であるということは私も認めます。さりながら電気割当電気料金についてのこれまでのあり方、すなわちいくら電気料金をある程度に定めても、超過料金でどんどんとられるということになれば、これは意味はない、片方割当の方は、いくら割当をしても、あとどんどん割当以外の料金を払うということになれば、これも大して意味をなさないが、この電気割当料金については、今後はどのような調整をされようと考えておられるか。もう一つは、自家用の発電電力は今いろいろ申請もありお許しなさるようであるが、これらの現在動いている自家用発電電力割当のわくから差引いたのでは、その自家用発電電力をそれらの産業に特別に認めた意味がなくなるが、これについてどういうふうな見解をお持ちになつているか。この二点について概括の御意見を聞かせておいていただきたいと思います。
  27. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 第二の方から御返事を申し上げますが、自家発電返還問題は、ただいま一般供給がなかなか足りない際で、事実非常に困難であります。しかし理由のあるものはだんだん考えて行かなければならぬ問題でして、相当それについて関係者から書類も出ております。相かわらず調査はいたしておりまするが、そういう事情にあります。それから自家発電につきましては、なるべく独占会社電気自体であつて、決して自家発電は許さぬという考え方よりも、どうしても工業家が自分で必要なりと思われるものについては、国家としてはその急なる自家発電は許してもよろしいという考えを持つております。自家発電についてはさように考えておるということを御承知願いたい。
  28. 今澄勇

    今澄委員 現在運営されておる自家発に対する今までのやり方を見ると、割当電力の中にその自家発も含めております。だから何ぼ自家発をたいて能率を上げてみても、それだけ電気割当が減るので、これは全然自家発を努力してやるだけの意味がないということになつているが、その割当電力と自家発の問題は、今後どのように考えられるかというのが第一点で、もう一つは、今の割当超過料金という問題は微妙な問題だが、料金の値上げを考えられるとともに、この割当料金との調整は一体どう考えられるかというのが、私の質問です。
  29. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 実はその割当というのは、先刻どなたかに御返事した中にもありますが、第一に割当の不合理になつておりますのは、電力が足らぬのを無理にあつこつちにかかえてまわる、そのせいでありまして、これは安本が大体割当を主導的にきめて、通産省などと話し会つてつておるが、われわれ公益委員会が今後できるだけ主導的の立場に立つてやらない限りは、この割当がどうしても業者を中心としてうまく行かないのであります。その一例をちよつと申し上げてみますと、二十六年度三千キロワツト以上の——特別大口電力要望量というものは百五十億万キロワット程度でありますが、それに対してようやく割当を行い得られているのは、現在百六億万キロでありまして、四割何ぼは常に割当不足であるというこの根本を御了解願わねばならぬということが一つであります。これは要するに電力不足の結果であります。だからこれを補給するということは先刻申し上げた通りであります。  次に超過料金な、ことに冬の間にあつて石炭をもつてやるので、ある割当以上の超過料金を、たしか八倍か頂戴していると思つております。しかるに雨が降ればその八倍はただとつていて、いかにもそれは——雨が降らぬ年もあれば、雨の降る年もありますから平均はしますけれども、少くともその月、あるいはその前後においては非常に不合理なものになつていることは免れないのであります。八倍というような計算の出た基礎もほとんど怪しいものであります。これは何かしらぬが、役所がきめたことで、業者の意向を聞いたものではない。公益委員会においてはこれらの問題の討論に入つておりますけれども、関係があるいは物価庁あるいは通産省あるいは安本というようなところにまたがつておりまして、もし料金改正をするというならば、この問題について根本的な斧鉞を加えないと、値増しをした場合に、屋上さらに屋を架するというようなことになつて、一般の需用家にそれだけ迷惑を来すわけであります。これが今回の値上げをする理由一つにもなつております。たとえば、ただいま自家用などをたいておられる工業家、あるいは石炭業者もその一つでありますが、そういう方は、ある程度超過料を払つても、ある程度高い料金を払つても、その割当を多くとる方が自分の石炭をたくより安い場合は、一向自家用をおたきにならない。そのためにほかのところが割当を減らされて苦しんでいるということは、どうも公平でないとわれわれには考えられるのであります。これはいろいろな歴史、成行きから来ておりますが、今度新会社が出発すれば、これは産業の平準化と申しますか、あるいは向上に対しても、料金基礎を合理的なところに置かなければならぬと思つてせつかく研究いたしております。そのうもにまた申し上げる機会があろうと思います。
  30. 今澄勇

    今澄委員 それでは時間が来ましたので私はおきますが、大体今度の電気料金の値上げは、今のあなたの答弁により、これこれこういうわけでこうやるというねらいはわかりましたが、おそらく電気料金の値上げのあり方いかんによつては、重大な社会問題を提起して、人事問題と同じような紛争が起るおそれがあると考えられる。今あなたが、これまでの安本のやり方、あるいは物価庁並びに通産省のやり方が非常にまずかつたと言われた御意見を、そのまま今度裏返して、そこによいものができるように私は御注文をつけて質問を終ります。
  31. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 まずかつた云々とは申さなかつたようでありますけれども、そうお聞取りでありますと、各種のお話合いで自然そういうことになつておろうと思いますから、今度もし電気料金改訂するということになれば、これに大きな何を加えなければ、産業の平準的向上をはかることは困難であろう。ことに電力の不足の際——一、二年はどうしても不足であります。これはよほど公正化しないと困ると考えております。
  32. 今澄勇

    今澄委員 それではもう一つ聞きます。  あなたに私は理論的なことで結論というような——足りない電気割当てるのであるから、これを国家の産業の重要度によつて割当てるか、それとも電気料金を上げて、経済の成り立たない高価なる電力ということで引合わせるような制度をするか、二つの電気割当ての方式があるが、公益事業委員会はそのいずれの方式をとつて今度の電気料金割当の問題を決定せられるかということが私の質問の結論であります。  もう一ぺんまとめてこれに対してお答えを願つて私は了承したい。
  33. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 そのお答えは、両方をにらんで、お話通りにこの割当大口に向つて進まなければならぬと思つております。つまり料金値上げによつて公正になる面もあります。あるいは割当量が自動的に停止される場合もありますから、そういう自動作用の起る程度まで料金制度を改革せなければいかぬと思います。それだけであります。
  34. 小金義照

    小金委員長 風早八十二君。
  35. 風早八十二

    ○風早委員 松永さんの時間の関係であまり長く質問できませんが、発言の通告は、私は最初に来て最初にやつたのです。いろいろ御丁寧な御答弁がありまして時間がなくなつてしまいましたが、若干この際電力料金の値上げ問題についてお尋ねをしたいと思います。この電気料金の値上げにつきましては、これが一体国会に諮らるべきであるかどうかということは、これは前から問題になりまして、一昨年電気料金の値上げが突如として行われた。実はそのことを知つて、この通産委員会は、自由党の諸君も含めて満場一致でわれわれ決議をいたしまして、政府に申し入れたことがあります。それは今澄君もおられますからよく御承知と思いますが、同僚今澄君からも二回にわたつて、実は電気料金の値上げ問題は、国民経済並びに国民生活に重大な関係があるから、これはあくまで国会に諮つてつてもらいたい。今度の処置ははなはだけしからぬ、こういうような申入れであつたにもかかわらず、そのとき遂に決定はなされなかつた。しかしながら、そのあとで安本長官が出席されまして、それははなはだ遺憾であるという趣旨のことを言われたと思います。そうして、今度は十分に国会にはかるということであつたと思います。それは二十四年の十二月二十日の速記録にあるわけでありますが、ところが今度また電気料金の値上げが七月から行われるということが、新聞には盛んに書かれております。一般の産業界は——むろん国民もそうでありますが、非常に恐慌を来しておる。これでまた、自分たちの原価計算も産業家としてはすつかりかえなければならぬ。今でも引合わないところに、これはたいへんだ、一般の国民も、またまた電気料金の値上げでは、今でも実際払つて行かれない、四十五日たてばこれで切られてしまう。こういうような不安におびえておるわけです。そういつた状況で、あの記事が出たのはもう大分前でありますが、今もつてこれに対して、少くとも誤解を解くなり、あるいは実際この問題を考えておるがどうだということを、一度も国会に対してお諮りがないわけです。今日も福田委員並びに今澄委員質問に対して答弁されただけでありまして、これもはなはだ不満足であります。あらかじめ本論に入ります前にお尋ねしておきたいのですが、予想される電気料金の値上げ問題については、あらためて国会に十分に諮られるという気持を持つておられるかどうか、その点をひとつはつきりしておきたいと思います。
  36. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 そのことについて、私はただちにお諮りをするというようなお答えを今日いたしかねます。というのは、自分の法制上の力もありませんし、またそういう重大な御質問に対して、今日何らの用意もありません。委員長もおられぬことでありますし、そういうことにつきましては、いずれ委員長ともよく相談して申したいと思います。しかしここにちよつと申し上げておきたいと思いますのは、電気の経営に当つておりまする五月一日出発後の新規の会社が、国家の財産ともいわれる大きな電気事業をむちやくちやな経理状態にするようなことは、見ておられぬのが当然であります。またこれがために産業に多大の隘路となり、産業を阻害するような状態発電計画を怠り、姑息にその日を送るということも、公益委員会として見ておるわけに行きません。従つてそこに電気料金というものの公正適切なるものが出て来なければならぬ。これが今日目先に迫つた問題であることは当然のことであると思います。希望が出ません前から十分研究しておりまするが、もしこれが出ました際は、その希望を十分に検討するばかりでなくて、さらにこれを許可しようと思いまする際は、法律の定めるところによつて聴聞会を開きます。そしてあるいは東京に集まつて、各会社関係産業家、需用家等、これに利害のある方の十分なる御意見をいただいて、料金が適切であるか、あるいは早いかおそいか、すべてのところの御意見を聞くつもりであります。またその聞く前には、それに対する考え方は何かによつて各社の意見を発表することと思つております。あるいは議会等に対してもその際いろいろ御説明申し上げ、御質問もあることと思いますが、法律的の立場から、聴聞会の御意見を十分に尊重するために、あるいは九州地区の聴聞会はなるべく九州の産業家の多いところに開いて、その場に公益委員会の者が出張しまして、聴聞会といういかめしいものでなく、親しくひざを交えて、産業家や需用家の一般民衆の御意見を聞いて、そうして利害得失をよく判断した上に、これぞと思うところがありましたらきめたい。その決定権は確かに公益委員会が持つておるものと確信しておりまするが、その間におきましては、公衆あるいは新聞の輿論を見、また言うまでもなくこちらの委員会あたりの御質問に応じ、御相談もし、十分なる討議を盡して行きたいと思つております。その点どうぞ御安心を願いたい。
  37. 風早八十二

    ○風早委員 聴聞会の問題は、これは言うまでもなく法律にもきまつておることで、ぜひともしていただきたいわけでありますが、しかし国会は特に規定がないといいましても、これは当然のことだから規定がないのであつて、国会こそやはり全国各地から代表が出て来ておるところでありまして、しかもここでは通産委員会というちやんとした常設委員会があるわけです。この前の本委員会でなされました決議案にも、この常設委員会に諮つてもらいたい。参議院では電力問題については特別委員会ができておる。そういうところにやはり諮らなければならないというのが、われわれの共通の主張であつたと思うのであります。このことはその所管が安本から公益事業委員会に移りましても、ちつとも根本的にはかわりないと思う。そういう点であらためて国会に対して正式に諮つていただけるか、それを聞くと聞かないとは、これはまた別問題であります。われわれの十分意を盡した後に決定されるものであるかということについて御答弁を得たいと思います。
  38. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 ただいま二度目に御質問なすつたことは、大体私前御答弁申し上げた範囲で御了承を願いたいと思います。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 同じ問題に時間をつぶすわけに行きませんから、次に移りますが、ただ一言申しておきたいのは、この重大な問題を国会に諮るということをはつきり言うことができないというようなあなたの態度、これがやはり根本の問題である。先ごろ人事問題等でいろいろな問題を起されましたが、その際に私どもは、実ははなはだ口をきわめたわけでありまして、専制君主ということまで申してあるわけです。しかしそれは抽象的なことではなくて、こういう、実際直接国民に重大な利害関係のある問題を、やはり国会に必ず諮りますと言えないような態度に現われていやしないかということを、私は一言つておきたいと思う。  まずお伺いしたいことは、この電力料金の査定につきまして、これは先ほどは公平ということをしきりに言つておられましたが、実は料金の前に、電力割当につきまして、あなたの方の委員会と安本の委員会と両方できめられたということになつておる五一年度、つまり二十六年度の電力需給の計画によりますと、割当の面で従来不公正なものがますます不公正になつて来やしないかという感を深くするのであります。特に特別大口のもの、それから大口のものを合せたものを百としますと、中小へまわるものと、家庭の電燈、定額分も含めて、こういつたものに対する割当が昨年度は大体六割二分、ところが五一年度の需給計画によりますと四割二分に下つておる。こういつたようなことはどう考えておられますか。昨年度のをとつてみますと、大口関係を三とすれば、小口並びに家庭関係は二という需給関係である。つまり大口関係よりもはるかに少い割当が課されておるわけです。これに対して実際の料金はまつたく逆に、大口を一とすれば小口や家庭は三である。こういうふうな関係になつております。これは全体の数字でありまして、一々の例をあげればもつともつと極端になつておるのであります。それから大口といいましても、またその中で非常な不公正な割当並びに料金の査定がなされておるわけでありますが、そういう点について、公益事業委員会としては、まずこの割当計画をどういう立場でなされ、かつ料金についてはどういう根本方針があるか、この点は先ほど公正という言葉をしきりに使われましたので、特にこの点を明らかにお答弁願いたいと思います。
  40. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 ただいまの風早委員の御質問は、数字にわたつておりますので、私今的確な御答弁を申し上げかねるのでありまするが、お示しになつた家庭あるいはそのほかの電燈電力、熱電などどがだんだん減少して、大口あるいは産業用動力のパーセンテージが非常にふえたということは、これは御承知通りに、終戦後一時産業が全部衰えまして、少い電力が非常に余つてしまいました。そうしてもつぱら家庭用電熱などにそのたつとい電力というもの、がまわされておりまして、まき、炭のかわりをしておつたというのが事実でありますが、その余勢はなお一昨年あたりまで続いて来たのでありましようけれども、一方で産業の勃興及び事情の変化に従いまして、産業用動力の休んだ工場等がだんだん復活して国家の生産を増して、産業動力のパーセンテージが多くなつたのでありますが、今ちようどそれが両方平均を得ているのか、将来まだ動くのであるか、これについては種々研究もいたしておりまするし、また数字についてある見定めはつけられると思つておりますが、適当のときそういうことは資料をこちらの委員会の方に提出したいと思つておりますので、よく御研究を願いたいと思つております。ただいまの答弁はその程度で……。
  41. 風早八十二

    ○風早委員 松永委員長代理は、とにかく電気の神様だと言われておる。これは別にこまかい数字でもなんでもありません。あなた方が今度つくられた需給計画に基いたものであつて、それ以外の何ものでもない。われわれがかつてにでつち上げたものではない。そういう数字は、もちろんこまかい、何銭何厘は間違いましても、それは別問題でありますが、そういう数字がお持合せがないということは、これははなはだ御答弁としてわれわれは了解しかねるわけです。しかしながら御答弁がなければしかたがありませんから、次に移りますが、同じ大口といいましても、これはやはり、その中の不公正が極端になつておりまして、これに関連しまして、まず料金の基準——何を一体基準にして料金というものをきめられるのか、つまりほんとうに原価主義でやられるつもりなのかどうかということです。なぜこんなばかげた質問をするかというと、この前の、一昨年の暮れに突如として行われた電気料金の値上げの場合に、実は総合原価を出してもらいたいと、われわれは政府当局に要求した。ところが、実は残念ながら原価は出ていないということです。つまり料金をぽんと先に上げて、今度はそれに合せるように原価をあとでつくろうということです。そういうことであれば、これはとてもわれわれとしては承服しがたい。今度の場合も、またそんなようなことであるのかどうかという危惧を持ちますから、それで実はこの料金の基準を一体どこに置かれるのか、これは先般のここで開かれました委員会でも、たとえば電産の中央執行委員長である藤田君が参考人として出て来られた際に、われわれは聞きましたが、私の質問に対して、藤田委員は、もちろん原価プラス利潤、この主義で行くべきだ。同時にそこに列席しておられた、やはり参考人の森副総裁も、まつたく同感だという話でした。でありますから、これは大体原則としてはきまつておると思いますが、実際問題として今度の場合にその点がどうなつておるか、もし原価主義でやるとすれば、ひとつその原価計算を今から示していただきたい、こういうことです。お答えを願いたいと思います。
  42. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 簡単にはつきり申し上げますが、今回は完全に百パーセント原価主義によります。その原価というのは、その地域における、すなわち九州、北陸、大阪、そこにおける発生電力及び資本に対するリターン、そういうことをもつて原価の基礎とします。これは単に一時のことではなく、将来公共の利福を守る上からしましても、独占会社に対して、数字基礎が原価によらず、償却をせず、あるいは利益がないのにむやみに配当するというような弊害を除くためにも、初めからいい癖をつけまして、料金によるものは原価主義である。それに相当のリターンが加わる。地方の情勢によつては、なかなかりターンも出にくい場合もありましよう。そういうものは特に相当な考慮を加えねばならぬ場合ができます。つまり地域差料金の補助方法のごときもその一つでありましようが、これは根本問題でありません。右お答え申し上げます。
  43. 風早八十二

    ○風早委員 つまり原価主義によるということでありますか。
  44. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 さようでございます。
  45. 風早八十二

    ○風早委員 それはまつたく同感でありまして、ぜひそうしてもらいたい。ところで昨年の実際の統計を見ましても、コストは一キロワット・アワー当り二円八十八銭、これは平均です。ところがこれに対して先ほど大口の中にもいろいろな平均がある言われたが、大口の平均はおそらくそれほどじやないと思いますが、たとえば八幡製鉄所でありますとか、さらに三池染料、こういつたところは、北九州でも特に今度のあなた方の人事で麻生氏があそこの会長になつた石炭との関係もいろいろありまして、非常に問題のあるところですが、八幡や三池染料、こういうようなところでは一キロワット・アワー当り三十銭、東京でも、たとえば三菱下丸子というようなところでは、一円から大体一円十銭まで、そういうふうなことになつておる。これに対して一般の、ことに電燈料金などの例をとれば、これは極端ですが、定額料金の場合は一キロワット・アワー当り大体十三円、はなはだしい不均等です。これが全体として、先ほど申し上げたように、一方にはたくさん電力割当てて、こちらには少く割当てられる。ところが実際に徴収する料金は、こちらが三倍になつておるという、そういうめちやな結果になつておる。これがつまりわれわれ一般の消費者、国民大衆としては最大の問題であると思う。そういう点で、むろん今の原価主義ということであれば、この原価主義の問題はあとまわしにしまして、そういう点で不公正を一掃される意思があるかどうか。またそうならば、どういうふうな方法でどの程度の目途でやられるか。たとえば今度七二%の大料金値上げをやるというようなことが新聞に伝えられておりますが、もしそうだとすれば、この七二%の値上げの負担をどういうふうに配分するつもりであるか。これらについてお考えを伺いたいことが一つ。  さらに今の二円八十八銭というようなあれに対して、非常な不当に、つまりコストをはるかに何分の一も割つているような、そういう安い値段で、しかも莫大な割当をしておるというような大経営に対して——なるほどその経営はあなた方の見解からすれば重要な経営であるというようないろいろ理由はあるでしようが、とにかく結論としてこういうような点に対しては、原価主義をとる限りは、これはやはり電力会社は商売でありますから、原価主義を守らせよう、つまり会社を保護しようという限りにおきましても、こういう不公正ははなはだおかしな話だと思うのでありまして、そういう点ではどういう改善方法を断行しようと考えておられるか、この二点をまずお尋ねしたいと思います。
  46. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 簡単にお答えいたします。大体あなたのお考えになつているように、旧来日本発送電が一会社として全体的の供給をしておりましたことと、旧配電会社はその電力を受けて、指示されたような大体の料金で売つておりましたのと、それから日本発送電自身がある別な約束で売つておりましたのと、一面にはプールされ、一面には原価によらずして特別値段というような とになつておりますために、お話通りの不公正は多々あることと思います。全部が不公正とは申しかねますが、なかなか不公正は大口割当などに多かろうということは、もう想像に余りあるのでありますが、初めて五月一日に独立採算制をもつて、そのときの原価で、大口に対しても、小口に対しても、あるいは供給するこまごました方面に対しても、相当な原価主義で参りまする場合には、いわゆる政策を加味しないという意味のものが出て来なければならぬと思いまするが、その場合に御希望あるいは御説のような相当公平な料金は案出されるものと思つております。これについて私どもいろいろ考えております、また業者もその地方の実情でいろいろ考えておりますることもありまするので、だんだんとりまとめてまた御説明を申し上げる時期があろうと思つております。
  47. 風早八十二

    ○風早委員 どうも何を伺いましてもさつぱりお答えは要領を得ません。もう少しぴりつとしたお答えを願いたいと思います。私がお尋ねしておるのは、つまり二円八十八銭の原価に対して、それを三十銭で売るというのはけしからぬということです。だからそういうことに対してはどういうお考えかということを聞いておる。これはいろいろ事情はありましよう、今までにいろいろなヒストリーというものがあつたというわけですが、そういうことは地域的にもいろいろあつたでしようが、しかし今度電力事業委員会としてはどういう方針を持たれるかということを具体的に話してもらいたかつたわけです。それも一向お答えがあいまいでありまして要領を得ません。  もう一つお尋ねしたいのは、この特需電力というものを相当莫大に計上しておられます。これは頭から天引して、そのあとを割当ることになつております。特需電力が三億三千八百万キロワット・アワーも天引するということになつておりますが、これは一体どういうところへ使われるつもりであるか、その用途をお示し願いたいと思います。
  48. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 今日資料を持つておりませんから、御希望でありましたら、その用途及び数量についての資料を提供いたします。
  49. 風早八十二

    ○風早委員 松永さんは御老齢で資料を持たれないと言われますから、ほかに公益事業委員会から来ておられる専門家がいましたら……。
  50. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 今日技術家は参つておりません。
  51. 風早八十二

    ○風早委員 ではぜひともその資料は、この委員会に対して御提供を願いたいと思います。  さらに進駐軍関係の問題でありますが、これも今までしばしばいろいろな形で委員会で問題になつております。私ども特にこの点を指摘して来たのでありますが、一体進駐軍に対する割当というものはどういう立場でされておるのか、この点をまずお尋ねしておきたいのです。といいますのは、一般には非常に暗い電燈で、電力会社はそれは原価とか何とか言いますけれども、実際電気事業法にきめられた約束のボルトも使つておらない。ですからもうラジオも実際聞えない。農村に行けばラジオどころか字も読めはしない。そういうような暗い電燈になつておる。つまり非常に電圧が下つておる。おまけに高い料金であり、またかつて気ままに滅火されるというような実情であるにかかわらず、外人の宿舎でありますとかいつたようなところに行きますと、書をあざむくようにあかあかと電気がつけられておるし、電気ぶとんがあるとか、電気ぶろがあるとか、そのほか電気冷蔵庫でありますとか、いろいろそういつたものが至れり盡せりです。これは基地関係ではいわゆる明るい基地といいますか、はなはだ危険だと思いますが、非常に明るい基地です。さらにダンスホールあたりたくさん進駐軍関係であるわけです。こういうものがすべて非常な電力を食つておりますが、こういつたような無制限な割当が今後も続くとすれば、これはいろいろと問題が起ると思うのであります。こういう点では公益事業委員会としては今後どういう方針をとられるつもりであるか、これは日本国民の実際の電力消費の実情から見ますと、非常に不公正な状況ではないかと考えるのでありますが、この点に対する方針をひとつ示してもらいたい。
  52. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 今占領軍に対する使い方について御意見がありましたが、この御意見の善悪についてかれこれ申し上げませんが、事実占領軍の電力量は最近だんだん減つております。これは占領軍自身の自粛にもより、またいろいろ注意にもよつてつておることだろうと存じております。数字はすでに発表されてお手元にもあると思いますから、だんだん減つておる傾向にあることだけははつきり申し上げておきます。
  53. 風早八十二

    ○風早委員 松永委員長代理はどうも数字をほんとうに御存じないのではないかと疑わせられるのです。あなたがつくられた電力需給計画、これはお忘れになつたかもしれませんが、つい先ほどつくられた電力需給計画によりますと、進駐軍用の供給は昨年度よりも一億キロワット・アワー増加しておる。これもお伺いしたいと思つておりましたが、今はだんだん自粛によつてつておるというようなことを言われたのですが、これは逆になつておる。
  54. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 最近は減つております。あとで表を差上げます。
  55. 風早八十二

    ○風早委員 減つておるのに、なぜこういう需給計画を出されるのか。これも問題なのでありまして、(「新聞で出した」と呼ぶ者あり)新聞じやありません。これは一九五一年度の電力需給計画として、安本と公益事業委員会はつきり公表しておられる数字でありまして、これによつても一億キロワット・アワーふやしておる。莫大な量の割当をふやしておることが方針に出ておるのでありますから、それで私は聞いておる。ところが実情は減つておるとすれば、それはまた一つの問題でありますが、需給計画をまず前提にされて、少くもこれと合うように御答弁願いたいと思います。
  56. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 お答えしますが、今の新聞の需給計画を安本と相談して公表したということは、私の記憶にはございません。需給計画調査し、これにマッチするように資金計画を立て、各種のことをせない限りは、いたずらに国民を迷わすような発表をするわけはないと思いまするが、何かそういう新聞がありましたら、あとでまた拝見したいと思つております。それで、ただ申し上げるのは、私が減つておるという数字は、公益事業委員会の需給課が最近の情勢を調査して、それを発表した表がありますが、あるいはこの青い本にもあるかと思いますが、なければ最近のものを調べて申し上げます。確かに減つておるという記憶を持つております。
  57. 風早八十二

    ○風早委員 今のそちらからのお尋ねの資料は、はつきり公表されております。これをお目にかけてもいいのですが、それはまつたくあべこべの話なので、はなはだ私どもは了解しかねる御弁答だと思います。  そこでさらに今の大口関係の——実際大口関係と一口に言いましても、中には平和産業で非常に電力がなくて困つておるというところがある反面一部の軍需生産を特に請負わされておるというようなところでは、非常に豊富である。これは重大な問題です。この電力割当の不公正ということは、先ほど申した通りですか、税金の問題につきましても、これらは正式に政府の発表されているところによりましても、税金をほとんど納めておらぬというようなところがあるわけです。これがやはり一般のつまり小口電力消費の中小企業でありますとか、あるいはまた一般の国民の方へ振りかかつて来ておる。こういうふうな事実があるのでありますが、これとまつたく同じように、電力の場合でも、まるで軍需生産の大工場に対して税金負担を軽減されまして、それを一般の国民大衆や、小口に対して転嫁する、こういつた実情が至るところに出ておる。それが統計に現われて来るのだと思いますが、特にその中でも、電力料金を五割以上も滞納しておるものがある。こういうことが出ておるのでありますが、こういう点について公益事業委員会としては、当然はつきりした方針を立てられる必要があると私どもは考えるのです。そういう点で、なかなか委員長代理には来てもらう機会も少いのでありますから、この際に全部にらみ合せて、進駐軍関係電力に対しては、公益事業委員会としてはどういう方針を持つかということを、簡単でいいですから、結論だけ承つておきたいのです。それは占領下にあるということと商売とは別問題だという点から、ことに原価主義をとるという原則から言いまして、その方針を伺いたい。
  58. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 ただいま占領軍に対してどうするというふうな政策を考えておりませんので、御返事しかねますがだんだん料金の適正化等はむろん進めて行くつもりでおります。なお御注意のことは十分了承して調べることにいたします。それ以上のお答えは、今日ちよつと困難です。
  59. 風早八十二

    ○風早委員 松永さん、まだお答えが願えますか。
  60. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 きよう会議を他に催しておりますから……。
  61. 風早八十二

    ○風早委員 どうも資料をお持合せないようですし、はつきりした方針も示されないのですが、まつたくうやむやのうちにこの答弁が終つてしまうということを私は非常におそれるから、責任のある答弁をされるために、もう少し残つてもらえるならば、私はこの際まだ二、三の点をお尋ねしておきたいと思いますが……。
  62. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 今日はお断りしたいと思います。
  63. 風早八十二

    ○風早委員 それでは、いろいろそういう御都合も私どもは全然無視するつもりはないのですが、しかしこれは皆さん方の御都合で、委員会としては一向そういう都合はなかつたわけですから……。それでもとにかく一応お帰り願うことにしますが、最後にお願いしておきたいことは、最初に私が出しましたように、この電力料金の値上げ問題は国民生活に非常に重大な影響を与える、国会としても根本問題でありまして、今度の国会でも、これは非常に大事な問題だと思います。そういう意味で、もしも七月なり近いうちにそのことを実際に問題にされるということであるならば、必ずこの国会に諮つてもらいたいという希望を、私は強く述べておきたいと思います。そうしてもらえば、またそのときに、十分他の委員も意を盡して御質問できるかと思います。そして、とにかく国会の十分納得の上で、この料金の最後の断を下していただきたい、もちろんこれは公聴会は言うまでもありませんが、ひとつ国会の立場というもをこの際に尊重されんことを布望しておきたいと思います。その点一言でも松永氏から御意見を聞いておきたいと思います。
  64. 松永安左エ門

    松永(安)政府委員 そのことにつきましては、先刻一回か二回かにわたつて詳細私の考えを申し上げたつもりであります。むろん皆さんのお考えを承り、また御指導を得ることについては、まことに光栄とする次第であります。どうぞ今後とも御指導願います。
  65. 小金義照

    小金委員長 本日はこの程度にて散会いたします。次会は来る十四日の月曜日、午後一時と予定いたしておきますが、いずれ公報をもつてお知らせいたします。     午後三時五十分散会