運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-20 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君       小川 平二君    神田  博君       澁谷雄太郎君    中村 純一君       福田  一君    加藤 鐐造君       風早八十二君    田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  出席政府委員         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九七号)  輸出入に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては、去る十五日大体の質問は終了いたしましたが、まだ補充的に質問があるそうでありますから、これを許します。風早八十二君。
  3. 風早八十二

    風早委員 小委員会審議過程でも問題になりましたのですが、最初議員提出の形をとつてつたのですが、その場合に預金を扱うという問題がありましたが、あれは結局これでは削られておるように思いますが、この点はどういう見通しになつておりますか。政府の解釈なり見通しを、ひとつと簡単でいいですから明快にお願いいたします。
  4. 小笠公韶

    小笠政府委員 事業協同組合組合員からの預金受入れを認めるということを考えたのでありまするが、いろいろ各方面との折衝の結果、事業協同組合金融業務すなわち預金受入れ貸付両方をやるということは適当でないというような結論に達しましたので、信用の受授に関する業務信用協同組合中心にして動かして行くという従来の考え方で進みたい、こういうようなことで一応原案に考えたのを撤回いたした次第であります。
  5. 風早八十二

    風早委員 適当でないと言われるその根拠をもう少し御説明していただきたい。
  6. 小笠公韶

    小笠政府委員 適当でないという根拠と申しますと、いやにむずかしいのでありますが、要するに信用事業の堅実な運営経済事業と一緒にすることによつて、そこなわれるであろうおそれがあるということを考えて、これを別建てにする。それは信用協同組合で行くことが適当だと考えたのであります。
  7. 風早八十二

    風早委員 大体その程度にしておきまして、協同組合というものを一体政府はどう考えておられるか、これは根本問題なのですが、名前は協同組合といいますが、ほんとう業者自主性を百パーセント生かさせるところに、協同組合のその協同組合たるゆえんがあると思うのです。そういう点でどうも今度の法案がはなはだしく逆行の傾向をたどつて行きはしないかという疑問を持つのでありますが、その協同組合ほんとうの役割をどう考えておられるかを詳細に聞きたいわけなのでありますが、時間がありませんから、ひとつ簡単に政府の考えるところを承つておきたいと思います。
  8. 小笠公韶

    小笠政府委員 協同組合構成員相互扶助ということを建前にして、それによつて構成員の営んでおる事業経済上の向上をはかることにあることはすでに御承知通りであります。ところがそういうふうな考え方で行けば、当然完全なる自主性を認めた方がいいのじやないか、こういう御意見と拜承するのでありますが、組合法施行後の実際のわが国におきまする中小企業実態から考えてまして、中小企業に対しましてある程度の指導を積極的にやるよすがをつけて行つた方が、かえつて日本の現在の中小企業に対する協同組合の健全な発達に資するものというふうなことを考えまして、今度の改正に相なつたわけであります。
  9. 風早八十二

    風早委員 まだいろいろ疑問とするところが残つております。今の御答弁もいろいろ議論したいところでありますが、時間が追つでおりますから、討論の中で一応私の意見を述べることにいたして、これで質疑は終ります。
  10. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言はございませんか。——別にないようでありまするから、本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしました。  引続いて本案討論に付します。討論通告順にこれを許します。多武良哲三君。
  11. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいま議題と相なりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。ただ本法律案上程の機をとらえまして一言所懷を述べさしていただきます。  そもそも中小企業と申しますものは、周知のごとく、わが国産業構造全般の成立ちから見ますれば、それ自体が中小企業でありまして、ことさらこれを取上げるゆえんは、いかに中小商工業と申すものが常時不断に、不安にさらされておるかということを立証する以外の何ものでもないのであります。昨年初頭に比較いたしまして、全国大都市中小企業金融実態は、今年はやや好転しかけておるようでありますが、第一に、その方向が非常に偏頗なこと、すなわち業種別に見まして一部の特定産業に限られていること、第二に、地域的に見まして大都市中心であること、第三に、中小企業の中でも比較的中企業の上位にあるものなどがその特徴であります。従いまして、原料高による運転資金増加、利潤の低下、売行きの不振など、あらゆる面で小規模経営のものに対しては、依然として不利な結果を招来いたしておるのであります。商業工業と大別いたしましては、一概に結論づけられないのでありますが、同じく商業者におきましても、小売商より卸商の方がやや良好であり、卸商の中でも大規模経営者ほどよい業績を上げておるようであります。ことに月間一億円の見返り融資が、せつかく三億円に拡大せられながら、一向に業者が利用する実力を有しないので、せつかく対策があくびをしているという始末でありまして、いかに今日のわが国零細商工業者の底力が脆弱なものであるかがうかがわれるのであります。  この本質的に弱い中小商工業者実態は、金詰まりで苦しいと訴えているものは、昨年一—三月の三〇%に対しまして、本年は二九・五%でありまして、依然として何らの改善を見せておらないのであります。ことに売掛金の回収難税金等に追い込まれ、片や原料の暴騰を擦えまして、塗炭の苦しみにあえいでいる人たち相当数に上つておるのであります。この意味合いにおきまして、中小企業融資難打開のために、さらに関係当局及び市中銀行各位のあたたかき御支援と御協力全国中小企業者にかわりましてお願いいたしたいと思うのであります。  以上本法律案上程の機をとらえまして、一言所懷を述べて私の賛成意見といたします。
  12. 小金義照

  13. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 ただいま議題と相なりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、私は国民民主党を代表して賛成の意を表するものであります。  たまたま本年七月一日より施行されまする商法改正にからむ本法律案改正点とあわせ提案せられたものでありますが、ただ私どもとしては、かんじんの組合員の直接の預貯金の受入れ関係方面との折衝によつて画餅に帰したという事実を、まことに遺憾とするものであります。この受信業務を認めないということを拔きにして、本法案の爾余の改正は、別して色をなしてまで賛成反対というほどのことはないのであつて、いわゆる骨拔法案とも申しますか、単なる手続改正に終えた感がいたすのであります。  元来中小企業等協同組合法は、立法の技術的な巧緻さにおいては、私どももまれに見る生彩あるものと感じまして、全国中小企業者の人々とともに、その出現と効果とを相当期待しておつたものでありまするが、その後の本法律の適用と申しますか、その運用の成果に関しては、必ずしも成功しておるとは申しがたいのであつて全国中小商工業者の苦悩は依然として深刻かつさんたんをきわめておるのであります。世に仏つくつて魂入れずとか申しますが、現在の政府の、中小商工業者に対する諸般の対策は、法の末梢に知力を傾けることのみを知つて、その根本対策の根底にあたたかい血の通つたものを感ぜしめるような思いやりに欠けているのであります。一例をあげまするならば、月間一億の見返り融資も、前に多武良委員も申したことく、せつかく三億に増大せられておりながら、いたずらに遊休資金として眠り続けておる状態などは、実は本気に金を貸して、中小企業者に再生の活を与えてやろうという誠意と愛情に欠けているがためにほかならないからであります。私ども不断にこれらの中小企業者の大群集の再出発に対し、惜しみなき愛情援助とを与えられるよう、重ねてこの機会に申し述べて賛成の意を表するものであります。
  14. 小金義照

  15. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になつておりまする中小企業等協同組合法の一部改正案賛成するものであります。しかし私はこの中小企業等協同組合法が設立されましたその当時から、すでにこの法律欠陷を痛切に感じて来たものでございます。いわゆる自由経済にのつとつて中小企業一つの協同体の形をもつて保護育成して行こうとするところにその法の矛盾があるのであつて日本中小企業というものは、従来相当政府保護育成のもとにようやくその生命を保つて来たものでございます。しかも終戦後まだ日本産業が復活しておらない——特に中小企業におきましては、金融の面におきまして非常な困難を感じて来たのでございます。従つて日本産業の根幹ともいうべき中小企業が真に発達しなければ、日本産業の回復、再建はあり得ないと考える立場上、われわれは今日、この中小企業等協同組合法というものは相当その点に留意して、保護育成を主眼としなければならないと思うのであります。しかるに今回の一部改正内容を見ましては、単に手続上の処置であつて——特に、いわゆる査察制度を嚴重にするというような点にのみ重点を置いて、中小企業保護育成というような点には何ら考慮が払われていない。その点にはなはだ不満を持つと同時に、さらに今後この点についての考慮が払われて、急速にその点の改正が行われなければ、この中小企業等協同組合法というものは何ら中小企業者に利するところはないということを痛切に感ずるものであります。特に、一方におきまして、百貨店が最近その大きな資本の力を復活して参りまして、中小企業を圧迫しておるのでありますが、これに対する統制と申しますか、何らの制約が加えられておらない今日におきまして、中小企業に対する育成方法が考えられなければ、都市においては、百貨店の圧迫にたえられないで、中小企業がだんだんと倒壞して行く、破滅して行く、こういうことになるのであります。それからまた生産業者の面から見ましても、金融の問題、あるいは生産物共同販売、あるいは原材料の共同購入、こういうような点についてある程度政府が力を添えてやる——それはもちろん、そうした保護育成ということのみに重点を置くということは、日本産業発達の上において必ずしもとるべき方法ではないとわれわれは考えますけれども、現段階におきましては、どうしてもそういう処置がとられなければならない。一方において、中小企業者を圧迫するものに対してある程度制約を加えるということと、一方において、力を与えてやるという処置が法の上において今後急速にとられなければ、中小企業者の今後の発展、日本産業再建ということはおぼつかないと思うのであります。政府当局はその点について今後十分留意されて、できるだけ早く次の改正案を提出されることを要望いたしまして、私の賛成意見を終る次第であります。
  16. 小金義照

    小金委員長 次は風早八十二君。
  17. 風早八十二

    風早委員 私は日本共産党を代表してこの法案反対意見を表明すのものでありますが、ただいま自由党民主党、並びに社会党の御賛成討論を承つておりまして、その内容を見ますと、それらは賛成討論であるのだか、反対討論であるのだからわからないと思います。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)ことに自由党のごときは、この中小企業実態相当正確につかんでおられる。言いかえれば、中小企業資金の面、資材の面、税金の面、はたまた電力料金の面におきましても、あらゆる面で不利な状況に置かれておる——中小と言われましたが、これは独占中小との、いわば階級的なその本質によりまして、常に中小企業というものが痛めつけられておるということを別な言葉で言われたものだと思うのであります。そういうところからこの法案を見まして、これがどこにそれを改善するよすがになつているかということをわれわれ疑わざるを得ない。また従つて、なぜこれに賛成されるか、その理由がわからない。民主党におきましても、あたたかいものがこの法案には感ぜられないと言われます。しかしながら、それは感ぜられないのがあたりまえであつて、この法案はそういう性質のものなんだ。中小企業の五人や十人はつぶれてもしかたがないと言われた池田大蔵大臣一言がすべてを盡しておる。そういう実態をつかんでおられながら、しかもこれに対して積極的な改善法案を出さない。これはすでに議員提出で出して、そうしてある程度までこれらの点について改善を加えようとして、結局オーケーがとれなかつたというのでありますが、問題はそこにあるわけだ。結局オーケーがとれないというので、まつたく不十分で、逆になるような法案にやむを得ず賛成するというところに、いつまでたつても問題を解決させることができないような條件をみずからつくり出しているのではないかと思うのであります。一体この協同組合の特色というものは、一人々々ばらばらであつて中小企業者はとても立つて行かれない。そこで団結によりましてお互い自主性を十分に尊重しながら、下からの団結お互い資金を相合せて、そうしてこれでまた資金の導入なり、融資なりについて大きな基礎を築いて行く。そこでみずから発展して行くという、この形は当然とられなければならないものでありまして、ここにも生産というものが独占によつて実際煩わされて、われわれとしても生産社会化をやらなければならないという段階に今なつておる。そうして無意識的ながら、中小企業者お互いにその困窮の中から立ち上ろうとする形がこの協同組合であるし、またそれでなければならぬと思う。そういう協同組合本質に関してこの法案を点検いたしますと、これはまつたく逆行しておると断言せざるを得ないのであります。  まず第一に、今度のこの法案によりますと、官僚統制がますます強化されるという傾向が現われておるのでありまして、たとえば組合業務もしくは会計が、法令もしくは定款に違反し、または組合運営が著しく不当であると認めるときは、この法律の目的を達成するために、組合員よりの不服の申出または検査の請求がない場合においても、報告聽取及び検査をなし得るものとしておるのでありまして、その違反に対しては罰則を設ける、こういうような規定が随所にあります。また行政庁は、それらの報告または検査の結果に基く場合においても、組合に対して必要な指示をなし得る、こういうふうに一々行政庁の干渉が強化されていることは瞭然でありまして、こういうふうな点から見て、これはほんとう中小企業者を育てるゆえんではないといわざるを得ないのであります。  それから第二に、この代理人は、組合において今まで二人以上の組合員を代表することができないとされておりましたが、今度は五人以上に改める。これなんかも、今まで組合相当苦い経験を経ておるはずのボス化を、ますます助長させて行くという非常な危険をここにひそめておるのでありまして、この点もわれわれが反対せざるを得ない一点であります。  さらに第三点として、この預金受入れということを認めない。これは先ほども申し述べました通り、もともと議員としては、ほとんどこれは総員——われわれも賛成でありましたが、この点については、大体全会一致で立案しておつたわけであります。しかしながら、これはオーケーがとれないというのでだめになつてしまつた。こういうようなことをそのまま踏襲して、このオーケーがとれないということに対してなお最大の努力をなされるということなしに、ただ政府から、まつた骨拔きになつて来た法案を出して来た。こういうかつこうでありまして、この点についてもわれわれは強く反対せざるを得ないのであります。  さらに第四点として、商法改正件つて、大体これに順応した條項にこれを整理しなければならないというところに、この改正の要点の一つがあるようでありますが、しかしながら、商法改正は一体どういうところにその根本特徴があるのであるか。これはわずかな株式取得でもつて独占が実に容易になる、こういう道を開いておるしろものでめりまして、この商法改正実施ということは、すでに一年間延聞してもらいたいという要望が業界からは熾烈に起つている。現にまだこの実施規定というものは出ておらない、こういつた状態におきまして、今から先走つてこれに順応するということは、はなはだしく世論を無視するものといわなければならない。こういつた緒点が、私どもとしてどうしてもこの法案反対せざるを得ないゆえんなのであります。一体政府がこの中小企業ほんとうに考えておるならば、中小企業に金を出して——もう今までわれわれは本委員会においてどれだけ政府に対して要望したかわかりませんが、少しもこれが改善されない。また他面におきまして、真に中小企業問題を解決するためには、どうしても独占の排除をしなければならぬわけでありますが、そういうことを政府当局要望しても、これが自由党政府である限りにおいては、そういう要望が一体成り立つものであるか、そういうことはまつたく木によつて魚を求めるようなものでありまして、全然見当違いであります。社会党政府当局にいろいろ要望されているようでありますが、そういう要望ができるくらいなら、何もいまさらわれわれが苦労する必要はない。そういうことはまつたく意味ないのみならず、たとえば今政府は独禁法の緩和でありますとか、制限令の撤廃とか、独占復活強化法案をむしろ次次に用意して、今オーケーを求めているような状態でありまして、そういう政府に向つて、われわれがこの中小企業の問題の真の解決の道を求めるというようなことはできない。私どもはどこまでも中小企業者自身がさらに団結を強化いたしまして、この横暴な独占の政策に対して、これからみずからの力でかちとつて行くという道以外にはないと確信するものであります。  以上私はこの法案に対する反対理由を述べ、私の討論を終りたいと思います。
  18. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして討論は終局いたしました。引続いて採決いたします。中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案に御賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  19. 小金義照

    小金委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  この際お諮りいたしますが、本案報告書作成その他の手続につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。さようとりはからいをいたします。     —————————————
  21. 小金義照

    小金委員長 次に輸出入に関する件について調査を進めます。本件に関して発言通告がありますから、これを許します。澁谷雄太郎君。
  22. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 せんだつては時間の都合で私の質問を途中で打切らなければならぬことに相なつたのでありますが、本日はまた本会議と並行してこの委員会を開会しておりますので、やはり時間を制約されるおそれがあると思いますが、私はなお相当長時間質問をしなければならぬ問題があります。一例を申しますと、先般の大臣車中談の問題についての案件だけでも相当多いのであります。たとえば先般の車中談のうちで、鉄鋼の回転基金の問題とか、プラント輸出対策の問題とか、海外鉱産物開発の問題とか、ことに統制の問題、それから中小企業等対策の問題、こういうふうな相当に重要な発言をしておられるのであります。これは全部現下の差追つた国情に関連がありますので、これを一つ一つ掘下げて検討いたしましても、相当長時間を要するわけであります。通商産業大臣である以上は、それらの問題について十分なる抱負を持つておられることは当然であります。従いまして国民の聞こうとするところもそこにあると思うのでありますから、これらの問題を取上げて大臣の御意見並び通商産業省として現在立案しておりまする問題について質問を申し上げたいのでありますが、それらの問題は時間の許すときにゆつくり重ねて質問したいと思います。  さしあたつて十番大きく取上げて考えなければならぬ問題は、いわゆる日米経済協力体制の問題ですが、これはある方面から聞きますと、表向きにはまだ具体的に発表ができないのだと言つておられるのでありますが、日米経済協力体制について現在通商産業省で考えておられる方策がありましたならば、またアメリカとの折衝状態がどの程度まで進んでいるか、その問題についておさしつかえのない程度でどうか御発表願いたいと思います。
  23. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまのお話は、実は正式には何ら言つて来ていないのであります。よく日米経済協力ということを言われますが、私は先日も共産党の方に答弁いたしましたが、共産党あたりでは、これを戦略物資をつくることのように言われますけれども、私は大体日米経済協力というものは——むしろ今後の経済復興にはどうしても米国の援助を得なければならないことが多々あると思います。たとえば原料のごときも、向うの援助を得なければならないものがたくさんございますので、これはぜひそういうような方に向うことがいいのではないかと私どもは考えております。しかしこれはまだ何ら交渉を受けておりませんので、日米経済協力ということに対してはお答えし得ない状態でございます。但し下部の局あたりでは、そういうことがもしもあつたとすれば、対応すべく、あるいは自分らで何か考えておられる向きもあるかもしれないと思いますけれども、省としてはまだ取上げていないのであります。技術の向上であるとか、生産能力の増進であるとかいうことは、常々考えなくてはならぬ問題でありますので、そういうことを加味して考えている向きもあるかもしれませんが、ただいまのところでは省としては何らまとまつた意見はないのでございます。さよう御了承願います。     〔委員長退席中村委員長代理着席
  24. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 一応ごもつとものように聞えるのでありますが、いろいろなお立場上そういうことを言われるのはかねて覚悟しなければならぬことだと思つておりましたが、しかしせんだつて日刊新聞を見ましても、日米経済協力というものについて、アメリカにおきましては国家安全保障会議というものがあります。これはワシントンからの共同電報でもつて来ております。これによると、原料は無制限に輸出するということと、日本補助的軍需物資の製造をする、あるいは石炭、鉄鉱石の対日輸出を制限しないとか、あるいは日本に対する注文増加、あるいは貨物自動車とか、通信設備、自転車とか、双眼鏡とか、国内の労働力を最大限に利用するところの物資注文とかいう問題、あるいは日本から印度支那向けの軍需物資を製造して差向けるとか、それから極東民主陣営の工場として日本を活用する、こういうふうな問題が——アメリカにおける国家安全保障会議というものは、トルーマン大統領を含んだ相当重要な会議だということは御承知通りでありますが、それらの会議において審議されまして、これがヘンスレー記者からちやんと日本電報で参つておりまして、各新聞に発表されておるのであります。そればかりではなくて、日々の新聞を見ても、あるいはその他の記事を見ても、相当日米経済協力体制に対する議論というものが闘わされておるのであります。そういう矢先に、かんじんな経済安定本部が、ある一部の方々から反対をされたり、あるいはこれが戦略物資に使われるのではないかというような非難攻撃を恐れて、こういう問題に対する審議をおろそかにするということは、私は当を得ていないと思いますが、大臣はそれに対してどういう考えを持つて進んでおられますか。
  25. 横尾龍

    横尾国務大臣 実は新聞に書いてあるのを見て私も興味を持ちましたけれども、正式に何ら言うて来ていないのでありまして、これはただ新聞で知つたということだけにとどまるのであります。今お話のように、向うで相当の方が発表され、日本新聞に出ているということで、国民もまたわれわれも、関心を持たなければいけないことは事実でありますが、先刻から申し上げますように、実はまとまつたる正式のものは来ていないので、おそらく安本でも正式には取上げてやつていないのじやなかろうか、通産省では何ら取上げて考えていないのであります。但しそういうことになれば、日本産業も非常に伸びるのではないかというくらいのことは、個人としては考えておるのでございます。さように御了承願います。
  26. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 この問題は、自立経済達成途上にありまする日本経済といたしましては、重大問題だと考えるのであります。お説の通りに、なるほど一方においては簡単に考えれば、それがために日本産業はある程度まで大きく復興するだろうと考えられることも一応ごもつともであります。しかしながら、日米協力体制によるところの注文を完成するだけの原材料物資の補給が日本に対してあるかどうか、反面においては、これがために国内の消費物資、あるいは平和な輸出物資生産に必要なる原料までが確保されるかどうかという問題をよほど大きく考えなければならぬと思うのであります。それからそれらの物資は現に多少の引合いがあるようでありますが、いわゆる新特需としての相当の引合いがあるように聞いておりますが、それらの物資は主として大企業に集中されまして、比較的中小企業方面にはそれらの物資注文が来ておらない。この前の朝鮮動乱当時の特需にいたしましても、一方においては非常に殷賑な工業があつたと思いますけれども、反面においてはそれがためにかえつてあまり利益を得ないばかりでなく、特殊な業者が殷賑になつたために、あるいは工賃の引上げ、あるいは年末のボーナス、あるいは給料の問題でも相当に大きな差ができて参りまして、ややともすれば日本全体の経済界をある程度まで撹乱に陥れております。撹乱というのは大げさかもしれませんが、混乱を引起すというよな状態にまで進んでいると思います。いわゆる特需、新特需というもの、あるいは日米経済協力体制によるところの物資注文は、日本産業は跛行的な影響を及ぼして来るのではないかと考えるのであります。それからまた一方においては、そうような状態で、特に殷賑な産業は勢い工賃の支払いとか、あるいは非常に仕事が忙しいために、相当な利益を計上するということで、それがひいては日本全般の物資の値上りを来すようなことが起きているかどうか、いわゆるインフレーシヨンを引起すことがないかどうか。それからもう一つは、一方においては現在の日本産業——なるほど終戦後今日まで相当経済力は立て直つております。鉱工業生産高も、戦前の一〇〇%の基準を突破して、見方によればあるいは一一四%といい、あるいは一一八%に上昇しているといわれておりますが、しかしこれらの日本生産力が、安本がいわゆる自立経済の達成目標として立てましたあの計画で進みますと、あまり大きな生産力の余剩というものがないわけであります。それに加えまして、ここに日米協力体制のいわゆる新特需なるものが相当に大きく殺到するという場合において、はたいて国内にそれらの受入れ態勢ができているかどうか、こういう問題はまだまだ論議すれば非常にむずかしい問題が多々あると思いますが、それらの問題だけを取上げてみましても、相当に私はこの日米協力体制に対するところの国内の受入れ態勢、あるいはそれらの問題については愼重なる検討する必要があると思うのであります。にもかかわりませず。これらの問題に対しまして、まだアメリカあるいは連合国からそれらの問題について交渉がないから、十分な検討はしていないというようなことでは、少くとも日本の通商産業の一番大元締めをやつておる通産大臣としては、われわれははなはだ納得できないのであります。それに対する確固たる御方針を伺つておきたいと思います。
  27. 横尾龍

    横尾国務大臣 いろいろと御説ごもつともであります。しかしいかなるものがどれくらい来るかという問題は、まだ来るということすらもわかりませんし、来ると仮定いたしましても、どういうものがどういう数量で来るかということもはつきりいたしません。但し私は、常にわが国工業は現在のままではいけないと思つております。もう少し進んで行かなければならない。機械の工業にいたしましても、あるいはゴム工業にいたしましても、あるいはまた綿糸その他に関しましても、まだまだこれではいけない。ことに多数の人口をかかえている日本でありますので——私は技術者であるから、技術のみを言うのははなはだ変でありますけれども、何としても加工して輸出し、加工賃をかせぐということが、われわれ現在の日本の最も必要なることではないかと思います。加工して多数の製品を出すということに対しては、日本には原料資材がないので、この原料資材は現在輸入しておるよりも一層進んで輸入して、輸出に振り向けるというような態勢を常に考えなければいかぬじやないか、かように考えておるので、ことに日本で得られない——いつも言うのでありますけれども、ニッケルのごときものも外国からの輸入をまつのみではいかぬから、何とか日本で製錬の方法を考えたい。これは追つて最近にそういうものの法案をお願いするつもりであります。そういうものをある程度確保しておくことが必要である、かような考えであります。今のあの特需であるとか、日米協力体制ということを先刻から申しますが、何ら交渉はないけれども、私としてはそういうものがあつたと仮定したならば、どうしなければいかぬかということの関心は十二分に持つて、これに対応すべく努力して行きたい。はなはだ抽象的で、あなたの御満足を得ない点が多多あるかと思いますが、あしからず御了承願います。
  28. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 私の質問は、自分が満足するとかしないとか、そんな簡単な問題ではない。これは今後日本経済界がどういうふうな方向に進むかという問題に非常に大きな関連があるのでありまして、すでに経済安定本部では経済自立の三箇年計画を立てております。あの経済自立の三箇年計画のわく内において、現在のように、いわゆる日米経済協力体制のもとで、はたして十分なそれらの協力ができる態勢に置かれているかどうか、こういう問題をまず考えなければならぬと思うのであります。ことに一番問題になりますことは、電力の問題であります。それが相当に大きくネックとなりまして、せつかく大きな受注がありましても、それに対する日本受入れ態勢ができておりませんければ、いたずらに国内のいろいろな産業に相剋摩擦を起させまして、国内の産業を混乱させるたけであつて、はたして実際においてりつぱな成果が上げられるかどうかという問題にかかつて来ると思います。ただ忙しければいいというのでは、事は足りないと思います。注文が殺到すればそれでいいというのでは決してないと思います。それがために、逆に国内の経済体制が急に混乱状態に陷るような場合があつたならば、これは決してプラスになり得ないと思う。この点は、私は十分に検討しなければならぬと思う。ことにそれが、現在の国内の消費面に対して、かえつて大きく今度は国民の生活水準を引下げなければならぬということに相なりますれば、現在でもまだ七〇%の水準にしかなつていないものを、現在以上に引下げることはいかぬ。これはダレスさんが日本に参りまして言つておられる通りであります。われわれが考えましても、これから先一歩ずつ国民生活の水準を進めて行かなければならぬことは当然だと思う、またぜひやらなければならぬことだと思う。それにもかかわらず、こういうふうな場合に、かえつて逆にこれが国民生活に非常な圧迫を加えるような状態に万一なつたとすれば、それは大臣が簡単に、われわれが満足するかしないかというようなお答えで済むことではなく、国家百年の計に非常に大きな影響を及ぼすのではなかろうか、私はこういうことを憂慮するわけでありまして、それらの問題に対しては、もつともつと突き進んだお考えと方針が立つていなければならぬはずだと思うのであります。もしかりにこれが、ほかの方面にいろいろ影響を及ぼすそれがおあるから、こういう公の席では発表することを差控えたいということでありますれば、あらためて大臣とひざ詰めで御相談申してもいいと思いますが、先月から今月にかけての各経済雑誌の全部がごの問題を取扱つております。それから新聞紙上におきましても、おそらく日刊新聞のすべてがこの問題を相当大きく扱つておるのであります。そういうふうな重大問題について、われわれ国会のこの席においてあまり具体的な御答弁ができないということでは、私は満足することができないのであります。でありますから、少くとも通商産業に対するいわゆる大元締めである大臣としては、もつとわれわれに対して明確な御答弁を願いたい、こう思うのであります。
  29. 横尾龍

    横尾国務大臣 あなたの御満足というのは、あなたの御質問に対して私の答え方が何か適当でないから御満足でなかろう、こう申し上げたので、ただあなた御自身の満足ということではなかつたのであります。国民の満足すべき答えが必要であることはお話の通りであります。私は常に、計画は一歩進んで立てなければならぬ、ちようどあなたのお話も同様かと思います。先のことを考えて、なるたけその場にあたつて混乱を来さない、そしてあわてないようなことを初めから心がけておくことが必要である。これは私もその通りと考えます。ことに私は、そういうふうにして行きたいと思つて、家は鉄鋼のごときも、四百万トンといつておりますけれども、できたら四百五十万トンつくろうじやないかということで、局長とも話合つておるような状態で、そういうふうに、なるたけ積極的に、いかなる態勢でもある程度順応し得るという態勢をとらなければならぬということは、御意見通り、私もそれに邁進したいと思つております。  みれから日米協力問題に関して、もう少しざつくばらんに話せということがありますけれども、私の知り得ました段階におきましては、まだざつくばらんに話すというより——今まで話したことが全部でありまするから、その点もあしからず御了承願いたいと思います。
  30. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 重ねてお尋ねしておきますが、重要な問題でありますから、はつきりお答えを願いたいと思います。現在通商産業省におきましては、いわゆる日米経済協力体制に対するところの具体的方策はまだ組織立つて検討はされていない、こういうことですね。そういうふうに承知してよろしゆうございますか。
  31. 横尾龍

    横尾国務大臣 日米協力に対しては、何ら具体的に相談を受けておりませんので、こちらから正式にお答えすることはないと思います。さよう御了承願います。
  32. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 大臣がそれ以上にはいかぬということだと思いますから、この問題は一応とりやめておきまして、別の機会にあらためてお尋ねすることにいたしましよう。  それから初めに私が質問申し上げました点は、要するに重要物資の需給問題が根本問題でありますから、もどりましてその問題をお尋ねしたいと思うのであります。重要物資の国際割当の問題であります。国際割当の問題はいろいろ各方面に御意見もあるようであります。すずのごときは、前に国際割当をやろとうして失敗した例があるというようなことも報ぜられておりますが、その後において国際割当の問題はどういうふうに進展し、日本はこれに対して、どういうふうな方針でそれに対処して行くか。この点通商産業省としてとつておられまする方針をお示し願いたい。
  33. 横尾龍

    横尾国務大臣 よく国際割当の問題が出るのでありますが、実は国際割当会議日本が加入できるか博きぬかという問題は、まだ占領下にありますので日本としては——通商産業省としてはそのことに関して、また参加してどうしていただきたいというようなことはやり得ないのでございます。あるいはそういうようなことがあるかもしれぬと思いますけれども新聞で拜見しただけで、深くその内容等に至つては、まだ存じていないのであります。あしからず御了承願います。
  34. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 表向きの御答弁は一応ごもつともと思います。それは占領下における現在の情勢といたしましては、正式の国際割当に対する招聘がないというのは当然と思います。ではありまするけれども、現在のような情勢におきまして、重要物資に対する国際割当の問題は、世界各国で非常に重く取上げられて参つておるのであります。従いまして現在の重要物資を、はたして今後において日本にどの程度まで確保できるかという問題を考えましたときに、国際割当の問題は、重要物資を国内に供給を受けることについて、必要欠くべからざる大きな問題になつて来ると私は思うのであります。これは私が申し上げるまでもなく、大臣は十分御承知のことと思うのであります。外国から国際割当に関する特別な交渉をまだ別に受けてないからということですが、それでは通商産業省としてはそれらの問題に対して、どういう施策をお持ちになつておられるかということをあらためてお伺いしたいと思います。
  35. 横尾龍

    横尾国務大臣 国際割当加入の問題に関しましては、われわれは直接そういう会議に出ることもできず、直接に交渉することもできませんが、もしもそういう場合があるとすれば、GHQの関係の方々にお願いして善処していただくようにするよりほかない、こう考えております。
  36. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 それは先ほどの初めの御答弁と結局結論は同じになつて来るのであります。なるほど占領下における現在の情勢としましては、日本が国際割当にただちに参加できないことはよぐわかつておりますが、しかしながら国際割当がいよいよ実施されまして、重要物資に対して割当の会議が開かれるような場合において、現在の日本のいわゆる受入れ態勢の問題に対して、相当な大きな関心が払われていなければならぬと思う。なぜかと申しますれば、重要物資というものは、日々日本国内において消費されて行くものであります。原材料は今月は何トン使い、来月は何トン使う、今年中にはおよそ何トンの重要物資を消費するんだという目算はむろん立てておりましよう。そういたしますれば、そらの物資で現在持つておりまする数量と、それから為替の関係で今の買いつけてある物資と、今後どれだけの物資を補給したならば、日本の現在の生産量を落さないようにして行くことができるか。それらの物資の中には、あるものは国際割当の線に入つて来る可能性がある。それらの物資に対しては、どういうふうな対策を持つて進んで行くか。単にGHQに対して、いわゆる占領軍に対しましてわれわれが要求するだけであるというだけでなく、それらの問題についてももう少し具体的な案が常に立つていなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。現に私の聞く範囲においては、重要物資受入れ態勢といたしましても、何らかの示唆があるかのごとくにも聞いておるのであります。現在そのような野放しの状態で、はたして受入れが完全にできるかどうか。これらの問題についても、通商産業省としてはやはり相当な検討が進められていなければならぬと思う。たた国際割当に参加できないから、必要なものはその都度当局に対してお願いをするというような心細い政策ではならないと思うのです。それでいま少しく突き進んだ計画ををわれわれとしては聞かしていただかなければならぬ、かように思う。また通商産業省としては、直接には参加できないが、どういう状態で、どういうことを現在やりつつあり、これから先、以後こういうふうな状態で進みたいというような、もつと突き進んだお話が当然なくてはならぬと思う。そういういうことについての通商産業大臣の抱負なり、あるいは現在通商産業省においてやつておる状態の一端くらいは、私は当然お話が願えることと、かように考えております 大臣はいかなるお考えをもつて進まれるか、御答弁願いたいと思います。
  37. 横尾龍

    横尾国務大臣 この二十六年度の生産計画については、案も立て、原材料の輸入に対しましてもある程度の数量を示して、ここにお願いをしておるのであります。それで、そういう物資が国際割当にでもなると仮定いたしますならば、関係の当局におかれまして、その数量はぜひ確保していただくよう私は関係官を通じてお願いすることよりほかないじやないか。まだ割当制になつておりませんので、二十六年度の買付に対しましては相当に注意を払つて、そういうときに対処し得るような態勢で輸入をして行きたい、かように考えております。
  38. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 どうも今の御答弁はありふれた答弁であつて、二十六年度の生産計画に対して必要な物資の輸入はあくまでも確保する、これは二十六年度において予算を立ててあるのですから、それだけの御答弁は当然なくちやならぬことである。またわれわれもそれを期待しておるわけであります。しかしそれが、ことに戦略物資のようなものになりますると、はたして日本に予定の数量が入るかどうかという問題も、相当に疑惑の甘をもつて一般の国民からは考えられるのであります。と申しますことは、いわゆる世界的な戦略物資は、各国で輸入割当を受ける場合には軍需物資の製造に使われるわけであります。御承知通り日本は軍需生産をしておりません。日本で必要な物資は、それらの物資でも、民需物資あるいは輸出品の製造に必要なる物資として使われるわけであります。ところが日本におきましては、これらの物資がございませんと、一般の民需物資に事を欠かなければならぬ。また日本からの一般の輸出品の生産に必要なる原料の確保に事を欠くということになつて来るわけです。国際別当を実施するにあたりまして、ほかの国においては、重要物資は軍需品の製造に優先割当するというような場合におきまして、日本で輸入するものは軍需品でないから、民需品に対して、はたして大臣が考えられるような予定の原材料が確保できるかどうかということは、相当にわれわれとしては考えなくちやならぬわけであります。従いまして、現在の重要物資の国際割当に、わが国としては今日参加できないとしましても、それらの物資に対しても相当の手が打たれていなければならぬじやないか、こういうふうにも考えられるわけであります。今申し上げたのは一つの例ですが、そういう場合においても、やはり大臣はそれらの物資に対しても、昭和二十六年度において輸入計画として立案されたものを確保して行くことに最善の努力を払つて行くというだけでもつて用が足りるかどうか、この点を重ねてお尋ねしたい。
  39. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のお話は、世の中でいわれておる、いわゆる日米協力の特需に対して、少しも考えておらぬじやないかというお話ではないかと想像いたしますが、先刻申し上げましたように、その数量が来るか来ぬかというような問題がまだはつきりいたしませんので、われわれの目標は、まずわれわれの具体的に立てております計画を追うて行くというよりほかはないと思うのであります。その点については、今やつておられる産業の復興に対して不足を来さない、あるいは欠陷を来さないように努力して行くより道がないじやないか。それに対して、もしも割当制がきまる、あるいは割当をとろうというときに際しましては、現在の段階では、先刻から同じようなことを申し上げるようですけれども、われわれとしては常に交渉いたしまして、関係当局に対して力強く今の御趣旨のことをお願いするより道がないじやないか、こういうふうに考えております。
  40. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 今の大臣の御答弁の、初めの方はちよつと間違つておると思います。私の申し上げたのは、日米経済協力の体制で必要な物資——これはむろんアメリカからある程度まで原材料の供給はそれについて来るのではなかろうか、かように考えますから、それと昭和二十六年度の国内の必要なる物資とは混同しておるわけではないのであります。しかし結局最後に行つてそれらの物資が足らないときは、当局におすがりになるのだということでありますれば、それでも用は足りておるわけでございますが、しかしそれは大臣、私たちが聞くと非常におかしく思う。と申しますのは、昭和二十六年度の日本国内の生産の目標は、まだ国際割当の問題が、多少は議論されておりましたが、現在のように火の手が上つておらないときなんです。でありまするから、それらの物資は国際割当の手を講ぜずに、大体今までの貿易機構において入手できる、こういう目標で立てられた職人割当の目標でなかつたかと思うのであります。ところが現在におきましては、御承知通りにいろいろなものに対して国際割当の方途が着着進んでおることだけは事実であります。そういうことになつて参りますと、それらの物資はいわゆる戦略物資として国際割当が行われるのだ、これは英、米、仏と、あるいは生産国を加えまして国際割当の問題を審議するということが新聞にも出ております。参考のために申し上げておきますが、二月十七日の日本経済にも、重要軍需物資の国際割当対策としまして記事が出ております。これをむろん大臣はお読みになつておると思います。それには原料割当中央委員会というのができて、それらの物資に対しては、少くとも従来のすずの割当で失敗した例にかんがみて、これから先は生産国も加えて、さまざまな重要物資の割当をする、こういうことになつて来るように伺つておるわけであります。そこで私の言うのは、そうなつて来ると、それらの国際割当会議においてやることは、主として戦争に使うところの重要物資の割当の国際会議が開かれる。ところがその重要物資日本においては民需品だ。そういう場合において原料の確保ということは、昭和二十六年度の輸入計画を立てたときとは情勢が相当かわつて来るのじやないか。この場合において、大臣の言われる通りに、今占領下にあるのだから、ただおすがりすれば足りるのだというような簡単な考え方でなく、いま少しく国内において、それらの問題に対しては適当な方策が樹立されなければならぬと思うのであります。その問題をお尋ねしておるわけですから、誤解のないように、いま少しく親切に御答弁願いたい。
  41. 横尾龍

    横尾国務大臣 お話の点もしもありとすれば、戦略物資をつくるならば、戦略物資に対する割当は向うがくれることは当然であります。戦略物資のためにそういう割当制がしかれるということになりますれば、平和産業に対してある種の圧迫が来るだろう、それに対してどういう対策を講ずるかというお話かと存じますが、現在それを避けるために、なるたけそういうものを輸入しておきたい。先刻から申し上げますように。それにはまずわれわれの輸入目標を達成することを二十六年度の目標としておる。しかしそれもできかねるおそれがありはせぬかというお話でありますが、ごもつとものお話かと思います。われわれはその点も考慮いたしまして、影響が最も少くて済むようにやつて行きたいと考えております。それならどういうふうにするかという具体案になりますれば、そういう物資に対する輸入の促進をやつて行くことが一つ方法ではないか、こういうふうに考えております。
  42. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 通商産業省として現在までとつておられる政策は確かに今大臣のおつしやられる通りだと私は承知しております。ということは、昨年十一月までは輸入が非常に少かつたのでありますが、それから後今日にかけましては非常に輸入数量が——全般とはいえませんが、大部分のものにおいて相当に促進しておることは事実であります、それは私も承知しておるのでありますが、私の憂慮しますことは、いわゆる輸入促進をして、今日においては相当の数量が買いつけられておる。それが確保できて順次入つて参りますれば、国内に相当の原材料がいわゆるランニング・ストックとして保有できる、こういうふうに思うのであります。しかしわれわれの事業は二十六年度だけではない、二十七年度、二十八年度ということも常に考えなければならぬ。これはまだ表向きに発表されたことではないのでありますが、たびたび新聞紙上にも話題になり、おそらく通商産業省としてもある程度まで考慮されたと私は想像するのでありますが、今のお話は重要物資のランニング・ストックの保有の問題です。それから私のお尋ねしたいことは、どうも備蓄の問題は失敗に終つたように考えるのですが、その備蓄の問題はどういうふうに進展して、現在の状態ではどういう形になつておるか、こういう問題も重ねてお尋ねしておかなければならないと思います。これは今のお話に相当関連があると思いますので、概略でよろしゆうございますから、その経過をお話願いたい。
  43. 横尾龍

    横尾国務大臣 備蓄のお話でありますが、備蓄と申しますと、ストック・パイルというので、いらぬものでも予備のために買うておくという感じが向うにもあるように思います。今日でさえも足りないのに、先の備蓄までして行こう、こういうように響くのではないかと思うのです。それで私は、省内では備蓄という言葉は使つてもらいたくない、そういう誤解を招くから使つてもらいたくないと言つております。しかし私はこういう考えであります。以前よりも、買付に対しましてもある期間長くかかる。ことにまた輸送面においても、船舶の不足によつて輸送が非常に遅れる。元は工場のストックが二箇月分でよかつたと仮定いたしますと、二箇月前に注文をきめてしまえばいいということになる。しかしただいま申しましたように、元二箇月でよかつたものが、買付契約において半月以上長くかかる、あるいはまた輸送においても半月以上長くかかるといたしますならば、元の二箇月の工場在庫では足らないのでございます。二箇月前に注文しては一箇月分足らないということになりますので、工場在庫をそれに適応するこうにふやす必要がある、こういうことで私は先方にお願いしておるのでございます。備蓄ということについては往々にして誤解がありますから、私は省内でも、また自分自身も備蓄という字を使わないで、いわゆる工場のランニング・ストックの期限を長くするのだ、ランニング・ストックだけを二箇月分を三箇月分にしてもらいたいということならば、私は理由が立ちはせぬかと思う。こういうのでいろいろと交渉しておりましたが、先刻もお話のような、失敗というか、停頓の状態にあるわけであります。さよう御了承願います。
  44. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 その問題は、これ以上はあまり深くお尋ねしないことにいたします。お説の通り、備蓄という言葉は言葉それ自体が悪いかもしれません。日本は現在占領下にある、しかも今度の問題に対しては、戦争の渦中に入つていないのだという点から申しますれば、日本国内に余剩のある原材料を備蓄することはいかぬ、一応ごもつとものように聞えるわけであります。しかし反面においては、現にアメリカあたりでは相当に多量の物資が備蓄されておるのです。これは経済のスケールが大きい、しかも世界の全体の経済をまかなおうという構想と、日本日本独自の経済をまかなつて行こうという構想とは根本的に違うのでありますから、これは別問題といたしまして、私があらためてお尋ねしたいことは、それらのランニング・ストックを多くする——確かに最近に買いつけてありまする原材料の数量が相当に多額に上つておることは、この前のたびたびの質問でも大体わかつておりまするが、一方においては原材料の価格が最近において急激に高騰しております。運賃も非常に値上りをしております。それから他方においては、今度はそれらの原材料を工場もしくは輸入商において、いわゆるランニング・ストックとしてある程度までこれを保有しなければならぬ、これはよくおわかりのことだと思いますが、そういう場合において、一番問題になることは資金の問題であります。われわれのこの委員会においても、中小企業に対する維持育成の問題だとか、あるいは運転資金をできるだけ円滑にまわるように特別な操作をするとかいう問題がたびたび論議されるわけでありまして、現に今日も中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案が通過しておるというようなことで、中小企業に対するそれらの問題は相当考慮されておると思うのですが、要は今度の、相当多量に、現在もすでにそうでありますし、今後もなおドル資金なりあるいは為替資金なりの許す範囲においては、できるだけ多量の物資を国内に輸入して、ランニング・ストックとしてこれを保留しなければならぬという問題になつて来ると、資金の面が非常な大きな打撃となつて来るのであります。ところが現在までの状態は、これは政府対策相当考慮されておるということはよくわかりますが、しかし原料の大きな値上りということを考慮に入れながら、これらの方面に対する資金の需要に対する対策というものは、実際においてはまだほんとうに確立されていないのではないかということをわれわれは懸念するわけであります。これに対しては、いずれ大蔵当局からいま少しく突き進んだ問題を伺いたいと思いますが、通商産業大臣としては、これらの問題に対して現在どういう準備をし、どういう手を打つておられるか、それらの問題をお伺いいたします。
  45. 横尾龍

    横尾国務大臣 財政金融の問題は、私至つて不得手なものであります。しかしながら今のお話の通り、輸入が相当量豊富になり、かつまたそのコストが高くなつたということになれば、どうしても資金がふえて行くということはお話の通りであります。幸いに外貨で輸入いたしましても、国内でこれを裏づけする円資金がないということになりますと、受取りができなくなる。それはよしんぱユーザンスがあつたと仮定いたしましても、ユーザンスの期限が切れるときには円資金を持つて行かなければならぬということになりますので、相当に多額の資金がいることは当然でありますが、これらに対しましてはわれわれといたしましては、よく工業手形と申しますか、そういうものでももう少し簡単にできるようになれば、製造工場に入つたときの金融もできはせぬかというように考えております。しかし私、先刻申し上げまたしたように、経済の実情に至つてうといので、方法はわからぬが、ただこういうものに対する金融をぜひ円滑にやつていただきたいということを大蔵当局に要望しつつあるわけであります。
  46. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 むろんこれらの資金問題につきましては、大蔵当局あるいは経済安定本部で相当に立案され、また対策を考えられることと思うのでありますが、昨年末の年末資金の手当のときにも、私ちよつとこの委員会で申し上げたのでありますが、実際の状態から考えますと、政府とかあるいはそれらの衝に当つております方々は、そういうふうに非常に融資が逼迫することを認めまして、そうしてできるだけこれが対策を考えるということを言われておるのでありますが、実際問題としては、一般の市中銀行あるいは金融業者にはそれらの問題が徹底していないのではないかと思われるのであります。と申しますことは、やはり金融業者は、金融業者としての業務上のいろいろな問題に制約されますから、一方においては、少くとも産業方面から申しますれば、原材料の国家備蓄はいけないとか、いわゆる民間にランニング・ストツクとして原材料を持たせるのだ、しかもそれは二倍、三倍というような非常な高値になつておりますものを、これまた従来よりは二倍とか三倍とかいうものをストツクしなければならぬということになりますと、資金の面から考えますと、それは全体からいいまして従来の運転資金よりはやはり少くとも三倍、四倍というような厖大な金が必要になつて来る。これらの問題に対する政府対策というものは、はたして実際においてそれらの事情を十分にしんやくして、考慮して対策が立てられておるかどうかということを、われわれは一番大きく懸念するわけであります。それは高い原料を買いましても、その高い原料でつくつた品物がやはり高く売れて、相当運転資金が生れて来るいうことでありますれば、まだそこに相当考慮すべき余地がありますが、実際におきましては、国際相場というものは、国内の物の値上りとは必ずしも一致しておりません。従いまして品物によりましては、原材料は非常に暴騰を来しておりましても、国内の製品の販売価格においては、まだまだそれに対応するような値上りはしていないものがたくさんあると思います。これらの場合においてそれらの原料を使用するところの業者に対しても、特別な金融措置を考慮しなかつたならば、せつかく今これから先、日米協力体制でもつて日本生産力をうんと引上げなければならぬというときに、それまで待てずに、それらの工場が生産の縮小しなければならぬような状態に陥れられるのではないかということをわれわれは考えるわけであります。先ほども日米協力体制の生産増強の問題に対して、大臣は、そういう問題がまだ話題に上つていない、正式に問題になつていないからということでもつて逃げておられますが、われわれとしてはそういうふうな問題を考えまして、実際にそういうふうな経済協力体制というような重大問題が起つて来たときに、日本受入れ態勢がはたしてどこまで進むか、こういう問題に関連して参りますので、これらの問題を愼重に考え、また実際において憂慮をしておるのであります。大臣金融なり財政の問題に対してはあまり御経験がないと言われるのでありますが、それでは——私は、現在の日本の国情において、資金の問題がどういうふうに動いておつたならば、わが国産業がどういうふうな発達を遂げることができるか。これはいかにいい品物をつくろうと思いましても、それに必要な資金の円滑な運用化ができなかつたならば、とうていその産業は成り立つて行けないことは当然のことだと思う。大臣が経営されておる造船業のような大企業でありますれば、ある程度までは割合に簡単にものは運ぶかもしれませんが、しかし日本国内の全体の産業から申しますれば、かなり複雑多岐であります。そういう問題に対しては、はなはだ失礼ないい分で恐縮いたしますが、お得意でなくとも、大いに勉強していただかなければならぬと思うのであります。この点はひとつ特に御留意を願いまして、大蔵省並びに安本当局に十分な折衝をされまして、それが実際において民間金融業者に十分に徹底して、そうして資金の円滑化ができ得るような特別な御配慮を願わなければならぬと思います。
  47. 横尾龍

    横尾国務大臣 昨年末の中小企業に対する金融のことでお尋ねをこうむつたかと思います。大企業はおくといたしまして、中小企業に対しましては、実際はいろいろの題目を並べまして、そうして金融の道をつけたつもりでありましたけれども、その運用に至つてはなお遺憾の点が多々あつたのであります。銀行方面において、ぜひ中小企業に対する考え方をかえてもらつて政府もそれに対するいろいろ必要な方策を講じているから、これを利用して貸していただくようにしてもらいたいということを、各地方に行きましたときも、常に地方通産局を通じて銀行業者にお願いするように申しつけておるのであります。しかしお話の通り、その点まだまだ——あるいは見返り資金が十三億残つておるけれども、その貸付が進捗していないという点もよく聞くのであります。また窓口に行つても、いろいろと故障があつて、スムーズに運ばれていないということを聞くので、はなはだ遺憾に考えておるのであります。今後におきましても、そういう方面に対しましては極力政府の意のあるところを地方銀行の方に伝えて、借りる方に対しても、借りられる方法を講じて銀行に申し込むように、あつせんをするように努めたいと思います。大企業に対しては——私も金を借りる方は相当に借りておりましたけれども、なかなか貸してもらえなかつた経験を持つておる者の一人でありますが、非常に企業に対する、失礼な言いようでありますけれども、銀行家の方々を見る目が多少違つていやせぬかとおそれるふしもなきにしもあらず、その点は、今後企業家としても、よく銀行の状態を見るように努めたい、こういうふうに考えます。また政府もその方面には協調いたしまして、金融方策を進めて行きたい。先ほど私は金融の問題は不得手だと申し上げましたのは、金融のいろいろな形式のことでありまして、その形式は存じませんけれども金融が円満にできるように、そうして企業家が安心して仕事ができるように、金融方面に関してはせつかく担当の当局がありますから、その方によく私からお願いをして行きたい、こういうふうに考えて申し上げたのであります。決して無関心でないということだけは御了承を願いたいと思います。
  48. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 その問題はその程度といたしまして、やはり産業界の金融の問題に関連いたしますが、せんだつて車中談で、開発銀行の問題が出ておりました。通商産業大臣として大きな関心を持たれることは、まことにけつこうなことでありまして、ぜひともこれはいつときも早く実現しなければならぬ。あるいは新聞によりますと、きようあたりの閣議で決定されたかもしれませんが、そういう状態になつておりますが、ただあの開発銀行の問題について、これはもちろんその筋とも折衝をされたのでありましようが、遺憾ながらその目的が達せられなかつたというふうにわれわれは承知するのでありますが、せつかくの開発銀行ができましても、百億円程度の小さい資本金では、今のお話のような問題が——これにはむろん日米協力体制の問題も関連して参りまするが、そういう問題とからみ合せまして、一方においては原材料の値上りからランニング・ストツクをたくさん持つという問題と、そのほかにさまざまなる問題がからんで参りまして、この開発銀行の重要性というものが非常に大きくなつて参ると思うのであります。これはほんとうは大蔵大臣にお尋ねするのが至当だと思いますが、所管通商産業に密接な関係もありますので、その問題について通商産業省としてはどういう程度の努力をされておるか、また現在どういうふうな状態になつておるかということをお伺いしておきたいと思います。
  49. 横尾龍

    横尾国務大臣 開発銀行の資本金の問題については、実はぎよう閣議に上りましたことは事実であります。しかし資本金が非常に少いじやないかという説もあつたのでありますが、とにかく毎年復金から返つて来ます金が幾らかあるらしい、それを前のに加えて行きますと、ある程度しますと相当な額に上るという話でありまして、まあこれで始めて行くようにというので、法案にも書いてありますが、他から借入れはいかない、社債はいかないというふうに書いてございます。しかも今日はまた関係各省の多少の希望もありましたから、それをあらためて討議いたしまして、そうして閣議にかけ直すということで、いわゆる経済閣僚と申しますか、関係閣僚でよく話し合つたらよかろうということで、きようは保留になつたのであります。われわれの希望は、これはぜひ早く実現したい。大蔵大臣の希望は、この三月いつぱいに法案を通してもらいたい。それでも一箇月ぐらいはかかるであろうから、五月一日ごろからぜひ発足したいという希望があつたのであります。今のお話のように、百億ではどうにもならぬじやないかというふうな話もきよう閣議に出ましたが、しかし一応のところは、まず百億ぐらいでなければいかぬじやないかと思つております。それで借入れはできないというようなことは、法案に善いてある通りであります。しかし開発銀行を急いでいるということだけは事実であります。またきよう出て、そうして一、二協議をする点があるから保留になつたということも事実であります。しかしなるたけ早くこれを解決しようというのであります。
  50. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 大分時間も過ぎておるのでありますが、まだ少しあるので、なるべく端折つてお尋ねしますが、従来の復興金融金庫が、司令部からああいうふうに運行をさしとめられたのでありまして、それがために、日本の終戦後の経済復興相当に支障があつたと思うのであります。あの復興金融金庫の功罪を考えましたときに、なるほど最後においてはああいうふうな問題を引起しておりますので、世間的には非常に評判が悪いとわれわれは考えておりますが、しかし反面において、あの復興金融金庫が終戦後の日本経済の復興に貢献したその功績は、われわれは非常に高く評価しなければならぬではないかと思うのであります。その最後のどたんばの欠点ばかりをつかまえて、一から十まで復興金融金庫が悪いのだというふうに解釈するのは、これは非常に大きな間違いでなくてはならぬと思います。であるばかりでなく、現在の状態において日本経済の復興のために、あの復興金融金庫と同様な仕事をする機関が日本になければ、ほんとう日本経済の復興というものは達成することが困難ではないか。たまたま開発銀行が創設されることになつて、そうして活動を開始するということになりますれば、大体においてその目的、趣旨が復興金融金庫の問題とも合致することが非常に多いので、これらの開発銀行の活動というものは、われわれ日本産業界としては相当大きな期待を持つて進みたいと考えておるわけなのです。     〔中村委員長代理退席、委員長着席〕  従つてわずかばかりの資金でもつてスタートをしても、それはないよりはましかもしれない。そういうふうなことはだめであつて、これから先大いに債券も発行し、そしてどしどし仕事ができるような方策を一刻も早く、その筋となお重ねて折衝をしてこれはわれわれが是なりと信ずるものに対しては、多少拒否されても、あくまでも突き進んで折衝を続けるべき性質のものだ、かように考えるのであります。さもなければ、ほんとうに今の行き詰まつた状態において、一方において原料はあの通り高くなつておる、他方においては資金は非常にいるのだ、それから戦争終了後の今日まで、機械設備というものは相当に老朽になつてつて改善しなければならぬものがかなり多い。一方においては、機械設備も戦争中約十何年間というものは鎖国状態になつてつて、外国の新しい機械の取入れというものは実際において行われていない。これらのものが日本産業にどのくらい悪い影響を及ぼすかということを考えたときに、現在ある設備も、相当に優秀な設備とかえなければならぬような状態に置かれておると思う。もしかりにこれを優秀な設備とかえることができますれば、もつともつと日本産業というものは大きく発達するのじやないか。こういう情勢にあるときに、私は開発銀行あるいはもとの復興金融金庫などというものは、いま少しく新しい意味において活動を始めるべきではないか。こういうふうに考えるのでありまして、その点については、通産大臣金融面には関係がないことになりますが、しかし一番通商産業に関係がある。通商産業の関係でなければ、あの開発銀行というものはほとんど意味ないと言つてもいいくらいだ。そういうふうな関係にある銀行でありますから、この問題に対して、おれは專門家でないからということでなく、ひとつ十分な御考慮を御願いしたいと思います。  それから、それに関連いたしましてもう一つ。きようも中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案通りましたが、私は去年できました金融に対する保険法、あれは政府が七五%を保険することになつておりますが、現在のような国情において、七五%というような半端なことをせぬで、何ゆえに一〇〇%それを保障せぬか、こういうことです。それは七五%の保障をいたしまして、そうしてあとの保険料の三分の中で一分五厘は金融業者が持つ、あとの一分五厘は業者が持つということになつております。そうなつて来ますと、金融業者の一分五厘の負担というのは、わずか五厘かそこらでありますけれども相当にいやがる。それで七五%の保険をかけるならば、何ゆえに一〇〇%かけないか、その七五%の残りのあるために、かえつていろいろなむずかしい操作を行わなければならぬ。現に私の聞いておるところでは——たしか北海道と思いますが、北海道の道庁においてはその二五%を北海道庁の資金で補償するという方法を講じたかに聞いております、まだ私は確かめておりませんが……。そうなつて参りますと結局業者は一〇〇%保険をされるわけでありますから、従つてある程度まで金融の操作が円滑に、行くということに相なつて来ると思うのであります。むしろこの際通商産業省としては、これらの問題を飛び越えて一〇〇%保険をつけるという方向に持つて行く意思があるかどうか、この点を重ねてお尋ねいたします。
  51. 横尾龍

    横尾国務大臣 今の一〇〇%、七五%の問題であります。これは銀行にもある程度の責任を負わせることがほんとうじやないか。国家が全部負うということはどうもいかがかと考えられるので、七五%になつたのであります。  それから復金の問題でございます。それはお話ごもつともであります。私ども復金の功績は十二分に認めるのがほんとうじやないか。もちろん最後にいろいろな問題がありましたが、それで前の功績を帳消しにしては復金に対してあまりに気の毒なような気がするのであります。  今回の開発銀行は——御存じの通り、元来長期金融專門の銀行は今ほとんどないのであります。興銀でもしかり、勧銀でもしかりであります、そのために今度開発銀行ができる。これはどこに一番関係があるかと言うと、産業に関係がある。産業はたれが主管しておるか。それは申すまでもなく通商産業省がやつておるのであります。従つてその点に対して関心は十二分にあります。安本のごとき、あるいは農林省のごとき、ことに産業を主管しておるわれわれ通産省のごときは、この開発銀行に対しては関心が深いのであります。今後のお話合いに対しましてもその意味をもつて当りたい、こう考えておるのであります。
  52. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 実はまだ質問相当に残つております。重要物資受入れ態勢と関連いたしまして、統制問題が相当に大きな関心となつておりますので、これらの問題についてもう少し具体的にお尋ねしたいと思いますが、まだ本会議も開会中でありますし、一番問題になりますことは、ほかの委員会でもたびたびお話になつておりますので、一応通商産業大臣に対する質問はこれで打切りにいたします。あとは大蔵大臣経済安定本部長官にお尋ねいたします。
  53. 小金義照

    小金委員長 それでは本件に関する発言はこれをもつて終了いたしました。本件に関する調査はこの程度にとどめます。  ほかに御発言もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。     午後三時三十一分散会