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松本政府委員 小坂総裁のいわゆる爆彈声明ですか、そういうようなことを聞きまして、
委員会の方でもはなはだ驚きまして、いろいろ
調査をいたしました。すでに数回
調査を重ねたのでありますが、大体今までわかりましたことで申すと、二十四年度の決算においては十七億円ほどの利益が出ております。それに対して七億数千万円税が拂われております。しかしながら当時の状態においては、石炭界が非常に不確定な状態であつた。石炭はすでに二月とか三月にたくさんのものをと
つてたいておりましたけれども、その価額についてしつかりした調べというものは当時つき得なかつた状態にあつたようであります。その結果、貸借対照表においてこれをあげますときに、大事をと
つて、ずつと前の高いときの値段で未拂金あるいは買掛金、そういうようなことでそれをあげておる。そのようなことの結果として、あとで見れば十七億円くらいのものがあるいはそういうところへ入
つてお
つたのじやないか、しかしその中には、こまかいことは御
質問があればよくお答えいたしますが、後に拂わないでよく
なつた滯納の利息というようなものも入
つておつた。これは石炭代金を拂うのが遅れておつた。そのために何億でありましたか、大きな滯納の利息を拂うべく
法律上の義務はあつた。それを書いておつた。ところがあとにな
つていろいろ石炭の方と交渉をしてみると、炭質が非常に悪いとか、いろいろなものが足らぬとかいうようなことで、その利息を拂わないで済むことに
なつた。そんなようなことで、あとにな
つてみればそれは余つたものに
なつた。そのようないろいろな金が十七億くらいあつたらしい。しかしそのうち約三億くらいはむしろ弁明のつくものであ
つて、これを含みとは称し得ないものもあつたようであります。そんなようなことで、
相当大きな金が隠れておつたという状態であつたと思われます。これはその後だんだんわか
つたので、たとえば滯納利息を拂わぬでよく
なつたならば、そういうものは落してしまうべきもので、早く落すことが怠られておつたことは事実と思います。それから石炭の代金もきまつた。その買掛金が減
つておるやつを減らさなかつたということも、——もつと早く減らし得たと思われるものを減らされないであつたということも事実のようであります。そのようなことの結果として、あるいは十七億円余、三億ぐらいはたしか弁明のつくものもあるようであります。それをとると十四億になります。そういうようなものが二十四年度の決算では、つまりよけいつけてあつた。その結果、それだけのいわゆる含みがあつたということになるかと思われる。この場合に悪意というか、これが何か悪いことをする意味であつたかどうかということについては、われわれが想像するのでは、そういう悪い意味ではない。悪い意味なら何も帳簿につけておくことはやりません。いわゆる二重帳簿とかいろいろなこともありますけれども、そういうことはない。今まで調べた範囲においては絶対にないと思います。ただそういうつけ掛けてあるものを直さずにおいてあつたという状態は確かにあつたと思います。
それから二十五年の九月末日に仮決算をしております。そのときに二十五年度にな
つてから約十八億円近くやはり未拂金その他でつけ掛けたものがある。それを合せますと、あるいは三十六億になるか、あるいは言い訳のつくものを除きますと、たしか三十三億くらいは含みがあつたと、つまり正当な計算
方法では出て来ないものがあつたというようにわれわれは大体認めた。その認めた結果は、大体小坂総裁の言われたところに符合するように思います。こういうことがあつたことはなはだ遺憾なことでありますが、しかしこれは私どもの見るところでは、経理に関する書式等がはなはだ不備のように私は見ております。そういうためになかなか発見ができないということに
なつたんではないか、こういうことを十分に発見するためには、常時数人の有能なる会計士的の人でも置いて、一
会社に数人ずつ出して見てでもおらぬと、なかなか出て来ないと思いますので、私どもの見たところでは、今まで監督されておつた方には、結果において見れば多少の懈怠があつたかもしれませんが、しかしながらああいう大きな、数百億に上るような計算をやる
会社経理を、ごく少数の人で監督して正しくさせようということは無理である。その監督の責任ということについて、ここで私が申し上げる筋ではないとは思いますが、試みに私のただ考えを申せば、監督の側にも多少の過失はあつたかもしれぬけれども、これはいたし方のないことであ
つたのではなかろうかと思う。これから先はひとつ新
会社に対しては、われわれは経理に関する嚴重な規則を出しまして、書式をきめて、そういうあいまいなことができないように、びつ
しりやりたいということを考えております。
調べましたことは大体そんなことでありますが、何と申すか、こういうことがほかの
配電会社にもあつたかどうかというお話も先ほどありましたが、これは調べてみませんとわかりませんが、
日発にあつたから
配電会社にもあつたろうということは、私は言えないと思うのです。
この際処置をどうするかという御
質問もないようでありますが、先まで申しますと、今度再
編成で、すべての
会社をつぶしてしまうのです。その財産は全部新しい
会社に移るのです。わずかな清算費用——
日発については多少の残余財産の分配額を除いて、あとはみんな新
会社に移るのです。そのときによそに落ちないようには十分に注意したい。そのためにはわれわれの方の人間が少し足りないのではないかと思
つております。場合によ
つては何か專門の人も少し頼んで、そうして経理の方の表とかあるいは規則とかいうものをつくると同時に、今度再
編成の場合に、よそに出て行くようなことは断じてないように取締
つて行きたいということを考えております。それで何とかなるであろう。こういうことが起
つたのははなはだ遺憾なことではありますが、しかし何と申すか、これはある意味では、御承知のように冬季に渇水期があ
つて、このごろは、先ほども平井君から御
説明したように、毎日一億円以上の石炭をたいております。一億円からの石炭を毎日たくと、三十億円ぐらいのものはすぐなくな
つてしまう、そういう大きい会計ですから、小さいところにこういうことができる。それから渇水期のために何とか渇水のない、つまり豊水期時代、二期にわけていえば上半期の計算において、多少の渇水
準備金を積んでおくことが必要なんです。その渇水
準備金を積むことにしますと、今の
法律では税をとられる。ことに二十四年度あたりの税は莫大な税です。積まれる金のほとんど大部分は税にとられてしまう。そういうことになりますと、せつかく渇水
準備金を積もうと思
つても積めない。その積めないやつを何とかして積んでおいて、あとの湯水に備えようというような考えが、だれの頭にもあり得るので、そういう頭から計算をしますと、ついまだ未拂いであるものの価額を少し大きく考えるということはありがちなことで、これは私は
制度の方を改めぬとむずかしいので、もしだれが悪いのかといえば、むしろ
制度が悪か
つたのではないか、すなわち経理の
方法について十分な規則等がなく、書式などもあまり完備しない。渇水積立金というような
準備金に対して、所得税の非常に過大な税をかけるというような
制度では、どうしてもこういうことは起ることじやなかろうかと思う。これのためにだれかが自分のふところに金を入れたということはないと今までの
調査では考えております。こういうことが将来にないようにして、従来のところは大体においてある程度までは許しておくということが、かえ
つて穏当な処分ではなかつたかと考えております。この点は、まだ十分
委員会で
調査を全部遂げたわけではないのであります。それだけお話をしておきます。