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1951-01-30 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年一月三十日(火曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       江田斗米吉君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       村上  勇君    河野 金昇君       佐伯 宗義君    加藤 鐐造君       風早八十二君    田代 文久君       河口 陽一君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  出席政府委員         公益事業委員会         委員長     松本 烝治君         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         公益事業委員会         技術長     平井寛一郎君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務         官         (大臣官房長) 永山 時雄君         資源庁長官   始関 伊平君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 一月二十九日  委員小平忠君辞任につき、その補欠として河口  陽一君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 一月二十三日  自転車競技法を廃止する法律案河田賢治君外  二十五名提出衆法第三号) 一月二十五日  特許法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四号)  実用新案法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五号)  意匠法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六号)  弁理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号)  商標法の一部を改正する法律案内閣提出第一  十八号) 一月十六日  中小商工業者不動産担保による長期金融対策  確立請願志田義信紹介)(第一二号)  鉱業法改正に関する請願平井義一紹介)(  第六三号)  炭鉱資材異常売掛金回収促進に関する請願  (小金義照紹介)(第六五号)  中小企業者に対する金融対策確立に関する請願  (阿左美廣治君外一名紹介)(第六六号)  鉱業法改正に伴う租鉱権設定に基く租鉱料引  下げの請願江田斗米吉紹介)(第一一〇  号) の審査を本委員会に付託された。 同日  鉱業法中一部改正に関する陳情書外六件  (第  二一号)  中小企業信用保險法改正に関する陳情書外一件  (第三八号) 同月二十六日  炭鉱資材売掛金回収促進に関する陳情  (第六二号)  度量衡器及び計量器検定事務並びに同手数料の  地方委譲陳情書  (第一一七号)  四国に公益事業委員会事務局支局設置に関する  陳情書(  第一三八号)  中小企業等協同組合危機打開に関する陳情書  (第一四五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  特許法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六号)  実用新案法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五号)  意匠法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六号)  弁理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七号)  商標法の一部を改正する法律案内閣提出第一  八号)  小委員会設置の件  電気事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。  まず御報告申し上げます。小平忠君が通商産業委員を辞任せられまして、そのかわりに河口陽一君が通商産業委員に選任せられました。また同じく風早八十二君が辞任せられまして、かわりに砂間一良君が選任せられました。  右御報告申し上げます。  次に小委員会設置の件についてお諮りいたします。本件につきましては、先日理事会にお諮りいたしまして、従来の五つの小委員会のほかに、もう一つ貿易に関する小委員会を加えまして、合計六つの小委員会を設置することとして、その小委員及び小委員長委員長において御指名申し上げることに相なりました。さようとりはからいましておさしつかえありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。よつて小委員会六つといたします。  すなわち一、電気及びガスに関する小委員会一、地下資源開発及び合理化に関する小委員会一、中小企業に関する小委員会一、工業に関する小委員会、一、繊維に関する小委員会、一、貿易に関する小委員会、以上六つの小委員会を設置いたします。その小委員及び小委員長の御指名は後日に讓ることといたします。  この際通商産業大臣より発言を求められましたが、これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。横尾通商産業大臣
  5. 横尾龍

    横尾国務大臣 昨年中は委員の各位が通産行政に対して多大の御協力、御寄與くださいましたことに対しまして厚くお礼を申し上げます。本年も相かわらずしかるべく御指導、御鞭撻のほどお願いいたします。  本日通産委員会の開催せられるに際しまして、新情勢に対処する通商産業政策基本方針につきまして所信を述べ、諸君の今後の御批判と御協力をお願い申し上げたいと思います。  まづ第一に最近の経済情勢に対処して、何よりも緊急な課題は、申すまでもなく輸入の問題でありますので、本問題については多少詳細に申し上げたいと思います。  従来輸入を阻害しておりました原因の一つとして、まづ通貨転換性につきましては、最近のポンドのスワツプの制度が認められ、また外国銀行ポンドのユーザンスの便宜を供與してくれることになり、またオープン・アカウントの運用につきましても、スイングの額を超過しても重要物資買付を停止上ないように運用することに関係方面の了解を得ましたので、これらの問題は大体解決したと思つております。  次に逐次増大いたしまする輸入物資引取資金の問題につきましては、最近日本銀行のスタンプ手形制度拡充することになりまして、これによりまして輸入資金の問題は大体解決すると思われます。また輸入貿易管理制度の適用につきましても、自働承認制度拡充重要物資輸入限度についての緩和、あるいは撤廃、標準外決済、仕入地の変更、輸入期間延長等許可基準緩和、さらにまた輸入担保制度について担保金額の減額、担保没收條件緩和等、極力輸入業者活動の自由を拡大する心算であります。  次に政府貿易の問題であります。貿易のように特に機敏な処置を要する事業については、極力民間の自由な活動にまつべきは当然であり、従来もこの方針を推進して参つたのでありますが、各国間における物資獲得戰の激化、重要物資統制強化に伴い、政府みずからこれに当らねばならぬような事態が増加することが予想されますので、さしあたり緊要物資輸入基金を設置し、困難な物資を取扱う予定であります。なお特に今後の情勢変転緊迫いかんによりましては、海外原材料輸入が突然不円滑になることも十分に予測されますが、このような場合には原材料の欠乏により、ただちに産業界に大混乱をひき起すことは必至でありますので、でき得る限り重要物資買付を促進するとともに、少くともその相当部分を常時国内に蓄積すべきであると考え、その機構として本基金を活用することを考え、目下その具体的細目について研究しております。  さらに輸入促進対策としてぜひとも早急に解決を要するものは、御承知の通り船腹問題であります。本問題についてはその金融について従来の方式による急速な解決が不可能な場合には、通産省としても現在の貿易特別会計余裕金を一時活用するというような方法援助することが可能ではないかと思つておりまして、目下関係当局と打合せ中であります。  以上輸入確保についてのみ申し上げて、通商産業政策の一根幹をなす輸出振興の問題にふれなかつた感がございますが、生産増加に、また備蓄に、今後ますます多量を要する必要物資確保のためには、輸出のさらに飛躍的な伸張にまたなくてはならないのであります。従つて輸出振興対策についても従前以上に諸種の対策を促進して参るべきことはあえて多言を要しないと存じます。  次に国内生産増強につきましては、海外依存度を極力少くするため、先ずわが国資源徹底的開発を中心にいたしまして、ことに今後その需給の逼迫すると見られます金属鉱物電力、あるいは広く民生および産業基礎物資たる石炭業開発については、従来の方策をさらに積極化し、また現に不足しあるいは近い将来において不足すると見られる物資については、極力その生産設備拡充に努めますとともに、国内資源を有効に利用して、不足物資の代替可能な産業、たとえば各種の合成化学事業等についてもその拡充を期しております。  生産増強を推進いたしますためには、必要な産業資金の円滑な供給がその成否のかぎともいえますので、産業資金確保については後に述べますようにあらゆる努力を傾注いたす所存でありますが、資源開発生産拡充用設備に必要な資材については、その必要量を必要な時に確保せしめるよう、これに援助を與えますとともに、現に行つております、探鉱あるいは試掘の助成金の増額をはかり、さらに今後絶対に確保すべき緊要物資生産のために、必要とあれば政府はその生産設備等についてさらに積極的な助成策を講じたいと考えております。  この機会に特に申上げて置きたいことは、政府の従来行つて参りました合理化促進対策は、今後も状況の許す限りますます強力に推進する決意であるということであります。ただ合理化の重点は、單なるコストの切下げでなく、原材料消費節約と製品の品質向上に向けて行くことが必要であると思つております。従つて生産技術向上生産方式改善等技術向上につきましては試験研究およびその結果の企業化につきまして、さらに一層の努力をいたす所存であります。  現状におきまして輸入促進あるいは生産力拡充対策におきまして、最も重要でありかつ緊急を要する問題は、これに必要な産業資金供給いかんの問題であります。  産業資金調達方法としては、原則として民間蓄積を主体とすべきは当然でありまして、その一助として設備拡充合理化等についての税金の免除、軽減措置等について目下金融当局と協議しております。但し大量の長期資金需要はとうてい民間資金のみではまかなうことは困難でありますので、見返り資金復金償還金預金部資金長期運用引当分等国家資金を動員して、これらの資金源をもつて緊急な産業資金に集中的に投入することが絶対に必要でありまして、これがため開発銀行預金部資金運用等について目下研究を進めております。  今までわが国産業界全般にわたる問題について触れて参りましたが、中小企業については特に一言申し述べたいと思います。昨年の夏以来の景気の上昇に伴いまして、中小企業においても事業が活溌化し、その状況も明るくなつているかのようでありますが、中小企業がその企業規模が弱小なため、本質的に内蔵する弱点は、経済変転のときに当りましては、最も強く露呈されるのでありまして、この本質的な弱点解決するため今後なお一層その合理化をはかり、その協同化を促進するため、協同組合あるいは協同施設の活用を高度ならしめ、中小企業最大難点である金融の不円滑さを解消せしむるよう中小企業信用保險制度中小企業に対する金融わく増大等に努めて行きたい所存であります。  最後物資需給の適合につきまして、さきに申し上げました輸入対策及び生産対策を強力に推進して供給力増大をはかり、統制手段は極力避けるよう努力する所存であります。ただ若干の重要物資については、その需給は国際的に特に逼迫しておりますので、今後の各般情勢によりましては、統制のやむなきに至る場合があるかもしれませんが、その場合にも統制の範囲を極力局限するとともに、統制方式を簡素にし、特に一般国民大衆に影響を及ぼすようなことは極力避けたいと思つております。なお自治統制につきましては、事業者団体性格政府の行うべき権限の一切を行うようなことはもちろん不可能でありますが、統制を行う場合には、でき得る限り民間経済道義自治協力の能力に信頼して行きたいと思つておりまして、これがため必要な関係法令改正につきましては目下安本当局とともに研究しております。  以上通商産業施策基本的方針について御説明いたしましたが、最近における情勢の推移はきわめて急速かつ激甚でありますので、各般施策は特に急速を要するのでありまして、諸君の強力な御援助を特に期待いたす次第であります。
  6. 小金義照

    小金委員長 次に通商産業省より本国会に提案する準備を進めている法案について、ごく簡單説明を求めることといたします。永山官房長
  7. 永山時雄

    永山政府委員 今度の国会通商産業省におきまして提案を考えております法律、それからいわゆる問題になつておりまするそういうものにつきまして、ごく概略御説明を申し上げます。  お手元に資料がおまわししてあるだろうと思いますが、大体全部で十五件ほどあるようでございますが、いずれも比較的簡單内容法律でございます。それでこの順序を追うて御説明申し上げますが、第一の輸出信用保險特別会計法一部改正法律、これは先般制定されました輸出信用保險がその後だんだん規模増大して参りまして、特に昨年の十二月に中共向け輸出制限法令措置をとりまして以来、この関係保險をつける契約が非常に増加をして参りまして、従つて資金的な需要も増して来た、それに応じまして現在の基金十億では足りませんので、とりあえず年度にまたがる借入金の道を開きまして、その需要に応じて参ろうというのがこの法律改正の骨子でございます。  それから次の計量法でございますが、これは現在度量衡法として実施されております法律全文改正いたしまして、計量法として新しく提出することにいたしたわけでございますが、現行法度量衡法は明治四十二年の法律で、非常に古い法律である関係から、いろいろな点におきまして現在の時勢に即しないという関係から改正しようというのが、この趣旨でございます。たとえば現在の度量衡法では長さとか、面積とか、体積とか、比較的單位を規定しておる数が少いのでございますが、これをさらに時間、早さ、加速度というようなものも規定し、その他現行法時勢に即さない点を改正しようということでございます。これはただいま法制局で審議中でありまして、大体二月の下旬に決定をいたしまして、国会に出そうと思つております。計量法施行法は、ただいま申し上げた法律施行法であります。それから高圧ガス取締法、これもやはり非常に古い法律である関係から、計量法と同じような趣旨全文改正をして行こうということでございます。これも大体二月の中旬から下句に国会提出ができる、こう思つております。それから次の特許法実用新案法意匠法商標法弁理士法、この五件は同じ性格でございまして、現在主として手数料が非常に安過ぎるということで、これを改正していただくということでございます。これはすでに国会提出されておるのでございます。それから帝国鉱業開発株式会社法は、すでにその必要がなくなつて参りましたので、廃止をしようというので、これまた二月中旬には提出ができると考えております。それから重要物資輸入基金特別会計法は、先ほど大臣から御説明申し上げました中に一部入つております。必要に応じて政府貿易をやつて行こうという意味の法律でございますが、これも二月中には提出したい、かように考えておりますが、まだ司令部との全面的な折衝が終つておりません。  これからなおその他に考案中の法案といたしまして、輸出品取締法の一部改正、これは現在の……(「議員提出法律案なら説明してもらわなくてもいいぞ」と呼ぶ者あり)それではお言葉に従いまして、以上で終ります。
  8. 小金義照

    小金委員長 それでは次に、電気事業に関する件について調査を進めることにいたします。本件につきまして発言を求められております。順次これを許します。神田博君。
  9. 神田博

    神田委員 ただいま通商産業大臣から、続いて通商産業大臣官房長から御抱負の一端を御報告いただきました。それで質問したくなつたのでありますが、委員長から電気事業の方をやれというので、残念でありますが、これは後日に譲ります。  電気事業の再編成の問題でありますが、電気事業の再編成は、電気事業そのものにとつても重大な問題でありますが、わが国一般産業界、あるいは一般国民生活に密接な関係がある。こういうようなことから考えますると、これはきわめて重要な問題であるといわなければならぬと思います。われわれ自由党といたしましては、政府と緊密なる連絡をとりまして、ここ数年調査をして参つたのでありますが、幸い昨年の六月以来電気事業編成に関しまして、特別委員会等もできまして、いろいろ研究いたしまして、最後成案というようなときにあたりまして、ポツダム政令が公布された。このことにつきましてはいろいろ議論があるのでありますが、すでに論議も十分なされたあとでありますので、しばらくお預けといたしまして、とにかく十二月一日から実施されたということになりますと、ちようど渇水期にも相なつておりまするので、電力融通の問題が円滑に行くかどうか、あるいは電気料金調整がうまく行くかどうか、われわれはその内容を非常に知りたいと考えておるわけであります。ことに成案の一部が変更された、また再編成期日繰上つて、五月一日になつておるようなことが新聞に伝わつております。これらの点につきましても、国民ひとしくこの経緯と再編成実施に関する方法はどうであろうかということにつきまして、知りたいという気持が一ぱいであろうかと考えております。幸い松本委員長がお見えになつておられますので、委員長から今日までの経過、今後の見通し及び料金調整等電力融通に関する具体的なお考えができておりまするならば、ここで御説明をいただきまして、逐次御説明内容によつてお尋ねをして参りたい、かように考えております。まず委員長からひとつ御苦労さまですが、御説明をお願いいたしたいと思います。
  10. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。電力あるいは電気事業の再編成の重要であることは、ただいま神田君のお述べになつた通り、同時は非常に困難なことだと考えております。資本額から申しましても、日発資本が三十億円、それから配電会社資本総額が四十二億円、こういうような大きな会社をすつかりこわしまして、九つの会社にするという仕事でありますので、法律的に申しましても、また実際的のいろいろなことにつきましても、非常に困難である。ただいまの御質問は、どうして期日を繰上げたかということと思います。期日を別に繰上げたわけではないのでありまして、例のポツダム政令によりまして、十月一日に新会社が発足すればよいということになつておりますのは、これは最終期日を書いておいて、その最終期日の前にやる方がむしろよいと認めて早くしたというにすぎないのであります。こういう重大な、また非常に困難な仕事を短い期間の間にやりますことは、よほどむずかしいことではありますが、しかしこの電気事業サービス改善とか、また電力開発とかいうような仕事は、なかなか腰をすえてかからなければできない。今の会社がみんなつぶれてしまつて、新しい会社ができる、どういうように会社がなる、またどういう人がその会社をやつて行くのかということがわからない期間が長く続きますと、その間にはおのずから、今のサービスとか電源開発仕事ができなくなつてしりをおちつけてやることができなくなります。長い間考えた末、婚約をした以上は早く結婚した方がよい。そこでしりをおちつけて早く仕事をさせたいという趣意で、法律上最も短い期間でやつてもらいたい。どうせやろうと思えば一年でも足りないかもしれない。そうなればできるだけ短い期間でやろうということで短かくした。そういう趣意と御了承を願いたいのであります。大体スケジュールを申しますと、一月の八日に持株会社整理委員会の方から再編成仕事委譲を受けまして、即日ただちにすつかりスケジユールをきめて、これを通達したのであります。そのスケジユールによりますと、二月八日までに各会社から再編成計画書を出させまして、そうして二月の二十三日にこちらで認可をして決定をする。それから三月の十日から二十日までの間聽聞会を開きまして確定をする。そうして四月一ぱいに、法規によりまして異議を言うことができる。そのために一箇月の期間を置きまして、異議がなく、あるいは異議がありましてもその異議が却下されましたならば、五月一日に新会社が発足をすることにしよう、そういうスケジユールを定めて始めたのであります。このスケジユールは、先ほど申したように非常に急いでやることで、かけ足以上の早さでやるのでありますが、どうしても会社当局者がよほど和衷協力してくれなければできないということは明らかでありますので、われわれは一月八日に会社の首脳の当局者を集めまして、短かい期間内でぜひやりたいということを話しますると同時に、われわれの役所のすぐ前の方にある事務所役所で借りまして、その事務所に各会社当局が集まつて、そこで一堂に会して相談をしてもらう。各自別々にやつていてはとても間に合いません。そういうことにしまして、それ以来各会社当局はほとんど休みもなく、またひどいときには朝の三時まで働きまして、今いろいろの点について折衝をやつております。今見ましたところでは、大体目途はきまつたようであります。その役所の近くでそういう折衝をやつておりますから、自然役所との間の意思の疏通も自由にできます。しばしば各会社当局が来られ、役所もその相談に応じてやつております。おそらくは二月八日には各会社の再編成計画書がりつぱに出ることと期待しております。そういうことでありますので、私どもはこのスケジュールの定めておる通りに進行して、早く再編成事業ができ上つて、新しい会社の新しい当局者しりをおちつけて、ひとつ仕事にすぐとりかかつてもらいたい。どういう仕事にとりかかるということについては、もうしばらくたちまして、再編成の方のことが一段落を告げましたならば、ただちに各会社当局と話合いをやつて行きたいというように考えております。大体このことはそういうことでありまして、電気料金調整その他のことにつきましては、少くとも成案はまだ何もありません。できるだけよいものにしたいという趣意で、委員会におきましては、わが国の最高峰にあるといわれておる電気関係工学者を五人ほど集まつてもらいまして、ほとんどこのごろは連日委員会においてこういうことについての会議をしております。また金融関係についても相当有力者に頼みまして、われわれの相談にいろいろあずかつてもらつておるということで、全力を盡して早く再編成事業がうまく行くようにということで努めておるつもりであります。
  11. 神田博

    神田委員 松本委員長から、電力編成は初めの予定が十月一ぱいであつたものを、五月の一日までに新会社が発足できるような最善の努力をするために、諸般の準備を進めておる、こういうお答えでございました。そこでお尋ねしたのでありますが、十月一ぱいまでにやるということは、政府においてはそのくらいかかるということで十月一ぱいときめられただろうと思うのであります。もとよりそれまでにやらなくてはいけないが、その前にやることはかまわない、これは私もさように了承しておりますが、しかし予定の半分くらいの期間でできる、またでかすんだということは、政府側の考えは初めは少し甘かつたのである。委員会ができて検討した結果、期間が半分に短縮できるというふうにお考えがまとまつたという意味なのか、あるいはまたその筋からやれと言われてこういうことに相なつたのか、この点を通産大臣松本委員長からまずひとつ承つておきたいと思います。
  12. 松本烝治

    松本政府委員 たしか十月一日が法定の最後期日になつておつた。それを五月一日ということにしましたから、五箇月ほど早くなりました。これは最初の緊急政令の出ました時分には、どういう手続がいるかということについて、十分考慮がされておつたかどうかは存じません。ただいま申したようにできるだけ早くすることが電気事業のこれから先の発展ということに絶対に必要だ。すでに御承知のように、昭和十三年でありましたか、いわゆる日発ができましたあの時分なども、その二年くらい前から非常にこの問題がくすぶつてつて日発をつくる方がよいとか、反対だとかいうような議論がありまして、その間すつかり民間の人の事業意欲を失わしめた。そのために——もつとも人によつていろいろな予想がありますが、あるいは百万キロくらいのものはだまつていたらできたかもしれないものが、できないで終つてしまつたというような、そういうことは非常に遺憾なことであつたと思います。いやしくも今度再編成がきまりました以上は、一日も早くこれを完成して、できるだけ早い期間内にやりたい、そうしてしりをおちつけて働いてもらいたいという趣意であります。その間やはり早くした方がよいという意味のいろいろな忠告は確かにあつたことと思います。大体の経緯はそんなことでございます。
  13. 横尾龍

    横尾国務大臣 十月一日はあまり長過ぎたのじやないかというお話でありましたが、今となりましてはさような感もいたします。しかしその当時は非常に困難な事業であり、相当期間を持つて万全を期したいというのでやつたのであります。われわれとしても見積りが少し長過ぎたということは事実だと思います。
  14. 神田博

    神田委員 私は別に責任をどうこうと言うのではありません。約半分近くも繰上つてしまうということは、今委員長の御説明もありましたように、私も気持は同感でありましてよくわかるのでありますが、通産大臣からもお答えがありましたように、これは相当のエキスパートも参画しておられたはずであるし、おそらくあれだけの案をおつくりになる際には、日発なり配電会社等にも十分なる連絡——というとはなはだ何でありますが、これくらいはかかるという確固たる事情をおつかみになつておやりになつたのじやないかと思うのであります。委員会ができてそんなにいらないということになつたのか、あるいは初めから山をかけてお出しになつたのか、どうもその点がはつきりいたしません。もちろん早くやることはけつこうでありますが、しかし早くやつたがためによいものが生れなかつた、いわゆる月足らずであつたということになつては、これまた一般産業界、あるいは国民生活にとりまして重要な関係があるのでありますから、遺憾のことがあつては大きな迷惑が起るわけでありまして、どうも委員長大臣の御答弁をお聞きいたしますと、お二人のほんとうの腹でなくて、やらざるを得ないような情勢があつておやりになつたのじやないか、こういうふうに考えざるを得ないのでありまして、委員会のことでございますし、お互いにざつくばらんに腹を割つてひとつ御相談してもさしつかえないのじやないか。いろいろエキスパートを雇つてたいへんくふうしたのだと言われておつても、一般国民にとりまして政府が多年にわたつて調査されて相当期間かかると言われておつたものが、そう簡單に半分近く短縮されるということは、どうしても納得できないことでありまして、その点基本的な大事なことでありますので、もう少し腹を割つて御答弁願いたいと思います。
  15. 松本烝治

    松本政府委員 ただいま山をかけたのではないとかいうお話でございますが、そういう趣意はごうもなかつたと思います。もし山をかけるなら、二年くらいはどうしてもかけておかぬと、本式にゆつくりと構えてやつたら、なかなかできぬと思います。ところがこの際遅らすことはできないということは、先ほども申したように、どうしてもしりをおちつかしてやらぬと、電力開発——ことに電力開発ほど今緊要なことはない。御承知のように、このごろのように、ときどき停電があるとか、工場がすつかり遊んでしまうというような状態で長くいることは耐えられない。何箇月でもいいから縮められるだけ縮めようというので、十分再検討をした結果、五月一日ならできるという確信を得てそういうことにしたのであります。これは五十歩百歩でありまして、二年もかかるようになつておつたものを、数箇月でやるというわけでは決してないのであります。また今お話のように、各方面からもそういうような意向はもちろんありました。早くしなければいかぬではないかということはもつともなことと思つて、これによつていろいろの構想に構えまして、やることにしたというように御承知を願いたいのであります。
  16. 横尾龍

    横尾国務大臣 実は私は委員長初め委員のきめられた以後連日、年頭の一日を休んだだけで長時間おやりになつていただいていることに対しては敬意を表しているのでございます。委員長がおつしやるように早く仕上げたいという御意見のもとにおやりになるものと存じます。重ねて申し上げますが、十月一日というのは、あるいはお話の通り少し長くとり過ぎたのではないかという気もいたしますが、これはなれないことでありまして、そのくらいかかりはせぬかという判断をしたのであります。この点はさような事情であります。
  17. 神田博

    神田委員 これは何度言つても同じことになるのではないかと思いますが、実は大臣は自分は知らなかつたら、始関君がおるので、始関君に答弁をさせようというくらいのことかと私思つてつたのであります。それはどういう意味かといえば、再編成は実質的の画と、形式上の面とが両方あるわけであります。形式上の面で再編成で行くということならば、作文的な再編成になり、そう時間はかからぬと思う。やり方によつてはどうにでもなると思います。しかしおそらく電気のような基幹産業であつて、ことに日発を解体し、また配電会社も解体して、それだけの広大なものをさらに九つに再編成するということに相なりますならば、それは形式的な分割であつてはいけない。やはりどうしても内容的にも検討された——この際たとえば資産の評価にいたしましても、帳簿上物価が幾ら上つたのだから、何倍かけてやるんだというようなことでなしに、これはことに地域も全国にまたがつておるわけでありますし、それから日発を形成した、あるいは今の九配電会社ができた事情を考えましても、それぞれの、数百あるいは数千に上る電気事業者を集めてできたのでありますから、評価一つの問題にいたしましても、これはなかなかたいへんだろうと思います。それを考えたればこそ十月一ぱいまでかかるということであつたのだろうと思う。その点は、私もこれはなかなかたいへんだろうと思つておつた。ところが今委員長からお聞きしますと、それが五月一日には新会社ができるのだ、大臣のお話を聞くと、初めの案は甘かつたと言わんばかりの御答弁でありまして、自分たちの考えとはなはだ違うのでありまして、もつと他の事情によつて、他の要請によつて、これができるとできないとにかかわらず、どうしてもこの期日にやらなければならぬのだ、日本の現状はそうなのだということをはつきりおつしやつていただいた方が、われわれは納得ができると思う。そうでないと、政府の今後のいろいろな御提案が、いつも山がかかつているのではないか、こういうようなことに見られやしないか、あるいは抜けておるところがありはしないか、非常なずさんなものが出やしないかという感じを、私ども国会なりあるいは国民一般に與えるということは、私ははなはだ遺憾だと思うのです。実質的にあるいは形式的にこういう重要な問題を取扱つた場合に、このくらいの期間は実際にいるのだ、しかし今の日本の置かれておる現状が、いやが上にもこういつた短縮した期限をとらなければならないのだ、だから無理があるのだ、しかしその無理があつても、これはやつた方がいいのだということであるならば、これは、今日講和の問題も控えておるわけでありますから、おそらく十月というようなことになれば——講和はもつと早いのではないか、講和前に再編成が完了しておらぬということは、占領政策が完了しないということになるので、そこで日本の民主化の一面が到達しない点があるのだ、それをおそれるからここでやらなければならぬのだ、多少の不満があつてものんでくれというなら、これは話がわかるのです。その真相をおつしやらずに——もちろん政府の責任でありますから、政府として、今のような形式的な一つの言い方もあろうかと思いますが、速記を残していけないのでありますれば、速記をおとめになるなり、あるいは秘密会でやつた方がよろしいというなら秘密会を開いて、腹を割つて説明すべきだと私は思います。期間が半分にできるのだ、それがほんとうであつたというならば、これは私はゆゆしい問題だと思います。通産大臣にしても、あるいはこれに関係された善良な役人諸君に非常な迷惑がかかると思う。私は、その疑惑を解くためにも、その場限りの答弁ではなしに——これは日本人ばかりの集まりであつて政府国会が腹を合せてやつても、私は決して悪いことではないと思う。形式的に、こういう日程を、しつぽを抑えられたからそれで割り切つて、そうしてこれでできるのだということは、これは私はあまり法律的な、しかも形式的な御答弁、ではないかと思う。これは私は納得できない。一月八日に持株整理委員会から権限を委譲された、その委譲された権限に基いて、再編成の計画書を二月八日までに持つて来い。その二月八日という期限に縛られておるから、計画書はいい加減なものとは言いませんが、それは形式的なものになろうと思うのです。私どもの良心的な見方をしますと、ことにこれは、今日の公益事業委員会の発足ぶりから見ましても、そう十分整つた組織のある委員会だとはまだ考えておりません。先ほど松本委員長からも、いろいろな問題についてもこれからだと言われたくらいで、まだ私は無理だと思つておる。一箇月で再編成の計画書を持つて来て、これはあと十五日もたてば認可してしまうのだ、それはえらいことだと私は思う。近所に日発配電会社が一緒になつて来ておるから、晝夜兼行でやればできるのだ。できるかもしれませんが、私が申し上げたような、国民の納得するほんとうの再編成、実質的にも形式的にも十分調査して、そうして成案を得たものだということはもちろん日をかけたからといつて、小田原評定をやつておつたんではこれは意味はないし、へぼ将棋考えるほど愚手を打つということわざもございますから、日がかかつたんだから必ずいいものができるとはもちろん私も考えておりませんが、期間の短縮ぶりがきわめて顯著だ。そういうことを考えると、これは官庁の名誉のためにも、何かそこで腹を割つて、実はこういう事情があるのだということを、通産大臣として、優秀なるお役人をたくさん部下にして、平素劇務に携わつておられる立場から考えても、一言これはどうしても腹を割つて——今の御答弁だけになりますと、大臣を補佐する善良な通産省の官吏は、その逆な方の官吏であつたという印象を與えやしないか、そうすれば今後の通産省のすべての問題について、そういう前提に立つて議論を進めて行かなければならぬということになりますので、ことに民間御出身の通産大臣は、人情も厚いと聞いておりますので、これはひとつ通産省全体の官僚諸君のためにも、もう少し腹を割つた御答弁を願いたいと思います。私は政府を責めようとか何とかいう意味ではない。そんなに短縮できるものなら、初めから短縮してもいいはずです。やり方はいろいろあると思います。速記をおとめになるなり、秘密会になさるならなさるとか——われわれは政府の資料に基いて審議しているのですから、それが今後一切が当てにならぬということになる。この前の第七国会でありますか、そのときにも、これだけの期間がいるということを担当政府委員が詳細に説明されておるのです。それが老練の、欲のない公益事業委員会松本委員長さん初め委員ができたから、半分になつたのだ。私はこれだけの事情ではないと思う。くどいようでありますが、私がお尋ねした腹の底をひとつ見せていただきたいと思います。
  18. 松本烝治

    松本政府委員 今通産大臣の御答弁をお求めになりましたが、通産大臣は実は何も知つておられぬと思います。私どもの委員会がこれをきめたので、私どもの委員会がこれをきめることについては、何ら通産大臣とは関係がない。通産大臣はわれわれの方の主務大臣でも何でもないのであります。それでわれわれがこれをきめたのですから、通産大臣は何にも事情を御承知ないと思う。よつて私からお答えしますが、十月一日というのは、先ほども申したように、最長期限、これまでにはぜひともやろうというものである。それよりも短かくやることは、できれば短いほどよろしい。そこで先ほど申したように、内外の情勢でどうしても早くやる方がよろしい、実際早くやるようにという要望は各方面からあつた。しかしながらいかなる方面から要望がありましても、できないことは引受けません。法律上あるいは事実上できなながらよく研究しました結果、できるだろうというので引受けた。ただここにお断りをしておりませんが、五月一日にできるはずではありますが、もし何か支障ができますれば、たとえば異議者がたくさん出て来るというようなことがありますと、あるいは異議が成立つて、さらにやり直すということになりますと、少くとも二箇月ぐらい延びます。だからしてあるいは七月というようなことになるかもしれません、あるいはもつと延びるかもしれぬ。しかしこれは絶対にそういうもののないように完璧を期してやりたいというので、責任を持つてつておるつもりであります。その点は御安心を願いたいと思つております。しかし物事はなかなか思うように参りませんから、あるいはやむを得ず延びるようなことが起るかもしれない。こういうことを考えますと、最初の立法において五月一日とすることはできない。やはりゆとりをとつておかなければならぬ。それから十月一日としてあるものを五月一日にやるのはむりじやないか、まつたくむりなんです。むりであるが十月一日ならぬりではないかというと、実はやはりむりなんです。非常にやつかいな仕事で、同じむりをやるなら思い切つて早くやつてしまおうということなんです。十月一日であつでもいわゆるだらだら急で、あとになつて、ぎゆうつとやつたところで同じようなことになる。最初から全力を盡して今やつております。われわれも休みもなく、ほとんど晝夜このことに没頭しております。そういうことでできるつもりでおります。できたところで元々、もしできない、あるいは延びるようなことがありましたならばおわびをしなければなりませんが、そういうことのないことを希望し、かつ今までの経過ではそうならないで済むと思つております。さよう御承知を願います。
  19. 神田博

    神田委員 通産大臣公益事業委員会ができる前に、しばしば電気事業担当の主管大臣としてお述べになつておられましたので、その責任につきまして今日こうした事業委員会ができて、こういうような期間を短縮された。それについて責任を問うとかいう意味で申し上げておるのではないのでありまして、通産大臣として御自分で主管大臣としておとりになつたのであるから、私はやはり何か一言ほんとうのことを言つてもらいたい。松本委員長委員会ができてからの委員長ですから、これは終始一貫しておりますので、論旨もそれでけつこうでありますが、大臣、答弁はなさらぬのですか、どんなものですか。
  20. 横尾龍

    横尾国務大臣 何か答弁をとおつしやるけれども、今の事情の通りでありますので重ねて申し上げることはないのであります。さよう御了承を願います。
  21. 神田博

    神田委員 そういうことになりますと、私がおそれることは、今後の通産行政といいましようか、通産省でやつておいでになること、いろいろな方面におきましてさばを読んでいやしないかということに相なるのでありまして、これは重大な問題だと思います。あるいは手落ちがあるのではないか、これだけもんだ問題なんです。それが期限がもう半分になるのだということになりますと、これは私は重大だと思うのです。そこでお尋ねしておるのでありまして、お答えがないのにお答えせいということは、これは何といつてもなければやむを得ませんが、今後通産委員会が通産省に関する幾多の問題について、こういうことが出るという一つのおもんばかりを持ちますのでお尋ねしておるのでありまして、重ねてお尋ねしたわけであります。御答弁がなければないで、しつこいようでありますけれども、もう一度お尋ねいたしたいのであります。ないならないでけつこうであります。
  22. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のお話でありますが、今後通産行政に対して提案をいたすことに違算なからんようお願いをいたします。決して私は過大とも思つていなかつたけれども、しかし松本委員長の先刻の御説明通りでありますので、私まつたく知らないのでありまして、私がここで今御答弁申し上げることははなはだ……。
  23. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま同僚の神田委員から質問があつたのでありますが、政府の方から御答弁がないようでありますけれども、一体公益専業委員会の主管大臣はどなたであられるかということをお答え願いたい。
  24. 松本烝治

    松本政府委員 公益事業委員会というのは、まつたく新しい、いわゆるパブリツク・ユーテイリテイー・コミツシヨンというような制度だそうであります。私もよく知らないのでありますが、主管大臣というような観念はほとんどないのであります。ただ総理庁の外局にはなつておりますから、もし主管大臣といえば、総理大臣が主管大臣かもしれぬと思つております。しかしわれわれの方の権限はわれわれが自分できめる、何ら総理大臣に御相談する必要はないようになつている。そういう独立した機関で、議会にもたしか直接御報告をする義務が法令で出してあつたように思います。そんなようなことで、たいへん重要な、偉いもので、主管大臣はないというふうに御承知を願いたい。あるいは何か官制的には総理大臣が主管大臣になるのかもしれません、よく存じません。
  25. 福田一

    ○福田(一)委員 松本さんは実は私たちの大先輩でもあるし、法律の面では最もわれわれの尊敬している、実はわれわれの先生と言つてよいかもしれないお方なんです。そのお方からの御答弁としては、今のお話はちよつと受取りにくいのであります。これがあなたと私が二人でお話をしているときであれば、それは一応そんなこともあろうかということになりますが、いやしくも議会において、国民全体に対してわれわれが責任を持つて御答弁を求めておるときには、これは公人と公人の立場として考えなければならない。しかるにあなた方の公益事業委員会の予算というものは、国費をもつて出しておると私は承知しておる、決して配電会社とか、あるいは日発から金を出して、あなた方がそういう仕事をなすつていらつしやるのではないと考えます。されば国費の一銭一厘を使う場合にも、寸毫のあやまちもなからしめることは議会の権限であり、また義務でなければならない。こういう意味からいつて、一体だれが予算をきめてくれたのかわからない、一体どういうことでおれたちが、——これは言葉が過ぎるかもしれませんが、この委員になつているのかわからぬが、非常に偉いものだそうである、こういう御答弁では私は納得できないのであります。この点はどなたからかはつきりした答弁をひとつ私は要求いたします。もしその御答弁がないということになりますと、これは非常に大きな責任というか、委員会の審議を進める上で、むずかしいことになります。私はあえて皆様方をお苦しめするとか、あるいは松本さんをやり玉に上げるとか、そういう気持を毛頭持つているのじやありませんけれども、だれが自分の主管大臣かわからないというようなことであればこれはたいへんである。この意味において、通産大臣は国務大臣でありますから、国務大臣としてこの点を明瞭にすべき義務があると考えますが、通産大臣の御答弁を承りたい。
  26. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のお答えをいたします。公益事業委員会ができまして替えるから、これは私の所管でないことになつております。内閣に直属することになりまして、そして経費は、通産省の元電力局というものがありまして、それについておつた予算をそのままつけて上げたいと思います。その額は今私存じませんが、あとで御報告申し上げます。予算も向うに差上げてありまして、私の所管でないのであります。
  27. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまのは、通産省が公益事業委員会の主管でないという御答弁にはなりますが、公益事業委員会政府のどこの主管になつておるかということについての御答弁にはならない。私が質問しておりますのは、政府のどこの主管であるかということを、通産大臣としての責任ではなくて、国務大臣としての責任において御答弁を承りたいということを申し上げておるのであります。
  28. 松本烝治

    松本政府委員 今聞きますと、内閣総理大臣の主管だそうであります。しかしながら、よほど特殊な性質を持つておりまして、えらい妙な、一種の大名みたいな偉いもののように聞いております。しかしこれも法律的に行政的に申せば、内閣総理大臣の主管だそうです。さように御承知を願います。
  29. 福田一

    ○福田(一)委員 内閣総理大臣の主管だということが一応明瞭になつたのでありますから、内閣の主管ということになると、これはやはり国務大臣として通産大臣は一応この問題にも関係があるとみなければならない。大よそ各省大臣は国務大臣であります。国務全般についての一応の責任がある。そこで通産大臣は前の主管大臣であつて、ほかの主管大臣とは違つて最も責任があり、また関係の深いお方であられると私は考える。その深い御関係のあるお方に対して、先ほどから同僚の神田委員がいろいろと御質問をしておるのに、私はそのことは全然知らないというだけの御答弁では、われわれ聞いております者としては非常に納得が行かないというか、割切れないが、国民もまたわからないのじやないか、かように思いますので、もう一度神田委員から申されましたことについて、私は同じような意味において通産大臣のはつきりした御答弁を承りたいと思います。
  30. 横尾龍

    横尾国務大臣 国務大臣としていうお話でありますが、私は内閣の組織をはつきり深くは存じませんが、通産省の主管を脱してほかの総理府の主管となれば、そこでこのことが扱われますので、私といたしましては、国務大臣として希望は申し上げることはできるかもしれませんけれども、これにくちばしを入れるということはでき得ないのではないかと考えます。それで内閣は各部門々々々に責任のある方がやつておられるので、ただ内閣の一員としてこれを命令するような、またはこれにくちばしを入れるようなことは、私はいけないのではないかと思う。ただ意見を申し上げることはできると思います。そういう関係のものに、先刻お話しいたしましたように、今の期日の変更その他について知らなかつたと申し上げたのでありますが、事実知らなかつたのでありますから、さように御了承を願います。
  31. 福田一

    ○福田(一)委員 今期日の点が問題になつておりますが、十月一日までにつくれという法令が出ておつて、そうしてその法令が第七国会に出たときも、またその後第九国会において、われわれがいろいろ質問したときも、大体期日は十月一日くらいになるのではないか、それくらいの期間はいるというようなお話であつたのであります。その場合にどうしても早くした方が情勢上望ましいということは、委員長松本さんからもお話があつた。そのお話もわれわれとして全然納得が行かないというわけではないのでありますが、ただ通産大臣としてそれは適当であるかどうかというような意見を述べられるということは、公益事業委員会に対して干渉することになるから述べられないという御答弁では、私は納得が行かないのであります。もう全然関係がないから何も言わないのだというのは間違いであつて、国務大臣としてはやはり御関係がおありになるのであるから、国務大臣としての立場で、適当であるかどうかということについて御意見を申し述べられることは、少しもさしつかえないのではないかということを私はお伺いしておるのです。この点をお含みの上で、通産大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  32. 横尾龍

    横尾国務大臣 五月一日ということを知りましたときに、非常に早くなつたので困難であろうと思つた。しかるに毎日執務なさつている様子を聞きますと、ほとんど朝早くから夕方遅くまで、しかも年末年始の休みも休まないでやつておりますから、こういつた意気込みでおやりになるならあるいはできはせぬか、こういうぐあいに考えたのであります。
  33. 小金義照

    小金委員長 関連質問があるそうであります。今澄勇君。
  34. 今澄勇

    今澄委員 この公共事業令については、電源の帰属なり、あるいは新会社の人事の問題なり、いろいろ聞きたいことがございますが、やはり何といつてもこれが中心である。この委員の資格と所管大臣の問題と現通産大臣との関連というものは、これらの問題を明らかにするスタートとして、どうしてもこれは明瞭にしておかなければならぬものであると思います。そこでこの公共事業令が出る前に、電気事業の再編成法令として出たときの稲垣通産大臣の答弁も、それからその後の折衝経過においても、現通産大臣が述べたところの速記録における言質から見ても、これらの電気事業の再編成の後においては、少くとも日本の産業に重大な影響を及ぼすこれらの再編成について、通産大臣としては責任を持つであろうということは、はつきり速記録に残つておるのであります。われわれはこのような速記録から考えてみても、今の通産大臣の御答弁のごときものは、その場限りのうそであると申さなければなりません。私は、通産大臣がもしどうしてもこれらの問題について、われらの責任ある答弁ができないということであれば、占領下であるとはいいながら、わが国産業の根幹をゆすぶる重大なこの電水事業の問題については、総理大臣をこの席に呼んで聞かなければならぬと思います。これらの審議に入るにあたつて、今の公益事業委員長の言葉からしても、私はまず第一点としては、当委員会でその主管大臣であるそうな総理大臣を呼んで、それらの問題についてひとつ御答弁が願いたい。これは委員長に対する私の要求であります。  第二点は、通産大臣はこのような状態のもとにおいても、なおかつ先ほど来の與党の諸君に繰返されたような答弁を繰返されるかどうか。  それからもう一点は、通産省は、通産行政においてしばしば申すように、金融面は大蔵省に押えられて資金関係からぐうの音も出ず、通商関係は外務官僚のこれまた強力な発言権によつて一国の産業全体から見れば非常に不利な状態に今置かれている。通産省が一国の産業の責任官庁であるならば、日本の産業を守るためには、こういつた役所の中のセクシヨナリズムの上においても、通産大臣というものは毅然としてやらなければならない。しかるに日本の産業行政の最も重大な電気のこの事業委員会に対しても、あなたが今御答弁のごとき心境であり、そういう信念であるならば、日本の一国の産業をあずかる通産大臣の地位にとどまるべきではないと私は思います。御承知のようにこの吉田内閣のもとにおいて、まず最初は大蔵大臣の兼務に始まつて、文部大臣の兼務となり、次々と伴食大臣を経て、一体專門の大臣というものは何人おるか考えてみても、いかに日本の産業行政が軽視されておるかわかる。私はこの公益事業委員会に対する今のあなたの御答弁ではまことに不満足であります。通産大臣は以上の観点から、委員の資格と所管大臣の問題と、これらの電気事業の再編成に関する公益事業委員会に対してどういうふうな考えを持つておられるか、明確な御答弁を願いたい。
  35. 横尾龍

    横尾国務大臣 はなはだむずかしい御質問をいただきましたが、先刻から申し上げますように、所管大臣としては私は権限はないのでございます。しかし産業方面を担当しております者として、ある程度の希望を申し述べて、そのことを再編成後の電気事業に対して御考慮を願うということは極力いたすつもりであります。ただ重ねて申し上げますが、十月一日であるものが五月一日になつたということに対しては委員長からるるお話があつたので、それで御了承を願えるものと考えますが、さように御了承願います。
  36. 今澄勇

    今澄委員 今の通産大臣の答弁では、先ほど来の結論をすれば自分には何もわからない、こういうことに相なつて希望意見を述べたいということでございますが、われわれは所管大臣である総理大臣を呼んでこの問題をもう少し追究したいと思うが、委員長においてとりはからいを願いたい。
  37. 松本烝治

    松本政府委員 ちよつと説明が足りなかつたかもしれぬので、誤解があるように思いますから申し上げたい。十月一日というのは最終の期限を定めたのです。それまでにやらなければならぬ。それよりあとになつてはいかぬ。それより早くやることはもちろんさしつかえない。一番先の期限をきめたにすぎない。その点は電気事業編成令の附則を見ましても、たとえば「日本発送電株式会社法及び電力管理に伴う社債処理に関する法律は、昭和二十六年十月一日又は日本発送電株式会社の解散の発記の日のいずれか早い時に、その効力を失う。」とある。つまり早く解散してしまつて、早くでき上ることをちやんとこの命令も予想しておる。決して十月一日にやらなければならぬというような意味で十月一日はきめられたのではない。もし間違いがあつてはいかぬというので、一番の大事をとつて最大限度にきめたにすぎない。それより早くやるのは一向さしつかえない。それでわれわれは法律上、実際上一番早くやつてしまおう、これが日本の国策のために必要だと信じ、これをやつておるのでありますから、さよう御承知を願いたい。これはあるいは総理大臣をお呼びになつてもよく知つておられないかもしれないと思います。私が言つた通りなんで、十月一日というのはただ最終の期限をきめただけです。その点が何だかおわかりにならぬのかどうかしらぬが、ちよつと質問がこんがらかつたように思うので、その点だけを御注意申し上げておきます。
  38. 河野金昇

    ○河野(金)委員 公益事業委員会は非常な権限を持つたものであるそうでありますが、そうすると、ここで松本委員長あるいはまたこの委員を選定するのに参画された通産大臣両方にお願いしたいのでありますが、五人の委員でありますが、五人の委員の中で兼職をしておられる方があるようであります。たとえば河上さんのごときは輸出銀行の総裁も引受けておられる。それからこの委員会委員も引受けておられるようでありますが、おそらくいかに無欲な方とはいいながら、無報酬で委員をお引受けになつておるのではなかろうと思う。まず松本委員長にお伺いいたしますが、一体河上さんは委員会なり輸出銀行総裁のどちらか、あるいは両方とも無報酬でやつておられますかどうか、お伺いしたいと思います。
  39. 松本烝治

    松本政府委員 私はその報酬のことはよく存じませんが、おそらく報酬はとつておられるのだろうと思います。これはちやんと政令で兼職が二年間できるように書いてある。その規定によつてつておる。私といえども事実は兼職を——働いてはおりませんが、しかし兼職は持つております。ちやんとここに許してあるのです。あなた方がやはりいろいろと兼職をなさるのと同じように、政令でちやんと兼職を許しておるのですから、それによつてつておるものと御承知を願いたい。
  40. 河野金昇

    ○河野(金)委員 この公共事業会の第十四條の二項を見ると、報酬のある他の職務に従事することは嚴に禁止をされておるようであります。
  41. 松本烝治

    松本政府委員 それは附則の方をごらん願いたい。附則でちやんと二年間適用しないようにしてありまして、決して違法なことはたれもやつておりませんから、さよう御承知を願いたい。
  42. 神田博

    神田委員 どうも関連質問でないのを関連でやられるので、私はなはだ迷惑しておりましたが、委員長少し発言を整理していただきたいと思います。
  43. 小金義照

    小金委員長 承知いたしました。
  44. 神田博

    神田委員 大分同じことの問答で進まないようでありますが、私は松本委員長が少し誤解されているのではないかと思う。それは委員長にお尋ねしないことを委員長がお答えなさる。どういうことかといえば、私は公益事業委員会として五月一日に新会社を発足させるということに異議あるとは言うておらない。非常に早くなつたということを言つておるのであつて、それが不都合であるとか、けしからぬとか、できるかできないかという議論まで私はまだ伺つておらないのであります。問題は、通産省がかつて電力編成法案を議会に説明された第七国会以来、ずつと通産省が伝統的といわんばかりに、この法案はどんなに圧縮してもこれだけの期間がかかるのだ、こう言つておいでになられた。それが半分くらいに短縮された、これはどういうわけか、通値省がさばを読んだのかという話を私は通産大臣に伺つておるのです。委員長にその点は伺つておるのではないであります。それを委員長は、法律にも附町に書いてあるではないか、十月一日までにやれというのではなくて、その前にやつてもいいのだ。それは私は十分承知しておるのであります。でありますから、通産大臣に私が質問いたした場合には通産大臣から御答弁していただく。委員長からは御答弁を願わないように、これは小金委員長にも私からひとつ御注意を申し上げたい。大臣にいくらお尋ねしても、公益事業委員会が晝夜兼行でやるのだ、晝夜兼行でやるから早くなつたんだ、自分の方ではのろのろやるからということで、それで遅くなつたのか。私はなはだどうも納得しがたい。これは電気事業編成令というものは、してみると公益事業委員会虐待法案だということになつて来るわけだ。あるいは前に通産省の考えておつたのは、一週間のうち五日か、あるいはもつとたくさん休むようなお気持で組まれたのかもしれないが、とにかく半分ぐらいに短縮される、十箇月が五箇月になる。一年が半分ぐらいになるのだということでは、私は今後の通産行政に対して、また今日までの通産行政に対しましても、はたしてしつかりとすれば非常に熱意が欠けておるのではないかと思う。そこが私は納得が行かないというのです。だから大臣が、公益事業委員会の方では晝夜兼行でやるから早くなつたので、自分の方ではそうではないのだと言われるなら、出勤は何時でもよろしい、退庁は定時だという、かつて通産省に労働組合が張つておつたような気分で立案されて来たのかどうかということなんです。出勤のことは言わない、何時でもよろしい。退庁は時間励行、晝休みも、これは一時間休め、こういうような気分で立案されたのかどうか。今までのものはすべてそういうことから成り立つて来たのか、今後もそうなるのか、その心構えを私は聞いておつたのです。私はあなたの御答弁をまたないで、通産省ではそういうようなお役人はおらぬ、りつぱな善良な役人諸君なのだ。これらの諸君がこういうような疑惑を持たれておるわけだから、大臣は人情大臣なら人情大臣らしく、ひとつはつきり御答弁なさつたらどうかと言つておる。しかし御答弁がないようでありますから、大臣にはこれ以上この問題については私はお尋ねいたしません。  そこで首藤政務次官、始関資源庁長官が参つておりますのでついでに伺いますが、今まで繰返されたこの問題——半分になるか、倍の期間を要するかということで、どういうわけでこういう違いが出たかということについて、これは大臣の補佐官としての政務次官及び資源庁長官から詳細御説明を願いたいと思います。公益事業委員会は晝夜兼行でやるから早くなつたのだという大臣の言われる通りであるのか。私はこの点を将来の通産省の行政について参考にいたしたい、かように考えておりますので、長い御答弁は要求いたしませんが、明快な御答弁をひとつお願いいたします。
  45. 首藤新八

    ○首藤政府委員 それでは私なりの考え方を申し上げたいと思います。通産省におきまして十月一日という期日最終日に決定いたしましたのは、先ほど松本委員長からも言われたことく、日発三十億、配電会社が四十二億でありますが、とにもかくにも日本最大の会社である。しかもその会社数が九つである。資産の内容に対する検討、あるいは各社の比率の検討等々、これを詳細に検討しますれば、相当長時間かかるのではないか。また同時にこの比率に関しましても、利害が相反します関係上、これらもなかなか容易に決定しがたいのではないか。しかも結局は決定しなければならないというふうなことから、大体最終的に九月一ぱいはかかるのではないかというふうな構想で、一応十月末日かに決定したいと考えておるのであります。また刑務局のすべての調査の基調といたしました構想も、大体それが妥当であるというふうに考えておつたのであります。しかしながら公益事業委員会におきましては、現在のこの電力の、緊急に解決しなければならぬ経済上に及ぼす影響、その他いずれの点も一日も早く解決することが日本産業に寄與する大きな対策であるという見解から、大をとつて小を捨てる——要するに急所を抑えて少々のものはあとにする、そうして一日も早くこの問題の最終決定をいたすことが国家産業に寄與することが大きいという観点から、特にこの主眼をそういう点に置きまして、そうして早く解決するための構想をいろいろ立てた結果が、大体先ほど委員長から申されたようなことに相なつたというふうに了解しておるのでありまして、通産省の案は決してずさんでない、同時にまた委員会のお考えも現在の日本経済に即応した考えである、かように私は考えておるのであります。
  46. 始関伊平

    始関政府委員 ただいま政務次官が申し上げた通りでございまして、ポツダム政令の場合におきましても、第七国会に提案いたしました法律案の場合におきましても、大体十箇月くらいかかるだろうというふうに考えております。これは手続的に必要な最小限度の日数に対しまして、若干のゆとりを見たものでございます。重要な、しかも困難な問題が多いので、最短距離ではしにくいだろう、しかしそれだけの事情がありましても、そうだらだらやつてつたのではいかぬので、非常に一生懸命やりましてもそれくらいの期間がかかるだろう、こういうような考え方で大体十箇月くらいの期間を置いたと存じておる次第であります。これが短縮した理由につきましては私は何も存じませんので、経緯だけを申し上げておきます。
  47. 神田博

    神田委員 そこで今度は松本委員長にひとつお尋ねいたしたいと思います。いろいろ伺つて参りますると、委員長のお考えでは、とにかく再編成が一番大事なんだ、そこで再編成をまず第一義にしようという考えのもとに、急速に新会社を発足せしめることに努力したい、こういうお考えのようですが、これは私もまことに多といたします。そこで、その方にご熱心なことはけつこうでありますが、今は国会開会中でありますから、これはまた逐次お伺いする時期があると思います。  これはその程度にいたしまして、私のお伺いいたしたいのは、その方に專念のあまり、電力融通であるとか、料金調整であるとか、ことに渇水期に面しております当今の実情についてどのようにお考えになつておられるのかということです。公益事業委員会の本来の仕事は、電力融通あるいは料金調整が主たる仕事だと私は考えております。再編成はいわば一時的な仕事であるが、この一時的な仕事に非常に御精励になつていることは今の質疑によつても明瞭になつたのでありますが、公益事業委員会の本来の使命であるところの電力融通であるとか、料金調整などにつきまして、どういうような抱負とどういうような施策をおとりになつておられるのか、これはひとつ明瞭にお説明願いたいと思います。
  48. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問は新会社が発足した後のお話でございますか、あるいはただいまの状態はどうかというお話でございますか。
  49. 神田博

    神田委員 両方であります。
  50. 松本烝治

    松本政府委員 新会社の発足した後のことは今研究しておりますが、まだ先のことであります。ただいまのは、従来の対策を大体基礎として、改正をすべき点はこれに適当な改正を加えてやつております。こまかいことは、もし必要ならば他の政府委員からお答えいたします。
  51. 松田太郎

    ○松田政府委員 ただいまの、現在の電力需給の問題につきましては、いろいろ御心配をいただいておりますように非常に逼迫しておるのでありますが、御承知のように水力の関係につきましては、結局天候の関係に支配されるのであります。ことに渇水期におきましては、そういう関係上火力の発電にできるだけの力を入れて行かなければならぬ。今日日発におきましても、この石炭の入手の問題でありますとか、あるいは重油不足の問題とか、いろいろそういつた点もあるのでありますが、そういう点につきましては、委員会といたしましてもよくその当事者の方と相談をいたしまして、委員会として打たなければならない手は逐次打つております。また日発の方としましても、そういつた点の入手の確保にただいま全力をあげております。そういたしまして、一方において電力供給を極力まかなつて行く、かようにいたしておるのであります。  なお料金の問題につきましては、先ほど委員長からお話がございましたように、昨年の暮でありますか、きまりました料金制度によつて進めております。新会社ができましてからあとをどうするかということにつきましては、ただいま委員長からお話ございましたように、十分この新会社の健全な発達をはかつて行けるようにいたしますと同時に、やはり料金問題につきましても、公益事業であります関係上、また消費者の便に十分適した点をあわせて考えなくちやならぬと思います。そういう点につきましてはわれわれといたしましても、新会社の発足を控えておりますので、今日いろいろ研究しておりますが、できるだけ新会社においてそういう点をこの国策的な線に沿つて考えて参りたいと思つております。またその線に沿つてわれわれもお手伝いをして参ることはお手伝いをして参ります。
  52. 神田博

    神田委員 再編成の問題は、具体的に日割をつくつて、着々進んでいるが、今日のこの逼迫しておる電力需給状況に対する対策については、万全の策をとりたいという御説明だけであつて、その万全の対策は何であるかということについては御答弁がなかつたように思うのでありますが、私は伺えれば、電力編成の日割を具体的に組んでいるか、電力の今日の需給状態から考えて、どういうような対策を立てておられるのか、それを知りたかつたのであります。一向御説明がないところを見ますと、それがあつて説明漏れなのか、あるいはこちらに專念したために、そちらの方が手不足になつておるのか、あるいは一生懸命やつているが、その対策はまだ具体的に説明すべき段階に達しておらないのか、どうもはつきりしないのであります。私の聞き方も具体的でなかつたのでありますけれども、はつきりお答えを願いたい。  ついででありますから承るのでありますが、鶴見、尼崎の火力発電所の修理状況等も、この際あわせて、今日さし迫つておる需給状況対策の一部として触れていただけばけつこうであります。しかしそういう方へ手がまわつておらぬということでありますならば、それはまた後日に伺いたいと思います。
  53. 平井寛一郎

    ○平井政府委員 ただいまの御質問、私どももこの問題については非常な関心を拂つていろいろ研究しておりますので、その間の事情を御説明いたしたいと思います。まず電力需給の現状でございますが、一昨年来需用が非常に伸びて来ておる傾向からお話申し上げて、現状の内容に入つて行きたいと思います。ちようど昭和二十四年度は、御承知のように、異常豊水の年でございまして、出水状況はそのあと引続いて二十五年度に入りましても良好であります。第三・四半期—昨年の十二月までに、十月あたりに若干電力の足りないところがございましたが、昨年を通じまして、平年の水の出方のおおむね一割程度多く豊水の状態が続いております。月によつて前後はあるのでありますが、そういうふうな事情がありましたので、電力需給上の不足の事実はここしばらく国民の前にはあまり出て来なかつたのであります。これはお互い非常に幸福であつたのでありますが、そういつも水が多いというわけには行かないのでありまして、今年の一月になりまして、ぐんぐんと水が減つて参りまして、現状ではおおむね七箇年平均の出水量よりは五、六パーセント下まわつて来ておるというところまで来ております。これに対しまして従来の状況はどうかと申しますと、二十五年の上半期—四月から九月までを通算いたしまして、前年の同期に対して約六%の需用の増加であつたのでありますが、その間に朝鮮事変、その他いろいろ国際情勢変転もありまして、需用の面は秋になつて急激に大きく伸びて来ました。そうしてちようど十月から十二月までの第三・四半期における平均の増加率は約一四%になつております。その中でも十二月の状態はしりぶくれでありまして、前年の同期に対して二割という大きな増加を示しております。非常にはげしい増加でありまして、これをば最大電力のぐあいから見ましても、昨年の十二月と二十四年の十二月とを比べまして、百万キロワツトからふえております。こんなことは今までなかつた実に記録的な大きな増加であります。こういうふうで、最大電力においても、それから総電力の消費量においてもしりぶくれに猛烈な増加傾向をたどつて、今年の一月を迎えたのであります。一月に入りましてからも、需用は非常に多いのであります。御承知のように、大口工場等への尖頭時の割当の電力量も、今年の冬は昨年度より相当上まわつております。それらがありまして、電用が非常に多いという状態でこの一月は続いておりますが、供給力の方が水力、火力とも、特に火力において相当増加はしたのでありますが、この厖大な急激な増加に対してはなかなか容易でなかつたのであります。しかしそれもいろいろ克服いたしまして、現在の数量を申し上げますると、火力発電は約二十万キロワツト、そのほか水力が若干ふえておりますが、ただ火力は二十万キロワツトと申しまするが、従来一応整備しましたあとを、さらに相当の修理復旧、あるいは改善工事等を続けて来ましたので、今年度においては特にこの渇水期に力になる、頼りになる火力発電所の実際の能力というものが非常にふくれておるのであります。現に最近の火力の発電量は、毎日二万六、七千キロワツトに対して、石炭を毎日三万トン以上の量をたいております。そうして火力の最大出力は、全国で約二百万キロワツトに達しております。発送電の数字だけについて見ましても、発送電の戰前、戰時中の最大生産の記録の火力発電キロワツトよりは最近の方がさらに相当上まわつておるところまでふえております。こうした事情がありまするので、ほんとうは私どもとしても非常に心配しておるのでありまするが、供給力の不均衡はある程度緩和できたと思うのであります。しかしそれでも絶対量の増加が非常に大きいものでありますから、私どもとしましてもいろいろの方途を別途に講じておるのであります。たとえば最近の需用は尖頭時の負荷が非常に高いのであります。それを押えるために、いろいろと各業者に需用家の方と話をしてもらいまして、尖頭時の域に出ることなるべく遠慮していただくような方法を講じまして、それで相当尖頭負荷の苦しさを下げておるのであります。他の期間に使つていただくとか、いろいろ方法をとつております。それから自家用の火力発電所も、相当大がかりに各方面の協力を求めて動員をしております。そうしたものによつても、ある程度の供給力の不足を補うことができる。また水力発電所、火力発電所にしましても、冬場一番苦しいときに停電をやつて、作業をやつては困る。そうした作業等はできるだけ水の減らない期間に打切つてもらつて、普通に作業をしたらとめるところでも、水が出るまで待つてもらうという方法でとにかく動かしてくれ。そうした水、火力の発電所を、臨時の故障でやむを得ないものは別といたしまして、全部動員させるような方針でこの冬に対処したのであります。そうした形をとりましたものですから、現在のところ、川の水は平水量より少し下まわつて来ておるのでありますが、どうにかこうにか現状程度は維持できると思うのであります。それでも周波数等は若干下つておりまして、ゆゆしい状態であるのであります。それが現在の実情なんでありますが、また同時に御質問の、いろいろな対策として何を考えたかというようなことに対する一応の御回答になるわけなんであります。  新会社ができましてからの需給の問題でありますが、これはやはり電気の絶対量が需用の大きさに対して苦しい現状では、会社の組織をかえたからといつて、それがすぐに楽になるということは期待できないのでありますが、これについても電力の地蔕間の融通、会社間の融通調整、そうした形において全体としての公平をはかつり、融通の適正をはかる。そこで工事中の発電所を、できるだけ早く完成する努力をする等の方法によつて、漸次これを緩和して行くように今鋭意努力しておる次第であります。工事中の発電所につきましては、見返り資金等を昭和二十四年度には約百億円、二十五年度につきましても百億円をもらつて、それが最近出まして、関係者は鋭意建設工事を進めておりますが、二十六年度につきましてもこの見返り資金のわくはできるだけたくさんに、しかも早く出るように、従来の業者との間に十分連絡をとりまして、委員会としても関係方面に最善の努力をいたしております。従いまして再編成の事務のために電源開発が遅れるということは、絶対にないようにやつておるということで御了承を願いたいのであります。
  54. 神田博

    神田委員 次に松本委員長にお伺いいたしたいと思います。再編成を急ぐ理由としまして、電源の開発を非常に考えられるということであります。あるいはまた平井政府委員の答弁によりましても、また国民周知の問題でありますが、電源の開発こそはわが国産業の最も重要な点であろうと考えております。われわれもこの電源開発につきましてはここに数年来叫んで参つたわけでありますが、委員会におきまして、委員長とされまして、電源開発につきまして、どういうような大きな手をお打ちになつておるか。たとえば先般日銀の一万田総裁が渡米した。これも電力開発に何らかの手を打ちたいというようなことであつたように、新聞には伝えられております。電力開発につきましては、ただいま平井政府委員が述べられたように、見返り資金の問題であるとか、あるいは再編成後の増資の問題とか、再評価の問題とか、いろいろあるとは思いまするが、松本委員長といたされまして、画期的電力開発を、しかも短期間にこれを行うのにどういうような構想をお持ちになつておるか、簡單でけつこうでありますから御答弁願いたいと思います。
  55. 松本烝治

    松本政府委員 電力開発について何か画期的な計画をしでおるかどうかというお話でございますが、具体的にただちに実行できるかどうかは知りませんけれども、こういうようになつたならばよかろうというような、つまり希望的の計画はいろいろ立てております。大体五箇年計画ぐらいのことを目途にしまして計画を立てたいというので、五箇年間に三・六%というような増加で行くのに応ずるだけのことをやりたいという計画を立てますと、一年に約七百何十億円というようなものがいります。ドルにして申すと一億ドル、それからさらに野放し需用に対応するように、どんどんといるだけのものを供給してやろうとすると、どうしても一割——一〇%ぐらい毎年ふえなければならぬ。そうなると一年に五億ドルぐらいのものはいろうというような、これは今考えますと、今はちよつと実行のすべがないものではありますが、そういういろいろな計画は立てております。しかしこれを具体的にどうするということについて、さしあたりこの見返り資金をできるだけ利用したいというので、このことは努めております。そんなものではとうてい足りない。何百億とかあるいは千億を越えるというような金になりますと、とうてい日本の中の金だけでは行くまい。また再編成後に再評価をして、そうして償却を多くして、社内留保の金は出て来るとかなんとかいうような、そんなものではとうてい足りません。かつ今申したのは、いわゆる只見川とか、あるいは奥熊野なんとかいう非常に大きな計画とは別の話である。そういうものをしますとさらにまた何億ドルというものがいる。これはもしできれば外資にでも仰ぐほかないと考えております。現下の国際情勢でさようなことを言うのは、少し痴人夢を語るようなことではないかと思つておりますが、しかしどうしても必要なことだから、夢でもいいからひとつ語りたいというので、ある程度語つてはおります。しかし具体的の、どういうことをそれについてしたかということについては、いろいろの関係もありますから、ここではひとつ申し上げることを遠慮させていただきたいと考えております。できるだけそういう機運に向うようにしたいという考えです。はなはだ微力でありますが——はたしてどういう効能があるか知りませんが、できるだけのことはいたしておる。さよう御了承を願いたいと思います。
  56. 神田博

    神田委員 これは私のお尋ねするのがまだ無理な——熟しておらないとも考えておりました。御答弁によりますると、いろいろ絵は描いておるが、そのどの絵を選ぶか、相手のあることであり、またこちらの力関係あるいは諸般の情勢によることである。これはごもつともなことではなかろうかと思います。ただこの問題はきわめて重要な問題であり、また緊急を要する問題でありますし、われわれといたしましては非常な関心を持つておる問題でありますので、できるだけ急速に、しかも最良の案ができなかつたならば次善の案でもけつこうでありますが、お帰りになつて電源の開発をやつていただきたい。適当な機会がありましたならば、進んでひとつ委員会説明をしていただきたい。ポツダム政令による委員会でありますので、議会との関係におきましてはなさぬ仲であるかとは思いますが、しかしそれだけに密接な連絡をつけるべき問題ではないかと考えております。松本委員長に大いに期待しておるわけでありまするから、十分な御努力を願いたいと思います。  そこで次に伺いたいのであります。いろいろ伺いたいことが、大きいところ、小さいところ、たくさんあるのでありますが、大臣委員長に伺いたいと思います。この間新聞に出ておつた事件でありますが、いわゆる日発の含み資産と申しましようか、小坂日発総裁が新聞に発表された。どういう心境で発表されたか御当人に承りたいのでありますが、おいでになつておりませんからこれは聞けないと思いますが、この三十六億円の問題であります。まず第一に通産大臣に承りたいのでありますが、小坂総裁の発表された三十六億円の含み資産とは一体どういう性質の金であるかということを明瞭にしていただきたい。新聞で見ますと、二十五年度の異常豊水による火力料金から水力料金を差引いた純利益金約百億円を旧配電会社に六割、日発に四割という割合で分配して湯水準備金にしたということでありますが、これは事実であるかどうか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
  57. 横尾龍

    横尾国務大臣 いわゆる小坂声明は私今年になつて初めて新聞で知つたのでありますが、そういう事実があるかないかということに対して調べたところによりますと、そんなことはないように思います。
  58. 神田博

    神田委員 ないように思われるということでありますと、質問を続けることはおかしいのでありますが、しかし新聞に伝えられるところでは、三月末の決算の際か、九月末の決算の際か明瞭でないようでありますが、架空の相手方をつくつて未拂代金として帳簿に記載しておる、それを政府調査では発見できなかつたというふうに聞いております。今大臣はそういうことはないということを述べられたようでありますが、私は他の機会においてそうでないように伺つたようにも思つておるのでありますが、政府日発の業務を監督されておるわけでありますから、ないのか、調査しても見つからなかつたのか。そうすると小坂声明がうそであつたということになるのかどうか。これはわれわれといたしまして新聞をたてにとつたわけではありませんが、新聞の普通の報道ではなく、小坂総裁が新聞記者を交詢社に呼んで発表された、こういうふうに伺つておりますので、ただ大臣のそういうことはないのだという御答弁ではどうもこの疑惑が解けない。不正だとかどうとかいう意味で言つておるのではありません。突如として三十六億の架空の相手方をつくつてつておつたというふうに聞えますから、これらの点を監督官庁として、主務大臣とされまして、どういうふうな真相であるかということをまず伺いたいのであります。
  59. 横尾龍

    横尾国務大臣 余剰電力の百億という点は、私の調べましたのには載つておらないのであります。それでないということを申し上げたのであります。それで九月の仮決算について発見されたというようなものが現われておるのであります。それにつきましてすべてが含みであるかどうかということは、これまたあなたからおしかりをこうむるかもしれませんけれども、直接に私の方で調べる権限はないので、公益事業委員会にお願いしてそういうことをひとつお調べ願いたい、こう申し上げておりますが、先刻申しました百億ということについては、実はそういう数字は現われていないのであります。そのほかのことにつきましては、今いろいろと私としては調査を願つておるのでありますが、しかし三月末の決算のときに、悪意でなく、帳簿のつけ方に多少不備があつたかのように考えるのでありますが、今はつきり数字で幾らというようにお答えする資料はないのであります。
  60. 神田博

    神田委員 そういたしますと、大臣の御答弁は、そういうことを小坂総裁は発表したが、今日の段階においては公益事業委員会が発足しておる。そこで自分の方では調査の権限がないということであろうと思いますが、いわゆる日本発送電株式会社法の第三十三條によりますと、政府日発の業務を監督する。三十六條を見ますと、主務大臣はとあるのは通産大臣だろうと思います。そうして日発監理官を置き、日発の業務を監督せしむ。こういつているわけでありまして、通産大臣として監督の責任はあつたが、その当時の監督のもとにおいてはわからなかつた。こういう意味に解釈してよろしゆうございますね。そうすると、その当時は知らなかつたが、今日では権限がないから、これは公益委員会の方でお調べになつていると思うから、そちらでお聞きになつてもらいたい、こういうふうに解釈してよろしいのですね。
  61. 横尾龍

    横尾国務大臣 三月末の決算に対しましては、もしもあつたといたしましても、それは発見し得なかつたことは、その通りでございます。その後についていろいろの問題があるのに対しましては、直接に調べることができないので、公益事業委員会の方にお願いをして、事情を押えていただきたいということであります。小坂声明がうそであつたとか、ほんとうであつたかということの断定は、今ここで申し上げかねるのであります。
  62. 神田博

    神田委員 大臣の御答弁はよくわかりますが、私の聞きたいことは、こういう趣旨です。小坂総裁は日発総裁に就任してわずかな期間で三十六億円の含み資産を見つけたが、常時政府の監理官によつて日発の業務を見ているにかかわらず、どうして見つけられなかつたのか、もつと具体的に言えば、日発は小坂総裁が一人乗り込んで、ちよつといただけでも三十六億円の含み資産があるのだから、あるいは帳簿外の資産がもつと調べたら出て来るのではないか、あるいは、またもつと調べたならばどこかに穴の明いているところがあるのではないかというようなことをあわせてお聞きいたしたいのでありますが、これらにつきまして日発の監理官、いわゆる責任官庁として今まで担当されておりまして、そういうことがあつたかどうかということを——この三十六億円にこだわらずに、帳簿外の資産というものが相当あるやに聞いております。あるいはまたどこかに穴が明いているのか、また逆の場合もあるのか、そういうようなことを、主務大臣としてそういうことがあつたかどうか、あるいはこまかいことになりますので、大臣の御記憶にないということでありますれば、資源庁からも見えておりますので、簡單でけつこうですが、お答えを願いたいと思います。
  63. 横尾龍

    横尾国務大臣 私の主管しております期間においてはさようなことはなかつたとも信じ、またそういうようなことのあつた報告も聞いていないのでございます。
  64. 神田博

    神田委員 配電会社関係についてもやはりそういうふうにお考えになつていらつしやいましようか、念のためにお尋ねしておきます。
  65. 横尾龍

    横尾国務大臣 同様に考えております。
  66. 神田博

    神田委員 そういたしますと、前のことはわからないということでありますので、これは私別にどうこうと言うのではありませんが、あの新聞が出まして、われわれも知つたわけでありますが、今日現に主管されております公益事業委員会といたしまして、通産大臣にお伺いしたような点につきまして松本委員長から簡單でけつこうですから、御答弁願いたいと思います。
  67. 松本烝治

    松本政府委員 小坂総裁のいわゆる爆彈声明ですか、そういうようなことを聞きまして、委員会の方でもはなはだ驚きまして、いろいろ調査をいたしました。すでに数回調査を重ねたのでありますが、大体今までわかりましたことで申すと、二十四年度の決算においては十七億円ほどの利益が出ております。それに対して七億数千万円税が拂われております。しかしながら当時の状態においては、石炭界が非常に不確定な状態であつた。石炭はすでに二月とか三月にたくさんのものをとつてたいておりましたけれども、その価額についてしつかりした調べというものは当時つき得なかつた状態にあつたようであります。その結果、貸借対照表においてこれをあげますときに、大事をとつて、ずつと前の高いときの値段で未拂金あるいは買掛金、そういうようなことでそれをあげておる。そのようなことの結果として、あとで見れば十七億円くらいのものがあるいはそういうところへ入つてつたのじやないか、しかしその中には、こまかいことは御質問があればよくお答えいたしますが、後に拂わないでよくなつた滯納の利息というようなものも入つておつた。これは石炭代金を拂うのが遅れておつた。そのために何億でありましたか、大きな滯納の利息を拂うべく法律上の義務はあつた。それを書いておつた。ところがあとになつていろいろ石炭の方と交渉をしてみると、炭質が非常に悪いとか、いろいろなものが足らぬとかいうようなことで、その利息を拂わないで済むことになつた。そんなようなことで、あとになつてみればそれは余つたものになつた。そのようないろいろな金が十七億くらいあつたらしい。しかしそのうち約三億くらいはむしろ弁明のつくものであつて、これを含みとは称し得ないものもあつたようであります。そんなようなことで、相当大きな金が隠れておつたという状態であつたと思われます。これはその後だんだんわかつたので、たとえば滯納利息を拂わぬでよくなつたならば、そういうものは落してしまうべきもので、早く落すことが怠られておつたことは事実と思います。それから石炭の代金もきまつた。その買掛金が減つておるやつを減らさなかつたということも、——もつと早く減らし得たと思われるものを減らされないであつたということも事実のようであります。そのようなことの結果として、あるいは十七億円余、三億ぐらいはたしか弁明のつくものもあるようであります。それをとると十四億になります。そういうようなものが二十四年度の決算では、つまりよけいつけてあつた。その結果、それだけのいわゆる含みがあつたということになるかと思われる。この場合に悪意というか、これが何か悪いことをする意味であつたかどうかということについては、われわれが想像するのでは、そういう悪い意味ではない。悪い意味なら何も帳簿につけておくことはやりません。いわゆる二重帳簿とかいろいろなこともありますけれども、そういうことはない。今まで調べた範囲においては絶対にないと思います。ただそういうつけ掛けてあるものを直さずにおいてあつたという状態は確かにあつたと思います。  それから二十五年の九月末日に仮決算をしております。そのときに二十五年度になつてから約十八億円近くやはり未拂金その他でつけ掛けたものがある。それを合せますと、あるいは三十六億になるか、あるいは言い訳のつくものを除きますと、たしか三十三億くらいは含みがあつたと、つまり正当な計算方法では出て来ないものがあつたというようにわれわれは大体認めた。その認めた結果は、大体小坂総裁の言われたところに符合するように思います。こういうことがあつたことはなはだ遺憾なことでありますが、しかしこれは私どもの見るところでは、経理に関する書式等がはなはだ不備のように私は見ております。そういうためになかなか発見ができないということになつたんではないか、こういうことを十分に発見するためには、常時数人の有能なる会計士的の人でも置いて、一会社に数人ずつ出して見てでもおらぬと、なかなか出て来ないと思いますので、私どもの見たところでは、今まで監督されておつた方には、結果において見れば多少の懈怠があつたかもしれませんが、しかしながらああいう大きな、数百億に上るような計算をやる会社経理を、ごく少数の人で監督して正しくさせようということは無理である。その監督の責任ということについて、ここで私が申し上げる筋ではないとは思いますが、試みに私のただ考えを申せば、監督の側にも多少の過失はあつたかもしれぬけれども、これはいたし方のないことであつたのではなかろうかと思う。これから先はひとつ新会社に対しては、われわれは経理に関する嚴重な規則を出しまして、書式をきめて、そういうあいまいなことができないように、びつしりやりたいということを考えております。  調べましたことは大体そんなことでありますが、何と申すか、こういうことがほかの配電会社にもあつたかどうかというお話も先ほどありましたが、これは調べてみませんとわかりませんが、日発にあつたから配電会社にもあつたろうということは、私は言えないと思うのです。  この際処置をどうするかという御質問もないようでありますが、先まで申しますと、今度再編成で、すべての会社をつぶしてしまうのです。その財産は全部新しい会社に移るのです。わずかな清算費用——日発については多少の残余財産の分配額を除いて、あとはみんな新会社に移るのです。そのときによそに落ちないようには十分に注意したい。そのためにはわれわれの方の人間が少し足りないのではないかと思つております。場合によつては何か專門の人も少し頼んで、そうして経理の方の表とかあるいは規則とかいうものをつくると同時に、今度再編成の場合に、よそに出て行くようなことは断じてないように取締つて行きたいということを考えております。それで何とかなるであろう。こういうことが起つたのははなはだ遺憾なことではありますが、しかし何と申すか、これはある意味では、御承知のように冬季に渇水期があつて、このごろは、先ほども平井君から御説明したように、毎日一億円以上の石炭をたいております。一億円からの石炭を毎日たくと、三十億円ぐらいのものはすぐなくなつてしまう、そういう大きい会計ですから、小さいところにこういうことができる。それから渇水期のために何とか渇水のない、つまり豊水期時代、二期にわけていえば上半期の計算において、多少の渇水準備金を積んでおくことが必要なんです。その渇水準備金を積むことにしますと、今の法律では税をとられる。ことに二十四年度あたりの税は莫大な税です。積まれる金のほとんど大部分は税にとられてしまう。そういうことになりますと、せつかく渇水準備金を積もうと思つても積めない。その積めないやつを何とかして積んでおいて、あとの湯水に備えようというような考えが、だれの頭にもあり得るので、そういう頭から計算をしますと、ついまだ未拂いであるものの価額を少し大きく考えるということはありがちなことで、これは私は制度の方を改めぬとむずかしいので、もしだれが悪いのかといえば、むしろ制度が悪かつたのではないか、すなわち経理の方法について十分な規則等がなく、書式などもあまり完備しない。渇水積立金というような準備金に対して、所得税の非常に過大な税をかけるというような制度では、どうしてもこういうことは起ることじやなかろうかと思う。これのためにだれかが自分のふところに金を入れたということはないと今までの調査では考えております。こういうことが将来にないようにして、従来のところは大体においてある程度までは許しておくということが、かえつて穏当な処分ではなかつたかと考えております。この点は、まだ十分委員会調査を全部遂げたわけではないのであります。それだけお話をしておきます。
  68. 神田博

    神田委員 ただいま松本委員長の方から懇切な御答弁がございましたが、大体その全貌の内容を概略承知いたしました。この問題はいろいろ大きく取扱われておるようでありますが、私ども悪いとかいいとかいうことをまだ質問しておるのではないのでありまして、調査を目下お進め中のように承つておりますので、後日ひとつ資料をもちまして、国会の方に、開会中でありますから、完了次第早く御報告願いたいと思います。  次に伺いたいのでありますが、再編成の進むに従いまして、いろいろ新会社の首脳部の人事の問題の解決をして行かなければならないだろうと思います。最近新聞紙上にいろいろ顔触れが出ております。しかもこれはだれが推しておるのであるから有力であるとか、あるいはどうだとかいうような、これは新聞でありますから、国技館が始まれば、前予想も出るのでありますので、ことにこうした基幹産業でありますので、当然のことだと思いますが、しかし人選を一歩誤りますと、再編成そのものの根本をくつがえし、ひいてはわが国産業に及ぼす大きな影響を與えます。委員長は十分諸般の事情を御研究なされまして、最良の方法をおとりになるとは私ども考えておりますが、すでにそういうような首脳部の人選をされておられるのかどうか、どういうような構想をお持ちになつておられるのか、この際御答弁を願いたいと思います。
  69. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまのお問いに対しては何らまだ構想をつくつておらぬということを申したいのです。その理由は先ほど御説明いたしましたように、二月八日までに現地の当局者がほとんど夜も寢ないくらいに働いて、そうして一つの再編成案をつくりつつある。この際にわれわれがもし何かどういう人を今度の新会社の首胸部にするかということをかりに相談をしないにしろ、各個的にでもきめたならば、このことはおのずから今働いておる人に響くと私は考える。そういうような意味において、われわれ委員会では、かつて今までそういうことについて相談いたしません、またどうしようということの方針についても相談しません。しかしながらおのずから大勢の人のいろいろなお話がありますから、耳にはたくさん雑音は入つております。しかしわれわれとしての考えは何らきめておりません。ただ最も適当な人にしたいという考えで、各人心底で考えておるとは思いますけれども、そういうことで今まで新聞等に出ておりますのは、まつたく新聞辞令で、何らわれわれ考えたとか、あるいはきめたとかいうことはございません。これをいつきめるかということについては、大体二月八日に各会社から再編成の計画書が出ますが、その計画書にもし付随して何か意見があるなら書いて出してもらいたい。しかしそれは必ずしもこつちがいいというものではないということはこの間言つております。そういうものを出してもらう。そういうものがすつかり出ました後に、われわれの方でほんとうに新たにひとつ考えて審議をしますと。そして適当な人に決議をしてきめたいという考えでおります。
  70. 神田博

    神田委員 そういたしますと新会社の首脳部の人事につきましては何ら構想を持つていない、無構想の構想である。みんな再編成の計画書を出すことに專念させない、それからだというふうに考えてよろしゆございますね。
  71. 松本烝治

    松本政府委員 さようでございます。
  72. 神田博

    神田委員 もつと具体的になりますというごろになるのでありますか、人事の必要とすべき首脳部を決定しなければならないというのは。たとえば再編成の計画書を二月二十三日に認可する、こう出ておりますが、その日になるのか、その前になるのか、あとになるのか、どのくらいなのか、およその見当はついておりますかどうか。
  73. 松本烝治

    松本政府委員 その点については目下考えております。なるべくならば認可をするときに決定ができれば、認可をするときにちやんと完全な書類ができますので、そうしたいつもりだと思うのです。それがはたしてできるか。どうかまだ何らさつき申したように委員会として相談をしたことはないのであります、聽聞会も三月十日からやりますから、そういう前にはぜひともきめなければなるまい。しかしできれば二十三日の確定認可をするときによく相談をしてきめて、それを、計画書に書くということにしたいと思つております。ただそういう新しい重役のほんというに必要になりますのは、やはり会社ができとから後ですから、五月一日からいる人をいつきめていいか、また法律的に見ていつきめなければならぬということについて多少疑問があるので、今考慮中であります。
  74. 神田博

    神田委員 よくわかりました。この認可のときまでは、日発の比率といいますか、これがきまるだろうと思いますが、これは日発で計算しているのですが、大分今度できる新会社とあわせて、今日あたりの新聞にも出ておりますが、これはどうなつていますか。
  75. 松本烝治

    松本政府委員 この点をすべて打明けて申し上げますが、比率は一対一ということで、すなわち配電会社会社を合せまして四十二億円の資本金に対して、日発が三十億円、この日発資本金全部に九会社の分を合せますと、七十二億円ということになります。そうしてそれをどういうふうに、どの会社を幾らにするかということが非常にむずかしい問題なのです。これは下手をやりますと、ある会社が非常に強力になつてしまう。またそれに対して比較的弱小なものができるということがあつてはあとで困ると思う。この点は、なるべくならば、現会社当局者が協議をして、そういうことのなるべくできぬような案をつくつてくれということを、非常なむりな話でありますが、申しておるのでありますが、それに対して、今の当局者はたいへんによくこれをとつてくれられて、非常にいろいろな考えをしておられます。たとえばただその株券だけの問題でなくて、大きな社債とか、その他の大きな債務がありますが、こういう債務の中にはどうしても財産にくつついている、ひものついている債務と、そうではないのとがある。ひものついている債務は、ひものついた財産の行く会社に負わすほかない。そうでない債務をどのように分配するかというと、なるたけ弱い会社にはよい債務を負わすようにする。利率が安いとか、その他都合のよい債務を負わして、強い会社に、そうでない債務を負わせるというようなことにして、なるべく九会社の実力にえらい差ができないようにしたいということで、研究をされております。最近の当事者の話では、その点は大分まとまつて来たので、おそらくはもうじき成案ができようかと思つております、問題は、この日発のことです。今申したように、日発の株主も一株に対しては一株しか持たぬ、すなわち配電会社と同じようにします。これは日発側に言わせれば、日発には相当含み——というとさつきのようなことを連想しますが、そうでない、つまり日発の財産には、再評価をすれば非常に高くなるものがたくさんあるので、それを一対一では困る、計算をすると、一対七くらいのものになるというようなことを日発の方では主張している。しかしそれがはたして正確な主張かどうかわからないけれども、そういうことを今やつておると、今度は各配電会社の間にも非常な差等ができる。これでは実力を計算することはほとんどできないような話でありますから、思い切つて一対一にしてくれ、そして新しくできる会社はみな大体同じような力を持つように、大小はありますが、実力にえらい差がないようにしてもらいたいということで、日発の株主に九つの会社の株を大体わけてやる。そこで問題は、今の配電会社の株主は、その地域の今度の新しい会社の株を同じ割合でとれるわけです。百株持つているものは、やはり新しい株を百株とれる。ところが日発の株主に至つては、九会社の株をどういうようにわけられるか、どうしても百株持つているものは十二株とか十三株とかいうような端株をもらうような計算になります。そんな小さい株を少しもらつても、経済的に見て非常に困るので、その日発の株主の損害は補償するようにしてやらなければなるまい。だから一対一で割当をするが、解散後の残余の財産の分配は、日発の株主に限つてある程度において認めてやろうということで、それを幾らにするかということが今問題になつている。これについては日発と各配電会社の間の議はなかなかまとまらないし、まだ確定的なものはわれわれとしても出ておりません。しかしそれは早晩しなければならぬ。これによつて日発の株主に限つてえらい不利益のないようにしてやりたいという考えでやつております。
  76. 神田博

    神田委員 委員長はいろいろ御苦心なさつておられるようでけつこうでありますが、その場合と申しましようか、一対一の場合、あるいは今の残余財産の分配の問題とも関連して参りますが、一体新会社の発足がいつになるかという問題ともこれは関係するだろうと思いますが、株主はそうした利益を受けるのか損になるのか知りませんが、いつの株主を対象にするか、この点がきまつておりましたら、御答弁を願いたいと思います。
  77. 松本烝治

    松本政府委員 この新しい会社の株をもらう株主をいつにするかということは、やはり今の再編成の計画書できめるわけで、今その点も協議をしてしかるべくまとめたいと思つております。
  78. 神田博

    神田委員 現在の株主を対象とするかどうかという問題です。
  79. 松本烝治

    松本政府委員 現在の株主といつて今から先の書きかえをとめてしまうわけには行かない。従つてもつと先の場合の株主ということにしますが、あるいは解散になるべく近いときの株主ということにしなければなるまい。そこにまだ問題が残つておるのは、三月の末日に各会社が決算期になりますが、その利益配当を認めるかどうかということが問題です。この点は実は決定しかねると思います。従つてそういうようなことで、新しい株をもらう者にするかということもまだきまりかねております。
  80. 神田博

    神田委員 そこでだんだん内容に入つて参りますが、次にお伺いしたいのは、電源帰属の問題であります。電源の帰属の問題は、どういう方法が一番よいかということにつきましては、いろいろ議論のあつたことは委員長御承知の通りだと思います。属地主義でやるか、潮流主義でやるか、あるいはその中間をとるかということが問題になつたのでありますが、ポツダム政令によつて別表にも明記したので、一応これで行くことになつておるようであります。そこでそれはそのままやるのかというと、但書によりますと、「新会社公益事業委員会の認可を受けて協定し、又は当該新会社がその成立後四箇月以内にその協定をすることができなかつた場合において公益事業委員会が公共の利益を図るため命令したときは、変更されるものとする。」、こういうような規定もあるようでありまして、このことは、別表の第三が実情に即していないかもしれないという心配のあることを示しておるのだろうと思いますけれども、同時に私が今申し上げているようなことも、これは理由に相なろうかと思う。これは国会で審議したものではありませんから、なかなか意見を主観的にきめかねることは考えておりますが、とにかくこれは非常な議論のあつたことでありまして、なかなか重大な問題だろうと思います。そういうことを考えますと、この是正というものはどうしても必要だと思う。あの別表はだれがつくつたかといえば、今通産大臣もおられるが、通産省でおつくりになつた。通産省がその元締めなんだ。その通産省はどういうことをやつたか、それを私は聞きたいから一番初めに議論したのだ。十箇月もかからなければきまらない、一年もかからなければきまらぬ、というのを、公益事業委員会は晝夜兼行でとにかく五月までにやつてしまうというのです。そのくらい公益事業委員会と通産省の間においては食い違つておる。これ一つだけでもこれくらいの手落ちがあるといわれるくらい大きな手落ちがあるわけです。さばを読んでおるのか、山をかけたのかといわれるくらいこれは開いてみる。そうしてみるとこの別表第三もこれはそういうことがあるであろうくらいのことは私は気づくであろうと思う。賢明なる、もう色気も何も消えたという、新聞で見ると第一線を退かれてほんとうに国家再建のためにのみ專念されておられるという、われわれ常々尊敬している松本委員長委員長にお引受けになつたのでありますから、練達堪能の士が委員会編成されておりますから、おそらくこの但し書によつて天下が納得するような再編成が私は行われるのだろうと思う。これはすでにそういう準備をお考えになつておられるのか、もつともこれは再編成の計画書と裏表になることでありまするし、また新会社ができてからおやりになることでもありますが、しかしポツダム政令改正をなさることもこれは一つの考え方であります。現に出してすぐまた改正なさる。そこで新会社の発足前にいわゆるポツダム政令改正しておやりになるところまで御研究なすつておられるのか、またそういうことはあまりここではつきりしたことを言わない方がよろしいのであるか、とにかくこれは含みのある重要なポイントであろうと私は思います。これは天下を騒がした事件なのであります。委員会をお引受けなさつてポツダム政令に書いてあるから、その通りやればよろしいのだ。それならこれはあにりつぱな委員を要せんやであります。なかなかこれは含みのあることだろうと思います。決して私は通産省を悪口を言うわけじやないが、とにかく先ほど来優秀な官吏を網羅しておるとほめておるのだから、これは誤解がないようにお願いいたしたい。とにかくこれは非常に大きな問題であろうと思う。ここではつきりそういうことがあれば、御答弁していただくこともけつこうだし、あるいはまだ構想がまとまつておらないから十分研究する——よく役人は研究するというと逃げるときの言葉でありましたが、このごろはそういうことはないと思います。委員長におかれましては万々さようなことはないと思う。私はさようなことはゆめゆめ考えておりませんが、ここは大事なところでありますので、ひとつ十分な御答弁を願いたいと思います。
  81. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問の目的たる事項は、これは非常に重大な一つだと思う。私は実は内容をまだ一向知りません。その地図さえちよつと見たくらいで、まだどこがどうなつておるか、十分に知らぬくらいです。しかしわれわれの委員会では專門の人も委員中におりまして研究しておりますが、なお先ほど述べましたように、今最も偉いといわれている電気関係技術家が五人ほど集まつておられまして、始終会議をしております。その会議には私もときどきひまがあれば出ますが、とてもそのひまがないために出られないことが多いのであります。しかしこれは重大な問題として研究しております。もちろんその成案に至るというようなことにまだ至つておりませんが、できるだけこれは公平に、公正にやりたいものだということは考えております。
  82. 神田博

    神田委員 まつたく御答弁の通りでありまして、これは公正にやつていただきたい。その公正が主観的な公正でなく、ほんとうに文字通りの公正にやつていただきたい。これをやりますには、專門家の意見もけつこうでありますが、なお一層掘り下げて、地方的の事情、あるいはまた地理的事情、諸般の事情をひとつ十分御考慮されまして、何人が見てもなかなか——それこそさつき含みの問題がございましたが、そういう点の含みでなしに、含みのある実にりつぱなものであつたというものができることを私は期待したい。もしこれを一歩誤りますれば、これは将来の禍根になろうかと思います。将来の禍根にならないように、なかなかよくやつたのだということを、ひとつ私ははつきり見せていただきたいと思います。  なおこれは国会が大分ございますので、どなたからか御意見が出ましようし、また他の機会になお私伺うこともできると思いますが、この点ひとつ十分に委員長におかれまして御検討願いまして、公正な境地に立つてひとつ裁断をしていただきたいと思います。  なおこまかくなりますが、一月八日の委員会の声明が出ておりますが、その二項によりますと、「現下建設中の諸施設、発電予定地並びに将来建設さるべき水利権等一切をこの際新会社にそれぞれ所属決定する。」とありますが、工事中のもの、それから水利権等の所属はなる方針決定されるのか、これをあわせて、簡單でけつこうでございますから、伺いたいと思います。
  83. 松田太郎

    ○松田政府委員 ただいまお話の点につきましては大体問題が二つあると思うのでありますが、現在の電力編成令によつて施設のきまつているものにつきましては、先ほど委員長からお話になつた通りであります。なおまた現在電力編成令において帰属がきまつておらぬ、言いかえればただいま御質問のような建設中のものでありますとか、あるいはまだ決定していない未開発の電源というような問題につきましては、これも二月八日までに提出いたします電力の再編成計画書に、各社間において相互に緊密な協議をいたしまして、その結論を出して来てもらうようになつております。聞きますところによりますと、その点につきましてはお互いに非常に慎重な検討を遂げて、大体話合いはついておるようでありますが、中にはきまらずに出て来るものもあるかと思います。そういつたものにつきましては、最後的に公益事業委員会としまして、先ほどのお話のような、公正な観点から十分考えたいと思つております。従つてかりに各関係者間において話のきまつたものにつきましても、公共の利益をはかるという観点から公正に考える意味で変更を命じなければならぬ場合もあろうかと思います。またそういうふうにきまらぬものにつきましては、当然同じ見地に立ちまして委員会として決定したい、かように考えております。
  84. 神田博

    神田委員 大体了承しました。そこでさらにもう少し具体的なことをお尋ねいたしたいと思います。次は自家用発電所の復元の問題であります。「一月八日の電気事業編成推進方針に関する公益事業委員会声明の第三項にA、公益事業委員会は、発電設備または他の資産を新会社以外のものへ譲渡する権限を持たない。B、委員会は、かりにこれら施設の前所有者またはこれらの施設を購入せんとする希望者等よりいかなる申出でがあるとも、これを決定しまたはこれに考慮を與えることは不可能である。」というようなことが書いてあります。これは再編成達成の一応の措置ではなかろうかと思つておりますが、この声明の第五項に「既設発電設備または他の資産譲渡のことは、新会社が設立して再編成完成の後に、新会社と前所有者または他の希望者の間において交渉することにする。ただしこの場合といえども公益事業委員会は公益を考慮に入れて認可または不認可の決定をする権限を保有するものである。」こういうように述べておられるのでありまするが、これも委員長のほんとうの腹をお聞きしたいのであります。これは参考になろうかと思いまするが、昨年の十二月八日に参議院の電力特別委員会で山川良一委員が、再編成令別表第三の電気工作物欄に「但し公益事業委員会が定めるものを除く」となつておりますが、これはどういうことかと質問されたのでありますが、始関資源庁長官が、これは自家発電などでありまして、だれが考えてみましても、返還してやるのが当然なのであります。そのためにいかなる理由を言つて来ましても、その地区全般にやるという必要はない。そういうようなものについては、この規定を活用してこの返還を促進したい。こううつもりいで置いてあるわけでありますという答弁であります。これはいろいろ例をあげたわけでありますが、再編成の初めから議論になつた問題なのであります。さらにもう一つ公共団体の復元の問題であります。公共団体が日発あるいはその他の配電会社に取上げられたものを返せという問題でありまして、これは国会でも請願が通過しております。それからまた各党各派も一致してこれを当然のことだと考えておるのであります。これらにつきましては、当然これは公益事業委員会において——特に松本委員長はその方の大家でありますので、あの当時取上げられたいきさつから考えまして、法律的にも当然これを返還してやるということが條理にかなつ措置だろうと思います。ただ今日の段階において、五月一日までに急いでやるということになりますと、これは実際的にはなかなかむずかしいことであろうとは想像されますが、でき得るならば一日も早くやつてもらいたい。ああいつた戰争によつて失つた権益をそのままにしておくということは、これは地方民の感情からいつてみましても あるいはまた当該事業を経営しておる側からいいましても、納得の行きかねることだと私は考えております。これらも、この措置いかんによりましては、電気事業の再編成がはたして国民感情を満足せしめたものであるかどうかということに相なりまして、将来に大きな禍根を残すだろうと思います。今日の再編成令がやはり條理にかなつた方向に導いて行く、公益事業委員会がそういうことを十分考慮されて行くのだということでないと、ほんとうの再編成が完了したということは言えない。形式的な完了になるということに相なりはしないか、こういうような憂いもありますので、これはひとつ率直に御答弁を願うと同時に、すでに輿論も決定して、国会におきましても請願が通過しておるというようなものでありますので、ひとつはつきりそういう方向を示されるものであれば示していただきたい。あるいは他の事情によつて今日できないということであれば、これは含みのある、味いのあることで、近き将来にやるならやるということを言つていただきませんと、なかなか納得せぬだろうと思います。その辺は重要な点でありますので、ひとつ愼重な、誠意のある御答弁を願いたいと思います。
  85. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの自家用電力と申しますか、それの返還のことですが、これは非常にむずかしい問題のようです。まだ私は具体的にはどこにそういう問題があるというくらいのことしか知つておりません。ただいまの御質問趣旨に十分沿い得るかどうかということはわかりませんが、一般の広い公共の利益ということも考えなければなりません。ある特定の地方または特定の会社というようなものの利益と、一般の広い利益とにらみ合出て決定しなければならぬことと思つております。各個の場合について十分これから研究したいと思つております。これは再編成後にやる——十分に研究するために、再編成後ということにしております。さよう御了承を願いたいと思います。
  86. 神田博

    神田委員 公共団体の復元の問題はどうなりますか。
  87. 松本烝治

    松本政府委員 公共団体についても同じことだと思います。たとえば京都市というものと、関西区域全体の利益ということをどういうふうに調和させるかというようなことは、やはり十分に考えなければならぬことと思つております。
  88. 神田博

    神田委員 御就任早々といいましようか、まだ日が浅いのでありますから、十分御承知しかねることは重々わかるのでありますが、しかし先ほどの私の質問によりますと、御就任早々、政府の見通しよりも半年も完了を早くするというようなことを御決定になるのに、私が今お尋ねする大事なことになると、一向わからないからこれから研究するというようなことにも聞えるのでありますが、御研究の足らない点を、御研究後でないのに答弁しろということは、答弁していただいてもはなはだ意味のないことなんで、これはおつしやる通りだろうと思います。しかし委員長の御答弁はどうもその点があまり一貫しておらぬのではないかと私は思うのです。非常なエキスパートを入れておる、権威者を入れておる、いろいろの面から調べてこういうふうになつて行くのだというようなことで、長年政府研究したことを半分くらいに短縮される名委員長でありますから、私が今お尋ねしている問題等につきましても、よもやお耳に入つていないはずはありません。それからまた実地を見ていないとおつしやいましたが、私は見ているとは考えません。また見なければならぬものとも考えません。それぞれ手足を持つているところの仕事でありますから、津々浦々まで見なければきまらないというようなことでありますれば、再編成のごときは百年河清を待つということにもならぬとも限らないと思いますので、そういうことを議論しようとは思いませんが、一般の公益の犠牲によつて私益をはかるということは今日何人も考えておらぬだろうと思います。しかし復元をさせる——ああいうような奪い方を法律によつてしたこと、そのこと自体が不当なんでありますから、今日の段階においてそういう不当な処置を改めるということは私は当然なことだと思います。それにつきまして、これから調査して行くというようなことでは、はなはだどうも私の満足のできないことでありまして、これは意見になり、議論になるかもしれませんが、あるいは私の伺い方が悪かつたかもしれませんが、先生は大家なんでありますから、もう少し名答弁をお願いしたいと思います。
  89. 松本烝治

    松本政府委員 ただいまの御質問はたいへんむずかしいことで、各個の場合にどうも違うので、昔多少無理があつてとつたものでも、一括的にどうしても返すのだということは言いにくいと思います。これは今後の全体の利益ということも考えなければならぬので、どつちが重いかというようなことを十分に調査してきめなければなるまいと思います。まあなるべくならば、当事者たる会社と、それから返してもらおうというところとうまいぐあいに話がつけばたいへん都合がいいでしようが、その話のついたものには大体えらい反対をする筋はないと思います。ただ話のつかぬところに無理にさせようということは相当無理もあろうと思うのです。しきわに名委員長と言われることはありがたいことではありますが、しかしすべての点について、十人賛成者があると十人は反対者があるので、どうやつても、これはあとでは必ずたいへんな悪委員長にされることと思つて覚悟はしておりますが、どうかひとつそういうところの事情を御了承願いたいと思います。私としてはできるだけ公正にやつて行きたいと思つております。
  90. 神田博

    神田委員 なかなかどうも委員長老練な御答弁で、うまくお逃げになるのですが、私は議論をするわけではありませんが、これは電気でありますから、返してもほかのものと違つて管理の方法はあるし、公益には反しないはずなのであります。これはもう送電線によらなかつたならば乗つて来ないものであります。乗せればどこまでも行くものでありますから、電力の管理と所有権の帰属は別のものだと思うのであります。とつたものは返してはやるが、その電気をどうするか、いわゆる電気を管理するということは混同しない方がよいと思うのです。そういうことから考えれば、これは公益に反するとか反しないとかいう問題ではないと思うのです。どうも今のお話を承りますと、これをうまく一緒にしてお逃げになつておられるような気がするのです。でありますから所有権は返してやるが、管理権をお持ちになれば、電力の割当は公益事業委員会がおやりになるのでしようからちつとも支障はないはずである。それからまた公共団体復元にいたしましても、別に公益を害しやせぬ、公共団体の営むことは、それ自体が公益なんだ、公共団体は私益をやつておりはしない。ただそれによつてその地区の配電会社の收支にどう影響するかという問題であると思います。別に公共団体に返したから電力をたくさんやらなければならぬという義理はない。またしぼらなければならぬというわけでもないのであります。要するに所有権と管理権の問題もあれば、また公共団体の場合は、それ自体これは公益性を持つているのですから、どういうも今の御答弁を聞いておりますと、両者の話合いのついたものは、これはあたりまえでありまして、話合いのつくまで待つというのならば公益事業委員会は何しておるかということになる。話合いをつけるということは、とつたものととられたものでありますから、とつたものはとられたものに返しやしませんよ。私はそういうことを裁定し、勧告するのが公益事業委員会の使命だと思うのであります。どうも今のお話を承つておりますと相対同士できるものはけつこうだが、仲立ちをしないというようなことではどうも松本先生といたしましては、はなはだ受取りがたい御意見ではないかと思うのです。配電会社あるいは日発法のできるときには、先生も貴族院議員とされまして、この法律にはいろいろ御活躍なすつたことも漏れ聞いているわけであります。どうも公益事業委員会委員長におなりになつたからいろいろのことをお考えにならざるを得ないことと思いますが、私も筋の違つたことをお尋ねしているつもりはないのでありまして、国会議員一同がそういうようなことについて考えを持つている。公益委員会についてもすでに請願も通つているというようなことであり、先般の委員会等におきまして、稻垣通産大臣の際には御承認された例もあつたのであります。また今の横尾大臣は決して御反対ではない、首藤政務次官のごときはその賛成の急先鋒であつた。どうも委員長の今日の御答弁はまだ知らないということで、私は満足しかねる。そこで押しつけるようで恐縮でありますが、これは大事なことでありますから、お答えできればもう一度お答え願いたい。  それからきようはまだ初日でありますので、これからまた他の諸君からもいろいろお伺いすることもあろうと思いますから、私も別な機会にお伺いできればけつこうでありますが、できるならばお早いうちにお聞きできればけつこうだと思つております。
  91. 松本烝治

    松本政府委員 今の問題について私は実はまだ十分に研究をしておりません。それでこれはいずれあとのこととして二の次に考えております。十分研究した上で申し上げた方がいいが、ただちよつと私の考えていることは、必ずしも所有権を返さぬでも、かたい契約のようなものによつてある程度の利益が保護されることもあるのではなかろうか。所有権を返す場合ももちろんあろうし、また返さぬで契約によつて適当な利益を與えるようなことの措置もあるのではないかというようなことを考えております。個々的にまだ十分考えておりません。いずれまた考えました時分に御答弁いたします。
  92. 神田博

    神田委員 いろいろ御研究願いまして、私どもの意見をなお掘り下げて考えていただくことにいたします。同僚諸君がお待ちかねのようでありますから、私はこの程度で一応質問を打切ることにいたしたいと思います。
  93. 小金義照

  94. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 大分御熱心なる御質問がありましたので、非常に時間も経過しておりますが、私の質問も大体神田委員からの質問に盡きているのでありまして、時間の関係上私の質問は省略させていただきますが、ただ一言お伺いをいたしたいと思います。  電源開発でございますが、この電源開発の計画の中に、県営の総合開発計画というものがこの計画のうちに含まれているかどうか、もし含まれておらぬといたしますれば、これはどう御処置なさるか、そのお考えを承りたい。
  95. 松本烝治

    松本政府委員 私実はよく承知しておらないのでございまして、今聞きますと含まれているそうでございますから、いろいろの推移その多の関係もあつて簡單には決定することが相当むずかしいのではなかろうかというような話でございます。
  96. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 この県営の総合開発は非常に公益事業委員会の御好意がなければむずかしいのではないか、いろいろの関係から見まして、建設省とか、農林省とかいうような方面には関係があるのではないかと考えるのでありますが、どうか。この点につきましては御好意あるお取扱いを願いたいと思います。これを要望いたしまして私の質問は終ります。
  97. 小金義照

    小金委員長 ちよつとお諮りいたしますが、去る二十五日衆議院に提案されました特許法の一部を改正する法律案外四件、合計五件の法律案の提案の理由の説明を聽取いたしたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 小金義照

    小金委員長 御異議がないと認めます。横尾通商産業大臣
  99. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいま委員長からのお話の特許法の一部を改正する法律案外四件の提案理由を述べさせていただきます。  特許法の一部を改正する法律案実用新案法の一部を改正する法律案意匠法の一部を改正する法律案商標法の一部を改正する法律案及び弁理士法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を一括して御説明いたします。  今般最近の経済事情や他の法令における諸料金の引上率や、また当局の予算上における收支のバランス等を比較考慮いたしまして、特許法実用新案法意匠法及び商標法の特許料及び登録料を、発明奬励を妨げない限度で適当に増額いたし、またこれらの法律の罰則中の過料や弁理士を登録する際の登録料及び弁理士を懲戒する場合の過料の額をそれぞれ引上げるため、必要な改正を行おうとするものであります。以下本改正案の要点につきまして御説明いたします。  その第一点は特許料、登録料につきまして、現行額の約三倍に増額いたしたことであります。元来特許庁はその開設以来工業所有権制度による諸收入で支出をまかない、なおかつ相当の余裕があつたのであります。しかるに終戰後はインフレの高進に伴いまして、その支出予算額は急激に膨脹いたしまして、他方收入はこれに伴わず、終戰後二回にわたり増額の改正をいたしましたにかかわらず、なお收入と支出の均衡がとれず、審査事務の促進、発明奬励諸施策の遂行上支障が少くなかつたのであります。他方過去における物価の変動に伴いまして、他の法令における諸料金も適当に増額されておりますので、これらとの均衡を保ち、かつ出頭関係の件数の平常状態への復帰状況をも考え、料金値上げの権利者に與える圧迫等を考慮して、おおむね現行の約三倍程度とし、その範囲内で負担の均衡、合理化を勘案して決定いたしたのでありまして、これによつて財政上收支の均衡と、物価の変動に伴う調整をはかろうとするものであります。  その第二点は、罰則中の過料の額及び弁理士懲戒の過料の額を五倍に引上げ、五千円以下といたしたことであります。これはさきに改正されました民事訴訟法のそれにならつたのであります。  その第三点は、弁理士登録の登録料を現行額の二倍に引上げ、三千円といたしたことであります。これも弁護士及び公認会計士等のそれとの均衡をはかつたものであります。  以上申し上げた点が、本法律案提出いたしました理由であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いいたします。
  100. 小金義照

    小金委員長 電力の問題につきましては次の機会を別につくることといたしまして、本日はこの程度にて打切りたいと存じます。  なお明日は、先般理事会決定いたしました通り重要物資需給状況に関する件を議題として調査を進めます。午後一時より閉会いたします。なお理事諸君には、その前十二時ごろ御参集を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十四分散会