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1951-03-02 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二日(金曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    江田斗米吉君       小川 平二君    澁谷雄太郎君       高木吉之助君    永井 要造君       中村 純一君    福田  一君       南  好雄君    村上  勇君       佐伯 宗義君    風早八十二君       田代 文久君  出席政府委員         公益事業委員会         委員長     松本 烝治君         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         外国為替管理委         員会委員長   木内 信胤君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         経済安定事務官         (貿易局長)  湯川 盛夫君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 大石 主計君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月二十三日  委員風早八十二君辞任につき、その補欠として  江崎一治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員江崎一治辞任につき、その補欠として風  早八十二君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員玉置實君及び永井要造辞任につき、その  補欠として江田斗米吉君及び中島守利君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員中島守利辞任につき、その補欠として永  井要造君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  電気法規変更に伴う二重監督排除の請願(岡田  五郎君紹介)(第八九〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十六日  電気事業編成に伴う善後措置に関する陳情書  (第二五三号)  阿武川第二発電所新設等に関する陳情書  (第二六六号)  徴税整理期中小企業金融対策に関する陳情書  (第二九〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  重要物資需給に関する件  電気事業編成に関する件     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。  議事に入ります前に、委員変更について御報告いたします。去る二月三十七日、委員玉置實君及び永井要造君が委員辞任せられ、その補欠として江田斗米吉君及び中島守利君が委員指名せられまして、続いて翌二十八日、中島守利君が委員辞任せられ、その補欠として永井要造君が本委員指名せられました。なお右の異動によりまして、小委員もそれぞれ交代いたしたものといたします。江田斗米吉君は地下資源小委員永井要造君は中小企業小委員工業小委員及び貿易小委員、以上御報告を申し上げます。  次に重要物資需給に関する件について調査を進めます。質問の通告があります。これを許します。澁谷雄太郎君。
  3. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 重要物資需給の問題、ことに輸入確保の問題につきましては、これは朝鮮事変以来特に重要問題になつておりまして、国民が最も大きな関心を持つておるところと思います。本日配られました、この輸入促進の決議につきましても、まつたく同感でありまするが、現在までややともすれば、輸入が比較的に悪るかつたということが言えると思います。昨年の二月から十二月までの輸入状況を見て参りますると、これは決していい成績ではなかつたということが言えると思うのであります。十一月以来今日まで、最近の状態を見ておりますると、相当にこれは活発に動いておりまするが、しかしながら商品によりましては、これらの輸入があまりに促進されなかつたということのために、ある一部分の商品では非常に品薄のために操業に困難を感じたというようなことも起つて来ているし、それがために非常な不安を起しているということが言い得ると思うのであります。ことに朝鮮事変以来の重要物資輸入促進の問題は、強く一般に叫ばれておつたのでありまするが、何と申しましても為替関係——もちろんドル資金が非常に少なかつたということも言い得るのでありまするが、それよりは国内金融操作の問題が円滑に行つていなかつたということが、かなり大きな輸入を妨げる原因になつていやしなかつたかと考えるのであります。幸いに昨年の九月に日銀ユーザンスの問題が曲りなりにも解決いたしまして、それから後には比較的に順調に行くような形勢になつておりましたが、しかし最近におきましては、また日銀ユーザンスの廃止の問題も新聞などで喧伝されております。これはもちろんそれにかわるべき最も正常な姿の為替取引の問題が設定されると思うのでありまするが、それらの問題にからんで、最近の輸入は比較的に活発に動いているということは言い得るのでありまするけれども、御承知通り日本工業生産というものは、その資材の大部分を外国から輸入しておるのでありまして、工業生産の七〇%が外国原材料に依存しておるといわれておるのであります。そういう状態でありまする際に、朝鮮事変が起つて参りましたためた、これは見方によりますると、輸入促進が遅れておつた、あるいはもう一つ見方によりましては、為替許可があまりに活発でなかつたということ、これはもちろん国内資金関係にも関連がありまするが、それがために非常に原材料確保に大きな損害をこうむつておる。一つの例をあげますると、早く手当をいたしますれば、相当安い価格で多量のものが確保できたものが、現在のような状態になつて参りますると、その品物海外におきまする価格が非常に大きな値上りをいたしておりまするために、同じような数量品物確保しようとすると、莫大な資金がいる、こういうことになつて参りまして、昨年末におきまして五億二千万ドル手持外貨があるということでありますけれども、これがもし海外物資値上りがますます活発になつて参りますれば、そういう問題はすぐに消えてしまうのではないかというような状態も、われわれとしては懸念されるわけであります。そこで私はこの重要物資輸入状況につきまして、通産当局並びに安本当局にいろいろな問題について御質問を申し上げたいと考えておりますが、たまたま一番先に為替管理委員会委員長がお見えになつておりますので、まずもつて現在の為替状況がどういうふうな状態になつておるか、そしてどこにネックがあるかという問題を、全般的にわたつて率直にお話を願いたいと思います。それから順次こまかい問題について御質問を申し上げたい、かように考えます。はなはだ簡単でありますが、一応大要だけ申し上げて御質問申し上げるわけであります。どうか腹蔵なく今日までの経過、現在の状態、それから将来の見通しについてひとつ率直な御答弁を願いたいと思います。
  4. 木内信胤

    木内政府委員 ただいまの御質問に対しまして、特に為替資金の面に重点をおきまして、御答弁申し上げたいと思います。為替資金状況は、結論的に申しますと、昨年末五億二千万と大蔵大臣から国会に御報告があつたと承つております。五億一千九百万でありますが、これはドル、ポンド合せてであります。その金額日本の最近持ちました外貨最高のものでありまして、それ以来若干減少を来しておるわけであります。その数字は実は予算委員会で私すでに申し上げたことであります。一月末で今の五億一千九百万が四億八千六百万に減り、二月十日の数字で四億七千九百万に減つております。従いまして四十日の間に約四千万減つたというので、かなり大きな減少であります。しかしこのキヤツシユの減ること、ふえることはそう気にするほどの問題ではない。ただ外見して若干減り出した、今申したような減り方がずつと続くとは考えておりません。ともかく前は一貫してふえて参つたものが、少しではありますが減り出しつつあるということが言えると思います。それはなぜかと申しますと、要するに御指摘の通り朝鮮事変以来、すぐにも非常に輸入急ぎをやるべかりしものであつたのだが、遺憾ながら周囲の関係からそういうように運ばなかつたということを痛感いたしまして、関係当局すべて輸入促進に努力した結果、それがようやくきいて来たということが言えると思います。ですから昨年末を最高としてそのような現象を呈して来たということは、輸入急ぎというものがようやく実を結んで来たということが言えると思います。この現象というものは、もし輸出の方の手取り減つたために起つたものならば、今申した通りには言えないのでありますが、輸出の方は依然として相当に大きな金額が出ておるにもかかわらず、減つて来たということは、まだ荷物が国内に顔を見せないかもしれませんが、海外において金は落ち出したというところまで来たわけです。その点大いに喜んで可なりと思います。以上が結論であります。それ以外に詳しいことを御希望でありますかどうか、御希望を伺いまして次の点に入りたいと思います。
  5. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 大要は大体われわれが想像しておる通り状態になつておるようであります。ただここで問題になりますことは、一月になりましてからは相当輸入促進されておるようでありますが、今日までの状態からいつて、現在経済安定本部で組んでおりますところの本年度輸入総額十四億七千五百万ドルというのは、おそらく昨年の十月末ごろの立案ではないかと考えるのでありますが、それから今日まで相当長い日数を経過しております。ところが昨年の十一月、十二月から本年一月、二月にかけての海外における重要資源値上りというものは、かなり大きくなつておるというふうにわれわれは想像しておるのであります。私は詳細な数字がわかりませんので、重要物資の正確な値上り状態はつきりわかりませんけれども、少くとも三割程度は値上りしておるのじやないか、ことに船腹の関係上、運賃なども相当に高くなつております。こういうようなことで実際に十四億七千五百万ドル輸入計画がはたして実現できるかどうか、金額的の問題だけであれば、それはいつでも実現できるのでありますが、そういたしますれば、結局三割ないし三割五分の現物が減らなければならぬ。数量的に非常に大きなマイナスになつて来なければならぬ。数量的にこれを確保しようとするならば、現在の状態でも、少くとも十四億七千五百万ドル予算は、もつと大きく組みかえなければならぬ、少くとも三億ドル以上の組みかえをしなければならぬという状態になつておるのであります。もちろんこれには輸入物資がそれだけの値上りをいたしますれば、半面において輸出をする物資値上り相当に想像されるのでありますから、ある程度までのバランスはとり得ると思うのですが、しかしながら私は海外における原材料値上りというものは、われわれが国内から海外輸出する商品値上り相当に大きく上まわるような状態になつて来はせぬか、こういう考えを持つております。従つて終局においては、相当ドル資金あるいは外貨資金不足を来すようなおそれが起りはせぬかということが、われわれの一番大きく懸念するところであり半す。もしこれが不足を来すとするならば、やむを得ず数量的に減らさなければならぬというような結果になつて参ります。この数量的な減少というものが、国内産業あるいは国内一般民需品生産に非常な大きな関係を持つておるのでありますから、それがわが国産業の盛衰に関係するような重要問題になつて来はせぬかということを懸念するわけであります。しかも一方において値上りは、御承知通りに最近におきましてますます各国の海外におきまする重要製品の買いあさり、また競争が相当にはげしくなつて来る。これがために、あるいは国際割当の問題とか、あるいは外国においては輸出制限、あるいは輸出禁止というような状態が起つておる。また一方においては非常に船舶の不足を来す、あるいは運賃値上りがますます大きくなる、こういうふうな状態に追い込められておりますときに、物資に対する割当というものは、一時も早く、初めに昭和二十六年度輸入計画として組んだところの十四億七千五百万ドル予算は、今のうちにもつともつと考慮して変更し、そうしてそれに対する外貨資金の目途をつけておかなければならぬと考えるのでありますが、これに対して為替管理委員会としてはどういう対策を持ち、また現在の見通しとしてはどういう考えをもつて進んでおられるか、この点詳細にお伺いしたいと思います。
  6. 木内信胤

    木内政府委員 ただいまの御質問きわめて重大なポイントを突いておいでになると思うのであります。私ども為替管理委員会として特に関心を持つておりますのは資金の面でありまして、資金の面からしますれば、今後決して輸出手取りが、収入がふえるとは思つておりません。そのふえないであろう、もしくはだんだん低下するであろう手取りというものを一ぱいに使うということに考慮を払つておるわけであります。今考えておりますことは、現在のバランスもあるいはさらに少し減少するかもわからないというくらいな気持でものを考えておりますので、それがおつしやいます国際的物価値上りによつて数量的に見れば非常に貧弱なものになつて、あるいは日本経済基礎を危うくしはせぬかという点のお答えは、私よりも、安本の方から御答弁した方がいいと思います。私は一ぱいに使うことにしているということだけ申し上げまして、物価値上りがどういう影響を及ぼすかという点は安本貿易局長、もしくは通産黄田局長が見えておりますから、そちらの方にお尋ねください。
  7. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいま貿易計画をもつと大きく組んだ方がいいじやないかという御意見がございましたが、もともと今の十四億七千五百万ドルと申しますのは一応の仮の計画でございまして、大体昨年の終りごろの単価基礎にしてつくつたものでございますから、その後いろいろな物資値上り等がもちろんございますので、その点を補正しまして、数量等にももう一ぺん検討を加えまして、確定的な二十六年度計画というのは年度の始まる前後までに作成するつもりでございます。それは現在の仮の計画よりも相当に大きいものになると思います。と同時に輸出の方につきましてもまたその後かわつて相当単価値上りがございますので、そういつた修正もして、輸出計画輸入計画とも現在よりかなり大きなものになるはずでございます。今はそれが作業中でございまして、もうしばらくたたないと明確なものは出ないと思います。
  8. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 作業中で、現在においてはまだはつきりしたことは答弁ができないという御説は、一応ごもつともと考えられるのでありますけれども、しかしこういうふうな重大問題は、あまりにその作業中に時間を費しますと、いつも商機を逸するおそれがあります。われわれが実際に体験いたしましたことを考えますと、為替許可のおりるのが、一・四半期ごとに割つておりるというようなやり方で持つてつたことが、相当に大きくわれわれが外国品物を買い付ける場合においてマイナスをしておるのであります。その金額は実に恐るべきものがあると思うのであります。実際に計算をしていただいたらば、私はその大体の数字はわかつて来ると思う。数量的に損失を来すとか、あるいは非常に高いものを買わなければならぬということになつて参りまして、一方においては、せつかく日本輸出貿易が今日まで進展して参つており、また国内一般の生活も、安定に着々近づいておりますやさきにおいて、これが先ほども申し上げたように、金額的にはなるほど相当の大きな金額輸入することになつても、これが数量的に非常に減少することがわれわれは一番こわいことである、それでややともすると金額をある程度まで確保したからこれで満足だというふうに考えられることは——おそらくそういうことはないと思いますが、われわれの実際の体験からいうと、どうもそういうきらいが非常に多いと思うのであります。ですからこれは毎月毎月相当関心を持つてこれらの問題を整理して一時も早く計画を立て、ことに輸入計画輸出計画のごときものは、必ずしも年度末だからというような考え方を持たずに、こういう問題に対してはもつともつと早くその組みかえをしても一向さしつかえないのではないか。またそうしなければならぬことになつておる。そうしなければあまりしやくし定規でもつて、常に商機を逸して、わが国が非常に大きな損害をこうむるという結果になつて、これがひいては日本の復興に大きな悪影響を及ぼすことになりはしないかと思うのであります。  それではあらためてお尋ねしたいのでありますが、最近の値上り状況、昨年の十一月から本年の二月、先月までの状況をお調べになつて、むろんその数字というものはお持ちになつておると思いますが、そういう問題は少くともわれわれの委員会報告していただきまして、重要物資に対する最近の値上り状況をぜひひとつお知らせ願いたいと思います。そうしてそれらの問題から勘案いたしまして、金額が非常に多くなりますれば従つて為替の問題に関連して来るのでありますから、それらの問題をわれわれ委員会に率直にお知らせ願いたいと思います。安本の方の御答弁は以上の通りでありましたが、通産省といたしましてはどういうふうなお考えでお進めになつておりますか。安本と同じようだというような御答弁では事は足りないのでございます。直接にわれわれ生産業者と結びついております者の立場からいつて、もう少し立入つての御説明通産省の方から御答弁をお願いいたしたいと思います。     〔委員長退席、多武良委員長代理着席
  9. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいま私の説明が少し不十分で、あるいは多少間違つた印象をお与えしたのかもしれませんが、年間貿易計画のほかに実際為替関係ありますのは外貨予算でございます。そちらの方は現在こういつた値上りを参照しまして、逐次その事態に即応して修正等をいたしております。従つて明年度年間計画ができなくても、さしあたりの為替許可という面には支障がない。その点私の先ほどの説明があるいは悪かつたかもしれませんので、一応御説明しておきます。御質問の点については他の方から……。
  10. 首藤新八

    首藤政府委員 安本の本年度輸入計画が十四億七千なんぼで、現在の情勢から見て少い。あるいはこれがために、しかも物資の値段が上ることによつて、量的に非常に縮小されるおそれがあるという御質問でありまするが、通産省といたしましては、根本的に本年度日本経済運用いかんによれば非常な発展性を持つておる、従つてどうしてもその発展性を実際に実現するような方針を貫徹する必要ありという根本的な考え方に、あらゆる施策を進めておるのであります。従つてただいまの安本計画は一応の構想でありまして、現実の為替資金さえありますれば、その資金一ぱいまでも十二分にこれを活用して、できる限り物資輸入いたしたいという、実は強い希望を持つておるのであります。むろんかような世界経済情勢考えますると、輸出も今後非常な速度をもつて促進するであろうし、また価格も当然上つて来るであろう。従つてその面におきまして次の輸入資金は十二分にまかない得るのではないか。また一方におきまして援助資金輸入の方にこれが加わつて参るのでありまするから、そういう面におきましても相当輸入確保できる、また確保しなければ相ならぬというふうに考えておるのでありまして、もしまた資金が実際に不足をいたしまするならば、ユーザンスであるとか、あるいはまたその他のクレジツトでも設定いたして、できる限り輸入促進に努めたい、かように考えておるのであります。
  11. 田代文久

    田代委員 ちよつと関連して……。ただいま次官説明では、本年度日本産業は運営のいかんによつては非常に発展性を持つておるということを言われましたが、それは一体どういう意味合いですか。私たちと見解が非常に違うようですから……。
  12. 首藤新八

    首藤政府委員 これはいまさら私から申し上げなくても、何回も私見は申し述べたのでありまするが、要するにアメリカ軍備拡張を基点といたしまして、世界的に相当軍備拡張が行われるであろう、またすでに行われておる。従つてこれらの拡張が軌道に乗りますれば、当然物資の需要は今後ますますふえて行くであろうことは確信されるのであります。現に最近のあらゆる物資値上りは、一にかかつてこういう理由によつて値上りをし、そうして物資の荷動きが非常に活発となつておるのであります。そこで日本物資も当然これに刺激されて、輸出が日に月に増加しておることは田代委員も御承知つておると存ずるのでありますが、さらに今後もこの輸出の面は一段とふえて行くであろう、われわれはかような確信的な見解を持つておるのでありまして、そういう面から日本経済運用いかんによつて相当発展性を持つておる。さらにまた講和条約の締結が予期通りすみやかにできますれば、またアメリカとの経済関係は一層密接となりまして、こういう面からも、日本経済には相当いい反響があるであろうという希望的観測も持つておるのであります。
  13. 田代文久

    田代委員 ただいま次官説明はわれわれ特に勤労者としましては非常にふに落ちないだろうと思う。結論から申しますと、世界が現在再軍備態勢に入つておる、軍需経済態勢に入つておる。それが響いて来て日本もその方向に生産がどんどん伸びるだろうというような非常な楽観論でありますが、こういうことになりますと、結局戦争をやること自体世界経済発展になる、また日本経済発展になるというような結論になるのでありまして、これはもつてのほかのことである。今年だけを見るだけでなく…(「関連質問じやないじやないか」と呼ぶ者あり)世界全体の態勢から見まして、さういう結果になるということが、結局においては日本の全経済を破壊してしまう、大きなインフレーシヨンも起りましようし、結局賃金の問題におきましても、物価の面におきましても、特に日本人民がいかに苦しむかということは火を見るよりも明らかでありまして、こういう事態はつきりわかつておりながらも、これが日本経済発展であるというような考え方構想自体というものがいかに間違つておるか。それは経済発展でもなく。日本発展でなくて、むしろ破壊であるということがはつきり言えるのでありまして、たとえば輸出産業の面におきましても、現在の日本輸出が非常に伸びておるから非常にいいではないかというような論をされますけれども、これはむしろ一般論として、現在の輸出の内容はどういうものであるか。日本にある、出してはならない物をどんどん外国に出すことによつてドルが入つて来ても、実際において人民の必要物資というものは日本からすつからかんになつてしまう。そうして国民経済はますます破綻に瀕するということが明らかになつておるのでありまして、私は現在の政府並びに次官の持つておられますこういう楽観論というものは、非常に危険であるということをはつきり言いたいのでありますが、この点に対する考え方は、依然としてそういう考え方を持つておられるかどうか、重ねて質問いたします。
  14. 首藤新八

    首藤政府委員 私は田代委員の御意見を承つて実は唖然としたのであります。(「こつちが唖然とした」と呼ぶ者あり)かような見解を持つ方が日本におるかということを実は驚いたのであります。田代君の意見によりますれば、軍備戦争だという見解のもとに諸論を述べておられますが、軍備必ずしも戦争でない。いわゆる防衛であるという点を一応田代君もお考え願わなければ相ならぬと思う。現に朝鮮の準備がないためにどういう事態を招いたか、これが百万べんの論議よりもはつきり私は立証していると思うのであります。もつとも田代君の所属しております共産党はそういう見解かもしれませんけれども、少くとも共産党以外の全国民は私の意見に全面的に賛成しておるのでありまして、従つてただいま申し上げましたこと、要するに戦争をしないための防衛、これだけの準備をすることによつて戦争が起らぬであろう、こういう見解からの軍備でありまして、戦争をすることを目的としての軍備でないということをはつきり御了承願いたい。そうして、いずれにいたしましても、こういう事態から日本経済面には相当のいい反響があるであろうということをわれわれは確信いたすと同時に、この確信に沿つてぜひとも発展させたいという目的のもとに、あらゆる施策を進めで来ておるのであります。
  15. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 質問する前にちよつと委員長にお願いしておきますが、せつかく私が質問しておる間に、関連質問で横やりを入れてじやまをされることは非常に迷惑ですから、そういう問題ははつきりと区別をして、関連質問でないものはお許しにならぬように願いたい。  為替管理委員長はお忙しいと思いますので、私は他の方々にはあとでゆつくり質問することにいたしまして、為替管理委員長に御質問申し上げたいのでありますが、昨年九月に日銀ユーザンス・ビルが許されまして、それから後の輸入が非常に促進されたと思うのであります。これは要するに輸入確保しようとするならば、国内資金の問題に非常に関連性が多いために、従来のやり方では国内資金は欠乏するために、輸入しようといたしましても、反面においては輸入をすることができ得ない。従つて量的には非常に少くなるという関係であつたのが、あのユーザンスが許されましてから後の輸入促進は、このユーザンス・ビルの影響が相当に多いと思います。私の調べたところによりましても、昨年このユーザンスが許されましてから後の輸入状態は、非常によく行つておりまして、昨年七月から十二月までの外貨割当が八億一千五百万ドルであつたのが、年末までにその外貨の決済されたのが一億二千万ドルでありまして、今日まで約七億ドルがまだ未決済で残つておる、これは数字が多少は違うかもしれませんけれども、大体そういうふうな状態で、このユーザンスが、国内資金運用相当大きく響いておつた、こういうことがいえると思うのであります。ところがもしかりにユーザンスがここで廃止されるようになつたときに、新しい構想でやりまするところのユーザンス・ビル、いわゆる外銀ユーザンスですか、そういう形になつたときに、急速に大きな変革を起しますると、せつかく為替資金でもつて相当物資——値上りをしたところのものを輸入しようといたしましても、あるいは国内資金関係からそれができ得ないような状態に陥つて来はせぬかということを、われわれは非常に憂慮するわけであります。これに対して為替管理委員会といたしましては、どういう御意見を持つておられるか。ユーザンスの成行きについて詳細な御説明をお願いしたいと思います。
  16. 木内信胤

    木内政府委員 日銀工ーザンスができまして以来、輸入がはかどつたことはお説の通りと思います。その意味におきまして、あの制度は相当な効果を現わした制度であると言えるのであります。ところが新聞に散見しますように、それを改正しようということを、私どもの委員会から日銀の方に提案していることは事実でありまして、若干の改正をもくろんでおります。それと、これも新聞にもちよいちよい出ますが、外銀のユーザンスというものを別途起すべしという意見もあります。今の日銀ユーザンスと私どもの提案は、為替銀行がみずからユーザンスをやるといえばいえる制度でありますから、これを市中銀行のユーザンス——いろいろな術語ができることはあまりありがたくないのですが、市中銀行のユーザンス、つまり市銀ユーザンスという言葉がときどき使われますが、そういうものが私どもの提案であります。それにプラスするに外銀ユーザンスで、今三つのものがありまして、やや混乱を起しているかと思いますので、御説明をさししいただきます。  現行日銀ユーザンスが、せつかくうまく行つておりますものを改正しようと思いますわけは、いろいろな点があるのであります。概括して申しますと、今の日銀ユーザンスは、私どもの持つております外貨日銀に売りまして、日銀がそれを為替銀行に貸しまして、為替銀行はそれを私どもの勘定にまた預けもとして金が返つて来るのであります。そのもどしたものをもつて先方の輸出業者には払つてしまう。しかし払つたときに、こちらのインポーターは円を払わないでも済む。何となれば市中銀行は日銀から貸付を受けておりますから、貸付の返済を要求されるまでは、円を私どもの会計に払い込んで、外貨を取得した形にして事を済ませるという必要はないわけであります。それで最長四箇月たちましたあとにおいて、輸入業者が支払いをいたしますと、その金で為替銀行は私どもから外貨を買つたことにします。私どもは外貨を売るのであります。同時に私どもは円を取得しますから、その円でもつて、最初に日銀に売つた外貨を買いもどすという、初めとちようど逆な三魚形の取引をして決済をしておるのであります。  この短かい説明でおわかりになつたかどうか、ちよつと疑わしいほど込み入つておりますが、かくのごとき制度を持つた国は、おそらく世界中にないので、時によつてその制度は非常にいい制度ではあつたのでありますが、あまりにも常道とかけ離れておりますので、何かと不便が多いので、今後もつとすつきりした形にして行くためには、これを普通のやり方に直すがいいと思つて、それで私どもは提案するわけでありますが、普通のやり方と申しますのは、先方の輸出業者に、輸出する取引先の外国銀行が外貨を払つてくれるのでありますが、その払つてくれる必要な外貨というものを、日本におけるところの市中銀行が私どもから買いまして、その買つたものを向うに渡して決済を済ませる。決済を済まして、市中銀行が輸入業者から資金を取立てるのは、最長四箇月で、今の通りにしよう、こういう制度であります。従つて市中銀行は、私どもから外貨を買うための円資金を必要とするのでありますが、その円資金は、日銀から今ちようど外貨を借りておりますと同じように、円を借りたらばいいのではないか、こういうことを骨子にしたものであります。つまり日銀からの貸出しを外貨にするために、非常に複雑なことになるのでありますが、それをやめて、円の貸付にしてしまえば普通のことでありますから、それで初めてこの関係がすつきりするのであります。詳しく申しますと、先方において輸出をしたときにおいて、外貨の支払いが起りますが、その前に先方の銀行が確認してくれるために五〇%のマージン・マネーというものを積むのが今のやり方であります。その必要はマージン・マネーをどうして調達するか、これもやはり日銀から貸していただいて為替銀行が買取るということにしますと、為替銀行はほんとうに自分の足に立つたということになるのであります。為替銀行がほんとうに自分の足に立つたことになつてこそ、為替銀行の力というものはほんとうについて来るのでありまして、為替銀行間の競争というものも常態の競争になつて来る。みなが競争することが、すなわち社会のためにも、なるという論理に従いまして、そういうふうにかえたいと思つております。ですからこれは御心配のような、そうかえたためにせつかく順調に行き出した輸入というものが乱されるということは、万々ないつもりでありまして、それなしに行くにはどうしたらいいかというようなことを、日銀当局その他と今まだ相談中であります。それが私どもの提案の内容であります。  次にまたそれと別個に、外銀ユーザンスというものがあるわけでありまして、この外銀ユーザンスというものは、先方の輸出業者に払います外貨を、外銀が立てかえてくれる形になるのであります。その立てかえてくれる期間が最長四箇月であるならば、今と同じになるのでありまして、外銀ユーザンスを、今申しました市中銀行ユーザンスなり、日銀ユーザンスなりと並用しますことは、何らのさしつかえないことでありまして、必要あらば並用したいと思います。その必要あらばと申しますことは、これは外貨不足に対処する必要でありまして、インポーターが若干の期間金融を受けるという必要からいえば、市中銀行ユーザンスであろうと、日銀ユーザンスであろうと、その効果は同じでありますが、それに加えて外貨がもし足りないという関係になつて来ますと、外銀が自分の金で払つてくれるのですから、外貨を借りた行為と同じことでありまして、外貨不足を補うことになります。これは輸入業者にフアイナンスを与えるということのほかに、外貨不足も感ぜられるから、その方も補いたいという必要が生じましたときには、それでやるべしであります。しかしその必要がいつ起るかわかりませんから、先ほど御指摘の通り値上りがありまして、数字的には貿易が発展しているが、物量的には必ずしもそう思えないということもありますから、多々益々弁ずるということが今後の国策であるならば、必要の場合今の外銀ユーザンスができるように、その下地工作は常に怠らずにしております。現にポンド資金におきましては、その不足が痛切に感ぜられましたので、それをやることにいたしまして、すでにそれが入つておりますが、それが現行の日銀ユーザンスと何ら矛盾なく並立することはすでに実験済みでありまして、そういうようなことに移つて行くからといつて輸入が一層促進されこそすれ、かき乱されることはないつもりでおります。これがユーザンス問題の説明でございます。
  17. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 大体ユーザンスの問題はそれでわかつたのでありまするが、われわれが一番大きく懸念することは、先ほども申し上げた通りに、国内資金繰りと為替管理委員会におきまする資金繰りとの間が円滑に行かぬというか、もつと具体的にいいますれば、要するに為替管理委員会で要請するところの国内資金が思うように行かないということのために、輸入相当大きく制約されるおそれがあるのではないか。それは先ほども申し上げた通りに、ユーザンスの問題で相当に緩和されておつたと思うのでありますが、今のお話の一端から考えまして、私たちがやはり心配することは、日銀から為替管理委員会資金の融通を受ける場合、あるいは市中銀行が融通を受けるということになりますと、やはり国内資金のわくの中にそれが入つてしまつて、結局資金繰りが非常にきゆうくつになるために、思うような輸入確保できないということが想像せられるわけであります。われわれの心配することは、それが一番大きな問題だと思うのであります。従来も、ややもすればそういう問題があつたのでありますが、この問題については、為替管理委員長として今日まで国内資金繰りに対して相当大きな悩みがあつたように思われるのでありますが、それらの問題とユーザンスがどういう関連性を持つているかということの御説明をひとつ願います。
  18. 木内信胤

    木内政府委員 私どもの会計は政府の会計でありまして、従つて円を使うのに一種の予算制度を持つておるのであります。その関係から、私どもの会計が円資金の金繰り上思うように行かなかつたというケースはございます。それはございますが、昨年の九月にきまりましたときに、私どもの最初の案はそうでなかつたのであります。その案を実施しますときに円資金の問題を起したのであります。むしろその円資金の問題を避けるために、現在の日銀ユーザンスという制度がくふうされたのであります。従つて今私どもの会計は円資金に苦労しておりません。むしろ輸入ははかどりまして——信用状がたくさん出た結果でありますが、思つたよりもたくさんの円が入つて来ておる。従つて現在二百五十億くらい、たしか日銀に対しては預けになつていると思います。それはことしのインヴエントリー・フアイナンスを百億もらつた以後でありますが、そういう状況であります。私どもの会計が円問題で苦労するということは現在のところないのであります。  次に現在の日銀ユーザンスを私どもの提案のような市中銀行ユーザンスにかえますと、なるほど日銀から市中銀行が借りるものはある。でありますから、現在の外貨の借りよいということは、あるいは多少狂いが来るかもしれないのであります。しかしこれは一にかかつて日本銀行の政策の問題でありまして、現在外貨という形をとつて輸入者に対してはすべて一律平等に、とにかく一応の金融を与えるという現在の政策が輸入促進の見地からよいものであるならば、その貸付の表示通貨が外貨から円にかわりましたとしても、それを変更する必要はないので、現在の政策がよいならば、それが円になつたからといつて続けられないわけはない。従つて私どもの提案は必然的にそこに齟齬を来す要素を含んでいるということは当らないと思う。但し現在のごとく、輸入だからといつて一律に同じようなフアイナンスを与えることが必ずしもよいとは限らない。限らないとすれば、現在の制度を直すことは、日銀に自己の政策を実現するチヤンスをつくりやすくすることであつて、その意味で、もし日銀当局が、輸入だからといつてフアイナンスを与えるのはよくないのだという結論になれば、今度方式をかえることによつて、その政策が実施されることもあり得るのであります。しかしこれは私どもの責任とややはずれたことでありますから、その点はかえないで行こうと思えば行けると思います。それが現在のところはよいと思いますので、ここしばらくはおかえにならないで、私どもの提案を採用していただきたい、こういうことを申しているのであります。  それに関連いたしましてもう一つ申し上げた方がよいと思いますのは、フアイナンスを輸入だからといつて与えることの是非であります。現在外貨予算は非常に思い切つて出しており、今年の初めは五億二千五百万ドルか何かでスタートしたと思いますが、それが現在は追加また追加いたしまして八億ドルになつております。これは一—三の予算と申しましても、何も一—三に使つてしまうのではない。一——三にアナウンスいたしまして輸入のとりきめをしていただく金額であり、実際に外貨が使われるのはことしの十月になることもありましようし、十二月になることもあり、長い期間に使われるのでありますから、その金全部が今使われるのではない。そうなればこそそういうことができるので、思い切つてそういうことをしているのであります。それがため輸入のとりきめが行われているのであります。現在は御承知通り多くの物資がいわゆる自動承認制ということになりまして、先ほど御心配があつた点はその制度によつておおむね解消していると思うのであります。だから商機を失することがないように、しかも為替をとりきめて信用状を出しさえすれば、機械的にフアイナンスがある程度つきまとつて来るという極端な輸入奨励をしているのであります。そのためにあまりに多数の為替がとりきめられてしまうのではないかという疑いもやや生じているのでありまして、私は新しい市銀ユーザンスというものを提案いたしましたときは、その問題とまつたく切り離して、これは現状を何ら変更するものではない、しないように運用できるものであるとして提案したのでありますが、あるいはそこに多少の考慮を加えるのがよりいいんだという事情がちらちら見えるようにも思われます。あるいはそういう点が多分問題にするかもしれませんが、そのように輸入フアイナンスの問題を考えております。
  19. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 ただいままでのお話を伺いますと、大体におきまして、外貨予算は、外国物資値上りをいたしましても、これと対応する日本輸出品の値上りが減つて外貨の獲得が相当大きな問題になつて来る。従つて若干の減少は来すだろうが、外貨予算にはあまり大きな心配するような狂いがない、こういうふうに一応考えてよいことになりますか。——それから国内の金融問題は、ユーザンスの問題が——いずれにいたしましても、さしあたりはある程度まで外為の国内資金は余つておる。従つて相当輸入促進させましても、国内資金わくには支障を来さぬだろう、結論はこう考えられるわけですな。——そういうことになりますれば、まずもつて現在の状態で進む場合、外貨資金並びに国内資金の問題についてあまり問題が起らない。首藤政務次官が言われるように、安心してこれから先輸入ができる。そうして国内の消費ができるということに相なるように思われる。そこで為替管理委員会委員長としての御意見は、一応了承いたしました。それに関連いたしましてお尋ねしておきたいことは、これは通産省並びに安本の方々にお願いしたいのですが、通産大臣はお見えにならないのですか。
  20. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 大臣は記者団会見をしておられるそうです。
  21. 澁谷雄太郎

    澁谷委員 しかしこういう輸入促進の問題、重要物資確保の問題は、相当大きな重要な問題だと思います。実は首藤政務次官からお話を伺つても大体わかるのですが、首藤政務次官とは私は友人関係で毎日のように会つておりますから、首藤政務次官から答弁をもらつてもあまり芳ばしくない。はなはだ失礼でありますが、この問題についてはまだ二、三伺いたいこともあるので、これは大臣がお見えになつてから伺いたいと思います。それでありませんと、私は率直にお話いたしますが、新聞雑誌などで輸入促進輸入促進というふうに書き立ててありますから、もうすでに痲痺されておるような形にはなつておりますけれども、重要物資輸入促進の問題はなかなか簡単なわけには行かない。政府当局が考えておるように簡単に行けばそれは問題はないのでありますが、これから先原材料の主産地における輸出制限とか、あるいは輸出の禁止の問題とか、国際割当の問題が起つて来たときに、われわれとしましては現在ではそれらの相手国に対して直接交渉はできないのであつて、全部今の連合軍の司令部の許可を得て、そうして司令部の手によつていろいろな話を進めていただかなければならないのでありまして、これらの問題に対しては、今日からもつともつと慎重に検討をして対策を立てておくことが、わが国産業復興、わが国の目立経済確保ということについて最も重要なことではないかと思うのであります。そこでこれらの問題についてぜひ質問したいのでありますが、ただいまも申しましたような状態で、首藤政務次官をあえて忌避するわけではありませんが、そういうわけでありますから、この問題については、やはり当の大臣がおいでになつてから質問をいたすことにいたしまして、一応私は大臣が見えるまで質問を保留いたしておきます。
  22. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 福田一君。
  23. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま澁谷委員からあらゆる角度からの御質問があつたのでありますが、それに関連して一、二お伺いいたしてみたいと思うのであります。この点は澁谷委員から言われましたように、輸入の面、また輸出の面において物価の高騰がある。そういう場合においては、予算関係はどういうふうにされるのか、あるいはまたその他の面においてどういうような手を打たれるかということについて、もう一ぺんはつきりとどういう施策があるか、どういう考えがあるか、あるいは補正予算面においては補正予算を組む考えがあるか、その他の具体的な例をもつてこれを明らかにしていただきたいと思います。
  24. 木内信胤

    木内政府委員 外貨予算という面からいたしますと、物価値上りがありますれば、予算を組む場合の計画面に頭の持ち方に考えがかわつて来るとは思います。総額の問題にいたしますれば、現在はとにかく入るだけの外貨をみな使つて行こう、しいてバランスをふやして行こうという考えは持つておりません。少し減つてもいいという程度で組んでおります。従つて物価値上りというものは直接には総額の問題としては関係ないのであります。ただ内容としては、総額が数量的にみて減る。従つて重要度の置き方がかわつて来るということはあるはずであります。大体そう御承知つてよろしいと思います。
  25. 福田一

    ○福田(一)委員 しかしただいま言われたのは、輸入によりまして相当額ふえるという場合には、輸入によつてふえても、また一方において輸出でふえるという場合においては、輸出入の量にはあまり影響がないものだと私は考えております。しかし輸出が思うように行かなくなつたような場合は、今言われたような輸入の方は値上りがある。輸出の方は値上りがないということになりますと、あるいは今言われるような事態にならないと思いますが、それは一応その御答弁で満足いたしておきましよう。そこでもう一点お伺いいたしたいことは、日本経済力は順次回復して来ておることはあなたも御承知のことだと思うのでありまして、外貨資金の獲得もできて来ておる。これに関連して為替問題をもう一ぺん根本的に考えてみてはどうか。ドルとの関連性において、この為替問題をどういうふうにお考えになつておるか、これが二十六年度のうちに実現するようなことがありますと、これは非常に大きな影響を国内に与えると思うのでありますが、この円の引上げといいますか、ドルの切り下げといいますか、どちらを使つても同じでありますが、この問題について、これと貿易との関係ということについてはいかなる見解をとつておられるかということを承つておきたいと思います。
  26. 木内信胤

    木内政府委員 その問題は、法律的な権限は大蔵大臣の権限であります。しかし実際にはそれは国民全体、ことに貿易全体に関係しますから、既往の例を見ますと、みな閣議において決定していることだと思います。私意見は若干持つておりますが、私がこの席においてその点について御説明することは不適格かと存じますから、遠慮させていただきます。
  27. 福田一

    ○福田(一)委員 経済安定本部の方はいかがでしようか。
  28. 湯川盛夫

    湯川政府委員 非常に大きな問題で、今木内委員長の言われた通り、閣議決定を見ておりませんので……。
  29. 福田一

    ○福田(一)委員 それでは政務次官から御意見を伺います。
  30. 首藤新八

    首藤政府委員 まつた木内委員長のお答えの通りであります。非常に重要問題でありますから、この際あまり軽々に発表する問題ではないと思います。
  31. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま御答弁がないのでありまして、これはみな関心を持つておる問題でありますが、政府委員にこういう質問をしてもあるいは無理かと思いますから、その点はそれではこの程度で打切ります。  もう一つお伺いしたいことは、輸入輸出ともにネツクになつておるのは一つは船腹の問題だと思いますが、新聞紙上その他において見ますと、通産省は船舶の購入についてはいろいろ努力されておるようでありますが、大蔵省との間において、具体的なまた適当な話合いができておらないというふうに了承いたしておるのでありますが、この点についてはどの程度まで話合いが進んでおるのか、その内容を通産省より御説明願いたいと思います。
  32. 首藤新八

    首藤政府委員 輸入促進の問題を解決いたしまするがためには、前提として当面不足しておる船腹を確保するということが緊急な問題であります。かような関係から、通産省は先ほど来申し上げておりまする通りに、どうしても輸入促進したい、輸入確保いたしたいという見解から、この船舶問題については特に関心を持つておるものでありまして、金融面でどうしても不可能であるならば、幸い通産省に貿易特別会計の余剰金がありまするから、これでも出して買船したらどうかというところまでの意気込みを示しておるのであります。しかしながら、この問題は実際問題といたしまして相当困難な事情があるのであります。そこで、しからば別の面において何とか至急に確保せなければいかぬということから、いろいろ大蔵省、運輸省並びに司令部の方にも折衝を続けておるのでありまするが、現在の段階におきましては、各金融機関の金融債を担保として預金部資金を放出しよう、そうして船会社はそれぞれの金融機関を通じて金融を求めるということにすれば、その面については大蔵省の方としてはできるだけ要求に応じようという段階に来ておるのでありまして、一応話合いとしては金融の道はついたと申してもいいかと考えておるのであります。しかしながら実際問題として、各金融機関がその金融債を担保として預金部資金の融資を受けることに協力するかどうか、端的に申せば、この金融債はいついかなる場合におきましても、日銀その他から、金融を受ける場合において最も簡単な、しかも確実な担保として、非常に便利なものであります。これを片一方船を買うために預金部の方に振りかえられるということになつた場合、片方ではそれが非常に古い船にかわつてしまつた、そうしますると、今後銀行の金融を求める場合に非常に困難を来しはしないか、そういう点に実は金融業者のあまり乗気でない大きな原因があるのではないかというふうにも考えられるのであります。しかしながら、この方法によることが金融をつける上において最も合理的であり、かつ実現性が多いのでありますから、できる限り金融業者の協力を求めたいという考え方で、現在その方面の推進に当つておるというのが実情であります。
  33. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまの政務次官のお話では、貿易特別会計で買うことは非常な困難がある、それだから預金部資金を出すことによつて、各銀行が船会社に金を貸し付ける、そうして船会社がそれで船を買うようにしたらいいだろう、そういう上で話合いが進んでおる、こういうことでありますが、それも銀行がそれを承知するかどうかわからないというような隘路があるんだということを承りますと、はたして政府として、いかなる確信を持つてこの外航船の増強をはかられる考えであるかという焦点が非常にぼけて来ると思う。いかなる方法をもつてしましても実現しなければならない問題でありますから、これはかくかくの方法をもつて必ず実現するのだ、こういう御答弁を私たちは希望しておるのであります。ところが今の次官のお話では、はなはだ頼りないような気がするのであります。もとより次官も、この外航船の拡充ということについては、確たるお考えを持つておられることだと私は了承するのでありますが、今のお話だけでは、どうもその点がはつきりしておらない。金額の面におきましても、預金部からどれくらい出すのか。新聞紙上に伝えるところによると、八十億というような数字が出ておりますが、わずか八十億の金が出て、しかも銀行がこれを承知したとして、一体どれくらいの船が買えるのか。もちろん船の種類にもよるし、また船齢にもよりますから、一概には言えませんが、それで一体どれくらいのものが買えてなおかつ不足分はどれくらいかというような、具体的な御説明をもう一度お伺いしたいと思います。
  34. 首藤新八

    首藤政府委員 大体八十三億になつておりまするが、しかしこの面には改修費も入つておるのでありまして、現在船会社の方と外国との間に大体交渉ができておる、いわゆるオフアーをある期間借りておる、従つてその間にはぜひ金融をしてもらいたいと言うて参つておりまするのが、合計三十隻ぐらいあると思うのであります。船によつて価格はそれぞれ違いますけれども、おおむね一隻二億円内外と見れば、あまりはなはだしい相違はないのではないかというふうに考えておるのであります。同時に先ほど申しましたように、預金部資金を金融債担保で放出するという制度で、若干の船は金融機関から金融しまして、すでに契約のできたのもあるのであります。ただ私が申し上げましたのは、全面的にそれぞれの金融機関が協力するかどうか、実際問題として、金融債の性格から見て、困難ではないかというような気持がいたしておりまするので、先ほどさように申し上げたのであります。  しからば、それがうまく行かない場合に一体どうするかという御質問でありまするが、その際にはその際としてまた別な考えをもつて、どうしてもこの問題だけは至急に解決しなければ相ならぬというふうに決意いたしておるのであります。  なお船舶の不足量でありまするが、大体百万トン内外の確保ができますれば、おおむね当面の輸入をいたしまするためには支障はないのではないか。もつとも、欲を言いますれば、百二、三十万トンあるいは百五十万トンできますればけつこうでありまするが、しかしそれは現在の世界の船舶の情勢並びに国家の財政状態から、およそ困難ではないか。またかねて新聞紙上にも発表されておりまするが、いわゆるアメリカのリバテー船の用船といいますか、この問題も決して希望は捨てていないのでありまして、あらゆる機会にこの問題もやはり促進するような方法を講じておるのであります。ただアメリカ国内法が現在これを許さないというふうな状態になつておりますので、当面の問題といたしましては、一応困難なことになつておりまするけれども、しかしこれも司令部の方に日本の実情を率直に披瀝いたして、何らかの好意的措置をお願いいたしたい、かような気持を持つておるのであります。
  35. 福田一

    ○福田(一)委員 大分具体的にわかつて参りました。一応一隻の船は二億円くらいということでありますが、一隻といつてもトン数がいろいろあるでありましようから、三十隻で金額にしては大体六十億と想定されるのでありますが、それでは何トンくらい買えるものかどうかということが一つ。もう一つは、貿易特別会計で買おうと思えば、金はあるのだが、なかなかいろいろな隘路があるというお話でありましたが、その隘路とは何であるかということを明らかにしていただきたい。
  36. 首藤新八

    首藤政府委員 船のトン数でありますが、これは今の船齢によつて価格が違うし、またトン数も船によつて相違いたすのでありますが、大体今日まで申請して参つた船のトン数を見ますると、六、七千トンないし八千トン程度のものが一番多いのではないかというふうに見られておるのであります。  貿易特別会計の方でありますが、これは司令部の方で政府がさようなものを買うということに対しまして御了解を得にくいように実は聞いておるのでありますが、と同時に貿易特別会計という性格から見ても、船を買うということ自体に、やはり相当の強い反対があるかのように聞いておるのであります。
  37. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 次に緊急輸入確保に関する問題については、お手元に配布してあります文案を御検討願いたいと存じます。この際私からこの案文を朗読いたします。   緊急輸入確保に関する決議案  国際政局の緊迫化と物価高騰の趨勢に伴い、わが国輸入貿易の見透しは楽観を許さないものがある。  殊に昨年夏以来の朝鮮事変を契機とする特需の増大と輸出の飛躍的伸長の結果、速かに適切な措置を講じないと内需用物資需給を不均衡ならしめるのみならず、惹いては輸出をも阻害し、為に自立経済の目的達成に著しき支障を与えることはまことに憂慮にたえざるところである。  ここにおいて、国民生活の安定を図り、産業活動に支障なからしめる為に、政府は輸送力の増強、貿易金融の円滑化その他凡ゆる手段をつくし、全力を挙げて食糧ならびに原料資材の輸入を緊急に確保すべきである。  右決議する。  以上の通りでありますが、この案文についてこの際速記を中止して御協議したらどうかと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 それでは速記を中止して。     〔速記中止〕     〔多武良委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 小金義照

    小金委員長 速記を始めて……。  それではただいま御協議を願つた問題につきまして、これから決定をいたしたいと思います。お手元に配付してあります緊急輸入確保に関する決議案の案文について、御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  40. 小金義照

    小金委員長 起立多数。よつて緊急輸入確保に関する決議案の案文は、お手元に配付した文書の通り決定いたしました。  なおこの決議案に対する取扱いは、各派交渉会において提出の運びその他を進めたいと思います。御了承願いたいと思います。     —————————————
  41. 小金義照

    小金委員長 次に電気事業編成に関する件について調査を進めます。まず松本公益事業委員長より発言を求められております。これを許します。松本公益事業委員長。     〔委員長退席、多武良委員長代理着席
  42. 松本烝治

    ○松本政府委員 それでは公益事業委員会におきまして、昨日指令案を出しましたその大体の経過を御報告申し上げます。  御承知のように、公益事業委員会におきましては、一月八日に各配電会社及び日発に対しまして、再編成の案を出すようにということを指令いたしまして、その案が二月八日に全部出そろつたわけであります。これについて公益事業委員会におきましては慎重に審査を進めました。ことに各電気会社の人たちの集合を求めましていろいろ相談をし、大体の点については一致いたしたのでありまするが、しかし人事については配電会社側の人たちの意見と目発側の意見とが一致することを得ないことになりまして、やむを得ず委員会におきまして裁定の案を出すことになりました。また日発の清算費用の額及び日発株主に対して清算に際して与えるべきプラス・アルフアーと称しておる金額につきまして、やはり日発側と他の会社との間の協議ができませんで、これもまた裁定のやむを得ざるに至りました。その他四国電力の本店所在地につきまして、これは実質において意見は一致しておるのでありまするが、形式においてやはり裁定を要することになりまして、この点も裁定をすることにいたしました。その裁定の案は、昨日委員会の一階の一室にこれを陳列いたしまして、その後聴聞会が始まるまでの十五日間、それを公示するということにしております。そういうことになりましたので、この点も御報告申し上げます。なおこまかいことは御質問に応じてお話を申し上げることにいたそうと思います。
  43. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 以上で松本公益事業委員長説明は終りました。これにつきまして委員各位において御質疑がありますか。
  44. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま委員長から御説明があつたのでございますが、私たちが一番心配しておりますのは、人事の問題について配電側、日発側相互に不満がある、ことに日発側に非常に不満があるということで裁定をされまして、裁定をされた上で新しい電力会社ができるのでありますが、その電力会社の首脳部の間でいろいろの流れができるということになつた場合に、はたしてその新しい九つの電力会社がうまく運営できるであろうかどうかという点が一つであります。もう一点は、これは新聞紙上などにあまり出ておらないのでありますけれども、むしろ重役の人事などというよりは、重役以下の人たちの人事がどういうふうになるであろうか。これは法律によりまして十のものを解体して九つのものをつくつたのでありますが、これによつて重役の間でさえこんな問題が起きるのだから、課長とか部長とか、あるいはもつと下の係長などというようなものについては、なおさらこういうことが響いて来る。特に重役にでもなるような人は相当年輩の人でありまして、よく常識も発達しておる。従つていよいよきまつた以上は、そういうことであまり騒いではいけないというような認識もあるだろうと思いますが、若い人たちになりますと、その面で非常に不満がある。これがまたひいては電力会社の将来の運営について大きな支障を来しはしないかという面も非常におそれておるのでありますが、こういう点については、今後聴聞会を開かれるということになつておりますが、どのような見通しを持つておられるか。また重役以外の人事については、どういうように処置されたのかを御説明願いたいのであります。
  45. 松本烝治

    ○松本政府委員 今度の再編成の案を作成するにつきまして、最も心を痛めておりましたことは、ただいま御質問の点、すなわち一つの会社をやつて行く場合におきましては、和をもつてたつとしとすで、すべての人が一致をして、少くとも和して動ぜず、いかなることでも雷同して、ある一人の意思に従つてやる必要は決してありませんけれども、しかし和ということでやつて行くことが絶対に必要なのであります。そのためにこの人選については相当の苦労をいたしました。しかしながら、いろいろな沿革から申しましても、とうてい裁定によるのほかはできないということになつたので、遺憾ではありまするが、見方によつてはこれはやむを得なかつたかと考えるのであります。まあ私の考えでは、少くとも日発側の人の希望された人は、ほとんど全部に近いまで、大体その希望通りに重役になることができた。それは日発側が最後に出しました案によると、たしか約六十人ほど重役として出したいとの希望がありました。そのうち五十三人まではこれを入れることができた。もつともその中の約三、四人でございますか、これは新しい会社の重役というのではなく、新しい会社全部が連合して、あとにやはり仕事をしなければならぬ。ことに配電関係の給電操作と申しますか、これは現に日発の本社の中にあるので、私も見ましたが、これはなかなかえらい大きな設備であります。この給電操作によつて各所の発電力等が即時にわかるようになつております。専用の電話もついております。この給電操作というようなものは、九社にわかれましてもやはり存続しておく必要がある。これをいかなる組織で存続するかということについては、まだ研究中でありまするが、そういう九社共同の設備というものはどうしても必要であります。これをやるためにやはり数人の少くとも重役待遇の人がいるので、その方にまわすことにいたしまして、たしか五十四人だけ採用と申すか、大体当人の希望のようなところにつくことでできるように措置ができております。配電の方の側で申しますと、やはり希望者から見ると、よほど大勢の人が落ちてはおります。しかしながらこれらは大体において落ちる部分について大なる異議はなく済むことと考えております。そういうことで、この人事がとうとう完全なる各社間の協定はできませんでしたけれども、しかし最後の瞬間まで、一人一人の人について非常にめんどうなまたはむずかしい交渉を続けまして。そうして大体これなら双方よろしいというところまで行つて、この重役の人事がきまりましたのです。今後においてかりに日発側の不平とか異議とかいうものがありましても、これらの採用にきまつた人たちは、おそらく事がきまつた以上、あとでできました会社において、和衷協同ということを害するようなことはされないことと考えております。これが私どもの一番苦しんだところでありまして、日発側からずいぶんいわゆる社外重役というべき財界の有力者等をたくさんあげて、候補者に出されましたけれども、これらの人人について検討してみますと、必ずしも重役になることについて同意を与えておらぬ人が相当候補者の中にあるのであります。そういうことではとうていそれをきめましても受けてはくれない、受けてくれなければあとの会社組織に困るということたなるのであります。そういう点で日発側との交渉は遂に決裂せざるを得なくなつたような次第であります。今度裁定をして出しました人事は、大体におきましてすべての人の意思に基いての人事でありますから、おそらくこの新会社ができました上で、中での大いなる争いというようなことはできないで済むことと思つております。またこれを希望しておる次第であります。それから重役以下の人事についてはどうかと申しますと、この方はこの重役以下は今までやつてつた仕事をそのまま引継いで行くのであります。たとえば発送電の人は発送電の仕事をやつておる、その仕事のままで入つて参りますから、配電側の配伊の仕事をやつておる人と一緒の仕事にはならない、その結果として大体においてその間に大きな意思の衝突が起つて困るというようなことはないことと信じております。
  46. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまの人事の問題でありますが、私はその面ではまだ一、二お伺いしてみたいことがあるのでありますが、これはまた別の機会に譲ることにいたしたいと思うのであります。従つてその点は発言を保留させていただきますが、そこでもう一つお伺いいたしておきたいことは、いわゆる電気工作物の配分の問題も、今度大体大筋がきまつたわけでありますが、これについては各地域々々の利用者側においていろいろな希望がある、また新しくできる各会社においても、いろいろ希望がある、そういうような面で必ずしもこの裁定に満足しておるとは思えない面もなきにしもあらずであります。さらにまたこれでは非常に困ると言つているような強い運動も一部にはあるやに聞いておるのでありますが、一応こういうような裁定を下されたあかつきにおいて、今度新しい電力会社ができた場合に、こういう面を調整することについて、大体四箇月なら四箇月の期限があるように聞いておりますが、その間において公益事業委員会としては、これは補足修正するような意図を持つておいでになるかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  47. 松本烝治

    ○松本政府委員 ただいまの御質問は電源の帰属という問題と思います。電源の帰属につきましては各会社に属しておる地方の間にいろいろの意見の相違はあります。しかしながらこの点は相当多数の専門の人たちを顧問というようなことでお寄り願いまして、ほとんど連日会議をして決定をいたしました。この決定に対しては日発及び九配電会社の間に何らの意見の相違がなく、つまり裁定でなく協定がちやんとできました。この点は非常に幸いとするところであります。ただもちろん再編成案が確定しただけであります。今後いわゆる聴聞会によりましていろいろの意見の開陳もありましようから、まだ確定はされませんが、しかし各会社の間において異議なくこの点は決定されました。まずこの点についてはすぐといろいろ変更を加えるような必要はないだろうと思います。今後経済上のいろいろ状況がかわる。数年たつというようなことになりましたら、あるいは変更の必要を感ずるようなことができるかもしれませんが、さしあたりは問題がなく決定されたことと考えております。
  48. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまの御説明の中で私たちはちよつと疑問を持つ点が一つあるのであります。それはどういうことかといいますと、まあ人間というものは、お互いにと言つた方がいいかもしれませんが、利害によつていろいろ動きが活発になる場合も、鈍くなる場合もあるのでありますが、今度の人事の問題が非常に混乱しているというか、みなの関心がその方面に行つておりますので、新しい電力会社の人事の問題が非常に関心を持たれて、しかも自分の身に直接降りかかつて来るという問題であるから、地方的な問題、地域的な問題というものよりは、自分の身に降りかかる問題の方がどうしても直接の利害があるという意味で熱心にならないというか、あまり一生懸命にならないというか、あるいは強硬に主張しないというか、自分の主張を通さない場合があり得るのであります。そういう意味合いで、今まである十の電力会社の間では意見の一致ができたと言われましても、それは私は公聴会などの方がもつと端的にはつきり利害を代表した意見になるということを考えるのであります。これをもつと具体的に言いますと、自分はこれだけはどうしても地域の方では必要だと思うが、あまり主張したらおれは首になつて入社できないかもしれない。憎まれちや損だというので、いいかげんのところで妥協しようじやないかという空気があつてできた案であるとすれば、それは公正でない。たとえば全会一致であつても今のようなやましい気持が若干でも動いていたとすると、それは公正なる案と言われないと思う。手足を縛らないで、自由な立場において自分の正義の命ずるところに従つて主張した意見がお互いに了解点に達して、なるほど多数決でたれも反対がなかつたということならばごもつともだと思いますが、今度の場合は人事がからんでおつたために、こういう点がゆがめられていやしないかということをおそれるのであります。もつともこれを具体的にあれがこうだとか、これがこうだということは申しませんが、この点については、ひとつ聴聞会あたりの意見は十分に尊重していただくことが必要ではないかと考えるのでありますが、委員長はどういうふうにお考えになりますか。
  49. 松本烝治

    ○松本政府委員 もちろん、われわれのつくりました再編成の案は、案にとどまるのでありまして、聴聞会の後において確定的にきまるのでありますから、決してわれわれのつくつた案を理由がないのに固執するという考えはございません。聴聞会等におきまして公平ないろいろな意見を聞きまして、場合によつてはさらに変更するようなこともあり得るかと考えております。
  50. 福田一

    ○福田(一)委員 それからこれは少し小さな問題というか、この委員会で御質問することが適当であるかどうか、私若干疑うのでありますけれども、この機会にひとつできるならばお答えを願いたいと思うことは、実は福井県の問題であります。福井県の若狭地域というものは、今まで関西発電に属しておりまして、今度の再編成によつても関西発電に属しておるのであります。ところが福井県は、若狭と越前というものが二つ一緒になりまして福井県になつておるのであります。地域が違いますために、電力料金その他あらゆる面において非常に不便を感じておる。それからたとえば故障が起きたような場合でも、福井の方へ出て来ても問題は解決しないので、わざわざ大阪まで出かけて行かなければ解決しないというようなことでいろいろな不便を生じておるのであります。もともと行政区画というものができた建前から見ますと、行政区画を尊重していただきたいという気持が多分にあるのでありまして、若狭地域の人たちも、そういう面で非常な不便があるということを常に訴えて来ておる。若狭で約二十万くらいの人口に当る人が、福井県でいうと約三分の一の人が除外されておるというか、一方は北陸配電、一方は関西配電、こういうことになる。ところが行政面で見ますと、北陸は今のところ名古屋に属しておるのであります。そこで県庁が何か問題が起きて電力の問題で行くということになると、名古屋へも行かなければならないし、大阪へも行かなければならぬ。そうしなければ問題が達成できない。こういうような非常な不便なことが起きておりまして、これを北陸配電の方に帰属させてもらうようにいたしていただくということは多年の懸案でありまして、しばしばそういう意味の陳情を国会にももたらして来ておりましたし、前の電力が通産省の所管であつた時分には、通産省へもよくその陳情がありました。当時通産省並びに議会方面におきましても、それはもつともな意見であるから、今度の再編成の機会に何とかしようという意見がほとんど確定しておつたというくらいのところまで来ておつたのでありますが、御存じのような状態でポ政令が出て、そういうことはあまりに小さい問題だからといつて取上げられなかつた。こういうこともあるのでありますから、これはぜひとも何らかの解決方法をお考え願いたい、かように私は考えるのでありますが、新しい電力会社ができまして後四箇月ぐらいの間に、こういう問題を取上げて検討していただけるかどうかということについて、委員長のお考えを承りたいのであります。
  51. 松本烝治

    ○松本政府委員 福井県の若狭三郡が行政区域と離れまして関西配電の方に属しており、今後も新会社の関西電力の方に属することになり、福井県の他の部分が北陸電力に属するのと違つてしまうということは、地図から見ましても、いろいろな点から見ましても、ちよつとおかしいように思います。私ども就任以来疑問としております。何しろこれは政令ですでにきめられておることでありますので、ただちにこれを変更するということは、もちろん法律によつてのみできることであります。大いにこれから研究をいたしまして、場合によつたら法律の改正というようなことができるかもしれませんが、しかしこの数箇月の間というようなことでは、おそらくそのことはできまいと考えております。
  52. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまのお話でありますが、いわゆる地域の売買というか、そういう営業権の譲渡というか、新しい電力会社ができた場合に、それをやつてはいけないという禁止の条項が法律にありますか、これは事務総長からお伺いいたします。
  53. 松田太郎

    ○松田政府委員 電気事業編成令におきましても、たとえば新会社に出資され、または譲渡された電気工作物につきまして、これを実際上の運営について検討して、その所属を変更するという問題につきましては、確かに新会社ができましてから四箇月以内に協定をすることもできますし、また公益事業委員会といたしまして、公共の利益をはかるという意味からいたしまして、これの変更をしていただくように措置することもできるのでありますが、ただいまの区域自体変更するということにつきましては、この再編成令の上に特別の規定はございません。従いまして、その点については、ただいま委員長からお話のように、法律による改正というような点が必要となつて参るのじやないか、さように考えております。
  54. 福田一

    ○福田(一)委員 今委員長のお言葉では、若干ふしぎな面がある。この点は少し考慮してもよいというような意味のお言葉があつた。これはごもつともな御意見だと私は考えるのでありますが、法律というものは実際に即して運用されて行くのがよいのでありまして、そういう面から見ますと、禁止規定があればこれはどうしてもできないことになりますが、禁止規定がないのならば、私はこれをやつてもよいのではないか、かように考えるのであります。禁止規定がないし、また実は私法律を全部調べてみなかつたからでありますが、私が了承しておるところでは、そういうことをやつてもやれないわけじやない、そういう条文もあるはずだというように聞いておつたのであります。もつともこの問題をこれ以上やつておりますと際限がありませんから、私はこれ以上政府委員答弁を求めませんが、禁止規定があれば、これはもちろんできないことと思うけれども、禁止規定がないのならば、新しい電力会社相互の間で協定をして、また公益事業委員会もそういう意味合いで実情に合うようにリードしてもらうことが非常にけつこうなのではないか、かように考えるのでありまして、それが非常に大きな区域の変更になるということであれば別として、そうでなければ、これはぜひそういう方向へ問題を持つてつていただきたい、かように考えるのであります。どうかこの点は特に御考慮を願いたいということを申し上げて、一応私の質問を打切ります。
  55. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 次は佐伯宗義君。
  56. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 先ほど松本委員長から、未開発水利権の帰属問題を御裁定になつたことが発表されたのでありますが、この電源の帰属は最終的な決定なんでありましようか。最終的と申しますと、水利権の認可は知事が持つているのでありますが、それをもこの裁定によつて支配されるのでありましようか。またこれはただ電力会社だけの間の帰属を定められたのでありましようか、ちよつとこの点を伺つてみたいと思います。
  57. 松田太郎

    ○松田政府委員 ただいまの御質問は、いわゆる建設中のいろいろな工事と申しますか、工作物という問題や、あるいは未開発電源等につきまして、その帰属について昨日再編成の指令案におきまして、一応の承認をいたしておるわけでありますが、それに対して今後絶対に変更がないものかどうか、あるいはすでに決定されておりますそういう施設、工作物等の帰属についても将来変更する意思がないかどうかという御質問でございますが、その点につきましては、先ほども委員長からお答えがありましたように、一応の承認をいたしておるのでありまして、もちろんその後公聴会等の手続きも経るわけでありますから、絶対に変更できない筋ではないと思います。しかしながらこれにつきましては、いろいろな角度からこの問題を検討しておるのでありまして、従つてまた今後、この今度の帰属の問題について一つの方針で進んで参ります以上、すでに決定されております既設の工作物等の帰属につきましても、あるいはこれを変更するのが筋として通るというような場合もあると思います。従いましてそういう場合には、この電気事業編成令の別表第三にもそういうことを開く道ができておりますので、そういう方法も十分活用できるように各関係当事者間でも考えられると思います。また公益事業委員会といたしましても、公共の利益のために、その必要があると思えばそういうことを考えることも必要ではないか、かように考えておるのであります。
  58. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 工事中の発電所の帰属はこれはすでに水利権があつたものでありますから、譲渡の形式その他において公益事業委員会の裁定でそれの帰属がきまるでしようが、私のお尋ねせんとするのは、未開発電源に対する水利権のまだ認可のないもの、その地方知事の認可のないものを、公益事業委員会において各配電会社に帰属を裁定せられたこと自体が地方長官の水利許可権に対する支配権を持つておるのであるか、またもはやそれが最終の認可権になつておるのであるか、こういうことを伺いたいのです。
  59. 松田太郎

    ○松田政府委員 ただいまのお話で、いわゆる水利権がまだ設定されておらぬというものにつきましては、このたびの承認と申しますか、その内容には入つておりません。
  60. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 そういたしますと、今度御発表になりましたものは、一応各河川において未開発電気の水利権が許可のあつたものだけですね。
  61. 松田太郎

    ○松田政府委員 そうであります。
  62. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 そうですが。では次に松本委員長に伺つてみたいと思いますのは、今度日発あるいはまた配電の人事の問題がありましたが、私ども外部から見ますとこういう観察がされるのであります。人事の裁定は日発と配電とはあのように対立いたしました。しかも事業はちようど半分ずつの寄合世帯といわなければなりません。配電と発送電との技術的関係もございます。どこまでも人事は均衡を保たなければならない、こういう意味から申しますと、日発の主唱いたしました、配電と、日発以外の、第三者の公平なるものを会長なり、社長に選んでいただいて、それを中心にまとめて行つた方が将来の運営の能率が上るだろう、こういう見地から日発は絶えずそれを主張して参つたように聞いておるのであります。そこで五人の公益委員の公平な御判断によつて、九人の第三者の最も公平な人をお選びになつて、それが中心になつてきめられることになれば非常に民主的なような感じが起されます。ところが公益事業委員会が各配電会社二十数人ずつをおきめになることはどういう感覚をわれわれ抱くかというと、かえつてこれは五人の独裁であるというような感覚が起るのであります。のみならずこれでよいのではなしに、これから運用して行かなければならぬ、その形を見ると実に相剋の相があるようだ、配電側あり、日発側あり、第三者側あり、しかもそれを統一したのが公益事業委員会である。残されたものは今後これが相対立をいたしまして、内部的に社長を選び、会長を選ぶという、まだこの会社が出発せぬ前に少くともこの会社経営に任じたものであるとすれば、二十数人の者の内部的闘争がしつかりとわれわれは見られる。ところが翻つてみますと、日発が何を主張したかというと、二百何十人の人間のうち六十人ほど主張しておる、今委員長が言われたように、それを大部分迎えたとおつしやるかもしれませんけれども、この六十人というのは総数の上におきまして日発側から六十人であつても、おそらく日発側は第三者、いわゆる社外代表、それらの者が日発と配電との数の上において均衡を保つて行こうということにねらいを置いたのじやなかろうかと私どもは考え得られるのであります。私どもは最も信頼し、かつ敬服いたしております松本委員長のこの人事がどうもあまり感心せざるものがあつたかのように考えられますので、今後この問題について、委員長は聴聞会その他においてお考えくださつて、電力開発に対して非常に重要な人事問題をなさらんことを切望するのでありますが、特に委員長のお考え方をいま一度お伺いしておきたいと思います。
  63. 松本烝治

    ○松本政府委員 ただ今の御質問中六十人という日発側の希望は、日発の理事、それから理事待遇及び参事というものからの希望者を六十人出された、その以外の社外の人は、それはまつたく六十人のうちに入つておりません。この社外の人を新会社の首長にするということは、ある程度今度やつております。たとえば、今度は東京電力という名前になりますですが、大体今までの関東配電の区域に当る東京電力の首長とか、それから東北電力の会長に多分なるかと思う人、そういうような人は、全然電力と今まで関係のなかつた人であります。しかしそういう電力とまつた関係のない人ばかりでは、やはり経営はむずかしいので、全部の長を電力と関係のない人からとることはできなかつたし、またこれは日発側の希望でもなかつた。日発側の希望は、むしろいわゆる社外重役という意味で、非常勤の取締役というものに、ある程度社外の全然新しい人を入れたいという希望でありました。この希望もある程度はわれわれの最後に裁定しました案にまつたくそのままなつておる。ただわれわれの一番困つたことは、日発側が最後にそういう案を出されましたのが、二十七日である。それで二十八日中にはどうしても決定しなければならぬ。そこでそういうような書いてある人々は、はたして重役になることを承諾してくれる人かどうかということを質問したのです。これに対しては答えられなかつた。まあ多分受けてくれると思うという話だ。で多分受けられるかもしれぬという人を協定できめてしまうということは、まあ少くとも受けるという内意を示されている人でなければいかぬものですから、これはどうもできぬことだ。それでその結果として、日発側の最後に出された数人の社外の人たちは、これを願うことができなかつたというだけであります。ほかの点においては、日発側との間に大きな違いはないので、たいへんな、全部がえらい違うように、あるいは世間で考えられておるようでありますが、決してそうではないのです。日発側で出しました最後の案を今度発表されました案とは、ほとんど大部分は一緒なのです。ごく少数のそういう点だけで、どうしても一致ができない。そこでそういう人の承諾を求めるような手続をしたいという希望はありましたけれども、しかしそれはもはや時間が許さぬ。清盛でも日を呼び返すことはできないようなことで、どうしても二十八日中にこれをきめないと、あとの聴聞会やすべてをやつて、五月一日に発足することが不能になるものですから、最初から二十八日の午後四時をもつて終りにしようということを約束しておつたが、それまでの間に社外の日発の希望者の諾否というものが、とうていとれなかつた。その結果何人かの人が、脱落するということになつた。それでやむを得ず裁定ということになつた。さように御承知を願いたいのであります。
  64. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 御懇切な御指示を受けまして、ありがとうございますが、あとの質問をいたしまする前に、ちよつと申し上げてみたいと思いまするのは、私どもは松本委員長を、委員長としてよりも、人格者として非常に尊敬を申し上げておつたのであります。ところが今度の人事問題につきまして、しばらく前には、こういう結果が来るように考えられなかつたのであります。というのは、最初は会長制ではなかつた。主として社長ということで、社会の耳目を一点に集中して来ていたのであります。つまり社長に社外人を選びまして、それは公平な人、そうして人事をきめようというように大綱がなつてつたように、われわれは見ておつたのであります。ところが発表されるまぎわになつて、会長という制度によつてこれを置きかえられて、古いところの配電会社の社長が、ほとんど居すわるというような形になつて出て参つたように思われるのであります。引続いて日発と公益事業委員会が対立して来た。こういう社会に現われたる現象からながめてみますと、非常にわれわれは簡単に考えられない。そこで私はこのことに対して善意に解釈いたしましたのは、かねて先生に師事して、商法の改正の上におきましても、やはり社長制度よりもむしろ会長制度——こういうものと対立いたしまして、独裁企業態勢をかえて行こうというような高遠な先生のお考え方から、本年七月から商法が改正されまして、会長は株主の資本の支配代表というような意味合いになつて行くところに、私はおそらく先生は今度お考えになつて、この人事にお乗り出しになつたものではなかろうか、こういうように私は自分で考えておつたのであります。しかしいずれにいたしましても、この人事は最も大切な企業の運営におきまして、将来大きながんである。とにかくお選びになつた方々の内容においてどうあろうと、私は中心を得ることは困難であるというような観察がされます。  そこでこれはこれでおきまして、いま一つお伺いいたしたいことは、内にはこういう相剋の相を備え、しかも外にはどうか。外におきましては今回の電気事業編成は、まず関東関西という大消費地、この大消費地に対しまして、潮流主義という電源の帰属が、一面におきますと貧弱な電源地帯の固有社会の生産性というものを封鎖いたしまして、巨大な大都会に吸収しておる。この形は電源地帯の消費社会をも、また大消費地帯の消費社会をも独占するという性格を持つておる最も忌むべき形態である。私はおそらく松本委員長におかせられましては、将来この点にお気づきなさる事態もあると思うのでありまするが、わが国民主化の上におきまして、この企業形態は将来国民の中におきまして感情の対立になることは明らかである、私はこう考えられます。従つて先生がこれをおきめになつたのではないし、これはもちろん司令部の命令でございましようけれども、一たびこれを実現すると、再び取返しがつかないと思う。発送電会社が悪いという点は、政治的全国一社制と間違つてしまつて電力が届くことのできない社会までも一つの事業圏にしておるということが悪いのであるが、しかし電力の届く範囲でありますれば、もうすでに生産社会というものと一致しておる点がありまするから、必ずしも日発が悪いとのみ言い得ない、かように考えられまするので、この政令の内容を改正するという御勇気があるものであろうかなかろうかということを承つてみたいと思うのであります。
  65. 松本烝治

    ○松本政府委員 ただいまの御質問中、ちよつと事実と違うと思います点をまず申し上げます。今度の会長とか社長は、定款によつて取締役会の互選できめますので、まだだれがなるかということは申しません。しかしわれわれはどうしてもこの人が中心になつてつて行かなければなるまいという人をまず目をつけて、その人を中心として、人事を大体二十六日まで進めて参つた。これは先ほど申したように、どうしても一つの会社ができまして、何らその中心であるという観念がなしに人事をきめて、ただ人形を集めたような配列をするということでは行くまいと考えて、この人を中心として、そうしてこの人があるいは会長となつてつて行くということの大体の予想のもとにいろいろ人事を評議したのであります。その今度会長となる人たちは一人も今までの配電会社の社長はないのであります。一人もたしかないと思います。つまり全部新しい人といえば新しい人であります。そのうちには電力界と今まで全然関係のなかつた人があるいは二人か三人できると思います。他は電力界と昔は関係があつた人ですが、今の配電会社とは関係のない人たちであります。それからあるいは社長になるのではないかと思う人は、九社今度できますが、九社のうちでもし互選の結果が私などの予想しておる通りになれば、六社だけの人が今までの配電の社長が残るんじやなかろうかと思われるが、これはわかりません。あとの三社は新しい社長になる。そういうぐあいで、決して今までの配電社長とかいうようなものを重視して企画したような人事ではないので、この点がどうもしつかりと世間にわかつておらぬ点もあろうかと思いますので、この点をまず申し上げます。  しかして今度日発をやめることになると、こういう新しい政令の制度がよいか悪いかという立法論については、これはいろいろありましようと思いますが、私として今ここにそのことを論ずる考えはないのでありますが、しかし今度の九社でやりまして、そうしてもし悪いところがあれば、もちろん立法によつてこれを改めて行くということは、これは当然のことだろうと思います。私として今度できました政令の当否とかいうようなことをただいまここで論ずることは、ちよつと今いたしかねるのであります。実行をしまして、そうしてその実行の結果を見て、悪いところがあればさらにこれを改正することにはもちろんやぶさかでないのが当然であろうと考えております。
  66. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 以上で質疑は終了いたしました。次会の議事日程は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十三分散会