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1951-03-09 第10回国会 衆議院 懲罰委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月九日(金曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 土倉 宗明君    理事 内藤  隆君 理事 田渕 光一君       小川原政信君    鍛冶 良作君       佐々木秀世君    田嶋 好文君       玉置 信一君    中川 俊思君       柳澤 義男君    山口六郎次君       小川 半次君    猪俣 浩三君       梨木作次郎君 二月十九日  委員長谷川四郎辞任につき、その補欠として  松本瀧藏君が議長指名委員選任された。 同日  委員松本瀧藏辞任につき、その補欠として長  谷川四郎君が議長指名委員選任された。 同月二十一日  委員早稻田柳石エ門君及び梨木作次郎辞任に  つき、その補欠として小川半次君及び木村榮君  が議長指名委員選任された。 同月二十二日  委員長谷川四郎辞任につき、その補欠として  早稻田柳右エ門君が議長指名委員選任さ  れた。 同月二十八日  委員佐々木秀世君、塚原俊郎君及び柳澤義男君  辞任につき、その補欠として坂本實君、益谷秀  次君及び佐藤榮作君が議長指名委員選任  された。 三月二日  委員坂本實辞任につき、その補欠として佐々  木秀世君が議長指名委員選任された。 同月九日  委員佐藤榮作君、田中元君、西村直己君、牧野  寛索君及び木村榮辞任につき、その補欠とし  て柳澤義男君、玉置信一君、山口六郎次君、小  川原政信君及び梨木作次郎君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員山口六郎次辞任につき、その補欠として  西村直己君が議長指名委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員川上貫一懲罰事犯の件     —————————————
  2. 土倉宗明

    土倉委員長 これより会議を開きます。  議員川上貫一懲罰事犯の件を議題といたします。本件につきましては、付託以来今日まで十分の時間をかけまして、ただすべきものはただし、弁明の聞くべきものは聞きまして前回の委員会において一切の質疑は終了いたした次第であります。  この際議員川上貫一君について、懲罰事犯として懲罰を科すべきかどうか、及び懲罰を科するとすれば、国会法第百二十二條に規定するところのいずれの懲罰を科すべきかについて御意見を求めます。佐々木秀世君。
  3. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 去る一月二十七日本会議場において行いました、共産党を代表した川上貫一君の演説に対しまして、一月三十一日佐々木盛雄君から懲罰動議が提出され、それを本会議で可決し、本委員会に付託されまして、二月一日から本日まで、委員会を開くこと八回、川上君の一身上弁明を初めとし、あるいは佐々木盛雄君の懲罰動議提出理由等、詳細にわたつて説明を聴取し、かつまた川上議員に対しましても、われわれの考えている点を十分に申し述べ、また川上君からもこれに対するいろいろなる御弁明がありまして、十分なる審議が継続せられ、もはや最終段階に来ているのではないかと考えるのであります。  川上君の懲罰に対し、本委員会のとり来つた態度といたしましては、委員長初め各委員は、議員一身上のことでありますので、あらゆる方面から愼重審議をなし来つたのであります。ことにまた委員長におかれましては、非常なる温情を持たれまして、川上君に対しましては、あなたのお持ちになる思想の点につきましてはとやかく言うものではない、ただあなたが一月二十七日に発言せられましたあのことが、あの全体の演説内容からいたしまして、院の秩序を乱したという点におきまして、何か釈明がないかというようなことを再三再四繰返されて、まことに温情のあるとりはからいをして来たのでありますが、不幸にして川上君からそれに対して十分なる御返答をいただき得なかつたということは、われわれといたしましてもまことに残念にたえないのであります。  申すまでもなく、国会は立法の最高の府でありましてことに本会議場演説等におきましては、十分に院の秩序を保たなければならないということは、いまさら申し上げるまでもございません。私は川上君の演説内容につきまして、ここで繰返すことを省略いたしますが、あの五十分にわたる演説内容を検討いたしましても、一、二の例をあげますならば、━━━をいわゆる朝鮮と中共の戰いの肉弾にしようとしているとか、あるいは日本全土兵器工場になつているというように断定したこと、かつはまた吉田総理大臣に対して、日本━━━━━━━━━であると断定した点につきましては——その他にもたくさんあるのでありますが、こうした言辞は、まことに不穏当な言辞でありまして、この一、二の例から見ましても、院の秩序を乱し、議院品位を汚し、かつまた議員に対しまして侮辱を與えたという点につきましては、十分に私たちはそれを認めなければならないのであります。本事件のいわゆる懲罰になります点につきましての詳細なる点にわたりましては、後刻わが党の鍛冶委員より討論をなされることになつておりますので、それに対する詳細なる理由は省略いたしますが、今日まで本委員会質疑をし、あるいは川上君の心情等も聽取いたしました結果、その結論といたしまして、本事件はこれを懲罰事犯として懲罰を科すべきものとし、国会法百二十二條第二号による公開議場における陳謝を命ずべきものと決せられんことの動議を私は提出する次第であります。
  4. 土倉宗明

  5. 猪俣浩三

    猪俣委員 本件はこれを懲罰事犯にあらずと決せられんことを望みます。この動議を提出いたします。  その理由を簡單に申し上げます。いずれ討論の際にまた詳論いたしたいと思いますが、およそ事の審判は、事実の認識を把握いたしまして、その認識に基いた事実に対しまする価値判断をしなければならぬのであります。いわゆる国会法におきますところの秩序を乱し、あるいは品位を害し、あるいは他人悪口を言うというような事実が、この一月二十七日の川上君の言論にあつたかどうか。しかして私どもは、さような明白なる事実がなかつた。またかりに多少あつたといたしましても、それがこの国会言論の自由という大きな建前から、その標準から、これを懲罰に付する価値ありやいなやという論点からいたしまして、その価値なし、ゆえにこれを懲罰に付すべきものにあらず、懲罰事犯として処断すべきものにあらず、かような意見を持つておるものであります。いずれ詳細はまた討論の際に讓りたいと存じます。
  6. 土倉宗明

    土倉委員長 ただいま本懲罰事犯の件につきまして、佐々木秀世君より、これに懲罰を科すべきものとし、国会法第百十二條第二号による公開議場における陳謝を命ずべしという動議、及び猪俣浩三君より、本件懲罰事犯にあらずと決定すべしとの動議がそれぞれ提出されております。一括してこれを討論に付します。通告順によりまして発言を許します。鍛冶良作君。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま提出されました佐々木君の動議賛成の意を表せんとするものであります。  一月の二十七日の本会議場で行われた川上君の演説は、日本共産党を代表して行われたものでありまして、共産党意思を代表して宣明されたもの、換言すれば、同党のテーゼを述べられたことは、同君弁明によつても明らかなところであります。従いまして同党の本旨であるマルクス・レーニン主義に基く、議会革命の具に供する思想に出たものにほかならないのであります。このことは川上君が同僚西村直己君の質問に対して答弁されたことで明瞭になつております。すなわち「資本主義社会主義議会があるはずはない、」「われわれは資本主義の中に生きておる、従つてこの資本主義を改革して、革命して、社会主義方向へ持つて行くという精神共産党は持つております。これは共産党精神であります。」と言つて資本主義議会社会主義議会革命することが、同党の精神であると明言いたしておるのであります。しかもこの革命たるや、同党の今までの行動を見ますると、いわゆる暴力を伴つた革命を望んでおるのであります。従いまして同君演説すべてが現在の秩序破壊目的であり、議院秩序破壊にほかならないものと断ぜざるを得ないのであります。  その第一は、現在の日本占領治下にあるということを無規し、かえつて占領軍日本及びアジアを━━する国際帝国主義作戰軍であると断定しておることであります。しこうして「終戰処理費朝鮮に対する━━━━のために使われておる」とか、「日本全土作戰軍兵器工場になつておる」などと言つて━━━行動をすべて戦争行為であり、ポツダム宣言違反であると断定しております。しかもこの事実を前提として「今日総理大臣は、この歴然たる事実を知らないとおつしやるのでありますか。総理大臣日本人民意思を明らかに━━━━━━おる。」「総理大臣ポツダム宣言極東委員会の諸決定に完全に━━しておる。」と断定しておるのであります。これは明らかにポツダム政令第三百二十五号、占領目的阻害行為処罰令二條に違反するものであります。日本政府責任の及ばない純然たる占領軍行動━━いたしまして、日本政府の大責任のごとくしいる暴言といわなければなりません。その上これに援用せられました事例は、ことごとく虚構もしくは誇大されたものでありまして、すべて今日の世界情勢において人心を惑わしめ、日本の国威を失墜せしめるものであります。  その一、二をあげてみますと、まず朝鮮における国際連合軍の蹶起は、北鮮共産軍が不法に三十八度線を突破侵略して来たことに起因する、いわゆる国際警察軍としての行動であることは、論をまたないところであるにもかかわらず、これは「国連の名による━━━━━の干渉」であり、「国連━━━━━の道具にし、━━━━━━━━を実現する機関にしておる」と言い、さらにこれによつて朝鮮━━は殺され」「家が焼かれ」「国土は戰争と爆撃で焼野原になつてしまつた。」あまつさえ、トルーマン大統領は、━━━━━━━を明言しておる。こんな安全保障はどこにある。これは、危險保障であると断言しておるのであります。さらに日本政治は、━━━━帝国主義━━として、中国や、朝鮮に対する戰争━━にしようとしておる。また総理大臣は、━━━━━し、大橋法務総裁は「東日本重工下丸子工場労働者に対して、━━━なるがゆえに基本的人権はないのであると明言しております。」━━これはあとで川上君はうわさであつたということを言つておりますが、演説の中では明言しております。まことにでたらめしごくといわなければなりません。なお「戰争奴隷を望み、国民を再軍備に扇動しておる危險な━━━━━がある。現に━━━━━━━━━のごときは、その最も有名な代表者の一人である。」「ことに吉田内閣至つては、これは言語道断、国民に何一つ相談もせず、国会にもはからず、外国の力を借つて、こつそり━━━━━━をつくつておる。」と言つておるのであります。これは同僚議員に対する重大なる侮辱であり、明らかに国会法第百十九條に違反するものであります。しかもわが国の信用を国際的に失墜せしめんとする、非国民的言動と申さなければなりません。さらにことに容赦のならぬのは、松川事件に対する非難であります。その大要を述べますると、「このような狂暴の政治の集中的な現われとして松川事件を指摘したい。」こう前提いたしまして、「そもそも松川事件━━━━━━事件である。検察当局が頼みとする証拠物件と称するものは何であるか。それは外国文字入りのバールと、使いものにならぬ小さなスパナのたつた二つだけである、それ以外には何もない。反対に、判判所調べによつて事実無根が明らかになつたのであります。しかるに日本支配者は、民主主義勢力に対する恐怖政策のため裁判所を圧迫し、この無実の労働者二十名に対し、五名を死刑にし、十五名を無期懲役その他の重刑に処する未曽有判決を下している。これは憲法人権に対する冒涜であります。だからこそ、この陰謀は、今や中国を初め全世界民主勢力一大抗議運動となつて摘発されている。われわれは政府に対し即刻松川事件に関する全被告を無罪釈放することを要求する。」と宣言しておるのであります。一体裁判所調べによつて事実無根が明らかになつた」のだとは、何によつて断定できたのでありましようか。しかも「しかるに日本支配者は」「裁判所を圧迫し」「重刑に処する未曽有判決を下している。」と断定するがごときは、日本政府行政権力をもつて司法権を圧迫したという、三権分立の大原則によつてできておりまする日本国憲法を、現政府が蹂躙したという断定でありまして、実にあり得べからざることを、あつたと断定したもので、かかる言辞国会においてあえてすることは、まことに議院秩序を乱し、議院品位を傷つくることこれよりはなはだしきはないと断定せざるを得ないものであります。  以上の事実を総合しまするに、第一、虚構の事実を連ねて日本政府並びに日本国信用を失墜せしめんとしたこと、第二は、占領軍を誹謗してポツダム政令第三百二十五号に違反していること、第三は、同僚議員に対し重大なる侮辱を與えたものでありまして、以上の行動憲法第五十八條国会法第百十六條及び第百十九條、衆議院規則第二百三十八條及び二百四十五條に該当することがまことに明瞭でありまして、これは極刑に値する行動であると断ぜざるを得ぬのであります。  なおさらに重大なことは、この演説を広く院外に流布いたしましてモスクワ放送並びに対日理事会━━りさせております。近くはまた当委員会速記録を複写して世間に流布しておる事実があるのであります。これは一層その罪重しと断ぜなければなりません。  しこうしてこれはひとり川上君だけの処罰では済まぬと思います。すなわち共産党そのものも同罪、いなその主犯として同党自身極刑に処すべきものと信じますが、これは本委員会の任務ではありませんから、適当な機関においてこれを処断せられんことを付言いたすものであります。  以上によりまして川上君の懲罰は、衆議院規則第二百四十五條により除名を相当と信ずるものでありますが、翻つて今日の国際情勢をながめまするとき、川上君を除名しただけでは、これによつて失墜された日本政府並びに日本国信用を回復することはできません。日本国会においてかような言辞を弄したことは重大なるあやまりであつたとして、あらためてこれを中外に宣明させることが何よりも必要なことだと信ずるものでありまするがゆえに、川上君に物理的制裁を科するよりも、言論をもつて傷けたる信用を、言論によつて回復せしめることが、何よりの急務と信じますから、ここに川上君に対し、これに相応する内容陳謝文を朗読させることが相当と信じまして、佐々木君の動議賛成いたすものであります。
  8. 土倉宗明

  9. 猪俣浩三

    猪俣委員 委員長が非常に公平に御審理を進められたこと、及び川上君に対しまして再三ある言葉の取消しをする必要がないか、思想をかえるという意味じやないのだ、すでに懲罰事犯として成立してここに出て来ておる、それをよく考えて取消すところがないかという、血もあり涙もある勧告がありまして、川上君がこれを承諾せられなかつたことにつきましては、非常に遺憾に存じます。われわれは検察官ではありません。あるいはまたここは裁判所でもありません。同僚同僚をさばくような、そこに追い込まれることは不愉快きわまるのであります。そこでそこに政治性を発揮せられまして、委員長意思を、そんたくせられまして、適当な態度をとることが至当であつたと思うのであります。今日この討論をするに至りましたにつきましては、私は遺憾の意を表するものであります。だが、これをいわゆる懲罰事犯として事を論断するということになりますと、私どもは遺憾ながら反対をしなければならぬ。一体議院品位を乱した、そういう事実があつたかどうか。事実の認識の問題であります。しからば議院品位とは何ぞや。それは申すまでもなく政治家としての品位であります。政治家としての品位はその節操をかえないということであります。きのう言つたことと、きよう言つたことと、まるきり違つたことを言つている。あるいは広く言いますならば、選挙に臨みまして国民に公約をいたしましたことを、弊履を捨てるがごとく捨てて、院内で活動をする。言論をする。これすなわち品位を害したものであります。しかるにこれは、共産党に所属しておる川上貫一君が、共産党を代表いたしましてやりました演説でありまして、これが共産党が平素主張いたしております、川上自身がまた選挙にやつておりました政策と、あるいはその用いておるところの言論と、まつたく違つたような資本主義擁護言論でもしたといたしまするならば、これすなわち品位の問題だと思います。あるいはある法案賛成をいたしまして、提案者の一人になつておりながら、その法案には不賛成討論をしたというような議員参議院議員にあつたそうでありますが、これは品位の問題だ……。     〔発言する者あり〕
  10. 土倉宗明

  11. 猪俣浩三

    猪俣委員 さような意味から考えますると、川上君は、その言葉といい態度といい、共産党が平素やつておること、共産党政策に従いまして、それに忠実なる演説をしたにすぎないのであります。共産党代議士として品位を汚した行動では私はないと思う。今鍛冶君が申し述べたように、共産党自身合法性を否認いたしますならば、論理が立つのであります。共産党合法政党として存在せしめ、その所属党員であり所属代議士が、党の政策をひつさげて質問いたします際に、共産党的色彩を帯び、共産党思想を表現することは当然のことである。これが品位を害するということとはわれわれは理解ができない。これが品位を害するというならば、これは共産党それ自身を抹殺しなければ、その合法性を剥奪しなければ、これは論理が一貫いたしません。それは共産党主義主張をそのまま正確に、しかも勇敢にやつたにすぎないのであります。それでありますから、その言葉一つ一つをとらえまするならば自由党諸君の勘にさわることは当然のことであります。勘にさわることは当然のことでありまするが、それが品位を害したというふうには私どもには受取れぬのであります。  なおまた、他人悪口を言うたということにつきましては、私どもも多少遺憾のところがあります。いやしくも一国の総理大臣を軽々に━━━━ばわりするということは、これは共産党が常に用いるところの誇大な表現の一つの方式でありましようけれども、やはり内閣の諸公を目の前にして、それに対する質問でありまするから、議員としても相当の礼儀をもつて当るべきだとわれわれは思います。これを━━━━ばわりするというようなことは、共産党政策から考えましても、さようなことを政策に掲げておる道理はないので、言葉が過ぎたのだと思うのであります。  そこでいわゆる価値判断の問題になるのでありますが、この国会における言論の自由という民主政治の大原則標準として考えました際に、こういう言葉それ自体、それをとらえて、ただちに懲罰事犯内容として処断するということは、私はそれだけの価値はないと存ずるのであります。お互いやはり党派を異にし、あるいは主義主張を異にいたしましたる際には、その言葉はまた激烈な調子を帯びて来る。これは片山内閣あるいは芦田内閣時代におきまして、自由党代表者がなした質問演説を、今冷静に皆さんが速記録でお調べになつていただいたならば、相当激烈な口調が含まれておることがわかる。互いにあまり礼儀失つた言論はしないように統制しなければならぬのでありますけれども、信念に燃えて大いに自分の意思主張しようとする際には、そういうふうに傾きやすい共通の弱点をわれわれは持つておるのであります。これは遺憾なことでございますけれども、この懲罰委員会がかようなことを一々懲罰に付しておるということになりますと、ひいて活発清新なる言論院内に行われないことに相なる。これはよいこととして奨励すべきではないには違いないのでありますけれども、これを直ちに処罰の対象として、その内容として考える価値判断に対しましては、私ども反対せざるを得ない。  かように、大ざつぱでございますけれども、大体におきましてその言葉使い、その主張、その態度というものは、共産党が平素やつておりますること、共産党代議士として当然予期せられることでありまして、これは提案者でありまするところの佐々木盛雄君の提案理由を見ましても、共産党らしい当然のことをやつたのだというようなことを言われておる。その通りでありまして、これは合法政党である共産党をどうするかということは別問題といたしましても、現在嚴たる合法政党として、その代表者としてやつておるのでありますから、いわゆる自由主義資本主義政策をひつさげて立つておりまするところの保守政党の方々が、一々その言葉じりが勘にさわると称して、これを懲罰に付しておつたのでは、これはいわゆる共産党を代表する言論というものが、院内に響かぬということになる。そういうものはもう院内に響かぬでもよろしいという建前かも存じませんが、これは合法政党として許されている以上は、民主主義原則に従いまして、いかなる思想、いかなる階層のものでも、自由活発なる言論院内にいたしまして、もつて民意を反映させるということは、これは動かすべからざる鉄則であります。かような大標準から考えまするならば、今川上君の言論をその言葉の末梢をとらえまして、これを非難攻撃するということに対しまして、私ども反対いたしまするし、その中心課題に対しましては、これは共産党政策なのでありまして、自由党と違うからといつて、これが懲罰だということになりますれば、反対党の存在に抹消されることに相なるのであります。かような意味におきまして、私は品位を害したような事実を認めることができませんし、あるいは他人悪口を言うたようなことは認めましても、これの価値判断として、懲罰として処罰すべきにあらずとして、この懲罰動議には反対をいたす次第であります。
  12. 土倉宗明

  13. 小川半次

    小川(半)委員 共産党川上貫一君を懲罰に付すべし、その方法陳謝文を朗読せしめることという、この佐々木秀世君の動議に私は賛成するものであります。  理由は、大体自由党鍛冶君から詳細御説明がありましたから私は省略いたします。ただ私は、ただいま社会党の猪俣君の反対理由を聞いておりますると、多少合点の行かない点があるのですが、民主主義国会だからといつて、あるいは言論が自由だからといつて品位を傷つけるような、あるいは国会の権威を無視するような言論は、これは許さるべきものではないのであります。それはまつた言論というよりも、言論を通じての一つ暴力である、私はこういうふうな解釈もとれると思うのです。今日国民を最も惑わしておるところの問題は、共産主義民主主義二道をかけておるような、こういう連中がかなりおるから国民は非常に迷うのであつて、私は共産主義者民主主義者か、二道をかけておるようなそういう人物は、人間のくずとして軽蔑しなければならぬという考えを持つております。従つて私はこういう問題に際してこそ、明らかにその態度を堂々と示して、そして国民の行くべき方向を示すことが、一面政治家の使命であると考えるのであります。また今回の川上君の懲罰が云々されて以来非常に不愉快千万なのは、懲罰委員の一部の人たちのところへ、脅迫状にひとしいような投書がひんぴんとして来たことであります。これは共産党員が出しておるということは大体想像がつき、明らかであるのですが、いやしくも院外から国会議員に向つて、そういう脅迫状をひんぴんとして出すような、そういう下劣な方法は、今後共産党においても大いに愼んでもらいたいことをこの機会に申し上げて、佐々木君の動議賛成するものであります。
  14. 土倉宗明

  15. 梨木作次郎

    梨木委員 私は日本共産党を代表いたしまして、佐々木秀世君提出の議員川上君を懲罰に付すべしとの動議反対し、猪俣君提出の懲罰事犯にあらずとの動議賛成するものであります。  去る一月二十七日わが党の川上君が行つた吉田総理大臣の施政演説に対する質疑演説の中心というものは、これは演説をごらんになれば明白なように、今日本人民が最も心配し、最も恐れ、最も不安に感じておるところの戰争と平和の問題、また日本が完全に独立できるか、それとも外国の植民地になつてしまうのではないかという、こういう問題並びにポツダム宣言を嚴正に実施することを命ぜられておる日本人民といたしまして、このポツダム宣言が誠実に実行されていないようないろいろな具体的な事実がある。この問題につきまして、もしもポツダム宣言が嚴正に実施されないようなことになりますならば、われわれの熱望してやまない講和というものも、日本人民の希望するような形においてなされないということ、こういう点を心配いたしまして、具体的な事実をあげて吉田総理大臣質問した。これが川上君の演説の要旨なのであります。ところがこれに対しまして吉田首相は、これは共産主義の宣伝であるから答弁しないというような態度に出ている。これは一国の総理大臣といたしまして、日本人民の多数を代表いたしまして首相に質問したことに対して、これを單に共産主義の宣伝だということで答弁しないという、こういう態度こそが攻撃し、非難されなければならないと思うのでありますが、それをさしおいて、川上君をこの演説のゆえに懲罰にしようとしているのであります。ところでこの懲罰事犯提案者説明並びにただいまの動議提出者の懲罰理由のおもなるところを伺つてみますと、第一番目には川上君の演説虚構の事実をあげておるということ、もう一つ占領軍の誹謗であるということ、もう一つ同僚議員に重大な侮辱を加えておるということ、こういうことをあげておる。大体この点は懲罰提案者理由ともほぼ一致しておりますので、私はまずこの理由の一々について反駁して行きたいと思うのであります。  第一番目に提案者言つておるし、今の動議賛成者も言つておりますが、川上君の五十分にわたる演説は、すべて捏造と虚構によつて貫かれておるというようなことを言つておるのであります。そこで私たちは、一体川上君の演説の中の具体的にあげた事実のどれとどれとどれがうそであり、捏造であるかという点につきまして——この点は懲罰事犯の判断の上において最も重要な点でありまするがゆえに、これを本委員会において、提案者に対して私たち質問を試みたのであります。まず私は第一にこういう点を質問いたしております。たとえば終戰処理費から軍事基地の建設のための費用が出ておるではないかという、この点をあげて川上君が質問したのであります。そこでこれは川上君の演説全体がうそであるというのでありますから、しからば終戰処理費からこの金が出ておらないか、おるというのはうそだとおつしやるのかという点につきまして、私は具体的に昭和二十三年の決算報告書からとつて来た事実、昭和二十一年の九月ころから二十三年の十一月ころまでの間に、青森県の三沢地区における連合軍兵舎新築工事のために、五億四千五百十七万七千四百円が支出されているということが決算書に明確に出ているのであります。そこでこの事実もあなたはうそだとおつしやるのですかと、こういうように質問して、具体的な事実によつて私は提案者質問を試みたのであります。ところが委員諸君も御承知のように、いろいろ私の質問が諸君によつて、私から見れば妨害されたと思う。そうしてこのために一々の具体的な事実について、遂に質問することができなかつたのであります、そうしてさらに提案者はどう答えたかと申しますと、いや一つ二つのほんとうのこともあるだろうが、全体がうそなんだという。ところが諸君、われわれの常識から言いまするならば、全体というのは部分の集まりでしよう。だから私は一つ一つの事実について、これはどうか、これはどうかと聞いて行つたところが、そういうものには一つ二つはほんとうがあるかもしれないが、全体がうそであるというのであります。ところがその全体の質問は、諸君は私に許さなかつた。そうしてそのときには、たとえばそこにいらつしやる委員の一人の方は、この共産党演説はみな造花のようなものだ、だから花びらの一つ二つはほんとうのものがあつても全体がうそなのだ——全体がうそかどうかということは、その一つ一つ調べてみなければわからないじやないか。だから花びらもこれも本物、これも本物、全部本物というように本物と断定するのがわれわれの常識であります。(「根がない」と呼ぶ者あり)ところが根も全部調べて行けばわかるのであります。ところが諸君はしやべらせない。     〔発言する者あり〕
  16. 土倉宗明

    土倉委員長 私語を禁じます。
  17. 梨木作次郎

    梨木委員 こういう事実の中にこそ——これが全部虚構だとおつしやるなら、虚構であるかないか、調べる機会を與えなければならぬ。それを與えないで、そうして諸君は初めから造花だと言う。それは諸君の断定だ。だから私はこの点からも、これを虚構の事実だとおつしやるのならば——提案者自身が認めているように、一つ二つはほんとうであると言うので、全部調べて行こうとしたら、この調べる機会がなかつたのでありまして、この点については、提案者自身が自分の提案理由のないことを物語つているものであると私は考えるのであります。そうして大事なことは……。     〔「黙つている」と呼び、その他発言する者多し〕
  18. 土倉宗明

    土倉委員長 靜粛に。委員外の発言を禁じます。
  19. 梨木作次郎

    梨木委員 委員長もこういうように最後だおつしやつているのであります。「私の質問はあなたの主義上のことをついておるわけでもなし、あなたのなされた演説内容の個々の問題を取上げておるのではないのです。いやしくもいずれの国家においても、秩序のなき国はおりません。この秩序の維持は法によつてのみ生きるのであります。この法を認めないというあり方であつては相ならないという考え方から、再三重ねて——川上君のこの演説内容を取消せと申すのではありません。演説になされた不穏なる言葉をお取消しになる御意思があるかどうかを再三勧告いたしておるのでありますが、これをお取上げになるかどうか」というのでありまして、演説が全部うそだから、これが懲罰にかかるということをついておられるのではないということは、委員長自身質問の中に似つきり現われておるのであります。従つてこの点からも、すでにうそだということによつてもう提案者理由が成り立たないことを証明しておると私は思うのであります。虚構の事実云々はもはや理由のないということは、これで明らかであります。  第二番目に占領軍誹謗云々の点を申し上げます。この川上君の演説は、これを国会の外でやつたならば占領政策違反、つまり政令三百二十五号違反に該当する内容を持つ演説だ、こう言つて提案者はこれを懲罰に付さなければならぬと言つております。動議賛成者もそう申しました。ところが、日本ポツダム宣言を受諾いたしました占領下の今日におきまして、われわれのよつて立たなければならない行動の基準、これは一体何に求めるべきかと申しますならば、ポツダム宣言です。これをもう少し要約いたしますならば、日本の民主化と非武装化、非軍事化であります。平和産業の復活であります。軍需産業の撤廃であります。これが降伏後におけるところの日本人民行動の基準でなければならないのであります。そうしてこの基準に立つておる限りば、われわれの言論は無制限に自由でなければならないと私は信じます。川上君は繰返し繰返し演説の中で、現在日本におきましては、ポツダム宣言に違反するような軍事基地だとか、あるいは軍需工業の復活だとか、あるいは民主化を妨害するようなあらゆる人権の抑圧、こういうものが行われておるではないか、これではポツダム宣言の違反になり、ポツダム宣言に違反をしておつては、これは公正な講和というものも期待することはできない、従つていつまでも日本は独立できないし、占領軍の撤退を期待することはできない。このことを心配して、こういう事実もあるではないか、こういう事実もあるではないかと言つて指摘したのでありまして、これはほんとうにポツダム宣言の嚴正な実施を願うからなのであります。ところが、これを占領目的違反だと言うことは、私は普通の常識を持つた人には、理解できない論理だろうと思うのであります。そうしてこれを外でやるならば、これは占領目的違反だとおつしやる。しかし諸君どうです。この川上君の演説は、一部分は削除はされておりますよ。しかしながら大部分は、これは官報に、また国会速記録として公刊されておるのであります。これは一体どういうことでありましよう。もしも川上君の演説全体が、占領目的違反のような内容を含んでおるといたしますならば、これは出版できないはずであります。このこと自身が、この演説というものが何ら占領目的に違反するものでないということを、これは国会議長それ自身が認めている事実であります。しかるに諸君は、これを占領目的違反だと言う。まつたく諸君の政治的な感覚を疑わざるを得ないのであります。そうしてこの占領目的違反云々の問題につきましても、いろいろな考え方があるわけであります。つまり速記録の削られている点、これは議長がこの点はプレス・コードに違反する、占領目的に違反するというような感覚で判断されたのでありましよう。ところが、川上君の演説は放送されております。その放送されている演説を聞きますと、速記録ではなるほど消されておりまするが、その消されたところが放送されております。たとえば、こういう点です。「またこの予備隊は、戰争を挑発し、日本人民戰争の人的資源に提供する政策の具体的現われであります。」こういうことを言つているのでありますが、この点はちやんと放送されておるのであります。こういうところから見ましても、これは政治的な感覚によつて、どこまでが占領政策違反であるかどうかということは、それぞれの政治的な感度、感覚、それによつて違うのであります。われわれはあくまでもポツダム宣言の嚴正実施の点からこの演説をしておるのであり、またわれわれはこれをあくまでも遂行するために全努力を傾注いたしておるのでありまして、川上君の演説というものが占領政策に違反するなどということは、とんでもないことだと思うのであります。この点から、以上申し述べたところによつて、占領政策違反の演説だということが何ら理由にならないということは、国会の当局自身行動の中からも証明することができると思うのであります。  それから第三番目に、同僚議員に重大な侮辱を加えたということでありますが、一体具体的にどういう言動が重大な侮辱なのであるか。(「吉田総理が国を売ろうとしているか」と呼ぶ者あり)ところが、吉田総理大臣に対して━━━だと言つたと言う。速記録をよく見ていただきたい。(「言つているよ」と呼ぶ者あり)いや、ないですよ。こういう━━━という言葉は使つておりません。とにかく同僚議員懲罰にしようとする場合には、もつと愼重にしなければなりません。そんな言葉は全然使つておりません。このことが一つ。もう一つ、民主党の芦田君に対しましての批判はありました。しかしこれはあくまでも芦田さんの政治的な行動、これを批判したにすぎない。政治的な行動を批判すること、これが無札な言だということになりますれば、国会において、何ら反対党または意見を異にする議員を批判することはできないじやありませんか。こういうことをとらえて懲罰に付するということになりますならば、これは国会自身が、みずからの言論の自由を放棄するようなことになり、自殺行為だと思うのでありまして、この点は諸君もよく考えていただきたいと思うのであります。それから提案者言つておりまするし、また今の懲罰動議賛成討論の中にも、それに類似する言葉があつたのでありますが、川上君、こういう演説をする議員国会にいること自身が、国会の権威を傷つけ、議院品位を傷つけるものであるというようなこと、また共産党自体が罰せらるべきである、こういう言論を承りました。これはまことにおかしなことでありまして、川上君の演説そのものが懲罰に付されているのであります。ところが、提案者や今の賛成討論をした方々の言われるところを聞いておりますと、これは共産党そのものを問題にしている。つまり共産主義思想そのものを問題にしようというのであります。これは憲法を頭から否定することではありませんか。共産主義思想そのものの批判になつて来ております。これは思想、良心の自由を否定する言論だと思うのであります。こういうことでは、国会自身憲法を否定するような行動を行つていると非難されても、弁解の辞がありますまい。私はこの点につきまして、提案者にも質問を試みております。ところが、提案者はこういうように言つております。私も質問したのでありますが、木村榮君も質問している。これに対して、佐々木盛雄君は「私は社会党が社会党の主義綱領の御宣伝をなさることも、わが自由党自由党の主義綱領の宣伝をすることも、それは自由であろうと考えます。」こう言つている。「ただ、その宣伝をするにあたつて、ことごとく事実無根の捏造の事柄を流布することによつて院内秩序を乱し、あるいは品位を傷つけ、あるいは無札の論議を弄するということが、法規に照して抵触し、当然処罰の対象になると考えます。」と、こう言つているのでありますが、無礼の言やあるいは事実無根の捏造の事柄を流布したことがないということは、私の今申し上げることによつて明らかであります。そこで社会党が社会党の主義綱領を、自由党自由党の主義綱領を宣伝することは自由だ。ところが共産党だけは主義綱領を宣伝してはいけない。こういう論理になるのであります。しかもこれは吉田首相自身が、共産主義の宣伝だから答弁しないと言つておる。一体政党が国会におきまして自分たちの主義政策をはつきり鮮明にさして、この観点から政府政策を批判し、政府の行政的なやり方の失態を攻撃する、これは当然じやありませんか。ところがそれは宣伝だから答えないと言う。共産党に限つてこの宣伝を許さないということ、主義政策を鮮明にすることを認めないということは、これは頭から共産党を否定する思想ではありませんか。思想の自由が許されているということを、諸君は認めないということではありませんか。共産主義思想を持つていること自身国会の権威を傷つける、これは何事です。諸君がこの狭い日本のここにおりまして、そうして共産主義云々と諸君は大きな顔をして言つておりますが、世界の情勢はどうです。世界は今や共産主義の陣営と資本主義陣営とが二大対立している。この現実を諸君は知らないで、国会において共産主義思想そのものを否定するような言論をいくらやられても、それは笑いものですよ。  以上によりまして、提案者提案理由並びに今の動議賛成者の理由がまつたく根拠のないものであるということは明らかになつたと思うのであります。ところがかように懲罰理由が何らないにもかかわらず、あえて川上君を懲罰にしようとする、これは一体どういうたくらみによるものであろうかということを、われわれは考えざるを得ない。要するにこの第十国会国民が最も関心を持つておるところの講和の問題、この論議が本国会における重要な課題であつたと思います。この論議をひつさげて川上君があくまでも共産党の立場から、政府がやろうとしているところの単独講和や、あるいは再軍備、これらに反対して、全面講和と再軍備反対、戦争反対のこの態度を鮮明にして、政府の施策を攻撃した、これが痛かつたのであります。この言論を妨害し、これを抑圧しようとするところに、この懲罰理由が、懲罰一つの大きな目標があつたとわれわれは断定せざるを得ない。しかしながら諸君、今吉田政府のやつているところのこういうような単独講和や、あるいは再軍備、こういう政策を遂行して行つたらどうなりますか。日本が明らかに━━の道に追い込まれることは明白ではありませんか。先ほど賛成者の意見の中に、日本の国際的信用を失墜させたというようなことを言つております。これは現在の吉田政府自身が、国際的な信用を失墜させるようなことをやつておるじやありませんか。現に吉田政府のやろうとするところの特定の国との講和を結ぶということ、これは明らかにポツダム協定に違反しているじやないか。ポツダム協定は、連合国が一体不可分となつて日本との間に降伏文書を通じて一つの国際的な規範がつくられたのであります。従いましてこの一体不可分の連合国の一国や二国を切り離して、ばらばらに講和を結ぶことは明らかにポツダム協定に━━している。国際信義を━━━━ものであります。そういうことみずからやつておきながら、それではいけないじやないかというので、国際協定違反の点を追究して、こういう方向に行かないようにやろうとするために質問した、このことが国際的な信用を失墜させたと言う、これは逆なんであります。こういうようなわが川上君の演説に対して懲罰を加え、そうして今や日本支配者は何をやろうとしているか。結局は日本の人民を━━━━━━━━━としている。それに反対している人民に対してはどうやつている。この間も「平和のこえ」弾圧に藉口して五百有余の━━━━━━を検挙しておる。それを投獄しようとしておる。職場から、あるいはあらゆる工場からは、こういうような全面講和、再軍備に反対し、戰争反対する人々が━━されて来ておる。こういうことをやつて結局日本━━━━━━━━としておるのであります。そうして一方におきましては、国警を二万人ふやそうとしておる、あるいは━━━━━━を復活させようとしておる。そうしてあわよくば日本共産党を禁止いたしまして、日本共産党を非合法化いたしまして、そうして単独講和と━━━━日本を無理やりに持つて行こうとしておる。この政策の一環として懲罰事犯が今諸君によつて強行せられようとしておるのであります。しかし諸君がいかにそういうことをやろうといたしましても、決して日本の人民は東條軍閥時代のような、そういう時代に生きているんじやないのです。もはや日本の人民は、一度は民主主義の呼吸をいたしておるのであります。諸君のようなそういう弾圧で人民は断じて屈しないでありましよう。  大体以上の理由によつて私はこの懲罰動議反対するものであります。
  20. 土倉宗明

    土倉委員長 梨木君に申し上げます。議長がすでに川上君の不穏なる言動を取消しいたしておりますのを、梨木君はこの委員会においてさらに反復発言になりました。ゆえに委員長速記録から適当に処置いたしますことを御承知おき願います。  以上をもちまして討論は終結いたしました。  採決いたします。本件につきましては、これを懲罰事犯として懲罰を科すべしとの意見と、本件懲罰事犯にあらずと決すべしとの意見がありますので、この点について採決いたします。本件懲罰事犯として懲罰を科すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  21. 土倉宗明

    土倉委員長 起立多数。よつてまず本件懲罰事犯とし懲罰を科すべきものと決しました。  次に本件について国会法第百二十二條第二号の規定により、公開議場における陳謝を命ずべしとの動議賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 土倉宗明

    土倉委員長 起立多数。よつて本件については国会法第百二十二條第二号により、公開議場における陳謝を命ずべきものと決しました。  次にお諮りいたします。陳謝文につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 土倉宗明

    土倉委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。  なお委員会の報告書について委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 土倉宗明

    土倉委員長 御異議なければさように決しました。  これで本件の審査は終了いたしましたが、付託されてからちようど一箇月、各委員におかれましては議員の身上に関する問題にかんがみ、きわめて愼重かつ公平な態度で終始され、長い期間にわたり十分盡すべきものを盡されましたことを、委員長から深く感謝する次第であります。  なお本件の審査中、委員長にも同様でありましたが、與党各委員のところへはそれぞれ幾十通の脅迫的書状を送りまして各委員の職務遂行を院外から牽制せんとするもののありましたことは、議会制度の本旨にかんがみまして、私どものはなはだ遺憾とするところであります。しかしながらかかる外部の無責任な脅迫にもかかわらず、かかるものに左右されることなく、毅然として議員としての良心と信念に基いて、よくその職責を果されましたことにつきましては、本件の審査を終るにあたり私の深く敬意を表するところであります。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十二分散会